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勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」
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372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/07(月) 23:30:11.18 ID:b1mlFl/G0
野球みたいなゲーム要素はコンマにしないと絶対グダると思う
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 09:23:59.58 ID:vu9yLXdZO
>>372
逆にコンマとかされたら冷めるんだが
ロールプレイ系でもないのにわざわざコンマにしなきゃいけない理由もないだろ
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 14:00:31.32 ID:roxSpyZp0
野球って何が起こるかわからない故の面白さが魅力でしょ
試合内容が最初から全部決められた進行の何が面白いの?って話なんだが?
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 16:55:08.83 ID:v2yoy9SA0
作者がコンマはしないって書いてるんだから、嫌なら見るなよ
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 17:39:36.16 ID:mK/sE7UnO
>>374
その理論全ての野球漫画否定してるから
作者はどうなるか考えてるけど俺達はどうなるかとかなにも知らんだろ
なぜそこまでコンマを望むのか
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 18:39:51.09 ID:3q/aF8Fro
くっせー読者様が湧いてんな
安価スレから出てくんなよ
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 22:40:39.15 ID:TRsKT8uEO
───一回表
勇者「ファーストか。練習してないけど大丈夫かな」
僧侶「基本の動きさえわかっていればあとは俺たち内野陣がなんとかする」
武闘家「……」コクッ
遊び人「……」コクッ
勇者「塁上で来た球キャッチすればいいんだよな。いい道具使わせてもらっているしノーエラーでいくぜ」バシッ
実況『さあ始まります。一回の表、インズの攻撃はルーキーの一人、一角兎選手。ウェポンズの先発はご存知商人選手』
\商人くーんあんな悪そうなのやっつけてー!/
一角兎「なんだこの声援……やり辛いぴょん」
商人「いくぞ。俺のグロメン退治伝説の幕開けだよ」
魔法使い(うう……緊張する……ってそういえば変化球何投げられるのか聞いてない!?)
商人「くらえ!」ピュッ
魔法使い「ちょ、まだサイン出してな……ってサインすら決めてなかった!」
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 22:53:27.21 ID:TRsKT8uEO
バシィ
魔法使い「……え?」
アンパイア「アアァイッ!(ストライク!)」
一角兎「はや……」
魔法使い「すごいよ商人君!勇者君より速いかも。口だけじゃなかったんだね」ピュッ
商人「当たり前だよ」パシッ
僧侶「ほう。思った以上だ」
勇者「すげえ……」
ブキヤ(若はショニーズの中ではどうしても目立てなかった。だから血の滲むような努力をした)
一角兎「くっ」スカッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
ブキヤ(社長の息子という立場だけでこの舞台に立ち続けられるわけがない)
一角兎「ぴょん!」スカッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
\キャー!すごーい!/
実況『先頭バッター三振!今日も絶好調です!』
解説『当然でしょうなあ』
魔法使い「やった。いきなり三振。向こうに嫌な印象を与えられた」
商人「楽チン楽チン」
僧侶「わはは。これはお前の出番は来ないかもな」
勇者「う……俺のデビュー戦が」
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 23:06:34.71 ID:TRsKT8uEO
───
大烏「カァーッ!」スカッ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
魔法使い「すごい。二者連続三振」
商人「味気ないな。これじゃあ悪者退治じゃなくて弱い者いじめみたいじゃん」
夢爺「それはすまなかったな。あいつらがバットを握ったのはつい最近のことなのでな」
盗賊「……来たか」
武闘家「……」
魔法使い「夢爺さん……」ゴクリ
商人「ユーは楽しませてくれるんだろうね」
夢爺「さてね」スッ
魔法使い(すごい威圧感……今までみたいにストレートだけじゃ危ないかな。ここは変化球を……)チョイチョイ
商人「……」フルフル
魔法使い(首振られた。横の変化球は持ってないか。じゃあ緩いのは)チョイチョイ
商人「……」フルフル
魔法使い(これもないの?いや、僕の適当なサインじゃ伝わってないのか)
夢爺「ふっ、随分時間をかけるな。俺が怖いか?」
魔法使い(怖っ……)ゴクリ
魔法使い(仕方ない。さっきと同じ攻めで様子を見よう。どうせ2アウトだ)
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 23:16:26.49 ID:TRsKT8uEO
商人「えいや!」ピュッ
魔法使い「いい球!」
夢爺「同じ球か。何度も見たぞ」ブン
カキィン
魔法使い「!?」
実況『打ったー!いい角度で上がったぞ!』
魔法使い「やっぱりワンパターンじゃこの人には通じないのか」
僧侶「だが失速している。オーバーフェンスとまではいかない」
商人「平凡なフライか。三連続三振がよかったけどまあいいや。チェンジだね」
武闘家「待て。あの方向は……」
夢爺「ちっ、ライトフライか。まだ調子が上がらんな」
ドタドタドタ
夢爺「……ん?」
戦士「うおおおお!」ドタドタドタ
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 23:27:44.55 ID:TRsKT8uEO
魔法使い「ほぼ定位置なのに全力疾走!?」
勇者「しかも届きそうにない!守備範囲狭すぎ!」
武闘家「戦士!無理に捕ろうとするな!」
戦士「だーっ!」ピョーン
戦士「ぎゃふん!」ドテッ
ポーン
ポーン
商人「ええっ!?」
僧侶「やはり……」
魔法使い「全然届いてないよ……跳ぶ必要もなかったし……」
夢爺「おっとこれはついている」タッタッタッ
武闘家「くっ、ただのライトフライが後逸して長打コースに。早く起きろ!」
商人「何やってんのバカバカ!完全試合狙ったのに!」
夢爺「このまま三塁まで行かせてもらう」タッタッタッ
盗賊「そうはいくかよ」
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 23:35:37.28 ID:TRsKT8uEO
勇者「盗賊! 」
夢爺「なに?」ピタッ
武闘家「もうカバーに入ったのか」
魔法使い「すごい!速いよ盗賊君!」
盗賊「こいつのミスは計算済みだ」ピュッ
僧侶「よくやった。予測していたとはいえ完全なライトの打球をよくフォローした」パシッ
勇者「なんとか二塁で止めたな。ナイス盗賊」
夢爺「……ほう」
盗賊「てめえにだけは好き勝手させねえよ」
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 23:40:09.16 ID:TRsKT8uEO
戦士「いてて……」
盗賊「ったく世話の焼ける」
戦士「うう……ゴメンよ」
盗賊「練習でもできないことはやるんじゃねえよ」
戦士「へへ。ギャラリー意識しちゃった」
盗賊「ちっ、くだらねえ。大体お前は……」
\今の見た?すごい速かったね/
\ちょっと格好いいかも。ファンになりそう/
盗賊「……ふ、ふん。しょうがねえな。次からは気をつけるんだぞ?」
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/08(火) 23:50:46.15 ID:TRsKT8uEO
夢爺「まあいい。穴は見つけた。今のを見たなら頼むぞ4番」
ヤドヤ「……」
実況『盗賊選手いいプレーを見せましたね』
解説『坊っちゃ……商人選手の球威がなければホームランでしたがね』
実況『しかし得点圏にランナーは残ります。このチャンスに4番ヤドヤ選手。4割近い打率を残しています』
解説『いいバッターですよ。ただ坊っちゃ……商人選手との対戦成績はパッとしませんね』
ヤドヤ「……」ブン
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」
魔法使い「よし。ピンチを抑えた」
ヤドヤ「……」
夢爺「あいつ……」
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/08(火) 23:51:47.64 ID:TRsKT8uEO
つづく
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/09(水) 05:21:48.07 ID:BupAB7wHO
ヤドヤだけ後半のインフレについていけそう
388 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 22:39:51.37 ID:HYfkMx6zO
