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北上「我輩は猫である」

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418 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:04:45.78 ID:gRCyU1r30
まあそんなこんなで工房へやって来たわけだ。

夕張「ハローハローお待ちしておりました〜」

大井「なんですかのそカッコ…」

北上「闇医者の世話になる気は無いよ」

夕張「お、分かってるぅ!ブラックジャックと迷ったんだけどアッチはベタすぎるし用意が面倒なのよね〜」

北上「普通に迎えりゃいいじゃん」

夕張「つまらないじゃん」

そう言いながら頭に嵌めた茶色の紙袋を取る。流石にあの高身長を再現はできなかったようだ。
419 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:05:28.15 ID:gRCyU1r30
夕張「あ、先に言っとくけど結構、いやかなーりあっさり終わるからそんなに構えなくてもいいわよ」

北上「え、ほんと?」

大井「はい。5分くらいで」

ウソだろ!

夕張「殆ど妖精さん任せですからねえ。ひみつ道具でいう小人ばこね。寝てたら終わるわよ」

北上「小人?」
大井「ばこ?」

内容から察するに「小人の靴屋」の小人か?

夕張「次はドラえもんね…」
420 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:05:59.94 ID:gRCyU1r30
夕張「そうそう、そこに座って。あと詳しくは言えないけど目は開けない方がいいと思う」

北上「なにそれこわい」

大井「体に不可はかからないので昼寝でもする感じにリラックスで大丈夫ですよ」

北上「そぉ?」

散髪とかの感覚だろうか。もっとも本や漫画で得た知識なので実際に理髪店に行ったことなどないのだが。

夕張「はいはーい、目ぇつぶってー。では妖精さんよろしくぅ」

何かが、始まった。
421 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:06:42.39 ID:gRCyU1r30
不思議な感覚だった。

自分で自分を見つめているような、自分で自分を触っているような、自分で自分を包み込んでいるような。

あらゆる「自分」を認識する刺激を脳が感じているにも関わらず、同じくらい自分が触れているという感覚がある。

触れているのが自分なのか、触れられているのが自分なのか。

それはさておき何だか妙に気持ちいい。

昼寝、とはいかないまでも脳以外の体の機能を切り離し、リラックスしてみる。
422 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:07:14.00 ID:gRCyU1r30
さてお立会い。衝撃の真実。

私には生前兄弟、兄妹?姉妹、まあ家族のような者がいたらしい。

者というか猫。

はてさてそれは一体誰なのか!

北上(まあ多摩姉ちゃんだよね)

ウミネコさんの言う事を全面的に正しいと仮定すれば。

思えばこれでもかと伏線は貼られていたように思う。

これで多摩姉ちゃんじゃないのならばそれはいささかミスリードが過ぎるというものだ。
423 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:07:40.80 ID:gRCyU1r30
推理小説をいくつか読んだ事がある人には分かると思う。

意外な犯人。奇をてらったトリック。思わぬ真相。そういうのを見たくて本を読む。

でも本当にそうだろうか。

例えば、吹雪の山荘に6人。

被害者1人、探偵1人、容疑者4人。

でもある程度推理小説に触れた事があるなら、当然読み手からしたら容疑者は六人全員だ。

実は殺害されたと思ってた彼女が犯人でした。なんと探偵こそが犯人だった。

それは意外で奇っ怪なオチだし読み手としても満足だが、思わぬ真相ではない。

なんだかんだで読み手は最初の段階で無意識にそれらも犯人たり得ると考えるものだ。

故に本当の意味で予想外な犯人なんてそうそういない。

ある程度決められたルールの範囲内でトリックを組みミスリードを誘う。

ここで実は山の幽霊の仕業でしたって言われても萎えるだけだ。

それで面白いのもあるけどね?
424 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:08:12.71 ID:gRCyU1r30
えーっと、だからつまり何が言いたいんだっけ。

夕張「わっ!」
北上「うわっ!?」

夕張「ありゃ、ホントに寝てた?改造終わりでーす」

北上「え、もう?」

あっという間だ。

大井「北上さん北上さん!どうどうどうですかこの衣装!」

北上「おーー、お?」

大井っちの改二衣装。白い、白くて、

北上「エロいね」
夕張「エロいですね」

大井「はぁぁぁぁぁ……」

隅っこでいじけだした。

北上「ゴメンゴメン冗談だって〜」
425 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:08:50.01 ID:gRCyU1r30
北上「先制雷撃ねえ」

夕張「習うより慣れろ、ね」

北上「大体は分かるよ。よく大井っちの見てたし」

大井「いやん北上さんいつもそんなに私のこと見ていてくれたんですか〜」

北上「うんうん見てた見てた」

夕張「慣れてるわね〜。というわけでこちらが甲標的よ。使ってみる?」

北上「いいの?」

大井「提督から、というか吹雪から許可が降りてるわ。なので!一緒に練習しま「あ〜大井さんはこの後近代化改修なので工房で待機です」あ゛?」

夕張「いやいや、あ゛、じゃないですよ…」

大井「チッ…まあ仕方ないわ」
426 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:09:29.00 ID:gRCyU1r30
夕張「それじゃ北上さんは向こうでアブちゃんと「はあ!?」何ですか!今度は何なんですか!?」

大井「今阿武隈って言いましたよね!なんで私じゃなくてあの娘なんですか!」

北上「そういや阿武隈も雷撃出来るんだっけ」

夕張「そりゃあできるできないで言えばお二人共同じですけど、練度が違うじゃないですか…」

大井「ぐっ…」

大井っちは練度50。

阿武隈はたしか80以上だとか。

大井「すぐに、すぐに、抜いてやるわ…」

怪しげなオーラを出しながら工房に戻っていく大井っち。

夕張「ちなみにこれが提督の狙いです」

北上「マジで?」

夕張「多分」

北上「多分かぁ」
427 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:10:00.63 ID:gRCyU1r30
提督「改造、改二おめでとぉおう!!」パァン

北上「お、おう」
大井「はぁ…」

夜。風呂に入ってご飯も食べた後。提督室に呼ばれた。

前に言ってたお祝いだろうとは分かってたけど、まさかこんなテンションでクラッカーまで鳴らされるとは思わなんだ。

大井「はいはい、今度はどんなお酒ですか」

北上「大井っち冷静だねぇ」

大井「前にも一度あったので」

前にも、つまり大井っちが改造で雷巡になった時か。
428 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:10:30.08 ID:gRCyU1r30
提督「今回のは取っておきだぞ。ほれ」

