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真姫「アイリスのはなことば」
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138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:33:05.95 ID:Sez8j5keo
穂乃果「……」
ピッピップ
trrrrrr
プツッ
『どうしました、穂乃果?』
穂乃果「うみちゃん、聞きたいことがあるんだけど、いいかな」
『なんですか?』
穂乃果「伏見さん……じゃなくて、刑事さん……うみちゃんを送ったよね?」
『そうですよ。うちの前まで』
穂乃果「そこから……公園へ行って、お父さんより先に人形を持ってくるなんてありえない」
『はい……?』
穂乃果「……ううん。なんでもない。それとね、真姫のことで明日話があるから」
『……話、ですか』
穂乃果「うん。真姫のお母さんと話をしたから、みんなにも聞いてもらいたい」
『分かりました。それでは明日』
穂乃果「おやすみ」
プツッ
穂乃果「……」
真姫「……ありがとう……あいちゃんっ」
ぎゅううう
……
…
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:34:09.46 ID:Sez8j5keo
―― 朝:登校中
穂乃果「……」
真姫「……」
海未「なんだかフラフラしていますね、二人とも……」
ことり「夜更かししてたのかな……?」
真姫「ほの……ちゃん……」フラッ
ギュッ
穂乃果「あ……ちょっと……持たれちゃダメだよ……真姫……」
真姫「すぅ……すぅ……」
穂乃果「寝ないで……」
海未「また夜遅くまでお喋りしていたのですか?」
穂乃果「せいかい〜。……うみ……ちゃん」フラッ
ギュッ
海未「ちょ、ちょっとほのか!」
穂乃果「すぅ……すぅ」
真姫「すぅ……すぅ……」
海未「二人分!?」
ことり「規則正しいリズムだね」
海未「おっ、重たいっ!」
……
…
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:36:08.10 ID:Sez8j5keo
―― 音ノ木坂学院:校門
海未「……」フラフラ
絵里「海未の足元がふらついているわね……」
にこ「珍しく夜更かしでもしてたんじゃない?」
絵里「ダメよ、海未? 不規則な生活はお肌の敵よ」
海未「そ、そういうわけでは……」
にこ「深夜の通販番組ってつい見ちゃうのよね〜」
海未「違います!」
絵里「それもそうよね。海未に限ってそれはないわね」
ことり「ここまで二人を支えて歩いてきたから……」
穂乃果「もうここでいいや……」
真姫「すぅ……すぅ……」
穂乃果「おやす…み……」
絵里「ダメよ、こんなところで寝ては……」
穂乃果「あと十分……」
絵里「授業が始まっちゃうでしょ」
真姫「すぅ……すぅ」
絵里「真姫も、起きて」
真姫「……すぅ」
にこ「全力で寝てるわね」
海未「穂乃果は半分起きていましたが、真姫は本当に寝ていて……
ここまで引きずって来るの……大変でした……っ」グスッ
ことり「うん、頑張ったね、海未ちゃん」
希「ベンチを囲んで何をしてるのかと思えば、真姫ちゃんが寝てるんやね」
真姫「すぅ……すぅ……」
にこ「保健室に連れて行ったら?」
絵里「そうね、そうしましょう」
凛「みんな、何してるの〜?」
花陽「どうしたの……?」
真姫「ん……ん……」
穂乃果「んん……むにゃむにゃ」
海未「いけません。穂乃果が本格的に寝る体勢に入っています」
花陽「チャイム鳴っちゃうよ……」
絵里「起きなさい穂乃果!」
穂乃果「もう……すこし……お母さん……」ムニャムニャ
絵里「お、おか……」ガーン
希「ショック受けてる場合ちゃうんよ、エリち」
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:37:38.54 ID:Sez8j5keo
ことり「まどろみの中ってとっても気持ちいいんだよね」
にこ「覚めたら体がだるくて最悪だけどね」
凛「もう朝だよ〜、起きるにゃ〜」
真姫「りん…ちゃん……?」
凛「おはよう、真姫ちゃん」
真姫「……」
凛「?」
真姫「ごめんね、りんちゃん……」
凛「どうして謝るの?」
真姫「きのう、こわいことあったから……」
凛「……真姫ちゃんのせいじゃないよ」
真姫「…………」
凛「凛は大丈夫にゃ♪」
真姫「……うん!」
海未「……ほら、真姫はもう目が覚めていますよ」
穂乃果「ぅぃ……」
にこ「……なにかあったの?」
絵里「ちょっとね。……後で話すわ」
希「……」
穂乃果「ほけんしつ……つれてって……うみちゃん……おねがい……」
海未「ダメです」
穂乃果「ことりちゃん……」
ことり「ご、ごめんね……」
絵里「もう行きましょう」
希「そうやね。起きたようやし」
凛「かよちん、凛たちも行こ」
花陽「うん。みんなあとでね」
真姫「うん……バイバイ」
穂乃果「だれか……だれか……ほのかを……ほけんしつにぃ」
ヒデコ「なにやってんの、穂乃果?」
穂乃果「ちょうどいいところに……ほけんしつへつれてってぇ」
フミコ「どこか体でも悪いの?」
穂乃果「ねぶそくでぇ」
ミカ「それはダメでしょ」
真姫「ふぁぁ……ぁ」
……
…
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:38:42.56 ID:Sez8j5keo
―― 2年生の教室
担任「それじゃあ、しばらくは高坂を一番後ろにして、
南と二人で西木野を挟んで授業を受けてくれ」
ことり「は〜い」
穂乃果「わかりました〜」
真姫「……」
担任「みんなも事情は昨日聞いた通りだから、協力してやってくれ」
クラス「「「 はーい 」」」
ことり「真姫ちゃんは自由にしてていいんだって」
真姫「うん……」ガサゴソ
ことり「らくがき帳……?」
穂乃果「一番後ろなんてラッキー♪」
海未「寝る権利を与えられたわけではありませんよ」
穂乃果「ぎくっ」
……
…
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:39:56.24 ID:Sez8j5keo
―― 休み時間:廊下
絵里「二人とも寝てるわね……」
ことり「授業の途中で、真姫ちゃんはやることなくなって……。
穂乃果ちゃんの真似して寝ちゃったんだ……」
希「まぁ、それでも、教室から出ていかなくてよかったやん」
海未「そうですね……。少し心配していましたが、なんとかやっていけそうです」
にこ「それで、昨日なにがあったのよ」
希「うちも気になってる」
海未「それは……」
ことり「昨日……?」
海未「結論から言えば終わった話なので、気になるなら凛のところに行きましょう」
ことり「それなら、私は聞かなくてもいいかな……?」
海未「はい、それでいいです」
にこ「それじゃ、私もパス。終わった話なら別にいいわ」
希「うちは聞いておこうかな」
海未「それでは、行きましょう」
絵里「凛たちは次の授業体育よね。校庭に行きましょ」
海未「絵里は、穂乃果から真姫の話をいつするのか聞いておいてください」
絵里「話?」
海未「真姫のお母さんと話をしたそうです。それをみんなに話したいと言っていました」
絵里「わかったわ」
……
…
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:41:10.88 ID:Sez8j5keo
―― 校庭
海未「凛!」
凛「にゃ?」
海未「少し話があるのですが」
凛「うん、なぁに?」
希「話は聞いたよ。不審な人を追いかけようとしたって」
凛「……うん」
希「そんな真似はもう二度としないで」
凛「…………はい」
海未「昨日、絵里も言っていましたが本当に危険な相手だったら……」
凛「……」ションボリ
海未「……希にまで強く言われては深く反省するしかないですね」
凛「……」
海未「どうしてそんなことを?」
凛「あの時、真姫ちゃんが震えてて……許さないって思って……」
希「真姫ちゃんを想っての行動やから、そこは素直に感心するかな」
凛「でも、かよちんが泣いちゃって……絵里ちゃんも不安そうな顔してて……」
海未「……」
凛「だから……もうしません」
希「うん……」
海未「それと、あの男の人ですが」
凛「?」
海未「どうやら犯人ではないようです。刑事さんの協力者だそうですよ」
凛「えっ、そうなの?」
希「警察に協力……?」
海未「一般人だと言っていましたが……どうやって協力するのかは分かりません」
凛「なぁんだ〜。凛の早とちりだったんだね〜」
希「……」
凛「それじゃ、追いかけても意味はなかったんだ〜」
海未「凛……」
希「反省の色が薄くなってるようやね……」ワキワキ
凛「あ、でも……あの金縛りは一体――」
希「わしっ」
ワシッ
凛「にゃぁぁああああ!!!」
……
…
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:47:07.17 ID:Sez8j5keo
―― 昼休み:アイドル研究部
ことり「ここを通すの」
真姫「……こう?」
ことり「そうそう」
凛「なにやってるの?」
ことり「リリアンだよ」
にこ「なにそれ」
ことり「この道具を使って編み物するの」
真姫「……」クルクル
ことり「真姫ちゃん、上手上手〜♪」
にこ「面白いの?」
真姫「……ん」クルクル
凛「細かい作業……」
花陽「器用だね……さすが真姫ちゃん」
にこ「没収!」
真姫「あっ」
ことり「にこちゃん!」
にこ「みんなで集まってるのに、なに地味な遊びしてんのよ!」
真姫「……むぅ」
にこ「なによ……。後でしなさい、こんなの」
真姫「すぐいじわるする」
にこ「はいはい。そんなことより、外で遊びましょ。影踏みよ影踏み」
凛「外で遊ぶのは賛成〜! だけど、太陽が真上にあるから影が短いよー?」
にこ「だからいいんじゃない、行くわよ〜。よいしょっと」
絵里「あ、こら! 窓から出ない!」
にこ「いいじゃないの。回って出るの面倒だし」
ピョン
凛「よいしょー!」
ピョン
花陽「凛ちゃんまで……」
真姫「よいしょ」
ことり「ダメっ!」ガシッ
真姫「……?」
ことり「私たちは回ってこよう、ね?」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:52:05.37 ID:Sez8j5keo
穂乃果「真姫はなんでも真似するようになったね。……危ないなぁ」
海未「あなたも悪い影響を与えていますよ」
穂乃果「そんなはずはないよ」
海未「なぜ言い切るのですか」
穂乃果「だって、しっかりしようと心掛けているんだもん!」
海未「ふぅ……。それで、話とは?」
穂乃果「溜息で話題変えた……!」
希「話しはうちら4人だけでいいの?」
穂乃果「うぅん……どうしよう。『真姫ちゃん』の問題だから……」
絵里「とりあえず、聞かせて」
海未「『真姫』ではなく『真姫ちゃん』ですか……」
穂乃果「うん。その『真姫ちゃん』に戻ったことがあるかどうか聞きたいんだけど……」
希「穂乃果ちゃんが一緒にいるんやから、それが全てやと思うよ?」
穂乃果「でも、ずっとってわけでもなかったから」
絵里「そうね……。私の見た限りではそんな素振りは見られなかったわ」
海未「私もです。それに、その反応があったとしたら、凛たちも言っているはずですから」
穂乃果「そっか……そうだよね」
絵里「本来の真姫に戻ったかどうか、それを聞いた理由は?」
穂乃果「精神が『真姫ちゃん』に戻る兆候が見られたら、病院に連れてきてほしいって言われて……」
希「……」
穂乃果「その時、ふと思ったこと聞いたんだけど……戻らなかったらどうなるのかって」
海未「なんて言ったのですか……?」
穂乃果「記憶が『真姫』のまま上書きされて、
『真姫ちゃん』の精神は……眠ったままになるって」
絵里「眠ったまま……」
希「でも、真姫ちゃんが目覚めることはあるんやない?」
穂乃果「うん……。でも、『真姫』と『真姫ちゃん』が繰り返し目覚めていたら
どっちの精神にも負担がかかりすぎて良くないって」
希「……そっか」
海未「ということは、どちらかが眠ったままに――……いえ、本来の真姫の姿が正しいのですよね」
穂乃果「……そうだね」
絵里「……」
希「本来の真姫ちゃんの姿……」
「痛いにゃ! 足踏んだよにこちゃん!?」
「凛踏んじゃった♪」
「ネコ踏んじゃったのリズム……!」
「ふぅ、汗かいてきちゃった……」
「こっち、涼しいよことぃちゃん」
「木の下かぁ……それなら影踏まれないね♪」
「……のぞみちゃんがこっちみてる」フリフリ
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:55:53.27 ID:Sez8j5keo
希「ふふ、無邪気やなぁ」フリフリ
海未「本来の姿に戻るにはどうしたらいいのでしょう?」
穂乃果「お医者さんが言うには、その時と同じショックを受けるくらいじゃないかって……」
絵里「同じ……」
「かよちん、木の下に逃げるにゃ!」
「うん!」
「反則よ反則ーー!」
そよそよ
「はぁ〜、気持ちいい〜♪」
「本当だ〜」
「いいよね、こんなそよ風……」
「……うん、いいよね」
「ごー、よん、さん……」
「なんかカウントしてるにゃ」
「時間制限があるに決まってるでしょ。……にー、いち」
「「「 わー! 」」」
「わ、わー!」
タッタッタ
「反応が遅れた真姫!」
「やーーっ!」
きゃっきゃ
きゃっきゃ
穂乃果「それじゃ、私も行ってくるね」
海未「話は終わりですか?」
穂乃果「うん、終わりっ」
ピョン
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 07:57:39.18 ID:Sez8j5keo
―― 校庭
にこ「これじゃ影踏みにならないわね」
凛「だから言ったにゃ」
真姫「だからいったみゃん」
にこ「……」
ことり「だから言ったわんっ」
花陽「だから言った……チュウ」
にこ「ねずみって、それでいいの……?」
花陽「は、ハムスターだから……」
にこ「あ、そう。というか、なによこの流れ」
凛「にゃーにゃー」
真姫「みゃんみゃん」
ことり「わんわんっ」
花陽「チューチュー」
にこ「にこにこ♪」
穂乃果「この中に一人仲間はずれがいます。それは誰かな〜?」
凛真姫ことり花陽「「「「 にこちゃん! 」」」」
にこ「大正解〜。にこにーだけ、可愛いアイドルでした〜☆」
穂乃果「ブーブー」
にこ「それはブタさんだよね? ブーイングじゃないよね〜?」
凛「缶蹴りしよー!」
真姫「かんけり?」
凛「こうやって、缶を蹴る!」
カーン
穂乃果「それっ、隠れろー!」
ことり「わー!」
凛「わーい!」
花陽「こっち来て、真姫ちゃんっ」
真姫「う、うんっ」
テッテッテ
にこ「え……」
ぽつーん
にこ「また私から鬼で始まるの!?」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 08:03:26.98 ID:Sez8j5keo
―― アイドル研究部
海未「幼稚園児たちが遊んでいますね」
希「穂乃果ちゃん、色々と背負ってるみたいで、心配やね……」
絵里「大丈夫よ。私たちにも話してるし……、そうでしょ海未?」
海未「それでも無理はしてると思いますが……。今のところは絵里の言う通り大丈夫だと思います」
希「そっか……」
絵里「前に、穂乃果が言ってたけど」
希「ん?」
絵里「真姫の精神が戻ったのは防衛反応だって」
海未「そうですね……」
絵里「それって、どういう意味なのかしら」
希「……犯人の顔を忘れたほうが安全やってことやない?」
絵里「でも、覚えていたら、警察に協力して犯人逮捕は時間の問題だったわけでしょ?」
海未「……はい」
希「なにか意味があるって、エリちは考えてるん?」
絵里「そうじゃないけど……。いえ、そうね……なにか意味が、理由があるような気がして」
希「ふぅむ……理由、か……」
海未「絵里は、犯人からの手紙を見ましたよね」
絵里「……えぇ。その件について、穂乃果から聞いたのね」
海未「はい。……手紙の一文に怖い箇所がありました」
希「……そうやね。運がいいですよ、って」
海未「それを見て、もし、を考えてしまって……とても怖くなりました」
絵里「……」
海未「でも、刑事さんに、大丈夫だからって声をかけてもらえて……少し安心してもいるんです」
希「伏見さん……やね」
