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少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:54:47.84 ID:Rg3u98mHo
スタッフ「おはようございまーす! 雨の中ですが、大丈夫ですかー? 生きてますかー?」
スタッフ「本日のCOMIKE、シャワー機能が開放されておりまーす」
スタッフ「ただしみなさんの心の醜さは洗い流せませーん」
少女「うへぇ……、相変わらず雨はやむ気配がありませんね……」
男「昨晩から降り続けてるんだったか? いい加減やんでほしいが」
男「というか今回もスタッフ、相変わらずキレッキレだな」
友人「んんwwwここまで寒い夏コミは世にも珍しいwww」
友人「ですが、その影響で体調を崩している参加者も少なくない様子www」
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:55:15.28 ID:Rg3u98mHo
スタッフ「本日、低体温症が多発していまーす」
スタッフ「具合の悪いヒト居ませんかー。冷たくなってるヒトいたら声かけてくださーい」
スタッフ「そいつは死んでる!! 置いていけ!!」
男「ここは冬将軍に襲われたナポレオンの陣営か何かか……?」
少女「まさに、カコクな戦場ですね……」
少女「かくいう私も……。ブルブルブル」
男「おい、大丈夫か? 革ジャンを貸してやる」ホイッ
少女「あ、ありがとうございます。はーっ、ファーがあったかい……」
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:55:42.69 ID:Rg3u98mHo
男「あとはモノ食べてカラダあっためるくらいだな」
少女「やったー! あさごはん、あさごはん!」バタバタ
男「騒ぐな……。メイワク女としてネットに晒しあげられるぞ」
友人「非日常の場とて、公共の場には違いありませんからなwww」
友人「テンションが上がっても常識はわきまえるべきですぞwww」
男「あ。スレに不審者情報の書き込みだ」
友人「ほうwwwBIPの民が食いつくような参加者でも現れましたかなwww」
男「リアルで論者口調のヤバい奴が近くの待機列にいるんだって」
友人「んんwwwwwwwwwwwwwwwwww」
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:56:09.95 ID:Rg3u98mHo
男「やっぱお前その口調やめられないの?」
友人「んんwww我がもしこの口調を変えてしまったらwww」
友人「それはもはや我ではありませんなwwwwwwぴゃっwww」
男「バンダナ、メガネ、チェックのシャツじゃ周りに埋没しちまうもんな」
男「ほら、梅おにぎりとスポーツドリンクだ」
男「涼しいように思えても水分と塩分は確実に失ってる。補給を怠るな」
少女「はーい。いただきまーす」モシャモシャ
少女「うーん、しゅっぱぁーい!!」
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:56:36.81 ID:Rg3u98mHo
男「酸っぱいのはニガテか?」
少女「いや、そーじゃないですが。それでも酸っぱいモノは、すすす、しゅっぱ……」
男「つらかったら、スポーツドリンクで押し流せ」
少女「はぁい。んっ、んっ、んっ……。ぷはぁ」
少女「……おコメとスポーツドリンクってあんまり合いませんね」
友人「んんwww白米と牛乳の次に合いませんなwwwwww」
男「……お茶は、利尿作用が強いんだ……」
男「もっとも、この雨なら漏らしてもわからんかもしれんがな」
少女「それはヒトとしての尊厳を失っています」
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:57:03.79 ID:Rg3u98mHo
男「しかし、ここまで寒くなるとは、さすがに予想外だな……」
友人「今朝の東狂の気温は23度wwwwww」
友人「さすがに半袖は死にますなwww」
男「結局のところ、登山服が大正義ってワケですか……」
男「スタッフはさすがに透明のゴミ袋みたいなの被ってるヒトばかりだな」
友人「メジェド様のコスプレイヤーも混じっていますなwwwwww」
男「俺もジャンパーを着るとするかな」
友人「男氏wwwジャンパーは死語ですぞwww」
男「うっそだろお前」
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:57:30.85 ID:Rg3u98mHo
カイロ屋「えー、カイロ。カイロはいりませんかー」
男「カイロ……? そんなモノを売ってる店まであるのか」
友人「普段の暑い夏コミなら、ただの嫌がらせですがwww」
友人「低体温症の犠牲者が出ている現状では、かなりオトクな買い物ですなwww」
男「……。……って、ちょっと待て……」
カイロ屋「はい、一つ300円! ありがとうございます。カイロー……」
男「ちょっと、大家さん!!」
カイロ屋「ん……? …………、あっ」
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:57:59.18 ID:Rg3u98mHo
カイロ屋「その声、さては男だなオメー」
少女「大家さんじゃないですか! こんなところで何を?」
カイロ屋「少女ちゃんもおはようございます。見ての通り、カイロを売っています」
男「えぇ……。この、雨の中?」
カイロ屋「火の中、水の中、なんのその。商売チャンスは逃しませんよ!」
男「商魂たくましいコトで」
カイロ屋「だけど、さすがに寒いので自分でも使います。さながらマッチ売りの少女ですね……」
男「そこまで貧しい身の上じゃないでしょう……。しかも若干ボッタくってるし」
友人「あ、我もカイロ一つー」
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:58:26.03 ID:Rg3u98mHo
少女「……っていうか、男さん」
少女「なんか、私たちより前に並んでるヒト、多くないですか?」
男「うん、多いな。1000人ではきくまい」
少女「私たちって始発組のヒトの、すぐ後についてきましたよね?」
少女「なのに、何でこんなに人が多いんですか……?」
友人「それはwwwひとえにwww徹夜組が多いからwww」
友人「おそらく現在の列の3分の2は、徹夜組と思われるwww」
少女「3分の2……。そんなに多いんですか」
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:58:53.87 ID:Rg3u98mHo
少女「私たちは、ルールを守って並んでるのに」
少女「ちょっとシャクですね。納得いきません」フンス
男「まあ、徹夜は禁止されてるとはいえ、別にペナルティとか無いからな……」
少女「えっ、無いんですか? ペナルティ!?」
友人「COMIKEの徹夜組は数が多すぎて、処罰しきれないのが現状ですなwww」
男「むしろ、準備会もあらかじめ徹夜組に整理券を配ったり」
男「非公式だがスタッフが列を誘導したり、事実上、徹夜を黙認している」
少女「……。じゃあ私も徹夜してやりましょうか」
男「しんどいだけだから、やめときなさい。そこまでして欲しいモノも無いだろう」
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:59:20.63 ID:Rg3u98mHo
少女「むぅー……」
スタッフ「みなさーん、お知らせでーす! つい先ほど、待機列確定しましたー!」
スタッフ「でも8時半には戻ってきてくださいねー! 遅れたらパワー系のスタッフが押し出します!」
男「おっ、列確定きたか」イソイソ
友人「それでは近くのダルイーズで時間を潰しますかな」イソイソ
少女「……? ちょ、ちょっと! 二人とも、列を抜けてどこに行こうとしてるんですか!」
男「ん?」
少女「こ、ここまで並んだのに、入場せずに帰っちゃうんですかぁ!?」
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 18:59:49.54 ID:Rg3u98mHo
友人「んんwww少女氏www違う違うwwwwww」
少女「え……?」
男「ああ……。少女。COMIKEには、待機列確定というシステムがあってな」
男「スタッフが待機列を確定させたら、しばらく持ち場を離れててもいいんだ」
友人「ただしwww列を離れていて良い時間にも制限があるwww」
友人「今回は8時半を過ぎて列に戻っていなかったらwww問答無用で並び直しですなwww」
少女「そ、そんなシステムが……。知らなかった……」
男「まあ、誰も教えてくれない部類のハナシではあるな」
友人「前後左右の人確認や現在地の暗記は必須ですぞwww」