机の上にどんと置かれた一升瓶は、前に私が見たものとは異なっていた。

北上「それって?」

大井「魔王?」

提督「芋焼酎ってやつだ」

北上「変えたの?」

提督「サプライズになったろ?」

なったけど、それじゃ飲めるか確認した意味ないんじゃ…

大井「それで、どうして今回は芋焼酎を?」

提督「二人にぴったりだと思ってな」

大井「え?」

何故に芋。
429 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:10:58.58 ID:gRCyU1r30
提督「よしみんな、グラスは持ったか?」

大井「あらおいしい。いい意味で芋焼酎って感じがしないわね」

提督「はえーよ!飲むのはえーよ!」

北上「生か〜、流石大井っち。私ゃお湯割りかねぇ」

大井「北上さんなら4:6位で丁度いいと思います」

北上「そお?」

提督「えーい勝手に飲め飲め、おら乾杯」

大井「乾杯」

北上「かんぱ〜い」
430 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:11:26.29 ID:gRCyU1r30
北上「あっ、意外と美味しい」

提督「意外とってなんだ意外とって」

大井「聞かない名前ですけど、何処でこれを?」

提督「ここに来る前にいた鎮守府の近くにな、いや近くってほどじゃないけど。そこの地元の人から送ってもらったんだよ」

北上「へ〜、意外な人脈が。というか提督ってほかの鎮守府に居たんだ」

提督「おうよ。2代目にして二つ目の鎮守府さ」

大井「私はこの鎮守府で生まれたので、提督の以前を知らないんですよね」

北上「ほほう。こりゃいい肴になりそうだね」

提督「そんなに気になるか?」
431 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:11:55.13 ID:gRCyU1r30
北上「そりゃその若さで鎮守府移転って珍しい事じゃん?」

大井「一体どんな問題起こしたんですか…?」

提督「何もしてねえよ。ここの前任者が引退した、それだけだよ」

大井「引退、ですか。珍しいですね」

提督「全くだ」

北上「…提督飲まないの?」

提督「俺これ苦手だわ」

北大「「えぇ…」」

子供か。
432 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:12:27.92 ID:gRCyU1r30
お酒って、なぜ飲むのだろう。

酔う酔わないで言えば私は強いほうだ。

でもあんな苦い、というかなんというか。妙な刺激だけのわけわからん飲み物をわざわざ飲もうとは思わない。

大井「ほ〜ら、まだありますよぉ〜」

提督「バッカおめぇ入れ過ぎだよそりゃよ。割れ割れお湯だお湯」

大井「こんなものお茶ですよお茶あ!」グビ

提督「バッカおめぇバッカお酒はそんな楽しみ方するもんじゃねえんだよ」クイッ

顔真っ赤で底なしの笑顔を浮かべる大井っちと、少し体制がふらつき呂律も回らない提督。

完全に出来上がってる。

北上「元気だね」ボソッ

お湯割りに少し口をつける。
433 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:13:05.30 ID:gRCyU1r30
北上「ついて行かなくてよかったの?」

大井「アレくらいの酔いなら1人で用くらいたせますよぉ。というか、なんで私がついて行かにゃならないんですかあの人に」

北上「それもそうだね〜」

提督室で2人っきり。

しかしあの人ねぇ。いつもと違って随分柔らかい言い方をするじゃあないさ。

大井「ふぅ…」

北上「…」

またか。

改造してから何故か唐突に溜息をつき悲しげな表情をする時がちらほら。

まさかそこまで服の事を気にしてるのか?
434 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:14:49.82 ID:gRCyU1r30
北上「そういや大井っち、夕飯前にどこ行ってたの?」

大井「ああ、えと。明石さんのところへ」

北上「…服は変えられないと思うよ」

大井「へ?…ああ、そうですよね…北上さんこそ。雷撃訓練はどうでしたあ?」

北上「良かったって。目がいいからね私。あとは慣れって言われたよ」

提督「ただいま諸君!」ガチャ

北上「お〜おかえうわっ提督!下下!」

提督「どうしたぁ北上!」

幸いにもフルチンじゃなかったが、パンツ一丁とは…

大井「提督」

提督「なんだぁ!」

大井「お酒に、強くなりましょう」

提督「よしこいぃ!」
435 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:17:56.14 ID:gRCyU1r30
大井っちの特訓によりぶっ潰れた提督をベットに放って私達は部屋に戻った。

大井「いいんですか?提督を介抱しなくて」

なぜ私に聞くのか。

あ、そうか。私をダシに自分も介抱するつもりか。

別に残ってもいいのにさ。

でも、まあ。

北上「いいよいいよ。戻ろ」

なんとなく、阻止してみる。邪魔してみる。なんとなく。
436 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:18:29.81 ID:gRCyU1r30
部屋までの道のりはなんだかいつもより遠く感じられる。

大井っちは全然平気そうだけど、私はちょっとふらつく。

大井「大丈夫ですか?」

そう言って肩を持つ大井っちはすごく嬉しそうだ。なんというか勝ち誇った感じの笑顔。

北上「ただま〜」

流石にみんな寝てるか。

寝支度は終わってるし私達もさっさと寝よう。
437 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:19:07.68 ID:gRCyU1r30
多摩「おかえりにゃ」

大井「多摩姉さん。起きてたんですか」

いつも思うけどこういう時のひそひそ声って寝てても普通に聞こえる音量よね。

多摩「今起きたにゃ。多摩は耳がいいにゃ」

北上「そっか」

耳がいい、ね。

多摩「どうせ酒臭いんだろうにゃ。端で寝るにゃ」

北上「分かってるよ」

大井「ヨシッ」

端、ではなく私の隣という事実に食いつく大井っち。
438 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:19:33.99 ID:gRCyU1r30
大井「おやすみなさい」
北上「おやすみ〜」
多摩「おやすみにゃ」



聞けばいい、聞けばいいんだ。

ひょっとして生前猫だったりしない?なんて。

でも、なんだろうね。

ちょっと怖い。

とはいえいつまでも放置しておくわけにもいくまい。

少し、歩き出さないと。
439 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/03(日) 03:21:49.97 ID:gRCyU1r30
更新、攻略ともに再開

