真姫「アイリスのはなことば」

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38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:46:39.33 ID:WaUNN6Q5o

にこ「ほら、手を振り返してあげたら?」


真姫「……」フリフリ


「あ……! おーい、お〜い! 真姫ちゃ〜ん!」

「そんなに大声出さないでくださいっ!」

「そ、そうだよぉ、恥ずかしいよぉ」


穂乃果「あはは」

絵里「ふふ」


にこ「結構買ったわね〜」

海未「足りなくなっては困りますから、少し多めに買いました」

穂乃果「花陽ちゃん……そのずっしりと重そうなのは……」

花陽「お米だよっ!」

穂乃果「あ、やっぱり……」

絵里「このまま穂乃果のお家に向かうの?」

穂乃果「えっと、ことりちゃん迎えて、それから希ちゃんを」

絵里「わかったわ。それじゃ行きましょうか」

穂乃果「待って、絵里ちゃん」

絵里「……なに?」

穂乃果「ちゃんと自己紹介しなきゃ」

絵里「そうだったわね。……えっと、真姫?」

真姫「……?」

絵里「改めて自己紹介させてもらうわ。絢瀬絵里よ。これからよろしくね」

真姫「……うん」

穂乃果「挨拶されたんなら、ちゃんと自分も挨拶しなきゃダメだよ?」

真姫「……にしきの、まき…です」

凛「挨拶が済んだら、さっさと行くにゃ〜」

花陽「まだ時間はあるよ、凛ちゃん」

凛「ことりちゃんか希ちゃんの場所でゆっくりしよう〜?」

花陽「そうだね。あ、真姫ちゃんも行こう?」

真姫「う、うん……」


絵里「うーん、まだ萎縮しちゃってるわね」

海未「それはしょうがないですよ。真姫の中ではまだ面識は浅いのですから」

にこ「っていうか、この人数でおしかけて大丈夫なの?」

穂乃果「うん、多分!」


……


39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:48:17.54 ID:WaUNN6Q5o

―― メイド喫茶


カランカラン


ことり「いらっしゃいま――……あ、真姫ちゃん〜♪」

真姫「えっ、……ことぃちゃん……?」

ことり「わぁ、来てくれたんだ〜♪」

穂乃果「ことりちゃん、もう上がれるの?」

ことり「ちょっと待ってて、店長に聞いてくる」

テッテッテ


穂乃果「びっくりした?」

真姫「……うん」

穂乃果「あの格好でここでアルバイトしてるんだよ。
     ほら、この写真とか、ことりちゃんが働いてる様子がわかるでしょ?」

真姫「……」

穂乃果「そういえば、ことりちゃんってハッキリ呼べなかったね」

真姫「……っ」

穂乃果「恥ずかしがらなくてもいいよ〜。でも、次はちゃんと呼んでみてね。
     誰も気にしないから」

真姫「……うん」


ことり「穂乃果ちゃん、ごめんねぇ。もう1時間くらいは出られないかも」

穂乃果「そっか。……じゃあ、希ちゃんのとこで待ってるから、そっちに来てくれる?」

ことり「ううん、待たないで先に行っててもいいよ?」

穂乃果「ダメだよ。人通りの少ない場所はなるべく二人以上でって言われてるでしょ?」

ことり「あ、そっか……」

穂乃果「私の家までそういう箇所いくつかあるから、ね」

ことり「うん、ごめんね」

穂乃果「いいよべつに。みんなと一緒に待ってたらすぐだよ」

ことり「うん、ありがとう〜」

穂乃果「それじゃ、またあとでね」

ことり「またあとで〜」

真姫「……」

ことり「真姫ちゃんも、あとでね」

真姫「うん……。おしごと、がんばってね……ことり…ちゃん」

ことり「うん! ありがと〜♪」


……


40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:09:33.76 ID:WaUNN6Q5o

―― 神社


希「……」


希「なんやろ……この居心地の悪さ……」



「希〜!」

「希ちゃ〜ん!」


希「お、にこっちと凛ちゃんや」


「よーい、どーん!」


「うわっ、いきなり走り出したにゃ!」

「ちょっ、ずるいわよ穂乃果!」

「一位の人にはさっきの試食品が贈られま〜っす!」


希「試食品?」


ドドドドッ


「か、勝ちますっ!」

「負けられないわ!」

「もう一度、あの味をっ!」

「えっ!? なんで海未と絵里が本気出してんの!?」

「かよちんまで!? そんなに美味しかったのー!?」

「っていうか、私は別にいらないから本気出さなくてもいいや」


希「なんだかわからないけど、重要な勝負なんやな」


ドドドドドッ


希「さぁ、突然始まった階段駆け上がり勝負! 勝者は誰の手に〜?」


ドドドドッ


希「勝負を捨てた穂乃果選手! 試合に取り残された真姫選手とゆっくりあがってきます!」


ドドドドッ


希「にこっち選手、階段中央でなんだか白けた模様! 走るのを止めて歩いています!」


希「凛選手! 前の三人が並んでいて追い抜くことが出来ない〜!」


希「並ぶ三人! 海未選手速い速い! 絵里選手も負けじと駆け上がる! 大健闘の花陽選手!」


ドドドドドドッ


希「さぁ、謎の試食品を手に入れるのは誰か〜! ゴォール!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:10:53.80 ID:WaUNN6Q5o

海未「ぜぇはぁっ」

絵里「はぁはぁっ」

花陽「ふぅふぁっ」


希「勝者は〜、胸の差で花陽選手の勝利〜!」


海未「そんな……!」

絵里「なんてこと……」

花陽「やった!」


凛「凛が体力勝負で負けるなんて〜〜!!」


にこ「どうでもいいけどね、あんたたち」

海未「はぁはぁ……なにか……?」

絵里「なに……?」

花陽「?」

穂乃果「階段を全力で駆け上がったら……その……」


海未絵里花陽「「「 ??? 」」」


真姫「ぱんつ……」


海未絵里花陽「「「 〜〜〜ッッ!!! 」」」


にこ「今更抑えてもね……」

海未「破廉恥です!」

凛「真姫ちゃんたち以外に誰もいないからセーフにゃ」

にこ「ギリギリセーフよ。ギリセーフ」

真姫「ぎりせーふ」

絵里「そういう問題じゃないのよっ!」

花陽「あ……あぁ……」

穂乃果「あの、けしかけた私のせいです……ごめんなさい」


……


42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:12:55.51 ID:WaUNN6Q5o

―― 夕暮れ時


真姫「み〜つけた」

凛「みつかったにゃ〜」


穂乃果「凛ちゃんで最後だね。じゃあ、最初に見つかった、うみちゃんの鬼!」

海未「それはいいですが、別の遊びにしませんか?」

花陽「飽きちゃった?」

海未「いえ、そういうわけでは……」

穂乃果「トラシカだよね、うみちゃん」

絵里「ウマでしょ」

真姫「とらうま?」

穂乃果「昔ね……今みたいにみんなでかくれんぼしてたんだけど……。
     日が暮れるから最後にもう一回だけやって帰ろうってなったんだ……」

花陽「ほ、穂乃果ちゃん……話し方が怪談みたいだよっ」

穂乃果「あの時も、今みたいに、うみちゃんが鬼になってね……」

凛「ごくり……」

穂乃果「もうい〜かい〜? ま〜だだよ〜」

海未「……」

穂乃果「もうい〜かい〜? もうい〜よ〜」

真姫「……っ」

穂乃果「うみちゃんは閉じていた目を開いて……私たちを探し出した」


穂乃果「ここかな? いない。 ここだ! いない。 ここしかないはず。でもいない」


穂乃果「いない、いない、いない、いない。どこにもいない」


穂乃果「いないいない。だ〜れもいない」


穂乃果「みんな、私を置いて、帰っちゃったのかな? ひどいなぁ、かなしいな、さびしいなぁ」


穂乃果「そう、思って……。今みたいに暮れそうな夕陽をみつめたの」


花陽「……」

凛「……」

真姫「……っ」

海未「……」


穂乃果「そしたら、一つの影が立っていた」


穂乃果「ことりちゃんかな、ほのかちゃんかな。そう思ったうみちゃんは嬉しそうに声を上げるの」


穂乃果「み〜つけた〜!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:15:59.85 ID:WaUNN6Q5o

穂乃果「だけど、その声を聞いた影は動こうとしなかった」


穂乃果「夕陽がまぶしくてよくみえない」


穂乃果「うみちゃんはその影に近づいて顔を確認した。……だけどそれはありえない人だったの」


穂乃果「うみちゃんはとんでもないひとをみつけた……!」


花陽凛海未「「「 ごくり 」」」


穂乃果「なぜなら その 影は う み ちゃ 」



「 おまえだーーーッッ!!! 」



穂乃果花陽凛海未「「「「 キャァアアーーーー!! 」」」」



穂乃果「って、にこちゃん!!」

にこ「ふんっ」

穂乃果「なんでうみちゃんの視点で語ってるのに『おまえだー!』ってなっちゃうの!?
     話がおかしくなるでしょ!!」

にこ「海未が聞き入ってること自体おかしいでしょ」

穂乃果「怖い話だからそこはいいの!
      花陽ちゃんも凛ちゃんも突っ込まないで聞いてくれてたし!」

にこ「そんなことより、私はまだ見つけられてなかったんですけど!?」

穂乃果「あれ、そうだっけ?」

にこ「そうよ! ずっと隠れてたのにあんた達はなにか話してるし、
    深刻な話かと聞きに来たら怖い話してるじゃない、バカじゃないの!?」

穂乃果「あー……ごめん」

にこ「見つけてくれる人がいないのにずっと隠れてる人の身にもなってほしいわ」

穂乃果「あれ、みんなは?」

にこ「四方八方に走っていったわよ」

穂乃果「ふふ、よっぽど私の話にのめり込んでいたんだね」

にこ「絵里は聞いてなかったみたいだけどね。離れてたし。
    途中から真姫を連れてどこかへ行ったわ」

穂乃果「えぇ……」

にこ「えーっと……ほら、あっちで参拝してる」

穂乃果「本当だ……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:17:24.06 ID:WaUNN6Q5o

絵里「これでよし、と」

真姫「かみさまにおねがい?」

絵里「えぇそうよ。みんなが平穏無事にいられますようにってね」

真姫「……」

絵里「それとね、真姫?」

真姫「?」

絵里「穂乃果たちが今みたいに怖い話とかしてても、無理して聞くことないからね」

真姫「うん……」


希「ん〜? 何の話?」


絵里「なんでもないわ。仕事は終わったのね」

希「うん。事務の仕事がちょっと長引いちゃって」

絵里「気にしないで。こっちは遊んでいたんだから」

真姫「……」


穂乃果「はい、ターッチ!」

ことり「きゃっ」

穂乃果「わーい、にげろ〜!」

凛「鬼さんこちら〜」

にこ「手のなる方へ〜」

ことり「待て〜!」

海未「そう簡単には捕まりませんよ」

花陽「わっ、わわわっ」

穂乃果「こっちこっち〜♪」

ことり「あ〜ん、悔しい〜! あれ、デジャヴ……」


真姫「……」

絵里「行ってきていいわよ、真姫」

真姫「ううん、いい……」

希「みんな友達なんだから、遠慮は必要ないんよ」


真姫「……」


穂乃果「おーい、真姫ちゃんもおいで〜」

凛「おいで〜!」


絵里「ほら、行ってらっしゃい」

希「みんな待ってるよ」

真姫「……うん」

タッタッタ
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:18:55.97 ID:WaUNN6Q5o

絵里「……結構素直なのよね」

希「……」

絵里「ことりも合流したことだし、しばらくしたら移動しましょうか」

希「……そうやね」

絵里「どうかしたの?」

希「……ここって神聖な場所やから、いつもは精神的にも落ち着くんやけど」

絵里「……」

希「なぜか最近は落ち着かなくて、居心地が悪くなるんよ……」

絵里「不吉なこと言わないでよ……」

希「……」


にこ「捕まえてごらんなさ〜い」

真姫「えいっ」

にこ「えっ!?」

穂乃果「なに驚いてるの!? あっさり捕まってるけど!」

凛「遅……」

花陽「油断しすぎだね……」

ことり「タイムリミットは夕陽が沈むまで〜」

海未「その時鬼だった人は罰ゲームですよー」


にこ「よぉし、ギリギリまで粘って最後に捕まえてやるわ〜」


穂乃果「うわっ、姑息だ!」

海未「真姫、逃げてください!」

ことり「狙われてるよ!」


真姫「ん〜っ!!」


にこ「さぁさぁ、お逃げなさい〜」


凛「いやな鬼だにゃぁ」

花陽「あぁっ、捕まるっ」

穂乃果「そういえば、みんなで見るために伝伝伝を持ってきたんだった。
    落とさないように気を付けないと……」

にこ「ちょっと!? 傷なんて付けたら絶対に許さないわよ!?」

穂乃果「大丈夫大丈夫〜」

にこ「待ちなさい! こらー!」


絵里「標的が変わったわね……」

希「……」


希「この地に、なにか禍が起きようとしている……?」


……


46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:20:18.89 ID:WaUNN6Q5o

―― 高坂邸:玄関


穂乃果「ただいま〜」


母「おかえりなさい」

雪穂「おかえり〜」


穂乃果「お母さん、雪穂、紹介するね。真姫ちゃん」

真姫「……こんばん…わ」


母「はい、こんばんは」

雪穂「……」


穂乃果「真姫ちゃん、私のお母さんと、妹の雪穂」

真姫「……まき…です」


母「穂乃果の母をやっています。さ、上がって上がって」

真姫「……っ」

穂乃果「ほら、入って入って」

真姫「う、うん……」

雪穂「……」

穂乃果「どうしたの、雪穂?」

雪穂「あ、うん……。本当に雰囲気が違うから……」

穂乃果「不安だらけだと思うから、よろしくね」

雪穂「うん、わかった」

穂乃果「お父さんは?」

雪穂「晩御飯の支度してるよ。人数が人数だから」


……


47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:21:56.24 ID:WaUNN6Q5o

―― 居間


にこ「みんな、ご飯届いてるー?」

凛「えっと……あ、希ちゃんとことりちゃんが無いにゃー」

にこ「おっけー、他は足りてるのねー」

穂乃果「にこちゃんお客さんなんだから座っててよ」

にこ「いいのいいの、これくらい手伝わなきゃ時間がかかるでしょ」

ことり「はい、どうぞ希ちゃん」

希「ありがと〜」

絵里「すいません……急におしかけてしまって……」

母「いいのよ、大した物用意してないんだから、気にしないで」

絵里「いえ……それでもかなり手の込んだ料理で……」

母「お父さんが張り切っちゃってね。
  小学の時にやってた誕生日会以来で、少し楽しんでたみたいだから」

海未「そういえば、やってましたね、誕生日会」

ことり「あったあった♪」

穂乃果「懐かしいね……」

雪穂「今みたいにいろんな人来てたよね」

穂乃果「ヤマーダちゃん、元気にしてるかな?」

ことり海未「「 だれっ!? 」」

花陽「外国人……?」

雪穂「いえ、適当に言っただけですから」

穂乃果「せっかくだから、今日は誰かの誕生日を兼ねたパーティーにしようよ!」

海未「やめなさい。……また適当なことを」

ことり「みんなにちゃんと行き渡ってるかな……」

にこ「隣、いいかしら……?」

真姫「……」コクリ

にこ「失礼するわね……。って、前にも似たようなこと言ったような……」

穂乃果「じゃあ、にこちゃんの誕生日ってことで」

にこ「別にいいけど、ケーキは?」

花陽「いいの!?」

希「……」

にこ「どうしたの、希?」

希「うん?」

にこ「さっきからしずかだけど」

希「そんなことないよ。ただちょっと、賑やかで置いてけぼりなだけ」

にこ「ふぅん……」

凛「穂乃果ちゃん、はやく頂きますしよう〜?」

穂乃果「そうだね。じゃあ……」

絵里「お母さんたちは……?」

穂乃果「お店の方で過ごすって」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:23:21.71 ID:WaUNN6Q5o

