女「私はこの世界をクズだと思っている」

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45 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:18:48.55 ID:nDsOg8QVO

―――下駄箱

女「なぁ、男はどんな音楽を聴くのだ」

男「なんだよ、藪から棒に。さっきまで傷ついて居たんじゃないのか。僕には理由はさっぱりだったけど」

女「まぁ、それはいいじゃないか。で、どんな音楽を聴くのだ」

男「あまり好んで聴かないよ。詳しくも知らない」

女「そうなのかぁ。詩を書くから、音楽を嗜むのかと思ったがなぁ」

男(本当にこいつは……。まぁ仕方ない、確認しなかった僕も悪かった)
46 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:20:25.59 ID:nDsOg8QVO

ガサゴソ
(靴を履くぼく)
男「じゃあまた明日」

女「……」テコテコ

男(そんなセリフはなかったかのようについてくるぞ……)

女「男の家はどの辺りなのだ?」

男「……K町だよ」

女「おぉ、ならば徒歩通学か!私は、N町なのだ!」

男(隣……最悪だ、帰り道も同じかよ……。)

(ちなみに、うちの高校は通学時間が三十分を下回る生徒は、駐輪場の敷地の関係で駐輪許可が下りないため、徒歩通学を要せられる。)

男「女さん、もしかして僕達は一緒に帰らなきゃいけないのかな」

女「冷たいことを言うなよ、男。わたしは一人で帰るのは退屈だ」

男(帰り道も本来読書の時間なんだけどなぁ。しかも女子生徒と一緒なんて……目立ちたくない)
47 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:21:17.98 ID:nDsOg8QVO

女「ときに男。男が好んで読む作家を教えてくれないか?私も読書の幅を広げたくてな」

男(質問が多い娘だなぁ)

男「沢山読むから、これって言うのは難しいな。〇〇が好きなら△△なんかも好きなんじゃないか?」

女「おぉ!あの作品は、映画化されたものを見たが、原作はまだ見てないな」

男「他にもミステリーとか、恋愛物があるけど、そこらへんが読みやすいんじゃないか?」

女「恋愛物?男は恋愛物も読むのか」

男「別に、選り好みをしないってだけだよ」

女「ほぉ、そうかそうか。やはり健全な男子高生たるもの、色恋の一つや二つに興味が無ければな!」

男(この娘、もしかして人の話を聞けない病気なのだろうか)

48 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:22:10.08 ID:nDsOg8QVO


男「そんな女さんは、どんな本を読んでるんだ?」

女「私か?私はそうだなぁ、偏らないように読む努力はしているが、やはり青春ものを好んで読んでいるなぁ。人生の思い出は、やはり青春であると思わないか?」

男(まるで自分はもう通り過ぎたかのような言い方だ)

男「客観視して、『きっと彼らは楽しいんだろうなぁ』とかは思うけどね。自分に置き換えるとどうも、気力を注ぐ気にはなれないな」

女「むむっ……そうか…」
49 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:22:56.15 ID:nDsOg8QVO
女「男はよく言えば固定概念がなく、悪くいえば無関心と言うような男なのだなぁ」

男「そう言われるとそうかもな。でもただ面倒臭がりなだけだよ。ズボラなんだ、なにに対してもさ」

女「なんと、ズボラはいかんぞ!のちの苦労を生むからな」

男「ははっ、何だよそれ。母親かよ」

女「……!」ジーッ

男「な、なんだよ、顔に何かついてるか?」

女「……」ジーッ

男(なんだか、このまま見つめられるのは少し、と言うかとても気まずい)

女「にひひっ」

女「男は、笑うととてもいい顔をするな。私は笑顔の方が好きだぞ」

男(なんだその、用意されたようなセリフは……)
50 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:23:43.03 ID:nDsOg8QVO


