少年エルフ「人間の娘を育てたら魔王を倒すことになりました」

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575 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:41:51.31 ID:43UkMw/W0
娘「このっ”重雷撃”」

バリバリバリッ

赤魔王アーマー「無駄だ無駄ッ」

雷撃が直撃するも効果がない。

少年エルフ「師匠さん大丈夫”大治癒”」パアアア

片耳エルフ「つぅ…… 大丈夫だ、助かったぞエルフ」

少年エルフ「えへへ」

娘「……」イライラ

白竜「娘、お願い敵に集中して」

娘「してるわよ、でも魔法が効かないんじゃどうやって……」

ひゅううううう

魔法勇者「くらえー、氷河落とし!!」
576 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:42:57.97 ID:43UkMw/W0
赤魔王アーマー「な!?」

ゴゴン ズドドドドドドドドン

上空から巨大な氷塊とともに魔法勇者が落ちてきた。

白竜「ちょ!? まって」

娘「エルフ、逃げてー!!」

少年エルフ「うわあああああ」

片耳エルフ「あのバカ!」

ダダダッ

片耳エルフが少年エルフを抱えて駆け抜ける。

ドドドドドドドドドドドドドッ

巨大な氷塊とかけらが赤魔王アーマーに落下した。
577 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:44:11.94 ID:43UkMw/W0


片耳エルフ「馬鹿かお前は!」

娘「エルフが巻き込まれでもしたら危ないでしょうが!」

第七王女「おぬしはまことにバカよのう」

合流した第七王女達も交じって魔法勇者を罵る。

魔法勇者「だーっ! いっぺんに言うな、でもいいじゃないかあのゴーレムを倒したんだし」

ボコッ ドゴーンッ

赤魔王アーマーが氷を割って現れた。

片耳エルフ「倒せておらんわ馬鹿め」

魔法勇者「えええええ」

赤魔王アーマー(皇帝)「やってくれたな、これでも食らえ」

ギギギギッ ボシュッ

濃縮魔法弾が娘たちの頭上を通りすぎる。

ドドドドォン!

爆風が一同を襲う。
578 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:45:00.27 ID:43UkMw/W0
男子「うおおお!? みんな大丈夫か」

女兵士「なんとかだいじょうぶ」

第二皇子「今のって砲塔の動きが……」

片耳エルフ「ああ、明らかに動きが悪い、魔法は効かなくても直接攻撃なら効くんだ」

娘「直接攻撃ね、だとすると」ジー

娘友「……」ジー

男子「俺か!? あんなデカいの無理だろ」

第七王女「だとすれば」ジー

女兵士「……」ジー

白竜「ちょっとお!? わたしだって無理よ」
579 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:45:32.03 ID:43UkMw/W0
少年エルフ「じゃあさっきみたいに氷をぶつけたら」

魔法勇者「無理無理無理、さっきのは塔を止めた氷を落としたんだそう簡単に作れないって」

第七王女「なんじゃ肝心な時に使えん奴じゃのう」

魔法勇者「うっせ!」

娘友「とかいってる間にまた撃ってくるわよ!?」

娘「走ってよけるのよー」

\\ワーキャー//
580 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:46:43.91 ID:43UkMw/W0


タタタタタ

片耳エルフ「エルフ、もういちどトレント術を使え」

少年エルフ「え?」

娘「何言ってんのよ!」

片耳エルフ「森のエルフ族のトレント術はゴーレム魔法の元になった魔法だ、もう一度やってウッドゴーレムで戦うのだ」

少年エルフ「ウッドゴーレム……」

娘「勝手に決めないでよ! アンタがやればいいじゃない」

片耳エルフ「私は森のエルフ族ではない、エルフお前だけが出来るのだ。いやお前なら出来る!」

娘「パパ、駄目よ危ないわ」

少年エルフ「娘……、でも僕がやらなきゃ」

娘「エルフ……」

片耳エルフ「よし、さっきの術で出した巨木を使え、より簡単に出来るはずだ」

少年エルフ「ハイッ」

片耳エルフ「よし行くぞ」ガシッ

片耳エルフが少年エルフを抱えて巨木へ向かって跳んだ。
581 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:47:48.01 ID:43UkMw/W0