花陽「真姫ちゃん、コップとって?」

真姫「……?」

花陽「ジュース、なにがいい?」

真姫「おれんじ……」

花陽「……はい、どうぞ」

トクトクトク


穂乃果「じゃあ、いただきますの挨拶は……主賓のにこちゃん」

にこ「はい?」

凛「しゅひんってなに?」

穂乃果「主役ってこと。誕生日だから」

海未「意味が違いますよ」

ことり「誕生日でもないよ〜」

穂乃果「?」

絵里「主賓っていうのは、お客さんの中で一番地位が高い人」

にこ「……」スッ

希「当然のごとく立ったね」

ことり「部長さんだから」

にこ「みんな、コップ持って」

凛「かよちん、凛もオレンジお願い〜」

花陽「うん」

にこ「今日はぁ、にこの為に集まってくれてぇ、とっても嬉しいですぅ」

真姫「……」

にこ「今日という日をぉ、にこは一生忘れませんっ」

穂乃果「……」

にこ「これからも辛いことや悲しいことがあるかもしれませんが、
   みんな、にこのことを支えてくださいっ!」


にこ「代わりに、みんなが同じように苦しいときは、にこが支えてあげますっ。
   勇気を出して一歩を踏み出せるように――」


穂乃果「反応に困るよ!!」

にこ「なによ」

穂乃果「良いこと言ってるけど、そのキャラで台無し!」

絵里「はぁ……」

希「真姫ちゃん」

真姫「……?」

希「ヒソヒソ」

真姫「……え?」

希「いいから、言って♪」

真姫「……」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:25:07.55 ID:WaUNN6Q5o

凛「ご飯が冷めちゃうにゃ〜」

花陽「あったかいうちに食べなきゃ」

にこ「わぁかったわよ、簡潔にいうから」

海未「お腹すきましたから、それでお願いします」

にこ「穂乃果が邪魔しなければとっくに終わってたのよ。……こほん…」

穂乃果「……」

にこ「今日はぁ、にこの為に集まってくれてぇ、とっても嬉しいですぅ」

花陽「最初から!?」


真姫「い、いただき…まーす……!」


一同「「「 いただきまーす 」」」


にこ「ちょっとぉ! 名演説を聞かなくていいの!?」

穂乃果「というか、今日はにこちゃんの為に集まったわけじゃないし」

にこ「あんた……にこの誕生日ってあれだけ言っておいて……」

雪穂「今日のお姉ちゃん……適当すぎ……」


……




ことり「ごちそうさま〜」

凛「おなかいーっぱい」

真姫「ごちそうさま……です」

穂乃果「ねぇ、みんな……明日はどうするの?」

にこ「どうするのって?」

穂乃果「明日休みでしょ? どこか行きたいなーって」

雪穂「片付けますね」

絵里「ありがとう。私も手伝うわ」

ことり「私も手伝うね」

雪穂「いいえ〜、ゆっくりしててください」

穂乃果「雪穂、お茶〜」

雪穂「はいはい」

絵里「じー……」

穂乃果「な、なにかな?」

絵里「あまり、よそ様のお家のことをとやかく言いたくないんだけど……」

穂乃果「はい……なんでしょう」

絵里「ちゃんと手伝ってあげなきゃだめよ?」

穂乃果「い、いつもはちゃんと手伝ってるよ」

絵里「本当に?」

穂乃果「……はい」

絵里「ならいいけど」

穂乃果「……私にお姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:27:02.39 ID:WaUNN6Q5o

海未「これからどうしますか?」

凛「なにかして遊びたいにゃ〜! ね、真姫ちゃん?」

真姫「うん……」

花陽「それでは、伝伝伝を」

にこ「なんでやねーん! って、本当に持ってきてたの!?」

希「それじゃ、トランプでもする?」

穂乃果「しようしよう。花陽ちゃん、リモコン」

花陽「ありがとう」

プツッ

花陽「あ……」


『先日起きました、警察官刺傷事件ですが、犯人は未だに――』


花陽「――!」

プツッ


海未「……」

ことり「……」

凛「……」

絵里「……」

真姫「……?」


穂乃果「ババ抜きでいいかな、真姫ちゃん?」

真姫「うん」

希「それじゃ、配るね」


母「みんな、今日は泊まっていくの?」

絵里「いえ、別々のところにお世話になろうと思っています」

希「エリちと花陽ちゃんはことりちゃんとこに、凛ちゃんとうちは海未ちゃんのところに」

母「もう遅いし、それがいいわね。ちゃんとお家にの人に連絡はしておいてね」


一同「「「 はーい 」」」


にこ「にこはぁ、どうしよっかなぁ?」

真姫「帰っちゃうの……?」

にこ「真姫ちゃんがそういうならぁ、にこは穂乃果ちゃんのとこにお世話になっちゃおう☆」

穂乃果「屋根上が空いてるからそっち使ってね」

にこ「せめて屋根裏にして!」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:28:10.08 ID:WaUNN6Q5o

絵里「明日遊ぶにしても、一度帰るから……昼になるわね」

穂乃果「そうだね。後でどこに行こうか考えようね、真姫ちゃん」

真姫「……うん」

穂乃果「どうしたの?」

真姫「……といれ」

穂乃果「案内するね。ついてきて」

真姫「……」

スタスタスタ......


絵里「なんだか、最近の穂乃果ってしっかりしたお姉さんって感じね」

にこ「そお?」

海未「確かに、しっかりしようと張り切ってる部分は見えますね」

凛「真姫ちゃんも頼ってるみたいだね」

花陽「……」

ことり「どうしたの、花陽ちゃん?」

花陽「うん……。犯人ってまだ捕まらないんだね……」

希「……」


……




―― トイレ


ジャー

 ガチャ


真姫「……」


ヒラヒラ


真姫「あ……」



……


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:28:58.60 ID:WaUNN6Q5o

―― 玄関



「――。」



雪穂「……?」



「――。」


雪穂「外に誰かいる……?」


「雪穂〜」


雪穂「あ、お姉ちゃん」

穂乃果「真姫ちゃん、知らない?」

雪穂「外……かな? 話し声が聞こえるけど」

穂乃果「外……?」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:30:07.76 ID:WaUNN6Q5o

―― 高坂邸:前


真姫「……うん、バイバイ」


……。


真姫「……」


「真姫ちゃん?」


真姫「?」

穂乃果「誰かいたの?」

真姫「……」

穂乃果「電話……じゃないよね」

真姫「ひみつ」

穂乃果「……」

真姫「?」

穂乃果「ねぇ、真姫ちゃ――……ううん、真姫」

真姫「なに……?」

穂乃果「その秘密にしてることって、真姫にとって危険なことじゃないよね?」

真姫「きけん……?」

穂乃果「うーん、なんて言えばいいのかな……不安になったり怖くなったりすることじゃないってこと」

真姫「ひみつにしたらダメ……?」

穂乃果「ううん、ダメじゃないよ。それが大事だと思うならそうするべきだから」

真姫「……」

穂乃果「さ、中に入ろ」

真姫「うん」

穂乃果「……」


穂乃果「……ん?」


真姫「どうしたの?」


穂乃果「ううん、なんでもない」


……


54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:31:26.80 ID:WaUNN6Q5o

―― 居間


にこ「はい、罰ゲームをどうぞ」

凛「じゃあ、ちょっと恥ずかしいけど……物マネをします!」

海未「それは期待ですね」

凛「にっこにっこにー♪」

ことり「凛ちゃんかわいい♪」

にこ「罰ゲームになってないんですけど!?」

花陽「む、むしろ……にこちゃんの罰ゲーム……になってたりして」

真姫「……」

希「真姫ちゃんも戻ってきたから、配りなおすよ〜」



穂乃果「絵里ちゃん、ちょっとこっち来て」

絵里「どうしたの……?」

穂乃果「さっき、外で視線を感じたんだけど……」

絵里「え……!」

穂乃果「警察の人が警護にあたってくれてるんだよね?」

絵里「え、えぇ……真姫はあの事件のカギだと思われてるから……」

穂乃果「その人と話してたのかな……」

絵里「どういうこと?」

穂乃果「真姫が外で誰かと話をしてて……あまり深くは聞かなかったんだけど」

絵里「……」

穂乃果「外に出てきた真姫に注意したのかな……」

絵里「呼び方、変わってるのね」

穂乃果「うん……さっきね、なんだか放っておいたらダメだって改めて思ったんだ」

絵里「……」

穂乃果「目を離したらすぐにどこか行っちゃいそうだと思って……」

絵里「……家族のように接しようと?」

穂乃果「うん、そういうこと……」

絵里「なるほどね。……それで、さっきの話だけど」

穂乃果「うん……?」

絵里「なるべく注意してみてて、真姫のこと」

穂乃果「わかった。……だけど、秘密だって言われてるから詮索するのもどうかなって」

絵里「適度に見守っててあげるのよ」

穂乃果「難しいけど……分かった」


……


55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:32:47.46 ID:WaUNN6Q5o

―― 高坂邸:前



穂乃果「気を付けてね」

ことり「うん、それじゃ、また明日〜」

絵里「おやすみ」

花陽「ごちそうさまでした」

真姫「……バイバイ」

にこ「気をつけなさいよ〜」


スタスタスタ......


穂乃果「みんな帰っちゃうと少し寂しいね」

真姫「……うん」

にこ「真姫は、楽しかった?」

真姫「たのしかった。またみんなとあそびたい」

穂乃果「それは良かった」

にこ「明日も遊べるわよ」

穂乃果「それじゃ、お風呂入って寝ようか」

真姫「うん」

にこ「それにしても、穂乃果のうちにお泊りなんて考えもしなかったわ」

穂乃果「うみちゃん達とは中学まで何度かあったんだけど、高校入ってからはしなくなったなぁ」

真姫「ちゅうがく……?」

穂乃果「うみちゃんとことりちゃん、ずっと一緒にいるんだよ」

真姫「なかよしさんだった」

穂乃果「そうでしょ。分かり合ってる仲だから」

にこ「穂乃果ちゃん、にこのことも分かってくれてるよね?」

穂乃果「なにが?」

にこ「にこを屋根上なんかに寝かせたりしないよね、ね?」

穂乃果「あれは冗談だよ、決まってるでしょ〜?」

にこ「ベランダが空いてるとかも無しだからね?」

穂乃果「……」

にこ「沈黙やめて」

真姫「ふぁぁ……」

穂乃果「もうちょっと眠いの我慢してね。ほら、はやくお風呂入ろう〜」


……


56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:33:24.07 ID:WaUNN6Q5o

―― 朝


チュンチュン

 チュンチュン


穂乃果「ん……んん……」

真姫「すぅ……すぅ……」

にこ「くかー……」

穂乃果「ん?」

真姫「ん……すぅ……」

にこ「ん、んん……」

穂乃果「あ、そっか……二人ともお泊りしたんだった……」


穂乃果「二人がここで寝てるなんて……なんだか、変な気分……」


……


57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 10:35:11.01 ID:WaUNN6Q5o


―― 昼:商店街


穂乃果「ねぇ、真姫は学校に行きたいって思う?」

真姫「がっこう……」


子供「ねぇ、おかーさん、あれ買って、あれ買って〜」

母親「あと8年経ったらね〜」

子供「そんなに待てな〜い〜!」

母親「じゃあ、今度のテストで92点取れたら考えてあげる」

子供「え、本当に〜! やったー!」

母親「いい、92点よ? 92点だからね?」



穂乃果「私たちと一緒の学校だよ」

真姫「……うん」

穂乃果「少し、考えてみて」

真姫「……」コクリ


絵里「穂乃果、真姫、お待たせ」

花陽「まだ二人だけ……?」

穂乃果「にこちゃんは一度戻ってから来るって」

絵里「それとね、海未は用事が出来たんだって」

穂乃果「そうなんだ……残念だね」

真姫「うん……」

花陽「あ、ことりちゃんが来たよ」

穂乃果「おーい、ことりちゃ〜ん!」


「あ、穂乃果ちゃ〜ん!」


絵里「あら、一人……?」

花陽「凛ちゃんと希ちゃんがいないね」


ことり「ごめんねぇ、待たせちゃって」

穂乃果「ううん、そんなに待ってないから大丈夫だよ」

真姫「……うん、だいじょうぶだよ。ぎりせーふ」

ことり「ふぅ……、よかった……。ぎりせーふ?」

穂乃果「にこちゃんが言ってたんだよ、それ……。変な言葉覚えちゃったね」

絵里「今日も人通りが多いわね……」

花陽「はぐれないようにしないとね」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:04:15.10 ID:WaUNN6Q5o

ことり「ねぇ、絵里ちゃん」

絵里「?」

ことり「希ちゃん、昨日から少し様子がおかしかったよね……?」

絵里「そうね……。調子悪いのかと思って聞いたけど
   『なんともない』って言ってたわ。……なにかあった?」

ことり「うん、昨日ね、帰ってからいろいろ話をしてたんだけど……
    その時も『なんでもない』って言ってた……」

絵里「一体どうしたのかしら……?」

花陽「凛ちゃんは?」

ことり「凛ちゃん、お家の用事があるんだって」

花陽「そうなんだ……」

真姫「……」

穂乃果「にこちゃん、遅いなぁ……」


……




―― 希の部屋


ペラッ

ペラッ


希「……」


希「すぅ……ふぅ……」


希「占いは所詮、占い……」


希「出た結果を受け止めて、前向きに……進む……」


希「勇気を出して、一歩を踏み出す……」


ペラッ


希「……!」


希「……――悪魔」


……


59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:09:47.41 ID:WaUNN6Q5o

―― 商店街


穂乃果「遅れるなら連絡くらいくれてもいいのに……」

真姫「じかん、まちがえたんじゃない……?」

穂乃果「えー? ちゃんと13時って言ったよね? それも3回くらい」

真姫「……うん、いってた」

ことり「3時と間違えてたりして……」

花陽「そんな、まさ……か…」

穂乃果「にこちゃんに限ってそんな間違い……ありえる!」

絵里「電話してみましょ」

穂乃果「……うん」

ポパピプペ

trrrrrrr


プツッ


『はい、もしもし〜?』


穂乃果「にこちゃん、いまどこ?」

『家だけど?』

穂乃果「集合時間、何時って言ったっけ?」

『3時でしょ?』

穂乃果「……」

花陽「あぁ……」

ことり「やっぱり……」

穂乃果「じゅう、さん、じ!」

『13時……? とっくに過ぎてるじゃない!』

穂乃果「そうだよ! どうするの、来るの?」

『い、行く、行くわよ! ちょっと待ってなさい!』

穂乃果「じゃあ、私たち、適当に過ごしてるから、着いたら連絡してね」

『わかった。……道理で遅すぎると思ったのよねぇ』

プツッ

絵里「真姫はどこか、行きたいところ、ある?」

真姫「あっち、あれにいきたい」

ことり「本屋さん?」

穂乃果「よし、行ってみよう」

花陽「そ、そういえば……今日は新刊の発売日……!」


……


60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:11:14.03 ID:WaUNN6Q5o

―― 本屋


店員「いらっしゃいませ」


花陽「えっと、えっとぉ……!」

絵里「なにをそんなに真剣に探しているの?」

花陽「今日は毎月発売されるスクールアイドル雑誌の……あっちかな!?」

絵里「私は参考書を見てくるわね」

ことり「ファッションチェック〜♪」


穂乃果「みんな思い思いに進んで行くね……」

真姫「……」

穂乃果「真姫はなにか探してる本とかあるの?」

真姫「うん……」

テクテクテク......


