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少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を倒すことになりました」
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375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/07(土) 23:11:47.59 ID:3PU8/lbco
乙!
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/07(土) 23:25:29.35 ID:B7kyVmqC0
お疲れ様です!
いや〜、まさかエルフ族の生き残りが登場するとは思ってませんでした。
今後の娘とエルフの展開も気になります!
では、続きを楽しみに待っています。
377 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:01:46.12 ID:aWL1M0980
#26 トラ?トラ!トラァ!?
378 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:03:29.91 ID:aWL1M0980
○氷の森・片耳エルフの家
片耳エルフ「帰れ帰れ! 貴様に食わせるラーメンはない!」
バタン
少年エルフ達は追い出された。
少年エルフ「ええ!?」
魔法勇者「らりるれろー」
片耳エルフ「バカ弟子が! 同胞を連れてきたつもりか!? 邪悪なハーフエルフなんぞ」
少年エルフ「」ガーン
怒号は続く。
片耳エルフ「貴様らも何が客だ! 耳が長いだけがエルフ族じゃないわ」
ガシャーン
スノーゴーレム「「ンゴ―っ」」
379 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:04:48.30 ID:aWL1M0980
魔法勇者「らりるれろー」
ドンドンドン
魔法勇者が執拗に扉を叩く。
片耳エルフ「うっさいわバカ弟子、これ飲んで帰れ!!」
シュッ ズゴンッ!
魔法勇者「らッ!」
魔法勇者は覗き窓から高速で飛んできた瓶がめりこみそのまま気絶した。
\らりるれろ/ \らりるれろー/
爺僧侶と孫僧侶が一応介抱する。
第二皇子「……えっと」
第二皇子は呆気に取られている。
380 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:05:55.28 ID:aWL1M0980
少年エルフ「邪悪なハーフエルフ…… うぅ」ウルウル
第二皇子「あの…… エルフ大丈夫?」
少年エルフ「うぅ…… だいじょ……ぶ」ウルウル
第二皇子「それにしてもあのエルフ族の姉様が呪術師なの?」
魔法勇者「間違いない、アレが俺の師匠だ呪術にも詳しい」
解呪薬を飲んだ魔法勇者たちがしゃべりだす。
爺僧侶「やっとまともに喋れるわい」
孫僧侶「あー長かった、バカ坊ちゃんのせいでヒドイ目にあった〜」
魔法勇者「やかましい」
少年エルフ「そうだよ……呪いを 娘を助けてもらわなくちゃ」
381 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:07:25.67 ID:aWL1M0980
○
トントントントン……
少年エルフ「お願いします話を聞いてください」
\うっさいきょうは店じまいだ/
魔法勇者「師匠おれだー開けてくれー」
\帰れバカ弟子、ここはお前ごときが来るような場所ではないわ/
孫僧侶「そうだ帰れ帰れ、オマエゴトキー」
魔法勇者「やめいっ」
少年エルフ「お願いします娘を助けてください」
魔法勇者「師匠ーツンも程ほどにしろ、そろそろデレろー」
382 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:08:51.80 ID:aWL1M0980
○
白虎「ガルァアアアアア」
少年エルフ「!!」
第二皇子「虎!?」
屋根の上にホワイトタイガーがあらわれた。
\そいつは魔法の効かない聖なる虎だ、痛い目に合う前に帰れ/
白虎「グルルルル」
ホワイトタイガーは牙をむき出しにして威嚇している。
少年エルフ「うう…… 帰れません」
白虎「ガァア!!」
少年エルフ「ひぃ!!」
383 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:10:20.96 ID:aWL1M0980
魔法勇者「師匠……コイツを倒したらエルフの話を聞いてくれるか」
\倒せたらな…… お前では無理だろうがな/
魔法勇者「よし行くぞ ”多重大爆裂”」
キュオオオオ
孫僧侶「バカ―いきなりソレ!?」
爺僧侶「伏せるんじゃ!」
少年エルフ「うわわ」
バっ
魔法勇者以外は地面に伏せた。
シーン
少年エルフ「……?」
第二皇子「あれ?」
384 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:11:37.95 ID:aWL1M0980
魔法勇者「まてまてまて反則だろソレ」ダラダラ
白虎「グルアア……」キュボボボボ
白虎は魔法勇者の爆裂魔法を食っている。
片耳エルフ「お前は本当に話を聞かないな」
窓から顔を出した片耳エルフが呆れている。
魔法勇者「師匠、もっかい最初から…… ダメ?」
片耳エルフ「ダメだ ”範囲守護”」
パアア
片耳エルフは防御魔法を家にかける。
孫僧侶「えっと”守護”」パアア
孫僧侶は防御魔法を唱えた、孫僧侶は防御魔法に守られた。
385 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:12:48.90 ID:aWL1M0980
魔法勇者「お前だけかいっ!」
孫僧侶「だってこれしかできないしー」
魔法勇者「俺にもかけろ早く!」
孫僧侶「ごめ、まにあわなーい」
魔法勇者「うおおお死ぬ―」
爺僧侶「どれワシが 範囲守護」
爺僧侶は魔法を唱えた、しかし効果がない。
魔法勇者「できてねーよ! ちくしょー死ぬ―」
白虎「グアアっ」
ホワイトタイガーは食べた魔法を吐き出した。
第二皇子「うわああ!?」
キュュドドドドドン
\\うわあああああ//
辺りが爆炎に包まれる。
386 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:14:00.38 ID:aWL1M0980
○
片耳エルフ「フン…… 威力だけは一人前になりおって」
ヒュルル
片耳エルフ「何?」
少年エルフ「間に合った」
ヒュルルルル
魔法勇者達は少年エルフの風の障壁に包まれている。
魔法勇者「たすかった……」
孫僧侶「はーつら、坊ちゃんのせいで魔力無駄にしたー」
爺僧侶「みっともなくうろたえて、まったく情けない」
魔法勇者「やかましい」
387 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:22:00.11 ID:aWL1M0980
第二皇子「ありがとうエルフ…… でも魔法が効かないんじゃどうすれば」
少年エルフ「えっと…… どうしよう」
魔法勇者「どうしようっていったって」
魔法勇者はメンバーを見渡す。
魔法勇者 ← 魔法系
少年エルフ ← 魔法系
第二皇子 ← 吟遊詩人
孫僧侶 ← 僧侶系
爺僧侶 ← 脳筋
魔法勇者「爺まかした!」
爺僧侶「高齢者を労わらんかい!」
白虎「グルァア!!」
爺僧侶「うおう、こんな時に腰が! 腰痛がー!」
シュタタタタッ!
爺僧侶はダッシュで逃げ出した!
