勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」

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415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:02:23.71 ID:gfMNufM2O
\遊び人君格好いい!/



商人「……ちょっと。ユーも自重しちゃいなよ。俺より目立ってどうすんの」

遊び人「……ゴメン」

商人「ブキヤ、今日はこういう演出なの?」

ブキヤ「これから若には見せ場がきますのでご安心を」

商人「ならいいけど」

ブキヤ(ならいいのだが……)

勇者「しっかし驚いたな。あんなプレーなかなか見られないぜ」

遊び人「……」

勇者「どうした?いつものお前らしくないな。今なら調子に乗っていいんだぞ」

武闘家「わからないか?」

勇者「何を?」

武闘家「……あそこを見ろ」

勇者「ん?客席?」クルッ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:07:28.34 ID:gfMNufM2O
観客「さっきはすごかったよ」

遊び人「僕ならあれくらい当然さ」



勇者「!?」



観客「格好いい……サインください」

遊び人「いいよ。君の名は?」



勇者「お前もしかして……」クルッ

賢者「……」

勇者「入れ替わってるうー!?」
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 23:10:38.00 ID:dfDd09hfO
笑うわこんなん
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:19:03.83 ID:gfMNufM2O
───客席

遊び人「僕とずっと一緒にいてくれないか?」

観客「ずっとって、この試合中?」

遊び人「いいや」

観客「じゃあ今日一日?」

遊び人「いいや」

観客「じゃあいつまで?」

遊び人「僕が言いたいのは……永遠」

観客「喜んで……ぽっ」

勇者「失礼ながらあなたさっきまでグラウンドにいた人とは別人では?よく若い方は騙されるのですが」

遊び人「!?」

勇者「何やってんだてめえ」

遊び人「あ、あれ?もうバレた?」

勇者「お前ら見分けつかねえんだよ。来い!」グイッ

遊び人「待ってよ!まだ10人しか連絡先を……」

勇者「うるせえ!何がNEW遊び人だ!なんにも変わってねえじゃねえか!」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:35:16.64 ID:gfMNufM2O
───商人ウェポンズベンチ

遊び人「うう……」ボロッ

魔法使い「おかえり……うわ」

僧侶「また派手にやったな」

盗賊「自慢の顔が台無しだな」

戦士「そこまでしなくても……」

遊び人「うう……」

勇者「もうあんなことできないようにピエロメイクしてやった」

遊び人「ひどいじゃないか!これじゃあ僕が誰だかわからないだろ!」

武闘家「賢者と見分けがつけばいい」

僧侶「うむ。お前が文句言える立場ではない」

魔法使い「でもよく賢者君代わってくれたね」

遊び人「今日は女の子といっぱいお近づきになれるチャンスなんだ。昨日頼み込んだんだよ」

戦士「意外と簡単に引き受けてくれんだね。野球は嫌なのかと思ったけど」

遊び人「僕がお願いすればなんでも聞いてくれるからね」

盗賊「戦力的にはあいつの方が頼もしいんだがな」

遊び人「う……」

勇者「野球部は賢者じゃない。遊び人だ。野球部の力で勝たなきゃ意味ないだろ」

遊び人「そっか……そうだった。僕はまた過ちを犯すところだった」

勇者「ああ、お前が必要なんだ」

遊び人「兄貴より僕を……うん。頑張るよ。ところで兄貴は?」

魔法使い「店の仕込みがあるから帰っちゃったよ」

遊び人「おおい!ならこのメイクなんなんだよ!」
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:42:06.71 ID:gfMNufM2O
武闘家「それより勇者の打順に回ってきている。急げ」

勇者「あれ?商人は?」

僧侶「ツーベースヒットを打ったよ」

勇者「え?あいつ打つ方もすごかったのか?」

盗賊「なんか、ボールの来る場所がわかっていたような感じだったが」

武闘家「そしてブキヤが三振でワンナウト二塁だ」

魔法使い「チャンスだよ。頑張って」

勇者「おう」ブンブン
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 23:42:48.29 ID:gfMNufM2O
つづく
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 18:53:45.34 ID:RFjaFzL60
賢者ドラフト競合レベルだろ
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 18:52:17.48 ID:44X5KIe6O
───二回裏

ウェポンズ 0-0 インズ

1死 2塁


夢爺「ヤドヤめ……珍しくサインを出したと思ったら」

ヤドヤ「……」

夢爺「このピンチもお前の望み通りというわけか」



実況『ウェポンズのチャンスはまだ続きます。6番ファースト勇者選手。守備ではミスがありました。ここで挽回したいところ』



夢爺「まあいい。ランナーを返さなければいいだけのこと」

勇者「よっしゃ。来い!」

夢爺「こいつはほぼ素人。抑える」ピュッ

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「うお、近くで見るとやっぱ速え」

夢爺「どうした?手も出せないか」

勇者「へへ」

ヤドヤ「ん?」

夢爺(笑っている……?)
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 19:01:21.84 ID:44X5KIe6O
勇者「絶対打ってやる」

夢爺「ふっ、打てるものなら打ってみろ」ピュッ

勇者「おりゃ!」ブン

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「ダメだ。振り遅れちまう。もっと早く振らないと」

夢爺「ふん」ピュッ

勇者「おりゃ!」ブン

スゥー

バシィ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

勇者「!?」

夢爺「緩急だ。こんな投球は初めてかな?坊や」

勇者「……」

夢爺「ふっ、言葉も出ないか」

勇者「……はは。楽しいな」

夢爺「なに?」

勇者「やっぱ野球は楽しいや。こんなすげえやつと戦えるんだもんな」

夢爺「こいつ……」

ヤドヤ「……」
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 19:13:15.31 ID:44X5KIe6O
実況『おおっと、いい投球を見せました夢爺選手。ワンナウト2塁からツーアウト2塁に変わります』

解説『坊っちゃ……商人選手の好投に刺激を受けたんでしょうなあ』

実況『次のバッターは先程ファインプレーを見せた7番サード遊び人選手。本日初打席……ですがあのメイクはなんでしょう?』

解説『さあ?ハーフタイムショーか何かやるんじゃないですか』



\キャー!遊び人くーん!/

\頑張ってー!/

\ピエロメイクもお茶目/



遊び人「こんな顔だけど兄貴のお陰でいっぱいファンがついたよ。ラッキー」

夢爺(こいつははっきり言ってレベルが違う。あのプレーからただの素人ではないとわかる)

遊び人「ここで打ったら会場の女の子皆僕のファンになっちゃうかもね」

夢爺(ヤドヤもどう出るかわからない。ここは……)
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 19:20:51.86 ID:44X5KIe6O
バシィ

アンパイア「ボールフォア!」

遊び人「あれ?四球か。まあいいや。出塁できてラッキー」


武闘家「安全策か。賢者の活躍が効いているな」

盗賊「別人だと気づかれたらどうなることやら」

僧侶「魔法使い、番が来たぞ」

魔法使い「うう。僕かあ」

僧侶「わはは。まだ序盤。最初の打席だ。気負わずにいけ」

魔法使い「う、うん」
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 19:34:33.15 ID:44X5KIe6O
───

カキィン

魔法使い「あー……」

ヒューン

パシッ

夢爺「ピッチャーフライ。チェンジだ」ニヤ

魔法使い「くそ、当てたのに」

勇者「ドンマイドンマイ」

魔法使い「商人君、ホームに返せなくてゴメン」

商人「気にしないでよ」

魔法使い「商人君……」

商人「打点つけるのは俺だからどんどんアウトになっちゃいなよ」

魔法使い「……」

武闘家「そういうことだ。気にするな」

盗賊「あいつフライのとき走ってもなかったしな」

魔法使い「はあ……どうなるんだこれ」
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 19:35:22.57 ID:44X5KIe6O
つづく
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 13:28:02.01 ID:Qq6qmK/v0
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:23:53.03 ID:HAPrKiJOO
───三回表

ウェポンズ 0-0 インズ


実況『傾きかけた流れを止めました夢爺選手』

解説『坊っちゃ……商人選手がせっかくチャンスをつくったのですがね』

実況『ここまで両チームともチャンスはつくるも無得点。この回はインズの攻撃、8番セカンド大蟻食い選手からです』



\ブーブー!/

\引っ込めー!/



大蟻食い「俺何もしてないのに……このブーイングあり得ない」

勇者「ありゃー、すげえブーイング。相手やりづらいだろうな」

僧侶「賢者の活躍もあり、ますます応援が増えたようだ」

勇者「でもちゃんと野球見てくれてるってことだろ。だったらこの声援もアリだな」

僧侶「うむ。有り難い」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:36:55.40 ID:HAPrKiJOO
商人「じゃあさっさと仕留めちゃうかな」

