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召喚術師「安価で修業する」
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779 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/19(木) 21:18:37.54 ID:mFbqkqy00
某家の土蔵的な事になるんだろうか?
780 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/04/26(木) 13:31:24.85 ID:AhmUSqCCO
戸建てが並ぶ静かな住宅地に師の家はあった
時折 散歩する老夫婦やボールで遊ぶ子供らなどと行き違いながら 区画を隔てるだけでこれだけ様変わりするものなのかと舌を巻く
住み居心地は良さそうだが
今 居心地良いかといえばそうではなかった
ヒソ ヒソ
「ねえ見て……見て あれ」
「亜人? ピストル持ってるぞ 若い賞金稼ぎかな」
「ええっ 犯罪者が逃げ込んできてるとか?」
「嫌ですよお父さん 戸締まりしっかりしなきゃ……」
「この辺は警察官もよく回ってくれている 心配しなくても大丈夫だよ」
半鳥「……すごい警戒されてるなぁ」
半鳥「でもこんだけ平和なとこだし 堂々とさげてる亜人ってだけであれなのかなやっぱ」
視線を感じつつ目的地へ到着 他の家とさして変わらない一軒家
家主がそれなりに稼いでいることがパッと見で分かる 広いは広いが辛うじて一人住みで手を入れられないこともなさそうな二階建て
想像とは違ったが それでも田舎の鳥娘からすれば十分にデカい家だった
半鳥「おおう庭あるし木ぃ植わってる ……ここの辺みんなそんな感じだけど」すげえ
ノックする 出ない
もう一度ノックする 反応無し
蹴ってみるか考え始めた辺りで横の呼び鈴に気付いた
鳴らす
出ない
半鳥「………………」
鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす
出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない
半鳥「…………教授ーっ! 教授 いないのーっ?」ドンドンドンドン
半鳥「むゥーかァーえェーにィー来ィーまァーしィーたァー! 面倒見てくれないとグレるぞ師匠!!」
半鳥「週刊紙に"サモナーをよく知る人物・H氏"のインタビュー載っけたくなかったら連絡ちょうだい!」
半鳥「……」
出ない
小金を稼ぐ方向で決まりかと背を向けた時だった
勘
居る
ドアに鍵はかかっていない?
ガチャ
半鳥「……流石私 教授ー?」そろり
半鳥「!」
玄関ホールに足を踏み入れた途端 異様な気配が噴出した
魔力の残滓だけではない 様々なものが混ざったような濃厚な――――なんと形容したものかと思い直すが
ハーフィにはどうでも良い とにかく未熟者にも感じ取れる残り香があった
漏れずにいたのは扉がそれを封じ込めていたのだろう その辺りの細工は面目躍如といったところか
いつの間にか抜いていた拳銃の撃鉄を起こし
リビングへのドアを押す
781 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/04/26(木) 14:48:39.43 ID:AhmUSqCCO
一角に客間を備え 暖炉を中心として 品に過不足ない家具調度は色合いを暖色で纏めている
人を呼ぶにも一人で過ごすにも合わせられそうな印象を受けた 適度に広く落ち着いたリビングだったのだろう
今は違う
空間を演出していた家具は その悉くが 捲られたカーペットごと壁際に追いやられていた
剥き出しになった床は中央にだけ大理石が嵌め込まれている
磨き込まれた光沢を湛える冷たい白亜の上に はたして家主は立っていた
術師「――――――……」
背を向けて棒立ちする師に あれだけ騒いだハーフィはすぐに話しかけることができなかった
硬直した手は拳銃を収めたがらない 撃つ気はない
撃つ気はないが引き金に指がかかる
沈黙はすぐに破られた
半鳥「……教授?」
術師「……」
半鳥「きょ 教授……えー、と」
半鳥「ご ご機嫌うるわしゅう?」
半鳥「(私は何を言っているんだ……)」
術師「……ハーフィか」
半鳥「教授 あはは 聞こえてないのかと思った」
術師「聞こえてはいたさ 初めから」
二の句まで間があった
術師「このアホが」
半鳥「あー えへへ」ビクッ
術師「随分と騒いでくれやがったな 何がインタビューだ んなことしてみろ」
術師「速攻で握り潰して村に叩き返してやる 土産つきでな 図に乗るなよ」
半鳥「冗談だってば……」
そう返しはしたものの 師の口振りからはどうにもいつもの余裕が感じられない
本気で気分を害したのかと不安になり歯切れが悪くなるハーフィ
ここでやっとサモナーが体を向けてくる
背格好と声だけ似た別人だったらどうしようなどと一瞬考えたがその線は外れた
胸を撫で下ろしかける
術師「何をしてる?」ジロ
半鳥「え? あっ」つ拳銃
半鳥「や ほら なんかタダゴトじゃない感じがしてましたので……つい」スチャ
術師「……」ピク
サモナーが身動ぎした
魔力が渦を巻く
術師「……待て……待て 待ておい」ブツ
術師「どうしてそうなる? 物の数じゃないことくらい分かるだろうが ……クソ」
術師「ちっ 神経質なアザだな」
782 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/04/26(木) 16:29:28.78 ID:5i/y7XO7O
半鳥「どうしたの 教授……」
術師「ハーフィ」ビキ
また間が空いた
魔力の気配の嵩が増す 今度はハーフィも感知できた
励起されたそれは魔法発動の前兆
師が歯を食い縛ったまま続ける
術師「頼みがある」ス…
半鳥「……頼み」
術師「今 帝都で――――」ガシ
サモナーは奇妙な動きをしていた
魔法陣を描こうと動きかけた腕を もう片方の手で思いきり掴んで押さえている
術師「…………帝都で……」ギリ
半鳥「ねえ それ 手……何してるの?」
術師「大規模な儀式魔法の準備が 帝都で進められている ……いや儀式"魔術"か」ギギギギギギ
術師「この儀式魔術を妨害し 術者を無力化するんだ……」dRaw cccccCcCii
半鳥「儀式っ……む、無力化って ちゃんと説明してよ!」
術師「聞け」summon CHAIN
ジャララララララララララ ギシィッ
半鳥「(自分の腕にっ――)」
術師「時間と余裕がない 今私は半身でお前を殺そうとしている」グギギギギギギギ
半鳥「はァ? なんでっ!? 意味分からないよ全然!」
術師「いいから聞け! ただでさえズタズタなのに――――」
術師「抵抗しながら話してるだけで 気をやりそうなんだこっちはッっ……ッ」ギリギリギリギリ
半鳥「ええ……?」
術師「……Jには既に非常事態を伝えてある 昔 ヒットマンが格好良いと思ってた頃作ったヤツで」draw circle
術師「手伝いをつけよう……事情の説明は……ついでに陣へ書き込んどくから心配するな」ス ス
術師「グ 勝手に書き換えようとするんじゃないッ……言うことを聞け クソ」circle ready
喚び出しの基部となっている魔法陣の方を動かし 腕を戒める鎖を操り糸にしてなんとか召喚陣を描き上げる
宙空に幾何学の光芒が現れ そのまま発動させようとしない
陣を一つ組んだ時点で異変は激化
蒼白となった顔に幾条もの血管が浮き走り 嫌な汗が吹き出す
明らかに尋常ではなかった
術師「使え」drAw ciRcLE
半鳥「その召喚陣? だ 大丈夫なの……?」
術師「問題ない まだ」
半鳥「っ……」バチッ
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
術師「では行けハーフィ」
半鳥「行くってまだ召喚中……ていうか魔力スゴい持ってかれるんだけど何これ!」
半鳥「すぐは喚べないよ 行くってどこに!」
術師「当然敵のいないところへだ 逃げるとも言う」summon
術師「殺すつもりでやるだろうからそのつもりで」equip PROTOTYPE IMPERIAL-DEVICE
半鳥「逃げるって 教授から!?」バッ
術師「死なんでくれよ」SPEAR FORM
783 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/27(金) 15:31:58.45 ID:AfbUXPxN0
乙!
って、あわわわ……かなり激マズな事になってるんじゃないですか?コレぇ……一体何処にある(もしくは居る)何をどうすりゃあ良いってんでぇ
784 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/28(土) 06:25:47.60 ID:OXuMcLhy0
何故ハーフィを殺そうという事に……?操られてる的な事なのは分かるけど。うむむ、解せぬ
785 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/04(金) 11:56:32.11 ID:wciJdeb6O
インペリアル・デバイス その試製機群の内 何名か個々人毎に独自調整を施して配られた一つがこれ
一見してただの金属製の棒
しかしサモナーが手に取った瞬間に各部が展開・変形・延長 物質化した魔力の穂先を有す槍が現れる
鎖を解き構える 彼我の間は数m 槍型デバイスは微妙に届かない
そのまま距離を詰めに来ると踏んだハーフィは反応が遅れかけた
突きが虚空へ向けその場で放たれる 届かない
違う 師は何の練達だった?