しかしイベントの方はこれもうダメかもわからんね。

E7は丙の予定だし行けそうだが、ルイちゃん掘れるかな…
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 07:32:19.76 ID:gwmGfHOE0
E6は無駄に時間がかかる+堀は戦力ゲージのほうが楽だから先にE7オススメ
E7は丙なら資源枯渇済みじゃなければE6まで突破できた提督に食い破れないとは思えないよ
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 09:11:36.90 ID:zCfASR6SO
北上さまはネコ
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 09:27:34.88 ID:Y7eY1OMI0
更新乙です
E7の丙は楽、だけど今まで準備をきっちりしてた提督ならって感じかな?
グラ子堀の為に丙で割ったけど丙なら護衛退避が出てもボスを昼で落す事は出来る
ルイージは440さんも言ってるがE6の戦力がいい
甲ならボス前マスでザラとポーラのチャンスもあったりするしね
もう少しだけ期間はあるので焦らずに頑張ってください!
主さんの艦隊が勝利と共にあらんことを!
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 18:13:35.84 ID:5v0bt2tao
おつにゃー
444 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:28:29.66 ID:ZEMrep6Q0
天気、曇り。

この時期には珍しく気温は30度を下回っているらしい。

誰も通らない道路を1人で歩く。

左手には海。右手には草木が。

心地よい風が頬を撫でる。

過ごしやすいのは私だけじゃないのか、蝉たちの声もいつもより元気なように思える。

北上「あ」

と、思わず声が漏れた。

私の視線は、道路の脇に横たわっているそれに釘付けになる。

見てはいけないものを見てしまったような。何か見慣れたものを見たような。不思議な感覚を覚える。


蝉の声が一瞬、止まった気がした。
445 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:29:06.96 ID:ZEMrep6Q0
腕時計を見る。

予定の時間まであと10分。提督が貸してくれたものだ、ズレているということはあるまい。

早めの行動を心掛けて得た貴重な時間だ。

具体的に何をするかはまったく決まって無かったけれど、何もしないという事だけはしないだろう。

私は少しづつそれに近づいていった。

足取りは軽くも重くもなく、先程と変わらぬ速度で。
446 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:29:55.40 ID:ZEMrep6Q0
それに私の影が重なった。

不思議な事にそれと私の影は形が違った。

北上「よりにもよって、こんな日にね」

今日はお盆。なんて、そんな事気にするのはこちらの勝手で、この子にはなんの関係もないことなのだけれど。

改めてマジマジとそれを見つめる。

思っていたよりも綺麗だった。

この場合の思っていたはつまり轢かれてグチャグチャになってはいないかという話だ。

そうではないという事は撥ねられたのだろうか。

少しほっとする。

おかしな話だよね。

もうそこにはいない本人ではなく全く関係の無い私がそんな事を思うなんて。
447 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:30:58.95 ID:ZEMrep6Q0
北上「さてと」

肩にかけていた大井っちから借りたカバンを漁る。

念のためにと大井っちと提督から持たされたあれやこれやが七つ道具もかくやと言った感じに入っている。

実際役に立ちそうだ。

ビニール袋を二つ取り出して手にはめる。

別に艦娘は細菌とかなんやらには強いから問題ないけど普通の人間はそうはいかない。

これから人里に降りるのだしそこら辺は配慮しなきゃ。

北上「人里に降りるって、我ながらどうなんだろうね」

なんとはなく話しかけてしまう。

なんだろうか、この感じは。親近感?だとしたら何処に?
448 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:34:48.47 ID:ZEMrep6Q0
そっと、包み込むようにそれを持ち上げる。

暖かくは、なかった。

ビニール越しに伝わってくる感覚はおよそ生命の尊さを宿しているものとは言い難いものだった。

どがつかない程度の田舎だ。まして鎮守府のすぐ近く。舗装された道路以外は自然そのものだ。

道路脇の草むらにそっと死体を置く。

夏色の草木が私の手なんかよりも優しく、広く包み込む。

彼、彼女かな?確率でいえばまあ彼だろう。

その彼は最早人の目の届かない空間に置かれた。

時計を見ると残り時間は五分を切っていた。

貴重な10分は、決して長い時間ではないようだ。

もっとも時間がもういくらかあったとしても、私はこれ以上の事はしなかったろうし、出来なかっただろう。
449 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:35:23.35 ID:ZEMrep6Q0
北上「…」

両手にはめたビニール袋を慎重に裏返しながら考える。

こういう時はどう締めればいいのかな。

日本人ならやはり両手を合わせて南無阿弥陀仏?

それで言うと私はキリスト教かもしれないのだが、元。

まあ誰が見ているわけでもないし、そんな事をしても一銭の得にもなるまい。

せっかく会えた、なんて言い方もどうかと思うが、同胞にねぎらいの言葉でもかけてやろう。

北上「お疲れ様」

裏返して外したビニール袋を更にビニール袋で包んでカバンにしまう。

さてそろそろ時間だ。バス停に向かおう。
450 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:35:50.90 ID:ZEMrep6Q0
北上「それじゃね」

三毛猫の死体は、当然ながら、残念ながら、返事をしなかった。



33匹目:猫に小判



価値のわからない者にそれを与えても何の意味もない、という意味。

豚に真珠もそう。

ところでなんで人は動物に無理難題ふっかけてそれをことわざにするのか。

価値を知らないってそんなの当たり前じゃん。というか分かっても使えないじゃん。

勝手に並べ立てられて比べられる動物の方はいい迷惑だ。

だからこれは、そういった動物達の代表として、私から人類へのささやかな仕返しである。
451 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/04(月) 03:42:17.53 ID:ZEMrep6Q0
しばらくはチョコチョコ更新していきます

E5甲終わり
旗艦リシュ子が30になっちゃったよ
なんというブラック

幸いにも海外艦は実装時にお向かいできているので今回はルイちゃん一点狙いです
明日から掘りながら輸送するだ…
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 15:32:45.30 ID:Q9emqAIc0
更新乙です
三毛猫は雄の生まれる確率低いから雌の方が可能性高いかなぁ
ペットショップで出ると高級外車のセダン1台分はいくんだよねぇ(遠い目)
ルイ堀は輸送は止めて置いた方がいいと進言
丙でもTP1350だけど輸送の方だと丙はS限定(甲でTP2000という驚愕のTP)
難易度にもよるけどE6はさっくり終わらせて
E7も終わらせた後に戦力ゲージで堀をした方がいいと思う
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 18:46:03.78 ID:3AVH2uBJ0
乙です。
遺伝子学的には雄の三毛猫は存在しないんだっけか?雄の三毛猫は身体が雄として産まれただけで基本的な遺伝子は雌で生殖機能は無いって聞いたことあるけど。
まぁ雪風なら確率的に雄の三毛猫拾ってきそうとか思ってしまった。
454 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:09:35.47 ID:xL8gPs6W0
雄雌うっかり間違えた…

