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盗賊♀「ゆ、勇者様!もう勘弁してくださいっ///」
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1 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:54:28.53 ID:YOFIsHWto
王「なに・・・?勇者が行く先々で問題を起こしておるだと?」
大臣「ええ、陛下」
王「はて、そのような男には見えなかったが・・・」
大臣「いえ、悪に手を染めたというわけではございませぬ」
王「では・・・?」
大臣「その強い正義感が故か、その土地の領主と揉めたり」
大臣「時には、法を破ったこともあるとのことで」
王「ふむ・・・少し安堵した」
王「この世界は広い、我が統治が及ばぬ土地では悪政が蔓延ることもあろう」
王「法律とて、全ての事例に対応でき得るものではない」
王「勇者に正義がある限り、見守ってやろうではないか」
大臣「し、しかし、我が国は法治国家、建前というものがございます」
王「ふむ、大臣の申すことも最もだ」
王「何か、手はあるか?」
大臣「はい。陛下の了承が頂ければ、すぐにでも取り掛かります」
王「うむ」
王「よきに計らえ」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1505127268
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/11(月) 19:55:03.22 ID:YOFIsHWto
------
騎士♂「というわけで、出来上がったのがこのパーティーだ」
商人♂「はあ、急に酒保から異動を命じられたので」
商人「てっきり、何かやらかしたかと思ったんだけど」
賢者♂「では、我々の主要業務は勇者のやらかしたことの後始末と考えてよろしいですか?」
騎士「まあ、言葉は悪いが端的に言えばそうだ」
騎士「正確には、『勇者事業における特別職勇者係の管理及び、指導』だな」
商人「特別職勇者係?」
賢者「それはですね」
賢者「勇者を期間を限って役人扱いにして、一部の権限を融通してるんですよ」
賢者「そうしないと、関所越えの手続きだけでも手間暇が掛かりますからね」
商人「ははあ、勇者の待遇一つにしても理解しずらい文言で括るとは」
3 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:55:36.07 ID:YOFIsHWto
商人「さすがお役所仕事だなあ」
賢者「お役所ですから」
騎士「まあ、そこら辺にしておけ」
騎士「ひとまず、私たちの仕事は各地で勇者が起こした問題に対処しつつ」
騎士「最終的には勇者に追いつき同行することが目標だ」
騎士「追い付かなければ、指導も管理もできないしな」
賢者「なにより、勇者が問題を起こす前に対処できる、ですしね」
騎士「そのとおりだ」
商人「うわあ、勇者一行はだいぶ先行しているんでしょう?」
商人「それは面倒だなあ」
賢者「商人さん、私たちは組織図で言えば大臣の直轄」
賢者「うまくすれば、大臣の覚えめでたく」
4 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:56:01.95 ID:YOFIsHWto
賢者「若くして要職に就くなんてことも・・・」
商人「さあ、みんなで頑張りましょう!」
商人「何をしているんですか?のんびりしている暇はないんですよ!」
騎士「まあ、落ち着け」
騎士「現場では、職長である私を含めた4人で行動することになる」
賢者「4人?3人の間違いでは?」
騎士「もう一人のメンバーは、先行して勇者を追っている」
騎士「役人としての経験は浅いから、皆でカバーしてやってくれ」
賢者「わかりました」
商人「後輩の育成ですね、お任せください」
騎士「では、我々も出立するか!」
賢者「おーっ!」
商人「おーっ!」
5 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:56:28.29 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「勇者が隣町の町長と揉めやがった!」
騎士「盗賊さん、言葉遣い」
盗賊♀「あ、すみません!」
賢者「もう一人のメンバーは貴方ですね、初めまして」
商人「おー、男臭いパーティーかと思っていたけど」
商人「女の子が一人いるだけでも場が和むねえ」
騎士「紹介しよう、王国で暴れまわっていた義賊の娘、盗賊さんだ」
商人「・・・ん?」
6 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:56:54.23 ID:YOFIsHWto
賢者「えっと、それは・・・?」
騎士「安心してくれ、彼女自身は罪を犯していない」
盗賊「あ、よろしくおねがいします!」
騎士「まあ、盗賊のスキルは親父さん仕込みらしくてな」