「青春がつまらない、めんどくさいというならば、私が男を笑顔にしよう。私と男は、今日から友達なのだ、そうだな?」

男「そんな、勝手に決めるなよ。本当に気を使われるのは迷惑だ」

女「気を使っているわけではない、私がそうしたいと思ったから言っているのだ」

女「私が、私の価値観で男という人間に触れて、友達になりたいと思ったのだ。それでも駄目なのか?」


男「……なんだ、まぁ、そこまでいうなら好きにしたらいいよ」

男(本当に、やめとけよ、柄でもない。それに加えて、らしくもない)

(そう思ってしまったのは他でもなく、僕は結局、彼女の言葉が嬉しかったからだった)
51 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/17(木) 21:25:19.30 ID:nDsOg8QVO
ストック切れたのでひとまずここまで。

結構長くなるかもです。

気長になんとか頑張ってかく。よろしく
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 21:43:12.60 ID:D/Y8md4Qo

期待してる
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 21:51:31.92 ID:Lir3+38co
期待
54 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:16:04.58 ID:3ny+KUlMO
???数日後。
屋上

男「ふぅ……」

パタッ

男「やはり、件の作家の作品はなかなか面白いな」

男「女さんも進めていたが、やはり二作目も面白かった」

携帯『17時05分』

男「まずい、今日こそ早めに帰らないと……」

ガサゴソ

男「よし、片付けも済んだし帰るとするか」

ガチャ

女「おお、男。遅くなってすまないな。待ったか?」

男「待ってない」

女「そうか、男も今来たところか。なんだ、このようなやり取りは初めての逢引のようでなんだか小恥ずかしいな」
テレッ……///

男「僕は15時過ぎからここにいるよ。そろそろ君が保健室で起きる頃と思って、撒いて帰ろうとしてたところだ」

女「なんだ、そうなのか。しかし男よ、私は昨日たくさん寝たので、早めに起きることができたぞ!よかったな男!」

男「君は人の話を聞かないよね」

女「細かいことは気にするな!」

男(友人宣言されて二週間ほど経つけど、もう7日ほどはこの調子だ……)
55 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:18:10.25 ID:3ny+KUlMO
期待レスさんくす
泣くほど嬉しい、頑張る
56 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:19:58.35 ID:3ny+KUlMO

女「ともかく、今日も仲睦まじく一緒に帰ろうではないか、親友っ!」
ムギュー

男(ちょ、当たってる……)

男「女さん……朴念仁のようだとはいえ、僕も健全な高校生男子なんだから……ん?」

女「お、どうした男」

男「女さん、その背中のやつなにそれ」

女「ん?あぁ、これか。これはアコースティックギターだ」

女「男が屋上を開放しているというので、先生にお願いして持って来たのだ。屋上なら気にせず音を出せるだろ」

男「僕が開放してるってことは、僕がいるってことなんだけど」
57 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:20:56.46 ID:3ny+KUlMO

女「まぁ細かいことは気にするな。どのみち今日は寝過ごしたから、明日にするとしよう」

男「はぁ……。まぁいいけど、楽器やりたいなら軽音部に入れば良いじゃないか」

女「むっ、男は音楽のことをなにもわかっておらんな!」

男「はいはい、わかっておらんよ。聞かないからね」

ガラガラ
職員室

男「鍵返却しに来ました」

学年主任「あぁ、そこかけといて」

男「はい。ありがとうございました。失礼します」

ガラガラ

女「軽音部の連中は、信念がない!やれ、ギターを弾ければ格好いいだの、モテるだのと言いながら、一番女子に受けるようなアーティストの選曲でライブして、群がった女子とまぐわう事しか考えておらん!非常に不純な連中なのだ!」

男(あ、続いてたのかこの話)
58 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:21:58.55 ID:3ny+KUlMO

男「良いんじゃないのか。その後真剣なら、動機は何でもさ。今活躍してるアーティストだって、動機はそれかもしんないしさ」

女「む……それはそうなのだが……」

男(彼女の言いたいことはわかるが、しかしまぁ、結局世論は経過ではなく、過程ではなく、結果なのだ。)

