【ガンダムSEED DESTINY】シン「フリーダムは敵じゃない」

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46 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:05:19.61 ID:audf7L6p0
ネオ「約束…ふたつも反故にしちまったなぁ…」

ひとつは、もうステラを戦わせないという約束。
そしてもうひとつは、必ず帰るという約束。
帰るとは、誰の元へだったか?
ネオは、己の記憶に潜む違和感の正体を掴めぬまま、その場を後にした。
47 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:06:44.41 ID:audf7L6p0
ミネルバがジブラルタル基地へ向かう途中のことだった。

メイリン「艦長、プラントから緊急メッセージです!」

タリア「繋いでちょうだい」

メイリンがモニターへ回線を繋ぐと、デスクに座したデュランダルの姿が映し出される。

メイリン「あらゆるメディアを通して、全世界に発信されてます!」

アーサー「ええ?」

タリア「……」

タリア「艦内に流して。全員、可能な限り聞くようにと」
48 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:09:19.00 ID:audf7L6p0
デュランダルのメッセージ、それは先日のベルリンでの戦いについてだった。
モニターに映し出される、巨大MS、デストロイ。
そして、それに敢然と立ち向かうインパルスの姿。

アスランは、その映像を見ながら違和感を覚えていた。

アスラン(フリーダムが…いない…?)
49 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:11:08.56 ID:audf7L6p0
ジブリール「なんだ、これはァッ!?」

ジブリールは通信機を手に取り、秘書に向かって喚いた。

ジブリール「こんな放送は止めさせろ!今すぐにィ!」
50 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:14:16.36 ID:audf7L6p0
『どういうことだね、これは』

ジブリールの私室に配置されたマルチモニター
そこに映し出されたロゴスの面々が、冷たくジブリールを見下ろしている。

『これは、君の責任問題だよ』

ジブリール「クソ!クソォッ!」

悔しさと焦りから、思い切りデスクを殴りつける。
突然のゲリラ放送によって、自分たちの悪逆が明るみに出てしまうとは。
51 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:16:25.18 ID:audf7L6p0
デュランダル『−−よって、世界の真なる敵、ロゴス!』

デュランダル『これを討ち滅ぼすことを、此処に宣言致します!』

ジブリール「なっ…なにィーッ!?」
52 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:17:59.14 ID:audf7L6p0
シン「ロゴス、か…」

ルナマリア「前にお会いしたとき、議長もおっしゃっていたのにね」

ルナマリア「ロゴスを討つのは、簡単なことじゃないって」

シン「ああ。でもやるんだ、議長は」

シン「俺、感動したよ。難しいって言ってたのに、諦めないんだ、あの人は!」
53 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:21:40.82 ID:audf7L6p0
アスラン「……」

ルナマリア「アスラン?」

レイ「対ロゴス…あまり気が乗りませんか?アスランは」

アスラン「ああいや、そういうわけじゃないんだ。ただな…」

ロゴスを討つ、それ自体が間違ったことだとは思わないが。

アスラン「議長はこれまで、ナチュラルとの融和を掲げ、ゆっくりと…
それでいてしっかりと、着実に事を進めてこられた」

アスラン「だが、今回の件…今までの議長のやり方とは、違ったものを感じる、というか」

アスラン「あまりに事を急いている、そんな気がして、少し引っかかってな」

ルナマリア「あー、言われてみればそんな気も…」
54 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:24:37.87 ID:audf7L6p0
シン「…それは多分、ベルリンでの一件があったせいです」

シンは苦しげに顔を歪める。
あの惨状は、地球連合軍の兵器が引き起こしたもの。
そして、そのパイロットたるステラを地球連合軍に返したのは自分。
そうでもしなければ、ステラはその亡骸すらも実験材料にされていた。
シンにとっては、他に選択肢は無かったも同然。
しかし、どうしようもない後ろめたさが、シンを苛んでいた。

アスラン「シン…」

レイ「融和、それは確かに大切です。議長もそれを諦めることはしないでしょう」

レイ「ただ…討つべきものは討つ。そうしなければ、この戦争はいつまでも終わらない」

レイ「戦争が長引けば、その犠牲者は増える一方です」

アスラン「そう、だな…」

レイの言うことは正しい。だが、なにか引っかかるのだ。
釈然としないまま、黙り込むしかなかった。
55 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:27:17.87 ID:audf7L6p0
ジブラルタル基地に到着し、議長から呼び出しを受けたシンとアスランは
車両の後部座席に揺られていた。

シン「…議長の放送、話の内容には納得してますけど」

シン「少し、気になったこともあって」

アスラン「それは?」

シン「ベルリンでの戦いの映像の中で、フリーダムの姿が一度も映らなかった」

アスラン「お前も、おかしいと思ったか…」
56 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:29:56.65 ID:audf7L6p0
シン「まあ、議長には議長の考えがあるんだとは思いますけどね」