赤魔王アーマー(皇帝)「こうなれば一人づつ踏みつぶしてくれるわ」

ドシンドシン

男子「うおおおおお走れえええ」

魔法勇者「ひいいいいい」

ダダダダダダダッ

男子達が赤魔王アーマーに追われている。

魔法勇者「どわーっ」

魔法勇者が盛大にコケる。

男子「あ、バカ」

魔法勇者「バカばっかいうんじゃねぇ!」

男子「いや、すまん、つい……」
582 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:48:40.81 ID:43UkMw/W0
男子が助け起こそうとするが赤魔王アーマーの足がせまる。

男子・魔法勇者「「うわあああああ」」

シュルルル ガシン

赤魔王アーマー(皇帝)「何!?」

巨大な木の枝が赤魔王アーマーに絡みつく。

片耳エルフ「馬鹿者どもとっとと逃げんか」

ウッドゴーレムの肩に乗った片耳エルフが叫ぶ。

赤魔王アーマー(皇帝)「ゴーレムだと? 一体どうやって」
583 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:49:32.30 ID:43UkMw/W0
〇ウッドゴーレム内

少年エルフ「……うぅん」

\エルフ聞こえるか仕掛けるぞ/

外から片耳エルフの声が響く。

少年エルフ「ぅ……あ(そうだタタカウんだ)」

シュルルル

木の枝が少年エルフさらに絡みつく。

少年エルフ「……(なんでだろコワクない、気モチが静かにナッテ……)」

584 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/04(日) 00:50:37.30 ID:43UkMw/W0
※つづく
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/04(日) 18:01:12.82 ID:EwmRfBgeo
乙!
586 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:34:00.91 ID:OdkaUSMi0
#41 絶対絶望青年
587 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:35:21.36 ID:OdkaUSMi0
〇破天の塔跡地

ドドォンッ ドドドドド

魔王アーマー(皇帝)「うおおおおっ」

巨大な枝に突き飛ばされた魔王アーマーは壁ににたたきつけられる。

片耳エルフ「”吹雪斬牙”」

キュオオオ ガコンガコンッ!

巨大な氷の槍が魔王アーマーに襲い掛かる。

魔王アーマー(皇帝)「くそ!」

ヒュバババッ

魔法弾で氷を破壊する。
588 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:36:17.47 ID:OdkaUSMi0


女兵士「すごい戦いだねー」

男子「下がって! 巻き込まれる」

第七王女「ここまで来て見守るしか出来んのは歯がゆいのう」

娘友「もうスケールが違うわね」

娘「……エルフ」

第二皇子「兄ぃ様……」
589 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:37:38.42 ID:OdkaUSMi0


魔王アーマー(皇帝)「おおおっ」

バキバキバキ

魔王アーマーは絡みつく枝を腕力で破壊する。

片耳エルフ「止めれないか、ならば…… エルフ、突け!」

ウッドゴーレム「……」ブオン

片耳エルフ「”氷結嵐”」

ピキピキピキッ ガキィン!

魔王アーマー(皇帝)「何ぃ!?」

氷の槍と化したウッドゴーレムの腕が魔王アーマーの腕を破壊した。

片耳エルフ「いいぞ、叩き込め!」

ウッドゴーレム「……」ブオンブオンッ

ガキィン! ガキィン!

