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梨子「歩こう、一緒に」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:52:46.55 ID:WGWyEYfsO
書きためあり。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1497106366
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:54:30.16 ID:WGWyEYfsO
部室・夕方
千歌「………どう、梨子ちゃん?」
曜「さすがにもう………行けるよね?」
梨子「う、うん!よっちゃんもちゃんと呼び出してるし…だ、大丈夫でありましゅ!」
曜「噛んでるし…」
千歌「先が思いやられるよ〜」
梨子「だ、だって〜!」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:55:05.22 ID:WGWyEYfsO
千歌「ほら!自信持って!ファイトだよ!」
曜「そうそう!当たって砕けてヨーソロー!」
梨子「いや!砕けちゃダメだよ〜!」
梨子「でも、砕ける可能性もおおいにあるんだよね?花丸ちゃんとかとも仲良いし…、いや!最近ダイヤさんとも仲良いような…うぅ」
千歌「えぇ…」
曜「じゃあ………やめる?」
梨子「………やめようかなぁ」
ようちか「あちゃ〜…」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:56:52.42 ID:WGWyEYfsO
同時刻・図書室
善子「ヤバいヤバいヤバい………!」
ルビィ「よ、善子ちゃん…!」
花丸「お、落ち着くずら…!」
善子「あんたたちこそ落ち着きなさいよ!てか、なんで私より緊張しているのよ!」
ルビまる「だ、だって〜!」
善子「もう!全然気持ちの整理つかないじゃない!リリーにどんな顔して会えばいいのよ!」
ルビィ「大丈夫!ヨハネちゃんで行けば緊張なんてしないはずだよ!」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:57:25.74 ID:WGWyEYfsO
善子「絶対ダメ!堕天使モードとかしちゃったらリリーがどう思うか…」
花丸「自分で『モード』とか言っちゃう善子ちゃん初めて見たずら…」
ルビィ「あはは…」
善子「で、でも、まだ告白って決まった訳じゃないもんね…また、私の空回りだったら………不幸すぎる!」
花丸「いや、それは…」
ルビィ「大丈夫じゃないかな〜…」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:58:13.06 ID:WGWyEYfsO
ようちかルビまる「(明らかに両思いだよね…)」
よしりこ「はぁ…」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:58:52.31 ID:WGWyEYfsO
曜「あ!そろそろ約束の時間じゃない?」
梨子「え〜!?む、無理だよ〜!」
千歌「もう!告白するって相談に乗り出してからもう1ヶ月近く経つんだよ?でも………大丈夫!善子ちゃんだってちゃんと来てくれると思うよ!」
梨子「千歌ちゃん…!」
曜「そうそう!梨子ちゃんなら大丈夫だよ!頑張って!」
梨子「曜ちゃん…!」
曜「…って、だから!梨子ちゃん時間は大丈夫って言ったじゃん!」
梨子「え?………あああああああ!?」
千歌「ほら!早く早く!」
梨子「う、うん!」
ガララッ
梨子「(よっちゃん…来てくれるといいな)」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/10(土) 23:59:43.30 ID:WGWyEYfsO
花丸「もう!善子ちゃん!ウジウジしてるのはらしくないよ!根性見せるずら!」
善子「なに急に強気になってるのよ!」
ルビィ「あ、あれ?善子ちゃん、約束の時間っていつ?」
善子「へ?………あああああああ!?」
善子「い、行ってくる!」
ガララッ
ルビィ「が、がんばルビィ!」
花丸「ファイトずら〜!って聞こえてないか」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:00:24.84 ID:K+qRyHp5O
「えっ、善子ちゃ…!」「ご、ごめ………あ!」
ゴロゴロ………ガンッ!
「きゃあああああ!!!………よ、善子ちゃん!しっかり、善子ちゃん!!!」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:01:07.14 ID:K+qRyHp5O
ルビィ「………え?」
花丸「………よ、善子ちゃん!?」
ガララッ…
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:01:59.45 ID:K+qRyHp5O
体育館裏
梨子「お、おかしいな。時間は…間違ってないよね?よっちゃん遅いなぁ…」
梨子「やっぱり、よっちゃんは私のことはただの一人の先輩としか見てなかったのかな…」
梨子「ん?救急車の音?………こっち方面に来るなんてめずらしいな…」
梨子「音が近くで消えた?…学校で何かあったのかな?」
ダダダッ
曜「梨子ちゃんっ!!」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:02:33.83 ID:K+qRyHp5O
梨子「曜ちゃん?どうしたの?そんなに慌てて…「よ、善子ちゃ、善子ちゃんが!」…え?」
曜「と、とにかく!早く来て!救急車も来たから!」
梨子「え?………え?」
え?どういうこと?よっちゃんが?救急車?