アスラン「…そうだな…」

手間をかけてまでなぜ、あの戦いからフリーダムの存在を抹消するのか。
それだけではない。キラが言っていた、ラクスがコーディネイターの部隊に襲われたという話。
議長そのものへの懐疑の念、それがアスランの喉につかえていたものだった。

シン「気になることがあるなら、直接聞いてみたっていいじゃないですか」

アスラン「!」

キラとすれ違いを起こしたのは、対話を怠ったから。
そう、正面から話をしなければ、いつまでもわだかまりを残したままだ。
57 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:31:18.67 ID:audf7L6p0
アスラン「…ああ、そうすることにするよ」

アスラン「ありがとな、シン」

シン「お礼を言われるようなことじゃないですよ」

シン「でも、人を頼ることを忘れるなって言った本人が、一人で抱え込んでちゃ良くないと思います」

アスラン「はは、これは一本取られたな」

シン「それとも、俺じゃ頼りになりませんか?」

アスラン「…いや、頼りにしてるさ」

アスラン「ミネルバのエースは、お前なんだからな。
そして何より、かけがえのない仲間だ」
58 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:32:44.98 ID:audf7L6p0
シン「へへ…まあとにかく、俺でもレイでもタリア艦長でもいいから、
悩みがあるなら相談してくださいよ」

シン「あ、ルナマリアが一番喜ぶかも…」

アスラン「なぜルナマリアが?」

シン「え…わかんないんですか?」

アスラン「なにがだ?」

絶句し、頭を抱えるシンを見て、アスランは首をかしげるしかなかった。
59 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/05/31(水) 21:34:30.33 ID:audf7L6p0
短いですが今日はここまでで終わります。
MS戦とかもやりたいですが大分先になる予感。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 21:41:13.75 ID:lragTJNZo
乙でーす
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 02:05:06.93 ID:pSIgfJkZO
とんだスレタイ詐欺
シンがキラぶっ潰してスカッとするssかと思えばキラマンセーの大団円ものかよ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/01(木) 03:11:09.17 ID:KGn/iMEE0
むしろこのスレタイで共闘路線以外だと思う方が不思議なんだけど
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 05:09:16.86 ID:bnv6P9Nc0
可哀想なやつやな。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 07:25:52.49 ID:2QuRxFkuO
やめてよね
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 08:24:30.91 ID:zB1TNEkA0
マンセーって、あぁだから目が節穴で日本語分からないのか。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 08:26:51.02 ID:fN7Yxxiro
>>61
こいつ鉄血とか持ち上げてそう
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 09:42:05.11 ID:62OaaZt7O
鉄血を好きなやつが全員おかしいみたいな話題はやめろォ!

でもage好きは変態が多そうだよね
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 09:42:27.06 ID:LW0Flnh9O
一般人レベルのコミュ力を得たキラさん
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 11:47:27.43 ID:Fr/A0PG70
期待
ちゃんと完結まで頼むぞ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 12:20:11.89 ID:UDrW+NW5O
この聖人がキラだと?
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 12:54:40.74 ID:zB1TNEkA0
コミュ障なのがガンダム主人公の条件な気がする。
当てはまらないのいるけどさ。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 13:17:26.97 ID:4ZP4UnhHo
ロランぐらいしか思い浮かばん
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 13:33:24.54 ID:W7ImeZdeO
バーニィはマトモやったやん
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 13:35:58.28 ID:QD7qNf4QO
主人公はアル定期
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 16:14:14.04 ID:9ONkDIPH0
本編でも協力させとけば家族の敵であると同時に恩人でもある人と戦わなければならないという主人公らしい葛藤描けたのに
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 17:02:29.27 ID:QD7qNf4QO
葛藤もクソもシンはフリーダムがやったなんてこと知らんし
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 17:10:20.92 ID:BJX0VSN7O
え?
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 17:11:18.62 ID:8COn7pQLo
と言うかヤったのフリーダムじゃないし
79 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 17:52:29.21 ID:0mYK1JlO0
原作との差異というかこのSS独自の設定

・アスラン
無闇に殴りつけたりはせず、言葉でシンを導いてきたため、
シンからの好感度は原作より高め。

・シン
アスランとは殆ど衝突もなく、関係も良好。
セイバーが撃墜された際にはオーブ軍と連合軍を蹴散らしながら早急にそれを回収、
無事にミネルバまで送り届けている。

・キラ
原作通りアスランと衝突し、セイバーを撃墜したが、
インパルスがセイバーを無事に回収するところまで見届けてから帰還している。
高山瑞穂氏の漫画版と同じ状況でムウを目の前で失っており、
(ムウ機がプロヴィデンスを羽交い絞めにし、それをキラが苦渋の決断で諸共撃つというもの)
ムウを助けられなかったことをずっと悔やみ続けている。

