【艦これ】 母は艦娘

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64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 22:55:34.31 ID:nDN/0agY0

母には子供が沢山居た。

いや、正確には私以外は母とはなんの血のつながりはない。

私は母が艦娘をやめて随分後に授かった子供だそうだ。

艦娘というのは退役してただの人へと戻ってもどうしてか老化がほとんど起きないそうだ。

母が艦娘を辞めた理由は視力の低下。

もともと左目が悪かった母の残りの右目の視力低下は母の艦娘としての経歴を止めるには充分すぎる物だった。

「さぁて、第二の人生ってのも悪くねぇか。」

母はそういうと母に連れ添い海軍を退役した父と二人で児童福祉施設。

早い話、孤児院の運営を始めた。

そして、多くの恵まれない子供達を受け入れ社会へと送り出してきたそうだ。

深海棲艦達に親を目の前で殺され言葉をなくしてしまった兄弟。

食べていく為に体を売っていた姉妹。

海軍の資材を盗もうとして捕まり少年院へ送られるはずだった所を免れてきた子供。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 22:58:40.39 ID:nDN/0agY0

「お?どうした?」

「.......。」

「あぁ、そうか、家が無くなって家族も失ったのか。」

コクン

「中学生か?どうだ?俺んとこに来ないか?ご飯だって食べれるし、学校だって行ける。」

「お前が望むなら高校だってなんとか行ける様にしてやるよ。」

「いいの?」

「あぁ!」

世間に見捨てられた。

絶望を抱えた。

希望なんて物をまったく信じようとしていなかった子供達。

母はそういった子供達を積極的に受け入れ、愛情を注ぎ世の中も捨てたもんじゃないって事を教えてきた。

でも、そのせいか、実の娘である私の事はいつも後回しだった。

そして、自分の事も後回しだった。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 22:59:34.33 ID:nDN/0agY0

「なんでお母さんは私の事を分かってくれないの!!」

それは何度目になるか分からない母との衝突。

少しでも母の手伝いを出来ればと思い選択した福祉系学校への進路希望。

母は自分に引き掏られることは無いといい安定の望める職に就けるような進路をと言う。

「俺はお前の為を思ってだな!」

男勝りの母が本当に感情を顕にした時に出てくる男言葉。

「知らない、知らない!お母さんなんて死んじゃえばいいんだ!」

「お母さんは私なんか全然大事じゃないんだ!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 23:01:20.03 ID:nDN/0agY0

そして、次の日。

私は気まずい気持ちのまま学校へ向かった。

「あっ。」

昼食時に広げた弁当箱のごはんに大きく海苔で書かれた『 ごめんなさい 』の文字。

お母さんと仲直りしなきゃ。そして、きちんと話し合おう。私はそう決意したんだ。

でも、それはその日には叶わなかった。

私は教師から呼び出され母が倒れたことを知る。

「お母さんの病状ですが艦娘?だったんですか?体に相当な負担が来ていた筈ですが。」

「その所為ですかね?痛みに関する限度がだいぶ違うようで。」

「言われている意味がまったく分からないのですが。」

「心臓の血管の此処に瘤が出来ていますね。」

「サイズから言ってもかなり限界でして。」

医者からあっさりと告げられる母の病状。

手術を受けたとしても助かるかどうかという事の様だ。

艦娘だった時はどんなに重傷を負っても修復材で元通りだっただけに

父は現実と言うものを受け入れるまでに時間が掛かっていた。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 23:02:49.19 ID:nDN/0agY0

「私、まだお母さんにごめんなさいって言っていない。」

色々な検査機器の配線やチューブが繋げられた母を私は見る。

そして、医者から告げられる厳しい現実。

治療に使う方法は現状、保険適用外になってしまう治療方法になると。

つまり恐ろしい治療金額が掛かる。

「なんとかします。私の持てる全てを売り払ってでも。ですので妻をお願いします。」

頭を下げる父。

「明日手術を行います。」

払うといったからか手術については直ぐに決まった。

そして手術室から出てきた母は入っていった時と同じように静かに眠っていた。

「手術は無事に成功しました。」

母の病状を説明してくれた人とは別の中年の貫禄のある人が手術服のままそう告げる。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 23:03:38.80 ID:nDN/0agY0

