召喚術師「安価で修業する」

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679 : ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/24(水) 16:21:33.10 ID:lrNuvDWWO
不肖オリキャラageにサーヴァントを使うなんて

残りの六人を考えていただけますか お手数ですがお願いします
どんなんでもいいので完全にオリジナルのを
(当SSの既出キャラ及びfateシリーズ・関連作品に登場する全てのキャラクターを除く)

かねてより奈須きのこ氏の作品は追うのが大変すぎると感動しておりました
とりあえずアニメ見てきます
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/01/24(水) 16:25:05.28 ID:AVhT/uG30
残り六人とはサーヴァントの事ですか?それともマスター枠の人ですか?
681 :サーヴァントをお願いいたします [saga]:2018/01/24(水) 17:35:24.45 ID:9LEkoP4L0
  
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/01/24(水) 18:56:19.83 ID:AVhT/uG30
こんな感じでどうでしょうか? とりあえずキャスター作ってきました

【CLASS】キャスター

【真名】セルウィスト・トゥッリウス

【マスター】間桐 桜→(偽善の書)間桐 慎二

【性別】女性

【体長・体重】160p・49s

【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷E 魔翌力A 幸運B 宝具A+

【クラス別スキル】
陣地作成:A
 魔術師として有利な陣地を作りあげる、工房を上回る神殿を形成する事が出来る

道具作成:−
 宝具能力を代償にこのスキルは失われている

【固有スキル】
 魔術:A
  フェルティナ神やティアナ神の加護を受ける魔術

 カリスマ:B
  カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える

【宝具】
 不抜堅固の大城壁(モルス・セルウィウス)
 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1〜50 最大補足:500人

 王政ローマ時代に基礎が造られ、第二次ポエニ戦争で猛将ハンニバルでさえ手こずらせた強靱な「城壁」
 キャスターは自らの陣地内であれば、この「城壁」を自由に増設出来る
 「城壁」は単純に高い防御力をもってるのみならず、カタパルトなどの兵器もと併せて
 造り出す事が可能であり、それに伴う人員さえ用意出来れば攻めて対する攻撃手段としても使用出来る
 この宝具を破壊するには、最高クラスの対城宝具を用いる以外には、「城壁」に守られた
 キャスター自身を直接討ち取る他はない。

【解説】
 伝説上の王政ローマ第六代の王、エルトリア系の出自
 先代の王の暗殺事件後、その娘を妻に迎えて王位を継ぐ
 平民階層のブレブスの承認無しに王になった最初の人物
 ローマ領域の拡大や組織改革を行い、フェルトナ神、ディアナ神の神殿を多く建てている
 ブレプスには人気があったが、既存勢力である貴族階層・パドリキには人気が無かった。
 最終的には娘夫妻に暗殺される

 ローマ最古の城壁セルウィウスの城壁を建築した人物
 自然岩で加工して造られており、ハンニバルの戦像の突進でも壊れない強固を誇った。




683 : ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/24(水) 19:35:34.02 ID:9LEkoP4L0
恐縮です

そうかクラスとかステータスとか本当の名前とかか
ねだってる安価数が多いのでそこまで根詰めて作ってくださらなくてもなんとかしますというかお手柔らかにというか

エロゲなのは知ってましたが元々TRPGか何かだったんですか?
あと五人
684 :それから マスターの指定はご遠慮ください ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/24(水) 19:37:00.77 ID:9LEkoP4L0
 
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 21:11:20.10 ID:uu2Qonj+0
真名 首なしライダー
クラス バイクに乗るのでクラスはライダー
戦法 雷の魔翌力を生み出す魔法のバイクで突撃で敵を吹き飛ばす対軍宝具
聖杯への願いことは事故で失った自分の首を取り戻す事
マスターへの態度、結構願いが切実なので比較的に言う事を聞いてくれる
ただ会話する事が出来ないので手に持ってるならスケッチブックによる筆談になるが
686 :あと四人 [saga]:2018/01/25(木) 00:25:42.39 ID:AyMnTLur0
 
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/01/25(木) 16:43:36.19 ID:fVGE4PxD0
バーサーカー枠で「貞子vs伽耶子」から、合体怨霊サダカヤ
どんな能力もってるかは1に一任します。
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/25(木) 18:33:39.10 ID:NsRB5Q+Z0
アーチャー  真名【カーシェッタ・ファレドゥー】
性別 女

SF的な未来の世界から来た、属性系をメインに複数種の能力を持つ超能力者
使う武器は、自身の能力を込めて放つ銃が三種類、背負った四角く頑丈な、かつ邪魔に
ならない大きさのバックパックに収められている。それには、一応普通の銃火器類も入っている
願いは、もうわざわざ争わなくても良い世界に行きたいというもの。

彼女はアクションシューティングゲームのキャラみたいなのを目指して作ったので、戦い方も、とにかく動き回って攻撃しまくるのがそれらしいんじゃないでしょうか
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/25(木) 19:59:11.85 ID:I1w2Xp4L0
【CLASS】セイバー

【真名】戸次 鑑連(べっき あきつら)

【性別】男

【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷C 魔力B 幸運B 宝具A+

【クラス別スキル】
対魔力(雷):A
 彼の逸話から雷へ変化、雷に関してはAランク以下の魔術を無効にする。

騎乗:C+:動物の他に六人担ぎの輿も乗りこなす。
 

【固有スキル】
雷神の化身:EX
 雷に打たれてなお一命を取り留め、名将として戦い抜いたことから
 魔力放出(雷):B とカリスマ:C-と同等の力を持つ。

軍略:C
  多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。

【宝具】
千鳥・雷切(ちどり・らいきり)
 ランク:C〜A+ 種別:対人〜軍宝具 レンジ:1〜50 最大補足:50人
 雷すらも切る名刀千鳥の力を解放し、雷を纏った斬撃を繰り出す。ランクが上がるほど体の一部を一時的に麻痺させやすくなり、回復にも時間が掛かる。
 ランクA以上で対軍となり落雷になるが、A+では自分にも当たり、代償として半身不随となり六人担ぎの輿でしか移動できなくなる。
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/25(木) 20:10:38.81 ID:I1w2Xp4L0
↑聖杯への願いは劣勢になったきっかけである耳川の戦いに参加し、大友勢の大敗を防ぐこと

性格は真面目で厳格でありながら気配りも欠かさない上司の鑑、基本マスターのことを第一と考える。
691 : ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/25(木) 23:58:36.97 ID:AyMnTLur0
セイバー
アーチャー
ライダー
キャスター
恐縮です ありがとうございます

お連れ様にはお気の毒ですが佐伯女史は累計三度目となりますので殿堂入りということで
構想都合につきバーサーカー枠はこちらで埋めさせていただきます

残り二人 ランサーとアサシンのご提案を引き続きお待ちしております

なお 基本構想はもとより 出典の存在する偉人については資料集めからやっている他 fateシリーズ鋭意勉強中なので先編の例によって私のは時間がかかります
死ぬほどお暇な時に思い出していただけましたら覗きに来てみてください
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 11:17:35.46 ID:8q2fhQrX0
class ランサー
真名 ゼルガ・アイゼス
性別 男
ステ 筋力B++ 耐久A++ 敏捷D++ 魔力D 幸運E 宝具A+
クラス別スキル
対魔力(偽):D パワードスーツのコーティングにより魔術詠唱が1説以下のものを無効化する。
固有スキル
機械の鎧:EX 未来技術でできたパワードスーツを常に身に纏っている。
       筋力、耐久をランクアップ、敏捷をランクダウン、ブースト機能により3つのステータスに補正値を与える。
戦闘続行:B 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。

宝具 我が鎧は英知、我が杭は浪漫(パイルバンク・ブレイカー)
 ランクB〜A+ 種別:対人、城宝具 レンジ:1 最大補足:1人 
 盾つきパイルバンカーと一体になったパワードスーツ。未来技術の結晶である常時発動型宝具。
 ブースターによる高速移動もでき、主兵装の左手のパイルバンカーの他に右肩には粒子キャノンがある。
 敵拠点の城を粉砕しつくしたことから建造物に対して追加ボーナスがある。
 真名解放することでサーヴァントの霊基をも砕く一撃必殺を繰り出せるようになる他、ブースター出力上昇により空中戦も可能になる。

未来の英雄。敵拠点を全て粉砕し、宇宙戦争を終わらせた軍人であり、パワードスーツを作り、改造した技術者。
多くの部下から慕われたアニキ、アメコミヒーローに憧れており子供にはものすごく甘い。
聖杯への願いは宇宙戦争を未然に防ぎ、滅亡へ進む未来を変えること。 
693 :>>692 マスターチーフかな? 恐縮です ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/26(金) 12:36:29.33 ID:n9dN7ehPO
 
  
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/01/26(金) 16:53:44.74 ID:Mux4/wcq0
clss アサシン
真名 ハサン、ザッバッハー(竜使いのハサン)
性別 女性
ステータス 筋力C 耐久C 敏捷B 魔翌力C 幸運A+ 宝具A++
クラス別能力 気配遮断:E 対魔翌力:A 騎乗:A++
固有スキル
二重召喚:B 二つのクラス別スキルを保有することが出来る、極一部のサーヴァントのみが持つ
       希少特性、この竜使いのハサンの場合は、アサシンとライダー両方のクラス特性をもって現界している
神性:C 後世の世で竜を操った逸話から、このハサンが海神様の生まれ変わりではないかと言う逸話から神性スキルを所持している

宝具 海氷の王竜(リヴァイアサン)
   ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1〜99 最大補足:1000人
   旧約聖書で記されている、最強の海の魔物体長は優に1kmを超える
   天候操作による天変地異を引き起こし、さらに嵐を一点に集約する事で
   対城宝具規模の破壊を引き起こす、ただし魔翌力消費が激しい為連発は使用出来ない

歴代の19人居る山の翁の内、唯一対城宝具を所持しているハサン
生前このハサンが子供の頃、海で傷ついた竜の子供を拾いそれ以来親子のような関係で育っていった
その後少女が山の翁を襲名、暗殺と言うよりは戦場で真っ向から敵の軍勢を粉砕したようだ
戦場では十分に目立ったので気配遮断ランクがアサシンでありながら最低ランクなのはこの逸話によるもの
ハサンとして結構長生きして100歳くらいまで生きた、そのままベット中で老衰で死ぬ直前、初代様が現れて首を落とされた
   
   
   
   
   
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 20:49:41.35 ID:8q2fhQrX0

自己改造ないけどハサン?百貌さん以外改造してるはず
無理にハサンにしなくても良さそうな設定だけど
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 21:26:54.80 ID:8q2fhQrX0
↑2
というかハサンというかアサシン要素皆無すぎてライダーでいいと思う
せめて宝具ぐらい妄想○○(ザバーニーヤ)するとか暗殺要素出すとか
ライダー出てるし仕方ないんだろうけどこれをハサン、アサシンとか無理でしょ
暗殺集団なのに暗殺のあの字も無いんじゃハサンに選ばないよ
初代様だって気づかれずに首落とすから暗殺者なのに
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/26(金) 22:25:12.54 ID:vfgaVOP1O
Class アサシン
真名 マルクス・ユニウス・ブルトゥス
性別 男
ステ 筋力d 耐久d 敏捷c 魔翌力e 幸運c 宝具d
クラススキル 気配遮断d
固有スキル
直感d 常に最適な展開を感じる能力
騒乱を予感しローマから離れた事から
冷静沈着d 如何なる状況でも冷静に周囲を観察する
彼の性格、信念により決然と行動した事から

宝具 憎き独裁への多鎚(ブルータス、おまえもか)
ランクd 対人 レンジ1 最大捕捉1人
カエサルを暗殺した短剣による一撃。一撃に当たると突如として現れた数十人の暗殺に加わった議員に滅多斬りされる。
議員は英霊としては論外以下でありダメージは少ない。
とにかく消費魔翌力が低く、連発する事で火力不足を補う。
議員自体は別途召喚でき、サーヴァントして検知されないため、斥候などに利用できる
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/26(金) 22:43:03.71 ID:vfgaVOP1O

人に対しては充分過ぎるダメージのため、マスター殺し向きな宝具。
何らかの長に対し追加ボーナスがあり、特に独裁者には大きな追加される。

も足してください。 性格などはお任せします
699 :もう少しだけアサシンぽいやつでお願いします…… ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/26(金) 22:57:49.80 ID:dNEYWbT50
 