絵里「同性なのに、不思議と安心できるのよね」
海未「多分、穂乃果もそう思っているはず……」
希「だから、多少の無理を見守っていようと思ってるんやね」
海未「……そういうことです」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 08:04:06.39 ID:Sez8j5keo
絵里「ふふ、意外と素直なのね」
海未「真姫の影響ですね……」
「はい、凛見つけた〜」
「あー、しまったにゃー」
「なにその棒読み」
「「 真姫ちゃん〜!! 」」
「行けー!」
タッタッタ
「え!?」
「えいっ!」
カーン
絵里「意味と理由……」
……
…
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:22:43.39 ID:Sez8j5keo
―― 夕暮れ時:公園
ことり「ぱ、い、な、つ、ぷ、る」
絵里「はい、じゃんけん」
花陽「ポン」
凛「勝ったにゃ。……ち、よ、こ、れ、い、と。っと」
真姫「じゃーんけん」
にこ「ポン」
真姫「勝ったみゃん。……えっと」
ことり「グーで勝ったらグリコだよ」
真姫「ぐ、り、こ」
海未「一周したら勝ちと言いますが、中々ゴールに近づきませんね……」
穂乃果「もうすぐ日が暮れちゃうね」
希「みんな童心に戻ってるようやな〜」
海未「陽が暮れる前に帰りますよ」
ことり「もうちょっと待って〜」
真姫「まって〜」
海未「……しょうがないですね」
穂乃果「希ちゃんに聞きたいことがあるんだけど、いいかな」
希「うん?」
穂乃果「希ちゃんって、目に見えない力って信じる?」
希「それは……スピリチュアルパワーのこと?」
穂乃果「うーん……そんな感じかなぁ」
希「うちは信じてるよ。人と人を繋げる力とか、人の想いが及ぼす力とか」
穂乃果「希ちゃんらしいね」
希「それがどうかした?」
穂乃果「真姫なんだけど、『視える』体質なのかなって」
希「ん?」
穂乃果「たまにね、ずっと一緒に居る私でも理解できないこと言ったりしてて」
希「……」
穂乃果「昨日、この場所で……真姫は友達とケンカしたって言って……落ち込んでたの」
希「うん……」
穂乃果「あの人形、ルーパちゃんのことでも辻褄が合わないことがあって……」
希「真姫ちゃんは小さいころ、そういう体質だった……のかな?」
穂乃果「昨日、真姫のお母さんにそのこと聞いたけど、そんな言動はなかったって」
希「……」
穂乃果「それって、小さいころの記憶にある友達とは違うと思うから」
希「ふぅむ……だから、『視えている』ってことなんやな」
穂乃果「……うん」
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:25:12.87 ID:Sez8j5keo
希「真姫ちゃんはその存在について、どう言ってるの?」
穂乃果「怖いとかは思ってないみたい。むしろ親しんでるようだよ」
希「……なら、心配はいらないんやない?」
穂乃果「そうかなぁ……」
希「真姫ちゃんを言葉巧みに騙すような存在なら、穂乃果ちゃんはすぐ不安になるはずや」
穂乃果「……」
希「まぁ、今までがそうだから、これからもそうだとは限らないけど」
穂乃果「……うん。それが怖いよ」
希「大丈夫。うちらもしっかり見てるし、なによりそれを感じたらすぐ教えてくれればいいから」
穂乃果「対処法はあるの?」
希「うちのバイト先、知ってるやろ」
穂乃果「おぉ……!」
希「今の真姫ちゃんを見ていれば、その存在について悪意はみられないかな」
穂乃果「……そうだね! うん、ありがとう希ちゃん!」
希「いいよ、これくらい」
穂乃果「はぁ〜、安心したらお腹すいてきちゃった」
希「ふふ」
穂乃果「まだ遊びは終わらなさそうだねぇ……」
希「……でも、どうして『視える』ようになったんやろ。……何か、意味がある……?」
絵里「チ、ョ、コ、レ、イ、ト」
ことり「じゃーんけん、ポン」
にこ「勝ったにこ♪ ……に、こ、にー、は、か、わ、い、く、て、に、ん、き、も、の、で」
ピョン
ピョン
にこ「み、ん、な、の、し、せ、ん、を、ひ、と、り、じ、め」
ピョン
ピョン
ピョン
絵里「……どこまで行くのかしら」
「だ、れ、も、が、あ、こ、が、れ、る、う、ちゅ、う、い、ち、の、あ、い、ど、る、で――」
花陽「そのまま帰ってしまいそうな勢い……」
真姫「ちょきはチョコレートだよね」
ことり「……うん」
真姫「にこちゃん、まちがえてる」
凛「いつも間違えてるよね」
希「どこで止まるか付いて行ってみようか」
穂乃果「信号で止まるんじゃないかな」
……
…
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:28:48.17 ID:Sez8j5keo
―― 夜:希の部屋
希「ふぅ……」
ペラ
ペラ
希「うちらはまだ、窮地に立たされているんやろか……」
ペラ
ペラッ
希「占いは所詮占いやけど……」
ペラッ
希「――え」
希「……――死神」
……
…
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:29:43.02 ID:Sez8j5keo
―― 深夜:穂乃果の部屋
穂乃果「ん……んん……」
真姫「すぅ……すぅ……」
穂乃果「……んん?」
真姫「すぅ……」
ギュウウ
穂乃果「……あつい」
穂乃果「ちょっと……離れて……ね」グイグイ
真姫「……ん……ん」
穂乃果「……ふぅ」
真姫「すぅ……すぅ……」
穂乃果「……すぅ」
真姫「ん……ん……?」
穂乃果「くぅ……すぅ……」
真姫「……」モゾモゾ
ギュウウ
真姫「すぅ……」
穂乃果「ん……ん……」
真姫「すぅすぅ……」
穂乃果「……ん?」
真姫「すー……すぅ」
ギュウウ
穂乃果「……」
真姫「……すぅ……すぅ」
穂乃果「……あつい」
……
…
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:30:55.41 ID:Sez8j5keo
―― 朝:登校途中
穂乃果「……おは……よう」
海未「また夜更かしですか……?」
ことり「真姫ちゃんは元気そうだね」
真姫「うん、元気みゃん」
海未「その語尾、気に入ったみたいですね」
ことり「かわいいわんっ」
海未「穂乃果も真姫を見習って元気良く行きましょう」
穂乃果「……」
穂乃果「しくしく」
……
…
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:31:50.64 ID:Sez8j5keo
―― 授業中:2年生の教室
穂乃果「すやすや」
真姫「……」カキカキ
ことり「……?」
真姫「ことりちゃん、いろえんぴつかしてください」
ことり「……うん、どうぞ」
真姫「ありがとう」
ことり「……どういたしまして」
穂乃果「すぅ……すぅ……むにゃむにゃ」
真姫「……」カキカキ
ことり「……ゴスロリ?」
……
…
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:34:14.47 ID:Sez8j5keo
―― 昼休み:中庭
花陽「いただきまーす……はむっ」
真姫「はむっ」
花陽「うぅーん! やっぱりおいしいよ〜!」
真姫「おいしいよ」
穂乃果「そっか。絵里ちゃんとうみちゃんが普通だと言った試食品の饅頭、
花陽ちゃんには大好物になったみたいだね」
絵里「き、期待が大きすぎたのよ」
海未「そ、そうです。嫌な言い方をしないでください」
凛「もぐもぐ……。うーん……凛もそれほどじゃないかも?」
穂乃果「そうなんだ……。絵里ちゃんたちにはハードルが高くなっちゃったのかなぁ?」
凛「でも美味しいよ。もぐもぐ」
ことり「にこちゃん、大丈夫かな……」
絵里「そうね……。まさかあのまま止まらずに進んでいくなんて……」
海未「あの方角なら、今は……金沢でしょうか……」
希「……」
穂乃果「にこちゃん、早く帰ってきて……みんな待ってるよ……!」
にこ「ここにいるわよ」
穂乃果「はい、希ちゃんもどうぞ〜」
希「うん、ありがとう」
にこ「昨日のあれは、みんなが遊ぶのを止めないから強制的に終わらせてあげたの!」
真姫「はなちゃん、あんこついてる」
花陽「えっと……どこかな?」
真姫「とってあげるね」
花陽「ありがとう〜」
にこ「日が暮れるのに全然進まないんだから、
にこの機転にありがたく思いなさいよね!」
凛「海未ちゃん、半分食べる〜?」
海未「ありがとうございます、いただきます」
絵里「今日もいい天気ね」
にこ「無、視、す、る、なー!」
穂乃果「あはは、それ新しいね」
……
…
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:35:55.61 ID:Sez8j5keo
―― 放課後:音楽室
真姫「〜♪」
たらったらんらん たらったらん♪
穂乃果「ゆ、指の動きが……!」
希「はやい……」ゴクリ
にこ「この曲は……?」
花陽「ゴリウォーグのケークウォーク……だよ」
ことり「ピアノの演奏は……その頃から完ぺきだった……!?」
海未「天才ですか……!?」
絵里「ハラショー……」
凛「おぉー……」
たんたららったん たん♪
穂乃果「すごいっ、すごいよ真姫!」
凛「真姫ちゃん、すごーい!」
花陽「す、素敵だった!」
パチパチ
パチパチ
真姫「えへへ」
にこ「な、なかなかやるじゃない」
真姫「にこちゃんも、ひけるの?」
にこ「あ、アタリマエデショー」
ポン
にこ「?」
海未「……やめましょう。見栄を張るのは」
絵里「そうよ。素直になることも人生には必要なの」
にこ「弾けるわよ!」
真姫「にこちゃん、こっち」
ポンポン
にこ「……?」
穂乃果「一緒に演奏しようってことじゃない?」
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:37:01.77 ID:Sez8j5keo
真姫「すわって?」
ポンポン
にこ「う……」
希「もう後には引けないやん……」
ことり「真姫ちゃん、嬉しそうだよ……」
真姫「いっしょに」
にこ「わ、わかったわよ……」
凛「か、簡単なのがいいんじゃないかな?」
花陽「う、うん。ネコ踏んじゃったとか聞きたいな……!」
にこ「え、えっと……」
真姫「……」
たららんったったん♪
にこ「あーぁー、そうそう。思い出したー」
海未「本当に弾けるのでしょうか……」
穂乃果「……」
にこ「り、りん踏んじゃったー」
凛「不謹慎にゃー!」
絵里「誤魔化さないでちゃんとやってね」
にこ「うぅ……」
真姫「にこちゃん、こう……」
たららんたんたんたんったんっ
にこ「……」
たん たん たんたん たんたんたん
たららんったったん
にこ「こう……ね」
真姫「……うんっ」
花陽「……楽しそうに演奏するね、真姫ちゃん」
穂乃果「いつもそうだったよ。真姫ちゃんはいつも楽しそうに演奏してた」
たんたらららーたん たんっ たんっ ♪
……
…
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:39:10.82 ID:Sez8j5keo
―― 夕暮れ時:商店街
真姫「ペロペロ」
にこ「そんなに慌てて食べないの」
真姫「だって、とけちゃうから」
にこ「ゆっくり舐めて大丈夫だから」
真姫「……うん」
にこ「ほっぺに付いちゃったじゃない」
真姫「……?」
にこ「動かないで、拭いてあげるから」
真姫「ん……」
フキフキ
真姫「と、とけちゃうっ」ペロペロ
にこ「あー、もう……こんどは鼻に……」
穂乃果「みんなで買い食いするアイスは最高だね!」
絵里「そうね、たまにはいいわね」
花陽「おいしいぃ〜」
ことり「こっちも美味しいよ。一口食べてみる?」
花陽「いいの?」
ことり「うん♪」
花陽「じゃあ……いただきます」
パクッ
ことり「どう?」
花陽「おいしぃ〜♪」
希「幸せそうやね」
凛「む、あれは……」
花陽「はぁ、なんでこんなにおいしいんだろう〜」
凛「今のかよちんには気付かないね」
希「そうやね。アイスに夢中みたいやし」
花陽「真姫ちゃん、こっちのアイスも食べてみてっ」
真姫「うんっ」
パクッ
花陽「おいしいでしょ〜。…………あれ?」チラッ
真姫「うん、おいしぃ〜」
花陽「ふふ」
花陽「え?」チラッ
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:39:50.06 ID:Sez8j5keo
花陽「あぁーー!!」
真姫「……っ!?」ビクッ
花陽「きょ、今日発売だったんだ……!?」
にこ「あー、あの伝説的アイドルの――」
花陽「わ、忘れてたぁぁああ!!」
真姫「は、はなちゃん……?」ビクビク
凛「かよちん、真姫ちゃんが怯えてる」
穂乃果「教科書に載りそうなくらい、見事な二度見だったね」
海未「なんですかそれは……」
ことり「海未ちゃんのいただきまーす」
パクッ
……
…
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:40:52.05 ID:Sez8j5keo
―― 夜:高坂邸
穂乃果「いただきまーす」
真姫雪穂「「 いただきます 」」
母「はい、召し上がれ」
父「……」モグモグ
穂乃果「うまっ」
雪穂「寄り道したって聞いたけど、食べられる?」
真姫「うん。……うま」
雪穂「ダメだから! お姉ちゃんの真似しちゃダメ!」
真姫「う、うん……?」
母「ふふ、すっかり馴染んだみたいね」
父「……」
……
…
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:42:04.69 ID:Sez8j5keo
―― 深夜:穂乃果の部屋
穂乃果「それじゃ、電気消すよー」
真姫「うん」
パチッ
穂乃果「ふぅ……」
真姫「ね、ほのかちゃん」
穂乃果「うん?」
真姫「また、おはなしきかせて?」
穂乃果「そうだなぁ……」
真姫「……」
穂乃果「今日は、真姫のこと聞かせてよ」
真姫「……?」
穂乃果「学校、楽しい?」
真姫「うん、たのしい」
穂乃果「そっか」
真姫「ほのかちゃんといっしょだから」
穂乃果「ふふ、そっかぁ」
真姫「あと……うみちゃん、ことりちゃん」
真姫「りんちゃん、はなちゃん」
真姫「えりちゃん、のぞみちゃん……いじわるするけど、にこちゃんも」
真姫「みんな、だいすきだから」
穂乃果「そっか、そっかぁ」
ぎゅううう
真姫「ほ、ほのかちゃん……?」
穂乃果「とっても嬉しいから、ぎゅーってするの」
真姫「うれしいの?」
穂乃果「うん、うれしい」
真姫「じゃあ……ぎゅーってする」
ぎゅううう
穂乃果「くるしいよ〜」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:42:40.55 ID:Sez8j5keo
真姫「ずっと……みんなといっしょにいたい」
穂乃果「……ずっといっしょだよ」
真姫「うん、うれしい」
ぎゅううう
穂乃果「……」
真姫「……ん」
穂乃果「眠たい?」
真姫「うん……」
穂乃果「おやすみ、まき」
真姫「うん……おやすみ……なさ……い」
穂乃果「……」
真姫「……すぅ……すぅ」
穂乃果「遊び疲れちゃったんだね……」
真姫「くぅ……すぅ……」
穂乃果「……」
穂乃果「ずっと一緒だからね、真姫……ちゃん」
真姫「すぅ……すぅ」
……
…
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:43:10.72 ID:Sez8j5keo
―― 朝:高坂邸玄関前
穂乃果雪穂「「 行ってきまーす! 」」
真姫「行ってきまーす」
母「はい、行ってらっしゃい。気を付けてねー」
「「「 はーい 」」」
母「さて、今日も一日頑張りましょう」
……
…
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:43:48.89 ID:Sez8j5keo
―― 登校途中
真姫「おはよう」
ことり「うん、おはよう〜♪
海未「今日は寝不足ではなさそうですね」
穂乃果「うん、しっかり寝たからね!」
真姫「きょうもいっしょにあそんでくれる……?」
ことり「もちろん♪」
海未「まだまだ遊ぶレパートリーはありますからね」
穂乃果「そうだね。今日も一日楽しもう〜♪」
ことり「お〜♪」
真姫「おーっ」
海未「ふふ、しょうがないですね」
穂乃果「今日も楽しくなるよ、絶対!」