術師「(ふむ 私は運動音痴に見られていたのか)」JUMP THRUST
半鳥「ッ!!」チッッッ
動作に合わせ魔法発動 出現した陣に穂先が突き込まれる 出口はハーフィのこめかみ近くに開いた空間陣
跳躍した突きをつんのめって回避 殺意を孕む風圧が襟足を撫ぜた
掠った数本の毛髪を残像にハーフィはバック転で後退 する勢いで腹を下にしたドロップキックを扉に見舞って開く
落着点の床から追撃の槍が飛び出し 速贄にされるところを羽ばたいて避け なんとかリビングからまろび出た
はらと舞った髪が床に落ちる
半鳥「玄関っ!」ダッ
のドアを掴みにかかる 見越していた召喚陣がホールで多重展開
幾本も射出される枷付きの鎖が口を開いた鉄の蛇の如く襲い掛かった 一波目は避け切る
二階へ行ける階段が目に入って踏み出した足を 第二陣の鎖に捕まった
ガキィッ
半鳥「うぇあッ!?」shackled
ジャララララララララララ
ビィィンッ
半鳥「ひ 引き倒された ら 終 わる……!」tTttuuuuuUuuggGg
跳躍槍「 」thrust
半鳥「ぅわ!!」バッ
半鳥「(……首とか心臓とかしか狙ってこない分少ない動きでいいから 縛られても躱せてる)」draw GUN
半鳥「(教授はどー見てもノリ気じゃなかった 狙いがストレートなのはわざとなのかなコレ)」チャキ
ガゥンガゥンガゥンガゥン バギィン
半鳥「よし!」ダッ
術師「(魔法使えよ)」SummonSummonSummon
術師「(僅かな生体魔力を嗅ぎ付けて目視同然に振る舞う"こいつ"も大概だが そうでなくとも騒ぎ過ぎだぞ)」CHAIN more
ジャララララララララララララララララララララララララララララララララララ
半鳥「!! さっきより鎖が増えッ――――」ギヂィィッ
術師「(捕らえた…… 槍がいく)」ヒュヒュン
術師「(速贄になるかハーフィ? これでも抑えてるんだ 気張れ)」JUMP SLASH
半鳥「(――――循環魔力 流量解放)」
半鳥「(オーバークロック・コンセントレーション ver.H!)」cast ARTIFICIAL TACHYPSYCHIA
それは第二の血液たる
体内の魔力に向け発動する
魔法 というよりは呼吸法や歩法といった特殊技術に近い
コツを掴めば誰でもできる、普通は誰にもコツが掴めない技
彼女は"直接"教わったことで会得した
786 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/04(金) 12:33:01.73 ID:sb4+nYKaO
迫る枷の速度がどんどん遅くなり 鎖の鳴る音が鈍く間延びする
時が煮詰まってゆく
思考の処理速度を跳ね上げ 体感時間を遅くする
要は 危機に陥った人間が危機回避のために起こす"インパルスの火事場力"
これを人為的にやる 対戦傀儡が流し込む魔力を増量すれば動きが良くなるという理屈を人間で試みる荒業
普通に使えばただ全てがスローモーションになるだけ
しかしハーフィには精神の加速に着いていけるだけの身体能力があった
半鳥「(……二歩踏み込んで捻り跳び!)」evade accelerated
階段へ走る翼の亜人を魔法陣が四方八方から囲い 大銀行金庫室に設置されるような光線遮断警報器よろしく槍型デバイスが突き荒れる
一本だけの槍型デバイスでどうやってるのかは不明
魔法陣から穂先が覗く出がかりの一瞬で角度を見極め 跳ぶ
体のバネと両腕の翼で姿勢制御 滞空中に重心をズラし飛距離を伸ばす
一突きも掠らせず階段へ到達した
半鳥「(……ちょっと神経がビリビリするかな 魔力の回しを速くするだけで――――)」バッ
半鳥「(使う訳じゃないからケーザイ的だし 赤い人の言ってた通り使い過ぎだけ気を付けなきゃ)」タタタタタタ
術師「(なんだ今の? 時間操作系の魔法ではないようだ ほほう……)」
術師「(階段に差し掛かった じゃあこういうのはどうだ?)」equip THE PICKAXE
術師「(あ 死なない程度に)」summon LONG DRAGON's NECK
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
半鳥「!」ザッ
踊り場まではほんの数段 階下に大型の召喚陣が展開する
部分召喚で半端に喚び起こされたそれは ぬ と連なった緑色の巨影をもたげ
ハーフィと目が合った
半鳥「ど ドラゴンっ!?」
ロングドラゴン「 」スゥゥゥウゥウゥゥゥ
半鳥「ヤバいヤバいヤバいヤバいってそれは家の中で教授!!!」シュタタタタ タンッ
バッゴォオオオォオオンン
撃ち吐かれた炎弾が炸裂 バーベキューグリルと化す踊り場
ハーフィは間一髪三角跳びで上階へ逃れる 壁材の破片が掠めた
術師「(まだだぞ……)」
陣が駆動し召喚物の残りを迫り出しにかかる 炎弾を撃ったドラゴンが首を伸ばす
伸ばす
伸ばす まだ伸びる
破壊された踊り場に届いて尚伸びる
その体を表し過ぎた名に相応しい長大な首は 優れた柔軟性も持ち合わせ
折り返して伸び、
半鳥「ッ何あれ! あり得ないでしょ逃げろって言っときながr」クル
長竜「 」inhaaAaaaale
半鳥「」
また目が合った
787 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/05(土) 15:24:33.95 ID:eJYZC78V0
乙!
おいサモナー、ハーフィが意外とやるから、投げっぱなし系スパルタ気質なのもあって、イジメるのが楽しくなってきてるだろw
788 :
※前レス鎖と槍の描写がごっちゃになってて捕まってんのに避けてますね ミスです 槍じゃなくて鎖
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/07(月) 00:17:28.85 ID:eGHUwpbI0
789 :
超速で間接でも外したことにしてください
[sage saga]:2018/05/07(月) 00:19:06.72 ID:eGHUwpbI0
790 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/07(月) 11:36:38.87 ID:bh0l/C/BO
吸気 口の端に陽炎
超速で外した間接を超速で嵌め直した傷みも冷めやらぬ中
ハーフィの硬直は一瞬
握り込んでいた物を投げ付ける 空を切るのは硬化魔法を帯びた己の髪
数本程度ずつであれば"操れるようになった"髪の鍼
操作して軌道を調整 甲殻を避け鱗と鱗の間隙を縫って竜の眉間に計五本が刺中 これ自体には威力など無い
突き立った髪の鍼を頂点として 象られるのは五芒
竜が開口 喉奥に熾きる焦熱
術師「(それでどうする?)」チラ
術師「……お」
サモナーが床を見遣る
初撃で散ったハーフィの髪が硬化し 同じように突き立っていた
文字通り針の先ほどの五つ星を得た二つの陣が輝きだす
紡がれる魔法の気配は独特の歪みと揺らぎ 親しき空間干渉のそれ 即ち
半鳥「とんでけッ!」バチッ
長竜「――――■■ッ?」バリバリバリバリ
ドラゴンの額で極小の転移陣が起動
物体を転送する転移陣はその影響範囲を 陣から立ち上る光の柱の如く見える発動光で以て定義する
その中に居れば次の瞬間には別の陣へ跳ぶ
ドラゴンの額に光の角が見映える
ことはなく
転移魔法の輝きは額から頭蓋を通り 顎の下より貫通して上り段の一つへと差し込んだのだった
半鳥「(火の玉の芯ごと!)」
カッッッ
長竜「」stop breath
術師「こっちの陣には――」
カッッッ
鱗の一部「」s
頭蓋一部「」u
脳の一部「」m
不発炎芯「」m
舌の一部「」o
鱗の一部「」n
ドベチャッ
術師「(陣を裏向きに張って ドラゴンの頭でクッキーの型抜きをやったか)」more summon
術師「(えげつないことを考えるなサイコパスめ 終わったらうんと褒めてやらねば)」
791 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/08(火) 14:56:09.64 ID:XT5r5mey0
褒めてやるんだwww
まぁ実際、ブレス吐く寸前の竜族相手によく思い付いて咄嗟にやれたなってレベルの話だしね
792 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/10(木) 01:00:59.66 ID:mP9rZ0Th0
ドズゥン…
長竜「 」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
半鳥「よっし上出来! あとは窓探して飛んでくだけ!」タタッ
長竜「 」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
半鳥「飛んでくだけ」dash
様子がおかしいドラゴンの死体から目を背け走るハーフィ
魔力とはまた別種の奔流
白目を剥く伏竜は奇跡を呼んだか
意思ある傀儡サモナーが担う 更なる召喚は喚び出したロングドラゴンが触媒だった
階段下に開く 首の大本たる魔法陣が輝きを強め 玄関ホールで更なる陣がもう二つ出現する
術師「(程度を確認できたのは良かった これならそこまでみっともないことにはならんだろう)」
術師「(奴が来た これで少しはマシになる……さて手を講じなければならないがどーしたもんかな)」
サモナーの召喚魔法を使い始めたそれに拮抗していたため 意識を向けていなかった腕が再びデバイスを振るおうとする
"命令違反"の激痛は既に閾値を越え感覚が失せるところまできていた サモナーは説いた
術師「私の弟子は尻尾を巻いた お前がヒステリーを起こすところの驚異ないし弊害ではなくなった 元からだが」ギギギギギギギ
術師「もっとヤバいのが来るぞ もてなしの準備もしてやったんだ、集中しろ」ググググググ
術師「それでも気になるというなら任せてもらおうか ……よしいい子だ」ググ グ
術師「合わせろよ コンポスト」jump knock
恭順と取ったか強制力が緩まる すかさずサモナーは空間陣を開きデバイスを突き込んだ
狙いは二階を走るハーフィの頭
半鳥「窓 あった――――」ゴスッッ
後頭部に鈍い衝撃
デバイスの石突きが脳を揺らす 一度の反応加速の効果時間は短い
半鳥「っッ……!!」ドサッ
倒れ伏す 先程までと違い昏倒させる一撃
音と感覚が遠退く 殴られた鈍痛で酷い耳鳴りが響き リビングの召喚陣に魔力を吸われている感覚が漠然とまだ続く
故に 横へ向けた視界の半分を占める床に新たな影が現れても すぐには意識が反応しなかった
半鳥「(――――う)」
半鳥「(なに さっきのドラゴン? やば 食べられちゃうかな……)」
ペタン ペタ
半鳥「(……影が 跳ねてる?)」
影ではなかった
というか影は白かった 黒く見えたように感じたのは勘の冴えか
WPS「やあ!」howdy
793 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/10(木) 18:24:57.95 ID:K1Si3jo00
挨拶がクソ花じゃねーか!