───商人ウェポンズベンチ
魔法使い「アウト全部三振なんてすごいよ商人君!」
商人「完封は決まっているんだから大袈裟だよ」
魔法使い「え?」
商人「まあでも今日はなかなかいい立ち上がりの演出だったよ」
魔法使い「演出……?」
商人「完全試合だけは残念だったけど」
ブキヤ「あれはライトエラーがついたのでまだノーヒットノーランは終わっていません」
商人「そうだね。次はバッティングだ。ちゃんとランナーためといてよ」
魔法使い「……?」
武闘家「野球部、ちょっと集まってくれ」
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 22:55:45.18 ID:HYfkMx6zO
勇者「なんだよ」
戦士「俺怒られる……?」
僧侶「……」
盗賊「……」
遊び人「……」
武闘家「薄々感づいているかもしれんが、ショニーズ野球リーグは最初から勝敗が仕組まれているものだ」
魔法使い「そうなんだ……」
武闘家「俺たちは勝つ。そして俺たちもこの八百長に協力している。と商人はそう思っている」
盗賊「……」
武闘家「この試合もただの真剣勝負というわけにはいかんだろう」
戦士「そうなの?だったら必死こいてやらなくていいの?」
魔法使い「でもそれじゃあ……なんのために練習してきたのか」
僧侶「俺たちは現状この世界に置かされている身だ。ここでそれが普通なら従うべきなのか」
盗賊「俺は先輩に言った。一人前になった姿を見てほしいと。それはこんな八百長に加担することじゃねえ」
勇者「ああ。実力で勝たないとつまんねえじゃん」
ブキヤ「君たち」
魔法使い「ブキヤさん?」
390 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 23:11:17.66 ID:HYfkMx6zO
ブキヤ「君たちには事情があるみたいだな。協力が必要だったのはお互い様のようだ」
勇者「それは……まあ」
ブキヤ「だがここはショニーズのイベントだということもわかっているはず」
魔法使い「はい……」
ブキヤ「我々の野球のモットーはお客様を楽しませること。勝敗に大した意味はない」
魔法使い「え?でもウェポンズは毎回勝っているんじゃ?」
ブキヤ「若は自分が活躍できればいいと思っている。それを全員が補助する形になり、結果的にチームの勝利に繋がっているだけだ」
僧侶「たしかに完封などと商人が言い出したら勝ちは決まりも同然だ」
ブキヤ「今日も本来ならショニーズが試合を行い、いつも通りの盛り上がりを見せているはずだった」
武闘家「……」
ブキヤ「それがなぜかほとんどの選手が食中毒に倒れ、君たちがたまたま居合わせたおかげで試合ができている」
武闘家「……」
ブキヤ「言及するつもりはない。事実は君たちがいなければイベントが中止になるということだけ」
武闘家「何が言いたい?」
ブキヤ「どちらにとっても後腐れは残したくない。だから」
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 23:37:52.63 ID:HYfkMx6zO
ブキヤ「君たちはただ全力で試合をやってくれればいい」
勇者「最初からそのつもりだぜ」
ブキヤ「ただ若はいつも通りの八百長だと思っている。そこはそのまま貫き通してほしい」
魔法使い「商人君に八百長と思わせた上で勝てと?」
ブキヤ「ああ。できれば若の望み通り完封勝ちがいい」
戦士「勝つのは決まってんじゃないの?」
ブキヤ「本気の勝負だと思っているのは相手側も同じだろう?」
僧侶「問題は向こうにはヤドヤという男がいることだ。あの者がいては真剣勝負もあったものではないと思うが」
勇者「あいつも商人の……つまり俺たちの味方なんだろ?」
魔法使い「だね……敵の中に味方がいる。まるでダンジョン内に宿屋を用意してくれているようなものだよ」
ブキヤ「あいつは本気を出さない。しかしそれは自分も同じ。お互い一人ずつ役立たずがいるだけだと思えば試合は成り立つ」
僧侶「それはできないことではないが……」
戦士(一人役立たずがいるか……やれやれ、いい迷惑だな)
ブキヤ「難しいかもしれないが君たちは余計なことは考えずにやってくれ」
魔法使い「でもだったら商人君にも事情を知っといてもらえば……今日はいつもみたいに望んだ結果になるとは限らないって」
ブキヤ「今日はただでさえ予想外の出来事が続いている。若はあれでも繊細な人だ」
魔法使い(……見えない)
ブキヤ「若にこれ以上余計な気苦労はさせないでほしい」
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 23:50:43.74 ID:HYfkMx6zO
───
武闘家「見上げた忠誠心だ」
魔法使い「しかも僕たちを咎めようとしないなんて大人……いや、あれがイケメンという生き物なんだね」
勇者「つーか俺たちの仕業だってバレてたんだな」
武闘家「こんなあり得ない状況に気づいてないのは商人くらいだろう」
魔法使い「そもそも僕たちがやったことが不正だもんね……」
武闘家「だがこれで心置きなく本気の試合ができるというものだ」
魔法使い「完封だよ。守備陣の出来にかかっているよ」
僧侶「あの男もできればと言っていた。そう気負うな。意識し過ぎると本来の動きもできなくなるぞ」
魔法使い「そ、そうだね。ブキヤさんもそこは考慮してくれているみたいだし……」チラッ
ブキヤ「絶対完封……絶対完封……」ブツブツ
魔法使い「……」
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/12(土) 23:55:36.25 ID:HYfkMx6zO
───イケメンインズベンチ
夢爺「ヤドヤ」
ヤドヤ「ん?」
夢爺「今の三振はわざとだな?」
ヤドヤ「だったらなんだ?」
夢爺「勝ちたくないのか?」
ヤドヤ「勝ちたいか勝ちたくないか。そんな単純な話なら勝ちたいねえ」
夢爺「だったら本気で挑んでみろ」
ヤドヤ「無理なんだよ。俺たちの世界じゃ」
夢爺「つまらんしがらみか」
ヤドヤ「大人になるってこった。お前にゃわかんないよ」
夢爺「わからんな。だから夢を見る」
ヤドヤ「……噛み合わねえな。老け顔の高校生」
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/12(土) 23:56:21.14 ID:HYfkMx6zO
つづく
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/20(日) 22:29:07.15 ID:V2b+cbkvO
───一回裏
ウェポンズ 0-0 インズ
実況『さあ最初の守りを見事に抑えたウェポンズ。トップバッターは盗賊選手。先程はいい守備を見せました』
解説『坊っちゃ……商人選手が見事な三振で抑えたのであまり意味はありませんでしたがね』
夢爺(お前がどう振る舞おうと、俺が抑えればいいだけのこと)
ヤドヤ「……」
盗賊「てめえが経験者だったとはな」ザッ
夢爺「ふっ、俺は素人だと言った覚えはないが」
盗賊「だから野球で勝負を持ちかけてきたのか。油断を誘うとは汚え野郎だ」
夢爺「お前たちが言っていいセリフではないな」
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/20(日) 22:41:17.45 ID:V2b+cbkvO
勇者「父さんとも戦った男、どんな実力なんだ」
武闘家「バッターとしては試合勘が戻っていないように見えた。おそらくやつも相当なブランクがある」
魔法使い「でもあの威圧感はやっぱり怖いよ」
盗賊「こいや」
ヤドヤ「……」
夢爺「サインもなしか。だったら好きに投げさせてもらう」ピュッ
盗賊「!?」
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
盗賊「速い……」
ヤドヤ「なかなかやるじゃねえの」ピュッ
夢爺「キャッチはしてくれるみたいだな。安心したぞ」パシッ
盗賊「舐めていた。相当だぜ」ゴクリ
夢爺「まだ肩慣らしだぞ」ピュッ
盗賊「くっ」ブン
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
397 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/20(日) 22:51:09.15 ID:V2b+cbkvO
夢爺「大分振り遅れているな」
盗賊「うるせえ。様子見だ」
夢爺「なら様子見のまま終わらせてやる」ピュッ
ビュン
盗賊「ボールだ」サッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
盗賊「!?」
夢爺「ふっ」ニヤリ
盗賊「コーナーギリギリを……コントロールもいいのか」
夢爺「まず一人」
勇者「すげえ……」
武闘家「やはり実力はある。あれが本調子でないなら相当厄介だ」
勇者「すげえ」
魔法使い「打てる気がしないよ……」
勇者「すげえ」
武闘家「そればっかりだなお前は。呑まれてしまっては実力が出せんぞ」
勇者「だってすげえじゃん。早く対戦したいぜ」
魔法使い「勇者君……全然呑まれてないみたい」
武闘家「お前というやつは……」
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/20(日) 23:02:17.10 ID:V2b+cbkvO
───
僧侶「くっ」ブン
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
夢爺「これで二人」
僧侶「いや参ったな。当たりもしなかった」
武闘家「お前はバッティングは相変わらずだな」
僧侶「わはは。粘ろうとしたのだがあっさり終わらせてくれたな」
武闘家「まだやつの調子が上がらないうちに俺が叩く」