・レイ
自分がラウのようにならなかったのは、デュランダルという父のような存在や、
シンとルナマリアという友人に恵まれたおかげだと考え、彼らを心から大切に思っている。

・ネオ
原作ではベルリンでの戦闘後にAAに回収されたが、
このSSではスティングと共に地球連合軍に帰還している。

現時点で考えているのはこんなところです。
80 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 17:54:47.16 ID:0mYK1JlO0
再開します。
81 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 17:56:18.10 ID:0mYK1JlO0
デュランダル「やあ、久しいね。シン、アスラン」

アスラン「お久しぶりです、議長」

シン「お久しぶりです!先日のメッセージ、俺…感動しました!」

デュランダル「いや、ありがとう。私も、君たちの活躍は聞いているよ」

デュランダルは続ける。

デュランダル「あのメッセージを見てくれたのならもう知っていることとは思うが…
対ロゴスの作戦が開始されるまでもう間もなくだ」
82 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 17:58:41.78 ID:0mYK1JlO0
デュランダル「そして…フフ、シンはもう先ほどから
そちらにばかり目が行ってしまっているようだが…」

格納庫のライトが点き、二体のMSの姿がはっきりと浮かび上がる

シン「これは…!」

デュランダル「ZGMF-X42S、デスティニー。ZGMF-X666S、レジェンド」

デュランダル「君たちの新しい機体だよ」

シン「え…!?」

アスラン「俺たちの…?」

目を輝かせ感嘆の息をつくシン。
デュランダルはそれを楽しげに見つめている。
83 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:00:54.70 ID:0mYK1JlO0
シン「どんな機体なんですか!?」

デュランダル「詳細は後で目を通してもらうが…まずシンの機体であるデスティニー」

デュランダル「この機体は火力、防御力、機動力…
全てにおいてインパルスを凌駕する最強の機体だ」

デュランダル「インパルスが持つ三つのシルエットの力を一つに結集し、
且つそのポテンシャルを最大限にまで引き上げた機体といえば伝わるだろうか」

デュランダル「この機体は特に、強力な対艦刀とビーム砲を装備し、
地球連合軍のMAのような、強固な防御力を持つ相手との戦いを想定している」

デュランダル「ロゴス掃滅作戦において、間違いなく主役となる機体だよ」

シン「凄い…!」
84 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:02:52.07 ID:0mYK1JlO0
デュランダル「そして、レジェンドだが…」

議長の視線の先には、巨大な円盤型のプラットフォームを背負った、暗いトリコロールの機体。

デュランダル「ドラグーンシステム、君ならば使いこなせると思うが…」

デュランダル「どうかな、アスラン?」

アスラン「え…?」

デュランダルが不思議そうにアスランの顔を覗き込む。

デュランダル「どうしたね、上の空ではないか。お気に召さなかったかな?」

アスラン「あ、いえ…」
85 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:05:28.52 ID:0mYK1JlO0
シン「議長!アスランは議長にお話したいことがあるみたいで…」

デュランダル「私に?」

シン「自分は一足先に、新しい機体の慣熟訓練に入るであります!」

デュランダル「そうか…許可する。頼りにしているよ、シン」

シン「は!失礼するであります!」

アスラン(シンのやつ…気をつかってくれたのか…)

シンが立ち去ったのを確認すると、デュランダルはアスランの方へ向き直った。

デュランダル「で、話というのは…?」
86 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:09:45.34 ID:0mYK1JlO0
シン「本当に凄い…!デスティニーの反応速度、信じられないレベルだ!」

シン「この機動性…インパルスどころか、フリーダムよりも上じゃないのか!?」

シュミレーターの中で夢中に機体を操るシンを、
けたたましく鳴り響く警告音が現実に引き戻した。

シン「なんだ!?」

レイ「シン、デスティニーを出せ!」

シン「レイ!一体なにが…」

今日受領したばかりの機体をいきなり発進させろとは、どういう事態なのだ?
面食らうシンに、レイが告げる。

レイ「敵の工作員が新型…レジェンドを奪って逃走した!」

シン「なんだって!?…アスランは!?」
87 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:11:39.27 ID:0mYK1JlO0
レイ「敵はそのアスラン・ザラだ!!」

シン「え…!?」

一瞬、レイがなにを言っているのか理解できずに動きを止める。
しかし、レイがこんなタチの悪い冗談を言うような男ではないことを、
士官学校時代からの友人であるシンが一番理解していた。

シン「なにか…理由があるはずだ!」

確かめなければならない。
アスラン・ザラになにがあったのかを、そしてその真意を。
88 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:13:35.13 ID:0mYK1JlO0
レジェンドのレーダーに友軍機の接近を確認。
モニターに映し出されるのはデスティニーと、それに追随するフォースインパルスの姿。