700 : ◆1qS/J7BvDg [saga]:2018/01/26(金) 22:59:42.26 ID:dNEYWbT50
ああ更新してなかった
ブルータスさんでいかせていただきます

ありがとうございます 出揃いました
暫しお待ちを
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/19(月) 11:48:24.80 ID:Oh5CHl2dO
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/20(火) 09:34:10.69 ID:s7UI8/mW0

何故こんな所にラミエルが……
703 :ラミエルは「書き貯め中だけど思った以上に時間がかかってる」時にスレが消えないか心配で出現します ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/02/20(火) 19:16:30.23 ID:0HfXlVKP0
 
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 20:21:36.97 ID:s7UI8/mW0
おお、なるほど。スレへのお気遣いだったのですね
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 21:50:58.68 ID:KytaefXR0
えらく大変な事になったもんだが、楽しみにしてるぜ
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 03:49:29.66 ID:SxwWs7g00
ぱやぱや
707 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/03/15(木) 16:00:33.30 ID:FzmxO/wBO

帝都 深夜
運河港湾施設 コンテナ集積エリア


術師「39 40……46番……そろそろのはず」ツカツカ

術師「これだ」container 51

術師「……こいつだけダイヤル錠がポン付けされてる ……丁寧な仕事だが」キリキリ キリキリキリ
術師「こんな重たいドアに付けて意味あるのか」カチリ

ガシャ ギィィ……ィィ

術師「来たぞお客様 いるなら返事してくれ」

「ようこそお客様 お茶をお入れしますわ」

術師「カマ野郎でしたか 道理で センスMAXなご自宅ですわね」

「入って閉めな」

術師「はは ただでさえ姿どころか中の奥まで見えないのに缶詰になれだと? お前」

術師「依頼は手紙 "何日何時どこそこのコンテナに来い番号はこれ"とだけ 切手が無いから直接机の上に置いた 私の」

術師「昼間は私か弟子か居候かヘドロが詰めてる 夜も巡回警邏と枝セキュリティがあるから誰か来れば分かる」

術師「痕跡なしでここまでやったのは流石だ がその辺にしておけよ」

術師「世間じゃお前のようなのを不審人物というんだ」

「でもノコノコ来たんだろう?」

術師「前金という挨拶の方法を知ってるところが上品だしさる高貴なお客人かと思ったんでな」

術師「それで? 暗いぞ」

「はあ」sigh
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:04:18.10 ID:FzmxO/wBO

術師「騙し討ち失敗?」

「まーそんなとこです」キ

術師「!」バッ


パァアンッッ


「うっわ躱したよおっさん」カシッ チャキン

術師「耳が良くてな 握力無いならトリガープルを弄った方がいいんじゃないか」close

術師「そう言うお前の顔は随分と幼く見えたぞ」summon DESTROY PICKAXE


――――中に入ってから閉めろって言っただろー? おーい……おい

おい 何? この うわ冷ッ――――


ジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュル


術師「茶色くなるまで育てておいて良かった コンテナの中では逃げ場無し――――」moss hell

術師「心配しなくてもそのうち枯れて全部死ぬから頑張れ 鍵掛けとくからゆっくり楽しむといい それと」ガチャ キリリリリ

術師「オトコは三十からだ 覚えておけ……」


ジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュル


術師「ふむ」

術師「…………」

術師「………………」

術師「え マジで死んだのか」
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:08:35.93 ID:FzmxO/wBO


コンテナ「    」


術師「……今までで一番骨の無い刺客だ 呼び出しまでしといてこれとは」

術師「まあ楽な分には文句ない じゃー帰ろっかな――――」summon BLOCK

ガギィン

術師「なんちゃって」

襲撃者「!!」シュバッ

術師「こんばんは覆面通り魔君 いい腕と刃物だ」
術師「刺突に全く迷いがなかったし こいつを突いて刃溢れ無し 体運びに淀みもない」

術師「少しは楽しめそうかな」dig

襲撃者「(何だ 堅土の塊が苔むしてる?)」

ボゴォ

ガジガジムシ「「「「      」」」」ザザザザザザザザザザザザザゾゾゾゾザザゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ

襲撃者「!」evade

術師「はははどうした 斬りかからないのか」DigdugDigDugDigdugDigdug

ガジガジムシ「   」うじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃ

襲撃者「(斬りかかったら集られて終わる デカい蟻? 見たことない虫)」クル
襲撃者「(だがあのサモナーの召喚獣だ アゴ鋭いし絶対ヤバい奴でしょ)」タッ

術師「待てよ 待てって」summon GOLEM

ゴーレム「   」pickup master

術師「ゆっくりしてけ」active PICKAXE SKILL

DUNGEON QUAKE


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


襲撃者「う」グラァ

術師「コンテナの下で」jump order

ゴーレム「  」ダンッッッ

襲撃者「跳んだ ちっ、コンテナ崩れるよなこれ!」


ガシャンゴシャァゴロンガランゴドン ズズゥンン……
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:17:11.81 ID:uV/ZgbvbO

術師「雰囲気重視で選んだにしては気が利いてたよ 明日の朝刊では――」
術師「不幸な事故の被害者ということで 一つタブロイドの紙面埋めに貢献してやってくれ」

ジャキィン

術師「!」

襲撃者「――――――――」equip knife

術師「(直撃コースのコンテナが真っ二つに……あのナイフでか どうやった)」P.S. active
術師「(ならこいつはどうだ)」WONDERFUL FESTA

ストストストスト

ガジガジムシ「「「  」」」!

襲撃者「(……本当に斬れた これならイケるかも知れない……って今度は何)」
襲撃者「(旗?)」

ウゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ

襲撃者「くそ」シュバババ

ジャギンジャギンジャギン

襲撃者「(転がった周りのコンテナを解体して瓦礫の壁に……ッ)」ガラガラガラガラ

術師「はは 何してるんだ?」faaaaaaaaaaaaaaall

襲撃者「(潰しにくる! ここの地面の"線"は? あった!)」ジャギン

地面「  」crack

術師「ほう」
ゴーレム「  」landing

ドズゥン ゴバァアアアッッ
ゴーレム「……!」ジタバタ

術師「(地面を斬り砕いて(?)落とし穴にしたか)」スタッ

襲撃者「てぇエえッ!」ザギィン

ゴーレム「  」dismantled

襲撃者「次ッ――――」ザッ

術師「はそいつらだ」スタコラ

土塊「 」バラバラバラバラ

シルバーフィッシュ「「「「     」」」」うじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃ

襲撃者「ぃッ……」わらわらわらわら

術師「(ブロックとツルハシを触媒に喚べる潜伏生物 コストも軽いから量は大盛りよ)」
術師「(最近はダシに凝ってましてね こういううじゃうじゃ系は肉とか内臓まで綺麗にしてくれるから本当重宝する)」

襲撃者「くそ なんだこの魚みたいな虫ッ」シュパパパ

銀魚「ピギュェ」バシュ
銀魚「ィィギェ」ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ
銀魚「ギィィィ」 ロ ロ ロ ロ ロ ロ

襲撃者「離れろ ラチが明かな――――」

ガジガジムシ「「「     」」」ウゾゾゾゾゾゾゾゾ

術師「瓦礫で塞ごうというのは分からなくもない発想だが」
術師「虫だから 悪路とか障害物はあんまり効果がないな」

襲撃者「う ぅぁああああぁああぁああぁああぁああぁああぁ」ゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロ

術師「心配するな痛いのは一瞬だ 多分ね」

襲撃者「おいっ――――おい! まだかよ 早くしろよ!!!」

術師「?」


「お待たせ "マスター"」

術師「!」

711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:20:07.20 ID:uV/ZgbvbO


数十分後
破壊された運河港湾施設


襲撃者「ハァー ハァ はぁっ……」ゼェゼェ

「相棒 お前の言った通りだったなァ」

襲撃者「やっぱりあんた頭おかしーぜ……マジでやるのか」

狂人「当たり前だろ! その為にわざわざ来たんだっつーの」

狂人「ねっ 先生!」kick

術師「   」ゴロ

狂人「最後のは何喚ぼうとしてたんだ? あれが不発でなければなあ! あはハはは」ケラケラ

襲撃者「本当にあの召喚魔法教授を倒すなんて……」

狂人「倒してねえよ倒してねえ ちょっと大人しくしてもらってるだけさコイツで」チャキ

襲撃者「……短いライフル銃ねぇ」

狂人「一発こっきりのな プラスお前に渡したその眼でだ」

襲撃者「すげーけど使いまくると頭痛くなる 何なんだ? これ……」ズキ

狂人「慣れろよ? 当たりさえすればマジ最強だから」

襲撃者「はいはい……」

狂人「さてそれじゃ準備するぞ いいな? とっとと上脱げ」

襲撃者「バーカ ホモ」スル

バサ

襲撃者「いつでも」全身刺青

狂人「間違えんなよ――――」

712 :突っ込みどころMAXでしょうが暫くご清観いただきたい [sage saga]:2018/03/15(木) 16:22:41.57 ID:uV/ZgbvbO


「素に銀と鉄 礎に石と契約の大公」

「祖には我等が菌糸――――」

「降り立つ風には壁を」
「四方の門は閉じ 王冠より出で 王国に至る三叉路は循環せよ」

「閉じよ(みたせ)」「閉じよ」「閉じよ」「閉じよ」「閉じよ」

「繰り返す都度に幾度 ただ満たされる刻を破却する」

「――――告げる」

「汝の魂をここに 我が命運は汝の術に」
「我が憧憬に報い この意 この理を汲むならば応えよ」

「誓いを此処に 我は常世総ての悪と成る者 我は常世総ての善を敷く者」
「汝三大の言霊を纏う七天」

「異なる抑止の輪より来たり覆え 天秤の守り手よ―――!」

713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:24:40.32 ID:uV/ZgbvbO


二日後


714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:27:15.83 ID:uV/ZgbvbO

帝都魔法大学 魔導薬学研究室


ドリアード「ブラウン 薬草の整理終わったわ」

茶「ありがとうドリアードちゃん ホンっト早いわねー!」

茶「資料要らないからパパっとだし私も知らない効能とか知ってるし! 草に関しては他の助手要らずだわ!」

ドリアード「面と向かってそんなこと言ってないわよね?」

茶「当ったり前じゃない! 今日全員フィールドワークなのはたまたまよたまたま」

茶「選別 整理 調合 実験は十分手が足りてるからバイトさん連れて調達に行ってきて! って」

ドリアード「言ってるようなもんじゃない…… あのね 傘のマークの製薬会社行きが決まってる子いるでしょ?」

茶「最近だと画期的なゾンビウィルスを作った大企業ね! 彼女に限らず私の助手は袖の下を使わせない優秀な子ばっかりよ!」

茶「研究に専念できる私は幸せ者だし 流石よね! ふふん!」

ドリアード「まあそうね 秀でているのは間違いない、けど私への対抗心が凄いの彼女」
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:30:00.53 ID:uV/ZgbvbO

ドリアード「いきなり現れて貴女に貢献してるのが気に入らないみたい」

ドリアード「これ見た目子供なのに 足踏まれたり肘ぶつかったりなんてしょっちゅうなのよ」やれやれ

茶「だから暫く前から目に見えて張り切り出してたのよね? うんうん」ガシ

ドリアード「何?」

茶「そうよ! 競争相手が出来たおかげでやっと彼女の芽が出たの 実は彼女だけじゃないのよ!」

茶「"あそこから手を借りるなんて間違ってる" "身元も分からない人外を使うなんて不気味" "これまで自分達でやってきたのに何故?"」
茶「"ここへは使いっ走りをするために来たんじゃない" "せっかく一緒に働いてるのにどうしてサインの一つも貰えないんだ転売したいのに"」
茶「"たまにする出来の悪い人間を見る目が非常によろしいくない" "辞めさせてほしいロリに目覚めそう"とか 実は色んな相談を受けてるの!」

ドリアード「後半おかしくない」

茶「私の返答は大体同じよ "優秀な人間が優しくされるのは秀でているから"」

茶「"あなたの相談に優しく乗るわ あなたは?" みんなやる気になってくれたわ!」

ドリアード「後半は捌けないんじゃないそれだと」

茶「つまりあなたは当研究室に於いて立派なカンフル剤としての地位を確立しているのよ!!」

茶「ありがとうドリアードちゃん!! そのままのあなたでいてね!!!」ブンブン

ドリアード「人でなし」

茶「ふふっ、あなたもね!」

ドリアード「何喜んでるの?」

コンコン

茶「はーい! 開いてるわよハーフィ!」
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:32:47.56 ID:uV/ZgbvbO

