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梨子「歩こう、一緒に」
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48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/11(日) 00:28:59.96 ID:K+qRyHp5O
梨子「答えて…答えてよ………」
善子「………さい」
梨子「えっ?よっちゃ「うるさい!!!」
善子「なに?入院してからもう1ヶ月半よ?それで今の私の状態がわかる?確かに最初よりは身体は動くようになったわ!」
善子「けど、どれだけリハビリしても歩ける気がしない!物を満足に掴めない!ご飯も補助無しじゃ食べれない!」
善子「それだけじゃない!身体が麻痺してるから尿意だって分かりづらい!別に恥ずかしいとか悔しいとかは最初はあったわ!」
善子「でも、今は自分がみじめでしかないの!わかる?わかるわけないでしょ!?もういっそ楽になりたいの!」
善子「リリーは私のこと好きなんでしょ?だったら私を楽にしてよ!殺してよ!………ころしな」
バチンッ!
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/06/11(日) 00:29:38.57 ID:K+qRyHp5O
梨子「はぁっ…!はぁっ…!」
善子「なに?これ以上私を苦しめる気?いい加減に「ふざけるな!!!」………!?」
梨子「はぁっ…!いい加減にするのはいったいどっちなのよ!楽になりたい?死にたい?バカ言わないでよ!!!」
梨子「『0』から『1』へ…!これが私たちのルーツでしょ!?1歩進めたなら2歩目、3歩目と進まなきゃダメでしょ!?」
梨子「『1』で終わりじゃないの!足踏みするだけじゃダメなの!ましてや…!くっ…」
善子「………」
梨子「踏み出したせっかくの『1』歩を…無駄にするようなことは………やめて、やめてよぉ………よっちゃん…!」
善子「リリー…」
少し抵抗していたよっちゃんの動きが止まる。
そして、私は言葉を続けた。
梨子「確かによっちゃんが今どんなに不自由でどんな思いを持っているかはわからない。私たちのふとした言動がよっちゃんを苦しめることになるかもしれない」
梨子「できない、辛い、苦しい…だからってそこで逃げようっていうのは間違ってる」
梨子「先を見すぎちゃダメ!………ダメなんだよ?」
善子「先を見すぎちゃ…ダメ………」
梨子「鞠莉さんが言ってたんだけどね?…」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:30:27.77 ID:K+qRyHp5O
__
_____
________
梨子『鞠莉さん?そういえばなんでAqoursの存続に反対だったんですか?』
鞠莉『………聞きたい?』
梨子『鞠莉さんが良ければ…』
鞠莉『………私はね、将来っていうワードが嫌いなの!体験談だけど、知っているわよね?』
梨子『はい、一応』
鞠莉『将来ってゴール…?違うわよね。ゴールっていうのは元々ある明確な目標のこと!』
鞠莉『将来は幾重にも枝分かれするわ。昔はお花屋さんになりたいっていうcuteな夢も次第に現実的なものへと変化していく…』
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:31:05.96 ID:K+qRyHp5O
鞠莉『ひどい質問かもしれないけど…梨子はちっちゃい頃に描いた未来図はちゃんと歩めてる?』
梨子『いいえ…鞠莉さんの言ってたように今はまだ何もわからない状態です』
鞠莉『いとしのよっちゃんはあんな状態だしね?』
梨子『もう!不謹慎ですよ!』
鞠莉『ごめんごめん!………マルが言ってたように居場所を残すことも大切。でも、戻る本人の善子が余計に苦しむ姿なんて見たくなかったの…』
鞠莉『私も留学してからダイヤと果南のことを想ってたけど、届かない想いに苛立ったり苦しんだりしたもの…』
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:31:35.75 ID:K+qRyHp5O
鞠莉『だから私は決めたの!戻ってきたらやり直すって!一気に元の関係になんて高望みしない!少しずつでも着実に進もうって!』
鞠莉『約束された将来?そんなのこれっぽっちもないんだから!』