魔王アーマー(皇帝)「馬鹿な! 馬鹿なああああッ」
590 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:38:32.36 ID:OdkaUSMi0
〇破天の塔跡地・ガレキの陰

第七王女「うむ、勝てるぞ」

娘「でも……」

第二皇子「兄ぃ様!」ダッ

第七王女「ホビット!」

第二皇子と第七王女がガレキの陰から飛び出す。

男子「まて、戻れ」

娘「私が行くわ」ダダッ

娘も後を追って飛び出した。
591 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:39:22.73 ID:OdkaUSMi0
〇魔王アーマー操縦席

ガキィン ガキィン

\アームエラー、アームエラー/ \レッグ破損、レッグエラー/

警告音と破壊音が操縦席に鳴り響く。

皇帝「ぐぐぐ…… 亜種族め……」

魔王アーマーはその機能を停止しかけていた。

異形の首「……」ゴポッ

操縦席の後部にあるガラス管の中から異形の首が蠢き、眼を開く。
592 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:39:59.16 ID:OdkaUSMi0
〇破天の塔跡地

第二皇子「やめてーっ! 兄ぃ様を殺さないでーっ!」

第二皇子がウッドゴーレムの前に飛び出す。

片耳エルフ「何を言っている?」

ウッドゴーレム(少年エルフ)「……(あ……に、……助……け)」

ウッドゴーレムは魔王アーマーの操縦席に腕を伸ばす。
593 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:41:08.97 ID:OdkaUSMi0
〇魔王アーマー操縦席

皇帝「あれは……弟……(なぜここに)」

操縦席から第二皇子が飛び出すのが見えた。ウッドゴーレムに何かを言っている。

――弟がきたぞ、お前に復讐しに――

皇帝「何? 俺に……俺を……殺すのか……」

異形の首「……」

異形の首が皇帝を見つめる。

――当然、お前が殺そうとしたのを知ったのだ――

ウッドゴーレムが腕を伸ばしてくるのが見える。

――ほうら、お前を握りつぶす気だぞ――

皇帝「何!? 待て、そんな…… 俺は……俺の帝国が!」

――お前は何もかも望みすぎたのだ死死死死死死死死死死――

哄笑のような死の予感が皇帝を襲う。

皇帝「死、死ぬ! いやだ! いやだあああああああああああッ!!」

皇帝は絶望した。

異形の首「よきかな」ゴボッ
594 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:43:16.70 ID:OdkaUSMi0


グオン バシュウウウ

片耳エルフ「なんだ!? 止めろエルフ!」

魔王アーマーが内側からにじみ出る黒い何かに覆われていく。

グニグニ ブシュブシュ

片耳エルフ「なんだこの巨大で邪悪な魔力は!?」
595 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:44:56.66 ID:OdkaUSMi0
〇ガレキの陰

娘友「何よアレ、キッモ」

ドワーフ王「油か?」

女兵士「なんか怖い……」

白竜「ッ! ……みんな伏せて」

白竜は男子達に覆いかぶさる。

男子「何だ!?」


〇ウッドゴーレムの足元

第七王女「なんじゃ!?」

第二皇子「兄ぃ様?」

娘「2人とも私の後ろへ……光よ!」パアアッ


〇ウッドゴーレムの肩

片耳エルフ「まずい”大守護”」

ギュドドドドドドドドッ

魔王アーマーからの黒い奔流があたりを覆いつくした。

ドドドドドドドドドドッ
596 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:46:22.97 ID:OdkaUSMi0


???「グワッハッハッハッハッ! よきかなよきかな」

魔王が現れた。

魔王「一人の人間がここまで絶望するとは、野望とは大したものだな」

娘「ぐぅ……」

娘は至近距離で魔王の攻撃を受け瀕死になった。

第二皇子「しっかりして娘姉ぇ様!」

第七王女「わしらをかばって…… ここは危険じゃ、ホビット足を持つのじゃ」

第二皇子「はい!」

第七王女と第二皇子は娘を担いで移動しだした。

娘「……(エルフ……」

朦朧とする意識の中ウッドゴーレムを見つめる娘。

ウッドゴーレム「……」

ウッドゴーレムはボロボロになりながらも立っていた。

魔王「ほう……エルフ族の木偶人形か」

ウッドゴーレム(少年エルフ)「ま……おう」
597 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:48:14.66 ID:OdkaUSMi0