ガチャ

半鳥「おはようございますブラウン教授」

ドリアード「よく分かったわね」

茶「まーねぇ昨日の今日だし 一応聞くけどどうしたの?」

半鳥「……教授が来ません」

ドリアード「ほっときなさい」

半鳥「そりゃあドリアードちゃんはプロの植物だからこっち来れば仕事あんだろーけどさぁ……」

ドリアード「だから無断欠勤のエロサモナーの代わりに私が宿題を出してあげたでしょう」

半鳥「そうだけど」

茶「まあ毎回が遊び相手絡みでってことは無いと思うけれどねー それに」

茶「サモナーは暇してたり仕事が無かったりでも必ず顔は出すわ 出してたわ、かしら」

ドリアード「そう それからどこかに出掛けてた 省いただけじゃない?」

茶「うーん……」

ドリアード「いーのよいーのよ 貴女は自分の研鑽だけ考えてなさい、そのうち帰ってくるでしょうから」

ドリアード「大概生き返るし死体で見つかった方がお互い動き回らない分ラクまであるわ」

半鳥「当たり強ぇな……まあ色々しょうがないとは思うけど」

茶「(妬み以上にサモナーのとこのって肩書きが大きいしねえ……そっちは諦めて貰うしかないわね)」

茶「(比べられて潰れるような子は弾けるし 資金もそうだし選別も出来るしで本当にいい助手よ)」クク

半鳥「(なんか悪い顔してる)」

ドリアード「分かったら戻りなさい ここで貴女が出来ることはないわ」

半鳥「邪魔しちゃってるよねゴメン」

半鳥「でもそういうことだから一言掛けときたくて」

ドリアード「?」

茶「探しに行くってことね!」スタスタ
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 16:36:35.37 ID:uV/ZgbvbO

半鳥「探しにっていうか あー 行方不明とかっていうならそうなるんでしょうけど」

ドリアード「ふん 心配する必要ないと思うけど」

ドリアード「格上の心配が出来る程度には 私が教えた魔法だとかちょっとはモノに出来てきてるわけ」

半鳥「硬化と簡単な薬草精製 でその薬剤化でしょ? 昨日ね」

ドリアード「えっ」

茶「召喚魔法のアプローチがあれば精製植物の瞬間生育にどこかから栄養素を取り寄せって方法が取れるものね、一から合成しなくても」ガサゴソ

半鳥「ふふん」

茶「うむうむ 応用力と洞察力は魔法使いに必須の資質よ っと……」バサッ カキカキ

半鳥「ブラウン教授 家は分かりますか?」

茶「そー来ると思って今道順を書き込んでました! はい地図これ!」

半鳥「ありがとうございます どれどれ……結構近いんですね」

半鳥「地図のここら辺ってことはあんまり大きい家じゃない?」

茶「一人暮らしだしね! 前買ったっていう別荘も大き過ぎてあんまり落ち着かないみたい」

半鳥「なんかダイエット教室開いてたとかって言ってた気がする」

ドリアード「ダイエット教室ぅ? いかがわしい……」

半鳥「変なとこ触ってそう "この辺りの脂肪を私の掌で直接異次元へ飛ばして差し上げよう"〜」声真似

ドリアード「ふふ」

半鳥「"いやんそこを飛ばしたらブラジャーを新調しないといけなくなりますわ"〜」裏声

ドリアード「サモナー変態ね 最低だわ うふふふ」lol

茶「大丈夫よ! 友達と子供には手出さないから彼!」

半鳥「行きます?」

茶「行かないけど!」

半鳥「じゃあ家の方に行ってきます」

ドリアード「気を付けて」

半鳥「新調しなくていいように?」

ドリアード「もういいから行きなさいよ」クスクス

半鳥「はーい」

ガチャ バタン
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/03/16(金) 19:41:14.23 ID:3bFHSlGn0
更新されてましたか、しかし召喚術師にバーサーカー適正あったとは驚きです、召喚師なら普通ならキャスターが妥当な所何ですけどね
ともかく続きを楽しみにしてます
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/18(日) 01:13:41.07 ID:MOsKg2qx0
祖には我らが菌糸www
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 07:07:22.51 ID:E9r+b0F30
更新来てた乙!
なんかバサカの能力的に直死っぽいんだけど、あの二人のどっちかでも来てるの?
721 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/03/22(木) 18:16:35.98 ID:vkk4sDUg0


【少し後 帝都大通り】
【乗合停留所】


青年「…………」うつらうつら

車掌「発車します お掴まり下さ――――」

「ああぁー待って! 待って下さい乗りまーす! 乗りまーす待ってー!」バサッ バサッ

青年「…………ぁあ?」パチ

車掌「上だ 止めて止めて」up stair
運転手「あの子? 空からならいいんじゃないかもう走ってて」stop

半鳥「着地!」スタッ

車掌「発車オーライ」つ伝声管
運転手〈オーライ〉ブロロロロロ

青年「(やかましいのが来たな 声うるさ…… インコの亜人?)」欠伸

半鳥「はー間に合った こんにちは すいません……」

車掌「はいこんにちは 君ももう少し時間に余裕を持って行動したらどうだい?」

車掌「乗る時間はバラバラなのに乗る時はいつも出発間際でしょ」

運転手〈いつもご利用ありがとうございます 二階から直接〉

運転手〈上向きにはミラー付いてなくてねェ……〉

半鳥「……ご ごめんなさい」

車掌「気を付けてね」

半鳥「はい」スト
半鳥「ふう……時刻表貰っとこうかなぁ」

青年「(サンダルに袖無しで飛んできたのか 寒いだろ)」

青年「(……あと三つか んだよ二つ分寝てられたじゃねぇか 起こしやがってクソ)」

青年「(目ぇ覚めちまったよ あー勿体ねぇ……眠いのに寝れないのムカつく)」フアァ

青年「チッ……」ジロ

半鳥「っ?」チラ

青年「……」フイ

半鳥「〜……」ほっ

青年「(…………何ホッとしてるんだ 気にしなきゃいいだろ)」

青年「(……ああ……)」

青年「(ああ むしゃくしゃする)」

722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:18:56.34 ID:vkk4sDUg0


 昼下がり 乗合の魔導炉が低く唸る

 屋根の無い二階席の肌寒さを鬱陶しく感じて、一階へ降りた 閑散とした車内で適当な席を探し、座り直す

 途端に閉塞感を覚えた
 今日は無視する

 気を紛らわそうと、流れていく帝都の街並みを眺めた
 風景の退屈さと、登校前の気怠さを、普段は微睡みの糧としている 何の気なしにでも走行中の乗合から外を見遣るのは久しぶりだった

 ふと窓越しのピントがズレる

 物憂げに頬杖を突いた、半透明の顔と目が合った 顔をしかめるとそいつも嫌そうな顔をする

 帝都第二学園高等部の制服が似合っているかはなんとも言えない

 明け方から昼にかけての運送業で意図せずに鍛えられたがたいは、出来て久しい眉間の皺と合間って第一印象を厳めしいものにしていた
 制服は好きではない
 好きではないし学園は服装自由だが、金と服が無いので何着か支給されたこれを着回している

 仏頂面を眺めながら、どうでもいいことを考えている自分に気付いて、青年はまた鉛のような倦怠感が体にのし掛かるのを感じた

「なあ 新聞見たか今朝の」

「見てるよ ラジオ点けてコーヒー準備して朝刊読みながらウンコすんのが俺の朝だよ」

「うわ汚ぇ話すんなよ〜」

 青年の耳が勝手に中年親父の会話を拾った

 声量を落としてはいるが容易に聞き取れる声で、禿げた中年と太った中年はべらべらとやりだす

禿客「マフィアだろ? それしかねえ 隠れ家摘発だとさ」

太客「ざまあ見やがれってんだよな」

禿客「隠れ家ってこたァ知ってる奴からだろ 尻尾切りされちまったのかね」

太客「なのかねェ」

禿客「でも心配だよ」
禿客「取っ掛かりがそうじゃん辿ると あのボンボンと、あの場で堂々とやっつけたのは結局……」

太客「帝都が誇る魔法使いの溜まり場に身を置いてるんだ ラーメンバカとお師匠様達が指一本触れさせねぇだろうよ」

禿客「それもそーか」

太客「今度さ、お礼しに行かねえとな」

禿客「あたぼォよ」

 当然部外者には要領を得ない すぐに意識の埒外へ雑音を押しやる、舌打ちも忘れない

 ばつの悪そうな一瞥が返ってきたのを視界の端に捉え、あからさまに不機嫌そうな振る舞いをしてみせた自分自身でさらに不機嫌になりながら、青年は降りるまで考えることをやめた

723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:21:47.72 ID:vkk4sDUg0


【帝都第二学園 校門】


青年「……」pay

ブロロロロロ……

青年「(もう少し早く出ようか、昼飯は乗合ン中で食えるヤツでいい 適当なスタンドで ハンバーガーとか)」

青年「(……や 今日だけだろ いいや別に)」テクテク


「じゃーねーまた明日ー」
「あーお前今日午後一コマだっけ いいなぁ俺もそうしときゃ良かった」
「あんたはデフォで週末三連休に組んでんでしょーがよ」「でュふふ」
「おう帰宅組か? 気を付けて帰れよー、最近また変なのが出てるみたいだからな」
「集会で言ってたやつですか先生」
「生徒会も頑張ってるがなぁ 警備会社に頼むかって話も出てんだよな お前らもあんまり――――」


青年「(昼の生徒と教師だ 例の不良の話か? 今期のヤバい生徒会でも手に余るか)」

青年「(夕方からの俺達は特に気を付けないといけないだろな――――)」

どん

後輩「きゃっ――――」グラッ
青年「!」肩

バラバラバラバラ

後輩「いたっ」すてん

青年「ごめん」
青年「(紙か 派手に散らばったな)」チッ
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:24:08.91 ID:vkk4sDUg0

後輩「たたた……うぁっちゃぁー、派手に散らばっちゃったっスねェ」

青年「余所見してた ケガ無い?」

後輩「尻餅ついちゃっただけっス大丈夫 でもあーこれは参ったなぁー」チラッ

青年「(ブローチの石の学年色は緑色、昼学の一年だ 強かな奴だな)」

青年「(悪いのはこっちってのがやる瀬ない 面倒臭ぇ……)」

青年「手伝うよ」ガサガサ

後輩「あっ ありがとうございますセンパイ!」ガサガサ

青年「(よく言うわ こいつ薄らニヤけてた ブン屋みてーな帽子で隠しても見えてんぞ)」ガサガサ
青年「(というかこれって)」ガサガサ

後輩「いやーセンパイ親切で助かったっスよ 一部どうですか?」
後輩「新聞部謹製"週間二学" サービスするっスよ!」

青年「金無いんだ 悪い」

後輩「えー 女子の肌を傷付けておいて?」

青年「……男子制服だから分かんなかったわ スラックスなら擦りむかないよね」

後輩「あらあー。二重の意味で」
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:25:27.04 ID:vkk4sDUg0

後輩「でもほら 基本生徒は割引で超安いっスから! 駄菓子並みの値段で校内の噂とか学食の献立 天気予報 ラジオ欄――」
後輩「分かり易い社会部 読者投稿欄 小説と四コマ漫画! 密かに人気のちょっとエロい広告は最近撤廃の話が出てますんで今のうちに見とかないとっスよ!」

青年「…………広告は気になる けど無い袖は振れない」

後輩「そうっスか……あれ、二年で夜学の方?」

青年「まだ何か」

後輩「アルバイトとか……」

青年「日中ね」

後輩「じゃあじゃあインタビューとか! 実はコラムにアルバイト体験談ってのがあってですね!」

青年「(思い出した こいつしつこいのとうるさいので有名な奴じゃなかったか)」

青年「(面倒臭いな……面倒臭い)」

青年「守秘義務があってさ 仕事内容は話せない」

後輩「えっ あーそういう……そうでしたか」

青年「(嘘だけど)」

青年「もう行くね 部活頑張って」

後輩「……はいっス! それじゃまた! 羽振りのいい時はお願いしますよー!」

青年「(やっぱ時間ズラそ)」プラプラ
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:26:59.24 ID:vkk4sDUg0

