勇者「集え!我らアリアハン高校野球部!」

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272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/31(水) 23:01:11.98 ID:dnu/YqFFO
───次の日・1年青組

勇者「やれやれ。居候が二人もいたんじゃやりたいこともままならねえぜ」

ルイーダ「男の子は大変ね」スッ

勇者「お前……」

ルイーダ「あら失礼。野暮だったわ」

勇者「お前、賢者と付き合うのか?」

ルイーダ「あなたも大概に野暮ね」

勇者「賢者には興味ないみたいなこと言ってたのにな」

ルイーダ「関係ないでしょ」

勇者「……」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/31(水) 23:13:13.31 ID:dnu/YqFFO
───部室

遊び人「……兄貴が家を出ていった」

勇者「なに?」

遊び人「昨晩デートから帰ってきたらすぐ荷物をまとめて……ルイーダ嬢と一緒に暮らすらしい」

勇者「一緒にって、ルイーダの家族もか?」

遊び人「そんな状況あるわけないだろ。同棲だよ」

魔法使い「……」

勇者「あいつ一人暮らししてんのか?それとも二人でどこか部屋を借りて……?」

遊び人「知らないよ。兄貴そのことは黙秘してんだもん」

盗賊「浸りたいんだろ。もう放っておけよ」

遊び人「でも兄貴が心配だよ。いきなり同棲なんて……ルイーダ嬢もそこまで積極的な女の子だと思わなかったし」

武闘家「あのような場所で働いている女だ。貞操観念もさほどないのだろう」

魔法使い「違う……ルイーダさんはそんな女の子じゃない」

勇者「あ、魔法使いの前で話すなよ!」

遊び人「ゴメン。忘れてた」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/31(水) 23:26:00.24 ID:dnu/YqFFO
勇者「えっと……これはだな」

魔法使い「いいよ気を遣ってくれなくても。ルイーダさんは君らが思っているような人じゃないから……」

武闘家「信じたくない気持ちはわかるが、世の中には己の力だけではどうしようもないことがある」

魔法使い「違うんだ」

勇者「何がだよ」

魔法使い「実は僕あの日、ルイーダさんと賢者君がデート……とにかく現場を見ちゃったんだ」

勇者「具合悪いって嘘だったのか?」

魔法使い「ゴメン。ルイーダさんが賢者君と約束したところを偶然聞いちゃって、いてもたってもいられなくなって……」

勇者(絶対)

遊び人(間違いなく)

盗賊(偶然じゃ)

武闘家(あるまい)
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 23:30:32.07 ID:dnu/YqFFO
つづく
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/01(木) 22:57:55.39 ID:8wu/pnuoO
───街中

魔法使い「こっちだよ」

武闘家「ここは……」

勇者「俺たちがルイーダを尾行して見失った場所じゃんか」

戦士「ええ……こんなとこ来たの?」

僧侶「煩悩が溜まった……よくない雰囲気の店ばかりだな」

盗賊「聞いたことがある。夜の街、『いざない通り』だ。な、なかなか楽しそうな場所だ」ドキドキ

遊び人「い、誘われる……」スー

武闘家「一度入ったら多額の金をむしり取られるぞ」

遊び人「ひっ、危ない」

勇者「やっぱこの辺りで働いてんのかあいつ」

魔法使い「もうちょっと行った街はずれにルイーダさんの家がある」

勇者「え?」

魔法使い「ここってルイーダさんの通学路なんだ。エッチなお店で働いているわけじゃないんだよ」

勇者「なんだ……そうだったのか」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/01(木) 23:02:57.87 ID:8wu/pnuoO
───街はずれ

戦士「ちょっと離れただけで閑散としたとこになっちゃったね」

僧侶「静かな方が落ち着けていいが」

魔法使い「あれだよ。あの小さいビル」

勇者「あれがルイーダの家?」

魔法使い「一階のお店の看板見て」

勇者「看板……?」

遊び人「あ、あれは……!」

武闘家「『ルイーダの居酒屋』だと?」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/01(木) 23:11:48.24 ID:8wu/pnuoO
盗賊「まんまのネーミングじゃねえか」

戦士「わかりやすいね」

勇者「居酒屋を経営していたのか」

魔法使い「そう。一人でね」

勇者「なに?」

魔法使い「賢者君、あそこでバイトしているんだ」

遊び人「え?」

魔法使い「従業員がいなくて困っていたみたい。それで一昨日からお店を手伝うことになったんだ」

勇者「はあ?」

武闘家「なるほど。デートをうまく利用したものだ」

遊び人「せっかく僕がお膳立てしたデートを……でも結果同棲することになったようだけど」

魔法使い「それもちょっと違うみたい。賢者君はルイーダさんが好きとかじゃなくて、ルイーダさんっていう人間に興味を持ったみたい」

遊び人「そうなの?兄貴らしいっちゃらしいけど、じゃあ家を出たのは……」

魔法使い「住み込みだよ。ルイーダさんも最初は一日だけ手伝ってもらうつもりだったけど、賢者君優しいから事情を聞いて力になりたかったんじゃないかな」

遊び人「そうだったのか……」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/01(木) 23:25:10.83 ID:8wu/pnuoO
魔法使い「あのビルの上が従業員用の部屋なんだ」

僧侶「窓の数から察するに、部屋の数は多そうだ」

盗賊「でも夜のバイトは禁止されているんだろ?いいのかよ」

魔法使い「これは友達の店を手伝っているだけだし、いいんじゃないかな」

武闘家「下宿先の店の手伝いという理由付けでも通るかもしれん」

勇者「それよりあいつ一人ってどういうことだよ。親は協力してくれないのか?」

魔法使い「ご両親は亡くされていたみたい」

勇者「え……」

僧侶「そうだったか。冥福を祈ろう」

魔法使い「ご両親がいた頃から働いていたルイーダさんも信頼していた人が最近辞めちゃって、経営が難しくなったみたい。でもルイーダさんは店を畳もうとしなかった」

勇者「なんだよそれ……無茶だろ。高校生が居酒屋経営なんて」

武闘家「すごいな……」

魔法使い「うん。知らないところでルイーダさんはこんなに頑張っていたんだ」

武闘家「いやお前がだ。よくそんなに調べたな。気持ち悪い」

魔法使い「!?」

僧侶「住み込みで金が稼げるか。なるほど」

戦士「どうしたの?」

僧侶「面白そうだ。入ってみようぞ」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 23:25:50.17 ID:8wu/pnuoO
つづく
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 23:35:51.57 ID:Mf3/kaSC0
居酒屋ってw酒場でいいだろ
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 01:01:35.83 ID:w5Z8nrsUo
風俗嬢じゃなかったんだね
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 20:17:14.73 ID:d2QdFWEmO
───店内

ガラッ

商人「ルイーダちゃん、来たよ!」

ルイーダ「また来たの?ここはあなたが来るような店じゃないのに」

商人「俺はルイーダちゃんの金づるだよ。一番売上に貢献してんだからいいじゃん!」

ルイーダ「はいはい。で、ご注文は?いつもの?」

商人「うん!一番高いメニューフルコースで!」

ルイーダ「じゃあ賢者君、お願いね」

賢者「ん……」

商人「あれ?ルイーダちゃんが作ってくれないの!?」

ルイーダ「私は色々忙しいの。それに彼が作った方が美味しいわよ」

商人「味なんてどうでもいいんだよ!ルイーダちゃんが作ってくれなきゃひっくり返してやる!」

戦士「じゃ、じゃあひっくり返したやつ俺がもらっていい?」

商人「!?」

僧侶「食事を粗末にするとは感心せんな」

商人「誰!?」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 20:25:28.54 ID:d2QdFWEmO
ルイーダ「あなたたち……」

勇者「よっ」

ルイーダ「……なんの用?」

勇者「ふらっと飲食店に立ち寄っちゃ悪いのか?」

ルイーダ「誰の差し金かしら?」

賢者「僕は誰にも言っていない」

魔法使い「ゴメン。一昨日たまたまここでルイーダさんが賢者君に料理教えているのを目撃しちゃって……本当偶然」

ルイーダ「……はあ」

勇者(その嘘絶対バレているがここで言わないのが粋ってもんだぜ)

