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うしおとセイバー
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271 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 18:13:58.30 ID:mB8ADYa/0
とら「ゴチャゴチャうるせえーよ」
とら「誰が死のうが気にしねえなら、おめえがここで死んでも気にしねえだろ」
キャスター「噂の妖怪のサーヴァントね。お手並み拝見といったところかしら」
葛木「妖怪、か……。私がいた組織は退魔の関係ではなかったが」
葛木「キャスター。拳に対妖怪用の補助を頼む」
キャスター「はい、宗一郎様」
凛「まさか戦うつもり……?」
凛「こっちは近接最強のセイバークラスと完全復活したとらがいるのよ」
凛「いくらキャスターがガス漏れ事件で魔力を蓄えてても勝負になるわけ……」
葛木「遠坂、例外は常に存在する。このようにな」
とら「ぐはっ!!」
うしお「とらっ!?」
葛木「有効のようだな」
凛「な、なに今の……。全く見えなかった……」
セイバー「なにか特殊な格闘術……。ただの人間ではない……!!」
とら「……ちっ、わしとしたことが油断したかよ。しかし勝負はまだついてねーぞ」
葛木「そのようだ。だが」
とら「力が抜けてく……。てめえ、何しやがったァ!?」
葛木「キャスターの補助も効果的のようだ。今からお前は殴られた場所から力が流れ出るぞ」
とら「なっ、なにィ〜〜っ!?」
272 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 18:23:09.72 ID:mB8ADYa/0
うしお「あの葛木先生が、とらと互角に殴り合ってる……!?」
凛「こんな、バカなことが……」
葛木「言ったはずだ蒼月、遠坂。例外は常に存在すると」
葛木「私のように前に出るしか能のないマスターもいるということだ」
とら「へっ、そうかよ!! そいつァ楽しみが増えたぜ!!」
セイバー「あの男の相手はトラがやる。ならばキャスター、貴様の相手は私だ!!」
キャスター「お待ちなさいセイバー」
キャスター「ねぇ、坊やに現代の魔術師さん。野蛮な殺し合いはやめて私たちと手を組まない?」
セイバー「世迷言を……!!」
うしお「手を組むって、どういう意味だよ?」
キャスター「フフ、私はもう聖杯の仕組みを把握しているの」
キャスター「協力するなら貴方たちにも聖杯の恩恵を分けてあげてもいいわ」
凛「へぇ、それは結構な話ね。それで、どうやって聖杯を手に入れるっていうの?」
キャスター「まず、すでにこの土地は聖杯をおろすにたる霊脈を備えているのよ」
273 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 18:31:55.70 ID:mB8ADYa/0
キャスター「坊やは不思議に思ったことはないかしら?」
キャスター「この土地に大きな寺院が二つあることに」
うしお「ウチの芙玄院と、柳洞寺のことかよ?」
凛「そんなの、この国にはいくらでもあるわよ」
キャスター「いいえ、特殊な使命を持つ寺院がこんな近くに二つあるのは異例よ」
凛「特殊な使命? 蒼月君のところはとらや槍のことだろうけど……」
うしお「そういえば昔オヤジが、槍のありがたあい話をするときに言ってた」
うしお「ウチは槍と妖怪を監視する使命があるけど、柳洞寺も同じような使命があるって」
キャスター「それが霊脈の監視よ。あの伝説の槍や妖怪と同等の使命ということ」
キャスター「それぐらいこの霊地は質の高い霊脈を備えている」
うしお「そういうことか……。それでそのすげえ霊脈を使ってどうするんだ?」
キャスター「質の高い霊脈があるなら、あとは聖杯召喚の器と大量の魔力さえあれば聖杯は手に入るのよ」
凛「……そう、大量の魔力ね。キャスター、それに必要な生贄はどの位いるのかしらね?」
うしお「いけ、にえ……?」
キャスター「そうねぇ。『器の魔術師』と町の人間『全て』といったところかしら」
274 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 18:37:29.59 ID:mB8ADYa/0
うしお「生贄に町の人間って、そんなことさせるかよォ!!」
キャスター「残念ねぇ。手を組めると思ったのに」
凛「しらじらしいわねキャスター。そんなつもり最初からないでしょ」
キャスター「あら、その口ぶりだとお嬢さんも聖杯の仕組みは分かってたようね」
凛「まぁね。それで大量の魔力を取り込む器の魔術師は誰がやるのかしら?」
キャスター「そうね。器には優秀な魔術回路を持つ魔術師が適任よ」
キャスター「お嬢さんのような、ね」
うしお「遠坂先輩を生贄の魔術師に……!?」
凛「そういうことだろうと思ったわ、何が手を組むよ」
キャスター「フフ、察しが良くて助かるわ」
うしお「キャスター、そんなことやらせねえぜ……!!」
うしお「遠坂先輩や町の人間を生贄にするなんてこと、絶対に……!!」
凛「蒼月君……」
キャスター「勇ましいわね、セイバーのマスター」
キャスター「でもいいわ。お嬢さん以外にも一人、この町には相応しい魔術師がいるのだから……」
葛木「…………」
うしお「き、消えた……!?」
とら「ちぃっ!! 待ちやがれェ!!」
275 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 18:41:20.05 ID:mB8ADYa/0
うしお「相応しい魔術師って……」
凛「この町にいる優秀な魔術回路を持つ魔術師っていったら……」
うしお「まさか、イリヤ!?」
凛「考えられるわね……」
うしお「今オレの家にはイリヤたちだけだ!!」
うしお「キリオは真由子の家にいるはず、今キャスターに襲われたら……」
凛「不味い……。蒼月君、急いで戻るわよ!!」
凛「とら!!」
とら「あのヤロウ、きっちり借りは返してやる。おめえらさっさと乗れェ!!」
うしお「セイバー!!」
セイバー「はい、急ぎましょう!!」
276 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 21:10:10.55 ID:mB8ADYa/0
・蒼月家居間
うしお「イリヤーーっ!!」
リズ「どうした、ウシオ」
セラ「ウシオ様、そんなに慌ててなにかあったのですか?」
うしお「リズさんセラさん!! イリヤは!?」
セラ「お嬢様でしたら、そちらに」
イリヤ「あっ、ウシオ。さっきマユコとキリオがハンバーガーっていうのを置いていったわよ」
うしお「イリヤ……無事、なのか……?」
イリヤ「えっ、なに?」
セイバー「これはどういうことでしょう?」
うしお「い、いや、俺にもサッパリ……」
凛「まさか…………」
とら「おいりん!! 術使いの主もおらんぞ!!」
凛「イリヤ……桜は、桜はどこにいるの!?」
イリヤ「サクラ? サクラなら夕食の準備とかいって台所にこもってるわよ」
凛「っ……!!」
うしお「遠坂先輩!?」
277 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 21:21:43.37 ID:mB8ADYa/0
・蒼月家台所
凛「桜っ!!」
桜「と、遠坂先輩……?」
凛「桜……」
桜「どうかしたんですか?」
凛「はぁ……。なんだ、ただの脅し」
グサッ
桜「では、ないわよねぇ?」
凛「ぐ、はぁ……。そ、その声……キャスター……!!」
桜「抜かったわね現代の魔術師さん」
凛「その短剣は……!?」
桜「これは魔術契約を解除する我が宝具『破戒すべき全ての符』(ルールブレイカー)」
凛「ルール、ブレイカー……」
桜「完全な契約解除は無理だったけど、お嬢さんの魔力供給を一時的に止めさせてもらったわ」
278 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 21:35:21.26 ID:mB8ADYa/0
桜「キャスターの私が気付いていないとでも思っていたのかしら?」
桜「規格外の妖怪のサーヴァントの維持、それに加えてセイバーにも魔力を供給している」
桜「セイバーのマスターは魔術師ではないから魔力供給が出来ないですものねぇ」
凛「それは……」
桜「現代の魔術師にしてはよく頑張ってるわよ。でも供給が途切れればそれは崩壊してしまう」
桜「これでセイバーも妖怪のサーヴァントも宝具は使えず、戦闘で傷ついても回復出来ない」
うしお「遠坂先輩!!」
セイバー「これは……!?」
とら「りん、おめえその怪我!!」
凛「桜が、キャスターに操られて……」
うしお「なんだってっ!?」
桜「セイバーのマスター。この娘は、聖杯を呼ぶ生贄に貰っていくわ」
桜「フフ、取り返したければ私の神殿にいらっしゃい」
とら「神殿だとォ!? そこにてめえもあの男もいやがんのかァ!!」
桜「ええ。もっとも、セイバーも貴方もまともに戦える状態ではないでしょうがね」
とら「ああ!? なに言って」
桜「今に分かるわよ。それじゃあね、お嬢さんたち」
凛「ま、待ちなさい、キャスター……!!」
うしお「キャスター、桜姉ちゃんを返せよォ!! 桜姉ちゃぁぁん!!」
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/10(金) 05:25:00.62 ID:bjl/fpKvO
原作同士の設定が上手くクロスされてるなぁ
乙
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/03/10(金) 14:28:06.35 ID:DQTBfaVMO
乙ー
281 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 21:22:51.48 ID:qB3iXBS30
【第十八話 決戦、暁に縁消え果てず 】
282 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 21:30:49.27 ID:qB3iXBS30
・柳洞寺山門前階段
