真姫「アイリスのはなことば」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:23:25.76 ID:Z4CMpj7Yo


「ぐ…あぁッ……」


ポタッ

 ポタッ


滴が垂れ落ちていく

地についたその滴が辺りを染め上げていく


赤く 紅く 朱く


それは血の色


「アぁ……ッ……ガ…ハッ」


止めどなく流れる血

膝をついて

体を支えることができず

ついに倒れこんでしまう


「――……」


腰のあたりに突き刺されたナイフが鈍く光る



「ひっ――!」


凄惨な現場に居合わせた少女が一人


少女の名は


 西木野真姫



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1498227805
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:26:06.69 ID:Z4CMpj7Yo

「…………」


ゆらりと影が動く


瞳から光を失っていく様を見下ろしていた影が動く


恐ろしい空間を生み出した人物が振り返ろうとしている


それに気づいた少女は血だまりからその人物へと視線を動かしていく


「……ッ!」


少女はその横顔を見る


「きゃぁぁあああああああああ」



少女の後方から悲鳴が響く



「……」


ザッザッザ


悲鳴と同時にその人物は走り出した


現場からの逃走


「……――」


その後姿を見て

 倒れているその姿を再認識する


腰のあたりに突き刺さったナイフと

黒く色を付けた血だまりを凝視してしまう


「――――……」


目の前で横たわる人物の命が今まさに消えようとしていた


助けなければ――

 と思うが体は動かない



非現実的な光景と匂いが少女を縛り付ける
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:27:11.74 ID:Z4CMpj7Yo

ふと思い返すのはつい先刻のこと


屋上で聞いた話


三人の幼馴染が楽しそうにしていた幼少時代の話


なぜこんなことを――


と、疑問に思うが
少女はその現実と非現実が混ざり合ったまま


「――」


意識を閉じてその場で倒れた





立ち去った人物

その犯人の顔を忘れようとするように

それが本能であるかのように


自分の日常を守るために

大切な仲間を守るために――



……


4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:29:25.57 ID:Z4CMpj7Yo


―― 深夜:高坂邸


『――近くの病院に搬送され、意識不明の重体』


「まぁ……」


『現場から逃走した犯人は未だ捕まっておりません』


「事件現場の近くの病院って、西木野病院よね……」

「……」

「明日、穂乃果に注意するよう伝えておかないとね……お父さん」

「……」コクリ



……




―― 朝


「それじゃー、行ってきまーす!」


「あ、ちょっとまって穂乃果!」


穂乃果「え、なに? おかーさん?」

母「あのね――」


……



5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:31:28.89 ID:Z4CMpj7Yo

―― 神社


「おはようございます」

「おはよう〜」


「あ、海未ちゃん、ことりちゃん」

「おはよ〜!」


海未「花陽と凛の二人だけですか?」

花陽「ううん、穂乃果ちゃんもいるよ」

凛「あっちで、電話してるにゃ」

ことり「でんわ?」

花陽「う、うん……真姫ちゃんに連絡するって……」

ことり「ふぅん……」

海未「待っていれば来るのでは?」

凛「うん、そうだと思うんだけど……。あ、絵里ちゃんたちも来たにゃ!」

海未「……にこは居ませんね」

ことり「いつもはもう来てる時間なのにね」


穂乃果「おかしいなぁ」


海未「どうしたのですか?」

穂乃果「真姫ちゃんが電話に出ないんだよ」

ことり「メールは?」

穂乃果「してはいるんだけど、返事はまだ……」

花陽「どうしたのかな……?」

凛「真姫ちゃんにしては珍しくお寝坊さんだにゃ〜」


希「みんな、おまたせ〜」

絵里「おはよう」

海未「おはようございます」

希「あれ、真姫ちゃんとにこっちがまだみたいやね」

絵里「あら、本当……珍しいわね」

凛「かよちん、準備体操しとくにゃ」

花陽「うん……そうだね」

ことり「それじゃ私たちも」

絵里「えぇ、体をほぐしておきましょうか」

海未「ほら、穂乃果も」


穂乃果「あ、みんなちょっと待って」


希「どうしたん?」


穂乃果「ねぇ、みんなはさ……昨日の事件って知ってる?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:33:54.37 ID:Z4CMpj7Yo