男(完成した形こそが、完結した答えこそが、正解であり至高であり最高なのだ。)

男(僕らのような単なる一般人が、何を言ったところで、それは揺るがない。変わらない。)

女「そうか、そうだなうん。連中がその後しかと音楽と向き合うというならば、認めてやろうではないか!」

男「ははっ、一体誰目線なんだよそれ」


59 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:22:49.82 ID:3ny+KUlMO

女「まぁ細かいことは気にするな。つまり私が軽音部に入ることはないということだ」


帰り道

女「男は音楽を聴かんと言ったが、全く嗜んだりしないのか?」


男「そうだな。別に嫌いじゃないけど、本を読むことの方が好きだからね」

女「本を読む時に、音楽流したりしないのか」

男「二つのこと、同時にできるほど器用じゃないよ僕は」

女「???……ふたつのこと?」

60 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:24:15.03 ID:3ny+KUlMO


男「ほら、歌には当然歌詞があるだろ。聞き取ろうとしてしまうし、意味も考えちゃうんだよ。つまり、歌をBGMに出来ないんだ」

女「………?!なるほど!」

ガシッ
(手を握る)

男「え、なに?」

女「男は、歌を作るものにとって冥利に足りうるリスナーと言うわけだな!」

男「は?」

女「いいか男。歌を作ると言うことは、そこに込めた物が少なからずあると言うことでな」

女「作り手としては、自分の作品が人に理解されることは素晴らしく喜ばしいことだが……残念ながらこの現代において、楽曲が作品性で評価されることは少ない」

男「あー、最近じゃ音楽は消耗品とか言われてるもんな」

女「そうなのだ……。時代の進化に沿って媒体が進化して、一曲ごとに対する大衆の価値観が変わってしまった。それはとても寂しいことなのだ」

男(どうしょうもない、でもどうにかしたい。そんな顔をしてる。だからこそ、あの時の言葉なのかな……)

男「???この世界をクズだと思っている……か」


61 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:26:35.34 ID:3ny+KUlMO


女「そうだ。真に良いもの、光るべきものがこんなに溢れているのに、殆どの人は世論にそれを選び見つけることを委ねている。」

女「だから真に尊く、素晴らしいものは『世界』に切り捨てられてしまう。そう思わんか?」

男「なるほどな。しかし、見解の相違だな。」

女「ぬ?」

男は「現状に対しては同意するけど、僕は人が世論に才能人を選び見つけさせることは悪いとは思わない」

女「ほう、それはどうして?」

男「才能人と見抜くのも、また才能人だからだよ」

女「……ほう、なるほど。一理ある」

男「ただ、音楽に限らず、エンターテイメント業界において、現状そういう役割の人と、お金が絶対的に不足してる悪循環は否めないな」

女「なるほど、男性らしい、理論的な解釈だな!」


62 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:27:26.47 ID:3ny+KUlMO

男「まぁ、音楽に限らず芸術作品ってのは大多数が、浅く理解するだけで充分だと考えてるから、世論に発掘を委ねている現状は仕方がないんじゃないか?」

女「む、そうだな。芸術観の押し売りは私もよくないと思う。しかし、男のいう理屈にしろやはり現状は良くないことには変わりはないのだ」

男「成る程、確かに音楽を作品と捉える人が増えれば、もう少し世の中の音楽への関心は形を変えるかもね」

女「うんうん!」

女「ならばこそ、話は戻るが、男の様に歌を一作としてしかと耳を傾けるリスナーは、作り手側にすれば喜ばしい存在なのだ!」

男「なるほど、しかし大事なことを忘れているようだけど女さん」

女「なんだ?」

男「そんな僕は音楽を聴かないんだ」

女「む、そうであったな……」
ガクッ
63 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:28:05.37 ID:3ny+KUlMO