アスラン「デスティニー…シンか!インパルスには…?」

シン「アスラン!なにをやってんだよ、アンタは!?」

アスラン「済まないと思っている!だが、お前に相談しているだけの猶予はなかった!」

アスラン「俺は議長に用済みと判断され、消される寸前だった!」

シン「なっ…!?」

アスラン「不要になったものは排除する…それが彼の本性だ!"都合の悪い映像を消す"ように俺を!」

レイ「真に受けるな!裏切り者の戯言だ!」

アスラン(インパルスに乗っているのは…レイか!)
89 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:15:50.77 ID:0mYK1JlO0
アスラン「聞けシン!議長の言葉は正しく、心地よく聞こえるかもしれない!」

アスラン「だが彼の言葉は"手段"だ!そこに誠意や信頼は無い!」

アスラン「彼の思い描く"平和な世界"は、俺たちが望むそれとはかけ離れたものだ!」

シン「え…?」

レイ「シン、聞くな!」

アスラン「人の適正ごとに役割が割り振られ、歯車として機能する世界!
人が人でなくなる世界…それが議長の作り出そうとしているものの正体だ!」

レイ「ええい、黙れッ!」

背中のビームサーベルを引き抜き、レジェンドに斬りかかるインパルス。

アスラン「レイ、やめろ!君を討ちたくなどない!」

迎え撃つレジェンドのビームジャベリンが、インパルスの右腕をサーベルごと斬り飛ばした。

レイ「速い…!ちぃっ!マシンポテンシャルが違いすぎるか…!」
90 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:18:08.56 ID:0mYK1JlO0
シン「役割…歯車…?」

シン「そんなの…ステラに兵士の役割を押し付けた、ロゴスのやつらと同じじゃないか!」

レイ「シン、それは違う!議長は!」

アスラン「シン、お前も一緒に来るんだ!」

レイ「アスランは既に少し錯乱している!まともに言うことを聞くな!」

アスラン「俺は錯乱などしていない!シン、議長に踊らされては駄目だ!
お前のその力を、意思を、利用されるな!」

レイ「シンを惑わすな!裏切り者が…!」

左腕でライフルを構え、その引き金に指をかけるインパルス。
91 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:20:08.41 ID:0mYK1JlO0
シン「レイ…ごめん、俺は…!」

レジェンドを庇うように、デスティニーが立ちふさがる。

レイ「シン…!?」

アスランの言葉にはなんの根拠もなかった。
だがシンにとって、それがアスランの言葉であるということだけで、信じるに値するものだった。

レイ「議長よりも…俺よりも、アスランを信じるというのか!お前はっ!!」

シン「そうじゃないよレイ…!俺は…!」

レイ「…くっ!」

構えていたライフルを降ろす。
インパルスでは、デスティニーとレジェンドの二機を押さえることなど到底不可能だと、レイは理解していた。
92 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:23:28.16 ID:0mYK1JlO0
レイ「どこへなりとも行くがいい…」

シン「レイ…」

レイ「シン…俺はお前を許さない。絶対に…!」

恐ろしいほどに冷ややかな声が、デスティニーのコクピットにこだまする。

シン「っ…!」

その声の鋭さに、シンは背筋が凍るような感覚を覚える。
そしてそれ以上に、友人から発せられた明確な憎悪に、どうしようもない悲しみが込み上げてくる。

シン「ごめん…でも、俺は…」
93 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:24:33.19 ID:0mYK1JlO0
飛び去って行くレジェンドとデスティニー。
その背中を、レイはモニター越しに睨み続けた。

レイ「…ミネルバに通達。シン・アスカ、アスラン・ザラの両名は…」

レイ「ザフトを…裏切った」
94 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:26:25.30 ID:0mYK1JlO0
シン「アークエンジェルの元へ向かうんですか?」

アスラン「ああ」

シン「…向こうへ着いたら、詳しいことを説明してくださいよ」

アスラン「…すまん。お前にも、裏切り者の汚名を着せることになった」

アスラン「だが、これ以上…俺たちが議長に利用されるなんてことは、あっちゃいけない」

シン「…選んだのは俺自身です。あなたが謝ることじゃない」

シン「ただ…ルナ、ヨウラン、ヴィーノ…あいつらには、いつか謝る機会があるといいけど…」

シン「…レイにも」
95 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:28:23.10 ID:0mYK1JlO0
デュランダルへの報告を済ませたレイは、基地内に用意された部屋ではなく、
ミネルバ艦内の私室へと戻ってきていた。
シンと共同で使用していた部屋。
まだシンの私物は撤去されていない。
ふと、デスクの上にピンク色の端末があるのに気が付いた。

