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盗賊♀「ゆ、勇者様!もう勘弁してくださいっ///」
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40 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:12:54.99 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「えっと、勇者の大叔父の従弟がハーフエルフで・・・」
賢者「エルフ筋は、砂の王家に絡まないでしょう」
盗賊「そ、そうですね・・・って商人さん寝てる」
盗賊「商人さ〜ん、商人さ〜ん、寝ないでくださ〜い」
商人「 ZZZ 」
賢者「回復魔法キュア・・・」
商人「!?」
騎士「お〜い、休むのは仕事が終わってからにしようじゃないか」
商人「す、すみません」
盗賊「でも、もう3日はやってますよ〜騎士さん・・・」
41 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:13:21.67 ID:YOFIsHWto
賢者「とりあえず、宿屋に帰って水浴びをしたい・・・」
騎士「何を言っているんだ〜、甘いぞみんな」
騎士「せっかく、勇者に追いつきそうだったんだ」
騎士「いま、働かずして、いつやるんだー」
盗賊「 ぐぅ・・・zzz 」
賢者「キュア・・・」
盗賊「はっ!?」
騎士「ほらほら、盗賊さんは次はこっちの資料を洗って」
盗賊「うぅ・・・髪がべとべとだ・・・」
商人「勇者ぁ・・・勇者ぁ・・・絶対に・・・許さねえ・・・」
騎士「いやあ、久しぶりだなあ、こういうの」
騎士「昔は、どこの部署もこんなもんだったのに」
騎士「今の若い連中ときたら・・・」
賢者「い、異動願いを申請・・・」
騎士「却下」
騎士「ほら、みんな元気がないぞ!元気出して国のために働こうじゃないか!」
盗賊(鬼・・・っ!)
42 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:13:48.66 ID:YOFIsHWto
------
騎士「いやあ・・・見つからなかったね・・・」
賢者「何代遡ったかわかりませんよ・・・」
盗賊「勇者の大叔父の従弟の祖父の孫の姉の・・・」
賢者「もういいんです!もう終わったんですよ盗賊さん!」
盗賊「はっ!?」
商人「諦めは尽きましたか・・・騎士さん?」
騎士「まあ、ここまでやって見つからなかったんだ、致し方ない」
騎士「調査報告をまとめれば、我々の面目もたつだろう」
騎士「商人くん、手はずは?」
商人「侯爵家に未婚の女性は一人」
商人「かつて数多の男性方から求愛受け、かつ薙ぎ払ったことから鉄壁と呼ばれた、絶世の美女」
商人「侯爵家娘」
商人(御年50幾年・・・)
騎士「うむ、じゃあ侯爵家に御見合い写真を持って行こうじゃないか!」
盗賊(さようなら・・・勇者様の操っ!)
賢者「うまくいくといいなあ・・・」
43 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:14:14.86 ID:YOFIsHWto
------
騎士「うまくいきました」
商人「エクセレント!」
賢者「すばらしい!」
盗賊「ブラボーっ!!」
騎士「よしっ!勇者の結婚祝いだ今晩は私の奢りだ!」
商人「ひゅー↑↑」
賢者「パーッと飲みましょう!」
盗賊「おーっ!!!」
盗賊(勇者様、結婚おめでとうございます・・・)
44 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:14:48.96 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「勇者が裏カジノで荒稼ぎしやがった!」
45 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:15:15.81 ID:YOFIsHWto
騎士「はい」
賢者「はい、じゃないです」
騎士「」
商人「オレ仕事頑張ル、給料モラウ」
盗賊「み、みなさん!?」
騎士「はい」
賢者「はい、じゃないです」
商人「酒買ウ、飲ム」
盗賊「てえいっ!唸れっ!とげのむちっ!」パチーン
騎士 賢者 商人「「「 はっ!いったい何が・・・ 」」」
盗賊「しっかりしてください!就業時間内ですよ!!」
46 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:15:42.09 ID:YOFIsHWto
騎士「盗賊さん、しっかりしてきたなあ・・・もう任せて安心だ」ホロリ
商人「というより、仕事に慣れて本性でてきた感じじゃないか?」ヒリヒリ
賢者「ああ、新人あるあるですね・・・」イテテ
盗賊「報告!始めますよ!よろしいですね!」プンスカ
騎士「あ、ああ、お願いします」
