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北上「我輩は猫である」

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249 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/07(月) 01:17:21.35 ID:Z54/mzoS0
たまにこういう話を書きたくなる

ところで最初猫の日にして最後猫の目にする予定だった気がするけど気のせいだね。別に間違ったとかじゃなく、うん
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 06:21:11.28 ID:RjihM/NNo
いいね
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 12:09:28.97 ID:+y4FrlaC0
更新乙
>209

>205はせめてって書いてるから分かってて書いてんじゃね?
軍艦って一般的な意味では軍に所属する(輸送艦含む)艦艇だし
今、アメリカとかフランス、イタリアとか居るし
そこんところは各国で規定も違うから旧軍準拠って訳でもないでしょ
252 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/07(月) 14:03:21.81 ID:Z54/mzoS0
24匹目:海の猫






神風「きーたかーみさーん」

北上「…なに」

神風「その、遊ばないんですか?」

北上「遊んだからこうして休んでるの」

神風「なるほど」

北上「そらにさ、アレ」

神風「あれ?」

沖の方。先程から爆音がする方を指さす。

しばらくすると水柱が上がる。

北上「アレに混ざりたくはないでしょ?」

神風「えっと、どういう事ですか」

季節は夏。炎天下の、海水浴に来ていた。
253 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:33:25.77 ID:8J5RfRUx0
夏とはどこからが夏なのか。この場合七月下旬。近所の小学校はもう夏休みらしいよ、じゃあ夏だな、というノリ。

もっとも気温はとっくに真夏日のオンパレードなので今更感満載なのだが。

いやあ夏ですねえ。

ビーチパラソルの下でビーチチェアに寝そべりアイマスクという場違いな格好をしといてなんだけど。

神風「いいから説明をっ」バッ
北上「うおっ」

アイマスクを剥ぎ取られた。

目がなれてくるにつれ光の中から段々と神風の水着姿が浮かび上がってくる。

北上「おぉ、可愛いじゃん」

神風「そ、そうですか?」

恥じらいながらもクルッと一回転。この娘、分かっていやがる。
254 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:34:15.28 ID:8J5RfRUx0
えーっとなんて言うんだっけか。このフリフリが付いてる水着。昨日大井っちが色々教えてくれたけど正直頭に入ってない。

あーそうだフレアビキニだ。

白い布が彼女の肌と髪色を際立たせてる。所々入っている淡い紅色のラインも髪の色と合わせていいアクセントになっているようだ。

神風「私達の水着はみんな松風が選んでくれたんです。凄いんですよあの子のコーディネート」

北上「みたいだね」

ちなみに私は球磨姉から借りた普通のビキニ。何をもって普通というかは知らないけどまあビキニと言われて最初に思いつくやつみたいな。

色はもちろん茶色。モチロン?

神風「キャッ!」
北上「おお」

爆音と激しい水飛沫。沖からだいぶ浜に近づいてきた。
255 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:35:01.68 ID:8J5RfRUx0
神風「何か悲鳴が聞こえたような…」

北上「球磨姉が木曾と大井っちの水着盗って追い回されてるの」

神風「またですか…警戒とかしてなかったんですか?」

北上「昨日の夜から細工をされていたとか」

神風「その熱意はどこから…」

あ、まただ。

木曾の対潜能力の高さに球磨姉も中々難儀しているようだ。
256 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:35:58.56 ID:8J5RfRUx0
こんな普通の砂浜で艦娘がどったんばったん大騒ぎしてもいいのか。

いいのだ。

何故なら普通の砂浜じゃないから。

鎮守府から東に数キロ。所謂プライベートビーチなのだ。

なんでも昔遠征藩が帰りにこの島にビーチと別荘があるのを見つけたらしく、そこを勝手に使っているというわけだ。

いやいや勝手に使っちゃダメでしょ、ともちろん提督は反対したのだが、

深海棲艦の脅威から持ち主も完全に見放していると調べた上で

別荘の鍵ぶっ壊して侵入

私物を持ち込み勝手に劇的ビフォーアフター

最低限の電気設備の確保

潜水艦による付近の調査を終え

パラソルやチェアがいくつか並ぶ浜辺の写真と

「今日から出張間宮海の家がオープンですよ」

と満面の笑みで報告する吹雪を見て諦めたそうだ。

南無三。
257 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:36:41.17 ID:8J5RfRUx0
実際合理的ではある。人気がないからか深海棲艦による被害はこれまで無かったが、普通の人間が暮らすにはあまりに危険な場所だ。

ならば国を守る我々艦娘が日々の疲れを癒す場として有効に使おうじゃないか、とのこと。

吹雪は絶対おっしゃラッキーくらいにしか思ってないだろうけど。

神風「ほらほら、折角なんですから遊びましょうよ」

北上「えー神風型の愉快な仲間達は?」

神風「みんなバテて休憩しちゃってます」

そういやこの子読書っ子のくせにアグレッシブというか、体動かすの好きなタイプだったな。

みんなついていけなかったか。
258 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:37:16.40 ID:8J5RfRUx0
北上「やだよー暑い暑い」

神風「焼けたいわけじゃあるまいし、こんな所で寝転んでるだけなんて勿体無いですよ〜」

北上「だるーい」

神風「もう、だったらどうしてここに来たんですか」

北上「姉ちゃん達に来いって言われた」

例の家族会議(?)の後、急遽決まったのだ。なんと多摩姉の直談判により今日の私達の出撃予定を全て無くしてまで、だ。

何者だ多摩姉。

ともあれそこまでされたら行かないわけにはいくまい。

北上「私を励ますため、なのかねえ」

神風「励ます?」
259 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:37:46.58 ID:8J5RfRUx0
多摩「その通りだにゃ」

神風「多摩さん?え、どこ?どこから声が」

北上「そこそこ、そこのボール退けてみそ」

神風「ボール、これか」

パラソルの下。空気を入れる前の不自然に膨らんだボールを取ると、

多摩「にゃあ」

神風「キャァァッ!?」

中から多摩姉の生首が出てくる。
260 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:38:19.68 ID:8J5RfRUx0
神風「う、埋まってたんですか、ずっと」

