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うしおとセイバー
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171 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/11/13(日) 13:39:27.40 ID:7BTo5MIr0
・蒼月家、居間
凛「……はぁ。蒼月君、帰りが遅いと思ったら……」
凛「キリオ君、その話は本当なのよね?」
キリオ「うん。銀色の髪の女の子と国道のほうへ歩いていったよ」
凛「ありがと。キリオ君が見かけたことを言いに来てくれなかったら大変なことになってたわ」
凛「セイバー、どう?」
セイバー「はい。まだ無事である事は感じ取れますがとても遠い。おそらく敵の手中に」
凛「そう……。蒼月君を一人にした私の責任ね……」
セイバー「いえ、ウシオに無理にでも付いていくべきでした。私の責任です」
とら「んなこたァどうでもいいのよ。あのクソうし、が馬鹿なだけよ」
凛「と、とら!? 今なんて言ったのよ!?」
とら「なんだァますたー? わしは剣使いの主が馬鹿と言ったのよ」
凛「そ、そう……」
凛(まさか記憶が……。いや、召喚を失敗してるのよ、そんなことは……)
セイバー「リン、トラ。同盟の盟約が続いているのなら、お願いがあります」
172 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/11/13(日) 13:49:52.51 ID:7BTo5MIr0
・アインツベルン城、大広間
うしお「うへー、森の中にこんな城が本当にあるなんてよ……」
イリヤ「ようこそ、ウシオ。私のお城へ」
??「イリヤ、どいて」
うしお「なっ……!?」
ドゴォッ!!
イリヤ「……リズ、どういうこと?」
リズ「そいつ危ない、お断り」
イリヤ「はぁ……。まぁいいわ、ウシオを捕らえるつもりだったのは確かだしね」
うしお「お前がイリヤにマスターをやらせてるのか……!?」
リズ「……? 違うよ」
うしお「ち、違うのか、そうかよ……」
リズ「お前、多分強い。さっきのも避けた」
うしお「さすがにオレだってよ、こんなことになるかもって思ってたさ!!」
リズ「私に惚れるなよ、べいびー」
173 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/11/13(日) 14:03:52.17 ID:7BTo5MIr0
うしお「はぁはぁ……」
リズ「避けるの、上手いね」
うしお「前と違って傷がすぐに治るワケじゃないからよ」
リズ「……?」
リズ「でも、それなら……。ちょっと本気、出す」
うしお(あの槍みたいなのをなんとかしないと近づくことも出来ねえか……)
リズ「ぐるぐる、飛んでけー」
うしお「うわっ!? 槍を投げてきた!?」
リズ「しまった。これも避けられた、大問題」
うしお「よーし、こっちもこれを使わせてもらうよ……!!」
うしお「オレだって『槍』の扱い方は自信あるんだぜ!!」
うしお「って、なんだこれぇ!? も、持ち上がらねえ、こんなのを振り回してたのか!?」
??「そこまでです」
174 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/11/13(日) 14:21:35.63 ID:7BTo5MIr0
リズ「セラ……」
セラ「カヅチ」
華鎚「…………」
うしお「ぐああああああああああ!!!!」
セラ「お嬢さまのためとはいえ無理をしましたね」
リズ「ちょっと、疲れた。あんまり無理すると、中がいろいろ壊れちゃう」
うしお「…………」
セラ「この方が、あの方の息子……」
セラ「どうでしたか、試したのでしょう?」
リズ「うん。あの人と同じ、優しい」
セラ「そうですか。いえ、そうでしょうね」
リズ「今度一緒に、イノシシ狩りに行きたい」
セラ「それは……」
175 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/11/13(日) 14:48:01.93 ID:7BTo5MIr0
・イリヤの部屋
うしお「……う……こ、ここは……?」
イリヤ「あ、やっと起きたんだ。声ぐらい出せるよね」
うしお「イリヤ!? ここはどこなんだ!?」
イリヤ「ここは私の部屋。誰も助けになんて来れないし邪魔は入らないわ」
うしお「何を、する気だよ……」
イリヤ「私がウシオを守ってあげるわ」
うしお「えっ……」
イリヤ「本当は、前からウシオのことは知ってたの」
うしお「オレを……?」
イリヤ「前に住んでたお城には、バルトアンデルスって妖怪が住んでたわ」
うしお「バルトアンデルス……ああ!!」
うしお「ハマーに捕まってた妖怪!! 麻子のトモダチ!!」
176 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/11/13(日) 15:02:24.56 ID:7BTo5MIr0
うしお(確か麻子が、バルはヨーロッパの古城に住む妖怪って言ってたな……)
イリヤ「そのお城で私にはその妖怪しかいなかった。他には何も残ってなかったの」
イリヤ「でも隠れて会っていたらアインツベルンに見つかって、ハマー機関に連れて行かれたわ」
うしお「ハマー機関……。そうか、博士たちが……」
イリヤ「私が吹雪の森で狼に襲われたときも、私はバルを呼び続けた。それぐらいは信頼してたのよ?」
イリヤ「でも助けに来るわけもなく、私を救ってくれたのはバーサーカーだったけどね」
うしお「あのサーヴァントか……」
イリヤ「この国に来る前に少しだけ、あの妖怪に会ったわ」
イリヤ「お爺様の厳しい監視を抜けて、ほんの少しだけ話したの」
うしお(……お爺様……? そいつがイリヤにマスターを……?)
イリヤ「私のことを助けられなくてゴメンって言ってた、何のことか分からなかったけど」
イリヤ「それから、日本に行くならウシオという『すごい』人間がいるから、もしかしたら、って……」
うしお(バル……)
イリヤ「他にも何か言ってた気がするけど、まぁいいわ。それより……」
イリヤ「あの妖怪の言ったとおり、確かにウシオは他のマスターと違って面白いわ」
イリヤ「だから私が守ってあげるの」
イリヤ「そして最後の最後で、殺してあげる」
うしお「イリヤ……!!」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/11/13(日) 15:28:26.00 ID:+KO+tcD7O
乙ー
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/14(月) 10:47:08.10 ID:A66mvPwWO
バルちゃんいいよね
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/18(金) 23:36:38.97 ID:H9u7jQif0
a
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/12/01(木) 06:41:19.47 ID:zJKaifBGo
∞
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/12/03(土) 06:08:39.47 ID:aTohonewo
下げ
182 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 20:12:42.42 ID:9OjUoUeX0
【第十四話 妖怪の果て 】
183 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 20:19:07.21 ID:9OjUoUeX0
・アインツベルン城周辺
凛「アインツベルン城……。ここで間違いないのよね?」
セイバー「はい」
とら「チッ、華鎚どもが巡回してやがるか」
セイバー「たとえ何が待っていようと関係ありません。サーヴァントにとってマスターは」
凛「待って。とらは姿を消して、セイバーも気配を」
イリヤ「…………」
凛(イリヤスフィール……)
イリヤ「ん? 気のせい、かな。フフ」
セイバー(ウシオ、どうか無事で……)
184 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 20:28:05.01 ID:9OjUoUeX0
・イリヤの部屋
うしお「イリヤはどっか行っちまった……」
うしお「きっと遠坂先輩たちのところだ、早く知らせないと……!!」
うしお「ぐおおおお!! ぬああああ!!」
うしお「ダ、ダメだァ……。魔術の解除なんて出来ねえよォ」
バタン!!