レイ「これは…」

以前、妹の形見だと話していた、小さくて丸みを帯びた携帯電話。
アカデミー時代、シンはよくこれを他の生徒からかわれて、そのたびに喧嘩に発展していた。

レイ「あの馬鹿、こんな大事なものを…」

レイ「……」

いや、当然だ。
彼は、また此処に戻ってくるつもりで出撃したのだから。
96 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:30:06.39 ID:0mYK1JlO0
レイ「なぜだ…」

『そんなの…ステラに兵士の役割を押し付けた、ロゴスのやつらと同じじゃないか!』

シンの悲痛な叫びが、脳裏に焼き付いて離れない。

レイ「違う…ギルの世界は…俺やステラのような人間が生み出されない世界なのに…」

レイ「戦争の無い世界…それはシン、お前が他の誰より望んでいたものじゃないのか…」

固く握りしめたその拳を、何処に振り下ろせばいいのか。
それすらもわからないまま、レイは立ち尽くすしかなかった。
97 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/01(木) 18:33:53.16 ID:0mYK1JlO0
今日はここまでです。
シンとアスランのエース二人に加えて新型二機も失った議長のライフはとっくに0よ。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 19:06:19.81 ID:xpEGw3xno
議長はただでは死なないだろう
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 19:40:10.61 ID:olP11Vqc0
Lは議長にも救いがあるというオマケまで付いてたよね
さりげなく自画自賛してたのは笑ったけど
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 20:39:59.67 ID:DSYV1cK0o
何だかんだでスパロボで美味しい役目を持ってる議長
Zのフロスト兄弟との確執とか
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 23:58:14.03 ID:QpLoKJfx0
アスラン「ジャスティスくれなかったのが一番の不満でした」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 05:31:20.09 ID:iroAslVbo
どこまで知ってたかはわからんが、親父を影で操って暴走させた奴の機体の後継機はあんまり嬉しくないよな
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 10:01:15.79 ID:+PZ5HHCA0
隠者は誰が乗るんだろ。
てかアスランにドラグーン使えるのかな
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 10:39:01.00 ID:/+I8ZU/mo
あの議長がアスラン用にって用意したんだから適性はあるんだろう
でも本人はもっと接近戦がしたかった
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 10:39:16.62 ID:FgRB/5Z1o
伝説誰が乗るんや・・・?
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 11:12:33.36 ID:tRb3IFV70
ステラじゃね
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 12:18:09.94 ID:SA0YHpaEO
むしろステラが隠者に乗る可能性
接近戦はガイアで慣れてそうだし
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 13:40:04.78 ID:XyTEDbWwO
アスラン隠者おっさんレジェンドでいいんやないの。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 16:18:38.51 ID:2nX9U6Ylo
まだおっさん連合にいるし
110 : ◆BRRGNconG6 [sage]:2017/06/02(金) 18:31:44.72 ID:4yWaJ1jA0
>>84でレジェンドの色に触れてますが、電源落ちてるのにVPSの色がわかるわけないですね。
他にもいろいろミスってたら申し訳ない。
今日中に次の投下ができるかは怪しいです。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 20:36:25.67 ID:XyTEDbWwO
>>109
でもアスラン専用の隠者蹴ってまでレジェンドに乗る必要はなくね?戦闘スタイル的にもさ。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 20:45:37.76 ID:+ZSZhFqGO
やかましい
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 22:30:55.65 ID:lPclVS48O
読者様は自分の思いどおりにならないと気がすまないのか
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 00:02:10.15 ID:ckq6xKWA0
むしろ戦闘スタイルだけならキラの方がよっぽど近接機体向きな気が
115 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:41:28.84 ID:3oNNK+Zx0
再開します。
116 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:43:01.68 ID:3oNNK+Zx0
連絡をとり、無事にアークエンジェルと合流したシンとアスラン。
シンとアークエンジェルクルーは互いに軽い自己紹介を済ませ、
現在の状況を確認する。

マルキオという名の人物が地球連合軍の技術に詳しく、
彼が持つ医療施設にステラは預けられたということ。
彼女の容態が回復次第、連絡をとることも可能ということ。

アスランの口から語られる脱走に至るまでの経緯。
シンが格納庫を去ったあと、デュランダルとの会話の中で、
ラクス・クラインの暗殺が彼の手引きであったことを確信したこと。

以前アスランがアークエンジェルクルーと密会していたときの写真を隠し撮りされており、
それを理由に罪状をでっちあげられて処分されるはずだったところを、
ミーア・キャンベルという少女のおかげで事前に危機を察知し、脱出できたこと。

自分が不要な駒として切り捨てられたことで、
彼の語った"平和な世界"に対する違和感の正体に気づいたこと。

腑に落ちた、といった表情のキラに対し、シンはショックを隠し切れずにいた。
117 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:45:13.75 ID:3oNNK+Zx0
シン「議長が…アスランを殺そうとしたなんて…」