遊び人「そういうことだったんだね」

賢者「ん……」

遊び人「すっかり騙された。見損なうところだったよ」

賢者「黙っていてゴメン」

遊び人「いや、やっぱり兄貴には敵わないよ」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 20:33:44.05 ID:d2QdFWEmO
勇者「隠すことないのに。恥ずかしかったのか?」

ルイーダ「関係ないでしょ。私は忙しいから注文なら賢者君にして」

僧侶「待ってくれ。その前に俺の頼みを聞いてほしい」

ルイーダ「何かしら?1年紫組の僧侶さん」

僧侶「噂通りの女子か。面白い。実は俺と戦士は家を出てしまってな。行くところがないのだ」

武闘家「お前……まさか」

僧侶「ここは住み込みで働けると聞いた。俺たちを雇ってほしい。後生だ」バッ

戦士「え……俺も?てか土下座?俺もしなくちゃだよね……お願いします」ノソッ

ルイーダ「……」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 20:43:33.95 ID:d2QdFWEmO
商人「貧乏人は大変だねえ。冷めちゃった。帰ろ」

勇者「お前さ、なんでルイーダに構うんだ?お前なら女に不自由しないだろ」

商人「だってルイーダちゃんいくらお金積んでも落ちないんだもん。攻略したいじゃん」

勇者「そんな浅い理由かよ……」

遊び人「わかるよ。そういう女性を落とすのがたまらなく興奮する」

商人「でしょ?ユー話わかるしイケメンだしうちの事務所来ない?」

遊び人「なんだい事務所って?」

商人「今度うちのイベントやるからユーも参加しちゃいなよ」

遊び人「女の子いるの?」

商人「勿論だよ。あ、ルイーダちゃんはお客として来ちゃいなよ。フリーパスあげるからね」ピラッ

勇者「ここに変な絆が……」

武闘家「モテる男の恋愛というやつらしいな……わからない」

魔法使い「世の中ね、顔かお金かなのよ」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 20:53:56.79 ID:d2QdFWEmO
僧侶「商人という男は帰ったようだ」ヒソヒソ

戦士「……俺たちこの間ずっと土下座してんだけど、いつまでやっていればいいの?」ヒソヒソ

僧侶「無論、了承してくれるまでだ」ヒソヒソ

ルイーダ「いいわよ」

僧侶「本当か!」

戦士「やったあ」

ルイーダ「ただしお客がいないとお給料は払えない。見ての通りそんなに期待できないわ」

僧侶「構わん。寝床が与えられれば十分だ」

戦士「部屋代はいいの?」

ルイーダ「ええ」

武闘家「勿体ないな。テナント募集して貸し出せばいいと思うが」

戦士「余計なこと言わないで!」

ルイーダ「こんな物件じゃ誰も寄って来ないわ」

戦士「ほっ……」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/02(金) 21:04:45.57 ID:d2QdFWEmO
勇者「良かったな。戦士にはあまり食わせないでくれよ」

戦士「ま、まかないは出るのかな?」

ルイーダ「全員同じ量しか出さない。つまみ食いしたらお給料から差し引くわ」

戦士「!?」

勇者「なんで驚いてんだよ。ってかお前料理も散々だったし物運ぶのすら怪しいし、ちゃんと仕事できんのか?」

戦士「……」

ルイーダ「彼に合った仕事を与えるわ」

勇者「戦士に合った仕事?どんな?」

ルイーダ「申し訳ありませんが詳細は従業員以外の方にお教えできません」

勇者「なんだよ。別にいいや。関係ねーし」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 21:05:20.39 ID:d2QdFWEmO
つづく
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/02(金) 21:10:26.67 ID:3knVIV06o
ルイーダの酒場で登録されてる人は従業員じゃない
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:09:30.72 ID:1Nof64hXO
魔法使い「じゃあせっかくだし食べていかない?」

戦士「賛成!」

僧侶「戦士、俺たちは従業員だ。もう客という扱いを受けるわけにはいかん」

戦士「そんな……」

ルイーダ「いいわ。今日のところはあなたたちもお客として還元して」

戦士「いいの!?」

ルイーダ「ええ。まず見て仕事を覚えて」

戦士「やったあ!」

僧侶「ふむ。それも大事な仕事か。ではお言葉に甘えるとしよう」

盗賊「俺は黙っていると見せかけてずっとメニューを観察していた。かなりバラエティに富んだ品々だ。定食屋としてもお洒落なカフェレストランとしても通用しそうなほどだ」

魔法使い「わ……すごい。お酒は飲めないしありがたいね」

勇者「えっ、本当にこの中からどれ選んでもいいのか?」

武闘家「ああ、どんどん頼め」

盗賊「ドリンクバーもあるぞ!」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:19:07.78 ID:1Nof64hXO
戦士「カツ丼とコロッケとサンマと焼きそばと回鍋肉とラーメン」

盗賊「おい、勝手に俺たちのも注文すんな」

勇者「……一人分だろ?」

戦士「……うん」

武闘家「ふざけるな。量もそうだが油と塩分、炭水化物が多すぎる」

戦士「でも今日くらい……」

武闘家「まともに動けるようになってから言え。お前の分は俺が決める」

戦士「!?」

勇者「じゃあ俺今頼んだカツ丼でいいや」

遊び人「ラーメンは僕がもらうよ」

僧侶「では俺はサンマを定食で」

勇者「坊主が生臭食っていいのかよ」

僧侶「わはは。今どきそんな坊主は稀だぞ」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:28:22.53 ID:1Nof64hXO
遊び人「あ、やっぱりラーメンやめて僕ツケメン」

盗賊「なら俺がラーメン。豚骨醤油だ」

武闘家「では俺は焼きそば。それからコロッケ定食も」

戦士「自分炭水化物ばっかやん……当てつけやんけ」

盗賊「やっぱり味噌にする」

勇者「俺のカツ丼大盛りなー」

魔法使い「僕は回鍋肉定食で。ピーマン抜いてほしいな。あとサラダも皆で食べようよ。シーザーとトマトでいい?」

遊び人「トマト苦手なんだ。バーニャカウダにしよう」

勇者「揚げ物も皆で一個頼むか。唐揚げとエビフライどっちにする?」

盗賊「エビフライだろうよ」

僧侶「やはりホッケにする。法華だけにな。わはは」

戦士「俺は……」

武闘家「サラダチキンだ」

戦士「!?」

武闘家「ソースなしでな」

戦士「!?」

盗賊「ドリンクバーも頼むよな!」

武闘家「戦士はプーアル茶だけでいい」

戦士「!?」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:33:46.54 ID:1Nof64hXO
魔法使い「ちょっと待って。一気に頼みすぎだよ!賢者君メモすらとれてないから!」

賢者「カツ丼大盛りと……」

魔法使い「え?」

賢者「つけ麺と味噌ラーメンとホッケ定食と焼きそばとコロッケ定食と回鍋肉定食ピーマン抜きとサラダチキンソース抜きとシーザーサラダとバーニャカウダとエビフライとドリンクバー6つとプーアル茶でいい?」

魔法使い「!?」

勇者「お、おう……」

盗賊「嘘だろ……覚えたのかよ」

武闘家「あのわかりにくくした注文を……」

僧侶「天才の片鱗を見た……というか一人で全部やるのか?」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:43:41.23 ID:1Nof64hXO
───

勇者「しかも早くてうまい!」ガツガツ

武闘家「動きに全く無駄がなかった」

僧侶「キッチンとホールの二刀流で……これは3、4人分の仕事だぞ」

盗賊「しかも働き始めたの一昨日からだろ。この三日間で全部のレシピまで覚えたってのか」

遊び人「これが兄貴なんだよ……」

魔法使い「やっぱり賢者君すごすぎるよ……」

ルイーダ「ご苦労様」

賢者「ん……」

ルイーダ「あなたたちはどれくらいできるのか楽しみにしているわ」

僧侶「わはは……なんというハードルだ」

戦士「……」パクパク

ルイーダ「冗談よ。彼が特別なんだってわかっている」

賢者「……」

ルイーダ「料理の知識はほとんどないのに一昨日一晩かけて全部覚えてくれた。そんなことできる人他にいないわ」

魔法使い「ひ、一晩で!?」

ルイーダ「あなたがいてくれて本当に良かったわ。ありがとう」

賢者「ん……」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:52:44.49 ID:1Nof64hXO
魔法使い「……」

