他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」
Check
Tweet
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:01:03.03 ID:EqKCwBbEo
【舞台袖】
麻子「………………」
麻子(カルパッチョが負けた…………西住さん相手なら仕方ないか)
麻子(もう一度戦いたかったんだがな)
麻子「………………」
麻子(……気持ちを切り替えよう。私の目標はカルパッチョと戦うことじゃない。優勝だ)
麻子「………………」
『冷泉さんってすぐ何でも出来ちゃうんだね。天才だよ〜』
麻子(……いつの頃か、誰に言われたかのすら忘れたが……確かに戦車の運転しかり、説明書を見れば大概のことはすぐに出来た)
麻子(だがこのフリースタイルバトルは……基本的なテクニックや戦い方を覚えても……本気で勝ちにいっても負けることがある)
麻子(……だからこそ、面白い)
麻子(そして……小さな大会であろうと、自分が一番だと証明したくなるんだ)
役人「それでは準決勝を始めます!入場してください!」ワァァァ!
麻子「…………勝つ」ザッ..
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:01:52.65 ID:EqKCwBbEo
【ステージ】
麻子「………………」
愛里寿「……………」
役人「準決勝 第1試合はREZE対愛里寿です!」ワァァァァ!
麻子(島田愛里寿……ラップスキルはかなりのレベルだ。必勝を期すためには後攻をとりたい)
役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
麻子(負けた……)
愛里寿「先攻……」
麻子「!」
麻子(私は眼中に無いか?それとも勝つための先手か?)
麻子(……とにかく後攻は願ったり叶ったりだ。集中していく)
役人「それでは準決勝 第1試合!先攻、愛里寿!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」キュリリッ!
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:04:43.66 ID:EqKCwBbEo
http://www.youtube.com/watch?v=SctyNQTK9J8
3:30
<準決勝 第1試合 先攻 愛里寿 VS 後攻 REZE >
愛里寿「MIHO対カルパッチョ お客さんに大好評」
愛里寿「この試合もそうなる ライミング巧者の敗北 再放送」ワァァァ!
愛里寿「巧者よりも強者 勝ち上がるのは私 当然後者」ワァァァ!
愛里寿「表現法が 多彩だからREZE相手でも 正面突破」ワァァァ!
愛里寿「ライムによるライムのためのライム MCリンカーン?」ワァ
愛里寿「だからこそ踏めない恐怖に敏感 震撼してあっさりダウン」ワァァ!
愛里寿「それ こだわり通り越して 韻の奴隷」
愛里寿「しんどそうね もっと自由に 舞い踊れ」ワァァァ!
麻子「舞い踊る より奴隷として 味わいたい孤独」ワァッァア!
麻子「太古の昔から 踏んでたようなフィット感に嫉妬か?」ワァァァ!
麻子「再放送にはならない 大統領 なんて 褒め言葉」ワァァァ!
麻子「最高潮のテンションで最後方までノせる とめどもなく」ワァァァ!
麻子「震撼するのはお前 私は真贋 見極め 心眼に開花で 進化」ワァァァ!
麻子「ライム派のみんな迸り(とばっちり) 受けるぐらいに 真価を発揮し」ワァァァ!
麻子「愛里寿 自分のスキルに疑心暗鬼なって自信無くし」
麻子「ネタに走る それを尻目にREZE 詩人歓喜させる」ワァァァ!
愛里寿「詩人より歓喜させるべきは お客さんでしょ」ワァァァ!
愛里寿「心眼に暗雲 私は阿吽(あうん)の呼吸で もらう賛成票」ワァァァァ
愛里寿「ターンテーブル 回し 音が流れ 言葉放てば 会場に響く」ワァァ
愛里寿「それが自然 でもよく聴くとREZEは 内容にリリック」ワァァァ
愛里寿「つまりネタ臭さが充満してるのは お宅さんの方」ワァァ
愛里寿「冷静に聞き分けようお客さん 自分の 鼓膜、勘繰ろう」ワァァァァ!
愛里寿「韻も 数打ちゃ当たる理屈 競馬で言う 多頭買いが当該」ワァァァ!
愛里寿「真っ当な会話出来ないと 思うんだがどうだい?」ワァァァ!
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:06:35.45 ID:EqKCwBbEo
麻子「多頭買いなんて理屈は崩壊 該当しないよ意味ない」ワァァ!
麻子「遠い未来 主流になるかもな 街頭の街灯の下でサイファー」ワァァァ
麻子「踏まなくても踏みすぎてもディスられる ライムハラスメント」
麻子「それでいいのか? CHIYO CARLITO(チヨカリート)の血を引く サラブレッド」ワァァァ!
麻子「今さらブレんの 性に合わない だからこのまま貫く」ワァ
麻子「フラつく ことなくがっつく 熱く ハッスルなライムを発する」ワァァァ!
麻子「素直に 素顔のままノるんだよ DJ、操るターンテーブル」
麻子「だから子供が 勘繰るとか やめてくれないか? 探偵ぶるな」ワァァァァ!
愛里寿「探偵ぶろうが 結果阻止する 完全犯罪」
愛里寿「こっちのスキル 天然 まるでみやぞん ANZEN漫才」ワァァァ!
愛里寿「サラブレッド 誇りに思う だからナリタブライアン」
愛里寿「ぐらい活躍する あなた程度なんか なりたくないじゃん」ワァァァァ!
愛里寿「私は まだまだ強くなる予感 限度ないようだ」ワァァ
愛里寿「そして文句なく受賞する 年度代表馬」ワァァァァ!
愛里寿「このシングル戦は その足がかりになる」
愛里寿「あなたは決勝戦への 橋渡し役 担う」ワァァ!
麻子「ナリタブライアン 名馬だが情報が古いな」
麻子「私は 意外性を抱えゴールテープを切る オルフェーブル」ワァァァ!
麻子「成長し続け 優勝目前だった 凱旋門賞」
麻子「そんな具合にライムを重ね 目指したい専門職」ワァァァァ!
麻子「絶対やらない橋渡し役 それをするのは マジダサイやつ」ワァァ!
麻子「もっと増しなバイブス このままならREZEがサバイブする」ワァァ!
麻子「このライムは お前に絡みつく ガラガラヘビ」
麻子「噛みつかれたら 耐えきれはしない 甚(はなは)だヘビー」ワァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァ!!
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:12:13.53 ID:EqKCwBbEo
役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!!
役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!
役人「これは微妙ですね…………もう一度お願いします。先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!!
役人「……。では後攻、REZEが勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!
役人「……ほんのわずかな差ですが……愛里寿でしょう!1ポイントが愛里寿に入ります。では……審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」
ババン!
亜美「『愛里寿』」
理事長「『愛里寿』」
香音「『REZE』」
新三郎「『REZE』」
浅井「『愛里寿』」
役人「3対2!接戦を制したのは愛里寿〜〜〜〜!!!!」ワァァァァ!!
愛里寿「…………」ホッ
愛里寿(厳しい戦いだったけど……これで決勝進出!)グッ
麻子「っ……」
麻子(後攻でしかも調子も良かったが……及ばなかったか……)
愛里寿「……あの、ありがとう」スッ
麻子「………………」
愛里寿「…………あの……」
麻子「……え?あ……す、すまん」ガシッ
麻子(声かけられてたことに全く気付かなかった……)
麻子(…………それほどショックを受けるとは予想外……いや、当然か。勝ちたいと強く思って臨んだ勝負だからな)フゥ..
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:21:13.35 ID:EqKCwBbEo
【2階席】
沙織「麻子……」
華「……延長、も無しですか……」
杏「お客さんの声援もホントに微々たる差だし、審査員の判定も3対2。すっげー僅差のいいバトルだった……なんて言われても、冷泉ちゃんも納得出来ないよねぃ……こればかりは難しいね」
そど子「………………私、行ってくるわ」
ゴモヨ「そど子?」
パゾ美「冷泉さんのところに行くの?」
そど子「……ええ」
柚子「今はそっとしておいた方がいいんじゃないかな?」
そど子「……別に慰めの言葉なんてかけないわ。ただ……私がそばにいたいと思ったから行くのよ。私のわがまま」タタッ
パゾ美「………………」
ゴモヨ「あんなそど子、初めて見た」
パゾ美「私も」
桃「……会長。止めなくて良かったのでしょうか?冷泉も1人になりたいと思っているかもしれませんが」
杏「いいんじゃない?むしろそど子が一番適任だよ。変に気を遣わないだろうからねー」
しほ「……一発で決まったわね」
千代「そうね。でもかなりの接戦だったわ」
しほ「勝敗の決め手はどこ?」
千代「ライムに関しては、手数でREZEさんが上回るのはわかっていたでしょう。でも愛里寿もライムで勝負を挑むかのように攻めたわ。特に即興性を重視した。『サラブレッド』を拾って『ナリタブライアン』で踏んだり、それにちなんだ『年度代表馬』というワードを使用したりね」
しほ「その部分をさらにREZEさんは『オルフェーブル』や『凱旋門賞』で踏んでアンサーしている。互いに即興性を見せたところだったわね」
千代「ええ。でも愛里寿のワードチョイスにユーモアがあったのが勝敗の差かしらね。『ANZEN漫才』というお笑いコンビや、そのメンバーの天然ぶりを即興スキルと結び付けたり…」
千代「あとREZEさんのミス、まではいかないけれど、『真贋 見極め 心眼に〜』のラインは上手なのだけど、聴いていてわかりづらかったのが少しマイナスね」
しほ「文脈でわかるといえばわかるんだが、同じ『しんがん』で、しかも高速フロウだったしな」
千代「気合いが入っているからかわからないけれど、この試合でのREZEさんは全体的にライムが多くて、詰め込まれた分だけ早口になっていたわね」
千代「それはそれで心地よいものの、愛里寿が後半で若干テンポを落としたり、細かい緩急を付ける工夫をしていたため、単調さが少しだけ目立ってしまい、そのわずかな部分が審査員の判定に現れたのね」
しほ「そう……でも、いい試合だったわ。もう一度見たいと思うくらいに」
千代「同感ね」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:22:04.37 ID:EqKCwBbEo
【舞台袖】
麻子「………………」
麻子「…………はぁ……」
麻子(ダメだ……負けたあとは西住さんを応援する立場に回るべきなのに……そんな気分にはとてもなれない)
麻子(バトルの前は、勝とうとしても勝てないのが面白いとすら思っていたのに……)
麻子(さっきまでの熱さが嘘のようにダルい……なにもやる気が起きない)ハァ..
そど子「冷泉さん!」ザッ!
麻子「そど子……?」
そど子「その呼び方やめなさいって何度も言ってるじゃない」
麻子「……そうだな、すまん」
そど子「っ……なによその反応は……」
麻子「しかし、どうしてここに…」
そど子「あんたに文句を言うためよ!」
麻子「……文句?」
そど子「ええ!」
麻子「……………そうだな。決勝に行けなかったからな……」
そど子「っ……違うわよ!」
麻子「?」
そど子「あんたが……すっごい頑張って準決勝まで勝ち上がったのに、一度負けただけでそんな風に……無気力な状態になってることに対して文句があるのよ!」
麻子「……そう軽く言うが、私なりに頑張った上で通用しなかったんだ。少しくらい落ち込んで何が悪い」
そど子「悪くないわよ!」
麻子「……はぁ?一体何が言いたいんだ?」
そど子「わからないわよ!」
麻子「??」
そど子「私はこういう言い方しか出来ないのよ!褒めるのが苦手!慰めるのも下手!得意なのは注意すること!だからどうしたらいいのかわからないのよ!」
麻子「………………」
そど子「今だって、どう励まそうか色々考えてるのに、冷泉さんが背中が丸まってて姿勢が悪いとか、ステージからここに来る間に髪の毛をわしゃわしゃしたのか、髪の毛が乱れてることを注意しないといけないって風に考えちゃうのよっ!」
麻子「……ふっ」
そど子「な、なんで笑うのよ!」
麻子「いや、そど子らしいと思ってな」
そど子「わ、悪かったわね!いつも誰かをクチやかましく言うだけの女で!」
麻子「違う。その不器用さがだ」
そど子「……べ、別に私は……」
麻子「そういうところが……うん、かわいい」
そど子「なっ……///」カァァ..