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:00:15.67 ID:Rg3u98mHo
男「さて。目印となるモノは、何を置いておく?」
友人「んんwwwでは、コレをwww」ニョキッ
少女「わああ!!? なに、これ……」
少女「男のヒトの、巨大な、板?」
友人「等身大パネルですなwww炎の妖精のwww」
男「『できる!』、『君は最高だ!』……」
男「……相変わらず、アツい」
少女「……ほう。……ほう、ほう、ほう」
男「友人、こんなモノ、いったいどこで手に入れたんだ?」
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:00:43.78 ID:Rg3u98mHo
友人「もとは書店の店頭宣伝用のパネルですなwww」
友人「ソレを、フェア期間が終わって、廃棄するのは忍びないというコトで」
友人「ならばと我が貰ってきたのですぞwwwwww」
男「お前の家、こんなのばっかで溢れかえってそうだ」
男「ちょっと待て。ソレはソレとして、今お前、コレどっから出した……?」
友人「んん、深く追究してはいけませんぞ」
友人「彼のパネルを置いておけば雨雲も吹き飛ぶかもしれませんなwww」
少女「……なるほど!! テルテルボーズのような方なんですね、この彼は!!」
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:01:14.26 ID:Rg3u98mHo
友人「おおwww少女氏、炎の妖精氏が気に入りましたかなwww」
友人「彼は、諦めない、絶対できるをモットーとする熱血漢で有名な男ですぞwww」
友人「一説によると元プロテニヌプレイヤーらしいですなwww」
男「ソッチのほうがサブなのかよ。いや、俺も試合は見たコト無いけど」
少女「諦めない……、絶対できる……。スバラシイ! 最高のコトバです!!」
少女「私も信じています。前向きに生きていれば、絶対必ずイイコトあると!!」
友人「んんwww熱血少女ですなwww」
友人「では少女氏には、炎の妖精のポジティブで暑苦しい教えを伝授しますぞwww」
少女「ええ! ゼヒ、よろしくお願いします!!」ギュッ
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:01:40.35 ID:Rg3u98mHo
友人「頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるって!!」
少女「ガンバれガンバれ出来る出来るゼッタイ出来るガンバれもっとやれるってェェッ!!!」
男「!?」
待機列「!?」
友人「やれる! 気持ちの問題だ、頑張れ頑張れ、そこだ! そこで諦めんな!」
少女「やれる!! 気持ちの問題だっ、ガンバれガンバれ、そこだァ!! そこで諦めんなァァ!!!」
待機列「マツオカ…?」
待機列「シジミ?」
待機列「ザワザワ」
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:02:10.62 ID:Rg3u98mHo
友人「絶対に頑張る積極的にポジティブに頑張る頑張る」
少女「ゼッタイにガンバる積極的にポジティブにガンバるガンバるゥッ!!」
友人「―――北狂だって頑張ってるんだから!!」
少女「―――ペキンだって、ガンバってるんだからァァァァァァッッッ!!!!!!」
待機列「……オオオオ」パチパチパチ
待機列「熱くなれよぉぉ!!」
待機列「オコメタベロ」パチパチパチ
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/26(土) 19:02:22.56 ID:rm1tRk1PO
勉強になる
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:02:38.92 ID:Rg3u98mHo
男「……いつの間にか、人が集まってきてる……」
男「まあ、大声で北狂のアレ、復唱してたらなぁ」
男「しかも友人のヤツ、完コピしてるし」
男「……こりゃあ今回のマンレポに載るかもなぁ」
男「あ、マンレポってのは、COMIKEのカタログや公式ホームページに載ってる」
男「前回のCOMIKEの様子を1コマ漫画にまとめた、まんがレポートのコトな」
男「……あれ? なんか、晴れてきた?」
スタッフ「えー、西待機列に炎の妖精発見。北狂だって頑張ってるなどと意味不明なコトを……」
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:03:18.79 ID:Rg3u98mHo
――喫茶店 ダルイーズコーヒー
少女「いやあ! スっとしました!!」
少女「大声で叫ぶってのは良いモノですねぇ!!」
男「……もう、謝るの俺なんだから、やめてくれよ……」
友人「んんwww我一人ならカクジツにしょっぴかれていたwww」
友人「やはりおにゃのこ補正おそるべしwww」
友人「あとは、炎の妖精氏の人徳ですかなwww」
男「あー、もうネットに動画アップされてるよ……」ガタタン
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:03:58.97 ID:Rg3u98mHo
少女「え、マジですか? 見せてください!」
男「見切れてるけど、俺もハシッコに映ってるよぉ……」
友人「んんwww一部始終が完全に撮影されているwww」
男「ヘンなコトしたら、こうやって晒し上げられて一生残るんだから、気を付けろよ」
少女「一生、ですか……。うぅ。スイマセン」
少女「でもソコはソレ、なかなか良く撮れていますね! この動画!」
少女「もうちょっとお腹から声出したほうが良かったかな……」
友人「ジューブン男らしい声でしたぞwww」
友人「あ、それポチ。ダウンロード」ヴヴゥン
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:04:27.37 ID:Rg3u98mHo
友人「少女氏は学校で応援団長でもやってたのですかな?www」
少女「応援団長、ですか……。いわゆる、チアガール、とかいう?」
男「いや、友人の言ってるのは、ソレじゃないと思うぞ。ソッチじゃなくって……」
男「ほら。頭にハチマキ巻いてて、膝下まである丈の長い黒の学生服のやつだろ」
友人「んんwwwいかにもwww」
友人「先程の大音声は、まさに経験者のソレでしたなwww」
少女「なるほど。ソレでしたら、似たようなモノをやったコトがあります」
少女「大きな声でテンション上げていくのは! ダイジですからねぇ!!」
男(応援団長……ねぇ。けっこう似合いそうだな)
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:04:54.86 ID:Rg3u98mHo
男「……さて。この喫茶店も、けっこう混んできたな」
友人「ココのダルイーズは、列確定後によく利用するのですがwww」
友人「COMIKE期間中でも混んでないのに、今日はヤケに混んでいますなwww」
友人「おっとwwwヤがついていても、そのままヤケという意味なので悪しからずwww」
少女「やっぱ雨だからですかねえ?」
男「今日は雨だから人少ないとかいうのは何だったのか……」
少女「……ん?」
少女「おっ、窓の外を見てください男さん、友人さん! 空、晴れてきましたよ!」
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:05:22.51 ID:Rg3u98mHo
男「ああ。さっきから明るくなってきてたが、雨もやんできたみたいだな」
友人「雨雲レーダーでも、徐々に赤い部分が通過しつつありますなwww」
少女「コレはさっきのペキン、効果テキメンですね!!」
少女「やっぱりやまない、雨は無い!!」ガタッ
少女「もう一回、いっちゃいますよぉぉ――――!!!」ダンッ
男「やめろ! 店の中だぞ……!」
男「コラ待て片足をテーブルに乗り上げるなァァァ!!!!」
友人「んんwww男氏の声がイチバン大きいwww」
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:05:49.29 ID:Rg3u98mHo
――西待機列 某所
男「さて、もうすぐ8時半だし、待機列に戻ってきたワケだが」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ…
少女「なんだかんだで、人、多いですねえ……!」
友人「んんwww晴れたはいいが、気温が上がって蒸してきたwww」
友人「すなわち、ここから開場の10時までが、戦いの佳境ですなwww」
少女「勝負とは山場の一瞬で決するモノ! 頑張りますよーっ!!」
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:06:18.92 ID:Rg3u98mHo
サワ…