梨子『鞠莉さん…』
鞠莉『それに面白くないじゃない?勝つか負けるか、とことん勝負!ショートカットなんてナンセンス!』
鞠莉『いきなり壁が現れて回り道するかもしれない、面白そうなことがあったら寄り道するかもしれない。でも、それってとってもシャイニーなことよ!』
鞠莉『自分の時間は自分だけのものだもの!だったら私は、欲張って欲張って欲張り続けるわ!たどり着いたらおしまいなんて、こっちからお断りなんだから!』
梨子『鞠莉さん…!そうですね!その通りだとおもいま………わぶっ!?//』
鞠莉『それにこんなに可愛いsisterが二人もいるんだもの!どっちもおんなじくらいラブなんだから!』
梨子『も〜う!鞠莉さ〜ん!///』
________
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53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:32:17.43 ID:K+qRyHp5O
梨子「………ってね、すごいよ、私たちの『お姉ちゃん』はさ」
善子「………ほんとにね、うるさいくせにいっつも元気で明るくてさ」
梨子「………あ!ほら見て?」
マリー:ちゃお〜♪梨子、今日は一人で行かせてごめんね…
マリー:でも!もし、善子がバカなこと言い始めたら呼びなさい!ヘリでも車でも舟でもとばして行くからね♪
マリー:バチ当たりな堕天使を成敗するためにお姉ちゃんが馳せ参じるわ!かしこ!
梨子「ほんとに、鞠莉さんには敵わないや」
善子「………なによ、ほんと!気づいてないフリして察してたんじゃない…ほんとバカマリー…マリー………ごめん、ごめんね」
ガララッ
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:32:56.62 ID:K+qRyHp5O
鞠莉「呼ばれて飛び出てシャイニーー☆ミ」
よしりこ「!?」
善子「ま、マリー!?」
梨子「仕事あるからって…」
鞠莉「確かにあったから一緒に行けないとは言ったわ!でも、ここに来れないとは一言も言ってないわ!」
梨子「そんな横暴な…」
鞠莉「それより………善子?」
善子「………は、はい」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:33:35.43 ID:K+qRyHp5O
鞠莉「よくもまあバカなことをしようとしたわね?ドア開けようとしたら殺せ!とか中から聞こえてくるし………ね?」
善子「あ、いや、その…」
鞠莉「さすがに私も激おこぷんぷんマリーだったけど、その後すぐにふざけるな!!!だもん!梨子もあんな口調になるのね!びっくりしちゃったわ!」
梨子「あの時は無我夢中で…」
鞠莉「と・に・か・く!バカなことしようとしたこの左手には…!うりゃうりゃうりゃー!」
善子「痛い!痛いって!強くにぎり過ぎ………って、痛い!?」
梨子「首辺りならともかく手が痛いなんて…それって…!」
鞠莉「善子!」
善子「わっ!?//」
鞠莉「さっき梨子が話してたでしょ?一気にあれがしたいって考えなくていいの。小さな変化でいい。左手だけ、指だけ、薬指だけ、その第一関節だけ。少しずつでいいから焦らずに…」
善子「………うん、わかった」
鞠莉「よしよし♪」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:34:43.44 ID:K+qRyHp5O
梨子「良かった…、ってあれ?なんで親指や小指とかじゃなくて薬指なの?」
鞠莉「えっ?だってあなたたち相思相愛なんでしょ?だったらengage ringをはめる場所を優先的に…」
よしりこ「なっ!?///」
梨子「け、結婚指輪とかそんな…!//それに私たちはまだ!それにそれに…///」
鞠莉「にゅふ♪あちゃ〜マリー失敗!気が早すぎたか!てへぺろ♪梨子ちゃんはそこまで考えてるのかしら〜?」
梨子「わざと………鞠莉さん!//」
鞠莉「怒らない、怒らな〜い♪ほら、ヨハネはなんで黙ってるのかしら………ってあら〜?」
善子「///」
梨子「よ、よっちゃん!?」
善子「わ、悪い!?//ちょっと先のことを想像しちゃっただけよ!///」
梨子「え?でも、ゴールは急がないって…いや!//今のなしなしなし!///」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:35:26.85 ID:K+qRyHp5O
