男「はぁ?ダンジョンに行ってこいって?」

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448 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:09:55.47 ID:E5+C4lEP0
プリースト「来たか。思ったより遅かった」


男「アンタは……カウボーイのおっさんの事務所にいた……」

金髪「誰やこの兄さん?神父さんか?」

魔少女「プリーストさん……でしたね確か。何故貴方がこんなダンジョンにいるのですか?」


巣の中心には、教会の神父の格好をした男。

カウボーイに頼まれてこのダンジョンに直接転送してきたプリーストが、聖書のような本を開き立っていた。


プリースト「少々ココで問題が起きた」

男「問題?……あ!?もしかしてあのホブゴブリンのことっすか!?倒しても倒しても倒せないヤツ!!」

プリースト「遭遇していたか。よく無事だったな」

魔少女「プリーストさん達は……あのような魔物をご存知なんでしょうか?」

プリースト「知っている。あれは『バグ』だ」スッ……
449 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:12:50.96 ID:E5+C4lEP0
バチバチバチバチッ!!!

ホブゴブリン極『ォォォォォオオオッ!!!!』

バチバチバチバチッ!!!


同時に、異形に進化したホブゴブリンが、ダンジョンの魔物には越えられないハズの階層の空間を破るように、最下層へと浸入してきた。


金髪「チッ!!やっぱ追ってくるんかい!!」

男「プリーストさん早くダンジョンから出ましょう!!アイツ倒しても倒しても復活して進化していくんです!!ダンジョンから出ればアイツも追っては」

プリースト「『バグ』はこの外にも出る。今までも何度も出現した」

魔少女「な……ダンジョンの外に魔物が?」


プリースト「退がれ。死ぬぞ」ビリッ!!

フワッ……

プリーストは、手に持った聖書のような本から2枚のページを破り、その2枚の紙片はプリーストの側で浮いている。

魔少女「あれは……魔道書?いえ、ならばページを破る意味が……あれは一体」

プリースト「…………」スッ……


そのままプリーストは、両腰にある鞘に収まった剣の柄に触れながら目を瞑る。
450 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:17:42.49 ID:E5+C4lEP0
バチバチバチバチッ!!!!

ホブゴブリン極『ォォォォォオオオッ!!!』

バチバチバチバチッ!!!!

ズゥゥウウンッ!!!


ホブゴブリンは空間を完全に越え、最下層の地を踏みしめる。

見た目は既にホブゴブリンとは冗談でも言えない。背丈2メートルを優に超える鬼だ。

そして、目を瞑り静かに佇むプリーストへと突進し、鋭い爪を振りかざす。






プリースト「『主よ。私を許したまえ。貴方の造りし戒めを破るこの私を』」






そして瞬きほどの瞬間

鬼の四肢は胴体から切り離された。
451 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:21:20.53 ID:E5+C4lEP0
男「……え?」


まさに一瞬だった。
いつ両腰の剣を鞘から抜いたのかもわからないほどに。



プリースト「『ゴルゴダの丘』」ブゥンッ……


ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!


そして切り離された四肢と胴体へと向かって、何十もの剣が突き刺さる。


3人に一瞬だけ見えたのは、破られた聖書らしき本の紙片が一枚、青い炎を上げて燃え、同時にプリーストの両手から何十もの魔法陣のようなものが形成されたこと。
恐らくはそこから放たれた剣だろう。鬼の胴体と四肢は、そのまま巣の壁面へと剣で突き刺さる。


それはまさに十字架に剣で磔にされているかのようであった。
452 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:24:54.53 ID:E5+C4lEP0
男「……一瞬で……」

金髪「な……何やねん今の……」

魔少女「今のは……あの紙片を触媒に魔術を?……次元が……違いすぎますね……」


3人は、ただただ呆然としていた。自分達があれほど逃げ回っていたホブゴブリンに対し、この最下層に降り立ってから僅か5秒も経たない内に完全に無力化してしまったのだ。

男と魔少女は、プリーストがあのカウボーイと同じレベルの存在である事は予想していたが、あの滝のダンジョンで見たカウボーイよりも遥かに衝撃的であった。
まぁカウボーイが本気を出したわけでもないのでどちらが上など検討もつかないが。


ホブゴブリン『ォ……ォオオ……』グググッ……

男「ッ!?プリーストさん!!まだです!!アイツはまだ再生します!!」

バラバラにされ、磔にされたホブゴブリンが生きているのを確認し、男が叫ぶ。

そもそも火薬岩の爆発で粉々になっても再生したのだ。四肢を斬られ磔にされた程度ではまだ再生できるだろう。


ボゥッ!!


魔少女「また……あの紙片が燃えて」


プリースト「『グランドクルス』」スッ、スッ……


カッ!!!