多摩「ヒンヤリしてて、良い心地にゃ」

神風「遊ばないんですか?」

多摩「暑いのは勘弁だにゃ」

猫が2匹、球磨型にはいる。

多摩「球磨型の掟にゃ。何かあったらここのビーチで気分転換するのにゃ」

神風「そうなの?」

北上「いやこっちを見られてもね」

ないでしょそんな掟。

多摩「嘘にゃ」

無かったよそんな掟。
261 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:38:48.39 ID:8J5RfRUx0
多摩「去年の今頃。大井が酷く落ち込んだ時があったにゃ」

北上「大井っちが?」

神風「それって、例の輸送船事件の時ですよね」

多摩「そうにゃ。外国から日本に向かっていた輸送船が深海棲艦に襲われたんだにゃ」

北上「そんな事件が」

多摩「護衛はいたけどあまりにも予想外な奇襲で多くの被害が出たそうにゃ。その時たまたま近くにいたのが、大井を含むうちの艦隊だったにゃ」

北上「でも一年前って言ったら大井っちもまだまだ新米の頃でしょ?」

多摩「だから提督も戦わず乗客の避難に集中しろ、ヤバかったら脱退しろと何度も言ってたにゃ。でも行かないわけにはいかない。それほどの事態だったにゃ」

北上「…それで」

神風「船は積荷の爆発、炎上で沈没。乗客の生き残りはなしです」
262 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:39:18.41 ID:8J5RfRUx0
多摩「正直仕方ない話にゃ。護衛艦隊はかなりの猛者だったにゃ。それを不意打ちとはいえ尽く沈めた相手を、たまたま近くにいただけのちゃちな艦隊で撤退まで追い込めただけでも十分な戦果にゃ」

北上「でも、そんなんじゃ納得しないだろうね」

多摩「その時の様子を詳しくは教えてくれなかったけど、まあ酷い落ち込みようだったにゃ」

神風「それで、水着を盗ったのかな」

多摩「あれは素にゃ」

北上「素かぁ」

そこはワザとであって欲しかった。
263 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:40:02.40 ID:8J5RfRUx0
北上「なんかゴメンね。今回は私のためだったのにこんなにのんびりしてて」

多摩「くつろいでるならそれでいいにゃ。そもそも北上は昨日の時点でだいぶ吹っ切れてたにゃ」

北上「お見通しか」

神風「流石ね」

北上「自慢のお姉ちゃんだよ」

多摩「照れるにゃ。ん?あ痛い、イタイタイタイタイタイ!!」

神風「なに!?今度は何!?」

北上「頭の後ろにカニがいる」

多摩「にゃあ゛あ゛あ゛出れない!出れないにゃあ゛あ゛!」

神風「北上さん!どうすれば!」

北上「おやすみ〜」アイマスク
神風「北上さん!」
264 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:40:37.99 ID:8J5RfRUx0
多摩「」

神風「カニは排除できましたけど…」

北上「まあ静かでいいんじゃない?」

神風「まだ沖ではどんぱちやってるみたいですが」

北上「あれはほら、花火みたいなもんだと割り切って」

神風「汚い方になりますよあれ」

北上「たーまやーって」

神風「まあ確かに弾ですけどね」
265 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:41:31.82 ID:8J5RfRUx0
神風「暇です」

北上「本あるよ」

神風「持ってきたんですか」

北上「ホントは別荘にいるつもりだった」

神風「水着の意味が無い…」

北上「ほら、前に言った猫探偵シリーズの」

神風「あぁアレですか。好きですね猫」

北上「猫も好きだけど、あの人の文章が好き」

神風「分かります」
266 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:42:03.29 ID:8J5RfRUx0
神風「でもここは海です」

北上「海で読書ってアジがあるよね」

神風「暑いし砂は飛ぶしで最悪です」

北上「つまり私は早く別荘に行くべきだ」

神風「本を諦めましょうよ」

北上「そもそも他の駆逐艦は?」

神風「遠征等で午後から参加です」

北上「それで一層暇なわけか」
267 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:42:49.68 ID:8J5RfRUx0
神風「かくなる上は…」

北上「え、なに。何企んでおわっ」

のしかかられた。私の体に覆いかぶさるように。

多分体制的に顔を合わせてる状態なんだろうけどアイマスクで見えない。

北上「ちょ重っ、くはないか。いやでも暑いよこれ暑い」

神風「そう!このまま密着してれば汗だくです。海に出て涼みたくはなりませんか?」

北上「コノヤロ〜…」

やばいホントに暑い。どんだけ遊びたいんだこの娘。

北上「これ神風も暑いじゃん」

神風「私はすぐ海に向かうので」ギュッ

腕を首に回され、さらに抱きつかれた。

しかしなんというか、女同士で向かい合って抱きついているのに妙に体が密着するなぁ…

神風「…」
北上「…」

なにか通じあった気がした。
268 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/08(火) 18:43:34.07 ID:8J5RfRUx0
色々あってろくに書けてない

なんもかんも台風が悪い
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 20:14:37.90 ID:Gh/R75sX0
その胸は平坦であった
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 08:20:00.29 ID:KtDTjVXV0
赤川次郎か
いいセンスしてんな
更新乙でございます
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 12:37:58.67 ID:fOvGAhg10
ああ……うん……まぁ……そうね。
272 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:45:25.90 ID:c64pr5xS0
神風の鼓動が、

互いの吐く息が、

体を伝う汗が、

全てがハッキリと感じられる。

うわ髪が引っ付いてきたよ。

身体と身体の間にある雫がなんとも言えない心地悪さ。

北上「だーもう!わかったわかった行くよ」

アイマスクを取って神風の顔を見る。

神風「ホントですか!やった」

パァッて擬音が聞こえるくらい表情を輝かせてる。

脅迫までしておいてこの娘は…

普段黙って本読んでる時の文学少女感はどこへ行った。

神風「よーし、まずは一泳ぎして汗を流しましょう」

北上「却下」

神風「え」
273 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:46:16.85 ID:c64pr5xS0
神風「遊ぶって言ったじゃないですか」

北上「泳ぐの等は禁止」

神風「…北上さん」

北上「なに」

神風「泳げなかったりします」

北上「…します」

多摩「ちなみに多摩も泳げないにゃ」

神風「」

絶句、だった。
274 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:47:07.30 ID:c64pr5xS0
船だから水には強い?