夢爺「武闘家か。こいつは単調では危険かな」
武闘家「……」スッ
夢爺(構えに迷いがない。場馴れしている)
武闘家「……」
夢爺「だが、そんな男とは何度も対戦してきた」ピュッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
武闘家「……」
夢爺「一球見たか」
武闘家「なるほど」
夢爺「お前も様子見のまま終わるか」ピュッ
武闘家「ふん」ブン
カキィン
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/20(日) 23:17:08.28 ID:V2b+cbkvO
魔法使い「当てた!」
勇者「さすが武闘家」
僧侶「しかし球威に押されたか。緩い内野ゴロだ」
武闘家「なあに。野手が素人なら捌いている間に到達できるさ」タッタッタッ
夢爺「ショート!」
タッタッタッ
武闘家「……ん?」
人面蝶「よっ」パシッ
武闘家「なっ……」
人面蝶「そらよ」ピュッ
フロッガー「ナイスボール」パシッ
武闘家「!?」
塁審「アウッ!」
勇者「え?上手いじゃんあいつら」
僧侶「あの慣れた動き……どうやら経験者は一人じゃなかったらしい」
魔法使い「ええ……聞いてないよ」
武闘家「……」
夢爺「すまない。言い忘れたがこの内野陣も全て経験者だ」ニヤリ
フロッガー「ゲッゲッゲ」
大蟻食い「ペロリ」
人面蝶「パタパタ」
バブルスライム「バブみ。バブみ」
武闘家「……やってくれる」
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/20(日) 23:26:42.59 ID:V2b+cbkvO
───商人ウェポンズベンチ
商人「あれ?三者凡退?俺の前にランナーためてくれないの?」
ブキヤ「それは……」
武闘家「最初から勝負が見えたのではつまらんだろう。今日のような相手は劇的に勝利してこそ観客も喜ぶ」
商人「そっか。だからわざとアウトになったんだね?」
武闘家「当然だ」
魔法使い(嘘だ……)
ブキヤ「気を遣わせてすまない。だが本気でやってくれていいんだぞ」ヒソヒソ
武闘家「気にするな」
魔法使い(この人罪悪感とか……)
商人「じゃああまり大差をつけない方がいいね。5打点もいらないか」
武闘家「ああ。大差では勝たない方がいい」
魔法使い(接戦になると悟ったね)
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/20(日) 23:28:04.47 ID:V2b+cbkvO
つづく
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/21(月) 19:29:29.00 ID:0pfTukoD0
おつ
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 22:50:01.35 ID:nBHSAscKO
───二回表
ウェポンズ 0-0 インズ
実況『お互い初回の攻撃が終わり無得点。この回インズの攻撃、5番ファーストフロッガー選手から始まります』
フロッガー「ゲッゲッゲ」
商人「……醜い」
魔法使い(この回は経験者が続く。外野には飛ばされないように……落ちる変化球は?)チョイチョイ
商人「……」フルフル
魔法使い(また断られた。好きに投げたいのか。大変だ)
商人「そりゃ!」ピュッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
魔法使い(ストレートは走っている。コントロールも悪くない。これなら低めに集めていれば大丈夫かな)
商人「三振しちゃいなよ」ピュッ
フロッガー「げへ」ブン
カキィン
商人「!?」
404 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 22:59:08.02 ID:nBHSAscKO
魔法使い「ファーストゴロ!」
勇者「お、俺のとこに来たか」
フロッガー「ゲゲ、まずい」
勇者「あれ?でもファースト空けていいのか?」ピタッ
コロコロ
勇者「この場合はどうすんだっけ」
僧侶「ファーストには俺が入る。勇者はボールを捕りに行け」タッタッタッ
勇者「わかった。よっ」パシッ
フロッガー「ゲッゲッゲ。その隙にセーフ」
勇者「あー、くそ。悪い」
僧侶「仕方ない。一塁の練習はしていなかったからな」
商人「エラーだね。ノーヒットノーヒット」
フロッガー「ゲッゲッゲ。そっちも素人が混じっていたか」
勇者「なんだと」
僧侶「わはは。言わせとけ言わせとけ。その通りじゃないか」
勇者「くそ、絶対挽回してやるからな」
僧侶「とにかくファーストへの打球が来たら塁は空けていい。迷わず捕りに行け」
勇者「わかった」
僧侶(それにしても今のピッチャーの動き……何か妙だ)
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 23:07:22.12 ID:nBHSAscKO
実況『ファースト勇者選手のエラーでノーアウト一塁。続くバッターは6番ショート人面蝶選手です』
人面蝶「パタパタ」
魔法使い(序盤、同点、ノーアウト一塁か。セオリー通りなら送りバントだけど……)
魔法使い(あのランナーの足なら盗塁はないか。でも商人君はランナー全く気にしていないし、走られたら僕じゃきっと刺せない)
魔法使い(どうせ色々考えても商人君次第なんだよな。何があっても慌てないよう心の準備だけはしておかなくちゃ)
商人「そりゃ!」ピュッ
人面蝶「ほい」コン
魔法使い「やっぱりバントだ。ファースト!」
勇者「くそ、あからさまに俺のとこ狙いやがって」タッタッタッ
勇者「動きさえわかりゃこんなの大したことねえっての」パシッ
勇者「二塁は無理か」チラッ
勇者「じゃあ一塁……」クルッ
勇者「!?」
魔法使い「商人君ファーストカバー!」
商人「え?」
人面蝶「パタパタ。セーフ。またまたついている」
勇者「なんで誰もいないんだよ」
魔法使い「タ、タイム」
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 23:20:34.93 ID:nBHSAscKO
───
魔法使い「商人君、なんでカバーに行かなかったの……?」
商人「え?俺が入るの?」
ブキヤ(……若はピッチング以外はほとんど練習していない)
武闘家「当然だ。一つ前のプレーも僧侶がカバーしたがお前は全く動かなかったな」
商人「それでできてるならいいじゃん。またユーがカバーしちゃいなよ」
武闘家「ランナーがいたら僧侶は二塁も警戒しなくちゃならん」
僧侶「ファーストが空いたとき今までどうしていた?」
商人「別に何も。誰かしら入ってたよ」
魔法使い「ええ……」
商人「大体そんなたかがワンプレー重要じゃないし」
武闘家(点が入らないとわかっているならそうだろうな)
商人「大事なのは俺が最後まで投げきる体力を残しておくこと。余計な仕事させないでよ」
勇者「お前それは……」
僧侶「わはは。すまん。次からは俺がファーストカバーに入ろう」
勇者「え?でも」
僧侶「この連係の練習を取り入れなかった俺に非がある」
勇者「いやさすがに二週間でそこまでできないだろ。道具もなかったしお前のせいじゃ……」
僧侶「二塁は武闘家に任せる。三塁は遊び人。三塁側にバントされたら魔法使いが処理してくれ」
商人「ユーはわかってるね。じゃあ頼むよ」
僧侶「うむ」
407 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 23:29:34.81 ID:nBHSAscKO
勇者「ちょっと甘やかしすぎじゃないか?」
僧侶「今あいつにあれこれ言ってもどうにかなるわけではない。だったら俺たちでなんとかするしかない」
勇者「実質7人で守らなきゃいけないのかよ」
僧侶「戦士の分も考えると6人だな」
勇者「い……ハンデやりすぎだろ」
僧侶「向こうも素人が混じっているんだ。これで実質互角だろう」
魔法使い「商人君、そういえば変化球のサインなんだけど」
商人「変化球なんか投げられないよ」
魔法使い「やっぱりね!驚くと思った?残念このパターンは慣れてるよ!」
商人「お客さんにはそんなのわからないし速い球投げてた方がすごいって言われるんだよ」
魔法使い(やっぱり根本的にやっている野球が違うんだ……)
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 23:39:58.54 ID:nBHSAscKO
───
実況『またしても勇者選手のエラーでノーアウト一、二塁。インズにとっては大きなチャンスですよ。バッターは7番サードバブルスライム選手』
勇者「俺のエラーかよ」
僧侶「全体が商人贔屓だな」
バブルスライム「さて、どうするかな。送るかな」
魔法使い(僕を惑わそうとしているのか)
バブルスライム「ファーストが素人っぽいからそっちに転がそうかな」スッ
魔法使い(主導権は僕にないから無意味なのに)
商人「そりゃ!」ピュッ
バブルスライム「やっぱ何もしーない」サッ
魔法使い「え?」バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
僧侶「ダブルスチールだ!」
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/21(月) 23:52:31.75 ID:nBHSAscKO
フロッガー「ゲッゲッゲ。隙あり」タッタッタッ
人面蝶「パタパタ」タッタッタッ
魔法使い「嘘!?三塁は難しい、二塁へ!」ピュッ
ヒューン
僧侶「くっ」スカッ
勇者「げ、逸らした」
魔法使い「ああ!ゴメン!僕のボールが悪かったから……」
フロッガー「お?またチャンス。本塁まで……」
タッタッタッ
盗賊「させるか」パシッ
魔法使い「ナイスフォロー盗賊君!」
フロッガー「ちっ、またあいつか」ピタッ
僧侶「すまん盗賊」