真姫「うん……っ!」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/25(日) 10:45:20.34 ID:Sez8j5keo
―― 4人の少女が今日という一日を期待で満たしていた ――
―― そのとき、空が嗤った ――
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/25(日) 15:40:45.15 ID:D8Pn9Zy20
元ネタあるのかわからんが続き楽しみ
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:43:24.19 ID:iVlOUhKto
……
…
―― 昼:高坂邸玄関前
パカッ
母「あら、穂乃果宛に手紙……差出人は、小学校の友達だったような?」
母「同窓会のお報せ……にしてはまだ早いわよね」
母「……ピザのチラシが二枚も。……たまにはいいかも」
伏見「こんにちは」
母「あら、刑事さん」
伏見「なにか変わりはありませんか?」
母「えぇ、お陰様で。刑事さんはパトロールですか?」
伏見「そうです。私は車を与えられてないので、歩きながら……免許はあるんですけどね」
母「ふふ、大変ですね。そうだ、冷たい麦茶でもいかがです?」
伏見「いえいえ、そんな」
母「一杯くらいいいじゃないですか。ちょっと待っててくださいね〜」
テッテッテ
伏見「あー……、参ったなぁ……。催促したみたいになってしまった」
pipipi
プツッ
伏見「……はい、伏見です」
『もしもし、俺です』
伏見「どうしたの、真君?」
『すいません、今日中に戻るつもりだったんですけど……』
伏見「どうかしたの?」
『教授につかまってしまって……。戻るの明日になるかもしれません』
伏見「そっかぁ……」
『すいません』
伏見「ううん。今年卒業だからいろいろと忙しいよね」
『そっちの様子はどうですか?』
伏見「昨日、一昨日と……静かなものだね」
母「……どうぞ」
伏見「あ、すいません……」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:45:58.05 ID:iVlOUhKto
『ということは、手紙以来……?』
伏見「そういうこと」
『真君……?』
『あ……』
伏見「ん? その声は……由美ちゃん?」
『あ、はいそうです』
母「……」ニヤニヤ
伏見「ごくごく……?」
母「お父さんから聞きましたよ。
公園で若い男の人と二人で……」
伏見「ブフッ!」
『ど、どうしたんですか!?』
伏見「んふっ、ごほっ……な、なんでもない……。違いますってっ」
母「ふふふ」
『ん……?』
伏見「えっと……とにかく、なにか分かったことないかな」
『そうだ……。あの子たちに厄払いのお守りを持たせてください』
伏見「あぁ、相談役が言ってた……?」
『そうです、相手にはそれが効くかも――』
prrrrrr
伏見「あ、ごめん! 着信が入った!」
『は、はい。えっと、それじゃ』
伏見「また後でね!」
プツッ
母「隅に置けないのね〜。でも当たり前よね、美人さんなんだから〜」
伏見「ち が い ま すぅ!」
プツッ
伏見「はい、伏見です」
『おう、俺だ。今どこにいる』
伏見「えっと……高坂家の前ですが?」
『至急、駅に向かえ』
伏見「どういうことですか、警部……?」
『爆破予告があった』
伏見「え――」
『俺もすぐに向かう。ブツを見つけ次第、人を避難させろ』
伏見「わ、わかりました!」
プツッ
母「……?」
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:47:30.69 ID:iVlOUhKto
伏見「ごちそうさまでした!」
母「い、いえ……」
伏見「あ、そうだ……! 見張りの人……!」
見張り「……?」
伏見「絶対にそこを離れないで!」
見張り「……お、おう?」
伏見「走ってはきついなぁ……ッ」
タッタッタ
母「……なにかあったのかしら」
母「……」
母「……」ペコリ
見張り「……」ペコリ
母「さて、と……仕事に戻りましょう」
コトン
母「?」
母「……なにかしら」
母「もしかして……虫……?」
パカッ
母「手紙……?」
母「さっきは無かった――」
ペラッ
母「――……」
見張り「?」
母「そ、そんな――――穂乃果ッ!」
……
…
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:49:15.08 ID:iVlOUhKto
―― 駅前
ザワザワ
「夜、暇っしょー?」
「あー、マジだりぃ……」
「なんだ、あのバイト! また連絡つかねえ……!」
「これはこれは、薔薇男戦士殿……!」
「おぉ、そなたがライムさんですか……! リアルでは初めまして!」
「今夜は夜までパーリナイッしょー!?」
「朝までにしようよー」
「さっきの音なんだったのかな?」
「誰かふざけて爆竹に火点けたんじゃない? たまにいるんだよね非常識なバカが」
伏見「はぁっ、はぁッ……」
駅員「早く、早くきてくれ……」
伏見「ふぅ……はぁ……。あの、警察です」
駅員「あっ、やっときた……っ」
伏見「それで、状況を説明してくれますか?」
駅員「は、はいっ。さっき、大きな音がしたんです」
伏見「……」
駅員「その音がした場所に……これが……」
伏見「拝見します」
『 今度は更に大きな音を披露する。この駅のどこかに爆弾をしかけた。 』
伏見「……」
駅員「ど、どうしましょうっ」
伏見「その音が出た場所を案内してください」
駅員「こっちですっ」
ファンファン
ファンファン
「なになに、警察!?」
「なにかあったのー?」
ザワザワ
警部「おい、急げ!」
後輩「はいッ!」
タッタッタ
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:52:11.17 ID:iVlOUhKto
―― コインロッカー
伏見「……」
駅員「そこのゴミ箱が一つ壊されてしまってっ」
警部「ここか、現場は」
伏見「そのようですね。あと、爆破予告の紙がこれです」
警部「……ふむ」
後輩「先輩ッ!」
警部「ここは監視カメラがあるな」
駅員「は、はい、あります。あそこに!」
警部「ならそれを今すぐ」
後輩「先輩!!」
警部「なんだ」
後輩「きょ、脅迫状――じゃなくて、殺害予告です!」
警部「は……?」
伏見「え?」
後輩「さ、さっき本部から連絡が来てッ――高坂家に殺害予告がッ!」
伏見「――!?」
警部「……」
後輩「ど、どうしますか!?」
警部「おい、伏見」
伏見「さ、殺害……!?」
警部「お前はもう一度高坂宅に向かえ!」
伏見「は、はいッ」
後輩「あ、車使っていいから!」
伏見「わ、分かった」
タッタッタ
警部「くそ、なんだってんだ……」
……
…
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:54:07.79 ID:iVlOUhKto
―― 高坂邸
ブオオオオオン
見張り「あ……!」
ガチャ
伏見「いつ届いたの!?」
見張り「分からない!」
伏見「分からないわけないでしょ!?」
見張り「俺もずっと見てたんだよ!」
伏見「……っ」
見張り「奥さんが郵便受けから紙を取り出して、読んで膝をついた」
伏見「……いつ」
見張り「あんたが俺に忠告して直ぐ後だ!」
伏見「…………」
見張り「ありえない……。奥さんは一度郵便受けから全部出して、一つ一つ目を通してた」
見張り「そしてあんたが来て、走り去って……それからだ」
見張り「その間、俺はずっと見ていたんだ!」
伏見「ふぅ……わかった」
見張り「信じてくれ!」
伏見「分かったって。疑ってないよ」
見張り「なんだよ、これ……意味が分からないっ」
伏見「……やっぱり、ナニカが」
スタスタスタ
ガラガラ
伏見「失礼します」
……
…
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 11:57:45.61 ID:iVlOUhKto
―― 同時刻:駅監視室
ザザッ――ザッ――
警部「おい、どういうことだ」
室長「見ての通り、ノイズが走って犯人の姿は映っていないようです」
警部「周辺のカメラもあるだろ。それをチェックしろ」
室長「利用者の多いこの駅のカメラをですか?」
警部「そうだ」
室長「……わかりました」
捜査員「警部! 不審物を北側のロッカーから発見しました!」
警部「すぐに周辺を封鎖しろ! 爆発物処理班を呼べ!」
捜査員「はい!」
後輩「先輩! 本部からの連絡です!」
警部「なんだ」
後輩「また殺害予告が!」
警部「なに……!?」
……
…
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:01:52.90 ID:iVlOUhKto
―― 高坂邸
『 高坂穂乃果を殺します 』
伏見「――ッ」
母「ほのか……穂乃果……っ」
父「……」
ギュッ
伏見「私たちが必ず犯人を止めます」
母「刑事…さん……」
伏見「そのまま横に、安静になさっていてください」
母「娘を……穂乃果をお願いします……」
伏見「――はい」
……
…
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:03:46.93 ID:iVlOUhKto
―― 車内
ガガッ
『伏見、応答しろ』
伏見「はい」
『小泉宅にも殺害予告が届いた』
伏見「小泉……え――!? 花陽ちゃんですか!?」
『あぁそうだ。名指しで殺すと明確に記されている』
伏見「……こっちも同じ内容です」
『ただちに――』
伏見「いえ、警部。私は園田さんと南さんの家へ向かいます」
『……9人全員に予告が出されたということか?』
伏見「はい、その可能性が」
『分かった。それじゃあ、残りの5人はこっちで確認させる』
伏見「お願いします……」
『どうした』
伏見「娘の殺害予告をみた親に……どう説明すれば……」
『しっかりしろ』
伏見「……っ!」
『まずは学校に連絡を取って、9人の安全確保だ』
伏見「は、はい――」
『おい、待て警部』
伏見「?」
『なんですか、警視』
『十三課に勝手に動いてもらっては困る。
研修の身でもあるんだ、大人しくさせていろ』
伏見「こんなときに……っ」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:05:39.43 ID:iVlOUhKto
『お言葉ですが』
『……なんだ』
『今は爆破予告で状況が混乱しています。現場に近い伏見が――』
『経験の浅い新米刑事に務まる事件ではない』
『…………』
『我々一課に任せていろ、いいな』
伏見「……」
『おい、伏見』
伏見「はい」
『爆破予告と殺害予告、繋がっていると思うか?』
伏見「それは……分かりません」
『監視カメラに爆破予告を出した犯人の姿が映っていない、と聞いてもか?』
伏見「やっぱり……この地に……ナニカが……」
『おい、聞いているのか、警部』
『警視、我々――……警察の悲願のはずです』
『なんのことだ』
『事件を未然に防ぐことが、です』
伏見「…………」
『そんなものは理想にすぎん。事件が起こらないと我々は動けないだろう』
『だから――、起こる前に防ごうって言ってるんだ』
『誰に向かって――』
『分かったら邪魔するんじゃねえ!』
伏見「おぅ……」
『おい、伏見!』
伏見「は、はい!」
『とっとと動け! 犯人が止まってくれる保証はねえぞ!』
伏見「了解です!」
ガチャ
ブルルルルン
伏見「そうだ、まだ事件は起こっていない――」
……
…
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:07:15.81 ID:iVlOUhKto
―― 同時刻:3年生の教室
キーンコーン
カーンコーン
先生「はい、それじゃ授業はここまで」
希「……」
絵里「……希?」
希「……ん?」
絵里「なんだか顔色が悪いみたいだけど、大丈夫?」
希「……ちょっと、昨日寝付けなくて」
絵里「考え事?」
希「うん……そんなとこ」
にこ「ちょっといい?」
希「どうしたん?」
にこ「今日の放課後なんだけど、久しぶりに練習しない?」
絵里「練習って言ったって……真姫はどうするの?」
にこ「ピアノの演奏はできるんだから、歌の練習をするのよ」
希「そうやね。……発声練習ならできるかな」
絵里「さっき、穂乃果たちは遊ぶ気でいたけど」
にこ「1時間くらい練習して、それから遊べばいいじゃない」
希「いいと思うよ。うちは賛成」
絵里「そうね、私も。それじゃみんなに伝えておいてね」
にこ「オッケー」
ファンファン
ファンファン
希「パトカー……?」
絵里「珍しいわね、学校の近くを走るなんて」
にこ「はっ、まさか……!」
希「にこっちが可愛いすぎて罪になるから逮捕しにきたんと違う?」
にこ「にこが可愛――……やっぱりソウヨネー……」
絵里「どうでもいいけど、そのギャグを私たちにやっても無意味よ?」
にこ「ギャグってなによ! 何気に酷いわよね絵里は……」
……
…
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:08:40.49 ID:iVlOUhKto
―― 同時刻:1年生の教室
凛「色鬼、高鬼、氷鬼……あとは……」
花陽「抱きつき鬼とか」
凛「うんうん」
花陽「他に鬼遊びは……」
凛「……?」
―― 廊下
先生「小泉さん、星空さんの2人はちゃんと教室に居る」
教師「3年の絢瀬、東條、矢澤も確認しました」
先生「それじゃ、2年生のところへ行きましょう」
教師「はい」
―― 1年生の教室
凛「先生たち、何の話してたんだろ?」
花陽「なんだか、変だったね……」
凛「えっとまだやってない遊びは……」
花陽「カードゲームがいいんじゃないかな?」
凛「凛は体動かしたいな〜。最近、踊りの練習もしてないから体が鈍ってるにゃ」
花陽「ふふ。それじゃ、次の休み時間に穂乃果ちゃんのところ行こう?」
凛「そうだね」
キーンコーン
カーンコーン
凛「はやく放課後にならないかなー……」
花陽「もう、ちゃんと授業受けなきゃだめだよ?」
凛「分かってるってー」
花陽「あっ、先生来ちゃった」
先生「みなさん、悪いのですがこの時間、自習していてください」
凛花陽「「 ? 」」
生徒A「また自習……?」
生徒B「さっきパトカーが走ってたけどなにか関係あるのかな?」
生徒C「やめてよ、そういうこと言うの……」
ザワザワ
……
…
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:10:45.42 ID:iVlOUhKto
―― 南邸前
伏見「忙しいところ、急にお呼び出しして申し訳ありません」
理事長「い、いえ……。それで要件というのは……」
伏見「郵便物の確認をさせてください」
理事長「は、はい……」
伏見「……」
理事長「…………」
パカッ
理事長「……?」
伏見「――!」
理事長「これは――……」
『 南ことりを殺します 』
理事長「え――」
伏見「……ッ」
理事長「ことり……」フラッ
伏見「だ、大丈夫ですかっ!?」
理事長「そんな……どうして……ことりが……っ」
伏見「ここに、座ってください」
理事長「なにかの……悪戯……ですよね……」
伏見「……」
理事長「そうよ……ことりが……誰かに恨まれるなんて……そんなこと」
伏見「ここで待っていてください」
理事長「……なんで……どうして……――ことりっ」
伏見「……」
ピピップ
trrrrr
プツッ
『なんだ』
伏見「警部、園田さんと南さんにも予告が出されました」
『こっちも確認した。星空宅、矢澤宅……それと、東條希の部屋だ』
伏見「……西木野さんは?」
『そっちは確認できていない』
伏見「……」
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:13:18.76 ID:iVlOUhKto
『この殺害予告、複数犯が出したものだと思うか?』
伏見「どういうことですか?」
『証言によれば、ほぼ同時刻に投函されていることになる』
伏見「……」
『同一犯というのはありえないんだよ』
伏見「……」
『お前たち十三課ではそれを理屈抜きで理解できるのか?』
伏見「……はい、可能性に過ぎませんが」
『……そうか』
伏見「警部、学校側の対応をどうしましょう」
『待て』
伏見「……?」
『お前が考えろ』
伏見「え……?」
『最善策をお前が考えろと言ってるんだ』