善子「………ねぇ、マリー?その将来が不確定じゃなく『確実』かつ自分が『望む』なら大丈夫よね?」
鞠莉「う〜ん………マリー難しいことわからないな〜?」
梨子「さっきまで良いこと言ってたじゃん!」
鞠莉「ま!二人が幸せになれるなら私はなんでも構わないわ♪あなたたちの人生だもの!」
善子「ありがと…じゃあ」
善子「リリーと大事な話があるからマリーは出ていってくださ「拒否します!」………反応はやっ!」
鞠莉「別に二人の邪魔をしようって訳じゃないわ!ただ、聞きたいの…二人の気持ちを!」
梨子「鞠莉さん…」
鞠莉「あ、あと梨子?さんって言うのと敬語使うのは今後NGね?はい、Call me!」
梨子「え、ええ!?………ま、鞠莉ちゃん…//」
鞠莉「オッケーよ!梨子!」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:35:59.98 ID:K+qRyHp5O
善子「もう……リリー?」
梨子「うん、よっちゃん」
善子「あの時は返事をできなくてごめん!なんにもできない私はただの荷物になるだけだと思ったから…」
善子「でも、今ははっきり言える!私、津島善子はあなたのことが…『好き』」
梨子「よっちゃん…!」
善子「でも!」
善子「本当のスタートは待ってくれない?ゴールじゃなくスタート地点に立つために…」
善子「一つ一つ着実に準備して、あなたと歩き出すために…ね?」
梨子「うん…!歩こう、一緒に!それまでは私も焦らない!一緒に1歩ずつ進もう、よっちゃん!」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:36:38.35 ID:K+qRyHp5O
鞠莉「ん〜!Wonderful!がんばっ………て!」
梨子「ちょ、鞠莉ちゃんいきなり押さな…」
善子「リリー、ストッ…」
チュッ?
よしりこ「………」
よしりこ「/////////」
鞠莉「Oh…、万事解決シャイニー☆」
よしりこ「バカマリーーー!!!///」
私の初めてキスはなんとも場違いな場所で
だけど、甘酸っぱい……
『罪作りなキス』だった…。
それからのよっちゃんは
ほんの少しずつだけど
身体を動かせるようになっていった。
そんなよっちゃんを後押しする
ある人との出会いがありました。
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:37:12.22 ID:K+qRyHp5O
よっちゃんが入院してから半年。
鞠莉ちゃんたちも卒業の時期になった。
ラブライブ!は………。
でも、私たちの頑張りは無駄にはならず
廃校も免れました。
病院の前には少し早い桜が咲き
それを見に外に3人で出ていた。
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:38:16.21 ID:K+qRyHp5O
善子「う〜ん!いつもごめんね、リリー?車椅子押させちゃって…」
梨子「別に平気だよ〜♪それに鞠莉ちゃんには任せられないし…」
鞠莉「What!?なんでよ!」
梨子「だって鞠莉ちゃん車椅子を全速力で押しちゃうじゃない!」
善子「あの時はほんとに死ぬかと思ったわ…」
鞠莉「風を感じて欲しくて…」
よしりこ「ギルティー!」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:38:53.05 ID:K+qRyHp5O
梨子「そんな人にはよっちゃんの車椅子は任せられません!」
善子「ほんとにリリーがいて良かった…」
鞠莉「むぅ…、ってあら?」
梨子「ん?どうしたの?」
鞠莉「なんか聞こえるような…」
善子「え?ん〜…」
〜♪
梨子「これは…ピアノの音?」
鞠莉「広場の方から聞こえるわ!行ってみましょう!」
梨子「ちょ!?よっちゃんいるんだから…って行っちゃった…」
善子「ほんとマリーは…ま、私たちも行きますか!ゆっくりとね?」
梨子「うん♪」
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:39:35.41 ID:K+qRyHp5O
近づいていくごとにピアノの音が
はっきりしていく。
決して上手とは言えないその響きだけど
なにか強い意志を感じた。
梨子「もう、鞠莉ちゃん?勝手に行かないでよ!」
鞠莉「………」
善子「ちょっとマリー?お〜い?」