シン「あんなに優しくて、穏やかな人が…そんな…」

デュランダルの裏の顔。
いや、邪魔者は容赦なく排除するその冷徹さこそが、彼の本性なのかもしれない。
シンは空恐ろしい感覚に身を震わせた。
118 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:46:37.80 ID:3oNNK+Zx0
アスラン「俺も、信じたかった…俺と父が道を誤ったザフトで、
再び名を呼んでくれたあの人を」

アスラン「だが…あの人が必要としたのは俺という人間じゃない。
その力だけだった」

カガリ「アスラン…」

アスラン「仮面をつけているんだ、議長は」

アスラン「人を信用させ、自分にとって都合のいい駒に仕立て上げるためのな」

アスラン「俺もまんまと騙されていた…彼の志は、自分と同じだと錯覚していた」

キラ「僕はあんなことがあったから、最初から疑っていたけどね」

シン「……」
119 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:48:12.92 ID:3oNNK+Zx0
キラ「…あ、ステラさんのことだけど、順調に回復に向かっているみたいだよ」

シン「良かった…でも、連合の技術を知ってるって…マルキオって人、何者なんです?」

キラ「うーん、とにかく物知りなんだよね。僕もときどき驚かされるんだけど…
まあ、マルキオ導師は信用できる人だから、安心してくれていいよ」

シン「キラさんがそういうなら…」

カガリがこっそりとキラに耳うちする。

カガリ「お前、ずいぶん信頼されてるんだな…」

キラ「そうかな?」
120 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:51:47.01 ID:3oNNK+Zx0
カガリ「いや、そうだろ…」

シン「なにコソコソ話してるんだよ、カガリは」

カガリ「なっ!?お、お前!キラはさん付けなのになぜ私は呼び捨てなんだ!?」

シン「別にいいじゃんか。年も同じぐらいだろ?」

カガリ「私はキラのお姉さんなんだぞ!」

シン「えっ」

カガリ「えっ」

口は半開きのまま、シンはキラに視線を向ける。

キラ「僕たち双子なんだよ。姉っていうのは、カガリの自称だけどね」

カガリ「私が姉といったら姉だ!」

キラ「あ、うん。僕もそれでいいよ」

カガリ「よし」

シン(キラさんの方が大人だ…)
121 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:55:10.71 ID:3oNNK+Zx0
アスラン「それで、俺たちはこれからどう動く?」

カガリ「ああ…私は、これからオーブ政府に戻るつもりだ」

カガリ「ロゴス幹部の中に、セイランと関わりのあるものがいたんだ。
ロゴスが世界の敵として認識された今、これを無視するわけにはいかない」

シン「ロゴスと!?」

カガリ「ああ。もう二度と、オーブを間違った道に進ませるわけにはいかない」

カガリ「そしてそれは、私たちも同じだ。アスラン、お前にも言われたけど、
あんなやり方で戦闘を止めようとするのは、無謀だったと思う」

アスラン「カガリ…」

カガリ「犠牲も多く出た。彼らに報いるためにも、私は戻らなきゃ」

アスラン「…そうだな。それがいい」
122 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 01:58:14.37 ID:3oNNK+Zx0
シン「変わったな、アンタは。もちろん、いい意味で」

カガリ「シン、お前…」

シン「俺の力が必要なら遠慮なく言ってくれ」

シン「なにかあったら、俺が絶対、アンタを守るから!」

カガリ「!?」

キラ「へえ…」

アスラン「む…」

シン「?」
123 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:00:06.10 ID:3oNNK+Zx0
カガリ「た、頼りにさせてもらう。…が、そういう台詞は一番大切な人に"だけ"言うべきだな!」

だけ、の部分を強調してカガリが言う。
シンは、そこでようやく自分の失言に気づき、顔を赤らめた。

キラ「そうそう。それにカガリを守るのは、アスランの役目だよね」

アスラン「お、おい…からかうなよ」

シン「え?二人ってそういう関係?ラクス・クラインと婚約してるんじゃ…」
124 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:02:00.60 ID:3oNNK+Zx0
アスラン「まあ…色々あってな。ラクスのことは、俺よりキラの方がよくわかってるよ」

キラ「僕たちはべつにそういう関係じゃないよ?」

カガリ「え?だって一緒に住んでたろ?」

キラ「僕はカガリとも一緒に住めるけど?それと一緒だよ」

カガリ「お前ってやつは…ラクスは苦労しそうだな…」

シン「あれ?でもラクス・クラインって今、議長と一緒にジブラルタル基地に…」

アスラン「彼女はラクスじゃない。ミーア・キャンベルだ」

アスラン「俺の…命の恩人だよ」

アスラン「本当は、彼女も此処に連れてきたかったんだが…」
125 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:03:30.52 ID:3oNNK+Zx0
シン「ええと…ラクスがミーアで…んん?」