武闘家「らしくないな。どうした?」
僧侶「わはは。久しぶりで試合勘が鈍っているようだ」
武闘家「今のところ俺たちのミスだけでピンチを生み出している。相手はますますそこに付け込んでくるぞ」
僧侶「ああ。なんとか流れを変えないと」
バブルスライム「なんでえ。こいつら素人ばかりかよ。バブみを感じてても勝てそうだぜ」
魔法使い(あんなグダグダな守備やってたら攻められるのは当然か)
魔法使い(僧侶君が捕れなかったのは僕のせいだ……タイミングも全然間に合わなかった。きっと相手はそれに気付いてどんどん仕掛けてくる)
魔法使い(これ本格的にまずいんじゃ……)
410 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/21(月) 23:53:37.92 ID:nBHSAscKO
つづく
411 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/22(火) 08:47:34.31 ID:ZebNvO2ZO
このペースでいくと20スレくらいで終わるかな
412 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 22:22:20.64 ID:gfMNufM2O
実況『ダブルスチールから僧侶選手の捕球ミスも重なりウェポンズはピンチが広がります。ノーアウト二、三塁。バッターは変わらず7番バブルスライム選手』
解説『味方に足を引っ張られて可哀想ですなあ』
実況『さあウェポンズここを凌げるか』
実況『下位打線ですしね。坊っちゃ……商人選手なら抑えるでしょう』
フロッガー「ゲッゲッゲ。犠牲フライでもホームへカエルぜ」
人面蝶「パタパタ。俺も生還するからタイムリーチョウだい」
商人「あれ?今日は完封のはずだよね?」
ブキヤ(ノーアウト二、三塁……まずい)
商人「あ、これから全員三振にするんだね」
魔法使い(無理だと思う)
商人「劇的な演出ありがとー!」ピュッ
バブルスライム「バブあ!」カキィン
商人「違うじゃん!?」
魔法使い「しかも勇者君狙いじゃない!三遊間だ!」
武闘家「ちっ、裏をかかれた。抜ける……」
タッタッタッ
武闘家「ん?」
413 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 22:39:57.68 ID:gfMNufM2O
バッ
遊び人「……」パシッ
武闘家「!?」
塁審「アウッ!」
バブルスライム「えええ!?」
魔法使い「捕った……あの鋭いライナーを」
遊び人「……」スタッ
武闘家「三塁ランナー飛び出しているぞ!タッチだ!」
フロッガー「ゲゲ!しまっ……!」
遊び人「……」シャッ
フロッガー「はや!」
遊び人「……」ポン
塁審「アウッ!」
フロッガー「嘘お……」
僧侶「二塁も飛び出している!投げ───」バシィ
僧侶「……」
僧侶「……え?」
魔法使い「すでにボールは僧侶君の手元に!?」
人面蝶「やべ」
僧侶「タッチだ」ポン
塁審「アウッ!」
人面蝶「んなあああ!?」
武闘家「速い……タッチしたその流れで投げていた……」
僧侶「それも動かさない俺のグラブの中にストライク送球……」
遊び人「……」
魔法使い「ト、トリプルプレーだ」
勇者「すげえ!すげえぞ遊び人!」
414 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 22:49:56.34 ID:gfMNufM2O
実況『なんとトリプルプレーが出ました!ウェポンズ、遊び人選手のビッグプレーでピンチを切り抜けた!』
解説『坊っちゃ……商人選手があそこに打たせたんですよ。狙い通り。さすがのピッチングです』
魔法使い「助かったよ遊び人君!」
戦士「あの場面絶対失点すると思ったよ」
盗賊「やるじゃねえか。まだ信じらんねえぜ」
勇者「遊び人、お前練習じゃ見せなかったけどすごいじゃん」
遊び人「ん……」
武闘家「……」
僧侶「悪い流れを断ち切った。まだこれからだぞ」
ブキヤ(助かった……若の完封)
\すごくない?/
\てかあの人めっちゃイケメン/
415 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 23:02:23.71 ID:gfMNufM2O
\遊び人君格好いい!/
商人「……ちょっと。ユーも自重しちゃいなよ。俺より目立ってどうすんの」
遊び人「……ゴメン」
商人「ブキヤ、今日はこういう演出なの?」
ブキヤ「これから若には見せ場がきますのでご安心を」
商人「ならいいけど」
ブキヤ(ならいいのだが……)
勇者「しっかし驚いたな。あんなプレーなかなか見られないぜ」
遊び人「……」
勇者「どうした?いつものお前らしくないな。今なら調子に乗っていいんだぞ」
武闘家「わからないか?」
勇者「何を?」
武闘家「……あそこを見ろ」
勇者「ん?客席?」クルッ
416 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 23:07:28.34 ID:gfMNufM2O
観客「さっきはすごかったよ」
遊び人「僕ならあれくらい当然さ」
勇者「!?」
観客「格好いい……サインください」
遊び人「いいよ。君の名は?」
勇者「お前もしかして……」クルッ
賢者「……」
勇者「入れ替わってるうー!?」
417 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/22(火) 23:10:38.00 ID:dfDd09hfO
笑うわこんなん
418 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 23:19:03.83 ID:gfMNufM2O
───客席
遊び人「僕とずっと一緒にいてくれないか?」
観客「ずっとって、この試合中?」
遊び人「いいや」
観客「じゃあ今日一日?」
遊び人「いいや」
観客「じゃあいつまで?」
遊び人「僕が言いたいのは……永遠」
観客「喜んで……ぽっ」
勇者「失礼ながらあなたさっきまでグラウンドにいた人とは別人では?よく若い方は騙されるのですが」
遊び人「!?」
勇者「何やってんだてめえ」
遊び人「あ、あれ?もうバレた?」
勇者「お前ら見分けつかねえんだよ。来い!」グイッ
遊び人「待ってよ!まだ10人しか連絡先を……」
勇者「うるせえ!何がNEW遊び人だ!なんにも変わってねえじゃねえか!」
419 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 23:35:16.64 ID:gfMNufM2O
───商人ウェポンズベンチ
遊び人「うう……」ボロッ
魔法使い「おかえり……うわ」
僧侶「また派手にやったな」
盗賊「自慢の顔が台無しだな」
戦士「そこまでしなくても……」
遊び人「うう……」
勇者「もうあんなことできないようにピエロメイクしてやった」
遊び人「ひどいじゃないか!これじゃあ僕が誰だかわからないだろ!」
武闘家「賢者と見分けがつけばいい」
僧侶「うむ。お前が文句言える立場ではない」
魔法使い「でもよく賢者君代わってくれたね」
遊び人「今日は女の子といっぱいお近づきになれるチャンスなんだ。昨日頼み込んだんだよ」
戦士「意外と簡単に引き受けてくれんだね。野球は嫌なのかと思ったけど」
遊び人「僕がお願いすればなんでも聞いてくれるからね」
盗賊「戦力的にはあいつの方が頼もしいんだがな」
遊び人「う……」
勇者「野球部は賢者じゃない。遊び人だ。野球部の力で勝たなきゃ意味ないだろ」
遊び人「そっか……そうだった。僕はまた過ちを犯すところだった」
勇者「ああ、お前が必要なんだ」
遊び人「兄貴より僕を……うん。頑張るよ。ところで兄貴は?」
魔法使い「店の仕込みがあるから帰っちゃったよ」
遊び人「おおい!ならこのメイクなんなんだよ!」
420 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/22(火) 23:42:06.71 ID:gfMNufM2O
武闘家「それより勇者の打順に回ってきている。急げ」
勇者「あれ?商人は?」
僧侶「ツーベースヒットを打ったよ」
勇者「え?あいつ打つ方もすごかったのか?」
盗賊「なんか、ボールの来る場所がわかっていたような感じだったが」
武闘家「そしてブキヤが三振でワンナウト二塁だ」
魔法使い「チャンスだよ。頑張って」
勇者「おう」ブンブン
421 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/22(火) 23:42:48.29 ID:gfMNufM2O
つづく
422 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/23(水) 18:53:45.34 ID:RFjaFzL60
賢者ドラフト競合レベルだろ
423 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/27(日) 18:52:17.48 ID:44X5KIe6O
───二回裏
ウェポンズ 0-0 インズ
1死 2塁
夢爺「ヤドヤめ……珍しくサインを出したと思ったら」
ヤドヤ「……」
夢爺「このピンチもお前の望み通りというわけか」
実況『ウェポンズのチャンスはまだ続きます。6番ファースト勇者選手。守備ではミスがありました。ここで挽回したいところ』
夢爺「まあいい。ランナーを返さなければいいだけのこと」
勇者「よっしゃ。来い!」
夢爺「こいつはほぼ素人。抑える」ピュッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
勇者「うお、近くで見るとやっぱ速え」
夢爺「どうした?手も出せないか」
勇者「へへ」
ヤドヤ「ん?」
夢爺(笑っている……?)