盗賊「……おい、あの二人本当にいい感じなんじゃねえのか」

僧侶「互いの空気も違和感がない。お似合いとはこういうことをいうのかな」

戦士「美男美女で絵にもなるよね」

魔法使い「ルイーダさん!僕もここで働かせてくれない!?」

勇者「なに?」

ルイーダ「……」

魔法使い「君のお手伝いを僕にもさせてほしいんだ!」

遊び人「面白そうだ。だったら僕もお願いしようかな」

勇者「え?」

遊び人「兄貴は僕のお目付け役だろ。一緒にいてくれなきゃ」

賢者「……」

武闘家「夜働ける機会は他にあるまい。俺も頼む」

勇者「お前ら……」

ルイーダ「わかっていると思うけどお給料は」

魔法使い「僕はお金なんかいらないよ!」

武闘家「部屋代や食費がかからないならそれだけでプラスになる」

遊び人「なんなら僕がお客さんをキャッチしてきてもいいよ」
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 22:59:13.22 ID:1Nof64hXO
ルイーダ「……わかったわ。採用する」

武闘家「恩に着る」

遊び人「よろしくね」

魔法使い「……」ニヤリ

賢者「……」

ルイーダ「あなたたちはどうする?まだ部屋は空いているけど」

勇者「なんで俺に聞くんだよ。俺は家があるし金にも別に困ってねえよ」

盗賊「俺は一匹狼。他人と共同生活などあり得ない」

ルイーダ「そう」

戦士「皆一緒かあ。なんか楽しくなりそうだね」

僧侶「わはは。そうだな。寺にいてはこんな経験はできなかった」

勇者「……」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/04(日) 23:06:14.78 ID:1Nof64hXO
───帰り道

勇者「なんだよあいつら。給料少ないのにどこがいいんだよ」

盗賊「……」

勇者「楽しいだけでやっていけるほど社会は甘くないんだ。多分な」

盗賊「……」

勇者「お前だけだよまともなのは。どうだ?これからうちに来て一緒に素振りでもやらないか?」

盗賊「……やっぱり」

勇者「ん?」

盗賊「やっぱり俺もあそこで働くー!」タッタッタッ

勇者「あ、おい……」

勇者「……」

勇者「いい加減一匹狼キャラ無理があるだろあいつ……」
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 23:06:57.46 ID:1Nof64hXO
つづく
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 23:47:53.13 ID:SF01QVkj0
魔法使い風呂覗く展開あるで
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 00:05:04.93 ID:Nb8a3WpfO
戦士「いやーん」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 02:24:25.77 ID:su/7seuTO
唐翌揚げだろうよ
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 15:38:01.26 ID:bH/ugg8Co
生徒は寮生にしてルイーダが寮母の方がしっくりきそう
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 20:22:03.08 ID:UAIDtTlmO
───勇者の部屋

勇者「あー、快適快適」

勇者「家が広くなって清々するぜ」

勇者「居候もいなくなったし部屋は俺一人」

勇者「やっとできる……」ゴソゴソ

勇者「三日分も溜まっちまった。早く早く」ゴソゴソ

勇者「本棚に隠しておいたけど見つからなくてよかった」ゴソゴソ

勇者「あったあった。うへへ」ガシッ

勇者「今日は……このページ」ペラッ

勇者「やっと……」

勇者「やっと日記が書ける」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 20:38:34.23 ID:UAIDtTlmO
一日目

いよいよ高校の入学式。(と俺の誕生日)
野球ができると意気込んだものの、野球部が消滅したと校長に告げられる。
何を思ったのか野球部を復活させろと、ひのきのバットと布の練習着と五千円寄越して丸投げする始末。
クラスメイトで情報通(守銭奴)のルイーダと出合い、野球経験者の情報をもらう。
1年生に7人、2年生に1人。俺を入れてちょうど9人。絶対全員仲間にしてやる!
ルイーダは役に立ちそうだしいつかマネージャーにしよう。
早速クラスメイトで経験者の魔法使いと武闘家(勝負して俺が勝った)を仲間にした。
順調だ。明日も頑張ろう。



二日目

ルイーダから経験者の誰かが昼休み屋上にいると聞かされた。
誰か気になるけど朝飯が奪われそうになったから聞かなかった。行けばわかるだろう。
クラスメイトにもう一人盗賊とかいう経験者がいるらしい。でも不良みたいだし無理して入れる必要ないかな。
経験者のめっちゃでかい戦士を仲間にしようとしたけど役に立たなそうだからやめた。
同じく経験者の商人はウザいからやめた。親がショニーズとかいう芸能事務所の社長で金持ちらしい。向こうから断ってきたし好都合だ。バーカ。
商人の話からルイーダが気になり、帰り道後をつけた。やばい店に通っているみたいだった。
マネージャーにするならいつか辞めさせないとな。
今日はなんの成果もなかった。部員集めは思ったより大変だ。
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 20:54:37.44 ID:UAIDtTlmO
三日目

尾行がバレていて昼飯奢らされた。
その間に魔法使いと武闘家が盗賊を仲間にした。バコタとかいう盗賊の先輩が喫煙で停学処分になった。(どうでもいい)
放課後、調理室で戦士が暴れていた。野球経験者の遊び人が止めてくれた。イケメンでいい奴っぽい。明日勧誘しよう。
とりあえず戦士を仲間にして野球部ができた(俺が部長!)
謎のマントマスク先生とかいう人が顧問らしい。姿を見せない恥ずかしがり屋のようだ(字は可愛い)

※追記 この日武闘家がバコタに盗賊を野球部で預かると言いに行ったらしい。義理としてか無理矢理入部させた罪悪感からかはわからない。



四日目

遊び人を追っていたらそっくりの賢者と出会う。遊び人とは双子で魔法使いに言わせると全国一の天才とのこと。
(ちなみに魔法使いも頭が良さそうだったが地方でもそれなりに上の学力らしい。俺と同じ普通科にいるしそれほど大したことはないんだな。賢者のいる銀組は地方でトップレベルの学力。でも全国一の天才が本来いるレベルではないから勿体ない)
謎のマントマスク先生からプレゼントをもらう。
はずだったがロッカーの鍵が開かずに断念。
盗賊が帰ったから3人でグラウンド整備をした。戦士はずっと走っていた。
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 21:06:38.24 ID:UAIDtTlmO
五日目

野球道具欲しさに商人をもう一度仲間にしようとしたが失敗。二度と誘わない。
盗賊が部活を辞めると言い出した。武闘家が戦士を連れて説得しに行った。
そこでバコタのピッキングツールを取り返すとかいうよくわからない理由でナジミ高校と試合が決まった(嬉)。
遊び人を仲間にした。暗い過去話をしていたが俺にはどうでもよかった。
勝負して俺が勝った。それだけのことだ。(遊び人に変装した賢者には完敗だった)
武闘家がダイエット目的で戦士を寺に預けた。頑張れ。



六日目

経験者の僧侶を誘おうとしたが断られる(こいつの家が戦士を預けた寺だった)
武闘家に作戦があるらしく僧侶のことは任せることにした。
遊び人が賢者とデートするようルイーダに頼んだ。ルイーダは断らなかった。何考えてんだあいつ。
最後の経験者、二年生の先輩を誘いに行ったがいなかった。放課後もさっさと帰ってしまったらしく会えなかった。
今日も収穫なし。あと3人が遠い。ナジミ戦まであと2週間。
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 21:08:53.22 ID:UAIDtTlmO
勇者「ここまでは書いたんだな」

勇者「居候のせいで一昨日から書けなかったし」

勇者「三日分一気に書いちゃおう」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 21:22:01.28 ID:UAIDtTlmO
七日目

休日。グラウンド整備のために集合した。魔法使いは体調不良で休んだ(本当はルイーダのデートが気になりストーキングしていた)
僧侶が見学に来た。と思ったら戦士が脱走したと伝えに来ただけだった。
戦士は部室にいた。家に帰らないと言うので仕方ないから俺が預かることに。
グラウンド整備が終わってやっと練習ができる環境になったが、俺以外は道具を何も持っていない。金もない。
夜、戦士に素振りさせたらすっぽ抜けて窓割られた。
野球ができる以前の問題だ。