なに?訳が分からない…なに、何なの?
曜「………こちゃん!梨子ちゃん!しっかりして!みんなも向かってるから!」
梨子「嘘………嘘だ………」
曜「もう!」
曜ちゃんに腕を捕まれ、無理矢理走らされる。
よっちゃんが………嘘だ!嘘に決まってる!
嘘に………
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:03:27.13 ID:K+qRyHp5O
花丸「善子ちゃん!しっかりして!…ぐすっ、よじこちゃんっ!」
千歌「善子ちゃんっ!目を覚まして!覚ましてってば!」
生徒A「私が…私があの時図書室に行かなかったら…私が…」
ルビィ「あなたのせいじゃないよ…!自分を責めないで…責めないで…お願い…」
ダイヤ「皆さん!道を開けてください!」
鞠莉「はあ?ふざけないでよ!なんでこんな時にヘリがメンテナンス中なのよ!?一大事なのよ!?」
果南「ま、鞠莉!落ち着いて…!お願いだから…!」
嘘に決まって………
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:04:10.02 ID:K+qRyHp5O
ようりこ「………」
曜「善子ちゃん…」
足に力が入らず崩れ落ちる。
梨子「………………………………………いや」
曜「…梨子ちゃん?」
梨子「………………………いや、いや、いや!」
曜「梨子ちゃ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」………!?」
梨子「………うっ」
曜「えっ!?ちょっと梨子ちゃん!?」
気が遠くなる…。
叫ぶ曜ちゃんの声が次第に聞こえなくなり
最後に見えたのは………
救急車に乗せられていく
よっちゃんの姿だった。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:04:59.31 ID:K+qRyHp5O
梨子『あ、あの…よっちゃん!』
善子『ん?どしたの、リリー?』
梨子『今日の放課後練習お休みだよね〜?』
善子『ええ、そうね』
梨子『あの、お話がしたいな〜って…』
善子『へ?今も話してるじゃない?』
梨子『いや、あの〜…よっちゃん!!!』
善子『は、はい!』
梨子『だ、大事なお話があります!放課後、午後五時に体育館裏に来てください!!!』
善子『へ?………あ、はい』
梨子『う、うん………よろしく、ね?』
善子『………』
善子『わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?///』
ガララッ
梨子『よ、よっちゃん!?………』
________
_____
__
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:06:00.19 ID:K+qRyHp5O
梨子「よっちゃん!!!」
果南「あ、梨子!気付いた、良かった…」
梨子「果南さん…ここは…?」
鞠莉「私が手配した車よ!」
梨子「そうですか…はっ、よっちゃん!よっちゃんは!?」
ダイヤ「梨子さん、落ち着いてください…!」
梨子「でも…!」
ダイヤ「気が動転しているのはあなただけではないのです…気をしっかり持って…ください」
梨子「あ…」
そう言って私の手を握ってくれる
ダイヤさんの手も震えていた。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:06:46.34 ID:K+qRyHp5O
梨子「ダイヤさん、ごめんなさい………他のみんなは?」
鞠莉「花丸とルビィは善子と一緒に救急車にいるわ」
果南「千歌と曜は善子のご両親にこの状況を伝えに行ったよ。生憎、二人とも仕事中で…たまたま仕事場を知ってたのが不幸中の幸いだったよ…」
梨子「そうですか…よっちゃん………」
果南「大丈夫…大丈夫だから………」
果南さんが優しく私を抱き締める。
鞠莉さんも手を握ってくれる。
三年生のみんなにはただただ迷惑をかけた。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:07:24.95 ID:K+qRyHp5O
病院・集中治療室前
よっちゃんが入ってからまだほんの数十分しか
経っていないのに何時間にも感じた。
私は必死に泣くのをこらえて
泣き続ける花丸ちゃんとルビィちゃんを
さっきダイヤさんたちにしてもらったように
慰め続けた………。
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:08:09.67 ID:K+qRyHp5O
善子ママ「善子!」
千歌「善子ちゃんは?」
梨子「千歌ちゃん…ついさっき手術が始まったところだよ」
曜「………そっか」
善子パパ「みんな、すまない…善子のために…」
ダイヤ「お、お顔を上げてください、お父様!私たちは9人でひとつ。当たり前の対応をしたまでです!」
鞠莉「これまでも………これからもね!」
善子パパ「ありがとう………ありがとう…!」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:08:39.18 ID:K+qRyHp5O
善子ママ「花丸ちゃん……ルビィちゃん……」
花丸「ママさん…ごめ、ごめんなさい…マルたちがしっかりしてれば…」
ルビィ「うぅ………善子ちゃん…」
梨子「花丸ちゃん、ルビィちゃん…大丈夫、大丈夫だから…!」
今の私が出来るせいいっぱいのこと…
よっちゃん、どうか無事でいて…!