後輩「新聞部でーす! 週間二学、一部どうっスかー?」

美術部員1「よーパパラッチ クイックシルバーの続報きてる?」
美術部員2「綺麗に撮ってんだろうな 写真」

後輩「美術部の先輩方! いやァー先週は無かったんっスよー! 放課後知り合いに張ってもらってたんスけどねー」
後輩「見たかったのになぁ あ、毎度ありがとうございまーすはいどーぞ!」

「精が出るね 私にも一部くれる」メガネグイッ

後輩「あっ 生徒会長!」

727 :※重ねまして 度量衡やらアルファベットやら慣用句やらは作中言語が上手いこと日本語訳されているものとご理解下さい [sage saga]:2018/03/22(木) 18:29:42.34 ID:vkk4sDUg0


生徒会長「あんたの声は本当よく通るな 中等部の時からずっとそう」チャリン

後輩「そういう生徒会長も相変わらず筋肉バキバキ また背伸びた?」パサ

生徒会長「朝は鏡 屈まないとモヒカンのセットがしにくくなってきたかも 洗面台で」ペラペラ

生徒会長「……ん この ラジオ欄の"新・帝都傀儡奇譚"って何? 新番組?」

後輩「ああ なんかこないだの対戦傀儡騒動に因んだ古いラジオドラマのリメイクだとかで――――」

 世間話を始める一年生の女子二人を美術部の二年生と三年生が見ている
 共通点は遠目で女子だと分かり難いところか

 鳥打ち帽と男子制服というボーイッシュな装いと 図々しさ やかましさ 神出鬼没さ やかましさ 図々しさでまともな女子扱いされにくく
 また自身も本職顔負けのフットワークで入学早々に新聞部先達を押し退け学園専属記者を公言していたり
 公共物に妙な作品を投下する謎のお騒がせアーティスト"クイックシルバー"をこよなく愛していたりで忙しい 新聞部エースのブン屋ガール

 と、

 180cm代後半の身長 制服の上からでも分かる鋼のように鍛え上げられた分厚い筋肉 丸眼鏡の奥の鋭すぎる眼光 刈り上げて目立つ短めのモヒカン
 前期生徒会長による熱い推薦と、歳不相応に重厚過ぎる貫禄を見せた演説で前期生徒会副会長ズを打倒 異例の一年生会長となった魔導鎧系女子

 この仲の良い色物コンビを眺める先輩二人の視線に他意はなかった マジで
 年齢に比し 一般の生徒とは評判と実態が色々一線を画しているところからか、粉をかけようとしてみた者の話はまるで聞かない

 人望はあるけどな。うん。付き合うのは無いかな。な。などと所感の一致を確認し合い、上級生は一足先に校舎へ戻っていった


生徒会長「……へえ、面白そうなんじゃない? 男の子向けって感じだけど」

後輩「少なくない数女性ファンはいたみたい こう 所謂 男性同士の示唆的な描写があったとかなんとか」

生徒会長「ほう……」

後輩「ところでさっきの先輩方どう思う?」

生徒会長「ケツにミドルキックしたい」

後輩「……私の分も頼んますわ」ズーン

生徒会長「この話題やめない」ズーン

後輩「っスね……」

728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:34:04.72 ID:vkk4sDUg0


【第二学園校内 五階】


 筋肉女子と男装女子が校内を行く 友人知人に声をかけられかけ返しつつ、生徒会室のある階へ着いた
 上級科目の授業になる程教室は上階のものが使われる傾向にあり、すれ違う生徒も下級生が減ってくる

 帝都第二学園 通称"二学"は休日を除き二十四時間常にどこかの教室で授業が行われており、時間割りを生徒が自分で組み立て受講する
 性別 人種 年齢 環境 様々な背景をもった生徒が入り交じる学園の、さらに昼を少し過ぎたこの時間は課程間の境目と言える
 
後輩「(あ)」


蜥蜴亜人「おや こんにちは」

青年「こんにちは」

蜥蜴亜人「今来たところですか? 教室 一緒に行きましょう」

青年「いいですけど」

蜥蜴亜人「ありがとう あんまり元気な子達と話が合わなくて寂しいんです……」

青年「そんな とっつぁんそういえば今年でお幾つでしたっけ」

蜥蜴亜人「86になりますよ 最近は脱皮がキツくなってきて」

青年「見えませんよ 鱗全然綺麗だし」


後輩「(なんかシュールやな)」

生徒会長「あの人だろ? くしゃみでブレス吐いてスプリンクラー誤作動させたっていうのは」

後輩「何それウケる 去年?」

生徒会長「去年 お爺さんまでいるっていうのは改めて凄いよなここ」

後輩「高等部だと下は十二歳の子がいるんだってサ 超天才だけど病弱で家出れないから放送授業なんだと」

生徒会長「知ってる もし会ってもいつもの調子で捲し立てるなよ、彼は二年生だから私達の先輩だぞ」

後輩「老後学生と飛び級神童かぁ 超お話聞きたい」

生徒会長「ふふ 好きだなぁ」

「生徒会長! 居ましたわお姉さま!」
「見えていますわ というか二人一緒で探しているのですから言わなくても分かりますわ」

生徒会長「副会長達 探してたってどうして?」
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:35:41.31 ID:vkk4sDUg0

副会長妹「ケンカですわ生徒会長ケンカ! また例のドロップアウトボーイズですわ!」
副会長姉「ボーイズではありませんわね妹さん ボーイだけじゃなくガールもいましてよ」

副会長妹「ドロップアウト集団ですわ!」

副会長姉「ドロップアウト集団が通学路に屯していたのですわ」

副会長姉「生活指導の先生と風紀委員も向かわれたのですが……その」

生徒会長「分かった先輩 任せておいて」

副会長妹「ついてきて下さいまし!」

生徒会長「来る?」

副会長姉「ちょっと」

後輩「是非行きたいっスね」つカメラ

副会長妹「彼ら最近はどんどん血の気が多くなってきてンですわ 数も増えたし」

副会長妹「バイカーって言うんですの? 魔導二輪車を乗り回す集団とツルむようになって」

副会長妹「それから一層歯止めが効かなくなってきてるんですの ダメですわ! 危ないですわ!」

後輩「その現状を全校生徒に伝えて注意喚起するんっスよ」

後輩「見出しは"生徒会長百人斬り 副会長姉妹「まるで石臼が芥子粒を挽き潰すように」"とか!」

副会長妹「面白がってんじゃねェですわ」

生徒会長「大丈夫だよ 学校側からもそろそろ本腰入れようって話が出てたじゃない、注意喚起は大事だ」

生徒会長「それに彼女は超すばしっこい いざとなれば勝手に逃げてくから」

後輩「逃げてくっスから」

副会長姉「ではせめて見えないところからでお願いしますわ 必要以上に刺激しないよう」

副会長姉「急ぎましょう 生徒会長ならすぐに済ませられますわ」

730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:37:28.74 ID:vkk4sDUg0


【数十分前 スラム街境目】
【廃アパート 不良の溜まり場】


ガチャ


耳ピアス「おい起きてっか? 出れるやつ来いや ……全然いねーな」

眉無し「殆ど昨日連れてきたのと上いる」

耳ピ「あっごめんなさい」

眉無「ハブられてんじゃねぇから」

眉無「俺はご宿泊じゃなくてご休憩なだけだから 日ィ跨ぐ前に送ったし 腰痛いんだけど何」

耳ピ「お前だけ日ィ跨ぐ前に」
耳ピ「あっごめんなさい」

眉無「殺すよ?」

耳ピ「すぐ招集かけろ 二学のガキやるってよ また」

眉無「オッケ場所どこ」のそ

耳ピ「通学路 あそこだあそここないだ鎖で市中引き回しごっこやったじゃん」

眉無「お巡り来て途中で鎖外れたところか 信号のタイミング変なんだよなあそこ」

耳ピ「そうそう またやろうな」

眉無「待って呼んでくる」

731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:39:42.24 ID:vkk4sDUg0


【廃アパート 上階のどこかの部屋】


ギシ

ドレッドヘアーの少年「……」グビ

 着衣を整え適当に座って瓶を煽った 中身はビール 喉を鳴らして苦みを渇きに中てる
 一応水道は通っているが飲めたものではないのでここを使う輩は皆飲み物を持参する 彼もそうした
 糞を流せるトイレと汗を流せるシャワーが使えれば良い その二つは必須だ

縮毛「飲む」

 瓶をちゃぷちゃぷ言わせて聞く
 声をかけられた相手は毛布に包まったまま身動ぎした 首を振ったらしい

縮毛「あっそ」

 飲み干した ベッドの下の空き瓶がまた増えた これで十本、集まった空き瓶が収集人に回収されることはない
 これの次の職場は仲間の手作りレーン最奥 使い潰されて割られるまで倒れ易いボーリングピンとして短い余生を送るのだ

 抗議の枕が飛んでくる
 首は縦に振っていたらしい

縮毛「まだあるし 俺行くね」

縮毛「ビールやんだからシーツとか洗濯やっとけよ ……聞いてる?」

コンコン

縮毛「早漏来た」

眉無「誰が早漏だコラ 紳士なんだよお前らと違って」

眉無「ケダモノのお兄様とは特にな」

縮毛「ノックが早漏臭い」

眉無「ブッ飛ばすぞマジで!」

眉無「もういいや 呼んでるから来い二学シメるって」

縮毛「喧嘩売ってるってことでいいのね?」

眉無「は? ってああ お前二学だったね」

眉無「嫌?」

 返事は獰猛な笑み

眉無「ホントお兄様は喧嘩好きな あとセックス」

眉無「おーい そっちの 起きてんだろ!」

縮毛「寝かしてあげて 腰いわせちゃってっから」てへぺろ

眉無「…………マジやべー」うえ

縮毛「まだまだァ もっとやべーとこ見せてやんよ」ケケケ

縮毛「またね」チュ

 ベッドに寄って毛布越しの背中にキスを落とし、アパートを後にする

732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:43:00.02 ID:vkk4sDUg0


【現在 二学近く】
【魔導二輪で封鎖された通学路】


「うぅ……」
「風紀委員が来てくれてる 今のうちに逃げよう!」
「ま 待って!」


 野次馬と乗り付けられた魔導二輪が昼過ぎの通学路を不穏に囲う
 乱闘が始まるのは早かった

 不良グループに絡まれる生徒を見た人間が学園に連絡 風紀委員が仲裁に向かった
 ただ騒ぎたいだけの彼らからすれば飛んで火に入る夏の虫、数名が返り討ちに遭う
 騒ぎを聞き付け近隣に居た別の風紀委員が駆け付けたが、騒動が収まる気配はまるで無かった


「危ないから下がって!」
「ってんじゃねェぞおらァ!」
「バイクから降りろ! 道を塞ぐな!」
「あはははははははは」


風紀委員A「急行できたのは俺達だけか……誰か先生達と警察を呼んで来て!」

不良1「どこ見てんだ 死ねオラ」
風紀委員A「!」

ガヅッ

風紀委員A「ぅあっ……」ドサ

風紀委員B「この落ちこぼれのバカ共 いい加減にしなさいよ!」STUN ROD

不良1「っぉっッこ°tっtttッっttっ」バヂィッッ

ドサ

風紀委員B「平気っ?」

風紀委員A「ああ ッつー……助かったけど躊躇なく使ったなお前 魔導警棒」ズキズキ

風紀委員B「感電するだけなんだから死にゃしないわよ」

風紀委員B「みんなにやってること考えたら別にいいけどね」

不良1「」ビクンビクン

「あいつ女に負けてんぞ! いらねーんじゃね!?」
「おい見ろサカナだサカナ! 陸揚げ一丁!!」
「だッせー超ウケんだけど」
「ぎゃはははははははは」
「そのまま死んでろザーコ!!」