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:22:57.74 ID:EqKCwBbEo
麻子「お?照れてるのか〜?」
そど子「べ、別に照れてるわけないじゃないの!大体ここに来たのはね、廃校問題の時にやさぐれてた私を助けてくれた借りを返すってだけの行為なんだから!」
麻子「……そうか、そど子は義理だけで来たのか。私を心配してくれたと思っていたが……勘違いだったんだな」シュン
そど子「ち、違うわよ!冷泉さんが落ち込んでるかもしれないって考えたら、すっごく胸が苦しくなったから…………はっ!?」
麻子「ほほぉ〜?そうなのかぁ〜。そど子はそんなに私のことが好きなのか」ニヤニヤ
そど子「ば、バカ言わないでよ!私は冷泉さんのことなんか………………」
麻子「ことなんか?」
そど子「…………ない」
麻子「ん?」
そど子「……冷泉さんのことなんか好きじゃない、って言えない……」
麻子「……え」
そど子「言ったら………もし本気にされたら……もっと嫌われるわ。そんなの嫌なの……」
麻子「……何言ってるんだ。元から嫌ってない」
そど子「でも私……いつもクチうるさいし、素直な態度をとれないもの……」
麻子「それがそど子だろ。真面目で不器用で……そんなところが私は……」
そど子「……私は?」
麻子「………………ふ、風紀委員に向いていると思う///」
そど子「何よそれ。今言うことなの?それとも、あんたの方こそ照れてるわけ?」
麻子「う、うるさい。この話は終わりだ」
そど子「なによもう……ふふっ」
麻子「………………」
麻子(不思議だ……さっきまであれだけ落ち込んでいたのに、今はもう全てがリセットされたように心が晴れている)
麻子(それが私にとって、そど子という存在がどれだけ大きいかを意味しているんだろうな……)フフ
役人「それでは、準決勝 第2試合うぇいよー!」ワァァァ!
そど子「次の試合が始まるみたいね……どうするの?観る?観ない?」
麻子「もちろん観る。西住さんが出るんだからな」
そど子「…………ふふっ、そうね」
そど子(よかった。さっきまでは見てられないくらい肩を落としていたけど、今はすっかりいつも通りだわ)ホッ
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:23:32.47 ID:EqKCwBbEo
<シングル戦 トーナメント表>
――――
│―――
―――― │
│―――
―――― │ │
│――― │
―――― │
│────
―――― │ |
│――― │ |
―――― │ │ |
│――― |
―――― │ |
│――― |
愛里寿 ―――― |
|────!!優勝!!
―――― |
│――― |
―――― │ |
│――― |
―――― │ │ |
│――― │ |
西住まほ ―――― │ |
│────
―――― │
│――― │
―――― │ │
│―――
MIHO ―――― │
│―――
――――
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:24:18.74 ID:EqKCwBbEo
【舞台袖】
みほ「………………」
みほ(ついにお姉ちゃんとのバトルだ)ゴクリ
みほ(2ON2では戦えなくて残念だったけど、今度こそ戦える)グッ..
みほ(前回のバトルでは色々な方向から攻めてなんとか勝てたけど、今回はどうだろう?審査方法もお客さんが絡んでるし、勝手が違うよね)
役人「それでは両選手、入場してください」
みほ「!」
みほ(呼ばれた!行かないと…………って、ちょっと待った)
みほ(少し出るのを遅らせよう。それでお姉ちゃんを先にステージに上げて、お姉ちゃんが登場した時にどれぐらい歓声があるかを確認しよう)
みほ(トーナメントの順番的にお姉ちゃんが先に出るのはおかしくないもんね)
みほ「………………」
ワァァァァァァ!
みほ(!この歓声……完全にお客さんからの支持を得てる)
みほ(無理もないよね……お姉ちゃん可愛くてカッコよくて凛々しくて、しかもここまでのバトルでもどんどん勢いつけてきてるもん)
みほ(だったら……私がとるべき戦法は…………っと、ここで考え込んじゃダメだよね。私もステージに行かないと)タタッ
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:24:53.72 ID:EqKCwBbEo
【ステージ】
みほ「…………」ザッ
ワァァァァ!
みほ(ありがたいことに、私にも歓声を上げてくれる。でもお姉ちゃんほどじゃない。だからバトルの内容が同じくらいだったら、観客判定はお姉ちゃんにとられちゃう)
まほ「………………」
みほ(8小節3ターンで、どれだけそれを覆せるか……頑張らないと)
役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」
ジャンケンポン
みほ「!」
みほ(勝った……本来なら後攻をとりたいところだけど……)
みほ「……先攻でお願いします」
みほ(ここまでのお姉ちゃんの勢いを考えると、先攻をとらせたら不利になる)
みほ(リスクもあるけど、先攻をとって流れを変えよう)
役人「OK!では先攻、MIHO!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」キュピキュ!
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:27:38.18 ID:EqKCwBbEo
http://www.youtube.com/watch?v=7kCq3ddiPic
3:26
<準決勝 第2試合 先攻 MIHO VS 後攻 西住まほ>
みほ「待ちわびた 戦いたかった これがただ言いたかった」ワァァ!
みほ「こうやってステージ上 姉妹同士 話したかった」ワァァ!
みほ「前回は勝ったけど ある意味 小細工使った アジェンダ」 アジェンダ・・・予定表・行動計画など
みほ「でも今は ありのままの自分で挑む チャレンジャー!」ワァァァ!
みほ「戦うのも 勝ち上がるのも ただ1人のみ」
みほ「決して退かず 火花散らす 互いの気負い」ワァァァ!
みほ「コンビニのプリンが 昨日のご褒美」
みほ「今日のご褒美 この準決勝 妹の勝利!」ワァァァ!
まほ「前に勝ったのに 挑戦者とか言ってる」
まほ「謙虚に振る舞って負けた時の 保険かけてんじゃねぇ!」ワァァッァア!
まほ「前回と2ON2の優勝者 玉座に座ってるはず」
まほ「なのに下手(したて)に出る 目も腹も肝も据わってねぇな!」ワァァァ!
まほ「自分を小さく見せて 実は毒舌でギャップを演出」
まほ「番狂わせを狙う戦い方 いつまでやってんだ!」ワァァァァ!
まほ「今日はこっちが挑戦者 ケイとのバトル見たらわかるだろ?」
まほ「私が背負うのは 周りの期待、覚悟と青コーナー!」ワァァァッァァ!
みほ「小さく見せてない ただの 性格上の問題」
みほ「私が演出してるという テーマ浮上も論外」ワァァァ!
みほ「流行りの流れとか 完全無視したありのままで」ワァァ!
みほ「挑むって ほんの今 言ったばかりこの場で」ワァァ!
みほ「姉は 人の話聞かず 上から目線な 俺様系」
みほ「思い込んだまま 決め付けてる それじゃダメ」ワアァァ
みほ「敗北の危機と死地 感じ 顔、憤りに」
みほ「染まる 青コーナーの姉は 青息吐息!」ワァァァァ!
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:28:12.54 ID:EqKCwBbEo
まほ「自分を強く持ってる俺様系と」
まほ「自信が無いのか フリなのかの 私なんか系」
まほ「どっちがいいかなんて 一目瞭然だろ」ワァァ!
まほ「『私なんか…』とか言うやつのラップ 誰も聞きたくねぇよ!」ワァァァァァァ!
まほ「あと 人の話を聞かないとか言ってるけど なぁMIHO」
まほ「これだけアンサー返してるやつ 他にいないと思うんだけどな!」ワァァァァ!
まほ「青息吐息になったとしても 別に問題は無い」
まほ「負けて安らかに眠る お前より数倍マシだ!」ワァァァァ!
みほ「数倍マシ とゆーかイマジン 足りない」
みほ「自己卑下から生まれるモノもある 否定させない」
みほ「自信過剰で泣きを見る その後 謙虚の価値を知る」ワァァァ
みほ「料理屋でもそう 調子乗って 天狗になれば 味落ちる」ワァァ
みほ「アンサーがどうこうって 韻も踏まないでフロウのみ」
みほ「それで好かれると思ってるのかな 玄人に」ワァァ!
みほ「ライム、フロウ、ソウル 混ぜた 細く険しい道」
みほ「進まないなら ここで終了とする 閉会式」ワァァ!
まほ「自信は当然持ってる だが過剰と決めつけるな」ワァァァ
まほ「お前は自信だけじゃなくて 人を見る目も無いのか?」ワァァァァァ!
まほ「しかし準決勝でも まだ韻がどうこう言うかね」ワァァ
まほ「お前もさっき言った その『ありのまま』ってやつだろうが!」ワァァァァ!
まほ「玄人に好かれるために ラップしてるのか?しょうもねぇ」ワァァァ!
まほ「MIHO スキルも思想も 地に落ちたもんだな」ワァァァァ!
まほ「…なぁ、お客さん 悪いが判定の時 私に上げないでくれ」ザワッ..
まほ「調子取り戻した MIHOと延長 戦いたいから 頼む」ザワザワ..
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァァ!
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:28:56.36 ID:EqKCwBbEo
役人「……こ、これより判定に入りたいと思います!」
ザワ..ザワ..
まほ「………………」
みほ(……お姉ちゃん……)
役人「お客さんに聞きます!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」
ワァァァァ!
役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」
シィン.......
みほ(これは……っ)
役人「え、ええと……まずはMIHOが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」
ババン!
亜美「『西住まほ』」
理事長「『西住まほ』」
香音「『西住まほ』」
新三郎「『西住まほ』」
浅井「『西住まほ』」
役人「審査員は西住まほ!ということは、1ポイントずつで延長戦に入ります!」ワァァァァァァ!!
みほ(お姉ちゃんが延長を希望したから……本当は勝てたのにわざと引き分けに持ち込んだ……)ギリッ..
まほ「………………」
みほ(お姉ちゃんは物足りなかったからっていう単純な気持ちからそうしたんだろうけど、私にとってこんな屈辱は無いよ)
みほ(……だから)
みほ(絶対勝って、お姉ちゃんにこの選択を後悔させる!)ギラッ!
役人「では延長戦の先攻後攻を決めてください」
ジャンケンポン
まほ「先攻で」
みほ「…………!」
みほ(私がジャンケンで勝ってたら後攻を選んでた。でも……素直に喜べない。先攻とったのも私を侮ってるから?)
役人「OK!準決勝 第2試合 延長戦!先攻、西住まほ!後攻、MIHO!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」キュキュ!
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:31:47.49 ID:EqKCwBbEo
http://www.youtube.com/watch?v=pYi1F0njn7I
2:56
<準決勝 第2試合 先攻 西住まほ VS 後攻 MIHO 延長戦>
まほ「まず最初にハッキリ言っておく 延長を望んだ理由」
まほ「勝ってたバトルを引き分けにしたのは 八百長でも情けでも無い」
まほ「前回大会 MIHOに負けた つまりは0勝1敗」
まほ「でもさっきのと延長で2勝 1度の勝負で2回勝つためだ!」ワァァァァァァ!