「ねぇ、お母さん。私、まだ謝ってない。」

目を閉じたまま意識が戻らない母。

しかし、病院の経営というのも慈善事業ではない為、手術やその他に掛かった

これから掛かる費用について父が話し合うために別室へと行く。

「進学やめて働くかなぁ。」

巨額の治療費が掛かりそうなことくらい私にも分かる。

そして、父が驚いた顔をして帰ってきた。

その手には一枚の紙。

あまりにも高額な金額に腰でも抜かしたのかと思い絶望的な感情を抱きつつその紙を私もみた。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 23:05:19.30 ID:nDN/0agY0

『  手術に掛かった費用    \ 0

   治療に使用した薬品代   \ 0

   個室等入院に関する費用  \ 0

   総合計          \ 0

支払いは20年前にあなたのお母さんからいただいています。

当時中学生だった私は家と家族を同時に失いました。

そんな絶望の淵に立っていた私を貴方のお母さんは暖かく迎え入れてくれました。

高校を卒業後は幸いにして貴方のお母さんの協力もあり

国からの支援も受け大学へ進むことが出来ました。

今、20年にも渡る感謝の気持ちをやっとお返しする事が出来ました。

あなたのお母さんが目を覚まされたらお伝え下さい。

20年前はありがとうございましたと。                       』

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/09(土) 23:06:32.88 ID:nDN/0agY0

「うぅぅん。あぁ、よく寝た。」

どぼけた台詞とともに母が目を覚ます。

「あれ?ここは?」

「うぉ、俺なんでこんな格好なんだ!?」

意識を失ってからの記憶がまったく無く混乱する母。

ぎゅっ。

「お母さん。ごめんなさい。そして、ありがとう。」

「んあぁ?あぁ。そう、そうか。」

抱きつき泣き喚く私をあやしながら母は満足そうに、何かに納得したかのように。

「よく分からねぇけど心配かけちまったみてぇだな。ごめんな。」

笑顔で、語りかける。

「私、お母さんになる!」

「おっおう?」

「お母さんみたいに色んな人を助ける!」

私の考え、気持ちをやっと口に出来た。

一呼吸おいて。

「そっか、好きにしな。」

言外に応援するよという母のぶっきらぼうな物言い。

いつか、母の様に、世の中を少しでも良くする為に。

母がそうしてきたように。私もまた、頑張る。

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 23:08:44.22 ID:nDN/0agY0
以上で終了です

お読みいただきありがとうございました

第8話はアメリカの医師、ハワード・ケリー氏の実話をベースにさせていただいております

ちょっと泣けるいい話

では、また次回もお読みいただけると幸いです

すっとんだ資源を回復させないと・・・・
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 23:14:24.90 ID:L9Vn0rLC0
オッツオッツ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 23:19:53.45 ID:0BvyJgRMo
おつおつ
母性とは胸は関係ない、決して
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 00:21:06.97 ID:KXYCPr8ao
最後のはどっちなんだ、五姉妹の末っ子か、二人きりの姉妹の姉か
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 01:15:00.02 ID:1LjQZWnUo
後者だな
左目に眼帯なのが天龍
右目に眼帯なのが木曾
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 09:48:34.86 ID:JET63KJJ0
乙です。
大鳳の娘は鈴谷だな
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 16:58:48.30 ID:80VwJaC40
鈴谷ですね
熊野だと埋もれるほ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:34:49.28 ID:YFe9fHlr0
だいぶ期間があいてしまい申し訳ないです

生きてました

本日の更新で最後とさせていただきます

お時間よろしければお付き合いください
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:37:16.74 ID:YFe9fHlr0

九軒目 My mother is Aircraft carrier
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:39:42.15 ID:YFe9fHlr0

Oh, say can you see,

ママは故国の英雄となり凱旋した。

by the dawn's early light

海軍海兵隊の軍楽隊に国歌でもって出迎えられ。

What so proudly we hailed

ママを一目見ようとする群衆で港は溢れ返り。

口々に母を賞賛する言葉が紡がれる。

at the twilight's last gleaming?

ママは異国の地で私を産んだ。

Whose broad stripes and bright stars,

アメリカという国の威信を背負い、つねに全力で戦い続けた。

through the perilous fight.