少女「あ、でも、風が涼しい……」
男「うん……。気温が高ければ、風なんて吹いても熱風だが」
男「気温の低い朝の風は、こうも快いか……」
少女「かすかに聞こえる波の音、あまねく漂う潮の香り……」
少女「これぞ海に面した港町、ってカンジがします」
友人「でも少し……この風……泣いています……」
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:06:45.94 ID:Rg3u98mHo
友人「…………」ジジジ
友人「……んんwww」
男「……? 友人、どうした」
友人「いや、今またスタッフの無線を傍受していたのですがwww」
友人「やはり今日は待機列の人が少ないとのコトwwwwww」
男「そうか。俺にはいつも通りの数に見えるが」
男「俯瞰で見れば、案外列が伸びてなかったりするのかな」
友人「だがwww少し気になるのがwww」
友人「既に入場している参加者が、気持ち多いというスタッフの発言ですなwww」
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:07:14.31 ID:Rg3u98mHo
男「何……? まだ一般参加者が入場できる時間じゃないだろう」
男「……いや。そうか、……サクチケか。キナ臭いな」
スタッフ「然りwww加えて、スタチケの使用者もいるもようwww」
少女「何なに、どうかしましたか?」
男「既にサクチケやスタチケで入場しているヤツが多いらしい」
少女「スタチケ……? って、何ですか」
少女「サクチケはわかりますけど。サークルチケットのコトですよね」
友人「んんwwwスタチケとは、スタッフチケットのコトwww」
友人「サクチケと理由は同じwww当日、頒布物を買えないスタッフのためのモノですなwww」
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:07:41.54 ID:Rg3u98mHo
少女「ああ、たしかに……。スタッフのヒトも、サークル参加者と同じで」
少女「COMIKE中は、自分の持ち場を離れられないから」
少女「気になる頒布物があっても、買いにいけませんもんね」
友人「また、COMIKEのスタッフはボランティアですがwww」
友人「連日の労働に対する、実質的な報酬という側面もありますなwww」
男「スタチケの場合も、サクチケと同じで、あらかじめ一人に配られる枚数は決まっている」
男「もっとも、全員が均一、というワケではないだろうがな」
友人「これらチケットを使用すればwww我ら一般参加者よりも早い入場が可能www」
友人「そんなチケット使用での入場者が今日は多いというハナシですなwww」
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:08:10.55 ID:Rg3u98mHo
少女「なるほど。つまりそのヒトたちは、今日出てるサークルやスタッフの代わりに」
少女「頒布物を買うために、先に入ってる、ってコトですか!」
男「…………。まあ、そうだな」
少女「……なんですか、その沈黙は」
友人「……しかし、オカシイとは思いませんかな、少女氏www」
少女「え?」
友人「今日の一般参加者は、スタッフ自身が“少ない”と証言しているwww」
友人「なのに、チケットを使っての入場者は“多い”と、これまた別のスタッフの発言www」
男「……ちっ。そういうコトか」
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:08:38.23 ID:Rg3u98mHo
少女「ど、どういうコトですか?」
少女「ええと。おハナシを聞く限りだと、チケットはサークルやスタッフのためのモノで……」
少女「別に一般参加者や、その数には関係ありませんよね?」
友人「いかにもwwwですが、こうも考えられませんかなwww」
友人「“一般参加者が少ないのは、チケット入場者が多いからだ”」
少女「……!」
男「むろん、参加者が少ない主な理由は、さっきまでの雨と、今日が女性向けの日であるコトだろう」
男「パっと見ればわかるが、COMIKEに限っては、男の参加者が多いからな」
男「だが……。それらがカモフラージュに利用されていたとしたら」
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:09:05.94 ID:Rg3u98mHo
男「普通は、今日は雨だし二日目だから、人が少ない」
男「物事の表面だけ見れば、そう思うだろう」
友人「むろんwwwただの人間が天候や日程をどうこうするコトは出来ませんなwww」
友人「だが、あらかじめ予想される事象を、利用するコトができるのも人間だけwww」
少女「で、でも……。仕方なくないですか?」
少女「チケットを使って入場するヒトたちは、サークルやスタッフのために……」
男「本当にソレだけだと思っているのか」
少女「…………えっ」
友人「他の参加者よりも自分が早く入場したいと思うのは、単純な心理www」
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:09:32.81 ID:Rg3u98mHo
友人「徹夜組や、我ら始発組とて、動機自体は同じですなwww」
男「それにだ……。すべてのサークルが、スタッフが、全日の頒布物を欲しいワケじゃない」
男「必然、チケットは余る場合もある。すると、どうなると思う?」
少女「……。早く入場したいヒトに、チケットを、譲る……?」
男「“無償で”譲るだけなら良いな。チケットの理念範囲内だ」
少女「……ちょ、ちょっと待ってくださいよ……」
友人「COMIKEのサークルの当落発表は、開催の数ヶ月前に行われるwww」
友人「そして、その時期になると、ネットオークションを湧かせる“商品”がありますなwww」
少女「……サークル、チケット……ですか……」
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:10:01.22 ID:Rg3u98mHo
男「そうだ。サクチケやスタチケは、誰よりも早く入場できる魔法のチケット、という見方もある」
少女「そ、そんなの……。まちがってないですか!?」
少女「チケットは、当日のサークルやスタッフのためのモノなのに!!」
友人「もちろんチケットの転売行為は準備会に禁止されているwww」
友人「ですが、サクチケやスタチケに高額で取引される需要があるのも、また事実www」
男「当然チケットは、早くに入場し、貴重な大手の頒布物を手に入れるために使われるが」
男「そういった貴重な大手の頒布物は、貴重ゆえに金銭的な価値を持つ」
男「これをまたネットオークションで転売し、儲けるヤカラもいるワケだ」
少女「許せない……。そんなの、チケットが、ただの転売の引換券に成り下がってる!!」
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:10:53.19 ID:Rg3u98mHo
少女「COMIKEはお金儲けのためのイベントじゃないでしょう!!?」
男「その思想は、あまり極端に振りすぎないほうがいいがな」
男「実際、COMIKEの開催によって近隣の印刷所やホテルが儲かるのは、正当な権利だし」
少女「……。でも……」
少女「サークルのヒトたちが、魂を込めて作った同人誌を、食い物にするなんて……」
少女「まちがってますよ……」
友人「んんwwwまあwww転売屋の是非は別としてwww」
友人「今日この場に、転売屋が多いかどうかは、我らの仮説に過ぎないwww」
友人「あまり本気にしすぎないほうがいいですなwww」
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:11:23.37 ID:Rg3u98mHo
少女「……。はい……」
男「おどかして悪かったよ。あまり、気を落とすな」
男「ほら、エナジーバーでも食え」ポイッ
少女「……はい」モシャモシャ
男「…………」
男「それで、実際のところ、どうなんだ。友人」
友人「……んんwww」
男「その顔は知っている顔だな。正直になれよ」
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:11:53.68 ID:Rg3u98mHo
友人「……今日のチケット入場者に、転売屋らしき人物が多いのは、まず間違いありませんなwww」
友人「というかソレそのものな、スタッフの発言がチラホラwww」
男「見た目で転売屋かどうかなんて、わかるモノかね」
友人「何年も毎回チケットで入場して、列に二周三周並んでるヤツはまちがいなくクロですなwww」
友人「そしてその領域になると、スタッフも顔を覚えているwww」
友人「また、死神氏も、実は同様の作戦で入場しましたなwww」
男「サクチケを持ってるな、とは思ってたが。ふん、推理そのものが受け売りだったか」