セイバー「動くな!!」
うしお「うわっ!?」
セイバー「ウシオ!!」
うしお「セイバー!!」
凛「思ったよりは元気そうね」
とら「みてえだな」
185 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 20:33:08.04 ID:9OjUoUeX0
うしお「遠坂先輩たちまで、どうしてここに……」
セイバー「私が助けを頼んだのです。ウシオが敵に拉致されたようだったので」
うしお「拉致?」
うしお「い、いやぁ、実はオレのほうからココに来たっていうか、なんていうか……」
セイバー「大丈夫ですウシオ。その事でしたら後で私からお話があります」
凛「もちろん私からもあるから、覚悟しといてよね蒼月君」
うしお「うへぇ、あっしが悪かった……」
とら「ぷぷぷ」
凛「とにかく今は、イリヤスフィールに見つかる前に早く逃げるわよ」
186 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 20:49:55.56 ID:9OjUoUeX0
・大広間
とら「おいっ、剣使い見てみろ!! スゴイのがあるぞ!!」
セイバー「トラ、シャンデリアは返したほうが……」
うしお「ひゃー、ここだけでオレの部屋の何倍あるのか分かんねえぜ」
凛「…………」
うしお「遠坂先輩、どうしたんだい?」
凛「あっさりしすぎよ。ここまで上手く行き過ぎてる」
うしお「えっ……」
??「なぁんだ、もう帰っちゃうの? せっかく来たのに残念ね」
うしお「イリヤ……!!」
凛「イリヤ、スフィール……。そう、なるほどね」
凛「蒼月君で誘き寄せて、本命は私たちってことか」
イリヤ「ウシオが自分からここに来るって言ったのは想定外だったけどね。言ったでしょ、リン」
イリヤ「リンのサーヴァントにはアインツベルンが対策してるって。それがここよ」
凛「まさか……。この城や森そのものがアインツベルンのためのフィールド……!?」
とら「けけっ、どおりで息苦しいと思ったぜ」
187 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 21:01:47.79 ID:9OjUoUeX0
凛「まんまと誘い込まれたってことか」
うしお「遠坂先輩、オレのせいで……」
凛「気にしないで。迂闊だったのは私も同じよ。それより……」
うしお「あぁ、この森から脱出するんだ……!!」
イリヤ「帰らせるつもりなんてないわ」
イリヤ「だって、私はこの城の主なんだからお持て成しをしなきゃ、お客様に」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「バーサーカー……!!」
イリヤ「フフ」
とら「……チッ、そういうことかよ」
188 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 21:12:46.78 ID:9OjUoUeX0
凛「この城の内部で戦うのは危険よ。どんな仕掛けがあるか分からないわ」
凛「とら。今はとにかく逃げて、外でバーサーカーを迎え撃つわよ」
とら「逃げる? このわしが?」
とら「なァんでわしが逃げないといけないのよ」
凛「ちょ、ちょっと何言って」
とら「逃げたきゃおめえらで逃げな。こいつァわしの獲物よ」
セイバー「トラ、それなら私たちでバーサーカーの相手を」
とら「剣使い、おめえもなんか勘違いしとるようだな」
とら「わしの獲物を横取りするならおめえが先に相手になるかよ?」
セイバー「トラ、なぜ……」
凛「アンタねぇ、イリヤスフィールは結界を操る妖怪を使役してるのよ!?」
凛「今は見当たらないけど、ソイツらが出てきたらどうすんのよ!!」
とら「相変わらず『ますたー』はやかましいな」
189 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 21:20:15.99 ID:9OjUoUeX0
うしお「…………」
うしお「分かったよ。遠坂先輩のサーヴァント」
とら「なんだァ?」
うしお「何があるのかは知らねえよ。でも、何かあるんだろ?」
とら「へっ……」
とら「剣使いの主にしちゃ分かってるじゃねえか」
うしお「お前とは、付き合い長いからな」
とら「??」
190 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 21:27:45.66 ID:9OjUoUeX0
うしお「行こう!! セイバー、遠坂先輩!!」
凛「あ、蒼月君!?」
セイバー「いいのですかウシオ。しんがりが必要なのは理解出来ますが」
うしお「あぁ、それにとらも俺たちを守りながらじゃ戦おうにも戦えねえよ」
うしお「とらならすぐに飛んで追いつくさ。今はここから逃げよう」
セイバー「なるほど、分かりました。トラ、ご武運を」
凛「ちょ、ちょっと、勝手に話を……。あーー、もうっ!!」
凛「このバカとらーーっ!! アンタは私のサーヴァント!!」
凛「勝手に負けたりなんかしたら許さないわよ!!」
とら「本当にやかましい『ますたー』だぜ」
とら「いいからとっとと行きな」
とら「りん」
191 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 21:37:29.38 ID:9OjUoUeX0
とら「おめえ、わざとアイツらを逃がしたな。なんでだ?」
イリヤ「どうせリンたちは森から出ることなんて出来ないもの」
イリヤ「それよりここで一体のお前を確実に殺すわ」
とら「けっ、この城全体を華鎚どもが結界張ってやがんのか」
とら「確かに、これじゃ飛んで逃げることも城から出ることも出来ねえな」
イリヤ「お前のことをアインツベルンが調べたのよ」
イリヤ「過去に中国の符咒士との戦いで、この結界の使い方でかなり追い詰められてるって」
とら「昔のことは知らねえよ。で、本命はりんでも剣使いでもなく、わしかよ」
イリヤ「当然でしょ?」
イリヤ「私のバーサーカー『ヘラクレス』の相手になるヤツなんて、お前以外にいないんだもの」
イリヤ「セイバーなんて後でどうとでもするわ。お前を確実に殺した後でね」
192 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 21:47:22.27 ID:9OjUoUeX0
とら「けけけ」
イリヤ「何よ……。何がおかしいのよ……」
とら「笑わせるぜ。わしをここに閉じ込めたら、おのれらは勝てるのかよ?」
イリヤ「……っ」
とら「この、わしによ!!」
イリヤ「バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
イリヤ「カヅチ!!」
華鎚「……!!」
華鎚「……!!」
とら「けけっ、来いよ。木っ端微塵にしてやるから……」
とら「やーっと、楽しめそうだぜ!!!!」
193 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 22:05:23.68 ID:9OjUoUeX0
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら「やりやがるな!! 退屈しねえや!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら「しかしよォ、おめえは正気のほうがつえーんだろうな」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら「残念だぜ!!」
194 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 22:09:54.15 ID:9OjUoUeX0
・アインツベルンの森
凛「くっ、令呪が、熱い……」
うしお「遠坂先輩!?」
セイバー「まさか、トラが……」
凛「とらはそう簡単にやられるようなヤツじゃないわ」
凛「そうでしょ、蒼月君?」
うしお「あぁ……!!」
195 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 22:18:46.83 ID:9OjUoUeX0
・大広間
イリヤ「なんで……なんで死なないのよ……」
イリヤ「結界に縛られて、身動き一つ出来ずにバーサーカーに攻撃されてるのに……」
とら「けけっ」
イリヤ「……コイツどこかおかしいわ。油断なく躊躇いなく、殺しなさい!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら「くくっ」
イリヤ「まさか、バーサーカーと同じ宝具を……」
とら「宝具だァ? くく、はーっはっはっはっ!!」
イリヤ「なっ!?」
とら「死なねーんだよ。それが妖(バケモノ)!!!!」
196 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 22:31:25.51 ID:9OjUoUeX0
イリヤ「妖怪のサーヴァント、ここまでなんて……」
とら「…………」
イリヤ「手を抜いたワケじゃないでしょうね、バーサーカー」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
イリヤ「カヅチ。そのまま結界でコイツを捕まえてなさい」
華鎚「…………」
華鎚「…………」
イリヤ「マスターのリンさえ殺せばコイツだって死ぬはず……」
イリヤ「早く傷を治しなさい。今すぐリンたちを殺しに行くわよ」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら(……ちっ、潮時か……)
197 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/03(土) 22:52:07.08 ID:9OjUoUeX0
とら(力が入らねえ……)
とら(存在を維持する力ぐらいしか、わしの中にりんの魔力は残ってねえか……)
とら(……でもまぁ、時間は稼いだか……)
とら(この森から脱出さえ出来れば、りん、おめえなら何とか出来るだろ)
とら(わしが消えても剣使いと再契約すりゃ、あのガキどもにも負けねえだろうしな)
とら(ここで、おしめえ、か……)
とら(聖杯戦争の残りのヤツらがどんな敵か知らねえが、おまえならやっつけられる……)
とら(そうだよなァ?)
とら(うしお……)
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/04(日) 02:11:27.14 ID:AgGch6qjO
思い出したのか!