夜空に輝ける星の如く劣勢に陥った味方への希望として
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:41:00.10 ID:YFe9fHlr0

O'er the ramparts we watched

つねに先陣を切り、自身の操る艦載機を巧みに繰り敵を逆に追い込む。

were so gallantly streaming?

ママはアメリカという国家の存在、力としての存在を。

And the rockets' red glare,

そして、希望をもたらす為、戦い続けた。

the bombs bursting in air,

その名前の由来、かつてアメリカが独立を勝ち取る為に戦った古戦場での戦いのように。

Gave proof through the night that

あまねく海での航行の自由を勝ち取る為に。

our flag was still there,

幾度も傷がいえぬ状態で出撃を繰り返し。

Oh, say does that star-spangled

身に着けた制服に付いた自身の血を目立たなくする為に黒く染め上げ。

banner yet wave.

私はママが家族の皆とその使命の為に全てを犠牲にしてきた事を知っている。

O'er the land of the free

だから、この国歌は国の為ではなくママの為に歌う。

and the home of the brave!

私を愛してくれたママの為に。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:44:03.59 ID:YFe9fHlr0

私が歌い終わるとそれを待っていた大統領が演説を始める。

「我々アメリカはその建国の歴史以来、実に多くの困難に立ち向かい自由を勝ち取って来ました。

我々と言う言葉は私達が今回、自由を勝ち取った戦い以前においては

民族や、宗教といったものによりそれぞれが定義されてきました。

しかし、我々は今回共通の敵に対し、

それまでいがみ合ってきた全ての国家が手を結び協力し深海棲艦という敵に立ち向かいました。

その結果、我々という言葉は新しい『 人類 』と言う意味も持ちました。

我々人類は未知なる脅威から生存をする為に、

そして再び、自由を勝ち取る為に戦い勝利をおさめました。

そして、今日と言う日が我々の新たなる独立記念日となるでしょう!」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:45:45.71 ID:YFe9fHlr0

アメリカと言う国の独立記念日、

奇しくもその日に人類は長きにわたる深海棲艦との戦いに終結をもたらす決定的な勝利を納めた。

そして、同盟国の日本とともにその勝利をもたらした立役者であるママに国は勲章を贈ることを決めた。

軍人として最高位の名誉勲章を母の胸元に付ける大統領。

そして、感状を受け取るママ。

時が経てばママは国の英雄として、人類の英雄の一人して語られるだろう。

それは一つの英雄譚。

だけれど、その話に出てくる主人公は神に愛された勇者でもなく。

万の軍勢を従えた武将や軍師でもない。

休日にスーパーの安売りチラシを確認し毎日の食事の世話をし。

たまにパパのシャツのアイロンをミスって皺を増やしたり。

ごくごく普通のそんな主婦であるママが一生懸命頑張った物語りなのだ。

国歌を歌いそしてママの叙勲を脇で見ていた私にママが近づいてくる。

「お疲れ様。」

その一言、それだけで全てが分かり合えるママとの繋がり。

「ありがとう。」

そういってママはにかみながら笑った。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:46:31.79 ID:YFe9fHlr0

十軒目 最終話
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:47:21.10 ID:YFe9fHlr0

明日は特別な日だ。

そして、私にとって忘れられない日。

また、お母さんにとっても忘れられない日。

戦争は終結し、国を守る為の最低限の艦娘を残し、国は多くの艦娘達の退役を進めた。

そして、戦艦であったお母さんはその退役の第一陣として応じた。

「お母さんは良かったの?」

艦娘として、連合艦隊旗艦を勤めた事の有ることを誇りとしていた母に問う。

「そうだな。妹にも同じ事を聞かれたが国を守るという役目は果たした。」

「後は後進に道を譲らねば。それに・・・、母としての役目もあるしな。」

そのたわわなたわわを後ろにそらし胸を張るお母さん。

お母さんの意思はとうの昔に決まっていたようだ。

「あらあら、私ちゃんには話してなかったの?」

「というか今更お母さんって。今まで空回りしていたことも有ったのに?」

と、不安を口にするお母さんの妹。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:48:21.69 ID:YFe9fHlr0