赤いランプが消えるのを
私たちは今か今かと待ち続けた…。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:09:39.57 ID:K+qRyHp5O
そして、約二時間が過ぎようとした時
ランプが消え、ドアが開き先生が出てきた。
善子ママ「善子は………善子は無事ですか!」
医師「大丈夫です、命に別状はありません」
みんなに安堵の息が漏れた。
でも………
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:10:31.91 ID:K+qRyHp5O
医師「ご両親の二人と………ご学友の中で一人誰か付いてきてください、お話があります」
梨子「わ、私が「待って!」」
鞠莉「私が行くわ、理事長として、そして同じユニットの三年生として!」
梨子「鞠莉さん…でも!」
鞠莉「梨子…今のあなたじゃ落ち着いて話が聞けるようには見えないわ………待ってて」
梨子「………はい」
よっちゃんのご両親と鞠莉さんが
医務室に入っていくのを
私は黙って見守るしか出来なかった。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:11:27.52 ID:K+qRyHp5O
医務室
医師「………手術は成功しました、命に別状はありません…ただ」
善子パパ「ただ…?」
医師「打ち所が悪かった……頚椎損傷です」
※細かい病名や症状もありますがこう提起します。また、今後の展開でも細かい間違い、もしかしたら全然違うということもあるかもしれません。お気を悪くする方もいらっしゃるかもしれませんがご了承ください。
善子ママ「………つまり?」
医師「津島善子さんは、身体が麻痺…今後、歩く事も困難でしょう」
鞠莉「嘘…そんなの…そんなのって…」
医師「幸い、この症状から回復した人も「ふざけないで!!!」………」
善子ママ「鞠莉ちゃん…」
鞠莉「今はそんな気休めなんかどうでもいい!善子は、善子は…!くっ…あなた医者でしょう!?なんとか…なんとかしなさいよ!」
医師「………申し訳ありません」
鞠莉「なんでよ…なんでなのよ………善子、ぐすっ、よしこぉ………」
善子ママ「ありがとう、鞠莉ちゃん…」
善子パパ「くそっ………あの子になんて声をかけてやればいいんだ…」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:12:09.86 ID:K+qRyHp5O
廊下
「今はそんな気休めなんかどうでもいい!善子は、善子は…!くっ…あなた医者でしょう!?なんとか…なんとかしなさいよ!」
果南「鞠莉…?」
ダイヤ「………」
ルビィ「何かあったのかな?」
千歌「………」
曜「………」
花丸「善子ちゃん…」
梨子「………あ」
三人が医務室から出てきた。
そして、私たちはよっちゃんの状態を聞いた。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:13:09.06 ID:K+qRyHp5O
果南「そんなの…!そんなのって…!」
ダイヤ「なんとか…なんとかならないのですか!」
鞠莉「ダメみたい…」
ルビィ「嘘だよね?」
花丸「善子ちゃん…善子ちゃん…!」
曜「花丸ちゃん…」
千歌「………治らないの?」
善子パパ「先生いわく、善子次第だそうだ…手術で治るものじゃないらしい」
梨子「………」
私は…何してるんだっけ?