雌に脳内変換お願いします
455 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:10:19.38 ID:xL8gPs6W0
北上「お、きたきた」

毎日海に出ている私達よりもよほど日焼けしている古びたバスが坂を登ってくるのが見える。

予定表の時刻との差は10分。

これ程の正確さで毎日巡回しているとは、交通機関というのは実に素晴らしい。

初めてのバス乗車。大井っちの言いつけ通り確認をとる。

北上「〇〇行きであってますか?」

「ん?合ってる合ってる。ここじゃ他に行くバスは通ってないよ」

運転手のおじちゃんが優しく笑う。
456 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:11:07.86 ID:xL8gPs6W0
入ってすぐの少しだけ位置の高い席に座る。

うむ、なかなか良い眺めだ。

「お嬢ちゃん、鎮守府の人かい?もしかして艦娘ってやつなのか」

運転中に、しかもバスの運転手が話しかけてきた。そういうものなのか?

いやこの際それはどうでもいい。

問題は鎮守府、つまり軍の関係者にあっさりと話しかけている事だ。

艦娘もいわば国家機密というか、軍の兵器。一般人がおいそれと触れていいものじゃない。

だから私もお忍びという事で変装してきているのだ。

だというのにいきなり艦娘とは。

北上「違いますよ。学生です。〇〇中学の」

「んー聞いたことねえな」

北上「隣の県から来たんですよ」
457 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:11:57.10 ID:xL8gPs6W0
どうやら艦娘とバレてるわけじゃないようだ。乗ったバス停から適当に言ってみただけなのかな。

確かにあそこは鎮守府を除けば民家は数える程しかない。

北上「兄に会いに来たんです。鎮守府で働いてて」

「おー軍人さんかあ。すごいねぇ」

北上「ええ、まあ」

会話はそこで打ち止めとなった。流石に運転に集中してくれたのだろう。

これ以上聞かれたらどうしようかと思ったがどうにか誤魔化せたようだ。

ちょっとした緊張が切れ、背もたれに体重を預ける。

北上「ありゃ」

ポニーテールを結わえたところが後ろにあたる。

やはり不便だなこれは。慣れないことをするものじゃない。

変装目的なので解くわけにはいかないのだが。

窓を見る。

鎮守府は随分と遠くなっていた。
458 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:14:13.75 ID:xL8gPs6W0
提督「外に行きたい?」

北上「そ。改造祝と、前の貸しとで。いいでしょ?」

提督「まあそりゃ止める理由は無いけどよ」

大井「でもどうして急に?」

北上「これだよこれ」

大井「えーと…サイン会?」

提督「あーこの本最近話題になってるやつだ。テレビで見たことあるぜ」

北上「私のお気に入りなんだけどね、その作者がここの近くの街でサイン会やるんだって」

大井「それで外に」

提督「なるほどね。理由は把握した」
459 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:15:08.29 ID:xL8gPs6W0
大井「では提督、今度の日曜にでも私と北上さんで行ってきますね」

北上「え、私1人がいいんだけど」

大井「な゛っ!いやなんですか!私と2人はいやなんですか!?」

提督「落ち着け落ち着け…でも誰かとはともかく北上は外に行くの初めてだろ?1人は流石に危ないだろ」

北上「大井っちは行ったことあるの?」

大井「え、あぁはい。何回かは。服とかは実際に見て買いたいですからね」

提督「行ったことあるなしに関わらず基本は複数人でいくんだよ。何があるかわからないからな」

北上「そっかぁ…」

大井「何かひとりで行きたい理由があるんですか?」

北上「うん、ある」
460 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:15:39.98 ID:xL8gPs6W0
北上「おっと」

バスが揺れる。

何か石か段差でも乗り越えたらしい。

車内を見るといつの間にか人がチラホラと乗っていた。

「次は〇〇。〇〇です」

メモ帳を確認する。

大分町に近づいてきたようだ。

渡りの景色も人工的なものに変わってきている。

カバンの中のカードを確認する。

私のこれまでの働きに対する報酬が入っているカードだ。
461 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:16:27.61 ID:xL8gPs6W0
バスがトンネルに入った。

黒い窓に自分の顔が写る。

口元が少し歪んで、ニヤッという音が聞こえそうな顔をしている。

実物の硬貨でないのは少し残念だがまあいいだろう。

そう、これは私の復讐なのだ。仕返しなのだ。

私にはこの小判の価値がわかっている。

誰も知ることはないだろう。

今日を世界で初、猫が小判を使った記念日にしてやるんだ。

他の誰でもない。私が、私だけの力で成し遂げるんだ。

バスがトンネルを抜ける。

北上「おお」

そこには大きな、いや決して大きくはないのかもしれないが、しかし私が衝撃と感動を覚えるには十分な程に活気に溢れる人里があった。
462 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/05(火) 02:19:51.51 ID:xL8gPs6W0
前に近くに図書館があるとか言ってたけど気のせいだな

助言に従いさっさと輸送を終わらせようとしたら、出ました。三回目で、ルイちゃん
平日にチマチマ輸送して土日で綺麗に終われそう
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 04:55:21.23 ID:E351rPLd0
乙です。
うん気のせいだな、うっかり図書館があるとか勘違いするのはよくある事さ。
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 14:22:35.63 ID:Fenb7uzv0
ルイおめおめ
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 19:07:58.06 ID:BIZvVjmC0
更新乙です
ルイジは驚きの3変化
最後の伊504になると白スクなんだ
何で複数持ちを最初から解禁してくれなんだか.....
あっ、谷風と同じで中破注意なのでお気をつけくだされ
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/08(金) 00:07:23.95 ID:i364u23F0
おつ
北上と吹雪が実際提督をどう思っているのか……
467 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 03:15:43.63 ID:3MbIRneq0
北上「変、じゃないよね?」