穂乃果「よし、付いて行こう……」


真姫「……」


穂乃果「絵本……?」


真姫「……」スッ


穂乃果「『天使と悪魔』……」

真姫「どっちが天使なの?」

穂乃果「こっちじゃないかな、白い服着てるし、優しそうな表情してるし」

真姫「こっちは?」

穂乃果「悪魔……かな。無表情だから、多分そうだよ」

真姫「そうなんだ……」

穂乃果「……」

真姫「あくまって、こわい?」

穂乃果「うーん……会ったことないから分かんないけど……怖いんじゃないかな」

真姫「……」

穂乃果「人をね、悪い方に誘う魔物なんだよ。それは怖いよね」

真姫「……うん」

穂乃果「逆に、天使は天の使いの者だから清らかなんだよ」

真姫「こわくなかったけど……」

穂乃果「え?」

真姫「……」

ペラッ ペラッ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:12:32.32 ID:WaUNN6Q5o

穂乃果「……」


店員「……」


穂乃果「う……店員さんに見られてる……」

真姫「……」

ペラペラッ

穂乃果「それ、面白い?」

真姫「うん……」

穂乃果「買う?」

真姫「ううん……」

穂乃果「……えっと、他にどんなのあるかな」


穂乃果「あ、懐かしい……小さいころに読んだよこの猫の本」


穂乃果「おぉ〜、木とヤギの……なんだか怖かったんだよねぇ」


ことり「ねぇねぇ、穂乃果ちゃん」

穂乃果「ん?」

ことり「この衣装のデザイン、かわいいよねっ」

穂乃果「あぁ、うん、かわいい〜」

ことり「ここのフリフリとかいいよね」

穂乃果「うみちゃんに着せてみたいよね〜」


真姫「……」


ことり「うん? どうかしたの、真姫ちゃん?」

真姫「これ……」

ことり「え、ゴスロリ?」

真姫「うん、かわいい」

穂乃果「……ふぅん」

ことり「ねぇ穂乃果ちゃん」

穂乃果「な、なに?」

ことり「真姫ちゃんって、ゴスロリに興味あったっけ?」

穂乃果「ううん、多分ない。私の知る限りないよ」


真姫「悪魔……じゃないみたい」


ことり穂乃果「「 ? 」」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:13:49.79 ID:WaUNN6Q5o

店員「いらっしゃいませ」


にこ「……」

スタスタスタ


穂乃果「あ……」


にこ「あったあった……。えっとぉ……」


ことり「私たちに気づいてないよね……?」

穂乃果「だね……。しかも連絡くれてないし……」


にこ「どこぉ……どこにあるのぉ……?」

ペラペラペラッ


絵里「32ページ」


にこ「32……と。あったあった……小さッ!」


花陽「私たちの名前はないけど、記事になるなんて嬉しいよねぇ」


にこ「なにが期待の新人スクールアイドルよぉ……! もっと枠を大きく取り扱いなさいよね……!」


穂乃果「あの、ちょっといいですか?」


にこ「部長であるにこのこと全然触れられてないしっ!」


穂乃果「あのぉ、すいません」


にこ「え、あぁ……ごめんなさい」

スッ


穂乃果「いや、本を取りたいんじゃなくて……あなたに用があるんですよぉ」


にこ「悪いんだけど、いまプライベートだから……って、穂乃果?」

穂乃果「はい、私です」

にこ「どうしてここに……って、みんないるわね」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:14:48.97 ID:WaUNN6Q5o

穂乃果「私たちに連絡をくれず、脇目も触れずにここへまっすぐ来ましたね」

にこ「そ、それがなにか?」

穂乃果「人を待たせてるのに自分の記事を探すのが第一って……」

にこ「う……」

絵里「……」

ことり「……」

花陽「……」

真姫「……」

にこ「む、無言の圧力……」

穂乃果「なにか、言うことがあるんじゃないですか?」

にこ「え、えっと……そのぉ」

穂乃果「……」

にこ「に、にっこ」

絵里「誤魔化さない」

にこ「ごめんなさい」ペコリ


……


64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 13:15:42.51 ID:WaUNN6Q5o

―― ゲームセンター


にこ「あの人形のどこがいいのよぉ〜!」

穂乃果「真姫のご指名なんだから頑張って、にこちゃん!」

ことり「もうちょっと前だよ!」

花陽「あぁ、行き過ぎ!」

真姫「…おちちゃった……」

にこ「もぉ〜! 取れる気がしない〜!!」


『ほな、あとで……』

絵里「わかった、それじゃ」

プツッ


穂乃果「もう最終兵器だね、ことりちゃん!」

ことり「わかった、任せて!」

真姫「が、がんばって……!」

ことり「よぉ〜し!」

にこ「あの人形、ちょっとやそっとじゃ動かないわよ」

絵里「ねぇ、穂乃果」

穂乃果「うん?」

絵里「私はこれで失礼するわ」

穂乃果「あ、うん……わかった」

絵里「それじゃ、ね」

穂乃果「うん、バイバイ〜」


……


65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:03:21.82 ID:Sez8j5keo

―― 逢魔が時:神社


絵里「もうこんな時間……」


絵里「楽しい時間はあっという間ね……」


「エリち」


絵里「あら、私服……?」


希「今日は、バイトじゃなく……私用できたんよ」


絵里「どうしたのよ、みんなで遊ぼうって話してたのに」


希「うん、ごめんね……遊んでいるときに急に呼び出して……」


絵里「それはいいけど……」


希「いろいろと考えてたんよ」

絵里「いろいろ?」

希「最近、うちの心が不安定で……落ち着かなかくて……」

絵里「そう、言ってたわね……」

希「ここ、神聖な場所にいるのに……それでも精神は揺れ動かされてるようで」


希「真姫ちゃんのこともあって、ショックを受けてるんやって思ってたんや」


絵里「……」 


希「それでもみんなは、この非日常を真姫ちゃんと一緒に今までの日常へと戻していった」


希「うちもそれに倣って……いつもの風景に溶け込んでいきたかったんやけど……」


希「それが出来なかった」


絵里「……」


希「この不安定な状態を改善したくて……占ったんよ」


希「うちらの未来を……」


絵里「結果は……どうだったの?」


希「……これやった」


スッ


絵里「それは……」


希「『悪魔のカード』」


絵里「…………」


希「いま、うちらは窮地に立たされているみたいなんや――」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:04:50.44 ID:Sez8j5keo

pipipipipi


絵里「――!」


希「……電話」


絵里「え、あ……えっと……穂乃果?」


プツッ


絵里「もしもし?」


『絵里ちゃん! どうしよう!!』


絵里「ど、どうしたの?」

『なんか、変なのが届いたんだよッ!』

絵里「変なのって……ちょっと、落ち着いて穂乃果」

『こ、これってもしかして犯人からの手紙なんじゃないかって!!』

絵里「え――」

『な、なんでこんな――!』


希「どうしたん……?」


絵里「犯人からの手紙……?」

希「え――!?」


『な、なんでうちのッ! 真姫のいる場所がッッ!!』


絵里「いま、どこなの穂乃果」


『どうしよう、どうしようっっ』


絵里「落ち着いて穂乃果!」


『――ッ!』


絵里「真姫と、一緒なんでしょ?」


『あ、うん……!』


絵里「真姫を不安がらせちゃダメよ。それを第一に考えて」


『う、うん……そうだね……ッ』


絵里「今から向かうわ。どこにいるの?」


『お、おうち。私の家だよ』


絵里「家、ね。わかった。……希」

希「うん、行こう……!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:08:09.56 ID:Sez8j5keo

絵里「穂乃果、周りに誰かいる?」


『ううん……あ、歩いている人ならいるけど……』


絵里「その場を動かないでね、今向かってるから。それと一度電話を切るけど」


『え……!?』


絵里「しっかりしなさい。あなた、お姉ちゃんでしょ?」


『あ……うん!』


絵里「じゃあ、少しの間だけだから」


プツッ


希「どうするん?」

絵里「伏見さんに連絡するのよ」

希「手紙っていったい……?」

絵里「さっぱりわからないわ……」

ピッピップ

trrrrrrrr


プツッ


『はい、伏見です』


絵里「私です、絢瀬絵里ですっ」


『あぁ、絢瀬さん?』


絵里「あ、あのっ……えっと」


『どうしたの? 慌ててるみたいだけど』


絵里「穂乃果、高坂穂乃果を知っていますか?」


『え? こうさか……あぁ、うん』


絵里「あの、だから……真姫のいる場所がっ、穂乃果の家でッ!」


『えっと、ごめん、よく分からない……』


希「エリち、止まって。冷静に……」


絵里「止まってられないわよ、急がないと!」


希「エリちはお姉ちゃんやろ?」


絵里「――!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:09:20.69 ID:Sez8j5keo

希「重要な部分だけ話すんや」


絵里「……わかった」


『……』


絵里「伏見さん」


『はい』


絵里「真姫はいま、高坂穂乃果の家にいます」


『……』


絵里「その家に、犯人からの手紙が届いたようです」


『え――!?』


絵里「どうすれば、いいでしょうか」


『……』


絵里「……」


『高坂さんの電話番号を教えてくれる?』


絵里「わかりました――」


……


69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:15:34.00 ID:Sez8j5keo

―― 高坂邸


真姫「ほの…ぁ……ちゃん……」

穂乃果「ご、ごめんね。ちょっと驚いたことがあって、あはは……」

真姫「……っ」

穂乃果「えぇっと……あ、その人形取れてよかったね!」

真姫「……」

穂乃果「さすがことりちゃんだよね、一発でとれちゃうなんて〜」

真姫「うん……」

穂乃果「でもこれ、なんて種類の人形――」


pipipipi


プツッ


穂乃果「は、はい、もしもし!」


『伏見といいます。警察の者です』


穂乃果「け、けいさつ……!?」


『絢瀬さんから聞きました』


穂乃果「絵里ちゃん……?」


『いま、その手紙は持っていますか?』


穂乃果「は、はい。持ってます」


『その手紙を、これから駆け付ける刑事に渡してください。
 ちゃんと身分証を提示するので、安心してください』


穂乃果「わ、わかりました」


『それから、その手紙の文面を写真に撮ってほしいんだけど、出来るかな?』


穂乃果「しゃ、写真……?」


『携帯電話でパシャッと』


穂乃果「は、はい……」


『絢瀬さんもそっちに向かっててすぐ到着すると思う』


穂乃果「あ……はい」


『それじゃ、後で』


プツッ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:16:38.74 ID:Sez8j5keo

穂乃果「……絵里ちゃん」

真姫「……ほの…かちゃん?」

穂乃果「ごめんね、変に心配かけちゃって……。もう大丈夫だから」

真姫「……うん」


穂乃果「あ、そうだ……写真を……」


ピロリン


「君たち……!」

穂乃果「は、はい」

「警察だ。いま、連絡を受けた」

穂乃果「……あ、あの」

警部「不審な人物は見たか?」

穂乃果「い、いえ……今帰ってきたばかりなので……」

警部「そうか……」

ガガッ

警部「おい、こっちに来い」

『なんスか、先輩?』

警部「事件の容疑者が接触してきたようだ」


穂乃果「……」

真姫「……」


警部「その紙がそうか?」

穂乃果「は、はい」

警部「こちらで預かろう」

穂乃果「……」


警部「ふむ――」


穂乃果「真姫……大丈夫だよ」

真姫「う、うん……っ」


警部「――なるほど」


「先輩!」

警部「これを鑑識に回す。あと、鑑識班も呼べ」

後輩「は、はいっ。入れる袋を持ってくるんスね!」

警部「おい、手袋を忘れるな」

後輩「は、はい〜」


穂乃果「……」

真姫「……っ」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:18:23.09 ID:Sez8j5keo

警部「では、二三、質問させてもらおう」


穂乃果「ぅ……っ」


ガラガラ


母「……どうしたの?」


穂乃果「お母さん……っ」


母「……?」


警部「失礼、私はこういう者です」


母「はぁ……警察の……」


警部「この家に犯人と思われる者から手紙が届きました」

母「え――」

警部「内容を確認したいので、質問に答えてもらいます」

母「……」

警部「君、いいね?」

真姫「……ッ!」

警部「君は、この手紙に記されてることが事実なら犯人の顔を二度も見ていることになる」

真姫「は、はんにん……?」

警部「思い出せるはずだ。相手の顔を……!」

真姫「え、えっと……」

警部「この手紙が本物なら――」


穂乃果「ま、待ってください……!」


警部「……?」


穂乃果「ま、真姫は……忘れているんです、事件のあった時のこと……」

警部「……」

穂乃果「だ、だから……」

警部「思い出すチャンスじゃないか」

穂乃果「え……?」

警部「犯人の顔を思い出せば、今までの記憶もまた戻る。そうじゃないのか?」

穂乃果「そ、それは……わかりません」

警部「すべてを思い出すことが何よりも優先すべきだ」

穂乃果「で、でも……真姫が……!」


真姫「ぅぅ……っ」


母「こんなに震えて……。怖がらせてしまっては思い出せるのも思い出せないのでは?」

父「…………」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:21:18.50 ID:Sez8j5keo

警部「……」


後輩「せ、先輩……」

警部「時間が経てば、また忘れてしまうかもしれない。
   危険に晒されているのはここに書かれている通り、9人になっているのかもしれないんだ」


穂乃果「―――ッ!」


母「え……?」

父「……!」


真姫「ほのか……ちゃんが……きけん……?」


警部「だから、一刻も早く犯人を――」


「ちょっと待ってください!」


警部「……」


絵里「犯人逮捕のために、一般人を傷つけてもいいのですか!?」


警部「人聞きの悪い……。君たちは誤解している。私たち警察は協力が欲しいだけだ」

後輩「そ、そうだよ。犯人をこれ以上好き勝手にさせてはいけない。
   悪運の強さに我々も手をこまねいてきたけど……もうそうはいかない!」

警部「余計なことを言うな、馬鹿野郎!」

後輩「す、すいません」


「それなら、私が事情を聴きましょう」


警部「あ……?」


伏見「私が得た情報は全部、そちらに回しているでしょう?」


警部「誰だ、おまえ……?」

後輩「ほ、ほら、あのオカルトの……!」

警部「あぁ、窓際部署の新米が研修に来たって……」

伏見「ち、が、い、ま、すぅ! 刑事十三課ですぅ! 正式な部署なんですぅ!」

警部「チッ……。もういい。俺たちは聞き込みだ」

後輩「は、はい!」

警部「必ず全部、こっちに回せよ」

伏見「言われるまでもなく」

警部「……」

スタスタスタ......



伏見「まったく、なぁにがオカルトよ、窓際よ、
   こっちのおかげで解決した事件もあるってのに」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:23:02.25 ID:Sez8j5keo

母「真姫、中に入って」

真姫「……ほの…」

穂乃果「大丈夫だよ」

真姫「……うん」

穂乃果「……」

父「……」コクリ


穂乃果「お母さん、お父さん……ありがと」


絵里「……」

希「……」


伏見「っと、愚痴ってる場合じゃない。えっと……穂乃果、さん?」

穂乃果「は、はい」

伏見「私は伏見といいます。絢瀬さんから番号を教えてもらって電話をしました」

穂乃果「……はい」

伏見「さっそくだけど、撮った写真を見せてくれるかな」

穂乃果「ちょ、ちょっと待っててください」


希「うちは、真姫ちゃんが気になるから中に入ってるね」

絵里「えぇ、お願いね」


穂乃果「え、えっと……」

絵里「……あの、写真って?」

伏見「証拠品だから、捜査一課に持っていかれると思って、高坂さんに撮ってもらってたの」

絵里「……」

穂乃果「……これ、です」


伏見「……」



『 こんにちは。

  突然の手紙を不審に感じられるでしょうが、
  私の顔に覚えがないようなのでこうして筆を執りました。

  今日は商店街へ行きましたね。
  西木野真姫さんとは目を合わせたのですが、私には気付かなかったようです。

  運がいいですよ。

  9人のお名前、簡単に知ることができました。

  あなた方はスクールアイドルをやっているのですね。

  それでは、また。 』



伏見「なるほど……警部の言った意味が分かった」


絵里「……なによ、これ」

穂乃果「……」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:27:43.03 ID:Sez8j5keo

