死んだはずの妻と出会った話

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10 : ◆2mwK9kDO1Y [saga]:2017/06/10(土) 19:59:48.92 ID:EDLtVNMv0
「あなた、ボーっとして、どうしたの? 早く上がったら?」

「あ……ああ」




――この女は、誰だ?




その時は不思議と、そんな疑念はすぐに晴れて、いつもの日常として僕の脳内で処理されました


今思えば、一時的な現実逃避だったのかもしれません

あるいは、目の前で起きている出来事に、脳の処理がついていかなかったのかもしれません


「あなた、ご飯はできてるけど」

「うん、食べようかな」


ジャケットをハンガーにかけ、Yシャツのまま席に着きました

妻もまた、俺の反対側の席に腰かけます


一緒に、いただきます、と食前の挨拶をします


何もかも、いつも通りでした




ですが、その日常は、妻を失う前の、僕の日常でした




その日の夕食は、白米に豆腐の味噌汁、肉じゃがにお浸しと、ありふれた献立でした


ですが、肉じゃがは妻の得意料理です

得意というだけあって、妻の作る肉じゃがは格別でした

おいそれと、他人にマネできるわけがないのです


果たして、肉じゃがの味付けは、妻のものと寸分違わないものでした


「……君はやっぱり、君なんだね」

「何言ってるの? そんなの、当たり前じゃない」

「うん、そうだ。当たり前だね」


何も、不自然な点はみられませんでした


不自然な点がない事が、一番の不自然なのだと気が付いたのは、次の日の朝の事でした

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