ハルヒ「何であんたが幼馴染みなのよ!」キョン「こっちだってお断りだ」

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78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 19:31:16.97 ID:VJXBEJmTo
朝比奈さんは原作の時間軸から来たのか?
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 19:37:41.50 ID:J2K/6JjBO
古泉なんて居なかった
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/15(土) 19:51:19.08 ID:z4DviBo9O
ま、まだ転校してないだけだから…
5人しか入っちゃいけないというきまりもないから……
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/16(日) 04:00:30.03 ID:loP07ALkO
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 16:36:27.41 ID:hYKrYGLFO

小泉がキーマンなのか…
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 17:22:12.45 ID:uhTGCqggO
謎の転校生来たら食いつくだろ…多分…
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/05(土) 09:38:27.22 ID:kZevey+dO
まだかにゃあ
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:53:51.96 ID:IOeCtnABO

時はあれから数日

ハルヒは俺を朝の貴重な眠りから目覚めさせるとこう叫んだ

「謎の転校生が欲しいと思わない!?」

……人様の快適な眠りをどうどうと邪魔しておいて何を電波な事を言い出すのだ。こいつは

もう今さら何でハルヒがここに!?なーんてベタな驚き方はしなくなってしまった自分が少々怖い気もするが、まずは言うべき事を言うべきであろう

「……まだ朝の7時にもなってないじゃないか」

「ああ、うん。あんたに運んでもらいたいものがあるから早めに来たのよ」

「……運んでもらいたいもの?」

「これよ」

ポンポンとハルヒは俺の机にあるパソコンを叩くのだった

「……なんですと?」

「この情報化社会にパソコンがないなんてあり得ないわ!」

「……断る!私物を勝手に使おうとするんじゃありません」

そう、そのパソコンは俺の私物であり、やすやすとハルヒのよくわからん部活に使われては困るのだ

繰り返し言おう、学校などと言う場所で使われては困るのだ

どうしてかって?今ので察してくれ

「そもそも、どうしてパソコンが必要なんだ」

「そんなの決まってるじゃない!ホームページを作るのよ!」

「……はい?」

「ホームページよ!我等がSOS団の活動よ!」

ああ……どうやら昨日こいつはよっぽど悪いものを食ったのだろう

そう結論付けた俺が取る行動は一つだ

「あ、こら!キョン!寝るな!起きなさい!ちょっと!ねぇ!起きて!起きてよぉ……無視するなぁぁぁぁ」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/11/06(日) 00:54:12.63 ID:1SsGS9Z+0
お久
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:54:32.32 ID:IOeCtnABO

「おはよう……頬が赤いわよ?」

「おはよう……まぁ、ちょっとな」

あのあと色々と大変だったのだ

……主にハルヒの機嫌取りが

「ふぅん……それよりこれ」

「?」

「部活申請書よ。私の方でギリギリ通りそうな内容にしておいたからチェックしてもらえる?」


「……すまん。朝倉一人にやらせてしまった」

「いいわよ。んー……でもそうね。駅前の喫茶店が美味しいらしいから今度連れていって貰おうかしら?」

「そのぐらいお安いご用さ」

巻き込んでしまった詫びもかねてそれぐらいはしてもバチは当たらんだろう

「やった。じゃあ今週末にでもどうかしら?」

「ああ、構わんさ」



「何でキョンばっかりが……!」

「はいはい。谷口は早く課題終わらせて」

「ちくしょぉー!」

「ちょっとあんたら何騒いでんのよ。邪魔よ」

「おい涼宮!いいのか!」

「はぁ?何がよ?と言うか近寄らないで」

「何がってそりゃお前!」

「谷口はもう黙って宿題やろう?」

「痛い!痛いぞ!」

……何を騒いでるんだあいつらは
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:56:29.35 ID:IOeCtnABO
放課後の始まりを告げるチャイムが鳴り響くと共にガタンと大きな音をたてる存在がいる

説明するまでもない……ハルヒだ

「先いってなさい!」

返事をするまでもなく教室から飛び出していくハルヒを誰が止められようか

……一応心の中で突っ込んでおくが、まだ終わりの挨拶はしていないんだぞ……ハルヒよ

これでは先生が可哀想じゃないか……

いや、そういった問題でもない気がするが……

なぁハルヒよ……俺達も高校生になったんだからもう少しでいいから落ち着いてくれないか

……と俺は聞き入れて貰えないであろう願いを唱えながら部室へと向かうのだった
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 00:58:55.41 ID:IOeCtnABO

さて、この部室こと文芸部室には備品と呼ばれるようなものは余りなかった

本棚と机、後はパイプ椅子

俺が最初に来たときはこんなものだったはずだ

それがどうだ

今となってはハルヒのやつが何処から見つけてきたか知らないがポットやホワイトボート、冷蔵庫……バドミントンラケットと次々と物が増えていく

今日に至ってはどこで仕入れたのかパソコンまでもが設置された

……何処かで迷惑を受けたやつがいなければいいんだが……

そしてそのパソコンを入手してきたハルヒは何処へ行ったかというとだ


「甘いわよ!」

「狙い通り……よ!」

「んなっ!?くぅぅぅぅぅ!次!みくるちゃん!」

「わ、私これ苦手ですぅ!」

外で楽しそうに朝倉とバドミントンしておられる

意外なことに朝倉は運動神経が抜群だったのだ

そして、負けず嫌いのハルヒが事あるたびに勝負を挑んでいた

ちなみに朝比奈さんは問答無用で巻き込まれている
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:00:19.40 ID:IOeCtnABO

「これじゃ何部なんだか……」

「……」

俺が呟いた言葉を拾ったのかこちらを向いた長門と目が合う

長門とはどうにも距離感が掴めなくて困っている

「……今日は何よんでんだ?」

長門はタイトルが読めるように背表紙を此方に向けてくる

「いつも難しそうな本を読んでいるよな」

「……そうでもない」

「面白い?」

「……割りと」

「本が好きなんだな」

「……ユニーク」

うーん……果たしてこれはコミュニケーションが成立しているのだろうか

そして長門は本を読み始める

どうして俺がここにいるか……説明すると簡単だ

パソコンを持ってきたハルヒの要望……つまるところホームページの作成のためである

ハルヒが気を利かせたかどうかはわからないが無駄にホームページ作成用のツールがインストールしてあったので思いの外簡単である

「しかし……どう書いたものか……」

「……ん?」

何をどう書けばいいのか悩んでいると視線のようなものを感じたので顔をあげる

「どうした?長門?」

「これ」

「……?」

「貸すから……読んで」

「あ、ああ。ありがとう」

恐らく、これが初めてであるだろう長門からの会話に、俺は気の効いたことの一つや二つ言うべきだったのだろうが……そんな余裕なんてまったくなかったのである

「くぅぅぅ!また涼子に勝てなかったわ」

「まだまだ負ける気はしないわね」

「うぅ……お二人とも強すぎですぅ」

タイミング良く三人が部室に帰ってきてその日の部活はそのままお開きになった
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:01:14.14 ID:IOeCtnABO
「むー!今日も勝てなかった!」