騎士「本人も、真面目で勉強熱心なところを大臣が目をつけて」
騎士「大臣付き秘書という形で新たに採用したそうだ」
盗賊「この業務をやりとげたら、投獄中の父さんの減刑と」
盗賊「私を正式に役人にしてくれるって約束なんです」
盗賊「頑張りますので!よろしくお願いします!」
賢者「我が国も、なかなか無茶をしますね・・・」
商人「と言うか、それって黙ってたほうがよくない?」
盗賊「・・・あっ!」
7 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:57:20.76 ID:YOFIsHWto
盗賊「・・・」
騎士「・・・」
騎士「・・・で、盗賊さん。勇者がどうしたって?」
盗賊「あ、はい!」
盗賊「勇者一行ですが、隣町の町長さんと揉めたらしいです!」
騎士「うん、それで?」
盗賊「え?」
騎士「・・・え?」
盗賊「えーっと・・・以上です!」
騎士「うん・・・」
騎士「賢者さん、お願いできるかな」
賢者「あー、盗賊ちゃん。ほうれん草はわかる?」
8 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:57:47.80 ID:YOFIsHWto
商人「そこからやるのか・・・」
盗賊「はい!報告・連絡・相談ですね!」
賢者「うん!元気はよろしい」
賢者「盗賊ちゃんは、隣町の事件を、いち早く聞きつけて報告に駆けつけてくれた」
盗賊「はい!」
賢者「報告ってのは早いに越したことはないけどね」
賢者「情報は正確でなくちゃあならない」
商人「詳細がわからない、そのうえ『揉めたらしい』という不確かな情報」
商人「これじゃあ、報告とは言えないってこと」
盗賊「!」
盗賊「・・・すみません」
賢者「よし!それじゃあ、それを踏まえて、もう一度情報を探ってきてもらえるかな」
盗賊「はい!では、行ってきます!」
商人「・・・切り替え早いなあ」
商人「って!もう居ねえ!ほんとに素早いなあ」
賢者「前途多難ですね・・・」
騎士「まあ、うまいこと指導してやってくれ」
9 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:58:14.68 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「洞窟の魔物を倒した後、街に戻ってきた勇者が」
盗賊「出迎えた住人達の目の前で、町長を叱責したそうです」
盗賊「それで町長さん、『面目丸つぶれだ!いったいどんな指導を受けているんだ!』」
盗賊「てな、具合です」
商人「なんでまた、勇者はそんなことやらかしたんだ?」
盗賊「どうやら、魔物の怒りを鎮めるために町の娘を生贄に出してたみたいで」
賢者「ああ、正義感の強い勇者が怒りそうな案件ですね」
騎士「ふむ、苦情処理が我らの初仕事というわけか・・・」
商人「別に、手続き上の問題はないんだし無視して出発ってわけにはいかないんですか?」
騎士「私たちの仕事は勇者事業の管理・指導だからなあ」
10 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:58:42.57 ID:YOFIsHWto
騎士「勇者の不手際には積極的に関わらないと、職務放棄と見なされかねん」
商人「はあ、そんなもんですか」
騎士「ええっと・・・苦情対応はっと・・・」
騎士「いや・・・町長からの苦情だから・・・通常の苦情対応じゃまずいか・・・」
盗賊「な!なんですか、その分厚い本は!?」
商人「『業務取扱要領』通称『要領』。まあ簡単に言うと業務マニュアルだよ」
賢者「説明しよう!」
商人「よろしく」
賢者「我々の業務は、すべて法律や政令に則って執り行われます」
盗賊「はい」
賢者「この要領は、第一線で働く我々のために」
賢者「法律や政令に基づいた業務の取り扱いを分かりやすくまとめられたものです」
盗賊「え・・・、こんな分厚いんですか・・・」
11 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:59:08.45 ID:YOFIsHWto
賢者「そりゃ、あらゆる業務取扱を網羅しているからね」
商人「役人で出世したければ、ある程度は覚えておいたほうが良いよ」
商人「手続きや、書式に詳しいってのが管理職の必須スキルだからね」
盗賊「えぇ・・・」
商人「まあ、どこに何が書いてあるかだけでも覚えておきなよ」
賢者「騎士さん。地方行政の首長からの苦情も、通常の苦情対応で問題ないですよ」
賢者「ですので業務改善推進室の管轄です」
賢者「業改推に報告書、というか反省文ですね」
賢者「それの提出で処理は完了です」
賢者「書式も全て、頭に入っていますので書き起こしましょうか」
商人「まあ、こういう変態も稀にいるけどね」
盗賊「す、すごい・・・覚えてるんですか」
12 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 19:59:35.15 ID:YOFIsHWto