伏見「では、質問させてもらうけど、いい?」

穂乃果「はい……」

伏見「商店街に行ったのは何時?」

穂乃果「13時です」

伏見「ふむ……。それで、帰ってきたのがついさっき……と」

絵里「あの、一緒に考えてもいいですか?」

伏見「え?」

絵里「何が起こっているのか、知りたいですから」

伏見「……うん、そうだね。知恵を貸してくれると助かる」

絵里「邪魔なようなら言ってください」

伏見「わかった。……で、手紙の差出人が……って、ちょっと待ってね」

穂乃果「?」

伏見「手紙はどこにあったの?」

穂乃果「郵便受けです。……そこの」

伏見「これに触るのは誰?」

穂乃果「お父さんとお母さん、私と妹の雪穂……だけです」

伏見「西木野さんは?」

穂乃果「触っていません」

伏見「オッケー……、では失礼して」

絵里「……その白い手袋って本当にやるんですね」

伏見「まぁね〜。現場保存は基本だから」


パカッ


伏見「何もなし。……手紙と一緒に入ってたものって?」

穂乃果「ありません。あの手紙だけです」

伏見「そっか……」

絵里「……」

伏見「話を戻すけど、商店街ではどこへ?」

穂乃果「本屋とアイスショップ、洋服屋さん……最後にゲームセンター……かな?」

絵里「そうよ、それで合ってる」

伏見「結構回ったねぇ……。ここが重要なんだけど」

穂乃果「は、はい」

伏見「西木野さんが他人と目を合わす機会ってどれくらいあった?」

穂乃果「え、えっと……」

絵里「最後のゲームセンターは分からないけど、
    前に挙げた3つの店は店員とも目を合わすタイミングがありました」

伏見「……なるほど」

絵里「でも……」

伏見「?」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:30:03.51 ID:Sez8j5keo

絵里「真姫はあっちこっちとキョロキョロしてたから……」

穂乃果「うん……」

伏見「通行人の中にいたかもしれない……と」

絵里「……はい」

伏見「あとで店の場所を教えてもらうとして……」

穂乃果「……」

伏見「あの手紙は事件……警察官を刺した犯人が出したものだと思う?」

穂乃果「え……?」

絵里「どういうこと……ですか?」

伏見「思い込みって結構危険で、見えない物を見えたと錯覚させてしまうからね」

穂乃果「???」

絵里「あの、おっしゃる意味が……」

伏見「この手紙の主は、事件の犯人と西木野さん本人しかしらない情報を持っているんだよね」

穂乃果「えっと……それって……」

絵里「あ……!」


伏見「『犯人の顔を見ている』という事実」


絵里「わ、私たちは真姫が犯人の顔を見ている『かもしれない』ってだけ……!」

伏見「私たち警察も同じで、『かもしれない』ってだけだった。だけど手紙で事実が分かった」

穂乃果「……ど、どういうこと?」

絵里「今の真姫を含めて、私たち9人と真姫のご両親は犯人に繋がる情報は一切持っていないの」

伏見「逆に犯人は西木野さん本人の顔は覚えていた。だからこんな文章を書ける」

穂乃果「……」

絵里「……」


『 こんにちは。

  突然の手紙を不審に感じられるでしょうが、
  私の顔に覚えがないようなのでこうして筆を執りました。

  今日は商店街へ行きましたね。
  西木野真姫さんとは目を合わせたのですが、私には気付かなかったようです。

  運がいいですよ。

  9人のお名前、簡単に知ることができました。

  あなた方はスクールアイドルをやっているのですね。

  それでは、また。 』


伏見「この手紙を見て君たちは『犯人の顔を見たかもしれない』という疑いから、
   『犯人の顔を見ている』と確信してしまったんじゃないかな」

穂乃果「あ……」

伏見「もう一度聞くけど、あの事件の犯人が出した手紙だと思う?」

穂乃果「それは……」

絵里「あの、伏見さん」

伏見「……?」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:32:33.69 ID:Sez8j5keo

絵里「真姫の近くに犯人が……?」

穂乃果「え――」

絵里「穂乃果が電話で最初に言っていましたけど、
   どうして真姫の居場所が分かったのか……気になっているんです」

伏見「そうだね……、それは重要なポイントだと思う。でも……」


穂乃果「……」

絵里「……」


伏見「私は……――いないと思う。警部たちの聞き込みでハッキリするだろうけど」


穂乃果「ほっ……」

絵里「どうしてですか?」


伏見「その次の文章を読めばわかると思う。
   西木野さんの身に起きている状況を理解してない可能性が高い」


穂乃果「……?」

絵里「真姫の精神が逆戻りしているってことを……犯人は知らない……?」

伏見「そう、そのことは警察側は知っている。それに医者にも口止めしているから」

絵里「ふぅ……変な汗をかいちゃった……」

穂乃果「私も……」

伏見「だから顔見知りでもない、全くの赤の他人の可能性が強い」

穂乃果「……」

伏見「それで最初の質問に戻るけど……この手紙の主があの事件の犯人かどうか」


穂乃果「私は犯人だと思います」


伏見「どうして?」

穂乃果「『運が良かったですね』に悪意を感じました」

伏見「……」

穂乃果「もし運が悪ければどうなったのか……って思ったらとっても怖くなったんです」

伏見「なるほど、うん。わかりました。
   この手紙の主を事件の犯人として捜査していきます」

穂乃果「……」

絵里「いいんですか? 穂乃果の直感が根拠で……」

伏見「充分だよ。それに、脅迫まがいの内容だから無視はできない」

絵里「……」

伏見「今回の件で犯人はかなり大胆な行動に出てる。
   警護はこのままつけるけど、何か不審な点があったらすぐに連絡して」

穂乃果「……はい。よろしくお願いします」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:33:44.62 ID:Sez8j5keo

絵里「あの、この家を見張っていた人はいなかったんですか?」

伏見「残念なことに……。張っていた人は君たちと一緒に商店街に行ったんでしょう」

絵里「……」

伏見「この点からいっても、犯人はありえない状況を作り出してるから。こっちも右往左往しちゃってね」

穂乃果「さっきの……悪運がどうとかって……」

伏見「そういうこと。ここまでくると運がどうこうってレベルじゃないんだけどね」

絵里「……」

伏見「それじゃ、ご両親にも詳しく話をしたいから、いいかな?」

穂乃果「は、はい。……どうぞ」

伏見「お邪魔します」


……


78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:38:28.89 ID:Sez8j5keo

―― とあるマンションの一室



「ねぇ、アリス」


「去年のあの事件、全然話題になってないのはどうしてだろう」


「あれだけのインパクトのある事件、みんな忘れてしまったというの?」


「それともすでに飽きてしまったの?」


「そうね、そう思うよね」


「女子生徒バラバラ殺人事件」


「犯人の動機は伏せられてる。きっと親族への配慮なんだろう」


「……」


「だけど」


「犠牲になった女子生徒の子たちを忘れてはいけない」


「そして」


「半年前に送ったメールは、いまだに無視されてる」


「だから」


「私が彼女たちの犠牲を無になんかさせない」


「だって」


「三倍のインパクトが世間を、この国を駆け巡るんだから」


「必要なのは」


「9人の犠牲」


「それで、命の価値は高まっていくのだから」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:39:11.43 ID:Sez8j5keo

「ねぇ、アリス教えて」


「私に、それができるかどうか」


……。


「フフ、ありがとう」


「そうね、もう後戻りできないから」


……。


「あの警察の人がきっかけをくれた」


「フフッ」


「フフフッ、アハハハハッ!!」


「素敵! あの時から世界が輝くようになった!」


「西木野真姫」


「ありがとう、あなたに出会えてよかった!」


……。



……


80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:41:55.54 ID:Sez8j5keo

―― 高坂邸


伏見「それではこれで」


母「あの、娘たちに危険は……」

穂乃果「……」

伏見「それをほのめかす一文はありましたけど、気にしなくても大丈夫です」

絵里「……」

伏見「私たちが止めてみせますから、任せてください」

母「……」

穂乃果「はい、お願いします」

伏見「うん、それじゃ」


pipipipipi


プツッ


伏見「はい、伏見です」

『前の車に乗れ』

伏見「わかりました」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:43:48.40 ID:Sez8j5keo

―― 車内


伏見「おつかれさまです」

後輩「お疲れさま」

警部「で、どうだった」

伏見「ご両親に説明しました」

後輩「彼女たちの身の危険が迫ってるって?」

伏見「まぁ、はい」

警部「手紙の内容を把握してるのか」

伏見「……連絡先を教えてもらってるので」

警部「信用されてねえな、俺たちは」

伏見「……」

後輩「なんだかやけに彼女たちと距離が近そうだから、妙だなと思ったんだよなぁ」

警部「出せ、署に戻るぞ」

後輩「了解ッス」

伏見「聞き込みの方は?」

警部「今のところ、目撃者無しだ」

伏見「そうですか……」

警部「鑑識班も成果なしだとよ」

後輩「白昼堂々と脅迫状を投函……ありえないッスね……」

警部「昼から夕方にかけて、あの辺りは人通りがないとは言えない場所だ」

伏見「……」

後輩「じゃあ、見張りを使った複数犯……?」

警部「どうだかな……」

伏見「あの証拠品の手紙、一日だけ借りられませんか?」

警部「それをどうするんだ?」

伏見「相談したい相手がいまして」

後輩「それは?」

伏見「所属してる部署の唯一の手段ってことで」

警部「……」

後輩「カモフラージュの物でも一緒に入れてくれればそこからも捜査進められたんスけどねぇ」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:45:00.48 ID:Sez8j5keo

伏見「そういえば、あの子たち9人の名前……簡単に知ることが出来たってどういうことですか?」

後輩「あれ、知らないの、スクールアイドル」

伏見「そういえばそんな単語があった……」

後輩「彼女たち、そこそこ有名だから。調べればすぐだよ」

伏見「へぇ……知らなかった。アイドルかぁ……確かにみんな可愛いかった」

警部「おまえ、去年のあの事件を捜査してたんだってな」

伏見「え?」

後輩「あの事件……?」

警部「女子生徒バラバラ殺人事件のことだよ」


伏見「…………」


後輩「あぁ……あの……」

警部「課長からそれを追ってここへ来たと聞いた。
    今回の事件と、その事件、繋がってんのか?」

伏見「さぁ、それを調べに来ただけですから」

後輩「む……なんだ、その態度」

警部「いいから。……悪かったな」

伏見「……いえ」

後輩「でも、もう終わったんじゃ……?」

警部「事件ってのはそう簡単じゃねえんだ」


伏見「……」


……


83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:46:58.86 ID:Sez8j5keo

―― 穂乃果の部屋



キィィィィイイイ


穂乃果「う……」


ィィィィィイイイン


母「どうしたの?」

穂乃果「最近、ちょっと耳鳴りがしてて……」

母「病院に行く?」

穂乃果「大丈夫だと思う……。しばらく続くようだったら行ってみる」

母「……。それで、話を戻すけど」

穂乃果「うん。真姫ちゃんのお母さんはなんて……?」

母「娘の望む方を尊重するって」

穂乃果「……そっか」

母「穂乃果はどうしたい?」

穂乃果「一緒にいたい。犯人は……真姫のこと……狙ってるみたいだから」

母「……」

穂乃果「守って……あげなくちゃ……」

母「楽観できる状況じゃないのよ?」

穂乃果「……うん。でも、あの刑事さんが安心してって言ってくれてるし……」

母「……」

穂乃果「どうしたの?」

母「ううん、なんでもない。親は親同士で連絡とってみるけど、あなた達はどうするの?」

穂乃果「うん、絵里ちゃんと希ちゃんとも話したけど……明日、みんなに伝えてみる」

母「あまり考えすぎないようにね」

穂乃果「……うん」


「おねーちゃん〜」

コンコン
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:47:58.33 ID:Sez8j5keo

穂乃果「いいよ、入ってー」


スーッ


雪穂「真姫ちゃん、お風呂に入れたよ〜」

真姫「……」


穂乃果「うん、ありがと、雪穂」


真姫「ありがとう、ゆきちゃん……」

雪穂「えへへ〜、どういたしまして」


母「……」


雪穂「あれ、なんか大事な話? 邪魔しちゃった?」


母「ううん、それは終わったから。みんな早く寝なさい」


雪穂「はーい、それじゃおやすみ〜」

穂乃果「おやすみ〜」

真姫「おやすみなさい……」


……




―― 高坂邸:玄関前


母「雪穂は知らなくていいって、穂乃果は言ってたけど……本当にいいのかしら」

父「……」コクリ

母「その雪穂が、妹が出来たみたいに嬉しそうにしちゃってるの」

父「……」

母「穂乃果も、守らなきゃって言って強くあろうとしてるけど……少し震えてて」

父「……」

母「一人で背負おうとしてるのを見てると、なんだか切なくなってきちゃって」

父「……」

母「娘たち三人、守ってあげてね、お父さん」

父「……」コクリ

母「あの女性刑事さん、見た目若いのに……見た目以上の経験を積んでそうだったわ……」


……


85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:52:01.20 ID:Sez8j5keo

―― 深夜:穂乃果の部屋


穂乃果「すぅ……すぅ……」


「ぐすっ……」


穂乃果「……ん…?」


「ぐすっ……っ」


穂乃果「まき……?」


真姫「……ぐすっ」


穂乃果「どうしたの……真姫……?」


真姫「て……」


穂乃果「あ……ごめんごめん。離しちゃってたね……」


真姫「……っ」

ギュッ


穂乃果「怖い夢でもみた?」

真姫「ううん……ぐすっ」

穂乃果「……」

真姫「なにもわからない……」

穂乃果「……?」


真姫「ほの…っ…かっ……ちゃん…の……こと……わからないっ……」


真姫「にこ…ちゃんっ……も……ぐすっ」


真姫「……そと…の……っ…ことも……わからないこと……ばっかり…っ」


穂乃果「……」


真姫「おとうさんも……おかあさんも……っ」


真姫「まきがおかしいから……みんな、やさしくしてくれるんだよね……?」


穂乃果「……真姫ちゃん」


真姫「ぐすっ……」


穂乃果「みんなが優しいのは、心配してるからだよ」


真姫「……ごめんなさい……っ」


穂乃果「え?」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:53:12.12 ID:Sez8j5keo

真姫「めいわく……かけて……っ……ごめんなさい……ぐすっ」


穂乃果「あ、ち、違うよ」


真姫「ぅぅっ、うぅぅっ」


穂乃果「心配してるのは、みんな、真姫のことが好きだからだよ」


真姫「ぐすっ……?」


穂乃果「大切だから、大事に想ってるから、優しくしてるの」

真姫「……」

穂乃果「迷惑かけていいんだよ、心配かけていいんだよ」


穂乃果「だって、私たちはかけがえのない友達……仲間なんだから」


真姫「なか…ま……?」


穂乃果「そうだよ。辛いときに支えあったり、悲しいときに落ち込んだり」


穂乃果「一緒になってそれを乗り越えるの」


真姫「……」


穂乃果「みんなと一緒にいれば、楽しいことがもっと楽しくなる」


真姫「……」


穂乃果「今日だって、うみちゃんと凛ちゃん、希ちゃんが一緒になって遊んでくれれば……」


真姫「……うん、たのしかった」


穂乃果「え?」


真姫「かくれんぼして、おにごっこして……ごはんたべて……ゲームして」


穂乃果「……うん」


真姫「……」


穂乃果「心配かけてもいい、迷惑かけてもいい。
    それでも、みんなは真姫と一緒にいたいんだから。真姫もそうでしょ?」


真姫「……うん」


穂乃果「一緒にいたいってことは、相手のことが好きってことだから」


真姫「うん」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:54:57.25 ID:Sez8j5keo

穂乃果「だから、泣かないで」

ナデナデ


真姫「……うんっ」


穂乃果「あ、やっと笑った……」


真姫「?」


穂乃果「じゃあ、もう寝よっか。明日、学校だから」


真姫「……」


穂乃果「学校、こわい?」

真姫「……うん」

穂乃果「それでも行くよ。大丈夫……みんな一緒だから」

真姫「……」

穂乃果「怖く…ない……から……」

真姫「……」

穂乃果「……すぅ…」

真姫「おはなし……」

穂乃果「……ん、……ん?」

真姫「おはなし、して?」

穂乃果「えっと……何の話がいい?」

真姫「なんでもいいから」

穂乃果「じゃあ……穂乃果が迷惑をかけてる人のはなし」

真姫「……」

穂乃果「その人は、小さいころから一緒で……すぐ怒って、
    ほのかが一緒に何かやろうって言っても『嫌です』ってすぐ断るの」

真姫「……うみちゃん」

穂乃果「正解、よくわかったね」

真姫「……ほかには?」

穂乃果「他……? えっと……ほのかに元気をくれる人のはなし」

真姫「……」

穂乃果「その人は元気いっぱいで、猫みたいに――」

真姫「りんちゃん」

穂乃果「はやいよ……もうちょっと話を聞いてくれても」

真姫「ほかには……?」

穂乃果「じゃあ、ほのかに、いつも厳しくしてる人のはなし」

真姫「うみちゃん」

穂乃果「うみちゃんはさっき言ったでしょ? もう少し話聞いてね」

真姫「……はい」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:56:29.60 ID:Sez8j5keo

