劉備「ジャンヌ・ダルク助けるぞwww」サトシ「分かったぜ!」

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37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/11(火) 22:34:45.21 ID:YKu6npRW0
諸葛亮「私も同意見です。サマルカンドの近くにはザラフシャン川が流れており、これを曲げるとアラ不思議、水攻めに使えるではありませんか」

趙雲「堀を巡らせて、そこに川の水を引き込むのですね。陛下と丞相は、なかなか面白い遊びを考えられますな」

諸葛亮「ジャンヌ殿、ブルゴーニュ公国軍がここまで来るのに大体どれくらいかかるか予想して頂けますか?」

ジャンヌ「そうね……。おそらく、一ヶ月半くらいじゃないかしら」

諸葛亮「完成の目安は一ヶ月後。突貫工事ですが、何とか間に合うでしょう」

ジャンヌ「ちょっと聞いていい? 堂々と堀を掘っていたら、アブルハイルに怪しまれたりするんじゃないの?」

諸葛亮「そのために、まず噂を流すのですよ。『サマルカンドに堀を巡らせる件』について、アブルハイルと劉玄徳の間で合意がなされたと」

劉備「アブルハイル本人が否定しても、『民』という外堀が埋まってるんで時既に遅しってやつかwwwww」

ジャンヌ「それってデマじゃない! 嘘をつくのは、神罰がくだるから止めた方がいいわ」

諸葛亮「勝ちたいのなら、私の言葉に従いなさい。敗北を喫したければ、一人で特攻するがよい」

ジャンヌ「ク……言い返せない」

劉備「孔明くん珍しく手厳しいッスねーwwwいいじゃんいいじゃんwww軍師っぽくて好きよwww」

諸葛亮「私は蜀の丞相且つ軍師です。その台詞、聞き捨てなりませんな。陛下は私を何だと思っていらしたのです」

劉備「うーんwwwわかんねwwwひよこ鑑定士とかwww」

趙雲「まさか、チンカスの醸造年度を鑑定する……?」

劉備「オイまた趙雲が暴走しかけてるぞwww」
38 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/11(火) 23:10:40.07 ID:YKu6npRW0
ターバンの老人「何ということを聞いてしまったのじゃ、わしは……!」ダダダダダ

ターバンの老人「奴らはいずれ動くだろう。そして、サマルカンドを水浸しにしてゆくつもりじゃ」ダダダダダ

ターバンの老人「どんな手を使っても、このことをスルタン・アブルハイルにお伝えしなくては!」ダダダダダ

無我夢中で走る老人は、前から迫る人の気配に全く気が付かなかった。
額と鷲鼻を硬い鎧のような鉄板に打ち付けてしまい、くらくらと後じさる。
尻餅をつきそうになったところで、丸太の如く太い腕に背中を抱えられた。

趙雲「御老人! 御老人! 怪我はないか!」

老人がぶつかったのは、肉屋の前でロバのチンカスを舐めていた趙雲だった。
しかし、老人は趙雲が劉備の将だということなど露も知らない。
鼻血で赤く染まった手を伸ばしながら、低く呻くような声で訴えたのである。

ターバンの老人「将軍……将軍……わしの代わりに、スルタンに伝えてくだされ……」

趙雲「なんだ、申してみよ。この趙雲、御老人の言葉をしかと心に留めよう」

ターバンの老人「異国の者が……街を……水没……諸葛亮……」

趙雲「丞相がどうなされた? 水没とは何なのだ!? 御老人、まだ力尽きてはならぬ! 御老人!」

諸葛亮の名を最後に、ターバンを巻いた老人は息絶えた。
老人の亡骸を横たえると、趙雲は背中の槍を構えてアブルハイルのユルトへ大股で歩いていった。
交差した二つ又の槍が、趙雲の行く手を阻む。