何をおっしゃる。あんなん浮いてるだけじゃあないか。

潜れるか!

泳げるか!

某海賊マンガだって弱点は溺れる事だぞ!

まあ私の場合泳いだ事がないからホントに泳げないかどうかもわからないけど。

未知と猫の記憶から水に対しての恐怖が拭えないのだ。

ちなみに多摩姉ちゃんはマジで単純にただただ泳げないだけ。
275 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:48:38.75 ID:c64pr5xS0
神風「つまり泳げないわけではないんですよね」

北上「かもしれないって話だけど」

とはいえ汗だくは嫌なので海水を浴びに行く。とりあえずは。

神風「怖いんですか?」

北上「最初は水も怖かったけどね」

水が腰くらいの高さまで来るところでストップ。

神風「ここが限界ですか」

北上「お風呂は別に嫌いじゃないんだよ」

神風「じゃあ何が?」

北上「過去の記憶と、経験が無いことから来る恐怖」

神風「矛盾してません?」

北上「真逆の事を言ってはいるけど矛盾はしてないんだよ」
276 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:50:45.35 ID:c64pr5xS0
呼吸ができない。

視界が悪い。

足がつかない。

これだけの条件が揃って怖がらない理由がない。

神風「あっ、視界だけなら解決できますよ!」

北上「へ?」

神風「ちょっとズルいですけど、こうやって…」
277 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:51:22.69 ID:c64pr5xS0
海がなんで青いか〜なんてググれば済むような雑学はともかくとして、海中から見た景色を一言ありふれた言葉で表すと

本当に空中にいるような感覚だった。

水中ではなく、かと言って空中とも少し違う。

光の中にいる、といった感覚だった。

神風『どうですか?凄いでしょ!』

北上『こりゃいいや』

通信で会話する。

そう。神風のズルい解決策とは、艤装の力を使うことだった。

言わば機械の目だ、染みることもない。
278 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:52:04.91 ID:c64pr5xS0
神風『とはいえ艤装ですから燃料を消費します。あんまり使うと司令官に怒られちゃうので』

北上『あんまりじゃなきゃいいの?』

神風『誤差ですよ誤差』

ホントかよ。

ちなみに重巡以上は消費量の関係で禁止だそうだ。

北上「ぷはっ」
神風「ふぅ」

北上「まさか船なのに海に潜る日が来るとはね」

神風「流石に息の方はどうしようもないですけどね」
279 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/09(水) 22:53:16.34 ID:c64pr5xS0
神風「さあどうです?次は泳いでみましょうよ!」

うわなんか凄い調子に乗ってる。

北上「私としてはもう少し海中探索してたいんだけど」

神風「それなら!いいスポットがありますよ。こっちこっち」

岩場の方を目指して無防備歩いていく。

くくく馬鹿めそれは罠だ。

北上「とりゃあ!」
神風「ひっ!ちょきたかアハハハダメダメダメェ!」

後ろから抱きついてのくすぐり攻撃。さっきの仕返しだじゃじゃ馬め!
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 22:54:50.95 ID:UYW7mXjw0
ポロリクルー?
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 06:38:13.69 ID:CLjyngmko
…ほう
282 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:17:22.34 ID:20RJ36TY0
人のことは言えないがこのような矮躯でバケモノと戦ってるって凄い事だよね。

精々が中学生程度の身体。

骨のラインがはっきり分かるような細身。

艤装が無ければ私1人振りほどけない腕力。

北上「ほれほれここか、ここがええんか」
神風「アハハハハハ…だ、だめぇ!ハッ、アハハハ…ハ…ふえ?」

北上「…」

神風「き、北上さん?」

北上「人間魚雷だ」

神風「…え?」

沖合から何かが、いや何かは明白なんだけど、突っ込んできた。

笑い涙を恐怖の涙に変えながら逃げようとする神風。

しかし、まあこれはどうしようもない。

大井「きーたーかーみーさーん゛!」

着弾。
283 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:18:02.93 ID:20RJ36TY0
大井「だって!せっかく水着を取り返したと思ったら北上さん海辺でキャッキャウフフしてたんですよ!我慢できるわけないじゃないですか!」

北上「お、おう」

神風「し、死ぬかと思った…」

木曾「悪いな、止められなくてさ…」

多摩姉の所に戻ると、隣に球磨姉が刺さっていた。

足を上にして。

茶色い水着なのでまあ球磨姉だろう。

北上「捕獲したと」

大井「逃げないようにと」

神風「二酸化炭素の逃げ場がないのでは」
284 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:19:56.11 ID:20RJ36TY0
北上「というかさ、こんなとこ他に見る人もいないんだし水着無くてもいいよね」

木曾「いや幾ら何でも、いや、ありか?」

神風「でも司令官はめったに来ませんよね」

多摩「忙しいからにゃ、あれでも。ところで出られないんだがにゃ」

北上「オシャレのしがいがなさそうだよね」

木曾「一部のヤツらは残念がってたな」

北上「やはり水着なんて着なくても良いのでは?」
285 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:20:35.59 ID:20RJ36TY0
大井「何言ってるんですか。普段しっかり隠していた方が本番の時萌えるじゃないですか」

神風「ほ!ホンバン…」カァァ

北上「…」
木曾「…」

これは提督の事か?私か?