穂乃果「その人は、出会ったころ、私たちがやろうとしてることを否定してたのね」

真姫「ひてい?」

穂乃果「『認められないわ』って」

真姫「ふぅん……」

穂乃果「でもね、その人は……本当はとっても優しいの。
    ほのかもそうなんだけど、前をまっすぐ見すぎてて周りがみえなくなっちゃって」

真姫「……」

穂乃果「でもね、その人にも大切に想ってくれてる人がいたから、
    自分にも周りにも優しくすることができたの」

真姫「よく、わからない……」

穂乃果「そっか……そうだね、難しすぎたね」

真姫「もっと、きかせて」

穂乃果「……叱ってくれるのは、ほのかやみんなを見守っていてくれるからなんだよ」

真姫「……」

穂乃果「みんなのお姉ちゃん」

真姫「えり…ちゃん?」

穂乃果「正解〜」

真姫「うん、ほかには?」

穂乃果「そろそろ寝ようか……眠たくなっちゃった……」

真姫「さいご……だから」

穂乃果「……うん。それじゃあ……その人はね、かわいくて、マスコット的存在で」

真姫「ますかっと?」

穂乃果「マスコット。みんなのおもちゃ……じゃなくて、可愛がられる存在ってこと」

真姫「……」

穂乃果「私たちの中心人物で、みんなを引っ張ってて、頼れる人で……うん……」

真姫「……?」

穂乃果「偏った知識が豊富で……見栄っ張りで、でも寂しがり屋でツインテールで……」

真姫「はなちゃん」

穂乃果「全然違うよっ」

真姫「?」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:57:01.32 ID:Sez8j5keo

穂乃果「ほぼ答えを出したのに……。えっと、ほら……意地悪してくる人」

真姫「にこちゃん」

穂乃果「はい、正解」

真姫「いじわるする、にこちゃん」

穂乃果「ふふふ、それはね」

真姫「……?」

穂乃果「真姫のことが好きなんだよ」

真姫「ううん、きらいなんだよ」

穂乃果「素直じゃない人はね、思ってることと逆のことをするんだよ」

真姫「……そうなんだ」

穂乃果「そうだよ、そうに違いないよ」


真姫「…………」


穂乃果「それじゃ、おやすみぃ」


……


90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:58:26.29 ID:Sez8j5keo


―― 朝:通学路


穂乃果「うぅ……結局7人全員話してしまった……」


海未「朝からフラフラして……。それではいけませんよ、シャキッとなさい」

穂乃果「ふぇ〜い」

ことり「おはよう、穂乃果ちゃん」

穂乃果「おはよう! さぁ、今日も元気よく行くよ!」

海未「無理に元気を出さなくてもいいです」

穂乃果「もぉ、シャキッとしろって言ったのうみちゃんなのにぃ」

ことり「あれ、真姫ちゃんは?」

海未「メールで一緒に来ると言っていましたよね?」

穂乃果「……え?」


「……」


穂乃果「あんなとこに隠れてる!?」


タッタッタ


穂乃果「真姫!」


真姫「……!」ビクッ


穂乃果「ほら、行くよ」


真姫「でも……」


穂乃果「だいじょうーぶだってぇ、昨日、話したでしょ?」


真姫「……」


穂乃果「凛ちゃんも花陽ちゃんも一緒なんだから、平気平気〜」


真姫「ほのか…ちゃんは?」


穂乃果「私は……別だけど……」


サッ

「……」


穂乃果「ヤドカリかっ!」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 03:59:30.50 ID:Sez8j5keo

海未「無理して連れて行かなくてもいいのでは……?」

ことり「うん……」


穂乃果「それはダメ。なにがあるか分からないもん」


海未「?」

ことり「……?」


穂乃果「う〜ん、隠れたまま出てこないよぉ……どうしよう、困ったなぁ」


「……」


穂乃果「ヤドカリって何が好きなの?」

海未「知りません。用事があるので先に行きます」

穂乃果「……うん、分かった」

海未「徐々にでいいと、私は思いますよ?」

スタスタスタ......


穂乃果「できればそうしたいけど……」


ことり「ヤドカニの好物は分からないけど……真姫ちゃんが好きな物はなにかな」


「……」


穂乃果「そうだなぁ……。昨日の夜、大事そうに抱いて寝てた……よし!」

ことり「どうしたの?」

穂乃果「忘れ物取りに行ってくる! ちょっと待ってて!」


タッタッタ



……


92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 04:06:50.64 ID:Sez8j5keo

―― 音ノ木坂学院


「おはよー、穂乃果」

「おはよう、穂乃果ちゃん」

「おはよう」


穂乃果「あ、おはよう、ヒデコ、ミカ、フミコ」

真姫「……っ」


ヒデコ「あ、西木野さん、登校してきたんだ〜……ん?」

ミカ「……ん?」

フミコ「ん?」


真姫「……?」

ことり「えぇっとぉ、気にしないで〜」


ヒデコ「う、うん……」

ミカ「…それじゃ……」

フミコ「……教室で」


真姫「……」

穂乃果「やっぱ目立つよね……」

ことり「そうだね……」

真姫「……」

ことり「でも、真姫ちゃん気にしてなさそうだし……」

穂乃果「まぁ、いっか……」


「あ、真姫ちゃんだー!」

「本当だ……!」


真姫「……りんちゃん、はなちゃん」

凛「学校に来たんだ〜」

花陽「良かった……って、あれ?」

真姫「?」

凛「なぁに、その人形〜?」

花陽「昨日、ことりちゃんが取った人形だよね……?」

ことり「う、うん」

凛「変なにんぎょ――むぐっ」

穂乃果「ダメだからっ、大事にしてるからっ、お気に入りだからぁっ」

凛「むぐぐ」コクコク
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 04:08:42.77 ID:Sez8j5keo

真姫「ルーパちゃんっていうの」

花陽「そうなんだ……かわいい」

真姫「うん、かわいい」


「ププッ、かわいいのは人形じゃなくてあんたでしょっ」


穂乃果「……!」


にこ「真姫がまさか人形を抱いて登校してくるなんてっ、プププッ」


穂乃果「ちょっと、にこちゃん!」

にこ「ごめんごめん、予想外すぎて、おかしくて、名前まで付けちゃって……ププッ」

穂乃果「笑いすぎ!」

ことり「にこちゃん、意地悪だよぉ」

にこ「はいはい、ごめんなさ〜い☆」

穂乃果「反省してないね!」

真姫「……」


にこ「うーん……何度見ても可愛いとは思えないわこの人形……」

真姫「にこちゃん、まきのこと好きなの?」

にこ「……」


にこ「…………」


花陽「……!」

ことり「わ、わぁ……中々聞けないこと聞いたよ……」


にこ「は?」

真姫「ほのかちゃんがいってた。いじわるするのは好きだからって」


にこ「はぁ〜〜ッ!?」

穂乃果「だ、だって事実でしょ?」

にこ「私は小学生男子かー!?」

凛「似たようなもんだにゃ」

花陽「で、でも、間違ってないよねっ」

にこ「なによそれ、私がさっき笑ったことの仕返しってわけ?」

穂乃果「そうじゃないけど……」

真姫「……」

にこ「まったく……しょうがないわね」


絵里「あら、真姫……本当に登校したのね」

希「賑わってるみたいやね」


にこ「にこは〜、真姫ちゃんのこと、とっても大好きにこ♪」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 04:09:49.95 ID:Sez8j5keo

真姫「はい」

にこ「え?」

真姫「だっこしてもいいよ」

にこ「わ、わーい……」


穂乃果「それ、真姫のお気に入りだからね。もっと喜ばなきゃ」


にこ「う、嬉しいにこ〜☆」


希「にこっち〜、はい、チーズ」


にこ「にこ♪」


パシャッ


希「おぉ……、カメラを向けられると自然にポーズをとるんやね」

絵里「さすがね……」

穂乃果「卒業アルバムに載せたらどうかな」

希「それは名案〜」

絵里「とてもいい表情してるから」

にこ「やめて!?」


凛「どうしてそんなにお気に入りなの?」

花陽「昨日のゲームセンターでずっと見てたよね……?」

真姫「うん、おそろい……だから」

凛「おそろい?」

花陽「二つ……取ったかな……?」

ことり「ううん、一つだけのはず……」

凛「誰とお揃いなの〜?」

真姫「ひみつ」


穂乃果「……」


……


95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 04:11:39.99 ID:Sez8j5keo

―― 1時限目:2年生の教室


ヒデコ「朝から自習なんて珍しいね」

フミコ「職員室で会議してるみたいだよ」

ミカ「なにかあったのかなぁ?」


穂乃果「すぅ……すぅ……」


海未「よく寝ていますね……いつものことですが……」

ことり「昨日遅くまで真姫ちゃんとお喋りしてたんだって」

海未「何の話をしていたのやら……」

ことり「……朝から見てて思ったんだけどね」

海未「……?」

ことり「真姫ちゃんは、良い方に変わったと思う」

海未「……」

ことり「だけど、穂乃果ちゃんが……少し変だと思う。いつもと違う気がする」

海未「確かに……さっきも違和感が残ること言っていましたね」

ことり「真姫ちゃんが心配なのは分かるけど……」

海未「らしくありませんよね……」


「園田さーん」


海未「?」


「1年生のお客さんだよー」


海未「……1年生?」

ことり「あ……凛ちゃん!」



凛「……」


ことり「ど、どうしたの?」

海未「今授業中ですよ?」

凛「こっちも自習なんだね。凛たちのところもそうなんだよ」

海未「そうですか……」

ことり「全学年自習してるのかな……?」

凛「って、それどころじゃなくて、真姫ちゃんが大変なのっ」


……


96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 05:52:43.60 ID:Sez8j5keo

―― 保健室


真姫「……」


保険医「困ったわね……」

花陽「す、すいません……」

保険医「あなたが謝ることじゃないけど……」


コンコン

 ガラガラ


穂乃果「失礼します」


真姫「あ……!」

テッテッテ


真姫「ほの…かちゃん……っ」

穂乃果「真姫……」


ことり「……」

海未「……」



保険医「……」

花陽「真姫ちゃん……朝のホームルームが始まってすぐに……教室から出て行っちゃって……」

凛「凛たちが慌てて追いかけたの……」

穂乃果「……そうだったんだ」

真姫「……っ」

保険医「事情は聞いてる。だから、今日はもう帰宅した方がいいんじゃないかしら」

穂乃果「…………」


海未「そうですよ、穂乃果。今の真姫に無理をさせてもいい結果にはならないと思います」

ことり「学校に出てこられただけでも……」


穂乃果「それじゃ……ダメ…なんだよ……」


海未「……」

ことり「……」


穂乃果「な、なんとか……学校に居させてほしいんですけど……駄目ですか?」

保険医「それは、担任と話し合って決めてね。ここで過ごす選択肢もあるから」

穂乃果「……はい、分かりました」


……


97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 05:54:31.84 ID:Sez8j5keo

―― 休み時間


絵里「そんなことがあったの……」

希「やっぱり、知らない人だらけだと不安なんやね……」

凛「真姫ちゃんが登校してきたから、教室のみんなも注目しちゃってて……」

にこ「人形も持ってるから尚更ね」

花陽「すごく居心地悪そうにしてた……」

絵里「そうでしょうね……」


穂乃果「真姫は、どうしたい?」

真姫「……わからない…」

穂乃果「……」

真姫「ごめ…なさ……い……」

穂乃果「ううん、謝らないで」

真姫「……っ」


絵里「担任の先生は、なんて言ってるの?」

海未「少しずつ慣れてくれれば、それでいいと。
   できれば出席はしてほしいみたいです」

ことり「でも、無理はしないで欲しいとも言ってたの」

希「……そう」

にこ「この学校が怖い所だと思う前に、帰らせた方がいいと思うけど」

絵里「でも……」

海未「……?」

にこ「恐怖心って結構厄介よ。
   みんなも小さいころ、怖い場所には近づきたくなかったでしょ」

ことり「うん……そうだね」

希「真姫ちゃん、この学校が……怖い?」

真姫「……」コクリ

にこ「私たちだって、知らない場所に放り込まれたら不安になるでしょ。
   だから慣れるまで時間がかかるわよ」

穂乃果「凛ちゃんと花陽ちゃんが一緒だから、なんとかなると思ったんだけど……」

凛花陽「「 ごめんなさい 」」

穂乃果「せ、責めてる訳じゃないよ。ご、ごめんね」

絵里「とりあえず、休み時間が終わるから話は次ね」

希「真姫ちゃん、もう少しだけ保健室で待っててくれる?」

真姫「……めいわく」

にこ「?」

真姫「かけて……ごめん……なさい……」

海未「……!」

絵里「真姫……」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 05:56:09.20 ID:Sez8j5keo

真姫「ぐすっ……」

花陽「真姫ちゃん……っ」

穂乃果「真姫、昨日も言ったけど――」


にこ「それは違うわよ」

真姫「ぐすっ……?」


にこ「真姫の問題はみんなの問題なの。
   だからこれはみんなの問題になるからみんなで考える。それは当たり前のことよ」

真姫「……っ」

凛「にこちゃん……!」

ことり「そうだよ、だから……泣かないで?」フキフキ

真姫「うん……っ」

海未「なんて含蓄のある言葉でしょう……」

穂乃果「にこちゃんがっ、輝いて見える」


ピカーッ

にこ「ふふん」


希「いつものしたり顔にも後光が差さっているようや……!」

花陽「お、オーラが……!」


ピカーッ

にこ「今頃気付いたの〜? まぁ、いつも一緒に居るから慣れてしまってたのね〜」


穂乃果「今からにこ様と呼ぼう!」

絵里「ほら、遊んでないでさっさと戻りなさい」

穂乃果「そうだね。それじゃ、行こうか真姫」

真姫「……うん」

にこ「待って」

穂乃果「……?」

にこ「真姫の問題はみんなの問題だからね。
   みんなの問題は、みんなで考える。それは当たり前のことなんだから」

絵里「それが分かったら、もう迷惑とか言っちゃダメよ?」

真姫「……うん」

穂乃果「さ、行こ行こ」

スタスタスタ...


にこ「……」


「……」

「なんで二回言うかなぁ……」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 05:58:15.23 ID:Sez8j5keo

にこ「……あれ?」


希「いつものにこっちに戻ってしまったようや」

花陽「本当だ……」

凛「かよちん、凛たちも戻ろ」


絵里「それじゃ、後でね」

希「ほな」

ことり「私たちも行こう、海未ちゃん」

海未「待ってください、絵里」

絵里「え?」

希「?」

海未「絵里は、真姫を帰すことに反対なのですか?」

絵里「……どういうこと?」

海未「聞いたそのままの意味です」

絵里「……」

希「どうしてそういうこと聞いてるのかってことやない?」

海未「……」

にこ「あんた達、なんの話をしてるのよ?」

ことり「……」

絵里「もう時間よ。……その質問は、穂乃果にしてみて」

海未「……」

にこ「次も自習だったらいいのに〜」

スタスタ......