まぁ確かに似たような性質で性格だけど
794 :
実際にヘドロくんはフラウィーをモチーフにしてました
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/10(木) 23:49:51.94 ID:mP9rZ0Th0
795 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/11(金) 12:29:37.88 ID:OrR2tXooO
半鳥「……!!」
WPS「その、顔! 漂白されてても分かってくれるなんて! 久しぶりだなぁハーフィ我が愛しの鳥肉!」
WPS「オレも会えなくて寂しかったんだァ ぐぐぐぐぐぐぐぐ」ズルルルルルル
半鳥「さ わん なあッ……」ジタバタ
WPS「ぐぐぐg」touch
WPS「ぐ?」rune active
半鳥「っ?」
ッパァァアンッッ
半鳥「!!?」ビクッ
ハーフィの脚に触手を触れさせた瞬間 弾け飛んだ
久しぶりの再会はスライムの自爆で終わった
半鳥「な なんなの……?」
「……それはオレのセリフだ……!」ウゾゾゾゾ
再会が再開
粘液片「歯が爆発しやがった……こないだの虫歯治療の時だなサモナーめ! なにが"ペットの体調管理は飼い主の務め"だ!」ネチョグチョヌチョベチョ
粘液塊「歯医者もやるとかいう傭兵を呼んで削らせた上で コーティングまで甲斐甲斐しく丁寧にやらせてたから可笑しいとは思ってたが」ヌロヌロヌロヌロ
WPS「無許可食人で炸裂するルーン 首輪かよ! こういうことだったとはァ゛ッ……!!」再生
半鳥「……」draw gun
WPS「本体の歯に施されたからもう手遅れだ……オレのカニバルライフが……ズルいぞあいつだけ……!!」
半鳥「……そうなの カワイソーにね」グイ
WPS「モごァ」ズボッ
WPS「ァてあてアてぁつんだォんアでゃれあってぅひあなあった」モゴモゴ
半鳥「何言ってっか分かんないや」ズギュゥーン
WPS「ええい」ギュバァッ
撃った 躊躇なし だが核を撃ち抜くことは叶わず
銃火が瞬いた一瞬 スライムはバケツからぶちまけられたミルクのようにばっと体積を拡散させた
かと思えばまばたきする間に拳銃ごとハーフィの腕へ収縮
そこから生成された触手が体に絡まり 哀れハーフィは白い粘液生物によって簀巻きにされた
ミルクと洗剤とチョークの体臭に包まれた人間の末路を知る身として半狂乱で暴れるが解放には至らない
握っている感触のあるリボルバーは どうやってかこれで押さえられているらしく引き金が動かない
簀巻きに触手の足が生える
シロアリ色のゴキブリっぽい足をしたウジ虫型の粘液生物がクモのように脇の部屋へと入っていく
そこがそう 例の部屋だった
796 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/12(土) 18:15:23.96 ID:3wfCWyFV0
乙乙!
シロアリ色のゴキブリっぽい足をしたウジ虫型の粘液生物 ← こいつぁまた酷く、某創作神話の存在の如く冒涜的な描写だぁ(汗
797 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/17(木) 16:42:28.61 ID:Q0trqdR1O
半鳥「放せ!!」
WPS「少し待つんだ」ガチャ
WPS「いいぜ そうら」ポイッ
ずかずか というかべちゃべちゃと書斎に侵入 スライムは勝手知ったる風で本棚仕込みの隠し棚を開きハーフィを放り込む
半ば死蔵されていた魔法関連の道具が騒々しい音を立てた ハーピィ族が華奢といえど薄い棚は割れ落ち 瓶類は幾つか割れ砕ける 小物やら本やらが落ち資料が舞い――――
WPS「一度は仮死状態で出しつけといて死蔵だとさ」
薬液 埃 古い紙の匂いが鼻腔を撫ぜる
半鳥「いッつ このっ――――」ヒュルル バシッ
半鳥「っ ッんー! んンーーっ!!」gag
WPS「あの首長肉を倒すとは流石だなァハーフィ ぐぐぐぐ 熟成が進んできたようで嬉しいぞ」close door
WPS「それならおかしなことになってたのも気付いたハズ 静かにしろ」shhhhh
半鳥「ンンンーーーーっっ!!」ジタバタ
WPS「オレは喰わない 喰えない 見ただろ! また簀巻きだなこれは」ズュルルルルルル ギチィ
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
半鳥「(召喚反応 それもかなりデカいやつ……!)」ピタ
WPS「応援を呼んだのは聞けたのか?」ゴソゴソ
半鳥「 」首肯
WPS「Jな もう近くまで向かってきてるのだ 明確な目的を持って呼んだという時点で既に引っ掛かってるだろうが……」ガチャ ゴト ガサゴソ
潜めた声で喋りながら 荒らした棚を探るスライム
WPS「全くクソ飼い主めどこにある? ……引っ掛かってるだろうが……あー……多分見た瞬間に殺り合うことになる "奴"は手段を選ばない……」
WPS「息苦しいか 騒ぐなよ」ユル
半鳥「ぷはっ ねえ ねえちょっと待って」
半鳥「なんで……生きてんのとかは後で聞くからいいよ 今は後……」
半鳥「教授 どうしちゃったの?」
WPS「サーヴァントになった」
半鳥「…………さ サーヴァント(奴隷)?」
WPS「頭にデミがつくけどな ぐぐぐぐ」
798 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/17(木) 16:43:48.43 ID:Q0trqdR1O
半鳥「亜人ってこと? 私達みたいなデミ・ヒューマン? 普通に純人間の帝国人でしょ教授は」
半鳥「の 奴隷? えー待って意味不明……」
WPS「降霊魔法のかなり上等なやつだと この場合は神降ろしと言えば伝わるかも知れんとも」
半鳥「! 巫女さんの必殺技でしょ 私の村にあるよ分かる」
WPS「必殺技ぁ? ぐぐぐぐ お」find
WPS「見付けたぞ 話は後だな」チャプン
半鳥「?」
スライムが目当ての物を見付けた ラベルの貼られた小瓶 割れていない
ぬらつく触手で取り上げると 触手の先端がワームの口吻のように開き そのまま蓋も開けず飲み込んだ
何らかの薬液入りの小瓶だった これでスライムは能力として薬効を獲得したことになる
嚥下したばかりの触手がハーフィに向いた
WPS「ぐぐぐぐぐぐぐぐ」spray
吸収 分析 獲得 精製 麻痺毒と睡眠薬の混合薬液であることを把握する
どこぞの薬学教授が作り出した特製の魔導薬であった
手に入れたそれの濃度を調整し噴霧
半鳥「!? 何し」バッ
半鳥「た……」クラ
半鳥「……の……」ぐて
あっという間に全身が弛緩し昏睡 用途の気になる出来と効き目である
隠し棚の奥へとハーフィを押し込み スライムも後に続いて棚を閉ざす
どういう訳か内側からも閉められるようになっていた
799 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/17(木) 16:51:31.59 ID:Q0trqdR1O
大至急の呼び出しを食らった客人が到着
路肩に愛車を停めた
開け放たれている玄関に入る
リビングへ 姿を認めるや、立ったままのサモナーはヤバい顔色で不敵に笑った
術師「遅いぞ」
J「これでも急いできたんだ みんな君みたいだと思わないでくれ 友よ」
J「トラクター売約?」
術師「滞りなく 次は讃美歌にするか」
J「問題はリクエストを読んでくれるかということになるが」
術師「帝都魔法大学教授 帝国工廠魔導部門顧問魔術師団筆頭 歩く大量殺戮破壊殲滅蹂躙民族浄化兵器 二足歩行猫 他多数」
術師「立派な肩書きの数々にハガキ職人を加えてみる気はないか?」
J「今までで最高の肩書きじゃないか」
術師「ネタはいくらでもある」
J「残念ながら 刺激的な話の殆どは部外秘なんだよ」cast AURA of VIBGYOR
術師「目立ちたがりが話放り込むような所に本物を供することもなかろう 脚色脚色」summon HYDRA's HEAD
極光を放つ戦術級魔法 即応待機魔力塊が展開
幾重にも補助魔法陣が接続 召喚魔法陣が多重起動
Jは一瞬考えた
J「(基本クソ忙しいこの私に それを分かっていながら――――)」
J「(暇潰しの果たし状なんかに緊急招集の合図を使ったのかい サモナー?)」
J「(その割にはなんというか……)」cast CHAIN RUNE
術師「行け」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ
両手にそれぞれ 触媒のツルハシと槍型デバイスを携え サモナーがけしかける
傍らに引き寄せた特大の魔法陣三基から召喚されたのは漆黒の巨影 血色の眼光は六つ 打って変わり焼き付くされ炭と化した家々のような闇色 光を吸う邪悪な竜鱗
ロングドラゴンに多大な魔力を与え進化させた多頭の魔竜
種をハイドラ
ヒドラ首s「GRRRrrRrRrrrr……」フシュゥウウ
瘴気めいた吐息が床を這って漂い
Jが纏う 輝く魔力塊に触れた側から掻き消える
虹色の球光が輝きを増した
J「(正気ではないと)」
J「(では何べんか死なせてみるかな)」cast VX GAS
シュオオォオォオォオオオオオオオオオ
術師「(何か発動した 視認できない)」
首A「……?」クン クン
術師「! そうか匂うか 神経ガスだな?」order breath
首B&C「「■■■□□■□ーーーッ!!」」FIRE BAAAAAaaaaaaaaaaaLL
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
J「(ああ壁が……自分ちだろう君 リビングとホールがぶち抜きになってしまったぞ)」cast INVISIBLITY
首A「 ■□ っ 」グラ
術師「視界を塞がせ透明化 常套戦術だな 容赦ない」
術師「資源世界の蛮族共に使う"聖なる浄化魔法"じゃないのかこれは」gate active VACUUM SPACE
術師「クソ人道主義の穏健派とラリってる教会シンパにはそう言って売り込んだんだろ」
J『何? デバイス部隊の指針定義は上層部のみ呼んだ極秘だったぞ』
J『ブラウンと一緒に魔法組みつつ 私が一人で一生懸命考えた宣伝文句をなんで君が知ってる』
術師「見っけ」DETECTED!
