うしおとセイバー

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71 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/18(月) 18:47:49.03 ID:1WrViEbM0


「この公園は今からオレたちのものだァ!!」

「なによう、後から来てどけってことないでしょー」

「あ、あさこ、やめなよう」


「子供同士の喧嘩か。子供でも巻き込まれると危険だな。二人とも、葵さんのところに戻ろうか」

「は、はい、雁夜おじさん……」

「……………………」

「凛ちゃん……?」

72 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/18(月) 18:57:19.06 ID:1WrViEbM0


「どけよ、おとこおんな!!」

「きゃ」


「麻子になにすんだよ!!!!!!」


「こ、こいつ、下級生のくせに……」

「みんなでこいつをやっちまえ〜〜!!」


「うしお!! 一人じゃ大変そうだな!!」

「士郎!?」

「後ろは任せろ、うしお!!」

「行っくぞーー!! 士郎!!」

73 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/18(月) 19:01:01.10 ID:1WrViEbM0


「お、お前ら、覚えてろよ〜〜!!」


「ふ、二人とも大丈夫……?」

「このくらい平気だい」

「うしおは本当に『正義の味方』みたいなヤツだよなァ」

「正義の味方? なんだよそれ、そんなんじゃねえやい」

「……………………」

「ふん。オレはただ、あいつらが前から気に入らなかっただけさ」

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/20(水) 00:08:04.84 ID:dUaRgxxiO
75 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 21:20:18.89 ID:TTWE+3d30


うしお「遠坂先輩!!」


凛(……真っ直ぐに目を見るわね……)


凛「分かったわ蒼月君。それじゃ私と休戦協定を結びましょ」

76 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 21:25:22.05 ID:TTWE+3d30


・間桐邸


ライダー「…………」

慎二「邪魔が入ったな」

ライダー「…………」

慎二「まぁいいさ。遠坂も蒼月もそんな簡単に殺しちゃ面白くない」

ライダー「…………」

慎二「アイツらも、あの女と一緒に結界で殺してやる」

慎二「中村麻子……。後悔させてやるよ、この僕の誘いを断ったことを……」

ライダー「…………」

慎二「ハハ、ハハハハ!!」

77 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 21:27:12.83 ID:TTWE+3d30


【第七話 蠢動 】

78 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 21:42:08.45 ID:TTWE+3d30


・蒼月家居間


セイバー「それではウシオ、これからはリンと手を組むと」

うしお「あぁ、学校の結界をなんとかしねえとな」

セイバー「それは分かりました。ですがライダーと戦ったときに私を呼ばなかったことには納得出来ません」

うしお「呼ぶって……。あっ、令呪か!! 忘れてた!!」

セイバー「わ、忘れて……」

凛「蒼月君に何を言ってもダメよ、セイバー」

凛「あの時はライダーを追いかけることしか考えてなかったみたいだから」

セイバー「それでは困るのですリン!! リンからも何か言ってやって下さい」

うしお「わ、分かったよセイバー!! 次は絶対呼ぶからさっ」

セイバー「そうして下さい、ウシオ」

凛「さてと、それじゃ話が一段落したところで。私の部屋、決めさせてもらおうかしら」

うしお「えっ……?」

79 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 21:44:56.60 ID:TTWE+3d30


凛「うん。まぁ、これなら何とかいけそうね」

うしお「本当にウチに泊まるのかい!?」

凛「勿論よ。休戦協定を結んだんだから、お互いを守るのは当然でしょ?」

うしお「だ、だからって……」

凛「それとも蒼月君は、他のマスターに寝込みを襲われてもいいって言うの?」

うしお「そりゃ家に遠坂先輩がいてくれたら心強いけどさ……」

凛「なら問題ないじゃない。私もとらとセイバーに守ってもらえるなら安心だしね」

うしお「い、いいのかなァ……」

セイバー「部屋に関しては私からも要望があります。私はウシオと同じ部屋で寝るべきだと思う」

うしお「な、なに言ってんだよセイバー!?」

凛「夕食の当番は交代性にしましょ。今日は挨拶代わりに私が作ってあげる」

うしお「えっ!? オ、オレは『ジェットサンダーラーメン』しか……」

凛「……分かった。全部私が作ってあげる」

セイバー「話を切らないでもらいたい。私の部屋の問題に結論が出ていない」


ピンポーン

80 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 21:55:37.43 ID:TTWE+3d30