424 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/27(日) 19:01:21.84 ID:44X5KIe6O
勇者「絶対打ってやる」
夢爺「ふっ、打てるものなら打ってみろ」ピュッ
勇者「おりゃ!」ブン
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
勇者「ダメだ。振り遅れちまう。もっと早く振らないと」
夢爺「ふん」ピュッ
勇者「おりゃ!」ブン
スゥー
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
勇者「!?」
夢爺「緩急だ。こんな投球は初めてかな?坊や」
勇者「……」
夢爺「ふっ、言葉も出ないか」
勇者「……はは。楽しいな」
夢爺「なに?」
勇者「やっぱ野球は楽しいや。こんなすげえやつと戦えるんだもんな」
夢爺「こいつ……」
ヤドヤ「……」
425 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/27(日) 19:13:15.31 ID:44X5KIe6O
実況『おおっと、いい投球を見せました夢爺選手。ワンナウト2塁からツーアウト2塁に変わります』
解説『坊っちゃ……商人選手の好投に刺激を受けたんでしょうなあ』
実況『次のバッターは先程ファインプレーを見せた7番サード遊び人選手。本日初打席……ですがあのメイクはなんでしょう?』
解説『さあ?ハーフタイムショーか何かやるんじゃないですか』
\キャー!遊び人くーん!/
\頑張ってー!/
\ピエロメイクもお茶目/
遊び人「こんな顔だけど兄貴のお陰でいっぱいファンがついたよ。ラッキー」
夢爺(こいつははっきり言ってレベルが違う。あのプレーからただの素人ではないとわかる)
遊び人「ここで打ったら会場の女の子皆僕のファンになっちゃうかもね」
夢爺(ヤドヤもどう出るかわからない。ここは……)
426 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/27(日) 19:20:51.86 ID:44X5KIe6O
バシィ
アンパイア「ボールフォア!」
遊び人「あれ?四球か。まあいいや。出塁できてラッキー」
武闘家「安全策か。賢者の活躍が効いているな」
盗賊「別人だと気づかれたらどうなることやら」
僧侶「魔法使い、番が来たぞ」
魔法使い「うう。僕かあ」
僧侶「わはは。まだ序盤。最初の打席だ。気負わずにいけ」
魔法使い「う、うん」
427 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/27(日) 19:34:33.15 ID:44X5KIe6O
───
カキィン
魔法使い「あー……」
ヒューン
パシッ
夢爺「ピッチャーフライ。チェンジだ」ニヤ
魔法使い「くそ、当てたのに」
勇者「ドンマイドンマイ」
魔法使い「商人君、ホームに返せなくてゴメン」
商人「気にしないでよ」
魔法使い「商人君……」
商人「打点つけるのは俺だからどんどんアウトになっちゃいなよ」
魔法使い「……」
武闘家「そういうことだ。気にするな」
盗賊「あいつフライのとき走ってもなかったしな」
魔法使い「はあ……どうなるんだこれ」
428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/27(日) 19:35:22.57 ID:44X5KIe6O
つづく
429 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/28(月) 13:28:02.01 ID:Qq6qmK/v0
乙
430 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 21:23:53.03 ID:HAPrKiJOO
───三回表
ウェポンズ 0-0 インズ
実況『傾きかけた流れを止めました夢爺選手』
解説『坊っちゃ……商人選手がせっかくチャンスをつくったのですがね』
実況『ここまで両チームともチャンスはつくるも無得点。この回はインズの攻撃、8番セカンド大蟻食い選手からです』
\ブーブー!/
\引っ込めー!/
大蟻食い「俺何もしてないのに……このブーイングあり得ない」
勇者「ありゃー、すげえブーイング。相手やりづらいだろうな」
僧侶「賢者の活躍もあり、ますます応援が増えたようだ」
勇者「でもちゃんと野球見てくれてるってことだろ。だったらこの声援もアリだな」
僧侶「うむ。有り難い」
431 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 21:36:55.40 ID:HAPrKiJOO
商人「じゃあさっさと仕留めちゃうかな」
大蟻食い「ありあり?もしかして舐めてる?」ペロッ
商人「おりゃ!」ピュッ
大蟻食い「アリィ!」カキィン
魔法使い「一二塁間のゴロだ!」
勇者「やっぱ遊び人の方は狙わねえか。僧侶!」
僧侶「うむ」パシッ
ピュッ
勇者「おし、ナイスボール」バシィ
塁審「アウッ!」
魔法使い「さすが。軽快」
大蟻食い「ありあり?あそこも堅い」ペロッ
遊び人「なるほどね……」
武闘家「そちらを狙われるとは舐められたものだな。守りのエキスパート」
僧侶「わはは。今までいいところがなかったからな。見せ場はこれからだ」
勇者「今のサード狙われるより助かるぜ」チラッ
遊び人「なるほど。あの辺りの席に可愛い子が揃っている。後で連絡先聞きに行かなきゃ」
432 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 21:50:12.01 ID:HAPrKiJOO
───
一角兎「くっ」スカッ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」
実況『9番1番を二者連続三振!商人選手、流れは渡さない!』
解説『さすがですなあ』
僧侶「うむ。危なげなく後続も抑えたな」
武闘家「素人が続けばそうなる」
魔法使い(でも経験者には捉えられている。そろそろちゃんと対策しないと二巡目はどうなるか……)
勇者「よし、この回で試合動かそうぜ。トップバッターは」
戦士「俺だよ」
勇者「……」
戦士「任せてよ」
武闘家「戦士」
戦士「頑張るよ」
武闘家「バットは振るな」
戦士「!?」
武闘家「球数を多く投げさせて四球狙い作戦だ」
戦士「じゃあファウルで粘って……」
武闘家「振るな。お前の打撃はまだ見せるときじゃない。秘密兵器なんだ」
魔法使い(バット振られたら危ないもんね)
戦士「でもコントロール良さそうだし……」
武闘家「やつはブランクがある。そろそろ疲れが出てきてもおかしくない。四球狙いだ。絶対振るな」
戦士「……」
魔法使い(本当に期待されていないってここまで悲しいんだ……)
433 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 21:57:19.78 ID:HAPrKiJOO
───三回裏
ウェポンズ 0-0 インズ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
戦士「三球で終わったやんけ……」
\ブーブー!/
\これ以上足引っ張らないで!/
\動けデブ!/
戦士「俺だけアウェーやん……トホホ」
434 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 22:12:27.89 ID:HAPrKiJOO
実況『9番戦士選手、一度も振らずに三球三振。両チームとも得点なく一巡しました。次のバッターは1番盗賊選手です』
解説『どちらもアウトのうち三振が多いですね。ピッチャーの質がいい。特にウェポンズ』
夢爺「お互いのレベルが低いということだ。このままでは塩試合だな」
盗賊「けっ、すぐ打ち崩してやる」
夢爺「口先だけならなんとでも言える」ピュッ
盗賊「くっ」ブン
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
盗賊「くそ、当たらねえ」
夢爺「ふっ、何も考えずに振っているだけではな。それでもリードオフマンか?」
盗賊「リードオフマン……」
夢爺「お前が出られないようじゃ得点チャンスは半減だな」ピュッ
盗賊「……」
バシィ
アンパイア「アアァイッ!」
盗賊「俺はリードオフマン……俺の武器は足だ」
435 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 22:22:38.42 ID:HAPrKiJOO
盗賊「認めたくねえがあいつからヒットを打つのは可能性が低い」
夢爺「これで三振だ」ピュッ
盗賊「塁に出られる方法があるなら……!」スッ
魔法使い「えっ!?」
勇者「バントの構え?」
遊び人「ツーストライクだよ」
武闘家「いや、だからこそ意表をつける」
盗賊「なんだって試すぜ!」コン
夢爺「スリーバントだと?」
コロコロ
盗賊「うおおおお!」ダッ
夢爺「ちっ、うまく転がしたな。サード!」
バブルスライム「バブ!バブ!」ガシッ
ピュッ
盗賊「うおおおお!」ズサー
フロッガー「ゲロッ!」パシッ
塁審「……」
盗賊「……」チラッ
フロッガー「……」チラッ
塁審「セーフ!」
盗賊「しゃあ!」
436 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/13(水) 22:29:14.36 ID:HAPrKiJOO
勇者「すげえ。やっぱ速いなあいつ」
魔法使い「セーフティバントでいいところにいったね」
武闘家「打てないのであれば勝負にいくべきと踏んだのだろう。やつの集中力の勝ちだ」
\やっぱ格好いいかも/
\あんたブキヤのファンでしょ/
\やめてよブキヤに聞こえちゃう/
盗賊「ふ、ふん。アリアハンのリードオフマン舐めんなよ」
夢爺「ほう」
437 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/13(水) 22:30:06.35 ID:HAPrKiJOO