魔法勇者「その健脚のどこが腰痛だー!!」
少年エルフ「うわあ! 来るよ」
ホワイトタイガーは飛び掛かって来た。
\\うわああああああああああああ//
388 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:24:35.03 ID:aWL1M0980
○片耳エルフの家・窓辺の席
片耳エルフ「さてと茶でもいれるか」
片耳エルフはキッチンへお茶をいれにいった。
\うおおおおお来るなー/
片耳エルフ「フム…… まだいけるか?」カチャカチャ
\ぎゃああ、いってー!!/
片耳エルフ「ジャムはどこだ」ゴソゴソ
\エルフ―/
片耳エルフ「どれそろそろか」コポポポ
\やぁあああ/
片耳エルフはのんびりとお茶を飲む。
片耳エルフ「うーむ、葉が古いな」
\グルルルル/
コッコッ
ホワイトタイガーが戸を叩く音がする。
片耳エルフ「ふむ片付いたか」
389 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:27:10.12 ID:aWL1M0980
○
ガチャ
片耳エルフは扉を開けた。
片耳エルフ「何!?」
白虎「ガルァ」
ドサ
ホワイトタイガーは咥えていた少年エルフを片耳エルフの前においた。
少年エルフ「はう……ひぅ……猫舌……」ピクピク
片耳エルフ「……(なぜ食い殺していない!?)」
少年エルフ「お……」ヨロヨロ
少年エルフ「お願い娘を…… ひゃああ!?」
ホワイトタイガーが少年エルフを前足で転がす。
コロコロ
少年エルフ「うわあ…… 話をー」
ホワイトタイガーは少年エルフを舐めまわす。
ペロペロ
少年エルフ「きひてー 耳だめー……ひゃあん」
ホワイトタイガーは少年エルフを頭から甘噛みする。
はむはむ
少年エルフ「ふむむむー」バタバタ
片耳エルフ「……(このハーフエルフ……本当に邪気がないのか!?)」
390 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:29:06.14 ID:aWL1M0980
○
魔法勇者「いってー…… マジで噛みやがったし」
片耳エルフ「お前が噛まれているんかい、バカ弟子」
魔法勇者「孫、治癒かけてくれ」
孫僧侶「イヤですよ、坊ちゃんの尻なんて…… 杖が穢れます」
魔法勇者「遠慮ねーなちくしょー」
第二皇子「あの……入れてくれたって事は話を聞いてくれるのですよね、ありがとうございます」
片耳エルフ「……聞くだけだ、期待するなよ」
少年エルフ「……う、うん」
391 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:30:50.85 ID:aWL1M0980
少年エルフは娘が呪われた経緯を説明した。
片耳エルフ「それは呪毒だな…… フン、やっかいな」
魔法勇者「なんだ師匠でも解呪は無理なのか?」
ゴン
ティーポットが魔法勇者の頭にめりこむ。
\うおおおあっちぃー!/
片耳エルフ「バカをいえ、その程度朝飯前だ」
少年エルフ「ホント!? だったら……」
片耳エルフ「だが断る」
少年エルフ「え……」
第二皇子「そんなヒドイ」
片耳エルフ「うるさい、話は聞いた。 その上でお前に協力はしない……わっかたら帰れ」
ぐいぐい
片耳エルフは少年エルフ達を追い出しにかかる。
392 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:32:01.30 ID:aWL1M0980
少年エルフ「そんな……お願いしますお礼に出来る事ならなんでも……」
片耳エルフ「黙れ、ハーフエルフなんぞ信用できない」
少年エルフ「お願いします…… 僕はどうなってもいいから娘を……」
片耳エルフ「くどい」
バタン
片耳エルフは少年エルフ達を追い出した。
\うぅ……お願い……します/
片耳エルフ「……ハーフエルフが人間の子を……だと…… 愚かな」
ドサッ
片耳エルフは耳をふさいで座り込んだ。
○
393 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/14(土) 22:33:14.55 ID:aWL1M0980
※つづく
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 22:57:48.71 ID:LHi6h7Hk0
続きありがとうございます!
ハーフエルフの過去が気になります。
では、次回も楽しみにしています。
395 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:22:52.42 ID:kTU9QTW50
#27 失われた村の失われたスープ
396 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:24:53.65 ID:kTU9QTW50
○氷の森・片耳エルフの家前
片耳エルフに追い返された少年エルフ達は空き地でキャンプをしていた。
少年エルフ「はぁ……、どうしよう」
魔法勇者「心配するな師匠はツンデレだからな、じきにデレる」
少年エルフ「じきにって、どれくらいで?」
魔法勇者「うむ、半年から数年に一回くらいか……」
第二皇子「それツンデレとかいうか気まぐれというか……」
少年エルフ「うーん、他に方法もないし……頼み込むしか方法ないし……」
孫僧侶「お師匠さんかー、あのヒト気難しいんだよねー」
魔法勇者「気難しいとはなんだ! 思慮深いだけだ!」
孫僧侶「ハイハイ…… これだから坊ちゃんは」
少年エルフ「あれ、爺僧侶さんは?」
魔法勇者「用でも足してるんじゃないか…… トシだしな」
少年エルフ「そうなの?」
397 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:26:54.98 ID:kTU9QTW50
○氷の森・片耳エルフの家
片耳エルフ「……まだいるのか」
片耳エルフは窓の隙間から少年エルフたちを垣間見る。
爺僧侶「いやー、ここらは冷えますのう」
暗がりから爺僧侶が現れた。
片耳エルフ「爺…… また勝手に」
爺僧侶「エルフ殿の娘の事をどう思います」
少年エルフ「フン、別にどうでもいい……」
爺僧侶「ああ見えてエルフ殿も苦労されておる、あの細腕で働き人間の子を育て上げ…… ふむ、どこかで似たような話を聞いたような」
片耳エルフ「……」
爺僧侶「あれは誰でしかなぁ? 人間の子のため自らの耳を切ってまで霊薬を作ってくれたエルフ族は」
片耳エルフ「さぁな、とんだ愚か者だろう」
398 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:28:05.02 ID:kTU9QTW50
爺僧侶「どうでしたかな…… しかし今回の呪いはエルフ殿も堪えておるようで、何せ自分が育てた人間の子が呪われたのじゃからの」
片耳エルフ「エルフ族が人間に関わるとは、まったく愚かしいな…… 腹が立つ」
爺僧侶「ほっほっほ…… まぁコレは独りごとですが、エルフ殿も霊薬の作り方を知っておれば作るでしょうな、耳を切ってまで」
片耳エルフ「……」
爺僧侶「意地っ張りも変わりませんな…… エルフ殿は素直ですぞ、どなたかと違いましてな」
片耳エルフ「やかましいっ! とっとと寝ろボケ老人が!」
爺僧侶「ほっほっほ」
爺僧侶は裏口から家を出た。
片耳エルフ「……なんで人間は100も越さぬうちにあんなに小賢しいのか、まったく」
399 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:29:53.45 ID:kTU9QTW50
○翌朝
片耳エルフ「そんなところでキャンプするな、バカ弟子が…… こっちへ来い」
魔法勇者たちは片耳エルフに招かれた。
爺僧侶「ほれ、エルフ殿とホビット殿も」
少年エルフ「え、いいの?」
爺僧侶「ほっほっほ 構いませんよ」
少年エルフ達は爺僧侶に促されて家に入った。
片耳エルフ「貴様か…… いいか、まず言っておく貴様には手はかさない」ビシッ
少年エルフ「う…」ウルウル
第二皇子「ヒドイ…… そんなハッキリ言わなくても」ボソボソ
片耳エルフ「ぐ……」
400 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:30:39.80 ID:kTU9QTW50
魔法勇者「師匠、大人げねーぜ。 エルフをいじめるなよ」
片耳エルフ「やかましい! 黙って聞け…… さてお前たちバカ弟子がせっかくここまで来たんだもてなしてやろうと思う」
魔法勇者「ホントか!?」
孫僧侶「帰れっていってたじゃーん」
片耳エルフ「やかましいっ 気が変わったんだ」
孫僧侶「へー、ふーん」
片耳エルフ「それで特製の『解呪ラーメン』をふるまってやろうと思う」
魔法勇者「は?」
少年エルフ「え?」
第二皇子「解呪……ラーメン?」
片耳エルフ「あーあー、これは独り言だが、作ってる間は私は集中してるからな…… 周りが気にならんほどにな、横で作り方を見られていてもな…… ゲフンゲフン」
401 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:31:37.44 ID:kTU9QTW50
爺僧侶「ほっほっほ、昔からそうでしたな片耳殿は」