多摩「あ、なんか来たにゃ。それはそうとここから出して欲しいにゃ」

神風「遠征組が来たみたいですね」

北上「なんか沢山荷物ない?」

木曾「スイカにクーラーボックス、スーパーの袋、でけぇ肉…どうやってあんな物」

多摩「お昼はバーベキューかにゃ。食べたいにゃ。出たいにゃ」
286 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:21:09.09 ID:20RJ36TY0
北上「私らも一旦別荘戻るかね」

大井「そうですね」

神風「私もみんなを呼んできます」

木曾「んじゃあ俺は、見張りかな…」

北上「よろしくね〜」




神風「ところで多摩さんは何故ずっと放置なんですか?」

北上「水着忘れたから裸なんだよ」

神風「えっ」
287 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:22:00.03 ID:20RJ36TY0
大井「はいどうぞ北上さん」

北上「さんきゅー」

手渡された串にはBBQされたお肉と野菜がバランスよく刺さっている。流石だね。

大井「いいんですか?あちらに混ざらなくて」

北上「ちょっとね。騒がしいのはまあ、嫌いじゃないんだけど。今は少し考え事を」

大井「お邪魔でしたか?」

北上「ううん。むしろ私が邪魔になりそうだからここに来てるんだ」

あちらのBBQ会場は30人程が三つのコンロを囲んでいる。

そのうち一つからやたらと黒い煙が上がっているのが少々気になるが。
288 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:22:38.47 ID:20RJ36TY0
大井「では私はこれで」

北上「あー大井っち」

大井「はい?」

北上「ありがとね」

大井「野菜も、ちゃんと食べてくださいね」

北上「は〜い」

向こうへ戻っていく白いワンピース。

大井っちもオシャレに気を使う一部なのだろう。提督はああいうのが好みなのかねえ。

さてさてお肉のお味は。

北上「…生焼けじゃん」

暗に戻ってこいと言っているのか?
289 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:23:09.30 ID:20RJ36TY0
球磨「食後のスイカ割りだクマー!」

多摩「おー」

球磨「ところで一つ質問があるクマー!」

北上「おー?」

球磨「なぜスイカの隣に球磨が埋められてるクマー?」

大井「はい目隠しー」

多摩「おー」

北上「回って〜」

多摩「お〜〜」

大井「はい棒です」

木曾「十歩前に進んで右足で踏み込んで打て」

球磨「木曾ぉぉぉぉぉ!!!」
290 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:23:56.46 ID:20RJ36TY0
北上「もうちょい前前」

球磨「右!右がスイカクマ!」

大井「右は偽物です」

球磨「スイカ割りって言ったクマ!」

木曾「球磨姉もう暫く声出しててくれ」

球磨「なんで音を頼りにしてんだクマァ!スイカは喋らねえ!」

木曾「そこだっ!」

球磨「違うぅ!」
291 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:25:01.45 ID:20RJ36TY0
声で球磨姉の位置がわかるという事は当然隣のスイカの位置がわかるわけで、

まあここではずす程木曾の練度は低くない。

北上「スイカって砕くより切った方が絶対うまいよね」

大井「雰囲気を味わうものですから」

木曾「でも細かいのは勿体ないよな」

他の子達は普通に切って食べている。

何故こんなことをしてしまったのか、という後悔が…
292 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:25:52.22 ID:20RJ36TY0
北上「プッ」

種を飛ばし虚しさを誤魔化す。まずまずの飛距離だ。

木曾「プッ!」

北上「うおぉ、凄い」

木曾「コツがあんだよコツが」

多摩「すぅぅぅぅ…に゛ゃ゛!ゲホッ!飲み込んだにゃあ゛!」

北上「オヘソから芽が出てくるよ〜」

木曾「スイカの子供が産まれてくるぜ」

多摩「」

大井「はっ!つまり北上さんの出した種を食べればそれはもう北上さんの子供を宿したと同義なのでは!」

北木「「えっ」」

私達の種は鎮守府の花壇に埋めることとなった。

こういうのって生えてくるものなのかね?
293 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:26:31.95 ID:20RJ36TY0
大井「北上さ〜ん。口移しでいつもと少し変わった食感を楽しんでみません?」

北上「いやかき氷ってそれやったらただの水だよね」

木曾「多摩姉それ何味だ?」

多摩「鰹節にゃ」

木曾「鰹かー。え鰹っ!?」

多摩「嘘にゃ、ココアにゃ」

北上「お、あのネットはバレー用かな」

大井「口移し」

木曾「多分だけどおい姉、言ってる事と思ってる事が逆だぞ」

多摩「球磨型も参加するにゃ」
294 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:27:13.49 ID:20RJ36TY0
北上「最初は神風型と17駆か」

多摩「17駆の方は既にボールが四つもあるにゃ」

大井「何食べたらああなるんでしょうね」

北上「提督は大きいのが好きなのかな」

大井「…なんでここで提督の名前が出てくるんですか」

木曾「あれだけデカイと邪魔そうだがな」

北上「海とは違って飛んだり跳ねたりするからね」

多摩「多摩と同じかそれ以上にゃ」

大井「私よりも大きいかも知れません」

木曾「駆逐艦とは」

北上「デストロイヤーだね」

多摩「あんなもん一般のビーチにだしたら死人が出るにゃ」
295 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:27:57.71 ID:20RJ36TY0
北上「谷風って運動神経いいんだね」

大井「艦娘としての練度も高いですし、運動能力は高いはずです」

木曾「浦風も凄いな」

多摩「浜風はダメダメにゃ」

北上「磯風はアタックしかしてないけど強いね」

大井「神風は流石ね」

多摩「松風と春風もよくボールに食いついてるにゃ」

木曾「朝風は、ドジっ子か」

大井「ドジっ子ですね」

多摩「ドジっ子にゃ」

北上「あ、顔面にボールが」
296 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:28:55.45 ID:20RJ36TY0
球磨「クマクマクマ!見てるだけかクマお前達」

北上「ありゃいつの間に」

木曾「なんだよその笑い方…」

大井「そうですね、もう1度埋めましょう」

多摩「ところでなんで水着はなくてこれはあるんだにゃ」ブルマー

球磨「妹達が冷たいクマ…」

木曾「自業自得だろ」
297 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:30:01.46 ID:20RJ36TY0
多摩「水着はないが運動着はあると言われてみりゃこれにゃ」

球磨「似合ってるクマ」

多摩「ネコでブルマとかキャラあざとすぎにゃ。20年前のギャルゲーかにゃ」

北上「自分で言うかね」

球磨「ネコもブルマも玉追いかけてなんぼクマ。さっさと動けクマ」

多摩「あ゛?そっちこそサーブでその熊らしい腕力を見せつけてくりゃいいにゃ。クマクマ言ってあざとらしくポロリでもするにゃ」

球磨「やるか」

多摩「やるにゃ」

木曾「またこれだ」
298 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:30:27.06 ID:20RJ36TY0
多摩「水着はないが運動着はあると言われてみりゃこれにゃ」