商人「よろしく頼むぜ!」
賢者「どんとこいです!」
盗賊「えーっ、王国きっての歓楽街である、この街には」
盗賊「官憲も手を出せない凶悪な犯罪組織があるそうです」
商人「ああ、聞いたことがある裏カジノを経営しているとこだろ」
騎士「商人くん、まさか行ったことがあるなんて言わないよね」ジロリ
商人「そ、そりゃあもちろん!」アセアセ
賢者「コンプラは大事ですよ・・・」
47 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:16:08.41 ID:YOFIsHWto
盗賊「その裏カジノの景品に、伝説の聖なる兜があったそうです」
賢者「また、その手の話ですか」
商人「犯罪者から、聖なる装備を取り返した!うん!なんの問題も無いな!」
賢者「それなら、問題にならないんですよねえ・・・」
盗賊「勇者一行は、しばらくこの街に滞在し裏カジノにゲームに興じ」
盗賊「最終的には、カジノオーナーとのゲームで勝利し、聖なる兜を手に入れ街を去ったそうです」
騎士「なんで!?」
盗賊「」ビクッ
騎士「なんで!ピラミッドでは勝手に持っていったのに!」
騎士「違法カジノでは、正々堂々と勝ち取っていくんだよ!」
騎士「逆だろ!?なんで、こんな時だけ正攻法なんだよ!!!」
騎士「おかしいだろ!頭腐ってんじゃないのか!!!」
48 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:16:35.11 ID:YOFIsHWto
騎士「だいたい、あんな若造が勇s」
賢者「睡眠魔法スリープ」
騎士「ぁ・・・」スヤア
賢者「寝かせてあげましょう・・・」
商人「そ、そうだな・・・」
盗賊「心労がたたってるんですね・・・」
賢者「報告続けてもらえますか?」
盗賊「はい」
盗賊「問題は、勇者が身分を隠さず違法カジノに出入りしてしまっている点ですね」
商人「お、少しはわかってきてるじゃん」
盗賊「それぐらい、わかりますよ!」プンスカ
賢者「目撃者は?」
49 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:17:01.71 ID:YOFIsHWto
盗賊「違法カジノの店員と10数名の客ですね」
商人「身分ぐらい隠せよ・・・勇者」
賢者「罪悪感のかけらもないんでしょうね、それかアホなのか」
盗賊「・・・」
盗賊「どうしましょうか?」
賢者「とりあえず、方向性決めてから騎士さんに伺うかたちでいきましょう」
商人「賛成」
盗賊「おなじくです」
50 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:17:28.03 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「いつもみたいに、適当な地位や役職を勇者様に与えて違法性をなくしちゃうってのはどうですか?」
商人「それなら簡単なんだが、いかんせん」
商人「違法カジノに入り浸っていい役職なんて、ないんだよなあ」
賢者「そりゃあ、そうでしょうよ」
盗賊「独自の潜入捜査って線はどうです?」
賢者「身分を隠してたなら、そういう言い訳もできるんですけど」
賢者「名乗っちゃってるんでしょう・・・」
盗賊「うーん・・・だめだ」
盗賊「もう思いつきません・・・」
盗賊「私の頭じゃ、これで限界です」
51 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:18:20.00 ID:YOFIsHWto
商人「いや、それは俺もだよ・・・」
商人「というか、どうしようもないだろこれ」
賢者「・・・そうですね」
賢者「行き詰ってしまいましたね・・・」
盗賊「・・・」
騎士「目撃者をすべて消そう」
52 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:18:46.65 ID:YOFIsHWto
盗賊「!」
盗賊「起きていたんですかっ!?」
騎士「すまない、心配をかけたね」
商人「いや、それはともかく」
商人「ちょっと穏やかじゃない言葉が聞こえましたけど・・・?」
賢者「正気・・・ではないですよね?」
騎士「いや、いたって正気だよ」
騎士「盗賊さん、勇者一行がこの街を出たのはいつ?」
盗賊「半日ほど前です」
商人「なんだ、もう目と鼻の先だったのか」
騎士「そもそもが違法性のある場所での出来事だ」
騎士「情報が出回るには時間がかかるだろう」
賢者「つまり・・・」
53 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:19:13.03 ID:YOFIsHWto
騎士「まだ、間に合うかもしれない」
騎士「情報が出回る前に、この事件が国にバレる前に、全て消してしまおう」
商人「犯罪者どもはともかく・・・客も全てですか?」
騎士「・・・違法カジノに出入りしている輩だ」
騎士「碌な連中ではあるまい・・・」