終点。なんでも新幹線も通っているという一番大きな駅で降りる。

周りには鎮守府の何倍も大きな建物が立ち並んでいる。

駅の建物にある服やカバンが飾られているケースの前に行き、自分の姿を映す。

ポニーテールにセーラー服、学校指定といった感じのカバン。

「それでさー思わず買っちゃったんだあ」
「えーマジで?」

ガラスに、私の後ろを通る2人の女子学生が映る。恐らく中学生だろう。

北上「うん、違和感なし」

私も傍から見れば中学生に相違ないだろう。

話し相手がいないのは少々寂しいが、目的のためには仕方ない。

サイン会まではまだ時間がある。

今日はこのカバンに教科書の変わりに本を詰めて帰るんだ。

さて、本屋はどことどこにあるのだっけな。
468 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 03:16:20.55 ID:3MbIRneq0
北上「変装?」

提督「そそ。ほら、お前ら顔割れてるだろ?」

北上「まあクローンみたいなものだしねぇ」

基本的に一般人と接触する機会はないが、大都市なんかじゃパフォーマンスとして人々の前に出ることもあるらしい。

何せ北上というだけで皆顔が同じなのだ。どこかの北上がそうやって人々の前に出た時点で私の顔も割ることになる。

大井「だから変装するんですよ」

北上「いやでもそんなルパンみたいな事簡単にできるものなの?」

それとも何か変装用の装備とかあるのかな。
469 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 03:17:09.15 ID:3MbIRneq0
提督「そう難しい事はしねえよ。確かに顔は割れている。でも皆、艦娘ってのはあの服を着てあの装備をしてあの髪型をしてって固定されたイメージしかもってない」

大井「私達も基本的には人間と何ら変わらないんですから、少し工夫すれば変装としては十分なんですよ」

北上「工夫?」



北上「工夫ねえ」

読んでいた本を棚に戻す。

これは自論だが読むかどうかは粗筋や評判、作者などで決まるがその場でこれを買おう!となる本は大抵最初の3ページで決まる。

とまあそれはどうでもいいんだけど。

隣の棚に移動するとそこは漫画コーナーだった。

学校帰りの男子学生が3人立ち読みをしていた。

面白いものだ。普段は戦場で血に濡れている私達が、こうも簡単に日常に溶け込めるとは。
470 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 03:17:53.06 ID:3MbIRneq0
髪型も服装も大井っちから借りた。

球磨型で外に出る時は皆で同じ制服を着ていくらしい。

重巡や戦艦などとなるともっと大人な服装をするとか。

興味はなかったのでスルーしたけど。

というか話を聞く限りお洒落をして街に出る人はそこそこいるようだがホントに大丈夫なのかな、それ。

今こうして本を立ち読みしている時でさえいきなり「お前艦娘だな」とか黒服のやばそうな巨漢に話しかけられやしないかとビクビクなのだが。

変装の意味もその効果もよくわかっているけれど、そんな芸能人みたいな話と国の極秘情報を一緒にしないでもらいたい。
471 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 03:18:48.90 ID:3MbIRneq0
北上「よし」

買えた。

カバンに文庫本11冊+サイン付き単行本1冊。

本来教科書やらがギッシリ詰められ毎日通学時にウンザリさせられるであろうその重さは、今の私にとってイコール幸せと言っても過言ではない。

迷いに迷ったがその場で買うか否か決めるというのは中々機会が無さそうなので今回は文庫本で質より量作戦をとった。

猫の初めての買い物が文庫本11冊というのは如何なものかと思わなくもないけれど。

加えて言うとそれをカードで払いほぼ空っぽのカバンに詰めて帰る中学生を見る定員の顔が今日一番の思い出かもしれなかった。

しかしこのカードどうなってるんだろう?

個人情報とかあるんだろうし私のことバレるんじゃ…偽造カード?それはマズイか。

世の中案外ガバガバという事なのだろうか。

さて、では帰ろう。
472 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 03:20:29.96 ID:3MbIRneq0
攻略も更新もままならん

ルイちゃんは改が良い。この子もいつか書きたいな
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 10:46:05.02 ID:7NnTGDs/0
おつおつ
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 13:42:21.44 ID:P2YFNkObo
おつなのー
475 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 14:12:55.36 ID:630WyN9t0
北上「あ、そろそろかな」

帰らなきゃ、と思ったのは本屋を出てさあ帰ろうと言ってからかなり経ってからだ。

辺りに鳴り響くこの良い子は帰ろう的な放送がなければさらに遅くなっていたことだろう。

そういやこの曲なんて題名なんだろう。

多分知らない人はいないレベルで有名なんだと思うけど、カラス何故鳴くのってとこ以外正直知らない。

カラスの子とかでいいか。

読みかけの本に栞を挟んでしまい、席を立つ。

久々の過ごしやすい気候に思わず公園のベンチでの読書というなんだか洒落た行動をとってみたけど、これは大当たりだった。

陽の光と潮を感じないそよ風は私を日常から切り離してこうした非日常を感じさせるのに十二分な効果があった。
476 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 14:13:56.99 ID:630WyN9t0
公園前のバス停に丁度バスが停車する。

急ぎ足で乗車口に向かうと前に若い男性の会社員と女子、高校生かな?がいた。

彼ら、彼女らは帰るべき場所に帰るのだろう。

日常から日常へ。

居るべき場所に。

ICカードを読み込むピッという音が2回。

私も同じようにステップに足をかける。

でも、私は違う。

非日常から日常へ帰る。

忌むべき場所に。

小銭の落下音が妙に耳に残った。
477 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 14:14:33.94 ID:630WyN9t0
窓から外を見るとちょうど日が沈むところだった。

茜色。

茜って響きなんかいいよね、私は好き。

ふと最近読んだ本を思い出した。

確かに映画の小説版。

そこに書いてあった。

夕暮れ時。昼と夜が入れ替わる。暗いのでもなく明るいのでもない。

明るくなくなる、暗くなる。ぼやけて移ろいであやふやになる。

境界が揺らぐ。

すぐ近くにいる相手の顔が見えなくなる。

アナタは誰?

彼は誰?

誰ぞ彼

黄昏時。

日本語って適当なもんだ。
478 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 14:15:20.96 ID:630WyN9t0
北上「君は誰?」

バスの窓に映る黒い影に問う。

この人の形をした影は、果たしてなんなのだろうか。

元々艦娘も人と船があやふやに有耶無耶にくっついている存在だ。

私なんかは輪をかけてあやふやだ。

そういやみんなはこの戦争についてどう思っているのだろう。

私は忌むべき場所と言ったが、あそここそ艦娘にとって居るべき場所のはずでは?