アスラン「そういえば、ラクスは?姿が見えないが…」

キラ「本物のラクスなら、今宇宙にいるよ」

アスラン「なにしに宇宙へ?」

キラ「それは議長の−−」
126 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:04:26.41 ID:3oNNK+Zx0
ミリアリア「ファクトリーより緊急通信!」

マリュー「繋いで!」

モニターに映し出されたのは、額から血を流した隻眼の男だった。

キラ「バルトフェルドさん!?一体なにが…!」

バルトフェルド『謎の部隊に襲撃を受けた…ラクスとエターナルは死守したが、
少し不味いことになってな…』
127 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:06:25.45 ID:3oNNK+Zx0
ファクトリーが正体不明の部隊に襲撃を受けてから数日後。
遂に、ザフト軍とロゴスから離反した地球連合の義勇軍からなる、
対ロゴス連合軍によるロゴス掃滅作戦『ラグナロク』が決行。
対するロゴス側は、ザフトからの降伏勧告を無視、奇襲をかける。
ロゴスの先制攻撃によって、戦いの火蓋は切って落とされたのだった。

先制攻撃を受け、対ロゴス連合軍は混乱。降下部隊による増援も全滅。
そしてよりにもよってロゴス側には、
ベルリンの街を蹂躙した悪夢の巨大兵器、デストロイの姿があった。

既に後方の地球連合軍は後退を始めている。
タリアは悟った。これはもう、事実上の敗北だと。
128 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:08:54.35 ID:3oNNK+Zx0
タリア「議長、一度撤退を!」

レイ『必要ありません』

タリア「レイ!?」

ブリッジに通信が入る、モニターに映し出されたレイの表情は、
いつもとなんら変わりない、冷静そのものだった。

レイ『艦長、発進許可を。すぐに終わらせます』

タリア「待って、今は!」

デュランダル「頼む」

耳を疑い、タリアは艦長席のデュランダルへ振り返る。

この混乱の中にあって、艦内にいる人間の中でただ一人、
デュランダルだけが落ち着き払い、
その顔にはうっすらと笑みすら浮かべているようにも見えた。
129 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:09:28.40 ID:3oNNK+Zx0
デュランダル「タリア、レイの言うとおりに」

表情こそ穏やかだが、その言葉には有無を言わせぬ力があった。

タリア「…了解、発進準備を!」

タリア(大丈夫なの、レイ…シンがいなくなって、
一番ショックを受けていたのはあなたなのに…)
130 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:12:16.31 ID:3oNNK+Zx0
レイ「レイ・ザ・バレル…発進するッ!」

ミネルバから飛び出したMS。その機体色は雪白に染め上がり、煌びやかな黄金色のフレームを輝かせる。

モニターに映る敵機の姿を確認し、ネオは驚愕した。

ネオ「あの機体は…!?アークエンジェルが、ザフトと組んだってのか!?」

まるで、審判を下す天使と錯覚するほどの冷厳さを放つその機体は、
巨大な翼を広げ、ロゴスのMS群に向けて飛翔した。
131 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:14:33.02 ID:3oNNK+Zx0
両腕に携えたビームライフルの銃口の先で、敵機が次々と爆炎に包まれる。
コクピットを的確に撃ちぬいていくレイ。
その射撃の正確さは、もはやスナイパーの狙撃の域にあった。

だが、ロゴスの物量は圧倒的。一機倒せば入れ替わるように、また別の機体が立ち塞がる。

レイ「数ばかり揃えたところで…この機体の前では無意味だ!」

レイの操る機体の腹部に、光が収束していく。

レイ「貴様らは議長の慈悲を踏みにじった…その罪、命で贖え!」

収束した光が弾け、巨大な熱の嵐となって眼前の敵を灼き尽くす。
それは遠方のデストロイまで届く程の、長大な一撃。

その射線上にあったものは、全てが消滅していた。
陽電子リフレクターを展開していたデストロイと、
その後ろに退避していたネオの機体を除いては。

スティング「おいおい…なんつー火力だよ」

スティング「けどなぁ…俺のかわいい"バケモノ"には通じねえよ!!」

ウィンダムの群れは掠っただけで火花を散らせ、爆散するほどの圧倒的火力。
それを物ともしない、愛機の堅牢さを誇るスティング。
132 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:17:33.01 ID:3oNNK+Zx0
レイ「ふん…」

しかし、それも想定通りだと言わんばかりに、レイは落ち着き払っていた。

レイ「ミネルバ、ソードシルエットの射出を。あの巨体には対艦刀が有効だ」

連結させたエクスカリバーを右手に、フラッシュエッジを左手に握り、
デストロイ目掛けて、一直線に突撃をかける。

スティング「流石のスピードじゃねえか、天使様よォ!ネオ、援護しろ!」

ネオ「くっ…!皆、俺に続け!あれを堕とすぞ!」

ネオの指揮の下、ウィンダム部隊が襲いかかる。

レイ「諦めの悪い…」

フラッシュエッジをウィンダムの群れに向けて解き放つ。数機がそのままビームの刃に切り刻まれて四散する。
避けた機体もエクスカリバーの間合いに誘い込まれ、瞬く間に両断された。