賢者「まあ、伊達に賢者と呼ばれていないよ」フフン
騎士「噂には聞いていたが、頼りになるな・・・賢者くん・・・」
賢者「とりあえず、報告書を作成するにも状況を確認しないといけません」
賢者「町長に直接話を伺いに行きましょう」
賢者「盗賊ちゃんの報告通りだとすると、町長は相当怒ってると思います」
賢者「騎士さん、同行して頂けないでしょうか」
騎士「うむ、まあ頭を下げるのが私の仕事だしな」
商人「じゃあ、こちらは街で食料と水を補給しておきます」
盗賊「あの・・・私はどうすれば?」
盗賊「またすぐに、勇者一行を追いかけたほうが良いですか?」
騎士「うーん。・・・もう日も落ちるし、出発は明日で構わないよ」
騎士「盗賊さんは、商人くんと一緒に装備の補充をお願い」
盗賊「はいっ!」
騎士「それと、今晩は盗賊さんの歓迎会やるから」
商人「はい!幹事はお任せください!」
騎士「うん、よろしく」
賢者「では、行きましょうか騎士さん」
騎士「よし、気は重いが怒られに行くか!」
13 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:00:02.00 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「騎士さん、怒られるの分かっていて町長に会いに行かないといけないなんて」
盗賊「可哀そうですね・・・」
商人「ああ、責任者はあれでいいんだよ」
盗賊「そうなんですか?」
商人「書類作成は、賢者や俺だけで何とかなるし」
商人「盗賊ちゃんは、俺たちに先行して情報収集の仕事がある」
商人「職長たる、騎士さんの仕事は規定の範囲内での最終的判断と」
商人「俺たち下っ端じゃ受けきれない問題を代わりに背負いこむことだからさ」
盗賊「なるほど・・・でもですよ」
盗賊「それって、騎士さんが受けきれない問題が出てきたらどうするんです?」
盗賊「騎士さん、潰れちゃいませんか?」
14 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:00:28.61 ID:YOFIsHWto
商人「そりゃあ、そうなったら騎士さんも大臣に振るでしょ」
商人「あの人も役人経験長いし、そこらへんは俺たちより重々承知してるよ」
盗賊「管理職って、大変なんですね・・・」
商人「なに、逆に言えば管理職の仕事なんて、そんなもんだよ」
盗賊「・・・そういうものですか」
商人「そんなことより、賢者は俺たち同期の中じゃ一番の出世頭だ」
商人「今のうちに仲良くなっておいて、損はないぜ」
盗賊「要領を全部覚えちゃうぐらいですもんね・・・」
盗賊「騎士さん形無し・・・」
商人「・・・まあ、部下のほうが業務の取り扱いを心得てるなんて、よくあることだよ」
商人「それに、職長の仕事はさっき言ったとおりだしね」
盗賊「よし!今日は賢者さんと仲良くなれるよう歓迎会がんばります!」
商人「言っておいてなんだけど、逞しいなあ盗賊ちゃん・・・」
15 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:00:54.87 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「勇者が関所を、突破しやがった!」
16 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:01:21.05 ID:YOFIsHWto
騎士「盗賊さん、言葉遣い」
盗賊「またやっちゃった・・・」アセアセ
商人「勇者の野郎、王都を出て初めの関所でいきなり問題起こしてんのか」
賢者「初っ端から、ぶっ飛んでますねえ」
騎士「盗賊さん、詳細をお願い」
盗賊「はい!」
17 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:01:47.74 ID:YOFIsHWto
------
盗賊「関所での聞き込みによると」
盗賊「勇者一行は、関所を通る際に子供を二人連れていたそうです」
盗賊「ただ、勇者一行の持っている手形は勇者一行4名のみに有効ですので」
盗賊「その子供二人は関所を通せない」
盗賊「関所側は、その旨、勇者様に説明したそうです」
盗賊「その際、勇者様と関所の役人と激しい口論になり」
盗賊「結果的に、追跡したら殺すと捨て台詞を吐き」
盗賊「魔法で門を破って、関所を超えちゃったそうです」
騎士「こ、言葉遣い荒いね・・・勇者くん」
賢者「勇者一行にも、何かドラマが起こっているんでしょうねえ」
18 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:02:13.81 ID:YOFIsHWto
商人「『孤児を親戚の元へ送り届ける!』とかかな?」
商人「青臭い勇者のやりそうなことだな」
商人「というか・・・関所破りとか、ガチ犯罪者じゃん」
騎士「ちょっと、胃が痛くなってきた・・・」
賢者「まあ、勇者一行に起こっている感動物語は置いといて」
賢者「関所は、この事件どう処理してるんですかね」