男「相変わらず、限りなくクロに近い部分を踏み込んでいくヤツだ」
友人「そうでもしなければ、と本人は言っていましたがなwww」
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:12:23.92 ID:Rg3u98mHo
スタッフ「それでは列移動開始しまーす。並んでるヒトは前に進んでくださーい」
スタッフ「待機列ダイエットしまーす! 詰めてー!」
スタッフ「オイイイイイ!!! 今から入ろうとした奴はパンケーキだぁぁ!!!」
男「お……。もう8時半か」
友人「ここからは止まりつつ進みつつ、館内のいけるところまでマッシグラですなwww」
少女「…………」
男「……おい、何ぼーっとしてる。行くぞ」
少女「……え? あ、ハイ……」
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:12:51.28 ID:Rg3u98mHo
――ビッグサイト 入口
l ̄ ̄li ,.、 ll ̄ ̄l
_______|__|l____,z_壬个爻_z、____l|__|______
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:、'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::::/
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/人\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/ _,n_00 _n__ _,n_00 _n__
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;//圭\\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/ └l n | └i┌z」 └l n | └i┌z」
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, イ:l:l:E圭\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'/イ三三三三三三ト\;::'::;::'::;::'::;::'::;::/
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::l::レ''´∠二∠二∠, ヘ l三三三liil;;;;l ゝュ'/ _゙ヽ l;;;lil三三三lへヽ'二ヽ'二ヽ'二ヽ'二
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゙'::゙´|`!ヾ辷^-'::(_)fヘ{'゙{::!::.゙´|`!ヾ辷^-'::(_)fヘ{'゙{::!::ー!」ェェ|ト、〉y、):、ィト'tfゝイ ! 「j iY}.| トヽ ::(_)fヘ{'゙{::!
..}{ i}兮.、!} ト'ニ}{ i}兮i´<|‐^‐〈....、!} ト'ニ}{ i}兮i´<|‐^‐〈介〉′「!ト._/j! , i}_/} !r'/ Уノr,'.」..}{ i}兮i´<|
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330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:13:17.87 ID:Rg3u98mHo
男「……さ、さすがに昼前の入場と違って、人も多いな……」
友人「ですがwwwこの、ウォーリアズ・ラダーを昇って逆三角形に向かう人々を見ているとwww」
友人「COMIKEに来ている、というカンジがしますなwwwwww」
男「まあ、たしかにな……。壮観ではある」
少女「…………」
男「おい。大丈夫か?」
少女「えっ? あっ、ハイ!!」
少女「大丈夫です! 私は、大丈夫ですとも!!」
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:13:46.33 ID:Rg3u98mHo
男「…………」
男「顔が青白いぞ。目の焦点も、ところどころ合っていない」
男「あまり大丈夫とは言えんな」
少女「…………」
男「……。ムリはするな。汗をふけ」ポイッ
少女「あ……。ハイ」ゴシゴシ
男「それとスポーツドリンクだ。一気には飲まないほうがいいが、それでも苦しければ言え」ポンッ
少女「…………」ギュッ
少女「……すいません」
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:14:13.45 ID:Rg3u98mHo
男「……なぜお前が謝る」
少女「私が、朝並びたいとか言ったからですよね。こんなコトになってるのは」
男「並びたいと言ったのがお前なら、並んでもいいと言ったのは俺だ」
男「お前だけの責任じゃない。自分を追い詰めすぎるな」
少女「……優しいんですね、男さんは。いつでも」
男「……はんっ。俺に任せやがれ」
友人「男氏、イケメン〜」
男「うるせ。お前がぶっ倒れてたら天日干しにしてやる」
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:14:40.48 ID:Rg3u98mHo
――ビッグサイト 逆三角形下
男「はー……っ。冷房だー……」
男「日陰だし、風は吹いてるし。なんだココはァ!?」
少女「い、生き返る〜〜〜……!!」
友人「まさに天国ですなwww」
友人「ですが、このまま逝ってしまわぬよう注意をwww」
男「この場面で言うと冗談じゃないからな。な?」
友人「おうふwwwwww失礼wwwwww」
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:15:08.12 ID:Rg3u98mHo
少女「……おや。また、列が二つに分かれていますね」
少女「最初の待機列選び以来ですが。今度はどちらに?」
男「今度も左が東ホール、右が西ホールか……」
友人「今回は迷わず東ホール行きですぞwww」
友人「もはや会話の時は終わり、いざ行動の時www」
友人「ヘタな小細工は無用の真剣勝負ですなwww」
少女「なるほど……。あとは押し通るのみ、というコトですか!!」
男「ここからが最終ステージだ。気を抜くなよ……!」
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:15:40.92 ID:Rg3u98mHo
アナウンス『リンゴンリンゴンリンゴン! 一斉点検の時間だよ〜』
アナウンス『晩鐘は汝の荷物を指し示した』
少女「……? なんですか、この放送」
男「ああ。昨日は気付かなかったが、COMIKEでは定刻に不審物の一斉点検を行っている」
男「一日に三回ほどだな。コレがその一回目、開場前のタイミングだ」
スタッフ「あ、このへん点検しますねー。不審物、不審者などいましたら、お声かけくださーい」
友人「了解しましたぞwwwwwwぴゃっwww」
男「お前がイチバンの不審者では……?」
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:16:13.74 ID:Rg3u98mHo
――館内 東西連絡橋
少女「あれ……。ココは、昨日も通った気がする……」
男「ビッグサイトの東館と西館を繋ぐ、東西連絡橋だな」
友人「連絡橋といってもwww入口と出口以外、完全に密閉されている通路www」
友人「その出入口の狭さと、天井の低さから、ゴキブリホイホイなんて言われていますなwww」
少女「ゴキブリホイホイ……。たしかに、ソレそのものですね」
男「ゴキホイとか誰が言い出したんだろうな。ドンピシャすぎる」
友人「言い得て妙な俗称というモノは世代を超えて受け継がれるモノですなwww」
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:16:46.64 ID:Rg3u98mHo
少女「……しっかし、アッッッづゥイ゙ぃぃぃっっ!!!」
少女「む……。蒸し焼きになる……」
男「ぐぅ……。この狭い通路に、バカみたいな量の人が集まって、熱気がスゴい……」
友人「んんwwwココは、早朝からCOMIKEに並ぶ者にとって、最大の難所www」
友人「実際にゴキホイに並ぶのは、わずか十数分www」
友人「しかして、この地獄は、今までのすべての待機時間の苦しみに匹敵するwww」
少女「ふやけちゃいます。ふやけちゃいますよぅ」
友人「ゴールまで、あとほんの少しwww頑張りますぞwww」
ゴゴゴゴゴゴ…
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:17:20.76 ID:Rg3u98mHo
男「なっ? なんだぁッ!?」
ゴゴゴゴゴゴ…!!