確か、よっちゃんに告白しようとして
それから…
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:13:43.68 ID:K+qRyHp5O
看護士「善子さんの意識が戻りました!」
全員「!」
善子パパ「先に君たちが行きなさい」
善子ママ「あなた…うん。善子を頼むわね」
千歌「はい…!」
千歌ちゃんを先頭に病室に入っていく。
そこにいたのは………
善子「あはは…やほー、みんな…」
ベッドに横たわったまま
苦笑いするよっちゃんの姿だった…。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:14:27.59 ID:K+qRyHp5O
病室
善子「結構キツいけどなんとか喋れるわ…手足は今のところは…」
花丸「善子ちゃん…、ごめん、あの時マルが急がせたから…」
善子「もう、泣かないでよずら丸!………ってルビィも!」
ルビィ「だって…だってぇ!」
善子「もう…」
曜「善子ちゃん…」
千歌「………くっ」
曜ちゃんも千歌ちゃんも必死に
涙をこらえていた。
すると、後ろから嗚咽が聞こえてきた。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:15:06.98 ID:K+qRyHp5O
鞠莉「ぐすっ………、ごめん、私、三年生、なのに………理事長なのに…うぅ…一番辛いのは、善子なのに………」
善子「マリー…」
鞠莉「………ごめんなさい」
ガララッ
耐えきれなくなったのか鞠莉さんは
病室から出ていった。
果南「あ、鞠莉…!」
ダイヤ「ずっと気にしていましたものね…善子さんのこと…もちろん梨子さんのことも」
善子「マリーが…果南、ダイヤ?マリーのとこ行ってあげて!私は…大丈夫って…!」
必死に笑顔を作るよっちゃん。
果南「あ、………うん、分かった」
ダイヤ「善子さん、皆さん失礼します」
ガララッ
鞠莉さんを追って二人も出ていった。
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:15:46.52 ID:K+qRyHp5O
全員「………」
病室が静寂と嗚咽に包まれる。
嫌な時間だ。
そんな沈黙を破ったのは…
善子「も、もう!みんな!なにそんな暗い感じになってるのよ!確かに今は身体動かないけど…絶対治らない訳じゃないって先生や看護士さんも言ってたし!それに、堕天使ヨハネとしては?呪縛にかけられたから解放する!みたいで楽しそうじゃない!」
目線をしっかりみんなに配りながら
一気にまくし立てるよっちゃん。
その姿に目も当てられなくなったのか…
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:16:30.94 ID:K+qRyHp5O
曜「………ごめん、千歌ちゃん。背中貸して…」
千歌「よーちゃん………うん」
曜「うっ…うぅ………ぐすっ…ごめん、善子ちゃん…泣いてごめん、不安にしちゃって…」
曜ちゃんも耐えきれなくなったのか
泣き始めてしまった。
千歌ちゃんも顔をうつむけたままだった。
善子「曜まで…」
全員「………」
また静かになる。
すると…
花丸「ねぇ…?」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:17:20.92 ID:K+qRyHp5O
花丸「さっきから梨子ちゃんはなんで何も言わないの?涙も流さないの?」
梨子「………え?」
言われてから気づいた。
私、病室に入ってから一言もしゃべってない。
それどころか涙も出ずに
立ち尽くしているだけだった…
花丸「どうして!?ねぇ!どうして!?」
梨子「そ、それは……「やめて!」」
ルビィ「マルちゃんも梨子ちゃんもやめてよ…今、喧嘩なんてしちゃダメだよぉ…」
花丸「ルビィちゃん………ごめんなさい、梨子ちゃん、辛いのは一緒なのに当たっちゃって…」
梨子「いいの、マルちゃん…マルちゃんの言ってたことは正しかったもん、最低だ、私…」
善子「リリー…」
千歌「………みんな、梨子ちゃんと善子ちゃんを二人きりにしてあげていい?」
梨子「………千歌ちゃん?」
曜「うん………私は、いいよ」
花丸「マルも」
ルビィ「ルビィも大丈夫…」
千歌「うん、ありがと。梨子ちゃん、善子ちゃん………ゆっくりね?」
ガララッ
二人きりになる。
しばらく、沈黙が続き…
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:18:06.79 ID:K+qRyHp5O
善子「リリー、ここの椅子に座ってくれるかしら?さすがに遠い…」
梨子「うん…」
ベッドの横にある丸椅子に座る。
すると、よっちゃんはゆっくりとだけど
こちらに顔を向けた。
善子「いたた…首を少し傾けるだけで痛みが走るとか…明日は我が身って言うけど、実際なってみるとなんとも言えないわね」
梨子「うん…」
善子「にしても、みんな心配しすぎよね?この堕天使ヨハネがそう簡単に諦めるはずないのに、ねぇ?」
梨子「うん…」
善子「………ごめんね、リリー。こんなことになっちゃって…」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:18:42.55 ID:K+qRyHp5O