summon HYDRA HEAD×2
J『あっやばい」cast SHOCK WAVE
首4&5「■■■■■□■ッッ!!!」CRUuuuuuuuuuuuuuuuuuuNCH
800 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/18(金) 06:27:32.04 ID:um8+cMBi0
ああー、デミサバ化か……そりゃまた厄介で面倒な事だわな
801 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/23(水) 17:10:15.55 ID:XS0N8OXjO
新たに召喚された双頭が位置を指示され迫る 首Dは放たれた衝撃波によって上顎を吹き飛ばされ舌と下顎だけになった
もう片方 Eはクリーンヒットならず鱗を剥いだのみ
仕留め損なったEは骨付き肉にありつく野蛮人めいて首を寝かせ 歪んだ空間に喰らいついた
硬質の咬合音
バリアーが牙を阻む 看破を受け透明化は解除
出力調整に歯を食い縛り歯列を剥き出す様は猫と言うより虎 笑みも混じればむべなるかな
なんだかんだ楽しそうなJだが 前編を描写過多によるスタミナ切れで終わらせくさった近接工兵との時のように遊んでばかりもいられない
J「とッ……ころで」ギャギリリギギギギ
J「顔色が優れないようだなあ友よ それにまたぞろヘンな魔法をかけられたと見え――――」
術師「魔術だ 二度と間違えるな」pull order
首E「 」グイィッ
J「るっ!?」グンッ
術師「あ いや 今のは気にしないでくれ 口が勝手に」cast REALITY MARBLE
J「魔法も魔術も呪術も奇跡も呼び名が違うというだけの筈だが?」cast STEEL LANCE URCHIN
術師「やめろ こいつを刺激するな」sending MP
J「こいつ?」thunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunk
首E「」ブシュゥウウウウッ
ドズン……
J「ウニの如く 外からどう見える? 新種のカクタスハイドラとかいって学会に提出するか!」
802 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/23(水) 17:11:23.58 ID:XS0N8OXjO
術師「おっと そのままだとマズいかもしれんぞ」manipulate AGREEMENT BIND CHAIN
J「(! 召喚契約拘束魔法を魔力の鎖に……)」
死首A「」connect
死首D「」connect
死首E「」connect
死首ADE「「「 」」」ググググググググ
グアァァァアアアアァアアッ
J「死霊術は好かなんだのではなかったのか!? マリオネットだ!」cast BARRIER LAMINATE
ガギィ ガギィ ガギィ
J「(バリアに噛み付いて……待て 何を開いている? このまま異界流刑でもさせる気か?)」
J「……ッうむ……挨拶も済んだことだし 要点に入ってもいいかい?」ギリギリギリギリギリギリギリギリ
術師「いいとも 手というか発動中のは勝手に動くが」
J「要件は?」
術師「助けてくれ」
J「具体的に」
術師「召喚魔法からのアプローチでかなり大規模な降霊術をやらされてる 首謀者は霊体 格は無いが非常に厄介なタイプの"英霊"だ」
術師「どうやったのか私の魔力関連神経系やら循環系やらをズタズタにして弱らせ そこへさらに英霊をおっ被せて――――」
術師「被せた霊ごと契約拘束術式の一種で命令を遵守させている 意志にまでは及ばんようだが実情は見ての通りだ」
J「ふうむ ……私を殺せというのがか」
術師「違う 偶然ハーフィも来たが同じようにした」
J「なんだって?」
術師「程度の差はあるがな 逃がすつもりだったがお前が来たんで上に待たせているよ」
術師「命令は一つ "降霊術の完遂" これも魔法が拡大解釈をしている一環なんだ」
J「つまり そいつの邪魔になる=排除しようと ああ させようとしているのか 何故我々がそうだと……」
術師「……」ニヤリ
J「…………助けを求めたからか……」sigh
術師「そういうことだな ふふふふ」
術師「持つべきものは友と弟子だなぁジェ〜〜イ 詳細はそいつに書き込んであるから後は頼むぞ まあ……」sending complete
死首s「「「 」」」ググググググググ
J「バリアごと引きずり込む気か……!」
異界転移魔法
サモナーがよく使う転移魔法陣 その極致と言える絶技
門陣が開く
それは招き入れるための魔法陣ではなかった
繋がる先は異界 そこは間違いない
おぞましい気配が邸宅に這い出てくる
陣の先に深淵が覗いた
どこまでも広がる薄暗い空間 空は無く 一枚一枚に夥しい行数の数式を書き詰め込んだタイル張りの地平線
心情風景を孕んだ魔法陣が
音を立てて侵食を始める
術師「こいつを突破するのが先になるが」
J「なんだ それは――――」
◆
803 :
※首4&5→首D&E
[sage saga]:2018/05/23(水) 17:13:49.85 ID:XS0N8OXjO
804 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/24(木) 14:40:33.80 ID:+LhZzm8s0
無限の法式……ってとこか?
乙!
805 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:24:56.60 ID:pEpxlynjO
【現在 サモナー邸リビング】
自分を収納に押し込めたスライムがいなかったことは気になったが それより魔力の装填が終わっていた方に気がいった
破壊されたリビングには発動を終了した魔法陣と
それから先客
J「やあ……ハーフィ 寝ていたのかな」ボロッ
半鳥「J教授 と……そっちの……こないだの傀儡大会みたいな格好の人は……」
J「こんな趣味の悪いマスクを被っていた奴がいたのかい?」ハハハ
黒マント仮面「趣味の悪いとは 言ってくれるじゃないか……」カポ
半鳥「いやぁそのデザインは……って!?」
ペルセウス「久しぶり よく成長しているようだ」
半鳥「ペルセウス様!」
ペルセウス「様?」
J「神話生物の気配がする よその世界の英雄か」
J「黒マントと趣味の悪い仮面以外は軽そうな若者にしか見えないが やれるか?」
ペルセウス「ふ またこの世界で戦う羽目になろうとは……ってね」
J「? ああ」
半鳥「格好もそうですしイケメンは不変ですけど なんかお顔が変わってませんか?」
ペルセウス「うん 喚び出すに当たり、この前とは違う前提知識というか……解釈の元に召喚したようだね」
ペルセウス「兜がマントになっている この仮面も飾りではないけれど私の元々の持ち物ではないな」ジャキ
半鳥「あっ 鎌」
ペルセウス「また お前の相手をすればいいのか?」
J「臭うな どこだろう」
半鳥「床下」draw gun
「……ぐぐぐぐぐ 状況は陣に書き付けてあったんじゃないのか? スっトボけるなよ首狩り族が」ズロロロロロ
WPS「第一オレをあの時と同じだと思うな 茹でた海藻みたいな頭しやがって」ドロォ
J「 」standby VIBGYOR
半鳥「 」aim core
ペルセウス「出る幕はないらしい」
WPS「いや待て 待って つーかハーフィはお前ちゃんと説明したじゃんオレ昨日」
806 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:27:52.28 ID:pEpxlynjO
WPS「首長肉に見付かんないように隠せって命令されて張り切ったんだぞ」
半鳥「眠り薬は何」
WPS「ただの睡眠薬じゃない ブラウンとかいうのが作った、催眠薬と仮死薬と筋弛緩剤を混ぜた拉致の特効薬だ」
半鳥「は?」
WPS「匂いや音だけじゃない ドラゴンというか蛇は熱を視れるからああするしかなかった」
半鳥「赤い人みたいなこと言ってる……」
J「熱源探知の魔法を素でやるというのだろう 実際言われるまで君がいると分からなかったしな」
J「炎熱の魔法に関しては私達にも劣らぬエキスパートだった あのパイロゴーストが今居てくれたらどんなに楽か……」
半鳥「(というか傭兵側ガチの人多すぎ案件だったような)」
ペルセウス「では軽いコントも済んだところで いいだろうか」
WPS「オレの上位体ストックの危機がコントだと?」
ペルセウス「私は今召喚者として魔力を使ったハーフィに従っている形だが――――」
ペルセウス「陣形成は ヒy んんっ」ゴホン
ペルセウス「陣形成はサモナーが行った よって奴ともごく僅かながら魔力のパスが設けられているのだが」
ペルセウス「そこから鑑みるに あまり時間が無いようなのだ」スッ
J「どこへ?」
ペルセウス「移動しながら話そう」
半鳥「どこに行くんですか?」
ペルセウス「場所は知らない だが君達は知っているのだと思う」
WPS「通訳してやろう『運転手をやれ猫肉 ぐぐぐぐぐ』」ペタン ペタン
J「奴の案内でなくて良かったと思うべきか」
半鳥「?」
J「師の運転を知らないのかい? いやはやラッキーというかなんというか 羽があるのはいいな」
807 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:32:53.23 ID:pEpxlynjO
【数分後 路上走行中】
【Jの魔導車内】
J「4ドアので来ていて良かった」driver
半鳥「イス二つでも全然いいですけど私ー なんちゃって」後部座席
WPS「……」後部座席足元(着席禁止)
ペルセウス「儀式の応用で付与された霊体化とかいう能力がある 迷惑はかけないよ」助手席