つづく
438 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 19:18:12.35 ID:i3B3YQ9lO
僧侶「さて、せっかく足のあるランナーが出た。どうするか」
魔法使い「選択肢が一気に増えたからね。盗賊君の盗塁もいけるよ」
勇者「いや、あいつやんないと思うぜ」
魔法使い「え?なんで?」
武闘家「キャッチャーが飾りじゃ簡単に盗める。やつはバコタの精神を受け継ぎ、アンフェアは嫌うはず」
魔法使い「一番勝ちたがっていたのに……」
僧侶「任せてもいいか?」
武闘家「まあ普通なら送るな。その後のチャンスを次の俺が仕留めるというのがセオリーだ」
僧侶「俺にはそれしかできそうもない」
武闘家「だが意表をつくやり方で攻めるのも面白い」
僧侶「……」
武闘家「今なら向こうに動揺がある。何かを起こすチャンスということだ」
僧侶「……お前ならそう考えると思ったよ」
武闘家「盗賊が切り開くヒントを残してくれた」
僧侶「たしかにセオリー通りではつまらんな。仮にもショニーズ。自信はないがお客を楽しませるとするか」
439 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 19:32:12.24 ID:i3B3YQ9lO
───
実況『盗賊選手の見事なセーフティバントでワンナウト1塁になりました。続くバッターは2番僧侶選手』
僧侶「さて……」スッ
夢爺「送りバントか。盗塁をさせないとはなかなかフェアじゃないか」
僧侶「キャッチャーが地蔵ではつまらんからな」
夢爺「ふっ、言われているぞ。ヤドヤ」
ヤドヤ「……」
夢爺「だが送ろうが関係ない。アウトが一つ増えるだけ」ピュッ
フロッガー「バント処理なんてゲロいぜ」タッタッタッ
バブルスライム「ああ……バブみを感じてえ」タッタッタッ
実況『ファーストとサードが前に出た!』
僧侶「すまないな。これは邪道かな」スッ
ヤドヤ「バッティング?」
僧侶「アンフェアではないぞ。戦法だ」
夢爺「なんだと?下がれ!」
フロッガー「ゲロッ!?」ピタッ
バブルスライム「バブッ!?」ピタッ
僧侶「遅い」ニヤリ
カキィン
実況『打ったー!僧侶選手ここでバスターだ!』
440 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 19:42:37.37 ID:i3B3YQ9lO
コロコロ
僧侶「……すまん」
勇者「げ、ボテボテ」
戦士「あんだけ格好つけてたのに!?」
武闘家「……こんなものだ。奇襲を仕掛けるには根拠となるレベルが低すぎたということ」
魔法使い「バスターなんて難しいもん……当たっただけいいよ。結果的に進塁打にはなりそうだし」
コロコロ
夢爺「ファーストサードは反応が遅れている。キャッチャー」
ヤドヤ「……」
夢爺「……ふう」ダッ
夢爺「これも捕ろうとしないか」パシッ
夢爺「一塁は……」チラッ
僧侶「ん?セーフか?」タッタッタッ
夢爺「ちっ」
ヤドヤ「……」
勇者「あら?なんかセーフになったぞ」
魔法使い「ヤドヤさんの守備範囲だったけど捕らなかったんだ」
遊び人「本当に最低限のキャッチャーの働きしかしないんだねえ」
\なにあれ?/
\よくわかんなーい/
\でもウェポンズが押してるし面白ーい/
僧侶「喜んでもらっているようだが、いまいち達成感はないな」
441 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 19:51:27.81 ID:i3B3YQ9lO
実況『バスターで意表をつき、当たり損ねの内野安打で出塁。ワンナウト1、2塁になりました。続くバッターは3番武闘家選手』
夢爺「アウトにするには三振かキャッチャーの守備範囲に打たせない、か」
ヤドヤ「……」
武闘家「随分と苦戦しているようだな」
夢爺「苦戦?まだ点を与えていないが」
武闘家「今から失点するだろう。この俺によって」
夢爺「お前たちごときには無理だ」ピュッ
武闘家「残念だったな。お前の球はすでに見切っている」ブン
カキィン
実況『打ったー!武闘家選手初球からいったー!』
442 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 20:01:08.93 ID:i3B3YQ9lO
ヒューン
武闘家「……すまん」
勇者「げ、ファウルフライ」
戦士「あんだけ大口叩いておいて!?」
魔法使い「いやなんとなく予想できたけど……」
遊び人「大きいの狙おうとして大振りしすぎたね。女の子の前だからって」
勇者「レベルが低いって辛いな……」
遊び人「あれ?でもキャッチャーフライだよ。彼は捕らないんじゃない?」
勇者「じゃあファウルか。不可抗力だけど気を取り直して……」
タッタッタッ
ヤドヤ「ん?」
夢爺「どけ!」タッタッタッ
ヤドヤ「なに?」
443 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/09/17(日) 20:10:03.72 ID:i3B3YQ9lO
勇者「嘘だろ。あいつ捕る気か」
戦士「打球こっちのベンチに入りそうだよ。無理だって」
遊び人「球しか見ていない。危険だ」
魔法使い「こっちに来る!?」
夢爺「おおおおお!」バッ
パシッ
武闘家「捕った……が」
魔法使い「危ない!」
ドンガラガッシャーン
戦士「う、うわあ……」
勇者「おいおい。突っ込んでベンチに……無茶しすぎだろ」
魔法使い「夢爺さん、大丈……」
夢爺「」
魔法使い「え?」
勇者「おっさん!やべえ。気を失ってる。頭打ったか」
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/17(日) 20:10:45.94 ID:i3B3YQ9lO
つづく
445 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/21(土) 19:25:05.33 ID:Haep8ENwo
続き…
446 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/27(金) 21:32:39.20 ID:sTGtY0d1O
実況『なんとピッチャーの夢爺選手、ファウルフライを捕りにウェポンズベンチへ飛び込んでしまいました』
解説『ヤドヤ選手は見切って捕りに行かなかったんですが、彼の方は判断を誤りましたね』
実況『ここからはよく見えないんですが大丈夫でしょうか。アウトが宣告されたのでキャッチはしたようですが……インズの選手も集まってきました』
\え……何あれ大丈夫だよね?/
\死んだ?/
\ヤドヤに任せればよかったのに張り切るから/
\死んだ?/
商人「お客さんドン引きじゃん!やり過ぎだよ!」
ヤドヤ「……」
大烏「夢爺さん!」
一角兎「しっかり!」
スライム「うわああん」
勇者「おい、おっさん!」ペチペチ
魔法使い「そんな無茶な起こし方まずいって!」
夢爺「ん……」パチリ
勇者「お、気がついたぞ」
魔法使い「嘘……でもよかった」
447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/27(金) 21:51:10.46 ID:sTGtY0d1O
大烏「夢爺さん!大丈夫ですか!」
一角兎「わかりますか!?」
スライム「ひっく……ひっく」
夢爺「……ああ。少し打ちつけただけだ。どれくらい眠っていた?」
勇者「1、2分ってとこだな」
夢爺「そうか。中断させて悪かった。再開しよう」
大烏「でも……」
夢爺「大事にするな。大勢の人間が見ている」
ヤドヤ「無理しない方がいいんじゃないの」
夢爺「お前に言われる筋合いはない」
ヤドヤ「そんな減らず口を叩けるなら大丈夫そうだな」
夢爺「ふん……」
勇者「本当に大丈夫か?結構派手にいったぜ」
夢爺「敵の心配より自分の心配をしたらどうだ。本気で勝つ気があるのか?」
勇者「それとこれとは……」
夢爺「ただでさえレベルの低い試合を見せているのにこのままでは事故のような空気になるぞ。こんなものは野球ではよくあるプレーだ」
勇者「……」
商人「大丈夫って言ってるならいいじゃん。一人欠けたら中止なんだから派手な演出でも怪我はやめてよね」
夢爺「悪かったな。試合再開だ」
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/27(金) 22:15:07.49 ID:sTGtY0d1O
───
実況『どうやら大丈夫そうですね』
解説『ショニーズ野球リーグではあまり見られない出来事だったので大袈裟になりましたな』
実況『捕球後にボールデッドとなりランナーそれぞれ進塁します。ツーアウトですが2、3塁になってここで4番商人選手です』
商人「ヤドヤ、また真ん中に投げさせちゃいなよ」
ヤドヤ「いやあ……あいつもう俺のサインは無視すると思います」
商人「なんで!?頭でも打っておかしくなっちゃったの?」
ヤドヤ「まあ……そういう感じですかね」
商人「なんだよそれ。だったらピッチャー代えちゃってよ」
ヤドヤ「若なら実力で打てますって」
商人「え?本当?」
夢爺「お喋りとは余裕だな。二人で俺を打ち崩す相談か?」
商人「うるさいな。言うこと聞かないやつなんか給料減俸だ」
夢爺「そろそろ投げるぞ」
商人「どの辺に投げそうかな?変化球あるのかな?」
ヤドヤ「もう来ますよ。構えた方が」
夢爺「ふう」スッ
ズキッ
夢爺「うっ」ピュッ
夢爺「しまっ……!」
商人「え?」
ドゴッ
商人「ぐええ……」
ヤドヤ「若!」
アンパイア「デッボー」
夢爺「……」
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 22:18:54.03 ID:DRrvx0kkO
勇者「うわ、やりやがった」
遊び人「今なんかフォームおかしかったね」
戦士「さっきどこか痛めたんじゃない?」
ヤドヤ「若!大丈夫ですか」
商人「うう……痛いよ」
ヤドヤ「右手が腫れている。骨折かもしれない」
商人「なんだよ……あいつなんでぶつけたの?」