キーンコーンカーンコーン


ことり「行こう、海未ちゃん」

海未「……はい」

ことり「穂乃果ちゃん、なにか隠してるよね」

海未「私もそう思います。そして、それは絵里と希も知っている……と思います」

ことり「それを知りたいって、海未ちゃんは思う?」

海未「……それは……まぁ」

ことり「私は、穂乃果ちゃんが話してくれるまで待つ……かな」

海未「聞き出すのは間違いでしょうか……?」

ことり「今はまだ話さない方がいいって思ってるんじゃないかな……」

海未「……」

ことり「でも、海未ちゃんは力になれるかもしれないよ?」

海未「ですが、どうしたらいいのか、よく分かりません……」

ことり「海未ちゃんは海未ちゃんの考えでいいと思う」

海未「……分かりました」


……


100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 05:59:55.24 ID:Sez8j5keo

―― 昼休み:職員室


担任「1年の西木野を同じクラスにしろ……って?」

穂乃果「いえ、してください!」

担任「言い方の問題じゃなくて」

穂乃果「みんなで話し合ったんですけど、それが一番じゃないかなって」

担任「1年の担任とも話したけど、少しずつでもいいって言ってたぞ」

穂乃果「話、してくれたんですか?」

担任「まぁな。朝の緊急会議でその話が出た」

穂乃果「……」

担任「この前起きた事件の犯人が捕まっていないから、
   学校付近の警戒を強めるようにって警察からも連絡があってな」

穂乃果「……そうですか」

担任「『生徒に危険が迫っている可能性がある』とも言われた」

穂乃果「――!」

担任「それ以上は詳しく説明されてないが……西木野の置かれている状況はあまり良くないと思ってる」

穂乃果「……」

担任「話を戻すけど、高坂の提案はあたし一人で決められることじゃない」

穂乃果「それじゃあ、誰に相談したらいいでしょう?」

担任「とにかく状況が異例だからな……学園長に相談してくれ」

穂乃果「……分かりました」

担任「あたしは1年の担任と話をしておく。こっちは任せておけ」

穂乃果「え……それじゃあ……」

担任「その提案を受け入れるよ。許可が下りたらクラスのみんなにも伝えておくんだぞ」

穂乃果「は、はい!」


……


101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:01:33.58 ID:Sez8j5keo

―― 学園長室


学園長「えぇ、かまいませんよ」

穂乃果「あれ……あっさり……」

学園長「それで西木野さんの居場所を守れるなら、それが最善策なのでしょう」

穂乃果「居場所……」

学園長「それが目的なのではありませんか?」

穂乃果「そこまで考えていませんでした……」

学園長「無意識にそうしたいと思っていたのだと思いますよ」

穂乃果「……」

学園長「お母さんから話は聞いています」

穂乃果「!」

学園長「朝早くにいらして、今、あなた達が置かれている状況を説明してくださいました」

穂乃果「……」

学園長「ですから、あっさり決めたわけでもありませんよ」

穂乃果「そうだったんだ…………お母さん……」

学園長「生徒たちは西木野さんへの待遇に違和感を感じられると思います」

穂乃果「……はい」

学園長「事情を知らない生徒もいますから、その点はあなた達がしっかりとフォローするのですよ?」

穂乃果「わ、分かりました!」

学園長「地域とも連携を取って、安全に過ごせるよう努めます。
    ですから、学園内では安心してもらって結構ですよ」

穂乃果「はい、ありがとうございます!」

学園長「礼には及びません。自分の子供に危険が迫っているかもしれない……。
     そんなことは絶対に見過ごせませんから――」


……


102 :>>101 訂正 [saga sage]:2017/06/25(日) 06:08:32.54 ID:Sez8j5keo

―― 理事長室


理事長「えぇ、かまいませんよ」

穂乃果「あれ……あっさり……」

理事長「それで西木野さんの居場所を守れるなら、それが最善策なのでしょう」

穂乃果「居場所……」

理事長「それが目的なのではありませんか?」

穂乃果「そこまで考えていませんでした……」

理事長「無意識にそうしたいと思っていたのだと思いますよ」

穂乃果「……」

理事長「お母さんから話は聞いています」

穂乃果「!」

理事長「朝早くにいらして、今、あなた達が置かれている状況を説明してくださいました」

穂乃果「……」

理事長「ですから、あっさり決めたわけでもありませんよ」

穂乃果「そうだったんだ…………お母さん……」

理事長「生徒たちは西木野さんへの待遇に違和感を感じられると思います」

穂乃果「……はい」

理事長「事情を知らない生徒もいますから、その点はあなた達がしっかりとフォローするのですよ?」

穂乃果「わ、分かりました!」

理事長「地域とも連携を取って、安全に過ごせるよう努めます。
     ですから、学園内では安心してもらって結構ですよ」

穂乃果「はい、ありがとうございます!」

理事長「礼には及びません。自分の子供に危険が迫っているかもしれない……。
     そんなことは絶対に見過ごせませんから――」


……


103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:11:12.95 ID:Sez8j5keo

―― 放課後:アイドル研究部


絵里「――それで、明日から穂乃果と一緒に授業を受けるのね」

穂乃果「うん! 帰りのホームルームでみんなにちゃんと伝えたよ!」

希「反応はどうだった?」

穂乃果「キョトンとしてた!」

絵里「……でしょうね」

希「海未ちゃんとことりちゃんは?」

穂乃果「同じくキョトンとしてた!」

絵里「話してなかったの?」

穂乃果「ちゃんとしたよー」

海未「決まってからじゃ遅いんです! 話を進める前に……!」

穂乃果「どうすればいいかって、職員室に行く前に相談したでしょ?」

海未「それはそうですが……」

穂乃果「なら問題ないよね」

海未「…………」

穂乃果「真姫のこと、全学年に伝えた方がいいのかな……?」

絵里「そうした方が真姫のことを理解してくれるから助かることは助かるけど……」

海未「伝える手段が難しいですね」

希「そうやね……。重く受け止めるんじゃなく、知っていて欲しいだけやから……」

穂乃果「各クラス、回ろうかな?」

絵里「そうするなら、3年は一緒に回るわよ?」

穂乃果「ありがとう、絵里ちゃん!」

絵里「それじゃ、明日の朝にしましょう」

穂乃果「うん!」


「みんなー、早く早くぅ〜!」

「真姫ちゃんも待ってるよっ」

「はやく遊ぶにゃー!」


穂乃果「もうちょっとだけ待っててー、調べ物があるから」



―― 校庭


凛「じゃあ、もう一度真姫ちゃんと勝負にゃ〜」

にこ「いい加減、代わりなさいよ!」

花陽「真姫ちゃんは休憩だね」

真姫「……」

花陽「穂乃果ちゃんは調べものだって」

真姫「……うん」

にこ「さっき負けた借りを返してあげるわ、凛」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:14:59.94 ID:Sez8j5keo

海未「……はぁ」

真姫「どうしたの?」

海未「いえ……」

凛「海未ちゃん、バドミントン勝負しよ〜」

海未「今はそういう気分では……」

にこ「ちょっと凛、私との勝負が先でしょ?」

凛「海未ちゃんに勝ってからその勝負は受けるにゃ〜」

にこ「分かったわ。ほら、立ちなさい海未!」

海未「……」

にこ「にこアタックVをお見舞いしてあげるわ」

花陽「Uは……?」

真姫「うみちゃん……?」

海未「……わかりました、受けて立ちましょう」


―― 部室


絵里「ねぇ、穂乃果……海未たちにはまだ話さないの?」

穂乃果「なにを?」

絵里「手紙のこと。ことりにも話していないでしょ?」

穂乃果「あぁ……、うん」

希「みんなにもまだ話してないし……どうするん?」

穂乃果「私、結構動揺しちゃったから……みんなも動揺しちゃうと思う」

絵里「……そうね」

希「うちもエリちも……そうやった」

穂乃果「そうなったら……真姫を不安にさせちゃうかなって……」

絵里「……先生方は?」

穂乃果「理事長だけ知ってる。他の先生には手紙のことはまだって。
     でも、なんとなく状況は知ってるみたいだった」

希「ふぅむ……職員会議はなんやったんやろ?」

絵里「私たちも内容は知らないわね……」

穂乃果「学校周辺の警戒態勢を地域と連携して取っていくって話だと思う。多分……」

希「それやったら、少なくとも学校内は安全やね」

絵里「えぇ。地域の人たちの目もあれば、安心もできるわ」

穂乃果「私もそれを聞いて安心できたよ」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:16:01.93 ID:Sez8j5keo

絵里「それはそうと、穂乃果の調べたいことって?」

穂乃果「真姫が持ってる人形のこと。あれってなんだろう?」

希「多分、ウーパールーパーやと思う。うちもよくは分からないんやけど」

絵里「ちょうどパソコンもあるし、ネットで調べてみましょ」


穂乃果「よし。にこちゃーん!」


にこ「え?」

スカッ


にこ「あぁーー!?」

海未「よしっ!」グッ



穂乃果「パソコン借りるねー!」


……


106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:17:29.34 ID:Sez8j5keo

―― 同時刻:大通り



「……」



伏見「南……さんでよかったかしら」

ことり「え?」

伏見「あ、失礼しました。私は、こういうものです」

ことり「……警察……の人?」

伏見「急に声をかけてごめんなさい。ひょっとして、と思って」

ことり「はぁ……」

伏見「特に用事はないんですけど、どこへ行くのかなって」

ことり「バイトです。すぐそこの喫茶店で働いてて」

伏見「そうですか。ところで……学校で何か聞いてますか?」

ことり「なにかって……?」

伏見「注意事項とか、受けませんでしたか?」

ことり「えっと……登校下校と学校が休みの日は人目の多いところを歩きましょう。
    って話……ですか?」

伏見「そうですそうです。……ん?」


「……」

スタスタスタ......


ことり「?」

伏見「いえ、なんでもありません。誰かに見られてた気がして」

ことり「え……」

伏見「あぁ、きっと南さんがスクールアイドルだからかなぁ?」

ことり「えー、そんなことないですよぉ〜」

伏見「でもアイドルやってるだけあって、少し他の人と違うね。
    こんなに人がいるのにちょっと違うなって思ったもん」

ことり「えぇ〜、ちょっと恥ずかしいです。にこちゃんなら喜びそうだけど……」



「……」


……


107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:18:48.46 ID:Sez8j5keo

―― ロッカールーム


「他にもあの学校の生徒がいたのに、わざわざ南ことりに声をかけるなんて」


「やっぱり警戒されてる」


「……」


「フフ」


「手紙、届けてくれたんだね、アリス」


「……」


「私には天使が憑いてる」


「だからこの地に安全な場所は無いのかもしれない」


「なんてね」


「……」


「もう一つ、あのナイフが欲しいけど」


「止めておいた方がいい?」


……。


「……」


コンコン


「はい」


ガチャ


「あのさぁ」


「おはようございます、店長」


店長「あ、あぁ、おはよう。これから俺、銀行に行ってくるから店番よろしく」


「はい、わかりました」


店長「それじゃ」


バタン


「……」


「急いで、計画を立てよう」


……


108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:21:22.43 ID:Sez8j5keo

―― 同時刻:公園


『今忙しいんですけどー?』


男「セーブ出来ないのか?」


『できるかボケ! ネトゲじゃぞ、リアルタイムじゃぞ!』


男「じゃあ、芙蓉に電話代わってくれ」


『今買い出しに行ってておらん』


男「ちょっとだけでいいから、手を止めて聞いてくれないか?」


『それは無理! 超レアアイテムをかけての狩りをしとるんじゃ、5時間を捨てろというのか?!』


男「……大事な話なんだが」


『わかったわかった。聞いてるから、言うてみ?』


男「俺がここに着いた日の夕方、警官が刺されたんだ」


『うむ、それは知っておる。全国ニュースに取り上げられておったからな』


男「その犯行に使われた凶器から犯人を絞り出そうとしたんだが、上手くいっていない」


『ほう……日本の警察がか』


男「店は特定できたらしいんだけど、
  監視カメラが先日から壊れてて犯人の詳細が分からないんだ」


『……』


男「店番をしていた人に話を聞いたが、相手の性別すら判断つかないと」


『それはありえんじゃろ』


男「深夜の来客で、その時猛烈な眠気があったと話しているらしい」


『……』


男「そして、そのナイフで警官を刺す前に――」


『あぁー!? なにやってんの薔薇男戦士! 今のチャンスだったのにぃー!!』


男「……」


『おっ! ライムさんナイッス! いいぞいいぞー! ひょっひょっひょ!』


男「……」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:26:14.77 ID:Sez8j5keo

『話の続き、はよせい』


男「しづらいわ。……本当に聞いてるのか?」


『聞いとる聞いとる。警官を刺す前になんじゃ?』


男「刺す前に……、チンピラの腕を切り裂いてる」


『……』


男「そのチンピラが交番に駆け込んで、犯人のことを説明したらしいんだ」


『らしいとはどういうことじゃ。記録ぐらい残っておるじゃろうに』


男「推測でしかないんだが……。
  その事情を聴いた警官はチンピラ同士のいざこざだと思ったのかもしれない」


『相手にされなかったということか……』


男「その時交番に居たのは一人。
  念のため、犯人が近くにいるかもしれないと、付近をパトロールした」


『そして犯人らしき人物を見つけ、事情聴取しようとしたところ……刺された』


男「……あぁ」


『それで、その時の状況は?』


男「無線で警察の本部に連絡しようとしたらしいんだが、途絶えてしまったんだ」


『その時か、刺されたのは』


男「そうだと思う」


『ふむ……。じゃが、その犯人について、チンピラからもう一度聞き出せばよかろう』


男「そのチンピラはその日の夜、
  峠を車で暴走していたらしく……崖から転落して死亡している」


『なに……!?』


男「警察の見解では、居眠り運転による事故だそうだ」


『……』


男「梓さんが言っていたんだが……そのチンピラ、何度も深夜に走っていたらしい」


『なるほど。深夜に何度も暴走を行うものが、
 運転中に居眠りなどするのか……ということじゃな』


男「梓さんも同じところにひかかかってるみたいだった。
  だけど、現場にブレーキ痕がないことから警察は居眠り運転と判断したらしい」


『これは……きな臭いのう』
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:29:23.33 ID:Sez8j5keo

男「そして、ここらが本題なんだが」


『うむ?』


男「昨日の夕方……犯人から手紙が届いた」


『どこに?』


男「事件の目撃者がお世話になっている家にだ」


『……』


男「投函時刻は、昼から夕方にかけて。人通りがある場所だけど、目撃者は無し」


『……』


男「そして手紙から犯人につながる情報は得られていない」


『手紙の内容は?』


男「その目撃者の子には仲間がいるんだけど、その仲間を危険に晒すかのような内容だ」


『脅迫か……』


男「だけど、その目撃者の子……事件のショックで精神が幼いころに戻っているんだ」


『……ふむ』


男「仲間は全員同じ学校に通う高校生。もちろん今はこの地域、警戒態勢に入っている」


『……意味がないかもしれん』


男「どういうことだ?」


『っしゃー! 倒したー! わほーい!』


男「……」


『はぁ〜……疲れたぁ〜。よっし、アイテムもドロップしたし、これで満足じゃ!』


男「……おい」


『怒るな怒るな。……で、その犯人な、おそらくじゃが――』


男「?」


『――憑かれておるな』


男「どうして……?」


『話が全てフワフワしておるが、
 ソレの存在がありえない状況を生み出しておると確信できる』


男「……」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:31:41.00 ID:Sez8j5keo

『わたしの対なる者か、あるいはその類の者……じゃろうな』


男「……マジか」


『思ってる以上に悪い状況かもしれん。用心に用心を重ねておかねばならんぞ』


男「犯人逮捕は難しいか?」


『いや、証拠品の手紙があるのじゃろう?』


男「そうだ……だから、電話したんだ」


『葵か……。しかし、一人でそこまで行くのは……』


男「無理だな。だから、芙蓉と一緒に来てほしかったんだが……」


『ふぅむ……。芙蓉も芙蓉で、この土地から離れたことないからのう……。
 主であるお前となら出ることは可能かもしれんが……』


男「やっぱり、俺が一度帰らないといけないのか……」


『そうじゃな。証拠品を管轄外へ持ち出すのは論外じゃろうし』


男「あぁ、それは梓さんも言ってる」


『ならば急いで戻ってこい。今、犯人に対抗できるのは、お主の力しかないかもしれんのだからな』


男「わかった」


『あ、待て。今って秋葉におるんじゃろ?」


男「そうだけど?」


『ついでにパソコンのパーツ買ってきてくれんか? やっすくて性能のいい――』


プツッ


男「ふぅ……。全部俺たちの思い過ごしであればそれが一番いいんだが」


……。


男「あぁ、今すぐ帰る。梓さんにも連絡しておくけど……」


……。


男「多分、明日には戻ってこれると思う」


……。


男「友達を守るんだ、アイリス」



……


112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:33:13.73 ID:Sez8j5keo

―― アイドル部研究室


希「これが……」

絵里「ウーパールーパー……」

穂乃果「かわいいかなこれ……」

希「真姫ちゃんって、この生物のこと知ってるのかな?」

絵里「知っていないと、あの名前を付けられないでしょう?」

希「そうなんやけど……」

穂乃果「その名前がルーパなんだけど……」

絵里「?」

穂乃果「どうしてウーパじゃないと思う?」

希「どういうこと?」

穂乃果「真姫が言ってたんだよ。『お揃い』だって」

絵里「お揃い……ということは、もう一つその人形があって」

希「その名前がウーパなんやない?」

穂乃果「そうだよねぇ」

絵里「そのもう一つの人形を持つ人物に心当たりは?」

穂乃果「無いんだよね……。その辺の話になると、『ひみつ』っていうし」

希「……」

絵里「子供のころの記憶に、そういう子が友達にいるのかもしれないわね」

穂乃果「うん……やっぱりそうだよね」

絵里「そうは思ってなさそうね。無理やり納得しようとしてるみたいだけど……?」

穂乃果「それしかないと思うんだけど、すっきりしないなぁって」

希「……」

絵里「さっきから黙ったままだけど、どうしたの希?」

希「別に……なんでもないよ」スッ

カチカチッ

穂乃果「……?」

絵里「ウッ――!?」

穂乃果「……え?」

希「見てしまったんやね、エリち」

絵里「……ッ」

穂乃果「な、なにを?」

絵里「ナンデモナイワ」

穂乃果「でも、さっき『ウッ――!?』って唸って」

絵里「ナンデモナイノヨ、ナンデモ」

希「さぁ、みんなと遊ぼう♪」

穂乃果「不審すぎるよふたりとも!?」

絵里「いいから、ほら」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:34:43.08 ID:Sez8j5keo