球磨「似合ってるクマ」

多摩「ネコでブルマとかキャラあざとすぎにゃ。20年前のギャルゲーかにゃ」

北上「自分で言うかね」

球磨「ネコもブルマも玉追いかけてなんぼクマ。さっさと動けクマ」

多摩「あ゛?そっちこそサーブでその熊らしい腕力を見せつけてくりゃいいにゃ。クマクマ言ってあざとらしくポロリでもするにゃ」

球磨「やるか」

多摩「やるにゃ」

木曾「またこれだ」
299 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:30:55.76 ID:20RJ36TY0
北上「何かと争うよね」

大井「何度か長女の座をかけて戦ったりしてますし」

北上「多摩型になってたかもしれないのか」

木曾「でも何だかんだで球磨姉が勝つんだよな」

北上「長女の意地だね」

吹雪「おまたせしました〜」

北上「あれブッキー?どったのその、弾?」

吹雪「夕張さん特性の対艦娘用強化バレーボールです」

木曾「なんて?」

吹雪「夕張さん特性の対艦娘用強化バレーボールです」

大井「このために?」

吹雪「艦娘用強化バレーボールです」
300 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:31:28.58 ID:20RJ36TY0
木曾「始まっちまった」

北上「バレーボールなのに1体1って…」

大井「バレーボールなのに砲撃の音がします…」

木曾「あぁ…」

北上「外れたボールが駆逐艦に」

大井「これ止めた方がいいんじゃないでしょうか」

吹雪「艦娘ですし大丈夫ですよ」

北上「楽しそうだねえ」

吹雪「このためにわざわざ大型建造1回分の資源ぶち込んだんですもの」

木曾「相変わらずフリーダムだな秘書艦」
301 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:31:59.92 ID:20RJ36TY0
大井「よく受け止めますね多摩姉さん」

神風「私知ってます。こういうのテニヌって言うんです」

北上「違うけど合ってる」

吹雪「神風、他のみんなは?」

神風「流れ弾が怖いんで殆ど泳いだりしてますよ」

北上「そういや木曾がいない」

神風「あ〜木曾さんならあっちに」

北上「ちょっくら見てこよう」
302 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:32:33.96 ID:20RJ36TY0
北上「うわお」

木曾「お、上姉もやるか?」

電「んーこのままだと橋の強度が足りないのです」

雷「なら大きくしちゃえばいいじゃない」

暁「堀ももう少し広げちゃいましょうか」

響「監督、桐を貸してもらえるかい」

まるゆ「こっちので大丈夫ですか?」

響「いや、細い方を頼む」

北上「…何作ってるの」

「「「「「「江戸城」」」」」」

何もんだよこいつら。
303 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:33:15.83 ID:20RJ36TY0
大井「はい完成」

神風「わあ凄い!どお吹雪?」

吹雪「凄くカワイイ!凄く売れそう!」パシャ

神風「売る?え、売る?」

大井「じゃあ次は金剛さんの髪型で」

吹雪「ほらほら私の事は気にせず」

神風「ちょっと、もう…」

戻ってみると何やらヘアスタイルショーが始まってた。

神風のあの長い髪はよく弄られている。

姉妹だと松風なんかによくやられると言っていた。
304 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:33:48.34 ID:20RJ36TY0
球磨「オラァ!」
多摩「なんのお!」

北上「バレーは?」

ドッジボールと化していた。吹雪が次に作るべきはあの威力に耐えられるネットだろう。

だいぶ日が傾いてきているが、沈むまで続きそうだこれは。

多摩「にゃらぁ!」
球磨「クマァ!」

北上「蹴りもありなのか…」
305 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/16(水) 22:34:56.12 ID:20RJ36TY0
北上「さてどうしたもんかね」

各々好き勝手にやりたい事をやっているが、ほんとに部屋に戻って読書でも始めてしまおうか。

龍驤「なんや、キミは泳がんのかい」

北上「…あれ、今日は駆逐艦とかしか来てなかったんじゃ」

龍驤「おう喧嘩売っとんのかコラ」

北上「ちなみに何故スク水?」

龍驤「飛龍か蒼龍に仕込まれたんや」

北上「に、似合ってますよ」

龍驤「それはボケか?素か?」
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 00:56:29.58 ID:BS5m57pI0
似合ってます
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 03:20:55.58 ID:Or4ubPJ+o
ブッキーええキャラしてんなあ
308 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:05:43.78 ID:pP3hituQ0
龍驤「思ったより元気そうで安心したわ」

北上「みんな随分気にかけてくれて、まあ嬉しいですけど、なんか気にしすぎじゃないですか?」

龍驤「せやなあ。やっぱ提督がえらい心配しとったのが原因やろな。ウチもそのクチや」

北上「提督が?」

龍驤「大井と仲のいいキミやからってのがあるんやろな」

北上「なるほどね。どっちも心配性な」

龍驤「似たもの夫婦やからな」

北上「まさしく」

龍驤「泳がんの?」

北上「泳げんの」

龍驤「…一人になりたいならあっちの岩陰の方がオススメや」

北上「え?」

龍驤「ほな」
309 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:06:10.59 ID:pP3hituQ0
いい感じに日陰になっていた岩場は、とてもヒンヤリとしていて気持ちがよかった。

北上「みんな色々な反応をしてくるなあ」

心配してくれているのは一緒みたいだが。

大井「みんな北上さんの事が大切なんですよ」

北上「大井っち、神風はもういいの?」

大井「ええ、堪能しました」

北上「さいで」

大井っちが隣に座る。

日は、だいぶ傾いてきていた。
310 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:06:51.18 ID:pP3hituQ0
北上「それは?」

大井「線香花火です。明石さんに頼んで火薬マシマシの長時間バージョンになってますよ」

北上「なんか不安なんだけど」

大井「1本試したので大丈夫ですよ」

流石、安全管理に抜かりはなかった。作者が作者なので当然か。

北上「まだ明るいけど」

大井「日が落ちる前には帰らなきゃですから。鎮守府でやるわけにもいかないですし」

北上「確かにね」

仮にも軍の基地。火薬物をおいそれと扱うわけにはいかない。

まあ魚雷やら爆撃機やらが日常的に飛び交ってるけど、提督室は特別ということで。

半分は提督の自業自得だし。
311 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:07:17.72 ID:pP3hituQ0
北上「さてと」