ヤドヤ「わざとじゃないと思いますが」
夢爺「すまない。故意ではないが野球とはこういうもの」
ヤドヤ「俺たちの野球は客を楽しませてナンボだ。本気のデッドボールはまずいんだよ」
夢爺「……」
武闘家「お前のやり方は客を楽しませているか?」
ヤドヤ「ああ?」
武闘家「元を辿れば誰の怠慢プレーが引き起こした?」
ヤドヤ「……」
武闘家「お前のやっていることは客ではなく、商人を喜ばせているだけじゃないのか?」
ヤドヤ「……なんだと?」
夢爺「当てたのは俺だ。ヤドヤは関係ない」
ヤドヤ「……」
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 22:34:30.16 ID:DRrvx0kkO
商人「ちょっと、俺を無視して揉めないでよ。救急車呼んで」
ブキヤ「……若」
商人「ブキヤ、早く救急車」
ブキヤ「しかし若がこのまま退場となれば、試合中止ということになります」
商人「だって骨折れちゃってるよ」
僧侶「見せてみろ」ガシッ
商人「折れてるよ!触らないでよ!」
僧侶「ふむ、これなら大丈夫だ。ただの打撲だ」
勇者「なんだ。よかったな」
商人「素人の意見なんて参考にならないよ!すごく痛いんだよ!」
武闘家「僧侶はその辺の医療従事者よりは当てになる」
魔法使い「なんで!?」
僧侶「そういう宗派に生まれ育ったからな」
魔法使い「どういう!?」
僧侶「打撲に対して医者ができることはさほどない。精々薬を処方するだけ。ならば素人でもやることは同じ」スッ
魔法使い「それは?」
僧侶「うちの寺に代々伝わる秘伝の薬草だ。そこらの湿布よりは効くぞ。わはは」
魔法使い「う、胡散臭い……」
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 22:53:13.67 ID:DRrvx0kkO
ヌリヌリ
商人「あれ?ちょっと痛みがなくなってきた」
魔法使い「嘘でしょ!?」
僧侶「完全に治ったわけではない。あまり動かすな」
魔法使い(この人何者なんだろう)
商人「くっそー……なんでこんなことに」
武闘家「あんなの避けられない方が悪い。お前が敵のキャッチャーと話をしているから避けられなかっただけだろう」
商人「なんで当てられた俺が責められるの」
武闘家「いつまでもこんなことをしていたら不穏な空気になる。観客にアピールしてやれ」
商人「なんで……」フリフリ
ヤドヤ「意外だね。お前も俺を責めるかと思ったが」
夢爺「事実を言ったまで。それに……いや、なんでもない」
ヤドヤ「……なんだよ」
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:10:27.68 ID:DRrvx0kkO
実況『観客席に手を振って一塁に向かっていますね。どうやら大丈夫のようです』
解説『ほっ……』
実況『これでツーアウトながら満塁になり、バッターは5番ブキヤ選手です』
夢爺「一人当てたからといって遠慮はせん。今まで通りに投球する」
ブキヤ「あれでは若が活躍することはもう不可能……」
ヤドヤ「本当厄介な連中を巻き込んじまったな。どうすんだ?」
ブキヤ「若が打てないなら自分も打つわけにはいかない」
ヤドヤ「いいんじゃないの。もう若も試合どころじゃないし」
ブキヤ「お前はどうする?」
ヤドヤ「どうもしないよ。今まで通りだ」
ブキヤ「……自分は純粋に彼らを勝たせてやりたいと思っている」
ヤドヤ「情が沸いたか。俺は全くだね」
ブキヤ「だが」
バシィ
バシィ
バシィ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」
ブキヤ「勝負にけりをつけるのは彼らだ」
ヤドヤ「そっか」
ブキヤ「彼が言ったことは気にするな」
ヤドヤ「うん?」
ブキヤ「我々には我々の信念がある。お前は間違っていない。自分を貫き通せ」
ヤドヤ「わかってる」
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:28:44.28 ID:DRrvx0kkO
───商人ウェポンズベンチ
僧侶「さて我々の守りだが、ピッチャー交代だ」
商人「は?代わるの?」
僧侶「そりゃそうだ。重傷ではないがそれでは球は握れまい」
商人「せっかく我慢して出てんだから活躍しないと意味ないよ。向こうのやつらに全部三振させちゃえばいいよ」
武闘家「無理だ。ストライクどころかキャッチャーに届くかもわからん球を振らせれば、どんな客だろうと八百長と気づくぞ」
商人「うう……」
魔法使い(そもそもそんな指示向こうはヤドヤさん以外聞かないもんね)
勇者「後は任せておけって」
商人「ウェポンズのピッチャーは俺だけなのに……」
ブキヤ「若……」
魔法使い「商人君の守備はどうするの?」
僧侶「できそうなところはファーストか」
商人「ファーストなんてやったことないよ」
僧侶「常に塁上にいてくれれば守備は放棄していい。俺たちが投げたボールくらいは捕れるだろう?」
商人「そんなのなんの見せ場もないじゃん」
武闘家「試合を成立させることを第一に考えろ。大体負担は俺たちにかかるんだ」
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:40:38.91 ID:DRrvx0kkO
魔法使い「じゃあピッチャー頑張って勇者」
勇者「よっしゃ。いよいよ俺の出番」
僧侶「いや」
勇者「え?」
僧侶「ただでさえ内野守備が緩くなり、商人とほぼ同じ実力・球種の勇者ではおそらく打たれる」
武闘家「そういうことだ。俺に任せるんだな」
僧侶「いや」
武闘家「なに?」
僧侶「お前も変化球持っていないだろう。なぜ出てきた」
勇者「でも他にピッチャーは……」
遊び人「やれやれ仕方ない。僕が」
僧侶「魔法使い」
魔法使い「ん?」
僧侶「お前が投げろ」
魔法使い「……は?」
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:41:43.87 ID:DRrvx0kkO
つづく
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/28(土) 23:55:24.19 ID:RgLPSYXiO
乙
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 22:41:04.90 ID:z/uoFdXnO
勇者「魔法使いだって……?」
僧侶「違うタイプのピッチャーなら向こうもすぐには対応できまい」
魔法使い「いやいや待ってよ。僕ピッチャーじゃないし」
僧侶「お前には独特の球筋がある。あれは変化球のようなものだ。十分武器になる」
魔法使い「僕の球が……?」
勇者「なんでそんなのわかるんだ」
僧侶「先ほど魔法使いが盗塁を刺そうとしたとき、俺は捕球できなかった」
魔法使い「そういえば……あれって僕が捕り辛いところに投げたからじゃ?」
僧侶「いや、いい球だった。ただ予測した軌道とズレがあったんだ」
魔法使い「そうなの?」
僧侶「自信を持て。お前のストレートは生まれ持ったものだ。真似しようと思っても誰もできん」
魔法使い「僕がピッチャー……」
勇者「……」
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 22:56:21.08 ID:z/uoFdXnO
魔法使い「だったらキャッチャーはどうするの?」
僧侶「それなのだが……」
魔法使い「経験のある人いないよ。まさかブキヤさんに頼るの?」
ブキヤ「自分もキャッチャーの経験はない」
魔法使い「ですよね」
ブキヤ「だがどうしても試合が成り立たなくなるというのなら……」
勇者「俺がやるよ」
魔法使い「え?」
勇者「僧侶でも捕れなかったんだろ。俺はいつも魔法使いとキャッチボールしてたから慣れてるし」
魔法使い「キャッチャー舐めないでよ。素人がそんなすぐできるもんじゃないんだよ。キャッチボールとは違うんだよ。一番大事なポジションなんだよ。ねえ?」
武闘家「だが俺か僧侶がやるとしても内野に穴が空きすぎる。代われない」
魔法使い「君ピッチャーのときは真っ先に代わろうとしたよね!?」
僧侶「俺も勇者に懸けようと思っていた。野球経験のない勇者なら本来の球筋と違っても惑わされにくい」
勇者「ああ、やってやるよ」
魔法使い「ちょっと皆本気なの?」
勇者「お前の投球、じっくり見させてもらうからな」
魔法使い「いやいや……」
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 23:12:03.59 ID:z/uoFdXnO
───4回表
ウェポンズ 0-0 インズ
実況『ピッチャー交代ですね。商人選手、やはりデッドボールの影響か』
解説『あわわ……坊っちゃんに何かあったら社長になんて言われるか』
実況『リリーフは先ほどまでキャッチャーだった魔法使い選手のようです。どうなりますかね』
解説『知るか!どうでもいいわ!』
実況『キャッチャーは勇者選手、ファーストは商人選手に代わりました』
解説『何やらせてんだよ!病院連れてけよ!』
実況『投球練習が終わり、バッターは2番大烏選手からです』
魔法使い「なんでこんなことに……」
勇者「……」
武闘家「……大丈夫なのか本当に」
僧侶「やはり投球練習で勇者は捕ることができた。あとは打者を立たせてどうなるか」
武闘家「それはいいんだが、投球練習を見ている限り……」
僧侶「二人には試合中にいつもと違うポジションに慣れていってもらうしかない」
武闘家「打ちごろの球にしか見えん。本当に変化しているのか……?」
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 23:29:11.28 ID:z/uoFdXnO
大烏「カッカッカ、さっきのやつより遅いぞ。あれなら俺でも打てるかも」
勇者「じゃあお手並み拝見といくぜ」スッ
魔法使い(ど真ん中!?何そのリード!?)
勇者「……」コクッ
魔法使い(……まずストライクが入るかだもんね。あの辺に投げればど真ん中じゃなくていい具合に散らばるかも……そういうことだよね!?)