魔法勇者「昔から? いやキャラ違くね?」
片耳エルフ「やかましいわッ!」シュッ
魔法勇者「ヘブッ!」パカ―ン
魔法勇者の頭でシュガーポットが砕ける散る。
少年エルフ「師匠さん…… それじゃ」
片耳エルフ「……さぁてと、まず材料集めだな〜 外に出る準備しないと」チラッチラッ
少年エルフ「えっと防寒着はどこ」
第二皇子「ほらコレ、手伝うよ」
少年エルフ「うん、ありがとう」
爺僧侶「ほっほっほ……」
孫僧侶「私たち何すれば……」
魔法勇者「やったぜ師匠の料理ひさびさだぜ、のんびり待とうぜ」
片耳エルフ「バカ弟子共、待ってる間にスノーゴーレムとアイスゴーレムを直して来い、全部だ」
魔法勇者「マジか!?」
402 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:33:39.70 ID:kTU9QTW50
○氷の森
片耳エルフはホワイトタイガーに乗っている。
テクテク
白虎「ぐるる……」
片耳エルフ「……(ちゃんと来てるな)」
片耳エルフは少年エルフの足音を後ろに歩み去った。
テクテク……
しばらくしてから少年エルフと第二皇子歩いている。
テクテク
第二皇子「あっち?」
少年エルフ「うんあっちに歩いてる」
少年エルフは片耳エルフの足音について行く。
第二皇子「やっぱり長い耳はよく聞こえるんだね」
少年エルフ「うん、まぁ……(今のさん師匠さんに聞こえたかな?)」
テクテク
少年エルフ達は片耳エルフ達の音について行く。
403 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:36:00.42 ID:kTU9QTW50
○氷の森・温泉地帯
もくもく
当たりに霧のようなものが立ちこめてきた。
少年エルフ「この霧あたたかい、蒸気?」
第二皇子「あっちみて温泉が噴き出してる」
シュー もくもくもく
少年エルフ「それでこの辺りだけ雪が溶けてるんだ」
第二皇子「この辺りなら食材が採れるかも…… それにしてもラーメンで解呪するなんてね」
少年エルフ「あの、ラーメンってどんな料理?」
第二皇子「知らないの?」
少年エルフ「うん……」
第二皇子「えっと温かいスープに麺っていう……」
少年エルフ「へぇ」
ひゅうう
風に乗って少年エルフの耳に片耳エルフのつぶやきが届く。
(……これは独り言だが、かつて故郷を追放された私はある店主からラーメンを戴き……)
少年エルフ「……(もしかしてこっちの会話聞こえてる?)」
第二皇子「どうかした?」
404 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:36:56.52 ID:kTU9QTW50
○温泉地帯・ネギの群生地
ひゅうう
風に乗って少年エルフの耳に片耳エルフのつぶやきが届く。
(……この当たりの野菜は私が植えたものでラーメンの……)
少年エルフ「なるほど、この葉っぱを採るみたい」
ザクザク
第二皇子「独特の匂いがするね」
少年エルフ達はネギを刈る
405 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:37:58.36 ID:kTU9QTW50
○温泉地帯・走る人参畑
ひゅうう
風に乗って少年エルフの耳に片耳エルフのつぶやきが届く。
(……この走り人参は早い者程身がしっかりしており……)
少年エルフ「このニンジンを捕まえるんだって!」
ダダダダダダッ!
第二皇子「はやい―ッ!」
少年エルフ達は駆け回る人参を追いかける。
406 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:40:00.58 ID:kTU9QTW50
○温泉地帯・巨大猪の穴
ひゅうう
風に乗って少年エルフの耳に片耳エルフのつぶやきが届く。
(……ここの猪がチャーシューに適しており……)
ドドドドドドドドッ!!
少年エルフ「この猪を狩るんだってーっ!」
第二皇子「でもどうやってーッ!?」
少年エルフ達は巨大猪に追いかけられている。
巨大猪「ブフォー!」
少年エルフ「うわぁ!!」
巨大猪が少年エルフに襲い掛かろうとしたその時。
ビュルルルルルッ
巨大猪「プギーッ!?」ザシュッン
ドサッ
何処からともなく風の刃が飛んで来て巨大猪を真っ二つにした。
407 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:41:02.00 ID:kTU9QTW50
少年エルフ「……」ゾォ
第二皇子「大丈夫?」
少年エルフ「う、うん……(今の魔法)」ドキドキ
第二皇子「顔真っ青だよ、少し休む?」
少年エルフ「ううん大丈夫だから、ほら猪の身を切り取って…… 行かなきゃ」
第二皇子「わかった僕がやるから、エルフは休んでて」
少年エルフ「……うん、ありがとう……」ドキドキ
少年エルフは青ざめている。
少年エルフ「ン……?」
少年エルフは離れた所に兎が居るのを見つけた。
兎「……」ジー
少年エルフ「……(こっち見てる)」
408 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:42:00.08 ID:kTU9QTW50
作業を終えた第二皇子が駈寄る。
第二皇子「全部は無理だからいい所だけとったよ…… どうしたの?」
少年エルフ「え、いや兎がこっち見てて……」
少年エルフが兎を探すが見えなくなっていた。
少年エルフ「……どこかいったみたい」
第二皇子「兎も材料にいる?」
少年エルフ「え…… ううん、それより行こう」
第二皇子「うん」
テクテクテク
少年エルフ達は森の奥へ向かう。
ガサッ
兎「フゥ……」
ガサガサ
少年エルフ達の後を兎が追っていく。
409 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:43:24.01 ID:kTU9QTW50
○廃村
少年エルフ「ここ……村だったのかな?」
第二皇子「そうみたいだけど……随分古いね」
ひゅうう
風に乗って少年エルフの耳に片耳エルフのつぶやきが届く。
(……この村は母と一族が暮らし聖地を守っていた……)
少年エルフ「……師匠さんの一族の村だったみたい」
第二皇子「そうなんだ…… なんだろ、美味しそうな匂いがするね」
少年エルフ「あれ、この先の温泉を見て」
滅びた村の先には温泉が広がっており、そこには巨大な竜の骨が沈んていた。
410 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:45:34.76 ID:kTU9QTW50
○聖地・竜骨の湯
グツグツグツ…… ボコンボコン
少年エルフ「……暑い」
温泉はかなり高音で煮えたぎっている。
第二皇子「すごい、温泉と竜骨で天然のスープが出来てる」
白虎「グルル……ゴクゴク」
片耳エルフ「美味いか? そうだろう、温泉が数千年かけて煮だした竜骨スープだ魔力も濃厚だ」
少し離れた場所で片耳エルフのホワイトタイガーが竜骨スープを飲んでいる。
少年エルフ「……(けっこう近いけどいいのかな)」
第二皇子「エルフ、早く汲もう」
片耳エルフ「これは独り言だが、このスープはあの巨大な竜骨に近い方が濃い、ほら行くぞタイガー」
白虎「がるっ」
第二皇子「あっちみたいだね…… 師匠さんって最初はコワイ人と思ったけど結構いい人かも」
少年エルフ「うん、そうだね」
411 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:47:40.88 ID:kTU9QTW50
○
片耳エルフ「よしここだ……」
少年エルフ「うわぁ…… 大きな骨」
片耳エルフ「滑るから気をつけろよ…… タイガー」
ホワイトタイガーは水面から突き出た骨の上を軽々と跳んでいく。
少年エルフ「うわっと…… ありがと、ここ気をつけてホビット」
第二皇子「……はい(いい人なんだろうけど、素直じゃなさそうだなぁ)」
少年エルフ達は骨の上を歩いていく。
グラッ……グラグラッ
少年エルフ「うわあ!? なに!?」
片耳エルフ「この邪悪な気配、どこだ!?」
白虎「グルルルル」
第二皇子「あそこ…… 何アレ?」
412 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:48:45.00 ID:kTU9QTW50
少年エルフ「兎?」
巨大な竜骨の天辺に兎が邪悪に微笑んでいる。
兎「フハハハハ、これは素晴らしい最高の素材だ」
ゴゴゴゴゴ
片耳エルフ「危ない、逃げろ」
少年エルフ「うわぁ落ちる!?」
第二皇子「熱い!」
白虎「ガルッ」
骨の上から落ちそうになった少年エルフ達を白虎が背中に乗せて助けた。
片耳エルフ「まさか…… 死霊使い!」
413 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:49:31.55 ID:kTU9QTW50
死霊使い(兎)「ハハハ、礼を言うぞ小僧、お前達のおかげでここまでこれた」
兎は死霊使いだった。
第二皇子「え!?」
少年エルフ「まさかずっとついてきてた……」
死霊使い「お礼にコイツの犠牲者第一号だ!」
ガラガラガラ……
温泉の竜骨が組み上がり動き出す。
骨竜「ゴアアアアアアアアアアアアア」
スカルドラゴンがあらわれた!!
