モノクマ「オマエラにはノナリーゲームをしてもらいます!」

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52 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 22:52:12.38 ID:9e6j4OsE0
モノクマ「おぉーい! 日向クーン! 狛枝クーン! なにしてるんだよぉー!」

モノクマ「結果発表始めちゃうよぉー!」

狛枝「行こうよ、日向クン。とにかく結果とやらを聞こうじゃないか」

狛枝「……もしかしたら――が……変わってるかもしれないし……」

日向「え? 何が変わってるって……」

日向(狛枝は俺の言葉なんか耳に入っていないとでも言う感じですたすたと先へ行ってしまった)

日向(俺は……狛枝の事がわからなくなっていた)

日向(いいや、初めからアイツの事なんて、何ひとつわかっていなかったのかもしれない)

日向(同じペアバンで、一心同体の運命共同体という言葉に惑わされていたのだろうか)

日向(狛枝の言う『出会ったばかりの人間の何がわかるのか』……というのは、狛枝にも当てはまっているという事を俺はこの時まで失念していたのだ)
53 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 22:53:27.38 ID:9e6j4OsE0
モノクマ「うん。そろったみたいだね」

モノクマ「ほいじゃあさっそくだけど始めることにしよっか!」

モノクマ「第1らうんど結果発表ぉぉぉ!」

モノクマ「オマエラ、画面にご注目ください!」
54 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 22:54:53.22 ID:9e6j4OsE0

     PAIR       SOLO
   【K 霧切】   【五月雨】
現BP: 3 / 3      3
選択: 絶望       希望
増減: +3       −2
結果: 6 / 6     1


     PAIR        SOLO
   【モナカ こまる】【苗木】
現BP: 3 / 3      3
選択: 絶望       希望
増減: +3       −2
結果: 6 / 6     1


    
     PAIR        SOLO
   【日向  狛枝】  【七海】
現BP: 3 / 3      3
選択: 希望       希望
増減: +2        +2
結果: 5 / 5      5
55 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 22:56:19.25 ID:9e6j4OsE0
日向(+2点……!)

日向「ありがとう! 七海」

七海「ううん、お礼なんて言わないで。当然の事だから」

七海「だって私、日向くんの事も狛枝くんの事も、信じてたもん」

狛枝「信じあう心が希望を生んだようだね……素晴らしいよ!」

日向「……」

七海「?」

狛枝「けど、他のチームはそうでもないみたいだね」
56 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 22:57:50.02 ID:9e6j4OsE0
苗木「こまる、これは一体……」

こまる「ち、違うんだよ! だってモナカちゃんは協力を選ぶっていうから! だから、私はモナカちゃんに投票を任せて……」

モナカ「ちーがーうーのー! データーラーメーなーのー!」

モナカ「こまるさんのうそつき!」

こまる「なっ、なにが嘘つきなの!? 嘘つきはそっちでしょ!?」

モナカ「モナカはあの装置には触ってないもん。選択したのはこまるさんでしょ?」

こまる「違うよ! 違うんだってば! 信じてよお兄ちゃん!」

苗木「……」



日向(お兄ちゃん……?)
57 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 22:59:36.15 ID:9e6j4OsE0
五月雨「……とりあえず、話はわかったよ」

霧切「……ごめんなさい、お姉様」

K「僕からも謝ります。本当に申し訳ありませんでした」

五月雨「とにかく過ぎたことを言ってもしょうがないもんね」

五月雨「次の投票で挽回すればいいだけだからさ」



五月雨「ねえ、モノクマ。次のラウンドはいつ行われるの?」

モノクマ「よくわかったね。次のラウンドがあるって」

五月雨「だってさっき第1ラウンドって言ったじゃない? 第1があるなら第2だってある筈でしょ?」

K「それに、そもそもこの投票はBPを【9以上】にする事が目的だったはずです」

K「二回目がなければ、誰もその数値に達する事が出来ません」

モノクマ「うん、まあそうだね」

モノクマ「確かに、オマエラが言った通り、第2ラウンドは開催されるよ」

霧切「いつ?」

モノクマ「いつかはわからない。投票の受付は【FDルームの扉=FDゲート】が開いた時からは始まるからね」

七海「既に開いてるけど……?」

モノクマ「そうだね。じゃあ、閉めちゃおうっと」
58 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:02:05.80 ID:9e6j4OsE0
ガチャン ガチャン ガチャン……


モノクマ「FDゲートが閉鎖されました! 第2ラウンドは【月ノ回】です!」

モノクマ「ゲートは【月のマーク】が記されたカードキーにより開錠されます!」

日向「月のマーク……?」

日向「そういえば、今手にしているカードキーは太陽のマークが記されているが、これはもう使えないって事か?」

モノクマ「そうなるね。次は月のマークがついたやつを探さないと」

モナカ「で、結局トータルで何回投票は行われるの?」

モノクマ「さあ? 何回になるんだろうね?」

モノクマ「回数はわからないけど、とにかく誰かが【9】の扉を開くまでは続けるつもり」

苗木「逆に言うと、誰かのBPが【9以上】になった時点でゲームは終了って事か」

モノクマ「ううん。その人が【9】の扉を開きさえしなければ、ゲームは継続されるよ」

日向「ひとつ聞いてもいいか?」

モノクマ「なーに?」

日向「確か、CDの第二扉には人数制限があったよな? 3人でチームを組まないと入れないはず」

日向「じゃあ、【9】の扉のほうはどうなんだ? やっぱり3人じゃないと……」

モノクマ「ううん。【9】の扉については人数制限はないよ。ルール上は9人全員で脱出することだってできちゃうんだ」

モノクマ「それから、少し訂正させて欲しいんだけど……CDの第二扉を通るには必ず3人でチームを組まなければならないっていうの。それ、間違ってるから」

日向「え? けど……」
59 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:04:07.29 ID:9e6j4OsE0
モノクマ「正確には【バングルが3つあればいい】んだよ。あの扉は何も生体認証を行っている訳じゃないからね」

霧切「正しい組み合わせのバングルさえ揃っていれば2人だろうと1人だろうと扉に入れる……そういう事ね」

モノクマ「ご名答!」

こまる「けど、このバングル外れないんだよ? だったらやっぱり3人で行くしか……」

モノクマ「え? 外れるよ?」

こまる「えぇ!? ど、ど、ど、どうすれば外せるの!?」

モノクマ「方法は2つある」

モノクマ「ひとつめは――【9】の扉を開いて脱出する事」

モノクマ「この建物を出れば、バングルのロックは自動的に解除される」

モナカ「ふたつめはー?」

モノクマ「モナカさん。キミはすでにその方法を知ってるんじゃないの?」

モナカ「え?」

モノクマ「そのバングル、本当に取りたいって思ってる?」

モナカ「あたりまえなのー! だってかわいくないもん!」

モノクマ「あっそ。だったら簡単だよ。教えてあげる」



モノクマ「死ねばいいんだ」
60 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:07:36.63 ID:9e6j4OsE0
日向「……!?」