賢者「反対ですね、完全に私たちの仕事の範疇外です」
賢者「そこまでする謂れはない」
賢者「勇者の名誉を守るために、私たちを暗殺者集団にするおつもりですか」
商人「俺も反対だ」
商人「ただでさえ、くそったれのけつを拭いてまわってるってのに」
商人「今度は、勇者の悪事を隠蔽するために俺たちが手を汚すだって?」
商人「冗談じゃねえ!」
騎士「そうか・・・強制はしない」
54 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:19:39.83 ID:YOFIsHWto
騎士「それならば、私一人でやるだけだ」
商人「勝手にしやがれ国家の犬め!」
賢者「見損ないましたよ騎士さん」
盗賊「・・・」
盗賊「ちょっと待ってください!みなさん!」
商人「新人は黙ってろ!」
賢者「騎士さんは、完全に正気を失っています」
賢者「こんな仕事をする必要はありません」
盗賊「聞いてくださいっ!!」
盗賊「・・・私の話も聞いてほしいんです」
賢者「・・・」
商人「・・・」
騎士「・・・」
55 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:20:06.44 ID:YOFIsHWto
盗賊「私は、皆さんに先行して勇者一行を追いかけていました」
盗賊「皆さんに報告している勇者様の動向・・・」
盗賊「あれは、ほんの一部に過ぎないってこと、ご存知でしたか?」
商人「・・・情報を隠していたってことか?」
商人「どういうつもりだ、盗賊ちゃん」
賢者「・・・」
賢者「いえ、そうではないでしょう」
賢者「私たちにとって、業務上必要な情報は主に勇者の起こしたトラブルに限定されます」
盗賊「・・・そういうことです」
盗賊「私は、皆さんの知らない勇者様の一面を知っています」
盗賊「彼は、とても優しい方です」
盗賊「先ほど、賢者さんが勇者様のことを罪悪感がないか、ただの阿呆とおっしゃいました」
56 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:20:32.68 ID:YOFIsHWto
盗賊「・・・それは大きな間違いだと思います」
盗賊「私の知っている勇者様は、自身が法を犯していることを自覚しています」
盗賊「知ってても尚、平和のためならばとあれば、迷うことなく法を破る」
盗賊「そういう方なんです」
盗賊「阿呆でもありません・・・」
盗賊「私たちは、手続きや法令等に日ごろから触れていますけど」
盗賊「勇者様は、その手段を知らないだけなんです」
盗賊「彼は、自分のできる範囲で平和を目指しているだけ」
盗賊「本当に責任感の強い人なんです」
盗賊「関所を破った際、連れていた子供二人」
盗賊「無事に、親戚のところへ届けられ、二人は更生を勇者に約束しました!」
盗賊「ピラミッドから盗んだ聖剣は」
盗賊「数多の集落を、魔物達から救うために振るわれています!」
57 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:20:58.79 ID:YOFIsHWto
盗賊「私たちは、なんですか!?」
盗賊「みんな勇者様の陰口ばっかり叩いて!」
盗賊「勇者様のサポートをするのが私たちの仕事じゃないんですか!」
盗賊「確かに、暗殺は業務の範囲外かもしれません!」
盗賊「でも、今回の事件を見逃したら、どうなると思います!?」
盗賊「すぐかもしれないし、魔王討伐後かもしれませんけど」
盗賊「勇者様が官憲に追われることになってしまいかねません!」
盗賊「それでいいんですか!?そんなことが許されるんですか!!」
盗賊「勇者様は、自分自身のために力を奮うことは今まで一度もありませんでした!」
盗賊「勇者様の行動は、全て私たちを含めた王国民のために為されているんですよ!?」
盗賊「いま!勇者様を助けられるのは私たちだけなんですよ!」
盗賊「・・・」
58 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:21:25.22 ID:YOFIsHWto
盗賊「私は、騎士さんの意見に賛成です」
盗賊「証拠を全部消しましょう・・・」
盗賊「騎士さんと二人きりでも、私はやります」
賢者「・・・」
商人「・・・」
騎士「・・・」
騎士「いや、そうじゃない・・・」
騎士「申し訳ない・・・私にはそんな高尚な動機はないんだ・・・」
騎士「私は、保身に走っているに過ぎない」
騎士「この事件が公になった際、私たちの立場はどうなる・・・」
騎士「未然に問題を防げなかった我々の立場だ」
騎士「減給程度で済めばいいが」
59 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:21:52.83 ID:YOFIsHWto
騎士「正直、勇者に関しては異例のことが多すぎて」
騎士「どんな判断がなされるか、全くわからん」
騎士「首が飛ぶ可能性だってある・・・」
商人(免職?)