2枚目の紙片が燃え、同時にプリーストが指先で軽く十字を切ると、十字架のように磔にされたホブゴブリンの前に光の十字が現れ、そこから強烈な光が発せられる。
453 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:26:50.34 ID:E5+C4lEP0
男「グッ!?…………ッ!?消えた……」


光が消えた後3人が見たものは、ホブゴブリンが磔にされていた壁が十字架のように抉り取られた光景であった。


ホブゴブリンや刺さっていた剣は跡形も無く消えている。


プリースト「終わりだ。俺は帰るぞ」スッ

男「ちょ!?ちょっと待ってください!!あの化け物は結局何だったんですか!?」

魔少女「貴方の持っている本は……魔道書なのですか?それともまた別の」

プリースト「アレについてはカウボーイに聞け。この本はただの聖書だ。膨大な魔力と祝福を込めて書き記された」ブゥンッ!!


そう言い残し、プリーストは何らかの方法を用いて何処かへと転送された。
454 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:35:31.90 ID:E5+C4lEP0
男「ちょっと!!……行っちまった。仕事人だなあの人」

魔少女「魔力と祝福を込めて書かれた聖書……とするとあの本自体……いえ、記述された文章自体に魔法の術式と発動の為の魔力が……」ブツブツ……

金髪「おーい魔少女ちゃんがトリップしとんのやけど」

男「あー昔から深く考えるとこうなるんだ。こんまま抱えて持って帰ろう」ヒョイッ

魔少女「そもそも文字に魔力を宿すとは一体……インクや紙自体に何か特殊な素材が使われているのか……そもそもたった一枚の紙片であれほどの大魔法を発動されるとは……」ブツブツ……

金髪「扱い慣れとるなー……うし!周りにおる火蜥蜴達が襲ってくる前に、さっさとダンジョンから脱出しよか!!」



『仁市第二運動公園ダンジョン 』をクリアした。

クエスト『協力者求む。ダンジョン探索に同行してくれる方募集』をクリアした。
455 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:36:59.86 ID:E5+C4lEP0
18:20

仁市 駅前


金髪「うっし!!アイテムの換金も終わったし火薬岩から火薬の生成も注文したし、今日の探索は大成功やったな!!2人ともお疲れさん!!」

男「いやー疲れた疲れた。ギルドの依頼ってのは大変なんだなー」

魔少女「今回は……プリーストさんいわく『バグ』と言う魔物までいましたからね。アレは一体何だったのか」

金髪「まぁあのバケモンも神父さんが倒してくれたんやし、今は探索成功を祝っとこうや!!どや?どっか適当なファミレスでメシでも」

男「おーいいねー!!ついでに報酬の山分けもそこでやろうぜ」

魔少女「…………」



倒しても倒しても再生し、更に強靭に進化して何処までも追いかけてくる魔物『バグ』。あの存在は明らかに異常であった。

魔少女「アレは……自然に発生する魔物なのでしょうか?もしかして人為的な何かが……」

男「おーい魔少女!早く行こうぜー」

魔少女「……今は情報も少ないですし、考えても仕方ないですね……」
456 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:45:39.39 ID:E5+C4lEP0
9日目成果


報酬
100ゴールド
ダンジョン内で稼いだ金品50%→190ゴールド

を獲得した。


金髪に探索協力を頼むことが出来るようになった。


所持金55ゴールド→345ゴールド→交通費食費諸々で330ゴールド


オートマタ引き取り代金 残り670ゴールド
457 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2017/05/29(月) 13:47:02.90 ID:E5+C4lEP0
投下終了です。

>>447
色々忙しくて申し訳ないです。


ではまた。
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/29(月) 21:43:44.16 ID:DN8/63wCo
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 02:26:04.59 ID:9LE97Oyjo
おつ
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 20:20:37.55 ID://eJjTOpo
こんなのが出るんじゃダンジョンの危険度認定や保険が面倒な事になるな
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/17(月) 15:20:30.18 ID:QjUK7jFHo
続きが気になる乙
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 17:54:22.44 ID:oRX5QDTS0
はよ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 01:40:54.64 ID:GXf/dzFoo
ずっと待ってるんだから投稿してくれー
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 02:37:14.21 ID:+nAWzY/BO
まだかよー!
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 11:33:00.57 ID:xpbsA1+00
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 10:31:53.02 ID:Jz4IaFsW0
【最悪のSS作者】ゴンベッサこと先原直樹、ついに謝罪
http://i.imgur.com/Kx4KYDR.jpg

あの痛いSSコピペ「で、無視...と。」の作者。

2013年、人気ss「涼宮ハルヒの微笑」の作者を詐称し、
売名を目論むも炎上。一言の謝罪もない、そのあまりに身勝手なナルシズムに
パー速、2chにヲチを立てられるにいたる。