守衛「スルタンは御昼寝の最中である。無礼者、矛を収めよ」

趙雲「アブルハイルに伝えておけ。異国の者が街を水没させると。その名は諸葛亮孔明であると!」

守衛「なッ……貴様は何を言っているんだ?」

趙雲「然らば、これにて失礼する!」

踵を返すと、颯爽とした足取りで趙雲は去っていった。
残された二人の守衛は、ただただ首を傾げるばかりであった。
39 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/11(火) 23:12:19.80 ID:YKu6npRW0
しまった
>>37の趙雲はいなかったことにしてください
致命的ミス
40 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/11(火) 23:37:09.31 ID:YKu6npRW0
ジャンヌ「あ、えーと……」

サトシ「マサラタウンのサトシ! お前が持ってるその赤いボールは、モンスターボールっていうんだ! 真ん中のボタン押してみろよ!」

言われるがままにボタンを押してみる。
すると小さな球体が風船のように膨らみ、手ごろなサイズになった。
魔法がかかっているのか? ジャンヌは目を白黒させて手中のボールを見つめていた。

サトシ「そいつでポケモンをGETするんだぜ。言葉だけじゃ分からないだろうから、俺が実際に見せてやるよ」

サトシに誘われ、ザラフシャン川の川岸まで来た。
湿った土の匂いが、ツンと鼻をつく。空には厚い鈍色の雲が広がっている。
前を行く少年の足が止まる。ポケットから赤い長方形の機械を取り出すと、川の中州に向けた。

サトシ「おい! ジャンヌ、ポッポがいるぞ! ポッポだ! ポッポ!」

ポッポ? 
ジャンヌには雌のクジャクにしか見えない。
それとも、中央アジアでは雌のクジャクを『ポッポ』と呼んでいるのか。

サトシ「俺が今持っているのが『ポケモン図鑑』だ! これをポケモンに向けると、自動的に登録してくれるんだぜ!」

ポケモン図鑑「ポッポ。ドラゴンポケモン。くうかんのつながりを じざいに あやつることで とおくの ばしょや いくうかんに いどうできるのだ」

サトシ「あれ〜? 変だな。ポッポってこんな説明だったっけ?」

ジャンヌ「私に聞かれても知らないよ、そんなもの」

サトシ「ま、いいか。故障してるなら後で直せばいい。よし、ピカチュウ! ポッポに十万ボルトッ!!!」
41 : ◆vfNQkIbfW2 [sage]:2017/07/11(火) 23:39:05.58 ID:YKu6npRW0
またミスッた
>>40はナシでお願いします
42 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/11(火) 23:39:23.92 ID:YKu6npRW0
劉備と諸葛亮が喫茶店で水攻めの策を練る間、ジャンヌはフレンドリィショップでモンスターボールの物色をしていた。
赤いボール、青いボール、黄色と黒のボール。色合いから大きさまで様々だ。
一体、片手で握られるほど小さい球体を何に使うのだろう。敵のこめかみを狙って当てる遠距離武器なのかもしれない。

サトシ「よう、ジャンヌ。やっと見つけたぜ!」

ピカチュウ「ピッカァ!」

ジャンヌ「あ、えーと……」

サトシ「マサラタウンのサトシ! お前が持ってるその赤いボールは、モンスターボールっていうんだ! 真ん中のボタン押してみろよ!」

言われるがままにボタンを押してみる。
すると小さな球体が風船のように膨らみ、手ごろなサイズになった。
魔法がかかっているのか? ジャンヌは目を白黒させて手中のボールを見つめていた。

サトシ「そいつでポケモンをGETするんだぜ。言葉だけじゃ分からないだろうから、俺が実際に見せてやるよ」

サトシに誘われ、ザラフシャン川の川岸まで来た。
湿った土の匂いが、ツンと鼻をつく。空には厚い鈍色の雲が広がっている。
前を行く少年の足が止まる。ポケットから赤い長方形の機械を取り出すと、川の中州に向けた。