大井「では」

「「勝負」」

同時に火をつける。

岩場の影とそれを包むオレンジ色になりつつある陽の光が、想像とは違う花火の輝きを生み出していた。

パチ、パチと徐々に火花が散り始める。

一旦それが止み、ジジジと溜めが入っと思うと次の瞬間、花が咲いた。

まるで写真をコマ送りで見ているかのようだった。

雪の結晶のように一つとして同じ形を見せない花達の絵が瞬きよりも早く移り変わる。
312 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:07:58.85 ID:pP3hituQ0
大井「綺麗ですね」

おや、大井っちの方が長持ちしそうだ。まずいな、確か線香花火は斜め45°で持つと長持ちすると聞いた気が。

北上「大井っちの方が綺麗だよ」

普段の仕返し、なんて言い方は変だがたまにはこちらから仕掛けてみる。

大井「へっ?」ポトッ
北上「あっ」

ジュッ、とまだ半分も燃えてない火薬と火の玉が、湿った地面に音を立てて落ちた。

北上「あー、あはは。なんか、ゴメン」
大井「北上さんっ!」
北上「おっと」

そっと線香花火を持つ右手を掴まれた。

大井「責任とってください」

北上「仰せの通りに」

2人で一つの線香花火を堪能する。

長時間と聞いていたが、朱紅い雫が落ちるまではあっという間だった。
313 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:08:41.26 ID:pP3hituQ0
北上「重い」

大井「暑苦しい」

木曾「後で間宮奢りだな」

北上「パフェかな」

大井「ジャンボですね」

木曾「イチゴ乗せよう」


なんというか、リアルな間が空いた。


北上「重い」

大井「暑苦しい」

木曾「頑張って」

夕焼けの海を、私と大井っちは猫と熊を背負って航行していた。
314 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:09:18.72 ID:pP3hituQ0
球磨「」
多摩「」

砂浜で倒れる2人。

いい勝負だったぜ感を出されても困る。

北上「これおぶってくの?」

木曾「なんとも迷惑な」

大井「置いていってもいいんじゃないですか?」

吹雪「一応軍事機密ですし、放っておくわけにも」

とかなんとか。まあ仕方ない。
315 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:09:46.09 ID:pP3hituQ0
吹雪「はいチーズ」パシャ

北上「こんなの撮ってどうすんのさ」

吹雪「戦いの果てと言う事で」

木曾「また今回も沢山写真撮ってたな」

吹雪「艦隊の記録も秘書艦の仕事ですから」

大井「売るんでしょに」

吹雪「売ったりもするだけです」

北上「売ってんじゃんよ」
316 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:10:19.91 ID:pP3hituQ0
吹雪「安心してください。大井さんのワンピース姿はバッチリ撮りましたから。提督の今晩のオカズは決定ですね」

大井「ほう」スッ

木曾「おい待て魚雷はやめろ頼むから!」

北上「提督はワンピース好きなのかな」

吹雪「どうでしょうねえ。あのチャラ男どんな娘にもデレデレですから。好みっていうと浮かびませんね」

木曾「辛辣な。でもいいんじゃないか?チャラ男と真面目なおい姉の組み合わせは」

大井「いやですよあんな男。金髪ですよ金髪。チャラ過ぎです上司じゃなきゃ深海棲艦の餌にしてます」

北上「でもよく一緒にいるじゃん」

大井「上司だからですよ。転属が出来ないならあのチャラさを変えるまでです」
317 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:12:16.67 ID:pP3hituQ0
北上「おー鎮守府見えてきたー」

木曾「明日からは通常運営かあ」

大井「また実践訓練の日々ですね…」

北上「ぅあー…今からでも島に帰らない?」

木曾「賛成の反対」

大井「早くお風呂入って寝たいです…」

北上「だね〜」

あぁ、いや。

まだひとつやる事がある。

やり残したことがある。

夏休みの宿題を、やらなくては。
318 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/17(木) 04:13:23.07 ID:pP3hituQ0
なんでお盆開けてから連休なの

それよか夏休みください

イベントもやらねば
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 10:45:35.66 ID:+Wd+0QMe0
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 12:39:15.51 ID:hkq0HI6j0
更新乙です
イベントはE4とE7がきつい、自分はE4、乙にしちゃった
報酬装備はE5が一番いいくらいで後はそこまでではないと評判
がんばってー!
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/17(木) 18:47:55.81 ID:p9n0cI7/o
おつ
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 03:33:46.75 ID:uotDwHVU0
すれた吹雪ファン同胞に出会えるとは……
323 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:19:33.92 ID:kvtFWfOB0
26匹目:猫の記憶




夜。私は先輩ネコの手を借りに来た。



谷風「先輩ネコ、とはまあなんともいい響きだねこりゃあ」

北上「気に入った?ウミネコさん」

谷風「そういえばキミはなんて種類たったのかね。ネコとして」

北上「全身真っ白な猫、なんてなんのヒントにもならないよねえ。雑種ならなおさら」

谷風「そう。その通りだね」
324 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:20:37.99 ID:kvtFWfOB0
谷風「キミは猫の時の記憶があると言ったね」

北上「まあね」

谷風「そう。記憶がある。でもそれってホントかなって」

北上「…どゆこと?」

谷風「確かに記憶はあるんだろうさ。猫の仕草や習慣なんかをキミはよく覚えてる」

北上「そりゃあ、そうねえ」

谷風「でもそれってさ、猫の記憶ではあるけど猫の時の記憶ではないんじゃないかな」

北上「…はあ?」
325 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:21:32.70 ID:kvtFWfOB0
谷風「ここで1度私の話をしよう。私が何故谷風になったかという話さ」

北上「え!そんな事分かってるの?」

谷風「というよりそれしか理由らしい理由がなかった。生前の、ウミネコとしての私にとっては」

北上「続けて」

谷風「飛んでた。飛んでる記憶ばかりだった。でも随分たったある日、唐突に一つの記憶を思い出した。

飛び疲れた私は羽休めに船にとまった。そこで私は船員に餌をもらった。その男に見送られながらまた飛んでいった。

そこが何処だったか、いつだったかなんて鳥にゃわからないけど、あの小さな船は、谷風だったのかもしれないなあって」

北上「…それだけ?」

谷風「それだけ」

北上「えぇ…」
326 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:22:10.42 ID:kvtFWfOB0
谷風「そんなに落胆するなよ」