白竜「……」

男子「白竜、大丈夫か! いま回復薬を」

男子が白竜に回復薬をかける。

娘友「ひえええ、空が見える。ここ地下だったわよね?」

魔王のはなった魔力で天蓋は吹き飛び辺りはクレーター状になっていた。

第七王女「皆の者無事か!」

女兵士「王女サマ!」

第二皇子「娘姉ぇ様に薬を」

娘友「あたしのを使って」

第七王女「うむ」

第七王女は娘に回復薬を使った。

娘「……」

第七王女「ぬぅうう…… 傷が深すぎるもっと薬じゃ」

女兵士「使っちゃったわ」

男子「娘!」

第二皇子「そんな……」
598 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:49:46.22 ID:OdkaUSMi0


ウッドゴーレム「……」シュルル シュルルル

ウッドゴーレムが枝を伸ばし魔王を捕らえようとする。

片耳エルフ「皇帝を取り込んだか…… なんて魔力だ」ぜぇぜぇ

魔王「心無き巨人兵器か、厄介だが…… まだ心が残っているな」

ウッドゴーレム(少年エルフ)「む……すめ」

魔王「ならばこれでどうだ」ギュロン

魔王が魔力をまとった拳をくり出す。

ドンッ!

ウッドゴーレムの巨体が宙を舞う。

\キャアアア/

ウッドゴーレム(少年エルフ「……し、しょうさん」

同じく吹き飛ばされた片耳エルフが少年エルフの目にとまる。

ドドンッ

ウッドゴーレム「……ッ!」

ウッドゴーレムが地面にたたきつけられる。

ドシャ

片耳エルフ「」

そして片耳エルフが地面にたたきつけられた。
599 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:50:50.91 ID:OdkaUSMi0
ウッドゴーレム(少年エルフ)「え……」

魔王「今の高さでは助かるまい」

――師匠さんが――

\娘、眼を覚ませ/

男子が娘に必死に呼びかけている。

――娘が――

魔王「……」ニヤリ

――みんないなくなる――

ウッドゴーレム「ウウウ……」

――ヒトリ――

ウッドゴーレム「ウアアアア」

魔王「グハハハッ」

突進するウッドゴーレムを魔王は構えもせずに受ける。

ウッドゴーレム「アアアアアッ」

魔王「怒り憎しみ悲しみ絶望…… 小さき者にこれほどとは」

ウッドゴーレム「アア……」

ゴプゴプ

攻撃を繰り出すウッドゴーレムが徐々に魔王の体に飲み込まれていく。

魔王「これもよき絶望…… 我が糧となれ」
600 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:52:00.64 ID:OdkaUSMi0


第二皇子「エルフッ! 兄ぃ様!」

男子「くそぉ! 何か方法はないのか」

ザッ

魔法勇者「あるらしいぞ」

第七王女「馬鹿勇者!」

男子「と片耳エルフさん」

魔法勇者が重症の片耳エルフを担いで現れた。

片耳エルフ「……」ぜぇぜぇ

娘友「あんた今までどこに」

魔法勇者「師匠を助けに行ったんだ」
601 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:53:09.04 ID:OdkaUSMi0
第七王女「おぬし治癒魔法は使えぬか!」

魔法勇者「俺は魔法使いだ、治癒は出来ない」

第七王女「ぬああ! おぬしはホントに使えんのう!」

娘友「ホントバカ! ここは気合で治癒魔法を使えるようになって『あんたまるで賢者ね』って言われてそれを否定して『大魔導士と呼んでくれ』ってなシーンにするところでしょーが!!」

魔法勇者「気合で魔法が出来てたまるか馬鹿野郎!!」

\ギャーギャー/

第二皇子「でも方法があるって……」

片耳エルフ「あぁ…… 出来ればやりたくなかったがな……」ぜぇぜぇ

第二皇子「う……(ひどい、両足が……)」

片耳エルフ「その人間の横に私を……」

第二皇子「はい」
602 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:54:17.34 ID:OdkaUSMi0