○
414 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/21(土) 23:50:01.74 ID:kTU9QTW50
※つづく
415 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/22(日) 00:20:17.04 ID:Phhrte+90
お疲れ様です!
続き楽しみにしています!
416 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/22(日) 13:41:44.54 ID:UepcQsIbo
乙!
417 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 22:51:43.11 ID:8hTuPgxb0
#28 タイガー・アンド・スカルドラゴン
418 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 22:53:19.46 ID:8hTuPgxb0
○氷の森・竜骨の湯
片耳エルフ「”豪火球”」
ゴオオオン
死霊使い「なんの”四弾氷爪”」
ビュカキン
炎と氷の魔法が相殺される。
死霊使い「まだまだ」
髑髏杖「”大火球”」
死霊使いの杖から魔法が放たれる。
片耳エルフ「タイガーよ!」
白虎「がおおお」
419 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 22:54:33.19 ID:8hTuPgxb0
ホワイトタイガーは大火球を食べて吐き出した。
ゴオオ
火球は死霊使いをかすめる。
死霊使い「ほう、魔法を食うか気に入ったぞ」
片耳エルフ「フン、貴様のような邪悪なものには懐かんよ」
ドドン! ガガン!
片耳エルフと死霊使いの魔法がぶつかり、ホワイトタイガーとスカルドラゴンが格闘する。
少年エルフたちは片耳エルフの後方で戦いを見守っている。
少年エルフ「師匠さんすごい」
第二皇子「あれじゃあ下手に手助けできないね」
420 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 22:57:45.51 ID:8hTuPgxb0
片耳エルフ「今だ噛み砕け!」
白虎「ガオオッ」
ホワイトタイガーが死霊使いに飛び掛かる。
死霊使い「おおっと」
ガキン
片耳エルフ「何!?」
死霊使い「かかったな馬鹿め、所詮獣よ」
スカルドラゴンの肋骨が伸びてホワイトタイガーを捕まえた。
白虎「グオオオ」ガリガリ
片耳エルフ「直ぐに助けて……」
死霊使い「遅いわ、骨となれ虎よ」
死霊使いは鋭い結晶をホワイトタイガーへ投げた。
ザシュ
白虎「グオオオオ!?」
結晶が白虎に突き刺さる。
421 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:00:00.99 ID:8hTuPgxb0
死霊使い「王手だ」
ドスッ
死霊使いはもう一つの結晶をスカルドラゴンに突き立てる。
ヒュオン
スカルドラゴンとホワイトタイガーが光に包まれる。
片耳エルフ「なんだあれは!?」
少年エルフ「あれって海の時の……」
スカルドラゴンとホワイトタイガーが融合する。
死霊使い「ふはははは、虎に翼とは正にこの事よ」
スカルタイガードラゴンがあらわれた。
422 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:03:44.53 ID:8hTuPgxb0
骨虎竜「ゴギャアアア」
スカルタイガードラゴンが大量の骨を吐き出した。
ドガガガガガ
片耳エルフ「く、”高守護”」ゴォン
片耳エルフは防御力を上げて耐えるが無傷では済まない。
少年エルフ「師匠さん!」
少年エルフは片耳エルフの元へ駆け出した。
第二皇子「ちょっとエルフ…… そうだあの曲、楽譜は」
第二皇子は荷物から何かを探し始めた。
少年エルフは片耳エルフの元に駆け寄る。
少年エルフ「師匠さん大丈夫? ”大治癒”」パアア
423 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:06:50.37 ID:8hTuPgxb0
片耳エルフ「……フン、この程度なんともない」
片耳エルフは治癒を受け立ち上がる。
死霊使い「素晴らしいこれが秘宝の力、学者風情もバカにできんな」
片耳エルフ「タイガー取り込まれたのか、……やむをえん”十字大風刃”」
ビュゴゴゴゴゴゴッ!
巨大な風の刃がスカルタイガードラゴンに放たれる。
死霊使い「バカめ」
ビュルル
骨虎竜「ギュガガガ」
スカルタイガードラゴンは魔法を食べた。
片耳エルフ「まさか能力まで!?」
死霊使い「そういうことだ、自らの魔法で消し飛ぶがよい」
魔法が吐きだされる
ビュゴゴゴゴゴゴッ!
424 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:09:06.16 ID:8hTuPgxb0
片耳エルフ「”範囲守……”(間に合わない)」
少年エルフ「お願い」
少年エルフは魔法石を掲げた。
魔法石「”ニジュフ……”」ビュル
ズドドォン
風の障壁が風の刃を防いだ。
少年エルフ「出来た……、間に合った」
片耳エルフ「音声魔法による高速詠唱? ……そんな方法が」
死霊使い「そうか、あの時の婆の…… しかしコレならばどうだ」
ズドドン
スカルタイガードラゴンの巨大な足の踏みつけ攻撃!