穂乃果「ウーパールーパーの画像開いてたよね、なにか見たんだよね?」

希「そこまで気付いてしまっては……」

絵里「そうね……家に帰って自分で調べてしまいそうだし……」

希「話すしかなさそうやね……」

穂乃果「な、なに……なにを見たの……?」ゴクリ

絵里「……唐揚げ」

穂乃果「?」

希「それ以上は言えない……」

穂乃果「えっと……ウーパールーパーの並んだ画像を見てて……唐揚げ……?」


絵里「……」

希「……」


穂乃果「……あっ」


絵里「ダメよ!」ガシッ

穂乃果「っ!?」

絵里「想像してはダメ。いいわね?」

穂乃果「う、うん……!」

希「うちらも、はよ忘れよ、エリち」

絵里「そうね……」

穂乃果「そ、それより気になってるんだけど」

絵里「こ、今度はなに?」

穂乃果「ほら、これ……」

希「うちもさっきから気になってたんよ」

絵里「……?」


『 極秘資料 』


絵里「なによこのフォルダ?」

希「うちら3人が知らないってことは、海未ちゃんや凛ちゃん達も知らなさそうやな」

穂乃果「ということは、にこちゃん?」

絵里「なにかしら、極秘って」

カチカチ

穂乃果「あぁっ、絵里ちゃん勝手にっ」


『パスワードを入力してください』


絵里「鍵が掛かってる……」

希「ふぅむ、気になるなぁ〜」

穂乃果「中身はなにが入ってるんだろ……」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:35:58.09 ID:Sez8j5keo

絵里「……」

カタカタ


[ nico ]


カチッ


絵里「あ、開けたわ。やっぱりにこだったのね」

希「なんて入力したん?」

絵里「本人の名前」

希「ふぅん……」

穂乃果「画像ファイル……だね」

絵里「なにかしら」

カチカチ

穂乃果「……これは」

希「……」

絵里「……」

カチカチ

絵里「これも……」

カチカチ

絵里「これも、本人ね」

穂乃果「これって、ブログに載せる画像だよね……」

希「そうやな。自分がどの角度で映るのがいいか、研究しとるわけやな」

絵里「全部、にこの画像ね」

穂乃果「……」

希「おぉ〜、これなんてええやん」

絵里「希、大体分かってたんじゃないの? このフォルダの中身……」

希「極秘という割にデスクトップに置いてあるし、
  パスワードは本人のやし、見てくれって言ってるようなものやん」

穂乃果「た、確かに……」

希「あれ? この『etc』フォルダは?」

絵里「開いてみるわ」

カチカチ

穂乃果「また画像……?」

絵里「……」

カチカチ

 カチカチ

希「うちらの画やね」

絵里「『エトセトラ』扱いなわけね」

穂乃果「ふぅん」

希「なるほどなるほど」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:38:00.79 ID:Sez8j5keo

真姫「ほのかちゃん……まだ?」


穂乃果「あ、あぁ、うん……今行く〜」

絵里「ウッ――」

希「人形見たらダメやエリち!」

絵里「そ、そうね……!」


真姫「ぇ……っ」


希「ち、違うんよ、真姫ちゃん」

絵里「別に、その人形が嫌ってわけじゃないのっ」


凛「海未ちゃんの勝利〜!」

海未「相手になりませんね」

にこ「接戦でしょ!?」

穂乃果「うみちゃん、代わってくれる?」

海未「はい、どうぞ」

にこ「私も疲れたから、休憩〜。ほら、花陽」

花陽「うん」

穂乃果「さぁ、にこちゃん! 勝負!」

にこ「だから〜、疲れたって言ってるでしょ〜」

穂乃果「そっか……アイドル選手権、バドミントン編はにこちゃん棄権と」

にこ「……なによそれ」

穂乃果「今度のブログに載せようと思って」

にこ「……」

穂乃果「楽しい雰囲気の写真を貼るけど、にこちゃんは名前だけになるかな」

にこ「む……」

穂乃果「さぁ、花陽ちゃん、一位を目指して勝負しよ」

花陽「う、うん」

凛「何か知らないけど、楽しそう〜! 凛もやる!」

にこ「ちょっと待ちなさいよ」

穂乃果「なんですか、不戦敗のにこちゃん?」

にこ「かちーん」


海未「やたらと煽りますね……」

真姫「しゃしん……とるの?」

希「ううん、撮らないよ」

絵里「『今』を残してはおけないものね……」

真姫「?」


……


116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:39:31.10 ID:Sez8j5keo

穂乃果「やった!」


にこ「くぅ……っ」

絵里「……ふぅ」


穂乃果「ふふん」


にこ「もぅ、くやしいぃ〜」

絵里「次は希、やる?」

希「そうやね、『エトセトラ』の底力を見せてあげないとね」


穂乃果「どうだ、思い知ったかー!」

にこ「なんであんたがしたり顔なのよ」

海未「勝ったのは絵里です。あなたは負けたのですよ穂乃果」

穂乃果「そうだったね……」


希「ほら、にこっち」


にこ「えぇ〜、また〜?」

穂乃果「あれ、真姫は?」

海未「あっちで凛たちと遊んでますよ」


花陽「ころんだっ!」


凛「……!」ピタッ

真姫「……っ」ピタッ
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:40:07.43 ID:Sez8j5keo

花陽「だーるまさんが――」


凛「そろぉりそろぉり」

真姫「そろーり」


花陽「ころんだっ!」


凛「……」ピタッ

真姫「……」ピタッ


花陽「じー……」


凛「……」

真姫「……っっ」


花陽「じぃーー……」


凛「……」

真姫「……んっ」グラグラ


花陽「はい、真姫ちゃん動いた〜」


ドテッ

真姫「はなちゃんずるい〜」

花陽「ふふ、無理な姿勢取ってたから」

凛「じゃあ、次は真姫ちゃんの番だよ」



穂乃果「古典的な遊びだね」

海未「……」


……


118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:53:19.60 ID:Sez8j5keo

―― 逢魔が時:帰り道


にこ「はぁ〜……」

真姫「どうしたの?」

にこ「にこってば、可愛いから意地悪なライバルたちの厳しいシゴキにもあっちゃうのよぉ」

真姫「そうなんだ……たいへんだね」

希「真姫ちゃん、にこっちの言うことは話半分で聞いてええんよ」

にこ「ひどいっ、まだ意地悪は続くのねっ」

真姫「のぞみちゃんもにこちゃんがすきなんだ?」

希「そういうこと〜」ニコニコ

にこ「本心が見えない笑顔なんですけど」

絵里「誰が意地悪なライバルよ……」


凛「少し喉乾いちゃった」

花陽「おうちまで我慢できる?」

凛「うーん……」


穂乃果「明日からことりちゃん、しばらくバイト休めるっていうからいっぱい遊べるね」

海未「……そうですね」

穂乃果「なにして遊ぼうかな〜」

海未「……あの、穂乃果聞きたいことが――」

絵里「?」


にこ「それじゃっ、ここでバイバイにこ☆」

希「うちもここで。みんな、また明日ね」

真姫「……うん」

希「そんな顔しないで、真姫ちゃん」

にこ「穂乃果と一緒なんだから寂しくないでしょ?」

真姫「うん」

にこ「じゃ、おやすみ」

希「バイバイ〜」フリフリ

真姫「バイバイ……」フリフリ

凛「また明日にゃ〜」

穂乃果「ばいばーい。……って、さっき何か聞きかけたよね、うみちゃん?」

海未「え、えっと……話しにくいのなら、話さなくてもいいのですが」

穂乃果「うん……?」

絵里「……」

凛「真姫ちゃん、凛と一緒にジュース飲も?」

真姫「ジュース?」

凛「そう、あっちの公園の側に販売機あるから、真姫ちゃんが選んで」

真姫「いいの?」

凛「うん、行こ行こ!」グイッ

真姫「あっ……」

タッタッタ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:55:08.13 ID:Sez8j5keo

花陽「凛ちゃんっ、そんなに引っ張っちゃ危ないよっ!」


「凛がいるからへーきへーき!」

「り、りんちゃんっ」


花陽「ま、待ってっ!」


絵里「気をつけなさいよー?」


「大丈夫だにゃー!」


絵里「……危なっかしいんだから」

穂乃果「あはは、すっかり仲良しさんだね」

海未「……」

穂乃果「それで、うみちゃ――」


キィィィィイイイン


穂乃果「まただ……っ」

海未「穂乃果……?」

絵里「どうしたの?」

穂乃果「あはは……また、耳鳴りが」


「あぁーーッッ!」


絵里「凛……?」


キィィイイイン


穂乃果「うぅ……もうっ、なにこれっ!」


「犯人がいたーー!」


海未「えっ!?」



―― 公園



『店員には全員、アリバイはあるから……通行人の可能性が高くて』

男「それなんですけど、家のネトゲ廃人が言うには――」


凛「あぁーーッッ!」


男「……?」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 06:57:16.65 ID:Sez8j5keo

凛「犯人がいたーー!」


男「犯人……!?」


『どうしたの、真君?』

真「いえ、近くにいる女子高生が犯人がいたって大声上げているんです」

『えっ!?』

真「なにかの遊びかな……?」


凛「かよちん、真姫ちゃんを守ってて!」

真姫「……っ」ブルッ

花陽「う、うんっ」


ぞわぞわ

花陽「〜〜っ!?」



……。


真「え……、俺が犯人……?」


凛「誰か―ッ! 誰か助けて――ッ!!」


真「本当だ、あの子ッ、俺を見て叫んでる!?」


……。


真「あ、あぁそうだな、電車の時間もあるし!」

『その声が聞こえてるけど……真君どうなってるの?』

真「すいません梓さんっ! またあとで電話しますから!」

『ちょっと――』

プツッ


真「ここで時間を食ってはいられないって」ダッ

タッタッタ



凛「あっ、逃げた!」

花陽「まき……ちゃん?」

真姫「……はん……にん?」ブルブル

凛「真姫ちゃんをこんなに怖がらせて……絶対に許さないッ!」ダッ

タッタッタ


花陽「凛ちゃんッ!?」


絵里「まって、凛!」

海未「追ってはいけません!!」

穂乃果「凛ちゃんッ」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:00:37.60 ID:Sez8j5keo

凛「待て――――」


……――!


凛「――!」


キィィイイイイィィイイイイイイイン


穂乃果「あぅッ!?」

海未「穂乃果!?」



ビリビリ

凛「ア――ぅ――」

 ビリ
  ビリ ビリ


凛「――うご――け――――な―――ッ―」


……。



花陽「凛ちゃん!?」

絵里「凛――!!」

真姫「だめ……っ」


ビリビリ

凛「――」


真姫「だめーーっ!!」


……。


真姫「りんちゃんにひどいことしないでっ!!」


……。


凛「――――ぅっ!」ガクッ


凛「ふ…ぅ……はぁ……はぁっ」


花陽「凛ちゃんっ、りんちゃん!」

凛「かよ……ちん……」

花陽「〜〜っ」

絵里「大丈夫、凛?」

凛「だ、大丈夫……」

絵里「何があったの?」

凛「か、体が動かなくて……それしか分からない……ふぅ……はぁ」

花陽「りんちゃん〜〜っ」ボロボロ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:01:52.85 ID:Sez8j5keo

凛「どうして……かよちん……泣いてるの……?」

花陽「だって、だってぇ……」ボロボロ

絵里「走り出したと思ったら急に止まって……固まって動かないんだもの……」

凛「そ、そうだったんだ……」

絵里「犯人を追うなんて……なんて危ないことするの」

凛「だって……真姫ちゃんが……」

絵里「私ですら怖かったのよ。花陽はもっと怖かったはず」

花陽「ぐすっ……」

凛「……ごめんね、かよちん」


真姫「…………」


海未「ほのかっ、穂乃果!」

穂乃果「ぅぅ……だ、大丈夫……」


穂乃果「今までで一番酷かった……っ」


……


123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:04:06.67 ID:Sez8j5keo

―― 夜:公園


伏見「そう……。絢瀬さんは二人を送ったのね」

海未「……はい」

真姫「ほのかちゃん……」

穂乃果「だ、大丈夫大丈夫……もう治ったから」

伏見「酷い耳鳴りがしたって言ってたけど……」

穂乃果「そうなんです……いつもは軽く鳴るんですけど……さっきはひどくて」

伏見「…………」

海未「あの、あなたは……?」

伏見「あぁ、園田さんとは初対面だっけ。私は……こういう者です」

海未「警察……?」

伏見「地元は離れた所なんだけど、今は調査の為にここへ来たの」

海未「……」

伏見「だから土地勘がなくて……此処へ来るのに遅れました」

海未「いえ、不審に思っているわけではないのですが……」

伏見「?」


pipipipi


穂乃果「……あ……お母さんだ」


プツッ


『もしもし?』

穂乃果「ごめんね、お母さん。今帰るから」

『それならいいけど。真姫は?』

穂乃果「一緒だよ」

『お父さんも心配してるから、早く帰って来てね』

穂乃果「はーい」

プツッ


伏見「それじゃ、送るから帰りましょう」

穂乃果「はい。お願いします」

真姫「……」

海未「……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:05:26.02 ID:Sez8j5keo

穂乃果「あの、聞きたいことがあるんですけど」

伏見「いいよ、なに?」

穂乃果「け、拳銃って持ってるんですか……?」ゴクリ

伏見「あはは、ないない。命令が出れば別だけどね」

穂乃果「そうですよね……」

伏見「もしかして、ガッカリしてる?」

穂乃果「いいえ〜」

伏見「携帯してたとしても見せません」

穂乃果「あはは、ですよね」

真姫「……」


海未「無理に明るく振舞おうとして……」


……




―― 高坂邸玄関前


母「あ、穂乃果」


穂乃果「お母さん……?」


母「あら、刑事さんも……?」


伏見「偶然そこで出会いまして、せっかくだからとここまで同行させてもらいました」

母「そうですか……。ありがとうございます」

伏見「いえいえ。これも仕事の内です」


海未「……」


母「さ、中に入りなさい二人とも」

穂乃果「うん。……それじゃあね、うみちゃん」

真姫「……」

海未「……」

穂乃果「うみちゃんをお願いします」

伏見「うん。任せて」

海未「あの、穂乃果……」

穂乃果「……」

海未「聞きたいことがあります」

穂乃果「……うん、分かった。真姫は先に入ってて」

真姫「……うん」


母「どうしたの、真姫は?」

穂乃果「いろいろあったから、疲れちゃったんだと思う……」

母「……そう」

スタスタスタ......
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:07:57.47 ID:Sez8j5keo

穂乃果「……話って?」

海未「穂乃果、なにか隠していますよね」

穂乃果「……それは」

伏見「大事な話みたいなので、少し離れてるね」

海未「いえ、今回の事件のことなので聞いていてください」

伏見「……?」

穂乃果「事件……?」

海未「真姫を中心に、ナニカが起こっているのは、さっきの絵里の反応でも分かりました」

穂乃果「……」

海未「絵里はまるで、本当の危険がそこまで迫っているかのような声で凛を止めました」

穂乃果「それは、犯人を追っかけたらそうなるよ。うみちゃんだってそうでしょ?」

海未「私は、凛が無事だったのを知って安心しましたが……絵里はそうではなかった」


伏見「……」


海未「まるで……――犯人が近くまで迫ってるかのような焦燥感を」

穂乃果「――!」

海未「やはり、そうなのですか?」

穂乃果「そ、それは……」

海未「推測だけで言いましたが……的を射たようですね……」

穂乃果「……っ」


伏見「……」


海未「真姫に対する穂乃果の対応を見ていれば分かります。
   一人にさせたくないような言動……それは危険がすぐそこまで来ているかのようでした」

穂乃果「……」

海未「私たちはどれだけの時間を共に過ごしてきたと思っているのですか?」

穂乃果「……」

海未「現状を話してください、穂乃果」

穂乃果「…………わかった」

海未「……」

穂乃果「伏見さん、あの画像を見せてもらってもいいですか?」

海未「画像……?」

伏見「はい、どうぞ」

穂乃果「ありがとうございます」

海未「……?」

穂乃果「私のデータは削除したから、転送した伏見さんしか持ってないんだ」

海未「……それは?」

穂乃果「犯人からの手紙」

海未「え――」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:10:17.57 ID:Sez8j5keo