「お前が運動能力で負けるとはな」

「私もビックリしてるわ……中学じゃ私に歯向かうやつなんていなかったし」

それは単純に関わり合いになるのが嫌なだけだったんじゃないだろうか

こう見えてハルヒは運動部から引っ張りだこになる程度には運動神経がいいはずなんだが……

「今度はバスケで勝負しようかしら」

「やれやれ……どんな部活だ」

「いいのよ。団長は私なんだから」

「そうかい」

「今日カレーのつもりだけどいい?」

「問題ない」

妹も喜ぶしな

「そっか。じゃあスーパーいってさっさと帰るわよ!」

「ん」

その後ハルヒとどうでもいいような話をしながら帰っていく

何だかんだでこういった平凡的日常が俺は好きなのだ

だが、どうやら世の中ってのは厳しいものらしい

そんな平和的日常はこの後、あっさりと崩れ去ることになるのだ

ほんと、どーしてこうなっちまったんだろうなぁ、俺
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 02:49:25.37 ID:DQyLL6pRo
はよ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:41:31.89 ID:IOeCtnABO

「ふぅ……」

風呂上がり、髪を乾かし雑誌をペラペラと捲る

時刻はもうすぐ 20時である

ちなみにハルヒは珍しく伯母さんが家に帰ってきたようで呼び戻された

家に帰ってくるなら一言言って欲しい、とはハルヒの言葉である

口では文句言ってたがあれで結構喜んでいるのを俺は知っている

「……そういえば」

雑誌を捲る手を止めて鞄を漁り、目当てのものを引っ張り出す

それは厚いハードカバーの本であり、長門に渡されたものだ

長門はこれがユニークと言っていたが……

ものの数ページで読むことを諦めてしまいパラパラとページを捲ってしまう

ラノベとは違い挿し絵などもなく、小難しい文章が並んでいる

……いや、ラノベも小難しい文章が多いが


などと、どうでも良いことを考えていた俺の思考を止めるものが本からヒラリと落ちてしまう

それは栞である

「やばい」

慌ててページを捲る手を止めるがもう栞がどこに挟まっていたかなんてわかりやしない

「明日謝るしかないな」

何気無い動作で栞を適当なページに挟もうとして違和感に気がつく

「……おいおい」

【午後七時光陽園駅前公園にて待つ】

その文字を見て俺は飛び出した

「キョンくんどこいくのー?」

「駅前だ!」

自転車に乗り、全力で漕ぐ

もしかしたらもういないかもしれない

むしろこれだけの時間待たせて待ってくれている方がおかしいだろう

……だが、何となく、何となくだが長門は何時までも俺を待ち続けてしまうのではないのかと、そんな自意識過剰ともとれない考えが頭に浮かんでしまったのだ

「くそっ!パンクしてんじゃないだろうなこのタイヤ!」

思ったより加速しない自転車に愚痴りつつもひたすら漕ぎ続ける
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:42:15.33 ID:IOeCtnABO

「わる……い……また……せた……」

息も絶え絶えになりながらもどうにか公園にたどり着いた

「…………いい」

「……もしかして……ずっと待つつもりだったのか」

「……」

返事はない

……もし本を読むのを忘れていたらと思うとゾッとする

そうなったら春先とは言え寒い夜の公園寒い夜の公園でこいつはずっと一人待ち続けていたのだから

「こっち」

「?」

「……ついてこいってことか?」

長門が歩いて何処かに行こうとする

俺はその少し後ろを自転車を押しながら歩く

……そこでふと目についたものがあったので長門を引き止める

「悪い長門。少し時間をくれ」

「……」

コクりとうなずく長門を見てから俺は早足で目的のコンビニの中にはいる

そして急いでホットのお茶を二本を掴みレジにいく

前で会計を済ましてる人をじっと見るのもあれなので視線を少し泳がせる

……そうだな。ついでにこれも買ってもいいだろう
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:42:54.50 ID:IOeCtnABO
「何度も待たせて悪いな」

「いい」

「ほら、寒いだろ?これ」

「……?」

「お茶だよ。何処に行くかは知らんが寒いだろ?」

「……」

こちらの言っていることが理解できないのか長門は少しだけ首を傾げるような動作をした

「まぁ、待たせちまったお詫びだ……あー、それともお茶嫌いだったか?」

「……問題ない」

「そっか。後これも……時期外れだけど」

袋から肉まんを取りだし長門に渡す

「……」

またどうしたらいいのか分からないといった表情だ

……いや、俺がどうすればいいかわからないだけだな

「ただの肉まんだぞ?」

「理解した」

何をどう理解したのかはわからんがとりあえず受け取ってもらったようだ

長門はじっと渡した肉まんの袋を見ている

……やはり食べ歩きとなると食べ辛いか

女子と男子だとそういったところでズレが生じてしまう

いかんせん近くにいるやつがあれだからなぁ……

こういう時は俺が先に食べてやれば少しは食べやすくなるだろう

自分の分の肉まんを袋から取りだし口に頬張る

「うむ……寒いときはやはりこれに限るな」

俺をじっと見ている長門に向かってそういうと長門も袋から肉まんを取りだして口に……あ!おい!

「まて、長門。肉まんの下についているビニールをとってから食べるんだ」

「……」

コクりとうなずく長門

肉まんを食べたことがなかったのだろうか

……モグモグと肉まんを食べる長門を思わず凝視してしまい、それに気がついてこちらを見た長門とバッチリ目が合う

「……?」

「あー、いや、うまいか?」

「……ユニーク」

「そうか」

どうやら長門の中ではユニークという言葉は万能らしい

肉まんを食べ歩きしてしばらくすると長門の目的地についたようだ

ついたのだが……

「……どうぞ」

「……えーっと……長門さん?」


それは、長門の部屋であり、家でもある見るからに高そうなマンションであった

……どうしてこうなった

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 03:44:50.45 ID:IOeCtnABO
寝る
せめて週一更新
待たせてごめんね
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 09:52:54.70 ID:+0d0kgEM0
許さん
責任を持って最後まで書いてもらう
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 09:57:45.06 ID:JR74DdJdo
このキョン、ちょっといいおとこやん
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 11:57:20.90 ID:HAHdrDVCO
あれ?朝倉が超能力者枠かな(すっとぼけ)
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 17:44:20.17 ID:qhDiEgogO
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 20:39:20.14 ID:IOeCtnABO

「……えーっと」

「……飲んで」

「あ、ああ。頂きます」

「おいしい?」

「ああ」

飲み干すと長門はすぐにお茶をついでくる

……さっきもお茶飲んだばかりなのだが出されたら飲むしかない

「長門……?そろそろどうして俺が呼ばれたか聞いてもいいか?」

長門が出してくれたお茶を5杯ほどいただいた後に俺は切り出した

これ以上は胃袋が水分で大変なことになりそうだしな

「涼宮ハルヒのこと。それと、私のこと」

ハルヒと、長門?

「……うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が生じるかもしれない」

「……げんごか?」

「けど、聞いて」

何だ……?

何が始まろうってんだ?
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 20:40:16.82 ID:RdAK7peRO
「涼宮ハルヒと私は普通の人間じゃない」

……?

「いや、確かにあいつは普通の人間とは言えないかもしれないが……」

長門は普通の子じゃないか?

「そうじゃない」

「性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではない」

「文字通り、純粋な意味で彼女と私はあなたのような大多数の人間と同じとは言えない」

意味がわからない

長門は何を語ろうというのだ?