半鳥「そーいうこと言ってんじゃねェーんですけどねー」
WPS「(ちょッろ)」
半鳥「 」stomp
WPS「へぶ」グリュィ
J「一息吐こう 付呪か何かか、玄関を開け放していたのに騒ぎにもならずに済んだし」
半鳥「そういえば服とか毛並みとかちょっと傷んだり荒れたりしてますけど 大丈夫だったんですか?」
J「ああ 少し手間と時間がかかったがへっちゃらさ 君と我が友には悪いがね」
J「自慢じゃないが 火力と殺傷の魔法で私を凌ぐ人間はこの国に五人もいない 伊達に軍部へ出向してはいないのだよ」ふふん
半鳥「よーーーーく知ってます ドリアードちゃんの傀儡フレームごと溶かしててハンター君と一緒にビビってましたから」
WPS「J教授スゴーい! 今度ぼくにも魔法を見ーせて!」
J「本体を全部集めてくれればとっておきの殲滅魔法GRB180530XXを教えてあげよう その身をもって」
WPS「なんて?」
J「では始めて欲しい 首狩りの」
ペルセウス「(首狩りの……)」
ペルセウス「……サモナーを引き入れた首魁は戦争をしたがっている」
J「戦争……」
半鳥「帝国とってこと? 軍隊が要るから教授を誑かしたの?」
WPS「死体が沢山出るな」ジュルリ
J「涎を垂らすなよスライム それで」
ペルセウス「あくまで戦争を模したという儀式の話だが 有り様はまさにそう 成り行きによっては被害者も出よう」
ペルセウス「土地に蓄積した膨大な魔力を用い 術者であるマスターが英霊であるサーヴァントを召喚」
ペルセウス「組んで殺し合う 斃れたサーヴァントの魂と延いては魔力を用意した器へと貯めてゆく」
J「貯めてどうする」
J「何処ぞの英雄を再現する魔力となればそれは確かに相当な量になるだろうが」
半鳥「塊にして売るとか? 工業用の魔力って 工場でなんかやって純度上げて固めるんだよね」
ペルセウス「違う ここのような魔導技術の知識とその膾炙が前提にある世界の儀式ではないんだ」
ペルセウス「端的に言えばその魔力を使って生き残った一組の願いを叶える」
ペルセウス「おおよそどんな願いでも叶うだろう 貯めておく器を"聖杯"と呼称することから一連の儀式はこう呼ばれる」
ペルセウス「聖杯戦争と」
808 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:35:09.15 ID:pEpxlynjO
【帝都 随所にて】
809 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:36:07.43 ID:pEpxlynjO
【帝都総合病院 特別入院棟】
【エレベーター】
病少年「ぁあっ……はァッ……がゥうグっ……ッ!!」ズギン ズギン
「寄る辺に従い……って 坊主 おい少年?」
「おい おいボウズ マスター! 起きろよ どうした立てねえのか? しっかりしろ!」
病少年「た……助 け」
病少年「助け て……」
病少年「だれか……!」
「……魔力が消えてってる? 循環系が死んでるのか」
「ったくしょうがないな……あー……よし 電力は魔力に置き換わってるみたいだし」
「スーツの生命維持装置でイケんだろ 俺の発明に不可能はねェ」
「コイツでどうだ……!」
810 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:41:30.75 ID:pEpxlynjO
【同所 上層階】
『あなたのことは知ってる プレシア・テスタロッサ! やっぱり美人だ、本当に会えるなんて、しかもこんなところで!』
『優秀な魔法使い 魔導士 いいや魔術師を探してるんだ あなたなら完璧だよ!』
『これを 是非! 受け取ってくれ! いいよいいよ陣もやっとくよ任せて!』
プレシア『ちょっと、何を――――』
プレシア「(……)」チラ
"少々の用事"があるとして仕事の前に病院へ寄った
かつて『条件付きSS』という 実際の扱いに比して肩書きだけは至極妥当な評価を得ていた魔導技術者 プレシア・テスタロッサ
濡れ羽色の髪を揺らし 訝しげに目をやるのは右手
そう右手 右手の甲
突如現れた変人に焼き付けられたこの紋様の解析自体は 実はとうに済んでいる 高純度に結晶化された魔力と精緻な制御魔法
使いの者からしてまた体制側の仕業なのかとカマをかける意味でこの病院には検査に来た
結果そうではないことが判明した
医者の返答は、
医者『先日の検査ではコンシーラーか何かで隠しておられたのですか?』
医者『タトゥー消しをご希望であれば 整形外科に紹介状を――』
素っ頓狂なものだった
ただ予想通りではあったのだ 辻褄が合わなかった
プレシア「…………ボディガードの番犬にしては」
プレシア「手間がかかり過ぎているし 強いし」
プレシア「それに 明らかに必要の無い自由意志を持っているものね」
プレシア「ねえ 貴女?」
「(((まあ 特に願うものもなく喚ばれるまま応えたわたしの側にも責任の一端はあるのだろうが)))」telepathy
「……でも せめて後の世のローマがどうなってるか見たかったなあー!」霊体解除
「いくら平行世界を跨いで座に繋がるとはいえ 全然違う世界に喚ばれるってどういうあれなのだ?」
プレシア「霊体化 忘れないで頂戴……病人なのよ」
「(((ああすまないマスター けどローマの話はしたでしょう?)))」霊体化
プレシア「素晴らしい国だったそうね でもどこかの世界の古代文明の話でしょう? 時代が下りすぎていると思うわ というか」
プレシア「マスターと呼ばないでとも言ったはず 私をそう呼んでいい者はもういないわ」
「(((代わりを探すという約束だったな マスター権限を移譲する)))」
プレシア「追々ね」
「(((まだ済んでいないから無効だなぁ マスター? フフフフ 追々わたしもミス・テスタロッサに変えてあげよう)))」
プレシア「本当に皇帝だったの 貴女……?」
呆れるプレシア 待たせていた娘の元へ向かった
また検査ということで心配そうな顔をする愛娘を宥める
プレシア「(戦って 願いを叶える?)」
柔らかく微笑み その髪を撫ぜ
プレシア「(精一杯戦った そしてもう叶ったわ そんなものは必要ない……)」なで
ぼんやりと視線を投げた先で、
泣き腫らした顔の短髪の少女と目が合った
811 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:49:37.42 ID:pEpxlynjO
【帝都 スラム街某所】
【半狼の隠れ家】
半狼「……」circle ready
捕まっているボスにも明かしていない隠れ家に人の立ち入った形跡があった
居を移してから瞬く間にゴミと生活用品で溢れた古い空き家
メインで使っているコーヒーテーブルの上にあった食べかけの朝食はハエの飛び回る台所へ勝手に退かされていて
出来たスペースに謎の置き手紙と謎の荷物がドサリ
罠を調べてから手紙と荷物を開けた
そして 隠れ家を荒っぽく掃除
今は 汚い床に鶏の血で 手紙に書かれた指示通りの陣を描き終わったところであった
手紙『ライカ 突然だがこちらは君の現状を知っている 上司を助けたいそうだね』
手紙『手の令呪は気に入ってくれたかな? それが参加チケットだから大事にしてね』
手紙『まあ胸と腹と尻に入れてるタトゥーに比べれば飾り気に欠けるだろうが』(ここで一度握り潰したせいでグシャグシャになった)
手紙『同封している鶏の血とハケで陣を描き 触媒にはプギオ 変な形のナイフを使ってくれ』
手紙『あみだクジで君のはそれになった』
手紙『それで喚べる英霊を使えば大抵の犯罪は上手くいくだろう ただし――――』
半狼「……他の六組をブチ殺せば好きな願いが叶う その方がてっとり早くて」
半狼「しかも そいつらも同じことを狙っていやがるだ? アホらしい」
半狼「……だが コイツはアタシのことを把握してやがる "嫌ならここへ"とかご丁寧に連絡先まで書いて」
半狼「しかも調べたらこれ警察署の番号じゃねえか……舐めやがって……」GrrrrrrrR
半狼「舐めやがッて!!!」ガシャァアン
部分獣化させた腕で鶏血の入っていたバケツを窓へ投げた
窓枠ごとぶち砕ける 苦労して描いた陣へは当たり散らそうとしない
つまり 臨む気でいた
裏切り者の方も 散発的に当たっている連中からはこれといった情報を得られていない
実際手に窮しているところではあったのだ
半狼「…………呪文……んだよ」カサ
半狼「召喚使いの連中 こんなハズいの毎回やってんのか……?」たじ
半狼「……ええと……スに銀と鉄 ソに石と契約のダイコウ……」wrong
何度か読み直し 八つ当たりで壊すものが無くなった頃
漸く召喚陣が光りだした
「……ここは……この世界は?」
半狼「よう 色男」スッ
半狼「レージュで命令する アタシに逆らうな」First Command Seals active
「これは 令呪? 唐突すぎる マスター これはッっ……ッ!?」キィィィィン
半狼「三回までで二回だったよな お前堅そうだしもう一回キメさせとくか」
半狼「絶 対 逆らうな 絶対服従 裏切ったら殺す ミスったら殺す 邪魔したら犯す」
半狼「勃てろやって命令して犯しながら頭から喰ってやるから」Second Command Seals active
半狼「分かった?」キィィィィィィィィィィン
812 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 18:55:52.51 ID:pEpxlynjO
【帝都第二学園 新聞部部室】
後輩「うーん 見出しがイマイチかなあ どーするっスかねえ」サラサラ
後輩「あーあ 退屈ー 何か事件でも起こってくれればなあ ハデなやつ……」ぐでー
集中していて額に汗をかいていたことに気付き
右手で拭う
ペンだこを除いて女子らしい綺麗な手だった