盗賊「あ、それも聞いてきました」
商人「お、やるじゃん」
盗賊「でへへ」デヘヘ
盗賊「関所では、勇者一行の悪評を広めたら国に消されるんじゃないかって」
盗賊「事実の隠蔽に動いているようです」
19 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:02:41.12 ID:YOFIsHWto
盗賊「ただ、関所超えの列に並んでいた一般国民等、目撃者が複数おり」
盗賊「なおかつ、関所の施設に大きな被害が出ているため」
盗賊「隠ぺい工作は難航しているようですね」
騎士「とりあえず、隠ぺい工作は止めてもらおうか」
賢者「そうですね、私たちにバレてる時点でもう手遅れです」
商人「さて、どう処理しようか」
賢者「うーん、子供二人の手形を特例扱いで作っちゃいましょうか」
騎士「まあ、可能だが、子供の身元がわからんことにはな・・・」
商人「子供の身元ねえ・・・」
盗賊「あ、わかります」
商人「は?」
盗賊「え?」
賢者「子供の身元わかるんですか?」
20 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:03:07.52 ID:YOFIsHWto
盗賊「え、はい」
盗賊「勇者一行に起こったことも、念のために調べておいたので」
商人「前回の失敗から学びすぎだろ・・・」
賢者「有能ですね・・・」
騎士「それで、何処の子なの」
盗賊「両親は既に他界。関所近くの町で、兄弟二人で暮らしていたそうです」
賢者「子供二人で・・・?嫌な予感がしますね」
商人「それ、生活費はどうしてたんだ・・・」
盗賊「えっと、スリ、置き引き、万引き、その他もろもろです」
盗賊「何度か捕まって、鞭打ち等の刑罰も経験していたそうです」
騎士「」
賢者「」
商人「はい!アウト―っ!!」
21 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:03:33.56 ID:YOFIsHWto
盗賊「?」
賢者「子供とは言え、刑罰を経験しているなら前科者です・・・」
賢者「特例でも、手形を発行するわけにはいきませんよね・・・騎士さん?」
騎士「も、もちろん」
騎士「図らずとも商人くんの目測どおりだねえ・・・」
騎士「おそらく、見るに見かねた勇者一行が親戚のもとにでも連れて行こうと」
賢者「してたんでしょうねえ」
盗賊「どうします・・・?」
賢者「どうしましょう・・・」
騎士「どうしよう・・・」
商人「関所を通った人間は、勇者一行の4人だけでした」ボソッ
盗賊「?」
賢者「!」
22 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:03:59.60 ID:YOFIsHWto
騎士「おいおい、何を・・・」
商人「ですから、勇者一行の連れていた子供二人は人間ではないってことですよ」
騎士「いや、言っている意味がわからんぞ」
賢者「・・・なるほど」
盗賊「どういうことですか?」
賢者「・・・」
賢者「世の中には、私たちと同じ体格、同じ目の色、同じ言葉を話したとしても」
賢者「人間としての権利を与えられていない、はく奪された方たちがいます」
騎士「・・・奴隷か」
商人「そのとおり」
商人「勇者一行は、関所近くの町で身寄りのない子供二人を入手」
商人「盗みで生計を立ててた子供だ、身元保証人なんているわけがない」
商人「なので、入手経路に違法性は一切ないです」
23 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:04:25.62 ID:YOFIsHWto
商人「至って合法的に奴隷二人を仕入れた勇者一行は」
商人「他国にて売却するべく、関所を通過」
商人「こういうことなら、子供二人は勇者の所有物扱い」
商人「モノに手形を発行する必要はないですよね」
賢者「この場合、勇者一行に奴隷売買免許を発行すれば・・・問題はなさそうですね」
盗賊「うげ」
騎士「いやいやいや!まずいって!」
騎士「その場合、勇者一行が奴隷商人になっちゃうよ!」
騎士「それはまずい!対外的に非常にまずい!」
商人「あくまで、書類上の手続きですよ」
賢者「そうですね・・・関所には緘口令をひいて」
賢者「今回の隠蔽工作の件をチラつかせれば、快く飲んでくれるでしょう」
騎士「いや・・・まずいって・・・」
24 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:04:54.09 ID:YOFIsHWto
騎士「勇者は王国の道徳的模範でなくちゃ・・・」
盗賊(これ、騎士さんが勇者様の名誉を守る最後の砦だ・・・)
商人「その模範生が、関所破りですよ」
商人「騎士さんも正直、勇者一行に対して、ちょっと腹が立ってるでしょう?」
賢者「犯罪者を引き連れての関所破り・・・」
賢者「しかも勇者なら、今後も似たようなことをやるでしょうねえ・・・」
騎士「」
騎士「うぅ・・・胃が・・・」キリキリ
盗賊(頑張って・・・っ!騎士さん!)