「端的ないうならば宇宙人」

「は、はい?」

「この銀河を銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。それが、わたし」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 20:41:36.83 ID:RdAK7peRO
「私の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」

「三年前、惑星表面に他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。その中心にいたのが涼宮ハルヒ……そして、あなた」

「……はい?」

唐突に俺が現れたのですっとんきょうな返事になってしまう

いや、そもそも長門の話を一ミリも理解できていないのだ

理解できるやつがいるならば今すぐ目の前に出てきて翻訳してくれ

「涼宮ハルヒは自立進化の可能性を秘めている。おそらく彼女には自分の都合のいいように周囲の環境情報を操作する力がある」

「それが、わたしがここにいる理由。あなたがここにいる理由」

話が終わったのか長門はさっき俺が買ってやったお茶を飲む

「正直に言おう。何をいっているのかさっぱりわからない」

「信じて」

「……仮に、仮にその情報なんとかを信じたとして、ハルヒは普通の人間だぞ?」

あいつと長年連れ添ってきた俺にはよくわかる

確かにあいつの言動や行動は常軌を逸していることがある

あるが、そんな宇宙人にマークされるような女の子ではないはずだ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 20:43:00.48 ID:RdAK7peRO
「三年前、彼女とあなたに何かが起きたはず」

「そんなこと言われてもな……」

三年前と言われてもハッキリしないのだ

そんな決定的な何か、俺には心当たりがないのだ

「……どうして俺にこんな話を?」

「あなたは涼宮ハルヒに選ばれた。涼宮ハルヒは意識的にしろ無意識的にしろ、自分の意思を絶対的な情報として環境に影響を及ぼす」

「あなたが選ばれたのは必ず理由がある」

「ねーよ」

あるとしたら、たまたま家が近かっただけだぞ

そんな事で選ばれたというならばそこに俺の意思もハルヒの意思も関係がない

その家を選んだ親の意思さ

「ある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。あなたと涼宮ハルヒが全ての可能性を握っている」

「本気で言ってるのか?」

「もちろん」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 20:43:30.34 ID:RdAK7peRO

……度を越えて無口なやつがやっと喋りだしたと思ったら、延々と電波なことをいいだした

ハルヒが進化の可能性ねぇ……

アイス片手にソファーでぐったりしたり、プリン勝手に食うようなあいつがぁ?

……ないない


「ハルヒに直接いってみたらどうだ。あいつの事だ。飛び付いてくるぞ?」

「彼女が自分の存在価値と能力を自覚してしまうと予測できない危険を生む可能性がある。今は様子を見るべき」

まぁ、確かにあいつなら世界のありとあらゆる法則を無視しかねんな

「俺があいつにそのまま伝えるかもしれんぞ?」

「あなたが彼女に伝えることで生じるリスクを背負う事になる可能性をあなたはよしとしない」

そうかもしれんが……

「それに、彼女はあなたがもたらした情報を重視したりしない」

確かにハルヒにこんな電波の事を言ってもすぐに反論されそうだしな

「あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。危機が迫るとしたらまず、あなた」

今さらりと怖いことを言われた気がするが……しかしこんな話を信じていいものなのだろうか

……などと考えているとピンポーンとこの部屋のインターホンがなる

「……客か?」

「……」

長門は珍しく驚いた表情をしたのかもしれない

目がはんの少しだけいつもより開いていた気がする

……おいおい、まさかさっきいってた危機ってやつなのか?

映画とかでよくある秘密を知った奴は生かして返さんとかの?

体に緊張が走る

長門はゆっくりと玄関にむかいガチャリと扉をあける

え?そんな簡単に開けていいのか?

「こんばんはー長門さん。晩御飯のお裾分け持ってきたわよー……ってキョンくん!?」

「あ、朝倉?」

鍋をもった朝倉がそこにはいたのだった

「ど、どうしてこんな時間に長門さんの家にキョンくんがいるのよ」

「それはこっちの台詞だぞ。なんだその格好は」

「あ!ちょっと!あんまりジロジロ見ないの!お風呂上がりの女の子を凝視するなんて酷いわよ」

ああ、それでいい匂いがしたのか

「って違う。そういう意味じゃなくてだな……」

「涼宮さんに言ってやろうかしら」

「絶対にやめろ!?後でめんどくさいんだからな!」


ワイワイと朝倉と言い争う


「……イレギュラー」

だから、俺は彼女が呟いた一言に気がつくことができなかったのだ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 21:07:23.67 ID:rA5EWxcio
イレギュラーって
長門が敵に回ったりするのだろうか……
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 21:14:16.84 ID:dG/T3rUtO
そりゃ長門は七夕の時の長門と同期してるんだし朝比奈さんと一緒で本来の正史しか知らないからイレギュラーって言ってるんじゃない
つまりここに朝倉が来ること事態がイレギュラー
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 00:29:32.90 ID:Lkk+12crO
お願いだから朝倉が敵に回るのだけはやめてくれ…
朝倉を幸せにしてやってくれ…
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 00:53:59.40 ID:n57oMxySO
それよりも僕の出番はまだですか?
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 00:56:45.18 ID:oSzSjv/Jo
僕? 国木田かな?
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 15:25:50.30 ID:n57oMxySO
佐々木さんにきまってるやろ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 15:26:21.29 ID:n57oMxySO
佐々木さんにきまってるやろ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 10:36:24.00 ID:dvW5/X9fO
佐々木は丁寧語じゃないぞ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/28(月) 15:20:15.89 ID:SE4WtR6No
まつ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 10:51:08.41 ID:ydzgORf5o
まだか
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/21(水) 15:08:39.60 ID:iDZCQ0g3o
わたし待つわ
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/21(水) 15:36:24.37 ID:jvMkNvImO
何時までも待つわ
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/22(木) 22:33:17.53 ID:X/1gIENz0
まつぞ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/24(土) 02:25:09.56 ID:47aVm5AgO

ヒューマノイドインター……なんだっけ?

宇宙人?

俺は家に帰る途中ついさっき長門に聞かされた話を思い返してみる

ハルヒになんだかよくわからない力がある……ねぇ?

三年前と言われても俺にはさっぱりと思い付かん

あいつが中一の頃に何かが起きた?

そもそもその頃のあいつと俺はろくに会話もしていなかったのだ

わかるわけがない

ふと、その頃のハルヒの姿が脳内にフラッシュバックのように映る

何もかもを退屈そうに見つめている

そんな彼女の姿を……

「あんた、こんな時間に何処行ってたのよ」

「……ハルヒ?お前どうしてこんなとこに」

「それはこっちの台詞よ!あんたんち言ったら妹ちゃんがキョンくんが不良になったとか言うし!コンビニにでも行ったのかと思ったら近くの場所全部探してもいないし!」

走っていたのだろうか、じんわりと汗をかいているハルヒはこちらに向かって言いたい放題いってくる
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/24(土) 02:25:45.57 ID:47aVm5AgO
「ちょっと!聞いてるの!?」

「ああ、悪いな。心配かけて」

「ばっかじゃないの!別にあんたの心配してたんじゃないわよ!妹ちゃんが心配してたから私が直々に説教しに来たの!」

それだけ言うとぷいっとそっぽを向くハルヒ

……仕方がない

「ハルヒ」

「……なによ?」

「ん」

黙って自転車を指差す

「……帰りにプリン買ってよね。勿論二人ぶんよ?私と妹ちゃんの」

「ああ」

俺が自転車に乗ると後ろからよっと軽い掛け声と共にハルヒが乗る

「寒いからゆっくり漕ぎなさい。団長命令よ」

「何だそれ」

「いいから」

……やれやれ。うちの団長はわがままである

こいつに変な力がある?