以来、ヲチに逆恨みを起こし、2018年に至るまでの5年間、ヲチスレを毎日監視。

自分はヲチスレで自演などしていない、別人だ、などとしつこく粘着を続けてきたが、
その過程でヲチに顔写真を押さえられ、自演も暴かれ続け、晒し者にされた挙句、
とうとう謝罪に追い込まれた→ http://www65.atwiki.jp/utagyaku/

2011年に女子大生を手錠で監禁する事件を引き起こし、
警察により逮捕されていたことが判明している。
467 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 20:42:05.50 ID:LAlp/wM/0
お久しぶりです、1です。
ふと思いついたので投下していきます。
468 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 20:44:58.23 ID:LAlp/wM/0
ダンジョン生活10日目

7:30

男「うー……ダンジョン探索の次の日は、毎回身体がダルいなー……魔力たくさん使ったり身体酷使するからしょうがないんだろうけど」グデー


母「ほらリビングのテーブルでグデってんじゃないわよーご飯食べたらのいたのいた」ゲシッ!!


男「いって、それがダンジョンで死闘を繰り広げた息子に対する態度かテメェ」


母「ランク2くらいで死闘繰り広げるんじゃまだまだよのーホッホッホ☆」

男「うぜぇー……そいやアンタもダンジョン行ってたんだよな。ランクはどんくらいなんだ?」

母「んー72くらいだったかなー☆」

男「あーはいはい。俺がそんだけ凄い探索者の息子なら今頃お城みたいな豪邸でバスローブ着てブランデー片手に佇んでるわ」

母「アンタそんな願望あったの?引くわー」ウワー

男「生活費までギャンブルに突っ込もうとするテメェに言われたくねぇよ!!」

母「お母様に向かってテメェとは何かな?ん?」グググッ!!

男「イテテテテテ!!極まってる!!コブラ極まってるから!!」バンッ!バンッ!!
469 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 20:47:27.59 ID:LAlp/wM/0
10:30

魔少女の部屋

魔少女「今日は……【RPG】のギルドに行こうと思います」

男「あー、そいや依頼の報告もまだだしな」

魔少女「いえ……それは昨日の内に公式ネットサイト内のメールで済ませておきました。金髪さんにもギルドに依頼完了報告をしてもらってます」

男「え?メールで出来たの?」

魔少女「今の時代……何でもネットで済ませられるのです。今日は次の依頼の確認と、昨日の『バグ』とやらについてカウボーイさん達にお話を伺おうかと」

男「あぁ、プリーストさんが言ってたな。何か知ってるみたいだし」

魔少女「と言うわけで……少しここで魔力操作の特訓をしてからお昼を食べてから向かいましょう」


男「へいよー」
470 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 20:49:49.83 ID:LAlp/wM/0
13:30


ダンジョン『株式会社【RPG】』

ギルドエリア端 寂れた事務所



カウボーイ「結論からいうと、アレは昔から『バグ』と呼ばれている魔物だね。いや、『バグ』に憑かれた魔物かな?」

魔少女「『バグ』に憑かれた?……アレはそういった魔物の種類という訳ではないのですか?」

カウボーイ「例えばね?ダンジョンを1つのシステムと考えてみてよ。ダンジョンに溢れる魔力によってそのダンジョンの世界や生態系、アイテムとかが生まれてる訳なんだよね?これによって1つの大小様々な世界が生まれてるわけなのよ」

男「ふむふむ」

カウボーイ「その過程で時々魔力の循環不良だか過剰供給やらでダンジョンのシステムに不備が出るわけよ。それがそのダンジョンランクに釣り合わない強い弱い魔物や、アイテムのレア度が高いものを拾う事がある理由だね。
だけど基本的にはその不備すらシステムに上手く組み込まれているわけ」


魔少女「そこまではわかります……ダンジョンに溢れる魔力は一体何処から来ているのかやアイテムが生成される過程など、未だ解明されていないこともありますが」
471 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 20:51:37.12 ID:LAlp/wM/0
カウボーイ「まぁ地脈エネルギーの具現化だとか地球外生命体のオーパーツだとか異次元干渉とか諸説あるけどどれも眉唾モノだよねー……的を得てるのもあるけど」ボソッ

男「え?」

カウボーイ「いやまぁそれはおいといてー。ようは『バグ』ってのはそのシステムの不備がとんでもないレベルで起きた状態ってところかな。
それによってとんでもない強さや性質の魔物やアイテムが生まれる事もあって、それが今回君たちの遭遇した魔物ということ」