モノクマ「心臓には――っていうか、他の筋組織についても言える事なんだけど、わずかな電気が流れているのを知ってるかな?」

モノクマ「で、電気が流れているって事は、当然そこから微弱な電波も放たれているってことになるわけで……」

モノクマ「オマエラのバングルはその電波を常に拾ってるんだよ」

モノクマ「んで、その電波が途絶えると……」

狛枝「バングルのロックが解除されるんだね」

モノクマ「そういうこと。これがふたつめの方法。心臓が止まればその人のバングルは外れるようになってるんだよね」

モノクマ「これらふたつの方法以外では決してバングルを取ることはできない」

モノクマ「もしも無理にはずそうとしたり、破壊を試みようとした場合、即座にルール違反とみなされて【オシオキ】がまっているので気を付けてね! うぷぷぷ……」

モノクマ「あ、そうそう! 運が良ければ次のラウンドで、実際にバングルが外れるところを見られるかもしれないよ」

モノクマ「当事者にとっては運が悪ければ、だろうけどね。うぷ、うぷぷぷぷ……!」

苗木「次のラウンド……?」

モノクマ「うん」

五月雨「どういう意味?」

モノクマ「わからないかなぁ。次の投票で誰かが死ぬ事になるかもしれない。そう言ってるんだよ」

モノクマ「まあ、死ぬとしたら、苗木クンか五月雨さんのどっちかなんだけどね。あ、両方って可能性もあるか!」

苗木「な、なんでだよ!」

五月雨「どうして私が死ななきゃいけないの!?」

モノクマ「BPが【0以下】になった人にはルール違反を犯した時と同じように【オシオキ】が待ってるからだよ」

苗木・五月雨「……!?」

日向「……」

日向(狛枝の言っていた通りだ……)

日向(なんでアイツはモノクマから聞く前にこの事を知っていたんだ)

苗木「そうか……ボクと五月雨さんのBPは【1】……次のラウンドで2点引かれて【0以下】になるのはボクたちしかいないんだ」

五月雨「ふざけないでよ! どうしてそんな大事な事を最初に言わないの!?」

五月雨「これはゲームなんでしょ!? 正確なルールも知らされずゲームをするなんてフェアじゃないよ!」

モノクマ「フェアだと思うけど? だって他のみんなだって知らなかったわけだし」

モノクマ「ね? 狛枝くん」

狛枝「……。そうだね」

日向「……」
61 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:09:06.37 ID:9e6j4OsE0
日向(俺は今の話を頭でまとめた)


・投票は誰かが【9】の扉を開くまで続けられる

・【9】の扉に人数制限はない
9人全員で脱出する事も可能

・CDの第二扉は、正しい組み合わせのバングルさえあれば開く

・バングルのロックは、建物を出るか、または心臓が停止することによって解除される

・BPが【0以下】になると、【オシオキ】によって死ぬ
62 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:12:25.11 ID:9e6j4OsE0
モノクマ「最後にひとつだけ言っておこう」

モノクマ「オマエラが次に開くべきCDは下のフロアにある。もう見たよね?」

モノクマ「例の【赤・青・緑】の3枚の扉がそれだ」

モノクマ「これらの先に進むには、表示色が【水色・紫色・黄色】になったバングルが必要なわけなんだけど……」

モノクマ「実はこれ、オマエラはもう持っていたりするんだよね。バングルを見てごらん」


日向「文字の色が……変わってるな。俺のは【赤】から【水色】になっている」

五月雨「あ、私も同じ。水色になってる」

霧切「私もよ。けど変わっているのは色だけじゃないわ。【ペア】と【ソロ】の区別もさっきと違っている」

五月雨「私は【ソロ】から【ペア】に、霧切ちゃんは【ペア】から【ソロ】になってるね」

K「僕のバングルも【ペア】から【ソロ】に変化しています。【紫色】の」

苗木「ボクはその逆だね。【ソロ】から【ペア】になってる。【紫色】のね」

こまる「私は【ペア】のままみたい。色は【紫色】」

七海「私は【黄色】……【ソロ】のまま変化なしだよ」

七海「という事は、狛枝くんと、モナカさんも【黄色】だね?」

モナカ「そうなのじゃー!」

狛枝「二人とも【ペア】のね」

こまる「いつの間に変わったの……?」

モノクマ「FDゲートを閉鎖した時だよ」

モノクマ「FDゲートが閉じると、バングルの表示色とソロとペアの区別が自動的にランダムにシャッフルされるようになっているんだ」


モノクマ「さて……大体の説明は終わったかな。次に会うのはおそらく再び投票タイムが訪れた時になるだろうね」

モノクマ「ま、投票タイムまでたどり着けるのかどうかまではわかんないけど」

モノクマ「ほいじゃまた、どこかで! Have a nice tragedy〜!」




……
…………
………………
63 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:13:48.24 ID:9e6j4OsE0
日向(モノクマはまた姿を消してしまった)

日向(次にCDの第一扉が開くまで、あと40分近くあるようだが……)

五月雨「ねえ、他に出口があるかどうか、今のうちに探してみない?」

K「賛成です。こんなところでじっとしていても仕方がありません」

狛枝「じゃあ、分かれて探索する事にしようか?」

狛枝「集合時間はCDの第一扉が開く5分前――場所はCDの第一扉前という事でいいかな?」

日向(意義を唱える者はいなかった)

日向(みんなは3つの扉に分かれて散っていった――)


――
64 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/23(水) 23:15:37.39 ID:9e6j4OsE0
今回の更新はここまでです
次回の更新でまた安価取るところまでいく予定です
65 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 14:47:25.08 ID:UWyNib5H0
【学生食堂】


五月雨「あ、日向くん」

モナカ「グッドタイミングってやつだね」

日向「どうした?」

五月雨「この食堂を最初に調べたのは確か日向くんだったよね?」

日向「ああ。俺と狛枝と七海でここの探索を……」

五月雨「その時、どこか怪しいところは見つからなかった?」

日向「怪しいって?」

モナカ「秘密の抜け道が隠されてそうな場所とかー?」

日向「そんなもんあったらとっくに教えてるよ」

日向(と言っても、ここはほぼ七海に任せきりだったから俺も自分の目で再度確認しに改めてやってきたんだけどな……)

五月雨「じゃあ、他に何か変わったところは?」

日向「変わったところ? そうだな……この部屋全てが変わってるといえば変わってると思うけどな」

モナカ「まあそれはそうだけど」

五月雨「調理器具は一式揃ってるし、ラップやアルミホイルもあるから冷凍食品の簡単な調理も出来る。調理場の方は普通に機能するみたいだけど……」

五月雨「たとえば、この壁にあるアルファベットとか、なんだろうね?」

モナカ「黒い文字と赤い文字で書いてあるけど……暗号?」

五月雨「【RLRL OEDI IMLI OONR ONEN】 このうちの【L.O.I.N】だけ赤いのか」

日向「それは、多分この部屋を脱出する時のギミックの一部分だと思うぞ」

モナカ「多分?」

日向「あ、い、いや……その……」

日向(脱出する時、女子に任せきりだったとか恥ずかしくてあまり知られたくないな……)
66 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 14:50:45.15 ID:UWyNib5H0
日向「そ、そういえば、モナカ。車椅子回収出来たんだな」

モナカ「うん! ちゃんと最初に居たFDルームの中にあったんだ。モノクマが意地悪して取り上げるような事はなくてホッとしたよー」

日向(モナカは車椅子に乗りながらくるくると自由自在に回ってみせる。どうやら、自分だけで運転出来るタイプの車椅子のようだ。かなり高性能に違いない)

五月雨「ねえ、これなに?」ペラッ

日向「ああ……それは希望ヶ峰学園の生徒名簿じゃないかって狛枝と話していたんだが」

五月雨「ふーん? なになに……【超高校級の探偵】……かぁ」

日向(そういえば、あの時狛枝が何か言いかけていた気がするけど……)