まほ「そんな恥かきたくないなら さっさと本気出して来い」ワァァ
まほ「もしすでに本気だったとしたら 期待しすぎたこと謝る」ワァァァ
まほ「この延長 MIHOの実力が知れる そしてバレる」
まほ「MIHOが上手いのは ラップじゃなくて小細工だってな!」ワァァァ!
みほ「小細工しないと言った 耳の穴に 蝋細工(ろうざいく)」
みほ「詰まってるのかな めんどいからモザイク処理」ワァ
みほ「必要なくらい 悲惨で過激な結末 を与える」
みほ「ディスとライムで切り刻んで叫び上げるはず」ワァァァ!
みほ「嘆き負ける 何故に勝てぬ? 試行錯誤」
みほ「強気な姉の インナーチャイルド まるで 悲報待つ子」ワァァ! ※インナーチャイルド・・・子供の頃の心情や記憶、感傷などのこと
みほ「1回で2勝? でもここで 私が勝ったら 2勝1敗」ワァァ
みほ「てかお客さん巻き込む これ小細工でしょ! 理想失敗!」ワァァァァァ!
まほ「切り刻むとか残酷死だとか 危険な言葉使いたがる」
まほ「不良マンガにハマった 中学生かお前は!」ワァァァ!
まほ「理想失敗って1バース目で言うには早すぎる 未来視かよ」ワァァ!
まほ「インナーチャイルド スピリチュアル 暴力的で霊的 迷走すんな」ワァァアァ!
まほ「『何故に勝てぬ?』 いやいや、 お前が劣勢の真っ最中」ワァァァ!
まほ「都合いい世界 に逃げ込むんじゃねぇよ ストーリーテラー」ワァァァァ!
まほ「このバトルの結末は 過激でもなんでもねぇ」
まほ「私がお前に勝って強さを 証明するだけなんだよ!」ワァァァア!
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:32:27.41 ID:EqKCwBbEo
みほ「スピリチュアル な部分すらも 武器にしちゃう」ワァァ!
みほ「妄想も想像も勝手でしょ 好きに使う」ワァァァ!
みほ「未来視じゃない でも延長にした時点で計画ミス」
みほ「ガンガンディスった結果 姉の勝利 てんで無ぇ確率」ワァァァ!
みほ「劣勢からの徹底した 決定的な逆転劇」ワァァ!
みほ「MIHOは あなたにとっての刺客 天敵」ワァァァ!
みほ「これから作り上げる 理想的なストーリー」
みほ「西住まほの結末は 死亡で決まるソーリー」ワァァァァァ!
まほ「誰もが最後は死ぬ お前も客も審査員も」ワァァ
まほ「謝るなら お前のファンにしろ ここで負けるんだからな!」ワァァァ!
まほ「バトル中は強烈なディス 終われば普通の子」
まほ「酒で気が大きくなる酔っ払いと変わらねぇぞ!」ワァァァァ!
まほ「脳内のストーリーの中でしか輝けないんだろ?」
まほ「ま、頭の中でぐらい 好き勝手させてやるか」ワァァ!
まほ「ただ普段とバトルでチグハグ 言動不一致」
まほ「死んだら確実に地獄行き 私は天国行きだ」ワァァァァァ!
みほ「地獄行きを 一区切りにして 全力維持して 天国行き」ワアッァァ!
みほ「ケイさんとの延長でお疲れ? 減速気味」ワァァァ!
みほ「自分の中でしか輝けないとか 間違いもいいとこ」
みほ「優勝して玉座に座ってるとか 言ってたくせにさあ!」ワァァァ!
みほ「お酒がどうとか 極端な例を持ち出す」
みほ「気の弱い人への 印象操作 そのまんまでも美学?」ワァァァァ!
みほ「結局 延長になって 追い込まれてる始末」ワァ
みほ「妹想い 疲労と脆い 精神が 負けたがってる無自覚」ワァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァァ!
みほ「………………」
まほ「………………」
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:34:04.59 ID:EqKCwBbEo
役人「それでは……延長戦の判定に入ります!」
役人「まずはお客さん!今の勝負……先攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!!
役人「後攻、MIHOが勝ったと思う人!」
ワァァァァァ!
みほ「っ……!」
役人「……まずは西住まほが1ポイント先取です」
みほ(ポイント取られちゃった……でも審査員票を取れれば再延長にいける…!)グッ..
役人「それでは審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」
ババン!
亜美「『MIHO』」
理事長「『西住まほ』」
香音「『MIHO』」
新三郎「『西住まほ』」
浅井「『西住まほ』」
役人「3対2!勝者!西住まほ〜〜〜〜!!!!」ワァァァァ!!
みほ「!!!」
みほ(負け……た………)
まほ「……………」フゥー..
役人「2度目の姉妹対決は、姉の西住まほに軍配!雪辱を果たしました!決勝進出です!」
ワァァァァァァァ!
みほ「………………」
まほ「…………みほ」スッ
みほ「…………え、あ……」
みほ(そうだ……終わったら握手……しないと)ガシッ
まほ「みほに勝ったんだ。優勝してみせる」
みほ「…………うん」
みほ(……そう、お姉ちゃんは強かった。だから絶対勝てるなんて風には思ってなかったけど……)ギュッ..
みほ(最初のバトルで命拾いをさせられた上に、もう一度負けた)
みほ(……最初の時点で先攻を選んだのがミス?それとも攻め方を間違えた?勝つ方法はあったはず!でも私は負けた……!)ギュゥゥ..
まほ「…………みほ。すまないが、そろそろ手を離してくれないか?」
みほ「………………え?あ、ご、ごめん!」バッ!
まほ「……ずいぶん力が入っていたが……すまなかったな」
みほ「?どうしてお姉ちゃんが謝るの?」
まほ「わざと延長に持ち込んだことだ。それに対して侮辱されたように感じて怒っていたのではないか?」
みほ「それは…………うん。2回勝って勝ち越すっていう理由はわかったけど、それでもゼロではない、かな」
まほ「だろうな。だがみほを馬鹿にするつもりでしたことではないんだ」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:36:05.67 ID:EqKCwBbEo
みほ「……じゃあどうして?今回で1勝1敗になっても、次のバトルで…」
まほ「いや、もう今回でこういった大会に出るのは最後にしようと思っていたんだ」
みほ「え!?どうして!私たち、これからもっとラップを頑張っていかなきゃいけないのに!?」
まほ「…………みほ。私たちは戦車道が本業だろう?」
みほ「あ」
みほ(そうだった……もちろん戦車道も頑張ってるけど、最近はラップが楽しくてつい……)
まほ「気持ちはわかるがな。戦車道関係者のほとんどが参加しているこの大会はとても楽しい。今まで触れてこなかったHIPHOPに関わることで、前よりも視界が開けた気もする。だがそれを生かすのは戦車道でだ」
みほ「…………うん」
まほ「……だから今回で最後と決めた。そしてそう決めたからには、みほに負けたままではいたくないと思ったんだ。姉のくだらない意地だがな」
みほ「それでわざと延長に……」
まほ「ああ。自分勝手な理由ですまない」
みほ「……ううん、そういうことなら納得したよ。負ける可能性だってあったんだもん。リスクを負ってる」
まほ「そう言ってもらえると助かる」
みほ「…………うー」
まほ「……どうした?」
みほ「私が勝てる可能性もあったって思ったら……やっぱり負けたのが悔しくなってきた……」ハァ..
まほ「ふ……いい傾向じゃないか。引っ込み思案で感情を抑えるよりよっぽどな。小さい頃のみほはもっと活発だった。本来の自分を取り戻してきているのかもな」
みほ「……そうかも。でもだからこそちょっと困ることもあるんだよね……」
まほ「……何がだ?」
みほ「お姉ちゃんのことを大好きな気持ちが抑えられなくなりそうで」
まほ「………………そ、そうか。私もみほのことは妹として大事に思っているよ」
みほ「そういう感じじゃなくて、前の大会のあとからね、寝る時とかお姉ちゃんを想うと……」
まほ「あ、ま、まずい。ステージに長居しすぎているな私たち!そろそろ舞台袖に戻ろう!司会の人も困っている!」
みほ「……あ……そ、そうだよね」
まほ「さあ行こう」
みほ「うん…………ねえ、お姉ちゃん」
まほ「なんだ?」
みほ「優勝出来ても出来なくても……最後のバトル、楽しんできてね」
まほ「ふっ……素直に『優勝してね』とは言わないんだな」
みほ「ご、ごめんね!でも愛里寿さん、強いし…」
まほ「わかっている。だが負けるつもりはない。みほに勝ったんだからな」ニコリ
みほ「」キュン
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/20(日) 23:37:01.71 ID:EqKCwBbEo
<シングル戦 トーナメント表>
――――
│―――
―――― │
│―――
―――― │ │
│――― │
―――― │
│────
―――― │ |
│――― │ |
―――― │ │ |
│――― |
―――― │ |
│――― |
愛里寿 ―――― |
|────!!優勝!!
―――― |
│――― |
―――― │ |
│――― |
―――― │ │ |
│――― │ |
西住まほ ―――― │ |
│────
―――― │
│――― │
―――― │ │
│―――
―――― │
│―――
――――
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:01:17.00 ID:VzU1fFy5o
【2階席】
沙織「……ずいぶん長いことステージで話してたね」
華「ええ。餃子の王将で注文が届くまであれほどかかっていたらイライラしてしまうくらいの時間でした」
沙織「そ、そこまで長かったかな……?というか王将のスピードをすごく評価してるんだね…」
優花里「西住殿……残念ですぅ……」
梓「審査員の判定は1票差でしたし、惜しかったです…」
沙織「うん……みぽりん頑張ってたけどね…………」
華「はい…………」
優花里「………………」
シーン..