お母さんのやる気の空回り。遠い昔の、小学校時代の記憶。

うん、夏休みの工作で戦艦の精密モデル、それもバルサ材で作るのを手伝ってくれたっけ。

あれは女の子の作る夏休みの工作ではなかった気がする。

おかげさまであなたの娘はプロモデラーの趣味を獲得しました。

「あっあれは、私の軍艦時代の姿を知ってもらいたくてだな。」

「このビッグセブンの・・・・。」

と、いつもの口上を述べようとするお母さんをはいはいとあしらうお姉さん。

(叔母になるのだが、叔母と呼ぶには至極はばかれる感じがするのだ。)

「さっ、大事な明日に備えてさっさと鎮守府にもどりなさい。」

明日は大事な認識票返還式がある日。

昔の、自衛隊なんかでいう所の護衛艦の退役時に自衛隊旗を返還する。

それと同じ意味合いを持つ軍艦として艦娘としての認識票を退役の為、返還する。

その準備が鎮守府ではいまだされておりその最後のチェックがされている所だろう。

その主役たるお母さんが居ないというのは宜しくないという事くらいは私にも予測はついた。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:50:56.92 ID:YFe9fHlr0

「そうか。」

私と一緒にいたかったのか分かり易くしょぼんとするお母さん。

これから一緒にいる時間はいくらでも有るからと説得して送り出す。

「さっ、いったわね。やるわよ!」

えいえいおー、と掛け声を上げ女二人明日の、そう、お母さんの為の慰労会の準備をする。

「おはようございますでする。」

「ふふっ、おかしな日本語になってるわよ。」

そこにはばっちりとメイクを決めた、

(といっても、もとが良いので最低限で済むのが羨ましい)お姉さんが朝食の準備をしてくれていた。

「さっ、食べちゃいなさい。」

お母さんの妹だけあって料理も上手い。

そして二人仲良く並んで片付け、お母さんの最後の晴れ舞台に間に合った。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:52:15.23 ID:YFe9fHlr0

「お母さんをかっこよくお願いします。」

記録と腕章をつけるは重巡のあの人。

「もちろんです!」

手には良くわからないけど高そうなカメラを持つお姉さん。

まぁ、こう言っておけば間違いないだろう。

その式典の最中のお母さんは一言でいえば格好良く。

晴れやかな顔をして立ち、錦絵に描かれた武将の様に華やかで厳かで。

とにかく素敵だった。

「お帰りなさい!」

「お帰り。」

「ただいま!」

父は式典の片付けの為鎮守府で残業。仕方無いね!
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:53:45.86 ID:YFe9fHlr0

「と、これは!?」

お母さんが扉をあけたそこには私とお姉さんで飾り付けをしたお疲れ様会の会場があった。

『 お母さん、長い間お疲れ様でした 』

そして、お母さんが共に戦ってきた仲間達。

「お招きに預かりありがとうございます。」

いつもより柔和な表情の、いや、サイドテールがぴこぴこ動いてるから最上級な嬉しさのようだ。

そんな様子の空母のお姉さんがお母さんに礼を述べ。

「それじゃぁ皆!グラスは持ったかしら!?」

お姉さんが声をあげ。

「今日という日を皆と迎えられた事を、そして、いつもいつもビッグセブンっていってる私の莫迦姉に!」

「乾杯!」

えっ、私莫迦扱いなの?という顔をするお母さん。

まぁ、ビッグセブン!といつも何かにつけていってればねぇ、そうなりますよ。

とにかくその乾杯の後は飲めや歌えやの大騒ぎ。

空母のお姉さん達や、戦艦のお姉さん達。

重巡や軽巡、お母さんと一緒に戦ってきた人達が一同に騒ぐ。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 21:55:20.37 ID:YFe9fHlr0