サトシ「おい! ジャンヌ、ポッポがいるぞ! ポッポだ! ポッポ!」

ポッポ? 
ジャンヌには雌のクジャクにしか見えない。
それとも、中央アジアでは雌のクジャクを『ポッポ』と呼んでいるのか。

サトシ「俺が今持っているのが『ポケモン図鑑』だ! これをポケモンに向けると、自動的に登録してくれるんだぜ!」

ポケモン図鑑「ポッポ。ドラゴンポケモン。くうかんのつながりを じざいに あやつることで とおくの ばしょや いくうかんに いどうできるのだ」

サトシ「あれ〜? 変だな。ポッポってこんな説明だったっけ?」

ジャンヌ「私に聞かれても知らないよ、そんなもの」

サトシ「ま、いいか。故障してるなら後で直せばいい。よし、ピカチュウ! ポッポに十万ボルトッ!!!」
43 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/12(水) 09:14:37.52 ID:LDqNDbsZO
ピカチュウ「ピ、カ、ヂュウ〜!」

バチバチっと何かの弾けるような音と共に、眩い光球が川の中州めがけて猛スピードで飛んでいった。10万ボルトを当てるためには、ある程度の至近距離まで近づく必要がある。

サトシ「そのまま川も渡り切っちまえ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

ピカチュウが塵芥の流れる黄土色の激流に飛び込んだ瞬間、光球はパッとその輝きを消した。否、消したというより消えてしまったと呼ぶべきか。それもそのはず、ピカチュウは押し寄せる波に呑まれ、溺れてしまっていたのだ。

ピカチュウ「ガバボッ……ピィ〜カァ〜!」

サトシ「クソッ! ピカチュウ、かわせ!」

ジャンヌ「何をどうかわせっつーのよ。サトシ、アンタのポケモン借りるわね!」

ジャンヌはサトシのポケットから強引にモンスターボールを奪うと、地面に投げつけた。光の尾を引いてゲッコウガが飛び出す。

サトシ「おい! もっと優しく投げてくれよ!」

ジャンヌ「蛙先生、ピカチュウを助けてあげて! 溺れてしまっているの!」

ゲッコウガ「……フン」

ジャンヌ「どうして言うこと聞いてくれないのよ!?」

サトシ「そりゃバッジが少ないからさ。他人のポケモンを使役するには、ジムバッジが必要なんだよ! いいからどけ!」

ゲッコウガ「ヌ!」

サトシ「ゲッコウガ、かげぶんしん! 分身体を橋にして、ピカチュウの元まで助けに行くんだ!」

ゲッコウガ「ゲッコ!」
44 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/12(水) 10:03:48.89 ID:LDqNDbsZO
ゲッコウガの上にゲッコウガの分身体Aが乗り、ゲッコウガの分身体Aの上にゲッコウガの分身体Bが乗り。そんなことを十回ほど繰り返し、見事ゲッコウガの梯子が完成した。

ジャンヌ「す、すごい! 攻城戦にうってつけの技じゃない!」

サトシ「バカ、かげぶんしんは攻撃するだけの技じゃねぇんだ。トーシロのお前じゃ考えもしなかった方法だろうがな。ケケケ」

ジャンヌ「なによ、トーシロって……」

蛙の梯子がゆっくりと、ピカチュウの流れてくるであろう地点に倒れてゆく。幸いにも苔むした岩があったので、梯子が分解する心配はない。やがて、瀕死のピカチュウが蛙の梯子に力無く引っかかった。