風紀委員B「仲間じゃないの? バカな上に薄情って救いよう無いじゃない」

不良2「おいおいおいおいやっちまったぞこの女 俺達はただそちらの生徒さんとお喋りしてただけなのによお」

風紀委員A「……女子から男子を引き剥がし 複数人で囲むのをただのお喋りとは言わない」

不良3「ちょっと肩組んだだけだろうがボケ 自意識過剰ォー」

不良3「先に手ぇ出したのそっちだから 死にな?」

風紀委員B「バーカ 雁首揃えてバカ バカ バカばっかね そっちが死にな? よ」
風紀委員A「おい……」

風紀委員B「まず 学校来ないクセして学区圏内をブラブラされるだけでみんな不安がるの 十ぅ分迷惑」

風紀委員B「スラムに溜まり場あるんでしょ? バカ同士向こうで傷の舐め合いやってなさいよ」

不良2「あァ……?」ピク

風紀委員B「怒った?」

不良2「こっち来いてめェ ひん剥かれても同じこと言えっか確かめてやんよ?」

風紀委員B「みんなで仲良く婦女強姦! フンっ 女一人にも数で当たらなきゃ勝てないもんね」
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:45:17.89 ID:vkk4sDUg0

風紀委員B「マトモな頭があるのが羨ましいんでしょ 自分達と違って だから意味もなく絡むんじゃない」

風紀委員B「今日だってこれ結局嫉妬なんでしょ? 見たまんま学生カップルが妬ましくて仕方がないかr」

ビシュッ

風紀委員B「っッさーッ!!」ガキィーン

不良4「……石 打ち返しやがった」slingshot

不良2「やれお前ら! やれ!」

不良3「お前それじゃ言われっぱなしじゃん(笑)」

不良2「マジ殺す ぶっ殺すから」

風紀委員A「煽るな! お前達もやめろ もう帰るんだ」

不良3「帰れば? その子だけ置いてけばいいじゃんクソメガネ君」

風紀委員B「ダっサ」

不良3「調子こいてんな 別にわざわざマワしたりしねえし 帰りゃ幾らでもいる」

不良3「ここにはストレス解消しに来てんだよ お前は便所じゃなくてサンドバッグ」

風紀委員A「……」
風紀委員B「死ねば」

不良3「そこで転がってるザコが肩組んだってのも男の方だしな 何イライラしてんの? 生理?」

風紀委員B「仲間内でやんなさい幼稚で下品なバカ共 男だったから何? 同じことよ」

風紀委員B「このクソホモ野郎共 消えなさい」

「あーあ へへ」
「言っちゃったよ」

風紀委員B「……?」


「眉ハゲェ 降ろして」

「勝手に降りな」


スタ

風紀委員B「……あんた……」
風紀委員A「君か……」

縮毛「今の悪口で言ったの? 良くないなァLGBTには配慮しないと」

縮毛「声デカいんだよ 嫌だろ絡まれんの……うるさい奴はマジで馬鹿みたいにうるさいんだぜ」

風紀委員A「…………」

縮毛「こんにちは風紀委員の切り込み隊長ちゃん」

縮毛「ホモは嫌い?」cast BARRIER GANTLET

734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 18:48:41.03 ID:vkk4sDUg0


 縮れた髪房を揺らして構える少年の腕に集まった魔力が物質化 半透明の籠手が形成される

 結界 バリアー 障壁 シールド 好き勝手に呼称されるポピュラーな守備魔法
 これを殴り付ける得物として転用する珍奇なスタイルを
使い手も含め 風紀委員達はよく知っていた

風紀委員B「……あんたは嫌い」

縮毛「傷つくわー」タンッ

風紀委員B「っ!」
風紀委員A「下がって!」バッ

 足捌きは拳闘
 口と目付きのキツい同僚を庇って前に出る 窘めた警棒を抜き放つ動きに迷いはない

縮毛「シッッ」ヒュ

 刺すような呼気 障壁付きの右腕が霞む
 物を殴打した硬質の音が響くが間合いは詰まっていない 命中したのではない ではジャブか

 否 牽制ではなかった

風紀委員A「(飛んでくる!)」シャキ

 パンチに合わせて填めた障壁を宙へ固定し粉砕 障壁片が飛び道具となる
 大元の魔法の衝撃制御技法が弄くられ、単に突き割られただけでは有り得ない速度で攻撃に回された防御の散弾が飛ぶ

 対し風紀委員は即座に執行委員標準装備型電磁魔導警棒を延伸 その中央を掴んで回転させる
 現れた弧を描く棍術の盾をカヌーを漕ぐように左右へブン回す バチバチ唸る警棒棍に障壁散弾の尽くが打ち払われた
 防いだ回転を殺さず 勢いを乗せて踏み込み刺突 刺突刺突刺突
 残像が守りの円弧から猛攻の驟雨へ変じ、変じた棍撃はしかし 屈み 躱し 捌き 反らす ドレッド野郎の動体視力を越えられない
 想定内だった

 十数突目で警棒棍を引き戻して旋回させ、打ち払いで頭を狙う 奴が屈んで避ける
 返す刀で次 下段 奴が跳ぶ
 そこへ連撃を布石にした渾身の突きで正中線を穿ちにかかる 空中で身動きを取れる人間などそうはいない
 そうはいないが割りといる
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/24(土) 06:33:43.94 ID:4cPRqX3W0
死んじゃった? サモナー死んじゃった?(コツメカワウソちゃん調)
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/24(土) 13:00:15.48 ID:a1GThFHl0
ちょ あの飲んだくれ傭兵w不良共のリーダーでもやり始めたのか?w
なんちゅう影響残してくれてんだw
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/27(火) 05:49:04.65 ID:lWVg3pGB0
ラジオドラマ……リメイクされたんだな。まぁ昔からのファンにも賛否両論されてるんだろうねぇ

ついでに警察側としては、戦闘傀儡までリメイクされるのは困りもんなんだろうなぁ
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 16:37:47.32 ID:hg21PfHk0
そっかー、割と居ちゃったかー……
739 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/03/29(木) 22:53:55.89 ID:UtV95AVK0
縮毛「(あはは)」cast BARRIER STAIR

 ドレッド野郎が宙を蹴って跳躍した
 足裏に精製・固定したタイル大の障壁を足場にしての二段ジャンプ

風紀委員A「――――!」

 警棒棍は役目を終えた障壁を貫き
 頭上をゆくゴロツキが奇襲の踵落としで脳天を狙う

ヂッッ

風紀委員A「っ、の――――!」evade

 間一髪で首を反らす
 メガネが砕け散る

風紀委員A「づぁッ!」mode change

縮毛「ふふ」blocking

 間合いの内に入られた棍が再び収縮 警棒態に
 がら空きの胸へ今度こそ突きを撃つ ドレッド野郎が微笑し、交差させた籠手障壁が警棒を防御
 衝撃に合わせ風紀委員の肩へ蹴りを入れ、反動に任せて後方へ飛び退く 後方宙返りを決めて余裕の着地

 ドレッド野郎は最初と同じように構えを取って不適に笑う
 たたらを踏んだ無メガネ風紀委員の表情は渋い レンズで切ったらしく頬に赤い線が走っていた

縮毛「前はこれで一本だったのに」フフフ

風紀委員A「眼鏡と一緒に鼻まで折ってくれた よく覚えてる 忘れられない……」

縮毛「忘れられない? だよね 介抱もしてあげたし」

風紀委員A「それだ!! 思い返すだに 保険医が来なければ本ッ当に危ないところだった!!!」ゾッ

風紀委員B「えぇ……」

縮毛「あの困惑した顔」

縮毛「あの時は俺も若かったから 先走ってうなじ舐めないで鍵を閉めてれば良かったんだよねェ」

縮毛「"え? え? でも いやこれは痣無いかとかの確認だし え? いやでも"ってあのキョドりっぷり」

縮毛「ピュアさを味わえるのは一回きり マジで最高だった」ペロ

風紀委員A「やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。」おぞぞぞ

風紀委員B「あんたが風紀委員にも学校にも来なくなったのって四ヶ月前の話でしょ 若かったってねェ……」

縮毛「男子三日会わざればってやつだよ」

眉無「おいお兄ィ様よぉ喫茶まで送ってやろーか? お喋りしてぇんだろ お?」pipe attack

風紀委員C「ぶげッ」ドグシャ

風紀委員B「! このっ!」

縮毛「妬かない」ニタ

眉無「あっごめんなさい」
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/29(木) 22:55:30.38 ID:UtV95AVK0

風紀委員B「そこまでよ眉ハゲ 先にあんた達から大人しくしてもらうわ」シャキン

風紀委員A「……と とにかく 他の幹部格は来てないみたいだな」

眉無「カンブカクだってよ! カッコつけてんじゃねえメガネ」ハッ

縮毛「みんな強い訳じゃないのを適当に言ってんでしょ」

縮毛「上はアタマがいるだけだよ みんな好きにやってる 最近ヤバいの来たけどね」

風紀委員B「どうしよーもない烏合の衆のバカってことでしょ」

縮毛「煽りよる」

眉無「てめぇもバカバカってバカの一つ覚えみてーに繰り返してっけどな」

縮毛「……居た時からずっと気になってたんだけどさ どうしようもないってのは――――」

縮毛「学校に馴染めなかったから? 落ちこぼれでそれが集まってるから」

風紀委員B「フン 働くのも学ぶのも自由なのに自分で決めたものを放っぽり出してるからよ」

縮毛「落伍者に厳しいなぁ」

風紀委員B「それはいいわ 半端者のクセして頑張ってる人に当たるのが有り得ない」

縮毛「相変わらず優等生でヲトナなのね ツンツン隊長」
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/29(木) 22:56:38.10 ID:UtV95AVK0

風紀委員B「正直ちょっとでもあんたのこと良い奴だと思ってた自分がムカつくわ ほんと」

縮毛「良いやつでしょ 間違ってないない はは」

縮毛「眉ハゲ お前メガネな」

風紀委員B「何様のつもり?」

風紀委員A「待て 君の相手は俺だ!」バッ

眉無「おいおいデートの邪魔してやんな」ブン

風紀委員A「くっ」ガギン
 
縮毛「隊長 組み手とかしたことそういやなかったね」パキ ポキ

縮毛「先生とか来るまで一 二分ってとこか 稽古つけてあげるよ おいで」ザッ

風紀委員B「……舐めんな 裏切り者っ!」
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/29(木) 22:59:49.37 ID:UtV95AVK0




「(……騒がしいんだよ落ちこぼれのガキ共 ケツ持たれたくらいで粋がりやがって)」

「(何がバイカーだ、大陸中ほっつき歩いて仕事探してる要は出稼ぎ労働者だろ デカい顔するなよクソ 殺してやる)」

「(こんな好き勝手有り得なかったのに アタシらが留守にしてれば調子づきやがって クソ クソっ)」

「くそッ……」


 騒動の野次馬を縫って歩く女生徒が一人 毒づく声を聞き取った者が訳を知る由はない

 疲れきった顔 ギターケースを背負ってとぼとぼ歩くその姿に覇気はなく
 本来鋭い目付きはクマと眠気で胡乱気

 彼女はここ数日ろくに眠れていない
 心労は睡眠を妨げ 表の副業にも身が入らず糊口は危うい

 苛立ちが募り
 募ると現状へ経緯を頭でなぞりだし
 元凶へはすぐ思い至り
 そして呪う

 ざわ と女生徒の肌が泡立った

半 「…………あいつだ……ハーフィ……」metamorphose

 制服の下で体表に硬い毛が生え 指の爪が伸びる
 足裏に肉球が膨らみ 脚部が人間と犬の合いの子のような構造に変化してゆく

 往来で顔まで変わるのだけはなんとか押し止めた

 が 噴出する怒りは恨み節となって垂れ流れる


半狼「……ハーフィ! ハーフのハーピィだから? フザけたアダ名だ……」チッ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/29(木) 23:02:52.66 ID:UtV95AVK0

半狼「(ボスをブタ箱にぶち込んだのはあいつだッ……)」…ギリ

半狼「(あのクソガラクタのカス玩具の一件さえ無ければ あれでミソが付いた)」

半狼「("堅気の小僧と小娘にしてやられた"って舐め腐ったチンカス野郎が売ったんだ ボスを)」

半狼「(あの隠れ家は傘下の身内でもごく限られた部下しか知らされてなかった)」

半狼「(パクらした途端フケやがって アタシから逃げられっと思ってんのかよ アぁ……?)」ギギギリィ

 自分で自分の奥歯を噛み砕きかねない咬合力で歯軋りをする
 虫歯が傷んでやめた
 これもボスに治せと言われていた 歯医者が嫌で行っていなかった 後悔している
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 06:54:11.43 ID:aUc2j+bD0
いや、その理屈はおかしい
そういう風にした組織自体に当たるべきそうするべき
745 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/04(水) 13:32:46.41 ID:bHLYKD6qO

 帝都の裏社会に根付いて久しい古株の亜人系マフィア
 その幹部連中の一人 マフラーを巻いた男の護衛と凶手を兼ねる半狼が珍しく安全な仕事に回されたのが先の対戦傀儡の一件
 合法的に手に入るのであればそうしようとボスが思い立ったのが発端だった

 そしてそれがそもそも一連の騒ぎを遊びにしていた外道に筒抜けだったのが運の尽き

 とは露知らず
 ともあれ対峙したハーフハーピィ+αを相手に半狼は敗北した


――
――――
――――――
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 13:34:59.62 ID:bHLYKD6qO


半狼傀儡『   』crash


半鳥「や やった……?」co-operate

ロボット「頭当たったよ 傀儡の反応がしない」main operate
ロボット「倒した」

ドリアード「そのようね」
ドリ傀儡『  』fist-pump!