ネオ「ちぃっ!やってくれるな!」

レイ「残るは隊長機のみ…撃破する!」
133 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:19:28.41 ID:3oNNK+Zx0
ネオ「奪うだけ奪い、守るべきものも守れず、約束も破った!」

ネオ「それでもまだ俺は生きている!生き残っちまってる!」

ネオ「なら、せめてスティングだけは…守ってみせる!」

レイ「このプレッシャーは…不愉快だッ!」

距離を離そうとするレイ機を、ネオのウィンダムが猛追する。

ネオ「逃がさんッ!」

レイ「ええいっ…!」
134 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:21:00.87 ID:3oNNK+Zx0
ネオ「スティング!俺諸共でいい!撃てぇッ!!」

レイ「くっ…!?」

ネオ(あれ…前にもこんなこと、なかったか…?)

スティング「うおぉらぁぁぁぁッ!!」

強化され、その理性すら崩壊しかけているスティングは、
なんの躊躇いもなく引き金を引いた。

ムウ(そうだ…俺は…ネオ・ロアノークなんかじゃ…)
135 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:23:19.72 ID:3oNNK+Zx0
巨大な爆発が起き、スティングの瞳はその煌きに見惚れていた。

スティング「ヒャハハハハ!最高だ!俺のデストロイこそが最強なんだ!!」

炎を映し出していたモニターに一瞬白い光が差し込んだ。直後、映像がブツリと途切れる。
自分の体が、なにか巨大なものに引き裂かれていることに気が付くと同時に、
スティングは絶命していた。

レイ「今の俺にできるのは…君を眠らせてやることだけだ」

レイ「だが、必ず実現してみせる。俺や君のような存在が、二度と生み出されない世界を…」

レイ「許せ」

エクスカリバーをデストロイからゆっくりと引き抜き、機体を離脱させる。
三十メートルを超える漆黒の巨躯はゆっくりと崩れ落ち、
高々と炎を噴き上げ、基地施設を巻き込みながら爆散した。
136 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:28:39.04 ID:3oNNK+Zx0
それから戦闘終了までは、呆気ないものだった。
敵の巨大兵器は五機、その全てがレイの手によって葬られた。
それによって、対ロゴス連合は士気を取り戻し、逆にロゴスの部隊は戦意を喪失。
残されたウィンダムやユークリッドの部隊も、散り散りになり後退していった。

メイリン「入電です!敵軍司令部より白旗を確認、戦闘続行の意思無き模様!」

デュランダル「フッ…確認を急いでくれ!」

タリア「……嘘でしょう?」

タリアは、目の前で起きた事態が信じられずに、呆然としていた。
裏で戦争を操り、世界を混迷に陥れる死の商人『ロゴス』
その存在に終止符を打ったのは、たった一機のMSと一人の少年。

アーサー「あの状況を一人でひっくり返すなんて!これは凄いですよレイ!彼は英雄だ!!」

ザフト軍の手によってファクトリーから強奪された最新鋭MS、ストライクフリーダム。
その恐るべき性能は、レイ・ザ・バレルというパイロットによって最大限に発揮されたのだった。
137 : ◆BRRGNconG6 [saga]:2017/06/03(土) 02:29:46.62 ID:3oNNK+Zx0
今回はここまでになります。
レイくん頑張った。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 02:40:36.48 ID:nnMAp1aQ0
キラ君ヤバいじゃんと思ったけどストフリなんて量産型フリーダムの強化型ってだけだし原型フリーダムもピンピンしてるし割と大丈夫か
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 02:45:56.75 ID:7UgiuAK90
本来ストフリって量産される予定だったんだよなぁ...
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 02:55:16.10 ID:93nL1Nhz0
その量産型フリーダムを強化した結果がフリーダムの数倍の性能なんですが…
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 06:52:33.67 ID:D5wvvA1cO
ストフリが敵に回る展開、種死とアムドライバーのクロスSSを思い出した
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 10:36:30.27 ID:YJsb6GzAo
量産型フリーダムをキラ用に徹底的に改造した結果がストフリだったっけ?
フリーダムはこの時代だと既に型落ちで量産機ならともかく最新鋭機にはさすがにきついって設定だっけか
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 10:38:44.09 ID:hsQWOlV0o
ちゃっかりメイリンがミネルバに残ったままだ・・・


これムゥ死亡?
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 13:15:50.86 ID:RoXyIFsRO
ムゥは周りがどうなろうと醜く生きるよ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 17:56:22.84 ID:AwAZDobC0
クルーゼもGジェネでフリーダム乗ってきてたな
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