サトシ「スゲー! ピカチュウだけでなくコイキングも沢山取れてるぞ。もう梯子っつーより漁網だな、こりゃァ!」

ジャンヌ「ピカチュウは無事なの?」

サトシ「問題ない。ポケモンセンターで休んでもらうさ。それよりジャンヌ、お前コイキングGETしてみろよ!」

するとサトシは、背ビレと腹ビレに王冠を戴いた鯉のようなポケモンを放り投げてきた。

ジャンヌ「ひいッ! デカい!」

サトシ「そいつはコイキング。みずタイプのポケモンだ! 名前の通り、鯉の王者。水中では敵なしの性能を誇るぜ! さ、GETするんだ!」

ジャンヌ「そ、そんなに強いの!?」

ポケモン狂いの少年から貰った、モンスターボールを投げてみる。光の粒子となったコイキングは、瞬時にボールの中へ吸い込まれた。
動いて、動いて、施錠音。

サトシ「やったじゃねぇか! 初めてのポケモンだぜ、大事にしてやりな!」

ジャンヌ・ダルクはコイキングをGETした。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 10:25:08.08 ID:PK8aKuM5o
サトシの大ウソつきめ(^^)
46 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/12(水) 14:49:33.30 ID:LDqNDbsZO
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47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:18:13.74 ID:HR0gDsmx0
コイキング「コッコッココッ」ビチビチッ

ジャンヌ「コイキング、レベル12、おくゆかしい性格、渋い食べ物が好き、覚えている技は『はねる』だけ。うーん、見た目はとても非力そうだわ。サトシ嘘ついたんじゃないの?」

サトシ「よし、早速だがバトルしようぜ! ヌメルゴン、キミに決めたッ!」

ヌメルゴン「ヌメ〜」

ずんぐりむっくりとした、粘液まみれの生物が地響きを鳴らして現れた。目は胡桃のように円らだが、その巨体は悠に2mを超える。二足歩行するナメクジという表現が、この化け物を喩えるに最も正しいやもしれぬ。

ジャンヌ「え、もうバトルするの? 技の出し方も何も分からないよ!」

サトシ「うるせぇ! 手持ちのポケモンを早く出しやがれ! どうせコイキングみてぇなゴミポケしか持ってねぇんだろ!」

ジャンヌ「アンタ、コイキングは最強だって自分で話していたじゃない!」

サトシの豹変ぶりに、ジャンヌは竦み上がった。この少年、自分より弱い相手とバトルを行う際、言動が粗暴になるようだ。心なしか、瞳に宿る光も怪しくギラついている。狩人のそれと言って相応しい。

サトシ「カカカ! それでは首を捥ぎ取らせて頂くとするぜ、ジャンヌ・ダルク! ヌメルゴン、あのクソアマに向けて冷凍ビームDA! 今日がテメェの命日よ、ギャーッハハハァ!!!」

ヌメルゴン「ヌゥメ〜!」ゴゴゴゴゴ

ジャンヌ「ちょ……ちょ……! コイキング、なんとかしなさいよ! 跳ねるでもいいから技を出して! 冷凍ビームに対抗しなきゃ!」

冷凍ビームがジャンヌの胸を貫こうとした、その刹那。サトシの目に、信じ難い光景が飛び込んできた。コイキングが獅子の如き雄叫びをあげて、空高く跳ね上がったのである。コンキングにしがみついたジャンヌも、宙へ舞い上がる。彼女の爪先を冷凍ビームが掠った。

ジャンヌ「いやあッ……靴が凍ってる! コイキング、アンタ意外とやるわね! アンタが跳ねて、私が攻撃。良いコンビになれそうよ」バシャアン

まだ安心はできない。ザラフシャン川の激流に落ちたジャンヌは、何度も川底の岩に叩きつけられた。間一髪、ゲッコウガの橋で助かったが、流されるのも時間の問題だろう。

サトシ「一回避けた程度で、勝ち誇んなやボケがァ! ヌメルゴン、あまごい! 川を増水させてジャンヌを押し流すんだ!」

ジャンヌ「サトシ! 蛙先生まで溺死させる気なの!? 良い加減にしなさいよ!」

サトシ「黙れ黙れ黙れェ! ゲッコウガは水タイプだ、岸まで泳いでこれるさ。だがしかし! テメェはノーマルタイプ。溺れ死ぬしか、残された道は無いようだなァ!」

ジャンヌ「主よ、主よ、願わくば私を激流のより救い出されんことを……」

サトシ「無駄だね! テメェはここで死ぬんだよォーッ!」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/13(木) 05:39:54.41 ID:UC7pd53A0
武将ぎ延はどこいったんだ?
49 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/13(木) 22:34:20.04 ID:D6IWTJA50
???「ギャーオ!!」