「〇〇〇〜」

バスが停車し、人が降りる。もう残りは私だけのようだ。

な〜におセンチになってるんだか。一人旅は思いの外堪えたらしい。

次はみんなで来よう。変にいじはらず寂しいと擦り寄ればいいのだ。

北上「ふ、あぁ〜」

ねむ…
479 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/09(土) 14:16:30.62 ID:630WyN9t0
私は古い民家に囲まれた路地に一人立っていた。

北上「あれ?」

いやおかしくない?それ。

帰路についたんだし鎮守府に着いていて然るべきなのでは?

だというのに私は日が沈み真っ暗になった田舎の路地に一つだけポツンと立っている街灯の下に、同じくポツンと立っている。

不思議な事に周りの家々はこんな時間だというのに灯りの一つも灯っていない。

ふむ、なんだろう。夢か?

こういう時猫ならば暗闇だろうと自由に動けるのだが今はそうはいかない。

光源ゼロでウロウロしたらどうなるか。

猫と人間の体を自由に変えられたらなあとくだらない現実逃避を始めたあたりで、遠くからドォンと音がした。
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 21:28:41.41 ID:nDN/0agY0
更新乙です
ルイの字、改の状態だと夜戦できんのじゃなかったっけ?
あの娘かなり特殊な潜水艦だった気がする
伊504まで改造してドラム缶積んだら東急2に出せるとも聞いた
481 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/10(日) 04:31:20.63 ID:CxjiehoL0
最初は砲撃音かと思い身構えたがそれが同じところからリズムを取りつつ激しさを増して聞こえてきたあたりでようやく太鼓の音だと気づいた。

太鼓ねえ。

何にせよ太鼓の音がするということはそれを叩く者が少なくとも1名はいるはずだ。ならばそこに向かうとしよう。

ようやく闇に慣れてきた目を必死に使い、少々急ぎ足で音の方向へ向かう。

路地を抜け音の方を見て、理解した。

北上「おお」

それほど大きくもない山に光の列が見える。恐らく階段に提灯か何かが飾られているのだろう。

太鼓の音とともに次第に人の気配も大きくなっていく。

つまりこれは

北上「お祭りか」
482 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/10(日) 04:32:26.99 ID:CxjiehoL0
ボンヤリと暖かい光に包まれた石段を登っていくと華やかに飾られた鳥居が見えてきた。

鳥居ってあんなにごちゃごちゃと着飾ってもいいものなのかな。クリスマスツリーじゃあるまいし。

しかし鳥居があるということはここは神社か。名前は山の入口の石に掘ってあったがとても読める状態じゃなかった。

鳥居を潜るとそこはもうこの世のものではないような光景が広がっていた。

それほど広くもないであろう境内に所狭しと屋台が並んでいる。

人も芋洗い状態だ。

その慣れない雰囲気に一瞬面食らったが、すぐに好奇心に背中を押され人の波に流されていった。
483 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/10(日) 04:33:17.22 ID:CxjiehoL0
北上「はあ…」

やられた。いやまあ客観的に言って完全に私が悪いのだが、それでも私はしてやられたと言おう。

当然ながら、残念ながら、祭りでカードは使えない。

さて何を買おうと小銭を用意しようとした時に気がついた。

何たることか。折角の貴重な機会だというのに猫が小判を忘れるとは。

祭りの流れから出た私にはこうして神社の建物に腰掛けて項垂れることしか出来なかった。

そういや夕張が「神社の裏ってもうそれだけでなんか変な想像しちゃうよね」とか言ってたけど、あれどういう意味だったんだろ。

確かに少し不気味な感じはするけれど、丁度暇だし覗いてみようか。
484 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/10(日) 04:33:49.44 ID:CxjiehoL0
重たい体を持ち上げ建物、本殿って言うんだっけな、を時計回りで裏に回ろうとした時だった。

「また会ったねお嬢さん」

北上「ん?」

声がした。

しかし後ろを振り向いても誰もいない。

「下だよ下」

下?足元には何も無い。いやまさか。

本殿の下、縁の下を見る。

三毛猫「お困りの様だし力を貸そう」

そこには不思議な縁があった。




33+1匹目:三毛猫ラビリンス
485 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/10(日) 04:36:28.82 ID:CxjiehoL0
ルイ改のあの服が、いい

E6甲了。長いね。何運んでたんだろうね。パスタかね
E7は、丙なら、丙なら1日で終わるはず…
486 :全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる [sage saga]:2017/09/10(日) 05:49:58.85 ID:+aRuX2lM0
丙イベント諦めました2020年三笠イベントに向けてキラ付けしますね
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 06:54:34.69 ID:47X07j+r0
乙です。

丙ならまだ一日半あるからギミック解除すれば大丈夫。
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 07:42:19.01 ID:6xRG2aOq0
理不尽雷撃が少しでも当たらないように第二は余ってる伊良子でキラ付しとくと更に回数少なくて済むはず
丙なら航空隊はボス1ボス前1空母BBA1で到達優先でいい
余程の不運体質じゃなければちゃんと出撃し続けりゃ終わるはず
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 08:43:30.51 ID:yaZjU5Ow0
更新乙です
丙は各1.5万あれば終わる
基地は488さんの言う割り振りで問題なし
戦力、装備整ってれば昼戦で終わるのでまたーり頑張って下さい
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/11(月) 01:55:14.24 ID:XYDud+hv0
知恵なら貸すからクリアに専念しとくれ
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 01:55:49.18 ID:XYDud+hv0
sage失敗
492 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/12(火) 03:24:43.21 ID:dtojEZ7a0
先程と同じく本殿に座る。

先程と違うのは隣に話し相手がいることだ。

三毛猫「僕も祭りに参加したいのだが、この体ではどうしようもなくてな」

北上「そりゃあ猫だもんね」

三毛猫「そこでだ。お前に僕を運んでほしいんだ。その代わりに僕がここを案内しよう」

北上「知ってるの?」

三毛猫「お前よりは」

北上「私は北上っていうんだ」

三毛猫「そうか。僕は、野良だからな。名前はない」

北上「じゃあホームズはどう?ミーコでもいいけど」

三毛猫「…ならばホームズだ」
493 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/12(火) 03:25:31.37 ID:dtojEZ7a0
北上「でもさ、私お金持ってないんだ。案内されてもさ」

ホームズ「知ってるさ。なあに、ここは任せろ、心配するな」

北上「はあ…」

この妙な自信はどこから来るのか。

とりあえず私は三毛猫ホームズを抱えて祭りの流れに戻った。

ホームズ「そうだな、アレだ。アレが飲みたい。行くぞ!」

北上「はいはい、って行くの私なんだけどな〜」

アレとは。え、お酒?