賢者(いや、斬首ってことじゃないですか?)
騎士「私には、妻と娘がいる・・・彼女らを路頭に迷わせたくない」
騎士「ただ、それだけなんだ・・・」
商人「・・・」
賢者「・・・」
盗賊「騎士さん・・・」
商人「ふぅ・・・」
商人「盗賊ちゃんの話はともかく」
60 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:22:19.33 ID:YOFIsHWto
盗賊「えっ・・・!」
商人「騎士さんの可愛い娘さんに、ひもじい思いをさせるわけにはいかねえか!」
商人「将来、俺のお嫁さんになるかもしれねえしな!」
騎士「なっ・・・!」
賢者「10数名程度なら、私の魔法で記憶の消去が可能です」
賢者「ですので、殺すのは違法カジノの連中だけでいいでしょう・・・」
賢者「禁術に指定されている魔法なので、内密にお願いしますよ」
盗賊「みなさん・・・っ!」
騎士「ありがとう!二人とも・・・っ!」
商人「最悪、国にバレたら皆でトンずらこくか!」
賢者「その際は、頼りにしてますよ盗賊さん」
盗賊「・・・」
盗賊「はいっ!」
61 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:22:46.10 ID:YOFIsHWto
------
商人「いや、盗賊ちゃん強すぎない?」
商人「動きが完全にアサシンのそれだったけど・・・」
賢者「恐ろしく手際が良かったですねえ」
騎士「いやあ、まったく」
盗賊「そりゃあ、しっかり教育受けてますし」
騎士(どんな教育だ・・・)
盗賊「私こそ、騎士さんや賢者さんはともかく」
盗賊「商人さんが、まともに戦えるとは思っていませんでしたよ」
商人「失礼なやつだな」
盗賊「えへへ」
62 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:23:20.46 ID:YOFIsHWto
商人「・・・」
商人「俺さ、昔は伝説の冒険商人に憧れていてさ」
商人「それなりに戦闘訓練を受けていたんだ」
騎士(語りだした・・・)
賢者「初耳ですね」
盗賊「伝説の冒険商人?」
商人「ああ、ずっと昔の勇者パーティーにいたらしい」
騎士「そろばんで魔物を殴り殺していたってアレか」
商人「そうそう、ま、諦めたんですけどね」
盗賊「なんでまた諦めちゃったんですか?」
商人「・・・見つからなかったんだ」
商人「俺の力に耐えきれる、そろばんがさ・・・」
賢者(そろばんで戦う仲間は欲しくないですね・・・正直、ださい・・・)
63 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:23:48.16 ID:YOFIsHWto
盗賊「そろばんで戦う仲間は欲しくないですね、正直ださいです」
賢者「!?」
商人「ま・・・いつか俺の眼鏡に適う算盤が見つかったら・・・また追いかけてみようかな・・・」トオイメ
騎士(見つかりませんように・・・)
盗賊「見つからないといいですね」
騎士「!?」
商人「なんか、盗賊ちゃん俺にだけ厳しくない!!??」
盗賊「そんなことないです」
盗賊「さあ、仕事も終わったし飲みにでも行きましょうよ!」
商人「ちょっと勘弁してよ!盗賊ちゃ〜ん!」
64 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:24:15.27 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「勇者が聖なる祠から、聖遺物を持ち出すつもりだ!」
65 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:24:41.99 ID:YOFIsHWto
騎士「遂に・・・遂に追いついたなあ・・・」
賢者「為せば成るものですねえ」
賢者「見てください、街の更に奥、ほら微かにですけど魔王城が見えますよ」
騎士「随分、遠くまで来たものだなあ」
商人「盗賊ちゃん、あの最後の街に勇者一行がいるんだな!?」
盗賊「ええ、間違いありません」
盗賊「数刻前に、勇者一行が街の中に入っていくのを、この目で見ました」
盗賊「情報によると、私たちの後ろにある、この聖なる祠に」
盗賊「最後の聖遺物、聖なる鎧があるそうです」
盗賊「ここで、張っていれば間違いなく勇者一行に出会えます!」
商人「追いつくどころか、先回りできとるやん」