八日目

休日。賢者が朝帰りしてきたと遊び人が騒ぐ。やっぱりルイーダは夜の女だった(とこのときは思った)
僧侶が入部するために家出してきた。戦士とまとめて俺が預かることに。
初めて野球の練習をした。僧侶は守備の名手らしく皆のポジションを決めてくれた。
当然俺がピッチャー、武闘家ショート、魔法使いキャッチャー、盗賊センター、戦士ライト、遊び人サード、僧侶セカンドだ。
ポジションが決まったら俄然やる気が出てきた。
早く残りも埋めて試合がしたい。
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/09(金) 21:33:02.74 ID:UAIDtTlmO
九日目

賢者がルイーダと同棲を始めたと遊び人が騒ぐ。魔法使いは(ストーキングしたから)事情を知っていて、ルイーダの家に案内された。
ルイーダには複雑な事情があったらしい。苦労してたんだな。
賢者はルイーダの経営する居酒屋で住み込みのバイトをしていただけだった。
行くところがない僧侶と戦士もそこで一緒に働くことに。
なぜか魔法使い、遊び人、武闘家、盗賊も住み込む流れに。
つまり俺以外全員一緒に暮らすってこと。
ルームシェアのつもりか?全然羨ましくないけどな。






勇者「よし、終わり」

勇者「それにしてもあいつら……全然羨ましくないけどな」

勇者「家があるって俺恵まれてんな。家族と食う飯はなんてうまいのだろう」

勇者「……」

勇者「……とりあえずの目標は2週間後のナジミ戦。それまでに部員と道具を揃える」

勇者「そしてその後は公式戦」

勇者「どんな猛者が待ち受けているのか楽しみだぜ」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/09(金) 21:33:46.58 ID:UAIDtTlmO
つづく
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 18:52:25.52 ID:zrdHSmJPO
───

魔法使い「おはよう」

勇者「おう。今日からあそこに住むんだよな。大丈夫か?」

魔法使い「不安がないわけじゃないけど、皆一緒だから頑張れるよ」

勇者「でもあんなとこで金稼げるのかよ」

魔法使い「あ、そうか。勇者君は知らないんだ。居酒屋だけが仕事じゃないって」

勇者「え?」

武闘家「それ以上は言うな。部外者に業務内容は明かせん」

魔法使い「そうだった。ゴメン。忘れて」

勇者「なんだよ別の仕事って。お前ら何やってんだ?」

武闘家「言えない。店主様に堅く口止めされている」

勇者「はは。なんだよ店主様って。毒されすぎだろ」
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 19:02:31.37 ID:zrdHSmJPO
ルイーダ「おはよう」

魔法使い「おはようございます店主様!」シャキッ

武闘家「おはようございます店主様!」シャキッ

勇者「え?マジなの?」

ルイーダ「早速仕事よ。あの店を知ってしまった人物を消してほしいの」

勇者「消すって……」

魔法使い「勇者君のことですね」

勇者「え?」

ルイーダ「残骸は見つからないよう山に埋めておいてちょうだい」

武闘家「仰せのままに」

勇者「おい……お前ら何を……」

魔法使い「じゃあ勇者君、悪いけど」

勇者「や、やめろ……」

武闘家「店主様の命は絶対なのだ!」

勇者「やめろーーー!」

ルイーダ「オーホッホッホ!」










勇者「や……!」ガバッ

勇者「……」

勇者「夢か」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 19:14:54.50 ID:zrdHSmJPO
───次の日・1年青組

勇者「なんであんな夢……仲間外れにされて悔しいってことなのか……?」

勇者「はは……まさか」

ルイーダ「おはよう」

勇者「!?」ビクッ

ルイーダ「また暗い顔してる」

勇者「……昨日は悪かったな。いきなり大人数で押しかけて」

ルイーダ「働き手が増えたし別にいいわ」

勇者「でもあんな大人数ちゃんと雇えるのか?」

ルイーダ「あなたには関係ないでしょ」

勇者「もしかして居酒屋とは別の秘密の仕事があったりしてな。ははは」

ルイーダ「……」

勇者「……黙るなよ」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 19:23:32.76 ID:zrdHSmJPO
ルイーダ「武闘家君、魔法使い君」

勇者「!?」

ルイーダ「ちょっと来て」

勇者「な、何をするつもりだ……」

魔法使い「おはようルイーダさん。今日からよろしくね」

武闘家「どうした?」

ルイーダ「住所変更の手続きとか、色々書類を渡すから後で皆集めておいて」

勇者「え……」

武闘家「ああ、わかった」

魔法使い「学校にも提出するんだよね。夜のアルバイトってこと大丈夫?」

ルイーダ「ええ」

勇者「……」

武闘家「お前は何を怯えているんだ?」

勇者「……なんでもねえよ」

魔法使い「というわけで今日僕らは勧誘に行けない。ゴメンね」

勇者「……ああ。一人で行くよ」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 19:33:17.17 ID:zrdHSmJPO
───昼休み・2年教室

生徒「あの人ならいないしー」

勇者「またか……」

生徒「いつも一人だからどこ行ったかなんてわかんないし」

勇者「その人に俺が来たってこと伝えてもらえません?」

生徒「無理じゃない?教室にいるときはずっと寝てるし誰かと話しているところも見たことないしー」

勇者「マジか。コミュ症か」

生徒「それより遊び人君はー?」

勇者「あいつ俺のクラスの女と一緒に暮らし始めましたよ」

生徒「なにそれー!」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 20:04:59.75 ID:zrdHSmJPO
───屋上

勇者「なんにもうまくいかねえ」

勇者「俺は一人で何やってんだろ……本格的にのけ者にされた気分だ」

勇者「……」

勇者「やっぱり俺も───」



「zzz」



勇者「誰だ!?」

シーン

勇者「……誰もいない。気配はしたのに」キョロキョロ

勇者「ということは……」チラッ

勇者「出入り口の上か」
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 20:16:35.74 ID:zrdHSmJPO
ヨジヨジ

勇者「……いた」

?「zzz」

勇者「女子……?寝てんのか」

?「zzz」

勇者「無防備だな。スカートの下見えそ……うわ!」ズルッ

ドスーン

勇者「いてて……はしご踏み外した。変なこと考えたバチだな」

?「……」ジー

勇者「あ……」

?「……」

勇者「悪い。起こしちゃったか。こんなところに人がいるなんて思わなかったからさ」

?「あなたはたしか……」

勇者「俺のこと知ってんのか?」

?「以前も屋上に来ましたね。野球部をつくろうとしていた……」

勇者「盗賊がらみのときか。あんたここにいたのか」

?「私の特等席ですから」

勇者「じゃあ毎日?」

?「はい」
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 20:27:11.19 ID:zrdHSmJPO
勇者「野球部はできたよ。野球するにはまだ人数足りないんだけどな」ヨジヨジ

?「そうですか」

勇者「屋上好きなのか?」

?「ここが空に一番近い」

勇者「たしかに気持ちいいな」

?「大空は私のもの……全てがちっぽけなもの……そんな気分になれる」

勇者「変わった人だな。毎日いて飽きないのか?」

?「zzz」

勇者「また寝た。会話の最中だろ」

?「zzz」

勇者「……まあいいや。放っておこ」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 20:27:45.03 ID:zrdHSmJPO
つづく
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 20:31:55.39 ID:VMh0rgKmo

ラーミアか
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 15:44:15.37 ID:H1q0B0mOo
ラーミア女なんだ?
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 17:12:10.20 ID:Va0CY6tGO
仲間にするならオーブを集めないと
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/17(土) 23:13:10.74 ID:MKMUjyB6O
───部室