沙織(重い雰囲気……そりゃそうだよね。もう応援する身内の人はいないんだもん。なんて言ったらいいかわかんないから黙るしか…)
杏「やー、西住ちゃん負けちゃったね!大洗は全滅だよー!」
桂利奈「あっさり言ったー!?」
あゆみ「この空気を切り裂く感じ!」
あや「さすが会長!ね!?紗希もそう思うよね!?」
紗希「……………………………………………………………………」
あや「ここで黙る紗希もさすが!」
しほ「………………」
千代「自分の娘たちの試合。戦車道で経験済みとはいえ、複雑な心境かしら?」
しほ「まあ、そうね。でも今回の試合はまほの勝ちで納得しているわ」
千代「確かにね。延長戦では、まほさんが先攻をとって最初のバースで延長に持ち込んだ理由をハッキリ言って主導権を掴み、そして次々とパンチラインを決めていった。みほさんが盛り返してはいたけれど、なかなかの強さを見せつけた感じね」
千代「みほさんのライミングも非常に決まっていたけれど、『理想的なストーリー』、『死亡で決まるソーリー』に対するまほさんの『誰もが最後は死ぬ お前も客も審査員も 謝るなら お前のファンにしろ ここで負けるんだからな』というアンサーは決め手の1つじゃないかしら。結構やるわね、という感じ」
しほ「……なんか微妙な言い方ね」
千代「そうかしら?」
しほ「なかなか強い、とか結構やる、とか。でも、いいわ。まほが愛里寿ちゃんを倒すだろうから気にするのはやめるわ」
千代「……それはどうかしら?決勝は愛里寿がまほさんをあっさりと蹴散らして会場中が『どひゃー』となるでしょうから」
しほ「いやいや。なんだかんだまほは勝ってしまうはず。可哀想だけれど、今頃愛里寿ちゃんには死兆星が見えてるわね」
千代「見当違いもいいところね。仮に愛里寿が死兆星を見たとしても、エイトセンシズに覚醒しているくらいのレベルにいる愛里寿には何も問題ないわ」
しほ「………………」
千代「………………」
しほ「………………」
千代「………………」
しほ「……親同士が争うのは不毛ね。ごめんなさい、ちよきち。愛里寿に死兆星は見えていない。今後も元気に骨太で生きていくでしょう。毎日カルボーンを食べてる子のように」
千代「いえ、私こそごめんなさい。まほさんは強敵。あっさりとなんてありえないのに、そんなことを言ってしまうなんて私自身も驚きだわ。いえ、私だけではなく、インド人もビックリだわ」
しほ「……決勝戦、どちらが勝とうと…」
千代「恨みっこなしですわね」
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:03:06.02 ID:VzU1fFy5o
【舞台裏】
ケイ「ついに決勝ね!私に勝ったマホに優勝してほしいわ!」
ナオミ「私は愛里寿さんを応援したいね。あんなに小さい体で懸命に頑張っているのを見ると、推したくなる」
アリサ「……そのうち地下アイドルとかまで手を広げそうだわ」ハァ..
アッサム「オレンジペコはどちらとも戦っているけれど、どんな気持ちかしら?」
オレンジペコ「そうですね……西住まほさんには完敗してしまったので、愛里寿さんに勝ってほしいです。間接的に雪辱を果たす形で」
アッサム「そ、そう……それは雪辱を果たすことになるのかしら……うーん」
音子「……西住みほが負けて残念だったな」
エミ「そうね。でも前回も今回もまほさんに負けた立場としては、その強さに安心もするわ」
音子「あいつになら負けたってしょうがないってか?」
エミ「そうじゃないわよ。でも……その気持ちが無いと言えばウソかも。やっぱりあの人のカリスマ性には惹かれるもの」
音子「そんなもんかね…………ま、確かに見た目はカッケェわな」
エミ「とにかく、私はまほさんに勝ってほしいわね。負ける姿を見たくない」
カチューシャ「………………」
ノンナ「カチューシャ。無理に試合を観なくても……」
クラーラ「そうです、カチューシャ様。傷を癒すことを優先するべきです」
カチューシャ「あんたたちね……私がいつまで負けを引きずってると思ってるのよ。確かに負けたのは悔しいけど、気持ちの切り替えは出来てるわ。カチューシャはぐぶつじゃないもの。馬鹿にしないで」ツーン
ノンナ「そんなつもりは一切ありません」
ノンナ(ただ……)
カチューシャ「そ、それに……マホーシャが頑張ってる姿、ぜったいに観たいもん……///」
ノンナ「」チッ
ノンナ(カチューシャを惑わすあの魔性の女から一刻も早くカチューシャを離さなければ……しかし、強引に連れて行けば私の心証は激しく下落してしまう……)
クラーラ「ノンナ様……私たちに出来ることをしましょう(ロシア語)」
ノンナ「クラーラ?」
クラーラ「2人で力を合わせ、念じるのです。『西住まほ、負けろ』と……(ロシア語)」
ノンナ「……同志クラーラ。脱帽です。恥も外聞も無く言いきれるあなたを尊敬します(ロシア語)」
カチューシャ「ちょっと!2人で何喋ってたの!?教えなさい!」
ノンナ「SHIBUYA TSUTAYAはHIPHOPのCDレンタルが充実していてズルいという話です」
カチューシャ「今する必要ないじゃないの!」
ノンナ「はい」
クラーラ「気を付けます」
ニーナ「…………」ハラハラ
ニーナ(会話に参加したいけんど、なんか流れ弾さ当たりそうで怖ぇから黙っとくべ)
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:06:41.57 ID:VzU1fFy5o
ミッコ「あーあ。結局ダメだったなー」
ミカ「そうだね」ジャララーン
アキ「ミカならいけると思ったんだけど……残念」
ミカ「仕方ない。カチューシャの強さは本物だった」
ミッコ「まぁいいや。ミカはどっち応援するんだ?」
ミカ「それは私が決めることじゃないさ」
アキ「……は?」
ミカ「勝敗を決めるのは……天、さ」ジャララン..
ミッコ「いや、客と審査員だろ」
ミカ「それを含めて、天なのさ。この世の理であったりね」ジャラン
ミッコ(というか勝敗じゃなくて、ミカがどっちを応援するのか聞いたんだけどな……)
アキ「私は愛里寿ちゃんかなあ。身長的に親近感が沸くんだ〜♪ミッコは?」
ミッコ「私は西住まほだな!島田愛里寿に負けた借りを私の代わりに返してほしい!」
ミカ「ふふふ」ジャララーン
アキ「……で、ミカは本当のところどうなの?」
ミカ「私の意志……それは本当に私の意志なのかな?知らず知らずのうちに誰かに影響を受け、ねじ曲げられているかもしれない。いや、それ以前に、私がクチにしようとする言葉は、きちんとその通りの音としてみんなに届いているのかな?」ジャララン
アキ「………………」
ミッコ「………………」
ミカ「そう考えると、だんだん…」ジャラララン
スタッフ「…すみません。これからバトルが始まりますので楽器の演奏はやめてもらえますか?」
ミカ「あ、す、すいません」
スタッフ「よろしくお願いしますね」タタタ
ミカ「………………」
ミッコ「大人に注意されたら素直なのな」
ミカ「……ね、年長者は敬うのが吉さ」
アキ「吉とかそういうことじゃない気がするけど……まぁいいや」
アキ(こうやってミカが答えをはぐらかすのはいつものことだけど、勝つつもりで参加して負けちゃったわけだから、色々思うところもあるんだよね、きっと)
ペパロニ「いよいよ決勝っすね!姐さん!」
アンチョビ「そうだな!いやー、負けたのは悔しいが、もう終わったことは仕方ない!精一杯決勝を楽しもう!」
カチューシャ「どちらを応援してるんですか?」
アンチョビ「私は島田愛里寿だな!チーズやトマトが苦手だったり、好き嫌いが多いようだが、それでもラップスキルは卓越してるからな!」
ペパロニ「私は断然西住まほさんっすね!あのズバッと言ってくれる感じがスカッとして気持ちいいっす!カルパッチョは?」
カルパッチョ「ドゥーチェと同じで島田愛里寿さんです。ライミングが好きなので」
ペパロニ「西住まほさんはそういう相手を倒してきたんすよ?決勝もきっとやってくれるはずっす!」
アンチョビ「それはどうかな〜?島田愛里寿はかなりやり手だぞ?なあ?」
カルパッチョ「はい。拮抗した勝負になりそうですね」
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:07:41.22 ID:VzU1fFy5o
【舞台袖】
まほ「………………」
エリカ「隊ちょ…………まほ先輩」
まほ「ん?」
エリカ「私、緊張してません」
まほ「?」
小梅「……あの……?」
エリカ「だって……まほ先輩なら何も心配いらないからです!」
小梅「あ……」
エリカ「『大丈夫かな』とか『勝てるかな?』なんてドキドキすることがありません!」
まほ「……ありがとう」クス
エリカ「い、いえ……ただ私がそう思うだけですので……//」
小梅「…………」フフ
エリカ「あ、あんたも何か言いなさいよ」
小梅「え?ええっと……」
小梅(みほさんの分も頑張ってください、なんてお願いするのは生意気すぎるよね……だったら普通すぎるけど、頑張ってくださいって言おう)
小梅「あの…」
まほ「安心しろ。みほの気持ちも背負って決勝に挑むつもりだ」
小梅「うぇっ!?」
まほ「顔にハッキリと出ていたぞ?」クス
小梅「あ、えと、その……す、すみません!」
まほ「謝る必要ないだろう。誰を応援しようと自由だ。それに顔に出るということは素直でいいじゃないか。赤星の可愛いところでもある」クス
小梅「え……///」
エリカ「っ!」
エリカ(まほ先輩のこういうところが恋敵を増やすのよッ!)ギリ..
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:08:41.10 ID:VzU1fFy5o
愛里寿「……………………」
アズミ「隊長……その……決勝戦ですね」
愛里寿「うん…………」
アズミ「相手は……西住まほ、です」
愛里寿「そう……みほさんとは戦えない。2ON2の時と違って、決勝で1対1の勝負が出来ると思ったのに」
アズミ「…………隊長」
愛里寿「……………………でも」ボソ
アズミ「?」
愛里寿「あれだけ強くって……ライバルだと思ってたみほさんを倒した相手と戦える……」ゾクゾクッ
アズミ「!」
愛里寿「どうしよう……さっきからワクワクが止まらない……!」
アズミ「………………」
アズミ(西住みほが負けて、落ち込んじゃうかと思ってたけど……私、隊長のこと全然わかってなかった)
アズミ(……そうよね。大洗に転入する話が出た時も、強敵である西住みほとチームメイトになるより、敵として戦いたいって理由で取り止めにしたぐらいだもの)
アズミ(隊長は強い相手と戦うことを求めてる……仲の良い西住みほが負けたからってやる気を無くしちゃうわけないわよね)フフ..
メグミ「だから言ったでしょ?」ザッ..
アズミ「え?」
メグミ「隊長なら心配ないって」
アズミ「メグミ…………来てたんだ」
メグミ「来てたわよ!客席で観てた!ていうか一緒に会場まで来たでしょ!」
役人「それでは……いよいよ決勝戦といきましょうか!」ワァァァァァ!
愛里寿「……始まる」
メグミ「隊長の勇姿、私たちが観てますから!」
アズミ「絶対勝つって信じてます!」
愛里寿「ありがとう。行ってきます」ザッ..
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:09:25.70 ID:VzU1fFy5o
【ステージ】
役人「それでは入場してください!」
愛里寿「…………」ザッ
ワァァァァァァァ!
まほ「……………」ザッ
ワァァァァァァァ!
役人「シングル戦の決勝は8小節4ターンで行われます!」
愛里寿「………………」
愛里寿(目の前で見ると、体格差以上にオーラというか迫力がある……まるで大きい壁。自分の全てをぶつけても受け止めてくれそう……)ゾクゾク
まほ「…………………」
まほ(島田愛里寿……緊張は無いようだ。まさに自然体。その上で気合いと集中を極限まで高めている……この年齢でここまで達するとは……倒し甲斐のある相手だ)ゾクゾク..
役人「お客さんはもう待ちきれないという感じですね!早速始めましょう!先攻後攻を決めてください」
ジャンケンポン
愛里寿「……後攻」
役人「OK!先攻、西住まほ!後攻、愛里寿!決勝戦!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」キュリリッ
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:12:55.66 ID:VzU1fFy5o
http://www.youtube.com/watch?v=s2g1KNACTb8
2:59
<決勝 先攻 西住まほ VS 後攻 愛里寿 >
まほ「MIHOが相手じゃなくて 残念がってるかもと思ったが」
まほ「気合いは充分な様子 楽勝から快勝に評価改めよう」ワァァァ!
まほ「気持ちいいフロウでもライムでも かましてくりゃあいいさ」
まほ「レベルが高いほど 叩き潰す快感が増すからな!」ワァァァ!