北上「いやだって…ええ〜」

谷風「確かに理由としてはあまりにもなんて事無い話だけどね。でも案外そんなもんじゃないかとも思うんだ。

確かめようもないしね。確かめようとも思わないし」

北上「ほんと興味無いんだね」

谷風「さて話を戻そうか。私は思い出すのに随分時間をかけたが、キミのその手間を私が省いてあげよう。

北上。キミは何か物語としての記憶、思い出はないのかい?」

北上「思い出?」

急に言われてもパっとしない。猫の思い出、ねえ。
327 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:22:55.17 ID:kvtFWfOB0
谷風「記憶には二種類ある、と言われてる。エピソードと知識だ。それでいうとキミはエピソード記憶が今のところ殆どからない。

猫の時の感覚、記憶もどちらかと言うと知識、習慣として身に染み付いているように思える」

北上「確かに、思い出すってのとは違ったかな」

谷風「では、キミは自分の事を白猫と言ったよね」

北上「まあ、うん」

谷風「キミは今自分の姿が見えるかい?全身が?」

北上「自分?鏡とかあれば」

谷風「猫にそんなものはないよ」

北上「…あれ」

あれれ。
328 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:23:40.40 ID:kvtFWfOB0
谷風「キミの記憶の話をいくつか聞いたけど、まるで第三者目線で、飼い主がペットの行動を見ているかな記憶じゃないか」

第三者。だとしたら私は

谷風「キミが猫として身についた習慣や行動の記憶は確かだろう。でもキミが見たそれはキミの事じゃないんじゃないかい?」

あの白猫は私じゃない

谷風「キミは生前、もう1匹の猫と暮らしていなかったかい?」
329 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:24:42.77 ID:kvtFWfOB0
線香花火のようだ。

パチパチとコマ送りのように様々な風景が頭の中に浮かんでは消えた。

しかしそれはどれも似たような風景だった。

今なら分かる。

これは麦畑だ。

私はそれを見上げていた。

まさに黄金色といった感じの広大な命の輝きの中にその一軒家はあった。

白い壁にの小さな家。農具や機械をいれる倉庫もあった。屋根の色は、見上げても見えないからわからない。

そこには白猫がいた。小さな子猫が。

そこには男がいた。私達にミルクをくれる、金髪の、毛むくじゃらで、大きな手で撫でてくれるおじさんが。
330 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:25:11.31 ID:kvtFWfOB0
目まぐるしく映像が移り変わる。

白猫と、おじさんが次々と現れては消える。

ふと火花が止まった。

そこには写真があった。両手に猫を抱えて笑うおじさんの写真が。

おじさんは英語で私達に語りかける。

右手には白猫がいた。

左手には、黒猫がいた。

私がいた。

朱紅い雫が落ちた。
331 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:26:01.80 ID:kvtFWfOB0
北上「もう1匹、いた」

谷風「そういう事だろうね。どうだい?他には」

北上「飼い主も、でも名前はわからない。外国人だ」

谷風「英語が堪能なのはそれが理由かい。しかし探すのが難しいねそれは」

北上「どこかも分からないや」

谷風「飼い主の方はともかく、もう一つは大きなヒントじゃないか」

北上「もう一つ?私が黒猫だったってこと?」

谷風「おやそうなのかい。でもそれはあまり関係ないよ」

北上「なら何が」

谷風「だってもう1匹いたんだろ?」

北上「うん」

谷風「ならこの鎮守府にいるかもしれないじゃあないか」


北上「え…?」
332 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/19(土) 03:34:22.57 ID:kvtFWfOB0
お札多すぎ…編成考えるのは好きだけどね
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 12:48:17.72 ID:xJBPjaNg0
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/19(土) 19:44:39.72 ID:8cX2Bn/a0
更新乙
丙なら札関係ないと悪魔の囁き
335 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 01:59:36.16 ID:x+MBoVoh0
27匹目:結構毛だらけ猫灰だらけ



ことわざ、というよりはダジャレ。

あたり前田のクラッカーというやつだ。

全身毛だらけという感覚が無くなって久しいが、ココ最近灰だらけになる機会が増えてきている。

灰、というよりは火薬なのだが。

シンデレラもビックリのドレスだ。
336 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:00:39.34 ID:x+MBoVoh0
北上「ぶはっ!」

爆撃による黒煙から抜け出す。

顔にまとわりつく汚れを気にする余裕はない。すぐさま索敵に入る。

視界を肉眼に戻し電探で探る。目と猫で言う髭とを合わせた三次元的な空間把握は私の得意とするところだ。

敵艦載機からの機銃を避け私とは別の艦娘へ狙いを定める戦艦に向けて砲撃する。

ダメージは殆どないが足止めには成功した。

比叡「ナイスアシストです!」ドォン

その隙を突き戦艦を撃破する。
337 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:01:48.69 ID:x+MBoVoh0
大井「北上さん無事ですか!」

北上「おーけーおーけー、さて残りは」

少し遠くで爆発音がした。

蒼龍「敵旗艦撃破、完全勝利っ♪」

北上「被害は、飛龍さんだけか」

飛龍「たはーゴメンね、空母にばっか気ぃ取られちゃって」大破

秋月「すみません、私がしっかり守っていれば…」

蒼龍「気にしないの。飛龍が突っ込んでってのが悪いんだから」

飛龍「う〜反省してまーす」

比叡「で、どうします?リーダー」

どうってそりゃあ、ねえ。

北上「帰って間宮しましょう」
338 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:02:26.72 ID:x+MBoVoh0
提督「うむ、悪くない。いや、良い」

北上「…」

入ってきた扉をそっと閉める。

どうやら気づかれてはいないようだ。

提督室。いつもなら入ると目の前に座る提督からどうしたーとか声をかけられるところだが、今日は違った。

椅子を横に向け何やら手元に見入っている。私の位置は提督から横目で見えない角度ではないはずだが、余程見入っているらしい。

何を見ているのだろう。

ニヤっと口元が歪んむのを感じる。
339 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:03:22.92 ID:x+MBoVoh0
抜き足差し足猫の足。