僧侶「しかしあの賢者という男は凄まじいな」

戦士「昨日皆帰った後、俺たちの宿題見てもらったんだ」

勇者「へえ……そんな特典が」

魔法使い「料理や勉強だけじゃないよ。野球だってすごくうまいんだ」

僧侶「ほう。だったら是非勧誘しなくては」

魔法使い「そうだね。僕も一緒にやりたいと思っていたんだ」

遊び人「野球までいいところ見せたらルイーダ嬢も惚れちゃうんじゃないかなあ?」

魔法使い「やめよう。賢者君がやりたくないみたいだし無理強いさせるのはよくないよ」

僧侶「そうなのか。勿体ないな」

武闘家「これから共にいる時間は多くなる。野球の話は避けて通れないぞ」

遊び人「兄貴もそれを懸念しているようだったよ。店の自分以外は全員野球部なんだもの」

僧侶「ふむ。同じ屋根の下で生活するなら問題事は避けたい。賢者がいるときは野球部の話は禁句だな」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/17(土) 23:28:27.92 ID:MKMUjyB6O
武闘家「しかし腑に落ちん」

勇者「何がだ?」

武闘家「野球をやりたくない理由が面倒くさいだ。そんな男がわざわざ金にならないアルバイトをしていることがおかしいだろう」

魔法使い「ルイーダさんのためでしょ」

戦士「いくら優しくても面倒くさいものは面倒くさいよ」

勇者「ルイーダに興味があるとか言っていなかったか?」

武闘家「それだ。興味のあるものなら面倒なんて思わないはずだ」

僧侶「つまり野球に興味を持ってもらうと?」

武闘家「そう。その方法を考えた方がいい」

戦士「俺たちの試合を観に来てもらうとか」

遊び人「無理じゃないかな。兄貴、僕の試合を何度か観に来たことはあっても自分からやろうとしたことは一度もないもの」

盗賊「レベルが低すぎてつまらなかったんじゃねえのか?」

遊び人「プロの試合だって観に行ったことあるよ!」

武闘家「ではどうすればいい?」

遊び人「知らないよ。そもそも僕は兄貴を入れるの反対派なんだ。協力を仰がないでくれ」

勇者「それに俺たちは部活で少し遅くなるもんな。賢者まで入ったら店ほったらかしになるんじゃねえの?」

僧侶「そうだ。事情をわかってもらえているから俺たちは遅くなってもいいと言われている。これ以上はさすがに欲張り過ぎか」

魔法使い「仕方ないよね。うん」

武闘家「……」

僧侶(……また何か考えているな)
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/17(土) 23:38:01.57 ID:MKMUjyB6O
───練習後・グラウンド

勇者「今日の練習は終わり。解散」

僧侶「では我々は仕事に行くか」

遊び人「練習終わりだとやっぱりキツいね。シャワー浴びる時間あるかな」

盗賊「客少なそうだし大丈夫だろ」

戦士「早く行こうよ。お腹すいたよ」

武闘家「お前は何しに仕事へ行く気だ」

勇者「……ふーん。頑張ってな」

魔法使い「勇者君は帰らないの?」

勇者「どうせ暇だし一人でもうちょっと練習していく」

魔法使い「じゃあ付き合うよ。僕は今日仕事休みだから」

勇者「本当か?サンキュー」

魔法使い「まだバッテリー練習してないもんね」

勇者「そうだな。そろそろ投げ込みたいよ」

魔法使い「でも相変わらずグローブが勇者君の一個だけだからね……」

勇者「仕方ない。これで受けてくれ。早く道具揃えろよ」

魔法使い「悪いね。で、今さらなんだけど勇者君は変化球何投げられるの?」

勇者「なんにも」

魔法使い「え?」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/17(土) 23:46:12.56 ID:MKMUjyB6O
勇者「なんにも」

魔法使い「ナンニモかあ……聞いたことない変化球だなあ」

勇者「何言ってんだ?変化球なんか投げられないって言ってんだぞ」

魔法使い「君が何言ってんの!?変化球投げられないの!?傲慢だったわけじゃなくてただ投げられなかっただけなの!?それでよく色んなもの賭けて勝負挑めたね!?」

勇者「仕方ないじゃん。投げ方教えてくれる人もいなかったし」

魔法使い「……え?」

勇者「でもストレートはなかなかのもんだろ?」

魔法使い「ちょっと嫌な予感が……君、今まで誰に野球教わってきたの?」

勇者「だから誰にも教わってないって。独学ってやつ」

魔法使い「まさかとは思うけど……今までチームに所属したことは」

勇者「ないぞ」

魔法使い「試合したこと」

勇者「ないぞ」
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 23:51:49.51 ID:C6uXCX3Jo
これは酷い
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/17(土) 23:59:44.07 ID:MKMUjyB6O
魔法使い「なんなの!?なんでそれで経験者面してたの!?それで野球に人生を捧げてきたとか言ってたの!?試合もやったことないのに勝手な勝負して玉砕して部長までして完全試合やるって!?知ってる!?人はそれを身の程知らずって呼ぶことを!?そうだよね!?僕そういえばリトル時代勇者君なんて知らなかったもの!?」

勇者「いや聞かれなかったし……」

魔法使い「あまりにも堂々としているから相当なキャリアかと……騙された」

勇者「練習はバッチリやってるから心配すんなって」

魔法使い「ダメだ……これじゃあ勝てるかわからないよ。武闘家君に投げてもらおうよ……」

勇者「えー、やだ」

魔法使い「やだじゃないよもう。高校でストレート一本とか無謀だよ」

武闘家「話は聞かせてもらった。俺の出番のようだな」ニヤリ

勇者「くっ、狙っていたかのようなタイミングで」

魔法使い「武闘家君、頼んだよ」

武闘家「ああ。今度の試合は俺が投げる」

魔法使い「武闘家君がこんなにも頼もしく見えるなんて」

武闘家「ただ俺も変化球投げられないと言ったら……どうする?」

魔法使い「なんなの君ら!?」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 00:11:34.08 ID:tLKfhF9+O
勇者「お前もか」

武闘家「奇遇だな」

魔法使い「こんな人たちがエースの座を争っていたなんて……」

武闘家「男なら直球勝負」

魔法使い「人生変化球のくせにやかましいわ!」

勇者「お前何か投げられないか?知ってたら教えてくれよ」

魔法使い「僕が知るわけないじゃん……大体もうすぐ試合なのに付け焼き刃じゃ武器にならないよ」

勇者「どうせいずれ必要になるんだ。練習しといて損はないって」

魔法使い「じゃあスライダーとかどう?」

勇者「お、いいじゃん。どんな風に曲がる球なんだ?」

魔法使い「そこから!?」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 00:25:32.29 ID:tLKfhF9+O
───部室

魔法使い「結構投げ込んだけどやっぱり難しいね」

勇者「全然曲がらなかったぞ。本当に投げ方合ってんのか?」

魔法使い「僕に文句言わないでよ。僕だって本見ながら試行錯誤してんだから」

勇者「やっぱちゃんとした指導者ほしいな」

魔法使い「マントマスク先生ってどうなんだろ。校長先生の推薦だしすごい人なのかな」

勇者「さあな。どっちにしろ姿見せてくれないとどうしようもないけどな」


ガタッ


勇者「ん?」

魔法使い「この音ってもしかして」

勇者「マントマスク先生の手紙だ」ガラッ

魔法使い「今?なんなんだろ」



『ルールくらいならかろうじてわかります。謎のマントマスク先生』



魔法使い「お前も素人かい!」ビリリッ
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 00:38:24.73 ID:tLKfhF9+O
勇者「はは。これじゃあ先生俺より野球知らないぜ」

魔法使い「笑い事じゃないよ……っていうかやっぱり僕たちの会話聞いているじゃん。どこにいるんだよ」

勇者「これで先生も頼れなくなったな」

魔法使い「誰も頼れない……こんなんじゃ相手が素人でも勝てないかも」

勇者「2週間後の試合までにはものになるかな変化球」

魔法使い「そんな甘くないから。10点取られる覚悟して11点取る練習した方がいいよ」

勇者「任せとけって。俺が満塁ホームラン3本打ってやるから」

魔法使い「そうだね。じゃあ僕は4本だ」

勇者「いや、俺の前にランナーで出てくれなきゃ満塁にならないだろ」

魔法使い「真に受けないでよ……本気で言っていたの?」

勇者「お前なあ、状況わかってんのか?冗談言ってる場合じゃないぞ」

魔法使い「うるせえよ!」
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 00:39:40.24 ID:tLKfhF9+O
つづく
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 22:24:06.75 ID:tLKfhF9+O
───数日後