まほ「最強を決める決勝 私は歓声を雨のように浴びる」ワァァ!
まほ「ナリタブライアン目指すサラブレッド ムチのみで調教してやる!」ワァァァァ!
まほ「愛里寿 マイクよりニンジンが似合うんじゃないか?」ワァ
まほ「マイクは固い 私と同じで決して食えないってことだ」ワァァァァ!
愛里寿「固い?そう 大丈夫か大将 大層 切った大見得」ワァァ
愛里寿「前がもう見えん ぐらい 酩酊(めいてい)してるように ご機嫌」ワァァァ!
愛里寿「メーデーメーデー と言って ゼェゼェ あんたが 息切らしても」
愛里寿「サラブレッド 疾走し 草原を 生き切らしてもらう」ワァァァァ!
愛里寿「調教とか言いつつ 叩き潰すとか矛盾点」
愛里寿「私は内容通す ラップ そう きちんと書く文献」ワァァァ!
愛里寿「ニンジンなんて無視 縦に一本筋を通し かけるエンジン」ワァァァァ!
愛里寿「前進あるのみ 弱気・強気 まとめてぶつける 全人格を!」ワァァァァ!
まほ「馬なのにエンジンかけるとか 早速矛盾してるぞ」ワァァァ!
まほ「それともポルシェのエンブレムの意味か? 金持ちのサラブレッド」ワァァァァ!
まほ「エンジンかけて『前進あるのみ』 それ 引き返せないレースゲーム」ワァァ!
まほ「だったら走るのは草原より アーケードの方が似合ってるな!」ワァァァァァ!
まほ「全人格をぶつける? 後先無視の特攻精神かよ」
まほ「もう馬だか車だか キリギリス だかわかりゃしねぇな!」ワァァァ!
まほ「これでどんな文献が残るんだよ 誰も解読出来ねぇぞ!」
まほ「言葉遊びの一本筋より 話の筋を通せよ」ワァァァア!
愛里寿「解読出来ない理解力恥ずかしい みんな 愛想尽かすらしい」ワァァ!
愛里寿「どこが特攻精神? 私は中身 ちゃんと構成してる」ワァァ
愛里寿「この人は 言葉の端々に こだわって 粗探し」
愛里寿「あなたらしい立ち位置 みみっちい 腹立たしい」ワァァァ!
愛里寿「肩慣らし とか今さら無しですよ? これ本番 DJルミ 皿回し」ワァァ!
愛里寿「このステージ あなたの墓場らしい 花は無し だからか悲しい」ワァァァ!
愛里寿「墓標の名前は西住、って あなたも充分 サラブレッド」ワァァア
愛里寿「責める資格無し…と思ったけど もしかしたら捨て子!?」ワァァァァ!
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:13:21.75 ID:VzU1fFy5o
まほ「正真正銘 血の繋がった娘だよ ガキが気を遣うな」ワァァ!
まほ「それとサラブレッド自体に文句つけてない 勘違いするな」
まほ「お前が自分で言い出したから アンサー返したって話」ワァァ!
まほ「こう言っても聞きやしないだろうな 馬の耳に念仏だ」ワァァァァ!
まほ「それと粗探しってのは違う むしろこれは手助け」
まほ「お前の言い分は 煮込んだ鍋から出る灰汁(あく)と同じ」ワァァァ!
まほ「味が悪くならないように すく(救)ってやってるんだよ!」ワァァァァ!
まほ「私の立ち位置はハッキリしてる 表彰台の1番上だ!」ワァァァァ!
愛里寿「そういう人を抜いて優勝するのが 1番胸がすく瞬間」ワァァ!
愛里寿「あなたがトップ ほんの数分 後ろの私にすぐ順番」ワァァア!
愛里寿「回る 気分は悪い かもしれないけど これが現実」
愛里寿「堅実 綿密に立ち回ったって 止められんシチュ」ワァァァ!
愛里寿「粗探しを手助けとか ひどすぎる 誤訳よね」
愛里寿「なのに言い切った顔 困るよね もう お役御免」ワァァァ!
愛里寿「鼓膜の辺 どうにかした方がいい MIHOさんも言ってた」ワァァ
愛里寿「耳がまともな時点で あなたより 2歩3歩秀でた」ワァァァ!
まほ「大したこと言ってないくせに 安全圏とでも思ってるのか?」ワァァ
まほ「お前の2歩3歩なんざ 私の大股 1歩で越えられる」ワァァァァ!
まほ「物事にはいくつも見方がある 立場や人でも変わる」
まほ「納得いかないからお役御免 わがままな 子役の言動か?」ワァァァァ!
まほ「仕方ないか 日本語同士を誤訳とか言ってるくらいだしな」
まほ「翻訳を誤るから誤訳 指摘する側が誤用」ワァァァ!
まほ「そんなザマでは 私を抜き去るのは不可能 お前」
まほ「そこらへんの13歳とスキル 五十歩百歩だよ!」ワァァァァア!
愛里寿「そんな脅し文句で ゾクッとなると 思います?」ワァァ!
愛里寿「やだやだ 神経質な 小姑殺法(こじゅうとさっぽう)」ワァァァァ!
愛里寿「嘘まで付く 他の13歳のスキル 絶対知らない!」ワァァ!
愛里寿「どうしようもねぇ 高校生は 撤退しなさい!」ワァァァァ!
愛里寿「不可能とかなんでもかんでも 言ったもん勝ち?」
愛里寿「いい加減にゲンナリ でも 一家言(いっかげん)らしい」ワァァ
愛里寿「もう気にしない その文句は いわば寝言 だもんな」
愛里寿「嫌われ者 重箱の隅つんつん女!」ワァァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァァァ!!
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:13:52.15 ID:VzU1fFy5o
愛里寿「………………」
愛里寿(やっぱり強い……)
まほ「………………」
まほ(これだけアンサーを返してくる上に韻も固くフロウも良い……さすがだな)
役人「……判定に入ります………が、審査員の方たちがまだ決めかねているようです。少々お待ちくださ…………あ、決まったようです!」
役人「では判定です!まずはお客さん!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!
役人「……はい。では後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァァァァァ!
役人「後攻、愛里寿に1ポイント入ります!」ワァァァ
まほ「…………」
役人「……これで決まるのでしょうか?それでは審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」
ババン!
亜美「『愛里寿』」
理事長「『愛里寿』」
香音「『西住まほ』」
新三郎「『西住まほ』」
浅井「『西住まほ』」
ワァァァァァ!
役人「3対2で西住まほ!延長戦です!!!」
ワァァァァァァ!
愛里寿「っ…………」
まほ「………………」フゥ
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:14:59.69 ID:VzU1fFy5o
【2階席】
しほ「延長、か……」フゥ
千代「……まほさんのパンチラインが優れていたわ。雨(飴)とムチやサラブレッド、アーケードゲームのくだり。特攻精神をキリギリスと例えたりと色々工夫されていた」
しほ「ただ客の支持は愛里寿が得た」
千代「そうね。ライミングとフロウでは愛里寿が有利」
しほ「だがそれだけで勝負は決まらない」
千代「もちろんよ。でもきっと愛里寿なら勝ってくれる。そう信じてるわ」
しほ「それは私も同じよ。まほなら必ず勝利すると思ってるわ」
【ステージ】
役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします。あ、延長戦も8小節4ターンとなります」
ジャンケンポン
まほ「後攻で」
役人「OK!延長戦!先攻、愛里寿!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」
ルミ「っ!」キキュッ!
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:25:07.77 ID:VzU1fFy5o
http://www.youtube.com/watch?v=hq-rFLPhQvc
2:48
<決勝 先攻 愛里寿 VS 後攻 西住まほ 延長戦>
愛里寿「1戦目で お客さんの ハート鷲掴み」
愛里寿「スタートは静かに 大空とカリブ海」ワァァァ
愛里寿「どこまでも見通せる サードアイ使い」ワァァァ
愛里寿「重箱の隅つつく あんたの箸砕き」ワァァァァ!
愛里寿「このまま 加速する一方の 成長速度」
愛里寿「1歩2歩レベルの差じゃない 手、届くの?」ワァァァ!
愛里寿「まるで 巨人の星の星飛雄馬(ほしひゅうま)」
愛里寿「強引に勝利する 私、昇り龍だ」ワァァァ!
まほ「馬で龍で星飛雄馬? 自分見失ってるなぁ」ワァァァ!
まほ「サードアイ使えるなら このアンサーを見通しとけよ」ワァァァ!
まほ「カリブ海も突然で意味もなんもないし 巨人の星?」
まほ「なら形勢を簡単にひっくり返す ちゃぶ台のようにな」ワァァァァ!
まほ「1本目の重箱の隅 まだ言ってんのかよ」ワァァ!
まほ「ねちっこいのは お前 器は筆箱ぐらい小さいじゃねぇか」ワアァァ!
まほ「成長速度は確かに すごいかもしれないが」
まほ「手が届かなくても別にいい この声さえ届けば構わない!」ワァァァァ!
愛里寿「筆箱の中には 鉛筆 貧乏削り」
愛里寿「その先端で あんたの心臓えぐりたくなるね」ワァァア!
愛里寿「かくなる上は タフなプレイヤー目指し」ワァァァ!
愛里寿「駆け出したくなる成果 手にする 計画」ワァァァァ!
愛里寿「ラストイヤーで気合い入る 3年生補正」
愛里寿「そんなの通用しない 数分後 完全猫背」ワァァァ!
愛里寿「その背中に『敗北』と 太文字にて 書いた半紙」
愛里寿「貼って 黒森峰 に帰りなさい 敗者半死!」ワァァァ!
まほ「確かに 数分後に 猫背にはなるだろう」
まほ「優勝逃して泣き崩れた お前を慰めるため」ワァアァァア!
まほ「小さな体で頑張り 戦った末に敗れる」
まほ「仕方ないが切ない 心臓をえぐられるようだよ」ワァァァァァ!
まほ「半紙なんか使わず直接書けよ めんどくせぇ」ワァァ
まほ「半死って言いたいだけ 半信半疑じゃない 確信だよ」ワァァァ!
まほ「13歳でサードアイで3年生補正?なんだそれ」ワァ
まほ「3の倍数と3の付く数字の時に アホになっちまうタイプか!?」ワァァァァァ!
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:27:05.70 ID:VzU1fFy5o
愛里寿「あほに近いのは そっち 西住まほ」ワァァ!
愛里寿「西住家の祖先 つまり 入口だよ」ワァァァ!
愛里寿「懐かしいネタの話 世界のナベアツ?」
愛里寿「私はアホにならない アホで勝利の 女神を抱けます?」ワァァァ!
愛里寿「ああ言えばこう言う 色々 取り繕うこと」
愛里寿「敵作ろうと してるように見える 屁理屈女王」ワァァァ!
愛里寿「あとは正論(セイロン)ばっか なんか所属 聖グロくさい」
愛里寿「冥府の鎖 で縛りつけて 碇つけて 沈めよう」ワァァァ!
まほ「正論だけで聖グロ なら小っちゃい(チャイ) お前も一緒だな」ワァァァ!
まほ「すぐ破綻する論理 それじゃ勝利の女神は奪(ウバ)えない」ワァァァ!
まほ「『ああ言えばこう言う』のがバトルじゃないのかな?」ワァァ
まほ「じゃなきゃ『沈めよう』なんて言われて 黙ってるわけねぇぞ!」ワァァァァァ!
まほ「お前 1本目に矛盾点がどうとか言った」
まほ「でもそこ突かれたら 『正論ばっか』 論外じゃんか」ワァァァ!