そんなわけあるわけがない

……こいつはただの我儘な普通の女の子さ

だから翌日、唐突に訪れた出来事に俺は一つの不安を感じずにはいられなかった
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/24(土) 02:26:17.82 ID:47aVm5AgO

「ついにきたわよ!」

「何が?というか顔が近い」

「待望の転校生!すごいと思わない!?謎の転校生よ!間違いない!」

「会ってもないのに何を決めつけているんだ。お前は」

「前にもいったじゃない!こんな時期に転校してくるなんて間違いなく謎の転校生よ!」

「……親の転勤とか、そういう一般的理由だったらどうする?あまり深入りするもんじゃないぞ」

この場合親の離婚とかだと最悪である

……一瞬だが長門の話が頭によぎったがこの程度、ただの偶然であるにちがいない

たまたま長門から話を聞いた翌日にたまたまハルヒが望んでいた転校生がきた

そう、ただの偶然だ

「見に行ってくる!」

「あっ!おい!」

何だろうか、この胸につっかえるモヤモヤとしたものは

「元気ねぇ涼宮さん」

「……」

「どうかしたの?怖いかおして」

「あぁ、いや、何でもない」

「ふーん。それより、昨日の件なんだけど?」

「長門の家にいたのはたまたまだ。特に意味があった訳じゃない。何度も言っただろ?」

「怪しいなぁ……長門さんって簡単に人を家にあげたりするようなタイプじゃないと思うんだけどなぁ」

「俺だって驚いたさ」

「……まぁいいわ。それより覚えてる?」

「……何をだ?」

「ひどーい!週末にお茶ごちそうしてくれるって約束。忘れちゃったの?」

「あー。いや、すまん。忘れてた訳じゃないんだ」

昨日の出来事が衝撃的すぎて記憶の端から飛んでいってしまっていたのだ

「もう。楽しみにしてるんだからね?」

そういってパチリとウィンクをしてから朝倉は自分の席に戻っていく

「なんでキョンばっかり!」

谷口の戯れ言は聞かなかったことにしておさっさと席に戻ることにした
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/24(土) 02:26:50.40 ID:47aVm5AgO

そして放課後

何事もなかったように本を読んでいる長門と、お茶の準備をしてくれている朝比奈さんが部室にいた

……ここまで変化がないといっそ昨日の事が全部夢なんじゃないかと思える


「へいお待ち!一年九組に本日やって来た即戦力の転校生!その名も!」

「古泉一樹です。よろしく」

えらく爽やかなイケメンが、そこにはいた

「ここSOS団!あたしが団長の涼宮ハルヒ!そこにいるのは団員その1と2と3!あと、まだここにはいないけど四人目もいるわ。あなたが五番目。皆、仲良くやりましょう」

バァン!と扉を開けてつらつらとよく噛まないなぁと感心させる勢いでハルヒが言い切った

「入るのは別にいいんですが、何をする部活なんですか?」

至極全うな意見である

その意見に対してハルヒは一呼吸吸い……

「説明するわ。SOS団の目的……それは……宇宙人や未来人、超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」

胸を張ってそう言い切った

こんな説明で入ってくれるお人好しなんぞこの世には……

「ああ、なるほど。流石は涼宮さんですね。わかりました。入部します」

なんですと!?

この爽やかイケメン野郎は表情一つ崩さず入部を決めてしまっていた!


「……古泉です。転校してきたばかりで至らぬ点もありましょうが、よろしく御教授願います」

「あ、ああ。俺は」

「そいつはキョン!あっちの可愛いのがみくるちゃんで、そっちの眼鏡っ子が有希」

「なぁに?騒がしいわね?」

「丁度良いところに来たわね!この子が涼子」

「どちら様?」

「新入部員だそうだ」

「古泉一樹です。よろしく」

「随分と美形ね。朝倉涼子よ」

「恐縮です」

「さぁ!新規部員も増えてますます活気づいてきたわね!皆一丸となって頑張っていきましょう!」


いったい、何をどう頑張るって言うんだろうな
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 02:53:48.82 ID:kDbDqdGK0
ぉっ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 03:41:29.81 ID:wT9KWGRHo

とりあえずキョンくんはかわいい幼馴染みとの学園生活を頑張ればいいんじゃないですかね
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 05:45:39.62 ID:goumTjMwo
乙です
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 07:13:56.84 ID:FPQyiKup0
そもそも転校してこないという展開にならなくてよかったな古泉
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 15:56:49.86 ID:vd0Gwis4O
存在消されても平和な世界線ではなんの問題なさそうだからな…
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/20(金) 19:26:17.48 ID:1ZeGxszU0
古泉とTS朝倉でホモ展開

は、無いか
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:25:35.15 ID:y7ZLf2vtO

「突然だけど第一回SOS団ミーティングを始めます!」

「なんだ藪から棒に」

それは、古泉が突如入部してきた次の日の出来事である

「はーい。お茶です」

「あっ。すいません朝比奈さん」

「いいえー。これぐらい全然平気ですよー。お口に合えばいいんですけど」

「何時も美味しく頂いています」

「うわー、キョン君?顔がちょっとだらしないわよ?」

「うるさい。そんなことは断じてない」

「ふーん?」

「……ちょっと!ミーティングするっていってるでしょ!話を聞けぇー!バカキョン!」

「うぉ!急に揺らすな!こぼれる!」

「あんたがいけないんでしょうがぁ!みくるちゃんも凉子もだからね!」

「す、すみませぇん!」

「ごめんなさい。キョン君からかうのが楽しくて」

「……」

「いや、何故そこで俺を睨むんだ」

「……今週末つまり明日に不思議探索を行うことにしました!」

「不思議……」

「探索?」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:27:06.13 ID:y7ZLf2vtO
「そうよ!果報は寝て待て!昔の人はそう言いました!ですが今の現代社会ではそれだけでは駄目なのよ!もっと自ら行動しないと!」

「はぁ……それで?」

「だから探すのよ!」

「……なにを?」

「不思議な出来事をよ!」

つまり……ハルヒは週末にどっかに集まってそんで不思議な出来事や現象、その他もろもろを探しにいこうと言うのである

……ようは皆で遊びに行くのと何が違うと言うのか

「皆予定空いてるわよね?みくるちゃん大丈夫?」

「あ、はいー。大丈夫ですよ」

「うんうん。古泉くんは?」

「僕は大丈夫ですよ。引っ越してきて間もないので」

「有希!」

「ない」

「凉子は!?」

「ぁー……んっと、ごめんね。今週はちょっと……」

此方をチラリと見た朝倉を俺は見逃さなかった

……心配しなくても忘れてないぞ

「そう……いきなりだからしょうがないわね!来週は頼むわよ!」

「それじゃ日時は……!」

「って!おい!俺にも確認をしろ!?」

「何で?どうせ暇でしょ?」

「勝手に人の予定を決めつけるなこの馬鹿ハルヒ。今週は俺も予定があるからパスだ」

「誰が馬鹿よ!……予定?あんたに?」

「ああ」

「おじ様達が帰ってくる日……じゃないわよね。じゃあ一体……」

何やらブツブツと考え事を始めるハルヒ

「と言うわけで今週はいけん。来週からなら参加してもいい」

「そんなに大事なようなの?」

「先約だ」

「……わかったわよ。今日はもう帰るわ」

多少ふてくされた顔でハルヒは早々に部室から出ていってしまう

その姿に俺は少し、いやかなり驚いていた

ハルヒならば問答無用で俺に食いついて理由やらなんやらを根掘り葉掘り聞いてくると予想していたのだが……

ハルヒも成長しているのだろうか

どうでもいいがハルヒよ……鞄忘れてるぞ

いくら家が隣だからといって俺が持って帰る保証はないんだぞ?
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:27:47.51 ID:y7ZLf2vtO
「……やってくれましたね」