武闘家「すまんな。待ったか?」

勇者「いや、今来たとこ」

武闘家「そうか。それにしても珍しいな。二人で帰ろうなんて」

勇者「まあ……な」

武闘家「お前、やっぱり俺のことを……?」

勇者「……ああ」

武闘家「そうか」

勇者「……」

武闘家「ならお前の気持ちを受け取り、俺の正直な気持ちを話す」

勇者「頼む」

武闘家「俺たちがどう頑張っても、この先報われる可能性はない」

勇者「くそ……やっぱり」

武闘家「ただしそれは周りの目を気にした場合の話だ」

勇者「……」

武闘家「俺はそんな目など気にする必要はないと思う。何が大事かは自分に聞いてみろ」

勇者「……」

武闘家「お前が言ったことだ。目的を果たすためならプライドなどゴミ同然だと」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 22:33:17.83 ID:tLKfhF9+O
勇者「この2週間、俺たちの状況は何も変わらなかった。商人は相変わらずだし二年の先輩は会えもしなかった」

武闘家「用具も揃えられなかったな。さすがにあの人数で給料の前借りまではできん」

勇者「どうすんだよ!もう明日が試合なんだぞ!」

武闘家「だから俺のことを当てにするしかなくなった」

勇者「でも、まともな方法じゃないんだろ?」

武闘家「お前もわかっているから二人で話したかったのだろう?」

勇者「ああ。もう形振り構っていられねえ。教えてくれ。周りの目を気にしなければ、俺たちが準備不足でも試合ができるって方法を」

武闘家「それは……」ゴニョゴニョ

勇者「な、なんだってー!?」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 22:39:23.53 ID:tLKfhF9+O
───ルイーダの居酒屋

武闘家「……というわけだ」

勇者「……」

盗賊「な……」

魔法使い「嘘でしょ……」

戦士「そんなことできるの?」

僧侶「わはは。やはりお前は考えがぶっ飛んでいるな」

武闘家「これから俺はその準備に入る。皆も覚悟しておいてくれ」

遊び人「面白そうじゃないか」

武闘家「うまくいくかはお前にかかっている。遊び人」

遊び人「ああ。僕の実力を見せてあげるよ」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 22:49:53.58 ID:tLKfhF9+O
───その夜

盗賊「バコタ先輩」

バコタ「おう、久しぶりだな。こんな夜にわざわざどうした?」

盗賊「俺、先輩にずっと謝らなきゃと思って……先輩の気持ちも知らずに酷いこと言っちまって……」

バコタ「気にすることじゃねえよ」

盗賊「その先輩の優しさにいつまでも甘えるだけの自分じゃいけねえと思うんス」

バコタ「……」

盗賊「でもなんて償ったらいいかずっと考えてもわかんねえんス。だから俺なりのけじめをつけさせて下さい」

バコタ「わかった。お前の気が済むまでやってみろ」

盗賊「俺の……野球部の究極にして至高の大勝負があるんス」

バコタ「なに?」

盗賊「明日来て下さい。俺が一人前になった証をお見せしますよ」

バコタ「……わかった」

盗賊「ありがとうございます!」

バコタ「場所は?」

盗賊「それがッスね……」
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 22:55:34.41 ID:tLKfhF9+O
───

魔法使い「ルイーダさん」

ルイーダ「何かしら?」

魔法使い「あの、明日なんだけど」

ルイーダ「試合があるんでしょ?夜の仕事までに戻ればどこで何しようが自由よ」

魔法使い「よかったら観に来ない?」

ルイーダ「私は忙しいの」

魔法使い「そうだったね……ゴメン」

ルイーダ「ああ、これ武闘家君に頼まれていたもの。後で渡しておいて」

魔法使い「わかった。ところで衣類の洗濯物ある?よかったら一緒に洗うけど」

ルイーダ「……自分でやるからいいわ」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 22:57:13.95 ID:tLKfhF9+O
───

遊び人「兄貴」

賢者「ん……?」

遊び人「頼みがあるんだけど……」

賢者「……なに?」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 23:03:10.73 ID:tLKfhF9+O
───

僧侶「顧問の……なんといったかな」

戦士「謎のマントマスク先生」

僧侶「それだ。明日は来るのか?」

戦士「さあ?来ないんじゃない。練習試合ですらないし」

僧侶「そういえば顧問には会ったことがないな」

戦士「俺も……ってか誰も見たことないよ」

僧侶「わはは。本当に面白いな、我が野球部は」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 23:11:04.17 ID:tLKfhF9+O
───

夢爺「!?」ガバッ

夢爺「はあ……はあ……なんだ……今の夢は……」

夢爺「明日の試合……まさかあんな場所で……」

prrr

夢爺「電話……武闘家から」ピッ

武闘家『もしもし』

夢爺「おい……」

武闘家『遅くなったな。明日の試合を行う場所を伝える』

夢爺「お前正気か?あんな場所で……」

武闘家『夢で見たのか。だったら話が早い。お前たちもよく知っている場所だろう』

夢爺「当然だ。あれは俺たちの街の名所でお馴染みの───」

武闘家『ナジミドームだ』

夢爺「なんでそんな……」

武闘家『正午開始だ。遅れるな』ピッ

プープー

夢爺「……」
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 23:16:26.52 ID:tLKfhF9+O
───

勇者「998」ブン

勇者「999」ブン

勇者「1000!」ブン

勇者「ふう……」

勇者「いよいよ明日だ」

勇者「武闘家の作戦でうまくいくかは不安だが……」

勇者「ずっとこのときを楽しみにしていたんだ」

勇者「やっと……」

勇者「やっと試合ができる!」
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 23:17:03.83 ID:tLKfhF9+O
つづく
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 23:27:32.28 ID:sUNGif/xo
試合進行は安価コンマかな?
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 00:12:14.17 ID:LGx4wTY5O
コンマの数だけ点数が入るのか
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 07:19:22.19 ID:Ba6OJc4eO
普通に進めていいよ
下手にコンマいれてもつまらんだけ
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/16(日) 16:01:29.34 ID:TEVTRyJA0
作者逃げ出したか?
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:04:43.92 ID:AwmPGif8O
───日曜日・ナジミドーム

ワイワイガヤガヤ

「どっちが勝つかな」

「わかんないけど楽しみ」

「早く試合見たーい」

ワイワイガヤガヤ



勇者「おお、すげえ」

戦士「人多いなー。これ全部今日の試合見にきたの?」

僧侶「だがやはり見物客は女子ばかりだな」

魔法使い「そりゃそうだよ。だって今日は……」チラッ




『ショニーズ野球リーグ ☆ 商人ウェポンズvsイケメンインズ』




魔法使い「これだもん……」
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:15:54.92 ID:AwmPGif8O
僧侶「ところでショニーズ野球リーグとはどういうものなのだ?」

魔法使い「プロの野球リーグとは全く関係ないイケメンタレントの興業だよ」

魔法使い「所属タレントは普通にテレビにも出るし人気もある」

魔法使い「アイドルがドームとかで歌って踊るコンサートやるでしょ。それの野球盤みたいなものだね」

魔法使い「だからホームとかも別にないし全国各地をツアーしながらの試合になる。ナジミドームでやるのは初めてみたいだよ」

魔法使い「チームは全部で5つ。ウェポンズ、プロテクターズ、インズ、グッズ、チャーチーズ。今日は特に人気のある2チームの試合なんだ」

魔法使い「ちなみに商人君はウェポンズの選手でもある」

魔法使い「ただ選手のレベルはぶっちゃけ高校野球でも下の方じゃないかな」

魔法使い「まあお客さんはショニーズが見られればいい女性ばかりだからレベルなんて気にならないだろうね」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:21:26.92 ID:AwmPGif8O
武闘家「ではお前たちは待っていてくれ」

魔法使い「本当に大丈夫?」

武闘家「当然だ。遊び人、準備はいいか?」

遊び人「うん。いいよ」

武闘家「まずは俺が行く。ルイーダからもらったこのイベントのフリーパスで客として潜入する」

遊び人「このパス彼女にとってはゴミ同然だもんね。プレミアものなのに」

武闘家「タイミングを見てお前も来い」

遊び人「僕は以前商人君から直接このイベントに招待されているから堂々と入れるってわけだ」

武闘家「ぬかるなよ」

遊び人「わかってるって」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:28:27.08 ID:AwmPGif8O
───