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/04(日) 03:35:58.86 ID:LJ8Rs8SU0
熱い
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/12/04(日) 18:45:59.52 ID:C8Vjpr8/O
乙ー
201 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 13:32:28.43 ID:lkCiBrHG0
【第十五話 追撃の交差『十二の試練』 】
202 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 13:37:08.83 ID:lkCiBrHG0
・アインツベルンの森
セイバー「ウシオ、リン、止まってください」
うしお「セイバー? どうしたんだ?」
セイバー「二人とも隠れて。あれを」
リズ「…………」
セラ「…………」
うしお「あの二人は……!!」
凛「知ってるの蒼月君?」
うしお「あぁ、イリヤの仲間さ。ちょっと戦ったけどよ、かなり強いぜ」
凛「そう……。向こうも簡単には逃がしてくれないか……」
セイバー「強行突破しますか?」
凛「いえ、まだここはアインツベルンの森よ。どんな仕掛けや罠があるか分からないわ」
うしお「もう少しで国道に出るのに……。でも遠坂先輩、どうするんだい?」
凛「そうね。遠回りになるけどアレを使いましょうか」
203 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 13:47:56.66 ID:lkCiBrHG0
・廃墟
うしお「ここは……?」
凛「私たちが来るときはとらの背中に乗って来たんだけど、そのときに上空から見つけたのよ」
うしお「そうか。上から見れば森に何があるか分かるもんね」
セイバー「そのときのトラの背中はモフモフでとても気持ちよく」
うしお「セ、セイバー?」
セイバー「あっ、いえ、何でもありません」
凛「とにかく、陽も落ちて暗くなってきたわ」
うしお「ホントだ。もう外は暗いや」
凛「夜の森は危険よ。この廃墟で敵をやり過ごしましょ」
セイバー「それには賛成です。夜は闇討ちの可能性もある、そうしましょう」
うしお「おーし、分かったぜ」
204 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 14:00:30.66 ID:lkCiBrHG0
ぐぅ〜〜
凛「ちょっと蒼月君、さすがに緊張感なさ過ぎるんじゃない?」
うしお「オ、オレじゃねえよーーっ!!」
セイバー「……すみません、私です」
凛「あ、セ、セイバーだったんだ……」
セイバー「何か食べる物があればいいのですが」
うしお「食い物かァ……。あっ、これがあったんだ!!」
がさごそ、ころん
凛「……それは?」
うしお「遠野で妖怪の長から貰った『減らないオムスビ』さ。食べてもなくならないんだ」
凛「減らないって、どういうことよ……」
セイバー「確かに、もぐもぐ、これは凄い。食べると、もぐもぐ、既に次のモノが用意してある」
うしお「セイバー、ゆっくり食っても大丈夫さ」
凛「……蒼月君。これがとんでもないモノだって、分かってる?」
うしお「えっ? あぁもちろんさ。コヅカイがピンチのときは助かるんだぜ?」
うしお「今月も金欠でさ、これを持ち歩いて腹が減ったときに食うつもりだったんだ」
うしお「持っててよかったぜ」
凛「…………」
凛「はぁ……」
凛「協会の奴らが知ったら『魔法の数』が変わってるところだわ」
205 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 14:10:23.01 ID:lkCiBrHG0
うしお「この建物って誰かのアトリエだったのかな……?」
凛「えっ? 蒼月君。それは分からないけど、どうして?」
うしお「いや、地面に画材道具が散らばってるから、そう思っただけさ」
凛「言われてみれば確かにそうね。まぁ、この荒れ具合から何年も前でしょうけど」
セイバー「ウシオは自身も絵を描くので気になったのでしょう」
うしお「あぁ、ってセイバーなんでオレが絵を描くこと知ってんだ!?」
セイバー「知ってるもなにも、ウシオの部屋は絵を描く道具で溢れているではないですか」
うしお「あ、そういやそうか」
凛「それに居間には描きかけの絵だって置いてあるじゃない」
凛「えっと、なんだっけ、溶けかけた虎?」
うしお「ありゃ藤村先生の肖像だよっ!!」
206 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 14:19:35.82 ID:lkCiBrHG0
うしお「あーあ、誰もオレの芸術的センスを分かってくれねーんだもんなァ」
うしお「あ、そうだ!!」
うしお「いつかセイバーを描かせてくれよ!!」
セイバー「私を、ですか……?」
凛「蒼月君。セイバーは英霊なのよ? この意味忘れてない?」
うしお「分かってるよ遠坂先輩。セイバーは有名な英雄だってことだろ?」
うしお「きっとスゲェ画家たちが、もう描いてるだろうさ」
セイバー「確かに、全く経験がないワケではないですが……」
うしお「それでも描きたいんだセイバー、頼むよ!!」
凛「ふふ、絵のことになると夢中ね。蒼月君」
うしお「あったりめえよ!!」
うしお「この聖杯戦争が終わったあとでもいいからさ。セイバーを描かせてくれよ!!」
セイバー「……聖杯戦争が、終わったあと……。いえ、それは……」
うしお「オレがセイバーをモデルにするなんて、つけあがってるのは分かってる」
うしお「でもよ、あの日、蔵の地下で出会ったときにも思ったんだ」
うしお「笑ってるセイバーを、描いてみたいって!!」
セイバー「ウシオ……」
207 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 14:25:26.27 ID:lkCiBrHG0
凛「蒼月君。まさかとは思うけど……」
凛「セイバーを描きたいって……。ヌ、ヌヌ、ヌードじゃないわよね!?」
うしお「な、な、なに言ってるんだ遠坂先輩!?」
うしお「んなワケないだろォ!?」
セイバー「……分かりました、ウシオ」
セイバー「聖杯戦争で勝利に導くのがサーヴァントの務め」
セイバー「約束しましょう。必ずマスターには絵を描いてもらいます」
うしお「セイバー……。あぁ、頼んだぜ」
208 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 14:46:21.47 ID:lkCiBrHG0
うしお「……ん、いけね寝ちまった」
セイバー「ウシオ、起きましたか。身体は大丈夫ですか?」
うしお「あぁ大丈夫だぜ。おっ、もう外は明るくなりはじめてるんだな」
凛「蒼月君、おはよう」
うしお「おはようって遠坂先輩、もしかして全く寝てないのかい?」
凛「セイバーに見張ってもらって私も少しは仮眠をとったわよ」
うしお「そうか。よーし、それじゃ」
凛「待って蒼月君。落ち着いて聞いてね」
うしお「えっ?」
凛「今この付近でイリヤスフィールとバーサーカーが私たちを捜索してるわ」
うしお「そんな!? それじゃ、とらは……!!」
凛「大丈夫よ。私ととらの令呪の繋がりは切れてない。多分、城で華鎚の結界に捕まってるんだわ」
凛「あの馬鹿、大口を叩いたわりにはまんまとイリヤスフィールに捕まったのよ」
209 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 14:53:27.77 ID:lkCiBrHG0
うしお「とらが捕まった、か。なんとかしねえと……」
セイバー「しかし、これは好機かもしれません」
うしお「好機? どういうことだい?」
セイバー「トラと戦い終わった直後のバーサーカーです」
セイバー「あのトラのことですから、必ず相手には痛手を負わせているでしょう」
凛「そしてイリヤスフィールは、とら捕縛のためにかなりの魔力と多数の華鎚を使ってるはずだわ」
うしお「そうか、今ならオレたちだけでもバーサーカーを倒せる……!?」
凛「そういうこと」
セイバー「はじめからトラの『狙い』はこれだったのかもしれませんね」
凛「どうだか。アイツのことだから本当にバーサーカーと『タイマン』やりたかっただけでしょ?」
うしお「はは、確かに」
セイバー「ですがこの好機は逃せません。ウシオ、私たちもバーサーカーと……」
うしお「あぁ、タイマンさ!!」
210 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 15:01:54.85 ID:lkCiBrHG0
凛「作戦はこうよ」
凛「蒼月君とセイバーで、バーサーカーの注意を引き付けてもらうわ」
凛「そこに私が背後からの奇襲。とっておきの宝石魔術で終わらせる。どう?」
セイバー「いいと思います。単純ではありますが、それ故に効果的です」
うしお「よーし、分かったぜ!!」
凛(本当のとっておきは、とらの身につけてる宝石だけど。今は手持ちの宝石でやるしかないわね)
うしお「それじゃ行こうか」
凛「ちょっと待って。蒼月君、これを」
うしお「これは、槍……」
凛「私が魔術で作った槍よ。あのバーサーカーと対峙するのに得物がないのは困るでしょ?」
凛「一応、蒼月君の『あの槍』に似せて作ったんだけど、ちゃんと使えそうかしら……」
うしお「あぁもちろんさ。この槍があるならオレは負けないぜ。ありがとう遠坂先輩」
凛「も、もう。でも当然それはあの槍と違って何の力もない槍だから、油断しないでね」
うしお「分かったよ。よーし、それじゃ行こう!!」
211 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 15:20:14.42 ID:lkCiBrHG0
・アインツベルンの森
イリヤ「見〜つけた♪」
うしお「イリヤ……」
セイバー「…………」