「……?」

「失礼、何でもありません。僕もバイトの時間なので失礼しますね……貴方とはまた後日ゆっくりと話をしてみたいものです」

「何だ藪から棒に気色悪い」

「その話しは後日に……では急ぎますので 」

古泉も慌ただしく部室を後にしてしまった

……ん?あいつ引っ越してきたばかりなのにもうバイトなんてしているのか

見かけによらず苦労しているのかもしれないな

「……」

「長門さん?」

いつのまにか立ち上がったのか、長門が朝倉のとなりまで来ていた

「長門?帰るのか?」

長門は此方を一瞬だけ向きコクりと頷き、部室の外へ出てしまう

「あの!キョン君!」

「ど、どうされましたか朝比奈さん」

「どうしても……これませんか?不思議探索」

「すみません。先に約束事がありまして」

「そう……ですか。あの……その……涼宮さんに……あまり冷たくしないであげてね?」

「え?いや、そんなつもりは一切ないですが」

「あと…………ううん、ごめんなさい。何でもないです」

「朝比奈さん?」

「ごめんなさい。私も今日はこれで」

ハルヒに続き、古泉、長門、朝比奈さんと次々に部室から去っていってしまった

「……何なんだ?いったい」

「さぁ……もしかして気をきかせてくれたとか?」

「一体何にたいしてだ?」

「んー……私とキョン君が二人っきりになれるように、とか?」

「またお前はそんなことを」

「ふふ。でも嬉しかった。キョン君、約束覚えててくれたんだ」

「まぁ、約束だしな」

「じゃあ駅前に10時でいい?」

「ああ、任せておけ」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:28:21.29 ID:y7ZLf2vtO

「おーい、ハルヒー。鞄持ってきたぞー」

「……?」

呼び鈴をもう一度押してみるが返事はない

まだ帰ってきていないのか……?

いや、しかしハルヒが帰ってから三時間近くたっているはずだが

「……やれやれ」

扉の前に置いておくのも不用心なので自分の部屋に持っていくことにする

メールで俺の部屋にあることを送っておけば済むだろう

……だが、ハルヒのやつはさーっぱり返事を返してこなかったし、部屋に来ることもなかった

たまに窓からハルヒの部屋の電気を覗いてみても真っ暗なままである

……何だか俺ストーカーみたいになってないか?

……馬鹿馬鹿しい

どうせ明日明後日は休日だ

鞄がなんだ。寝てしまえ

……だが、何故だろうか

その日の夜はなかなか寝付けなかった
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:36:57.55 ID:y7ZLf2vtO

翌日、俺は寝坊することもなく起き上がった

そして、なんとなーく、携帯をチェックする

……どうにも不貞腐れ姫のご機嫌は治っていないようだ

「……ったく」

机の上にある俺のではない鞄をじっと見つめてしまう

「……知らん知らん。俺は別に悪くないぞ」

身支度をささっと整え、待ち合わせ場所である駅前に向かおう

「あれ、キョン君おでかけ〜?」

「ああ、そうだ。もしハルヒがうちに来たら鞄は机の上にあるって伝えといてくれないか?」

「うん。わかったー……あれ?ハルニャンとお出掛けするんじゃないの?」

「別件だ。じゃあ頼んだぞ」

「……う〜ん?キョン君うわきぃ?」

「何処でそんな言葉を習った!」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:37:58.78 ID:y7ZLf2vtO

「あれ?キョン君?ご、ごめんなさい。遅れた?」

「あー、いや、来たばかりだ……朝倉こそ早いな」

「朝早く目が覚めちゃって。どうせならキョン君驚かせちゃおっかなぁって思って早く出たんだけどね」

いたずらっ子のいたずらがバレてしまった時のように舌を少しだけ出して笑う彼女は普段と違い凄く子供っぽく見えた

「しかし予定より30分以上早いぞ。店あいているのか?」

「んもー。その前にもうちょっと言うことないの?今日の服装結構気合いいれたんだけどなー」

「……朝倉がワンピース姿なのは予想外だったよ」

「ちょっと!それどういう意味よ!似合わないってこと?」

「いや、似合うぞ。普段とイメージが変わるという意味だ」

「いい意味で?」

「ああ」

「……ふふふ。ありがと。キョン君も何時もより三割増ぐらいでカッコいいよ?」

「からかうのはよしてくれ」

「ふふふ。行こっ。お店はもうあいてるから」


それは、駅前の近くに新しくできた喫茶店である

雰囲気もよく、メニュー価格も昨今にしては良心的であった

ただ、一つの問題以外は

オープンしたてと言うこともあり開店して時間がさほどたっていないのに人が多いのである

それはいい、別に客が多いのはなんら問題はない

……ないが……しかし!


「ったく!キョンのやつ!なにが先約よ!むぅぅぅぅ!」

「す、涼宮さん、お店のなかですし落ち着いてください〜」


これは……流石にヤバイのではないでしょうか……
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/23(月) 17:38:34.26 ID:y7ZLf2vtO
あけましておめでとうございます
完結まで行きますのでゆっくりお付き合い頂ければ幸いです
それではお疲れ様でした
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/23(月) 17:49:38.95 ID:rmYI57dxO
待ってた
面白い
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/23(月) 21:49:49.73 ID:DQ8sUTVEo
乙カレー
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/23(月) 21:51:35.79 ID:zM2pUEAi0
待ってたぞ
焦らされるのは好きじゃないんだ!まあ待ちますけども
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/23(月) 22:17:17.83 ID:T7ZlLSzwO
ハルヒに幼馴染属性が付くだけで無敵に見える
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 03:52:19.24 ID:xqxShljC0
やはり朝倉は俺の嫁にしたいけど誰かに取られそうだからハルヒはもらっときますね
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 21:21:19.86 ID:h4wpdJnto

いきなり修羅場とかワクワk……あ、いやハラハラしますねぇ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/20(月) 21:40:37.05 ID:oY4BAaTgo
待ってる
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 20:35:41.17 ID:zl8h2MocO
はよおおおおおお
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 12:46:03.66 ID:ISm6AsHDO
保守
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 19:22:03.52 ID:XCTWujU/O
はよはよ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/06(木) 11:49:09.57 ID:mcoYDe+HO
保守
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 11:54:59.84 ID:Tpx8ud5cO

「どうかしたの?キョン君。変な顔して」

「い、いや、何でもない」

「?」

そ、そうさ、別にここでハルヒと鉢合わせになったとして何が問題になる

ただ朝倉とお茶を飲みに来ていただけだ

……いや、ハルヒの奴にこんな所みられたら絶対にやばい

下手すりゃ暴れる


……いや、俺は別にハルヒと付き合っているわけでもない、普通に朝倉と先に約束をしていてだから優先しただけ……特に深い意味なんてこれっぽちもないんだ

ないが……!ここは団内の関係に悪影響を与えないためにもハルヒにバレないように静かに過ごすべきじゃなかろうか

ああ、もう。誰に言い訳してるんだろうなぁ俺は!
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 11:55:44.43 ID:Tpx8ud5cO
「涼宮さんの事考えてるの?」

「え?いや……何でだ?」

「わかるわよ。眉間にシワ」

「……それがどうしてハルヒに繋がる」

「あら、だってキョン君がそんな顔するのなんて涼宮さんの事ぐらいよ?」

朝倉はそんなことを言いながら注文して届いたケーキを食べている

「まるで保護者みたいな扱いだな」

「あら?違うの?」

「断じて違うぞ」

「ふーん。じゃあキョン君」

「何だ?」

「キョン君にとって涼宮さんってどういう存在なの?」

「……前にも言ったが」

「幼馴染み……そう言うんでしょ?じゃあ言い方を変えるわ」

朝倉は俺が言おうとした言葉を先にいってしまう

わかっているのなら何故聞いてきたと言うのだ

「女の子として、どう思っているの?」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 11:56:45.57 ID:Tpx8ud5cO
…………はい?