夢爺(結局あの後一睡もできなかった……)ゲッソリ

盗賊「ふん。逃げずによく来たな」

大烏「なんだよこれ……」

一角兎「ドームってお前……」

スライム「ばかじゃないの!?」

盗賊「ピッキングツールは持ってきたんだろうな」

大烏「あんなもんを取り返すためだけにこんな場所使うのかよ……」

スライム「ばかじゃないの!?」

一角兎「何考えてんだ……」

盗賊(俺が聞きたい……)

大烏「なんか大きいイベントあるみたいだぜ?本当にここでできんのかよ」

盗賊「準備が終わったら控室に案内する。それまで大人しくしていろ」

一角兎「控室まで用意してんのかぴょん?」

スライム「ばかじゃないの!?」
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:38:31.33 ID:AwmPGif8O
───ナジミドーム貴賓室

商人「オーシャン」

商人「スカイ」

商人「世界でも有数のリゾート地、ナジミの島」

商人「中でもこのナジミドームは人気が高いスポット」

商人「いつも話題のイベントをやっている俺もお気に入りのドームだ」

商人「そんなナジミドームにショニーズ初登場。見に来たくない女子が存在するのだろうか」

商人「ふふ。細胞レベルで楽しませてあげなくちゃ」

商人「ブキヤ」

スッ

ブキヤ「なんでしょう若」

商人「客の入りはどう?」

ブキヤ「勿論満員です」

商人「今日の会場はアリアハンから近い所だからね。学校の女子もいっぱい見に来ているはずだよね」

ブキヤ「若がアリアハンの女子生徒を牛耳るいい機会……というわけですか」

商人「だからいいところ見せなきゃ。ね?」

ブキヤ「投げては完封、打っては3安打3打点でいかがでしょう?」

商人「んー、4安打5打点」

ブキヤ「かしこまりました」
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:44:34.82 ID:AwmPGif8O
───

ブキヤ「やれやれ、5打点か。どうしたものか」

?「5?そりゃ若もはりきってんな」

ブキヤ「ヤドヤ……か」

ヤドヤ「ホームランでも打たせろってのか。空調調節して」

ブキヤ「そこまでしなくていい強い風は観客の女性に被害を加える」

ヤドヤ「立派なフェミニストだねえ」

ブキヤ「若の前に常にランナーを貯めるようお前のチームにも指示しておいてくれ」

ヤドヤ「あーいよ」
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:51:47.18 ID:AwmPGif8O
───商人ウェポンズ控室

ショニーズA「聞いたか?ここ若の地元の近くなんだってよ」

ショニーズB「じゃあいつもより活躍させなきゃいけないのか」

ショニーズC「まったく。なんで俺たちがあんなフツメンの引き立て役にならなきゃいけねえんだよな」

ショニーズD「社長の息子なだけでオーラなんて皆無なのにな」

ショニーズE「でも頭が軽めな女子はフツメンといえどもそれなりの舞台を用意されたら騙されるもんだ」

ショニーズF「なんせショニーズのイベントに出て毎回活躍するんだ。若の人気もフツメンにしちゃ高いもんな」

ショニーズG「くそ、俺たちがいつまでもかませ犬で終わると思うなよ」
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 18:56:57.89 ID:AwmPGif8O
コンコン

ガチャ

弁当屋「失礼します。お弁当お持ちしました」

ショニーズA「お、昼飯か。午後の試合に備えて食っとこうぜ」

弁当屋「どうぞ」ドサッ

ショニーズB「この弁当はもしかして……」

弁当屋「そう。この辺りの海の幸をふんだんに使った特製名物弁当ですよ」

ショニーズC「おお、これだけでもナジミに来た甲斐があったな!」

弁当屋「では失礼します」

ショニーズ「「「いただきまーす」」」

弁当屋「……じっくり楽しいお食事を」

ガチャ



弁当屋「……」コクッ

遊び人「……」コクッ
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 19:07:44.91 ID:AwmPGif8O
───

ガチャ

ブキヤ「今日の流れを決めてきた。皆集まって……」

ショニーズA「うう……」

ブキヤ「!?」

ショニーズB「は……腹が……」

ブキヤ「腹だと!?何があった!?」

ショニーズC「ブキヤ……わからねえ……急に全員下痢吐き気が……」

ブキヤ「全員だと!?何か食べたのか!?」

ショニーズD「弁当しか食ってねえよ……」

ブキヤ「弁当だと!?弁当なら隣の部屋に用意されてあった……お前たち何を食べたんだ!?」

ショニーズE「そこの海鮮弁当だ……」

ブキヤ「海鮮弁当だと!?これは危険な香りがする生牡蠣ではないか!?なぜ食べた!?」

ショニーズF「弁当屋が勧めるから……」

ブキヤ「弁当屋だと!?一体どうなっている!?」

ガチャ

ヤドヤ「う、こっちもか」

ブキヤ「ということは」

ヤドヤ「イケメンインズ、俺を除いて全滅だ」

ブキヤ「なんてことだ……若になんて言えば」
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 19:17:35.37 ID:AwmPGif8O
───貴賓室

商人「バカバカバカバカ!何やってんだよ!」

ブキヤ「紛れもないバカです」

ヤドヤ「他に言いようがないほど適切な叱咤です」

商人「うー……あー……どうしようどうしよう」

ブキヤ「これからマネージャーに報告してきます」

商人「待って!しちゃダメ!」

ブキヤ「何故です?」

商人「こんなこと知られたら中止になるだろ!誰にも言っちゃダメ!」

ヤドヤ「中止にするしかないでしょう」

商人「今日はパパに無理言って俺が用意させた会場なんだ。中止にしたら怒られちゃうよ」

ブキヤ「怒られるだけならいいのですが……」

ヤドヤ「残ったショニーズは俺たち3人だけ。何もできませんぜ」
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/06(日) 19:26:07.67 ID:AwmPGif8O
コンコン

遊び人「やあ商人君お招きありがとうおやおや何やら大変そうだね何があったんだい?」ガチャ

商人「今ユーに構っている暇ないんだよ。悪いけど今日は……」

遊び人「えっイベント中止になりそうなのそれは残念だせっかく友達も見に来てくれたのに」

商人「そうなんだよ。忙しいから今日はこれで……」

遊び人「あともう二人いれば野球ができるくらいの人数の友達皆残念がるだろうなーここ最近ずっと野球の練習してきて問題なくプレイできる友達見るの楽しみにしていた野球ができるくらいの人数の友達皆残念がるだろうなー」

ブキヤ「……」

ヤドヤ「……」

商人「……友達って男?」

遊び人「そうだよ」

商人「イケメン?」

遊び人「勿論さ」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 19:28:14.63 ID:AwmPGif8O
つづく

>>344
その予定はないです
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 20:10:56.44 ID:4tDVeoemo
なんだこりゃ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:00:52.05 ID:HoyivNf5O
───

実況『本日は商人ウェポンズvsイケメンインズのゲーム、初開催となるナジミドームからお送りします。解説さんよろしくお願いします』

解説『よろしくお願いします』

実況『常勝軍団ウェポンズ、開幕から連勝し続けて調子いいですね』

解説『坊っちゃ……商人選手の活躍が大きいでしょう』

実況『この試合の注目ポイントは?』

解説『坊っちゃ……商人選手の無失点記録がどこまで伸びるかでしょうな』

実況『ありがとうございます。ではまず商人ウェポンズの選手入場です』



\キャーキャーブキヤー!/

\キャーキャー……/

\キャー……/

\キャ……?/
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:11:01.32 ID:HoyivNf5O
ザワザワ