梨子「………なんでよっちゃんが謝るの?私が…私がよっちゃんを誘わなければこんなことには…!こんな…ことには………!」
一気に言葉と感情が溢れ出す。
よっちゃんは右手をもぞもぞさせていた。
善子「はあ、リリーがここまで泣くの初めて見たわ…頭を撫でてあげたいのになぁ…」
梨子「よっちゃん…よっちゃん………!」
善子「………ねぇ?リリー、あの時リリーは何を私に話そうとしてたの?」
梨子「そ、それは…」
善子「大丈夫、聞きたいの…教えて?」
梨子「私は………!」
赤みがかった病室が徐々に暗くなる。
私の告白は最低なタイミングだった。
よっちゃんはずっと私を見てくれていた。
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:19:24.90 ID:K+qRyHp5O
善子「………そっか、嬉しいな」
善子「でも…」
善子「ごめん…今は返事を返せない……ごめん、ごめんなさい…」
梨子「よっちゃん…」
善子「見ないで、リリー………こんな顔リリーにだけは見られたくない…!」
よっちゃんの頬に涙がつたう。
止める手立てのない涙は枕にシミを作ってく。
私はよっちゃんの涙を指で拭う。
それしかできなかった。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:19:51.59 ID:K+qRyHp5O
善子「………ごめんね、リリー」
梨子「ううん、私こそごめんね…私はずっとよっちゃんのこと…『大好き』だから」
善子「うん、私もリリーが『大好き』」
『好き』という言葉がこれほど
辛い意味になるなんて…。
善子「パパやママとも話したいから…そろそろ構わない、リリー?」
梨子「わかった…また、来るからね」
善子「うん…!」
ガララッ
よっちゃんの笑顔を直視できずに
私は逃げるように病室を後にした。
外で待っていたご両親に挨拶をして
みんなが待っているベンチへと足を運んだ。
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:20:40.71 ID:K+qRyHp5O
果南「梨子、お帰り…」
ダイヤ「善子さんは…?」
梨子「うん、諦めないから心配しないでって…鞠莉さんは…」
果南さんの膝枕で眠る鞠莉さん。
その目元は真っ赤になっていた。
鞠莉「すぅ………すぅ………」
果南「泣き疲れて寝ちゃった」
ダイヤ「花丸さんもルビィも同じくですね」
曜「………」
千歌「………」
梨子「曜ちゃん、大丈夫?」
曜「うん、平気…心配かけてごめんね?」
梨子「それならいいの…大丈夫だよ!」
梨子「千歌ちゃん、ありがと。気を使ってくれて…」
千歌「ううん、気にしないで………今日はもう解散にしようか?また明日これからのこと相談しよう」
ダイヤ「そうですわね…皆さん相違ありませんね?」
起きている全員は合意し、
三人を起こして病院を後にする。
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:21:20.16 ID:K+qRyHp5O
梨子「あ!一応よっちゃんのご両親に帰るって伝えてくるね?」
果南「そだね、梨子お願い!」
私はもう一度病室へと向かい
ドアに手をかけようとした、その時だった。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:21:57.73 ID:K+qRyHp5O
「私………やだよぉ…こんなの………ぐすっ、嫌だよ………みんなともっと歌いたいよ…うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「善子、泣かないで!大丈夫!大丈夫だから!」
「ママたちに今の私の気持ちがわかるはずないでしょ?簡単に大丈夫とか言わないでよ!」
「すまない…すまない………」
「うぅ、うっ…うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:22:42.08 ID:K+qRyHp5O
梨子「………よっちゃん」
私は何もできず立ち去ることしか
できなかった。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:23:19.63 ID:K+qRyHp5O
翌日、放課後に部室で集まり
これからのことを話した。
Aqoursを続けるのか続けないのか。
どちらを選択してもよっちゃんに
気を使わせることになるから
話し合いは下校してから
千歌ちゃんの家に集まり遅くまで続いた。
途中お互いに感情的になり騒がしくなったけど
美渡さんも志満さんも気を使ってくれたのか
そこまで怒ることもなかった。
そして………
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:23:53.81 ID:K+qRyHp5O
千歌「………続けよう!確かに善子ちゃんには焦りや寂しい思いをさせるかもしれない、でも私たちは………立ち止まっちゃいけない…!いけないんだよ…!」
花丸「わ、私も一緒です!善子ちゃんは絶対に帰ってきます!例え何年かかってもAqoursっていう帰る場所がないのはダメだから…!」
私も…!