ジャンヌ「ん!?」

サトシ「は!?」

二人の視線が上空へ向けられる。
甲高い奇妙な鳴き声が激流の音に紛れてはっきりと聞こえた。

サトシ「ジャンヌ、あの山だ! 目の前にそびえる、剣山みてぇな山の上にファイヤーがいるぞ!」

ジャンヌ「ファイヤー!? どこどこ? あッ……」

燃えていた。
たてがみ、翼、尾羽に至るまで全てが赤く燃え盛っていた。
羽ばたくごとに、火の粉がキラキラと黄金色の輝きを放つ。
山の端に沈みゆく太陽を背に飛ぶファイヤーは、まさしく太陽神そのものであった。
時折口から吐き出す桃色の炎。あれは老人の言っていた三昧真火であろうか。
恐ろしい火勢だ。万の軍勢も一瞬で消し炭にされてしまうに違いない。
ファイヤーは日没と共に、東の空へと消えていった。

サトシ「スゲェもん見ちまった……。なぁ、ジャンヌ。ゲッコウガに掴まって岸まで来いよ」

ジャンヌ「バトルの決着は、ひとまずお預けってことでいいのね?」ザパッザパッ

サトシ「煮え切らないバトルは好きじゃないが、今それどころじゃないんでな。まだ瞼の裏に焼き付いてるぜ。ファイヤーの姿がよ」

ジャンヌ「GETしたい?」ブルブルッ

サトシ「もちろんさ、俺がGETしないで誰がGETするんだよ! よし、出てこいムクホーク、オンバーンッ!」

ジャンヌ「ちょっと待った!」

サトシ「どうしたんだ急に。まさか、伝説のポケモンなんでGETすんのが憚られるってか?」

ジャンヌ「サマルカンドのお爺さんからね、ファイヤーはトゥルファン地方の火焔山に棲んでると聞いたの」

サトシ「トゥルファン!? かなり距離があるじゃねぇか! 多分ムクホークでも一週間以上はかかるぜ」

ジャンヌ「時間がかかるなら、行くのは止めるべきよ。私だってファイヤー欲しいけど、劉備さんや諸葛亮さんもいるわけだし。自分だけ勝手に遠出するのは、いけないと思うわ」

サトシ「そんなノロノロしてたら他の誰かにGETされちまうだろ! 近くまで来ていた今勝負を賭けるのが普通なんだよ!」

ジャンヌ「そう……よく分かった。私は行かない。先にポケモンセンターまで帰ることにするわ。怪我しても知らないから」プイッ

サトシ「クハハ、怪我なんぞするわけがなかろう! いけ、ムクホーク! そらをとぶッ!」

ムクホーク「ケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」バサバサッ

その夜、全身に大やけどを負った少年がポケモンセンターに運ばれてきたのは語るまでもない。
50 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/13(木) 23:13:11.93 ID:D6IWTJA50
草木も眠る丑三つ時。
チューリップ咲き乱れる庭園の中央で、ひたすら地団太を踏む男の影があった。

魏延「クソッ……! クソクソッ……! チューリップのくせに、幸せそうに咲きやがって。クソ!」

彼の名は魏延、字は文長。元の主君である韓玄を斬り伏せ、劉備の荊州南四郡攻略の立役者となった人物だ。
本来ならば、関羽や張飛や趙雲までとはゆかずとも、その次くらいには重用されてよいはずである。
しかし、憎き諸葛亮めが『反骨の相あり』と劉備に進言したため、主君や周りの将から腫物に触るような対応をされている。
西への大遠征ということで、ようやく自分にも活躍の場が与えられるかと思いきや、主役は二十歳にも満たない異国の小娘。
魏延の腸は日々の鬱憤と嫉妬の炎で、地獄の釜のように煮えくり返っていた。