大蟻食い「ありあり?もしかして舐めてる?」ペロッ

商人「おりゃ!」ピュッ

大蟻食い「アリィ!」カキィン

魔法使い「一二塁間のゴロだ!」

勇者「やっぱ遊び人の方は狙わねえか。僧侶!」

僧侶「うむ」パシッ

ピュッ

勇者「おし、ナイスボール」バシィ

塁審「アウッ!」

魔法使い「さすが。軽快」

大蟻食い「ありあり?あそこも堅い」ペロッ

遊び人「なるほどね……」

武闘家「そちらを狙われるとは舐められたものだな。守りのエキスパート」

僧侶「わはは。今までいいところがなかったからな。見せ場はこれからだ」

勇者「今のサード狙われるより助かるぜ」チラッ

遊び人「なるほど。あの辺りの席に可愛い子が揃っている。後で連絡先聞きに行かなきゃ」
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:50:12.01 ID:HAPrKiJOO
───

一角兎「くっ」スカッ

バシィ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」



実況『9番1番を二者連続三振!商人選手、流れは渡さない!』

解説『さすがですなあ』



僧侶「うむ。危なげなく後続も抑えたな」

武闘家「素人が続けばそうなる」

魔法使い(でも経験者には捉えられている。そろそろちゃんと対策しないと二巡目はどうなるか……)

勇者「よし、この回で試合動かそうぜ。トップバッターは」

戦士「俺だよ」

勇者「……」

戦士「任せてよ」

武闘家「戦士」

戦士「頑張るよ」

武闘家「バットは振るな」

戦士「!?」

武闘家「球数を多く投げさせて四球狙い作戦だ」

戦士「じゃあファウルで粘って……」

武闘家「振るな。お前の打撃はまだ見せるときじゃない。秘密兵器なんだ」

魔法使い(バット振られたら危ないもんね)

戦士「でもコントロール良さそうだし……」

武闘家「やつはブランクがある。そろそろ疲れが出てきてもおかしくない。四球狙いだ。絶対振るな」

戦士「……」

魔法使い(本当に期待されていないってここまで悲しいんだ……)
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 21:57:19.78 ID:HAPrKiJOO
───三回裏

ウェポンズ 0-0 インズ


バシィ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

戦士「三球で終わったやんけ……」



\ブーブー!/

\これ以上足引っ張らないで!/

\動けデブ!/



戦士「俺だけアウェーやん……トホホ」
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 22:12:27.89 ID:HAPrKiJOO
実況『9番戦士選手、一度も振らずに三球三振。両チームとも得点なく一巡しました。次のバッターは1番盗賊選手です』

解説『どちらもアウトのうち三振が多いですね。ピッチャーの質がいい。特にウェポンズ』



夢爺「お互いのレベルが低いということだ。このままでは塩試合だな」

盗賊「けっ、すぐ打ち崩してやる」

夢爺「口先だけならなんとでも言える」ピュッ

盗賊「くっ」ブン

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

盗賊「くそ、当たらねえ」

夢爺「ふっ、何も考えずに振っているだけではな。それでもリードオフマンか?」

盗賊「リードオフマン……」

夢爺「お前が出られないようじゃ得点チャンスは半減だな」ピュッ

盗賊「……」

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

盗賊「俺はリードオフマン……俺の武器は足だ」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 22:22:38.42 ID:HAPrKiJOO
盗賊「認めたくねえがあいつからヒットを打つのは可能性が低い」

夢爺「これで三振だ」ピュッ

盗賊「塁に出られる方法があるなら……!」スッ


魔法使い「えっ!?」

勇者「バントの構え?」

遊び人「ツーストライクだよ」

武闘家「いや、だからこそ意表をつける」


盗賊「なんだって試すぜ!」コン

夢爺「スリーバントだと?」

コロコロ

盗賊「うおおおお!」ダッ

夢爺「ちっ、うまく転がしたな。サード!」

バブルスライム「バブ!バブ!」ガシッ

ピュッ

盗賊「うおおおお!」ズサー

フロッガー「ゲロッ!」パシッ

塁審「……」

盗賊「……」チラッ

フロッガー「……」チラッ

塁審「セーフ!」

盗賊「しゃあ!」
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/13(水) 22:29:14.36 ID:HAPrKiJOO
勇者「すげえ。やっぱ速いなあいつ」

魔法使い「セーフティバントでいいところにいったね」

武闘家「打てないのであれば勝負にいくべきと踏んだのだろう。やつの集中力の勝ちだ」



\やっぱ格好いいかも/

\あんたブキヤのファンでしょ/

\やめてよブキヤに聞こえちゃう/



盗賊「ふ、ふん。アリアハンのリードオフマン舐めんなよ」

夢爺「ほう」
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 22:30:06.35 ID:HAPrKiJOO
つづく
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 19:18:12.35 ID:i3B3YQ9lO
僧侶「さて、せっかく足のあるランナーが出た。どうするか」

魔法使い「選択肢が一気に増えたからね。盗賊君の盗塁もいけるよ」

勇者「いや、あいつやんないと思うぜ」

魔法使い「え?なんで?」

武闘家「キャッチャーが飾りじゃ簡単に盗める。やつはバコタの精神を受け継ぎ、アンフェアは嫌うはず」

魔法使い「一番勝ちたがっていたのに……」

僧侶「任せてもいいか?」

武闘家「まあ普通なら送るな。その後のチャンスを次の俺が仕留めるというのがセオリーだ」

僧侶「俺にはそれしかできそうもない」

武闘家「だが意表をつくやり方で攻めるのも面白い」

僧侶「……」

武闘家「今なら向こうに動揺がある。何かを起こすチャンスということだ」

僧侶「……お前ならそう考えると思ったよ」

武闘家「盗賊が切り開くヒントを残してくれた」

僧侶「たしかにセオリー通りではつまらんな。仮にもショニーズ。自信はないがお客を楽しませるとするか」
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 19:32:12.24 ID:i3B3YQ9lO
───

実況『盗賊選手の見事なセーフティバントでワンナウト1塁になりました。続くバッターは2番僧侶選手』



僧侶「さて……」スッ

夢爺「送りバントか。盗塁をさせないとはなかなかフェアじゃないか」

僧侶「キャッチャーが地蔵ではつまらんからな」

夢爺「ふっ、言われているぞ。ヤドヤ」

ヤドヤ「……」

夢爺「だが送ろうが関係ない。アウトが一つ増えるだけ」ピュッ

フロッガー「バント処理なんてゲロいぜ」タッタッタッ

バブルスライム「ああ……バブみを感じてえ」タッタッタッ



実況『ファーストとサードが前に出た!』



僧侶「すまないな。これは邪道かな」スッ

ヤドヤ「バッティング?」

僧侶「アンフェアではないぞ。戦法だ」

夢爺「なんだと?下がれ!」

フロッガー「ゲロッ!?」ピタッ

バブルスライム「バブッ!?」ピタッ

僧侶「遅い」ニヤリ

カキィン



実況『打ったー!僧侶選手ここでバスターだ!』
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 19:42:37.37 ID:i3B3YQ9lO
コロコロ

僧侶「……すまん」


勇者「げ、ボテボテ」

戦士「あんだけ格好つけてたのに!?」

武闘家「……こんなものだ。奇襲を仕掛けるには根拠となるレベルが低すぎたということ」

魔法使い「バスターなんて難しいもん……当たっただけいいよ。結果的に進塁打にはなりそうだし」


コロコロ

夢爺「ファーストサードは反応が遅れている。キャッチャー」

ヤドヤ「……」

夢爺「……ふう」ダッ

夢爺「これも捕ろうとしないか」パシッ

夢爺「一塁は……」チラッ

僧侶「ん?セーフか?」タッタッタッ

夢爺「ちっ」

ヤドヤ「……」


勇者「あら?なんかセーフになったぞ」

魔法使い「ヤドヤさんの守備範囲だったけど捕らなかったんだ」

遊び人「本当に最低限のキャッチャーの働きしかしないんだねえ」



\なにあれ?/

\よくわかんなーい/

\でもウェポンズが押してるし面白ーい/



僧侶「喜んでもらっているようだが、いまいち達成感はないな」
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 19:51:27.81 ID:i3B3YQ9lO
実況『バスターで意表をつき、当たり損ねの内野安打で出塁。ワンナウト1、2塁になりました。続くバッターは3番武闘家選手』