爪は切られてヤスリ掛けで丸く磨かれ 馴染ませたハンドクリームで保湿は常に完璧
よく手入れが行き届いている 傷やシミはおろか 妙なアザさえどこにもない
もし手フェチの猟奇殺人者がいれば手だけ放って置かれない程の逸材であった
後輩「そんなに期待してないけど……あ」
後輩「けどあの先輩 なんか勘に引っかかるのよね……」
手持ち無沙汰にマイ資料という名の雑多な本棚を漁る
"魔法大学総長著 魔導生物図鑑" "スライム事件自伝本" "ヤス・ザ・ポートピアン" "気になった事件新聞欄のスクラップブック" "対戦傀儡ラジオドラマ第一期台本"
"切り裂き刑事パルド" "赤黒色の暗殺者が描かれたパルプコミック" "伝説の雑誌記者アサカワ 解呪体験手記" "悪魔の屁を轢け消防車"
"帝国資源獲得戦線 戦地インタビュー" "フォイエット〜二丁拳銃と黒仮面〜" "古びた赤い装丁の本" "点字の教会聖書" "栗色の長髪の女性と 水面に写る藍色の長髪の女性がヌードで座り込んでいる表紙の本"
全部一度は目を通している 当然目新しいものはない
適当にパラパラやって満足すると ファイルを整理しながらまた机に向かう
813 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/05/30(水) 19:00:53.97 ID:pEpxlynjO
【繁華街 古い大衆酒場】
【二階居住スペース 生徒会長の部屋】
当然本気にはしていなかった
しかし実際に召喚は成功 仰々しい血色の光と共にそれが現れてしまう
授業を空けて設けた平日休暇は終了
呆気に取られて口は半開きのまま 思い付いたように眼鏡を掛け直す
実家の稼業である酒場の余り物として食ってたピザから具がこぼれ落ち 大女はそれで正体を取り戻した
生徒会長「……あ しまった サラミ」ポロ
床を汚すのはあれだったので 捨てる予定だったトラックの古幌を自室に広げて陣は書いていた ピザをアテとしていたビールの成せる荒業である
玄関先に届けられた荷物 菌糸がどうのとメモに謳う新興宗教(?)のまじないを アルコール入った頭の悪ふざけにせよ生徒会長はやったのだ
彼女がそうしてみた理由があり 理由を醸成した背景がある
だがそれはこうして箍の緩んだ時くらいにしか表出しない些細な冗談話程度のものであり 本当に実行したいと考えたことはない
しかし部屋に登場した異文明風の兵士然とした女性と 手の甲に焼き入れられた印が
それを実行する具体的な手段を得たのだということを如実に表していた
生徒会長「…………サーヴァント?」
「はいサーヴァントです あなたがマスター?」
「なんかゴッツイ方……これは期待できそうかもですよ」
生徒会長「マスター うん そうなるみたいね……そうなるみたい その」headache
歯切れ悪くメモ書きを見る カンペか
生徒会長「聖……セイハイの その取り合いの あー 戦争をやるの?」
「他にどういう用件でサーヴァントを喚ぶんですか」
生徒会長「……ビールの勢いで……?」
「は?」
生徒会長「待って ちょっと待って……水を……」のそ
「ちょちょっ 私の召喚酔っ払いながらやってたんですか!?」
「ってゆーかよく見たら女性……ッ? ……マネーレンダーのボスみたいな貫禄……」
生徒会長「酔っ払いながら じゃない 酔っ払ってやったの あと金貸しじゃないぞ……」
生徒会長「待ってくれ本当……待って 状況整理したい頭の」open fridge
「ええー……マスターやる気は」
生徒会長「何への……?」take water
「何へって 聖杯戦争で優勝するんでしょう??」
生徒会長「ああ聖杯戦争への……ああ そうねちょっと 聖杯戦争へ臨む心構えとかあればレクチャーしてもらってもいい?」
「…………マジですか……ええーうっそ……」
生徒会長「……飲む? 水 硬水だけど」
「……瓶入りの水……」
「あの失礼ですけど……この世界の衛生的なあれってどーいう感じなんでしょうか」
生徒会長「買った水だよ 買えば真水は手に入る国って答えれば察せるんじゃないか」つ栓抜き
「……なるほど まあいただきます」キュポン
814 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/01(金) 19:13:43.16 ID:Xj6gWJtp0
更新乙です!
とりあえず出揃った感じですかね?
様々な境遇はどの様にぶつかりあい、そして収束してゆくのか...
815 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/02(土) 05:22:22.12 ID:NVGCghpV0
あー、病少年が召喚したのってもしかして……
816 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/06(水) 10:25:52.51 ID:mCP5Qdl90
乙!
巻き込まれ系妙齢淑女と化したプレシアさん
しかし、令呪の移植って腕切り落とすとか何とか見た気がするけど、その辺大丈夫なのかね
817 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/09(土) 11:17:53.96 ID:TLyhvodDO
【帝都 工業地区路上】
【運送屋トラック 走行中】
ブロロロロロロ……
ソバカス面の先達「上がり昼過ぎンなっちまったべなァ 大丈夫かおめぇ」driver
青年「え?」うつらうつら
ソバ先「学校行ってんだろ? 時間」
青年「あ……大丈夫っス今日夕方からなんで 社長それ知ってて」
青年「だから回してんだと思います ありがとうございます」
ソバ先「ちゃんと行けよォ? 一杯勉強してダチ作れェ? でねぇと俺みたいにつまんねーおっさんになっちまうぞォ」
青年「はは……」
ソバ先「まァーまずぁその眉間のシワだぁなァ こえーぞおめぇそれ、ムショ上がりに見えっからよォたまに ええ?」
ソバ先「ニコッといけ! ニコッと! エガオが一番のお化粧よォ〜〜ぉ↓ォ↑〜〜っと」sing
青年「もう呑んでんすか?」
ソバ先「終わったからァ!」げははは
青年「程々にしてくださいよ 肝臓」
ソバ先「カカァみてーなこと言うなよぉ〜」
青年「はは お 着きますね」
ソバ先「あとやっとっからよ シャワー浴びてサッパリしてけな ヒゲも剃っとけな」
青年「ありがとうございます お疲れ様です」
ソバ先「おーう」
818 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/09(土) 11:24:04.74 ID:TLyhvodDO
【運送会社 更衣室】
青年「(明日は休みか……夕方まで寝てよ 飯は豆缶でいいや)」着替え
青年「(ああダメだ洗濯溜まってっから洗い行かねーと……ダリー)」
青年「あ お疲れ様です」
「おうお疲れー」
「お疲れさんですー」
青年「(寝るのはそれからだな……)」
「社長 お疲れ様です」
運送社長「おゥお疲れ コマイヌいるか?」
青年「!」
「戻ってます 着替えてましたけど その社長がよく言ってるコマイヌってそれなんなんすか?」
運送社長「東の島国に居る犬の魔物 石像がたくさんあってよ こう グッとこう眉間に皺がめちゃ寄ってんだ」
「なるほど ははは……」
運送社長「まーコマでイヌなのはお前ら全員そうだけどな」ガチャ
青年「社長」
運送社長「よォコマイヌお疲れ お前明日夜出ろ」
青年「夜便ですか?」
運送社長「段取り組みてえから電話してんのに昨日からこっちハゲが捕まらねェ バックレやがった」
運送社長「奴ぁ懲戒免職だ 他で強化魔法使える奴は出払ってる 行け」
青年「俺 まだ習得しきれてないですよ 魔導炉にかけれるレベルのやつ……」
運送社長「そうだな ほら」つアンプル
青年「……」
運送社長「八時からだから 早退して来いよ」
運送社長「まだ単位に影響しない程度には休めるだろ? 大丈夫だよちゃんと卒業できる程度には考えてやるから」
青年「(それは俺がなんのアクシデントもなく体調も崩さず 仕事以外に休みを使わない場合の だろ……)」
運送社長「手当ては弾む 分かったな 以上」
バタン
青年「あ〜〜 マジか」
「うーわ ご指名かァ〜……」
「災難だったなコマよぉ ほら コーラ買ってやっから気張んな」vending machine
「俺にもくれ貧乏なんだ」
「スったからだろ? 修道院か公園に行くといいことがあるよ」buy cola
「ボコされるわ」ホームレスに
「コマ ほれ」つコーラ
青年「すんませんありがとうございます でもコマはやめてくださいって……」ギャリン グビ
「いや結構しっくり来てんぜ呼びやすいし」
「犬の魔物だってよ」
「こないだ警官殺りまくった奴じゃねえの オレンジの犬っつってなかったかラジオで」
「いや魔人だったらしいぞ 巨乳のデミ女になったって見た奴が言ってた」
「デミかよ ねーわ」
「毛ジラミ確定だっていうじゃん」
「それ以前に食い千切られんぞおめー」ハハハハ
「心配ねェ。俺の皮は鉄壁だ」キリッ
ギャハハハハハハハ
青年「毛ジラミよりやべーやつじゃないっすかそれ 早く医者行った方がいいスよ」アハハハ
「うるせー!」
青年「はははは…… じゃ お先失礼しまーす」
「うーい」
「お疲れー」
819 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/09(土) 20:40:55.77 ID:g2oplJlV0
うわ何その辛い現実……乙
820 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/11(月) 08:13:59.68 ID:8cwhEoQl0
乙!