モナカ「ふむふむ。これ【高等本科】の方の名簿っぽいね」

日向「【高等本科】……?」

モナカ「希望ヶ峰学園は【超高校級の才能】を集っているから高等部が中心だけど、付属の小等部とか他にも色々な人間が集まってるって知らない?」

日向「そうなのか?」

モナカ「そうなのじゃ! なにを隠そう、モナカこそがその付属の小学校に在籍している【超小学生級の学活の時間】なんだよー」

日向「え!? じゃあ、モナカも希望ヶ峰の関係者って事か!?」

モナカ「そういうことだね」

五月雨「へえー。さしずめ【未来の超高校級候補】ってところなのかな? すごいね」

モナカ「えっへん」

五月雨「けどこれ、名簿って言っても縦半分に割かれてるよね? もう半分は見つからなかったの?」

日向「どうやらここには無いらしい。五月雨たちのところにはこの名簿のもう半分は無かったのか?」

日向「いや……名簿でなくてもいい。何か変わったものや、変わったことは?」

モナカ「学生寮の方には特に無かったかな。あ、でも猫さんの本が一冊あったんだにゃー」

五月雨「猫の本……?」

モナカ「うん。『箱の中の猫は生きてるか、死んでるか』っていう感じの内容の」

日向「なんか聞いた事あるような感じの中身だが……でも、その本がなにかの手がかりになりそうとは思えないな」

モナカ「そうだよねー」

五月雨「保健室の方は?」

五月雨「えーと……それが、その……実はひとつだけあるんだよね」

日向「なんだ?」

五月雨「別に隠そうと思ってたわけじゃないんだよ? ただタイミングがなくて言いそびれちゃってただけで」

日向「前置きはいいから要点を頼む。一体なにを見つけたっていうんだ?」

五月雨「これだよ。見て」ペラ
67 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 14:53:15.40 ID:UWyNib5H0
日向「なんだ? ……書類か?」

五月雨「誰か宛のメールを紙に印刷したものみたいなんだけど……」

日向「えーと、件名には定期報告とあるが……ん……?」

日向「『【人類史上最大最悪の絶望的事件】以来、感染拡大を続ける【絶望病】ウイルスの蔓延は、いまだ終息せず……』?」

日向「なんだ? これ」

五月雨「とにかく目を通してみて」

日向「あ、ああ。えーと……『調査の結果、このウイルスによるものと見られる死亡者数が、推定で十万人を超えたと発覚した』」

日向「『我々【未来機関】はこの事態に対し、早急な打開策を見つけねばならないだろう』

日向「『また、感染者の徹底的な隔離を行うため、施設の確保と施設環境の改善に努めてもらいたい』」

日向「……。まさかとは思うが、ここがその隔離施設だったりは……」

モナカ「モナカたちがその【絶望病】に感染してるっていうの? ないと思うけどなぁ」

五月雨「私たちって健康そのものじゃない? 絶望病にどんな症状が現れるかは知らないけど、それだけ死者が出ているっていう事は、よほど凶悪なウイルスであることは間違いないと思うし」

モナカ「そうだよね。モナカの足が悪いのは病気のせいじゃないし……あっ、日向さんやKさんの記憶喪失に関してはどうなんだろう?」

五月雨「うーん、記憶喪失が死に繋がるのかな? Kの方は割と大部分を忘れているようだけど、日向くんは一部の記憶だけなんでしょ?」

日向「あ、ああ……」

五月雨「第一、もしここが感染者の隔離施設だとしたら、閉じ込められた人間があまりにも少なくないかな?」

日向「確かにそうだな」

モナカ「それにモナカたちは今、『ノナリーゲーム』をさせられているんだよ。どうして感染者がそんなゲームをやる必要があるの?」

五月雨「治療の為……とは到底思えない内容だしね」

日向「なら、俺たちがさらわれてきた件と、絶望病のウイルスについてはなにも関係がないと……?」

モナカ「そうじゃない?」
68 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 14:55:06.15 ID:UWyNib5H0
日向「……けど、それにしても気にはなるよな。【絶望病】のこと」

日向「外には家族や友人だっているわけで……」

五月雨「う、うん。そうだよね……」

日向「そもそもこのウイルスが広まったのはいつなんだ? 俺はそんなニュース一度も耳にした事はないぞ」

五月雨「メールの文章には『【人類史上最大最悪の絶望的事件】以来』って書かれてるけど……私にはその事件の事もさっぱり心当たりがないよ」

日向「俺もだ」

モナカ「モナカもなのじゃー」

日向「どうやら【未来機関】とやらが解決に努めているようではあるが……」

モナカ「もしかしたら、その【未来機関】っていう人たちがモナカたちをこんな目にあわせてるのかな?」

五月雨「けど、私たちがここにいる事と、ウイルスの件は関係ないってさっき……」

モナカ「他に理由があるのかもしれないよ?」

日向「他の理由……って?」

モナカ「それは知らないけどー」

五月雨「うーん……とにかく、考えても答えが出るような問題じゃないし。手がかりを探そうよ」

日向「……そうだな。じゃあ、俺は他の場所へ行ってこよう」
69 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 14:56:57.80 ID:UWyNib5H0
【保健室】


狛枝「やあ、日向クン」

日向「ここには狛枝と……こまるとKがいるのか。どうだ? 何か見つかったか?」

こまる「いいえ、何も……」

日向「そうか……」

K「ここは僕と霧切さんと五月雨さんとで徹底的に調べ尽くしましたので、目新しい発見はもう特に無いかと思われます」

日向「だったらどうしてお前はこの部屋に?」

K「あの女性の事が気になったものですから」

日向(保健室のついたての向こうにあるベッドには、まだ先ほど発見した女性の遺体が横たわっている……)

K「一体、誰がこんな事を……」

狛枝「今のところ判明している事実から考えると、K……キミが一番怪しいんだけれどね?」

K「そうでしょうね。否定はしません。否定できる材料もありませんので」

こまる「そ、それはつまり……自白って事?」

K「いいえ。今のところ判明している事実から、僕が犯人でないという証明が出来ないというだけの事です」

K「ですが……それは、あなたたちも同じ事ではないのですか?」

日向「え……?」

K「僕が状況的に怪しいからといって、それがイコール『僕以外のあなたたちが犯人ではない』という確実な証拠にはなりません」

日向「それは……そうだが……」

日向(なるほど……Kは自分の無実を証明する為にこの女性を調べにやってきたのか?)
70 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 14:58:42.43 ID:UWyNib5H0
日向「なあ、今までバタバタしていて聞きそびれちまっていたが、そもそもあの女性は一体何者なんだ?」

K「さあ……見覚えのない顔ですね。と言っても、僕は記憶を失っているのでなんとも言えないのですが」

狛枝「うーん……ボクは何処かで見た事があるような気がするんだよね」

日向(またこいつか)

K「誰なんです?」

狛枝「いいや、それははっきりとは……それに、人違いかもしれない」

日向「どういう事だ?」

狛枝「見たことある気がするって言ったけど、その記憶よりここにいる彼女の方が大人びている気がするっていうか……ボクの記憶にうっすらといる誰かのそっくりさんなのかも」

日向「他人の空似ってやつか。……こまるはどうだ?」

こまる「……」

日向「こまる?」

こまる「……え? なんですか?」

日向「いや、そこにいる女性に見覚えがないか、っていう話だが……どうしたんだ? ぼーっとして」

こまる「いえ……」

日向「……?」
71 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:00:39.64 ID:UWyNib5H0
狛枝「ねえ、K……キミの記憶喪失ってやつ、本当なの?」