第二皇子が娘の隣に片耳エルフを連れて行った。

片耳エルフ「最後の魔力だ”治癒”」パアア

娘「……ぅ」

片耳エルフ「聞こえるか人間」

娘「ぅ……る、さいエルフ女」

片耳エルフ「よし意識をしっかりもってよく聞け…… 私は死ぬ」

娘「……」

片耳エルフ「そしてお前もな」

603 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/10(土) 22:55:34.64 ID:OdkaUSMi0
※つづく
604 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:52:49.53 ID:UZT9f82i0
#42 歓喜の剣
605 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:53:21.79 ID:UZT9f82i0
〇ウッドゴーレム内

魔王「

ズズズ……

少年エルフ「ヒトリ……怖い……寒い……」

魔王からの浸食を受けて少年エルフが黒く邪悪な何かに覆われていく。

――最後のエルフ族よ、お前は孤独の宿命なのだ――

少年エルフ「……コドク」

???「違うぞエルフ」

シュパアアアアアアッ!

突如、輝きが溢れ黒く邪悪な何かが消滅する。

魔王「むぅ!?」
606 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:53:59.75 ID:UZT9f82i0


少年エルフ「う……うん?」

少年エルフはだれかに抱きかかえられている。

少年エルフ「師匠さん?」

???「いいや違う」

少年エルフは地面にそっと寝かされる。

少年エルフ「え? あれ娘??」

娘?「そうでもないわ」

娘の顔をした誰かは静かに言う。

娘?「貴方の娘はもういないわ」

少年エルフ「え? なにをいってるの?」ドキドキ

娘?「わかるでしょう、エルフ」

シュキン

その者は魔王に向き直ると光の剣を構えた。
607 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:54:33.12 ID:UZT9f82i0
〇数刻前

第二皇子「ホントにやるの? 成功するの?」

片耳エルフ「ゴフッ さあな、この状態の2人だどうなるかは保障できん」

娘「そうね、でも…… このままじゃどっちにしろ死ぬわ」

第二皇子「でも成功したっていったいどっちがどっちになるの?」

片耳エルフ「わからんな私がお前かお前が私になるのか…… そのどちらでもないかもな」
娘「そうね、でももし成功したら…… きっとエルフを、みんなを助けられる」

片耳エルフ「大した自身だな…… ならば見せてもらうぞお前の覚悟を」

ドスッ

片耳エルフは合体進化の秘法の結晶を自身の胸に刺した。

第二皇子「ううう……」

娘「お願い…… 早くしないとそいつの覚悟が無駄になるわ」

第二皇子「うわーー!」

ドスッ

第二皇子は合体進化の秘法の結晶を娘の胸に刺した。

ヒュウウン

第二皇子「わあああああ!?」

周囲が光に覆われる。
608 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:55:14.77 ID:UZT9f82i0
〇今

シュパアアアアン

魔王「この力…… 貴様勇者か!?」

光の剣によって魔王の腕が消滅する。

娘?「勇者? いいえそんなものはいないわ」

少年エルフ「その力は娘…… でもその耳はエルフ族の……」

娘?「そうね私は娘でも片耳エルフでもないのだ」

エルフ族の耳をした娘の顔をした者は言う。

少年エルフ「え? でも……でも……」

エルフ娘「そうだ私はどちらでもない。ハーフエルフのエルフ娘だ!」

少年エルフ「ええ!」

バッ

エルフ娘は飛び上がり魔王に向かって光の剣を掲げる。
609 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:56:18.99 ID:UZT9f82i0
魔王「むうん」

魔王が黒い奔流を放つ。

エルフ娘「ハッ」

シュパアアアアアアン

エルフ娘の一振りで黒い奔流が消滅する。

魔王「”高重力陣”」ギュオン

魔王が異次元の魔法を放つ。

エルフ娘「光よ、消し去れ!」

エルフ娘が放つ光が魔力ごと魔法を消滅させる。

シュワアアアア

魔王「なぜだ!?」

ゴウン ゴウン

魔王は次々と攻撃を繰り出すがことごとく消滅させられる。

シュパアアン シュパアアン

エルフ娘「さあ、なぜかしらね」

魔王「なぜこれほどの力が!?」

シュワアアアアア

魔王の半身が消し飛ぶ。
610 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:57:56.18 ID:UZT9f82i0
エルフ娘「さあてね、ただ湧き上がるのよ喜びが!」