商人「いやいや、書類上の話ですよ」
賢者「そうそう、書類上でちょっと勇者の肩書に奴隷商人の項を増やすだけです」
商人「ちょっとした復讐ですよ・・・」
賢者「そう・・・それも、表ざたには決してならない・・・」
騎士「・・・承認」
盗賊(堕ちちゃった・・・)
商人「よし!じゃあ、書類を作成しようか!」
賢者「お任せください!」
騎士「うぅ・・・」
盗賊(大丈夫かな・・・このパーティー)
25 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:05:25.07 ID:YOFIsHWto
------
商人「ほらほら、騎士さん、ちょっと飲みすぎですよ?」
騎士「だいたいっ!お前らがなあっ!」
賢者「もう、終わった話ですよ騎士さん」
騎士「いやっ!終わってないっ!終わってないねっ!」
盗賊「騎士さん!お水持ってきました!」
騎士「盗賊ちゃんは優しいなあ」
盗賊「いえいえ///」
騎士「それに比べてお前らときたらっ!」
商人「へーへー」
賢者「今夜は長くなりそうですね・・・」
26 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:05:53.11 ID:YOFIsHWto
------
商人「いやあ、この暑さたまらねえなあ・・・」
賢者「この砂漠地帯は日を遮るものが何も無いですからねえ」
騎士「ぼやくなぼやくな、もう少し行けばオアシスに築かれた街につく」
騎士「到着したら、しっかり休養をとろうじゃないか」
賢者「しかし、一向に勇者に追いつく気がしませんねえ」
商人「まあ、勇者の行く先々でトラブル処理やらされてるからな」
商人「追いつけるもんも追いつけねえよ」
賢者「・・・ん?なんですかあれ」
商人「あ?ああ、あれか」
商人「併合前の侯爵家、砂の国の王家の墓地。ピラミッドだよ」
賢者「へえ、あれがそうなんですか。見事なものですねえ」
騎士「賢者くんでも知らないことはあるんだな」
賢者「それはもちろん」
オーイ
商人「・・・ピラミッドの方から誰か来るぞ」
騎士「あ、盗賊さんだね、おーい!」
タイヘンデスー
賢者「嫌な予感がしますね」
商人「あ、お前も?」
騎士「・・・」キリキリ
27 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:06:22.22 ID:YOFIsHWto
盗賊「勇者がピラミッドで盗掘しやがった!」
28 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:07:13.99 ID:YOFIsHWto
騎士「言葉遣い」
盗賊「あら、失礼しました」
賢者「なかなか、治りませんね」
商人「俺たちと居るときは、普通なんだけどなあ」
盗賊「いえ、すみません・・・」
盗賊「皆さんと別行動中は、役人であることを隠して情報を集めているので」
盗賊「どうしても、口調が荒くなっちゃうんです」
騎士「役人であることを、隠してるの?」
騎士「なんでまた、そんなことを?」
盗賊「ええと、役人だとわかっちゃうと国民の皆さん口が堅くなっちゃう傾向がありまして」
29 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:07:40.46 ID:YOFIsHWto
商人「なるほどなあ、藪へびをつつかないようにってことか」
賢者「まあ、そういう理由があるならしょうがないんじゃないですか?」
騎士「それもそうだな、ただし」
騎士「正式に役人に取り立てられたら、ちゃんと治すんだよ」
盗賊「はい!」
盗賊「えっと、報告いいですか・・・?」
騎士「・・・いや、とりあえず街についてからにしよう」
騎士「ここは、暑い」
商人「そうしましょう」
盗賊「はい!」
30 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:08:06.05 ID:YOFIsHWto
------
商人「じゃあ、勇者様御一行の悪行について伺いましょうか」
騎士「その言い方は・・・」
賢者「まあ、あながち間違いではありませんね」
盗賊「えー、先行している勇者一行ですが昨日の昼に、この街に入りました」
商人「へえ、一日遅れか」
賢者「だいぶ追いつきましたね」
盗賊「それでですね、ピラミッドに隠された伝説の聖剣の噂を聞きつけたようで」