K「そこまで疑うのですか?」

狛枝「だって……ね? 日向クン?」

日向(俺に振るのかよ! ……だが、まあ確かに……)

日向「疑うも何も……おまえ自分の姿、鏡で見たことあるのか?」

狛枝「頭の天辺からつま先まで、怪しさ成分で満たされているよね」

K「はあ……すみません、妙な恰好していて」

狛枝「根本的な事を聞くけれど、それって脱ぐ事は出来ないの?」

K「はい。何度も試してみたのですが、無理でした。何処をどうすれば脱げるのかさせわからないのです」

K「むしろ逆におたずねしたい。僕の目の届かないところになにか……これを外す為のスイッチのようなものはありませんか?」

日向「ふむ……」

日向(言われて、俺はKの背後へと回った)

日向(気になる箇所は、すぐに見つかった)

日向「おい、うなじのところ……穴があるぞ?」

狛枝「本当だ。何かの差込口みたいだね」

日向「【OPEN】って文字があるから、ここにプラグかなにかを突っ込んでひねれば……」

K「このマスクとスーツを外せる事が出来るかもしれない……と」

K「では、そこに刺さるような何かを見つければいいわけですね」

日向「たぶんな」

K「なるほど……では僕はその何かを探しに別の場所へ行こうと思います」

狛枝「ボクはもう少しここに残って調べようかな。Kたちが発見出来なかった何かが見つかるかもしれないし」

日向「こまるは……あれ?」

狛枝「こまるさんなら、ボクたちが話をしている間に出ていっちゃったみたいだけど」

日向「いつの間に……。俺も別の場所へ行くかな」
72 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:03:13.31 ID:UWyNib5H0
【学生寮】


日向「ここが学生寮か。部屋はたくさんあるが、ネームプレートの類は特についてないか」

日向(誰が使っている、あるいは使っていた形跡がわかれば、何か手掛かりになると思ったけど……)ガチャッ

日向「! おまえ……」

苗木「……日向クンか」

日向(苗木は部屋の端の方でぼーっと突っ立っていたが……手にしていた紙のようなものを素早く小さく畳むと無理やりポケットに捻じ込んでいた)

日向「苗木、今のそれは?」

苗木「いや……ただのポスターだよ。ここに貼ってあったものが剥がれて落ちていたから拾っただけで」

日向「ポスター?」

日向(確かに壁には何か貼ってあったような痕跡が残っている)

苗木「うん。この区域から脱出する時のギミックのひとつだったんだけど、今はもう自由に出入りできるから関係ないよ」

日向「ふーん……?」

日向(苗木は喋れるだけの気力はあるようだったが、やはり目の色が何処か曇っていた)

日向(それがやはり気がかりで……)

日向「なあ、苗木。一体なにがあったっていうんだ?」

苗木「なに、って……」

日向「あの女性の死体を発見してから、お前の様子は明らかに変だ」

苗木「そうかな。気のせいじゃないかな」

日向「……。わかった。じゃあ、質問を変えよう」

日向「お前とこまるの関係についてだ。こまるはお前の事を『お兄ちゃん』と言っていたが……」

苗木「こまる? ……あれ、言っていなかったっけ? ボクとこまるは兄妹だよ」

日向「俺は初耳だな。その情報は」

苗木「けど、どうしてそんな事を気にするのかな?」

日向「どうして? そんなの決まってる」

日向「俺たちはわけのわからぬままにさらわれてきて、わけのわからない場所に閉じこめられて、わけのわからないゲームをさせられている」

日向「この『わけ』を、少しでもわかるようにしたいんだ。ただそれだけのことだ」

日向「お前たちが兄妹でここに連れてこられた事は……ただの偶然なのか? お前は偶然だと思っているのか? 何か心当たりは……」

苗木「……」
73 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:05:43.26 ID:UWyNib5H0
ガチャッ


七海「あれ? 日向くんもいたんだ?」

日向「七海……それに霧切も」

七海「苗木くんしかいないのかと思ってた」

霧切「私たちの三人でここに来た後でわかれて捜索をしようって事になっていたのよ」

七海「何か収穫はあったのかな?」

苗木「ゴメン、特に何もないみたいだ」

霧切「そう。こちらもこれといってなかったの」

日向「七海の方もか?」

七海「うん。これといって変わったところは。まあ、この建物自体が『変わったところ』みたいなものだけどね」

日向「そうだな。あちこちにパズルやギミックみたいなもんが仕掛けられていて……それにしても、モノクマはどうしてこんなものを……?」

七海「うーん、そうだね。もしかしたら、それらを解くことを含めてノナリーゲームなのかもしれないよ」

日向「けど、ノナリーゲームはFDルームで行われる投票を複数回行いさえすれば成立するはずだろ?」

日向「特にパズルやギミックを解く必要なんてないと思うんだが……」

日向「そもそもノナリーゲームって一体何なんだ? どうしてモノクマはこんなゲームを俺たちにさせている……?」

七海「えーと、これも『もしかしたら』の話なんだけど……」

七海「例えば、何処かの大富豪たちの道楽って可能性はないかな? ゲームでよくあるパターンなんだけど」

日向「どこかに大金持ちの人たちが集まって、モニターで俺たちが右往左往する姿を見ながら楽しんでるとか……そういうやつか?」

霧切「道楽……ね」

苗木「道楽で人がひとり殺されたっていうのか……浮かばれないね」

七海「あの女性が亡くなったのは、ゲームとは関係ないかもしれないんじゃない?」

苗木「それは違うよ」
74 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:07:48.17 ID:UWyNib5H0
苗木「だって、もしも彼女の殺害がイレギュラーな事態だったとするのなら、モノクマがなんらかのコメントを残しているはずだよ」

苗木「けど、あいつはその事については一切触れようとしなかった。まるで何事もなかったかのようにゲームを淡々と進めていった」

苗木「それは何故か? ……彼女の殺害は、モノクマの計画のうちに含まれていたからじゃないのかな?」

霧切「少なくとも様子からしてあの女性が死んだところでこの状況に何も支障はない事は確かなのでしょうね」

日向「あの女性を殺したのは……俺たちをここに拉致してきた黒幕かもしれないってことか?」

苗木「おそらくね」

日向「その黒幕の目的……やっぱりどうも不明瞭だな」

日向(俺たちがここにいる『わけ』を少しでもわかるようにするには……)

日向(そういえば、苗木とこまるは兄妹で知り合いだった訳だが、もう一組知り合い同士がいた筈だ)

日向「なあ、ちょっと聞きたいんだが、霧切と五月雨ってどんな関係なんだ?」

霧切「どうして急にそんな話が出るのかしら?」

日向「苗木にも話していたんだが、俺たちがここにいる理由の手がかかりが欲しいからだ」

日向「霧切は五月雨と知り合いなんだろう? その繋がりが何かのヒントになるかもしれない」

霧切「……」

日向(霧切はこちらを睨みつけるようにしながらしばしの間沈黙した)
75 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:10:28.52 ID:UWyNib5H0
霧切「それを言う前に、こちらから少し確認をしてもいいかしら?」

日向「なんだ?」

霧切「先ほど、これは何かの道楽なのではという話が出ていたけれど、あなたたちの中に【黒の挑戦】という言葉に聞き覚えのある人はいる?」

日向「【黒の挑戦】……?」

苗木「ボクは知らないな」

七海「私もわからないけど、クソゲーのタイトルみたいだね」

霧切「……そう」

日向「それが一体どうしたっていうんだ?」

霧切「いえ、知らないと言うのならそれでいいの」

霧切「それで……私と結お姉様の関係だったわね。私とお姉様は……そうね。『同士』とでも言えばいいのかしら」

日向「同士? ってなんの?」

霧切「それを言う義理はないわ。今はね」

日向「なっ……どうして!」

霧切「あなたたちの事を信用しきれていないからよ。もしかしたら、あなたたちの中に私たちをここまでさらってきた黒幕がいるのかもしれないのだから」

日向「……!」

日向(俺たちの中に黒幕が……!?)