魔少女「なるほど……非常に強力な魔物が生まれる危険と共に、非常に強力なアイテムが生まれる可能性があるんですね」

男「でもあんなバケモンがいるなんて聞いたことないぞ?倒しても倒してもより強くなって復活するなんてよ」


カウボーイ「そりゃあそうさ。『バグ』の存在、特に魔物のバグの存在はダンジョン協会によって、キツーく情報が封じられているからねー。
昔は世界中で年に数回レベルだったけど最近は発生件数が急増してるから大変そうだけど。
もしかしたら、近いうちに君達のところにも協会の人間が来るかもね」
472 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 20:55:46.43 ID:LAlp/wM/0
魔少女「余計な混乱を……避ける為にですか?」


カウボーイ「そーいうこと。大体あのレベルのバグに遭遇することなんざ宝くじ2等くらいの確率だからね。君達オートマタの件と言い凄い運だねー」

男「今回は運が悪い方に振り切れてるけどな。というかあのレベル?バグにも種類があるのか?」


カウボーイ「あるよーいっぱいねー。魔物にもアイテムにも、バグにはその性質毎に分類されてる。全部で22種類。タロットカードの大アルカナで例えられてるよ」


魔少女「タロット……ですか?」

カウボーイ「そ。ジ○ジョとかハウスオブ◯デッドとかで有名でしょ?『世界』とか『星』とかさ」

男「アレって占いだろ?」


カウボーイ「そのとーり。でもこの世界の様々な事象はこの22種類のアルカナで表せられるっていうからねー。
ちなみに君達が戦ったのは『審判』の性質を持つバグかな。再生・復活・変化を司る上位クラスのタチの悪ささ」

魔少女「もしかして……元々の魔物の強さにそのアルカナの性質が加わるんですか?だとしたら元々強い魔物にそんな性質が加われば……」


カウボーイ「そーだねー。仮にランク60くらいの魔物一体に『審判』のバグが発生したとしようか?」


カウボーイ「その時は中堅国家レベルの武力でようやく対等ってところかな」

男「……マジ?」


カウボーイ「結構マジ。ちなみにもっとヤバイ『バグ』は何種類かあるからね?そしてさっきも言ったけど発生頻度は急増している。バグアイテムの恩恵も凄くなるけどその辺気をつけて今度からダンジョンに潜ってねー」
473 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:02:02.47 ID:LAlp/wM/0
東京 新宿

ダンジョン『無限城』

ランク『60』(日本第三位)


総面積18.23?の現実の新宿を元にした様な空間固定型のダンジョン。
永遠に明けない夜の空に建ち並ぶ塔のような城のような高層ビル群の数は現実の十数倍の数になり、そのビル1つ1つが難関ダンジョンといってもおかしくない程の構造となっている。それ故、探索範囲は縦にも広く、総探索面積は世界でも100位内に入る。

そして現実で建物が1つ増える毎にダンジョン内でも新たな建物が生まれ、無限に増えていく事から『無限城』と名付けられた。




474 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:06:19.06 ID:LAlp/wM/0
15:00

『無限城』
歌舞伎町エリア『不夜城』最上階


兄「いやー、やっぱ強ぇーなーこのダンジョンの敵は。流石に疲れた」フゥッ

一息ついたように座り込む剣士の足元には、3m程の大きさの金剛力士像のような石像の魔物が横たわっている。
ランクは50後半。文句無しに伝説級の魔物だ。


魔術師「ねーねー、どうしてボク達こんなダンジョンにいるのかな?なんでわざわざジャパンまできてこんなシンドイダンジョンに潜ってるのカナ!?」イライラ


地上でいう歌舞伎町エリアにそびえ立つ十数棟程の高層ビル。それらを1つの城と見たて、眠らない街・歌舞伎町にちなみ『不夜城』と名付けられている。
ジーパンにスニーカーに灰色パーカーとその辺のコンビニにでも行くような格好をした剣士と、赤毛の目立つ異国の魔術師の少女はその最上階にいた。



兄「まぁそういうなよ。久しぶりの実家帰りなんだ。軽くお土産代くらいは稼いどかないと」

魔術師「ここランク60超えのダンジョンだよ!?そのモンスター1体倒すだけでどれくらいお金入ると思ってんの?もう小さな都市の年度予算くらい分は、ここに来るまでに倒してきたんだケド!!」

兄「まぁまぁ、折角ここまできたんだ。せめて目の前のアイツを倒してから地上に戻ろうぜ」スッ……


剣士はゆっくりと立ち上がり、手に持った剣を担いで前を見る。

鎧武者『…………』チャキッ……
475 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:11:21.81 ID:LAlp/wM/0
そこには何百本もの武器がそこら中に突き刺さっており、圧倒的な威圧感を出しながら、これまた伝説級と思われる日本刀を構えた鎧武者の姿があった。
恐らくこのエリアのボスだろう。漂うオーラがこれまでに倒してきた魔物と違う。

魔術師「うわー……あの刀あれだよ絶対凄いお宝だよートレジャーブックでみたよー多分国宝級なんてもんじゃないよー」

兄「お、マジか。売ったら空港で高そうなお土産買って帰れるかな?」

魔術師「そうだネー空港で飛行機くらいなら2〜3機買えるんじゃないカナー」アハハー

兄「いや飛行機は持って帰れねーだろ」ハハハッ

魔術師「それくらい凄い刀ってことダヨ!!ほら来るよ!!」

魔術師の注意とほぼ同時に、武者が手に持った刀を横一文字に振るう。

ただそれだけの事であった。


…………ィ……ン…………


魔術師「ッ!?空間ごと斬れテル!!伏せて!!」バッ!!

