梨子「5年目の悲劇」

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1 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:27:44.26 ID:XiEMXMZRO
注意 死亡描写あり〼。



────6月某日。


ガタンゴトン ガタンゴトン

梨子「廃校、か」

沼津へ向かう列車の中。ボックスシートに腰かけ、窓の外を眺める。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1495992464
2 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:28:36.89 ID:XiEMXMZRO
千歌から受けたそのメールがキッカケで、私は久しぶりに内浦へ向かう。

梨子「(東京での生活が忙しくて、しばらく千歌ちゃんたちと会えてなかったのよね)」

Aqoursとして活動した1年間。

けれどもその日々は、私の青春の大半を占めていたような気がする。


内浦を離れた私は、東京でピアニストとして大成した。

あれから5年。皆はどうしているだろうか。
3 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:30:10.72 ID:XiEMXMZRO
梨子「(私の知っている範囲だと確か、曜ちゃんは飛び込み選手を本格的に目指すようになって、花丸ちゃんは小説家志望)」

梨子「(ダイヤさんは家を継いで、鞠莉さんは小原グループのCEO)」



「もしかして、梨子ちゃん?」
4 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:30:50.46 ID:XiEMXMZRO
そうそう。彼女は今でもアイドルを続けている。

梨子「久しぶり、ルビィちゃん。同じ列車だったのね」

ルビィ「久しぶりです」
5 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:31:33.93 ID:XiEMXMZRO
芸能事務所に入ったルビィは、そこそこ名の通ったアイドルとして活動中。

つい先日も、元μ'sで事務所の先輩でもある矢澤にことテレビで共演したばかり。

芸能界におけるアイドルのイロハ等を教えてもらい、仲良くやっているそうだ。

それにしても……。
6 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:32:31.90 ID:XiEMXMZRO
梨子「何と言うか、こう……個性的な恰好ね」

目の前に座るルビィが身に着けているのは、目立つ色のサングラスに100円ショップで売っていそうな使い捨てマスク。

聞けば、矢澤にこにオフの日に外出する際の変装のコツまで教えてもらったのだという。

もっともこれで人の視線を集めるな、という方が無理なのだが。
7 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:34:17.45 ID:XiEMXMZRO
ルビィ「お姉ちゃんとはたまに連絡を取ってるけど、みんなと会うのは久しぶりだからな〜」

梨子「そうね……。みんなどうしてるかしら」


ガタンゴトン ガタンゴトン

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/29(月) 02:34:46.46 ID:lat/8732o
なんだゴミか
9 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:37:14.21 ID:XiEMXMZRO
列車を降りて、私たちはバスに乗り換えた。

Aqoursの人気がピークに達していた頃は自分たちのラッピングバスも走っていたりしたものだが、流石にもう見かけない。

けれども、ルビィは兎も角、一緒にいた私にまでサインをねだる人に何回か遭遇したあたり、まだその熱は残っているらしい。


『次は〜 伊豆・三津シーパラダイス〜 伊豆・三津シーパラダイス〜 運賃をお支払いの際、お釣りは出ませんので……』
10 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:37:53.62 ID:XiEMXMZRO
ルビィ「あれ」

梨子「どうしたの?」

ルビィ「細かいお金用意してなかったみたいで……」

梨子「確か、支払いの所で一緒に両替も出来た筈よね」

ルビィ「……」 フルフル
11 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:39:00.50 ID:XiEMXMZRO
首を振るルビィ。小銭だけではなく、1000円札も用意していなかったらしい。

このバスで受け付けている両替は1000円札のみ。つまり、このままではルビィは料金を払えない。


梨子「困ったわね……ICカードも対応してないし、私も自分の分しか細かいのないし」



「ほら、これ」

すると、背後からいきなり小銭が差し出された。
12 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:40:32.77 ID:XiEMXMZRO
ルビィ「え?」

梨子「あ……!」


曜「お久しヨーソロー!」

ルビィ「曜ちゃん!」

梨子「何でこのバスに?」

曜「今日の仕事が終わったからね〜。それにメールを出したのが千歌ちゃんだから、きっと千歌ちゃん家に行くだろうって」

曜「だから十千万で先に待ってようって思ってたんだ。でも同じバスになったから、2人を驚かせようってね」
13 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:41:13.67 ID:XiEMXMZRO
ルビィ「あれ、仕事って……」

梨子「水泳、今でも頑張ってるのね」


曜「あ、えーと……あはは」


曜「仕事って、パパの手伝いだよ。ほら、船乗り」

曜「だから、最近はあんまり泳いでないかな……」 アハハ
14 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:42:41.86 ID:XiEMXMZRO
梨子「そう、なんだ……」

曜「うん……」


私はそれ以上、返す言葉が見当たらなかった。

……ルビィと共に衣装を作っていた曜の腕は、5年前よりもたくましい、無骨な船乗りのそれになっていた。
15 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:44:40.65 ID:XiEMXMZRO
梨子、曜「「…………」」

ルビィ「あの、もう着いたけど……」


僅かな気まずさを残したまま、私たちはバスを降りる。

ルビィは後で小銭を返すと言うけれど、曜は別にいいと返す。

2人の譲り合いの決着は着かないままだった。
16 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/29(月) 02:45:30.47 ID:XiEMXMZRO
今回はここまで。ゆっくりペースで書いていきます。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/29(月) 03:51:00.56 ID:2a7TmzYgo
曜ちゃんがすでになんか悲しい感じなんですが
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/29(月) 06:06:14.58 ID:9zOQyrsfO
支援
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/29(月) 21:17:58.41 ID:c0TenoRDO
曜ちゃんから漂う夢に破れた人感
20 : ◆8TImjtGSKs [saga]:2017/05/30(火) 02:29:11.77 ID:JqVZ3y0GO
すいません>>2が1文抜けていました
正しくは



『浦の星女学院の廃校が決定した』


千歌から受けたそのメールがキッカケで、私は久しぶりに内浦へ向かう。

梨子「(東京での生活が忙しくて、しばらく千歌ちゃんたちと会えてなかったのよね)」

Aqoursとして活動した1年間。

けれどもその日々は、私の青春の大半を占めていたような気がする。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/30(火) 03:37:55.35 ID:wx0NoYt+O
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