425 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:10:42.66 ID:8hTuPgxb0
片耳エルフ「避けろ」
少年エルフ「うわあああっ」
片耳エルフが少年エルフを抱えて踏みつけを回避する。
死霊使い「ふははは 早く走らないと粉々だぞ」
ズドドン ズズン
片耳エルフ「おのれ…… 一旦逃げるしか」
少年エルフを抱えた片耳エルフは逃げ出そうとした。
少年エルフ「まってホビットが」
片耳エルフ「そういえば…… どこだ?」
第二皇子「えっと……フムフム」
第二皇子は取り出した楽譜を読んでいる。
少年エルフ「ホビット、逃げて」
第二皇子「よしわかった」サッ
第二皇子はバイオリンを取り出して構える。
426 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:12:36.89 ID:8hTuPgxb0
第二皇子はバイオリンを取り出して構える。
片耳エルフ「何をしている、逃げるぞ」
少年エルフ「ホビット!」
第二皇子「もう大丈夫だよ」
♪♪♪〜
第二皇子が魔曲”鎮魂歌”を弾き出した。
骨虎竜「ガガガガガッ」
死霊使い「なんだこの音はああッ!?」
ガラガラガラ……
死霊使い達の体が崩れていく。
少年エルフ「何? どうしたの?」
片耳エルフ「鎮魂歌か、まだ弾ける者がいたとは」
427 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:14:35.59 ID:8hTuPgxb0
死霊使い「私のドラゴンが虎が!」
骨虎竜「ゴゴゴ……」ガラガラガラ
スカルタイガードラゴンは崩れさった。
少年エルフ「ホビットすごーい」
第二皇子「へへ」
♪♪♪〜
死霊使い「おおおお、逃げ…… 逃げられんッ!」ガラガラ
死霊使いの体から骨の兎やネズミ、鳥が這い出して来るがそれもまた崩れていく。
片耳エルフ「タイガーの仇だ ……”焔”」
キィイン
片耳エルフの手に爆裂魔法が凝縮する。
死霊使い「一曲弾かれたただけでこんな、こんな馬鹿な―っ!」
ヒュドドドドドドン
死霊使いは超高温の爆発に呑まれた。
片耳エルフ「フン…… 久しぶりに少し本気を出してしまったか」
死霊使いとスカルタイガードラゴンを倒した。
428 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:16:13.05 ID:8hTuPgxb0
○
少年エルフは温泉からスープを汲み取った。
ドロドロドローン
少年エルフ「すごく濃いね」
第二皇子「ホント魔力もすごい」
少年エルフ「これなら解除薬でもなんでも作れそう」
第二皇子「作るのはラーメンだけどね…… それにしても濁ってるね」
温泉は先ほどの戦闘で濁っている。
少年エルフ「なるべき奇麗なところを探して汲もうか」
第二皇子「そうだね、手分けして探そう」
429 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:18:53.13 ID:8hTuPgxb0
○
片耳エルフ「タイガー…… 済まない」
片耳エルフはホワイトタイガーの骨の近くに佇んでいる。
片耳エルフ「こんな形で別れがくるとは……」
キラン
片耳エルフ「む?」
ガラガラ
片耳エルフは骨の間から結晶を拾い上げる。
片耳エルフ「ムゥ……(これは奴の……)調べるべきか」
片耳エルフは結晶を鞄に詰めた。
少年エルフ「師匠さん材料これでおわり―?」
遠くから少年エルフが問い掛けてきた。
片耳エルフ「ああ、コレで最後だ帰るぞ」
片耳エルフは少年エルフのもとにかけよる。
少年エルフ「ラーメンってどうやって作るの」
片耳エルフ「それはまず……」
少年エルフと片耳エルフが一緒にあるいていく。
第二皇子「あんなに嫌ってたのに……(すっかり仲良くなったなぁ)」
第二皇子も二人の後を歩いていく。
○
430 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/10/28(土) 23:19:38.80 ID:8hTuPgxb0
※つづく
431 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/28(土) 23:27:08.68 ID:zR27LRUvo
乙!
432 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:26:57.20 ID:VIHvzcOn0
#29 合流
433 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:27:54.72 ID:VIHvzcOn0
○氷の森・雪の道
サクサク
第七王女「やれやれ氷の塊が襲ってくるとはな」
第七王女達が歩いてきた。
女兵士「道はこっちでいいの?」
娘友「合ってるわ反応が強くなってるし」
ピコーンピコーン
娘友は探知機を手に案内する。
男子「らりるれろ〜」
男子は口封じの呪いにかかっている。
女兵士「男子くん大丈夫? 少しはかわろうか?」
男子「……」
男子は首を振ってこたえる。
娘はソリに横たえられ、男子がソリを引いていた。
第七王女「娘、もうすぐじゃぞ、がんばるのじゃぞ」
娘「……」
娘は朦朧としている。
女兵士「あ、誰かいるよ」
娘友「エルフさん? それとも……」
434 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:28:57.40 ID:VIHvzcOn0
○氷の森・雪だるまの広場
魔法勇者は雪だるまを転がす手を止める。
魔法勇者「はー、さぶー」
孫僧侶「誰か来たみたいよ、あー」
第七王女「あ」
魔法勇者「あ、いつぞやのチンチクリン」
第七王女「誰がチンチクリンじゃ」
ズン
\ぉおおぉお/
魔法勇者は股間を押さえて悶絶する。
435 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:29:35.06 ID:VIHvzcOn0
第七王女「まったく出会い頭に失礼な奴じゃ」
孫僧侶「王女ちゃん久しぶり〜、ごめんねウチのバカ坊ちゃんが」、
第七王女「久しいのう、しかしバカは治らないもんじゃのう」
孫僧侶「ホントホント」
魔法勇者「お、お前がいるということは娘さんも」ガバッ
男子「ら」
魔法勇者は目ざとく娘を見つけ駆け寄った。
娘「……」
魔法勇者「おお、呪われたと聞きましたがもう安心です俺が解呪しましょう、古来から美女の呪いを解くのは王子のキスときまっ」
第七王女「お断りじゃッ!!」
ゲシ
魔法勇者「ふべら」
第七王女のドロップキック! 魔法勇者は作りかけの雪だるまに突っ込んだ。
436 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:30:00.61 ID:VIHvzcOn0
孫僧侶「坊ちゃんじゃ役不足よー」
娘友「そーねー」
魔法勇者「遠慮ねーな相変わらず…… ちょっとフザケタだけだろうが」
第七王女「ふざけるのは顔だけにしておくのじゃ」
魔法勇者「やかましい! そういえばお前ら、どうやってここに」
第七王女「無論、歩いてじゃ他に方法があるのか?」
魔法勇者「いやまて…… しかしそれだどアイスゴーレムは……」
第七王女「ああ、不細工な氷の化物はわらわ達が退治しておいたぞ」
魔法勇者「てめー!! 最初から作り直しじゃねーかちくしょー!」
437 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:30:54.53 ID:VIHvzcOn0
○氷の森・片耳エルフの家
少年エルフ「熱い……、けっこう力がいるね」
片耳エルフ「疲れたか? しかし、お前は飲み込みが早いな筋がいい」
少年エルフ「ホント? えへへ」
片耳エルフは少年エルフに解呪料理の手ほどきをしている。
第二皇子「ふわぁ…… まだかな、ん?」
ガヤガヤ
家の外が騒がしくなる。
ガチャ
第七王女「ここか? なんだかいい匂いがするのう」
第七王女達が入ってきた。
438 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:32:20.53 ID:VIHvzcOn0
第二皇子「あ、王女姉さま。追いついたんだ」
第七王女「ハフッ」ズキューン
第二皇子「王女姉さま? どうしたの?」
第七王女「フフ…… ホビットよやっと追いついたのじゃ、お主は息災か?エルフは無事か?」
第二皇子「え、うんエルフはあっちに…… あの、王女姉さま鼻血がでてるけど……」
第七王女「なに気にするでない…… これは感動があふれておるだけじゃ」
第二皇子「かんどう……?」
娘友「ホビット気にしないで、それよりエルフさんは?」
第二皇子「ほらあそこで解呪ラーメンを作ってるよ」
娘友「解呪ラーメン…… また妙なことにってあの人エルフ族じゃない!?」
第七王女「なんと!」
女兵士「うわー、エルフちゃん以外はじめて見た」
男子「らりるれろ!!」
第二皇子「あ、口封じされてる」
439 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:33:43.76 ID:VIHvzcOn0
片耳エルフ「なんだうるさいな、追加の客……か…… 剣士! お前生きてたのか」
ダダッ ガバッ
片耳エルフは突如男子に抱き付いた。
魔法勇者「!!」
女兵士「!!」