セイバー「ウシオ、イリヤたちは大丈夫でしょうか?」
うしお「キリオに来てもらったし照道さんにも残ってもらったから大丈夫さ」
凛「キャスターの言ってた神殿……。ここ以外には考えられないわよね」
とら「ああ、術使いの主もいるはずよォ」
セイバー「それにしてもリン、キャスターは何故サクラを攫ったのでしょう?」
凛「それは……」
うしお「そうだよな。間桐先輩のときに聞いたけど間桐の家にはほとんど魔術師の力は残ってないんだろ?」
とら「…………」
凛「……魔術回路は残っているのよ」
凛「あの子だって、魔術師の家系なんだから……」
うしお「なるほどな、そういうものなのかい」
セイバー「それではキャスターは、そのサクラの魔術回路を使って器の魔術師にしようと?」
凛「そうでしょうね」
うしお「魔術師だろうがなんだろうが桜姉ちゃんを生贄になんかさせねえよ!!」
凛「ええ、もちろんよ蒼月君。ぼやぼやしてる時間はないわよ!!」
283 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 21:33:55.18 ID:qB3iXBS30
・柳洞寺山門
うしお「柳洞寺、あんまり夜に来たことねえから不思議な感じだ」
凛「……待って蒼月君」
うしお「遠坂先輩、柳洞寺はこっちだぜ?」
凛「向こうから魔力を感じるわ」
セイバー「確かに。キャスターの罠でしょうか?」
凛「罠でも行くしかない、時間がないもの。こっちよ」
284 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 21:38:27.47 ID:qB3iXBS30
うしお「ここかい? オレにはただの山肌にしか見えないけどよ」
とら「いいから馬鹿はりんのやることを見てりゃいいのよ」
うしお「なにィ!? とらァ!!」
凛「……!!」
うしお「や、山肌が洞窟の入り口に!?」
セイバー「キャスターの魔術ですね。隠していたのでしょう」
うしお「魔術ってスゲェんだな……」
とら「いろんな妖の術を見てきたお前がそんなことを言うかね」
うしお「それとこれとは別だぜ、とら。人間がこんなこと出来るってのはスゲェのよ」
とら「はー、そんなもんかよ」
凛「さ、行くわよ」
285 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 21:53:00.34 ID:qB3iXBS30
・柳洞寺地下神殿
うしお「山の中に、こんなデケェ神殿が……!?」
凛「呆れたわ。古代の魔術師はやりたい放題ね」
セイバー「これがキャスターの神殿……」
とら「けけっ、こんだけ広けりゃ戦うのに不満はねーよ。楽しくやれそうだぜ」
セイバー「ウシオ、得物はそれでいいのですか?」
うしお「ああ、イリヤが魔術で作ってくれたこの槍があれば十分さ」
うしお「リズさんがハルバードを貸してくれるって言ったんだけど、あれは重すぎて使えねえしな」
凛「……来たわね」
骸骨騎士「アァァ」
骸骨騎士「ウゥゥ」
うしお「いつの間にか囲まれてる……。こいつらもキャスターの!?」
セイバー「はい、魔術で動いてるようです」
とら「術使いがァ、こんなので時間稼ぎが出来ると思っとるのかよ」
凛「とら、蹴散らして!!」
とら「へっ、雑魚に用はないんだよォ!!」
286 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 22:00:47.57 ID:qB3iXBS30
骸骨騎士「…………」
骸骨騎士「…………」
とら「こんなもんかよ」
うしお「ふぅ……。遠坂先輩は!?」
凛「私は大丈夫よ。それよりセイバーはどう?」
うしお「そうか、セイバーは魔力供給が……。セイバー!!」
セイバー「私も問題ありません」
うしお「そ、そうなのか?」
セイバー「ウシオはなにか思い過ごしをしているようですね」
うしお「えっ、でもキャスターのルールブレイカーで……」
セイバー「確かに今の私はリンに定期的に貰っていた魔力だけで戦っています」
セイバー「ですがそれでも、今の戦闘程度で私が傷つくことや消耗することはありません」
セイバー「私はセイバー。三騎士の一角、剣士の英霊です」
セイバー「宝具がなくても他のサーヴァントに遅れを取る事はない」
??「さすがは最優のサーヴァント、といったところかな」
287 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 22:12:28.25 ID:qB3iXBS30
うしお「誰だ……!?」
セイバー「貴様は……」
アサシン「そう身構えなくてもよい。不意討ちなどという無粋な真似はせん」
セイバー「アサシン……!!」
とら「おめえ、サムライ野郎がなんでここに!?」
アサシン「セイバーも長飛丸もなにを驚いている」
アサシン「私が門番だとお前たちは承知しているはずだが」
凛「そう。やっぱりキャスター陣営とアサシン陣営は組んでたか……」
うしお「アサシンのサーヴァントって、佐々木小次郎なんだよな……?」
アサシン「いかにも、私が佐々木小次郎だが」
うしお「うへー、ほ、本物かよ……」
凛「蒼月君、聖杯戦争でその反応今更過ぎない?」
うしお「だってよ遠坂先輩、あの佐々木小次郎だぜ!?」
アサシン「少年よ、私はそこまで有名なのか」
うしお「そりゃ誰だって知ってるさ、勉強が得意じゃないオレだって知ってるよ!!」
アサシン「そうか……」
セイバー「アサシン……?」
288 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 22:17:23.09 ID:qB3iXBS30
うしお「敵同士じゃなかったらサインを貰って握手したいぐらいだけどよ、今は!!」
凛「そんな時間はないのよね……!!」
アサシン「時間が惜しいのは私も同じだ、手合わせの時間が減っては意味がない」
うしお「それならアサシンのマスターも隠れてないで出てきたらどうだ!!」
凛「無駄よ蒼月君。この場に現れないということはアサシンのマスターは隠れながら援護する気だわ」
アサシン「私のマスター?」
アサシン「フッ、なにか勘違いをしているようだな」
セイバー「勘違い……?」
アサシン「私のマスターはお前たちがキャスターと呼んでいる女狐よ」
うしお「なっ、どういう意味だ!?」
アサシン「私はサーヴァントに召喚されたサーヴァント、ということだ」
凛「なるほどね……。キャスターだって魔術師だもの、サーヴァントを召喚する権利はあるってことか」
とら「へっ、術使いのくせに面白えことするじゃねえか」
凛「この神殿と同じで、この聖杯戦争でもやりたい放題じゃないキャスターのやつ」
アサシン「そのキャスターが小娘を連れて、先程この先に進んでいったぞ」
アサシン「あの女狐のことだ。また悪巧みを考えているのだろうな」
アサシン「だが私には関係のないこと。さぁ、進むがいい」
うしお「えっ!?」
289 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 22:54:33.58 ID:qB3iXBS30
セイバー「どういうつもりだアサシン……!!」
うしお「そ、そんな罠に引っかかるかよ!! 落とし穴でもあるんだろ!!」
アサシン「罠などない、進めば分かる」
凛「なら、なんで……」
アサシン「キャスターに召喚されたからといって、私と女狐が同じ思惑ではないということだ」
アサシン「私は門番を任された者。通す者も通さない者も、私が決める」
アサシン「そして、戦う相手もな」
セイバー「アサシン……。分かりました。決着をつけましょう」
とら「待ちな剣使い。おめえは前にサムライ野郎とやっただろうが」
セイバー「トラ、私とアサシンの決着をつけさせないつもりか?」
とら「あの馬鹿うしおの面倒は誰が見る、わしはやだね。それによ」
アサシン「…………」
セイバー「……なるほど、そういうことですか。ここは譲ります、トラ」
アサシン「時間がないのだろう、進まなくていいのか?」
うしお「遠坂先輩、行こう!!」
凛「ええ、行きましょう。とら、任せたわよ!!」
セイバー「アサシン、次に対峙するときは必ず決着をつけましょう」
セイバー「この剣に誓って、約束します」
アサシン「楽しみにしているぞ、セイバー」
290 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 23:01:43.87 ID:qB3iXBS30
とら「おめえ、始めから剣使いは行かせるつもりだったろ」
アサシン「さて、なんのことかな」
とら「とぼけるんじゃねえ。わしにだけ殺気を放ちやがってよ、剣使いも気づいてたぜ」
アサシン「フッ、そうであろうな」
アサシン「確かにセイバーとの立ち合いは極上だが、私は言ったはずだぞ長飛丸」
アサシン「この夢か現か分からぬ聖杯戦争、ここで私が望むは物の怪斬りのみ」
とら「へっ、そうかよ。いいぜ、相手になってやる。おめえにも借りはあるからな」
とら「だがこの先に借りがあるヤツが他にもいるのよ。あんまり遊んだりは出来ねえぜ」
アサシン「それは有難い。サーヴァントに召喚された身、おそらく朝まで保つまいからな」
アサシン「もはやセイバーにも会うことはないだろう」
とら「おめえ……」
アサシン「それに私はどうしてもお前に確かめたいことがある。ゆえに……」
とら「いいぜェ、なんでも答えてやるよ。わしをブッ倒せれたらなァ!!!!」
アサシン「望むところ……。参る……!!!!」
291 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/07(金) 23:53:36.96 ID:qB3iXBS30
うしお「とら、負けんなよ……!!」
セイバー「大丈夫です。確かにアサシンは強い、ですがトラなら」
凛「先が見えてきたわよ!!」
うしお「ここは……」
凛「かなり広いわね……」
うしお「!? 遠坂先輩っ!!」
凛「えっ?」
ドンッ
葛木「防がれたか。蒼月、奇襲には慣れているようだな」
うしお「葛木先生……!!」
葛木「いや、魑魅魍魎と戦ってきた蒼月ならこの程度の奇襲は予測出来るか」
セイバー(……やはりこの男はキャスターより危険だ。初見とはいえ強さが未知数……)