兄「おっと」バッ!!


斬ッ!!!!!!


鎧武者「…………」


2人がその場に伏せた一瞬後に、周囲の何もかもが横一文字に斬れた。

文字通り何もかも。
2人が伏せなければ2人共真っ二つになっていただろう。
476 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:16:26.21 ID:LAlp/wM/0
兄「危ねぇ危ねえ。流石超絶チート特性持ちの空間の申し子、目に見えない空間の断裂もわかるんだなー」

魔術師「一瞬空間に干渉する音が聞こえたからネ!!ほら、アレが目に見えるように魔法をかけるよ!!あと君にチートだなんテ言われたくナイ」


あらゆる物質には硬度がある。
しかし、それが存在する空間自体を斬ってしまえば硬度など関係ない。文字通り斬れぬものの無い技である。

本来、その空間の断裂を目に見ることは不可能だが、この赤毛の魔術師。
自身の持つ特性を抜きにしても、空間を操る魔術に関しては恐らく、最高難度のダンジョンの魔物などを合わせても、この世で5本の指に入るだろう。
もちろん人間ではぶっちぎりのトップである。


兄「うっし、これで攻撃は見える。あとはどの剣にするか……空間系ならやっぱコレかなー」ブゥンッ……

剣士は手元に小さな魔法陣を作り出し、持っていた剣を納め、新たな剣……いや、刀を取り出した。


兄「タラララッタラーーー!『次元とおー』」

そして、某青いロボットの真似をしながら刀を構える。

兄「コレを使えば空間を斬ることが出来るんだーー。……コレで武器の条件は互角だな」スッ……
477 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:20:08.96 ID:LAlp/wM/0
魔術師「『フィジカル・アルティマキシマム』!!」

魔術師が、剣士に最高クラスの身体強化魔法を使う。コレも世界に使える者は20人いるかいないかと言われる魔法である。

魔術師「あとは君の仕事ダヨ!!とっとと終わらせてスシ食べに行くんだから!!」


兄「わかってるって!最高に美味い寿司を奢ってやるからさ」ブンッ!!

鎧武者『』ブンッ!!

剣士が刀を振った瞬間、何十もの空間の斬撃が放たれ、武者が刀を横一文字に薙いだ瞬間、一筋の空間の斬撃が放たれる。


ギィィィイイイインッ!!!!!



衝突した斬撃は互いに打ち消しあい、凄まじい衝撃波と共に消滅した。

魔術師「ワオッ!?たった一撃でこっちの攻撃全部かき消されたヨ!!」

兄「ま、簡単にはいかないみたいだけどな」
478 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:21:52.88 ID:LAlp/wM/0
同時刻

ダンジョン『株式会社【RPG】』

公園エリア 第12運動公園


男「はぁー、ただでさえ金策に追われてんのにあんな話聞かされたら怖くてダンジョン潜れねぇよ」

魔少女「確かに……バグは脅威ですが、遭遇する確率はとても低くそこまで気にしなくてもいいのでは?何しろ宝クジ2等レベルだそうですから」

1つの都市丸々ダンジョンの中に持ち込んだようなココでは大きな公園などもある。
自給自足出来るように農業用に作られた、このダンジョンと繋がっている別のダンジョンもある。
万が一地上で何かあっても、100万程の人間が避難生活を無理なく過ごす事が出来るくらいだ。
実際過去に起きた大災害での避難民がここに辿り着き、その何割かはそのままこのダンジョン内で職につき生活している程だ。

まぁそれはともかく、2人はバグの話に不安を抱きながらも残り700ゴールド程のオートマタ引き取り代金をどう工面するか考える。
479 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:23:32.49 ID:LAlp/wM/0
男「あと一週間あるんだから地道に地元のランク1ダンジョンで稼いでいけばいいんじゃねぇか?」

魔少女「それでは……私や先輩の成長には繋がりません。普通のアルバイトをやっていた方がよっぽど健全です」

男「手段はこの際何でもいいだろー。まずはあのオートマタを引き取る。そんで問題なく動くようだったら3人で。何だったら金髪も誘って4人でガンガンダンジョンで経験を積む。それでいいんじゃね?」