鞠莉「嘘…、あの人って…」
梨子「え?」
確認しようと前を向こうとした時
ふと、優しい風と『青』に包まれた…
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:40:33.23 ID:K+qRyHp5O
〜♪
「君よ咲いて、熱い希望の果て、旅立つこの定めよ〜♪輝きは風の彼方〜♪………」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:41:14.55 ID:K+qRyHp5O
海のような綺麗な青く長い髪を束ねた
サイドテールをなびかせて彼女は歌っていた。
そう彼女は………。
梨子「μ´sの…園田海未さん…!」
海未「………そして私たちは語り合う〜♪再び会えた時は〜♪変わるはずでしょう〜?新しいふた〜りに〜♪」
〜♪
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:41:51.25 ID:K+qRyHp5O
海未「ふぅ…ありがとうございました!」
パチパチパチ………!
善子「あの人が…!」
鞠莉「伝説のμ´sの一人…!」
梨子「でも、なんでこんなところに…?」
海未「ありがとうございました〜………あ!」
善子「え?」
私たちを見つけるとすぐに近づいてきた。
海未「やっと…やっとお会いできました!」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:42:31.31 ID:K+qRyHp5O
梨子「え?私たちのことを知っているんですか?」
海未「もちろんです!特に…津島善子さん!」
善子「わ、私!?」
海未「あなたに会うために私はここに来たんですよ?」
鞠莉「いったいどういうこと…?」
海未「うふふ♪立ち話もなんですし、あちらのベンチに座ってお話しましょうか!」
海未さんにそう言われて私たちは
近くのベンチに移動した。
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:43:09.99 ID:K+qRyHp5O
海未「さて!改めまして、私はご存じの通り、元μ´sの園田海未です!よろしくお願いいたします!」
梨子「こ、こちらこそ!」
鞠莉「ちゃお〜♪こちらこそよろしく〜♪Ms.海未〜!」
善子「ちょ、バカ!慣れ慣れしすぎでしょ!」
海未「構いませんよ!確か、絵里と違ってハーフで去年まで外国にいたんですよね?多少のことは大丈夫ですよ!」
梨子「すみません…早速で悪いんですけどなぜ私たちに会いに?」
善子「それも今の私なんかに…」
海未「いいえ、今のあなただから会いに来たのですよ!………善子!」
よしりこまり「え…?」
それから海未さんは話始めた。
彼女がなぜここに来たのか。
歌っていたのかを。
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:43:49.91 ID:K+qRyHp5O
海未「私はμ´sが解散してからもスクールアイドルとして過ごし高校を卒業しました。私の高校生活はあの9人、そして大切な二人の幼馴染みのおかげでそれは最高な3年間だったと断言できます」
海未「しかし、大学に入って数ヶ月たった日、交通事故にあいました。私もその時から味わってきたんです。あなたと同じ思いを、痛みを」
善子「海未さんも…」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:44:42.99 ID:K+qRyHp5O
海未「今までは当たり前にできたことができない苛立ち、優しく気遣ってくれる方の気持ちの重み、耐えきれずに楽になりたい…と思ったこともありました。ですが私の二人の幼馴染みはこう言ったんです…」
『海未ちゃん!次は何がしたい?』
『海未ちゃんがしたいことならな〜んでも手伝っちゃうよ♪』
海未「あまり動けない私に『何がしたい?』ですよ?まるで、次の遊びを考えるみたいに。思わず、その時私は吹き出してしまいましたが、同時に納得してしまったんです、そうかそんなことからでいいんだって…」
梨子「鞠莉ちゃんの言ってたことに似てる…」
鞠莉「えっへん♪」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:45:21.76 ID:K+qRyHp5O