本気で忍び寄る時のコツは、体全体でオーバーリアクション気味にそろりそろりとーなんてやらない事だ。

人間も意外と野性的感覚を持っているものだ。

音を立てずとも妙な気配を出すと気づかれる。

すり足気味に音を抑えなおかつ上半身は普通に歩くように自然体で。

さてそろそろ見える位置だ。

が、ここで普通に覗くと私が100%悪いので、あくまで事故を装って。

北上「なーに見てんの提督〜」
提督「ひょぉおう北上ぃ!?」

驚いた拍子に手に持っていた写真が舞い上がる。
340 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:03:53.94 ID:x+MBoVoh0
北上「何夢中に見てたのさ。話しかけても全然答えないんだから」

大嘘である。

提督「ああいやぁそのぉねぇ」

慌てて写真を集める提督。

そのうち1枚を拾い上げる。

北上「あ、大井っちの写真だ」

モチロン水着の。色々と察しが付いたね。

愛しの彼女の水着に見入ってたなこいつめ。
341 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:04:37.90 ID:x+MBoVoh0
提督「いやーそれはねー吹雪君がねー報告にねー持ってきてねー」

北上「へ〜。でいくらだったの?」

提督「え」

北上「いくら」

提督「いやその」

北上「ハウマッチ」

提督「ワンコイン」

北上「五百か…」

札じゃないだけ良心的?

ちなみに青葉は吹雪の傘下だとか。
342 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:05:05.17 ID:x+MBoVoh0
北上「で、誰の水着を見てたのかな〜」

もう1枚めくる。ワンピース大井っち。

マジか。

提督「あ、いや。大井をだな!大井を見てた!うん!」

そんなとこで開き直られてもねえ。

提督「というか北上!お前はなんでここにいんだよ!」

北上「何って報告だよ報告」

提督「あー、そっか」

北上「提督」

提督「はい」

北上「落ち着こ」

提督「うん」
343 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:05:51.78 ID:x+MBoVoh0
提督「どうだった。初めての旗艦。艦隊のリーダーというのは」キリッ

急にキリッとかされるとなんかムカつくが、まあそこはいいや。

北上「ぜーんぜんダメダメだった」

提督「え?戦果としては特に問題なさそうだったけど」

北上「旗艦としてって事。途中から比叡さんに任せっきりになっちゃってさ。そのおかげだよ」

提督「ほーう。お前はやたら索敵上手いし、周囲を見て指示出すのも行けるかと思ったんだが」

北上「そう上手くはいかないよ」

私の場合、その感覚を自分のためだけに、生きるためだけに使ってるからね。

提督「まあ慣れだ慣れ。役割上雷巡が旗艦をする事は少ないが、リーダーの目線を知っておく事も大切な事だ。また機会があったら訓練だな」

北上「へいへい」
344 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:06:33.36 ID:x+MBoVoh0
北上「でもさあ、もちっと楽なところで訓練したいよね」

提督「そうも言ってられんねーよ。敵は待てを聞かないからな。お前のような新兵でも実践訓練のにせざるを得ない」

北上「なるほどね。はーやだやだ、戦争なんてさ」

提督「だ、な。でもまあ悪い事だけってわけじゃないさ。不謹慎かもしれんが、ただ悲観的になってもしょうがあるまい」

北上「お気楽だなあ」

提督「そーゆーのはお前の専売特許じゃないのか?」

北上「マイペースって言ってよね。私の適当は適度に適切にって意味なんだからさ」
345 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:07:06.89 ID:x+MBoVoh0
提督「だが、そうだな。お前のその危機回避能力というか、生存力は強みだ。今回の編成もかなり攻撃によったものだったろ?」

北上「ん〜まあそうねえ」

提督「大井の時なんかはもっと守備を固めたもんさ。生き残る事が大前提だからな。その点北上は優位だ」

北上「…でもそれっていいの?私達は敵を倒すための兵器だよ」

提督「それだけじゃないさ。それに今は非力でも、生き残って、経験を積んで、強くなってから敵を討てばいい。焦る必要はないからな」

北上「焦る必要はない、か」

提督「マイペースが売りなんだろ?」

北上「それもそうだ」
346 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:07:42.78 ID:x+MBoVoh0
北上「しっかし提督に真面目な事言われるとなんかムカつくな〜。カッコイイじゃんか」

提督「だろ〜?普段適当なやつがここぞという時は真面目になる。ギャップは日頃の努力から生み出されるのよ」

北上「日頃努力してないって話でしょーが」

提督「まあな」

北上「そっか〜わざと手を抜いたたんだ〜大井っちが知ったらガッカリだろうなあ〜」

提督「…き、北上さん?」

北上「そう言えばもう少しで大井っち演出から帰ってくるだっけ」

提督「まて落ち着け、俺達は話し合える分かり合える」

北上「貸一つ」

提督「よかろう」
347 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:08:19.56 ID:x+MBoVoh0
提督「貸しはまあともかくとして。その、写真返してくんね?」

北上「いや〜しかし大井っちってホント胸デカイよね。私もないって程じゃないと思うんだけど。それとも大井っち位が普通なのかな」

提督「お前ら艦娘は規格外だよ、色々と。北上くらいが普通だろ」

北上「ふむ、こっちは多摩姉ちゃんか」

提督「やめてなんか見られる度に心が削られる…」

北上「どう思う?ブルマ」

提督「大きさに関わらず胸の形を顕にする体操着は素晴らしいものだ。だが俺はブルマより現代のズボン型の方が興奮する」

北上「え、キモッ」

提督「」
348 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2017/08/20(日) 02:08:48.33 ID:x+MBoVoh0
提督「正直初めて多摩の胸を見た時ビビった」

北上「デカイよね」

提督「普段わかんねーもんな」

北上「なんか性格上慎ましやかなイメージがあるし」

提督「それ、ほんまそれ。その点逆に球磨は大きいイメージだった」

北上「全部包容力に吸われてるんだよ」

提督「なるほど」
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