まほ「私は お前を気持ちよくさせるために いるんじゃねぇ!」ワァァ!
まほ「ぶっ倒して優勝するために立ってるんだよ!!」ワァァァァァ!!
愛里寿「こっちだって同じ 何故に威張ってる?」ワァァ!
愛里寿「急に大声 負け犬の遠吠えに決まってる」ワァァァ!
愛里寿「私はプラスアルファ お客さんの気持ちよくさせる」
愛里寿「そのためのライム 幾重(いくえ)にも威力上げる」ワァァァァ!
愛里寿「あんたはライムを放棄して上機嫌 どうして?」ワァァ!
愛里寿「優勝とか正気ですか?見えてますか オーディエンスが」ワァァァ!
愛里寿「気付いた時には遅い 言わば過日」
愛里寿「フリースタイル 未だ旅する 島田愛里寿」ワァァァァァ!
まほ「島田愛里寿 のスタイル 味方がいる?」ワァァ!
まほ「力足りず 負けちまった体育 座り」ワァァァ!
まほ「したら体躯(たいく) も言葉も 締まらない句」ワァァアァ!
まほ「ってライミングしたら ごめんなさいするのか!?」ワァァァァ!
まほ「料理と同じだろ プラスすればいいってもんじゃない」ワァァ
まほ「客が何で喜ぶかなんて 人それぞれに決まってんだろ!」ワァァァァ!
まほ「客の喜ぶことやってんじゃ 愛里寿自身が どこにもいないぞ!」ワァァァァ!
まほ「だが気付いた時には遅い お前がたった今言った言葉だ!」ワァァアァァァ!
役人「終了ーーーーーー!!!」
ワァァァァァァァァァァ!!!
愛里寿「…………」ハァ..ハァ..
まほ「……………」ハァ..ハァ..
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:27:51.97 ID:VzU1fFy5o
役人「延長戦が終わりました……早速判定に入りたいと思います!」
役人「まずはお客さん!今の勝負、先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」
ワァァァァァァ!
愛里寿「…………」
役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」
ワァァァァァァァァ!!
まほ「…………」
役人「……西住まほが1ポイントを先取しました。それでは審査員のみなさん………………ジャッジをお願いします!」
ババン!
亜美「『西住まほ』」
理事長「『西住まほ』」
香音「『愛里寿』」
新三郎「『西住まほ』」
浅井「『西住まほ』」
愛里寿「…………っ」
役人「4対1!フリースタイルバトル、シングル戦優勝者は……西住まほ〜〜〜〜!!!!!」ワァァァァァァ!!
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:29:36.84 ID:VzU1fFy5o
まほ「……勝った、か」ホッ
役人「優勝者にはトロフィー……と言いたいところですが、急きょ開催されたシングル戦なので残念ながらトロフィーはありません!申し訳ない!」
役人「ですので………そう!審査員の方から一言、コメントをいただきましょう!理事長、お願いします!」
理事長「急な話ですな……何も考えてませんぞ……戦車道の式典でのスピーチならいくらでも出来るが、お堅い挨拶になってしまう……どうしたものか……」ウーム
亜美「理事長。お困りでしたら、若輩者ながら私が代わりを務めてもよろしいでしょうか?」
理事長「おお!是非頼む!辻さん、コメントは蝶野君がしてくれるそうだ!」
役人「辻ではなくRENTA 365です。では蝶野さん、お願いします!」
亜美「…………」スクッ!
亜美「…………西住まほさん」
まほ「………………」
亜美「グッジョブベリーナイス!」
まほ「………………」
亜美「…………以上です」
役人「……え?あの……え?一言すぎませんか?」
亜美「シンプルイズベスト!ミッションコンプリート!」
役人「…………わかりました。えー……なんかグダグダで申し訳ありませんが……みなさん!優勝した西住まほさんに、今一度大きな声援と拍手を!!」
ワァァァァァァァア!
パチパチパチパチパチ!
まほ「…………」ペコリ
愛里寿「…………まほさん、あくしゅ……」スッ
まほ「ああ」ガシッ
愛里寿「………………まほさん、もうバトル出ないの?」
まほ「……みほとの話を聞いてたのか」
愛里寿「」コクリ
まほ「その通りだ。今回で最後の参加になる」
愛里寿「そう……まほさんとまたバトルしたかった」
まほ「すまないな。だがそう言ってくれるのは嬉しいよ。ありがとう」ニコッ
愛里寿「っ!?」ドキン!
愛里寿「う、うん……どういたしまして……///」
愛里寿(な、なんだろう?今の?みほさんといる時の楽しい感じとも違って……)
役人「……以上をもちまして!フリースタイルMCバトル大会を終了します!参加してくれたMCのみなさん、お客さん、審査員のみなさん、そしてDJルミさん、スタッフのみなさん、ありがとうございました!!」
ワァァァァァァァァ...
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:32:30.25 ID:VzU1fFy5o
【会場の外】
ワイワイガヤガヤ..
沙織「はぁぁぁー……なんかすごい試合だったねー」
優花里「ええ!さすが西住殿!のお姉さんですぅ!」
華「あの力強さと芯の太さ……華道にも生かせるかもしれません」
梓「でも西住隊長も惜しかったですよね」
華「ええ。みほさんもとても活躍されていました。まるで花を生け…」
あや「あれ?先輩がいないよ?これから帰るのにどこに行ったんだろう?」
沙織「ホントだ。みぽりんがいない」
紗希「………………」スッ
沙織「え?どこを指し…………あ、いた」
みほ「ねえお姉ちゃん。うちにご飯食べに来ない?お姉ちゃんが大好きなカレーメシ置いてあるよ?」
まほ「いや、私は黒森峰のみんなと…」
愛里寿「まほさん。私の家でカレー食べませんか?ううん、泊まって行きませんか?」
まほ「だから私は…」
みほ「…気になったんだけど、愛里寿さんはなんでお姉ちゃんには敬語なの?」
愛里寿「……なんとなく……そういう雰囲気」
みほ「ふーん……あ!じゃあこうしない?私の家にボコの限定DVDがあるんだけど…」
愛里寿「!」
みほ「愛里寿ちゃんは私の家で観てて。その代わり、お留守番をお願い。私はお姉ちゃんの部屋でカレーメシを食べるから。ぐるぐる混ぜるから」
愛里寿「…………だめ。ボコのDVDは観たいけど、それ以上にまほさんと一緒にいたい。理由はわからないけど……」
みほ「!」
みほ(ここに来て伏兵!?まさか愛里寿さんがお姉ちゃんを!?)
エリカ「あんたら好き勝手言ってるんじゃないわよ!まほ先輩は私たちと一緒に黒森峰に帰るのよ!そうでしょ!あんたもなんとか言ってやりなさいよホラ!」
小梅「え、ええと……」チラ
みほ「…………」ジィー
愛里寿「…………」ジィー
小梅「わ、私は別にその……まほ先輩の意志に任せますとしか……」
エリカ「このコウモリ野郎!ヘドが出るわ!ドブに落ちなさい!」
まほ「言いすぎだぞエリカ」
エリカ「す、すみません!」
みほ「……お姉ちゃん。黒森峰に戻ったら今みたいな大声でのやりとりが待ってるけど、私の部屋は無音だよ?だから、ね?うちに来て?」
エリカ「何が無音よ!なんの音もしないのも怖いじゃないのよ!」
愛里寿「……島田家は静か。ちょうどいいくらいの静かさ。だからまほさんも気に入ってくれるはずです」
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:33:36.70 ID:VzU1fFy5o
エリカ「まほ先輩のちょうどいい静かさ?ハァ!?会ったばかりでそんなのわかるわけないでしょうが!10年早いのよあんた!」
愛里寿「わかる。バトルで通じ合った」
エリカ「このガキ……!」
まほ「お、おいおい。ケンカをするな」
カチューシャ「待ちなさいよ!」ザッ
まほ「カチューシャ?」
カチューシャ「ま、マホーシャは私と一緒にごはん食べるんだから!あんたたちに邪魔されるすじあいないわ!」
みほ「……お姉ちゃん、カチューシャさんと約束してたの?」
愛里寿「…………」
まほ「いや、約束はしていないが」
みほ「してないそうですけど」
カチューシャ「うっ……で、でもそういう雰囲気だったもの!」
愛里寿「わかる。雰囲気って感じるものだから」
カチューシャ「でしょ!?あんたなかなかわかってるじゃない!」
愛里寿「だからこそ島田家に来るべき雰囲気」
カチューシャ「違う!全然わかってない!他の雰囲気よそれは!」
ノンナ「カチューシャ。無理矢理誘うのはよくありません」
クラーラ「そうです。カチューシャ様は私たちと共にプラウダへ帰り、ボルシチ等を食べさせ合いっこするべきです(ロシア語)」
カチューシャ「うー……」ウルウル
まほ「……そんな顔しないでくれカチューシャ。な?」ナデナデ
カチューシャ「……こ、こども扱いしないでよ……ばか…///」
みほ・愛里寿・エリカ「!!!」
みほ(お姉ちゃんの皮膚を勝手に感じて……!ずるい!)
愛里寿(なでなで…………されたい……)
エリカ(あ、あの子……どんな手を使ったのよ!まほ先輩に撫でてもらえるならお小遣い全部出すぐらいの気持ちを持ってる人間は黒森峰にたくさんいるってのに!家が裕福でなくてもね!)
ノンナ・クラーラ「………………」
ノンナ(西住まほがカチューシャを恋愛対象から外すように動くべきか、カチューシャが今西住まほに抱いている気持ちをそっくりそのまま私へ変換する装置の開発を急ぐべきか……とりあえず、緊急事態であることは確かですね)
クラーラ(もうロシア語で話しただけではカチューシャ様の注意を引けない段階に来てしまっています……となると、次なる手は体の柔らかさアピールでしょうか……)
ニーナ「………………」
ニーナ(なんかややこしい事態になってらぁ。触らぬ神になんとやらだべ。気配を消してプラウダに帰るだ)スー..
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:34:53.21 ID:VzU1fFy5o
沙織「…………うわー、なんかすごい修羅場っぽくない?」
華「様々な花が入り乱れる……華道、あるいはホテルバイキングに通じるものがありますね」
優花里「こ、こうしてはいられません!私も参加しなければ!にしずみどのぉ〜!」ダダダダダ!
沙織「あ!ゆかりん行っちゃった」
柚子「火中の栗を拾いに……というか、自ら栗になって火中に飛び込む感じですね」
杏「欲望渦巻く渦中でもあるよね。しかも『栗』って言ったら……ねぇ?」ニヒヒ
柚子「会長……」ハァ
桃「おっさんですよその発言は」
桂利奈「…………」
あゆみ「桂利奈?さっきから黙ってどうしたの?」
桂利奈「私、行ってくる!」
優季「隊長のところ?」
桂利奈「ううん、カルパッチョさんのところ!」
優季「え〜!?」
沙織「ど、どういうこと?」
桂利奈「……2ON2の練習の時とか、一緒に過ごして……すごく楽しかったんです!だから……私、カルパッチョさんともっと仲良くなりたい!」
あや「あー、でもカルパッチョさんって確かカエサル先輩と…」
桂利奈「……それでもいい!行ってきます!」ダダダダッ!