66 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:25:08.50 ID:YOFIsHWto
盗賊「勇者一行より先に、聖なる鎧の情報を集めることができたので」
盗賊「ここで待ってた方が確実かなって・・・」
騎士「確かに、街で入れ違いになったりしたらシャレにならないしね」
騎士「やっと追いついたのか・・・感慨深いものがあるなあ・・・おっと涙が」ホロリ
賢者「騎士さん、まだ仕事が終わったわけではありませんよ」
商人「そうそう、ここで勇者を待ち伏せて」
商人「これまでの恨みつらみを全部聞かせてやりましょうぜ!」
騎士「それはともかく、今まで特例ばっかで乗り切ってきてたからねえ」
騎士「今回は、やっと真っ当な手続きを取らせることができる」
騎士「ようやく、本来の業務に戻れた気がするよ」
盗賊「ちなみに、祠から聖なる鎧を持ち出すのには」
盗賊「どういった手続きが必要なんですか?」
騎士「えっとね、ピラミッドの時とほぼ同じかな」
67 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:25:35.11 ID:YOFIsHWto
騎士「文化局に、発掘調査の申請を出して許可が降りたら鎧を持ち出せる」
商人「いやあ、博士号とらせておいて正解でしたね」
賢者「ただ懸案事項がひとつ」
賢者「祠は歴史的建造物であると同時に、宗教施設でもありますので」
賢者「教皇庁の許可もいりますね」
騎士「げ・・・そうか・・・」
盗賊「何か問題があるんですか?」
商人「教会の坊主どもは頭がかたいから、聖なる鎧を出し渋るだろうなあ」
騎士「まあ、世界平和のためだし最終的には許可は降りると思うよ、ただ」
賢者「それなりに時間がかかるでしょうねえ」
盗賊「ぐ、具体的にどれくらい・・・?」
騎士「・・・経験則から言うと、半年ぐらいは見ておいた方がいいかな・・・」
商人「まじかよ・・・」
68 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:26:01.89 ID:YOFIsHWto
賢者「・・・それはまた」
盗賊「長いですね・・・」
騎士「・・・まあ、真っ当な手続きというのはそういうものだよ」
盗賊「あの・・・」
賢者「そうですね」
商人「そうだな」
騎士「私もそう思う」
盗賊「ま、まだ何も言ってません!」
商人「言わなくても、わかるさ」
商人「俺たちは、勇者に追いつくべきではない、だろ?」
賢者「私たちが居なかった勇者は、また勝手に聖なる鎧を持って行っちゃうでしょうねえ」
騎士「ああ、また特例の異例のオンパレードで乗り切る仕事になっちゃうなあ」
69 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:26:28.32 ID:YOFIsHWto
商人「そうですねえ、でもその分」
盗賊「半年、早く平和が訪れる」
商人「ははは、盗賊ちゃんの思考が手に取るようにわかるぞ!」
賢者「完全に毒されちゃいましたねえ」
騎士「いい新人を持ってきてくれたものだ、大臣に感謝だな」
盗賊「ひどい!そんな言い方しなくても!」
商人「まあまあ、それよりどうしますか」
商人「こんなところに居たら、間違って勇者に追いついてしまいますよ」
騎士「言葉に気をつけるんだ商人くん」
騎士「勇者に追いつくことは間違いでもなんでもない」
騎士「むしろ、それが私たちの仕事だ」
商人「へいへい」
70 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:26:54.72 ID:YOFIsHWto
騎士「ただ、あの最後の街に今から向かって、仮に勇者そっくりの人物に会ったとしても」
騎士「見間違いってことはあるだろうなあ・・・」
盗賊「ふふっ・・・」
賢者「それはいいですね」
商人「じゃあ、今日は大した仕事もなさそうですし飲みにでも行きましょうよ!」
騎士「うん、それはいい考えだ!」
賢者「もう、喉がからっからです!」
盗賊「あ!私、いいお店知っています!」
商人「ははは!流石、情報収集はお手のものだな!」
盗賊「はいっ!」
騎士「よし!では、最後の街で大いに楽しもうか!」
商人 賢者 盗賊「「「 おーっ! 」」」
71 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:27:21.36 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「勇者が国境線の封印を解きやがった!」