イリヤ「……意外ね。最後まで逃げ回ると思った。それにウシオ、リンはどうしたの?」
うしお「あっ、ありゃ、えーと、遠坂先輩は、森で、はぐれた、かな?」
凛(……蒼月君、ウソがヘタすぎるわ……)
イリヤ「……そう。ならリンはあとで探して殺してやるわ」
うしお「待ってくれよイリヤ。この戦いはどうしても止めることは出来ねえのか?」
イリヤ「出来ないよ。お爺様の言いつけだもの」
うしお「そうか。やっぱりそのお爺様ってヤツに言われてやってんだな」
イリヤ「そうよ。バーサーカーがいる限り、私はアインツベルンのマスターなの」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「アインツベルン……」
イリヤ「他のマスターを全員殺して、聖杯を持ち帰らないといけないんだから……!!」
212 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 15:25:31.69 ID:lkCiBrHG0
うしお「オレはそのアインツベルンも聖杯もよく知らねえさ。でもよ、こんな殺し合いはいけねえよ」
うしお「あの公園で美味そうにクリームパンを食ってたイリヤが、好きでこんなことしてるとも思えねえ」
うしお「もしよ、バーサーカーを倒してイリヤをマスターからやめさせれば、少しはマシになるなら」
うしお「オレは戦うさ。何度だってイリヤのために立つ。立って戦う!!」
イリヤ「な、何を言って……。私のため……?」
イリヤ「そう言って私を騙して、バーサーカーを倒して聖杯を手に入れるつもり?」
イリヤ「もういい、いらない。ウシオもバルと同じだわ」
イリヤ「私を救ってくれるのはアインツベルンとバーサーカーだけ!!」
イリヤ「遊びはこれまで。みんな殺しちゃえ!! バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「来る……!!」
213 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 15:36:19.23 ID:lkCiBrHG0
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「バーサーカー、東の妖の一鬼なみの巨体にこのスピード……!!」
うしお「これなら、どうだっ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「だ、駄目か……。オレの槍の攻撃ははじかれる……!!」
イリヤ「無駄よ。普通の人間の攻撃なんてバーサーカーに通じるはずないもの」
イリヤ「やっちゃえ、バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「ぐはっ……」
セイバー「ウシオ!!」
イリヤ「これで終わりだよ、お兄ちゃん!!」
凛「終わるのはそっちよ、イリヤスフィール!!」
214 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 15:42:07.99 ID:lkCiBrHG0
イリヤ「リン……!?」
うしお「遠坂先輩……!!」
凛「獲ったァ!!」
セイバー「見事ですリン。背後から魔術は完全に入りました、今のは防ぎようがない」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
凛「ウ、ウソ……。確かに、首を吹き飛ばしたはずなのに……!?」
イリヤ「そういう作戦だったんだ。見直したわリン。まさか一度だけでもバーサーカーを殺すなんてね」
うしお「どうなってんだ、バーサーカーは倒したんじゃ……!?」
イリヤ「残念ねウシオ。教えてあげる、ソイツは『十二回』殺されないと死ねない身体なのよ」
セイバー「まさか、バーサーカーの宝具は……!!」
凛「命のストック……『蘇生魔術の重ね掛け』……!?」
うしお「そ、そんな……!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
凛「がはっ……」
イリヤ「確かに終わるのはリンのほうが先だったようね」
イリヤ「バーサーカー!! ソイツ潰しちゃえーーっ!!」
215 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 15:51:12.48 ID:lkCiBrHG0
とら「……ここは、りんの家か。りんと初めて会った場所かよ」
凛「とらァ!!」
とら「りん!?」
凛「アンタこんなところで何してんのよっ!!」
とら「おめえこそ何しに来たんだよ!! 今おめえは逃げるので忙しーいんだろ!?」
凛「ええ、ちょうど今バーサーカーに握り潰されるところよ」
とら「なにやってんだよ!! あのクソ『うしお』なら何とか出来るだろ!!」
凛「とら、記憶が戻ったんだ」
とら「ああ? あぁ、それがどうかしたかよ」
凛「よかった、本当に」
とら「ちっ、なにがでえい。りん、おめえの単純な魔力不足のせいなんだぜ?」
凛「アンタみたいな規格外の英霊を召還する魔力なんて誰も持ってないわよっ!!」
216 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 16:08:53.91 ID:lkCiBrHG0
凛「一つだけ、分からないことがあるわ」
とら「なんだよ?」
凛「私はセイバーを召喚するつもりだった。色々うっかりしてて失敗したけどね」
凛「それで召喚されたのはアンタだった。それだけは不可思議よ」
とら「そんなことかよ。わしはこの土地に五百年はりつけになってた。あの忌々しい槍にな」
とら「この土地に縁のある英霊ってことだ。他のヤツよりは召喚しやすいだろうぜ」
凛「それはそうかもしれないけど、本当にそれだけかしら?」
とら「他になにがあるってんだよ」
凛「マスターが召喚出来るサーヴァントは、そのマスターに似るっていうわ」
凛「私とアンタ、どこか似てるのかもね」
とら「くだらん。わしはそんなもん信じんぞ」
凛「そう? 気に入った相手に素直になれないところとか似てると思うけど」
とら「ふん。おめえにしては阿呆なこと言うよな、りん」
217 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2016/12/23(金) 16:30:01.99 ID:lkCiBrHG0
とら「話は終わりかよ。りん、わしはもう店じまいだ」
とら「なァんで最期の最期で記憶が完全に戻ったのか知らねえが、もうしめえよ」
凛「は? とら、アンタなに言ってんのよ」
とら「もうわしの中におめえの魔力は残っちゃいねーよ。体が動きゃしねーんだ」
凛「はぁ……。本当にとっておきの宝石を使うことになるとはねぇ」
とら「おい聞いとんのか、りん!!」
凛「アンタの耳につけてるそれ」
とら「ああ? おい、なんだこれ、いつのまにこんなもんつけやがった!!」
凛「そのペンダントは『父さんの形見』で、私の一番とっておきの宝石よ」
とら「まさかおめえ、それをわしに……」
凛「とら、アンタは『私の』サーヴァントなのよ」
凛「だから私が危なくなったときに発動するように仕掛けておいたの」
凛「だって、アンタは私を聖杯戦争で勝たせてくれるんでしょ?」
凛「約束、守ってもらうわよ」
とら「……!?」
とら「傷が、治って……」
凛(……早く助けに来なさいよね、とら……)
とら「へっ……。約束は、守るさ」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/12/24(土) 11:04:26.27 ID:z4C7RcSxO
乙
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/24(土) 11:42:28.59 ID:nWDQ8B55O
原作再現熱い
乙
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/12/24(土) 13:05:08.03 ID:NeIoaEYho
乙ー
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/20(金) 00:55:27.03 ID:JoWnU6r0O
まだか
222 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 20:18:41.94 ID:gNeUeXmH0
【第十六話】
223 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 20:24:35.45 ID:gNeUeXmH0
凛「あ……ぁ……っ……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「リン!! 今助けます!!」
リズ「イリヤの、邪魔、させない」
セラ「ここは通しません」
セイバー「お前たち……!!」
うしお「遠坂先輩!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「離せよォ!! 遠坂先輩を離せええーーっ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「ぐはっ……。あ、あぁ、槍が砕けて……そんな……」
イリヤ「バーサーカー!! 早くやりなさい!!」
ドオオオオン!!!!
セイバー「!? 今の音は……」
イリヤ「な、なに……? 城のほうから……?」
224 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 20:30:20.29 ID:gNeUeXmH0
キィィィィン
リズ「この、音……」
セラ「何かが近づいて……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
イリヤ「なに、なんなの……?」
「雄ぉ鳴ぉ雄ぉ鳴ぉ雄ぉ鳴ぉ雄ぉ!!!!!!」
ドオオオオン!!!!