花陽「じけん?」

絵里「……」

海未「確か……警察官が……」

凛「うぅっ、怖い事件だよねっ」

花陽「???」

希「……?」

ことり「えっと?」

穂乃果「さっき、お母さんから聞いたんだけど――」

絵里「西木野病院の近くで人が刺されたのよね」


花陽希ことり「「「 えっ!? 」」」


穂乃果「うん、そう……」

希「ひ、人が……?」

海未「はい……それも警察官が……背後から刺されたとか……」

花陽「ひ、ひぃっ」

凛「そ、その人はどうなったの!?」

絵里「意識不明の重体って……今朝のニュースで言ってたわ」

ことり「え、えぇぇ……」

凛「は、犯人は……?」

絵里「……まだ逃走中」

凛「こ、怖いにゃ……ッ」

花陽「うぅぅっ」

希「二人とも、大丈夫やから」

海未「……穂乃果、電話してたのって…?」

穂乃果「う、うん……なんだか嫌な予感がして」

希「ひょっとして……真姫ちゃんが……なにか……ってこと?」

穂乃果「うん……外れてほしいから電話してるんだけど……」

ことり「や、やめようよ。きっとすぐ来るよっ」

凛「そうだよ! いつもの澄ました顔を見せてくれるにゃ!」

絵里「そうね、言霊という言葉もあるし……」

穂乃果「…………」

海未「ほ、ほら、穂乃果……いつものように体力トレーニングを始めますよ」

穂乃果「……うん」

ことり「そ、そうだっ、にこちゃんと真姫ちゃん、一番最後に来た人に罰ゲームをするってのはどうかな!?」

海未「そうですね! 校庭10周というのはいかがでしょう!」

凛「ポテトもごちそうになろうかな〜?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:35:12.09 ID:Z4CMpj7Yo

絵里「ついでに、草むしりも追加しちゃおうかしら」

希「時間が無くて手が付けられなかったとこやね」

花陽「そ、それはちょっと……」

凛「かわいそうすぎるにゃ〜」

ことり「だから、みんなで一緒にしようっ」

海未「みんなで校庭を走って、ポテトを食べて、草むしりですか……」

希「おかしな集団になるね」

絵里「……そうね」

凛「なんだかバカみたいにゃ〜」

花陽「それでもいい……っ」

ことり「だから……はやく来て……っ」


海未「……」

希「……」

凛「……」

絵里「……」

花陽「……」

ことり「……」


穂乃果「……もう一回」

ピッピップ

trrrrrrrr


プツッ

『もしもし』


穂乃果「あ――、出た!」



希「ほっ……」

凛「もぅ、びっくりした〜」

絵里「ふぅ……」

花陽「よかったぁ」

ことり「あ、にこちゃんも来た……!」

海未「思い過ごしでよかった――」


穂乃果「えっ、真姫ちゃんの……お母さん……?」


……


8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:36:29.88 ID:Z4CMpj7Yo

―― 昼休み:学校


「……で、なんで私なのよ」


穂乃果「にこちゃん、暇でしょ?」

にこ「暇っていうか……練習はどうするのよ」

穂乃果「中止だよ。真姫ちゃんが気になるもん」

にこ「行きたいなら一人で行きなさい。私はこれでも忙しいの」

穂乃果「じゃあ、帰りのホームルームが終わったら校門で」

にこ「話聞いてた?」

穂乃果「だって……花陽ちゃんも凛ちゃんもあの付近怖がってしまって……にこちゃんしかいないんだよ」

にこ「絵里は?」

穂乃果「生徒会、希ちゃんも生徒会。ことりちゃんバイト。うみちゃん部活」

にこ「にこにーは部室でアイドル研究☆」

穂乃果「それじゃ、よろしくね」

にこ「会話が成り立ってない!」


……


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:37:59.59 ID:Z4CMpj7Yo

―― 放課後:校門


にこ「おっそ! 人を待たせておいておっそーい!」


……




にこ「……」


穂乃果「ごめんごめん、待った?」


にこ「13分も待ったわよ。もう帰ろうかと思ったわよ」


穂乃果「ホームルームが終わらなくて」

にこ「花陽と凛も行くの?」

花陽「う、うん……心配だから」

凛「付いて行きます」

にこ「別にいいけど……。どうせ風邪かなんかじゃないの?」

穂乃果「電話で聞いた時、そんな風じゃなかったけどなぁ……」

にこ「私達の顔を見て、『別に、お見舞いなんかこなくてもいいのに……』っていうわよ」

凛「真姫ちゃんの真似? 似てないにゃ」

にこ「『ふ、ふんっ、別に嬉しくないんだからっ』」

穂乃果「……」

にこ「『で、でも……ありがとう』」

花陽「……」

にこ「『お礼をいうのは当たり前でしょっ』」

穂乃果「それ、いつまでやるの?」


……


10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:39:27.41 ID:Z4CMpj7Yo

―― 西木野病院


にこ「え、病院……?」

穂乃果「うん……」

花陽「おうちの方じゃないの?」

穂乃果「真姫ちゃんのお母さんがこっちに来てくれって」

凛「あれ……?」


「……」


凛「……あの人…」


キィィィィイイイ


穂乃果「――!?」


ィィィィィイイイン


穂乃果「う――!?」

にこ「穂乃果……?」

穂乃果「耳鳴りが……っ」



ぞわぞわっ


花陽「〜〜っ!?」

凛「かよちん……?」

花陽「うぅっぅっ」

凛「うわっ、鳥肌が凄いよ、かよちん!」



「……」


スタスタスタ......