夢爺「アウトにするには三振かキャッチャーの守備範囲に打たせない、か」

ヤドヤ「……」

武闘家「随分と苦戦しているようだな」

夢爺「苦戦?まだ点を与えていないが」

武闘家「今から失点するだろう。この俺によって」

夢爺「お前たちごときには無理だ」ピュッ

武闘家「残念だったな。お前の球はすでに見切っている」ブン

カキィン



実況『打ったー!武闘家選手初球からいったー!』
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 20:01:08.93 ID:i3B3YQ9lO
ヒューン

武闘家「……すまん」


勇者「げ、ファウルフライ」

戦士「あんだけ大口叩いておいて!?」

魔法使い「いやなんとなく予想できたけど……」

遊び人「大きいの狙おうとして大振りしすぎたね。女の子の前だからって」

勇者「レベルが低いって辛いな……」

遊び人「あれ?でもキャッチャーフライだよ。彼は捕らないんじゃない?」

勇者「じゃあファウルか。不可抗力だけど気を取り直して……」


タッタッタッ

ヤドヤ「ん?」

夢爺「どけ!」タッタッタッ

ヤドヤ「なに?」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/17(日) 20:10:03.72 ID:i3B3YQ9lO
勇者「嘘だろ。あいつ捕る気か」

戦士「打球こっちのベンチに入りそうだよ。無理だって」

遊び人「球しか見ていない。危険だ」

魔法使い「こっちに来る!?」


夢爺「おおおおお!」バッ

パシッ

武闘家「捕った……が」

魔法使い「危ない!」

ドンガラガッシャーン

戦士「う、うわあ……」

勇者「おいおい。突っ込んでベンチに……無茶しすぎだろ」

魔法使い「夢爺さん、大丈……」

夢爺「」

魔法使い「え?」

勇者「おっさん!やべえ。気を失ってる。頭打ったか」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 20:10:45.94 ID:i3B3YQ9lO
つづく
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 19:25:05.33 ID:Haep8ENwo
続き…
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/27(金) 21:32:39.20 ID:sTGtY0d1O
実況『なんとピッチャーの夢爺選手、ファウルフライを捕りにウェポンズベンチへ飛び込んでしまいました』

解説『ヤドヤ選手は見切って捕りに行かなかったんですが、彼の方は判断を誤りましたね』

実況『ここからはよく見えないんですが大丈夫でしょうか。アウトが宣告されたのでキャッチはしたようですが……インズの選手も集まってきました』



\え……何あれ大丈夫だよね?/

\死んだ?/

\ヤドヤに任せればよかったのに張り切るから/

\死んだ?/



商人「お客さんドン引きじゃん!やり過ぎだよ!」

ヤドヤ「……」

大烏「夢爺さん!」

一角兎「しっかり!」

スライム「うわああん」

勇者「おい、おっさん!」ペチペチ

魔法使い「そんな無茶な起こし方まずいって!」

夢爺「ん……」パチリ

勇者「お、気がついたぞ」

魔法使い「嘘……でもよかった」
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/27(金) 21:51:10.46 ID:sTGtY0d1O
大烏「夢爺さん!大丈夫ですか!」

一角兎「わかりますか!?」

スライム「ひっく……ひっく」

夢爺「……ああ。少し打ちつけただけだ。どれくらい眠っていた?」

勇者「1、2分ってとこだな」

夢爺「そうか。中断させて悪かった。再開しよう」

大烏「でも……」

夢爺「大事にするな。大勢の人間が見ている」

ヤドヤ「無理しない方がいいんじゃないの」

夢爺「お前に言われる筋合いはない」

ヤドヤ「そんな減らず口を叩けるなら大丈夫そうだな」

夢爺「ふん……」

勇者「本当に大丈夫か?結構派手にいったぜ」

夢爺「敵の心配より自分の心配をしたらどうだ。本気で勝つ気があるのか?」

勇者「それとこれとは……」

夢爺「ただでさえレベルの低い試合を見せているのにこのままでは事故のような空気になるぞ。こんなものは野球ではよくあるプレーだ」

勇者「……」

商人「大丈夫って言ってるならいいじゃん。一人欠けたら中止なんだから派手な演出でも怪我はやめてよね」

夢爺「悪かったな。試合再開だ」
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/27(金) 22:15:07.49 ID:sTGtY0d1O
───

実況『どうやら大丈夫そうですね』

解説『ショニーズ野球リーグではあまり見られない出来事だったので大袈裟になりましたな』

実況『捕球後にボールデッドとなりランナーそれぞれ進塁します。ツーアウトですが2、3塁になってここで4番商人選手です』



商人「ヤドヤ、また真ん中に投げさせちゃいなよ」

ヤドヤ「いやあ……あいつもう俺のサインは無視すると思います」

商人「なんで!?頭でも打っておかしくなっちゃったの?」

ヤドヤ「まあ……そういう感じですかね」

商人「なんだよそれ。だったらピッチャー代えちゃってよ」

ヤドヤ「若なら実力で打てますって」

商人「え?本当?」

夢爺「お喋りとは余裕だな。二人で俺を打ち崩す相談か?」

商人「うるさいな。言うこと聞かないやつなんか給料減俸だ」

夢爺「そろそろ投げるぞ」

商人「どの辺に投げそうかな?変化球あるのかな?」

ヤドヤ「もう来ますよ。構えた方が」

夢爺「ふう」スッ

ズキッ

夢爺「うっ」ピュッ

夢爺「しまっ……!」

商人「え?」

ドゴッ

商人「ぐええ……」

ヤドヤ「若!」

アンパイア「デッボー」

夢爺「……」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 22:18:54.03 ID:DRrvx0kkO
勇者「うわ、やりやがった」

遊び人「今なんかフォームおかしかったね」

戦士「さっきどこか痛めたんじゃない?」


ヤドヤ「若!大丈夫ですか」

商人「うう……痛いよ」

ヤドヤ「右手が腫れている。骨折かもしれない」

商人「なんだよ……あいつなんでぶつけたの?」

ヤドヤ「わざとじゃないと思いますが」

夢爺「すまない。故意ではないが野球とはこういうもの」

ヤドヤ「俺たちの野球は客を楽しませてナンボだ。本気のデッドボールはまずいんだよ」

夢爺「……」

武闘家「お前のやり方は客を楽しませているか?」

ヤドヤ「ああ?」

武闘家「元を辿れば誰の怠慢プレーが引き起こした?」

ヤドヤ「……」

武闘家「お前のやっていることは客ではなく、商人を喜ばせているだけじゃないのか?」

ヤドヤ「……なんだと?」

夢爺「当てたのは俺だ。ヤドヤは関係ない」

ヤドヤ「……」
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 22:34:30.16 ID:DRrvx0kkO
商人「ちょっと、俺を無視して揉めないでよ。救急車呼んで」

ブキヤ「……若」

商人「ブキヤ、早く救急車」

ブキヤ「しかし若がこのまま退場となれば、試合中止ということになります」

商人「だって骨折れちゃってるよ」

僧侶「見せてみろ」ガシッ

商人「折れてるよ!触らないでよ!」

僧侶「ふむ、これなら大丈夫だ。ただの打撲だ」

勇者「なんだ。よかったな」

商人「素人の意見なんて参考にならないよ!すごく痛いんだよ!」

武闘家「僧侶はその辺の医療従事者よりは当てになる」

魔法使い「なんで!?」

僧侶「そういう宗派に生まれ育ったからな」

魔法使い「どういう!?」

僧侶「打撲に対して医者ができることはさほどない。精々薬を処方するだけ。ならば素人でもやることは同じ」スッ

魔法使い「それは?」

僧侶「うちの寺に代々伝わる秘伝の薬草だ。そこらの湿布よりは効くぞ。わはは」

魔法使い「う、胡散臭い……」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 22:53:13.67 ID:DRrvx0kkO
ヌリヌリ

商人「あれ?ちょっと痛みがなくなってきた」

魔法使い「嘘でしょ!?」

僧侶「完全に治ったわけではない。あまり動かすな」

魔法使い(この人何者なんだろう)