セイバー(トラと互角に殴りあった事といい、ウシオやリンに任せるわけには……)
292 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/08(土) 00:01:27.13 ID:mqRI4eum0
葛木「…………」
セイバー「ウシオ、リン、先へ。この男は私に任せてください」
うしお「セイバー!?」
セイバー「サクラが心配です。私のことは気にせず先へ」
凛「桜……。セイバー、頼んだわ」
うしお「遠坂先輩!? 行っちまった……」
セイバー「ウシオ、キャスターは魔術師としては破格かもしれません」
セイバー「ですがリンも優秀な魔術師です」
うしお「分かってるさ。遠坂先輩がキャスターに負けるかよ!!」
うしお「オレもいるしな!!」
セイバー「はい、ウシオとリンなら必ずキャスターに勝てます。行ってください」
うしお「ああ、セイバー。ここは頼んだぜ!!」
293 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/08(土) 00:45:42.65 ID:mqRI4eum0
・地下神殿最深部
桜「…………」
凛「桜っ!!」
うしお「桜姉ちゃん!!」
桜「…………」
うしお「桜姉ちゃん、オレたちの声が聞こえないのか!?」
凛「キャスターに何かやられたわね……」
??「フフ……」
凛「キャスター!! 出て来なさい、そこにいるんでしょ!!」
キャスター「ようこそ我が神殿へ、お嬢さんたち。歓迎するわよ」
うしお「キャスター、桜姉ちゃんの魔術回路で器の魔術師にするつもりなんだろ!?」
キャスター「えぇ、そうよ」
うしお「そんなことはさせねえよ!! 無関係な桜姉ちゃんを巻き込みやがって……!!」
キャスター「無関係? 桜さんが? いいえ、そんなことはないわよねぇ?」
凛「…………」
うしお「えっ?」
294 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/08(土) 00:55:21.77 ID:mqRI4eum0
キャスター「今も昔も、ずっとお待ちかねよ。桜さんはお嬢さんを」
凛「どうやら、私たちのことは全部お見通しのようね」
キャスター「えぇ、桜さんの頭の中を覗かせてもらいましたから」
キャスター「それに聖杯戦争の参加者の経歴を調べるのは当然でしょう?」
凛「そうね……」
うしお「なんだ、なんの話を……」
キャスター「フフ、聖杯召喚までにはまだ時間があるわ」
キャスター「余興として、坊やに魔術師の家系の話を聞かせてあげましょう」
凛「キャスター……!!」
キャスター「本当に魔術師とは不遇なもの、不幸なことなどいくらでもあるものよ」
キャスター「例えば、姉妹の縁が引き裂かれることも、ね」
凛「……っ!!」
うしお「し、まい……?」
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/08(土) 04:13:07.97 ID:D6ESQZnmO
乙
うしおはこういう理不尽を許さないだろうなぁ
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/11(火) 17:25:10.02 ID:jpwhyklYo
乙
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/11(火) 21:45:58.79 ID:qriEEeO90
真由子ってサーヴァントとして召喚されてもおかしくない気がする
298 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/11(火) 23:17:07.18 ID:RR8B4w1j0
とら「やるなァ、サムライ!!」
アサシン「見せ所よな……!!」
とら「けけっ、おめえ歯ごたえあるぜ。サムライ、いや、コジロウとかいったかよ」
アサシン「それは偽りの名だ」
とら「ああ? 偽り?」
アサシン「いかにも。この世界に佐々木小次郎という人物が実在した証拠はない」
とら「どういう意味だよ?」
アサシン「人々が過去を捏造し記憶だけで剣豪とされた人物、それが佐々木小次郎だ」
とら「聞いたことあるぜ。おめえ、架空の英霊ってやつか」
アサシン「そう。この私の記憶も技も、全て人々が創り上げたものかもしれん」
アサシン「ゆえに、私はお前と戦いたかった」
とら「なに……?」
アサシン「昔話『雷の舞』で長飛丸を倒す『雷の物の怪』とな」
とら「けっ、はじめからそいつが偽者だって知ってたのか」
アサシン「ああ、私のいた地方に残る有名な伝承なのでな」
とら「名が売れるのも考えモンだぜ。わしも、おめえもな」
アサシン「フッ……。だからこそ、私もお前のように自分が本物だと示す舞を」
アサシン「舞ってみせようぞ……!!!!」
とら「やってみなァーー!!!!」
299 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/11(火) 23:27:39.08 ID:RR8B4w1j0
葛木「……これがセイバーか。長期戦になればこちらが不利だな」
セイバー「キャスターのマスター、貴方はここで倒れろ」
葛木「そのつもりはない。しかしその勇ましさ、蒼月のサーヴァントだと納得がいく」
セイバー「なに……?」
葛木「セイバー、お前はどこまで蒼月のことを知っている?」
セイバー「我がマスターを? 何が言いたい?」
葛木「二年前、この国は『強大な妖怪』に襲われた。それを倒し、この国を救ったのが蒼月だ」
セイバー「知っている。ウシオとトラ、それに人間と妖怪が手を組み戦ったと」
葛木「私も、そのとき戦った多くの人間のうちの一人だ」
セイバー「なんだと、貴様が……?」
葛木「私は暗殺の技能を持った朽ち果てた殺人鬼だ」
葛木「いつ死んでもいいが、いきなり現れた妖怪などという存在に殺されるつもりはない」
セイバー「なるほど、自身を守るためだけに戦ったか」
葛木「いや、私の周囲でも『黒炎』と呼ばれる妖怪の手下が人々を襲っていた」
葛木「私はその黒炎を倒していった」
セイバー「それはおかしいな。貴様は他者がいくら死んでも関係ないと言ったはずだが?」
葛木「その通りだ。だが、私の生活に支障が出るほどの損害を黙ってみているつもりもない」
300 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/11(火) 23:39:06.39 ID:RR8B4w1j0
葛木「私は周囲から感謝された。しかし私は誰かのために戦ったわけではない」
葛木「私は自身のためだけに戦ったはずだ。だが不思議だ、失ったなにかが戻ったような気がした」
セイバー「…………」
葛木「蒼月のあの戦いを見て、この国中の人々が恐怖を忘れたように私も何かを感じたのか」
葛木「その答えを探している」
葛木「それからして、柳洞寺の前で倒れていた女を助けた」
セイバー「倒れていた女? そうか、それがキャスターか」
葛木「蒼月の強さは誰かのためになることらしい。私には分からないが、それを真似てみた」
葛木「ただの真似だが、もう始めたことだ。途中で止めることは出来ない」
セイバー「それが貴様の戦う理由、いや、望みか。しかし、なぜ貴様は私にそんな話をする?」
葛木「お前の戦う理由が気になっただけだ、セイバー」
セイバー「なに?」
葛木「あの蒼月のサーヴァントなら、それ相応の戦う理由、望みがあるのではないのか?」
セイバー「それは……。私は、私の望みは……」
セイバー(……私は偽りの王。私の戦いは全て無駄だったのだ……)
セイバー(王の選定をやり直し、過去を変え、『王国の救済』を成し遂げる……)
セイバー(それが私の戦う理由、私の望み……。聖杯に願う、奇跡……)
セイバー「私の望みは……!!!!」
301 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 00:04:13.61 ID:f9d2oEFZ0
キャスター「……そうして、姉妹は魔術師の家同士の協約により引き裂かれた」
キャスター「これで、その二人の物語は終わりよ。坊や」
うしお「そんな……。遠坂先輩と桜姉ちゃんが、姉妹……」
凛「…………」
キャスター「そのお姉さんが今更、妹を助けに来たというのかしらねぇ?」
凛「……ええ、そうよ。桜を器の魔術師なんかにはさせないわ、絶対に」
キャスター「そう、いいわよ。それなら機会をあげましょう」
うしお「なにっ!?」
キャスター「もうすぐ聖杯は召喚される。最後のチャンスをあげましょう」
キャスター「桜さんの洗脳を解いてみなさい。私の魔術が解ければ桜さんは器として機能しないわ」
キャスター「さぁ、精一杯足掻きなさい」
桜「…………」
凛「桜っ!! 桜、私の声が聞こえないの!?」
うしお「桜姉ちゃん!! 目を覚ましてくれ!!」
キャスター「フフ、引き裂かれたモノは戻りはしないのよ」
302 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 00:18:51.11 ID:f9d2oEFZ0
凛「桜っ!! 桜ーーっ!!」
桜「…………」
凛「なんとかしてキャスターの魔術を解析して……。そんな時間なんて……」
桜「…………」
うしお「桜姉ちゃん、オレは魔術師の家の協約とかは分からねえよ」
うしお「でも、いきなり仲の良い姉ちゃんと離ればなれになるなんてつらかったよなあ」
凛「蒼月君……」
うしお「でもよ、遠坂先輩は桜姉ちゃんを忘れたりなんてしてないぜ」
うしお「その証拠によ、遠坂先輩は桜姉ちゃんを助けに来たんだ」
桜「…………」
凛「桜……。駄目なの……」
うしお「まだだ、まだ……!!」
凛「蒼月君、その手にあるのは宝具『獣の槍』じゃないのよ……」
凛「バーサーカーのときみたいに心に語りかけるなんてことは出来ないわ……」
キャスター「残念、どうやら時間切れ。そろそろ聖杯召喚のようね」
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/12(水) 00:21:30.08 ID:CTG5tr6Qo
うしおがまだっつってんだ!こんなんで終わりなはずがねぇ!