72 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:27:48.17 ID:YOFIsHWto
商人「国境線の封印?なんだそりゃ」
賢者「私も知らないですね、騎士さんご存知ですか?」
騎士「いや、聞いたことがない」
盗賊「先代勇者が残した遺産ですよ!」
盗賊「魔王の領域と私たちの国の境界線に施された魔法です!」
盗賊「この魔法があったからこそ、力の弱い魔物しか」
盗賊「私たちの国に侵入できなかったんじゃないですか!」
賢者「なにそれ怖い」
騎士「えー・・・そんなこと言われても知らないものは知らないよ」
商人「これは、あれだな盗賊ちゃん優秀すぎて」
商人「国が一切把握していない情報を拾ってきちゃった感じだな」
賢者「ちなみに、勇者はなんでその封印を解いちゃったんですか?」
73 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:28:41.19 ID:YOFIsHWto
盗賊「それは、その封印が両方向に作用するからです」
騎士「なるほど、こちらからも力を持ったものは魔王城に近づけないわけか」
商人「どう思う賢者」
賢者「我々すら知らない情報ですから、勇者も知らないで封印を破ったと考えるのが妥当でしょう」
騎士「故意ではないと?」
盗賊「勇者様がそんなことするはずありません!」
商人「どうだかね」
盗賊「きっ!」ギロッ
商人「ひぃ!」
騎士「封印が解かれたとしたら、強い魔物がこっち側に進撃してくる可能性があるな」
賢者「とりあえず、軍に援軍を要請して陣を築きましょう」
商人「んー・・・ちょっとそれじゃ、遅すぎるかな」
74 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:29:07.76 ID:YOFIsHWto
騎士「ん?なんだこの音は」
盗賊「あれ!巨大な魔物です!サイクロプスです!」
騎士「こっちに向かってきているな」
賢者「サイクロプスだけではありませんね」
賢者「数はそれほど多くありませんがゴーレムも複数体見えます・・・」
騎士「じ、実は私には国に残してきた妻と娘が・・・」
賢者「知ってます」
騎士「そうか・・・」
商人「騎士さんの冗談、初めて聞きましたよ」
騎士「なに、みんなをリラックスさせようと思ってな」
盗賊「じ、実は私にも国に残してきた父が・・・」
商人「投獄されてる犯罪者の父ちゃんな」
75 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:29:35.63 ID:YOFIsHWto
盗賊「ご存知でしたか」
商人「そりゃもちろん」
商人「・・・状況は絶望的だなあ」
盗賊「私、あんな巨大な魔物と戦うの初めてですよ」
賢者「私だってそうですよ・・・」
騎士「だが、私たちの後ろには数多の国民の命がある」
騎士「騎士として退くわけにはいかない」
賢者「・・・やるしかありませんね」
商人「覚悟は決まってますよ」
商人「・・・」
商人「盗賊ちゃんは、逃げてもいいんだぜ?」
盗賊「私より弱いくせに何言ってるんですか!?」
76 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:30:02.24 ID:YOFIsHWto
商人「うっ・・・」
賢者「ほらほら、みなさんそのへんにしときましょう」
賢者「遊んでる場合じゃないですよ」
賢者「早く戦闘準備を整えてください」
賢者「気を抜いて勝てる相手ではありません」
商人「気を入れても勝てる保証はないけどな」
騎士「まったく、勇者一行には本当に苦労をさせられる」
商人「なあに、騎士さん」
商人「王国民の平和のためですよ」
盗賊「ふふっ・・・」
商人「ん?」
賢者「どうしました?盗賊さん?」
盗賊「いえ///」
盗賊「なんだか、商人さんの口ぶりが」
盗賊「まるで」
盗賊「私たちも、勇者パーティーの一員みたいだなって///」
77 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:30:28.35 ID:YOFIsHWto
騎士「みんな来たぞ!構えろ!」
商人「へいへい!」
賢者「お任せくださいっ!」
盗賊「 はいっ!/// 」
78 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:30:55.76 ID:YOFIsHWto