商人「もう、先が読めたな」
盗賊「はい、隠し通路をあっさり見つけて聖剣を持って行っちゃいました」
騎士「あぁ・・・もう・・・」
騎士「なんで、勝手に持っていくかなぁ・・・」キリキリ
31 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:08:33.04 ID:YOFIsHWto
賢者「まあまあ、騎士さん落ち着いて」
賢者「ところで、ピラミッドってそんなに簡単に入れるものなんですか?」
盗賊「入れますね、むしろ観光地になってるぐらいです」
商人「結構、有名だぞ」
賢者「へえ、じゃあ研究、発掘もあらかた済んでいたんでしょうね」
賢者「そんなところで、新たな通路を発見するとは」
賢者「流石は勇者ですね」
商人「やってることは墓荒らしと変わんねえけどな」
賢者「墓か・・・墓ねえ・・・」
賢者「通常なら、衛生局の管轄ですけど・・・」
騎士「いや、ピラミッドに関しては別だね」
騎士「あそこは、歴史的建造物だから文化局だね」
盗賊「ということは国の財産ってことになるんですか?」
32 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:08:59.84 ID:YOFIsHWto
騎士「まあ、一部はね」
盗賊「でしたら、国有財産を勇者に支給したってことで」
賢者「無問題、とはならないでしょうねえ」
商人「理屈で言えば盗賊ちゃんが正しくないか?」
賢者「権利関係ってのは、そう甘くないですよ」
商人「権利関係か、ということは砂の王家の末裔である侯爵家が絡んでくるわけか」
賢者「ええ」
騎士「未発見の遺物、当然侯爵家は所有権を主張してくるだろうし」
騎士「その権利はあって然るべきだろう」
商人「ちなみに、勇者が聖剣持ち出したことはばれてんの?」
盗賊「街中で噂になる程度には」
騎士「ということは、侯爵家の耳にも入っているだろうな」
騎士「盗掘の件は、発掘調査扱いにしてしまえば何とかなるだろう」
33 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:09:26.84 ID:YOFIsHWto
騎士「そっちの書類作成は、商人くんお願い」
商人「へーい」
騎士「盗賊さんも、後学のために商人くんを手伝ってあげて」
盗賊「はい!」
商人「盗賊ちゃん、手とり足取り教えてあげるよ!」
盗賊「セクハラ相談って、どこにすればいいんだっけ・・・」
賢者「人事局かなあ・・・」
商人「じ、冗談だって!やだなあもう!」
騎士「じゃあ、賢者くんは私についてきて・・・」
賢者「え、まさか・・・」
騎士「うん、侯爵家に事情を説明しに行くよ」
賢者「うげえ・・・」
騎士「まあ、君も出世頭だしね」
騎士「人間がどれだけ頭を下げられるか見せてあげるよ・・・」
騎士「これも後学のためだと思いなさい」ヒヒッ
盗賊(騎士さん、邪悪な笑みだわ・・・)
商人(騎士さん、順調に心を病んでるな・・・)
34 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:09:53.77 ID:YOFIsHWto
------
商人「で、どうでした」
騎士「いやあ、お怒りお怒り、すさまじかったよ」
賢者「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」
盗賊(賢者さん、一体何を見せ付けられたんだろう・・・)
商人「てことは、お許しはもらえなかった感じですか?」
騎士「そうだねえ、聖剣の所有権をがっちり主張されちゃったよ」
騎士「補償しようにも、聖剣がどの程度の代物かもわからないしねえ」
騎士「このままだと、国に対して訴訟を起こしそうな勢いだったよ・・・」
商人「そうですか・・・参りましたねえ」
騎士「そちらの進捗はどうだい?」
35 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:10:20.84 ID:YOFIsHWto
盗賊「とりあえず、文化局に出す発掘調査申請書ができあがりました」
商人「勝手ながら発掘調査隊のリーダーである勇者様には、考古学博士号を取得してもらいました」
商人「国立學所と文化局には話を通してもらえますか?」
騎士「うん、学位取得のごり押しぐらい楽勝楽勝」
騎士「そちらは何とかなりそうだね」