戦士「すご……こんなにいっぱいの人に見られてるよ」

僧侶「わはは。騒がしかったのが急に静まり返ったな」

武闘家「想定内のリアクションだ」

魔法使い「絶対僕たち場違いだよね……」

盗賊「この試合を乗っとるなんて、大胆にも程があるだろ」

商人「乗っとる?」

勇者「あー、あー……そ、それにしてもすごいな!お前いつもこんな観客の中で試合してんのか!」

商人「うう……やっぱり観客動揺してるじゃないか」

勇者「そりゃそうだな。でも人の目なんか気にするなよ。そうすりゃなんでもうまくいくって」

商人「人の目を気にしなきゃいけない商売やってんの!」

遊び人「まあまあ落ち着いて」

商人「ユーのせいだよ!?ユーの友達ただのうちの野球部じゃん!?」

遊び人「言わなかったっけ?」

商人「イケメン連れてきてよ!」

遊び人「いけ(ないことして)めん(ぼくない)じゃないか」

商人「違うよ!しかもこっちは見れる顔だしまだいいんだよ。問題は……」
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:17:01.89 ID:HoyivNf5O
実況『続いてイケメンインズの入場です』



\キャーキャーヤドヤー!/

\キャーキャー……/

\キャー……/

\キャアアアアアアァァァ!/



スライム「……」ポカーン

大烏「……」ポカーン

一角兎「……」ポカーン

大蟻食い「……」ポカーン

フロッガー「……」ポカーン

バブルスライム「……」ポカーン

人面蝶「……」ポカーン



商人「あっちほとんどグロメンじゃん!?」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/07(月) 21:19:35.23 ID:1R6LEERY0
最近、思うんだけどさ。
HACHIMANとかいうタグ付ける奴うざくね?
八幡tueee!が嫌いとか言ってる奴、多すぎ。
「キリトの活躍奪うんじゃねえ!」
「ハチアスとかやめて!」
「上条さんの役割奪うなよ!」
「デレマスのヒロインNTRさせんな!」
これ、マジでキモいからね。
いやさ、お前らの気持ちも分かるよ?
何でも出来て、最強の八幡に嫉妬してるんだよね。お前らは葉山みたいな性格だもんね。
でも、落ち着いて考えてみろよ。
お前らが何と言おうと八幡が最強なのは誰の眼に見ても明らかんだから仕方ないじゃん。
ヒロインを奪われる〜とかさ、クソみたいなキリト、上条辺りに救われるよりも八幡に救われる方が幸せに決まってるよね。
まずは誰よりも八幡が強い事実から目をそらすなよ。それは誰の目にも明らかだろ?
それを劣っている立場の奴等が「俺達の役割を奪うなよ」っていうのは成り立たないでしょ。
いやね、作品を汚すなってのは分かるよ?
例えばキリトが総武高校に転校してきてヒロインNTRしたなら、俺もキレて潰しにかかるわww
でもさ、八幡なんだから仕方ないじゃん。
もうワガママ言うのやめろよな。
八幡が主人公なら皆が救われるんだって。
キリトも上条も士道も必要ないからね?
あんなん好きな奴等はガイジだからね?
もうさ、他作品をsageするなとかいうガイジの話なんか聞くのも飽々してるんだわ。
あのね、sageしてるんじゃないの。
八幡が最強だから、周りが雑魚に見えてしまうのは仕方ない事なんだよ。
八幡が最強なのが気持ち悪いとか言うけど、実際にその世界に八幡がいれば最強なのは間違いないんだから当たり前だよね。
ゴミみたいな作品なんて八幡に蹂躙されて然るべきなんだよ。それによって俺達の目に触れる機会も増えるんだから感謝しろよ。
以上、クソアンチ共を完全論破。全員、速やかに砕け散れよ。
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:21:41.27 ID:HoyivNf5O
\誰よあの不細工!/

\金返せ!/

\ブーブー!/

\ヤドヤ逃げてー!/



大烏「は、恥ずかしい……」カァ

一角兎「なんで俺たちがこんな目に……」

スライム「ひでえよ……ひでえよ」

ヤドヤ(……俺なんでこんなやつらと組まなきゃなんないんだ)
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:34:50.52 ID:HoyivNf5O
遊び人「なのにチーム名はイケメンという公開処刑。精神的なダメージは大きいだろう。これも計算の内かい?」

武闘家「いや……さすがに俺もここまでは……哀れ」

商人「あんなの目の毒だよ!お客さんチラホラ帰っちゃってるよ!」

武闘家「いいか。これはチャンスだ」

商人「え?」

武闘家「お前はフツメンだ」

商人「!?」

武闘家「受け入れろ。それがお前に人気が足りない理由。同じチームでもそこのブキヤというイケメンへの声援が多かった」

ブキヤ「……」

武闘家「今まさに正義のウェポンズ対悪のインズという構図が出来上がったんだ。観客は俺たちを応援するしかなくなった」

商人「……」

武闘家「この試合で活躍しようものなら絶対的な人気を得られるだろう」

商人「そうだね!」

魔法使い(ちょろい……)

商人「ブキヤ活躍しちゃダメだよ!ヤドヤにも伝えといて!」

ブキヤ「かしこまりました」

武闘家(やはりこいつらの試合は八百長か)
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:45:06.01 ID:HoyivNf5O
実況『えー……只今入った情報によりますと……両チームとも予定していたメンバーをほぼ代えて……代わりには本日登録されたばかりのルーキーが入るようです』




商人ウェポンズ(アリアハン高校)先発オーダー

1(中)盗賊
2(二)僧侶
3(遊)武闘家
4(投)商人
5(左)ブキヤ
6(一)勇者
7(三)遊び人
8(捕)魔法使い
9(右)戦士



イケメンインズ(ナジミ高校)先発オーダー

1(左)一角兎
2(中)大烏
3(投)夢爺
4(捕)ヤドヤ
5(一)フロッガー
6(三)バブルスライム
7(遊)人面蝶
8(二)大蟻食い
9(右)スライム
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 21:56:29.16 ID:HoyivNf5O
───

夢爺「やってくれたな。お前はやっぱり危険だよ」

武闘家「さて。なんのことだ」

夢爺「とぼけなくていい。このイベントがある日を指定したということは、あの時点でここまで計画していたということ」

武闘家「保険のつもりだった。さすがに今日までには俺もメンバーと道具を揃えられると思っていた」

夢爺(これより大変なことなのか……?)

武闘家「勝敗は夢で見たのか?」

夢爺「こんな面白そうなこと、先に結果を知っちまったらつまらんだろう(本当は眠れなかっただけだが)」

武闘家「ほう。勝負師の心はあったようだな」

夢爺「お前の方は用意周到だったな。弁当に毒まで仕込むとは」

武闘家「ん?」

夢爺「メンバーの一人が倒れた時点で気づけてよかったよ」

武闘家(こいつらに用意したのではないが、あれを食べたのか……というか食いかけだったろう)

武闘家「ふん。そこで終わるようならそこまでの相手。俺たちと戦うに値するか確かめただけのこと」

夢爺「ふっ、怖い怖い」

武闘家「試合は正々堂々とやってもらうぞ」

夢爺「こちらのセリフだ」
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 22:05:44.00 ID:HoyivNf5O
───商人ウェポンズベンチ

魔法使い「えっ?あの人夢爺さん!?」

戦士「知ってんの?」

魔法使い「僕がいたリトルでは伝説だったOBだよ」

武闘家「なに?」

盗賊「あの野郎経験者だったのか!?」

魔法使い「でも僕が入った頃はもういなかった。それどころかナジミ高校ではアリアハン高校の黄金期、あのオルテガさんのいた頃の野球部と死闘を演じた記録もある」

勇者「父さんと?」

盗賊「おいおい、あいついくつなんだよ。つーか何年高校生やってんだよ」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 22:17:31.64 ID:HoyivNf5O
───イケメンインズベンチ

夢爺「ヤドヤとやら、俺の用意したチームから一人欠員が出ての埋め合わせなのに4番を背負うとは。余程自信があると見ていいのかな?」

ヤドヤ「あ?何言ってんだ。インズは俺のチーム。埋め合わせはお前らだ」

夢爺「ふっ、そういうことにしておいてやろう」

ヤドヤ「それから活躍して観客にいいところ見せようなんて思うなよ」

夢爺「何を言っているんだ?勝つには誰かしら活躍するしかないぞ」

ヤドヤ「いいから試合中は大人しくしていろ」

夢爺「俺たちは勝つために試合に出る」

ヤドヤ「……まあいいや。好きにしてくれ。どうせ寄せ集めの高校生に何ができるわけでもないしな」

夢爺「……?」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/07(月) 22:18:45.23 ID:HoyivNf5O
つづく
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