「まーったく、『わし』がいなきゃこのザマかよ」
うしお「と、とらァ!!」
とら「あいそがつきるぜ。いや、あいそなんざとっくにつかしてたか」
とら「忘れるぐらいによ」
225 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 20:37:17.28 ID:gNeUeXmH0
うしお「と、とら……まさか……」
とら「なにやってやがる、このうすらバカちびが」
うしお「!?」
とら「しけた面してんじゃねーぞ!!」
とら「うしお!!!!」
うしお「な、なんでぇ……」
うしお「おめえこそ、オレのこと忘れやがって……」
とら「ああ!? おめえのアホ面がおかしくて思い出しちまったよ!!」
うしお「なにをォ!!」
うしお「とらァ!!!!」
とら「タコが!! りんを助ける気ねーのか!?」
うしお「分かってらァ!!」
とら「ドジるなよ!! うしお!!」
うしお「こっちのセリフだい!! とら!!」
226 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 20:55:47.45 ID:gNeUeXmH0
イリヤ「う、うそよ……」
イリヤ「カヅチ四体の結界で縛っていたのに……。どうやって……」
うしお「バーサーカー!! こっちだ!! オレはこっちにいるぞ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら「前っから思ってたけど下手だよなァ、うしお」
うしお「悪かったな、とら!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「ウシオもトラも動きが違う……。これは……」
凛(……二体で最強。ほんと貴方たちって……)
とら「おらよォ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
とら「わしの『ますたー』は返してもらうぞ」
凛「かはっ、はぁ、はぁ……。お、遅いのよ、とらっ!!」
とら「へっ、その調子なら大丈夫そうだな。りん」
227 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 21:14:49.07 ID:gNeUeXmH0
イリヤ「ありえない。ありえないわ、こんなこと……」
イリヤ「もう、いい。もう知らないんだから……」
リズ「イリヤ……?」
イリヤ「どうなったって、もう知らない……!!」
イリヤ「カヅチ!!」
華鎚「……!!」華鎚「……!!」
華鎚「……!!」華鎚「……!!」
華鎚「……!!」華鎚「……!!」
とら「ちぃっ、まだこんなに華鎚どもがいやがったかよ!!」
うしお「とら!!」
リズ「それ駄目、イリヤ……」
セイバー「なに……?」
セラ「いけない、いけません!!」
セラ「森に配置していた全てのカヅチに同時に命令するなどと……」
セラ「ここは城の補助も何もない場所、そんなことをすれば……!!」
228 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 21:27:47.20 ID:gNeUeXmH0
イリヤ「ウシオ、リン。これで私の勝ちよ」
イリヤ「もう、完全に……貴方たちの、負、け……」ドサッ
うしお「イリヤ!?」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「バーサーカーが暴走を……!!」
うしお「これは、どうなってんだ!?」
凛「はぁ、はぁ……。魔力の限界、ね……」
うしお「えっ!? 遠坂先輩、それって」
凛「イリヤスフィールの魔力量が、華鎚に命令するために使った分量で限界だったのよ」
セイバー「しかし、こんな行き成り?」
凛「当然といえば当然よ。自分の使い魔でもない、ましてや『妖怪』を使役出来てたほうがおかしいのよ」
凛「そこはさすがのアインツベルンってとこね。腹立たしいけど」
凛「でもイリヤスフィールには、もうバーサーカーの理性を保つ魔力がないんだわ」
229 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 21:44:12.63 ID:gNeUeXmH0
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
リズ「バーサーカー、駄目……」
セラ「こんなこと、これでは……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
凛「どうにかするしかないわね……。とらは動ける?」
とら「ぐっ、駄目そうだ。華鎚のクソはあのガキの最後の命令を聞いてやがるのよ」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
イリヤ「…………」
うしお「!?」
うしお「まさか、バーサーカーはイリヤまで……!?」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「イリヤーーーーっ!!!!」
イリヤ「…………」
うしお「はぁはぁ、間に合った……。でも、このままじゃ……」
230 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 21:50:40.31 ID:gNeUeXmH0
凛「とらは結界で動けないし、どうしたら……」
とら「いや、わしに出来ることはまだあるぜ。りん、準備しな」
凛「えっ?」
とら「おいうしお!! よく聞きな!!」
うしお「とらっ!?」
とら「わしにもな、剣使いと同じように『宝具』があるのよ」
うしお「宝具……とらに……?」
とら「それを使えば、おめえは昔みたいに戦えるはずだぜ」
うしお「それって、まさか……」
とら「あーあ、忌々しい」
とら「なぁんでこんなモンが、わしの宝具か」
うしお「あ、あぁ…………」
とら「この 『 獣 の 槍 』 がよォ」
231 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/01/24(火) 21:52:28.24 ID:gNeUeXmH0
【第十六話 宝具『獣の槍』 】
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/24(火) 22:59:06.37 ID:2nOGj1GKo
(また荒れそうなネタを・・・)
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 00:43:39.37 ID:kc8ghiqJo
バーサーカーがイリヤを攻撃するはずがない!!!!111
みたいなのが沸くから?
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/01/25(水) 01:48:23.57 ID:Xwp/NVoOO
乙ー
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 02:27:13.60 ID:/uqT1MidO
うおーなんだこの胸熱展開
獣の槍最高
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 09:07:05.74 ID:COHLdS+Ro
>>233
そんな感じ
237 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 20:30:19.91 ID:IImsifJB0
うしお「行っくぞォーーっ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
凛「これがとらの宝具、使用者の魂を糧にあらゆる妖怪を討ち滅ぼす退魔の霊槍……」
凛「『獣の槍』!!!!」
うしお「どうだァーー!!」
セイバー「ウシオの髪が伸びて……。いや、それよりあの身体能力は……!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「す、凄い……。あのバーサーカーを圧倒している……!?」
凛「アンタの宝具、本来はマスターのステータスをランクアップするモノなんでしょうね」
とら「その通りよ。りん、おめえも使えばあれぐらい動けるだろうぜ」
凛「それは無理でしょうね」
とら「あ?」
うしお「おおおおおおおお!!!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
凛「あんなこと、私には出来ないもの」
とら「へっ……。あの槍を使ってるアイツは、妖(バケモノ)よ」
238 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 20:40:11.97 ID:IImsifJB0
『……我らは心の内に在る……』
『……耳を澄ませば聞こえます。彼の声が……』
うしお(あぁ分かってるさ。ギリョウさん、ジエメイさん)
うしお「聞こえたよバーサーカー。この『獣の槍』を通してお前の声が!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(……少年よ。私を倒してくれ……)
リズ「バーサーカーの、声……」
セラ「何を言って……」
凛「獣の槍は意志ある妖器物……。その獣の槍がバーサーカーの心を読み取った……!?」
とら「けけけ」
セイバー「まさか、それがトラの宝具の『真の能力』……?」
とら「さーて、どうだかね」
239 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 20:49:26.73 ID:IImsifJB0
うしお「バーサーカー!! バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(……無駄だ。最早呼び掛けてどうにかなる段階ではない)