「秋月達!食べてる!?」

装甲空母のお姉さんが駆逐艦のお姉さんに無理やり食べさせ。

あっ、白目剥いたや。さっき赤城さんに無理やり大量に食べさせられていたもんなぁ。

そして、お父さんの知り合いや、私の友人達。皆がお母さんの退役を祝ってくれる。

昨晩の内に妖精さんの謎技術で家を改造していなかったらこうは上手くいかなかっただろう。

「ちょっと!いい男がいっぱいいるじゃない!」

お母さんの退役祝いという事で友人達、男友達も呼んでいたのだが・・・・。

重巡のお姉さんは、まったく・・・・。でも、まぁいいや。

とにかく煩く、賑やかで、不躾で、騒がしく、楽しく。

それでいて皆、満足げに。

えぐえぐと泣きながら妹のお姉さんに背中をさすられ、集まってくれた皆に謝辞を述べ。

お母さんの退役おめでとう会はお開きとなった。

明日からはお母さんは今までとすこし違う日常が始まるだろう。

でも、きっとそれは楽しいものになるに違いない。

私は明日からの騒々しくも楽しそうな日々を考えると自然と頬が緩まずにはいられなかった。

艦!
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 21:57:00.08 ID:YFe9fHlr0

以上で終了です

お付き合いいただきありがとうございました、依頼を出しに行ってまいります
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/20(水) 22:03:07.05 ID:YFe9fHlr0

一ヶ月程かけて長々とお待ちいただいた方がいるかは分からないですが

御迷惑をおかけしました

以下、ボツネタを供養するのにちょこっと使用します

まとめサイトに載らないといいんだけど・・・・(まったく関連性がないので)

まとめサイトの管理人さんがお読みでしたらこれから下のおまけは省いていただけると幸い

自分の他作品を読んで下さったことのある方にはあの漫画のオマージュか!とお分かりいただける

そんなボツネタ、では、今しばらくお付き合いの程宜しくお願いいたします
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:04:33.03 ID:YFe9fHlr0

『 鎮守府第88支部 』

95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:06:27.99 ID:YFe9fHlr0

トントントン

軽快なエンジン音を立てながら船が港に近づいてくる。

水兵「お疲れ様です。今回の積荷はこちらです。」

提督「あー、艦娘が1名ね。えーっと、希望ではなく懲罰か。」

提督「好き好んでこんな所に来る奴はよっぽどだわなぁ。」

提督のぼやきにははと苦笑する水兵。

彼は定期的にこの島へ物資と、『 兵器 』を補充に来る任務に当たっている。

提督「どうだい、珈琲でも?」

水兵「いえ、次の輸送任務がまだありますので。」

そういうと水兵は船を港の艀から離し、ゆっくりと出港していった。

提督「さてと、枷は外してやる。後は自分で歩けるだろ?」

提督「あぁ、そうそう、俺の命をねらうなよ?」

提督「狙ったところで三途の川の渡し賃にもならんからな。」

  「僕は何もやっていない。」

提督「しているかもしれないし、していないかもしれない。

   大事な事はお前さんの選択肢は既に懲役分の任期を此処で全うするか、

   懲役分の任期を買えるだけの金を稼ぐかの二択しかないってことだ。」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:07:14.73 ID:YFe9fHlr0

提督「何かやりたい事が残ってるんなら生き抜くことだな。」

提督「よろこべ、敵の弾は戦艦、空母、重巡、軽巡、駆逐。全てを区別せずに等しく死を与えてくれる。」

提督「死にたければいつでも敵の弾に当たりに行っていいぞ。」

「僕は。」

提督「あぁ、後な、色仕掛けも効かんからな。俺はEDなんだよ。」

提督「まぁ、だからこんな辺鄙かつ女しかいねぇ職場の長なんぞやってんだがな。」

べらべらと喋りながら提督は島の奥へと歩いてゆく。

提督「さぁてようこそ艦娘。ここが今日からお前さんの塒で、刑務所の鎮守府だ。」

提督「なぁになれちまえばどこも住めば都だ。宜しく頼むぜ?美人ちゃんよぉ。」

ここは鎮守府第88支部

鎮守府の管理番号では敵の襲撃に遭いとっくの昔に消えたはすの。

欠番であるはずの番号が使用されている鎮守府。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:09:31.64 ID:YFe9fHlr0