北上「酒って…」

ホームズ「人間の食べ物は猫にはきついからな。これなら大丈夫だ」

北上「酒も人間の飲み物だよ」

もしくは神の。
494 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/12(火) 03:26:05.35 ID:dtojEZ7a0
北上「で、どうやってお金を用意するの?盗むとか言わないよね」

ホームズ「そんな事はしない。簡単な事さ、1杯下さいと言えばいい」

北上「ええ?」

くださいって…なんかもうめんどくなってきた。

北上「1杯くださいな〜」

「はいよ〜」

貰えた。コップに1杯並々と。

屋台のおばちゃんを見る。

柔らかい笑顔でこちらを見ている。

抱えたホームズを見る。

ホームズ「ふっ」

うわ凄いドヤ顔。
495 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/12(火) 03:29:38.19 ID:dtojEZ7a0
北上「結構貰ってきちゃったね」

ホームズ「残さず食べるなら問題ないさ。さて、一緒に食べよう」

最初の本殿に戻って戦利品を広げる。

饅頭に煎餅にようかんに型菓子エトセトラエトセトラ。

素晴らしく祭りらしくないラインナップだな。

ホームズ「ふむ、悪くないな。うん」

三毛猫の方はピチャピチャとお酒を飲んでいる。いける口らしい。何故だ。

北上「タダってなんか気が引けるな〜」

ホームズ「構うな。どうせ彼らも貰い物なんだ」

貰い物?どういう事だ。まあいいか。

北上「それじゃ私も」

これは…東京バナナ?東京ってバナナを栽培していたのか。知らなかった。

しかしなんてネーミングセンスだ。いやそれを言ったら夕張メロンもそうか。

北上「はむ」

ん〜…

バナナ、の味?
496 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/12(火) 03:30:23.41 ID:dtojEZ7a0
北上「なんだか変わったお祭りだね」

ホームズ「そうだな。変わったと言うならお前から見てこれほど奇妙な祭りはないだろう」

北上「あとなんかさ、年寄り臭いよね」

食べ物も飲み物もジジ臭いというかババ臭いというかさ。

唯一あったオモチャがこのキュウリに棒を刺した謎の物体だ。

ホームズ「若い者もいないわけではない。居るべきではないのだがな」

よく見れば1人2人くらいは確かに若者もいるようだ。

なんという高齢祭りだ。

ホームズ「…」
497 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/12(火) 03:34:40.45 ID:dtojEZ7a0
イベントは無事終わりました。ホントに昼でアッサリ終わるんだね…
とはいえ鶴姉妹や長門以上の戦艦もいないので乙甲は断念。嫁の記念写真があればいいのよ

ロイヤルのお姉さまも欧州棲姫もかっこよすぎ。いつか書きたい
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 07:34:54.43 ID:gxMXP0iG0
更新お疲れ様
そして、完走乙です
戦力的に1さんかなりの新米提督なのかしら?
今後を考えられるのでしたら次回イベントまでに鶴姉妹と長門型は揃えられるといいですよ
大規模は年1位なので次回の秋はよくて中規模だと思うので告知から備蓄するとして
自然回復圏内で大型回されるといいかも、大型のハズレ枠で鶴姉妹は出やすいから、
大和型は育成に資材が掛かるから初心者向けじゃねぇわあれww
マップを開放しているなら補給艦つぶしを兼ねた5-4を一日3回、これだけでも月に1〜2は翔鶴型みかけますよー
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 08:04:10.63 ID:gIzY513DO
北上さん、それ食べたら帰れなくなるのでは……
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 08:10:24.08 ID:mBo5TXbgo
きゅうりに棒を刺したおもちゃ…あっ…
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 10:10:26.83 ID:JDZ3Rd6W0
一気に夏目友人帳的な世界に迷い込んでしまった、あれ雰囲気いいね
完走おめだよ
502 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:22:33.95 ID:hOWSotFH0
太鼓が激しくなってきた。

北上「おお。いよいよ大詰めだね」

ホームズ「そうだね」

北上「あの太鼓の乗ってる台。お神輿なんだね。初めて見たよ」

ホームズ「そうだね」

北上「キレイだねえ」

ホームズ「…お前はまだ夢を見ているつもりなのか?」

北上「夢?なんで急に」

ホームズ「…僕の事を覚えていないのか?」

北上「えと、ホームズでしょ?」

ホームズ「ああそうだ」

北上「だよね」

ホームズ「そうだ。今朝会った、三毛猫だ」

ん、今朝?
503 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:23:09.82 ID:hOWSotFH0
急にきゅうりがモ〜と鳴いたかと思うと祭りの流れに向けて歩き出した。

ホームズ「いよいよ大詰めだよ」

神輿が持ち上げられ、屋台の間を不規則に揺れていた人の波が一斉に同じ方向を向く。

1歩1歩ゆっくりと、鳥居へ向かってゆく。

北上「みんな、どこへ行くの?」

ホームズ「帰るのさ」

北上「家に?」

ホームズ「家にはもう帰った後だよ」

北上「…」

ホームズ「帰るっていうのは、あの世にさ」

急に辺が暗くなった。
504 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:23:37.44 ID:hOWSotFH0
ホームズ「お前は、艦娘というヤツみたいだな」

うん。

ホームズ「だがそれだけではないだろ?僕がお前を見つけられたのはそれが原因のはずだ」

猫、だったんだ。昔ね。

ホームズ「昔、か。なるほど。そういう事もあるのか。面白いな」

艦娘を知ってるの?

ホームズ「知ってはいないがお前と出会ってどんなものかは理解したよ。お前達は魂ではなく思い出を宿してるんだ。だから本来僕らには関わらないはずなんだ」

僕ら。

ホームズ「そう。だけどお前には魂があった。それも少々特殊なね」

そうかも。
505 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:24:16.09 ID:hOWSotFH0
ホームズ「お前は、僕達に近い存在なのかもな」

近い、ねぇ。

ホームズ君はどうしてここに?

ホームズ「不運にもこんな日に事故に遭ってしまったのさ。もっともホントに不運だとは思っていないが」

あの流れには混ざらないの?