で、この苦学生さんはどうなってしまうのか……
821 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/12(火) 23:49:57.41 ID:fMt6Qg6nO
【数時間後 路上某所】
ペラ ペラ
バイカー1「リーダー? リーダー! またそれ見てんすか 赤い本」
バイカーリーダー「おう」
バイカー2「……読めねえな……ルーンってやつですか? サッパリ分かんねえ」
Bリーダー「俺にも分からん だが貴重品だっていうしな、終わった後で値打ちモンなら気になんだろ それより遅ぇぞ」パタン
バイカー2「もうそろそろ……あ 来ました」
ロロロロロロロロルルルルルドルルルドルンドルンドルン
バイカー3「遅くなりやした」キキッ
Bリーダー「獲物は?」
バイカー3「どうぞ リストっす」つ紙
Bリーダー「リストだと? いつもは口頭だろうが、何件もあるってことか」check
バイカー3「どうもそうみてえで」
Bリーダー「……あー こいつぁ参ったな」カキカキ
Bリーダー「明らかに"ダンナ"に出張ってもらうのを前提にしてる 頭数だけじゃキツい仕事だ」
バイカー4「ダンナか……」
バイカー1「いいじゃないスか! 帝都入ってからこっち、派手なのはご無沙汰だったじゃないすか」
バイカー3「渡りに船って具合だよな 渡されて試しでしか喚んでませんし、いっぺん見とく方がいいんじゃないですか?」
Bリーダー「……」
バイカー1「お前はどうだよ」
バイカー2「リーダーに従う どうしますリーダー」
Bリーダー「いや一応考えを聞いておきてェ どう思う? 参考までに――――」
Bリーダー「俺達ゃ国外からの労働者扱いでここ帝国に入って来てる 二十八人全員な 目的は帝国での足掛かり作りだが……出国期限が迫ってる」
Bリーダー「現状 拠点を築くにゃ至ってねえ が とりあえずシノギの当ては見付かった」
バイカー2「車ドロ(車泥棒) 大陸中央で生きてきた俺達には朝飯前っす」
822 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/06/12(火) 23:51:17.92 ID:fMt6Qg6nO
Bリーダー「そうだ そもそも手を出してねぇ分野だったようだが ここへきて"地元の連中"が浮き足立った 発端のイベントがよく分からんかったが……」
Bリーダー「とにかく流れが来てると思う センセイは大口の客になる ダンナを寄越したのも俺らを見てる、試してるんだ」
バイカーs「…………」
Bリーダー「聞いておきてェ このままスゴスゴと中央に帰って――――」
Bリーダー「またクソ共和国と帝国のタコのおこぼれに預かる生活に戻るか? 戻りたいのか? あ? どうなんだ?」
Bリーダー「俺ァ嫌だね!!」
Bリーダー「なんとしてもここで一旗揚げんだ! 故郷ごと負け犬にされ続けた今までにケリをつける!」
Bリーダー「俺らの故郷は修羅の国だァ! 甘ったれたハナ垂れインペリアルどもが来りゃ三分でケツの毛まで毟られる無法地帯だ!」
Bリーダー「そこでイワした俺達の、そん中でも選りすぐりの精鋭がここにいるお前らだ! いいか お前らは俺の子分でも手下でも ましてやコマでもねェ――――」
Bリーダー「おらァ! 俺達はなんだ!?」
「兄弟だ!」
「家族!」「家族」
「家族だァー!」
「兄弟姉妹だ!!」
「運命共同体っす!!」
Bリーダー「そォだ運命共同体だ! いいこと言ったぜ、そう家族なんだ! この世界のどこに居ても心は一つよ!!」
823 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/12(火) 23:55:17.21 ID:fMt6Qg6nO
Bリーダー「故郷の兄弟達にでっけえ土産持ってくぞ! おいお前 どうなんだ! やる気はあっか!?」
バイカー2「アぃリーダー! 家族のために! リーダーに従う!! やりましょうでっけえのを!!」
ウオオォオオオオオオォオオォオォォオォオォオォオォオォォォォ
ドルルゥン ドルルゥン ドルルゥン ドルルゥンドルルゥンドルルンドルルンドルルン
Bリーダー「リストを回せ! 小隊ごとに獲物を振った、どいつもこいつも骨がありゃあがるがいつも通りやれば問題ねェ!」ドルルンドルルンドルルンドルルン
Bリーダー「一号から四号は情報管制! 俺が先陣を切る、ついてこいてめえら!!」ドルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
Bリーダー「繋いだか? 繋げ!」biker radio
バイカー1『一号隊感度良好』
バイカー2『OK二号』
バイカー3『三号繋ぎました』
バイカー4『四号オーバー!』
Bリーダー「狙いは公共車両だ! パトカー 消防車 ミートワゴン 交通機関!!」
『交通機関ってのは!』
Bリーダー「路面電車だ」
『ヒューーー!』
『マジっスか!? うおおっしゃ!!』
『腕が鳴るわァァア!』
Bリーダー「冗談だよォ どうやって掻っ払うんだよんなモン!? ガハハハハ ゆくゆくは頂くがなァ!」
Bリーダー「今日はバスを狙え! 二階建てのやつがいい、挨拶代わりにゃ丁度良かろうよ!!」
『リーダーの隊がサツ行くんスか!?』
『危ねェ 俺らに任せてください!』
Bリーダー「誰にモノ言ってんだァ最強は俺だ! 最強のヤツが最強のヤツに当たンだろが!!」
Bリーダー「四号! 寄れ!!」ヒュンッ
バイカー4「!」パシッ
Bリーダー「客が居る! 殺しは無しってのがセンセイからの絶対条件だ!」
Bリーダー「上手く使えよ! 暴れっぷりを後で聞かせてくれや!!」
バイカー4「アぃリーダー!!」
ドルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ブロロロロロロロルルルルロロロロロロロロロロロドロロルロロロロロ……
824 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/13(水) 05:05:39.00 ID:x2X9W7OI0
乙!
まー、やる気に満ち溢れたファミリーです事
825 :
チッ!! やられた 予想がつかなすぎる のんびりしてられないってか……
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/06/14(木) 00:51:59.63 ID:iHVkAgn1O
826 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/16(土) 18:56:05.60 ID:IuHZwy1G0
電車なんてどうやって盗むんだろな。いや、魔法を使えるんなら空を飛ばせて?
827 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/17(日) 19:51:26.35 ID:ZGxXZvvL0
ワープゲート魔法とか使えりゃ楽?