商人「くっそー……なんでこんなことに」

武闘家「あんなの避けられない方が悪い。お前が敵のキャッチャーと話をしているから避けられなかっただけだろう」

商人「なんで当てられた俺が責められるの」

武闘家「いつまでもこんなことをしていたら不穏な空気になる。観客にアピールしてやれ」

商人「なんで……」フリフリ


ヤドヤ「意外だね。お前も俺を責めるかと思ったが」

夢爺「事実を言ったまで。それに……いや、なんでもない」

ヤドヤ「……なんだよ」
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 23:10:27.68 ID:DRrvx0kkO
実況『観客席に手を振って一塁に向かっていますね。どうやら大丈夫のようです』

解説『ほっ……』

実況『これでツーアウトながら満塁になり、バッターは5番ブキヤ選手です』



夢爺「一人当てたからといって遠慮はせん。今まで通りに投球する」

ブキヤ「あれでは若が活躍することはもう不可能……」

ヤドヤ「本当厄介な連中を巻き込んじまったな。どうすんだ?」

ブキヤ「若が打てないなら自分も打つわけにはいかない」

ヤドヤ「いいんじゃないの。もう若も試合どころじゃないし」

ブキヤ「お前はどうする?」

ヤドヤ「どうもしないよ。今まで通りだ」

ブキヤ「……自分は純粋に彼らを勝たせてやりたいと思っている」

ヤドヤ「情が沸いたか。俺は全くだね」

ブキヤ「だが」

バシィ

バシィ

バシィ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」

ブキヤ「勝負にけりをつけるのは彼らだ」

ヤドヤ「そっか」

ブキヤ「彼が言ったことは気にするな」

ヤドヤ「うん?」

ブキヤ「我々には我々の信念がある。お前は間違っていない。自分を貫き通せ」

ヤドヤ「わかってる」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 23:28:44.28 ID:DRrvx0kkO
───商人ウェポンズベンチ

僧侶「さて我々の守りだが、ピッチャー交代だ」

商人「は?代わるの?」

僧侶「そりゃそうだ。重傷ではないがそれでは球は握れまい」

商人「せっかく我慢して出てんだから活躍しないと意味ないよ。向こうのやつらに全部三振させちゃえばいいよ」

武闘家「無理だ。ストライクどころかキャッチャーに届くかもわからん球を振らせれば、どんな客だろうと八百長と気づくぞ」

商人「うう……」

魔法使い(そもそもそんな指示向こうはヤドヤさん以外聞かないもんね)

勇者「後は任せておけって」

商人「ウェポンズのピッチャーは俺だけなのに……」

ブキヤ「若……」

魔法使い「商人君の守備はどうするの?」

僧侶「できそうなところはファーストか」

商人「ファーストなんてやったことないよ」

僧侶「常に塁上にいてくれれば守備は放棄していい。俺たちが投げたボールくらいは捕れるだろう?」

商人「そんなのなんの見せ場もないじゃん」

武闘家「試合を成立させることを第一に考えろ。大体負担は俺たちにかかるんだ」
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 23:40:38.91 ID:DRrvx0kkO
魔法使い「じゃあピッチャー頑張って勇者」

勇者「よっしゃ。いよいよ俺の出番」

僧侶「いや」

勇者「え?」

僧侶「ただでさえ内野守備が緩くなり、商人とほぼ同じ実力・球種の勇者ではおそらく打たれる」

武闘家「そういうことだ。俺に任せるんだな」

僧侶「いや」

武闘家「なに?」

僧侶「お前も変化球持っていないだろう。なぜ出てきた」

勇者「でも他にピッチャーは……」

遊び人「やれやれ仕方ない。僕が」

僧侶「魔法使い」

魔法使い「ん?」

僧侶「お前が投げろ」

魔法使い「……は?」
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/28(土) 23:41:43.87 ID:DRrvx0kkO
つづく
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 23:55:24.19 ID:RgLPSYXiO
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 22:41:04.90 ID:z/uoFdXnO
勇者「魔法使いだって……?」

僧侶「違うタイプのピッチャーなら向こうもすぐには対応できまい」

魔法使い「いやいや待ってよ。僕ピッチャーじゃないし」

僧侶「お前には独特の球筋がある。あれは変化球のようなものだ。十分武器になる」

魔法使い「僕の球が……?」

勇者「なんでそんなのわかるんだ」

僧侶「先ほど魔法使いが盗塁を刺そうとしたとき、俺は捕球できなかった」

魔法使い「そういえば……あれって僕が捕り辛いところに投げたからじゃ?」

僧侶「いや、いい球だった。ただ予測した軌道とズレがあったんだ」

魔法使い「そうなの?」

僧侶「自信を持て。お前のストレートは生まれ持ったものだ。真似しようと思っても誰もできん」

魔法使い「僕がピッチャー……」

勇者「……」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 22:56:21.08 ID:z/uoFdXnO
魔法使い「だったらキャッチャーはどうするの?」

僧侶「それなのだが……」

魔法使い「経験のある人いないよ。まさかブキヤさんに頼るの?」

ブキヤ「自分もキャッチャーの経験はない」

魔法使い「ですよね」

ブキヤ「だがどうしても試合が成り立たなくなるというのなら……」

勇者「俺がやるよ」

魔法使い「え?」

勇者「僧侶でも捕れなかったんだろ。俺はいつも魔法使いとキャッチボールしてたから慣れてるし」

魔法使い「キャッチャー舐めないでよ。素人がそんなすぐできるもんじゃないんだよ。キャッチボールとは違うんだよ。一番大事なポジションなんだよ。ねえ?」

武闘家「だが俺か僧侶がやるとしても内野に穴が空きすぎる。代われない」

魔法使い「君ピッチャーのときは真っ先に代わろうとしたよね!?」

僧侶「俺も勇者に懸けようと思っていた。野球経験のない勇者なら本来の球筋と違っても惑わされにくい」

勇者「ああ、やってやるよ」

魔法使い「ちょっと皆本気なの?」

勇者「お前の投球、じっくり見させてもらうからな」

魔法使い「いやいや……」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 23:12:03.59 ID:z/uoFdXnO
───4回表

ウェポンズ 0-0 インズ


実況『ピッチャー交代ですね。商人選手、やはりデッドボールの影響か』

解説『あわわ……坊っちゃんに何かあったら社長になんて言われるか』

実況『リリーフは先ほどまでキャッチャーだった魔法使い選手のようです。どうなりますかね』

解説『知るか!どうでもいいわ!』

実況『キャッチャーは勇者選手、ファーストは商人選手に代わりました』

解説『何やらせてんだよ!病院連れてけよ!』

実況『投球練習が終わり、バッターは2番大烏選手からです』



魔法使い「なんでこんなことに……」

勇者「……」

武闘家「……大丈夫なのか本当に」

僧侶「やはり投球練習で勇者は捕ることができた。あとは打者を立たせてどうなるか」

武闘家「それはいいんだが、投球練習を見ている限り……」

僧侶「二人には試合中にいつもと違うポジションに慣れていってもらうしかない」

武闘家「打ちごろの球にしか見えん。本当に変化しているのか……?」
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 23:29:11.28 ID:z/uoFdXnO
大烏「カッカッカ、さっきのやつより遅いぞ。あれなら俺でも打てるかも」

勇者「じゃあお手並み拝見といくぜ」スッ

魔法使い(ど真ん中!?何そのリード!?)

勇者「……」コクッ

魔法使い(……まずストライクが入るかだもんね。あの辺に投げればど真ん中じゃなくていい具合に散らばるかも……そういうことだよね!?)