海未「うふふ♪………それから私は色々挑戦しては失敗しました。以前の私なら簡単にできたことができないというのは来るものがありましたが、とにかくなんでもしました」
海未「そんな時です、転機が訪れたのは。知り合いの病院にお世話になっていたのですが…、と言っても察すると思いますが真姫のことです。彼女は時々子どもたちにピアノを聴かせてあげる習慣があったんです」
海未「私たち3人も演奏を聴いていたのですが、すると突然…」
『これだ………!海未ちゃん!歌!歌だよ!………真姫ちゃ〜ん!………』
『なるほど!私、海未ちゃんの歌声って大好き!優しく包んでくれるみたいな感じで安心するんだ♪』
海未「ほんとに………それから私は歌うために頑張り始めました。最初はピアニカからでした。指のリハビリと共に肺活量の強化というこれ以上ない方法でした」
海未「そのリハビリを半年以上かけてゆっくりではありますが1曲弾けるほどにはなりました。歌は以前の時と変わらないところまで回復しました」
海未「そして、真姫に伴奏するから子どもたちに歌ってあげてほしいと頼まれました。童謡を子どもたちと一緒に歌い、歌うことの大切さを再び感じました」
海未「最後の歌を、とそう思っていたら予定とは違う、しかし私には馴染みのあるメロディーが流れてきて…私は自然と歌い出しました…」
海未さんは目を閉じ大きく息を吸い込み…
海未「〜♪」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:45:57.24 ID:K+qRyHp5O
海未「………ふぅ、って皆さん!?」
善子「あれ?あれ…?」
梨子「涙が…」
鞠莉「うぅ…卑怯よ、こんなの…」
私たちは歌声と海未さんの想いを感じ
自然と涙が出てしまった…
少し戸惑った海未さんもすぐに言葉を続けた。
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:46:34.99 ID:K+qRyHp5O
海未「つまり、こういうことです。その時最後にこの歌を歌いきったあとは子どもたちだけじゃなく、他の人も、看護士さんも、真姫も…そして、私の大切な人たちも手を叩いてくれたんです。中にはあなたたちのように泣いてくれている方もいました」
海未「その光景に私は思わず声を出して泣いてしまいました。たくさんの人に感謝の言葉や感想をいただきました」
海未「歌ってすごいなぁって…知らない人とでも想いを繋げることができる。こんな私の歌で元気を分けてあげられるなら…とその時強く思いました」
海未「あとはご覧の通りです。激しい運動などはできませんが、日常生活で困ることはないほどに回復しました」
海未「そして、全国の病院や被災地などで歌を届ける今のような姿になりました。あなたたちを知ったのは先日のラブライブ!の大会です」
海未「プロフィールや経歴なども見せてもらい、いてもたってもいられずに来た次第です。これで私の話はおしまいです………善子?」
善子「ぐすっ………、は、はい!」
海未「あなたは………『何がしたい?』」
善子「私………私も…!」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:47:03.10 ID:K+qRyHp5O
善子「Aqoursのみんなと歌いたい!マリーを抱き締めたい!………そして!」
善子「リリーと歩きたい!自分の足で!手を繋いで!」
鞠莉「善子…」
梨子「よっちゃん…」
海未「欲張りさんですね?大丈夫ですか?」
善子「ふふ!バカな姉貴分のせいです!」
鞠莉「もう…やめてよ………ほんと…」
梨子「鞠莉ちゃん、良かったね…」
海未「じゃ、手始めに私と歌ってみませんか?口ずさむだけでもいいんです、最初はそこから始めましょう?」
善子「………はい!」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:47:41.60 ID:K+qRyHp5O
そのあと、広場に戻り海未さんに頼まれ
私がピアノを弾き4人で歌った。
声が出なかったり、裏返ったり
以前のよっちゃんのような歌声はなかったけど
以前よりも心に響く歌声に感じた。
その時のよっちゃんの笑顔は
とても輝いて見えた………。
その日からよっちゃんは
今まで以上に頑張り始めた。
海未さんと同じようにピアニカから始め
歩くためのリハビリも笑顔を見せるようになり
成果も目に見えるほどになっていった。
Aちゃんもよっちゃんのお見舞いに来てくれたり
海未さんも時々会いに来てくれたりして。