穂乃果「……ふぅ、収まった」

花陽「な、なんだろう、今の……」

にこ「なによ、あんた達……やめてよねぇ」

凛「……」


凛「さっきの男の人……なんだったんだろう……?」



……


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:41:36.58 ID:Z4CMpj7Yo

―― 病室


看護師「こちらです」

穂乃果「ありがとうございます……」

にこ「個室……」

花陽「……」

凛「なんだか落ち着かないよぉ」


スーッ


看護師「どうぞ」

穂乃果「失礼しまぁす……」

にこ「……」

花陽「……っ」

凛「えっと、真姫ちゃんは――」



「……」


凛「あ、いた……!」

にこ「なんだ、見た感じ普通じゃない」

花陽「よ、よかった……」

穂乃果「真姫ちゃん、お見舞いに来たよ」


真姫「……」


凛「顔色はそんなに悪くないみたい」

にこ「まったく、心配させないでよねぇ」

花陽「真姫ちゃん、今日は……どうしたの?」

穂乃果「そうだ、リンゴを買ってきたんだよ」


真姫「……だれ?」


凛「?」

にこ「え?」

花陽「真姫…ちゃん……?」

穂乃果「ん?」


真姫「だれ……?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:42:46.60 ID:Z4CMpj7Yo

凛「だ、誰って……凛だよ?」

にこ「……」

花陽「……」

穂乃果「穂乃果だよ?」


真姫「……っ」


凛にこ「「 えッ!? 」」


真姫「ぐすっ」


花陽穂乃果「「 えぇ!? 」」


真姫「うぅっ……ぅぅぅっ」


凛「な、なんでっ!?」

にこ「ま、真姫っ!? 落ち着いて!?」


真姫「うわぁぁんっ」


花陽「どどどどうしようっ!?」

穂乃果「ええっとあれっどうしたの?!」



「あなたたち、こっちに――」


穂乃果「え……?」


真姫「うわぁぁぁああん」



……


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:44:07.94 ID:Z4CMpj7Yo

―― 診察室


看護師「ようやく落ち着いたようです」


「そうですか、分かりました」


凛「泣いてたよねっ、とっても泣いてたよねっ!?」

にこ「大粒の涙こぼしてたわよね!?」

花陽「あれっあれっ!? あれれ!?」

穂乃果「なんで、なんでどうしてっ」


「あの、話を……いいですか?」


凛「は、話!?」

にこ「なにがっ!?」

花陽「どうなってるのっ!?」

穂乃果「お、落ち着こうっ、みんな落ち着こうっ」

凛「そ、そうだにゃ」

にこ「し、深呼吸よっ」

花陽「ひぃぃふぅぅぅ」

穂乃果「すぅぅぅはぁぁぁ」


穂乃果「よしっ、落ち着いた」


「よろしいですか?」


穂乃果「は、はい」


「私は……真姫の母です」




……


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:47:03.14 ID:Z4CMpj7Yo

―― 逢魔が時:公園


にこ「はぁ……」

凛「こんなことになるなんて……」

花陽「嘘……っ」

穂乃果「……」


「穂乃果……!」


穂乃果「あ……」


希「はぁっ、はぁ……」

海未「どうしたんですか、いきなり話があるって……!」

絵里「な、何があったの?」

花陽「希ちゃん、だ、大丈夫……?」

希「ちょっと息切れが……ふぅ、大丈夫……」


穂乃果「え、えっと……なにから話せばいいのか……」


にこ「順に話しましょ。私たちも心の整理が必要だわ……」


穂乃果「そうだね……うん、わかった」


海未「……」

絵里「……」

希「……」


穂乃果「ことりちゃんには明日話すとして……」


にこ「私たち、4人で真姫のところに行ったのよ」

海未「……はい」

絵里「朝、穂乃果が電話したのよね」

穂乃果「うん、そう。……真姫ちゃんのお母さんが出て……その時は今日は休むって」

希「……」

穂乃果「それと、話したいことがあるから、放課後に来てくれって」

にこ「でも、行ったのは……真姫の家じゃなくて、病院だったのよ」

希「風邪……とか……?」

花陽「う、ううん……風邪じゃない……」

海未「なんだったのですか?」

穂乃果「待って、ちゃんと順序立てて話すから……」

海未「は、はい……」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:48:53.53 ID:Z4CMpj7Yo

穂乃果「それで、真姫ちゃんの病室に入ったら……様子がおかしかったの」

絵里「様子?」

凛「凛たちの顔を見ても反応しなかった。ぼんやりしてたみたいだけど……そうじゃなかった」

希「……?」

花陽「わたし達のこと、忘れてたの」

絵里「え……!?」

海未「き、記憶喪失ですかっ!?」

にこ「違う……みたい」

希「じゃ、じゃあ――」


穂乃果「幼児退行、だって」


海未「え……」

絵里「……」

希「……」



穂乃果「精神年齢が……7歳から、9歳くらいに戻ってるって」

にこ「真姫のお母さんが言ってたわ」


海未「よ、幼児退行……?」

絵里「どうして……そんなことに?」


穂乃果「昨日、事件があったでしょ」

絵里「え、えぇ」

穂乃果「真姫ちゃん、犯人の顔を見てる……のかもしれない」

希「――!!」


にこ「医者の話では、防衛反応でそうなったのではないかって言ってたわ」

花陽「……」

凛「……」


にこ「事件現場で真姫は倒れてて……通報した人が言うには、走り去った人物を見て倒れたって」

絵里「そんなことが――」


「ちょっと、君たち」


海未「っ!?」ビクッ

花陽「きゃっ!?」


「な、なんだ、どうかしたのか!?」


海未「い、いえ……すいません」

穂乃果「お巡りさん……?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:50:26.86 ID:Z4CMpj7Yo