少年エルフ「!!」
男子「らりるれろ!?」
片耳エルフ「なんだお前あんな罠にかかったのか、仕方のない奴だな」
片耳エルフは解呪薬を取りに奥へいった。
魔法勇者「おおお、お前なにやってんだ師匠とどういう関係だテメェ!」アタフタ
女兵士「そそそ、そうよ初めてあったのじゃないの!?」アタフタ
少年エルフ「そうだよね男子くんモテるもんね……だよねー」ドヨーン
男子「ッ!!(エルフさんがあんな目を!? 俺が何をしたんだ)」
440 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:34:53.20 ID:VIHvzcOn0
片耳エルフ「どうした? ほらコレをのめ」
片耳エルフが戻ってきて瓶を男子に渡す。
グビグビ
男子「あの」
片耳エルフ「まったくずいぶん久しぶりじゃないか、どうしてたんだ」
魔法勇者「近いぞテメェ―!」
女兵士「男子くーん」
少年エルフ「ぁぁぁぁぁ」
男子「まったまった! 俺はアナタを知らないですよ誰かと勘違いをしてるんじゃ」
片耳エルフ「何をいって、お前右手が……(右手がある、それに前より若いような)」
第七王女「そうじゃ人違いじゃろう、わらわ達はここは初めてじゃ」
441 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:36:21.07 ID:VIHvzcOn0
片耳エルフ「コホン…… お前、剣士という名に心当たりは」
男子「……御爺様と同じ名前ですが、まさか知り合いですか?」
片耳エルフ「御爺…… お前は剣士の孫か……」
男子「そうですかね……」
片耳エルフ「フム……」
片耳エルフはしばし考え込む。
女兵士「男子君のお爺さんって?」ボソ
第七王女「知らんのか? 剣聖の称号を授与されておるぞ」ボソ
女兵士「へー、有名?」ボソ
娘友「一応ウチの国の英雄なんですけど……」ボソ
男子「あの……」
片耳エルフ「そうか…… それで剣士は」
男子「10年程前に亡くなりました」
片耳エルフ「そうか…… そうだよな人間だもんな」
少年エルフ「あの師匠さん……」
片耳エルフ「ちょっと休憩だ、お前達も好きに休め」
片耳エルフは外へ歩いて行った。
442 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:38:17.44 ID:VIHvzcOn0
○
少年エルフ「娘の容態は?」
娘友「言われた通りに薬を飲ませて来たけど弱ってるわ」
少年エルフ「これを飲ませてみよう」
少年エルフは仕込み途中のスープを娘にのませた。
娘「……ぅ」
少年エルフ「……少し良くなったけど、解呪まで出来てない…… 早く完成させなきゃ」
○
443 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/04(土) 23:38:54.64 ID:VIHvzcOn0
※つづく
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/04(土) 23:40:52.65 ID:dHAK33Ou0
お疲れ様です!
続き楽しみにしています!
445 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:10:05.93 ID:D5gqTFow0
#30 復活、竜骨解呪ラーメン
446 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:12:31.27 ID:IQ0s2yIJ0
○片耳エルフの家・庭先
庭先のベンチで片耳エルフが佇んでいる。
片耳エルフ「……剣士」
少年エルフ「あの……師匠さん」
少年エルフがやってきた。
片耳エルフ「なんだ」
少年エルフ「ここ座っていい?」
片耳エルフ「ああ」
少年エルフは片耳エルフの近くへ腰かける。
少年エルフ「あの……男子くんのお爺さんと友達だったの?」
片耳エルフ「フ…… バカを言うなあいつは敵だったのだ」
少年エルフ「敵だった?」
片耳エルフ「前の戦争の時に私は……」
片耳エルフは語りだした。
447 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:14:04.26 ID:IQ0s2yIJ0
○しばらく後
少年エルフ「それでそのその後は?」
片耳エルフ「いやそれっきりだ」
少年エルフ「そうなの!?」
片耳エルフ「あーそうだな、あんな奴死んで清々するな、うんそうだ清々する」
少年エルフ「……(お爺さんって一体)」
片耳エルフ「エルフ、あの人間がお前が言っていた娘だな」
少年エルフ「うん、僕は娘のパパだからどうしても呪いを解きたくて……」
片耳エルフ「そうか…… しかし覚えているか? あいつ等は人間だということを」
少年エルフ「それは、わかってるよ」
片耳エルフ「本当にか? いずれ同じ時を過ごせないのだぞ」
少年エルフ「それは……」
片耳エルフ「あまり人間に関わるな、お互いによくない…… そうだよくないのだ」
少年エルフ「……そうかな、僕は娘と一緒にいて楽しいよ」
片耳エルフ「……」
少年エルフ「娘を育てて、ワガママきいて、一緒に歩いてきて、いつの間にか娘は僕をいろんな所に連れてきてくれたよ、いろんな事も見たし、感じたよ……辛い事もあったけど娘と一緒だから大丈夫だったよ」
片耳エルフ「……そうか」
少年エルフ「娘のおかげで師匠さんにも会えたしね」ニコニコ
片耳エルフ「フフッ……なにをいう、ハーフエルフのくせに」
片耳エルフは少年エルフの頭を荒っぽく撫でる。
448 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:15:58.45 ID:IQ0s2yIJ0
少年エルフ「ねぇ……師匠さんは」
ガサッ
娘「パパ……」ヨロヨロ
少年エルフ「娘!? 解呪できたの! 大丈夫?」
娘が娘友に持たれながら歩いて来た。
娘友「大丈夫そうじゃないけど、エルフさんの所行くってきかなかったの」
少年エルフ「娘、ダメじゃない……もう」
娘「ふふ、だって久しぶりだもの」
片耳エルフ「ふぅむ……その状態でよく動けたな」
娘「エルフ族の……オンナ……(イヤな予感は当たるものね)……う……グ」ガク
少年エルフ「娘! 娘!?」
片耳エルフ「大丈夫だ、すぐに戻って仕上げるぞ」
少年エルフ「はい」
娘「……(エルフ族……パパ以外の……)」
449 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:17:30.89 ID:IQ0s2yIJ0
○片耳エルフの家
片耳エルフ「さぁ喰え」
ドン
片耳エルフと少年エルフは竜骨解呪ラーメンを完成させた。
魔法勇者「ゥンマァーイ」
娘友「うおおお細胞が活性化するわー」
爺僧侶「うますぎる」
第二皇子「みんなテンションがおかしいよ」
片耳エルフ「当たり前だ、特製の背油も使ってるんだマズイ訳がない」
男子「美味い……(けど胃もたれしそうだ)」
少年エルフ「王女、娘を起こせる」
第七王女「こうか?」
娘「うぅ……」
第七王女がベッドに横たわる娘の上半身を起こす。
少年エルフ「これを……」
少年エルフはスプーンで竜骨解呪ラーメンのスープを娘にのませた。
こくこく
450 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:18:55.18 ID:IQ0s2yIJ0
娘「ッ!!」ブッ
娘「ナニコレマズッ 脂っこい」ケホケホ
魔法勇者「ッ!!」
爺僧侶「」
孫僧侶「プッ」
ゴン
孫僧侶は無言で片耳エルフに殴られた。
\はぅ〜/
片耳エルフ「ほーぅ」ピキピキ
娘友「まー味覚はひとそれぞれよね」ボソ
少年エルフ「……(やっぱり) 娘、ほらこっちはさっぱりしてるよ」ボソ
娘「パパが作ったの」
少年エルフ「そうだよ」
少年エルフは別に作っていた竜骨解呪ラーメン(さっぱり味)を娘にのませた。
娘「んく…… 美味しい」
パアア
娘の呪いは解けた。
451 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:20:19.63 ID:IQ0s2yIJ0
片耳エルフ「フン…… 解けたか」
少年エルフ「うん、師匠さんのおかげだよ」ニコ
片耳エルフ「……勘違いするな 私は何もしていない」ポッ
少年エルフ「そう? でもありがとう」ニコニコ
片耳エルフ「ふふふ」
娘「……そーよ勘違いしない事ね パパは私の為にコレを作ってくれたのよ」
少年エルフ「娘?」
片耳エルフ「ほーぅ、……そうだな人間の小娘よ、しかしお前はまだ回復しきってないだろう少し休んでいけ」
娘「いいえ、パパのおかげですっかり……」フラッ
少年エルフ「娘!」
ガシッ
男子「大丈夫か?」
娘「く……」
片耳エルフ「強がるな…… しばらく泊まっていくがいい、エルフ…… と人間の娘よ」
少年エルフ「いいの?」
片耳エルフ「無論だ」
少年エルフ「何から何まで、本当にありがとう」ニコッ
片耳エルフ「フ……」
娘「ぬぅぬぬ……」
○
452 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/12(日) 00:21:45.86 ID:IQ0s2yIJ0
※つづく
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 00:24:33.82 ID:pcKWZMGR0
更新ありがとうございます!