身に覚えのない嫌疑をかけられ逮捕、拘留。

まるで用意されていたかのように逮捕後2日目には解体処分と言う名の死刑宣告。

もしくはここの島への左遷を命じられた。

命があるならという事で此処への左遷を選んだ。

絶対に僕を嵌めた奴を見つけてその理由を聞き出すまで僕は[ピーーー]ない。

いいや、死んでやるもんか。



鎮守府着任翌日



作戦会議室

提督「集まったかな。今回集まった者で参加意思がある奴は聞いてくれ。」

摩耶「いいからさっさと内容を説明しろよ。」

提督「今日のピクニックは簡単だぞ。

戦艦を旗艦とした敵空母機動部隊を引き付けて横須賀の精鋭様をお通しする任務だ。」

川内 ヒュゥ

川内「幾ら?」

提督「任務報酬は1000、後は戦果ボーナス、撃破ボーナス。MVPには休暇もくれてやる。」

川内「休暇より金。」

長門「で、弾代を持つのはそっちか?」

提督「あぁ、今回は艦隊司令部を通しての任務だから弾代はこっち持ちだ。」

提督「派手にあばれてこい。」

摩耶「で、そっちの駆逐は?」

提督「あぁ、昨日付けでうちに左遷された『 補給兵器 』さんだ。」

摩耶「たく、司令部の奴等は名前で呼ぶことすらしねぇのかよ。」

提督「いつものことだろ。とりあえず、俺は作戦の説明終わったから寝るわ。」

提督「後は勝手にやってくれ、作戦開始時刻は1時間後。その時に参加するやつは出撃ドッグに集合な。」

提督はそういうとのたくさと会議室を出て行った。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:10:30.11 ID:YFe9fHlr0

摩耶「よう、私は摩耶ってんだ。あんた、時雨だろ?何やらかした?」

長門「摩耶、やめとけ、問わず、語らずがここのルールだろ。」

摩耶「そうはいうけどよぉ。」

川内「で、時雨、あんたは参加するのかい?」

時雨「すまない、まだ勝手がよく分からないんだけど誰か説明してくれないかい?」

長門「あー、まだ此処のルールについて書かれた契約書を渡されてないのか。」

ガチャ

不知火「司令からこれを時雨さんにお渡しするように言われたので持ってきました。」

不知火「目を通して自分の都合にあった契約書にサインをお願いします。」

不知火「サインをして提出後は変更が効きませんので熟考を。」

歴戦の、剃刀の様な鋭いまなざしを持った艦娘が時雨に書類をつきだす。

長門「提督は?」

不知火「仮眠室です。時雨さん確認した上で提出をお願いします。」

摩耶「どっちにサインすんだい?」

書類を確認するより先に聞いてくる摩耶。

川内「私は二枚目をお勧めするよ。」

時雨「?」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:11:56.58 ID:YFe9fHlr0

長門「簡単に説明するとだな。1枚目は軍人としての籍を残した上での契約。

だから弾代、燃料代は全ての作戦において保障してくれる。

ただし、支払われる報酬は給料のみだ。そして、出撃拒否はその場で銃殺だ。」

長門「2枚目は軍籍の放棄。だが、軍人では無くなる代わりに出撃拒否も出来る。

まぁ、出撃拒否はペナルティで100万だがな。そして、報酬は戦果に比例。

艦種事で算出方式が違うから戦艦や空母の方が儲かるという訳でもない。

但し、デメリットもある。弾代と燃料代は基本自己負担だ。

その分幾らでも節約できるし稼ごうと思えば幾らでも稼げる。」

摩耶「後な、作戦の受任する時は単艦でも受けれるけど大体はチームで出撃するんだ。」

摩耶「チームで出撃したときは報酬は山分けになるけどチームでしか出撃出来ない任務もあるから

自分以外の仲間とは仲良くしといたがいいぜ?」

川内「チームで受任する作戦程割がいいからね。」

時雨「説明ありがとう。」

時雨「皆はその、どちらを?」

長門「そうだな、ここに居るやつはほどんどが2枚目だな。」

川内「ここに縛られる期間を金で縮めたいって奴やただ金を稼ぎたいっていうのが殆どだからね。」

摩耶「後、飯はどっちも出るかな。月間で最低限のボーダーをこなしていれば。」

時雨「こなさなかったら?」

時雨のこの質問に全員が全員、首から上が無くなるというジェスチャーをする。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:13:31.88 ID:YFe9fHlr0