豚鬼整備士「旦那! 旦那ァ大丈夫なのか!?」

赤い傀儡「……はァ〜 1足す1は無限大ってェ〜? マンガか何かなのォ〜〜? ヒヒヒヒヒ」BREAK DOWN

豚鬼整備士「大丈夫そうか 憑依こっちに移してんだから無茶すんなよな」ヒョイ

赤い傀儡「待ってもっと慎重に持ってもっと 腰のジョイント砕けてッからいだだだだだだだだだだだだだだだ痛ェっつってんだろ」cast FIRE BREATH

豚鬼整備士「熱い!!!!!!!!!」ヂヂヂヂヂ

赤い傀儡「いや〜ァ負けちゃったねェ〜ウェアウルフのお姉ぇ〜〜ェさん」

半狼「なんだよ 今のは……」

ロボット「ヘルメットのパーツにもう一個魔導回路載っけて貰ったんだ」

ロボット「撃つ係と動かす係で分担できるし ハーフィがおれに合わせて一緒に一緒の動きすれば二倍で動ける」

ロボット「あんたの傀儡の剣とか魔法とか凄かったから 勝てたけど危なかったな」

半狼「(知らねえよ メンド臭え……)」

半鳥「ボルト」

半狼「あ?」

半鳥「ちょうだい お互い全部賭けて一発勝負って約束だったでしょ」

半狼「……チッ ああ そうだった?」

半狼「つーか賭けた量でいくならお前アタシの半分ぐらいだろ 全部じゃなくて」

半鳥「そーだね」

半鳥「掛け金って負けた分は持ってかれちゃうんでしょ? あなたの負け」

半鳥「いいから出して 勝った分だけじゃあ持ってくから」

半狼「(勝ち誇ってんじゃねえよ ムカつく面だなブスガキ……)」ゴソ


半鳥「ね さっきなんて呼ばれてたっけ」

半狼「何が」

半鳥「名前 仲間の人に……ライカだっけ?」

半狼「まさか本名だと思ってないよな ハーフィちゃん」LYCAnthrope

半鳥「ライカ マフィアってみんなそんなにみっともないの?」

半狼「……は?」
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 15:58:10.30 ID:6ySJDLgKO

半鳥「玩具屋チーム 若社長さんチーム 両方と直接やった回数少ないし見てただけなのも多いけど」

半鳥「負けてからブー垂れてた人あなただけだったよ」

赤い傀儡「(おい)」ヒソ
豚鬼整備士「(装甲板ならいつでも出せる 風の嬢ちゃん居りゃ平気だろ)」ヒソ

ドリアード「ハーフィ 放っておきなさい」

半鳥「……うん 分かった」

半狼「おい うん分かったじゃねーよ 待てコラ」

半狼「舐めた口利いてくれんじゃん お遊びの場なら何言っても無礼講か?」

ドリアード「(あーもうったく)」
ドリアード「だったらそれを教えておしまいになさい 器が知れるって話になるんじゃないかしら」

半狼「それは誰の? アタシの? 笑わせんな」hmph

半狼「そもそもこっちが見逃してやってたんだっつーの 普通に考えて――」
半狼「はぐれの鎧技術者がただ放っとかれて済むワケねーだろ 国からも睨まれてんだから」

半鳥「……」
ドリアード「……」
ロボット「?」


『背中の蕾に見えるやつ……』
『飛翔砲台っていうんだ 飛ばして直接ぶつけたり開いて魔力弾撃てたり』
『現実では戦車の自衛兵装になり損なったって噂のボツ兵器 それを再現してみた スゴいでしょ?』
『はあ』


ドリアード「(そんな"ボツ兵器"の噂をどこで聞いたのって話よね)」

半狼「あの人が気紛れで頭イカれた道楽に付き合ってやってるってだけ」

半狼「軍事兵器の横滑り技術で作ったお人形 はっ そんなもんでスポーツ気取りた平和の象徴なことで」ゴト パカ

ロボット「(……ギターの入れ物?)」

半狼「ネジは六個もあればいーよな」ザラ

半狼「オラ 餌だ鳥」バラッ

ロボット「っ 投げるなよ!」

ドリアード「(意地の悪い 風で拐えばいいだけ)」cast WIND

半鳥「子供だね」flying

半鳥「(……鳥の餌って言う割りに随分高く投げ――)」バサッ

半狼「  」チャ

半鳥「! ドリアードちゃんッ」ジャキ
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:02:40.46 ID:6ySJDLgKO


ッザギン
ガガガガガゥゥンンン


キンッ コロ

半狼「何してんだ ブス」slash bolt
半鳥「こっちの台詞なんだけど」quintuple quick draw

ロボット「(……撃つのが急に速すぎる おれのコンセントレートを真似したの?)」

半鳥「鏡見な? 顔の毛ヤバいよ」ズキ

半狼「ガリガリなのは飼料ばっか食ってっからなんだろトリ肌女?」

ドリアード「ハンター君パス」ブワァッ

ロボット「うわっとと」catch ×5

半鳥「傀儡の武器も剣だった」

半狼「剣じゃなくてカタナ 何にも知らねぇなカウガール」スラ

半鳥「犬の刃物なんかなんでもいい」
半鳥「なんでこんなことするの? 全部玩具屋のおじさんが手作りしてるんだよ」

半狼「の割りに平気で撃ち飛ばしてんな」

半鳥「全部ネジの頭掠らせただけ これくらいじゃビクともしない」

赤い傀儡「(坊っちゃんと重ねて使ったんで他人の魔力の通し方を擬似的に体験したわけだァ〜〜)」

赤い傀儡「(そりゃあ人間も魔力生物だから魔力の代謝? にアホな真似ができればおんなじ理屈かもしんないけど)」

赤い傀儡「(基本は五感も何も動き全部を魔力で賄う傀儡だから出来る荒業なんだよ〜〜 ハーフィちゃんにも後で注意しとくかなァ〜〜〜)」

半狼「(曲芸かよ サーカス行け)」
半狼「でも残念 一個撃ちきれなくて半分になっちゃったねー」kick

半鳥「うん それは後でおじさんに謝らなきゃ」残弾1

半鳥「でも犯人つきで話せば許してくれると思うから」チャキ

半狼「は 一発きりでどうやって」ス…

ザッ

半狼「?」


刑事「多分 七発きりでこうやってだな」aim

半狼「!」

半鳥「刑事さん? ラッキー」
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:06:41.12 ID:6ySJDLgKO

刑事「傀儡のじゃねぇ銃声したから来てみりゃハーフィかよ どういう状況だ」

刑事「と思ったがそっちのウルフガールを見りゃ一目瞭然だわなァ いくら毛深い犬顔ったって」
刑事「この帝都で仕込みギターなんざそうはお目にかかれん なあライカちゃん」

半鳥「有名人だねライカちゃん」

半狼「気安く呼ぶんじゃねェ殺すぞガキ ……よりによって組犯の賞金稼ぎ様かよ」

半狼「消えてな 今日は何もしてねえだろ」

刑事「抜き身の刀向けてるのを何もしてないとは言わないんじゃないのか」

半狼「正当防衛 ピストルで撃たれたから」
半鳥「正当防衛 カタナで斬られましたから」

刑事「(本当に召喚魔法じゃなくて銃頼んだなこの子 そっちのが速ぇから分かっけど)」

刑事「まあバックの差で鳥のお嬢ちゃんだな」

半鳥「イェー」

半狼「はあ? ふざけんなよ!」

刑事「現在進行形の脅しだ お前魔導鎧の対人機銃叩き落とすだろ 刀で」

半鳥「えっ」

刑事「本当に危ねえとこだったぜハーフィ 後で取り調べるから署来てもらうがここは任せろ」

半鳥「……き 機銃効かないの?」タジ

半狼「その機銃が効かねえアタシの剣も魔法も通用しねえのが隣の救急デカだよ」チン パタ

刑事「はいはいちょっと こういう手合いに言ってスムーズに済む事例が悲しいかな少な過ぎるんだが――――」
刑事「義務だから一応勧告するしかない 動くな手を上げろ」チャキ

半狼「黙秘権までやってていいよ」carry guitarcase

半狼「言えればだけどな」cast VOICE AMPLIFY

刑事「ハーフィ 耳を塞げッ」up coller

半鳥「耳っ――――?」


半狼「ッッッッッ××××××――――――――――ッッッッッ」RrrrrooooOoOOooOooooAaaaAaaaaAaAAAaAaAaarrrrrrR

750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:08:27.52 ID:6ySJDLgKO


ロボット「うわァうるッさ!」ビリビリビリ
赤い傀儡「あァ^〜ぶっ壊れた関節に響くゥ〜〜〜ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛」ビリビリビリ

ドリアード「(耳回りの実体化解除っ!)」deafed

刑事「(自腹切ってコートの襟に防音付呪加工した甲斐よ まだ大丈夫だがこの咆哮も出会す度強力になりやがる)」soundproof

刑事「(ドリアードはどうせ死なん ハーフィとあっちのオークは)」チラ

ブヅンン

半鳥「    」バタッ

豚鬼整備士「    」ドズン

 元より強靭な人狼の声帯を魔法で強化
 撃ち出された咆哮が大音量と衝撃波を以て一行を打擲

 そも影響を受けない傀儡二台 体から聴覚器官を無くした木精 対策万全の公務員はこれを凌ぐも約二名が即死
 そう即死した 耳朶から出血し完全に瞳孔が開ききったザマはショック死体のお手本と言える様相だった

 ライカンスロープの相貌に愉悦が浮かび それを認めた木精の魔力が猛る
 手近な地面から壁から棘の生えた蔦が迸り 突如吹き荒れる暴風が切れ味抜群の木の葉を孕んで半狼に殺到

 半狼は何かしら対処の当てがあったかさらなる魔法を撃たんと魔力を練りかけた
 しかし足を狙った刑事の射撃 跳躍で回避し頭数から形勢を不利と踏む
 そのまま亜人的脚力に任せ建物の壁を蹴り繋いで瞬く間に離脱した



 顛末の報告を受けたボスはさもおかしそうに大笑いして 俯く半狼の頭をくしゃくしゃと撫でた
 気分転換になっただろうと

 出された命令は次の仕事があるまで待機 遵守している
 していた
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:10:01.85 ID:6ySJDLgKO

――――――
――――
――


半狼「(手加減の声だしあの二匹はどうせ死んじゃいねえ あの場で新しい鼓膜張って蘇生措置すればすぐだ 今までも――)」
半狼「(真っ二つにしてやった途端あの刑事に即治されたことあるし あいつの前で新鮮な死体は死体じゃない)」

半狼「(あいつマジでなんで刑事やってんだ)」

半狼「(いいや あのフェザースキンはそのうチキちンと手羽先にしてやる 今は)」

半狼「……着いた」

 表通りから少し奥へ入った所 店や人通りが疎らになり始める辺り
 遠巻きに睨め付ける先には趣ある佇まいのステーキハウスが一件
 ドラゴンの肉が売りの繁盛店に半狼は行ったことがある
 肉は美味かったし接客は上々 調度や内装の雰囲気も落ち着いていて悪くはなかった

 合いさえすればここで副業の歌とギターをやるのも吝かでない 腕に自信はある
 気に入っていただけに今回こういう用向きで来たのは残念だった

 "閉店"の札がかかるドアを両側から塞ぐように立つ男達に近寄る
 毅然とした態度と口調で今日はやってない旨を半狼に伝えるドアマン然とした連中はここの店員ではない
 ドアマンはいないし ここの店員は半狼にこんな一般人にするような対応をしない この状況では尚更