------
数々の魔物を屠り
王都随一と言われる剣術道場の師範代
戦士
その弛まぬ信仰心から齢二十歳にして聖人に認定された
うら若き乙女
僧侶
王立魔術学院の最年少学位授与記録をもつ
若き天才
魔法使い
79 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:31:28.18 ID:YOFIsHWto
剣技右に並ぶものなし
若くして大魔導士と考古学博士の称号を得
あらゆる女性を魅了する端正な顔を持ちながら
侯爵家娘への揺るがぬ愛を誓った愛妻家
情に厚く、驕るところのない品性高潔な奴隷商人
勇者
若く逞しき彼らは、王国付き神官の受けた女神様からの信託により
わずか4名での魔王討伐を運命づけられ、王都を旅立ったことは。
皆が知るところにあるだろう。
だがしかし、彼らの華々しい冒険譚に潜む黒き影。
勇者パーティーを陰ながら支え続けた、もう一つのパーティーがあったことは。
あまり知られていない。
その名も
「王国勇者課勇者補助係」
80 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:32:54.45 ID:YOFIsHWto
------
「た、大変です!」
「はいはい、勇者は次に何をやらかしましたか?」
「も、もう、勘弁してほしいんだが」
「ごたごた言わない!盗賊さん報告をお願い」
盗賊「勇者が!魔王と和解しやがった!」
勇者の旅が終わろうとも
彼ら王国勇者課勇者補助係の戦いは終わらない。
81 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:33:35.41 ID:YOFIsHWto
------
「おい!魔族の言語わかるやつ直ぐに連れてこい!」
「和平条約結んだとして、魔族が条約を遵守する担保なんてあるんですか!?信頼性皆無ですよ!」
「そんなのいいから!まずは、要領を洗え!これ私たちの仕事に含まれるのか!?」
「ゆ、勇者様!もう勘弁してくださいっ!」
彼らの業務は就業時間内には終わらない。
だけども、おわり。
82 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:36:48.15 ID:YOFIsHWto
スレタイには反省しています。
他にもSS書いてます。
感想もらえればうれしいです。
魔王の物語
僧侶の憂鬱
王「勇者よ、死んでしまうとは情けない!」
勇者「みんな狂ってる」
勇者「お前ら弱すぎ」
勇者「駄目だ!殺せない」
俺たちは奴隷ではない。
女剣士「くっ・・・犯せ!」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 20:57:39.73 ID:JQMMVGEbo
乙
面白かった
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 21:10:13.70 ID:xP8uqL0j0
乙
勇者の肩書がすごいことになってる…
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 21:19:26.54 ID:RPPsf3ea0
勇者は五十路ババアとも結婚して愛を育めたのか…まさしく勇者よ
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 21:57:48.96 ID:+BiWINMS0
乙です。
勢いが良かった、もしや今まで俺達がやってきたRPGのシナリオの裏では……。
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/12(火) 01:25:38.29 ID:vEw/Pppdo
乙ー
おもしろかった
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/15(金) 13:41:52.24 ID:IHIhMrsgO
他所のまとめサイトで先に読んできたけど面白かった
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/15(金) 13:43:47.76 ID:RAojfLzXO
あげんな
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