その言葉の意味を理解するのに一瞬、いや、結構な時間を要した

だってそうだろう?

そんな事を聞かれるなんて思ってもいなかった上に考えたことすらなかったのだ

俺にとっての涼宮ハルヒとは何かと問われればそれは幼馴染みであると答える

これは間違いない


だが、女の子としてどう思うかと問われればどう答えればいい?

ハルヒはハルヒであってハルヒでしかない

そこに男女の感情を持ってなどいない……なんて事は恐らくない

……ないのだが俺はこの感情をどう表現したらいいのか、明確な答えを持っていない


友情?親愛?腐れ縁?それとももっと別の何か?
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 11:57:22.31 ID:Tpx8ud5cO
「ほら」

「?」

「また凄いシワが寄ってる」

「……少なくとも今回の原因はお前だ」

朝倉が用意してくれた逃げ道に乗っかってしまう

どうやらこの質問にはすぐには答えられそうにない

しょうがないなぁと朝倉の目が語ってくれている気がするが気がつかなかったことにしよう


間を持たせるために届いたコーヒーに手を伸ばそうとして気がつく



ハルヒが席を立ってこっちに歩いてくるのだ


「……っ!?」

「キョン君?」

朝倉は俺の反対側に座っているので勿論ハルヒの接近は見えていない

その事を説明する間もなくハルヒがどんどん此方の席に近づいてくる

あぁ……これはもう素直に謝るしかないか

そう決意を固めた俺の横をハルヒは素通りしていく
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 11:58:06.32 ID:Tpx8ud5cO

「……あれ?」


思わず通りすぎたハルヒを振り返ってみてしまう


こちらに気がつかなかったのか?

どこに……ああ、トイレがあるのか

見馴れたトイレのマークがついている方向に向かうハルヒを見てから俺は席にどっかりと座って息を吐く

「どうしたのキョン君?今の人知り合い?」

「え?朝倉顔見なかったのか」

「後ろ姿はみたけど……?」

きょとんとした朝倉を見て不思議に思う

後ろ姿からでもハルヒだってくらい分かりそうなものなんだが……
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 11:58:38.58 ID:Tpx8ud5cO

【現在、貴方と朝倉涼子に対しての認識を改竄して涼宮ハルヒが貴方達に接触を図れなくしている】

「!?」

「キョン君?」

何だ!?急に聞こえてきた声にキョロキョロと周りを見てしまう

聞いたことのある声……

長門?

いや、しかし長門は前のボックス席で確かに座っていて声なんてとても届くわけが

【現在は空気振動による言語伝達ではなく脳信号による言語伝達を試みている】

頭に直接長門の声が響いてきて少し気持ち悪い

【この伝達方法は貴方にあまりいい影響を及ぼさない】

……みたいだな

こっちの心の声が聞こえているかわからないが応じておく

……幻聴……じゃないよな

【違う】

……マジかよ

「ちょっと……ほんとうに大丈夫?」

「あ、ああ。大丈夫だ」

「……あまりそうは見えないけれど」

「あー……ちょっとさっきの人があんまりにも知り合いに似てて驚いただけだ」

「……ふーん。キョン君の昔の友達ってこと?」

「まぁ、そんな感じだ」

必死に朝倉と話をしながら俺はこの超上現象について考えていた

長門は前なんといった?

自分が宇宙人であると

今のがトリックでもなんでもないというのなら、それは本当だったと言うことなのか

「ははは、何時からこんな世界になっちまったんだよ」

「本当に変よ?キョン君」

「ああ、まるで変な夢をみた気分だよ」

「頬っぺたつねってあげましょうか?」

「朝倉力強そうだし痛そうだから遠慮しとく」

「つ、強くなんてないわよ!?普通よ普通!」


顔を赤くしながら怒る朝倉の横をトイレから帰って来たハルヒが素通りしたの見て俺は確信を持ってしまった


長門の言っていたことは本当だったのだと

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/29(土) 12:01:46.31 ID:Tpx8ud5cO

「買い物にまで付き合ってもらってごめんね?」

「いや、俺が言い出したことだから気にするな」


ハルヒと鉢合わせしたあの喫茶店を早々に出るようにしてしまった俺は埋め合わせとして朝倉の買い物に付き合ったのだ

「でも本当に俺の選んだやつでよかったのか?」

「いいのいいの。キョン君ってこういう服が好きなんだなぁってのもわかったし」

「いや、まぁ、好きというかなんというか」

「んー?なになに?」

「……好きだが」

「……ふふっ。そういうところ可愛いよね。キョン君」

「ほっとけ」

からかわれるので顔を反らす

「ありがとう。キョン君。また学校でね」

「おう。気を付けろよ」

「キョン君も宿題だからね」

「?」

「喫茶店での質問の答え」

「え……あー……」

「ふふ。それじゃあね」

宿題の答え……ね

朝倉を見送ってから俺も自転車に跨がり帰路につく

ハルヒのことよりも今は考えることがあるのだ

長門の部屋で聞かされた話を思い返しながら俺はそんなことを考えていた


だから、俺は気がつかなかった


「キョン……と朝倉?なんで……?」


その現場を見られてしまっていたことに

154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 12:12:41.92 ID:JsBMsL9e0
待ってた
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 12:17:44.01 ID:0r4qbbaoO
朝倉ルートが良いです(小声)
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 12:21:37.20 ID:rQfuwwRfO
>>152
超常現象
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 13:39:51.31 ID:o78E6m5HO
待ってたぞ
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 14:20:53.87 ID:m6rpUDT/0
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/01(月) 02:14:45.29 ID:GIjiJg6xO

日曜日、それは安息と惰眠を思う存分に味わえる幸福な曜日でもあり、次の日の事を考えると憂鬱になる曜日でもある

そんな日曜日に俺は朝っぱらから規則正しく目覚めてとあるものをじっと見つめていた

そう、ハルヒが置いていった鞄である

朝倉と別れた後の夜にも顔を出そうとしたのだが完全に居留守を決め込まれてしまった

こうなったときのハルヒは兎に角大変なのだ

大抵は不貞腐れて拗ねたとしても一日でパパっと切り替えれるやつなのだが……

そうじゃないときの切り替えの遅さは俺が一番よく知っている


「どうしたものか」


一人の部屋に返事などあるわけがないが呟いてしまう


ハルヒをどうにかして部屋から引っ張り出して埋め合わせをすればいいのだが……

いかんせん方法がなぁ

【女の子として、どう思っているの?】

ハルヒのためにあれやこれやと考えていたら朝倉の言葉が頭に浮かぶ

……ノーコメントだ

今はそれでいいだろう

むこうが俺に会いたくないのならそれはそれでいい

こっちには鞄を届ける大義名分があるのだ

机の引き出しを開け一本の鍵を取りだし、鞄を手に部屋を出る

行き先は勿論不貞腐れ者の家だ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/01(月) 02:20:17.71 ID:GIjiJg6xO