警官「もう陽が暮れたから、はやく帰りなさい」


絵里「は、はい……わかりました」

希「そうやね、もう帰らんと」


警官「決して一人で出歩かないように。いいね?」


花陽「は、はぃ」

希「あ……」

警官「うん?」

希「いえ、なんでも……」

警官「今はこのあたり、パトロールを強化しているから同僚に家まで送らせるけど」

希「いえ、おかまいなく」

警官「安心しなさい、相手は女性だから」

絵里「そうしてもらいなさい、希」

凛「そうだよ」

希「それでは、お言葉に甘えて」



ガガッ

『本部です』

警官「帰宅途中の女子生徒を送りたいので要請を」

『了解』



穂乃果「にこちゃんは大丈夫?」

にこ「大丈夫よ、人通りの多い場所だし」

海未「それじゃ、話の続きは……」

絵里「明日、ね。ことりにもその時に話しましょう」

穂乃果「うん、分かった」


穂乃果「それじゃ、みんな明日ね――」



……


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/23(金) 23:51:31.26 ID:Z4CMpj7Yo

―― 西木野病院


真姫「……ぐすっ」


母「……」

父「……」


真姫「おうちに帰りたい……ぐすっ」


……


18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:52:43.23 ID:Z4CMpj7Yo

―― 夜:高坂邸


「お姉ちゃん、醤油取ってー」

穂乃果「うん……、はい、雪穂」

雪穂「ありがと……」

穂乃果「……もぐもぐ」

雪穂「ねえ、お母さん……お姉ちゃんどうしたの?」

母「さぁ……」

雪穂「帰ってくるなり、ずっとあんな感じでしょ」

母「……」

穂乃果「……もぐもぐ」

雪穂「ピーマンもちゃんと食べてるし……」

穂乃果「ねぇ、お母さん」

母「なに?」

穂乃果「朝聞いた……昨日の事件って犯人捕まったの?」

母「ニュースになってないから、まだなんじゃないかしら」

穂乃果「そっか……」

雪穂「早く捕まって欲しいよね」

穂乃果「うん……本当に……」

父「……」モグモグ

穂乃果「……ごちそうさま」

雪穂「え、もう?」

母「明日もトレーニングするんでしょ?」

穂乃果「ううん……。明日は、休むよ」

母「そう……。しばらくはそうした方がいいかもね」

穂乃果「……」

父「……?」

母「どうしたの?」

穂乃果「でも、明日は早く登校するから」

雪穂「なにかあるの?」

穂乃果「うん、ちょっとね」

母「朝も言ったことだけど、本当に気を付けてね」

穂乃果「うん、分かってる」


……


19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:54:03.90 ID:Z4CMpj7Yo

―― 朝:西木野病院


穂乃果「あ……!」


にこ「あ……!」


穂乃果「おはよう、にこちゃん」

にこ「おはよう……」

穂乃果「にこちゃんも気になったんだ?」

にこ「まぁね……。昨日のあの様子を見たら気になるわよ」

穂乃果「昨日の朝は寝坊したのにね。今日はちゃんと早起きできたんだね」

にこ「うるさいわね。……そんなことより、ちゃんと会えるの?」

穂乃果「どうかな……。とりあえず、真姫ちゃんのお母さんに話し聞けないかなって」

にこ「……そうね。探してみましょ」

穂乃果「うん」


……


20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:55:55.45 ID:Z4CMpj7Yo

―― 病室


穂乃果「真姫ちゃん、おはよう〜」

にこ「おはよ〜」


真姫「……」


穂乃果「う〜ん……警戒されてるね」

にこ「まぁ、それも当然よね。真姫からしたら見知らぬ人なわけだし」

穂乃果「じゃあ、自己紹介しようか……?」

にこ「してみましょ」


真姫「……」


穂乃果「えっと、初めまして? 高坂穂乃果です」

にこ「矢澤にこ、にこにーだよ♪」


真姫「?」


穂乃果「あ、にこちゃんに興味持ったみたい」

にこ「えっとぉ、職業はアイドルでぇ、あ、間違えちゃった☆ 本業は学生なんだけどぉ」


真姫「……」


穂乃果「あ、外向いた。興味なくした」

にこ「なんでっ? 女の子ってアイドルに興味持つものじゃないの?」

穂乃果「だって、真姫ちゃんだし……。
     私が最初に誘った時も『興味ありません』って言ってたし」

にこ「あ、そう……」


真姫「……」


穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん」


真姫「?」


穂乃果「私とお友達になろう」


真姫「ともだち……?」


穂乃果「うん。なってくれたら嬉しいな」


真姫「……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/23(金) 23:57:36.80 ID:Z4CMpj7Yo