少女「きゅ、急に地鳴りが……! これはいったい!?」
ゴゴゴゴゴゴ…!!!!!!
友人「んんwwwwww我にもわかりませぬwww」
待機列「お……、おい! アレを見ろ!!」
待機列「窓が! ―――ああ、窓が!!!」
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:17:52.26 ID:Rg3u98mHo
ゴゥン… ゴゥン…!!
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男「ご、ゴキホイの……」
少女「窓が、開いた……っ!?」
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:18:20.52 ID:Rg3u98mHo
友人「んんwwwまさか、ゴキホイが変形するとはwwwwww」
友人「不覚にも男のロマンをくすぐられてしまいましたぞwww」
友人「それもゴキホイにwwwwww」
待機列「うおお、涼しいー……!!」
待機列「ゴキホイ最高ォォォーーー」
少女「皆さん、換気の雄叫びを上げています!」
男「その漢字で間違いないんだな? ……と。来るぞ!」
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:18:49.06 ID:Rg3u98mHo
アナウンス『お待たせしました。ただいまより、COMIKE 92――――』
アナウンス『二日目を、開催します!!』
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
待機列「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
少女「おおっ、これは! 昨日は、外で聞いていた……!」パチパチパチ
男「ああ。スゴいだろう、間近で見る拍手は」パチパチパチ
友人「奇跡のカーニバル 開 幕 だ 」
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:19:19.50 ID:Rg3u98mHo
待機列「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ドドドドドド
待機列「突撃だああああああああああああ」ドドドドドド
少女「あっ、皆さん一斉に走り出しました! 私も……」
男「待て! 動くな!!」
少女「え……!?」
友人「んんwwwこんな光景を、つい最近、どこかで見かけませんでしたかなwww」
スタッフ長「―――走らないでください」ザッ
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:19:47.52 ID:Rg3u98mHo
スタッフ長「―――ゆっくり。ゆっくり、ご移動お願いします」
| |
| | _、rセ州州h、
| | Z州州州沁
| | Z州州州;沁
| | Z州州;州;沁
| | Z州;州;州;沁 Λ
| | Λ Z;州;州;州;沁 | |
| | | | { ̄{  ̄ 寸jijハ | | /|
| | ∨ ∨ ^'く 寸ij:i, | / | |
| | Λ |::| ./ \ 寸} | | |/
| | | / |::| / | \. 寸. | | ||
 ̄^\ | | | | j{ |::|. | | \ | Λ | | ||
:.∨ | | | | j{ |::|. | | __ ∨{ |/ | | | ||
_ V| | | | j{ |::|. | i'丐| |丐,ノ |Λ || i | | │ | ||
云] }| | | | j{ |::| ∨___|_〉 | 「/Λ .|| |) | | ┼ | | ||
厂 ノj| | | | || |::| ∨ |双双| //从乂 || | | | | | ,.|.___ ||
/ |(\ | | || j{ .|::| .」 |Τ⌒| /ノヘ/⌒ || | | | | | / | \ .||
/ノ\ノ⌒Y \ | | || j{ /Λ |::| _/ 人|爻爻L//´ ̄ ̄二=- _ | | | | || | l ||
イ// { 二 } } | | || j{/ { ∨:|. < /⌒\ ニ=- _ | | | || 云 云 l ||
/´ ̄ { 二入,.ノΛ | || |||〒〒 L|/ \{ ┘| |______ \.| |_|| |Ln「 | || /
\| | / / / \ .|| ||「.云/´⌒ / /^ー―┘―<__ _ \ /´ `\,.|示| /⌒∨ /
<´ ̄~~~~| i\ \_| _/ { / ⌒^''< _ `ヽ / >―く ', / / /
_| |_\ / / Y^{ ノ }/ | | {::::{>x Λ / / 'こ)二二/ /
. / .| |.  ̄∨ __彡 八 | | }::::{ \ Λ/ / ', ∨/ /
/ | | ∨ } >'' ∨ッ ノ八 r ......::::::::::VΛ / / ', / /
| | \ \/ >''´ 二Γ¨´ `:::::::....^::::::::::::::::::::{ ∨ / / ', { {
| | ⌒''冖''"´ \二二二乂 ノ八 _ ノ:::::::::::::::::::::{ ∨ / / } { / ̄
| | ∨二二√ ⌒:::::::::::::::::::::::: { ∨./ / } ∨
| | |二二乂 八_ }:::::::::::::::::::{ ∨ / } {
| | |二二√ ⌒ }:::::::::::::::::::{ { { } \
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:20:16.24 ID:Rg3u98mHo
少女「あ、あれは。……こ、国際展覧場駅の……!」
男「300人の、スタッフ兵……!!」
待機列「うおおおおおお俺が一番乗りだああああああ」ドドドドドド
待機列「どけどけどけェェェェェェェェェェェェ」ドドドドドド
スタッフ長「我らは参加者を守るために存在する」
スタッフ長「そのためならば、参加者を害するという、ムジュンさえ呑み下そう」ジャキン
スタッフ長「選ばれし300人の精鋭よ!! 武器を取れ!!」
スタッフ「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:20:42.58 ID:Rg3u98mHo
コ ミ ケ ッ ト
スタッフ長「 C o m e G e t (来たりて取れ) !!!!!!」
スタッフ「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」ドドドドドド
待機列「「「「「「うああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」」
待機列「徹夜で並んだのに、こんなところでぇぇぇぇぇぇ」グサグサグサ
スタッフ「ルールを守らぬからだ……」ビチャァ!!