魏延「クソッ……! 益州の時だって、藤甲軍との戦の時だって、いつも冷や飯を喰らっているのは俺だ!」

???「そう。貴君は仕える主君を誤った」

魏延は素早く腰の剣を鞘走らせると、声のした方へ剣先を向けた。
常に戦場で命のやり取りをする武人にとって、この反応はもはや条件反射の領域である。
右斜め前、巨大なミナレットの陰に誰かが隠れている。

魏延「どこのスパイだか知らんが、俺を暗殺しようってなぁ良い度胸だ」

間諜「とりあえず、チューリップ畑から出給えよ。ここはサマルカンドで一、二を争う富豪の庭だ。いくら貴君でも斬首は免れない」

魏延「ケッ、好き勝手に言いやがってクソが。何をしに来た」

間諜「一日、尾行させてもらった。相当、周りに対して不平不満を抱いている様子。少し手助けをしてやろうと思ってね」

魏延「ふざけるな。誰が怪しいスパイの助けなど借りるか」

間諜「私は貴君が仕えるべき真の英雄を知っている」

魏延「……曹操だの孫権だの、ありきたりな名前を挙げるのではないだろうな」

間諜「名を知りたくば、ジャンヌ・ダルクの情報を携え明日の深夜、グーリ・アミール廟の前まで来い」

間諜は闇に溶け、踏み荒らされたチューリップの庭園と魏延だけが残された。

魏延「くだらねぇ。俺は一度、韓玄を裏切った。二度も謀反を起こすとなると、流石に腰が引けるぜ」

魏延「だが……クソッ。うまく考えがまとまらねぇ。畜生!」ゲシッゲシッ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 17:30:46.88 ID:UByblQ+PO
くっそワロタわ
52 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/15(土) 21:54:10.29 ID:MJaMpRgw0
ジャンヌ「う〜ん……はぁ」

視界が明るい。うっすらとまぶたを開けたジャンヌは、両腕を上に伸ばしながらあくびをした。
葡萄の香りが爽やかな朝の涼風に乗って、窓からそよそよと吹いてくる。
ポケモンセンターの寝具はベッドではなく布団を床に直接敷いたものだが、何層も重ねているので寝心地は悪くなかった。
久しぶりにぐっすりと眠った気がする。
聖女として戦に駆り出されていた時に比べ、地位も栄誉も失った現在の方が穏やかな朝を迎えられるとは、何たる皮肉か。

ジャンヌ「劉備さんとサトシには、感謝してもし切れないわね」

アブルハイルの城には泊まらなかった。選択する以前の問題で、泊めさせてもらえなかったのだ。
猜疑心に満ち溢れた彼は、どこの馬の骨とも知れぬジャンヌに寝込みを襲われる事態を恐れた。
そのため、客人であるはずのジャンヌは一歩たりともアブルハイルの起居するユルトに立ち入ることができなかった。
諸葛亮の献策により仕方なく、中立的な立場のポケモンセンターを宿として選んだのである。

ジャンヌ「お腹空いた……」グウゥゥ

エリートトレーナー「フリーザーの吹雪を喰らってから、僕のヤトウモリが目を覚まさないんです! どういうことですか、これは!」

ジョーイ「フム……この子はもう駄目ですね。心ノ臓が凍りついています。ポケモンタワーへゆくと良いでしょう」

エリートトレーナー「そんな、薄情な!」

対戦するポケモンの間に力量差があり過ぎると、敗者が死亡するのは当然のこと。
エリートトレーナーの慟哭を横目に、ジャンヌはのそのそと出口へと向かった。
溢れんばかりの陽光が、彼女を祝福するかのように降り注ぐ。

ジャンヌ「主よ……無事に悪魔の夜を乗り切れたことを感謝致します」

劉備「あッwwwおはよう尚香ちゃ〜んwww」

諸葛亮「陛下、彼女は孫夫人でなくジャンヌ殿でしょう。ラグマンのつゆをこぼさない!」

趙雲「後で兵達にも炊き込みご飯を持って行ってやらなくてはな」

魏延「ジャンヌ……」ピクッ

四人の武将が唐草模様の赤い絨毯を敷き、料理を囲んで談笑していた。
サトシはやけど治療のため、一日ポケモンセンターの奥に軟禁されているという。
劉備は右にずれて、ジャンヌに座るよう命じた。