そんな日常を繰り返し、月日は流れて
よっちゃんが卒業する季節になった………。
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:48:28.01 ID:K+qRyHp5O
浦の星女学院・体育館
ルビィ「……これを答辞とさせていただきます。皆さん、本当にありがとうございました!」
司会「元生徒会長からの答辞でした。続きまして………」
ダイヤ「ああ、ルビィ…!立派になって…!うぅ、ぐすっ、ずずーっ!」
果南「ダイヤ泣きすぎ…」
千歌「でも、ほんと変わったよね…ツインテールやめてから…」
曜「あの時の衝撃たるや………あはは」
花丸「ルビィちゃん、お疲れ様…!」
ルビィ「うん、ありがと…!」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:49:21.05 ID:K+qRyHp5O
司会「それでは式歌を…」
???「ジィィザスクラァァァァァイスト!!!」
全員「!?」
???「漆黒の………はいいや!もうさすがに!『みんなぁ』!ただいまぁぁぁ!!!」
シーン………
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:49:52.38 ID:K+qRyHp5O
ルビィ「あ………あ!」
花丸「やっと………やっと!」
ダイヤ「どれだけ泣かせれば気が済むんですか、あの子たちは…」
果南「………ほんとにね!」
千歌「よーちゃん!私たちも!」
曜「うん!ヨーソロー!」
善子「ルビィ、はなま………あだっ!?」
りこまり「このおバカ!」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:50:18.78 ID:K+qRyHp5O
梨子「みんなポカンとしてるじゃない!」
鞠莉「あ〜、先生たちも〜!私、理事長なんだから、そこらへん考えなさいよ!」
善子「登場はダイナミックにって言ったのマリーじゃない!」
鞠莉「誰が式中に乱入なんて言ったのよ!このアホ〜!」
善子「なんですっ「善子ちゃ〜ん!」…!」
ルビィ「よがっだぁ〜、よがっだよ〜!」
花丸「よ〜じ〜ごぢゃ〜ん!」
善子「もう!二人とも苦しい、苦しいって!」
そして………。
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:50:46.87 ID:K+qRyHp5O
善子「こほん…、先ほどはお騒がせしてすみません。私は約2年半前に事故にあい、この学校を去った津島善子です」
善子「今日この場に来たのは私のわがままです。理事長の鞠莉さんに無理を言ってここに来させていただきました」
善子「私の話は………って暗い話をするのは億劫ね!私は歌を歌いに来たの!」
善子「これはAqoursのみんな、マリー、リリー、私の背中を押してくれた人、そして皆さんのために歌います!聞いてください!リリーお願い!」
梨子「うん♪」
よっちゃんがお辞儀をする。
パチパチパチ………!
よっちゃんと目配せをして私は
鍵盤を叩き始めた…。
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:52:10.64 ID:K+qRyHp5O
〜♪
愛してるばんざーい!
ここでよかった 私たちの今がここにある
愛してるばんざーい!
始まったばかり 明日もよろしくね
まだゴールじゃない
笑ってよ 悲しいなら吹きとばそうよ
笑えたら変わる景色 晴れ間がのぞく
不安でもしあわせへと繋がる道が
見えてきたよな青空
時々雨が降るけど水がなくちゃたいへん
乾いちゃだめだよ みんなの夢の木よ育て
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:57:41.89 ID:K+qRyHp5O
海未『この歌は私たちμ´sにとっての終わりと始まりの歌です』
海未『歌は人を笑顔にさせる。歌は人に想いを届けられる。歌は人と人を繋ぐ架け橋になる』
海未『それが例え、1人でも、9人でも、100人でも想いの大きさは変わりません』
海未『強く、まっすぐに、自分の想いを…』
海未『さあ…!』
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:01:02.92 ID:K+qRyHp5O
善子『さあ!』
大好きだばんざーい!