勇者「ここだぞ。しっかり投げろ」
魔法使い(何も考えてなさそう……)
魔法使い「もうやるしかない。いくよ」ゴクリ
勇者「来い」
魔法使い「えいっ!」ピュッ
大烏「カァーッ!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!」
大烏「あれ?」
勇者「おお……やっぱりバッターがいると怖いけど捕れたぜ」
魔法使い「よかった……」
僧侶「ふむ。初体験なのにバットを振られても捕れるか。あの勇気とセンスは見事だな」
武闘家「問題は魔法使いだ。初球はたまたま空振りにできたが、あれではいずれ打たれる」
僧侶「まあ見ていろ」
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 23:43:29.34 ID:z/uoFdXnO
魔法使い「えいっ!」ピュッ
大烏「カァーッ!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!」
勇者「いいぞ。二球続けて空振りだ」
魔法使い「ほっ……」
大烏「あ、あれ?」
魔法使い「えいっ!」ピュッ
大烏「カァーッ!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
勇者「すげえ!いきなり三振だ!」
魔法使い「や、やった!」
武闘家「どういうことだ……なぜあんな球で」
僧侶「上々だ。とはいえ今のは素人。ここからが本番だ」
夢爺「……」
大烏「くそっ」
夢爺「ただのストレート……というわけではなさそうだな」
大烏「俺が油断したカラッスよ。でも意外と速かったかも。前のピッチャーと同じくらい」
夢爺「……ほう」
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 23:44:49.03 ID:z/uoFdXnO
つづく
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/31(火) 16:15:27.36 ID:Gam8Wahgo
ほう
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/02(木) 22:36:04.23 ID:XPyAWgBjO
魔法使い「次は夢爺さんか……」
夢爺「なかなか興味深いピッチャーだ」
勇者「へへ。腰抜かしたら怪我して退場、なんてやめてくれよ」
夢爺「遠目で見るのと体感速度が違うのだろう。それだけわかっていれば打席で驚くことはない」
勇者「そうなのか。たしかに速いと思ったけど」
夢爺(こいつもあのストレートの秘密がわかっていないのか。では……)
魔法使い「三振は無理でも打たせてとれれば」ピュッ
勇者「いっ!?」
バスッ
アンパイア「ボール」
勇者「いってー……ワンバンだけど装備のない足に当たった」
夢爺「……」
勇者「おいおい、構えたところと全然違うぞ。あれ捕るのは難しいって」
魔法使い「ゴ、ゴメン」
僧侶「やはり球が荒れるといくら勇者でも捕球は難しいか」
武闘家「ランナーがいなくてよかったが、あれでは」
僧侶「それでも後ろに逸らせていない。勇者を信じろ」
武闘家「さっきから勇者のことじゃない。不安なのは魔法使いだ」
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/02(木) 22:50:04.32 ID:XPyAWgBjO
魔法使い「いけない。夢爺さんの威圧感にやられちゃう」
勇者「ここだぞ」
魔法使い「えいっ!」ピュッ
バスッ
アンパイア「ボール」
勇者「いてて……またかよ」
魔法使い「うう……ゴメン」
夢爺「やはり急造ピッチャーか」
勇者「うげ、バレてら」
夢爺「ならばこの打席はじっくり観察させてもらおうか」
魔法使い「えいっ!」ピュッ
パシッ
魔法使い「えいっ!」ピュッ
パシッ
アンパイア「ボールフォア」
夢爺「……」
勇者「今の2球お前手抜いたろ」
魔法使い「そ、そんなこと」
勇者「俺なら大丈夫だ。本気で投げろよ。お前本当はコントロール悪くないんだしさ」
魔法使い「う、うん」
僧侶「想定内だ。振ってくれなければ急造ピッチャーにストライクはなかなか難しい」
武闘家「とはいえストレートの四球はまずいだろう。惨事になる前に代えるべきだ。俺に」
僧侶「慌てるな。今のは魔法使いが相手に萎縮していたせいもある」
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/02(木) 23:04:42.25 ID:XPyAWgBjO
実況『代わったピッチャーの魔法使い選手、ストレートのフォアボールを出してしまいました。ワンナウト1塁で続くバッターは4番ヤドヤ選手です』
夢爺「ヤドヤは自動アウトとして、あのピッチャーの調子で次からどうなるか」
商人「……」
夢爺「連続四球で押し出しでは塩試合にも程がある。そう思わんか」
商人「うるさい。ユーのせいだろ」
夢爺「ふっ、嫌われたものだ。それで負けるようならお前たちに見込みはない」
商人「なんだよ偉そうに。何様だ」
カキィン
夢爺「ん?」
実況『ヤドヤ選手打ったー!これは大きい!』
夢爺「なに……?」
ヤドヤ「……」
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/02(木) 23:17:31.83 ID:XPyAWgBjO
盗賊「くっ」タッタッタッ
ヒューン
ガン
実況『フェンス直撃!長打になるぞ!』
魔法使い「そんな……」
勇者「やべえ!」
武闘家「おい打たれたぞ!」
僧侶「しかし不幸中の幸いか。打球はセンター方向だ」
盗賊「くそ!油断したぜ。まさかあいつが打ってくるとは」パシッ
ブキヤ「ヤドヤ……」
夢爺「ホームは少し難しいか」タッタッタッ
遊び人「ん?三塁で止まるのかい?ホームまで行けそうな当たりと思ったけど」
夢爺(ついスタートが遅れた)
夢爺「それにしてもあいつ……」
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/02(木) 23:18:08.41 ID:XPyAWgBjO
つづく
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/04(土) 23:03:47.55 ID:ocVwd5q2O
実況『ヤドヤ選手あわやホームランというバッティングでした。しかし一塁で止まってしまいましたね。ツーベースは行けそうな当たりでしたが』
解説『一塁走者も三塁止まりかよ。スタートも足も遅すぎだろうがよ』
魔法使い「ゴメン……打たれちゃった」
武闘家「やつめ、商人が代わった途端本気を見せてきたか。こちらもすぐに本気を出すべきだ。ピッチャー俺に」
魔法使い「やっぱり僕じゃ……」
僧侶「大丈夫だ。大した問題じゃない」
魔法使い「でも……」
僧侶「おそらくヤドヤは打つ気がなかった。本人も今のは予想外だったはずだ」
魔法使い「え?」
僧侶「ツーベースの当たりなのに一塁で止まった。これ以上チャンスを広げないためと商人に弁明するためだろう。見てみろ」
商人「ピッチャー俺じゃないから打ちにいったの?」
ヤドヤ「いや……」
商人「別にいいけどね。こんな試合」
ヤドヤ「空振ったつもりだったんすが」
魔法使い「あのヤドヤさんが焦った表情を……」
武闘家「どういうことだ」
僧侶「やつも魔法使いの球に対応できなかった」
魔法使い「……」
勇者「訳わかんねえぜ。打とうと思っても打てなくて、打つ気がないのに打てるのか」
武闘家「……そういう変化をしている?」
僧侶「詳しくはわからない。だがあれは変化球とは違う」
魔法使い「……」
僧侶「向こうのレベルではお前の球は対応できない。自信を持て」
魔法使い「う、うん」
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/04(土) 23:16:00.69 ID:ocVwd5q2O
実況『ヤドヤ選手のヒットでチャンスが広がります。ワンナウト一塁三塁。バッターは5番フロッガー選手』
フロッガー「ゲッゲッゲ。犠牲フライでもランナーカエル状況じゃねーの」
僧侶「ランナーは気にするな。打者を打ち取ることだけ考えろ」
魔法使い「うん。大丈夫」
勇者「よし来い」スッ
魔法使い「えいっ!」ピュッ
フロッガー「おら!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!」
フロッガー「あれ?」
勇者「いいぞ。いい球だ」
魔法使い「えいっ!」ピュッ
フロッガー「うおお!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!」
フロッガー「あれれ?」
魔法使い「えいっ!」ピュッ
フロッガー「せめて外野フライ……!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!」
勇者「よっしゃ!」
フロッガー「なんで……」
武闘家「……」
僧侶「魔法使いを少しは信じる気になったか?」
武闘家「わからん。もう何を見ているのかもわからん」
僧侶「わはは。素直な感想だ。俺もわからん」
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/04(土) 23:28:16.57 ID:ocVwd5q2O
───
人面蝶「うおりゃあ!」ブン
パシッ
アンパイア「アアァイッ!バッターアウッ!チェンッ!」
実況『魔法使い選手、6番人面蝶選手も抑え、ピンチを切り抜けた。また三振です』
解説『締まらん試合だなあ。大した球投げてないし』ホジホジ
勇者「やったな。お前すげえよ」
魔法使い「勇者君も素人キャッチャーには見えなかった」
勇者「へへ。頭空っぽにしてボール捕ることしか考えてなかったよ」
魔法使い「それはそれでダメなキャッチャーだよね……」
勇者「お前を信じていたからな。絶対打たれないって」
魔法使い「なんか、普通に打ち取るよりヤドヤさんに打たれたことで自信がついたよ」
勇者「変な話だな」
魔法使い「はは。そうだね。おかしいね」
僧侶「どうだ?ピッチャーの感想は」
魔法使い「ちょっと面白いかもって思った。でもプレッシャーすごいしあれだけでクタクタ。僕にはやっぱり向いてないよ」
僧侶「そうか。よく動じないと思っていたが、周りを見る余裕がなかったか」
魔法使い「え?」
僧侶「見てみろ」
\ピッチャーいいぞー/
\三振すごーい/
\誰だか知らないけど格好いいぞー/
魔法使い「……」
僧侶「客は素直だ。思ったことを言ってくれる。なのにせっかくの主役がそんな感想ではつまらんぞ」
魔法使い「……僕、エースになるよ」
勇者(うわあ)
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