伏見「ちょ、ちょっと待ってください、そんなこと!」
『常に犯人の行動は悪運によって守られている。
俺たちの捜査はそれで足止めを食らってるんだ』
伏見「だけど私はまだ刑事としての……!」
『いいか、よく聞け』
伏見「……!」
『今、この時間に、この場所で、あの子たちを守れる可能性が一番高いのは恐らくお前だ』
伏見「――!」
『組織のしがらみは俺がなんとかしてやる。だから、考えろ。いいな?』
伏見「け、警部、悪戯の可能性も捨てきれないんですよ?」
『ナニカが起こっていることくらい俺にもわかる。だが理解できるのはお前だけだ』
伏見「……わ…わかり……ました……!」
『これから二人で行動しろ』
伏見「二人……?」
後輩「伏見さん!」
伏見「……分かりました」
『それで、これからどうする』
伏見「少し時間をください。とりあえず学校に向かいます」
『分かった。着く前に指示を出せ』
プツッ
伏見「ふぅ……はぁぁ……」
理事長「――……」
後輩「あの学校の理事長……? 顔色が悪すぎる……」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:18:31.91 ID:iVlOUhKto
伏見「理事長、車に乗ってください」
理事長「え……」
伏見「学校に戻りましょう」
理事長「は、はい……」
伏見「……そうだ、学校だ」
後輩「?」
伏見「後輩君、運転して」
後輩「いやいや、俺は君より先輩ですけど!?」
伏見「いいからはやく!」
後輩「わ、わかったよ!」
バタン
伏見「えっと、無線は……」
後輩「これだ」
伏見「サンキュ」
後輩「だから、俺は先輩だって――」
ガガッ
伏見「警部、応答してください」
『俺じゃなくて、本部に伝えろ』
伏見「えっ!?」
『話はしてある』
後輩「マジっすか、先輩……」
伏見「え、えっと……本部」
『はい、こちら本部です』
伏見「音ノ木坂学院の下校時刻を普段通りにしてください」
『え……?』
後輩「爆破予告が出てるから早期下校の対応じゃないと……!」
伏見「知ってる。……それでいいですか、理事長」
理事長「……で、ですが、今、職員会議で早期下校の趣旨を伝えているはずです」
伏見「生徒の安全はそれで守られるでしょうが、あの子たちは違う」
理事長「…………」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:21:54.29 ID:iVlOUhKto
ガガッ
『伏見、爆破予告と殺害予告の犯人は同一人物なのか?』
伏見「それは分かりません。……けど、学校が安全であることは変わりありません」
理事長「……わかりました、刑事さん。普段通りに」
伏見「理事長からの許可も取りましたので。周辺の学校はお任せします」
『理由を聞かせろ、伏見刑事』
後輩「うわ……警視……」
伏見「時間稼ぎの意味があります」
『その間に俺たち一課に動けと言っているのか?』
伏見「そう取ってもらっても構いません」
『いいだろう。では、音ノ木坂学院の警備を強化する』
伏見「了解しました」
後輩「おぉ、先輩が啖呵切った影響だ……」
伏見「理事長、生徒たちにはまだ爆破予告のことは伏せておいてください」
理事長「はい……わかりました」
伏見「先生方には私が詳しく話します」
理事長「……お願いします」
伏見「……これで守りは鉄壁のはず」
……
…
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:23:26.73 ID:iVlOUhKto
―― 同時刻:2年生の教室
穂乃果「――!」ビクンッ
真姫「……?」
ことり「穂乃果……ちゃん?」
穂乃果「……ほ……ほぁ……ビックリした」
真姫「どうしたの?」
穂乃果「高いところから落ちた夢見ちゃった……あはは」
海未「しっかり寝たはずでは?」
穂乃果「ここのところ睡眠不足だったから」
海未「授業中にその不足分を補っていたようですが」
穂乃果「む……ああ言えばこう言う……」
海未「それはあなたです」
ことり「まぁまぁ」
真姫「ケンカはだめだよ」
穂乃果「そうだけど、うみちゃんが」
海未「穂乃果がいけないんです」
ヒデコ「あのやり取りを見てると平和だなって思うわ」
ミカ「ほんとほんと」
フミコ「……また自習ってどうしたんだろ」
ヒデコ「そういや、前の自習も説明無かったよね」
ミカ「うんうん」
フミコ「ミカ、漫画読みながら相打ちするの良くないよ」
ミカ「ほんと、そうだよね」
ヒデコ「話、まったく聞いてないよね」
ミカ「そうそう、その通りだと思う」
……
…
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:26:11.12 ID:iVlOUhKto
―― 帰りのホームルーム
担任「さて、今日はこれで終わりだが――」
穂乃果「あー、終わったー」
真姫「おわったぁ」
ことり「真姫ちゃんも疲れたみたいだね」
海未「……」
担任「大事な話があるんだが――」
穂乃果「今日はどこ寄って行こうか?」
真姫「こうえんにいきたい」
穂乃果「うーん……それもいいけど」
ことり「ちょっと穂乃果ちゃん、先生の話が終わってないよっ」
担任「大事な話があるんだが、なぁ、高坂」
穂乃果「……はい、どうぞ」
担任「今日の昼頃、みんながよく利用する駅に爆破予告が出された」
海未「え――!」
ヒデコ「嘘……」
ミカ「ば、ばくはっ!?」
真姫「……?」
ことり「…………」
穂乃果「……」
フミコ「昼のサイレンってそれだったんだ……」
ザワザワ
担任「みんな静かに。駅は一時封鎖されたけど、
いたずらと判明されたので見合わせていた電車は今は通常通り運行している」
海未「……ホッ」
ヒデコ「はぁ、びっくりした」
担任「悪戯と判断されたが警察は警戒しているらしい。
だから今日は早く帰るように。遅くなるようなら必ず家に電話するんだぞー」
ミカ「はーい」
フミコ「爆破なんて、テレビの中の話だけだと思ってた」
生徒D「ねー。ニュースでは見てたけどまさか近所でなんて」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:28:16.93 ID:iVlOUhKto
担任「はい、それじゃ今日はこれで終わり。気を付けて帰るんだぞ」
穂乃果「今日も天気が良かったから、遊びたかったのになぁ」
ことり「今日はしょうがないよ。にこちゃんが練習しようって言ってたけど」
穂乃果「練習?」
真姫「れんしゅう?」
ことり「うん、発声練習しようって」
担任「そうか、それはちょうど良かった」
穂乃果「?」
担任「高坂たちの部活の取材がしたいって相談があってな」
穂乃果「取材?」
海未「部活とは……私たちもですか……」
真姫「おなかすいた……」
ことり「部室にお菓子あるから、もうちょっと我慢してね」
ヒデコ「明日の休み、どこ行こうか」
ミカ「海に、行きたいな」
フミコ「なんで急に海なの……?」
ミカ「私を呼んでいる気がする」
ヒデコ「気のせいだって」
フミコ「海に呼ばれるって怖くない……?」
ミカ「……確かに」
真姫「うみちゃん、こわくないのに」
海未「いえ、私ではありませんよ」
担任「あぁ、そこの3人も協力してくれ」
ヒデコフミコミカ「「「 ? 」」」
……
…
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:30:47.84 ID:iVlOUhKto
―― 同時刻:音ノ木坂学院周辺
伏見「……」
後輩「しかし、あの爆破予告がハッタリだったとは……犯人は何考えてんスかね」
警部「俺が知るか。それより、あの予告に使われた紙からなにか分かったか」
後輩「バッチリッス」
警部「報告しろ。……おい、伏見、何を見ている」
伏見「え、いえ……なんでも」
後輩「屋上になにが……?」
伏見「はやく報告を」
後輩「だから、俺の方が先輩だっての。……えっとですね、
みんな、文面に注目していたようですが、紙の裏に花が描かれてるんですよ」
警部「花……?」
後輩「そうです。調べたところ、薔薇、デイジー、パンジー、スミレ、
チューリップ、オニユリ、朝顔、ダンディライオン、スイートピー」
伏見「……花…」
後輩「そして、アイリスの計10枚分ですね」
警部「ふむ」
後輩「はい」
警部「……?」
後輩「以上です」
警部「それだけか?」
後輩「……そうです」
警部「なにがバッチリだよお前……」
後輩「いや、手がかりこれしかなかったんですって!」
警部「その花から得られる共通点とかあるだろうが」
後輩「そうッスね。……セット販売とかあるかもしれないんで調べてみます」
伏見「もしかして……」
警部「何か分かるのか?」
伏見「小さい頃に読んだ記憶があって……。それと、花の名前に少しだけ知識があるんです」
後輩「読んだ……? 絵本とか童話……?」
伏見「うん……。確か、ナイフに文字が彫られてあったよね……?」
後輩「あ、あぁ……えっと……『vorpal sword』って」
伏見「アリス……」
警部「……は?」
伏見「気になって調べたんですその文字。
それは鏡の国のアリスに出てくる剣。そして、さっきの花の名前……」
警部「それがあの児童小説がに共通してるってのか」
伏見「……はい、そうです」
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:33:39.29 ID:iVlOUhKto
後輩「警官を刺したナイフ、犯行予告に使われた紙に描かれた花」
警部「それが同一人物が出したと証明しているっていうのか?」
伏見「爆破予告はハッタリでも殺害予告は本気……かもしれません」
後輩「どうします、先輩。本部はもう爆弾が偽物だったことで警戒を緩めてますけど……」
警部「俺がもう一度本部へ行って掛け合ってくる」
後輩「でも先輩、さっき啖呵切ったからっ」
警部「根拠は乏しいが……事が起こってからじゃ手遅れだ」
伏見「……」
警部「伏見、あの子らをいつまで学校に足止めしておくんだ?」
伏見「陽が暮れるまで。……それで犯人逮捕です」
警部「何を待ってるかは知らんが、本当だな」
伏見「はい。これだけ証拠を残してますから」
警部「よし。それじゃ、お前はこれから最善と思う行動をしろ。
日が暮れるまで報告はいらん」
伏見「分かりました」
警部「お前はここで見張りだ。なにかあったら連絡しろ」
後輩「はい!」
警部「ったく、なんでこんな雲を掴むような事件を追ってんだ……」
タッタッタ......
後輩「……先輩にも子どもがいるんだよ」
伏見「……」
後輩「だから、親の気持ちが分かるんだろうな……」
伏見「うん。――あんな気持ちはしたくない。――させたくない」
後輩「じゃあ俺、見回りしてくるわ」
スタスタスタ
伏見「私は――――」
……
…
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:35:24.24 ID:iVlOUhKto
―― 屋上
海未「はい、わん、つー、すりー」
にこ「こうやって、こう」
凛「こうやって……っ」
穂乃果「こうだね!」
真姫「……」
ミカ「いいねいいね、撮っちゃうよ」
パシャッ
にこ「にこっ♪」
絵里「ちょっとにこ、集中して」
にこ「してるわよ」
絵里「シャッター切る度にカメラ目線してるでしょ」
にこ「本能だからしょうがないの☆」
花陽「反対から同時に撮ったらどうなるのかな……」
希「真姫ちゃん、もうちょっとこっちに来て」
真姫「……うん」
ことり「あの、真姫ちゃんはNGでお願いね」
ヒデコ「どうしてだっけ?」
ことり「今の真姫ちゃんを残しておきたくないの」
ヒデコ「……」
ことり「本来の真姫ちゃんに戻った時、
知らない自分の写真を見たらきっと混乱するから……」
ヒデコ「……うん、わかった」
ことり「その代わり、にこちゃん達をたくさん撮ってね」
ヒデコ「オッケー」
真姫「……」
海未「わん、つー、すりー」
ミカ「いいよ、みんな笑顔がとってもいい!」
パシャパシャ
絵里「なんだかプロっぽいわね……」
ミカ「どんどん撮っていくよ〜」
パシャパシャ
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:36:21.93 ID:iVlOUhKto
タンタタンタンッ
にこ「……っ」
凛「よっとっ」
穂乃果「くるくるくるくる〜」
タンッ
穂乃果「キメ!」
ミカ「ぬ……!」
穂乃果「どうしたの?」
ミカ「ごめんごめん、フィルムが……」
にこ「デジカメでしょそれ!」
ミカ「ごめんなさい! 変なボタン押しちゃってっ」
ヒデコ「どれどれ?」
にこ「せっかくのキメポーズが……」
凛「久しぶりに踊るの楽しいにゃ〜」
穂乃果「あはは、そうだね〜」
真姫「……」
絵里「どうしたの、真姫?」
真姫「ん……」
絵里「?」
花陽「いっしょに、踊りたいのかな……?」
穂乃果「そうなの?」
真姫「……うん」
穂乃果「そっか……。じゃ、一緒に踊ろうよ」
真姫「うんっ」
希「といっても、真姫ちゃんトレーニングウェア持ってきてるん?」
穂乃果「……ううん、持ってきてないね」
絵里「それじゃ、私の貸してあげるから……着替えてきましょ」
真姫「うん」
ことり「あ、私も〜」
テッテッテ
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:37:59.78 ID:iVlOUhKto
にこ「でも、久しぶりに踊ってみると……体が鈍ってて思うようにいかないわ……」
海未「毎日の練習は必須ですね……」
穂乃果「というか、歌の練習のはずだったのに」
ヒデコ「やっぱりさ、躍動感ってのが欲しいわけよ」
ミカ「うんうん。動きってのが必要なわけ」
にこ「さっき撮ったのみせて」
ミカ「……どうぞ」
にこ「ふむふむ……なるほど」
ミカ「これなんか、素早い動きを想像させますね」
穂乃果「ブレてるじゃんっ! これブレてるじゃん!!」
にこ「っていうか、全部ブレてるじゃない!」
ミカ「ご、ごめんなさい〜!」
ヒデコ「まぁまぁ。素人だし」
にこ「あんた、自信満々に綺麗に撮ってあげますよ〜って言ってたわよね」
ミカ「すいません……。私、普段は自然を相手に撮っていまして」
穂乃果「嘘だよね」
ミカ「すいません。写真は記念撮影くらいです」
にこ「……」
凛「喉乾いたにゃ〜」
ヒデコ「フミコがお礼の飲み物用意してるから、もうちょっと頑張って」
凛「やった〜!」
希「飲み物?」
ヒデコ「理事長からの差し入れって、紅茶と冷たいドリンクを用意しています」
穂乃果「ふぅん……珍しいね?」
希「そうやね……」
ヒデコ「私も理事長から直接じゃなくて、先輩からなんで……詳しくは知らないんですけどね」
穂乃果希「「 ? 」」
にこ「じゃあ、止まっていたら綺麗に撮れるわけ?」
ミカ「……多分」
にこ「今度は自信なさそうになったわね」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:38:51.45 ID:iVlOUhKto
凛「ふふ〜、凛はいい構図を思いついたよ!」
希「どういうの?」
凛「かよちん、向こうへ行って」
花陽「え、う、うん……?」
希「なるほど、夕陽をバックにするわけやね」
凛「そうだよ。かよちん、ストップ」
花陽「うん……」
ヒデコ「どうよ?」
ミカ「……よく分かんない」
にこ「なんで素人っぽくなってるのこの子……さっきまでのプロっぽい感じはどうしたの?」
穂乃果「にこちゃんが突っ込むからだよ」
希「お、ええやん〜。シルエットになってて」
花陽「そ、そう?」
ミカ「……」
パシャッ
海未「なにも言わずに押しましたね……」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:39:44.05 ID:iVlOUhKto
―― 廊下
真姫「……」
絵里「どう?」
真姫「……うん、だいじょうぶ」
ことり「うん、どこも変じゃないね」
真姫「ありがとう、ことりちゃん」
ことり「どういたしまして〜♪」
理事長「あ……ことり」
ことり「お母さん……?」
理事長「……」
ことり「……?」
理事長「……」
ことり「どうしたの?」
理事長「ううん、なんでもない……」
スッ
ことり「な、なに……?」
理事長「髪に糸くずが……」
ことり「あ、うん……ありがとう」
理事長「……それじゃ」
ことり「うん、また後でね」
理事長「必ず、帰ってきて」
ことり「うん。……うん?」
理事長「……」
スタスタスタ......