勇者「ここだぞ。しっかり投げろ」

魔法使い(何も考えてなさそう……)

魔法使い「もうやるしかない。いくよ」ゴクリ

勇者「来い」

魔法使い「えいっ!」ピュッ

大烏「カァーッ!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

大烏「あれ?」

勇者「おお……やっぱりバッターがいると怖いけど捕れたぜ」

魔法使い「よかった……」

僧侶「ふむ。初体験なのにバットを振られても捕れるか。あの勇気とセンスは見事だな」

武闘家「問題は魔法使いだ。初球はたまたま空振りにできたが、あれではいずれ打たれる」

僧侶「まあ見ていろ」
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/29(日) 23:43:29.34 ID:z/uoFdXnO
魔法使い「えいっ!」ピュッ

大烏「カァーッ!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「いいぞ。二球続けて空振りだ」

魔法使い「ほっ……」

大烏「あ、あれ?」

魔法使い「えいっ!」ピュッ

大烏「カァーッ!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

勇者「すげえ!いきなり三振だ!」

魔法使い「や、やった!」

武闘家「どういうことだ……なぜあんな球で」

僧侶「上々だ。とはいえ今のは素人。ここからが本番だ」


夢爺「……」

大烏「くそっ」

夢爺「ただのストレート……というわけではなさそうだな」

大烏「俺が油断したカラッスよ。でも意外と速かったかも。前のピッチャーと同じくらい」

夢爺「……ほう」
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/29(日) 23:44:49.03 ID:z/uoFdXnO
つづく
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 16:15:27.36 ID:Gam8Wahgo
ほう
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/02(木) 22:36:04.23 ID:XPyAWgBjO
魔法使い「次は夢爺さんか……」

夢爺「なかなか興味深いピッチャーだ」

勇者「へへ。腰抜かしたら怪我して退場、なんてやめてくれよ」

夢爺「遠目で見るのと体感速度が違うのだろう。それだけわかっていれば打席で驚くことはない」

勇者「そうなのか。たしかに速いと思ったけど」

夢爺(こいつもあのストレートの秘密がわかっていないのか。では……)

魔法使い「三振は無理でも打たせてとれれば」ピュッ

勇者「いっ!?」

バスッ

アンパイア「ボール」

勇者「いってー……ワンバンだけど装備のない足に当たった」

夢爺「……」

勇者「おいおい、構えたところと全然違うぞ。あれ捕るのは難しいって」

魔法使い「ゴ、ゴメン」

僧侶「やはり球が荒れるといくら勇者でも捕球は難しいか」

武闘家「ランナーがいなくてよかったが、あれでは」

僧侶「それでも後ろに逸らせていない。勇者を信じろ」

武闘家「さっきから勇者のことじゃない。不安なのは魔法使いだ」
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/02(木) 22:50:04.32 ID:XPyAWgBjO
魔法使い「いけない。夢爺さんの威圧感にやられちゃう」

勇者「ここだぞ」

魔法使い「えいっ!」ピュッ

バスッ

アンパイア「ボール」

勇者「いてて……またかよ」

魔法使い「うう……ゴメン」

夢爺「やはり急造ピッチャーか」

勇者「うげ、バレてら」

夢爺「ならばこの打席はじっくり観察させてもらおうか」

魔法使い「えいっ!」ピュッ

パシッ

魔法使い「えいっ!」ピュッ

パシッ

アンパイア「ボールフォア」

夢爺「……」

勇者「今の2球お前手抜いたろ」

魔法使い「そ、そんなこと」

勇者「俺なら大丈夫だ。本気で投げろよ。お前本当はコントロール悪くないんだしさ」

魔法使い「う、うん」

僧侶「想定内だ。振ってくれなければ急造ピッチャーにストライクはなかなか難しい」

武闘家「とはいえストレートの四球はまずいだろう。惨事になる前に代えるべきだ。俺に」

僧侶「慌てるな。今のは魔法使いが相手に萎縮していたせいもある」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/02(木) 23:04:42.25 ID:XPyAWgBjO
実況『代わったピッチャーの魔法使い選手、ストレートのフォアボールを出してしまいました。ワンナウト1塁で続くバッターは4番ヤドヤ選手です』



夢爺「ヤドヤは自動アウトとして、あのピッチャーの調子で次からどうなるか」

商人「……」

夢爺「連続四球で押し出しでは塩試合にも程がある。そう思わんか」

商人「うるさい。ユーのせいだろ」

夢爺「ふっ、嫌われたものだ。それで負けるようならお前たちに見込みはない」

商人「なんだよ偉そうに。何様だ」


カキィン


夢爺「ん?」



実況『ヤドヤ選手打ったー!これは大きい!』



夢爺「なに……?」

ヤドヤ「……」
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/02(木) 23:17:31.83 ID:XPyAWgBjO
盗賊「くっ」タッタッタッ

ヒューン

ガン



実況『フェンス直撃!長打になるぞ!』



魔法使い「そんな……」

勇者「やべえ!」

武闘家「おい打たれたぞ!」

僧侶「しかし不幸中の幸いか。打球はセンター方向だ」


盗賊「くそ!油断したぜ。まさかあいつが打ってくるとは」パシッ

ブキヤ「ヤドヤ……」


夢爺「ホームは少し難しいか」タッタッタッ

遊び人「ん?三塁で止まるのかい?ホームまで行けそうな当たりと思ったけど」

夢爺(ついスタートが遅れた)

夢爺「それにしてもあいつ……」
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 23:18:08.41 ID:XPyAWgBjO
つづく
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/04(土) 23:03:47.55 ID:ocVwd5q2O
実況『ヤドヤ選手あわやホームランというバッティングでした。しかし一塁で止まってしまいましたね。ツーベースは行けそうな当たりでしたが』

解説『一塁走者も三塁止まりかよ。スタートも足も遅すぎだろうがよ』



魔法使い「ゴメン……打たれちゃった」

武闘家「やつめ、商人が代わった途端本気を見せてきたか。こちらもすぐに本気を出すべきだ。ピッチャー俺に」

魔法使い「やっぱり僕じゃ……」

僧侶「大丈夫だ。大した問題じゃない」

魔法使い「でも……」

僧侶「おそらくヤドヤは打つ気がなかった。本人も今のは予想外だったはずだ」

魔法使い「え?」

僧侶「ツーベースの当たりなのに一塁で止まった。これ以上チャンスを広げないためと商人に弁明するためだろう。見てみろ」


商人「ピッチャー俺じゃないから打ちにいったの?」

ヤドヤ「いや……」

商人「別にいいけどね。こんな試合」

ヤドヤ「空振ったつもりだったんすが」


魔法使い「あのヤドヤさんが焦った表情を……」

武闘家「どういうことだ」

僧侶「やつも魔法使いの球に対応できなかった」

魔法使い「……」

勇者「訳わかんねえぜ。打とうと思っても打てなくて、打つ気がないのに打てるのか」

武闘家「……そういう変化をしている?」

僧侶「詳しくはわからない。だがあれは変化球とは違う」

魔法使い「……」

僧侶「向こうのレベルではお前の球は対応できない。自信を持て」

魔法使い「う、うん」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/04(土) 23:16:00.69 ID:ocVwd5q2O
実況『ヤドヤ選手のヒットでチャンスが広がります。ワンナウト一塁三塁。バッターは5番フロッガー選手』



フロッガー「ゲッゲッゲ。犠牲フライでもランナーカエル状況じゃねーの」

僧侶「ランナーは気にするな。打者を打ち取ることだけ考えろ」

魔法使い「うん。大丈夫」

勇者「よし来い」スッ

魔法使い「えいっ!」ピュッ

フロッガー「おら!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

フロッガー「あれ?」

勇者「いいぞ。いい球だ」

魔法使い「えいっ!」ピュッ

フロッガー「うおお!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

フロッガー「あれれ?」

魔法使い「えいっ!」ピュッ

フロッガー「せめて外野フライ……!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

勇者「よっしゃ!」

フロッガー「なんで……」

武闘家「……」

僧侶「魔法使いを少しは信じる気になったか?」

武闘家「わからん。もう何を見ているのかもわからん」

僧侶「わはは。素直な感想だ。俺もわからん」
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/04(土) 23:28:16.57 ID:ocVwd5q2O
───

人面蝶「うおりゃあ!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」



実況『魔法使い選手、6番人面蝶選手も抑え、ピンチを切り抜けた。また三振です』

解説『締まらん試合だなあ。大した球投げてないし』ホジホジ



勇者「やったな。お前すげえよ」

魔法使い「勇者君も素人キャッチャーには見えなかった」

勇者「へへ。頭空っぽにしてボール捕ることしか考えてなかったよ」

魔法使い「それはそれでダメなキャッチャーだよね……」

勇者「お前を信じていたからな。絶対打たれないって」

魔法使い「なんか、普通に打ち取るよりヤドヤさんに打たれたことで自信がついたよ」

勇者「変な話だな」

魔法使い「はは。そうだね。おかしいね」

僧侶「どうだ?ピッチャーの感想は」

魔法使い「ちょっと面白いかもって思った。でもプレッシャーすごいしあれだけでクタクタ。僕にはやっぱり向いてないよ」

僧侶「そうか。よく動じないと思っていたが、周りを見る余裕がなかったか」

魔法使い「え?」

僧侶「見てみろ」



\ピッチャーいいぞー/

\三振すごーい/

\誰だか知らないけど格好いいぞー/



魔法使い「……」

僧侶「客は素直だ。思ったことを言ってくれる。なのにせっかくの主役がそんな感想ではつまらんぞ」

魔法使い「……僕、エースになるよ」

勇者(うわあ)
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/04(土) 23:45:26.17 ID:ocVwd5q2O
───イケメンインズベンチ