劉備「名前www間違えちゃってごめんねwww尚香ちゃんに似てるからさぁwww」

ジャンヌ「は、はぁ……」

劉備「ぼくちんと尚香ちゃんの惚気話www聞いとく?www朝の小咄にはもってこいっしょwww」

ジャンヌ「別にいいよ、それより料理について教えて」

劉備「あれわ十年前の昼下がりのことだったwww」

ジャンヌ「話聞いてないし……」
53 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/15(土) 22:02:37.51 ID:MJaMpRgw0
〜十年前・洛陽ディズニーシー〜

劉備「ふおおおおwwwwwここが鼠的海(ディズニーシー)ですかぁwwww広いねーwwwwねーwwww」

孫尚香「ったく! どうしてあたしが! こんなド田舎ニートとデートしなきゃならないんですかァーーーーーー!」

劉備「と言いつつしっかりついてくる尚香ちゃんに萌えwwww孫権くんも良い妹さんを持ったもんだねーwwwwうふふーwwww」

孫尚香(くっ……! かくなるうえは、レイジングスピリッツ搭乗時にこいつのシートベルトを小刀で切って……)

劉備「あwそうそうwwwwぼくちんを殺したら蜀と呉の同盟が破綻するからwwww怖い人が沢山キミの祖国をめったくそに蹂躙するからwwwww」

孫尚香「ううぅ〜。ここで蜀呉の同盟を持ちだすなんてズルいわよ! あんた、どこまで性格悪いのよ!」

〜ででーん! パレードが始まる〜

ミッキーマウス「ハハッ!☆彡 みんなも大好きミッキーマウスだよ! ハッピーパラダーイス!☆彡」キラーン

群がるクソガキ共「米老鼠! 米老鼠!」

劉備「やべぇwwwwなんか、ぼくちんとキャラかぶってる奴来たwwww尚香ちゃ〜んwwwちょっとそこで待っててくんないwwww」タッタッタッ

孫尚香「え!? ええ!? ちょっとあんた、どこ行くつもりなのよ〜!」
54 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/15(土) 22:05:15.83 ID:MJaMpRgw0
劉備「おいwwwwそこのブルジョワネズミwwww」

ミッキーマウス「ハハッ☆彡 誰だいキミは?」

劉備「涿県の劉備ッスwwww今日もガッポガッポみたいッスねwwww」

ミッキーマウス「ガッポガッポ? どこがガッポガッポなんだい?☆彡」

劉備「いやぁ……www勿論ねww金の話ッスよwwwこれだけガキ共を魅了してりゃ、それなりの給料は貰えるでしょ?wwww」

ミッキーマウス「うーん、ボクはそんなチンケな問題気にしてないな☆彡 小さい子が喜んでくれれば、それで満足なんだ☆彡」

劉備「何言ってんだよwwwそれは建前の話だろ?wwwやっぱり休日にはミニーとデートしたりすんだろ?wwww」

ミッキーマウス「ミニーはボクの良き友人だよ☆彡それより、パレードの続きをしたいから行く手を阻まないでもらえるかな?☆彡」

劉備「嘘をつけwwwお前の腹黒さなんて孔明くんがとっくに見抜いてんだよwwwwあいつは三国統一を目指しているとねwwwww」

ミッキーマウス「三国統一? ハハッ☆彡 よくもそんなバカげた流言を信じているね。ボクはもっとでっかい目標を持ってるんだよ☆彡」

劉備「何だよwwww言ってみろよwwwwwネズミのくせにwwwww」

ミッキーマウス「世界……征服さ。ま、薄汚れたクソゴミには理解できないと思うけどね☆彡」
55 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/15(土) 22:40:19.56 ID:MJaMpRgw0
ジャンヌ「……なんですか、それは」