 互いにフォーマルな装いの胸元には所属を表すバッジとブローチがあった

男1「第二学園の生徒さんですか?」

半狼「……警備会社ね」

男1「え?」
男2「ええそうですよ」

 二学の制服からブローチを外す
 石に宿す二年生の青色が変形しかかった掌に隠れる

警護員2「(この子 手大きいな)」
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/04(水) 16:12:35.14 ID:6ySJDLgKO

半狼「要人警護とかもやってるだろ 知ってる バリア魔法のプロ一家が親族経営してんだよな」cast VOICE AMPLIFY

半狼「あー ア あー んんッ アタシの学校もお願いしようかって話出てるってさ 乾く暇無いねー。――――――――――」ECHO SCAN

警護員1「よくご存じで そうでしたか、それはどうも……」

 手持ち無沙汰な女生徒を気取って話しつつ窓から店の中を覗く
 警護員からは名残惜しげな食いしん坊の少女にしか見えなかろう 半開きの口など気にも止めない

 極微かな魔力を乗せた可聴域外の声を警護員二名にぶつける
 跳ね返ってきた音を聞き分けて脅威判定が完了 イルカか

半狼「(腰に警棒 銃は脇でセーフティかけっぱ)」
半狼「(内臓まで届いてねえのはこれチョッキか 防弾防刃に弱めの対魔付呪)」
半狼「(ホールは誰もいない 通行人無し……)」

半狼「自前の兵隊置いてねえなら大したこと知ってる奴でもないんだろうけど」

半狼「顔見られてるしな」

警護員2「えっ?」

 剥き出した牙が震える
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/04/04(水) 17:46:53.29 ID:E915A4yx0
ちょうと覗いてたら更新されてた、
754 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/05(木) 21:55:57.92 ID:ff2KdF+N0


翌日


755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/05(木) 21:56:50.25 ID:ff2KdF+N0



『"白昼襲撃 レストランで殺戮"』

『"「現代アート」教会大聖堂、落書きの清掃が完了 Q・S音沙汰無し"』

『"十三年式G型乗用魔導耕運機売りたし"』

『"学生乱闘 第二学園、教育者の質の低下"』

『"運河港湾区コンテナ崩壊 物流への影響は"』

『"ラジオドラマが数十年の時を経てリメイク 改良型対戦傀儡発表 再ブームなるか"』

『"市民団体がステーキハウス事件と歩行植物の関連性を指摘 「付け合わせは野菜だ」"』

『"数年越しの保存遺体が復活? 保存液の存在 「プライバシー保護」、信憑性低し"』

『"試製インペリアル・デバイス実験部隊 戦線へ"』


756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 09:02:29.97 ID:kG28T6re0
乙!
このニュース風記事欄、好きだけど 『付け合わせは野菜』 は草。流石にこじつけ過ぎww
みんな歩行植物の話すんの好きなんだなww
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 07:05:44.84 ID:q8ViyuS90
アリシアちゃん、復活したのか……?
そうだとして、なんでそんな秘匿されてる情報が漏れてんの……?
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/10(火) 13:21:33.01 ID:X5bZwbky0
乙〜
何だかんだ前回の書かれなかった部分をちょいちょい埋めてくれるから嬉しいな

それにしても、試製インペリアル・デバイスの戦場投入決定、か……戦地は荒れそうだ
759 :キャスティングもうちょっと! ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/14(土) 17:22:29.46 ID:N/tm8TpI0


【昼前 帝都総合病院】
【特別入院棟八階 入院費お高めの個室前】


短髪の女子「……」つ新聞

 帝都国営大病院 金かコネのある患者専用高層階の廊下を新聞読みながら早歩きする少女がいた
 紙面から視線を逸らさず器用にナースとすれ違う 行をなぞる眼差しは朝からずっと険しい
 そして似ていた

短髪「(……なんてことですか)」

短髪「(このレストランの担当者を切らなければ 懲戒免職にします!)」

短髪「(真っ当な評判があるとはいえ犯罪組織の運営店だったなんて! 知らなかったでは済まされません)」

短髪「(一族の人間こそいなかったものの大事な社員を二人も殺されたのです 三人目にしてもいいくらいッ……)」

短髪「(……また叔母さんや叔父さんが荒ぶるんでしょうね 一線を退いてるのに口だけほんと……はぁ あーぁ)」

短髪「(あー! ハゲそ)」げんなり

 少女はお嬢様学校として名高い女学院に通っている
 傍ら、現場を知るためにアルバイトとして警備業務に従事していた

 結界魔法の一族
 学究の徒 万象の改竄者 最優の兵器 何にせよ己を最も価値のある個人単位と定義し 一部は貴族然とした様相まで呈しふんぞり返る魔法使い共
 それと同列に扱われることを嫌った者達 の末裔
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:23:56.61 ID:N/tm8TpI0

 魔法は力無き人々のためという初代当主の理念、卓越した結界の魔法は一応受け継がれている
 時代に合わせ警備会社という形を取り シェアをほぼ独占しているのがその証左

 ただ肝心の魔法は血で継ぐのが手っ取り早いこともあり
 数世代を親等図と睨めっこしながら過ごしてきた結果として門閥化は避けられなかった
 血はすっかり青ざめた

 その宗家として次期当主と目されているのが彼女
 かかる期待に応えんとする意志は堅い

 直接そんな権限があるわけではまだないが当然ただのアルバイト待遇であるはずもなく
 彼女は当然進言する気だが そうでなくとも恐らく満場一致となる決定で担当者が路頭に迷うことは確実だろう


 この通り心身とも健康そのものなので病院には他人の見舞いに来た
 社員のではない 怪我人はいない では誰か

短髪「(……)」ツカツカ

コン コン

「……………………入ってま〜す」

短髪「あっ はい……」

 取っ手を掴む手を引っ込めかけた

短髪「……って トイレじゃないんですから!」ガチャ ガララ

「ちっ なんで鍵ついてないかなぁ病院のドアは……」

 広い病室にベッドが一つ
 頭に包帯を巻き片腕を吊った怪我人が古い型のラジオと格闘していた 髪がパイナップルに見える
 周波数が合わないのかアンテナが悪いのか ツマミを捻りながら人間アンテナを試している
 そんだけやって聞こえないならそもそも壊れているのでは

縮毛「来て早々で悪いんだけどナース呼んできてナース これダメだぁ全然聴こえねー」

縮毛「呼んでくれたら帰っていいからさ うん」

短髪「そうはいきません 兄さん!」

縮毛「んだよー……」

761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:25:12.82 ID:N/tm8TpI0


短髪「乱闘騒ぎ! また世間様にご迷惑をかけて! どうしてやめられないんですか!」

短髪「お友達と仲良くすることが悪いんじゃないです ちょっとガラの良くない人達でも個性ですからとやかく言いません」

縮毛「そーかそーかありがとうセンキュー最高妹ちゃん愛してるバイバイまたねさよならーーーーーーー」
短髪「言いません が!!」
縮毛「がァ……?」

短髪「器物損壊 窃盗 停学謹慎 未成年飲酒 ふしだらなあれやこれや」

短髪「その上今回は怪我まで! どうしてもっと自分を大事にしてくれないんですか!」

縮毛「ケガしてんのもあれだけどケガさせんのはいいのね? 暴行が抜けてる」

短髪「自治組織気取りの半端者はどうでもいいです、そこの生徒さんも 兄さんは強くなくてはいけませんから」

縮毛「出たよ……」sigh

短髪「これ以上兄さんが自分で自分を貶めることは許しません」

縮毛「戻れなくなるから?」

短髪「戻します」

短髪「黙らすのが面倒になるからです 品行方正を保っている宗家扱いの私にですら――」
短髪「傍流の人達はネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ……〜っと」息継ぎ

縮毛「(自分で言ったよ)」

短髪「隙あらば 嫌み 小言 陰口をつけてくるんですよ?」

短髪「血と頭は十分 結界魔法の実力が物を言う家ですから あとは処世術さえ――」

縮毛「処世術??」

縮毛「あの家で生きるための????」

短髪「はい 兄さん」

縮毛「はいじゃないよはいじゃ」

縮毛「はいじゃない」

縮毛「はいじゃねェよ なあ妹ちゃん」

短髪「……」

縮毛「……」

縮毛「…………このさ」

短髪「はい」

縮毛「このケガだけど」

短髪「兄さん話は終わっていません!」

縮毛「ケ・ガ・は・だけど」
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:26:03.20 ID:N/tm8TpI0

縮毛「派手に巻き巻きしてっけど頭は大したことないって」

縮毛「手もこれ ヒビ入っただけだから 安静にしなって丁寧に言ってたよ お医者のセンセイがさ」

短髪「……良かった」

縮毛「ありがとな」

短髪「いいえこれぐらい」

縮毛「けど返事は変わらねぇっつったらやっぱ叩き出されんのかな?」

短髪「そんなことしません!」

縮毛「知ってる」ニヘラ

短髪「……」sigh

縮毛「ねえ いいんだよ気にしなくて」

縮毛「関わらないで欲しーな いい顔する奴なんてもう残ってねえだろうし 牛のデミのお手伝いさんとかさァ まだいんの?」

短髪「いますよ! 私が使わせて貰っている部屋の掃除とかもずっとそのままお願いしてます」

短髪「現場の方々だってみんな分かってるんです だからこれは私の勝手ってだけじゃないの!」

短髪「継ぐべきなのは――――」

縮毛「結界魔法守護衛術に長けた人間 でしょ?」

短髪「だからそれは」

縮毛「君だ 次期当主様」

縮毛「やめてほんと 暗殺部隊とか送り込んで来てもマジで不思議じゃねぇんだからさ お義母さんは」
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:27:12.64 ID:N/tm8TpI0

縮毛「俺をここに担ぎ込んだのだって全部妹ちゃんの給金なん? 違うっしょ」

縮毛「お小遣いの使い道間違えないで 無駄遣いしちゃダメだよ」

短髪「兄さん!!」

縮毛「親父は元気にしてる?」

短髪「……え……ええ お父様なら壮健ですが」

縮毛「こうしよう あのロクデナシを苦しませて死なせるんだ なんか毒とかがいいな」

短髪「何をっ……」

縮毛「毎日の食事にちょっとずつ盛ったりしてさ へへへ」ヘラヘラ

縮毛「そんで死ぬ間際に遺言で俺を――」

短髪「……っ!!」slap

バチン

縮毛「――――――……」ヒリ

短髪「……笑いながら人殺しの話なんてしないでください!!」

縮毛「ケガ人だっつーのに」いッた
縮毛「確実じゃん」

短髪「兄さんはそんなこと言う人じゃないでしょう!!」

短髪「どうしてそんな風に意地悪言うんですか!? 兄さんは優しい人なのに!!」 

短髪「ずっと尊敬してるんです!! こんっ こんなに兄さんのためを思ってるのに!!!」

縮毛「思ってる で 考えてる じゃないのがポイントだよね」

短髪「……!?」
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:27:55.36 ID:N/tm8TpI0

縮毛「いいからさ 帰って? 俺が家に戻ることはないよ ……あるとすれば」

縮毛「お袋と一緒に敷地を跨げるってんなら喜んで戻るよ」

短髪「っ……」

縮毛「バイバイ またね」

縮毛「ほら帰って」

短髪「……兄さん お義母さんは……」

縮毛「かーえー れッ」throw radio

短髪「っ!」cast BARRIER

 投げ付けられたラジオは即事展開された障壁に阻まれた
 衝突はしかし無音

 ラジオは跳ね返されることなく宙に浮いていた
 結界の魔法は衝突点周辺の硬度を柔らかく調整され、障壁はめり込ませるようにして投擲物を確保 威力を殺しきった
 魔法を解除 目を潤ませた妹がラジオを手に取って足元に置く

縮毛「もう完璧じゃん ね?」

短髪「でも これは」

縮毛「言っちゃダメよ あいつらに見せんのも禁止 もう忘れたって言いな」ゴロン

縮毛「寝るから じゃあね」

短髪「……」

765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:29:48.29 ID:N/tm8TpI0


ガララ バタム


短髪「…………」トボトボ

短髪「(……私は独り善がりなんですか?)」

短髪「(確かに一族は酷いことをしました 許せないのは私も同じです 嫌うのだって無理ない)」

短髪「(けど でも だからってあんな風にみっともなく荒れたままでいられたら嫌じゃないですか!)」

短髪「(兄さん 私一生懸命お手伝いしますから だから負けないで……)」

キコ キコ

病少年「……? わっ」キィッ

短髪「へ? あっ!」サッ


 車椅子の少年とぶつかりそうになる
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 17:30:49.88 ID:N/tm8TpI0