304 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 00:32:20.20 ID:f9d2oEFZ0
桜「…………」
凛「桜……」
凛(……魔術師にとって一番大切なのは命じゃない。守らなくちゃいけないのは魂の尊厳……)
凛(アンタも魔術師の家に生まれたんだから、分かるわよね)
凛(大勢の生贄の器にされるぐらいなら……。そうでしょう、桜……)
桜「…………」
凛(……私も甘いなァ……。蒼月君、あと、お願いね……)
パシィッ
凛「蒼月君……? 放しなさい!!」
うしお「させねえさ。桜姉ちゃんの代わりに器になるなんて」
凛「……っ!?」
凛「ち、違うわ……。わ、私は、桜を、こ、殺そうと……」
うしお「今回さ、おかしいとは思ってたんだ」
凛「え……?」
うしお「いつも冷静な遠坂先輩が、キャスターの神殿をどんどん進んでいくからよ」
うしお「桜姉ちゃんを一番心配してたのは遠坂先輩だ」
うしお「そりゃそうだよァ、妹なら当然だよな」
凛「あ、蒼月君……私は……私は……」
305 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 00:42:28.23 ID:f9d2oEFZ0
凛「でも、私たちにキャスターの魔術を解くなんて出来ないわ……」
凛「あとは大元のキャスターを倒すしか、でも、もうその時間もないのよ……」
うしお「いや、方法はまだあるぜっ!!」
キャスター「フフ、面白いわね。まだ足掻いてくれるのかしら?」
うしお「あぁもちろんさキャスター!!」
うしお「桜姉ちゃんのためなら最後の最後まで足掻き続けてやる!!」
うしお「それによ、オレには桜姉ちゃんがキャスターの魔術に負けるなんて思えねえよ!!」
キャスター「なっ……」
うしお「桜姉ちゃん、初めて会ったときのことを覚えてるかい?」
桜「…………」
306 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 00:49:54.33 ID:f9d2oEFZ0
「桜、まさかお前、僕に意見するつもり?」
「そ、そんなことはないです兄さん」
「それじゃなに? なにを言いたいの、お前は」
「ただ、まだ一年生には弓を持たすのは早いんじゃないかと思って……」
「それが僕に意見してるって言ってるんだよっ……!!」
バシッ
「ただの兄妹喧嘩ならほっとくつもりだったんだけどよ」
「あ……」
「女の人に手を上げるのは黙ってみてられねえよ、センパイ」
「お、お前、あの蒼月か……。く、くそっ……」
「はぁ、うしおのケンカっ早さは高校生になっても変わんないのね」
「だ、だってよォ」
「まぁ今のはアンタが行かなくても、この麻子さんが行ったけどね」
「とか言って麻子はうしおくんが助けに行くの分かってたくせに〜」
「ま、真由子!!」
「あの、ありがとうございます」
「えっ? あ、いや、礼なんてやめてくれよ。オレが勝手にやったことさ」
307 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 00:57:00.58 ID:f9d2oEFZ0
「蒼月君……」
「あれ、確かこの前の……」
「この間は、ありがとうございました」
「も、もう礼はいいよっ。それよりセンパイも買い物かい?」
「はい、夕飯の準備を」
「オレもさ。今、親父と母ちゃんが総本山に行っててさ、オレ一人なんだ」
「そうなんですか……。それが、今晩の夕飯ですか……?」
「あぁ、ジェットサンダーラーメン」
「……………………」
「ん……?」
「今日の夕飯は私が作ります。私にお礼をさせてください」
「えぇっ!?」
「蒼月君はこの町を、いえ、この国を救った人なんですよ。もっと食べるべきです」
「い、いや、ちょっと待ってくれよっ。それとこれなんの関係が」
「待ちません。それに後輩は先輩の言うことをきくものです」
「買い物かご持って行っちまった……」
「ひゃー、意外に強引な姉ちゃんだったんだなァ」
「でも良かったぜ。あれなら兄貴にも誰にも負けねえや」
308 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 01:16:23.98 ID:f9d2oEFZ0
うしお「あの桜姉ちゃんがキャスターの魔術に負けるはずがねえ!!」
桜「…………」
キャスター「まさか私の魔術を直接この娘に破らせるつもり?」
キャスター「坊や、その儚い希望も空しくなってこないのかしら」
キャスター「桜さんは抗うことなんて出来ないのよ。過去も、そして今も」
凛「そんなことないわ!!」
凛「昔は出来なくても今なら出来る。私も桜も、今なら抗える!!」
凛「桜、私も覚えてるわよ。アンタが負けず嫌いだってこと」
凛「だって私はアンタの……」
凛「桜の……姉なんだからっ!!」
桜「……っ……」
うしお「確かに桜姉ちゃんは『間桐桜になったとき』は一人ぼっちだったかもしれねえ」
うしお「でも『今の間桐桜』は一人だなんて言わせねえぜ!!」
うしお「ここに桜姉ちゃんを待ってる人間が二人もいるんだぞ!!」
桜「……あ……ぁ……」
うしお「オレたちだけじゃねえ!! 麻子も真由子もそうだ!!」
うしお「間桐桜を待ってるヤツらがたくさんいる!!」
うしお「だからよ、キャスターなんかに負けるなァーーーー!!!!」
桜「……あぁ、姉、さん……蒼月、くん……」
309 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 01:28:42.73 ID:f9d2oEFZ0
キャスター「そんな馬鹿な……。ありえないわ……」
キャスター「外側から魔術を破れないからって、内側から魔術を破らせるなんて……」
凛「さ、桜……。桜ァーー!!」
桜「夢の中で、ずっと、姉さんと蒼月くんの声が聞こえていました……」
凛「ごめん、ごめんね……」
桜「私は姉さんがうらやましかった……。でも、今は違う……」
桜「私を……私として必要と……。私を待ってくれている人たちがいるんですね……」
凛「ええ、ええ、そうよ、桜……」
キャスター「大人しく夢の中で私の操り人形になっていればいいものを……」
うしお「キャスター!!」
キャスター「見事、と褒めるべきかしらね。現存する英雄とはいえ島国の坊やと甘く見ていたわ」
うしお「もう桜姉ちゃんを器の魔術師になんてさせねえぞ、キャスター!!」
うしお「聖杯の召喚なんてことはやめろよ!!」
キャスター「フフ、面白いわね。すでに勝った気でいるのかしら?」
キャスター「別に器の魔術師は一人でなくてもいいのよ。そう、二人でも、ね」
310 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 01:36:37.61 ID:f9d2oEFZ0
桜「姉さん、これは……」
凛「ごめん桜。今は説明してる時間がないの。ここに隠れてて」
キャスター「まずは現代の魔術師さん、褒めてあげましょう」
キャスター「正攻法ではないとはいえ私の魔術を破ったのですから」
凛「そりゃどうも。でも古代の魔術師の魔術も大したことなかったわよ」
キャスター「フフ、言うようになったわね。そうでないと面白くないわ」
キャスター「今から私の魔術でアナタも桜さんも器になるのですから」
うしお「そんなことはさせねえよ」
キャスター「まさか、そのなんの能力もない槍で私と戦うつもりかしら?」
うしお「あぁそうさ」
凛(……そうよ。あれは宝具『獣の槍』じゃない。ただの槍よ……)
凛(キャスターの魔術で、桜は完全に洗脳されてた。それを蒼月くんは宝具なしで……)
凛(バーサーカーのときは宝具の能力だと思った、でも違ったってこと……?)
凛(桜の洗脳を解き、バーサーカーの暴走を止めた能力……。それは蒼月くんの……)
311 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/04/12(水) 01:40:31.50 ID:f9d2oEFZ0
キャスター「なめられたものね。サーヴァントなしで大した武器もなく私と戦うと」
キャスター「思い知らせてあげましょう。魔女の指先、とくと味わってもらおうかしら」
うしお「遠坂先輩、準備はいいかい?」
凛「ええ、蒼月くん。いつでもいけるわ」
うしお「それじゃオレたちとキャスターの……」
凛「タイマン、始めましょうかっ!!」
うしお「おう!! 行っくぜェーーっ!!」
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/12(水) 02:30:07.67 ID:+thN8obHO
乙
うしとらは外伝もスバラシイ
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/04/14(金) 22:53:45.81 ID:Pd+IXNOmO
乙ー
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 02:27:45.56 ID:RL8IeC0j0
自害しろ、ランサー
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1233579.jpg
315 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 21:41:44.12 ID:Epm9CavJ0
【第十九話 教師と魔女『雨に現れ、雨に消え』 】
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/09(火) 21:52:49.71 ID:Epm9CavJ0
アサシン「……音が止んだか」
とら「ああ? 音だァ?」
アサシン「どうやら女狐の企みは失敗したようだぞ」
とら「へっ、そうかよ。それならわしもこの門をそろそろ通らせてもらおうかね」
アサシン「フッ、お互い頃合いか。私も秘剣の魔翌力しか残っていないのでな」
とら「決着といこうぜ、サムライ」
アサシン「…………」
とら「…………」
アサシン「……最後に一つだけ聞かせてくれ」
とら「なんだよ?」
アサシン「セイバーのマスター、あの少年は嬉々として私の名前を出した」
アサシン「だが私にはその実感がない。少年が真っ直ぐ私を見ても、私は返すことが出来なかった」
とら「アイツはただの馬鹿だぜ。お前が本物かどうかなんて考えちゃいねーよ」
アサシン「だからこそ知りたい。私は、いたのか……?」
317 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 21:59:53.05 ID:Epm9CavJ0
アサシン「他でもない、物の怪のお前に問いたい」
とら「わしに?」
アサシン「人間では意味がないのだ。捏造された記憶を持った人間ではな」
アサシン「直接その時代にいた物の怪、そしてお前だからこそ信用に足るというもの」
アサシン「佐々木小次郎は、存在していたのか?」
とら「おめえ、それを確かめるためにわしと戦って……」
とら「……生憎だがよ、わしはおめえが知りたいことは答えられんぞ」
とら「わしは槍にはりつけにされて五百年閉じ込められてたのよ」
とら「その間にサムライの時代は終わっちまってたよ」
アサシン「そうか……」
とら「そもそもわしは人間の顔も名前も覚えちゃいねーよ」
アサシン「フッ、それもそうだな。物の怪とはそういうものか」
とら「だがよ、一つ分かることがあるぜ」
アサシン「なに……?」
とら「おめえは最強のサムライよ。わしが戦ったサムライの中で一番強えぜ」
アサシン「私が、最強の侍……?」
とら「わしが認めてやらァ。この『わし』がな」
アサシン「……そうか、私は最強の侍か。フフ、かの雷の物の怪に認められたからには……」
アサシン「無様な一芸は、披露出来んな……!!」
とら「きな、ブッ倒してやるよォ……!!」
318 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 22:17:48.40 ID:Epm9CavJ0
アサシン「参る……!!!!」
アサシン「秘剣……『燕返し』!!!!」
とら(来る!! あの鎌鼬より鋭いやつかァ〜〜!!)