まけないゆうき 私たちは今を楽しもう
大好きだばんざーい!
頑張れるから 昨日に手をふって
ほら前向いて…
善子「La la la…」
善子「(海未さん、これが私の想いです!)」
〜♪
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:01:39.27 ID:K+qRyHp5O
善子「………ふぅ」
善子「ありが…」
パチパチパチパチパチッ!
善子「あっ…、ああ、あっ…!」
鞠莉「善子!」
梨子「よっちゃん!」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:02:18.21 ID:K+qRyHp5O
泣き崩れそうになるよっちゃんを
二人で支える。
その姿にもらい泣きをしてしまった。
ようやく、ここまで『歩いて』来れたね?
おめでとう、よっちゃん!
鳴り止まない拍手が次第に弱まり
よっちゃんに視線が集まり………。
善子「皆さん…!」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:02:51.48 ID:K+qRyHp5O
『ありがとうございました!』
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:03:32.52 ID:K+qRyHp5O
式が終わったあと、Aqoursのみんなと
近いうちにライブをしようという約束をして
私たち3人は学校の中庭の桜を見ていた。
鞠莉「………あ!そういえば善子!はい!」
善子「へ?」
そう言って鞠莉ちゃんは腕を広げる。
鞠莉「へ?っじゃないでしょ!?抱き締めてくれるんでしょ?」
善子「私、そんなこと言ったっけ…」
鞠莉「なっ!?」
梨子「うふふ♪」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:04:07.44 ID:K+qRyHp5O
善子「………な〜んてね?えいっ!」
鞠莉「わっ!?不意打ちは卑怯!」
善子「いつものお返し!………マリー?」
鞠莉「………なーに?」
善子「ありがとう…私をいっつも気遣ってくれて………大好きだよ、『お姉ちゃん』…!」
鞠莉「うん…うん…」
梨子「………えいっ!」
鞠莉「り、梨子!?」
梨子「私も大好きだよ?鞠莉『姉さん』!」
鞠莉「もう………ほんと、あなたたちはいっつも…いつも、うわぁぁぁん!」
善子「泣き虫なんだから!もう!」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:04:46.35 ID:K+qRyHp5O
鞠莉ちゃんはひとしきり泣いたあと
私たちに気を使ってか先に帰っていった。
心地よい静寂の中、よっちゃんが口を開ける。
善子「………えと、さ、桜内梨子さん!!!」
梨子「は、はい!」
善子「すごく、すっごくお待たせしたんですが…今でも私のことを好きですか?」
梨子「………もちろん!」
善子「良かった…」
よっちゃんは立ち上がり私に手を差し伸べる。
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:05:24.20 ID:K+qRyHp5O
善子「それじゃ、今から『スタート』ね?一緒に、『歩いて』いこう!」
よっちゃんの手を取り立ち上がる。
梨子「うん♪一緒に………」
歩こう………!
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:06:00.52 ID:K+qRyHp5O
おしまい
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 01:08:22.40 ID:K+qRyHp5O
海未ちゃんのモデルの方は
実際にいらっしゃいます。
気が向いたら調べてみてください。
海未ちゃんに名前近いです。
そろでは失礼しますm(__)m
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/11(日) 03:58:24.85 ID:CYCUXWP+o
つまんね
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/11(日) 08:27:17.81 ID:9g8WyGiA0
Aqoursとμ's交ぜんな
全部読まなくてもつまらんけど
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/11(日) 20:30:20.55 ID:eUHtEt7vo
面白かったよ
おつおつ
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/12(月) 00:20:29.44 ID:r0Za7OSj0
乙です!面白かった
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/17(木) 20:40:26.09 ID:TuDxewCSO
ツインテじゃないルビィだと…
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