ホームズ「言ったろ?アレは帰る人達だと。僕は帰るんじゃないし、人でもないから」

迷い猫か。

ホームズ「それはお前にこそふさわしい」

はは、そりゃそうか。
506 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:24:48.57 ID:hOWSotFH0
お盆も終わりか。

ホームズ「覆水盆に返らずと言うけれど、こうしてお盆には帰ってくるのだから面白い」

お、その言い回しいいね。

ホームズ「そうかい?」

でも結局、残された人から見れば帰ってきたかなんてわからないんだよね。

ホームズ「だからこそ覆水盆に返らず、さ」

零れた水は戻らない。

取り返しなんてつかない。
507 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:29:13.23 ID:hOWSotFH0
祭りの波はもう半分以上が鳥居をくぐり上へ登っていっていた。

石段ではない階段を、上へ。

私の目に映るそれに先程の華やかさはなく、まるでぼんやりとしか覚えていない昔の記憶のような虚ろとなっていた。

ホームズ「さてと。僕もやるべき事をやろう」

北上「何かあるの?」

ホームズ「猫の恩返しというやつさ」

恩返しか。

そういえば私は恩を返せていないんだよね。

私を抱いてくれた毛むくじゃらの腕を思い出す。

麦畑よりも輝いていたあの金髪を思い浮かべる。

そう、丁度あんな感じの。

北上「あれ?」

ホームズ「どうした」

北上「いや、あそこに今」

懐かしい匂いを感じた。
508 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:30:48.89 ID:hOWSotFH0
祭りの最後尾。

そこに確かにいた。

私は四本の足で駆け出していた。

「行くな!!」

あの金髪を目指して。

あの腕を目標にして。

あの記憶を頼りにして。

私も、そこに行きたい!

ボヤけていた視界がハッキリしてきた。

だが私の目に映ったのは、長い金髪の女性と毛むくじゃらの腕の大男の、2人だった。
509 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/13(水) 03:31:26.50 ID:hOWSotFH0
第二次サラトガ白黒戦争勃発
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 08:46:50.57 ID:keZ1cuHK0
更新乙さまです
2人もちで解決、なんら問題はないです
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 12:28:39.67 ID:CYQxBm/H0
あかーん!
はぐれてた自分の愛猫を抱っこしてあの世に連れ帰っちゃう流れだこれ
多摩ねーちゃん助けて!
512 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/14(木) 02:15:16.56 ID:4oCXpnXN0
え?

今にも鳥居を潜らんとするその2人に、後少しで追いつくところで私は一瞬怯んだ。

なんで2人?

「うらあぁぁぁ!!」

その一瞬に首根っこを銜えられた私は彼と2匹で鳥居を潜り、石段を転げ落ちていった。

1人、ではない。2人が離れていく。

分からない。

でも確かに私は2人を知っているように思えた。
513 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/14(木) 02:15:55.27 ID:4oCXpnXN0
北上「…ありがと」

石段の一番下で私は仰向けに倒れている。

ホームズ「お礼を言われるとは、正直思わなかったよ」

猫様の方はちゃっかり私の上に着地している。このやろう。

北上「ありがと…」

ホームズ「言っただろ。猫の恩返しって」

北上「ふふ。迷い猫オーバーランだね」

ホームズ「なんだいそれは?」

北上「君が知らないものだよ」

ホームズ「どうやらそのようだ」

ホームズ越しに鳥居の方を見上げる。

そこには先程の喧騒が嘘のように静まり返った暗い山があるだけだった。
514 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/14(木) 02:16:23.05 ID:4oCXpnXN0
北上「これからどうするの?」

ホームズ「お前はこの道を真っ直ぐ進むといい。そこまでは僕が送ろう。でもその先はお前次第だ」

北上「ホームズは、どうするのさ」

ホームズ「僕が何処へゆくかは、君自身で確かめてくれ。なあに焦る必要は無いさ。いずれその時は訪れる」

北上「そっか」

ホームズ「では行こう。あまり長居する場所ではない」

北上「うん」

ホームズ「立てるかい?」

北上「大丈夫だよっと」

私は、二本の足で立ち上がった。
515 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/14(木) 02:17:45.78 ID:4oCXpnXN0
北上「もう会えない?」

ホームズ「実際のところ、僕らは会ってすらいないからね」

北上「それもそうだ」

ホームズ「色々とイレギュラーだっただけさ」

北上「お墓でも作ろっか?」

ホームズ「よしてくれ。死んだ後まで場所を取りたくはない」

北上「世の中歴史的建造物になるような墓を立てる人もいるんだよ」

ホームズ「そいつらはきっと生きているという感覚が麻痺しているんだろう」

北上「君にとって生きているという事とは?」

ホームズ「そうだな。それで言うなら、僕今生きているのかもしれない」

北上「生きているんだ」

ホームズ「死に意味は無い。だから君がまだ生きている。また生きているのにはきっと意味があるよ」

北上「哲学的だなあ」

ホームズが足を止めた。

私は止まらなかった。

別れの言葉はない。

だからつまり、私達は実際のところ別れてはないのかもしれない。
516 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/14(木) 02:18:16.05 ID:4oCXpnXN0
谷風「また随分と奇妙な体験をしたものだねえ。そういう期待はあったとはいえ、これはあまりにも予想外だよ。ほいで今回の件に関する感想を一言欲しいんだけど」

北上「痛い」

谷風「どこが?」

北上「耳が」

帰るなり提督と大井っちに大声で色々と言われた。心配しただの何があっただの。

私は特に何も答えなかった。

2人の方も答えを期待していたわけではなく、単にそれまでの心配が爆発してそれを私で発散したというだけのようだ。

これに関しては私に原因があるので甘んじて受け止めた。
517 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/09/14(木) 02:18:46.08 ID:4oCXpnXN0
吹雪曰くもう少しで提督としての権限を限界以上に行使してあらゆる手段で私の捜索に出るところだったとか。

物凄い呆れ顔で語る秘書官殿からは苦労が滲み出ていた。

吹雪の事を問題児と提督は言っていたが、どうやらお互い様という事らしい。

ちなみに、ここまで聞くと私が数時間ほど帰るのが遅くなったかのように思えるかもしれないけど、実際のところ遅れたのはバス1本分。

はっきり言って過保護なバカ親が2人も騒いでいただけというのが正しい。

そう。気づいたら私は1本後のバスに乗っていた。

普通に降りて、普通に鎮守府に戻り、普通にお小言を大声で聞かされ、普通にご飯を食べて、こうして普通に夜の屋根上で真っ黒な空を見上げているだけだ。
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