『 こんにちは。

  突然の手紙を不審に感じられるでしょうが、
  私の顔に覚えがないようなのでこうして筆を執りました。

  今日は商店街へ行きましたね。
  西木野真姫さんとは目を合わせたのですが、私には気付かなかったようです。

  運がいいですよ。

  9人のお名前、簡単に知ることができました。

  あなた方はスクールアイドルをやっているのですね。

  それでは、また。 』


海未「――!」


穂乃果「多分、うみちゃんが今感じてることを私と絵里ちゃんは感じたんだよ」

海未「『それでは、また』って……」

伏見「もう一度接触してくる意思を表しているね」

海未「い、悪戯の可能性は……」

伏見「低いかな。人を刺した犯人がわざわざ手紙を送ってくること自体が異常だから。
   その異常性は、犯人になにかしらの意図を持ってるのかもしれない」

穂乃果「……」

伏見「だから今、この地域は警戒を強めてるの。高坂さんも同じくらいにね」

海未「こんなことが……っ」

穂乃果「真姫を不安にさせたくないから黙ってた。
    絵里ちゃんと希ちゃんは知ってるけど他のみんなはこの手紙のこと知らない」

海未「……」

穂乃果「みんなには普通に接してほしいから。今日、理事長と話をしてて思ったんだけどね」

海未「……?」

穂乃果「真姫は……居場所が無いって感じてるんじゃないかなって」

海未「居場所……?」

穂乃果「自分がどういう状況に置かれているのか、なにも分からない。
    小さいころから今までの記憶に空白があるから、現在の姿形に理解が追い付いてなくて」

海未「……」

穂乃果「怖くて不安で逃げ出したいけど、それはどこへ行っても同じだから……」


穂乃果「恐怖心だけがまとわりついてくるから」


穂乃果「だから、すぐに遠慮して……えっと、なんだっけ」

海未「それ、絵里と希が辿り着いた答えですね」

穂乃果「う、うん……3人で話してそうなんじゃないかって……。よく分かったね……」

海未「穂乃果には似合わない言葉が出てきたから、そうじゃないかと……」


pipipipi

伏見「おっと……失礼」

プツッ

伏見「はい、伏見です」

127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:12:21.45 ID:Sez8j5keo

穂乃果「……私たちで、居場所を作ってあげたいから。
     『真姫の居場所』があるって知ってもらいたいから」

海未「それは、もう実感してると思いますよ」

穂乃果「そうかな……」

海未「楽しそうにしていますから。みんなと一緒に」

穂乃果「うん、そうだと嬉しいな」


伏見「話は落ち着いたかな?」


海未「……はい」

穂乃果「それじゃ、うみちゃんのことお願いします」

伏見「はい、任せてください。いろいろとね、不安になるようなこと言ったけど」

海未「……?」

伏見「私たちが守ってみせますので、安心してください」

海未「はい、わかりました」

穂乃果「また明日ね」

海未「はい、おやすみなさい」

伏見「あ、ちょっといいかな、高坂さん」

穂乃果「はい?」

伏見「高坂さんの、耳鳴り……説明できる人がいるんだけど、会ってみる?」

穂乃果「え?」

海未「どういうことですか?」

伏見「私はとある調査の為にここへ、相棒と一緒に来たのね。
    その相棒が特殊な家柄の人で、いろいろと私たち十三課に協力してもらってるの」

穂乃果「はぁ……」

海未「協力……ということは、警察の人ではないのですか?」

伏見「そうよ。一般人ってところ。それに、誤解も解いておきたいし」

穂乃果「誤解?」

伏見「夕方にあの公園でみた人物は犯人じゃないのよ」

海未「え……?」

伏見「その人こそが私の相棒ってわけ」

穂乃果「……その人が、耳鳴りの説明をしてくれるんですか?」

伏見「そういうこと。時間があったらでいいんだけど」

海未「待ってください。犯人じゃないなら、どうして逃げたのですか?」

伏見「電車に乗る時間に間に合いそうになかったからね。……結局乗り損ねたみたいだけど」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:13:40.42 ID:Sez8j5keo

穂乃果「……うぅん」

海未「どうしますか、穂乃果?」

穂乃果「もうこんな時間だし……」

伏見「それもそうだね。
   ただ、明日の朝には一度帰っちゃうから、話をするなら早めにと思ってね」

穂乃果「うぅん……どうしよ?」

海未「お母さんに相談してみては?」

穂乃果「そうだね……ちょっと待っててください」

伏見「うん」

穂乃果「すいませんっ」

タッタッタ


海未「伏見さんは説明できないのですか? 穂乃果の耳鳴りについて」

伏見「できることはできるんだけど……。
   私が言っても説得力ないし、証明もできないからね」

海未「……そうですか」

伏見「園田さんもお家の人に連絡した?」

海未「はい。先ほど」

伏見「もう一度連絡した方がいいかもね」

海未「そうですね……」


穂乃果「あ、あのっ」

伏見「?」

穂乃果「せっかくですけど、行けなくなりました……すいません」

伏見「いいっていいって。耳鳴りの件は、高坂さんの体調に大きな変化は与えないし、
   重要なのは、その人が犯人じゃないって知ってほしかっただけだから」

穂乃果「わ、わかりました。……凛ちゃんにもそう伝えておきます」

伏見「うん、よろしくね。……それじゃ、行こうか園田さん」

海未「は、はい」

穂乃果「それじゃ、また明日〜」

海未「はい、おやすみなさい、穂乃果」


……


129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:15:05.58 ID:Sez8j5keo

―― 高坂邸:居間


母「そろそろ時間ね」

雪穂「見たいテレビでもあるの?」

真姫「……」

穂乃果「雪穂、真姫と一緒に部屋に行っててくれないかな」

雪穂「え? お姉ちゃんは?」

穂乃果「お客さんが来るから、話をするの」

雪穂「こんな時間に?」

母「そうよ、大事な話だから」

雪穂「……わかった…。それじゃ、行こっか、真姫ちゃん」

真姫「……」

穂乃果「すぐに行くから」

真姫「……うん」

穂乃果「先に寝ててもいいよ」

真姫「ううん……おきてる」

トテトテトテ......


雪穂「ご飯もあまり食べてなかったけど……」

穂乃果「……うん。……元気づけてあげて?」

雪穂「どうやって?」

穂乃果「それは……あの人形を抱っこさせて?」

雪穂「どの人形?」

穂乃果「ルーパちゃんだけど。あれ、そういえば……?」

母「あの人形、持ってなかったわよ?」

穂乃果「うっそ!?」

母「あなた達が戻ってきたとき、持ってなかったけど」

穂乃果「あぁー! あの公園で落としたんだ!」

雪穂「……今頃気付いたのぉ?」

穂乃果「い、色々あったからっ! 今から取ってくる!」ガタッ

母「待ちなさい!」

穂乃果「だって……!」


ピンポーン


穂乃果「あ……」

母「お父さんに取りに行ってもらうから」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:18:51.48 ID:Sez8j5keo

真姫「……ゆきちゃん?」


雪「あ、あぁ……今行く〜」


穂乃果「で、でも……」

母「大事な話なんだから、穂乃果も居なきゃ駄目でしょ」

穂乃果「う、うん……」

母「ほら、迎えに行くわよ」




―― 厨房


穂乃果「お父さんお父さん〜! 一生のお願い〜!」


父「……?」




―― 玄関



真姫母「こんばんは」


母「いらっしゃいませ。どうぞ、中にお入りください〜」



……


131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:21:25.98 ID:Sez8j5keo

―― 公園


『あっひゃっひゃっひゃ!』

『ザザッ……――ザッ……ザザ』

『もう、二人とも笑いすぎです』


真「……」


『まっ、まこちゃんがっ、犯人っ! ぶふーっ! 笑わずにいられるかっ! ひゃっひゃ』

『――ザッ……ジッ……ザザ』

『申し訳ありません。真様……』


真「いや、いいよ。芙蓉が謝ることじゃない……」


『だっ、ダメッ……腹がっハラがねじれるっ、笑い死ぬっ』

『ザッ――……ジジッ――ザッ……』

『では、明日のお昼頃にこちらに戻られるということでよろしいでしょうか?』


真「あぁ、それくらいには着くと思う」


『その時刻に、駅までお迎えに参ります』


真「別にいいんだけど……」


『いえ、お迎えに参ります』


真「わ、わかった」


『アイリスも一緒に帰られるのでしょうか』


真「いや、アイリスは」


『ザザッ……ザ……ザザザッジザザザッ』

『あっ、ちょっと姉さん!』


真「なんかノイズがひどくなったけど……葵か?」


『え、えぇ……葵姉さんが……気を付けて帰ってきてください、と』


真「……うん、わかった」


『それでは、失礼しま――』

『違うぞ真、葵が言うたのはなぁ』


真「言うな。どうせ下らないこと言ったんだろう。芙蓉の気遣いを無駄にするな」


『ほう、さすがじゃのう。主は何でも知っておるのか』
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:23:49.65 ID:Sez8j5keo

真「じゃあ、切るぞ」


『ザザザッ……ザッザザ――』

『捕まっても逃がしてあげるから、大丈夫って』


真「やかましい」


プツッ


真「なんで俺が犯人前提なんだよ。…はぁ……なんだか、余計な疲れが……」


……。


真「あぁ、うん。大丈夫だ」


伏見「お待たせ。はい、どうぞ。コーヒーでよかったかな」


真「お、ありがとうございます」

伏見「アイリスちゃんも。オレンジジュース」


……。


伏見「いえいえ、協力してもらってるから……。人形、二つも持ってた……?」


……。


真「すぐそこで拾ったんです。……あの子が落としたみたいで」

伏見「あの子?」

真「西木野真姫さん。さっき電話した時です」

伏見「あぁ、あの時……」

真「俺は家を知らないので……どうしようかと」

伏見「私が返してあげようか?」


……。


伏見「うん、いいよ。お安い御用です」

真「いや……やっぱり」

伏見「?」

真「仲直りのために、自分で渡して来たらどうだ?」


……。


真「それは、会ってみないと分からないだろ?」

伏見「喧嘩でもしたの……って、『視える』の、西木野さん……?」

真「そうみたいです。あの子、小さいころそういう体質だったのかも」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:26:10.12 ID:Sez8j5keo

伏見「へぇ……気付かなかったな」

真「そういうことだから。がんばれ」


……。


伏見「それで……あの時、なにを言いかけたの?」

真「犯人のことなんですけど」

伏見「うん。……ごくごく」

真「家のネトゲ廃人が言うには、憑りつかれてるらしいです」

伏見「その憑りついている方は……人間の命令を聞いたりするの?」

真「無いこともないんじゃないかな、と。……俺のような人種もいますから」

伏見「問題なのは……憑りつかれている犯人が、
   ソレを意識して利用しているのか、無意識に利用されてるのか……だね」

真「……前例はあるのか、家に帰って聞いてみます」

伏見「お願いします。相談役にはあとで、詳しく話を伺いたいので、よろしくと」

真「分かりました」

伏見「はぁ……嫌な予感はしてたんだよなぁ……。
   そっち系は完全に真君頼みになっちゃうじゃん……」

真「学校側のことで何かわかったことありますか?」

伏見「うん……。学校に犯人は居ないって裏付けは取れたことと、あとは……」

真「……」

伏見「去年、2年生が置き引きにあってるね。……あとは、特になし」

真「裏付け?」

伏見「バイト先と、あの日あの場所ですれ違った学校の生徒はいないってこと」

真「結構人通り多いですよね」

伏見「西木野さんと目が合うくらいの距離だから、学校の生徒だったら他の子も気付くと思う。
   1年、2年、3年とあのグループには揃ってるからね」

真「それでも……人を判別するのは難しいのでは……?」

伏見「音ノ木坂学院は、生徒数の減少で全校生徒が少なくてね」

真「なるほど……」

伏見「犯人が近くにいるかもしれないって可能性を少なくとも学校内の人間は排除できた」

真「でも、犯人はあの子に近づこうと思ったらいつでも近づけるわけ…か……」

伏見「そういうことだね。聞くまでもないけど、あの子たち……窮地に立たされてる?」

真「……そう考えて動いた方がいいと思います」

伏見「……わかった」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:27:28.07 ID:Sez8j5keo

真「でも……葵の力で、事件は一気に解決に向かうはずです」

伏見「うん、頼りにしてる。こっちも動けるだけ動くから」

真「はい。……あ、そういえば……刺された警官はどうなりました?」

伏見「まだ目覚めていないけど、入院先を変えたから手は出せないと思う」

真「それならよかった。……ですけど」

伏見「犯人の情報を持つもう一人の人物だから、それを放置しているってことは」

真「近いうちになにか行動を起こすかもしれないですね」

伏見「だね。……あの子たち9人を見守っていれば必ず姿を現すでしょう」

真「その中でも鍵なのは――」


……。


真「……え?」

伏見「あ、本当だ……高坂さんのお父さん」


父「……」キョロキョロ


真「なにか探しているみたいだ……」

伏見「……その人形かも。渡してあげようか?」


……。


伏見「……うん、分かった。じゃあ、そう伝えておく」

真「先回りしないといけないぞ」


……。


真「わかった、ここで待ってるよ」


伏見「あのぉ、高坂穂乃果さんのお父さんですよね?」

父「……?」


……



135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:28:28.33 ID:Sez8j5keo

―― 高坂邸:玄関


真姫母「それでは、娘をよろしくお願いします」


母「はい。また何かあれば、いつでもどうぞ」


真姫母「ありがとうございます。それでは失礼します」


穂乃果「……おやすみなさい」


ガラガラガラ

 ピシャッ


穂乃果「……」

母「穂乃果……大丈夫?」

穂乃果「明日、みんなに話すから……大丈夫」

母「……」

穂乃果「これはみんなで受け止めなきゃいけないことだから」

母「こんな時、なんて言えばいいのか分からないけど……」

穂乃果「……」

母「いつでも私たち親は、あなた達、子どものことを見守っているから」

穂乃果「うん。やれることを精一杯やるよ」

母「その意気よ」

穂乃果「よし、それじゃ、真姫と話してくるね!」

母「えぇ」

136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:29:31.22 ID:Sez8j5keo

―― 穂乃果の部屋


穂乃果「話終わったよ〜」


雪穂「お姉ちゃん……」

真姫「……」


穂乃果「?」


雪穂「真姫ちゃん、ケンカしちゃったって……」

穂乃果「ケンカ……?」

真姫「うん……。きらわれちゃった……」

穂乃果「……どうして?」

真姫「まきが、おこったから……」

穂乃果「……」

雪穂「真姫ちゃんが怒る人って……?」

穂乃果「……私には思い当たる人がいない」

雪穂「???」

穂乃果「ねえ、真姫」

真姫「……?」

穂乃果「そのケンカをしたお友達って……いつ知り合ったの?」

真姫「ほのかちゃんと出逢ったあと……」


穂乃果「…………」


真姫「……」



キィィィィイイイ


穂乃果「ぅ――また――?」


ィィィィィイイイン


雪穂「おねえ…ちゃん……?」



ヒラヒラ


真姫「あ……!」スクッ


雪穂「真姫ちゃん?」


真姫「……」

テッテッテ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/25(日) 07:31:46.20 ID:Sez8j5keo

雪穂「あ、ちょっ、どこ行くの!?」


キィィィイイイイン

穂乃果「あ、あとを追うよっ」


雪穂「う、うんっ。お姉ちゃん大丈夫?」


穂乃果「み、耳鳴りがしてるだけだからっ」




―― 高坂邸:玄関


ドタドタドタ


真姫「……っ」


 ガラガラガラ


母「なんの騒ぎ……?」


雪穂「わかんない!」


母「分かんないって……」


穂乃果「……耳鳴りが止まった…」



真姫「……よかった」

ぎゅううう


雪穂「あれ、人形が……」

母「お父さんが持ってきてくれたのね」

雪穂「でも、いないよ?」

母「?」

雪穂「あ、戻ってきた」

母「あら? ということは……刑事さんが持ってきてくれたのかしら?」


父「……?」
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