魔少女「んー……確かに無理をして怪我するよりそっちの方が確実ですが……面白いですか?それ」

男「あ、ホントだ。全ッ然面白くねーや。やっぱりランク2のダンジョンにするか」

魔少女「ダンジョン協会で……ランク更新の試験をするというのもアリです。ただ今の先輩の実力だとランク3でもギリギリかと」

男「え?俺そんなに弱そう?」

魔少女「弱いというか……まだまだダンジョン探索に慣れていないのでしょう。魔力の使い方といい危険察知力といい危なっかしいです」

男「へーへーそりゃどーも。……しっかしアレだな。この東京にはランク60超えのダンジョンとかもあるんだろ?」

魔少女「はい……新宿の『無限城』ですね」

男「一体どんな人がそんなダンジョンに入れるんだろうな」

魔少女「それはもう……天才なんて言葉では言い表せないくらいケタ違いの探索者ですよ。最も世界中でも3ケタいるかどうかですが」
480 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:31:46.45 ID:LAlp/wM/0
無限城
歌舞伎町エリア『不夜城』最上階


兄「おりゃりゃりゃりゃぁぁあああ!!!」

ギンッ!ギンッ!!ギィンッ!!!

戦闘開始から10分ほど。

剣士と武者は互いに傷1つ付かないまま、互角の戦いを繰り広げていた。
周囲は互いに放つ空間の斬撃によりメチャクチャに。というか、不夜城の外壁や天井が斬り崩され、空に浮かぶ満月が最上階の2人の戦いを照らしている。


魔術師「オーイ相棒ー。そろそろボクの助けがいるんじゃナイ?」

兄「バカ言ってんじゃねーよ、まだまだこれから……アブね!!」バッ!!

壮絶な斬り合いの中、剣士は笑みを浮かべながら武者の攻撃を避ける。

魔術師「ほらー危ないジャン!せめてアレを使わないと普通に死んじゃうヨー」

兄「あー確かに同じような武器1本で勝てる相手じゃねーな。しゃーない……」スッ……

剣士は空間を斬り裂く次元刀を、出した時と同じように魔法陣に納める。


鎧武者『……』



兄「鎧武者さんよー。アンタめちゃくちゃ強いからさー……ちょっと本気でいくわ」ブゥンッ!!


その直後、剣士の周囲にいくつもの小さな魔法陣が現れる。
その数12。
481 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:36:07.59 ID:LAlp/wM/0
魔術師「出たネー、アホみたいなチート特性。いや、特性はチートではないカ」

兄「『十二人の英雄(ゾディアック)』」ガシッ!!

ブンッ!!!

その魔法陣の内の1つから一本のロングソードを取り出し、引き抜きながら武者へと剣を振るう。


武者『ッ!?』カッ!!


ドォォォォォォォォォオオオンッ!!!!!


次の瞬間、爆炎が武者の目の前で生まれ、そのまま武者を吹き飛ばした。


兄「『炎龍の剣』……ランク50の魔物、炎龍を武器召喚した剣だ。斬れ味もスゲーけど能力がもっとスゲーんだよ。どこでも爆発させられるって感じのヤツ」ブンッ!!

再び剣を振ると小さな爆発が剣士の側で起こる。


魔術師「『十二人の英雄』……まぁ言ってしまえば、単なる事前に登録した武器の転送魔法陣での出し入れなんだけどネ。桁違いに反則なのは、それで魔物の武器召喚も出し入れ自由っていうのと……」

兄「まぁ流石にこれ1本じゃ勝てないだろうからさー」ズズズズッ……

そして、他の12の小さな魔法陣からも剣が出てくる。

それらは、今剣士が持っている『炎龍の剣』と全く造形が同じなロングソード。
それが12本。


武者『……』スッ……

兄「だからコレ12本同時に使わせてもらうわ。これならさっきみたいにやられっぱなしにはならねーだろ」


魔術師「魔法陣の数と同じ12本までなら同時に出し入れ可能。自由自在に武器の同時操作も可能。更に登録したのと全く同じ武器の複製も12本まで可能ってネ。反則能力にも程があるヨ」ハァッ……



ゆっくりと立ち上がる武者に、魔術師は憐れみの視線を送る。


相手が悪かったネ。と。


その瞬間、ダンジョン無限城の空を爆炎が覆いつくした。
482 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:39:13.47 ID:LAlp/wM/0
…………