ことり「……」
真姫「どうしたの?」
絵里「……なんでも……ないわ」
ことり「どうしたのかな、お母さん……」
真姫「?」
絵里「……もうすぐ陽が暮れるわね」
……
…
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 12:40:58.64 ID:iVlOUhKto
―― 家庭科室
「もうアイドル部たちの練習は終わったころかしら」
フミコ「はい、ヒデコからメール来てました」
「それじゃ持って行ってくれる?」
フミコ「分かりました」
「手伝ってくれてありがとう。とても助かったわ」
フミコ「いえ、これくらい」
「お茶請けはこれくらいでいいかしら」
フミコ「そうですね。あまり多すぎてもいけませんから」
「それじゃ、よろしくね」
フミコ「先輩は一緒に行かないんですか?」
先輩「私は他にすることがあるから。……あ、そうそう」
フミコ「?」
先輩「穂乃果さんと真姫さんを理事長室に呼んでくれって頼まれたの忘れてたわ」
フミコ「じゃあ、ついでに伝えておきますね」
先輩「ありがとう、助かるわ。できるだけ急いでもらってね」
フミコ「分かりました。それでは……よいしょっ」
先輩「一人で持てる?」
フミコ「だい……じょうぶです」
先輩「ごめんね、あなた達の分も用意するから、後でここに来てちょうだい」
フミコ「はい。ありがとうございます……でも、もう日が暮れるから……私たちは先に帰ります」
先輩「そうね、早く帰れって先生に言われてるからゆっくりはできないか……残念」
フミコ「どうして、アイドル部だけ残ってるんでしょう?」
先輩「さぁ……わからないわね」
フミコ「おっと……それじゃ、行ってきます」
先輩「行ってらっしゃい。ちゃんとみんなに飲んでもらってね。高級品だから」
フミコ「ふふ、は〜い」
先輩「……必ず」
「飲んでくれないと、困るから」
……
…
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 13:28:17.31 ID:iVlOUhKto
―― 夕暮れ時:アイドル部
フミコ「お待たせしました〜。……よいしょっと」
にこ「なにそれ」
フミコ「高級な茶葉を使用してますよ」
花陽「わざわざティーポットに淹れてくれたんですか……?」
フミコ「香りと味を最大限に味わってほしいって」
にこ「ふぅん……」
凛「冷えてるって言ってたよ?」
フミコ「それは、このクーラーボックスに」
凛「なにがあるのかな〜?
あ、スポーツドリンクとオレンジ、アップルがある! 飲み放題?」
フミコ「ある分だけは、そうなんじゃないかな」
凛「やった〜!」
海未「そこまで用意してくれていたのですか?」
フミコ「取材のお礼だそうだから」
にこ「ふふ、ついに私の……にこにーの偉大なる一歩が新聞に載るのよ!」
希「学校のブログやけどな〜」
にこ「分かってないわね、希……この小さな」
希「この小さな記事がやがて大きな存在へと変貌したうちらの奇跡の一文になるんやね」
にこ「そ、そうよ。……分かってるじゃない」
花陽「それじゃ、並べますね」
フミコ「ありがとう」
ガチャ
ことり「ふぅ〜、着替えてきたよ〜」
絵里「これは一体……?」
真姫「おちゃかい?」
穂乃果「おぉっ、お茶会っ! セレブだ!」
絵里「……このティーポット……どこかで見たような」
ことり「あっ! これ、すっごく高いポットだよ!」
にこ凛「「 えっ!? 」」
ことり「わぁ〜……このティーカップも!?」
にこ「い、いくらくらい……?」ゴクリ
ことり「5桁か……6桁……」
花陽「う、うそー!?」
穂乃果「じゃ、じゃあ一生に一度しか味わえないお茶会だね!?」
希「というか、なぜそんなものが……」
フミコ「そ、そんなに高かったんだ……」
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 13:29:30.79 ID:iVlOUhKto
にこ「セレブっていうのわね、何事にも動じないものなの……ことり、ついでくれるかしら」
凛「自分で注ぎなよ〜」
にこ「ふふ、セレブにこにそんなことできなくってよ」
絵里「あなたは誰なのよ……」
海未「にこのイメージするセレブってこういうのなんですね……」
ことり「はい、どうぞ」
にこ「ありがとう。……くんくん」
花陽「セレブがあからさまに匂い嗅いでる……」
にこ「この匂いは……あれね、ターメリックね」
真姫「カレー」
にこ「?」
真姫「カレーのスパイスだよ」
にこ「そうそう、カレーのスパイス。彼にはスパイスが必要なの」
凛「なにを言ってるの?」
穂乃果「しかも親父ギャグ……」
にこ「い、韻を踏んだのっ! ラップよ、にこラップ!」
希「セレブには程遠いみたいやな」
にこ「と、とにかく、いただくザマス……ずずーっ」
海未「キャラが定まっていませんね……」
絵里「もう何が何だか……」
フミコ「あはは……」
ガチャ
ミカ「フミコー? 帰るよー?」
フミコ「あ、うん」
ヒデコ「それじゃ、私たち帰るね」
穂乃果「今日はありがとー」
ヒデコ「いえいえ。それじゃ」
フミコ「片付けは明日やるから、適当に置いといてね」
ことり「ううん、私がやるから」
フミコ「う〜ん……うん、わかった」
海未「ありがとうございました」
フミコヒデコミカ「「「 ばいばーい 」」」
バタン
穂乃果「さてっと、私もセレブになってみようかな〜」
絵里「せっかく淹れてくれたんだから、いただいてから帰りましょうか」
凛「凛にもちょうだい、かよちん!」
花陽「うん、ちょっと待っててね」
にこ「うえ……まっず」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 13:30:51.53 ID:iVlOUhKto
ガチャ
フミコ「ごめんごめん、伝言忘れてた」
海未「え?」
フミコ「穂乃果と真姫ちゃん、理事長室に急ぎで来てくれって」
ことり「お母さんが……?」
絵里「さっき出ていったように見えたけど……もう戻ってきたのかしら」
真姫「……?」
穂乃果「うん、わかったー」
フミコ「それじゃね」
バタン
穂乃果「せっかくだから、一口いただいてから……」
ことり「穂乃果ちゃん、お母さんさっき変だったから……なにか伝えたいことあるんだと思う」
穂乃果「え、そうなの?」
絵里「……そうね。すぐに行ったほうがいいかも」
穂乃果「わ、わかった」
海未「ちゃんとお菓子も残しておきますから安心してください」
穂乃果「そこまで欲張りじゃないよー」
にこ「ごくごく……、うぇ、やっぱりまずい」
希「口に合わない?」
にこ「そうみたい。凛、私にもスポドリとって」
凛「はいにゃっ」
穂乃果「じゃ、行こうか、真姫」
真姫「……うん」
穂乃果「チョコレート貰ってくね」
ことり「はい、どうぞ、真姫ちゃんも」
真姫「ありがとう、ことりちゃん」
ことり「いえいえ♪」
ガチャ
穂乃果「話ってなにかな……」
真姫「もぐもぐ」
バタン
花陽「こ、これが……セレブのティータイム」
絵里「そんな構えなくてもいいわよ。普通に飲めばそれで楽しめるわ」
花陽「さ、さすが絵里ちゃん、様になってる」
凛「ごくごく……にゃっまずい!」
希「あらら……凛ちゃんまで」
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 13:32:05.15 ID:iVlOUhKto
にこ「…………」
ことり「海未ちゃんも、どうぞ」
海未「ありがとうございます。いただきます……」ズズーッ
絵里「……」
花陽「……う、うん?」
凛「どう、かよちん」
花陽「うぅん……こういう味なんだ……。もっと……爽やかになると思ってたのに」
海未「そうですね……濁ったような」
希「ん……本当だ……」
にこ「……ん……んん」
絵里「どうしたの、にこ?」
にこ「な……なんだか急に……眠気が……」
ことり「ん〜……本当だ、前に飲んだ茶葉の方が美味しいかな?」
凛「…………」
花陽「あ……あれ……?」
絵里「花陽……?」
花陽「うぅん……どうしたんだろ……」
希「え……エリち……ッ」
絵里「どうしたの、希?」
希「こ…れ……なにか……入ってる……ッ」
絵里「う……うそっ!」
ガチャーン
ことり「あ……あれぇ……」
海未「な……なんです……これは……っ」
凛「すぅ……すぅ……」
花陽「……すぅ」
にこ「くかー……」
絵里「まさか……睡眠薬……!?」
ことり「ん……ん…………」
海未「……まさか……そん…な……」
ことり「すぅ……」
希「エリち……はやく……逃げ……て……ッ」
絵里「わ……私ものんで……」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 13:33:27.54 ID:iVlOUhKto
希「いや……や……」
海未「く……ぅぅ……っ」
希「……うしない……たくな……い」
絵里「のぞ……みっ……だめ……寝ちゃ……だめっ」
希「……だれ……も……」
「うし……な……いた…く……な……い」
「のぞ……み……」
最後の抵抗として涙が零れ落ちた
東條希の涙
それをみた絢瀬絵里は微睡んでいく意識の中で先端の尖ったものを探す
「……っ……だ…め……」
それを手に刺して意識の回復を図ろうとした
だが見つからない
「……ほ……の……」
横たわり、出入り口のドアを薄れゆく意識の中、声に出す
危険が迫っているのだと
「に……げ…………」
校内に居ては駄目だと
「――……」
しかし声にならない声をこの部屋が飲み込んだ
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/26(月) 13:35:00.58 ID:iVlOUhKto
「すぅ……すぅ」
机につっぷして眠る星空凛
「……くぅ……すぅ」
椅子に持たれて眠る小泉花陽
「くー……すぅ……」
不自然な姿勢で眠る矢澤にこ
「すぅ……」
海未に寄り添うように眠る南ことり
「…………」
ことりを守るように眠る園田海未
「…………」
静かに眠る東條希
「……――」
険しい顔で眠る絢瀬絵里
バチバチンと音を立てて照明が消えた
沈もうとする夕陽だけが室内を照らす
しかしそれも束の間
次第に光を失った薄暗い部屋は不穏な空気が漂い始める
ゆっくりと忍び寄る死の誘い
眠る7人の少女たちは
抗うすべもなくただその時が来るのを待つだけだった
そのとき、部屋を覗いた者が――
「ァハハ」
――嗤った
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:01:27.56 ID:gtFhDy4Ho
―― 理事長室前
コンコン
穂乃果「……」
真姫「もぐもぐ」
穂乃果「喉乾かない?」
真姫「のどかわいた……」
穂乃果「もうちょっと我慢してね。美味しい紅茶が待ってるから」
真姫「うん、わかった」
コンコン
穂乃果「……おかしいなぁ」
真姫「いないね」
穂乃果「居ないねぇ……呼ばれたのに居ないなんて……なにかあったのかな」
真姫「またあとにしよう?」
穂乃果「でも、急ぎでって言ってたし……」
真姫「ジュースのみたいから」
穂乃果「……うん、分かった。それじゃ、後にしよう」
真姫「うん、ありがとう、ほのかちゃん」
穂乃果「ふふ、なんでお礼言うの?」
真姫「わがままいったのに、きいてくれたから」
穂乃果「そんなわがままじゃないよ〜」
担任「お、高坂」
穂乃果「あ、先生」
担任「取材は終わったか?」
穂乃果「あれって取材なんですか? なんていうか、適当っていうか……」
担任「あはは。悪いな、あれは取材っていうよりネタ集めって程度なんだよ」
穂乃果「ネタ?」
担任「学校のサイトに、アイドル部のことを載せようと思って。理事長の提案でな」
穂乃果「……そうだったんですか。あの、それで、理事長なんですけど」
担任「ん?」
穂乃果「どこ行ったか知りませんか? 呼ばれたのに居なくて」
担任「変だな……説明に行ったはずなんだが……」
穂乃果「説明?」
担任「いや、なんでもない。まぁとにかく……今日はどうするんだ、お前たち」
穂乃果「お茶会をして、帰ります」
担任「まぁいいけど、ほどほどにな。それじゃ、見回りがあるから」
穂乃果「……はい、それでは、失礼します」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:03:01.87 ID:gtFhDy4Ho
担任「暗くなったから親御さんを呼んで帰るんだぞ。今日は用心して帰れ」
穂乃果「はい……分かりました」
スタスタスタ
穂乃果「変な先生……。早く帰れって言わないなんて……」
真姫「……どこいったのかな」
穂乃果「どうしたの?」
真姫「きのうもきょうも逢ってないから……」
穂乃果「……そういえば、耳鳴りしなくなった……」
「あ、いたいた。穂乃果さ〜ん」
穂乃果「え?」
「ちょうど良かった〜。絵里さんに用があるんだけど、今は部室にいるの?」
穂乃果「は、はい……部室です」
「一緒に行ってもいいかな」
穂乃果「……はい、いいですよ」
「……よかった」
穂乃果「……」
「ふふ、どうしたの? 私の胸なんか見て」
穂乃果「あっ、すいませんっ。えっと……3年生ですよね」
「うん、そうだよ。あ、リボンを見たんだね」
穂乃果「そ、そうです。見たことないなぁって思って……」
「私、最近イメージを変えてみたの。眼鏡も変えて。髪もストレートにして」
穂乃果「へぇ、そうなんですかぁ……」
「立ち話もなんだから、歩こうよ」
穂乃果「……そうですね」