女「……そうだ、男!!英語!英語は得意か?話せるか?聞き取れるか?!」
ガシッ

男「わっ!なんだよ藪から棒に」

女「どうなんだっ!」

男「成績は割と良い方だけど……リスニングまでは出来ないよ」

女「そうかそうか、ならば良いものがあるのだ」
ガサゴソ

男「?」

女「これを男に貸してやろう」

男「このご時世にCDを持ち歩いてるなんて、多分この学校じゃ君だけだよ。で、なにそれ」

女「私の敬愛するMR.BIGのグレイテスト・ヒッツだ!」


64 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:28:54.75 ID:3ny+KUlMO
男「だから音楽は聴かないって」

女「洋楽だ。英詞なら、多少BGMとして、聞き流せるのではないか?」

男「……あぁ、成る程」

女「あとは、当然洋楽と言えばThe Beatlesも抑えなくてはな」

男「……わかった、ありがたく貸してもらうよ。僕も文芸以外に全く興味がないわけじゃないし」

女「あぁ!これで男が音楽に目覚めると良いな!本当は私も邦楽の方が好きでな。たくさんオススメしたいものがあるのだ」

男「へぇ、プレイヤーやバンドマンって、洋楽にこだわってるイメージあるけど」

女「なにをいうか!そんなものは70年代のシーンが生んだ過去のイメージだ!日本語には英詞にはない表現と哲学があるのだぞっ!」

男(本当に、くるくると表情を変える人だな)

男(特に感情移入もなく読んでた青春文学も、今なら少しだけ理解できるかもしれないな)

65 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:30:12.52 ID:3ny+KUlMO

自室

キュイーン
トゥルリトゥルリギャギャーン
ドゥッドゥットゥイン

男「あいつ……明日あったら絶対許さない」

男「このバンド、ハードロックバンドじゃないか……」
トゥルリトゥル

男「流石に音楽ビギナーには荷が重すぎるだろこれ……」

男「雑音にしかならない……」

男「The Beatlesなら、さすがに僕も数曲知ってるし、ここまでじゃないだろ。CD変えよ」
パカッ

キュイーンギャギャーン
男「……」
66 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:31:09.56 ID:3ny+KUlMO

―――”男の様に歌を一作としてしかと耳を傾けるリスナーは、作り手側にすれば喜ばしい存在なのだ!”

男「………」
トゥリルルトゥリルル
ディッディーンディティー

男( 全部聞いて、それでもダメなら……それは"僕には合わなかった"ってだけだ)

男(彼らの作品を雑音で片付けるには、もしかするとまだ早いかもしれない。)
トゥリルルトゥリルル
ディッディーン

男(はぁ……今日読む本でも決めるか)

ゴソゴソ

ラジカセ「hold on little garl……♪」

男「……っ!?」

男(さっきまでの歌と全然違う……)

男(なんだか心地いいな、この歌は。ノスタルジックな感じだ)

ラジカセ「アイムザ ワンフー ウォーンツ トゥー ビー ウィズユー♪」

男「………曲名は」

男「To Be With You……」
67 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 00:34:00.81 ID:3ny+KUlMO
今日はここまでにしときます。
期待レスの数だけ僕は頑張れるよ_(:3」z)_
みんな好き
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 05:15:54.70 ID:oXp+DJO+o
面白い
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 11:45:37.05 ID:Iw2IIQMD0
70 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:04:00.86 ID:RarcJLKMO
すこしだけすすめますん
71 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:05:37.30 ID:RarcJLKMO
翌日

男「まぁ悪くはなかった」

男「英詞と言っても、結局和訳の歌詞カードがついてるから、それを見ながら聞き込んでしまったよ」

男「結果としては、聴きながら本を読むって目標は達成できなかったけど」

男「有意義な時間だったと言ってもいい」

男「MR.BIGは結局一曲しか聞けなかったけど」

男「The Beatlesはやはり世界的に人気なこともあって、シンプルに良かったよ」




男「で、そんな感想をいち早く聴きたいがために、ずっとこんなところで待ち伏せしてたのか」

女「うむ!早く男の感想が聞きたくて、昨日は早く眠ったほどだぞ!」

男「中々効率的な思考を持ってるじゃないか……」
72 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:06:33.09 ID:RarcJLKMO