霧切「私と結お姉様の話はこれで終わりよ。けど、もしあなたたちの事を本気で信じてもいいと確信が出来たのなら、その時はもっと詳しい話をするわ」

霧切「……私にも、まだ断言出来るだけの情報も揃ってはいないのだし」

日向「……?」

霧切「何よりも、長話をしている時間はもうないみたいよ。バングルを確認して」

日向「え? ま、まさかっ……」ポチッ


00:04


日向「集合時間が過ぎてるじゃないか!?」

霧切「だから言ったでしょう? 時間はもうないみたいって」

七海「急いだほうが良さそうだね」

苗木「うん。行こうか」

――
76 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:13:28.72 ID:UWyNib5H0
モノクマ『カラードドアが、開放されました! カラードドア閉鎖まで、残り5分です!』



狛枝「遅いよ。一体何をしていたんだい?」

日向「す、すまん……」

五月雨「謝って済む問題じゃないよ! 人の命がかかってるんだからね!」

霧切「ごめんなさい、お姉様。少し話し込んでしまって……」

五月雨「いや、霧切ちゃんに怒ってるわけじゃないけどさ……心配はしたんだからね?」

苗木「こまる、ごめん。待たせたね」

こまる「……」

七海「CDの第一扉は開いちゃったから早く誰と誰が組んでどの扉に入るか決めないといけないね」

K「ええ。言い争いをしている時ではありません」

モナカ「それで、どうするの?」

狛枝「時間が無いからまたボクから説明するよ」


狛枝「考えられる組み合わせの数は、前回と同じく3つになる」


狛枝「パターンA――【水ペアの日向クンと五月雨さん】と【黄ソロの七海さん】が組んで【緑色の扉】を開く」

狛枝「この時残りは、【紫ペアの苗木クンとこまるさん】と【水ソロの霧切さん】が組んで【青の扉】を開く事になり――」

狛枝「【黄ペアのボクとモナカさん】と【紫ソロのK】が組んで【赤の扉】を開く事になる」


狛枝「パターンB――【水ペアの日向クンと五月雨さん】と【紫ソロのK】が組んで【青の扉】を開く」

狛枝「【紫ペアの苗木クンとこまるさん】と【黄ソロの七海さん】が組んで【赤の扉】を開く」

狛枝「【黄ペアのボクとモナカさん】と【水ソロの霧切さん】が組んで【緑の扉】を開く」


狛枝「パターンC――【水ペアの日向クンと五月雨さん】と【水ソロの霧切さん】が組んで【赤の扉を開く】」

狛枝「【紫ペアの苗木クンとこまるさん】と【紫ソロのK】が組んで【緑色の扉】を開く」

狛枝「【黄ペアのボクとモナカさん】と【黄ソロの七海さん】が組んで【青の扉】を開く」


狛枝「で、問題は前回と同じくどのパターンを選ぶかになるわけだけど……」
77 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:16:49.30 ID:UWyNib5H0
K「僕は苗木さんと組むのは遠慮させてもらいます」

苗木「ど、どうして?」

K「苗木さんの現在のBPは【1】――どう考えてもあなたが次の投票のラウンドで【希望】を選ぶとは思えない」

K「仮に『【希望】を選ぶ』とあなたが宣言しても、やはり僕にとっては都合が悪い」

K「何故なら、僕は【絶望】を選ぶことができないからです」

K「もしも僕が【絶望】を選び、あなたが本当に【希望】を選択してしまったとしたら、僕は……」

K「僕はあなたを殺すことになってしまいます。だからです」

K「なので、同様の理由から五月雨さんとも組みたくはないですね」

五月雨「大丈夫だよ。私と日向くんのペアは霧切ちゃんと組むから」

霧切「私は別にそれで構わないけれど、でも……」

日向「ちょ、ちょっと待ってくれ! 勝手に決めないでくれよ!」

七海「私は日向くんか狛枝くんがいいかな。さっき【希望】を選んでくれたからね」

モナカ「じゃあ、モナカと組む? モナカのペアは狛枝さんだよ?」

K「だめです。霧切さんと五月雨さんが組み、七海さんがモナカさんと組むということは、それは必然的にパターンCの組み合わせになることを現わしています」

K「しかし、先ほども申し上げたように、僕は苗木さんとは組みたくありません」

日向「じゃあ、一体どうすれば……」


モノクマ『カラードドア閉鎖まで、残り1分です!』

日向(そうやって揉めている間に刻一刻と時間は過ぎていく)

日向(そんな緊張が巡っている時に――事は起こった)
78 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/27(日) 15:19:28.37 ID:UWyNib5H0
ドサッ

こまる「……」

日向「ど、どうしたんだ、こまる! 膝なんかついて……」

こまる「もうダメだよ……もう終りだよ……どうせみんな死んじゃうんだ……」

五月雨「ど、どうしたの、いきなり……?」

こまる「ううん、違う……違うの……死んじゃうんじゃない……死んじゃうんじゃなくて……」

こまる「死ななきゃいけないの……ここで……みんな……」

苗木「な、なにを馬鹿なこと言ってるんだよ! しっかりしろ! こまる! 目を覚ませ!」

こまる「私は正気だよ……おかしいのはみんなの方じゃないかな?」

こまる「こんなくだらないゲームに真剣になっちゃったりしてさ……もうやめようよ……もう終わりにしよう……」

こまる「全部……なにもかも……」

七海「とにかく――とにかく保健室へ運ぼう!」

狛枝「無理だよ。そんな時間はない」



モノクマ『カラードドア閉鎖まで、残り30秒です!』


苗木「仕方ない。幸いな事に、ボクとこまるはペアだ。ボクがこまるをひきずってでもCDの先へ進むよ」

モナカ「けど、まだ扉が決まってないよ?」

苗木「ボクはどの扉でも構わない。誰か選んでくれないかな」

七海「日向くん、お願い!」

日向「な――なんでまた俺が」

七海「いいから早く! 時間がないんだよ!」

日向(とは言うものの……Kが赤の扉の前に立ち塞がって俺へと顔を向けている)

日向(どうやらそれほどまでに俺を赤の扉へと――パターンCを選ばせたくはないようだ)

日向「俺は……俺と五月雨のペアは……」


1:七海と組んで【緑の扉】に入る
2:Kと組んで【青の扉】に入る

安価下
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 16:08:36.16 ID:c2lXBQJKO

あとこれ原作は何周もして事件の真相がわかるタイプだっけど二週目三周目はあるの?
80 : ◆UZpiB8bc8Q [sage saga]:2017/08/27(日) 16:21:11.69 ID:UWyNib5H0
>>79
あります
そこは原作通りと思っていただければ
ひとつのEDを迎えたりした時にどの安価の場所に戻るか安価するみたいな感じで

続きはまた後で
81 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 18:51:00.65 ID:KAuLqKU90
日向「五月雨! K! 【青の扉】だ!」