「なんだかぎこちないなぁ。先輩の前だからって気にしなくてもいいのに〜」
穂乃果「あ、あはは……」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:04:21.55 ID:gtFhDy4Ho
真姫「……」
「真姫さん? 空になにかあるの?」
真姫「ううん。ないよ」
「ずっと眺めてたけど」
真姫「ひみつ」
「ふぅん、そっか〜。なんだか可愛いね、真姫さんって♪」
真姫「……」
「ねぇ、私の顔に……――見覚えある?」
真姫「?」
穂乃果「……?」
「ほら、私の顔……よく見て」
真姫「……ううん、みたことない」
「そっか……残念」
穂乃果「小さい頃に逢ったことあるんですか?」
「そんなに昔じゃないけど、あるよ。とっても忘れがたい場所でね」
真姫「?」
穂乃果「演奏会とかかな?」
「そんな華やかな場所じゃないけど」
真姫「どこ?」
「どこで逢ったか、知りたいってこと?」
真姫「うん」
「あれ? 真姫さんって……なんだか子供みたいな喋り方するんだね」
穂乃果「――?」
ドクン
「もっとクールな人かと思ってた〜」
穂乃果「あ、あの……真姫のこと、知らないんですか……?」
「うん、知らない。……それがどうしたの?」
穂乃果「い、いえ……なんでも」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:06:15.21 ID:gtFhDy4Ho
真姫「ほのかちゃん、のどかわいた」
穂乃果「そ、そうだね……も、戻らないと」
「うん、早く行こうよ。みんな待ってるんでしょ?」
真姫「うんっ。たのしみ」
「本当に子供みたい」
真姫「?」
穂乃果「――ッ」
ドクン
ドクン
「穂乃果さん、急にどうしたの、顔色が悪いみたいだけど」
穂乃果「え、あ、えっと……私も喉が渇いたなって……思って」
「そうなんだ……。部室はあの部屋だよね」
穂乃果「そ、そうです……アイドル部……」
「……」
穂乃果「あ、あの……先輩は……最近、学校休んだりって……しましたか?」
「……あぁ、うん。休んだよ……風邪をひいてしまって」
穂乃果「えっと、じゃあ、あの……私たちの活動って知ってますか?」
「……もちろん。この学校では有名だから、あなたたち」
穂乃果「そうです……ね。ライブも何回か行いましたから」
「最初は3人で踊ったのよね。講堂のステージで」
穂乃果「そうなんです。とっても……緊張しました。……観てくれました?」
「もちろん。衣装が可愛かったし、なんだか初々しくて……それも良かった♪」
穂乃果「い、いやぁちょっと照れます。でもたくさんの人に見てもらって嬉しいですね」
「立派よ。あんなに堂々とみんなの前で歌えるなんて簡単にできることじゃない」
穂乃果「――ッ!」
ドクンッ
「初めてのライブであんなに声援をもらえるなんて――」
穂乃果「は……ッ……ぅッ」
ドクン
ドクンッ
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:07:51.27 ID:gtFhDy4Ho
「どうしたの?」
穂乃果「あ、あの……絵里ちゃんに用事ってなんですか?」
「困ったことがあるから、生徒会長に聞きたいことがあって」
穂乃果「明日じゃ……ダメなんですか? 希ちゃんのクラスも知っているでしょ?」
「変なこと言うのね。二人は同じクラスじゃない。脈絡がないこと言ってるの気付いてる?」
穂乃果「そ、それは……えっと」
ドクン
ドクン
ドクンッ
真姫「ほのかちゃん……?」
「……」
穂乃果「あ、あれ……そうだっけ……?」
「そうよ。間違えたりなんかしないから」
穂乃果「ま、真姫……ちょっとこっちに来て」
真姫「?」
「……」
穂乃果「お、お母さんに、で、電話してっ」
真姫「……うん」
穂乃果「遅く……な、なるからって」
ピッポッパ
真姫「ほのかちゃん、だいじょ――」
穂乃果「え、えっと、はいっ。そのまま話せばいいからっ」
trrrr
真姫「ほ、ほのかちゃん……っ」
穂乃果「あ、あはは……な、なんだろねっ、の、のどがかわいて声が――」
「……」
スッ
真姫「あっ」
穂乃果「あッ!」
『はい、もしもし、伏見です』
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:09:39.35 ID:gtFhDy4Ho
「お母さんって……刑事さんなの? そう表示されてるけど」
穂乃果「そ、そうなのっ。お母さんっ、ま、まだ新米でッ」
『もしもし、高坂さん?』
「声、震えすぎ。……どうしてバレちゃったのかな」
穂乃果「か、返して……っ」
『もしも〜し?』
「……あ、あのすいませんっ」
『え? あなたは……?』
「穂乃果の友達、フミコって言います。ちょっとふざけてたら押してしまってっ」
穂乃果「か、返して!」
「ごめんって穂乃果〜。刑事さんに知り合いがいるからかけてみようってなって」
『ふぅん……』
「本当にかけるつもりは無かったんですっ。すいませんでした!」
『まぁ、そういうことならいいよ。気を付けてね』
「はい。……もう、穂乃果ってば〜」
プツッ
穂乃果「な、なに……っ」
真姫「このひと、こわい……」
「……またかかってきたら面倒ね。マナーモードで充分か」
穂乃果「あ、あなた誰なの!?」
「さっきの変な質問は私を警戒してたのね。ほら、真姫ちゃんは、こっちにッ!」
グイッ
真姫「いやっ!」
「はい、大人しくしててね」
ガチャリ
真姫「やぁっ」
穂乃果「ま、真姫!」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:16:43.63 ID:gtFhDy4Ho
「フフ見て、この姿」
穂乃果「……ッ」
「アイドルでこんなに可愛い子が、後ろに回された手に錠がかけられている。
見る人が見れば、とっても美しい画になると思わない?」
真姫「やぁ、いやー!」
穂乃果「止めて! 真姫を返して!」
「写真に撮って、売りつければいい値が付きそう。世の中腐ってるから想像以上かも」
穂乃果「ふざけないでよッ!!」
真姫「いやぁーー!! やぁぁあああ!!」
「しーっ、しずかに……ほら、穂乃果ちゃんが怖い顔してる」
真姫「ほ……ほの……ちゃんっ」
「そうよ、そのまましずかにしててね」
穂乃果「真姫から離れてッ!」
「あなたも静かにして。真姫ちゃんに傷をつけたくないでしょう?」
スッ
真姫「ひっ――!」
穂乃果「――!」
「私が何者か、もう知ってるわよね……?」
穂乃果「真姫を……離してっ……お…お願いだからっ!」
「これはあの警官を刺したのと同じナイフ。切れ味は知ってるでしょ、二人とも」
真姫「ほ、ほのぁちゃ……んっ」
「それにしても、本当に子供みたい。変ね……私の顔も覚えてないし」
穂乃果「真姫は……あの事件のショックで……精神が幼い頃に戻ってるから……ッ」
「そうなんだ……。そういうことってあるのね」
穂乃果「だからッ! 知らないのは当然なの! どうして放っておいてくれないの!?」
「さっき、しずかにしてってお願いしたよね」
スッ
真姫「やぁ……ッ」
穂乃果「……ッッ」
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:18:20.84 ID:gtFhDy4Ho
「別に、口封じに来たわけじゃないのよ」
穂乃果「〜〜ッ!!」
「……すごく怒ってるのね。さっきまで声が震えてたのに」
穂乃果「当たり前でしょ!!」
「さっきから大声出してるけど、誰も出てこないの気付いてる?」
穂乃果「え?」
「中でみんながどうなってるのか、教えてあげる」
穂乃果「……」
「絶望がそこにあるのよ。開けて確かめてみて」
穂乃果「――」
「すごい。さっきまで顔を赤くしていたのに真っ青……本当にこんな表情になるのね」
真姫「やぁ……っ……いやぁっ」
「小説ではありきたりな表現なのに」
穂乃果「う……うそ……でしょ……」
「嘘かどうかは開けてみればわかるでしょ」
穂乃果「……いや……っ……うそだ……そんな……の」
「駄目、座らないで。自分の足で歩いて自分で確かめるの」
穂乃果「……うそだ……うそだ……うそ…だ……うそだ絶対に嘘だ」
「しょうがない。いらっしゃい真姫ちゃん」
真姫「ほのかちゃんっ……ほのかちゃんっ……たすけてほのかちゃんっ」
穂乃果「あ……あ……ッ……真姫……!」
「あっさりとここまで来れるなんて……やっぱり導かれてるのね……私」
穂乃果「どうして……どうしてこんなことするの……っ」
「あなた達の命に価値があるからよ――」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:26:55.22 ID:gtFhDy4Ho
―― 命の価値
彼女はそれについて小さなころから考えていた。
それは物心ついたころ両親を事故で失ったころに遡る。
彼女の両親は多忙を極め、仕事先から仕事先へ向かう途中の飛行機事故でこの世を去った。
残ったのは多額の遺産
それと引き換えに彼女は親の愛を永遠に受けることがきなくなった。
親の死を知ったのは報道番組。
ニュースキャスターが悲しそうに搭乗者数を読み上げていた。
その中の数字に親二人も含まれていることはまだ知らない。
知ったのは、そのあと。
名前が文字となって表れた時。
隣で彼女の世話をしていた家政婦が絶望の色を示す。
それを見て彼女は知った。
同姓同名の他人ではなく私の両親の名前なんだと。
嘘や悪戯で誰かが私を騙しているわけではない、現実なのだと。
名前が表示されたのはそれが最初で最後だった。
それからは死亡者数としてだけ報道されていった。
彼女は考えた。
名前から数字に変わった両親の命の価値について。
それから遠い親戚の叔父と叔母が彼女の家に住むことになった。
彼女はただ潰れていく時間の中で生きていく。
そして小学4年生のとき、彼女の中に魔物が生まれることになる。
クラスメイトの一人が誕生日なのでみんなでお金を出し合ってプレゼントを買おうということになった。
彼女は根が暗かったのでそれに誘われることはなかった。
だから、チャンスだと思いその集められたお金を盗むことにした。
みんなが困れば困るほど、誕生日の子の価値が上がるのだと思っていた。
実際にはその通りだった。
学級で問題になり、保護者を集めた説明会があり、日が経つにつれ騒ぎが大きくなっていった。
彼女は知った。
その子の命にはとても価値があるのだと。
担任の先生にお金を渡しに行く。
驚いていたが、お金を受け取り、この問題は解決してみせると言ってくれた。
彼女は安心した。
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:28:54.46 ID:gtFhDy4Ho
その日の放課後。
叔母と叔父に連れられ、繁華街を歩いているとき、担任の姿を見た。
渡した封筒を手にして歩いていた。
不思議に思った彼女は担任の行動を凝視した。
担任は自然な足取りで歩いて行き、ゴミ箱の前で止まった。
この問題を無かったことにする為、ゴミを捨てるかのように放り込んだ。
彼女は理解した。
誕生日の子には価値がないのだと。
この担任の先生にも価値がないのだと。
彼女の中に魔物が生まれた。
クラスではその事件は有耶無耶なままに忘れ去られていった。
その教師とは卒業まで目を合わすことはなかった。
卒業式の夜。
アルバムをめくっていく。
自分の写真が一枚しかないことを確認してゴミ捨て場に向かった。
小学校で過ごした時間とともに卒業アルバムを捨てた。
中学に上がるころ、叔父と叔母が田舎に帰ると伝えた。
彼女の面倒は見切れないと。
財産には手に付けていないから、それで生きて行けと。
広い家には彼女のみが住むことになった。
それが両親の遺したすべてだった。
それから1年、叔母が雇った家政婦が世話をしていたが、
ふと思い立ち、叔父に連絡する。
家を売り、お金だけが残る。
それで彼女は両親の命の価値を知った。
新しいマンションで暮らす最初の夜。
彼女は両親が死んで初めて泣いた。
それが中学2年生の冬だった。
中学卒業の夜、また同じように卒業アルバムを捨てた。
高校に入っても彼女は命の価値を考える。
それらの本を手当たり次第に読んだ。
哲学書は勿論、オカルト雑誌や犯罪に手を染めた宗教団体の本も読んだ。
それでも彼女は理解できずにいた。
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:31:46.71 ID:gtFhDy4Ho
そして、とある街で起こった悲惨な事件。
彼女の歳の近い学生が体をバラバラにして殺された。
この猟奇的な事件は一時的な報道で終わってしまった。
彼女は考える命の価値を。
ネット喫茶にて事件のあった地元の警察署へメールを作成する。
もう一度、あの事件を取り上げてほしいと、公表してほしいと。
そうしないとまた命が奪われることになると。
それは犯罪をほのめかすような文章だった。
警察に目を付けられる可能性を考えてネット喫茶を選んだ。
文章を書きあげて彼女は考える。
どうやってこの場を去ろうかと。
入店のときは適当な連絡先を筆跡を気を付けながら記入した。
だがお金のやりとりをする退店の時はそうはいかない。
考えあぐねているとき、事は起こった。
別の部屋で利用客同士のケンカが始まったのだ。
大声を張り上げ怒鳴りあって騒いでいる。
送信ボタンを押した彼女は少し多めの金額を支払い、
ケンカから逃げるよう振舞い、その場を後にした。
思えばそれが最初の導きだった。