アサシン(まずは頭上から股下までを断つ縦軸の「一の太刀」)
とら(速すぎて発動は潰せねえか、避けるしかねえ……!!)
アサシン(それから一の太刀を回避する対象の逃げ道を塞ぐ円の軌跡である「二の太刀」)
とら(な、なにィ〜〜!? こっちにも太刀が迫ってきてやがる!?)
とら(それなら避ける場所はここしかねえ……!!)
アサシン(そして左右への離脱を阻む払いの「三の太刀」)
とら(どうなってやがる!? どこにも逃げ場所がねえ!?)
アサシン(三つの異なる太刀筋を同時に放つことで対象を囲む牢獄を作り上げる)
アサシン(これが我が秘剣『燕返し』だ)
アサシン「勝負あったな、雷の物の怪よ」
アサシン「我が剣先からは燕でさえ逃れ得ぬ。翼がなくても飛べるそなたでも酷な勝負であったかな?」
とら「……タコが。なに勝ち誇ってやがる」
アサシン「……っ!?」
アサシン(自身の身体を伸ばして、いや、変化させて牢獄から逃げ……!?)
とら「おめえの相手はツバメじゃねえ」
とら「バケモノなんだぜ……!!!!」
319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/09(火) 22:37:56.56 ID:1jFtrXm1O
とらカッコイイ
320 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 22:47:16.08 ID:Epm9CavJ0
アサシン「……行け。勝負はついた」
とら「ああ」
アサシン「我が秘剣の全てをかけた極上の立ち合いだった」
アサシン「感謝する。長飛丸、いや……」
アサシン「とら殿」
とら「わしも楽しかったぜ。じゃあな」
とら「コジロウ」
サァァァ
アサシン「フッ、そろそろか……」
アサシン「聖杯戦争、なかなかに楽しい一時であった」
アサシン「しかし私としたことが修行不足であったな」
アサシン「だが私は『雷の物の怪』が認めた『佐々木小次郎』」
アサシン「次に呼ばれるまでには、どれ……」
アサシン「雷を斬れるようになっておこうか」
321 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 23:07:34.44 ID:Epm9CavJ0
凛「今よ蒼月くん!!」
うしお「うおおおおおお!!!!」
キャスター「貴方たちの考えなんて手に取るように分かるわ」
キャスター「キャスターが相手なら二人で接近戦を挑めば数の有利で勝てる」
キャスター「今までもそんな愚かな騎士たちを多く見てきたわ。でも残念ね」
うしお「防がれた……!?」
キャスター「私の高速神言は剣士クラスの刃にさえ先んじる。坊やの槍が当たることなんてないのよ」
うしお「まだまだこれからだぜ、キャスター!!」
キャスター「貴方の戦い方は優雅さに欠けるわ」
うしお「オレは……地味さ!!」
キャスター「そうね、それなら派手に散らせてあげる……!!」
うしお「ぐっ……!?」
凛「とらの言うとおり、蒼月くんはいつも背中がお留守よねっ!!」
うしお「ごめんよ遠坂先輩!!」
キャスター「なっ……」
322 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 23:17:39.46 ID:Epm9CavJ0
キャスター「押されている、私が……。あ、ありえない……!!」
キャスター「宝具の槍のない坊やと、格下の魔術師のお嬢さんに、私が……!?」
うしお「遠坂先輩!!」
凛「ええ、次行くわよっ!!」
キャスター「しかしこの連係、歴戦の槍兵と術師が組んだかのような……」
キャスター「フ、フフ。そう、そういうことね。私が甘かったわ、お嬢さん」
凛「なによ?」
キャスター「意識の共有かしら、それとも私と同じような魔術で坊やを操っていたのね」
凛「はぁ? なに言ってんのよ?」
キャスター「もう隠さなくてもいいのよ。確かに意識や洗脳の魔術も使えたのは予想外だったわ」
凛「あのねぇ、そんな魔力あったらとらに送ってるわよ!!」
キャスター「ウソが下手ね。同盟を組んで一週間程度の二人がこんな連係を出来るわけが……」
凛「ああ、そういうこと。それなら教えてあげるわよキャスター!!」
凛「こんな山の中で自分の神殿なんかコソコソ作ってるアンタと違って、私たちは!!」
うしお「『練習』出来るんだよ!!」
キャスター「なっ!?」
キャスター(お嬢さんの後ろに隠れて……!?)
うしお「どうだいキャスター!! オレの槍、当たったぜ!!」
キャスター「こ、この……!!」
323 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 23:26:58.35 ID:Epm9CavJ0
キャスター「……いいわ、認めてあげる。なかなかやるわよ、貴方たち」
キャスター「でもね、何か忘れていないかしら?」
うしお「なんだ……?」
桜「きゃっ……!!」
骸骨騎士「アァァ」
骸骨騎士「ウゥゥ」
凛「桜っ!!」
うしお「桜姉ちゃん!!」
キャスター「忘れてもらっては困るわね。私は神代の魔術師。はじめから数の有利不利などないのよ」
「おめえもなーんか忘れとるよな、術使い」
ドゴーン!!
キャスター「よ、妖怪のサーヴァント!!」
凛「とら!!」
桜「あ、あの、ありがとうございます。とらさん」
とら「へっ、いいから捕まっときな」
324 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 23:38:57.58 ID:Epm9CavJ0
キャスター「アサシン、あの役立たずが……!!」
セイバー「ウシオ!!」
うしお「とら、それにセイバーも!?」
桜「セイバーさんまで……」
セイバー「良かった。サクラも無事のようですね」
葛木「キャスター、状況はどうなっている」
キャスター「すみませんマスター。聖杯の召喚は失敗。人質を逃がしアサシンを失いました」
葛木「別に構わん。ここで終わりではない。それに状況が不利なら撤退するだけのことだ」
キャスター「はい、分かりました。撤退します」
セイバー「キャスター、まさかこの場から逃げれると思ってないだろうな?」
とら「ここがおめえらのしめえの場所だぜ」
凛「形勢逆転ね、キャスター」
325 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 23:45:39.57 ID:Epm9CavJ0
キャスター「形勢逆転? いいえお嬢さん、形勢はそのままよ」
凛「なんですって……?」
ゴゴゴゴゴゴ
うしお「な、なんだ、地震かっ!?」
セイバー「いえ、違います。これは……」
キャスター「ここは私の神殿。造るのも思いのままなら、壊すのも思いのまま」
凛「キャスター……!!」
とら「それがどうした術使い。そんな脅しでわしが見逃すとでも思ったのかよ?」
キャスター「ええ、そうよ。妖怪のサーヴァント、貴方は逃げていくことになるわ」
とら「ああ? わしが逃げる?」
キャスター「別に私は神殿が崩れるまで貴方とやりあったっていいのよ?」
キャスター「貴方のマスターが私のように転移の魔術が使えるのなら、ね」
凛「くっ……」
うしお「だ、駄目だ。このままじゃ生き埋めになっちまうよ!!」
凛「……とら、桜を乗せて。蒼月くん、セイバー、この神殿から脱出するわよ」
キャスター「フフ、それでいいのよ。お嬢さん」
326 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/09(火) 23:55:09.24 ID:Epm9CavJ0
とら「おい!! りん!!」
凛「桜はキャスターの洗脳のせいで衰弱してる。アンタが運んでくれないと脱出できないわ」
凛「アンタとセイバーを神殿の崩壊限界まで残らせてキャスターを倒す手もあるけど」
凛「もしまだキャスターが奥の手を持ってるなら危険だわ。ここは逃げるしかないのよ」
とら「チッ……。あーあ、分かったよ」
うしお「へっ」
凛「どうしたのよ蒼月くん。何か変?」
うしお「いや、いつもの冷静な遠坂先輩だから嬉しくてよ」
凛「な、なによそれ……」
セイバー「ここまで来てキャスターを討てないのは不本意ですが、マスターの安全を考えれば当然です」
うしお「オレは桜姉ちゃんが無事に帰ってきたならそれで十分さ」
桜「蒼月くん……」
とら「オラ、さっさと乗りな」
桜「と、とらさん、本当にいいんですか?」
とら「おめえには手作りはんばっかの借りがあるのよ。槍で脅して乗っかるヤツと違ってな」
うしお「とらァ、聞こえてんぞ!!」
うしお「って、こんなことしてる場合じゃねえ。脱出しねえと……」
327 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 00:13:41.33 ID:hOwTvVaQ0
キャスター「さぁ、私の神殿からお逃げなさい。『見逃して』あげるわよ」
凛「くっ、蒼月くん行くわよ!!」
うしお「あぁ遠坂先輩」
キャスター「最後に坊やに忠告してあげるわ」
うしお「なに……?」
キャスター「私は今回のことで役立たずのアサシンを失ったわ」
キャスター「貴方のセイバーは、とても綺麗で強くて美しいわね」
セイバー「何が言いたい、キャスター」
キャスター「坊や、夜道には気をつけなさい。私のルールブレイカーが常に狙っているわよ」
うしお「桜姉ちゃんの次は、セイバーを狙うっていうのかよ!!」
キャスター「ええ、次はセイバーを頂くとしましょう」
セイバー「キャスター、貴様……!!」
キャスター「フフ、私のモノにしてみせるわ、セイバー」
??「チッ……。戯けが……」
??「身の程の違えたな、雑種」