待機列「なのはは!!! 永遠です!!!!!!」バタッ
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:21:11.85 ID:Rg3u98mHo
少女「血祭り!! アレは完全に血祭りですよ!!」
男「いや……。あの最前列に並んでいるならば、おそらく歴戦の徹夜組だろう」
男「徹夜組は、ああ見えて精強だ。槍の十突きや二十突きでくたばりはしまい」
友人「しかし傍目には、コレで徹夜組が制裁を受けているように見えるwww」
友人「一種のプロレスですなwwwwww」
少女「そ。そーなんですか……」
スタッフ長「仕留めた徹夜組の首は、逆三角形の前に晒せぇぇぇぇぇぇ」
スタッフ「「「「「「うおおおおおおおおおおおお」」」」」」
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:21:38.55 ID:Rg3u98mHo
男「そんなコトより、早く黒ずくめさんのサークルに向かうぞ」
少女「は、ハイ! ええと、どっちに……」
友人「コチラですなwwwゴキホイを通りぬけて、通路に出ますぞwww」
――東館 館内 2階
友人「東ホールへの入口は、ココの1階ですなwww」
少女「わあ、もうスゴい人の数……!!」
男「降りるぞ! 乗り遅れるな!」
友人「エスカレーターへフリーフォールですぞwwwwww」
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:22:12.53 ID:Rg3u98mHo
――東館 ホール内
黒ずくめ「新刊2部ですね。ありがとうございます」
売り子「コチラ黒ずくめ、限2となっておりまーす」
少女「ありました! あのサークルですよね!?」
男「ああ、そうだな。……だが」
/:::::::::::::::::\
i|::::::::::::::::::::::::::}
八从人从八__}
| } )
r-‐‐- 、 ヽ /.|/
-‐‐┐ {:::::::::::::::::} __ \_/ | r―‐- 、
::: : {¨', ({.:::::::::::::::::} /::::::::::|/ ̄`‐---‐´ ̄\:::::::::}
::: : }_'ノ ヽ:::::::::::/ |:::::::::::::: |. /ヽ:::::|
. =r'〉 \⌒ ___r==┐ ,-‐‐、 ゝ::::::::/ヽ| / ∨
|¨ ̄\ v  ̄  ̄ ̄\/⌒ヽ/⌒ヽ/⌒ヽ . {:: : / }⌒'.__r=={ | | |ニ、
| /. } |/. |/⌒ヽ:::::::::::: . /⌒ヽ}-┘ノ {|. | | | |
. ノ . \/ | | |.::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ̄ ̄\/⌒ヽ. !____| |__|ニニ
7 ̄| |____}::::::::::::::::::::::::: : ∧ | ̄ | }. | | | |
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. | | | |:::::::::::::::::::::::::: : ヽ| r===ih |. | | | |
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349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:22:40.13 ID:Rg3u98mHo
少女「ものすごく、並んでいます……!!」
男「くっ……。壁というからには、人気なのはわかっていたが……」
男「これほどか!? さすがに異常だ……!!」
友人「…………」
男「おい、友人!!」
友人「……んん、なんですかなwww」
男「この行列の最後尾はどこだ? まったく見えんぞ……!」
少女「最後尾には何か目印とかないんですか!?」
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:23:07.33 ID:Rg3u98mHo
友人「最後尾なら、サークル名が書かれたカンバンを持っている者がいるハズですがwww」
少女「わかりました! カンバンですね、探してきます!」タタッ
友人「…………」
男「……おい。さっきからどうした」
男「ホールに入ったとたん、黙りこくって」
友人「……男氏、悲報ですぞ」
男「は?」
友人「“悪いニュース”と、“もっと悪いニュース”。どっちから聞きたいですかなwww」
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:23:36.08 ID:Rg3u98mHo
男「……ふん。ヤケに洋画みたいな訊き方だな」
男「じゃあ、あえて“もっと悪いニュース”から聞かせてもらおうか」
友人「……待機列の途中で、我らが立てていた仮設がありましたなwww」
男「ああ。今日はチケット入場者が多いとかいう……」
男「……まさか」
友人「結論から言って大アタリですなwww」
友人「ホールに入ってから、注意深く観察しておりましたがwww」
友人「明らかに列の長さがおかしい」
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:24:06.03 ID:Rg3u98mHo
男「……!」
友人「いくら大手といっても、最初に並ぶチケット組は100人もいませんな」
友人「だが見る限り、一列あたり、そのおよそ倍の人数……」
友人「それが、何ヶ所も」
男「……さすがに、偶然じゃ済ませなくなってきたな」
男「ハナシが本当なら、チケット組の動員数は、1000人近いというコトになる」
男「それらが、カモフラージュが目的でも、あるいはそれ以外の目的でも」
男「示し合わせもしないのに集まれるハズが無い」
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:24:33.28 ID:Rg3u98mHo
男「つまり、コレは……」
友人「ああ。マチガイありませんな」
友人「組織的な犯行。彼らは打ち合わせた上で、今日、この場に集まっている」
友人「何者かが背後にいる、と考えるべきですな」
男「……スケールが大きくなってきたな」
友人「悔しいですが、我らにどうこう出来るハナシではありませんな」
友人「死神氏ほどの、実力者なら、また別かもしれませんが……」
男「…………」
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:25:00.70 ID:Rg3u98mHo
男「……これだけ大規模に人間を動かしての、目的はなんだ?」
友人「パっと思いつくのは、転売価格のつり上げですな」
友人「同じグループで頒布物を独占し、一定の金額で出品するコトで、相場のインフレを図る」
友人「転売の一回あたりの利益を増やそうとしているワケですな」
男「……コメの買い占めや、出し渋りみたいなモンか」
友人「原理的には。一種の寡占ですからな。ギルド制にも近いモノを感じますな」
友人「……ですが、コレは、黒幕が目先の利益に囚われている場合のハナシ」
友人「もっとタチが悪ければ。あるいは……、…………」
男「…………」
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:25:27.11 ID:Rg3u98mHo
友人「……いや、考えても仕方ありませんな」
友人「今は目先の問題に取り組むべきですぞ」
男「……! そうだ、少女……!」
少女「男さーん! 友人さーん! 最後尾、コッチみたいですよー!!」
男「いたか……! わかった、今行く!!」
友人「…………」
男「……それで、友人。もう一つだけ質問だ」
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:25:54.00 ID:Rg3u98mHo
男「“悪いニュース”、というのはなんだ?」
友人「…………」
男「……当ててやろうか」
友人「……構いませんぞ」
男「…………」
男「今から黒ずくめさんの列に並んだところで、新刊は買えない」
友人「…………」
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:26:23.31 ID:Rg3u98mHo
――行列 先頭部分
係員「黒ずくめ完売! 黒ずくめ、完売しましたー!!」
少女「え……っ。ちょ、ちょっ。黒ずくめさんとこの係員さん!!」
少女「完売したってどういうコトですか!?」
係員「す、すいません。予想外に、並んでいる方が多く……」
係員「新刊は、すべて売れてしまったのです」
少女「……!!」
男「…………」
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:26:49.85 ID:Rg3u98mHo