穂乃果「ほのかの好きな食べ物はいっぱいあるけど、嫌いなのはピーマンなんだ」

にこ「お子様ね」

穂乃果「だって、苦いんだもん」

にこ「じゃあ、ゴーヤーもコーヒーも嫌いってことだよね☆」

穂乃果「はいはい。それで、真姫ちゃんの好きな食べ物ってなにかな?」

にこ「流さないで!」


真姫「……」


穂乃果「今度、ほのかと一緒に食べようよ」


真姫「……」


穂乃果「みんなで食べるとね、もっとおいしい――」


キィィィィイイイ


穂乃果「――!?」

真姫「?」

にこ「どうしたの、穂乃果?」

穂乃果「ま、また耳鳴りっ」

にこ「え……?」


ィィイイイイイン


真姫「……だれ?」


にこ「???」

穂乃果「なにこれっ」



……




―― 病院の外




……。


男「……」


……。


男「そうか、分かったよ、アイリス」



……


22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:40:35.38 ID:WaUNN6Q5o

―― お昼:校庭


穂乃果「今は精神状態がとても不安定なんだって」

希「そうなんや……」

ことり「……」

絵里「実際に見て、どうだったの?」

穂乃果「退屈そうにしてた……かな」

海未「家にも帰れないのですか?」

穂乃果「うん……。小さいころの記憶が今に跳んで来てるでしょ、
    部屋の模様も違うし、両親も少し違うから……とても混乱してるって」

絵里「ご両親の小さな変化ですら不安なのね……体の変化もあるだろうし」

希「…ある意味、孤独なんやね……」

穂乃果「その話を聞いたから、私は友達から始めたいなって思った」

海未「……」

穂乃果「記憶を戻すのは、それからじゃないかな……」

絵里「記憶を取り戻す方法はあるの?」

穂乃果「ううん、まだ分からないみたい」

ことり「私たちに出来ることはあるかな……」

穂乃果「今までと同じだよ。ただ、友達としてやり直さなきゃだけど」

海未「その点は、穂乃果が頼りですよ」

ことり「そうだね」

海未「精神的なものでは特に……」

穂乃果「なんだかちょっとひっかかるけど、うん、分かった」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:41:44.60 ID:WaUNN6Q5o

「あーー!!」


穂乃果「ッ!?」

絵里「ど、どうしたの凛?」

希「そんな大声出して……」


凛「思い出した! 昨日、病院の前に変な人がいた!!」

花陽「へ、変な人……?」

凛「うんっ! 病院に入るのかなって思ったけど、そのまま引き返していったんだよ!」

絵里「それは怪しいわね……」

希「報告する?」

絵里「そうね、一応しておきましょう」

ことり「誰に?」

希「昨日、帰りに送ってくれた人で、何かわかったら連絡してくれって言われてるんよ」


穂乃果「ところで……にこちゃんは?」

絵里「今日は早起きしたから、昼休みは部室で眠るって言ってたわ」

穂乃果「しょうがないな、にこちゃんは……」

海未「授業中に寝ているあなたが言えた台詞ではありません」


……


24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:45:05.71 ID:WaUNN6Q5o

―― 放課後:公園


「どうも、伏見といいます」


凛「警察の人……?」

伏見「えぇ。ほら警察手帳」

凛「わぁ、初めて見た」

伏見「ふふ、学生さんには縁のないものだからね」

凛「見て、かよちん」

花陽「おぉぉ……」

絵里「もう、凛ったら……」

伏見「それで、話を詳しく聞かせてくれるかな」

凛「はい。凛は見ました! 病院のまえで怪しい人を!」

伏見「ふむふむ。外見的特徴は?」

凛「男の人でした!」

伏見「背格好は?」

凛「えっと……太ってはいなかったかな? チラってみただけだから……あんまり」

伏見「そっかぁ……。身長は大体でいいからわかる?」

凛「170くらい?」

伏見「不審に思ったのは、病院の敷地内に入らなかったから、だよね?」

凛「うん。じっと中を見てたのに、くるっと引き返して行っちゃったから」

伏見「ふぅむ。確かに変だね」

花陽「あ、あの……そ、その人が犯人……なんでしょうか」

伏見「なんとも言えないかな」

凛「どうしてですか?」

伏見「犯人が現場の近くに行くのかなって思うんだよね」

絵里「あの、いいですか?」

伏見「いいよ、なに?」

絵里「昨日、注意を受けた人にはパトロールを強化していると聞きましたけど……」

伏見「うん、人通りが少ないところは特にね」

絵里「安心できるのと同時に、不安にもなるのですが……」

伏見「そうだね、制服姿の警官がうろうろしてちゃね……」

凛「ここにくるまでに何人か見たよね」

花陽「……うん」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:46:09.54 ID:WaUNN6Q5o