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/10(水) 06:02:04.14 ID:4gaAiq1fO
乙ー
329 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 22:46:53.67 ID:hOwTvVaQ0
うしお「なぁキャスター。なんでそんなことするんだよ?」
キャスター「なんで? 坊やは頭が悪いのかしら……」
とら「そいつは馬鹿だぜ」
桜「と、とらさんっ」
キャスター「この聖杯戦争に勝ち残り、聖杯を手に入れるために決まってるでしょう?」
うしお「そんなことは分かってるよ。でもよ、セイバーを奪ったりなんてしなくていいだろ?」
キャスター「……意味が分からないわね」
葛木「蒼月、その理由はなんだ。なぜそう思う」
うしお「さっきキャスターと戦って分かったんだ。キャスターの魔術はスゴかったぜ」
うしお「きっと一人じゃ負けてた。遠坂先輩と二人だったからなんとかなったけどよ」
うしお「葛木先生の拳法もすげえし、キャスターの魔術もすげえよ」
うしお「きっと二人が組めば絶対に強えんだろうな」
キャスター「私とマスターが……。そんなこと、貴方に言われなくても……」
葛木「…………」
うしお「だったら人質を取ったり、他のサーヴァントを奪わなくてもいいだろ?」
うしお「相当強いぜ、葛木先生もキャスターもさ」
キャスター「あ、貴方はいったい……」
桜「姉さん、あれ大丈夫なんですか……」
凛「面食らうわよね普通。私もそうだったし。でもあれが蒼月くんなのよ」
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/10(水) 22:49:12.07 ID:aS9hYPK6o
これが潮のいいとこなんだよなあ
331 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 22:58:38.38 ID:hOwTvVaQ0
葛木「……キャスター。お前のやり方に口は出さないと言ったが気が変わった」
葛木「蒼月とセイバーの二人に『お前と』戦ってみたくなった。手を貸せ」
キャスター「いいえマスター。今私もそれを提案しようと思っていました」
キャスター「坊や、約束してあげるわ。貴方とセイバーは私たちが倒す、必ずね」
うしお「あぁいいぜ。オレたちも負けねえからよ」
セイバー「いずれキャスターのマスターとは決着をつけるつもりでした。望むところです」
キャスター「フフ、楽しみだわセイバー。約束よ」
??「約束? 抜かしたな雑種」
??「その女と取り決めをしていいのは、王である我(オレ)だけだ」
キャスター「っ!?」
セイバー「!?」
うしお「な、なんだ、誰だ!?」
??「先ほどの騎士王を奪うなどと口にしたのも大罪だが……」
??「我のモノであるアレと、我を差し置いて取り決めだと?」
??「……失せろ、雑種」
332 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 23:10:25.64 ID:hOwTvVaQ0
凛「空一面に剣や槍が……なんなのよあれ……」
うしお「飛んできた!? オレたちを狙ってるのか!?」
凛「と、とらっ、雷で撃ち落としてっ!!」
とら「こんなもん全部に当てれるかよ!! りん、防ぐしかねえぞ!!」
凛「そんなこと出来るワケ……!!」
キャスター「フン、現代の魔術師は結界も張れないのかしら……!!」
凛「広範囲結界!? なんで、私たちまで……」
キャスター「あら、私は言ったわよ、お嬢さん。私の神殿から『見逃して』あげると」
キャスター「私の神言は古代より絶対なの。だから無事にここから逃げてもらわないと困るのよ」
凛「キャスター……。アンタ……」
??「久しいなセイバー。覚えているか、我が下した決定を」
うしお「セイバーの知り合い……?」
セイバー「貴様が……なぜここに……」
??「なんだその顔は、未だ覚悟が出来ていないというのか」
??「男を待たせるとは戯けた女だ。だが、こんなみすぼらしい神殿では再会も色褪せるか」
333 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 23:20:54.38 ID:hOwTvVaQ0
キャスター「早く行きなさい。私の結界が維持されてる間に……!!」
凛「でも、それは……」
キャスター「貴方だって『アレ』が並じゃないことぐらい分かるはずよ、行きなさい」
キャスター「神殿の崩壊はもう私にも止められないのよ。それともこのまま潰されるつもりかしら?」
ゴゴゴゴゴゴ
凛「…………」
凛「みんな、キャスターが結界を張ってる間に逃げるわよ。急いで!!」
とら「あの金色野郎……!!」
桜「と、とらさん……」
とら「チッ、行くぜ。捕まってろ」
??「色褪せた再会など我には似合わん。今日は雑種と戯れて終わりにするか」
??「いずれ逢うぞセイバー。それまでに覚悟を決めておけ」
セイバー「…………」
凛「蒼月くん!! セイバー!!」
セイバー「はい、今行きます」
うしお「あ、あぁ」
334 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 23:30:36.14 ID:hOwTvVaQ0
??「どこまで耐えれるか試してみるのも一興か」
??「雑種、我が戯れに付き合ってやるのだ。少しは愉しませてみろ」
葛木「…………」
キャスター「私がこんなことをしてるのが可笑しいですか、マスター」
葛木「いや、そうでもない」
キャスター「えっ……」
葛木「お前は『こうする側』だと思っていた」
キャスター「マスター……」
ゴゴゴゴゴゴ
??「神殿の崩壊が本格的に始まったか。戯れも終わりだな」
キャスター「マスター、転移の魔術の準備が出来ました」
葛木「うむ」
335 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 23:37:53.49 ID:hOwTvVaQ0
キャスター「それでは……」
??「フン」
キャスター「っ!?」
キャスター(大量の武器を飛ばすのを止めて、一本の剣を……)
キャスター(私の結界を破れないと知って苦し紛れに……?)
キャスター「いえ、そんなはずはない。それでも、どんな剣でも私の結界は破れない……!!」
キャスター「……!!」
キャスター(何もないかのように貫通して……そんな宝具知らな……)
キャスター「ぐっ、はっ…………」
葛木「キャスター!!」
??「やはり雑種では愉しめんな。終わりにするか」
336 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/10(水) 23:47:49.14 ID:hOwTvVaQ0
キャスター(だ、駄目。今の私には結界は張れない……!!)
キャスター「マスター逃げてください……!!」
葛木「それは出来ない相談だな」
??「ほう、拳で打ち落としたか」
キャスター「どうして……」
葛木「お前は私のサーヴァントだ。お前を置いて行くことなど出来ない」
キャスター「そ、宗一郎様……」
??「サーヴァントの次はマスターが道化になるか。ならば次も耐えてみせろよ?」
葛木「くっ……がっ……」
キャスター「マスター!!」
葛木「キャスター、蒼月が言っていたな。私たちは強いと」
キャスター「それは……」
葛木「人は誰かのために強くなれる。ようやく気がついた」
葛木「私は、誰かのためになりたかったのだ」
??「終わりだ」
キャスター「マスター!!!!」
337 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/11(木) 00:11:37.15 ID:TbDAlxEa0
「おおおおおおおおおお!!!!」
カキィィン!!
キャスター「あ、あぁ……ど、どうして……」
葛木「あ、蒼月……!!」
うしお「…………」
??「ほう……」
葛木「何故だ蒼月、何故戻ってきた……」
うしお「前にさ、見たんだ葛木先生」
葛木「なに……」
うしお「麻子と真由子が図書委員の仕事してるときに、生徒会の兄ちゃんたちと手伝ってたろ?」
葛木「たった、それだけで……?」
うしお「忘れられねえよ。オレが廊下を走ってたときしかってくれたこともさ」
うしお「そうさ、忘れられるもんかよ。だから……!!」
??「嗤わせる。まさか『槍』も『獣』もなしに我とやるつもりか」
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 00:45:55.09 ID:D4CQ1UmwO
うしおは最高に格好いい主人公
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/11(木) 11:50:53.38 ID:6T5f1Dlio
乙ー
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 14:58:28.57 ID:jT2bi3UfO
問題は我様に実際勝つのはむずかしい
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/11(木) 18:03:16.48 ID:045J2nFkO
我様なら獣の槍の起源とか持ってそうなんだよなぁ
342 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/13(土) 21:59:59.30 ID:7vaGHc090
ガラガラガラ!!
??「チッ、崩れ始めたか。時間切れだな」
??「まぁいい。興ざめな幕切れだが、ここは相応しい場所ではない」
うしお「行ってくれた、のか……?」
ドガッ!!