五月雨「わかったよ!」

K「! しかし……」

日向「いいから早く来い!」

日向(俺が扉を選んで叫ぶと、他の連中もそれぞれの扉へとわかれて中へと入っていく)

日向(Kは俺の選択に何か言いたげではあったが、その様子を見るとすぐに俺と五月雨について青の扉へと寄り……そして俺たちはその扉の先へと進んだ)

日向(道に沿って歩いていくと、そこには……)


日向「扉が三枚あるぞ?」

K「全てロックされているようですね」

五月雨「まさか行き止まりなの?」

日向「ん……なんだこれ? レバーみたいな装置がある」

五月雨「これ……【9】扉の横にも同じようなのがあった気がする」

K「そのレバー、下げられますか?」

日向「やってみるか」


ガチャン

ウィーン


日向(俺がそのレバーを下すと右手側にあった扉があっさりと開いた。だが……)

五月雨「右の扉しか開かないんだね」

K「ここに入れという事でしょうか」

日向「他の扉はどうすれば開くんだ?」

K「他に操作出来そうな装置は見当たりませんから、わからないですね」

五月雨「とりあえず、進める方に進んでみようよ」

日向「そうだな。よし行こう」

――
82 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 18:54:16.46 ID:KAuLqKU90
日向「この部屋は……なんだ?」

五月雨「扉には【娯楽室】って書いてあったよ?

日向(娯楽室か……前のエリアは学校にありそうな施設が続いていたのに、今回はそうでもないな)

日向(いや。もしここが希望ヶ峰学園だとするのなら【才能】を磨く為にこういった施設を用意していてもおかしくはないのだろうか……?)

K「娯楽……なんとも皮肉なものですね。今の我々の状況からすると程遠い存在です」

日向「しかし、ビリヤードにダーツなんかはわかるが、あれはなんだ?」

K「甲冑ですね。四体も並んでいますし……その甲冑が手にしている斧や槍も本物なのではないでしょうか」

五月雨「あっちにある遊具も異様じゃない?」

日向「本当だ……これはモノクマの形の……」

K「乗り物……ですか?」

五月雨「コインを入れると動く遊具だよね。子供の頃に乗った事あるよ」

日向「こんなものがあるってことは、ここに子供がいたってことなのか……?」

五月雨「ただのコレクション――趣味じゃないのかな?」

K「悪趣味ですね」

五月雨「けど、娯楽室なんてものがあるだなんて……まるで長期滞在を想定しているような印象があるよね」

K「食堂で料理も出来るし、保健室の設備ならちょっとしたケガや病気も治療可能……」

K「娯楽設備も長期間の滞在で退屈しないように……閉鎖的な環境には必要な設備ですね」

日向「外に出なくても生活出来るように作られた施設か。好きなだけここに滞在しろってことか? 冗談じゃない」

五月雨「同感。さっさと【月のカードキー】ってやつを見つけて外に出ようよ」

K「あそこに扉がありますね」

日向「……ダメだ。ロックがかかっていて開かない」

K「という事は、ここに【月のカードキー】が隠されているのでしょう」

K「おそらくは……扉の近くにある、この金庫の中だと思われますが」

日向「この金庫……さっきFDルームのカードキーを手に入れた時と同じ金庫だよな?」

日向「よし、それならこの金庫を開く手がかり――パスワードを探してみよう」
83 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 18:55:26.91 ID:KAuLqKU90
五月雨「ねえ、ここに冷蔵庫があるんだけどさ」

日向「ん? 喉がかわいたのか?」

五月雨「いや、中には飲み物は入ってなくて緑色の布の切れ端とルミノール試薬のスプレーが入ってるんだよね」

日向「なんでまたそんなものが……」

五月雨「わからないけど、これを使う場所が何処かにあるのかも。ちょっとこれ持って探してみるね」


――
84 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 18:57:02.86 ID:KAuLqKU90
K「ふむ……」

日向「Kは何を見ているんだ?」

K「ここにあるダーツの機械の説明書が貼られているんですよ」

日向「どれどれ……一番外周に数字が書いてあって、真ん中の円には100……」

日向「100に一番近い円の範囲から順に×3、×2、×1って書いてあるが」

K「おそらく点数の計算式を表しているのかと。たとえば、外周に20と書いてある個所の100に一番近い円の範囲、×3の部分に矢を刺すと20×3で60点になるんです」

日向「ふぅん。ダーツってそういうルールなのか?」

K「僕も詳しくはないので……」

日向「実際の機械の方を見てみると、ホールケーキが切り分けられたように区切られて、円の範囲とその区切られた場所毎に赤・青・緑の色で更に範囲が分かれてるみたいだな」

K「これもおそらくパズルのうちのひとつなのでしょうが、ダーツをする為の矢がありません」

日向「じゃあ、まずその矢を探すか」

――
85 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 18:59:27.96 ID:KAuLqKU90
日向「この遊具……モノクマの形をしているのに、コインを入れる口はライオンの顔なんだな」

五月雨「その口のところが空洞になってるから多分ここにコインを入れるんじゃない?」

日向「そのコインは……」

K「ああ、そうだ。さきほどこのような物を手に入れたのです」

日向「それって、このライオンの顔がついてる四角い箱にある穴の鍵じゃないのか?」

K「ええ、ですからこれをこうして……」ガチャン

日向「開いたな。中は、と」

五月雨「わ、メダルがいっぱい!」

K「通貨としての価値は無いでしょうが、ここに入っていたという事はこの遊具に使えるものなのではないでしょうか」

日向「なるほど。試しに動かしてみるか」チャリン

日向「……って、K!?」

K「……」ガコンガコンガコンガコン

日向(Kが何時の間にかモノクマの遊具に鎮座して揺られている……)

K「……」ガコンガコンガコンガコン

日向(何を思ってそんな事をしたのかはわからないが、黙って揺られ続けているだけなのでそれはわからないし、なんだか不気味だ……)

五月雨「なんか……見てはいけないものを見てしまったような気がする……」

日向「そうだな……」

――

日向(こうして三人で娯楽室内のパズルとギミックを解き明かし、俺たちはついに金庫のパスワードを手に入れ、その扉を開いた――)
86 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:00:48.56 ID:KAuLqKU90
五月雨「やったね!」

日向「よし! じゃあ、中身をあらためるとしようか」

K「中には……マップと小さな鍵、それから」

日向「【月のマークのカードキー】が三枚あるな。Kが一枚持っているといい」

K「そうですね。では……」

五月雨「それ以外の目ぼしいものは無いみたい」

日向(これ以上情報になりそうなものはない、か……)

五月雨「その小さい鍵がおそらくあのロックのかかっている扉の鍵だよね?」

日向「そうだろうな。早いところここから出よう」

K「そうしましょう」

――
87 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:02:45.82 ID:KAuLqKU90
日向「ここは……なんだ? また体育館にきたぞ? 元の場所に戻ってきちまったのか?」

五月雨「ううん、違うと思う。さっきのマップを見てみたけど、娯楽室のあるのはBフロアってところなんだ」

K「エレベータを使ってここまで下りてきたわけで、マップをあらためてみてみるとその上がAフロアと記されていますね」

五月雨「うん。つまり最初にいた体育館はAフロアにあったってこと。けど、娯楽室を抜けてから私たちは再び上にのぼったりはしていないから……」

日向「つまり、Bフロアにももうひとつ体育館があるってことか」

K「! あそこを見てください」

日向「扉があるな。けど……白く光ってる? これもCDなのか?」

五月雨「三枚とも白い扉だね。ロックもかかってるみたい。ロックの装置を見る限りはやっぱりCDなんだと思う」

日向「次はここが開くってことか。急いでみんなに知らせよう」

五月雨「そうだね」

日向(そのときふと、Kがあたりを見回しながら首をひねっているのに気が付いた)