係員「だ、だが、既刊ならまだあるので!」
係員「良ければ、お買い求めいただければ、と……!」
少女「……ハイ。わかりました……」
友人「…………」
男「……予想通りか」
友人「そのようですな」
男「これが、組織的なファンネルのチカラか」
友人「死神氏もファンネルのチームを組んでいますが……」
友人「さすがに一つの大手を全滅させるほどではありませんな」
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:27:25.89 ID:Rg3u98mHo
男「……さすがに完売したと聞いて、列を抜けるヒトも多いな」
友人「…………」
男「お前はどうする?」
友人「……正直言って、他にも狙っているサークルはありましたが……」
友人「このまま男氏と少女氏を置いていくのも夢見が悪いし、ココに残りますなwww」
男「…………」
男「……いや、なら行ってこい」
友人「…………」
友人「男氏……」
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:27:53.28 ID:Rg3u98mHo
男「ほら、こう話している間にも、他の列には人が並んでる」
男「加えて組織的なファンネルの攻撃があったなら」
男「ウカウカしてるヒマは無いんじゃないか?」
友人「…………」
友人「……そうですな。ありがとう」
友人「……少女氏、少女氏」
少女「…………なんですか?」
友人「申し訳ないが、我、他のサークルも回らざるを得ない」
友人「ついては、ひとまずココでお別れ、というコトに……」
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:28:20.63 ID:Rg3u98mHo
少女「…………」
少女「……そうですよね。友人さんには、友人さんのCOMIKEがありますもんね」
友人「本当に、申し訳ない」
少女「いいんですよ。友人さんが謝るコトじゃありませんって」
男「…………」
男「……それじゃあ、俺たちはとりあえず、黒ずくめさんのところまで並んでみる」
男「そのあとの予定は特に決めていない。また、縁があれば会うとしよう」
友人「……どうか、黒ずくめ氏によろしく、と」
友人「それでは……、また会いましょうぞwwwwww」タタタッ
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:28:48.09 ID:Rg3u98mHo
少女「…………」
男「…………」
少女「……行っちゃいましたね」
男「ああ。第一の目的がダメになっても、すぐに第二、第三に頭を切り替えなきゃいけない……」
男「それが、COMIKEという戦場でもある」
少女「…………」
少女「……本当に、戦場なんですね」
男「…………」
363 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:29:15.89 ID:Rg3u98mHo
ザワザワ ガヤガヤ
少女「……なんか、列、ガランとしちゃいましたね」
男「ほとんどが新刊目当てのヒトだろうからな」
男「それに、友人のように、複数の目的を持っているほうが普通だ」
少女「…………」
男「…………」
男「……薄情だなんて、思わないでやってくれ」
少女「わかってますよ」
364 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:29:42.47 ID:Rg3u98mHo
少女「……スイスイ、進めちゃいましたね」
男「そうだな。……おっ、どうやら先頭みたいだぞ」
黒ずくめ「あっ……。少女ちゃん、男さん。来てくれたのですか」
男「ああ。いちおう、約束だったからな」
少女「…………」
黒ずくめ「……あの。少女ちゃん……」
男「ああ、すまん。コイツやっぱ、熱さにやられて疲れちまったみたいでな」
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:30:09.59 ID:Rg3u98mHo
男「ああいや、黒ずくめさんのせいじゃないよ。俺たちが勝手に疲れただけだ」
黒ずくめ「…………」
少女「…………」
男「……すまん。既刊はまだあるか?」
黒ずくめ「あ……。はい、3種類ほどありますよ」
男「では、一冊ずつ、お願いする」
黒ずくめ「ありがとうございます。1500円です」
男「はい、コレで」チャリン
黒ずくめ「……たしかにいただきました。良かったら、楽しんでくださいね」ニコ
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:30:40.15 ID:Rg3u98mHo
少女「…………はい」
男「…………」
黒ずくめ「…………」
男「……友人のヤツも、並んでたんだがな」
黒ずくめ「すいません。新刊無いなら、並ぶ意味無いですよね」
黒ずくめ「僕が、もっと正確に、需要を読めていれば……」
男「……いや。少なくとも今回は、黒ずくめさんの責任じゃないかもしれん」
黒ずくめ「……?」
男「まあ友人のヤツにでも、会ったら尋ねてみてくれ」
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:31:06.79 ID:Rg3u98mHo
男「それとアイツ本人も、黒ずくめさんによろしく、と言っていた」
黒ずくめ「……そうですか」
男「まだ二日目は始まったばかりだ」
男「俺なんかが、エラそうに言うのも、ナンだが……」
男「頑張ってください」
黒ずくめ「あ……。……ありがとう」
少女「…………」
黒ずくめ「…………」
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:31:38.39 ID:Rg3u98mHo
黒ずくめ「…………そうだ、少女ちゃん!」
少女「は!? え、えっと、ハイ!?」
黒ずくめ「コレ、僕の連絡先です」
黒ずくめ「その、厚かましいかもしれないけど……」
黒ずくめ「今日並ばせちゃったコト。お詫びがしたいので」
黒ずくめ「また夕方にでも。かけてくれると、嬉しいな」
少女「……わ。わかり、ました……」
黒ずくめ「…………」
男「…………」
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:32:28.90 ID:Rg3u98mHo
男「……それじゃあ、これで」
黒ずくめ「ありがとうございましたー。次の方ー……」
少女「…………」
男「…………」
少女「…………」
男「……アソコの日陰で休むか」
少女「……ハイ」
ドサ
370 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:32:57.36 ID:Rg3u98mHo
男「ふーっ、やっぱ荷物重いな……」
少女「…………」
男「なんだかんだで、二日目、始まってまだ30分か」
男「みんな忙しそうだなー」
少女「…………」
男「……そんなに、気、落とすなよ」
男「既刊は買えたんだしさ」
少女「…………」
371 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:33:24.94 ID:Rg3u98mHo
男「別に、黒ずくめさんのサークルのコト、前から知ってたワケじゃないし」
男「新刊も既刊も似たようなモンだろ?」
少女「…………」
少女「……そうじゃ、ないんです」
男「…………」
少女「……なんて、いうか。なんて言ったら、いいんだろう。この気持ち」
少女「ゴチャゴチャしてて、うまくコトバに言い表せません」
男「…………」
男「ムリに、口に出す必要は、無いんだぞ」
372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:33:52.03 ID:Rg3u98mHo
少女「…………」
少女「……そうですね」
男「…………」
少女「…………」
男「スポーツドリンク……、飲むか?」
少女「……ありがとうございます」
ゴクゴク
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:34:19.38 ID:Rg3u98mHo
少女「…………」
男「…………」
チャポン
少女「……ああ、そうだ」
少女「ちょうど、このスポーツドリンクみたいなモノなのかもしれませんね」
男「……? 何がだ」
少女「今の私です」
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:34:48.44 ID:Rg3u98mHo
少女「スポーツドリンクって、冷たいほうがオイシイじゃないですか」
少女「ぬるくても、飲めるけど、オイシくなくなる」
男「…………」
少女「それと一緒ですよ」
少女「たしかに私は、既刊を買えました」
少女「あの黒ずくめさんが作った本なんだから、きっと面白いモノだと思います」
少女「……だけど、新刊は買えなかった」
少女「私は、黒ずくめさんの新刊を買うために、朝起きて、ココまで来たのに」