うしお「うおっ!? 危ねえ!!」
葛木「ここはもう、崩れるな」
うしお「葛木先生、立てるかい?」
葛木「ああ」
うしお「キャスターは……」
ガラガラ!!
キャスター「が、瓦礫が……!!」
凛「ガンドォ!!」
セイバー「はあああ!!」
うしお「遠坂先輩!! セイバー!!」
キャスター「貴方たちまで……」
343 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/13(土) 22:19:09.61 ID:7vaGHc090
キャスター「どうしてお嬢さんまで……」
凛「こんなの心の贅肉よ。でもね、止めても行っちゃうヤツがいるんだから仕方ないでしょ」
凛「それに、ここでアンタに死なれちゃ私が気持ちよく聖杯戦争に完璧に勝ったって言えないじゃない」
キャスター「……フフ、残念ね。もう少し賢かったなら教え子にしてあげてもよかったのだけれど」
凛「う、うるさいわねっ。そんなのこっちから願い下げよ!!」
キャスター「セイバー、貴方が聖杯戦争を理解してないとは思わなかったわ」
セイバー「勘違いするなキャスター。以前の私ならここでお前を確実に仕留めている」
セイバー(……そう、彼らに出会う以前の私なら……。やはり私は……)
ガラガラガラ!!
凛「っと、悠長に話してる時間はなさそうね」
キャスター「はぁ、はぁ……。私は、もういいわ。マスターは逃げてください」
うしお「キャスター、まさか……」
葛木「言ったはずだキャスター。お前は私のサーヴァントだと」
キャスター「マ、マスター!? お、下ろしてくださいっ」
凛「はぁ……。助けに来てお姫様抱っこ見せられるとは思ってなかったわ」
キャスター「う、うるさいわよ!!」
344 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/13(土) 22:26:11.71 ID:7vaGHc090
・柳洞寺山門
桜「姉さん……」
とら「おめえの姉ってやつは馬鹿だぜ」
桜「はい、知ってます」
とら「でもまぁ、先に飛び込んだクソうしおのほうが大馬鹿だけどな」
桜「それも知ってます。でも……」
桜「ふふっ」
とら「あ?」
桜「それは、とらさんのほうがもっとよく知ってますよね?」
とら「けっ……」
とら「さくら、とかいったかよ。わしはやつらと違って馬鹿じゃないのよ」
桜「は、はい」
とら「あーあ、でも仕方ねえよな。りんはわしのますたーだからよ」
とら「わしは行くしかねえのよォ!!」
桜「それも、この国の人たちならみんな知ってますよ。とらさん」
345 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/13(土) 22:59:05.72 ID:7vaGHc090
凛「もうすぐ出口よ!! 急いで!!」
ガラガラガラ!!
うしお「出口が瓦礫で塞がって……」
セイバー「くっ……」
ドガーン!!
とら「おめえらなにをやっとる!! さっさと走れェ!!」
セイバー「トラ!!」
うしお「うおおおおおお!!!!」
346 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/13(土) 23:12:09.45 ID:7vaGHc090
凛「はぁはぁ……。間一髪ってやつね……」
うしお「なんとか、脱出できたんだよな……」
キャスター「マスター、もう大丈夫です。下ろして、ください……」
葛木「ああ」
キャスター「ハァ……ハァ……」
サァァァ
葛木「これは……。どういうことだ、説明しろキャスター」
キャスター「どうやら、私はここまでのようです。マスター」
セイバー「キャスター……」
うしお「遠坂先輩、なにか方法は!?」
凛「すでにキャスターの身体は消えかかってる。今から葛木先生がなにをやっても手遅れよ」
うしお「そんな……」
347 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/13(土) 23:57:06.99 ID:7vaGHc090
キャスター「でも、良かった……。貴方の望みが叶って……」
葛木「キャスター……」
キャスター「私は、駄目ね……。分かっていたのに、私のやり方では……ぐっ……」
キャスター「願望機などでは、貴方の望みは叶わないって……。それでも、ねぇ……」
葛木「…………」
キャスター「眩しい、わね……」
うしお「えっ……?」
キャスター「フフ……。姉妹の絆も、坊やの輝きも、私には眩しすぎるわ……」
キャスター「目を背けたくなるほどよ……」
凛「キャスター……アンタ……」
葛木「キャスター、お前の望みを言え。例えお前が消えたとしても、私が代わりに果たす」
キャスター「いいえ、それは必要ありません。だって、私の望みも……」
キャスター「先ほど叶いましたから」
348 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/14(日) 00:03:54.76 ID:rC6jqDiD0
『初めて会ったときも、雨、でしたね』
『…………』
『待って』
『なんだ』
『傘は?』
『必要か?』
『……いいえ。でも、肩に小鳥がとまりたがっていますから』
『そうか。そうだな』
349 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/14(日) 00:17:12.93 ID:rC6jqDiD0
ポタ、ポタタ
凛「雨、か……」
うしお「葛木、先生……」
葛木「…………」
葛木「遠坂」
凛「えっ」
葛木「私はキャスターを失った」
葛木「私は聖杯戦争に詳しくはない。この後どうすればいいか教えてくれ」
凛「あ、は、はい」
うしお「葛木先生……」
葛木「安心しろ蒼月。私はもう聖杯戦争に関わるつもりはない」
うしお「あぁ、分かってるよ」
葛木「そうか」
葛木「……雨が、強くなってきたな」
350 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/05/14(日) 00:20:03.04 ID:rC6jqDiD0
セイバー「トラ。キャスターのマスター。あの男との決着はいいのですか?」
とら「わしは無粋な真似はせんのよ」
セイバー「フッ、アサシンの真似ですか」
とら「へっ……」
とら「それより剣使い、あの金色の野郎はなんなんでえ?」
セイバー「それは……」
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/14(日) 02:42:58.46 ID:t7EBSKoLO
乙
泣かせるぜ
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/05/16(火) 01:30:19.78 ID:2SgaeWC3O
我様は白面と戦ってみたのだろうか
ティアマト並みの化け物だと思うんだが
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/05/26(金) 02:36:40.04 ID:PV99Voslo
乙ー
354 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 22:29:10.37 ID:2rXJrzBr0
・間桐邸地下蟲蔵
杜綱「これで終わりだ。柳月派不動縛呪!!」
臓硯「ぐぐ……。光覇明宗がァ……」
杜綱「この縛呪を断ち切ることはお前には出来ない。観念してもらおうか、マキリ」
臓硯「ククク、観念か。それより今更わしに光覇明宗が何用じゃ?」
杜綱「今回の聖杯戦争、いや、前回の聖杯戦争でもお前が暗躍していたことを光覇明宗は掴んでいる」
臓硯「ほう。さすがはこの国の中枢組織、褒めてやろうか」
杜綱「そして紫暮様はこの土地で見張っていたのだ。本物のお前が動き出すときを」
臓硯「前回の聖杯戦争のときから、やはりあの男……」
臓硯(キャスターから逃れるために本体を動かしたのを感づかれたか……。だが、すでに本体は……)
杜綱「妖に成り果ててまで叶えようとしたお前の野望もここまでだ」
杜綱「悪行を繰り返す妖を光覇明宗は決して見逃さない」
臓硯「そうか……。だが、ここはわしの蟲蔵よ……」
臓硯「貴様一人で、何が出来るかの……!!」
カサカサカサ
??「土剋水!!」
355 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 22:41:14.85 ID:2rXJrzBr0
臓硯「誰じゃ!?」
日輪「お前こそ、元獣の槍伝承候補者をなめないでもらいたいな」
臓硯「ぐっ……二人おったか……」
日輪「油断するな杜綱。縛呪で縛られていても蟲を操ることは出来るみたいよ」
杜綱「あぁ、紫暮様が監視をしていた相手だ。何かあるはず……」
日輪「しかし……。早くしろ杜綱、さすがの私でもこの場所は不快だ」
杜綱「確かに。純を連れて来なくてよかったよ」
臓硯「クク……」
杜綱「これで本当に終わりだ。式神、ヒルコ!!」
臓硯「がっ……はっ……」
臓硯「…………」
臓硯「……」
356 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 22:47:47.51 ID:2rXJrzBr0
日輪「終わったね」
杜綱「そうだな……」
日輪「どうしたの杜綱。何か変よ?」
杜綱「いや、紫暮様が危惧していた相手にしては……」
日輪「それより報告よ。杜綱はまた教会の監視に戻るんでしょ?」
??(……教会の監視……? なぜ、光覇明宗が教会を……)
杜綱「それなんだが日輪、報告と監視を代わってはくれないか?」
日輪「私は別に構わないが……。何かあるのか?」
杜綱「紫暮様は間桐慎二が入院している病院にいるだろうからね」
日輪「そういうことか。分かった、教会の監視は私が引き継ごう」
杜綱「すまない日輪」
日輪「お前も相変わらずね杜綱」
杜綱「あぁ、いつも純に過保護すぎると怒られてるよ」
杜綱「それでも兄妹の問題は見過ごせな……っ!?」
臓硯「…………」
日輪「杜綱?」
杜綱「いや、なんでもない。気のせい、か……」
357 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 22:55:56.40 ID:2rXJrzBr0
・潮の部屋
うしお「遠坂先輩、あれから葛木先生はどうしたんだい?」
凛「すぐに入院よ。立っているのが不思議なぐらいだったんだから」
うしお「そうか……。そうだよな、キャスターの盾になったんだから」