騎士「問題は、侯爵家だ」
賢者「ハッ!ワタシハイッタイナニヲ!」
盗賊「おはようございます、賢者さん」
賢者「長い・・・長い悪夢を見ていたようだ・・・」
商人「はいはい、じゃあ侯爵家の問題に取り掛かりましょうか」
騎士「何か、いつもの悪知恵はあるんだろう?」
商人「まあ、あるには・・・あるんですけど・・・」
36 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:10:47.44 ID:YOFIsHWto
盗賊「えらく、歯切れが悪いですねえ」
賢者「もう勇者は目前なんです、手段は多少は選ばない方向で行きましょう」
商人「では申し上げましょう」
商人「勇者には侯爵家の家族になってもらいましょう」
37 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:11:14.08 ID:YOFIsHWto
騎士「なるほど」
賢者「では、さっそく侯爵家の家族構成を洗いましょう」
盗賊「ちょっちょっと!待ってください!」
盗賊「皆さん、物分かりが良すぎます!説明してください!」
商人「賢者くん、よろしく」
賢者「説明しましょう!」
賢者「要は、他人の物を勝手に持ち出したから悪いわけです」
賢者「ですので、勇者には侯爵家の血縁に入っていただきます」
賢者「すると、あら不思議」
賢者「侯爵家血縁である勇者にも、かつての砂の王家の遺産を受け取る相続権が生まれます」
賢者「そうなると、あとは簡単」
賢者「国と侯爵家の問題は、侯爵家と侯爵家血縁である勇者の所有権争いにすり替わってしまいました」
38 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:11:40.67 ID:YOFIsHWto
盗賊「でも、勇者は国の事業に基づいて動いているんですよ?」
盗賊「その場合、責任の所在は明らかではないですか?」
騎士「国、特に軍においては、兵士が自身の資産で武器や装備を調えることを禁じていない」
騎士「むしろ、奨励している節すらある・・・」
商人「我が国の財政もシビアだからねえ・・・」
盗賊「剣や鎧が支給されないのって、そういう理由があったんですか・・・」
賢者「ということだから勇者は、自身の財産で装備を調えたってことになるね」
盗賊「ん・・・てことは、私と商人さんで作った発掘調査申請書もろもろは・・・」
盗賊「全部無駄ってことですか・・・?」
賢者「いや、いくら所有者であっても歴史的建造物から勝手に物を持ち出すのはアウトだよ」
盗賊「よかった・・・私たちの仕事も無駄にはならないんですね」
商人「勇者に博士号まで取らせちゃったしねえ」
39 :
◆CItYBDS.l2
[saga]:2017/09/11(月) 20:12:06.99 ID:YOFIsHWto
盗賊「でも、侯爵家の家族になってもらうって・・・」
盗賊「具体的には何をどうするんですか?」
騎士「まあ、真っ当にいくなら勇者の血筋と侯爵家の血筋を辿ってクロスするところを探し出すとかかな」
騎士「要は勇者が、砂の国の王家の末裔にあたることを証明すればいい」
騎士「人類みな兄弟、ひたすら遡っていけば、いつか見つかるだろ」
賢者「途方もない仕事量になりますよ、それ」
騎士「でも、適法だ」
商人「えっと・・・俺が考えていたのは」
商人「侯爵家に妙齢の女性がいれば、番わせちまうのが手っ取り早いかなって・・・」
盗賊「番わせる・・・?」
賢者「結婚させるってことですよ」
盗賊「なっ///」
商人「まあ、最悪、未婚の女性であれば年齢はどうでもいいか」
商人「腐っても勇者だ、侯爵家も血縁に迎えるのに『NO』とは言わんだろ」
騎士「本人のあずかり知らぬところで婚姻関係を成立させるってのは」
騎士「私の道徳心が、軋むほど痛むがな」
盗賊(前回のが相当こたえたみたいですね・・・)
騎士「まあ、それは最終手段にしよう」
騎士「まずは、両家の家系図を洗う」
商人「正気ですか?どれぐらいの仕事量になるか、見当もつかないですよ?」
騎士「まずは、真っ当にやろうじゃないか」
騎士「そもそも、君が提案したことだろ、商人くん」
商人「ま、まじかよ・・・」
盗賊「うげえ・・・」
賢者「うわあ」
騎士「さあ、デスマーチのスタートだ!」
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