兄「ふぃー、やっぱ魔法使うと疲れるなー」

魔術師「カツカレー。やっぱ君が使うとチートだネ。特性『クローン』」


クローン。
自身が発した魔法を複製させる特性。
ただそれだけの特性。


兄「チート言うなよ、アレは努力の賜物ですー」

魔術師「まぁ、単純に言えば1つの転送魔法陣を12個に複製させたダケだもんネ。その機能とその機能込みでの複製数がチートなだけデ」

兄「お前みたいに色んな魔法が使えるわけじゃないからな。1つを極めるしかないんだよ」

魔術師「ボクだって頑張って覚えたんだヨ!!ほら、早くアイテム拾ってスシ食べよ!!」

兄「はいはい。あの刀はどこかなっと……お?」



爆炎による煙が晴れようとしている中、剣士が武者からの戦利品を探していると、煙の向こうに蠢く影を見つける。



兄「げ……もしかして『バグ』持ち?」

魔術師「えーーー!?ウソでしょー!?」


煙が晴れると、そこには片膝をつき、腰の鞘に刀を納めた鎧武者の姿があった。


鎧武者から発せられる禍々しいオーラは、更に強烈なモノになっている。バグによるパワーアップだ。
483 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:42:33.83 ID:LAlp/wM/0
バグ・鎧武者『……強……き……者よ……』


魔術師「喋っタ!?やっぱりバグだヨ!!えっと性質は……正位置の『正義』!!」


魔術師が指を輪っかにして鎧武者を覗くと、バグとして付与された性質を剣士に伝える。
『スキャン』と呼ばれるそれなりに難易度の高い中級魔法で対象の能力を視認する魔法なのだが、魔術師クラスの実力者となると指の輪っかから覗くだけで使用出来る。


兄「正義ってーと、確か公正・公平とかだっけか?あ、やべーなコレ」


正義・鎧武者『今……一……度……』ブゥンッ……




『正義』

タロットにおいて、公正・公平、均衡を司るカード。
バグを付与されたダンジョン魔物においてその性質は



兄「うわー出たー!!俺の『十二人の英雄』パクりやがったよ!!」

魔術師「一撃でも凄かっタ空間の断裂をプラス12本ノ刀で撃つとか……ちょっと冗談キツイヨー」



自分を倒した相手の技を完全にコピーする。




正義・鎧武者『今……一度……我が魂の一刀を!!!』チャキッ!!

剣士が先ほど使用した12の転送魔法陣がそっくりそのまま鎧武者の背後に描かれる。
それぞれの魔法陣からは鎧武者の持つ空間を斬ることの出来る刀が現れ、同時に鎧武者は腰の刀に手を添える。

どうやら剣士が構えるのを待っているようだ。
1対1の、全ての力を込めた決闘を行う為に。
484 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:45:49.29 ID:LAlp/wM/0
魔術師「……どうスルー?ボクが代わろッか?」

兄「いや、アイツは俺を御指名だ。真っ向勝負で逃げたら男じゃねーだろ」ブゥンッ!!


剣士は武器を1番最初に使っていた次元刀と呼ばれる刀に変える。
そして、鎧武者と同じように腰に構えた。


兄「魔術師、合図頼む」


魔術師「ハイハイー。……スシが待ってるんだかラ、負けちゃダメだよ」ピィンッ!!

どこからか硬貨を取り出した魔術師が、指でその硬貨を宙に弾く。

兄「わかってるっての」


そして、硬貨が地に着いた瞬間






正義・鎧武者『いざッ!!!!!!』キィンッ!!!



鎧武者の全てを断ち斬る空間の斬撃が、転送魔法陣と合わせて13発、逃げ場の無いように放たれた。

一撃でも剣士の放った複数の斬撃を押し退ける程の渾身の斬撃。
バグによって更に強化し、それを13発同時に放たれ、既に勝敗は目に見えていた。









兄「悪ぃ、武者さん。13発じゃちょっと足りねーと思うわ」


剣士が集中し、ゆっくりと刀を抜く。


兄「『無限刃』」ブンッ
485 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:49:13.93 ID:LAlp/wM/0
正義・鎧武者『……見事也……』サラァッ…………

剣士が斬撃を放ったと同時に、鎧武者の姿は粉々に刻まれていた。

兄「残った魔力分、ぶち込んでやったんだ。満足しただろ?」チャキッ


剣士は刀を鞘に納め、魔力を使い切ったかの様に思いっきり息を吐き出した。


魔術師「おつかれサマー。何発撃ったの?」


魔術師が、魔法で濡らして冷やしたタオルを剣士へと手渡す。


兄「えーっと元の斬撃が5発で、そっから12かけて、更に12かけて、もひとつ12かけて、念のために12かけて、ダメ押しで12かけて……10万くらい?」フキフキ

魔術師「ウン、124万4160発だネ。最後の1回は増やサ無くても余裕だっタだろう二」

単純な話だ。

自身の発する魔術を複製する特性、『クローン』。
それで、増やした斬撃を更に更に更に増やしたのだ。
そして文字通り無数とも見れる空間の刃を受け、鎧武者は粉々に霧散した。
ただそれだけの事。
倍々ゲームに増えていく膨大な消費魔力と、発動させるタイミングと針に糸を通すどころではない魔力コントロールを斬撃全てに行き渡らせる事を除けば実に単純な話だ。
486 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:51:53.05 ID:LAlp/wM/0
兄「バーカ、相手の文字通り最後の一撃なんだ。コッチも全力でやらねぇと殺されるっての」チョンチョンッ