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(あの少女が膨大な魔力で『狂化』を抑えてくれていたが、それが完全に解けている)
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(逆に、使い魔に送り続けていた魔力が行き場をなくして私の『狂化』に流れているようだ)
うしお「そんな…………。どうにかならねえのか!?」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(……頼む。私を倒してくれ……)
うしお「……他に方法はねえのかよ。バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(……時間がない。このまま『狂化』が進めば少女の魔力、いや、生命力を全て吸い取ってしまう)
うしお「バカヤロォ……」
うしお「そんなこと言われたらオレは……オレはよォ!!」
240 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 21:02:32.45 ID:IImsifJB0
リズ「バーサーカーと、会話してる」
セラ「分かるのですか?」
リズ「分からない。でも、あの槍を見てたら」
セラ「そんなはずは……。ですが、私も……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「バーサーカー、すまねぇ…………」
うしお「これで…………終わりだァーーっ!!」ガクッ
うしお「なっ!? 槍が急に重くなった!?」
セイバー「ウシオ、どうしたのです……!!」
241 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 21:12:23.84 ID:IImsifJB0
とら「どうなっとる!? わしの宝具の制限時間はまだだぞ!!」
凛「何か理由が……」
とら「力が足りねえのか!? りん魔力だ!! 魔力をもっとわしに送れ!!」
凛「やってるわよっ、でも私の魔力だって限界なのよ……!?」
とら「ちぃっ、準備運動なしの宝具発動はしくじったかよ……!!」
凛「不味いわね……。もう宝石も残ってないわ……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「ぐっ、赤い布をグルグルに巻かれたときみてえだ……」
ガシッ
リズ「足りないなら、魔力、送る」
セラ「私たちの中の魔力など微々たるモノですが、多少は軽くなるはずです」
うしお「お前ら、なんで……」
リズ「イリヤと、バーサーカーのため。バーサーカー、倒されること、望んでる」
セラ「このままではお嬢さまが危険なのは確かです。お嬢さまのためなら私たちは……」
うしお「……よおおおおし!!」
242 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 21:22:28.56 ID:IImsifJB0
セイバー「……そういえばトラ、私は『雷剣』の借りを返していませんでしたね」
とら「ああ!? おめえ何の話だ、今はそれどころじゃ」
セイバー「貴方と私の宝具の『相性』は悪くないという話です」
とら「だからそれが……。へっ……なーるほど。その手が、あったかい!!」
リズ「そろそろ限界、でも」
セラ「ええ、まだまだこれからです……!!」
うしお「くっそォ、持ち上げるだけで精一杯なんてよォ……!!」
セイバー「ウシオ!!」ガシッ
うしお「セ、セイバー!?」
セイバー「これがトラの宝具『獣の槍』……。ウシオ、私に任せて下さい」
うしお「セイバー、何をする気なんだ……!?」
セイバー「風王結界(インビジブル・エア)の応用技を使います」
うしお「えっ!?」
243 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 21:29:04.49 ID:IImsifJB0
うしお「それってセイバーの剣を視えなくしてるってやつじゃ……」
セイバー「はい、そうです。ウシオ、今この槍は持ち上げて戦うことが出来ないのですよね?」
うしお「あ、あぁ、その通りだぜセイバー」
セイバー「ならば持って戦う必要などありません。この場から風の力で槍を撃ち出します」
リズ「え」
セラ「え」
うしお「ええーーっ!?」
凛「ほ、本気なのよね……!?」
とら「りん!! わしらは宝具の維持に集中すんだよ!!」
凛「分かってるわよっ」
とら「へっ、相変わらず剣使いは面白えことを考えやがるぜ」
244 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 21:47:34.95 ID:IImsifJB0
セイバー「ウシオ、この作戦は私たちがミスをすれば終わりです」
うしお「ああ」
セイバー「目標への狙い。少しでも外せばバーサーカーは倒せず、この槍を失います」
リズ「凄い、作戦」
セラ「む、無謀すぎます。私たちの中で唯一バーサーカーに有効な槍をそんなことに……」
セイバー「では他に違う作戦があると?」
セラ「それは……」
うしお「いや、その方法でやろう」
うしお「もし違う作戦があっても時間がねえ。時間をかけただけイリヤの魔力が吸われちまう」
セイバー「はい、その通りです」
リズ「二人は、もしかして、イリヤのために」
セラ「こんな無茶なことをしようというのですか……」
245 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 22:00:01.53 ID:IImsifJB0
セイバー「……落ち着いていますね、ウシオ」
うしお「えっ、そうかい?」
セイバー「はい。私は貴方の年齢の倍はする騎士を多く知っていますが、その者たちと同じ『場慣れ』を感じます」
うしお「そ、そんなことはねえと思うけどよ」
うしお「アイツとの旅でこういう一か八かなんて場面は何度もあった、ただそれだけさ」
セイバー「なるほど。理解出来ました」
うしお「でもオレが冷静な理由は違うぜ」
セイバー「……と、言うと……?」
うしお「セイバーが『任せてくれ』って言ったんだぜ。それなら」
うしお「なにも怖かねえさ」
セイバー「貴方は……全く……。ええ、もちろんです」
うしお「なら、やろうぜ。セイバー!!」
セイバー「はい、マスター!!」
246 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 22:23:52.69 ID:IImsifJB0
とら「宝具の発動時間の限界も近えな……。正真正銘一発勝負よォ……!!」
凛「バーサーカーが立ち上がるわよ!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セラ「まだ、なのですか……。もう私たちも……」
リズ「限界かも」
うしお「そろそろオレの腕も……。セイバー!!」
セイバー「まだです。まだ、もう少し……!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「そうだ、それでいいバーサーカー」
セイバー「貴方の『狂化』は強い、いや、強まっているからこそか」
セイバー「本能的に、この場にある自身を脅かす最大の得物を標的にする」
セイバー「だがそれはこちらにとっても、好都合だ」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
うしお「バーサーカーが、来る…………!!!!」
247 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 22:34:54.28 ID:IImsifJB0
セイバー「ウシオ!!」
うしお「ああ……!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
セイバー「やああああ!!!!」
凛「セイバーの髪が、伸びていく……」
とら「へっ、剣使いが槍を使うかよ」
リズ「なに、これ。今までこんなこと、なかった」
セラ「バーサーカーの感情が、流れてくる……」
バーサーカー「■■■■■■■■■■」
(…………今だ…………!!!!)
セイバー「風よ、荒れ狂え……!!」
セイバー「はああああ!!!!」
うしお「うおおおお!!!!」
うしお「いっけええぇぇーーーー!!!!」
獣槍『風王鉄槌』!!!!
(スピアオブザビースト・ストライクエア)
248 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 23:11:23.64 ID:IImsifJB0
バーサーカー「……これが、お前の宝具か。雷獣よ」
とら「認めたくはねえがな」
バーサーカー「珍しいものだな、自身の宝具を好まない英霊か」
とら「どんな宝具を渡されても、わしはやりたいようにやるだけよ。だが」
とら「『憎しみはなんにも実らせねえ』。それが『わしの宝具』だからよ」
バーサーカー「そういうことか雷獣よ。前言を撤回しよう」
とら「けっ」
バーサーカー「見事だった騎士王」
セイバー「いえ、私だけの力ではありません」
バーサーカー「一つ尋ねたいことがある」
セイバー「何でしょうバーサーカー」
バーサーカー「暴走した我を狙うより、倒れたマスターを狙うほうが効率的だったはずだ、何故だ」
セイバー「それは……」
セイバー(あんなことがあっても、出来るはずがない。彼女は、アイリスフィールの……)
セイバー「……そんなことはウシオが許しません」
セイバー「マスターの意思を尊重するのもサーヴァントの務めです」
バーサーカー「なるほど、これが騎士王か」
249 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/02/06(月) 23:15:36.18 ID:IImsifJB0
バーサーカー「少年よ。我の声に耳を傾けてくれたこと、感謝する」