絵里「確かにあの事件はショックを受けましたけど……ここまでするのかなって」

伏見「やっぱり住民に不安を与えてるかぁ……。でも、この事件は特殊で――」

凛「とくしゅ?」

花陽「……っ」

伏見「あぁっと今の無し。忘れて忘れて」

絵里「……」

伏見「君たち学生は帰りにどの店で買い食いしようか、どこで遊ぼうかを考えてください」

凛「……」

花陽「……」

伏見「よし、今日はこんなものかな。また、何かあったら連絡よろしくってことで」

絵里「……はい」

伏見「大丈夫、私たちがもう事件を起こさせないから」

絵里「……」

伏見「他に、なにかある?」

凛「ううん。でも、大したこと言ってないから……せっかく来てくれたのに……ごめんなさい」

伏見「そんなこと、ないない〜。
   事件解決の糸口になったりするから、どんな情報でも大事よ」

凛「……それならよかった」

伏見「何もなければ、私はこれで」


絵里「はい、さようなら」


……


26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:47:11.86 ID:WaUNN6Q5o

―― 夕暮れ時:病室


にこ「できた!」

穂乃果「うわ、すごっ!」

希「おぉ〜」

真姫「……」

にこ「リンゴの皮むき、くるくる回して一度も途切れず!」

真姫「……」

にこ「凄いでしょ、ねぇ、凄いでしょ!」

真姫「……」

にこ「ほ、ほら、よく見なさい。
   薄く切ってあるのよ、この辺りなんかヒヤヒヤものだったんだから」

希「はい、真姫ちゃんどうぞ」

真姫「……うん」

にこ「あ、ちょっと邪魔しないでよっ。っていうか、いつの間に切り分けたのよ」

穂乃果「にこちゃんが自慢している間にだよ」

真姫「……シャク、シャク」

希「おいしい?」

真姫「……うん」

希「ふふ、よかった」

にこ「切ったの私!」

穂乃果「選んだの私!」

希「買ったのはうち」

真姫「シャクシャク……」

にこ「あら、なにこれ? スケッチブック?」

希「らくがき帳……みたいやね」

穂乃果「なにが書いてあるのかな?」

真姫「だ、だめ……」

穂乃果「お絵かきしてるの?」

真姫「……うん」

穂乃果「ちょっと見せてほしいな〜」

真姫「だめ……ひみつ……」

穂乃果「そっか、それは残念」

にこ「……」

希「……」

穂乃果「そうだ、外に出てみようよ、真姫ちゃん」

真姫「そと……?」

穂乃果「そうだよ、きっと夕焼け空がきれいだと思うな」

真姫「……」


……


27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:48:13.43 ID:WaUNN6Q5o

―― 同時刻:会議室


伏見「西木野真姫さんの様子は?」

医者「当初見られたパニック状態から、大分落ち着いてきました」

伏見「精神面は戻りそうにありませんか」

医者「午前中に来られた刑事の方にも言いましたが、これはデリケートな問題です。
   本人を含め、友人方にも気を急かすようなことはしないでください」

伏見「……はい」

医者「あなたに言うことではないかもしれませんが、あの刑事さんたちには迷惑しましたから」

伏見「と、いうと……?」

医者「面会させろと言ってきかなかったんです。
   見た目は高校生でも中身は幼い子供……恐怖を与えるようなことは避けてください」

伏見「はい……。上にはその件について、必ず報告します」


……


28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:49:44.06 ID:WaUNN6Q5o

―― 逢魔が時:病院庭園


伏見「……ふぅ」


伏見「……」


伏見「それにしても、広い庭園ですこと」


ヒラヒラ


伏見「? これは……羽?」


ヒラヒラ


伏見「ということは……」


……。


伏見「やっぱり……。ちょっと待ってね」


伏見「うんいいよ。私はこうやったほうが自然と話ができるから」


伏見「あ、ちょっと待って」


希「伏見さん……?」

伏見「東條さん……だっけ」

希「はい、昨日はありがとうございました」

伏見「いえいえ、あれも仕事のうちです。礼には及びません」

希「今日は……?」

伏見「お医者さんにお叱りを受けまして」

希「?」

伏見「うちの捜査一課が迷惑をかけたみたいで」

希「……はい、その件は聞いてます」

伏見「二度と同じことがないように強く言っておくから」

希「お願いします。……真姫ちゃんを怖がらせるようなことは…」

伏見「ごめんね、心配かけちゃって」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 00:50:50.60 ID:WaUNN6Q5o