そう言って剣士は自身の右肩を指差す。
そこは血で真っ赤に染まっていた。
百万の刃でも、鎧武者の斬撃を完全にはかき消し切れていなかったのだ。

魔術師「OH……チョー痛そー……後で完璧に治してあげるヨ」

兄「いや、血ぃ止めるだけでいいや。こういうのは戒めとして残しとかねぇと。このパーカーはもう着れねぇな」ヌギヌギ


剣士が、着ていた灰色のパーカーを脱ぐと、そこには身体中傷だらけの姿が現れた。
全て、強敵と戦い受けた傷だ。
その気になれば魔術師がいつでも綺麗サッパリ治す事ができるが、あえて痕を残すのは傷を負った自分の弱さをいつでも確認する為だろうか。


兄「さてと、鎧武者さんの刀と……お、魔石GET。ボス級でしかもバグ持ちの魔石なんてツイてるなー」

魔術師「きっとカレーも満足したんダヨ。で、それどうするノ?売るの?」

兄「まさか。この刀にそのまま魔石ぶち込んで強化してやろうぜ。持ち主のなんだから相性抜群だろ」

魔術師「はぁ……加工代でこのダンジョンの稼ぎ殆ど持ってかれそうだネ」

兄「それでも土産の茶菓子代と寿司代くらいは残るだろ。ほら、行こうぜ」

魔術師「ワーイ!スーシ!スーシッ!!」
487 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 21:58:18.85 ID:LAlp/wM/0
20:00


剣士と魔術師はダンジョンを脱出した。


戦利品を換金して1100万ゴールドを手に入れた。
鎧武者のドロップ武器『空切丸』を手に入れた。
鎧武者の心を手に入れた。
空切丸に鎧武者の心を取り付け加工を依頼した。



最高級加工屋の偉い人「あの……当店はこの国随一の加工店の看板を掲げさせておりますが……こ、これ程のクラスの武具に更に貴重な魔石を加工するとなると時間はともかく加工費用としてもかなりのものになりますが……」

兄「そこをなんとか」




加工屋の偉い人の顔が青ざめた。

加工代として1500万ゴールド支払った。

魔術師「ちょっと!!!ものっスゴイマイナスになってルじゃんか!!!」
兄「アッハッハッハッ!!やべーどうしよう」
魔術師「ウゥ……今月も赤字ネ。私のフトコロスッカラカンだヨ……」

魔術師は魔法のカードで残りを支払った。




剣士と魔術師は回る方の寿司屋でたらふく寿司を食べた。
魔術師はかなり満足した。
剣士は60ゴールド支払った。

兄「あ、やっべ。実家までの交通費計算してなかった。今日はもう無理だな」

魔術師「何で君はソウ、ちゃんとまとまったお金を持ってないのカナ!?」

剣士と魔術師はネットカフェで一夜を過ごした。
488 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 22:01:36.87 ID:LAlp/wM/0
同時刻


男「ふぅー、新しい簡単な依頼も受けたし魔少女にこっぴどく特訓させられたし今日も疲れたなっと」


母「何かお兄ちゃんが明日帰ってくるってー」


男「兄貴が?久しぶりだなー。今どこいんの?」


母「東京のネットカフェだって」


男「……兄貴って若手トップだから結構稼いでるんじゃなかったっけ?」


母「連れの外国の子と寿司食べすぎたら交通費足りなくなったんだってー」


男「あーなるほどな。回らない方で食い過ぎたのか」


母「回る方だってー」


男「……何か夢がないなー……」ホロリ……


10日目 終了
489 : ◆A.DGm5tRfU [saga]:2018/06/21(木) 22:03:47.60 ID:LAlp/wM/0
投下終了です。
久々投下は兄貴回でした。ではまた。次は近い内に投下しますのでー
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/21(木) 22:05:25.40 ID:NEfamzRBO
キターーーーー!!!
ずっと待ってた!!
乙!乙!
また待ってる!!!!
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 19:01:00.84 ID:dOyGoHUA0
待ってた
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 12:07:15.20 ID:Hb6zd3rao
来てたのねーヤッター
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/25(木) 01:37:35.01 ID:XBl9jsKA0
保守
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 20:22:43.68 ID:CxqJh+kd0
保守
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/07(火) 23:27:43.63 ID:GyzF4ORy0
保守
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/23(日) 13:34:38.79 ID:POwUjrKV0
保守
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/28(水) 20:57:13.36 ID:2/hjjhyj0
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