女「やはり男が音楽に触れてくれたのは嬉しいことだな、うん!」

男「しかし女さん、やっぱりはじめにオススメするにはHR/HMというジャンルはハードルが高いと思うんだ」

女「む……まぁ気に入ってくれたなら良いではないか、気にするな!」

男「いや、気に入ってはないぞ。興味は持ったけど」

女「まぁそういうな。また今度新しいCDも貸してやろう」

男「いや、当分はいいや。結局本は読めなかったし」

女「な、なんだとっ!」

男「まぁ、気が向いたらまた借りるさ。ありがとう」

女「うむ!やはり友と趣味を共有するのは喜ばしいことだな!」

男「……」

男(友達……か。)

73 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:07:32.91 ID:RarcJLKMO

教室

ガヤガヤ

男「……」

男(女さん、早く登校してきても授業には出ないんだな)

ガヤガヤ

男(詳しくは知らないけど……やはり噂のことは簡単に払拭できないのだろうか)

男(まぁ、僕には関係ないか)

男(関係……ないよな?)
74 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:08:47.84 ID:RarcJLKMO

放課後

ガヤガヤ


ケバい女子「ほんとブス美マヂで勘違い女でさぁ〜ww」

チャラ男「カラオケ行った時にノリでやっちったwww」

軽音部男子「マジかよwww超ラッキーじゃんwww」

男「……」

男(今日は授業の内容濃いかったな……。復習に時間がかかった……)

男(なんでこんな教室に人いるんだよまだ……。もう16時だぞ)

男(……遅くなったし帰るか)

ガラッ
担任「あ!男くん」
スタスタ

男「はい?」

担任「今日は、女さんが先に屋上開けてるみたいよ」

男「はぁ、そうですか」

担任「男くんを探してたみたいだから、顔だしてあげてね」

男「そうですか、わかりました」

男(なんだよそれ……めんどくさ)

75 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:09:40.49 ID:RarcJLKMO



屋上

男「はぁ……唯一の僕の空間も、彼女に毒されてきたなぁ」

男「本を読める時間も少し減ってしまったし……」

ガチャ

男「ごめん、復習してたから遅く……」

ポロンポロン♪
タラランジャジャーン♪

男(綺麗な曲だ……)


76 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:10:46.57 ID:RarcJLKMO

ジャッ……
女「ん……あぁ、男か。遅かったじゃないか」

男「あ、あぁ。復習してたら遅くなってしまった」

女「男は勤勉だな!良いことだ!」

男「いや、僕のことよりも、君の方こそ大丈夫なのか?朝早く来ておいて、授業には出てないみたいだけど」

女「私は保健室で授業を受けているし、家で自習もしているので、成績は中の上をキープしているぞ!」

男「本当か?とてもそんな頭をしているようには見えないけど」

女「失礼なっ!ならば春休み明けのテストの順位表を見てみろ!」
ピラッ

77 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:12:05.16 ID:RarcJLKMO
男「225名中……えっ?!35位?」

男(いや、33位だから辛うじて勝ってるけど……)

女「ふふん、私も編入前は進学校にいたのだぞっ!」

男「そうか、女さんは編入生だったっけ。そういえば、どうして編入して来たんだ?」

女「あっ……いや、まぁ……それは……」

女「まぁなんだか、色々あって引越してきたのだ!!」

男(……なるほど、噂とやらの核はここにあるのか)