いや〜、娘と片耳エルフの修羅場、続きが待ち遠しいです。
もし可能ならば、片耳エルフにくすぐり責めにされる娘を見てみたいです。
では、続きを楽しみに待っています!
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 15:32:25.35 ID:trhTgyWco
乙!
455 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:07:53.47 ID:YWDh/wLA0
#31 エルフの耳はなぜ長い
456 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:08:38.36 ID:YWDh/wLA0
○片耳エルフの家
少年エルフ「師匠さん鹿角ってある?」
片耳エルフ「鹿の角か? いやないな」
少年エルフ「そっか……うーん」
片耳エルフ「なんだ薬に使うのか」
少年エルフ「うん……娘の滋養薬にと思ったんだけど……鹿角だけもってないんだよね」
片耳エルフ「ふむ、鹿ではないがトナカイならこの辺りでもいるぞ」
少年エルフ「トナカイ…… 使えるかな」
片耳エルフ「試すなら狩場に案内するぞ」
少年エルフ「うん、わかったお願い」
457 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:09:51.52 ID:YWDh/wLA0
○
少年エルフ「ちょっと行ってくるから男子くん、友ちゃん娘をお願いね」
男子「わかった」
娘友「はーい」
バタン
娘「うぅん……パパ? どこかへ出かけたの」うとうと
男子「なんだかトナカイ狩りにいったみたいだ」
娘「狩り…… 誰と?」
男子「それはし……」
娘友「すぐ戻るって」
娘「……そう」スー
娘は眠ってしまった。
男子「なんだどうした」
娘友「師匠さんとエルフさんが一緒に出掛けたってしったら娘がどうするかわかるでしょ」ボソボソ
男子「スマン…… そうだな」
娘友「でしょ、しばらく安静にさせた方が」
魔法勇者「おー麗しい娘よ ご機嫌はいかが」
魔法勇者があらわれた。
458 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:11:37.49 ID:YWDh/wLA0
娘「うん……なにようるさいわね」
娘が目を覚ます。
男子「娘はまた本調子じゃないだそっとしておいてくれ」
魔法勇者「なんだテメェはデケェツラして娘さんのなんなんだ」
娘友「そういえばこの二人初対面だったわね」
男子「俺は娘の幼馴染だ」
魔法勇者「なにぃオサナナジミ…… そんなものが本当にいるとは」
娘友「なんでショック受けてるのよ」
魔法勇者「いや大丈夫だ幼馴染は負けフラグそう軽めの書物には書いてある」
男子「どんな書物だ」
魔法勇者「やかましいわイケメンゴリラ、師匠とエルフが居ない今が俺のチャンスなんだ」
娘「なに? あのエルフ女とパパが!」ガバッ
娘友・男子「「あーあ」」
魔法勇者「なんだなんだ? 俺は悪くねぇ」
459 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:12:54.42 ID:YWDh/wLA0
○氷の森・狩場
少年エルフと片耳エルフが話ながら歩いている。
片耳エルフ「なに、61歳だと!? 100歳くらいかと思ったぞ…… ふむ(人間の血のせいか? 成長が早い)」
少年エルフ「そう? えへへ」
片耳エルフ「ふむ(こいつを弟子にしたら100年位は暇つぶしに……)」
少年エルフ「あ、すごい大きな鹿」
片耳エルフ「あれがトナカイだ、よし狩るか”風……”」
少年エルフ「うわぁ! まってまって」
片耳エルフ「なんだ?」
少年エルフ「その……角だけでいいんだから狩らなくても」
片耳エルフ「狩ったほうが早いだろうが」
少年エルフ「だけど……その…… 他にも方法が……」
460 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:15:00.97 ID:YWDh/wLA0
トナカイは少年エルフ達に気付いて逃げ出した。
少年エルフ「あ……」
片耳エルフ「逃げられたか」
バリバリバリ
片耳エルフ「なに!?」
少年エルフ「え? 娘」
娘「あら、奇遇ねこんな所で」
少年エルフ「娘!? どうやってここに、ちゃんと寝てなきゃ!」
娘「大丈夫よ、ちょっと散歩してただけだから」
○
感電して気絶したトナカイの横に男子が黒焦げで倒れている。
男子「いきなり人の背中で電撃うつなよ……」プシュー
離れた所では走り過ぎた魔法勇者が吐瀉物を吐きながら倒れている。
魔法勇者「もう……走れねぇ……ゴフォ」
息を切らした娘友が追いついてきた。
娘友「はぁ……はぁ…… あ〜追いついたみたいねヒドイ有様ね」
461 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:17:24.65 ID:YWDh/wLA0
○
娘「パパ…… 私は大丈夫だから無理しないでいいのよ」ボー
娘は熱でボーッとしている。
少年エルフ「なに言ってるのすごい熱じゃない…… もう無理するから」
娘「へいきへいき…… これくらい」ボー
片耳エルフ「フン…… もう大丈夫なようじゃないか、薬はいらないんじゃないか? エルフ」
娘「……あ、やっぱダメだわ」フラッ
少年エルフ「娘! まっててすぐに薬を調合するから」
少年エルフはトナカイを探しに行った。
片耳エルフ「……」
娘「……」
\うわぁ男子君大丈夫!?/
462 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:19:31.66 ID:YWDh/wLA0
○
娘「言わせてもらうけど、パパは誰にでも優しいだけよ勘違いしないでくれる?」
片耳エルフ「ハ、なんだそれは別に私は勘違いなど……あいつが勝手に懐いてきただけだろうが」
娘「ハァ!? それが勘違いっていってるの! パパは私の為にここまで来たのよ」
片耳エルフ「そうだな、どこぞの人間が呪われたせいでこんな所までな、まったく迷惑な話だな」
娘「なによパパが迷惑になるわけないじゃない!」
片耳エルフ「何を言っている? 熱で耳が聞こえないのか!」
娘「耳がなによ、アンタだって何よその耳半分切れてるじゃない、そんな半端な」
片耳エルフ「人間ッ! 貴様にエルフ族の耳の何が分かる!」
娘「そんなのパパの耳ならなんでも知ってるわよ、パパ以上に、先っぽから一番奥まで」
片耳エルフ「待て待て待て、お前本当に何の話をしている!?」
娘「パパはねぇ〜、こう先っぽを引っ張って奥をコリコリとすると」
片耳エルフ「バカ!? そんな話を人前でする奴があるか」カアア
463 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:20:18.65 ID:YWDh/wLA0
娘「うふふ、綿棒で一番奥をね……」
片耳エルフ「やめろ人間、それ以上しゃべるな」
娘友「……なんの話よ」
少年エルフ「……耳掃除の話だよね……?」
娘友と合流した少年エルフがやってきた。
片耳エルフ「バカ! エルフそんな言葉を口にするな」カアア
少年エルフ「え、耳掃除?」
娘友「耳掃除が?」
片耳エルフ「うわああああそんな平然と! これだから人間は!!」
464 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:21:28.48 ID:YWDh/wLA0
○