ヤドヤ「せっかくチャンスを演出してやったのにまた無得点。残念だったな」

夢爺「……」

ヤドヤ「あいつらも振らなきゃ四球の可能性があったのに。なまじチャンスだったから色気出しちゃったかな」

夢爺「……」

ヤドヤ「もしかして俺、打たない方がよかった?」

夢爺「あの球、どうやって打った?」

ヤドヤ「さあ。覚えてない」

夢爺「そうか」

ヤドヤ「役立たずですんませんね」

夢爺「いや、見ていて大体わかった。あれは俺には真似できん投球だな」

ヤドヤ「やっぱ秘密があんのか」

夢爺「もう一打席見てみれば確信できる」

ヤドヤ「そっか。わかったら教えてくれ」

夢爺「お前に教える気はない。もしかしたらまた空振りするつもりで打ってくれるかもしれんからな」

ヤドヤ「なんだ。わかってたんじゃねえか」
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 23:47:08.76 ID:ocVwd5q2O
つづく
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 07:01:21.43 ID:HfavX4E2O
きたい
1試合で1スレ消費しそうな濃密展開いいゾ〜コレ
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 11:33:05.03 ID:d3teAyNeO
個人的にはもう少し薄めでもいい
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 20:52:42.95 ID:qkeuyMXRO
───4回裏

ウェポンズ 0-0 インズ


実況『この回はキャッチャーとして見事なリードを見せた6番勇者選手から始まります』



勇者「よーし打撃だ。投げられない鬱憤はここで晴らすぜ」

夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「ボール」

勇者「やっぱいい球だな。魔法使いとも違う感じだ」

夢爺「おや?お前は何も考えずに振ってくるかと思ったが」

勇者「人それぞれの投球があるもんな。じっくり球見た方が対策しやすいし」

夢爺「キャッチャーの経験も糧にするか」

勇者「あんたの打席からも学ばせてもらった」

夢爺「ふん」ピュッ

勇者「……よっ」ブン

カキィン

勇者「当たった!」

アンパイア「ファール」

夢爺「カットされたか。少々甘かったかな」

勇者「今の感じでいけそうだ」
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 21:04:24.75 ID:qkeuyMXRO
夢爺「調子に乗るな」

勇者「俺なら……」

夢爺「打たせん」ピュッ

勇者「打てる!」ブン

カキィン

夢爺「!?」

勇者「やった!今度は前に飛んだ!」

ヒューン

夢爺「詰まっているぞ!レフト!」

ヒューン

一角兎「うぐぐ」タッタッタッ

ヒューン

一角兎「無理……」タッタッタッ

ポトッ

一角兎「くそ、追いつけなかったピョン」パシッ

勇者「よっしゃ!初ヒット!」


魔法使い「やった。捉えたよ」

盗賊「いい当たりじゃねえが、先頭バッターが出られたのは大きいぜ」

武闘家「いい流れだ。守備でリズムが作れたか」

僧侶「無失点で抑えられる自信がついたことで余裕が生まれたな」

遊び人「じゃあ僕もこの流れに乗せてもらおうかな」
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 21:17:59.83 ID:qkeuyMXRO
実況『先頭バッター勇者選手ヒットで出塁。続くは7番遊び人選手。前の打席では敬遠で歩かされましたが、この打席はどう動くか』



遊び人「バント?しないよ。わざわざ向いてきたツキを逃すことはしない」

夢爺(こいつか……ここで逃げては完全に向こうのペースだ。勝負してみるか)

遊び人「送ったところで後ろが不安だしね」

夢爺「ふん」ピュッ

遊び人「はっ!」ブン

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

遊び人「……あれえ?」

夢爺(いける)ピュッ

遊び人「このっ!」ブン

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

夢爺(そうか。こいつが超人的なのは守備だけだったのか)ピュッ

遊び人「だあああ!」ブン

バシィ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

遊び人「うそぉ……」クルンクルン

ドシーン

遊び人「僕が打つ流れじゃないの……?」
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 21:36:54.59 ID:qkeuyMXRO
盗賊「空振りして尻もちまでつかされてんじゃねえか。格好悪」

戦士「ピエロメイクといい、イケメンとは程遠い姿だね」

武闘家「ふっ、これはさすがにやつのファンも減ったに違いない」

魔法使い(密かに妬んでたんだ……)

僧侶「いや、待て」



\あはは。今の面白かった/

\コミカルなピエロになりきってる。うまーい/

\遊び人君ユーモアのセンスも抜群だね/



武闘家「なんだと!?」ガタッ

魔法使い「なんか今までで一番声援すごくない?」

盗賊「むしろアクシデント続きで会場の空気は重くなっていた。それを笑いで一新させやがった」

戦士「アウトなのに全然悲観的にならないね」

僧侶「プレーだけが流れを生むわけじゃない。一つ勉強になったな」

ブキヤ(ショニーズ向きだ)
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 21:49:04.95 ID:qkeuyMXRO
遊び人「これはもしや……」

遊び人「活躍しなくても……」テクテク

遊び人「!?」ツルッ

ステーン

遊び人「てへへ」ポリポリ



\あはは。もう何やってんの。うける/

\お茶目すぎる。可愛いー/



遊び人「この路線もいける。ラッキー」


魔法使い「新境地を見つけたみたいだね……」

戦士「あんなメイクするから」

武闘家「なぜやつばかり必ずいい方向へ転がるんだ」

僧侶「持って生まれたものが違う。真似しようとなんて思うな」

盗賊「それはいいんだが、あれにハマって野球は役立たずなんてことにならなきゃいいが」

魔法使い「あり得そうで怖い……」
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 22:10:23.43 ID:qkeuyMXRO
───観客席

?「……ふっ」

??「あれ?今笑いました?」

?「……」

??「さっきまでムスーってしてたのに。今のそんなに面白かったですかあ?」

?「……」

??「それとも生徒たちの活躍が嬉しかっただけだったりして」

?「……」チョイチョイ

??「わかってますって。売店でこのメモに書いてあるの買ってくればいいんでしょ」

?「……」

??「面白くなってきたから私だって見たいのに」

?「……」シッシッ

??「邪魔者扱いしないで下さいよ。性格歪んでますよ」

?「……」ギロッ

??「うう、怖いよお……字はこんなに可愛いのに」
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/05(日) 22:11:16.87 ID:qkeuyMXRO
つづく
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 16:00:27.09 ID:gd6TC+HXo
まだか
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 22:38:01.49 ID:QdvtWnEHO
───

実況『その後も打線が続かず8番魔法使い選手内野フライ、9番戦士選手見逃し三振でチェンジです』



魔法使い「……」ズーン

戦士「……」ズーン

魔法使い「見せ場なし……」

戦士「せっかく盛り上がっていたのに振るなと言われた……」

魔法使い「所詮僕らは下位打線……」

戦士「ピッチングで見せ場あるだけいいじゃん……」

魔法使い「そうだったね」

戦士「え?」

魔法使い「僕ピッチャーだしバッティングはしょうがないよね」

戦士「う、うん。俺は……」

魔法使い「よし、気を取り直して頑張るぞ」

戦士「次は俺を励ます番だよ!早くして」

魔法使い「そっちには打たせないようにするからね」

戦士「……」
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:00:57.91 ID:QdvtWnEHO
───5回表

ウェポンズ 0-0 インズ


アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」



実況『7、8、9番を空振り三振に仕留め三振凡退!魔法使い選手完璧なピッチングです!』



僧侶「四球の心配はしばらくしなくていいな」

武闘家「なぜあんな球で……やつらもそう思っているから手が出てしまう」

僧侶「打てそうで打てない。一番厄介かもしれんな」

魔法使い「ふう」

勇者「ここまでアウト全部三振とか、お前何者だよ」

魔法使い「今は全然打たれる気がしないんだ」

勇者「貫禄ついてきたな」

魔法使い「まだまだ。この後だってかすらせもしないよ」

勇者「おお、強豪っぽい貫禄だ」

魔法使い「肩冷やさないようウインドブレーカー着なきゃ」

勇者「ケアも忘れない。すげえ貫禄だ」

魔法使い「タオルとドリンクある?」

勇者「貫禄……ならしょうがない。ほらよ」

魔法使い「あ、ちょっとどいてくれるかな。ファンの子たちに手振るから」

勇者「貫禄つきすぎてもいいことないぞ」
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:12:03.45 ID:QdvtWnEHO
───5回裏