うしお「バーサーカー、すまねえ……」
バーサーカー「謝ることはない。これは我が望んだことだ」
うしお「でもよ……!!」
バーサーカー「我を止めるには、この方法しかなかったのだ」
うしお「バーサーカー……」
サァァァァ
バーサーカー「時間か。少年よ、もしバルトアンデルスに会ったら伝えてくれないか」
うしお「バルに……?」
バーサーカー「約束は果たしたと。それとお前の言うとおり、この国に来てよかった、と」
うしお「バーサーカー……。あぁ、分かったぜ」
イリヤ「んん…………バーサー、カー…………?」
バーサーカー「それから、その少女を、頼む……」
うしお「あったりまえだろ!!」
バーサーカー「お前は……優しいのだな……。少女と、同じ、だ……」
うしお「バーサーカー……」
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/07(火) 01:23:56.77 ID:qOIKW7QXO
泣かしにきおる…
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/02/07(火) 11:12:18.20 ID:VGb2SuA5O
乙ー
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/02/07(火) 12:09:18.60 ID:XCH0dxqtO
乙
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/02/07(火) 23:10:07.25 ID:MVGcKdy+o
下げ
254 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 14:45:39.82 ID:mB8ADYa/0
【第十七話 魔女の宴への招待状 】
255 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 14:51:14.22 ID:mB8ADYa/0
・潮の部屋
麻子「うしおーーっ!! もう昼よ起きんかーーい!!」
うしお「う、ん……麻子、か……?」
麻子「学校が警察の調査で休校中だからっていいかげんに……ん?」
ゴソゴソ
麻子「…………」
ガバッ
イリヤ「うーん、うるさいなぁ」
麻子「なっ……」
リズ「おはよ」
セラ「おはようございます」
麻子「え……えぇぇーーっ!?」
256 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 14:59:49.89 ID:mB8ADYa/0
・蒼月家居間
麻子「うしお!! ちゃんと説明しなさいよ!!」
うしお「い、いや、だからよォ」
セイバー「アサコ。気持ちは分かりますが落ち着いて下さい」
麻子「セイバーさんは納得してるんですか!?」
セイバー「……確かにウシオはどうかしています。イリヤスフィールを保護するなどと」
うしお「そんなにおかしいかい?」
セイバー「はい、聖杯戦争を理解していない思われても仕方ないでしょう」
うしお「そ、そこまでかよ。俺だって分かってるさ」
うしお「イリヤが俺や遠坂先輩の令呪を奪ってサーヴァントと再契約するかもって話だろ?」
セイバー「その通りです」
イリヤ「再契約なんてしないわ。私はバーサーカー以外と契約なんてする気ないもの」
セイバー「その言葉を、信じろと?」
イリヤ「別にセイバーに信じてもらえなくてもいいわ」
うしお「イリヤは俺たちを襲ったりしないさ。それをやろうと思えば今朝だって出来たはずだしな」
セイバー「それは……」
うしお「ずっと隣の部屋で待機してたセイバーもそれは知ってるだろ?」
セイバー「……気付いていましたか」
うしお「屋根にとらもいたしな。そっちは遠坂先輩の指示だろうけど」
257 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 15:06:21.67 ID:mB8ADYa/0
麻子「セイバーさん、私が言ってるのはイリヤちゃんのことじゃないわ」
イリヤ「イ、イリヤちゃん……」
セイバー「アサコ、違うのですか?」
麻子「私が心配してるのはセラさんとリズさんよ!!」
リズ「わたし、たち?」
セラ「どういうことでしょうか?」
麻子(セイバーさんと遠坂先輩と桜先輩で既にスゴイコトになってるのに……)
麻子(これ以上うしおの周りに美人を増やすわけには……なんとかしないと……)
麻子「その、コイツは人使い荒くて大変だからやめたほうが、なんて……」
麻子「た、例えば絵の練習に協力してくれ、とか」
リズ「それぐらいなら」
セラ「気にはしませんが」
麻子「い、いい、いやらしいポーズを要求したり……!!」
うしお「な、なに言ってんだ麻子っ!?」
リズ「うわー」
セラ「それは……」
イリヤ「お兄ちゃん……」
うしお「そ、そんなことするかい!! オレはゲージュツを志す男だぞ!!」
258 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 15:13:11.03 ID:mB8ADYa/0
凛「ふぁ、おはよう。ごめん桜、牛乳飲ませて」
桜「遠坂先輩、もうお昼ですよ……」
凛「いいじゃない。一番の強敵を倒したんだからだらけもするわよ」
凛「……それで、これはなんの騒ぎ?」
とら「おめえならこうなることは分かってただろうがよ」
とら「それで、りん、あれはいいのかよ?」
凛「いいワケはないのよねぇ。あのアインツベルンだし、何回も殺されかけてるし」
とら「だったら」
凛「待って。蒼月君に考えがあるらしいからそれを聞きましょ」
とら「けっ、あの馬鹿うしおに考えなんてあるのかね」
凛「それより、アンタはどうしたのよ……?」
とら「ああ? こいつか?」
真由子「とらちゃんだぁ、本当に本当のとらちゃんだぁ」
とら「おいマユコ!! おめえいい加減離れろ!!」
真由子「あはっ……。今とらちゃんがマユコって言った……」
真由子「もう一回とらちゃん、もう一回言ってっ!!」
とら「……りん、おめえはわしのますたーだろ。なんとかしろォ!!」
凛「朝からずっと?」
桜「はい、まぁ」
259 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 15:19:43.60 ID:mB8ADYa/0
凛「蒼月君がイリヤスフィールを保護したいっていうのは分かったわ」
凛「本来そういうのは教会の監督役の仕事なんだけど、まぁいいでしょ」
うしお「あぁ遠坂先輩。イリヤたちも次に行く当てがないっていうしよ」
イリヤ「お爺様の言いつけを破ったんだもの。行く場所なんてどこにもないわ」
リズ「あとは、処理されるだけ」
麻子「処理って、そんな……」
とら「あのでけえ城に戻りゃいいじゃねえかよ」
イリヤ「聖杯戦争に負けた私たちが? お城に戻った瞬間ドッカーン大爆発よ」
真由子「じょ、冗談、だよね……?」
セラ「いえ、可能性がゼロとは言い切れませんね」
凛「とりあえず分かったわ。それじゃ次は蒼月君の考えを聞きましょ」
うしお「オレは、イリヤたちとも協力出来ないかと思ってよ」
イリヤ「えっ……?」
うしお「この聖杯戦争を終わらせるためにオレは戦ってるんだ」
うしお「イリヤはすげえ魔力を持ってる、リズさんもセラさんも強いよな」
うしお「そんな強い人たちと仲良くしたらよ、こんな戦争すぐに終わりに出来るぜ」
リズ「強い……?」
セラ「私たちが……強い……」
260 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 15:29:42.97 ID:mB8ADYa/0
キリオ「うしお兄ちゃん、行ってきたよ」
うしお「お、すまねえなキリオ。こんなお使いみたいなこと頼んでよ」
キリオ「ううん、これは僕のことでもあるから」
真由子「キリオくん、今朝からどこに行ってたの?」
キリオ「ただいま真由子姉ちゃん。光覇明宗の総本山に行ってたんだ」
イリヤ「コウハ、メイシュウ……?」
キリオ「そう。僕はその光覇明宗で獣の槍伝承者候補の一人だったんだ」
キリオ「でも今はそこでホムンクルスの研究をしてる」
セラ「ホムンクルスの、研究……」
キリオ「今も『囁く者達の家』に残るホムンクルスのために何か出来ないかと思って」
キリオ「僕は『九印』に何も恩返し出来なかったから」
真由子「キリオくん…………」
キリオ「九印なら、合理的じゃない、とか言いそうだけどね」
真由子「ううん、九印くんもきっと喜ぶよ」
261 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 15:43:51.41 ID:mB8ADYa/0
うしお「イリヤたちには、キリオのその研究を手伝ってやってほしいんだ」
セラ「ホムンクルスの研究……。そういうことですか……」
セラ「お嬢様や我々を実験材料にすることで保護すると」
キリオ「ち、違……!!」
リズ「セラ、それ違う」
セラ「何が違いますか、お嬢様にそんなことをさせるぐらいなら私は死を選びます」
イリヤ「落ち着きなさい」
セラ「ですが……!!」
うしお「いや、セラさんのその話が聞けてよかったぜ。本当にイリヤが心配なんだな」
セラ「な……」
うしお「そんなセラさんたちだからこそ、歓迎してもらえると思うぜ!!」
凛「……なるほどね。だから光覇明宗か」
桜「遠坂先輩……?」
凛「キリオ君の研究を手伝うということは、光覇明宗に協力するということ」
凛「それはイリヤスフィールたちが光覇明宗の一員になるってことよ」
凛「ホムンクルスの研究って名目ならイリヤスフィールたちは適任だしね」
凛「そして、いくらアインツベルンでもこの国の組織『光覇明宗』に手出しは出来ない」
真由子「あっ……」
麻子「それなら……」
凛「考えたわね蒼月君」
262 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 15:48:44.73 ID:mB8ADYa/0