 短髪の少女とぶつかりそうになった


病少年「車椅子でドリフトの練習しといて良かった」

短髪「(どりふと?)」って何
短髪「ごめんなさい! 怪我はないですか?」

病少年「ぼーっとして歩いたら危ないよお姉ちゃん ここ病院なんだから」

病少年「何泣いてるの?」

短髪「!」はっ

短髪「な なんでもないの 気にしないd――――」
病少年「いや泣きたいのはこっちだよね」

短髪「……えっ」

病少年「誰か死んだ? それとも誰かに死ぬって言われた?」

病少年「めそめそ泣きながら人前に出てるのは慰めてほしいからなの 気持ち悪い」

病少年「みっともないからやめたほうがいいよ」

短髪「………………な」
短髪「何ですか突然 あなたには関係ないでしょ!?」ぐしぐし

病少年「気にしないでって言おうとした? ボクの台詞だってば 言う気無くしたけど」

病少年「気にしろよな 下半身不随なんだよ、転んだら起き上がるの大変なの」

病少年「ぶつかって受け身取れなかったらどうするの? 頭打ったりしたら責任取ってくれるんですか? ねえ?」

短髪「せ 責任って」タジ

「あ! 車椅子クンみっけ!」

病少年「!」

767 :セルウィウスさん並みにこの二人の資料が少ない [sage saga]:2018/04/14(土) 17:33:49.17 ID:N/tm8TpI0


 車椅子がもう一台現れた
 背の小さな金髪の少女と 少女が張り切って押す車椅子に座る女性
 親子である

 少年は病院内で何度かこの二人と会っていた
 母親の方は優秀な魔導技術者らしく 悪くした体を治療しながら仕事をしていると聞いた

技術者の娘「またイチャモンつけしてるな〜 少年!」カラカラ

魔導技術者「あら……こんにちは そっちの女の子はお友達かしら?」

短髪「いえ! あの 今この子とぶつかりそうになってしまっただけで」

短髪「私はもう行かないと あの、君――――」

病少年「うゎ あの子だ」turn

短髪「えっ?」

病少年「いいやもう じゃあねっ」キコキコキコキコ

技術者の娘「待て待てー!」カラカラ!

魔導技術者「そんなに急いだら危ないわ ふふ 病室は向こうでしょ?」ぐらぐら

技術者の娘「はーいママ ストップ!」ピタ

魔導技術者「っと……もう いきなり止まったら落ちちゃうわ」がく

魔導技術者「騒がしくしてごめんなさいね……」

短髪「正直言って助かりました……」

技術者の娘「あの子イジワルなの! いっつもいらいらしてて 看護婦さんも困ってるんだよ!」

技術者の娘「ダメだよって教えてあげても聞かないの ……私の方がお姉さんなのに!」

魔導技術者「……」

 母親が困ったように笑う
 さっきの偏屈な少年のことを言っているのだろうが背格好や口調からはそう見えない

 そういう年頃なのだろうと受け取って宗家妹も曖昧に笑い返し 軽く会釈して去る
768 :大人しく冬木の地に食人鬼を跳ばすべきだったか…… [sage saga]:2018/04/14(土) 17:35:15.98 ID:N/tm8TpI0

 去り際 明らかに病院関係者ではない技術者風の人間達とすれ違う
 和やかな母子のやり取りに水を差す慇懃な口調 つい振り向いて見た

「ミス・テスタロッサ こちらにおられましたか」
「姿が見えなかったのでお迎えに上がりました 体調の方は……」

「おかげさまで 少し用ができたから遅れていただけ」
「技術の提供、だったわね」

「条件です」

「? ママ、この人達誰?」

「気にしなくていいのよアリシア 私の新しいお仕事の話なの」
「さあ 行きましょうか」


「ママ早く帰ってきてね! 病院の周りお散歩しよ!」

「ええ 頑張るわ」

「リニスも早く帰ってこないかなぁ、ほんとにジユウ気ままなんだもん」
「一緒にいなさいってリニスとお話しできれば簡単なのにね!」

「…………そうね ええ」


短髪「(……)」

 ぼんやりと 偏屈少年にまた難癖をつけられそうな感じで背中を見送った

769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/14(土) 18:49:35.73 ID:Ct8dY3nA0
いやー、色々と捌いて下さって、ありがたい限りです
7つの安価に付随する関連事項まで埋めてもらってますものね。本当にお疲れ様です
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 07:41:14.00 ID:Wm58HgxK0
アリシアちゃん!?本当に復活したのか
というか俺らは描写を見せてもらえて嬉しいけど、>>1の負担が増し増し過ぎに……
プレシアさんは結局、親子水入らずでささやかに、幸せに……とはいかないみたいね
771 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/18(水) 17:06:51.25 ID:ojkc3VkCO


病少年「(なんなんだよあのちびっ子)」

病少年「(親の方はカゲがあって綺麗な感じなのに 髪も性格も全然似てないじゃん)」 

病少年「(ここでもガキかよ しかもあの子はガキ過ぎだし)」ガション

 昇降機に乗り込む レバーを操作して適当に上へ向かう
 目一杯で上げたからこのままなら屋上へ着く

病少年「はーぁ…………、ぅ」グ
病少年「けふっ……けほっ」

病少年「げほ げほッ」

病少年「ごホっ ゲホ ゴホ ァ゛ふッ ウぐぅっ……ガふッ!」

 咳が激しくなっていく
 疼痛に体ごと丸め 胸を押さえた

 車椅子でスピードを出させたのが良くなかったか
 絶対安静とは言われていなかったが しかし迂闊だったかも知れないと少年は歯噛みした

 そんなに裕福とは言えない家庭の彼がこの特別棟に入院できているのには訳がある

病少年「(なんだよッ……全部上手くいってたのにっ!)」cough cough

病少年「(勉強も運動も魔法もボクが一番 人気も信用も女子も全部総ナメにして飛び級までして)」cough

病少年「(中等部も頭を見せてやって特例作らせて一瞬で終わらせたのに なのにィ……)」ゼェ ゼェ

病少年「……なんだよ虚数化症候群って! 馬鹿みたいな病名しやがって!」

病少年「なにが突発性だy う゛ッぐ」ズ ギ
病少年「っ ぐうゥっウぁぁ がハ ゴホ」ズギン ズギン ズギン

 順風満帆の出だしを挫いたのは 帝国民で極々稀に見られる奇病中の奇病であった

 まったく何の兆候もなくある日突然体の一部分が消失する 魔導的見地から虚数化と呼ぶ次元系の現象を起こす魔法疾病
 少年の場合は臓器を幾つか、余波に巻き込まれる形で脊髄の一部を椎骨ごと削り取られこうなった
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/18(水) 17:08:11.93 ID:ojkc3VkCO

 今やリソースのおよそ三分の一を周辺の弱国及び他次元への侵攻・征服で賄う侵略国家たる"帝国"
 病というよりは現象
 国家ぐるみで次元的干渉・操作・歪曲を行っていることによる弊害ではないか という説も出ているが騒ぎ立てる声はない
 どこぞの召喚術師の下半身事情とは訳が違う 国家反逆罪がいつでもウェルカムなのは周知の常識とするところ

 かくして大っぴらにならんことから認知度が低く 症候群の研究は進んでいない
 少年の提供したほんの数ヵ月が医学の発展に貢献したかどうかはなんとも言えないが 特殊症例患者を失った医師は悲しむだろう

病少年「   」ガタン

 声が出なくなる
 床に転がった体がいやに弾んだ 体腔が広がっていくのが分かる
 見えない蛇が体を喰って掘り広げているような激痛に意識が明滅した

 失神しなかったのは 果たして幸運だったのか

「死にたくない?」

 昇降機のものなのか 魂が引っ張り上げられているからなのか
 えも言われぬ浮遊感に苛まれ嘔吐するも食道を蠕動させる筋肉が動かない というか無い これも消えた
 頭上から降った声に少年は気が付かない

 苦悶で捩った体が横向けになり、そこへぐいと顔が近付けられる

狂人「死に たく ない?」

 霞む視界に映り込むニヤけ面
 見世物を楽しむかの如き耳障りな声

 愉快そうな声音に乗せてどちらにも取れる言い回しを死んでみないかねと誘う死神の声と受け取った少年は戦慄する

 実際シチュエーションは完璧な死神だが
 生きたくないかと切り出した
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/18(水) 17:10:59.35 ID:ojkc3VkCO

狂人「エレベーター。ああ昇降機ったっけ? 屋上着くまでに決めて 死ぬから」

狂人「俺さ それ全部治して君を生かす当てがあるんだよね」

狂人「俺と取引しよう 一緒に遊んでくれれば助けてあげるよ」

病少年「……!?」

狂人「な」

病少年「……っっ……」

 扉の上 針で示される階数がジリジリと端へ振れていく
 ジリジリと

狂人「あと 四階」グイ

病少年「っ っ! ッっ!」パクパク

 髪を掴まれ見上げさせられる 恐怖と痛みに具体的な焦燥が加わった
 そんな風に演出を凝らずとも少年の答えは決まっていたのだが返答が声にならない

 掴まれた髪房を引き千切らんばかりの勢いで頷いて漸くそれは成った

狂人「決まりだ! あはハはは」

 笑い声が引いていく
 髪が放され昇降機の床に再び転がる少年
 死神はいなくなっていた 存在の残滓か、光の粒子が漂って消える

病少年「(なんだよ……っ)」cOUgh couGh

病少年「(……なんだよぉっ……バカにしてぇえっ……!!)」vomit blood

 今際の幻覚と断じざるを得ない
 激痛がやむ気配はない それどころか増えている
 右手の甲だ

 燃えるように熱い――――

774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/18(水) 18:56:07.77 ID:kQ89OQKD0
乙乙!
虚数化とやらを治せる狂人ねぇ……見た事はあるのかも知れないけど、思い当たらないな
775 :私が上手く書けるかはともかくとして 絶対に知っているはずです ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/18(水) 20:21:03.12 ID:eY6sYvIt0
 
776 :知名度補正なら誰にも負けないはず! :2018/04/18(水) 20:22:29.71 ID:eY6sYvIt0
 
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 06:49:37.69 ID:oUyDTgSz0
何だか病少年は経歴が真逆のウェイバー君みたいだな
778 : ◆1qS/J7BvDg [sage saga]:2018/04/19(木) 08:41:21.25 ID:ixg8Rk3eO


【同時刻 中流層住宅街】
【召喚術師宅 二階 書斎】

【の 破壊された隠し棚の中】


ゴソ……ゴト
モソ

「…………っ!!」バッ

バガァアッ

棚の扉「」ドガシャァン

「ぅ、ぐっ……いった〜……ふぁ」

「ふぁ ふぅぇ あ ぁあ〜〜ッ、」

 薬液 埃 古い紙の匂いに鼻孔を撫ぜられ

半鳥「ぁ〜〜ぁぅぶぇェっくしぇい!!」vulgar

 盛大にぶっ放されたクシャミは少女の声
 声以外はオヤジ入ってる

半鳥「くっそ 自分ちなんだから掃除しといてよ教授汚いよ……じゃなくて」ガバッ

半鳥「どうなったの? 教授はっ……!」タッ

 魔導グッズの満載されていた小物の隠し棚にハーフィは気絶させられて押し込められていた

 棚の扉を蹴り飛ばしたのは落ちる寸前の記憶と不意な圧迫からの反射的な行動だった
 壁一面に設えられた本棚にぶつかった扉は砕け散って原型を留めていない 人が喰らえば骨の何本かが召される威力
 火事場がさせる底力は単なる寝起きのそれではない

 間取りを思い出しながら階下へ
 家の中は至るところに真新しく荒らされた跡が残る 戦闘の痕跡である

 窓から差し込む光で日を跨いだことを悟ったハーフィ
 玄関ホールからリビングに飛び込み そして立ち止まった

半鳥「これって……」



 話は昨日へと遡る

 乗客にしんねりと睨まれ大人しくしていたハーフィはバスを降り
 召喚術師の家へ辿り着いた
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