ウェポンズ 0-0 インズ


実況『1番から始まる好打順。難攻不落の夢爺選手を打ち崩せるか』



盗賊「おらっ!」ブン

カキィン

コンッコロッ

夢爺「セカンド!」

大蟻食い「ほいほいっと」パシッ

盗賊「くそっ、内野正面のゴロかよ。間に合うか」ダッ

大蟻食い「いくら素早くてもそれは無理」ピュッ

フロッガー「ナイスボール」パシッ

塁審「アウッ!」

大蟻食い「なまじいい当たりだと逆に守りやすいんだよなあ」

盗賊「ちっ」
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:31:37.63 ID:QdvtWnEHO
───

僧侶「くっ」ブン

キィン

ヒューン

僧侶「うぐう」

夢爺「内野フライか。任せたぞ」

大蟻食い「ピッチャー寄りのセカンドフライ……いやショート任せた」

人面蝶「俺ね。オーライ」タッタッタッ

ヒューン

人面蝶「はいな」パシッ

塁審「アウッ!」

僧侶「うーむ。また流れが停滞してしまったか」

武闘家「俺たちのレベルでは流れが来たとしても、ものにできていないのが現状」

僧侶「そういう意味では打線にはならない。我慢のときか」

武闘家「だが突破口はどこにでもあるものだ」

僧侶「何か見つけたか?」

武闘家「……ああ」
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/17(金) 23:32:23.25 ID:QdvtWnEHO
つづく
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/19(日) 18:28:42.72 ID:92Mgxvt6O
実況『ツーアウトランナーなしで3番武闘家選手です』



夢爺「普通なら何もプレッシャーを感じる場面じゃないが」

武闘家「さあ来てみろ」

夢爺「何を仕掛けてくるか読めんやつは面倒だ」

武闘家「俺を恐れているのか。大口を叩く余裕はなくなったのか?」

夢爺「お前のペースには引き込まれんよ」ピュッ

バシィ

アンパイア「ボール」

武闘家「……」

夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「ボール」

武闘家(前の打席程の球威、コントロールはない。皆バットに当たるようにはなった。遊び人以外)

武闘家(ピッチャーフライも以前ならやつ自身が捕っていたはず。やはりあのとき、動くだけで痛みが出る程の怪我をしていたか……だが)

武闘家(情けをかける程俺は甘くない。チャンスと受け取り全力で潰しにいく)
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/19(日) 18:50:44.28 ID:92Mgxvt6O
武闘家「どうした。バテてきたか?」

夢爺「ほざけ」ピュッ

武闘家「ここだ!」ブン

カキィン

夢爺「!?」ガッ



僧侶「ピッチャー返し!グラブを弾いた!」

勇者「さすが武闘家。止められはしたけど十分ヒットコースだぜ」

盗賊「ちっ、あのバットコントロールは認めざるを得ねえ」

魔法使い「夢爺さんも反応したけど捕れなかったね。弾いたボールを追いかけようともしない」

戦士「まあどうせ追いかけても間に合わないし」



コロコロ

夢爺「サード!」

バブルスライム「えっ俺?」タッタッタッ

武闘家「遅い。余裕でセーフだ」タッタッタッ

バブルスライム「でしょうね」パシッ

夢爺「ちっ」

武闘家「お前のピッチングは攻略できた。もう俺の思い通りだな」

夢爺「……そう簡単にはいかせん」

武闘家(やつが気丈に振る舞うため、他の連中は怪我だとは思わないだろう)

武闘家(知ってしまったら情けをかけるはず。やつもそう思っているから隠している)

武闘家(お前がどうしようが勝手だが、おそらくこの試合はもたないだろうな)
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/19(日) 18:58:06.60 ID:92Mgxvt6O
実況『武闘家選手内野安打で出塁。ここで4番商人選手に回りました』

解説『ブーブー!坊っちゃんはお前のせいで怪我してんだぞー。本気で投げるなんて汚い真似すんなよー』



夢爺「同情できるものならしてなりたいがね」ピュッ

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

夢爺「ふう」

商人「はあ。面倒くさ。打席に立つ意味ないのに」

ヤドヤ「打たないんですか?」

商人「嫌み?こんな手でまともに打てるわけないじゃん」

ヤドヤ「案外打てるかもしれませんよ」

商人「うるさいな。もうこの試合はいいの。さっさと終わらせちゃいなよ」

ヤドヤ「……へーい」
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/19(日) 19:13:10.96 ID:92Mgxvt6O
───

実況『商人選手バットを振らずに三振。やはり怪我をしていたか』

解説『で、でも試合に出てるってことは大した怪我じゃないよね?ね?』

実況『またも残塁でチェンジ。歯がゆい展開が続きます』



勇者「今のあいつはダメだな。完全にやる気を無くしている」

盗賊「仕方ねえよ。元々計算に入れてなかったしどうでもいい」

僧侶「しかし打線にならなければいくら個人が頑張っても点は入らないか」

遊び人「ホームラン狙って打つなんて兄貴でもないと無理だしねえ」

武闘家「4番商人、5番ブキヤの並びは捨てるとしても」

戦士「……」

魔法使い「僕ら下位打線がストップしちゃうのか……」
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/19(日) 19:13:51.87 ID:92Mgxvt6O
つづく
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 20:03:30.99 ID:wLQdWHpto
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 22:20:46.31 ID:sSfZQDp4O
解説仕事しろ
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:04:00.30 ID:tWvtfw+zO
───6回表

ウェポンズ 0-0 インズ


実況『この回インズは1番からの攻撃になります。圧倒的なパフォーマンスを見せる魔法使い選手を攻略できるか』



一角兎「皆なんであんな球打てないんだ?もしかしてあれが大したことないように見える俺がすごいのかピョン?」

魔法使い「えい!」ピュッ

一角兎「どりゃ!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

一角兎「……あれ?」

勇者「このパターンは見飽きたぜ」

パシッ

パシッ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

一角兎「打席で見ると全然違う……」
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:19:29.85 ID:tWvtfw+zO
───

大烏「カァーッ!」ブン

パシッ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

大烏「でしょうね……」



実況『なんと7者連続三振!魔法使い選手もう止まらない!』

解説『坊っちゃんのが球速いからすごいもん!』

実況『次は前の打席でストレートのフォアボールを選んだ夢爺選手です。ここは一つポイントになりますかね?』

解説『こんな試合やだ!もう見ない!』プイッ



夢爺「一巡してヒットはヤドヤのまぐれ当たりだけか」

勇者「出来すぎて怖くなってくるぜ」

夢爺「敵の俺はそれ以上に怖いのだがな」

勇者「皆振ってくれるからだよ。四球だけ不安だったけど、あんたみたいに様子見ることもしないし」

夢爺「俺が全員に指示した。空振りするつもりで振れ、と」

勇者「え、そうだったのか」

夢爺「だがそれで打てる程甘くはない。うちの連中もまだレベルが低い」
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:29:19.44 ID:tWvtfw+zO
魔法使い「えい!」ピュッ

パシッ

アンパイア「ボール」

夢爺「……」

魔法使い「う、夢爺さんはやっぱり振ってくれない……」

勇者「大丈夫だ。今まで通り投げろよ」

魔法使い「う、うん」

夢爺「お前はあのボールの秘密にそろそろ気づいたのか?」

勇者「あんたの球とどこか違う……とはわかるんだけどな」

夢爺「ああ。俺の棒球とは質が違う」

勇者「質?」

夢爺「まず球の回転数」

勇者「回転数……」

魔法使い「えい!」ピュッ

ギュルルルル

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「たしかに……ものすごい回転している」

夢爺「ふっ、見切るか。なかなかの動体視力だ」
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:37:46.36 ID:tWvtfw+zO
勇者「あとは何が違うだ?」