イリヤ「ウシオ……。私たちは、助かる、の……?」
イリヤ「もう、痛いことはないの? お爺様に殺されないの……?」
リズ「イリヤ…………」
セラ「お嬢様…………」
うしお「あぁ、オレたちがイリヤを守るさ」
うしお「どんなでっけえ目標があったって、どんなエライヤツにだろうが……」
うしお「使い捨てられていい奴なんざ、この世にゼッテェいねえんだ」
麻子「うしお……」
イリヤ「その、あの、なんて言えばいいか分からないわ……」
イリヤ「感謝を……言いたいのに……」
うしお「お礼ならいらねえさ。もし誰かに言いたいならキリオに言ってくれ」
うしお「光覇明宗にかけ合ってくれたのはキリオだからよ」
イリヤ「キ、リオ……?」
キリオ「えっ……」
イリヤ「キリオ、ありがとう」
キリオ「う、うん……」
真由子「あれキリオくん、顔が赤いよ?」
キリオ「そ、そんなことないよ真由子姉ちゃん」
263 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 16:16:08.91 ID:mB8ADYa/0
セラ「なぜ貴方は私たちにそこまでするのですか? 何か理由が?」
うしお「理由なんてねえさ。そうだなァ、バーサーカーに頼まれたからじゃダメかい?」
リズ「バーサーカー」
うしお「それにキリオの研究を手伝ってやってほしいってのは本当さ」
セラ「研究を……?」
うしお「その、囁く者達の家のときに知ったんだけどよ」
うしお「ホムンクルスは、短命なんだろ……?」
セラ「はい、そうです」
セイバー(……アイリスフィールも言っていた……。短い命だからこそと……)
うしお「もしキリオの研究が進んで、イリヤたちが少しでもうめーモンが食えたらいいなァってよ」
セラ「貴方は、本当にお嬢様のために……」
うしお「あっ、そうだ!!」
うしお「リズさんもセラさんもクリームパン食ったことあるかい!?」
リズ「え……」
セラ「いえ……」
うしお「それなら今度食ってみようぜ。イリヤもうめーって言ったんだ」
うしお「うめーんだぜー、クリームパン!!」
リズ「うん」
セラ「わ、分かりました」
264 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 16:20:36.51 ID:mB8ADYa/0
とら「へっ、見ねえあいだにモノを考えるようになったかよ」
うしお「もうオレもチューボーじゃなくコーコーセーだからな」
とら「けっーけけ!! おいりん聞いたか、馬鹿が調子に乗りおったぞ!!」
うしお「なにをーーっ!! とらァーー!!」
凛「ちょ、ちょっと、わかった、わかったから外でやってよっ」
キリオ「そうだ。うしお兄ちゃん、総本山に行ったときに少し気になることがあったんだ」
うしお「総本山で?」
キリオ「紫暮様に今回のアインツベルンの話をしたら……」
紫暮『大丈夫だキリオ。ずっと前から準備はしていた』
キリオ「そう言ってたんだ」
うしお「親父が準備? どういうことだ?」
キリオ「僕にも分からない」
うしお「うーん……?」
265 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 16:26:57.07 ID:mB8ADYa/0
セイバー「……ウシオ」
うしお「やっぱり、セイバーは納得出来ねえか」
セイバー「いえ、そうではありません」
セイバー「私からも、その……。感謝します、ウシオ」
うしお「えっ、なんでセイバーが礼を言うんだい?」
セイバー「それは……」
セイバー(アイリスフィールの代わりに? いや、私はそんな立場の者ではない)
セイバー(私は何を考えてるんだ……)
セイバー(前回の聖杯戦争の最後、聖杯を手に入れるあと一歩のところで聖杯は破壊された)
セイバー(あの『前回のマスター』の令呪で私が破壊した。そのとき、私は誓ったはずだ)
セイバー(次の聖杯戦争は騎士道も何もかも捨て、全てを排除して勝ち残ると)
セイバー(それなのに、どうして……)
セイバー(ウシオやトラたちに出会って、私のなかで何かが変わったというのか……)
セイバー(そんなはずは……)
うしお「セイバー?」
セイバー「なんでも、ありません」
266 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 16:40:40.85 ID:mB8ADYa/0
うしお「柳洞寺にキャスターがいて、マスターは柳洞寺に住んでる葛木先生……!?」
凛「ええ。私とイリヤスフィールの情報から言って、その可能性が高い」
イリヤ「ウシオたちに協力すると決めたんだから、情報を出し惜しむつもりはないわ」
うしお「イリヤ……。サンキューな」
うしお「でも、それでなんで柳洞寺にキャスターで葛木先生がマスターになるんだ?」
凛「説明するわ。蒼月君はちょっと前から起こってるガス漏れ事件は知ってる?」
うしお「あぁ知ってるぜ。よく厚池たちが話題にしてるよ」
麻子「そうそう、この前ウチにもガス会社の検査が来たのよね」
桜「中村さんのところは中華料理店ですものね」
イリヤ「そのガス漏れ事件はキャスターの仕業よ」
うしお「えっ!?」
凛「正確にはガス漏れ事件に見せかけて人間の魔力、生命力を集めてるのよ」
イリヤ「魔力には流れがある。流れを辿ればどこに行き着くか分かるの」
うしお「それが柳洞寺……」
凛「そう。そしてあんな遠距離でそんな芸当が出来るのはキャスタークラスだけ」
セイバー「リン、それではアサシン陣営とキャスター陣営は組んでいると?」
凛「そういうことになるわね」
凛「山門はアサシンが守って、キャスターは力を蓄える。敵ながら上手いことやってるわ」
とら「けっ、術使いらしいチマチマしたやり方よォ」
267 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 16:59:26.43 ID:mB8ADYa/0
うしお「柳洞寺にキャスターがいるのは分かったけどよ、葛木先生がマスターっていうのは?」
凛「実は、そっちはまだ確証があるワケじゃないんだけど」
イリヤ「ウシオ、キャスターは魔力集めを深夜にしか行っていないの」
うしお「そりゃガス漏れ事件が真っ昼間に起これば大事件になるからじゃ」
とら「あーあ、ちったぁ考えるようになったかと思えばこれだぜ」
うしお「な、なにをとらァ!!」
凛「キャスターは昼間は他にやることがあるのよ」
うしお「やること……?」
セイバー「なるほど。サーヴァントにとって一番やるべきこと」
うしお「あっ、そうか!! マスターの護衛!!」
凛「そういうこと。マスターだからって急に学校に来なくなれば怪しまれるわ、ということは」
うしお「昼間の葛木先生にはキャスターがついてるはず!!」
凛「そう。柳洞寺には他にも知り合いがいるんだけどそっちはもう調べたわ」
凛「あとは怪しいのは葛木先生だけなの」
セイバー「それでは柳洞寺の陣営を攻めるのですか?」
うしお「あぁ、ガス漏れ事件の話を聞いちゃ黙ってられねえよ」
凛「ええ。とにかく明日の放課後、葛木先生の後を追ってみましょう」
268 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 17:05:46.66 ID:mB8ADYa/0
・柳洞寺付近道路
葛木「…………」
うしお「なぁ遠坂先輩。本当に葛木先生がマスターなのかな?」
凛「蒼月君、今それを確かめようと……。追うわよ」
うしお「オレにはどうにも葛木先生がガス漏れ事件を起こしてるようには思えねえんだ」
セイバー「ウシオはその教師と面識が?」
うしお「いや、無口な先生だからあんまり話したことはないんだけどよ」
凛「確かに蒼月君は葛木先生みたいなタイプより、藤村先生みたいなタイプのほうが気が合いそうよね」
うしお「そりゃね」
凛「まぁ蒼月君の言いたいことは分かるわよ。葛木先生は上級生の評判も悪くないもの」
うしお「そうなのかい?」
凛「ええ。っと、この先はもう柳洞寺まで一本道か。仕掛けるなら今だけど……」
葛木「……そろそろ頃合か」
269 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 17:11:07.73 ID:mB8ADYa/0
葛木「いるのは分かっている。出て来たらどうだ」
凛(……気付かれてた!?)
うしお「葛木先生……」
葛木「蒼月と遠坂か」
??「忠告したはずですよ宗一郎様。このようなことがあるから貴方は柳洞寺に留まるべきだと」
葛木「そうでもない。実際に獲物が釣れた」
キャスター「それは確かにそうですね」
凛「アンタがキャスターね……」
セイバー「ウシオ、リン。下がってください」
凛「トラ、出番よ」
とら「術使いが相手じゃ楽しめそうにねえな」
270 :
◆I4R7vnLM4w
[sage saga]:2017/03/09(木) 17:20:53.62 ID:mB8ADYa/0
うしお「セイバーもとらも待ってくれよ。オレは葛木先生に聞きたいことがあるんだ」
葛木「なんだ蒼月」
うしお「葛木先生はキャスターがガス漏れ事件で人間から魔力を奪ってるのを知らないんじゃないのかい?」
葛木「キャスターが……。そうか」
葛木「蒼月、それでその質問の出所はなんだ。疑問には理由があるはずだ」
うしお「だってよ、もし葛木先生が知ってるならそんなことさせないんじゃないかと思ってさ」
葛木「させない?」
うしお「あぁ、そんな悪いことは葛木先生なら止めさせるだろ?」
葛木「…………」
葛木「それは、悪いことなのか?」
うしお「えっ……?」
葛木「蒼月の言うとおり、善悪でいうのなら悪だろう」
葛木「だが、そのガス漏れ事件で何人死のうと私には関係ない。キャスターを止めるつもりもない」
うしお「な、なに言って……」
葛木「例外は存在する。私は蒼月が出会ってきた人間や妖怪とは違うということだ」
うしお「そんな……」
セイバー「その教師はウシオが思っていた人柄ではないようですね」
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