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:35:17.65 ID:Rg3u98mHo
少女「……たしかに、目的のモノは、そこにあるけれど」
少女「正直、満足なんて出来ないです」
男「…………」
少女「…………」
少女「あー、私、なんでこんな苦労してるんだろう……」
少女「なんで私が、こんなしんどい思いしなきゃならないんだろう……」
少女「なんて、思いますね。正直言って」
男「…………」
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:35:45.44 ID:Rg3u98mHo
男「……腹立つか?」
男「俺たちの前に買っていったヤツらが」
少女「いいえ。そんなコトはありません」
少女「これは、競争ですから」
少女「勝つ者がいれば、負ける者がいる」
少女「生きる者がいれば、死ぬ者がいる」
少女「そこに善も悪も関係ありません」
少女「ただ、私が劣っていた、ってだけですから」
男「…………」
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:36:13.81 ID:Rg3u98mHo
少女「…………でも」
少女「常識とか、摂理とか、理屈とか」
少女「そんなの全部抜きにして言うと」
少女「悔しいなぁ…………」
男「…………」
バタン
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:37:00.19 ID:Rg3u98mHo
少女「!?」
男「……? なんだ、今の音……」
参加者「おい、ヒトが倒れたぞ!!」
参加者「ど、どうしよう。まずは119番か……?」
男「お、オイ!! COMIKEで救急車なんて呼ぶ奴があるか!!」
参加者「なっ?」
男「ここで呼んだところで広いビッグサイトのどこに探しに来てくれるんだ!」
男「まずは救護室だ!! どこにある!?」
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:37:27.58 ID:Rg3u98mHo
参加者「きゅ、救護室なら、逆三角形のところに……」
男「なら救護室行って、車イスかタンカ持ってこい! コイツは俺が何とかする!!」
参加者「わ、わかった……!」ダダッ
徹夜組「う、うーん……」ビクッ
男「おい、大丈夫か……。ちっ、アワ吹いていやがるな」
男「しかも大量の汗……」
男「どう考えても熱中症だな。急に晴れてきたからか」
男「少女! 俺はコイツを運ぶ。お前はコイツの荷物を……」
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:37:57.43 ID:Rg3u98mHo
少女「…………」
男「……? おい、少女!!」
少女「えっ? あっ、ハイ……!」
男「俺はコイツを日陰まで運ぶから、お前はコイツの荷物を持ってきてくれ!!」
少女「は、ハイ……。わかりました!」
男「ぐっ……。しかし、体臭がスゴいな。昨日風呂入ってないな、コイツ」
男「しかも、目の下のクマ。さては徹夜組か……」
徹夜組「…………」ズリズリ
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:38:23.37 ID:Rg3u98mHo
少女(病人か。私も、ちょっと、チョーシ悪かったしな……)
少女「はっ。それよりも、荷物、荷物……」
少女「あった! この紙袋かな……」
少女「…………」
少女(……中身、何が入ってるんだろう)チラッ
少女「…………、……!!」
少女(……これ、黒ずくめさんの、新刊……!?)
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:38:56.05 ID:Rg3u98mHo
少女「…………」ゴク
少女「……」キョロ
少女「……」キョロッ
少女「……」キョロ
少女「……、……」ドクッ
少女「…………」ドクッドクッ
少女(……今なら、誰も見てない)ゴクッ
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:39:23.84 ID:Rg3u98mHo
少女(……今なら、バレない)
少女(今なら、この本を取っても、誰も気づかない)
少女(…………)
少女(……な、何を考えてるんだ、私は……)
少女(……でも、一冊くらい)
少女(私だって、並んだんだし、買えてもオカシくなかった……)
少女(そうだ。今なら誰も見てない。誰も、誰も……!)
男「―――おい」
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:39:51.62 ID:Rg3u98mHo
少女「あっ……」
男「…………」
少女「…………」
男「……お前、いま何をしようとしていた」
少女「…………」ガチガチ
少女「ち、違う。これは、これ、は……」
男「…………」
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:40:18.93 ID:Rg3u98mHo
男「その袋を貸せ」
少女「……!」
男「いいから、早く」
少女「……うん」ガサ
男「…………」
男(黒づくめさんの本……)
男(そういうコトか)
スタッフ「すいませーん! このあたりで倒れたヒトはどちらですか!?」
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:40:45.73 ID:Rg3u98mHo
男「あ、コッチです!!」
スタッフ「うわ、これはヒドい……。とにかく、アワを拭いて……」
スタッフ「ひとまずタンカに乗せます。手伝ってくれますか?」
男「ええ。わかりました」
少女「…………」
男「……少女。ついてこい」
少女「え……っ。あっ、ハイ……」
男「…………」
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:41:13.41 ID:Rg3u98mHo
――救護室
スタッフ「天使さん! 急病患者です!!」
天使「またですか。どうせ熱中症でしょう」
スタッフ「え、ええ……。おそらく」
天使「そこのベッドに転がしておいてください。え、ベッドが足りない……?」
天使「ならばマットで構いません。とにかく汗をふき、氷で体温を下げるように」
スタッフ「は、ハイ……!」
男「す、スゴいテキパキしてる……」
388 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:41:49.18 ID:Rg3u98mHo
白い死神「スゲーだろ? アレであのヒト、“ビッグサイトの天使”って呼ばれてるんだぜ」
少女「し、死神さん!! いつの間に……」
白い死神「よう。なんかタイヘンだったみてーだな」ビッ
男「死神か。どうした、もう引き揚げか?」
白い死神「半分そうだな。なんと、この時間でもう、めぼしい大手が全滅しちまってな」
白い死神「これから数時間、並び続けるつもりだったんだが、やるコトも無し」
白い死神「仕方ないから、島中を回る前に、逆三角形に涼みに来たってワケだ」
男「なるほど……。今日は大荒れのようだな」
白い死神「おっ、わかるかい? まあ、さすがにここまでロコツじゃあねぇ」
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:42:20.46 ID:Rg3u98mHo
白い死神「それはそうと、あんたら、黒ずくめさんトコのは買えたかい?」
男「…………」
少女「……、……」
男「…………」フルフル
白い死神「おっと。アソコも、先発で行ったのに、ヤラレちまったか……」
白い死神「まあ、COMIKEに来たらそういうコトもあるって。落ち込むな」
男「そういう死神。お前の首尾はどうだった?」
白い死神「俺か? 俺はまあ、予定通りさ」
390 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/26(土) 19:42:50.18 ID:Rg3u98mHo
白い死神「各自ファンネル、分担して、一つ目の狙いの獲物は仕留めた」
白い死神「だが、まあソコまでだな。二つ目を並ぶ余裕は無かった」
白い死神「なんでも大手や準大手が一瞬で根こそぎヤラレたってハナシだ」
白い死神「こりゃ、今日のオークション……。荒れるぜ?」
男「やはり転売目的だと思うか」
白い死神「そりゃそうだろ。俺たちみたいに、身内でシュミを分担してるだけならまだしも」
白い死神「ここまで大規模で組織的なのは、そうとしか思えねえ」
白い死神「しかしヤッコさん。ここまでハデにやれば明日警戒されると、わからんのかね」
白い死神「いや。今日、目立つコト、それ自体が目的というセンもあるか……」
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