78 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:13:15.95 ID:RarcJLKMO


男「まぁそんなことより……今日はギター弾いてるんだな」

女「ん?あ、あぁ。昨日は全く弾けなかったからな。ここで弾いて見たかったし、男が来るまで退屈だったからギターを弾いて歌っていたのだ」

男「へぇ。詳しくないけど、すごく綺麗で上手じゃないか。歌も歌えるのか?」

女「う……と、当然だ!音楽家たるもの、歌ぐらいは当然歌えなくてはな!」

男「じゃあ、聞かせてくれよ。どんなのが歌えるんだ?」

女「ふふふ……男も音楽に貪欲になってきたではないか!いいだろう、ならば男が昨日気に入ったという歌を歌ってやろう」

男「……」

男(なんとか話題をスライドできたな。しかし、彼女持ち上げたら調子に乗るタイプだ……)

女「心して聞けよ!」

ジャジャーン♪
女「ほどーんりるがーる♪しょみーわつひーだーんとぅゆー♪」

男「……」

男(なんというか……)

ジャジャーン♪
ジャジャジャジャーン♪


79 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:14:38.06 ID:RarcJLKMO


女「うぉーんとぅーびー……うぃずゆぅー♪ふぅうー♪」

女「ふはは、どうだ男!」

男「なんというか……」

男「あんまり上手くないな……」

女「うっ……」

男「ピッチ?が……不安定で無理して歌っている感がすごいし」

男「何よりも、この歌に対して女さんの声は可愛すぎる気がするな」

女「ぬぬ……わ、私だって本当は綺麗でハスキーなかっこいい声が出したいのだっ!」

男「ははっ、それはもう声変わりにかけるしかないだろう。女さんならワンチャンスあるよw」

女「な、なんだと!」
80 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:16:07.27 ID:RarcJLKMO


男「まぁともかく、唄は苦手なんだな」

女「む……男の前でつい見栄を張ったが……確かに唄はそれほど得意ではない」

男「ギターは上手なのにな」

女「あぁ!中学生からやっているからなっ!」

女「それにしても、男は素人の割に音感があるようだな。上手くはないにしろ、素人ならギリギリ誤魔化せる程度には歌えていたはずだが」

男「あぁ、母さんが小さい頃家でピアノ教室してたからね。絶対音感は流石にないけど、少しだけ音感があるみたいなんだ」

女「ピアノ教室?!では」

男「僕は弾けないよ」

女「そ、そうか……」
ガクッ

81 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/18(金) 21:17:27.06 ID:RarcJLKMO
期待レスありがとう
今日のストックはここまでだよ、、
これくらいのペースでのんびり書くのでよろしく
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 21:40:14.77 ID:iv3LwYML0
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 12:57:50.70 ID:xJBPjaNg0
良い
84 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:17:08.81 ID:N9cGCwi+O
また少し書きます。
期待コメ、応援コメありがと。
読んでくれてる人がいるだけで感動出来る。
しかし遅筆で申し訳ないヾ(:3ノシヾ)ノシ
85 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:18:03.89 ID:N9cGCwi+O


帰り道

女「流石に、プレイすることまでは無理があるか」

男「それはそうだろう。特に僕は女さんのように、アーティストに対する憧れはない」

女「そうだなぁ、しかし男よ。私は別に、アーティストに憧れたからギターを始めたわけではないぞ」

男「……そうなのか?」

女「そうだな、一言で言うとだな。目標の為には目立つ必要があったからだ」

男「…………目標?」

女「私がなりたいのはな、実は男の言うさ「才能人を見つける才能人」と言うやつだ」

女「この世界のことはクズだと思っているが……」

男(……この言葉を聞くと、ぞくっとする。普段は天真爛漫で、純真無垢な彼女からどうしてこんな言葉が出てくるのだろう)

女「私が一番至福を感じる瞬間と言えば、それは人の生み出す情熱や感情に触れた時だ。そしてその多くは、真に洗練された作品の中にある」

男「なるほど。それで、それを見つけ出す人間になりたいと」

女「あぁ。その説得力を身につける為には、まず自分自身が経歴を積まねばならんからな」

男「へぇ。でも、どうしてギタリストだったんだ?」

女「簡単な話だ。女性で、本当に上手いギタリストというのは目立つだろう。それにギターは、しっかり練習するとちゃんと上手くなるからな」

男「……女さんって、本当はすごく頭がいいんだな」

女「ふはは、だから言っただろう!」

男(まぁ、それを簡単だという君は本当にすごいと思うよ)