希「あ、電話中に話しかけてしまって……」

伏見「ううん、いいのいいの。それじゃね」

希「……はい」

伏見「あっちにいるのは……お友達?」

希「そうです」


にこ「どこ、どこよっ」

穂乃果「見えないよ、真姫ちゃん」

真姫「みえなくなっちゃった……」


伏見「それじゃ」

希「はい、さようなら」


伏見「あぁ、もしもし……ちょっと話をしてて、大丈夫大丈夫〜」


伏見「それで、君、昨日こっちに来たでしょ、見られてたよ〜」


伏見「そうだね、あまり来ない方がいいかも」


伏見「それと、今確認したよ」


伏見「西木野真姫さん、本人を――」



……


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:34:11.14 ID:WaUNN6Q5o

―― 夜:高坂邸


母「なに、話って……?」

雪穂「ドラマ始まるから早くして〜」

穂乃果「お父さんは?」

母「明日の仕込みだけど」

穂乃果「そっか……。お父さんにも聞いてほしいんだけどな」

母「後でお母さんから伝えるから、言ってみて」

雪穂「テレビ見ながらでもいい?」

穂乃果「ダメ。大事な話だよ」

雪穂「じゃあ、早く言ってよ」

穂乃果「うん、あのね……真姫ちゃんのことなんだけど」

母「……」

雪穂「精神が逆戻りしたって言ってたよね。どうなったの?」

穂乃果「あまり状況は変わってないけど……。でも少しずつ受け入れるようになったって」

母「受け入れる……?」

穂乃果「最初は自分の環境が激変してたから、混乱してたんだけど……」

母「そういうこと……」

穂乃果「真姫ちゃんのお母さんが言うには、私とにこちゃん……友達にだけ、
     少しだけど心を開いているんだって」

雪穂「……」

母「……」

穂乃果「それでね、ここからが本題なんだけど」

母「真姫さんをうちで預かりたいと?」

穂乃果「えぇっ!? なんで分かったの!? おかーさんエスパー!?」

雪穂「私も話の流れでそう言うだろうなって思ったけど……。理由は?」

穂乃果「え?」

母「そうしたい理由があるんでしょ?」

穂乃果「うん……」

雪穂「……」

母「……」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:35:09.55 ID:WaUNN6Q5o

穂乃果「刑事さんが来てね、真姫ちゃんが怖がっちゃったんだって……」


穂乃果「直接は会ってないけど、扉の向こうで看護師と言い合いしてたのを聞いて」


穂乃果「とても怖かったんだと思う」


母「……」


穂乃果「大切な仲間だから、友達だから、真姫ちゃんを守りたい」


雪穂「……」


穂乃果「ずっと一緒に居て、不安や恐怖を追い払いたいんだ」


母「わかった」


穂乃果「お母さん……」


母「色々と大変だと思うけど、今ある状況を少しでも改善できるなら、お母さんは協力するから」


穂乃果「ありがとう!!」


雪穂「学校は?」

穂乃果「え?」

雪穂「ずっと一緒に、って言ったけど、学校はどうするの?」

穂乃果「あ」


……


32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:37:31.33 ID:WaUNN6Q5o

―― 朝:病室


穂乃果「おはよう、真姫ちゃん」


真姫「……うん」


穂乃果「ほのかの友達連れてきたよ〜」


海未「園田海未といいます」

ことり「南ことりです♪」


真姫「……」


海未「警戒されてますね……」

ことり「…こっち向いてくれないね……」


にこ「おはよー、にこにーだよ♪ 元気してるかな☆」


真姫「……?」


海未「関心を引いた……!?」

ことり「さ、さすがにこちゃん……!」

穂乃果「にこちゃんのあのキャラが気に入ってるみたい」


にこ「真姫ちゃん、リンゴ食べる? むいてあげるにこ♪」

真姫「ううん、いい……」

にこ「あ、そう……」

真姫「……」

にこ「でもでも、一日一個医者いらずっていうくらいリンゴは栄養満点なんだよ☆」

真姫「ううん、いい」

にこ「じゃ、じゃあ……ジュースにするから」

真姫「……うん」

にこ「よし」


海未「なぜそんなにリンゴを推すのですか?」

穂乃果「特技を披露したいんじゃないかな」

ことり「じゃあ、私も皮むきを手伝って」

にこ「私がやるから」

ことり「はい」


……


33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:39:43.04 ID:WaUNN6Q5o

―― 昼:学校屋上


絵里「それで、放課後に迎えに行くのね」

穂乃果「うん。真姫ちゃんのお母さんにも話してある」

絵里「困ったことがあったらなんでも言ってね。私も協力するから」

穂乃果「うん!」

凛「学校はどうするの?」

穂乃果「それなんだけど……。真姫ちゃんと一緒に居たいから、休もうかなって」


絵里海未「「 ダメよ(です) 」」


穂乃果「って、思ってたんだけどぉ、お母さんにもダメって言われたからぁ、どうしようかなってぇ」

花陽「不貞腐れてる……」

穂乃果「お母さんみたいに即答しなくてもいいでしょー」

海未「当たり前です」

絵里「真姫をダシにして授業をさぼろうとしてるみたいよ?」

穂乃果「そんなことないよッ! それはちょっと思ったけど、でも8割くらいだもん!」

花陽「8割も!?」

海未「さて、本当に穂乃果に預けてもいいのか、再検討しましょう」

絵里「そうね」

凛「心配になってきたにゃ」

花陽「そ、そうかな……穂乃果ちゃんなら安心できるけど……」

穂乃果「よし、花陽ちゃんにはお父さんが作った試作品を贈呈しよう」

花陽「わ、わーい」

海未「ちょっと、試作品なんですから、娘が評価しなくてどうするんですか」

穂乃果「みんなにも食べてもらおうと思ったけど、やっぱりあげないよ!」

絵里「意地悪されたからってそんなこと言うなんて……まったく」

海未「子供ですか」

凛「子供にゃ」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:40:30.17 ID:WaUNN6Q5o