828 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/19(火) 12:35:49.34 ID:LEbxW9Pj0
ポートピアとかwwwってかそっちにもあんのかいw
829 :
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/06/25(月) 16:43:43.58 ID:KgDByhkmO
【数分後 夕方前】
【夜学生主要登校時間帯】
【某所路上 乗合バス二階席】
青年「……」read textbook
青年「ん〜」difficult
青年「(いかん いかん 眠い……シャワー浴びてちょっとでも仮眠しときゃあよかった)」yawn
青年「(目覚まし時計のネジ変なんだよな 一時間早く四時に起こされた時は イラっときた後でヒヤっときた……)」
青年「(一時間遅かったらヤバかった 働かなきゃすぐに死んじまう 誰も助けてくれないんだから)」
青年「……」
青年「何のために通ってんだろうな」
暗澹としたダウナーな哲学に思考が引き込まれそうになった矢先
それは来た
始めは単に 魔導単車が集まっているだけなのだと思った
交通量が多く また道路が入り組んでいる都市部では 小さな荷物の輸送他 個人の移動手段としても重宝されている乗り物
何も珍しいことはない
ウオン ウオン ウォオン……
青年「(……んだようるせえな またかよ)」
青年「(鳥の次は バイクか――――)」
苦学生が座席越しに振り返るのと
艦船のそれ程ある巨大なアンカーが 冗談みたいに馬鹿太い鎖を曳いて 二階の手摺に引っ掛かったのは同時だった
ガキィィッ
「アンカー行ったァ!」ギャギャギャギャギャ
「後方二ヶ所オーケー 次ィィ!」
「強化急げやああぁ!!」
「玉ぁあ掛けぇえぇええ!」
エンジンに掻き消されないよう 絶叫でやり取りされる作業手順
単純に聞き取れなかったというのもあるが 乗客の殆どは連中のやりたいことと その言葉の意味を理解できずにいた
ただ一人を除いて
青年「……玉掛けっつった?」
二階席の他の乗客は一階へ引っ込んだ 苦学生は残った ヒーロー願望があるわけではない 決してない しかしその視線はアンカーに釘付けになっていた
青年「(このアンカー クレーン車の魔導フックを改造してんだ)」
青年「(付呪が起動してる……これは……工業用の強化魔法だ)」
その辺の悪漢でないことを雰囲気で察し 車内は騒然とする
車掌は混乱を抑えようと声を張った が その車掌が非常事態に冷静でいられない
830 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/25(月) 16:44:24.98 ID:KgDByhkmO
バス運転手「(なんだ畜生ッ こいつら何する気だ? チェーン掛けるだけ掛けて随走してきやがる 暫くは直進するしかないが……)」
バス運転手「(ひいふうみいよの ええい 何台持ってこようがバイクなんぞで綱引きできるわきゃねえだろう)」
大型車両の図体では 点々と通りに接続されている路地には入れない
進めば随行 曲がるのは不可
ならばブレーキを踏めばいい
運転手の足がペダルに乗り 踏み込む前に窓が鳴る ノック音
二人乗りのバイクだった
細長い車体 巨大なタイヤ 魔導排煙を吹き出す太いマフラー 乗り手の風体からしていかにも暴走族ですイェァーといった見た目
外を見た運転手の顔を睨め付けるものが四つ
飛行帽を被った後ろのアホがニヤけて向ける 遮光ゴーグルのレンズと 切り詰められた水平二連散弾銃 眼光と銃口が運転手を射竦めた
散弾銃が縦に振られる "窓を開けろ"
運転手「………………」freeze
"開ァ"
"けェ"
"ろ!"
運転手「っ……」open window
「遅ェぞ死ぬかァ!?」ジャキ
「やめろバーロー!! おい速度ォ落とすなよ死にたくなきゃあな」
「殺しに来たんじゃねえ! 指示に従えや全員生きて降りられるぜェェ?」
運転手「わ 分かった」
固唾を飲んで見守る乗客は これで自分達が白昼堂々目立つ見世物の登場人物と相成ったのだということを ハッキリと理解させられた
並走してショットガンを突き付けられた運転席 鎖でバスと散歩するバイク 護送するかのように群がる暴走族風ライダーズ
否が応でも目立ちまくる 周囲の人間が事態に気付きだし 公衆電話と警官を探し始めた
それが分かり切っているから連中の仕事も速い
青年「ここを こうして……」カチャカチャ
ジャララララララララ ガキィン
青年「前の手摺もか これはちょっとヤベェかも……警察は何してんだ」コソッ
後方に続き それぞれ左右脇からバスの前に出たバイクが二階席の手摺にアンカーを射出 これで四方から鎖がかかった
青年の姿は下から見えていない 道路の直進ももうすぐ終わる
すると運転席からホールドアップ係が離れた
831 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/25(月) 16:46:36.69 ID:KgDByhkmO
運転手「……?」
「行け! 行け! 上げろ!」
号令で鎖を繋いだバイクが一斉に 変形
両輪が車体正面に対してきりもみに半回転 ホイールを路面へ向ける形になる
どうやってるのかタイヤは空転したまま ホイールがローターの役目を果たしているとでもいうのか これで揚力を得ているらしい
魔導垂直離着陸機 バイカーの集団が一転して空賊に変わった
青年「(クレーンはねえだろうと思ってた やっぱ連邦製の変態メカだったか……だが 細工は粒々)」
青年「(吊り下げてバスごと持ってく気なら もう上にいるのはマズいよな)」コソコソ
アンカーから離れ 苦学生は手摺に隠れたまま一階へ降りようとした
その時だった
パチッ
青年「っ? ちっ んだよ静電気かよ脅かしやがって」
階段を降りきり まず目に入るのは運転席
運転手の様子がおかしい
眠気と戦っているかのように船を漕いだかと思うと そのままハンドルに顔からいって突っ伏した
クラクションがけたたましく響き渡り バスのコントロールが失われる
青年「ちょッ……!」バッ
ガクンン……ッ
青年「! 浮いて……早いな」
あわや激突 はたまた横転かと思われたが それより先にバスが浮かんだ
吹き抜けになっている二階席の手摺に構造強化魔法をかけ堅牢化し無理矢理吊り金具に
狂暴な唸り声をあげる魔導炉の尋常ならざる馬力と 四隅から吊り上げる四台の一糸乱れぬ操縦が織り成す 曲芸犯罪
832 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/25(月) 16:48:03.40 ID:KgDByhkmO
バランスを崩した苦学生が壁に掴まり 顔を上げた拍子に客席が視界に入る
青年「!」
乗客達は運転手と同様 突然魂を抜かれたかのように 異様に脱力して座席や通路に倒れ付していた
そういえば悲鳴の類いを聞いていない
青年「ちょっと どうしたんですか? なあ! 起きて! 全員か」
青年「何をしやがっ――――」
揺れる車内 座席に手をつきながら通路を最後尾まで歩き声を掛けていく 十数名の乗客は完全に沈黙していた
手口はまったく分からない 何故自分だけ無事だったのかも 二階席に隠れていたことが関係していそうだがそれはいい どうせ知らない魔法だ
だが
だが原因は分かった
こいつだ 間違いない
フルフェイスのバイカー「――――――――」
空も走る以上視界確保のためなのか 理由は定かでないが バイカー共はどいつもこいつもまともなヘルメットを被っていなかった
そんな中にあって一人 バスの真後ろを走っていたフルフェイスヘルメットのバイカーと目が――――バイザー越しに恐らく――――合った
ファンファンファンファン ファンファンファンファン
警官1〈お前達何をしてる!? バスを降ろせ!〉拡声
FFバイカー「 」cruise
警官2〈止まれ! おい一番後ろのお前!!〉拡声
FFバイカー「 」中指
警官2〈てめッ 警察舐めんなよコラ!!〉
バスの高度は上がり 背後からは後れ馳せながらもパトカー数台 誰がどう見ても撤収時
しかしそのバイカーだけは飛ぼうとしない バイクを変形させる素振りすらない
振り返りもせず丁寧に返事を返すバイカーの 視線は苦学生に固定されたまま
ショットガンを向けられた訳でもなし だのに釘付け 蛇に睨まれた蛙のように 見下ろす苦学生は動けない
してやった と小さく得意気になっていたところへ 鏡面加工の視線だけで冷や水をぶっかけられたような
得体の知れない感覚があった
なんとなしに苦学生は直感する こいつは人間じゃない?
833 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/26(火) 06:50:51.76 ID:aMOA4A0D0
乙!
っはー、豪快にやるなぁ
謎のリーダー的存在も気になりますね
834 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/06/26(火) 20:49:43.25 ID:Lg8YMDHr0
中指、立てるんだ♪(ポプテピED感
835 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/07/19(木) 06:01:10.84 ID:Ua5KIGZB0
しっかし、飛行機形態バイク複数機でバスを引っ張り上げるなんて、それぞれが高度で精密な飛行技術を持ったうえで、完璧な
チームワークを発揮しないと出来ない曲芸飛行を、ろくに訓練なんてできる環境にない筈の盗っ人集団がやってのけるとか凄いな
836 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/13(月) 08:31:57.60 ID:P3VdEGeP0
警察さん達、大体毎回のストーリーで出ずっぱりだよな。お疲れさんだな
俺、次にストーリー安価踏めたら、絶対小ネタにするんだ
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/15(水) 06:04:28.07 ID:jKViEB4J0
>>1
さん、生きてんかな?
838 :
死んだように生きてる
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/08/15(水) 12:17:39.13 ID:fyjgHEEsO
839 :
ごめんなさい 待ってて……暑くて死にそうなんです真面目に……
◆1qS/J7BvDg
[sage saga]:2018/08/15(水) 12:18:47.59 ID:fyjgHEEsO
840 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/16(木) 17:22:13.12 ID:LzsRP7v60
生存報告感謝!
いや、今年の夏は本当、エグい酷暑が多いですもんね。
しっかり養生(軽作業じゃなくて)するべきそうするべき
841 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/16(火) 20:28:11.83 ID:bMxI1nbt0
ようやく秋ですな〜
842 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/23(金) 08:41:51.91 ID:N7n09kXf0
く〜ろ〜ま〜く〜
843 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/02(日) 11:32:30.13 ID:6WvUcszY0
いや〜、陽がないと冷えるね〜
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/24(月) 12:17:35.01 ID:UuWIC/vF0
クリスマス……そういえばこのスレにも聖人喚ばれてたな
845 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/05(土) 08:36:45.92 ID:xDpYMXqC0
あけおめー
846 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/02(土) 08:32:42.69 ID:zHVFtv0K0
う〜ん……まだ来て下さるかねぇ?
847 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/04(土) 15:51:49.04 ID:T/xKmjGZ0
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