86 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:19:01.04 ID:N9cGCwi+O
−−数日後
屋上

男「ふぁあー、もう17時か」

男「今日は女さん来なかったな。先に帰るか」

男(あれから結局、何枚もCDを無理やり貸し付けられてしまった。ついでにCDウォークマンまで)

男「音楽を聴くことが増えて、本を読む時間が少し減ってしまったな」

男「今日は取り返すように読みふけってしまった」

ヒュオオ

男「少し気温も暖かくなって来たな。風が吹くたびに涼しくて気持ちがいいや」
87 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:19:55.64 ID:N9cGCwi+O

男(ここのところ、屋上ではずっと女さんのギターをBGMにして本を読んでいたから、いざ居ないとなると少し寂しいものがあるな……)

男「……あれ以来、女さんは歌ってくれることはないし」

男「ギターサウンドも悪くはないけど、やはりインストより歌の方が需要があるわけもわかる気がするな……」



男「少しだけ待って見るか……」
ゴソゴソ

男「MR.BIGのCD、なんだかんだで聴きこんでしまったな……SHINEって曲も好きになって来た」

〜♪
男「Maybe on your own you take a cautious step〜♪」

男「Till you want to give it up, but all I want is for you to Shine〜♪」
88 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:20:27.27 ID:N9cGCwi+O

ガチャ
女「男、すまない!遅くなっ……」

男「Shine on this life that's burnin' out〜♪」

女「……」


男「I say a lot of things somet……うわぁっ!」

女「おぉ、男。遅くなってすまない」

男「女さん、いつからそこに居たんだ?!」

女「今来たところだ」

男「なんだ、そうか」
ホッ

女「しかしまさか男が歌を歌っているとは思わなかったぞ!」

男(あ、オワタ)
89 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:21:28.18 ID:N9cGCwi+O

女「相対音感を持っていると言ったが、大したものだな!私なんかより歌はずっと上手ではないか」

男「お世辞はいいよ。僕も歌なんてまともに歌ったのは小学校を卒業して久しいよ」

女「何を言う、私はお世辞などは言わん。何よりも声が気に入った!歌物映えする声だな男は」

男「はぁ……ほんと迂闊だったよ。君には恥ずかしいところばかり見られている気がするな」

女「ははっ、それは男の方から痛み分けで頼むと言ったはずだろう」

男「それはそうだった」

女「それで、どうだったのだ?」

男「何がだよ」

女「歌を歌ってみて、どうだったのだ?」

男「……ははっ。乗せられてるようで癪だけどさ、気持ちはいいな。君が打ち込む理由も少しわかる」

女「なるほど……うむ。よし、ならそうしよう」

男「どうしたんだ、早く帰ろうぜ。もう部活動も終わりかけてる」

女「私がギターを弾いて、男が歌うと言うことにすればいいのだ!」

男「なんだそれ」
90 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:22:02.30 ID:N9cGCwi+O

女「私とユニットを組もう!それがいいと思う!」

男「ははっ、なんだそれ。二つ返事で却下するね」

女「な、なんだと!」

男(僕が、そんな才能人みたいなこと、出来るわけないよ)

女「もう少し考えてくれてもいいだろう……」

男「ほら、早く帰るよ」

女「むむー……」
91 : ◆/97y8QDp8w [saga]:2017/08/20(日) 22:23:05.91 ID:N9cGCwi+O
ごめんなしゃい……今日のストックはここまででする……
またお仕事がないときに溜めておきます
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 01:34:19.97 ID:1HCyBEIX0
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 11:33:06.27 ID:5bUf0C500
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/29(水) 02:01:36.78 ID:G/gNiSU1o
そろそろ執筆再開?
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