花陽「こ、これは……!」

穂乃果「どうだった?」

花陽「もっちりとした食感だけどとろけるような柔らかさ!
    桜のようなふんわりとした風味だけど濃密な甘みが!
    それでいて後味さわやかな感覚! ついつい二口、三口と進んでしまう〜!」


花陽「おいしい、おいしいよ ほのかちゃん!」


穂乃果「そ、そんなに……?」


花陽「ありがとう、ありがとう!」


海未「もらった時は少し困ってたのに、食べた後の反応がここまで違うなんて……」

絵里「き、気になるわね……」

凛「穂乃果ちゃん!」

穂乃果「あげないよ〜!」

海未「子供ですか!」


……


35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:42:24.90 ID:WaUNN6Q5o

―― 放課後:病院


穂乃果「真姫ちゃん、朝言ったこと、考えてくれたかな?」

真姫「……」

穂乃果「友達の家にお泊りするって思ったらいいんだよ」

真姫「おとまり?」

穂乃果「そう、お泊り」

真姫「……」

穂乃果「真姫ちゃんと友達になってそんなに経ってないけどね、
     私は真姫ちゃんのことよく知ってるから」

真姫「……」

穂乃果「こわくないよ」

真姫「……うん」

穂乃果「こわいことがあっても、必ずほのかが守ってあげるから」

真姫「うん」

穂乃果「楽しいから、ね?」

真姫「うん、おとまり……する」



……




―― 病院ロビー


真姫母「真姫のことよろしくお願いします」

穂乃果「はい」


真姫「……」

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:43:32.57 ID:WaUNN6Q5o

―― 病院出口


にこ「そういえば、絵里」

絵里「なに?」

にこ「あんた、病室に行ったことないわよね」

絵里「……えぇ」

にこ「どうしてよ」

絵里「ちょっとね」

にこ「まさか……真姫と顔を合わせづらいってわけじゃ……」

絵里「……」



穂乃果「お待たせ、お待たせ〜」

真姫「……」


にこ「荷物、それだけ?」

絵里「……」


穂乃果「あとで、届けてくれるって」

真姫「……っ」

穂乃果「あらら、どうしたの真姫ちゃん?」

にこ「なんで隠れるのよ」

真姫「……あのひと」

穂乃果「あのひと?」

真姫「……っ」

穂乃果「どのひと?」


絵里「……」


真姫「こわい」

穂乃果「絵里ちゃんが?」

真姫「……」コクリ


にこ「どうしてよ」


真姫「……」


絵里「ふぅ……やっぱりね」


穂乃果「?」


絵里「にこと真姫は先に歩いてて。穂乃果と話するから」


……


37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/06/24(土) 09:44:59.81 ID:WaUNN6Q5o

―― 商店街


絵里「花陽も似たような反応だったでしょ?」

穂乃果「あぁ、そうだったね」

絵里「子供受けが悪いというか……ね」

穂乃果「それが気になってたから会えなかったの?」

絵里「……えぇ」

穂乃果「大丈夫だよ。話をすれば、絵里ちゃんを知れば、また対応も変わってくるよ」

絵里「どうしてそう断言できるの?」

穂乃果「だって、真姫ちゃんだし。にこちゃんとだって……ほら」


にこ「ちょっと、きょろきょろしないの。人にぶつかるわよ」

真姫「……ちがう。あれ、なかった」

にこ「あれ……って、あぁ、あの建物ね。去年建ったばかりだから」

真姫「あれは?」

にこ「メイド喫茶よ。ことりが働いてるところ」


穂乃果「ちがうよ! 適当なこと教えないでー!」


にこ「ことりが働いてそうなところだったわ」

真姫「あのお店、いきたい」

にこ「アイス? それはまた今度ね。お腹すいてんの?」

真姫「うん、おなかすいた」

にこ「もうちょっと我慢してなさい」

真姫「……あれは?」

にこ「ゲーセンよ」


穂乃果「観光客を案内してるみたいになってるけど、
     にこちゃんが頑張って話かけたから気を許してくれてるんだよ」

絵里「……そうだったの。……私も怖がってちゃだめね」


「おーい、真姫ちゃ〜ん!」


真姫「……?」

にこ「あっちよ、凛と花陽と海未がいるでしょ」

真姫「……うん」
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