摩耶「まぁ、そういうこった。」

不知火「皆さん説明ありがとうございます。不知火の手間が省けました。」

不知火「それから、これを。」

クレジットカードの様な物を手渡される。

不知火「この島内外での身分証兼電子マネーです。」

不知火「報酬を振り込む口座に直結しておりますので紛失されないようお願いいたします。」

不知火「後、これは司令からの御連絡ですが今までの武勲を考慮して1000万の入金済みであるとの事です。」

不知火「暫くは不自由しないかと思いますが無駄遣いはなさらぬよう。」

不知火「では、不知火はこれにて失礼いたします。」

そう言い不知火は出て行ったのだった。

川内「初めから1000万とはあんた相当な武勲艦だったんだねぇ。」

長門「雪風以来か?」

摩耶「だね。まっ、[ピーーー]ばみな一緒だから今日の金を稼ぎにいきますかね。」

川内「何、摩耶も出るの?」

摩耶「弾代、油も持ってくれるんなら丸儲けだろ?」

長門「その通りだな。ドッグへ急ぐか。雪風はどうする?」

長門が語りかけると今まで気配のなかった所から返事が返ってくる。

雪風「雪風は今回は遠慮しておきます。」

長門「時雨は?」

時雨「……、そうだね。雪風を見習うよ。」

摩耶「なんだい、最初から出撃拒否かい?」

時雨「僕は生き延びてやらなきゃいけない事があるんだ。」

川内「金持ちは違うねぇ。」

長門「そうか、出撃するしないは個人の自由だしな。さっ、皆、行くぞ。」

わあわあと騒がしく出撃する者達がドッグへと向かっていく。

雪風「宜しかったのですか?」

時雨「うん。雪風はここが長いんだよね。それならその感覚に従おうと思ってね。」

雪風「さぁて、どちらがよかったですかね。」

にぃと口角を上にあげ笑う。

時雨は後程、そう皆が出撃して行ったほんの少し後に雪風の意図を思い知ることになったのだった。

此処は日本番外地

場所はインド洋の何処か。

深海棲艦対策として日本に租借された孤島。

バシュヌもクリシュナ、ガルーダに閻魔、なんならサタンだって付けてもいい。

ありとあらゆる神、悪魔から見放された運が極限にない奴がたどり着く所。

島の領有権こそ日本だが深海棲艦が跋扈する今の時代、好き好んでこんな外れの。

それも、あの世の入り口に来るような奴はいない。

鎮守府第88番、地獄の一丁目だ。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:16:09.73 ID:YFe9fHlr0

A-10を欲しがる蒼龍とか金さえ積めばクレムリンを引っ張ってくる明石とか

シュタインベルガーが好きなグラーフとか居ませんww

先日コネタスレに投下した秋月のお話なんかもきちんとやりたいですね

では、ここまでお読みいただきありがとうございました

また、どちらかで
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 22:18:16.96 ID:lzIfSZ97o
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 00:03:50.15 ID:xZBhiwcA0
この没ネタの続きが見たいな
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 00:31:36.67 ID:JEW7/h8To

ボツネタじゃなくて次回予告だよねこれ?
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 00:46:29.27 ID:G1ZTPFMrO
おつつ
良かったっす……
特に吹雪のが可愛くて良かった

ボツネタも良かった
続き期待しちゃいます
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 00:51:24.36 ID:POsrWtY70
久し振りに元ネタの方読みたくなってきた
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 08:00:39.84 ID:FdYmWVzOo
没ネタがあまりにもストレートすぎてワロタ。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 09:46:28.83 ID:2G/jWB9z0
乙です。
大統領の演説インデペンデンス・デイっぽかったな
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 17:04:34.90 ID:Yil6Gzmuo
待って没ネタ凄く読みたい


110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 23:29:22.58 ID:IUyKVSPKO
次回予告じゃなくて没ネタってのが信じられないんですが
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 07:21:06.19 ID:DgiM7F9aO
没ネタの元ネタを知りたい
そして没ネタの続きはよ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 07:56:13.78 ID:DzPqHzXso
>>111
そうか、知らない世代の方が多いんだろうな。

新谷かおる 『エリア88』 ってマンガだ

文庫版ですら、古本屋で探した方が確実
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 16:23:43.55 ID:wHsgX9fto
>>112
おぉ名前は聞いたことありますね
ついでにそのレコード壁に飾ってた…
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