あゆみ「アンツィオのみなさんのところに行っちゃった……」
沙織「………………あ、でもなんか普通に楽しそうに会話してる」
華「その隣ではペパロニさんがアンチョビさんと仲良さそうにしてますね」
沙織「え?え?なんかちょっとそういう感じなの?」
紗希「……………………」スッ
沙織「今度はあっち?ってあれは……」
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:36:13.40 ID:VzU1fFy5o
オレンジペコ「うふふふ」ニコニコ
ダージリン「……ずいぶん嬉しそうね」
オレンジペコ「はいそれはもう!ダージリン様に約束を果たしてもらえるのですから!」
ダージリン「確かに優勝したらお願いを聞いてあげるとは言ったけれど」
オレンジペコ「その約束があったからこそ、どんな手を使ってでも優勝しようと思えたんです!」
アッサム「結果、2ON2で優勝したものね。見事だわ。一体どんなお願いをするつもりなの?」
オレンジペコ「……1日だけダージリン様を飼いたい、です」
アッサム「え」
ダージリン「…………あら?」
オレンジペコ「首輪は用意してあるんです。あ、でも別に四つん這いとかじゃなくて、優雅ないつものダージリン様のままでいいんです!でも食事の際には私があーんさせた物以外はダメとか、お腹をサワサワしたいとか、そういう健全なものですから」
ダージリン「あらあら」ウフフ
アッサム「……ものすごいこと言われてますけど、動じないのはさすがですね」
アッサム(結局この2人はいいコンビなのよね……私にもそういう相手がいれば……)ハァ..
ローズヒップ『ダージリンさまー!おプレミアリーグのお試合が始まりますわよー!』
アッサム(ローズヒップはダージリンのことばかりですし。たまには私にも構いなさいよ…)フン
沙織「……どんな会話してるか聞こえないけど、ダージリンさんとオレンジペコさんがいい感じなのはわかった」
華「ええ、遠くから見ても伝わるようです。ビビンバの鉄器よりも熱を通しそうです」
沙織「なんかさー、カップルっぽいのばっかじゃない?フリースタイルバトルってそうなりやすいのかな?」
杏「やー、それは違うよ。今回2ON2でコンビ組んだ人は、一緒に過ごした時間が長いから色々お互いを知って仲が深まるとかはあるだろうけどね」
柚子「でもバトルした結果、相手をリスペクトするようになってそこから好きになることはあるのでは?」
杏「どうだろうねー?西住ちゃんのお姉ちゃんぐらいじゃないの?あの人、バトル中はずっと相手を見つめたまま戦うっしょ?あの人にそれされたらコロッと落ちる子は多そうだからねぇ」アハハ
柚子「じゃあ普通は戦ったから好意を抱くわけではないんですね…………って当たり前か。ディスられるわけですし」
沙織「えー……じゃあ元々みんな付き合えるような相手がいたってことですか?私なんて全然いないよー」
杏「あ、ホラ。あっちの2校はカップルって感じじゃないよ。見てみ?」
沙織「?」チラ
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:37:20.99 ID:VzU1fFy5o
ケイ「あー、楽しかった!最後にサイファーしたかったのに〜、ざーんねん!」
ナオミ「サイファーはともかく、楽しかったのは確かだね」
アリサ「……まぁ、そうですね。悔しさは残りますけど」
ケイ「じゃあ打ち上げでパーッと盛り上がって悔しさを晴らしましょ!行くわよ!アリサ!ナオミ!」ギュッ!
アリサ「ちょ……いきなり首に腕回さないでくださいよ!」
アリサ(ほっぺに胸が当たって柔らかいのはちょっと嬉しいけど……って違う!私はタカシ一筋!)
ナオミ「うん。やっぱり隊長の身体は温かくて落ち着くね。いつもは抱く側だけど抱かれるのも悪くない」フッ
アリサ「……その状態で決め顔されても……」
ケイ「あっははは!レッツゴー!」
アキ「惜しかったよねー!前回の結果から見たら大躍進だよ」
ミッコ「まぁ、頑張ったからな。でも優勝したかったー」
ミカ「優勝は価値のあること。けれど優勝出来なかったということにも価値はあるのさ」ジャララン
アキ「参加することに意義があるって言うもんね」
ミッコ「確かに。ミカにしては普通なこと言ったな」アハハ
ミカ「………………………………」
アキ「ミカ?」
ミカ「優勝……それは大宇宙のパノラマであり、箱庭の中に溶けたクジラを大理石に変えうる可能性の集約されたタービンの支配構造に対する渇望者の本質さ」ポロロン..
アキ「………………は?」
ミッコ「適当なこと言ってるでしょ」
ミカ「………………」ポロロン
ミッコ「ポロロンじゃなくて」
アキ「ミカ……普通って言われたのがそんなに悔しかったの?」
ミカ「………………風が……出てきたね」
ミッコ「無風だよ。だから暑いよ」
沙織「……ホントだ。カップルっぽくはない」ホッ
あや「あ!でもあそこ見てください!」ビシッ!
沙織「え!?どこどこ!?」
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:38:15.42 ID:VzU1fFy5o
エミ「………………」
音子「いいのかよ。大洗の友達んとこ行かなくて」
エミ「ん。大丈夫」
音子「ふーん……」
エミ「……っていうか、ずいぶん心配してくれるのね」
音子「べっつに。してねーけど」
エミ「…………ふーん」
音子「あ、あんだよ」
エミ「あのさ」
音子「おう」
エミ「私がみほたちのところに行かないのは……あんたと一緒にいたいから、って言ったらどうする?」
音子「…………な……っ……//」
エミ「……ちょ、ちょっと!なに照れてんのよ!あんた前に『俺はこいつが好きだぜ』って私に言ったくせに!」
音子「あ、あれは『俺らは』っつったんだ!それを……大体お前、西住まほが好きなんじゃなかったのか?『カリスマ性に惹かれる』とか言ってただろ!」
エミ「それと恋愛感情は別でしょ?っていうか……」
音子「?」
エミ「そう言ったらあんたがどういう反応するのかが知りたかったっていうか……ヤキモチとか焼いてくれるかな、とか……///」
音子「う……///」
エミ「…………///」
音子「……い、いや、その………なんだ。俺らは、っつったけど……今は……じ、実際……マジで好き……かもしんねぇからアレだけど……//」
エミ「っ……!だったら最初からそう言いなさいよ!歯切れ悪いから……違ったのかと思ったじゃない……」
音子「や、まあ……悪ぃ」
エミ「……いいけど」
音子「…………と、とりあえずじゃあ……手でも繋ぐか?」
エミ「とりあえずなんて気持ちなら嫌」
音子「………………エミと手、繋ぎてぇ//」
エミ「…………ん//」スッ
音子「お、おう//」キュッ
エミ「エミ、か……ふふっ」
音子「……な、なんだよ。呼んだらダメだったか?」
エミ「ううん、さすがにこの段階でマネとは呼ばなかったなーって」
音子「そ、そんぐらいわかるっつーの//」
エミ「ふふっ//」
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:40:04.29 ID:VzU1fFy5o
沙織「なにあれ幸せそうだけどちょっとムカムカする」
優季「らぶらぶ〜♪」
沙織「イベントごとがあるとくっつくケースが多いってよく聞くけどー……でもー!うぅぅ…」
♪〜
沙織「あ、電話……麻子からだ。もしもし?」
麻子『沙織か。今日の打ち上げ終わりに、あんこうチームだけでお疲れ会をする約束だったが……すまん。私は参加出来ない』
沙織「えー!なんでー!?」
麻子『その……そど子と過ごす……あ、いや違うぞ!?過ごすと言っても、別に変なことをするわけではない!至って健全だ!』
沙織「…………そ、そう」
麻子『というわけで……直前にすまん』
沙織「………………ううん、そういう理由ならしょうがないよ。みんな友達より恋人を優先する生き物だから……」
麻子『こ、恋人!?私とそど子はその……いや、確かに気持ちは通じ合っているが、一般的な恋人がするような深い行為をする流れに持ち込めるとは限らな…』
沙織「」ピッ
ツーッ..ツーッ..
沙織「………………はぁあぁ」
華「麻子さん、お疲れ様会、不参加ですか?」
沙織「うん……みぽりんは前もって『お姉ちゃんと一緒の時間を過ごしたいから参加できない』って言われてたし、ゆかりんにも『私は西住殿の行く先に付いていくつもりです。なので西住殿が武部殿の部屋での会合に不参加であれば私も不参加となります』って伝えられてたんだけど、麻子は来てくれるとばっかり思ってたよ」ハァ..
あゆみ「でも本当にカップルが増えましたよね」
梓「麻子先輩と園先輩なんて大洗内のカップルだもんね」
杏「青春を謳歌してるねー、結構結構」アッハハ
沙織「会長はいいですね……余裕があって楽しそうで。周りにカップルがいても平気なんて羨ましいです……独り身には辛いですよー」ハァ..
杏「んー、っていうか私も恋人いっから」
沙織「………………ええっ!?」
華・梓・優季・あゆみ・あや「誰ですかっ!?」
紗希「……………………………………」
あや「ま、待って。紗希が全然驚いてない。ということは……会長の恋人って…………紗希!?」
紗希「……………………………………」
あゆみ「否定しないってことは………!」
杏「違うけど?」
あゆみ「いつものポーカーフェイス!」
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:41:04.79 ID:VzU1fFy5o
華「そ、それで……お相手というのは……?」
杏「小山」
柚子「//」
梓・優季・あゆみ・あや「やっぱり!」
杏「…………と」
梓・優季・あゆみ・あや「…………と?」
杏「かぁしま」
梓・優季・あゆみ・あや「……………………」
沙織「なぁんだ。結局いつもの冗談…」
杏「じゃないよ?3人で付き合ってんだよね」
沙織「……………………」
あゆみ「なんか……トリッキーな……」
杏「私ら、なんだかんだ3人じゃなきゃダメなんだよねぇ」
柚子「はい。でも一般的には恋人と呼ぶのでしょうか?」
桃「呼ぶだろう?だってこないだだってベッドで…」
柚子「わーー!桃ちゃん!ダメ!」
桃「もごごご…」
沙織「……………………優季ちゃんたちはそういうロマンス?みたいなのあるの?」
優季「私は特に無かったけど〜…」
沙織「……けど?」
優季「桂利奈ちゃんがカルパッチョさんのことが気になるって飛び出した時、なんかいいなぁって思いました」
沙織「で、いいなぁってなった。そのあとは?相手とか!」
優季「…………梓、とか?」
梓「ええっ!?」
優季「なんとな〜く、だけど。梓、かわいいなって思う」
梓「ゆ、優季ちゃん……//」ドキドキ
優季「ねぇ〜、梓ちゃぁん……私じゃ……だめ?」ウルウル
梓「そ、それは…………///」
沙織(…………優季ちゃんが本気になればあっさり落とせそう……)
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:41:42.75 ID:VzU1fFy5o
沙織「……あやちゃんたちは?」
あや「私は………」チラ
あゆみ「………………うん」
沙織「?」
あや「……実は、私とあゆみは付き合ってまして……」
沙織・梓「ええええ!!!」
華「あら」
優季「まあ♪」
紗希「……………………」
あゆみ「……なんか言うタイミングを逃しちゃって……」
沙織「うぅ……さ、紗希ちゃんは?付き合ってる人いる?」
紗希「………………」フルフル
沙織「……じゃあ好きな人は?」
紗希「……………………………………」
沙織「いるの!?」
あや「もしかして河西さん!?」
紗希「………………」フルフル
沙織「じゃあ誰!?紗希ちゃんは誰が好きなの!?」
紗希「…………………………………………地球」
沙織「………………………………」
紗希「…………自然が………………好き」
沙織「………………………うん、了解」
杏「了解ってなんだよ」アッハハ
沙織「いや、なんて言ったらいいかわからなくて……」
華「変わった方ですよね」ニコニコ
沙織「言っとくけど、華も変わった方カテゴリーに入るからね?」
華「あら」ウフフ
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:43:42.65 ID:VzU1fFy5o
沙織「……っていうか華はさっきから楽しそうだけど、寂しくないの?周りはカップルいっぱいで自分は取り残されてるんだよ?はぁぁ……」
華「?寂しくありませんけど」
沙織「華道ってそんなに精神を鍛えられるの?まるで鋼の…」
華「だって沙織さんがいますから」
沙織「………………え?」
華「沙織さん手作りのハンバーグも、とても楽しみです。沙織さんの料理はとても美味しいですから。わたくし、大好きです」ニッコリ
沙織「…………華………それって……//」ドクン..