夢爺「全てが違う。球の握りから下半身、肩、手首や指の動き。そこから自然に放られる回転軸の向き」

魔法使い「えい!」ピュッ

ギュルルルル

パシッ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「歪んでいない。真っ直ぐな縦回転だ」

夢爺「この魔球に最適なフォームだ」

勇者「魔法使いのフォーム……」

夢爺「勿論さらにスピードがつけば効果は上がるが、あの身体では少々酷かな」

勇者「……」ジッ

魔法使い「えい!」ピュッ

バスッ

勇者「いて!」

魔法使い「あ、ゴメン!また夢爺さんの打席でパスボールだ……」

勇者「だ、大丈夫だ」

夢爺「ピッチャーを見過ぎだ。それでキャッチャーの仕事が務まるのか」

勇者「いてて……そうだった」
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:51:35.22 ID:tWvtfw+zO
夢爺「垂直な縦回転による浮力で本来重力で沈むはずのボールが落ちてこない。それにより打者は浮き上がってくるように錯覚する」

勇者「浮き上がって……そうか。それで皆空振りを」

夢爺「浮力を得たボールは重力分をこちらに向かってくる力に」

勇者「それで体感スピードが上がった……」

夢爺「終速はメラメラと火がつき加速したように感じる。それゆえあのボールはこう呼ばれている」

魔法使い「えい!」ピュッ

ギュルルルル

夢爺「火の玉ストレート、と」

パシッ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」

夢爺「ふっ、いかんいかん。お喋りに夢中で三振か。てっきりまた四球を出してくれるかと思ったが、あいつも試合中に成長していたか」

勇者「火の玉ストレート……」
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 22:52:22.22 ID:tWvtfw+zO
つづく
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/21(火) 23:19:57.43 ID:Z8ma8cvDO
メラとかいう最強呪文
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 00:09:39.49 ID:fOh5+S7SO
ひょっとしなくても普通に勇者すごい
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 16:46:23.07 ID:DH5Y8ndmo
うまいこと話作るやな乙
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 22:02:41.38 ID:bpd9b1kJO
───6回裏

ウェポンズ 0-0 インズ


バシィ

アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」

ブキヤ「……」

夢爺「ふう」



実況『ブキヤ選手またも三振でワンナウト。今日はいいところがありませんね』

解説『知らない!』

実況『次のバッターは前の打席でヒットを打ちました6番勇者選手』

解説『まぐれまぐれ!』



勇者「火の玉ストレートか……」

夢爺「……」スッ

勇者「たしかに魔法使いのフォームとは全然違う」

夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「でもあの投げ方だったら……」

ヤドヤ「……」
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 22:14:41.38 ID:bpd9b1kJO
夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

勇者「そうなる……か」

ヤドヤ「……」

夢爺「ふん」ピュッ

勇者「うーん」

ヤドヤ「考え事か。打席に集中しろよ」

勇者「おお、やべえ」ブン

カキィン

夢爺「なに!三遊間!」

バブルスライム「無理!頼む」

人面蝶「おりゃ!」バッ

パシッ

バブルスライム「おお、よく止めた」

人面蝶「でも投げるのは間に合わない。ちくしょう」

勇者「よし、内野安打!今度は綺麗に当たったぜ」タッタッタッ

ヤドヤ「……急でも対応しやがった。普通に打てるようになってんじゃねえの」

夢爺「……一段階レベルが上がったか」
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 22:24:09.75 ID:bpd9b1kJO
遊び人「さてさて、もう僕の番か」

夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「ボール」

遊び人「アウトになろうがなるまいが」

バシィ

アンパイア「ボール」

遊び人「僕としてはどっちでもいい方に転ぶからなあ」

バシィ

アンパイア「ボール」

遊び人「どうしようかなあ……って」

バシィ

アンパイア「ボールフォア」

遊び人「また四球。ラッキー」

夢爺「ちっ」
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 22:38:25.92 ID:bpd9b1kJO
実況『おおっと、ストレートのフォアボールを出してしまいました』

解説『ノーコン!ノーコン!』

実況『ワンナウト12塁のチャンスで8番魔法使い選手です』



魔法使い「またチャンス……また僕らで潰すことになったら……」

夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「ボール」

魔法使い「外れた……でも打てる気がしない」

夢爺「ふん」ピュッ

バシィ

アンパイア「ボール」

魔法使い「おかしいな。あんなに制球よかった夢爺さんが……僕を警戒するはずないし、やっぱり怪我」

ヤドヤ「お前も考え事か。集中しろって」

魔法使い「あ、はい」ブン

カキィン

魔法使い「あ……」

ヒューン

夢爺「内野フライ。任せたぞ」

人面蝶「よっと」パシッ

塁審「アウッ!」

魔法使い「やっぱり僕程度じゃ相手の調子どうこうのレベルじゃないよね……」

夢爺「2アウトか……ふう」

ヤドヤ「……」
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 23:00:03.70 ID:bpd9b1kJO
───


\なんか退屈だね/

\全然試合変わらないしあんまり面白くないね/

\せめて贔屓の選手がいたらなあ/



ブキヤ「……」

武闘家「ふん。こっちだって望んでこんな展開にしたわけじゃない」

僧侶「武闘家、ちょっといいか。守備連携の確認だが」

武闘家「ああ」

戦士「……」

僧侶「お前の守備位置、レフトをケアしようとかなり深めに守っていたが」

武闘家「ああ。だが外野に飛ぶどころか全て三振だからな。通常に変更するか」

僧侶「そうしてくれ。俺も少し一塁側に寄りたい」

武闘家「するとああなった場合……」ペチャクチャ

僧侶「それをそうして……」ペチャクチャ

戦士「……」

武闘家「あーだこーだ」ペチャクチャ

僧侶「斯く斯く然々」ペチャクチャ

戦士「……」

戦士「……」キラーン
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 23:13:20.82 ID:bpd9b1kJO
───

実況『まだチャンスは続きますがここで9番戦士選手。エラーに2三振と全くいいところがありません』



\ブーブー!/

\さっさと三振しろー/

\ブーイングするの結構楽しい/



戦士「……」

夢爺「こいつも振る気がないやつだったな」

戦士「……」

夢爺「振ってくれた方が有難かったが」ピュッ

戦士「うおおお!」ブルン

夢爺「!?」



魔法使い「戦士君の野郎武闘家君が目を離した隙に振りやがった!?」



バシィ

アンパイア「アアァイッ!」

夢爺「な……」

ヤドヤ「なんてスイングだ……」

戦士「うう……全然当たらない……おや?」
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 23:24:32.21 ID:bpd9b1kJO
一角兎「暇だピョンねえ。外野に飛んでくることなんて滅多にないし」

一角兎「バッターはあののろまだし、余裕過ぎて昼寝でもしたい気分だピョン」

一角兎「むにゃ……」


ワーワー


一角兎「ん?皆俺を見てるピョン。観客の女の子も……もしかして俺人気者?」

大烏「避けろ!バットが飛んで来たぞ!」

一角兎「え?ぐごっ」ボゴッ



実況『な……なんてパワーだ戦士選手!すっぽ抜けたバットがレフトの一角兎選手を直撃しました!』



大烏「カァー……よそ見してっから」

一角兎「」ピクピク
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 23:25:31.70 ID:bpd9b1kJO
つづく
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 19:45:16.66 ID:nB1RQsi4o
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/05(火) 21:50:08.70 ID:iDIvFp9mO
勇者「おいおい……」

魔法使い「なんてことを……」

盗賊「いい気味だ……とはさすがに思えねえ」

僧侶「あいつは本当に危険だな」

武闘家「くそ、やつめ勝手な真似を」

遊び人「しかしちゃんと人に当てちゃうもんだね」

武闘家「だから振らせたくなかったんだ!」

魔法使い「済んだことはしょうがないんだし落ち着いてよ」

武闘家「落ち着いていられるか!俺はあれで以前殺されかけた!死人が出てからじゃ遅いんだ!」

商人「え……何あれ。怖いんだけど」

武闘家「演出だ」

魔法使い「!?」

武闘家「ヒールのインズを懲らしめるための演出に決まっているだろう」

魔法使い「!?」

商人「あ、そうなの?でも外野のあいつ大丈夫?」

武闘家「あのバットは軽くて柔らかい素材でできている」

商人「普段俺たちが使っているバットに見えたけど」

武闘家「でなきゃあそこまで飛ぶはずないだろう」

商人「そうだね。リアルに痛がってるように見えたから驚いたよ」

武闘家「痛がる演技も習得済みだ」

魔法使い(よくそんなペラペラと嘘が……)
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