梨子「千歌ちゃんとマルちゃんの言う通りです!私も信じてるから、よっちゃんのこと!」
ようルビ「うん…!」
鞠莉「………後悔はないのね?」
続けることに反対をしていたのは
意外にも鞠莉さんだった。
果南さんとダイヤさんは中立で
みんなのフォローをしていた。
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:24:24.48 ID:K+qRyHp5O
鞠莉「わかったわ…ごめんね、マル。強く言っちゃって…」
花丸「ううん、善子ちゃんにとっての今の現状での不安を早い段階で取り除くなら、辞めるっていう選択肢も間違いじゃないから…!」
鞠莉「ありがとう、マル…」
鞠莉さんが優しくマルちゃんを抱き締める。
その後は今後のAqoursの活動方針を話した。
ラブライブ!に向けてどうするかや
これまでのライブパートの見直しと
一気に作業を進めていった。
そして、私たちのユニット『Guilty kiss』は…
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:25:03.12 ID:K+qRyHp5O
病室
ガララッ
鞠莉「ちゃお〜♪善子!調子はどう?」
善子「うっさい!あと、私はヨハネ!」
梨子「ぴ、ぴょ〜ん…///」
よしまり「………」
梨子「うぅ//」
よしまり「………ぷっ」
鞠莉「梨子ったら善子の前だからって頑張らなくてもいいのに♪」
善子「顔真っ赤だし、リリー!だから、私はヨハネ!」
梨子「………もう言わないもん//」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:25:39.66 ID:K+qRyHp5O
よっちゃんがいてこそ『Guilty Kiss』。
だからユニット練習はせずに
なるべくよっちゃんといるようにした。
あと、鞠莉さんには私がよっちゃんに告白…
ううん、『好き』だと言うことは伝えた。
隠し事はお姉ちゃんには無し!だって。
私たちのことを本当の妹のように
思ってくれてたんだって改めて思った。
笑顔で私を抱き締めて頭を撫でてくれた。
もう、ほんとに…、
鞠莉さんには敵わないなぁ…。
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:26:07.89 ID:K+qRyHp5O
梨子「気を取り直して…、よっちゃん?調子はどうかな?」
善子「うん!初めよりはだいぶ動くようになったわよ!………って言っても首をある程度動かすのと腕を少し持ち上げられる程度だけど…」
鞠莉「いいえ!大進歩だわ!小さなことからコツコツと!」
善子「ふっ…!この呪縛から解き放たれるのも時間の問題ね…!」
善子「…って!カッコつかないから、めっちゃダサいじゃない!?」
鞠莉「ふっ…!この呪縛から解き放たれるのも時間の問題ね…!………ぷぷーっ!」
梨子「うふふ♪」
善子「だーっ!//真似するなーっ!///」
りこまり「あはははは!」
善子ママ「善子〜…あ!梨子ちゃん、鞠莉ちゃん!いつもありがとね!」
よっちゃんなら大丈夫。
今は0じゃない、1歩ずつだけど
少しずつ前に進めてる。
私も鞠莉さんもそう信じてた。
けど、その安心感が逆によっちゃんの内の闇に
気づけない原因になっていたなんて
私たちは知るよしもなかった………。
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:27:04.66 ID:K+qRyHp5O
それは、突然起こった。
その日はたまたま鞠莉さんは仕事があり
私一人で病院に向かっていた。
病室に入って挨拶をしようとした、その時…
梨子「よっちゃん、きた………よ」
善子「くっ………うっ…!」
梨子「!?」
善子「もう少し………」
梨子「よっちゃん!!!」
カランカラン…
床に金属音が響く。
よっちゃんは………
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 00:27:38.14 ID:K+qRyHp5O
善子「放して!放してよ!リリー!」
梨子「今…今!何しようとしてたの、よっちゃん?」
善子「………」
梨子「返事をしなさい!よっちゃん!どうして………どうして…!」
梨子「必死にナイフを取ろうとしてたの!?」
善子「………」
よっちゃんは最近は腕はゆっくりだけど
動かせるようになってきていて、
掴む力はほとんどないけど物を手に乗せて
維持できるくらいになってきていた。
よっちゃんが取ろうとしていたのは
棚の上にあった果物ナイフ。
私がよっちゃんを捕まえた拍子に棚に当たり
ナイフが落ちた。
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