シュパパパアン

魔王「おのれ、”黒孔生成”」

ギュオオオオ

魔王の最大魔法が辺りを飲み込み始める。

エルフ娘「せいっ」

シュキン

エルフ娘は光の剣を放って魔法を消滅させる。

魔王「今だ、絶望せよ」ドゥ

魔王が剣を離したエルフ娘に襲い掛かる。

エルフ娘「”喜びを伝えよ”」

シュパアアアアアアア

エルフ娘が再び光の剣を生成する。それも以前より巨大になって振り下ろされる。

魔王「馬鹿ななぜおまえ一人がここまでの喜びを持てる!? グアアア!」

エルフ娘「一人ではないわ…… それに200と17年の絶望が希望になったのよ」
611 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 14:59:03.83 ID:UZT9f82i0
魔王「ぬぬぬ……しかし我は貴様らには倒せぬ。貴様らに感情がある限りな」

エルフ娘「そうかしら、”希望よ輝け”」

魔王「我を憎まぬヒトは居らぬわ! フハハハハッ」

エルフ娘「”歓喜の剣”」

ヒュパアアアアアアアアアアアアッ

光の奔流が魔王を覆う。

魔王「ウオオオオオ! なぜだ!? なぜ憎しみを感じぬ!? なぜ貴様は我を!?」

エルフ娘「そうね、これまでの全てに感謝してるからかな…… 『そう』でなければ『こう』はならなかったからでしょうね」

魔王「まさか貴様は…… 我を、この魔王に『感謝』しているのか!?」

エルフ娘「言ったでしょ、全てにと…… だから最後よ魔王」

エルフ娘が完成した歓喜の剣を振りかざす。

ヒュドドドドドドドドッ

エルフ娘「ありがとう魔王」

ドドドドドドドドドドドドドドッ

魔王「馬鹿な! 我に…… 感謝だと…… そんな勇者が…… フハハ…… ハハハハハハハハ!!」

魔王を倒した。
612 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:00:19.60 ID:UZT9f82i0


少年エルフ「……あ、あ」

光と共に魔王が消え、エルフ娘が少年エルフに近づく。

ザッザッ

エルフ娘「エルフ」

少年エルフ「あ、あの…… 娘?」

エルフ娘「まったく、そうじゃないて言ったわよね?」

少年エルフ「えっと、その……はい」

エルフ娘「バタバタしてたから改めて自己紹介するわ」

少年エルフ「ん……」

エルフ娘「私はハーフエルフのエルフ娘よ、貴方と同じのね」

少年エルフ「僕と……」ドキドキ

エルフ娘「そうよ……あなたはもう独りじゃないわ」ぎゅう

エルフ娘は少年エルフを抱きしめる。

少年エルフ「うう…… うわあああああああん」

少年エルフは泣き出し、エルフ娘は彼を強く抱きしめる。

エルフ娘「ずっと一緒よ、エルフ」
613 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:01:38.68 ID:UZT9f82i0
〇???

神官「という感じで魔王は倒されました」

フゴゴゴ

暗闇の中、何かの咆哮が答える。

神官「そろそろご自身で何かしてみたらどうです?」

フググゥ

神官「えー?、また寝るんですか」

ググゥ

神官「あーもう、寝てばっかりだと存在を忘れ去られますよ。竜王さま」
614 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:02:53.30 ID:UZT9f82i0
〇数年後?

――森の外れに小さな古屋から産声が聞こえる。

――初めまして小さなエルフ

――ほらこっちに来て抱いてみて

――見えるかしらこのエルフがあなたのパパよ
615 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:03:49.01 ID:UZT9f82i0
〇少年エルフの喫茶店(再建)