高校の本だけでは彼女の知識欲は満たされなかった。
ならばと思い、本屋へとアルバイトを探した。
平均的な学力と平均的な生活をしていれば後々困ることは無いのだと思っていたからだ。
バイト先の店長は彼女の容姿を見て気に入り、採用する。
彼女はそれに気付いたが、すぐに期待外れに終わると理解していた。
自分の性格は自分がよく知っていたのだから。
そしてこれが二つ目の導きになる。
バイトから帰る途中、チンピラに絡まれた時。
彼女の人生は大きく揺さぶられることになる。
肩をゆらして歩く男に彼女は避けようとした。
だが、男は彼女にぶつかるようわざと歩いた。
彼女は謝るが男は聞かなかった。
口汚い言葉で彼女を罵る。
謝り続ける彼女の声に男は調子づいていった。
その時、彼女は思った。
この人間の命に価値はないのだと。
小さい頃から毎日欠かさずに読んでいる小説がある。
叔母が作ったご飯が冷めるほどに夢中になり
叔父が心配するほど夜が明けるまで読み続けた小説。
その物語に登場する生物の首を撥ねた剣をモチーフにしたナイフが彼女の手元にあった。
衝動買いした日から肌身離さず持ち歩いているナイフ。
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:34:11.68 ID:gtFhDy4Ho
その時、彼女に棲み着いていた魔物が顔を出す。
彼女は男を切りつけた。
価値のない人間は生きている意味がないと。
腕を切りつけられた男は彼女の表情を見て恐怖する。
その顔に感情が無かったからだ。
恐れや怒り、後悔や殺意など、男に向けられる感情は一つとしてなかったからだ。
あるのは死んで当然だから消えてくれという眼の意思だけ。
男は逃げた。
彼女はそれを見て近くのコンビニのトイレに入りナイフに付いた血を洗い流した。
理由は大切な物が汚されて嫌だったから。ただそれだけだった。
そして、なるべく人通りを避けて歩く中、背後から呼び止められる。
その人は警官だった。
いろいろと質問され、当たり障りなく答えていたが、
交番まで来てくれと催促されてしまう。
そこでまた魔物が蠢く。
無線で連絡しようとしている警官の背後に回り
ナイフをハンカチで持って躊躇なく刺した。
このとき、刺した彼に友人や恋人、家族との繋がりが視えたのなら、
彼女はその手を引いたのだろう。
しかし、彼女には一切の繋がりがない。
だからそれに気づけない。
そのせいで刺したナイフをもう一つ深く突き刺してしまう。
苦しそうな声を出して倒れる警官。
彼女はその瞳から光が失っていく様を見つめていた。
すると背後から呻き声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには少女の姿。
その向こうから悲鳴が上がり、彼女はその場を後にした。
血で染まった上着を脱ぎながら家路へとつく。
風呂に入りながら少女の顔を思い出していた。
切りつけた男でもなく、刺した警官でもなく、少女を思い出していた。
次の日、彼女は日常へと身を置いた。
それはもう二度と味わえないからと、最後に経験しておこうとそう思ったからだ。
しかし、いつまで経っても警察は迎えに来ない。
失ったナイフの代わりに手作りの人形を持ち歩くことにした。
名前を『アリス』と名付けた。
そのアリスに話しかけた。返事をくれたような気がした。
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:36:27.66 ID:gtFhDy4Ho
休日。
バイト先に犯行現場を目撃した少女が来店してきた。
彼女は警戒する。
ポケットに入れてあるもう一つのナイフを握りしめた。
友人と一緒だから、少女の命を奪い、その命の価値を教えてもらおうと思った。
そして自害する。それが彼女の人生の最後に相応しい結末だと考えていた。
だが、少女は彼女の顔を覚えていなかった。
アイドル雑誌を買って出て行った。
彼女は考えた。
そして答えに辿り着く。
自分自身の命にも価値が無いのだと。
少女の友人たちが話していたスクールアイドルという単語。
ネットで調べると簡単に詳細を知ることができた。
さらにこの地域の学校と含めて調べる。
すると少女たちの名前が判明した。
ライブ映像も全部見た。
彼女は確信した。
少女たち、
西木野真姫を含めた9人の命には価値があるのだと。
すると誰かが囁いた。
その価値をさらに高めるべきだと。
その声に従い、脅迫状を打ってプリントした。
封筒を用意しているとその紙が消えた。
その後、相手に届いたと知る。
同時に彼女自身に天使が憑いているのだと確信する。
見守ってくれているのだと、導かれているのだと、錯覚する。
それ以降、彼女は自分の世界が輝いたように感じていた。
西木野真姫との出会いが彼女の人生を大きく変えた。
彼女は考えた。
西木野真姫だけは生きていてほしいと。
真姫「…っ……ぐすっ……うわぁぁん」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:39:50.69 ID:gtFhDy4Ho
「ここで9つの命が絶たれ、私の行動の理由を知れば、去年の事件を思い出すことになる」
穂乃果「わけが分からない……やめて……やめてよ……おねがいだから!」
「そうでしょうね。分からないわよね。私たちと同じ年頃の子たちが殺されたってこと」
真姫「わぁぁぁんっ」
穂乃果「真姫……だいじょうぶだから……真姫…こっちを……ほのかを見てっ」
「やっぱり……関心なんて無いよね」
真姫「ほのっ……ほのかちゃん…ほのかちゃんっ」
穂乃果「まき……だいじょうぶだよ……わたしが付いてるから」
「真姫ちゃんを見逃してあげる」
穂乃果「……」
「そのかわり、あなたが身代わりになるのよ穂乃果」
真姫「ぅぅ……っ……ぐす……うぅぅっ」
穂乃果「……わかった」
「いらっしゃい、穂乃果」
穂乃果「……」
「そう、これでいいッ」
グイッ
穂乃果「……ッ……まきを、離してッ」
「それじゃ、解放してあげる」
真姫「うぅぅっ……ほのか……ちゃんを……はなしてっ……うぅぅ」
穂乃果「……こんなこと……して……いいと思ってるの……?」
「思ってない。人を殺すのだから……赦されないのは当然でしょ」
穂乃果「だったら……!」
「もう時間が無いからお喋りはおしまい。真姫ちゃん、こっちを見て」
真姫「うぁぁあん……ほの……っ……ほのかちゃぁんっ」
穂乃果「まき……ごめん……ごめんね……」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:44:19.47 ID:gtFhDy4Ho
「幼児化してるのは計算外だったけど……まぁいいか。ほら、これ飲んで」
穂乃果「むぐっ……!?」
「みんなも飲んだから、あなたも飲まなきゃ駄目よね」
穂乃果「ごくっ……ごく……っっ」
「真姫」
真姫「ほのかちゃんっ……ほのっちゃんっ」
「そうよ、ちゃんと見ててね」
穂乃果「や……いや……いや…だ……」
「今、あなたたちの――」
真姫「ほのかちゃんッ!」
「――物語が終わるから」
「ま……き……」
「ほのかちゃん!」
睡眠薬を無理に飲まされた穂乃果は薄れゆく意識の中で真姫を見る
穂乃果は心の中で強く強く願った。
真姫を助けて、と。
穂乃果の首にナイフを当てて彼女は確認する
真姫が穂乃果をちゃんと見ているのかどうか
「ァハハ」
彼女は嗤いながら涙を零した。
穂乃果から伝わる体温を感じたから。
それは人生で初めての温もりだったから。
だが、彼女は止まらない
8人と自分を殺して9つの犠牲を払うことで死んで失われた命の価値が高められると信じているのだから
彼女という異分子
それがこの事件の謎を深めていくことを彼女は計算していた
警察やマスコミが調べれば調べるほどに去年の犠牲になった学生の命
そして、高坂穂乃果を含めた8人の命の価値が高まると
そう信じているのだから
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 12:49:09.29 ID:gtFhDy4Ho
真姫は覚えていなければいけない
この瞬間を
穂乃果の命を奪う私の存在を
そしてこれから奪っていく様を
8人の命を1人の少女に背負わせる
それは苦しい人生になるだろう
だがそれは当然なのだと
価値ある命なのだから。
そう思いながら穂乃果の首に当てていたナイフを一気に引く――
「……ッッ」
「…………――ぅ」
「――――ぁ――?」
薄暗い廊下の中で羽が舞う
それは西木野真姫だけが視ることのできる世界――
「あい……ちゃんっ……たすけてッ!」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 13:05:30.66 ID:gtFhDy4Ho
――逢魔が時
昼から夜に移ろう時刻
太陽と月の光が生み出す曖昧な世界
その世界では人と魔物が遭遇しやすくなると云われている
常に隣にあった世界が混ざり合う
西木野真姫が視ているもう一つの世界――
(申し訳ありません、真姫様。遅れてしまいました)
少女が舞い降りる
ゴスロリの服を身にまとい、特徴ある髪型、幼くも整った顔立ち。
それは西洋人形をイメージさせる姿。
そして両腕で人形を抱える様が可憐な少女を思わせる。
しかし可憐なだけではなく恐ろしい姿でもあった。
頭に山羊の角が、背中には蝙蝠のような羽が生えている。
それは悪魔を彷彿とさせる姿でもあった。
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 13:07:41.55 ID:gtFhDy4Ho
――
クロス元の作品
なないろリンカネーション
https://www.youtube.com/watch?v=yOn5lttcPTY
――
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 13:16:30.25 ID:gtFhDy4Ho
「あいちゃんっ……ほのかちゃんをったすけてっ」
その姿を見ても怯まない真姫は叫んだ。
(この人が事件の犯人なのですね。……迂闊でした)
「ぁ――ぁぁ――」
穂乃果を抱える彼女は何が起こっているのか理解できていない。
身動きできないでいた。
悪魔の姿をした少女が、眠る穂乃果をゆっくりと引きはがす。
(校内に侵入してくるとは……。申し訳ありません、真姫様)
「うぁぁぁんっ……ほのかちゃんっほのかちゃぁぁんっ」
「…すぅ……」
傷一つなく真姫のところへ運ぶと大声をあげて泣いた。
(今、手錠を壊します)
人差し指で触るとそれが壊れた。
不安と恐怖でいっぱいだった真姫の心が穂乃果を抱きしめると安心してさらに泣いた。
「もう大丈夫だよ、だから泣かないで真姫ちゃん」
少女が抱えている人形が喋り、真姫に話しかけた。
「うんっ……うんっ……あり…がとう……ウーパちゃんっ」
「これくらいどうってことないさ。ね、アイリスちゃん」
人形が少女、アイリスに話しかけた。
(はい。危なかったですが穂乃果様の強い声が届きました。それに気づけて良かっ――)
笑顔で言いかけたところでアイリスの顔が廊下の向こうへと動いた。
「……?」
アイリスが視た方向へ真姫も視線を動かす。
すると
廊下の向こうから小さな足音が聞こえてきた。
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 13:21:01.78 ID:gtFhDy4Ho
(真姫様、早くこの場を離れてください)
「え……で、でも……っ」
「すぅ……すぅ」
寝ている穂乃果を抱えては移動することはできない。
その時。
「―――はぁっ、はぁ」
金縛りにあっていた彼女が動いた。
アイリスが彼女を縛っていた力が無理やり解除されたからだ。
(あれが、伊予様の対なる者……――疫病神)
廊下の奥から姿を現したのは少年だった。
中性的な顔立ちで英国の子供の服装を身にまとっている。
「そっちが出てくるのは、フェアじゃないよね。だからボクも干渉させてもらうよ」
子供の姿をした者が歩みながら言った。
(……あなたが、彼女を唆したのですか?)
アイリスが問う。
「これはテレパシー? 君は何者なの?」
(アイリスは、鬼です)
何度も何度も少年を縛り付けるよう力を使うアイリス
だが些細なことのように気にも止めずに歩いてくる少年
「ボクは手紙を届けただけ。ここまで来られたのは彼女の運さ」
(…………)
「……アリス……私は間違えているの……?」
状況が理解できない彼女が呆然とした顔でつぶやいていた。
「鬼か……そうか。……でもボクは疫病神じゃないよ。
あんなねっちりとした性格じゃないからね」
(……真姫様、早く逃げてください)
「で、でも……っ」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/27(火) 13:40:54.33 ID:gtFhDy4Ho
「9人をここへ集めたのは失敗だったね」
(いえ、人間相手では警察でも充分でした。
ですが得体のしれない存在から9人全員を守るにはここが最適だったのです)
「ふぅん、そうなんだ。とりあえず、ボク達は退場しようじゃないか」
そう言いながら少年は何も持っていない両手を振り上げた。
(え……?)
アイリスは相手を理解できないでいた。
だから何もできずにいた。
「ボクは死神さ」
振り上げた両手に大きな鎌が突如出現し
アイリスの上半身を刈るように振り下ろされた。
(……――!)