色々と突っ込みどころが多すぎて思考が追い付かない。
そもそも、これは孫夫人とやらの話ではない。
代わりに答えたのは、涼しげに扇を振る諸葛亮だった。

諸葛亮「ミッキーマウスですか。久方ぶりに、その名を聞きました。赤壁の戦いでしたっけ? 初めて我々と矛を交えたのは」

劉備「そそwwwよく覚えてたねwwwあの変則的な戦法にはだいぶ苦労させられたよwww」

趙雲「連環の計を一瞬で見破りましたしな。相手が魏軍だから良かったものの、もしミッキーマウス軍と対峙していたら……」

諸葛亮「こうして青梅を煮て英雄を論ずることもできなかったわけですな」

劉備「それぼくちんと曹操のネタだろwww勝手に盗んな臥龍先生wwwつか趙雲まともだねwww」

趙雲「昨日、旅商人から性欲を抑える漢方を頂きました。これで何がいてもチンカスを舐めずに済みます」

劉備「良かったねwwwもうその漢方、手放せないねwww」

魏延「丞相! 今だからこそ申し上げます。ゴビ砂漠付近で、ミッキーマウスが賊軍を連れているとの情報あり!」

諸葛亮「黙れタコ。ささ、ジャンヌ殿。あなたの分も取ってありますよ。こちらはシャシリク。金串に鳥や羊の肉を焼いて刺した料理です」

ジャンヌ「へー、おいしそう! これはトマト? それともイチジクかなー。ま、いいや。いただきまーす! はむッ……おいし〜い!」パアァァッ

魏延「タコと……? 丞相、俺のことをタコと……?」ピキピキィ

劉備「反骨キモスが苛立ってんぞwww孔明くんって頭は良いけど、空気が絶望的に読めないんだよねwww」

趙雲「神は二物を与えず。賢人と奇人は紙一重。陛下、あなたも立派に賢人であり且つ変人の域へ踏み込んでいるのですよ」

劉備「ピョエーwww変人なんてwwwお前に一番言われたくないわwww」
56 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/15(土) 22:46:52.60 ID:MJaMpRgw0
今日はここまで
57 : ◆vfNQkIbfW2 [saga]:2017/07/18(火) 23:25:18.11 ID:UTjps5620
朝食の後、昼までしばしの自由時間を得たジャンヌは、どこか広い場所を求めて街を歩き回った。
サマルカンドブルーに照り映えるグーリ・アミール廟の前まで来ると、近くに立っている大樹の下に腰を落ち着けた。
昨日サトシから貰ったモンスターボールを取り出し、地面に向かって投げてみる。
光を放ちながらボールが割れ、炎天下の中ただ無性に跳ね続けるコイキングがそこにいた。

コイキング「ココッコココ」ビチビチッ

ジャンヌ「コイキング、跳ねて!」

しかし、何も起こらない。
昨日のサトシ戦でコイキングが見せた鬼神の如き跳躍は、どこへ行ってしまったのか。
ジャンヌは苛立たしげにコイキングの身体を蹴りつけた。

ジャンヌ「あいだぁーーーーッ!!!」

硬い。あまりに硬すぎる。
鉄球を思い切り蹴ったような感覚だ。
爪先を押さえて地面を七転八倒していると、頭上から声が降ってきた。

短パン小僧「馬鹿だなぁ、硬いコイキングを蹴るなんて。姉ちゃん、それでもポケモントレーナーなの?」

ジャンヌ「なによ、なんか文句あるっての」

短パン小僧「大ありだね! 実力のないトレーナーに飼われて、そのコイキングが可哀想だよ」

ジャンヌ「実力がない、ですって? あのねぇ、私は数日前に初めてポケモンというものを知ったのよ。ルーキーに決まってるじゃない」

短パン小僧「ポケモン歴の長短は関係ない。ポケモントレーナーは目が合えばバトル! 姉ちゃんのコイキング、叩き潰させてもらうよ」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/25(火) 01:20:01.87 ID:lu6TDRAao
これは面白い
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