沙織(私がいると寂しくないってどういうこと!?)ドキドキ
沙織(それに『大好き』ってのは料理?それとも私!?なんかどっちにもとれそうな言い方!)ドキドキドキ
沙織(っていうか私、今すっごくドキドキしてるんだけど!これもしかして恋ってやつ!?それともさっきのあやちゃんたちの交際宣言と紗希ちゃんの地球が好き宣言に引き続きビックリ発言が続いてるせい!?)ドキドキドキドキ..
華「あ……もしかして……」
沙織「な、なに……?」ドキドキ
華「お疲れ様会は、あんこうチームで行う予定でしたが、参加者はわたくしと沙織さんだけとなりました。お疲れ様会は中止でしょうか?」シュン
沙織「う、ううん!?やるよ!華が大好きなハンバーグ作るよ!」
華「本当ですか!?とても嬉しいです!」
沙織「……だ、だって華、ハンバーグ大好きだもんね!?」
華「はい!大好きです!」
沙織「わ、私のことも大好きだもんね!?」
華「はい!大好きです!」
沙織「〜〜〜〜っ…///」
沙織(ぅあー……なにこれ!やばいやばい!私いま絶対顔赤い!)
沙織(でも……華は私の料理が好きなのか、私のことが好きなのかハッキリしないし!)
沙織(ちゃんと聞きたい!あー!でも……怖くて聞けない!)
沙織(……だけど気になる……ぅあー……///)
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:45:31.23 ID:VzU1fFy5o
しほ「大洗の連中は青春真っ盛りといったやりとりをしているわね」
千代「……あの距離の会話が聞き取れるの?だいぶ離れているけれど」
しほ「忘れたの?私の聴力は蛾と同等レベルだって」
千代「…………蛾?」
しほ「ええ。ハチノスツヅリガは人間の15倍ほどの聴力を持つと言う」
千代「……だとしても、蛾に例えるのはあまり良くないと思うわ」
しほ「………………」
千代「?どうしたの?蛾を責められて機嫌を悪くしたのかしら?」
しほ「それもゼロではないけど……大洗の子たちを見ていて、ふと自分の高校時代を思い出してね」
千代「そう……」
しほ「…………ちよきち、今夜……私と」スッ
千代「!?だ、だめよ!あの日、最後の思い出にするって決めたでしょう!?」
しほ「とうにムラムラしてるんだ」
千代「なんなのよその言い分!家元同士がこんなところで誤解を招く会話をするのはいけないことよ。自分を律しなさい、しぽりん」
しほ「……そう、ね。ごめんなさい」
千代「わかってくれればいいの」
しほ「…………そうだ。ちよきち」
千代「なに?」
しほ「キレイで大きなお城に興味はない?」
千代「ありません」
しほ「……そう」シュン
千代「あ……」
千代(普段はしっかりしているくせに、こうやってところどころで弱い部分を見せて母性本能をくすぐる。これを天然でやってしまうしぽりんは恐ろしい子!)
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:46:09.89 ID:VzU1fFy5o
【会場内】
ルミ「ふーっ……これで片付け完了、っと」
アズミ「お疲れ様。これ、スポーツドリンク。遠くに置いておくわね」
ルミ「近くに置けって!」
アズミ「ふふっ、冗談よ」ハイ
ルミ「サンキュ」
アズミ「DJ、大変だったでしょう?」
ルミ「そりゃあね。でもその大変さも楽しいからいいんだよ」
アズミ「前向きね」
ルミ「わざわざ私を待っててくれたの?隊長と一緒に行っても良かったのに」
アズミ「……今の隊長のそばにいるのは辛くてね」
ルミ「……ん?どゆこと?」
アズミ「可愛いのは間違いないのよ。少し甘える感じの隊長はいつもと違う可愛さを見せてくれる。でも……その相手が私ではないのが辛いの……!」
ルミ「…………そうか……西住まほ、か」
アズミ「ええ……」クッ
ルミ「うぅ……隊長……私がDJとして活躍する姿よりも西住まほの方を……」
メグミ「2人とも!」ザッ!
ルミ「え……メグミ?」
アズミ「来てたの……?」
メグミ「来てた!というかさっき会ったでしょ!しかもこのやりとりもした!」
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:48:04.28 ID:VzU1fFy5o
アズミ「そうだったわね。隊長ショックで少し記憶が曖昧になっていたみたい」
メグミ「……隊長の件は私もショックよ。だから2人の気持ちがわかる!」
ルミ「メグミ……」
メグミ「飲みに行きましょう!嫌なことは全て忘れて、パーッと騒ぎましょう!」
アズミ「そ、そうね!もう飲むしかないわよね!」
ルミ「よーっし!どの店にする?今からなら……」
亜美「ドランクモンキー!」ザッ
アズミ・メグミ・ルミ「え」
亜美「話は聞かせてもらったわ!とにかくお酒を大量に飲む必要があるわけね!」
アズミ「げ!」
メグミ「ち、違います!」
ルミ「量が重要ではなくてですね……」
亜美「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ!!」
アズミ「それお酒と関係ないですよね?」
亜美「……ああいう風になるくらいお酒を飲みましょうという意味よ」
メグミ「絶対なりたくないんですけど」
ルミ「カメだもんね……」
亜美「勘違いしてない?実写の方よ?」
アズミ「もっと嫌ですよ!顔色悪すぎるし…」
亜美「あっははは!ナッシングバットサムシング!とにかく行くわよ!私のオゴリだから安心しなさい!」
アズミ「うぅ……」
メグミ「どうせヤケ酒になる予定だったけど…」
ルミ「飲む前から憂鬱……」
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:49:34.03 ID:VzU1fFy5o
役人「……………………」
役人(終わってしまった……輝かしい時間だった)
役人(1日をこれほどまでに有意義に過ごせたことはないと断言出来るほど充実していた)
役人(司会だけでなく、まさかバトルをすることになるとは……人生何があるかわからない。予想外の連続と言える)
役人「………………」
役人(そのバトルでは……西住流家元の娘さんである西住みほさんと対戦した……強烈なディスを次々と浴びせられ、私は完敗した)
役人(……悔しさもあったが……今になって振り返ると……)
役人(…………嬉しくもあった気がする)
役人(勉学に励み、社会に出てからも仕事に心血を注いできた。それなのに、高校生に公の場で面罵され……自分の全てを否定される…………なんと気持ちがいい……)ゾクゾクゾク
役人(っ!?違う!私はそのような性癖は持ち合わせていない!)
役人(そもそも、大会中には司会進行のことで頭が一杯だったのだ!だから……)
役人(……冷静になった今、感じたその気付きこそが本質なのではないか?)
役人(私が大洗を廃校にしようとしたのも……廃校そのものが目的ではなく、彼女たちに恨まれ、罵倒されることで快感を得ようとして……!?)
役人「違う!私はッ!あああっ!」
理事長「……辻さん」
役人「あ……理事長……?」
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:53:32.71 ID:VzU1fFy5o
理事長「あなたの気持ちはよーくわかりますよ」
理事長(バトルに負けた悔しさ。それも年下相手に完敗だ。しかも負けた後に司会を続けなくてはならなかった。その辛さが大会後に一気に襲ってきたのだろう)
役人「!わかってくれるのですか!?」
理事長「ええ。私も経験済みですからな」
理事長(ラッパー、KODAMAとして活動中に、若手主体の大会の司会をしていた時、急に出場できなくなった選手の代わりを務め、一回り以上年下の相手に敗れた。辻さんの今回のケースと全く同じ)
役人「なんと!それでは……解決策をご教示頂きたいのですが…」
理事長「そういう時は自分に素直になることです」
役人「!!」
役人(素直に……?女性に罵倒されて快感を覚えるのを認める、と?)
理事長(私は大会後、先輩のラッパーに自分の心情を全て吐き出した。キャリアにあぐらをかいていた自分の情けなさなど、話すことを躊躇ってしまいそうな恥ずかしさはあったものの、吐き出した後はスッキリとした気持ちになった…)
理事長「……恥をかくことを恐れてはいけません。乗り越えるのです」
役人「!!」
理事長「私は信頼できる先輩を頼りました。その結果、今の私があります」
役人「そう、ですか……」
役人(なんて人だ……女性に『罵ってください』と直接頼み込んだというのですか!?そして、その期間を経て、戦車道連盟の理事長に……)
理事長「…………どうですかな?少しはお役に立てましたか?」
役人「……はい。お陰様で、迷いが晴れました」
理事長「それはよかった」ホホホ
役人「…………」
役人(真面目に仕事をしてきたおかげで人脈はある。まずは……そうだ。島田千代さんにお願いしてみるとしますか。もしダメでも蝶野さんなど、当てはある)ウム
役人「ふふっ」
役人(さあて……これから忙しくなるぞ……――――)
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/08/21(月) 00:55:11.16 ID:VzU1fFy5o
こうして、
役人・辻廉太を始め、
様々な人に影響を与えたであろう
第2回フリースタイルMCバトルは幕を閉じたのだった――――
しかし……
みほ「お姉ちゃん!」
愛里寿「まほさん……」
エリカ「まほ先輩!」
カチューシャ「マホーシャ!て、手を繋いであげてもいいわよ!」
まほ「あ、あまりくっつかれると歩きにくいんだが…」
ノンナ「カチューシャ……!」(自販機の裏)
クラーラ「カチューシャ様……!」(店の看板の影)
優花里「西住殿……ッ!」グギギギ...(段ボールの中)
梓「ゆ、優季ちゃん、ちょっと……近い……//」
優季「くっつきたいんだも〜ん♪」
カルパッチョ「たかちゃんったらひどいんだよ?今度デートしようって誘ったら『その日はエルヴィンたちと歴史記念館に行く約束してたことを思い出して……ホントごめん!』だって!チケット無駄になっちゃったなぁ…」
桂利奈「だ、だったら私と行きませんか!?私、カルパッチョさんと一緒にお出かけしたいです!」
彼女たちの恋愛バトルは、これから幕を開けようとしている。
それがどのような結末を迎えるのかは、誰も知らない――――
<おわり>
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/21(月) 00:58:42.51 ID:VzU1fFy5o
以上で完結です
前作同様、長すぎるSSとなりましたが、読んでくれた人、ありがとうございました
そして、
DJ X Boyさん、so was Redさん、TK CYPRESSさん、man lazyさん、momo mameさん、Rap Beatさん、
エル・レッドキングさん、キッズサイファーさん、海月さん、前田カエラさん、
バトル用ビート動画のリンクを貼らせてもらいました。ありがとうございました
504.57 KB
Speed:0.1
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
新着レスを表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)