凛「ええ、でも葛木先生は大丈夫よ。命に別状はないわ」
うしお「それならよかったぜ」
凛「それより蒼月くん、今の私たちにはもっと気にしないといけないことがあるわよ」
358 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 23:05:06.39 ID:2rXJrzBr0
うしお「それじゃ、あの金色のヤツは前回の聖杯戦争から!?」
凛「それ以外に考えられないのよ」
凛「私はアーチャーの枠を使ってとらを特殊に召喚した。これは色々偶然が重なった結果ね」
凛「例外は確かにある。それでも聖杯戦争で呼び出せるサーヴァントは七騎だけ、これは変えられないはずよ」
凛「そうでしょセイバー?」
セイバー「そうですね。それが聖杯戦争の基本ルールのはずです」
とら「八人目の野郎がいるなら、そいつァ前回の勝者しかいねえってことかよ」
うしお「セイバーはアイツと知り合い、なんだよな……?」
セイバー「知り合い、いえ、そういうワケでは……」
凛「アイツの正体だけでも分からないの?」
セイバー「前回の聖杯戦争でも、私は正体が分かりませんでした」
凛「昨日の夜、山ほど宝具を使ってたのよ。正体を探るなんてこと」
セイバー「その山ほど飛ばしてきた宝具、どれか一つでも見覚えがありましたか?」
凛「えっ、まさかそんなこと……」
うしお「とらはなんか見覚えねえのか?」
とら「けっ、わしが人間の武器なんか覚えとるわきゃねーだろ」
とら「あのクソ忌々しい槍以外はなァ!!」
うしお「言うと思ったぜ……」
359 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 23:15:32.15 ID:2rXJrzBr0
セイバー「英雄の証である宝具を、あの男は湯水のように持っているのです」
セイバー「そしてなにより私が不思議に思っているのは……」
うしお「もしかしてセイバーの剣も……?」
セイバー「ウシオ、気づいていましたか」
とら「チッ、わしの見間違いじゃねえようだな」
凛「ちょ、ちょっとなによ、なんの話?」
うしお「あの宝具のなかに『獣の槍』があったんだ」
凛「ど、どういうこと!?」
うしお「オレにも分からねえんだ」
とら「あれは獣の槍じゃねえよ。確かに似てはいたが剣にも見えたしな」
凛「まさか獣の槍が二本あったってこと?」
うしお「いや、それはないと思う」
うしお「前に妖怪たちが獣の槍を作ろうとしたことがあるんだけど、それはオレが止めたよ」
うしお「それに獣の槍は、作ろうと思って作れるものじゃねえんだ」
とら「そういうことよ。あんなもんがそう簡単に何本もあってたまるかよ」
凛「蒼月くんたちがそう言うならそうなんでしょうけど……」
セイバー「獣の槍を持った英雄が他にもいたというのは?」
うしお「獣の槍を使い続けた人間は、字伏っていう妖怪になるんだ。だからそれも違うと思う」
360 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 23:24:04.96 ID:2rXJrzBr0
うしお「セイバーの剣もあの宝具の中にあったのかい?」
セイバー「はい、厳密には私の剣とは違う形状でしたが、あれはどう見ても……」
凛「獣の槍やセイバーの剣を持った英雄……? 何よそれ反則じゃない……」
とら「あの野郎が誰だろうと関係ねえよ。次に会ったときはブッ倒す、それだけよォ」
うしお「そうは言ってもよ、とら。アイツの正体だけでも知ってないと困るだろ?」
とら「けっ、わしは必要ねえな」
うしお「ったくよ。なぁセイバー、セイバーは前回の聖杯戦争も参加したんだろ?」
セイバー「はい、そうですね」
うしお「そのときのことを話してくれないか?」
セイバー「前回の……」
うしお「もしかしたらアイツの正体が分かるヒントがあるかもしれねえしよ」
セイバー「……これはいい機会なのかもしれません」
うしお「セイバー……?」
セイバー「いつかは話すつもりでした。ウシオ、貴方は聖杯戦争と全くの無関係ではないのですから」
うしお「えっ……」
セイバー「私の前回のマスターには一人の協力者がいました。それはウシオ、貴方の」
ダッダッダッ、バタンッ
麻子「う、うしお!! 桜先輩がっっ!!」
361 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 23:34:42.40 ID:2rXJrzBr0
【第二十話 遠い約束の夜へ 】
362 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/06(火) 23:51:00.50 ID:2rXJrzBr0
・蒼月家居間
真由子「桜先輩っ!!」
桜「…………」ガクガク
キリオ「真由子姉ちゃん放れて!!」
イリヤ「キリオ、サクラを縛るわよ」
キリオ「分かった!!」
凛「桜……!!」
うしお「桜姉ちゃん!!」
桜「…………」グググ
うしお「これは、どうなってんだ!?」
麻子「急に桜先輩の様子がおかしくなって、暴れだしたのよ……」
凛「なんで、桜……」
イリヤ「今は私の魔術とキリオの法力で抑えてるわ」
キリオ「この力、このお姉ちゃんの力じゃない……?」
363 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/07(水) 00:07:51.22 ID:jDv4vkxI0
セイバー「まさかキャスターの洗脳がまだ?」
凛「キャスターはもういない、それはないわ」
桜「…………」グググ
パキィン!!
キリオ「そ、そんな……」
イリヤ「へぇ、やるわねサクラ。今のを破るんだ」
うしお「桜姉ちゃんっ!!」
桜『……手間取らせる。ここまで抵抗したのは蟲蔵に初めて入れたとき以来かの』
凛「さ、桜……?」
桜『ほう、なるほど。昔を思い出す出来事でもあったか』
凛「その声、でも、なんで……」
うしお「これは、いったい……」
桜『クックッ、やっと大人しくなりおったわ。こやつらの前では醜態を晒したくないか』
364 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/07(水) 00:24:07.12 ID:jDv4vkxI0
桜『この小娘は返してやる。お前たちもそこで大人しくしておるんじゃな』
フラッ
凛「桜……!!」
麻子「桜先輩!!」
セイバー「今のは、どういうことなのですか……」
とら「……ちっ、わしとしたことが今まで気付かんかったかよ」
うしお「とら!? どういうことだ!?」
とら「その女の身体のなかに『変化』がとり憑いてやがるのよ」
うしお「変化って……。石喰いのときのヤツかっ!!」
とら「ほーう、本当にちったぁお前もモノを覚えるようになったか!!」
うしお「なにをーー!!」
うしお「……とら。今、身体のなかって言ったよな」
とら「あぁ? それがどうし」
ダッダッダッ
とら「おいっ!! うしお!!」
365 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/07(水) 00:36:23.41 ID:jDv4vkxI0
・蒼月家洗面所
うしお「おんじ!! 雲外鏡のおんじ!!」
うしお「日本中の鏡はおんじに通じてる。そうだよな、おんじ!!」
とら「なーんだ、じじいになに聞くんだよ」
セラ「あれはウシオ様……?」
リズ「鏡に向かって、話しかけてる」
セラ「み、見なかったことにしましょう」
リズ「やっぱり、この間のアレが不味かったのかも」
セラ「え?」
リズ『練習でも、手加減、しない』
うしお『こっちだってさ!!』
リズ『行くよ。あっ』コケッ
うしお『リズさん!? えっ』ゴチーン
リズ「ハルバード、脳天直撃」
セラ「あなたはなにをしてるのですか……」
366 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/07(水) 00:42:23.75 ID:jDv4vkxI0
うしお「駄目か……。あっ」
うしお「セラさんリズさん、いいところに!!」
リズ「見つかった」
セラ「な、なんでしょうウシオ様」
うしお「雲外鏡のおんじを呼んでるんだけど反応がなくてよ」
うしお「一人で呼ぶより三人で呼ぶほうがおんじも聞こえると思うんだ」
うしお「二人とも手伝ってくれよ!!」
セラ「え、あ、わ、分かりました……」
リズ「ウシオ、やっぱり打ち所が悪くて……」
うしお「なんの話だい? とにかく行くぜ!!」
うしお「雲外鏡のおんじ!!」
リズ「おんじー」
セラ「お、おんじー」
??「……この声は聞いたことがあるのとないのがあるぞ」
??「だーれじゃ、わしを呼ぶのは」
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 06:48:57.15 ID:6iGykWpGo
続き来てたか乙
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 21:18:47.71 ID:BM/xfZwQO
乙
水面下で活躍する面子も良い感じ
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/07(水) 21:36:45.45 ID:qpPMCm4Bo
あー、いまから体内でたたかうのかね
370 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/06/10(土) 17:56:15.78 ID:q9dcR5S+0
うしお「雲外鏡のおんじ!!」
おんじ「なんじゃ蒼月潮か。久しぶりじゃの」
リズ「鏡の、中に」
セラ「こ、この方が、おんじ様ですか?」
おんじ「お〜、こりゃべっぴんさんが二人も。なんじゃ紹介してくれるのか?」
うしお「おんじ!! 頼みがあるんだ!!」
おんじ「頼みィ? おい蒼月潮、人間の頼みごと一つでわしを呼んだのかァ?」
おんじ「あのな、白面のときは手を取り合ったが本来、妖怪と人間っていうのはだな」
うしお「それは分かってるっておんじ!! 急ぎなんだ!!」
セラ「おんじ様、ウシオ様の頼みごとを聞いてはもらえないでしょうか」
おんじ「うっ……」
リズ「おんじ、お願い」
おんじ「わ、わしは色んな鏡からべっぴんさん見とるから、む、無駄じゃぞ」
リズ「そんな」
セラ「おんじ様……」
??「おい、それなら誰が頼めば聞いてくれるんだよ?」
おんじ「えっ……」
とら「よう、じじい」
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