片耳エルフ「いいか、エルフ族は母親と伴侶以外にその…… 耳を許してはいけないのだ」
少年エルフ「……そうなの?」
片耳エルフ「く……、人間に育てられたせいでこんな無節操に、不憫な」
少年エルフ「でもそれじゃあ師匠さんはどうやって」
片耳エルフ「それは自分で…… バカ、なんて事を言わせるんだ」カアアアア
片耳エルフは顔を覆ってふさぎ込む、耳まで真っ赤である。
少年エルフ「ご、ごめんなさい」
娘「んふふ〜 パパ〜久々にしてあげるわよ耳掃除〜」
片耳エルフ「私の家でそんな事をするつもりか!? 破廉恥な」カアアア
少年エルフ「娘…… やっぱり少しおかしいよ、早く戻ろう」
娘「そうよ、パパの耳は私のもーのーよー」
片耳エルフ「そんな事を堂々と…… これだから人間は」カアア
少年エルフ「あの……僕の耳は誰の物でもないから、ね?」
465 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:22:51.86 ID:YWDh/wLA0
○
男子「結局こうなるのか」
男子は朦朧とした娘を背負っている。
少年エルフ「ゴメンね男子君、友ちゃん、娘の無茶に付き合わせて」
娘友「大丈夫大丈夫慣れてるから」
少年エルフ「ホントにゴメン」
片耳エルフ「ハァ…… エルフ、あまり人間を甘やかすなよ」
少年エルフ「はい、師匠さん」
片耳エルフ「それで薬は出来そうか?」
少年エルフ「うん、簡単な調合でも効果あったみたいだし、戻ったらちゃんとした調合をするよ」
片耳エルフ「そうか…… お前達はその娘が回復した後はどうするんだ?」
少年エルフ「それはうーん……」
娘友「どーかしら王女と相談もしなきゃだけど」
466 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:24:06.38 ID:YWDh/wLA0
片耳エルフ「そうか…… なあエルフおまえが……ッ!」
娘「……」ジー
言いかけた片耳エルフは凝視してくる娘に気付いた。
少年エルフ「なに?」
片耳エルフ「いや、今はいい……またな」
少年エルフ「うん」
\エルフー/
少年エルフ「王女?」
第七王女が手に何かもって走ってきた。
男子「どうした?」
第七王女「白竜からSOSじゃ」
467 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:24:50.85 ID:YWDh/wLA0
○
娘友「どういう事?」
第七王女「白竜からのSOSじゃ」
第七王女は角笛を取り出した。
男子「なんだコレ」
第七王女「白竜から連絡用に貰ったものじゃ」
娘友「見たことない形だけど無線機? スゴイわね」
第七王女「白竜から伝言が届いておるのおじゃ」
\メッセージヲサイセイシマス/
角笛「ちょっと大変よ魔王アーマーが…… キャーッ! プツツーツーツー」
\サイセイヲシュウリョウシマス/
少年エルフ「魔王アーマーってこないだの?」
第七王女「そうじゃ、帝国軍が攻めてきたのじゃ」
○
468 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/11/19(日) 02:27:26.40 ID:YWDh/wLA0
※ドラーメンガール編終わり
次回更新は12月9日に
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/19(日) 20:28:32.23 ID:pBvhkc/eo
乙!
470 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/12/09(土) 22:18:01.33 ID:TDPltGNX0
#32 最終絶望計画 〜僕の世界を救って〜
471 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/12/09(土) 22:19:51.53 ID:TDPltGNX0
○氷の森・片耳エルフの家
家の前で第七王女達はソリの準備をしている。
片耳エルフ「よし忘れ物はないな」
少年エルフ「うん大丈夫…… えっとお世話になりました」
少年エルフは片耳エルフに別れの挨拶を返す。
片耳エルフ「別に良い、本来なら私も一緒に行きたいのだが信じられないことにバカ弟子が風邪をひいてしまってな」
魔法勇者「風邪どころか遭難しかかったぞ、どいつも俺の事忘れやがって」
孫僧侶「しょーがないですよー坊ちゃんだし…… 大人しく寝ててください」
魔法勇者「ちくしょう」
家の中から魔法勇者のボヤキが聞こえる。
片耳エルフ「まあそんな訳で直ぐには行けない、帝国の動きは私も気になる所なのだがな」
娘「エルフ早く、もういいでしょ」
娘が片耳エルフの会話に割って入る。
472 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/12/09(土) 22:21:30.72 ID:TDPltGNX0
片耳エルフ「大分よくなったようだな」
娘「ええおかげ様で」
片耳エルフ「そうかそうか」ニコニコニコ
娘「ええ……」ニコニコニコ
ゴゴゴゴゴゴ……
少年エルフ「……(なんか怖い)」
片耳エルフ「そうだエルフ、コレを持っていけ」
少年エルフ「これは?」
少年エルフは握りこぶし程もあるドングリを渡された。
片耳エルフ「……昔、森のエルフ族からお守りとして貰ったものだ持っていけ」
少年エルフ「大事なものじゃないの?」
片耳エルフ「いいんだ、きっと私よりお前が持っている方が意味がある。餞別は素直に貰っておくものだぞ」
少年エルフ「うん、ありがとう」
片耳エルフ「気をつけていけよ」
少年エルフ「はい」
第七王女「もういいかの? よーし出発じゃ」
少年エルフと娘もソリに乗り込んだ。
473 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/12/09(土) 22:22:52.96 ID:TDPltGNX0
○氷原・走る2台のソリ
シャシャシャー
娘友「はい、そんな訳でアタシ達は鹿ソリに乗って白竜さんがSOSをしたと思われるドワーフ城へ向かっている所です、死ぬほど寒い〜ッ」ぎゅうぎゅう
娘「そんな事いってパパにくっつき過ぎよ少しは遠慮しなさい」むぎゅうむぎゅう
少年エルフ「狭いから動かないでって……(娘の方がくっつき過ぎのような)」
ドドォン
突然、氷原に轟音が鳴り響く。
第二皇子「うわぁ!?」
第七王女「なんじゃ」
男子「進行方向に爆発音と雪煙! 誰かいるぞ」
女兵士「なになに?」
先行している第七王女達のソリから男子が大声で報告する。
474 :
◆VEKixXsFvlSQ
[saga]:2017/12/09(土) 22:25:52.80 ID:TDPltGNX0
\止まるな走れー!/ \うわー!/
第二皇子「あれはドワーフ族の兵隊さんと……」
ドドォン
再び轟音がして雪煙の合間から巨大なシルエットが見えた。
第二皇子「魔王アーマー!」
ドドォン
ドワーフ兵達が魔王アーマーに襲われていた。
娘友「バカな、巨大で高火力、魔法も効かない大型魔導式鎧の魔王アーマーは前に壊したハズ!」
少年エルフ「……(なんで説明口調?)あれは教団のとは似てるけどちょっと違うよ」
娘「複製品…… まさか量産型?」
キュドーン
\グワー!!/ \相棒ー/
第七王女「白竜が言っていたのは本当じゃったのじゃ、助けるぞ」
第二皇子「うん」
女兵士「えーホントにぃ!?」
男子「どうやって倒すんだあんなもん!?」
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