「ハルヒー。いるかー」

インターホンを鳴らして確認を取るが返事はない

ため息をはきながらポケットに突っ込んだ鍵を引っ張り出してハルヒ家の鍵を開ける

何で俺がこいつの家の鍵を持っているかは長くなるので割愛させてもらうが決して違法で手に入れたものではないと言わせておいてもらう
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/01(月) 02:29:05.15 ID:GIjiJg6xO

「お邪魔します」

ガチャリと鍵を開けて中に入る

前に入ってから大分時間が経っているが全く変わっていない玄関だ

「……」

迷わず二階の階段を登りハルヒの部屋の前までいく

「ハルヒ、いるんだろ」

ノックしつつ呼び掛けるが返事はない

やれやれ……本当に重症だ

「ちゃんと飯食ってるんだろうな」

当たり障りもない事を言ってみるがこれもダメである

「鞄ここに置いとくからな」

扉の前に鞄を置いて出ていくことにする

「ん?」

ハルヒの家から出た所で携帯が鳴る

「メール?……誰だこれ」

登録されていないアドレスからのメールには正午に光陽園駅前公園と書かれている
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/01(月) 02:31:55.40 ID:GIjiJg6xO

……長門か?

最近待ち合わせに使われた場所から長門を連想する

長門は携帯持ってるイメージじゃないんだが……

長門には色々聞きたいこともあるし丁度いい

「今度は遅刻しなくてすみそうだ」


そして、指定された時間に行くとそこには

「きゅ、急にお呼び立てしてしまってすいません」

「あ、いや……まさか朝比奈さんからの呼び出しとは思っていなかったので」

此方が申し訳なくなるぐらい萎縮してしまう朝比奈さんを見ていると少しぐらいハルヒにも見習ってほしいと思う

いや、ここまでじゃなくてもいいのだがもう少しぐらい謙虚になってほしいものだ

「それで、朝比奈さん。今日はまたどうして?」

「その……本当は昨日お話するはずだったんだけど……」

「すいません。昨日は先約があったんで……」

「あ、いえ、そういう意味じゃなくて……すみません話が脱線しました」

そこで朝比奈さんは息を軽く吸い捲し立てるように話を始めた

「キョン君、私はこの時間平面上の人間ではありません」

「……えっと?」

「この時間軸のもっと先にある未来から私はこの世界にやって来ました」

「朝比奈さん……?」

「一般的に言うなら、未来人です」

……なんですと?
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 20:40:24.37 ID:lbuOwuvOO
読み始めたばかりだが言わせてくれ…最高に面白いよ
キョンTUEEEEEEと同じくらい面白い
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 21:18:42.22 ID:RziiyAEwo
青春してるなキョンとハルヒ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:30:30.72 ID:pS49qFoSO
今度はなんだ……?

「三年前、大きな時間振動が検出されたの」

また三年前か

「調査するために過去に来た私たちは驚いた。どうやってもそれ以上の過去に遡ることができなかったから」

「大きな時間の断層が時間平面同士の間にあるんだろうっていうのが結論」

「原因がわかったのもつい最近」

何となく話の落ちがわかった気がする

「その原因って……?」

「涼宮さん」

やっぱりか……

ハルヒよ、お前は三年前とやらに何をしでかしたんだ

「時間の歪みの真ん中に彼女がいたの。それ以上は禁則に関わるので説明できないけど……でも、過去への道を閉ざしたのは涼宮さんなのは確か」

「ハルヒにそんな事ができるとは思えないんですが」

「我々にも謎なの。涼宮さんも自分が時間振動の源だなんて自覚してない。私は涼宮さんの近くで新しい時間の変異が起きないかどうかを監視するために送られてきた……監視員みたいなもの」

「信じてもらえないでしょうね。こんなこ
と」

「いや、でも何でこんな話を俺に?」

「貴方が涼宮さんに選ばれた人だから。涼宮さんの隣に常にいる貴方は重要な存在なの。彼女の一挙手一投足にはすべて理由がある」

ハルヒはそんな大層なものはではないと思いますが

あいつは楽しそうだからという理由で動くぐらいで何か深い考えを持っていたりなんてしないはずですよ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:30:58.61 ID:pS49qFoSO

ハルヒの行動に意味があるというのなら……

「……なら、長門や朝倉や古泉は?」

「あの人たちは私と極めて近い存在です。まさか涼宮さんがここまで的確に私たちを集めてしまうとは予想外でしたけど」

「朝比奈さんはあいつらが何者か知ってるんですか?」

「禁則事項です」

「……これから、ハルヒはどうなるんです?」

「……禁則事項です」

「未来から来たならわかりそうなものですけど……?」

「禁則事項です……」

どんどん顔を伏せてしまう朝比奈さんを見ているとこっちが悪いことをしているように感じてしまう

ハルヒが時間の歪みの原因であり俺が重要な人物?

……似たような話を先日誰かから聞いたな……

宇宙人の次は未来人の登場か……

一体どうなっちまったんだこの世界は
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:31:32.51 ID:pS49qFoSO

月曜日、ジリジリとうるさい目覚めしを止めて学校へいく準備を整える

これからあの忌々しい坂を登ると考えると憂鬱である

玄関に向かうと下駄箱の上に見馴れた弁当包みがある

意外……と言うかなんというか……

気がつかないうちに口角が上がってしまっていた

その包みを丁寧に鞄に入れる

……しょうがない

あまり時間はないがハルヒが好きなデザートでも買ってから学校にいくとしよう
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:32:13.51 ID:pS49qFoSO

教室についた俺が見たハルヒの姿は想像以上のものであった

机の上に突っ伏して話しかけるなオーラを全開に発揮していた

やはりまだまだご機嫌斜めのようだ

「よう」

「……」

完全に無視である

……これはやはり触れるなと言うことなのだろう

仕方がない

授業のための教材を机から引っ張りだして準備をする

ふとクラスを見渡すと朝倉がいない事にきがつく

「遅刻か……?」

珍しいこともあるもんだ

休んでいる朝倉なんて見たことがない

土曜日に連れ回しすぎて体調を崩した……とかじゃないといいが
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:32:42.64 ID:pS49qFoSO

「……」

ふと、後ろから視線を感じたので振り返ってみる

「……ふんっ」

目があった瞬間ハルヒは驚いた顔をして視線をあっちこっちに反らした挙げ句開き直ったのか此方を睨み付けてまた机に突っ伏してしまう

「おい……」

ハルヒはとビクッと肩を揺らすが顔はあげない

……やれやれ

「……あー……あれだ弁当ありがとな」

反応はなかったが聞こえはしただろう

改めてこんな事を言うのは俺も恥ずかしいのさっさと前を向いてしまう

幸いにして、教師はすぐに来てくれたので、気恥ずかしい空気も霧散してくれた

「起立、礼」

……ただ、朝倉ではない号令の違和感は霧散してくれなどしてくれなかった
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:33:47.35 ID:pS49qFoSO