鎌はアイリスの体をすり抜けたが
アイリスの命は刈られてしまった
「――」
人形が両手から零れ落ち、
糸の切れた操り人形のようにアイリスは地面へと崩れ落ちた。
「あいちゃん――ッ!」
真姫は絶望を叫ぶ。
倒れたアイリスの瞳に光は無かった。
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 00:43:05.58 ID:mwOZ0t6Co
「……ここまで来て……どうして……止めるの……?」
混乱する彼女に死神が近寄る。
「もう邪魔するものはいないよ。さぁ立って、目的を完遂させよう」
「私は……後戻りできない……のに……」
死神が囁き続ける。
「君がここまで来たのはボクの力なんかじゃない。君自身の力さ」
「……どう……して」
「その制服を手に入いれたのも、この学校に今教師がいないのも君が知恵を絞ったからさ」
「……」
「もう誰も君を止められない」
「……うん」
「大丈夫。彼女たちの死は後で必ず意味を持つから。死神のボクがそう言うんだから」
「……そうか……わかった」
彼女は立ち上がる。
床に転がったナイフをもう一度手にして。
「9人じゃなくて、10人必要なんだね、アリス」
彼女は真姫を見る。
「あいちゃんっ、ほのかちゃんっ! おきてっ、おきてよぉ!!」
息をしていないアイリスを揺さぶる。
深い眠りに落ちた穂乃果を揺さぶる。
しかし二人とも起きることはなかった。
「フ……君がそういうならそれでいいさ。ボクが見守っているよ」
「……ごめんね……真姫」
彼女の目に悲しみの色が映る。
「ほのちゃん〜〜っ! あいちゃん〜〜! うわぁぁぁああん!」
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 00:44:29.55 ID:mwOZ0t6Co
「本当は生きていて欲しかったんだけど……ごめんなさい」
大粒の涙を流して泣き続ける真姫の前に彼女は膝をついて心から謝る。
「ひっ――!」
その姿を見た真姫は凍り付いた
「すぐにみんなも真姫の元に送るから……ね」
真姫の頬に手を当て罪の赦しを請う。
しかし真姫の目に映るのはただの化け物でしかなかった。
「ごめんね――真姫――」
ナイフを引いた彼女は泣いた
独りになったあの夜に泣いて以来泣くことはなかったのに
真姫の前で二度も泣いた
それを見た真姫は
「……」
しずかに彼女をみつめた
「……」
そのまっすぐな目を見た彼女はナイフを引いたまま硬直する
「……っ」
「どうしたの?」
彼女は真姫に問う
「どうして……ぐすっ……ないてる……の……?」
真姫は問いかける
彼女自身分からない答えを
「これから殺される相手に心を開いてはダメ」
真姫の喉元へとナイフが一直線に襲い掛かる
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 00:48:41.84 ID:mwOZ0t6Co
「うぅ――」
「――ぅ――ぁ――また――?」
彼女と真姫の体が縛られ身動きを封じられた
「また君か」
床に倒れるアイリスを見下ろして死神が言った
「――」
死の淵にあるアイリスが最後の力でこの場にいる人間の動きを止めている
「……」
死神はもう一度鎌を振り上げた
今度こそ息の根を止めようと
「……?」
廊下の向こうから何かを感じた
それは死神がこの世に生まれて初めての感覚
猛獣から発せられるような殺気が死神に襲い掛かる
「……なんだろう?」
4つの足で移動してくるナニカが居る――
そう気づいた時にはソレは死神に飛びかかっていた
「オラァァァアアアアッッ!!!!」
勢いをそのままに死神の顔を蹴り飛ばす
「うっ――!?」
死神は数メートル吹き飛ばされる
その衝撃で周りの窓ガラスが粉砕した
「うぁっ――!?」
真姫に襲い掛かる彼女もそれに巻き込まれ2メートルほど飛ばされた
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 00:52:29.34 ID:mwOZ0t6Co
寝ている穂乃果の髪が激しく揺れる
死が迫っていた真姫は横に倒される
「…………」
「ぁ……ぅ……ぅ……」
死神を蹴り飛ばした者の姿を視た
短いスカートの着物を身にまとい、頭には猫耳が付いていた
「一遍死ぬかガキィィイイ!!」
愛嬌ある姿には不釣り合いな形相で怒鳴り上げている
「葵――、人命救助が先だ――!」
遠くから男の声が聞こえた
「…………」
横たわる真姫
その心は限界に近づいている
何度も殺されかけ、何度も大切な人の命を奪われかけた
恐怖と絶望を何度も繰り返し疲弊していた
「……」
呆然と座り込む彼女もまた限界にあった
命を奪おうとする度に止められている
何度も覚悟していた先へと進めず混乱もしていた
導かれてここまで来たのに、寸前のところで止められていたからだ
「ご主人! アイリス息してない!!」
うつ伏せに倒れるアイリスを確認した猫耳の少女が叫んだ
「はぁっ……はぁ……っ……アイリス!」
息を切らして駆け付けた男の名前は、加賀見真
加賀見家第八代当主
鬼を使役する特殊な家に生まれた真は3人の鬼を従えている
長女、葵
次女、芙蓉
三女、アイリス
それぞれが特殊な力を持ち、主である真のお役目の力になっている
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 00:55:23.97 ID:mwOZ0t6Co
「……ぐッ……うがぁぁあッ――」
アイリスの側まで駆け寄ると用意していたカッターで手首を切って血を流した
鬼は日常生活の中で枷を付けて生活している
本来の力を抑えていなければ主である人間に危害を与えてしまう為だ
その枷を外すには主である真の血が必要だった
「……やばい、逃げようご主人」
仰向けに倒れている死神を見て呟く葵
「アイリス……起きるんだっ、アイリスッ!」
流れ落ちた血はなにも変化なくアイリスの顔を汚すだけだった
「…………」
真姫はぼんやりとする意識の中でその光景を眺めていた
「ダメだッ、死んじゃダメだアイリス!!」
以前、病室で会った時、言っていたことを思い出す
アイリスには大事な人がいると
それを聞いた真姫は羨ましく思った
それがこの人なのかな、と真姫は思った
「――あい…ちゃん……」
掠れた声で名前を呼んだ
「――……」
すると突然、床に転がっていた人形が形を変えた
小さな人形が大トカゲの姿へと変化する
真から流れていた血がアイリスの口へと移動を始めていた
「アイリス……!」
垂れ流れる血が全て横たわるアイリスの口へと向かっていく
それは異様な光景だった
「ご主人! 逃げよう!!」
葵が叫ぶ
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 00:58:58.69 ID:mwOZ0t6Co
「……ふぅ……ふぅ…っ」
血が流れるごとに本人の顔が青くなっていく
真は辺りを見まわした
寝てはいるが呼吸をしている穂乃果
うっすらと目を開けてこっちをみている真姫
そして
項垂れるようにして座る、彼女の姿を
「逃げ……ない……ぞ」
葵に答えた真はアイリスの変化を視る
服装が変わり角が更に大きく膨れ上がっていた
人形から変化した大トカゲの目が6つになり、アイリスの肩に自らの意思で登った
枷を外すことができた
それは鬼本来の力が宿っていることになる
ゆっくりと体を起こし立ち上がった
(ありがとうございます。マスター)
アイリスは死の淵から蘇った
「はぁ……はぁぁ……結構疲れたけどな……」
苦笑いで応える真
大量の血をアイリスに注ぎ込んだため、立ち上がれない
「真様すぐに止血を!」
「あ、あぁ……ありがとう」
少し遅れて駆け付けた着物姿の芙蓉が真の傷の手当を行う
「ア……アイリスちゃん……?」
異様な姿をしたアイリスを見て少し動揺する伏見梓も姿を現した
「ご主人! 逃げようってば! アイツやばい!」
葵が指さした場所に死神は立っていた
鬼である葵に全力で顔を蹴られたのにも関わらず無傷だった
吹っ飛ばされて廊下を転がったのに埃一つついていない
「…………」
その姿に葵と芙蓉は危険な気配を肌で感じていた
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:01:17.93 ID:mwOZ0t6Co
「やばいって、ご主人……!」
「なんて……気配でしょう……」
「アイリス……状況……分かるか?」
(はい。そこで座っている人が犯人です)
「えっ、この子が……!? 学校の制服着てるってことは……」
驚いた梓はすぐに答えを導き出す
「そうか……置き引きの被害者の服……!」
(真姫様と穂乃果様のご友人はこのドアの向こうで眠らされています)
アイリスは死神に視線を向けたまま報告する
「何人いるんだ?」
(7人です)
「……そうか。……葵、逃げるのはやっぱり不可能だ」
あきらめた声で真は言った。
「あたしがご主人を抱えるから!」
「ダメだ。……それに、もうあんな思いを誰にもさせたくない」
その言葉にアイリス、葵、芙蓉、梓の4人は沈黙する
「梓さんだけでも……」
「冗談。犯人を前に逃げられますかって」
梓は勇ましく真に返す
「……で、あれはなんだ。座敷わらしの対なる者って……やっぱり疫病神なのか?」
(いえ、死神です)
「「 うわぁ…… 」」
アイリスの回答に真と梓は軽く絶望した
「…………」
その死神は黙ったまま動かない
それが不気味さを増していた
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:03:33.93 ID:mwOZ0t6Co
「追い掃うことはできるか、アイリス」
(アイリスだけでは不可能かと……)
「ご主人、あたしにも血を……枷を外させて!」
「そうだな……芙蓉も一緒に……それしか」
「ダメです真様! それ以上血を失っては真様の命に危険が……!」
真が鬼と解決策を論じている間、梓は穂乃果と真姫の様子を観る
「……穂乃果ちゃんには傷もないみたい。ひとまず安心かな」
「すぅ……すぅ」
「あとは……西木野さん?」
「……」
梓の呼びかけに真姫は応えない
じっと横たわった状態で虚空を見つめていた
「いけない、早く病院へ――」
真が警告する
「梓さん、動かないで!」
「え――?」
声のした方へ視線を向けると、死神が鎌を手に歩みだしていた
(葵お姉さま、芙蓉お姉さま、アイリスの後ろに)
「じゃ、遠慮なく〜」
「葵姉さん! 妹の背中に隠れるなんて!」
「いや無理っしょ。死神とか無理っしょ!」
「さっき蹴り飛ばしてたじゃないか、もう一度やってみせてくれ」
「ひっで! ご主人ひっで!! 鎌持ってる死神にもう一度って!?」
「やっぱムリだよな……冗談だって……」
いつもの調子で会話している鬼たちを見て、死神は語り掛ける
「時間が無いんだ、皆殺しで行くよ」
なぜか理解できないといった表情をしている死神が鎌を振り上げながら近づいてくる
振り下ろした時、誰かが死ぬという理屈はアイリスだけじゃなく、他の者も理解していた
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:05:41.54 ID:mwOZ0t6Co
(……――!)
アイリスは全力で死神の動きを封じ込める
「…………」
死神は蜘蛛の巣を振り払うような動きを見せて力を跳ね返した
それを見た真が叫ぶ
「梓さん! 芙蓉! 葵! 三人を外へ連れて行ってくれ!」
「ですが真様……!」
「だってご主人! こいつ犯人じゃん!」
死神は動きを止めた
「……」
あとは振り下ろすだけ
「お役目は人を裁くことじゃないって言われてるだろ葵! 急げ!」
「き、聞けない……! ご主人が何より大事だから!!」
「私もです、真様!」
真の前に立つ葵と芙蓉
(マスター……)
枷を外したとはいえアイリスだけでは止められない
ならば――
「……ッ」
芙蓉が巻いた血の滲んだ包帯を解く
傷口を開くように力を込める真
葵と芙蓉の枷を外すしか他に方法がなかった
「…………」
その真を見て、梓が真姫と穂乃果を守るように前に立つ
その時――
この場にいる誰もが予想だにしない出来事が起こった
ガチャリ
音を立ててアイドル研究部のドアノブが回った
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:08:21.06 ID:mwOZ0t6Co
「え……?」
「なに……?」
全員の視線がそこへ集まる
ゆっくりと回ったドアノブが部室のドアを開かせる
アイリスの報告では寝ている人しかいない部屋のはずだった
(…………)
羽を飛ばしてドアの向こうにいる者の正体を探るアイリス
「……」
死神は黙って出てくる人物を見定めようとしていた
「……ぅ……ぅぅ」
左手を床につき姿勢を低くして現れたのは――
「え…り……ちゃん……」
絢瀬絵里の姿を確認し、誰よりも早く声を上げたのは真姫だった
「ぇ……?」
頭を押さえ狭い視野で声のした方へ目を向ける
真姫が壁にもたれて座っていた
穂乃果が床に横になって寝ていた
二人を確認した後、もう一人の人物を見た
それは真だった
「あなた……!」
怒りを沸かせ頼りない足で真に近づく絵里
そして、
「―――ッ!」
パァンと頬をたたいた
「ぇ……?」
真は呆然とする
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:10:26.61 ID:mwOZ0t6Co
「わたしの……大切な人たちに――」
と言いかけたところで倒れそうになる
「あ、絢瀬さんっ」
それを梓が抱きとめた
「ゆる……さな……いっ」
梓の腕の中で怒りを露にする
その時、梓は気付いた
絵里の手の甲に何か尖ったもので刺された傷跡を
「ご主人、犯人に間違われてない?」
「みたいですね……」
(あ……はい、そのようです)
「またかよ!?」
その一部始終を見ていた死神が呟いた
「そうか。……なるほど」
(え……?)
アイリスが死神を見返した時、もうその場にソレは居なかった
「あ、ご主人! あの野郎いなくなってる!」
「……あ、あ? どこに行った?」
(どうやら諦めたようです)
「……よく分からないけど……みんな助かったってこと?」
(はい。死神にもなにかしらの規則があるようでした。
自ら穂乃果様や真姫様の命は奪わないでいましたから)
「ふぅ……そうか……」
「……」
そのやり取りを聞いた梓は再び眠りについた絵里を壁に持たれさせ
全員の確認を行うため、部室に入った
「アリス……私は……結局なにも……」
項垂れた彼女は抜け殻になっていた
真が姿を現したことですでに計画は崩れていたのだから
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:11:44.74 ID:mwOZ0t6Co
そして、アイリスは意識が薄れゆく真姫の前に座った
(真姫様……聞こえますか……?)
「……」
真姫は応えなかったが、瞳はアイリスを捉えていた
(全部終わりましたよ)
「…………」
その声に真姫は薄く笑った
そして、口を動かした
「――……」
声にならない真姫の声
だが、アイリスだけは聞こえていた
心の声に耳を傾けるアイリスの能力
出会った時からアイリスは真姫の声を聞いていた
苦しそうな声、悲しそうな声、辛くどうにもならない声
鬼であるアイリスはその声にどうすることもできない
気持ちを理解し同情することもなかった
だけど、穂乃果が真姫の心を開いた時
アイリスは不思議と嬉しく感じた
それを主である真に伝えると
友達になれるんじゃないかと言われた
鬼であるアイリスと人間である真姫の間でそれはあり得ない繋がりだった
それは不可能だとアイリス自身が思っていた
その必要も感じてはいなかった
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:13:48.93 ID:mwOZ0t6Co
しかし、2度目に病室を訪れた時
真姫はアイリスの姿をらくがき帳に描いていた
それを見せてくれた時、嬉しいと思った
だから、話をしたいと思った
だけど、何を話していいのか分からないアイリスは黙ったまま真姫の前に立っていた
すると、真姫は聞いてきた
その人形はなに? と
それから二人は会話をするようになった
真に報告すると
友達になれたんだなと嬉しそうに言ってくれた
嬉しそうな真を見ると嬉しくなった
家族はいるけど、友達のいなかったアイリスの心は喜びに満ち溢れた
その友達を傷つけてしまった時
アイリスは深く落ち込んだ
真姫の友人を金縛りで縛った時、真姫に怒られたから
主である真の身を優先させるため本能でやったこと
それゆえにアイリスは心で割り切れるはずだったが、なぜか簡単には割り切れなかった
友人の真姫より主である真が大切なのは揺るがない
だから、真姫と友人であったことを切り捨てるつもりでいた
だが、主は仲直りして来いと兄のように言ってきたのだった
ただ人形を届けるだけ
それだけのはずだった
高坂家に着いて、玄関の前に置こうとした時、真姫が現れた
置くのを止めて、手渡しすると
真姫はとても喜んでくれた
その顔を見てアイリスは友人を守りたいと思った
だからこそ犯人の殺意を止め、
死の淵にあった意識の中でも力を振り絞ることが出来た
真姫の声で息を吹き返すことが出来た
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 01:14:58.46 ID:mwOZ0t6Co
真の命令ではなくアイリス自身の意思で真姫を守れたことが嬉しかった
(真姫様……聞こえますか……?)
「……」
真姫は応えなかったが、瞳はアイリスを捉えていた
(全部終わりましたよ)
「…………」
その声に真姫は薄く笑った
そして、口を動かした
「――……」
ありがとう
真姫はそう言って、深い深い眠りに落ちた
(……真姫様……寝てしまったのですか?)
「――」
真姫は応えなかった
それから
眠った彼女たちが目を覚ましたのは、
日にちが替わって昼を過ぎたころだった。
……
…
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/06/29(木) 13:08:31.70 ID:mwOZ0t6Co
―― 病室
ガバッ
穂乃果「――ハッ」
穂乃果「夢!?」
穂乃果「なぁんだ〜」
雪穂「夢じゃないよ!」
穂乃果「うわっ、びっくりした……」
雪穂「もう! びっくりしたのはこっちだよお姉ちゃん!」
穂乃果「ゆ、雪穂……大声出さないで……」
雪穂「あ……ご、ごめん……」
穂乃果「うぅ……頭がボーっとする」
雪穂「……どこか痛いところとかない?」
穂乃果「……うん、大丈夫みたい。ここはどこ?」
雪穂「病院。西木野病院だよ」
穂乃果「……あ、あ――!!」
雪穂「?」
穂乃果「み、みんなは!? どうなったの!?」
雪穂「お、落ち着いてお姉ちゃん」
穂乃果「ねぇ、どうなったの!?」
雪穂「え、……みんなって、海未さんたちのことだよね?」
穂乃果「う、うん……」
雪穂「みんなもここに運ばれてるよ」
穂乃果「そっか……それで、みんな大丈夫なの?」
雪穂「まだ寝てるみたいだけど……」
穂乃果「……」
ガチャッ
母「穂乃果……?」
穂乃果「……あ、お母さん」
タッタッタ
ガバッ
母「穂乃果――!」
穂乃果「お、お母さん……!」
ぎゅうう
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