娘友「なーんて感じで締めるといい感じだと思わない? だからそろそろ結婚とかその後の予定はどうかなーって?」

エルフ娘「友、あなたねぇエルフはまだ60そこそこよ。あと40年はまたなきゃ」

エルフ娘は渡された書きかけの本を突き返しながら答える。

娘友「うっわー、ギャップを感じるわー、娘やっぱり変わったわねー」

エルフ娘と娘友が談笑している。店長の少年エルフは他の客と応対している。

エルフ娘「そりゃそーよ、一回生まれ変わったようなものだし、人間じゃないんだし」フフフ

娘友「そう……(まーだハーフエルフになれたのを喜んでるんだ)」

エルフ娘「それにしても勝手に本なんて書いてていいの? 私たちの事はなんとなくボカす約束でしょ」

娘友「王女とは約束はとれてるわ、そうそう、最近手紙も届いたのよ」

エルフ娘「本当!? 確か東方に行ったはずよね」

娘友「そうよ、なんだか記憶喪失になった皇帝の跡継ぎ問題をホビットと共に颯爽と解決して、怒涛の縁談に嫌気をさして男子君と女兵士さんとで東方へ旅立った第七王女よ」

エルフ娘「ずいぶん詳しく言うわね」

娘友「ノルマなの」
616 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:04:28.81 ID:UZT9f82i0
エルフ娘「まぁいいわ、それで何が書いてあったの」

娘友「もうじき帰ってくるみたいだけど……ここ見て〜」

エルフ娘「なになに……なんとこの地にもエルフ族の生き残りがおりエルフの話をしたら是非会いたいと申して、帰国の際には伴って帰……うがーー!」ビリビリ

エルフ娘は手紙を破り捨てる。

少年エルフ「うわ!? どうしたの娘?」

娘友「あーあ」

エルフ娘「な、なんでもないわ」

娘友「落ち着いてよ娘、すぐに帰ってくるわけじゃないし」

エルフ娘「そ、そうよね帰国の予定は……」

娘友「んーと明日ね」

エルフ娘「えええええええ、こうしちゃいられないわすぐに迎撃の準備を」

娘友「迎撃って」
617 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:05:25.27 ID:UZT9f82i0
バァン

第七王女「友ー、娘ー、エルフー居るかのう。驚かせようと一日早く帰ってきたぞよ」

第七王女が現れた。

エルフ娘「ああああああああああああ!!??」

第七王女「ほっほっほ、驚きすぎたか。 さらに驚くべきことにエルフ族の生き……」

エルフ娘「タンマタンマーッ!」

ドドドドドッ

エルフ娘が第七王女を外へ押し戻す。

少年エルフ「娘? いま誰かお客さん?」

エルフ娘「違うわ! ちょっと出かけるか留守番よろしくね、絶対外に出ちゃだめよ」

少年エルフ「え?うん」

娘友「エルフさんもまだまだ大変そうね」

娘友は書きかけの本を開く。

娘友「ずいぶん書き足りてないけど…… ま、いっか」

サラサラッ

娘友「おわり、っと」

618 : ◆VEKixXsFvlSQ [saga]:2018/02/17(土) 15:05:54.55 ID:UZT9f82i0
※おわり
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 20:22:28.15 ID:CTJ1/0J4O
乙!
おわっちゃったのか……
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:35:18.46 ID:BPfJJYb60
連載お疲れ様です。
堂々の完結、とても楽しく拝読しました。
もし、気力があれば娘がエルフにくすぐられる小話を読んでみたいです。
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 20:49:27.97 ID:JLzXgZdUo
終わってた…
おつかれさまでした。楽しかった!
次作があればここで誘導願います。
622 : ◆VEKixXsFvlSQ [sage]:2018/02/25(日) 14:20:33.46 ID:9e+I6z2g0
※今後はこちらで書いていきます、https://kakuyomu.jp/works/1177354054885260622/episodes/1177354054885260636

しばらくは読みやすくして、書けなかった分を追記したリメイク版を更新します、あとは異世界サラリーマンものの構想を考えています。
623 : ◆VEKixXsFvlSQ [sage]:2018/02/25(日) 14:22:01.95 ID:9e+I6z2g0
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885260622/episodes/1177354054885260636
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 18:34:17.20 ID:yo1YBimi0
誘導ありがとうございます。
リメイクと短編、楽しみにしています。
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