日向「K、どうかしたのか?」

K「いえ……なんだか以前、この体育館を見たことがあるような気がして」

日向「まさか、ここに来たことがあるのか!?」

K「わかりません。似たような場所だったのかも……」

五月雨「それ、Aフロアの体育館じゃないの?」

K「そうかもしれません。……ですが……」
88 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:05:39.76 ID:KAuLqKU90
モノクマ『FDゲートが解放されました! 投票の締め切りまで残り45分です!』


日向「は!? おい、どういうことだ――!?」

K「他のチームがFDゲートを開けてしまったのでしょうか」

五月雨「まだ私たちが戻ってないのに!?」

K「他の人間のことなどどうでもいい。そういうことでは?」

日向「くそっ……俺たちも急いで戻ろう!」

――

【Aフロア 体育館】

狛枝「日向クン、おかえり」

日向「狛枝……! 苗木たちは!? まだ戻ってないのか!?」

狛枝「うん。ボクたちが一番だった」

五月雨「だったら、FDゲートを開けるのはもう少し待っててくれても……」

霧切「私も止めたのよ、お姉様。けれど、モナカさんが……」

モナカ「ゲートをいつ開こうと勝負には関係ないんだからいいんじゃない?」

五月雨「いいわけないよ!」

K「モナカさんたちのチームは、ずいぶんと戻ってくるのが早かったんですね。探索は順調に進んだんですか?」

モナカ「うん、そうだよ」

日向「お前たちは何処の部屋を通ったんだ?」

モナカ「【治療室】ってところ」

日向「治療室? 保健室とは違うのか?」

モナカ「治療室には【治療用のポッド】ってやつが置いてあって……まあ、百聞は一見にしかずだよ。詳しいことはあとであの部屋に行って、自分の目で確かめてみて」

日向「……?」

霧切「そういえば、モナカさん。治療室を出る時に何か隠したでしょう?」

モナカ「えー? なんのこと?」

狛枝「ボクも見たよ。金庫を開いたとき、中に入ってたものをポケットに入れていたよね?」

狛枝「ほら、これ」

モナカ「っ……!?」

日向(狛枝の手にはいつの間にか何かが握られていた。それは……)

日向「注射銃、か……? 装填されたビンのラベルには……【ステログミン】って書いてあるが、なんの薬だ?」

霧切「ステログミン……? それって確か……」

モナカ「かーえーしーてー! それはモナカが見つけたからモナカのものなのー!」

狛枝「あ」

霧切「ちょっと、あなた……」

日向(モナカは狛枝の手から素早く薬を奪い返していて……霧切が文句を言おうとした、そのとき――)
89 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:08:09.02 ID:KAuLqKU90
苗木「ひ、日向クン!」

七海「みんな一緒!?」

日向「苗木! 七海も一緒だな! よかった、戻ってきて……」

苗木「こまるを……こまるを見なかった!?」

日向「こまる? こまるが……どうかしたのか?」

七海「【赤の扉】の先には【食糧庫】があったんだけど……そこを出て、通路をしばらく進んでいったら、突然姿が見えなくなっちゃって……」

苗木「行けるところは全て探したんだけど、見つからないんだよ!」

日向「まさか、迷ってるのか?」

モナカ「ふぅん。そんな呑気な話なのかなぁ?」

日向「どういう意味だよ……?」

モナカ「こまるさんも今頃どこかで殺されちゃっているのかもしれないねってことだよ」

モナカ「死体がすでに一体発見されてること、忘れたわけじゃないよね?」

苗木「ばっ……馬鹿なこと言わないでよ!」

七海「そうだよ。そんな縁起でもないこと言わないで」

モナカ「モナカは可能性の話をしたまでだよー?」

日向「とにかく、みんなでこまるを探しに行こう!」

苗木「うん、お願いするよ!」

日向(みんなでA階の体育館を出ようとしたとき、ふと、五月雨がひとり、体育館の奥を見つめているのが目の端に映った)

日向(少し気にかかったが、今はこまるを探すのが先決だ)

日向(俺は【紫色の扉】へ駆け込んだ)

――
90 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:10:32.52 ID:KAuLqKU90
【学生寮】


日向「こまる! いないのか!?」

日向(このあたりには来ていないのか……? 仕方ない、Bフロアに行ってみよう)


――

日向(苗木のチームは【赤の扉】の先に進んだはずだ)

日向(そっちはよく探しただろうから【青の扉】の先を確認してみよう)



【娯楽室】


日向「こまる! 何処にいる!」

日向「……。ここもダメか……一体どこに……」


ガチャン


K「日向さん。……どうですか?」

日向「ダメだ。見つからない」

K「そうですか……」

日向「K……おまえのほうは……? って、見つかってたら、すぐに報告してるよな……」

K「ええ……治療室や、Bフロアの体育館に行ってみたのですが、こまるさんの姿はどこにも……」

日向「仕方がない。一度Aフロアの体育館に戻ってみよう」

K「そうですね。もう誰かが見つけたかもしれませんし」

――

【Aフロア 体育館】


苗木「日向クン! K! どうだった!?」

日向「ダメだ……どこにもいない」

苗木「そ、そう……か」

K「戻ってきているのは、苗木さんと狛枝さんと霧切さんだけですか?」

狛枝「うん。他の人たちはまだだよ」

日向「その様子だとそっちも収穫はなかったみたいだな」

霧切「ええ……残念だけど」

狛枝「しかし、解せないね。これだけの人数で探せば、すぐに見つかりそうなものだけど……」

苗木「こまる……」


モナカ「誰か! 誰かいる!?」

日向「モナカ……?」

モナカ「みんな! 早く学生寮の方に!」

日向「どうしたんだ?」

モナカ「とにかく早くするのー!」

――
91 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:11:57.60 ID:KAuLqKU90
【学生寮】


日向(モナカに言われ、急いでその場にいる連中と学生寮までやってきた)

日向(そこには、そこ……には……)



日向(胸から血を流して壁にもたれかかる五月雨と、そのすぐ近くの床の上に倒れる七海の姿があった――)

92 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:13:49.56 ID:KAuLqKU90
霧切「……」

日向「ま、まさか……そんな……」

日向(倒れているふたりの傍らには、ふたりが装着していただろうバングルが外れて転がっている)

日向(モノクマは言っていた……バングルはその人の心臓が止まれば外れるようになっている、と)

日向(俺は茫然としながらゆっくりとふたりに近付いていった)

日向(まずは五月雨の首筋に手を当てる)

日向(温もりは残っているのに……脈はなかった)

日向(それも当然かもしれない)

日向(胸に突き刺さった凶器を中心に、おびただしい量の血液が流れている。生きていられるはずがない――)

日向(俺は震える足を叱咤し、今度は七海に近付いた)

日向(五月雨と違って、一見すると外傷はない)

日向(しかし、首筋に手を当てようとしたとき、あごのあたりに注射を打たれたような跡があるのに気付いた)

日向(目の端に、床に転がった注射銃が映る)

日向(絶望的な予感に答えを出すかのように、七海の鼓動はいくら待っても伝わってこなかった)
93 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:16:05.87 ID:KAuLqKU90
日向「ふたりとも……死んでる」