昼休み、ハルヒはと言えば号令がかかった瞬間に鞄をもって教室から飛び出してしまった

「……やれやれ」

あれじゃ話しかけるのはまだ無理そうだ

仕方ないな

「何だお前ら。喧嘩でもしたのか?」

ハルヒの背中を見送ると今度は谷口と国木田が近づいてきた

「いや」

「かぁー。やめてくれよなー。痴話喧嘩なんてよー」

「別にそういうわけじゃない。それに喧嘩にもなってない」

「いやお前……それは流石にあんな涼宮みてたらわかるぞ?」

「ほらほら、谷口。あんまり詮索しないの。キョン、お昼どうする?」

「あー……そうだな……すまん。今日はちょっと用があるんだ」

「そっか。わかったよ」

「さっさとあやまっちまえよ。お前らがそんなだとこっちまで調子くるっちまう」

「善処する」

谷口達と別れた後、俺が向かったのは……


一年九組……古泉の所だった
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:34:14.65 ID:pS49qFoSO

「おや、どうしましたか」

「お前も涼宮の事で俺に話があるんじゃないのか?」

「……ふふっ。少しお待ちください。外に出ましょうか」

一度クラスに戻り言葉を交わしてから戻ってきた古泉と共に俺は裏庭に行き、そこの簡易テーブルでお互いに弁当を広げて向かい合う

「お前も……ということは既にほかのかたからもアプローチを受けているのでしょう」

「そうだな」

「何処までご存知ですか?」

「ハルヒがただ者ではないって事だな」

「それなら話は速い。その通りです」

少しは否定してもらいたいものだ

「まずはお前の正体から聞こうか」

「お察しの通り、超能力者です。そう名乗った方がよいでしょう」

とうとう超能力のご登場だ

やれやれ……もうすっかり馴れてしまった自分が末恐ろしい
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/03(水) 23:35:16.17 ID:wnY2cn2gO
初見の記憶がよみがえってきて鳥肌たつ
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:37:29.31 ID:pS49qFoSO

「本当はこんな急に転校してくるつもりはなかったんですが……状況が変わりましてね。よもや、あの二人がこうも簡単に涼宮ハルヒと結託するとは予定外でした」

二人……長門と朝比奈さんか?

となると朝倉はこのとんでもなくぶっ飛んだ話とは無関係ということなのだろうか


「詳しいことはまたいずれ……百聞は一見にしかず。是非、お見せしたいものもありますし。今はかいつまんでご説明しましょう」

「僕が所属する機関には、他にも超能力者がいます。実は、この学校にも何人ものエージェントが潜入しています」

「そして我々は三年前の発足から涼宮さんを監視している。事の発端はその三年前。その時何かがあった。僕の身に超能力としか思えない力が芽生えたのもその時です」

また、三年前とやらがでてくるのか

「三年前とハルヒがどう関係あるってんだ」

「実は、この世界はある存在が見ている夢のようなものなのではないか……というのが機関のお偉いがたの考えです」

「そして、それは夢ですから、その存在が我々が現実と呼ぶこの世界を創造し改変する事は児戯に等しい……そんな事ができる存在を我々は知っています」

おいおい、冗談だろう?

幾らなんでも話がすっ飛びすぎだ

「それがハルヒっていうのか?」

「人間はそのような存在のことを……神と定義しています」

……とうとう神様にまでされちまったぞハルヒよ

「考えてもみてください。我々のような超能力や朝比奈みくる。長門有希のような存在が都合よく一同に介するかのように登場するでしょうか?」

偶然……なんていうには出来すぎている

「涼宮さんがそう願ったからですよ」

入学当初のあいつの言葉が頭をよぎる

「恐らく三年前に……」

「三年前にハルヒが世界を作り替えたっていうのか」

「作り替えたというよりも、三年前に世界は始まったというべきでしょうか。あくまで我々の仮説ですが」

「馬鹿馬鹿しい。俺は三年前どころかずっと昔のハルヒを知っているんだぞ」

「その記憶すらも……創造されたものだとしたらどうでしょうか?」

「……マジでいっているのか?」

「至って真面目です」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/03(水) 23:38:49.20 ID:pS49qFoSO

「……まぁいい。それで、お前らはハルヒをどうするつもりなんだ」

「この世界が神の不興を買って、あっさりと破壊されて、作り直されるのを防ごうと言うわけです。僕はこの世界にそれなりの愛着を抱いているのでね」

「ハルヒに直接そう頼んでみたらどうだ。あいつらならこういう話大好きだし食いつくぞ」

「そう主張する者も存在します。それ以上の刺激を与えようとする強硬派も。ですが、大勢は軽々しく手を出すべきではないという意見でしめられています」


「彼女はまだ自分の力に気がついていない。ならばそのまま気がつかないまま生涯を平穏に過ごしてもらおう……ということです」

「触らぬ神になんとやら……か」

「その通りです」

「夢を見続けているのはお前らの方なんじゃないか?」

「そうかもしれません。我々は今もっとも危惧すべき事態を回避するためにいるのですよ」

「なら試しに、超能力の一つでも見せてくれ。そうすればお前の話を信じてやる」

「僕達の能力は限定的でして幾つかの条件が揃って、始めて能力が使えるんです。最初申し上げた通り、そのうちお見せすることもあるでしょう」

「……」

「長々とお話しして申し訳ありません。昼休みも終わってしまいますね」

話は終わったと、古泉は立ち上がり離れていく

「……そうそう。一番の謎は貴方です」

その足取りを止め、古泉はこちらに声をかけてくる


「失礼ながら貴方の事は調べさせてもらいましたが……保証します。貴方は普通の人間です」

「……それがどうしたって言うんだ」


「彼女がもっとも嫌っているであろう普遍的存在にも関わらず貴方がもっとも彼女に親しいのです。これが何を意味するかわかりますか?」

「さっぱりだ。もっと解りやすく話を進めてくれ」

「すみません。つまり、貴方は世界の中心とも言える涼宮さんの隣というとても重要な立ち位置にいるということです」

「だからそれがどうしたと言うんだ。まどろっこしい」

「一番に危険が迫るとしたら……貴方だということです」

古泉は物騒なことをなんとも爽やかな笑顔で言ってくれた

なんて殴りたくなる笑顔だ

そのまま歩き去る古泉を見とどけた後、俺は……空を仰ぐのだった

なぁハルヒ……お前の思っているほど世界ってのは退屈じゃないのかもしれないぞ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 04:13:20.94 ID:87NgYft40
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 04:47:11.72 ID:b5WM8GKSo

この世界のハルヒさんはいうほど退屈してないんじゃという気もする青春的な意味で
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 07:57:33.16 ID:6SLXddXJO
朝倉のことをキョン以外気にしてない…それどころか話題にもでない
こんなこと思いたくもないが、ハルヒは朝倉を最初から存在しなかったように願ったとか?
そんでキョンや(ハルヒ以外の)SOS団は朝倉がいたって記憶は所持してる
だけどキョンは風邪かなんか程度にしか思ってないが他のメンバーはそれをしってる
けど、下手にキョンに話してハルヒに何かあっても困るから様子見として現段階では話さないでいるとか?
……考えすぎだよな……
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