苗木「そんな……」

K「一体ふたりになにが……」

モナカ「きっとあいつが殺したんだよ」

日向「あいつ……?」

モナカ「あのFDルームの女の人を殺した犯人だよ」

日向「そいつがふたりを同時に殺したと……?」

狛枝「ひとりを殺害している現場を見られて、口封じにもうひとりを殺害したってことかな」

モナカ「あるいは相打ちという可能性もあるよ。七海さんが五月雨さんの胸に凶器を突き立てて、五月雨さんが注射銃を七海さんに……」

霧切「それは考えにくいわ。見て……お姉様の死体、着衣の乱れがまったくないの。もみあった様子はないわ」

日向「じゃあ、ふたりは別の場所で殺害され、ここに運び込まれたというのは……?」

K「いえ、もしそうならば、ここにこんなにも大量の血が残っているはずはないでしょう」

日向「確かにそれもそうか……」

霧切「なんにせよ、今の時点では手がかりがなさすぎて、犯人を推測するのは不可能よ」

霧切「私たちはこまるさんを探すために単独行動をしていた。誰にでも犯行の機会はあったのだから」

日向「俺たちの中に犯人がいるっていうのか?」

霧切「この施設の中に、私たち以外の人間がいると思う?」

日向「それは……」
94 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:18:37.89 ID:KAuLqKU90
モノクマ『投票の締め切りまで、残り10分です! プレイヤーはすみやかに投票を済ませてください!』

モノクマ『所定の時刻まで投票を行わなかった場合、未投票者の投票は【希望】に設定されます!』


日向「未投票者の選択は【希望】に設定……」

日向「七海の投票は【希望】に設定されるってことか」

K「そういうことですね。もしかしたら、それが犯人の狙いでは……?」

日向「【希望】を選ばせるために殺したっていうのか? 七海の対戦相手って……」

苗木「ボクとこまるだよ」

モナカ「チームの中のひとりは行方不明でひとりは死亡かぁ。それって苗木さんが一番あやしいよね?」

苗木「そ、そんな……!」

モナカ「投票を都合よく進めるために殺しちゃったんじゃないの?」

苗木「だったら五月雨さんの件はどうなるの? 五月雨さんの対戦相手はKだったよね?」

K「僕の場合は当てはまりませんよ。五月雨さんがいなくても、ペアの日向さんが投票出来ますから」

狛枝「だから七海さんが死んだりしてね」

狛枝「本来であれば日向クンを殺すつもりが、手違いで七海さんを……」

K「それを言われてはなんとも返す言葉がありませんね」

K「憶測でなら、なんとでも推理できますよ」

日向「……。とにかくそろそろ体育館に戻った方がいいんじゃないか?」

K「でしたら、ふたりのバングルを持っていきましょう」

日向「バングル? いまさらバングルなんて……」

K「バングルがなければこの先のCDが開けられません」

モナカ「こんなときによく冷静でいられるよねー? もしかしてKさんがやっちゃったの?」

K「キリがありませんね。次はなんですか? 仮面を被っているから犯人だ、ですか?」

日向「やめろよ! そんなことで言い争っても意味がないだろ?」

狛枝「同感だね。時間ばかりが過ぎていくだけだよ」

K「……。失礼しました。それでは体育館に戻りましょう」
95 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:20:23.20 ID:KAuLqKU90
霧切「……お姉様」

日向(霧切は五月雨の死体をじっと見つめている)

日向(親しい相手が亡くなったんだ。ショックはきっと俺たちよりも大きいはず……ましてや、霧切は俺たちよりも幼い女の子だ。労わってあげなければならない。だが……)

日向「霧切……お前も辛いと思うが、今は……」

霧切「……ええ。わかっているわ」

霧切「いくら犯人が気になるとはいえ、ここに残って投票を棄権するわけにはいかないもの」

霧切「私は絶対に投票しなければならない。でなければ……」

日向「……?」

霧切「行きましょう」

日向「あ、……ああ」

――
96 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:22:47.53 ID:KAuLqKU90
【Aフロア 体育館】


モノクマ『投票の締め切りまで、あと5分です!』


日向(気持ちの整理がつかないまま、俺は【月のカードキー】で扉を開けた)

日向(五月雨と七海を殺したのは誰なのか、こまるは何処に行ったのか、疑問はいくつも浮かび上がってくるが、ひとつとして答えは出なかった――)

日向(とてもゲームをするような気分ではなかったが、投票の締め切りは刻一刻と迫っている)

日向(俺はもやもやした気分のまま、部屋の入口へと一歩足を進めた――その時)

K「日向さん。一緒に【希望】に投票しませんか?」

日向「……?」

K「日向さんの現在のBPは【5】――このラウンドでお互いに協力を出せば【2点】が加算されて【7点】になります」

K「そして次回もまた、対戦相手とともに【協力】を出しあえば、さらに【2点】が追加され、【9点】に」

K「逆に、日向さんが今回【絶望】を選んで【3点】が加算されたとしても、合計値は【8】」

K「つまり、いずれにせよ、次回の投票でしか【9点】にはならないということです」

K「であるならば、ここはお互いに歩み寄って確実に【2点】を獲得したほうが賢明でしょう」

日向「それはそうだが……K、お前のBPはいくつだ?」

K「僕ですか?」

日向「確か、1回目の投票でおまえは【絶望】をえらんでいたから……【6点】だったはずだ」

日向「すると、今回の投票で同じように【3点】が加われば……お前のBPは【9点】になる可能性があるじゃないか」

K「それはそうですね。しかし、僕はいち早く脱出したいわけではありません」

日向「けど、最初の投票では【絶望】を選んだんだろう?」

K「あれはあくまでも念のためです。【3点】の状態で【2点】を引かれたら、心もとないでしょう?」

K「その点、今は気が楽なものです」

日向「でも普通なら、早く外に出たいと思うんじゃないか?」

K「もちろん、僕もここから出たいとは思っています。ただ『いち早く』とは考えていないだけです」

日向「なんでだよ?」

K「なんでって……当然でしょう? 僕が脱出したら、残されたみなさんは永久に出られなくなってしまいますので」

日向「永久に? どういう意味だ?」

K「モノクマが言っていたでしょう。【9】の扉はたった一度しか開放できない――と」

日向「誰かが一度開いて脱出したら、その後は誰も……」


モノクマ『投票の締め切りまで、残り1分です!』


K「そろそろ時間のようです。それではよろしくお願いします」

日向「ああ、わかった。お前もたのむぞ」


――
97 : ◆UZpiB8bc8Q [saga]:2017/08/28(月) 19:24:19.60 ID:KAuLqKU90
日向(Kからは【希望】を選べと言われたが……さて……どうするか)

日向(そもそもKは本当に【希望】を選ぶのか?)

日向(もし俺が【希望】を選んで、Kが【絶望】を選んだら、KのBPは【9】になる)

日向(ただ【9】になっても、ひとりで先に脱出するとは限らないが……)

日向(そこまで信用出来るのか? 顔もわからない相手を?)


モノクマ『投票の締め切りまで残り10秒です!』

モノクマ『9……8……7……6……』

モノクマ『5……4……3……2……』

モノクマ『1――』



日向「……」



選択
A:希望
B:絶望

安価下
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 19:56:52.82 ID:22ooWj0oo
希望
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/09(土) 20:04:25.83 ID:8vLxct4W0
あげ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/27(月) 09:20:16.88 ID:Oc9gzyax0
あげ
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/19(金) 19:29:31.42 ID:BcARGqKM0
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