・蒼月家玄関


凛「いらっしゃい」

桜「遠坂、先輩……? なんで……」

凛「私、ここに下宿することになったの」

桜「え……」

うしお「桜姉ちゃん!! こ、これは、その、つまり……」

凛「これは私と『うしお』君が決めた事よ。もう決定事項なの、間桐さん」

桜「決定事項……」

凛「ここには来ない方があなたの為よ」

桜「……私には、遠坂先輩の仰る事が分からないです」

凛「そう、なら分かるように説明してあげるわ」

うしお(……な、なんだか変なことになってきたなァ……)

81 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 22:02:10.30 ID:TTWE+3d30


麻子「うしおーっ。また母さんが色々作ってくれたわよーって、遠坂先輩?」

真由子「うしお君。私のおかーさんからも……あ、桜先輩」

セイバー「ウシオ、リン。騒がしいようですが何かあったのですか」

キリオ「外国の、女の人……」

麻子「ちょっとうしお、これどうなってるのよ?」

うしお「それは、今日から二人が下宿することに、なったから、かな……」

麻子「な、なによそれーーっ!!」

82 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 22:16:56.49 ID:TTWE+3d30


・蒼月家居間


麻子「ちゃんと説明しなさいよ!! うしおーーっ!!」

うしお「イテテテ!!」

真由子「あ、麻子〜〜!!」

桜「中村さん、落ち着いて……」

うしお「わ、分かったよ!! 全部話せばいいんだろーーっ!?」

凛「ちょ、ちょっと、うしお君!?」

うしお「遠坂先輩、こいつらも学校の生徒なんだ。結界と無関係じゃない」

凛「そうだとしても聖杯戦争は他人に知られてはいけないのよ。話すことは出来ないわ」

うしお「こいつらに隠し事したくねえんだ。頼むよ」

凛(……あーっ。もう……)

凛「……この子たち以外は他言無用。いいわね?」

うしお「サンキュー遠坂先輩!!」

83 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 22:22:15.58 ID:TTWE+3d30


キリオ「……それじゃ僕が戦ったのはランサーって奴だったんだね」

うしお「あぁ、赤い槍の男はランサーだったよ」

麻子「本っ当っ、あんたは……!!」

うしお「だ、だってよォ」

真由子「あの、遠坂先輩……」

真由子「遠坂先輩の、その『サーヴァント』は今この部屋にいるんですか?」

凛「え? あぁ、とらなら家の周りを見てもらってるわ」


凛(……とら、戻って来てくれる)

とら(ああ? 周辺を警戒しとくんじゃなかったのかよ)

凛(それはいいから、早く。霊体化もしなくていいわ)


とら「おい。何がどうなってやがる」

真由子「……………………」

84 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 22:28:20.17 ID:TTWE+3d30


凛「井上さん、これで私たちの話を信じてくれるかしら……え?」

真由子「とら……ちゃん……」

とら「な、なんだァ!? この女、泣いてやがんのか」

麻子「真由子!!」

真由子「あ、麻子ぉ……とらちゃんだよ。とらちゃんが帰って来てくれたんだよ」

麻子「うん、うん。そうだね、真由子」


とら「ますたー!! わしはもういいだろ!!」

凛「あ、とら!!」

とら(……なんだ、急に、頭に、何か……くそォ、思い出せん……)

85 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 22:39:12.02 ID:TTWE+3d30


凛「……井上さん、今の話は本当?」

真由子「はい。最近学校で落書きを見つけたんですけど、私以外には見えてないみたいで……」

うしお「それって、もしかして……」

凛「その場所を明日の放課後教えてもらえるかしら」

真由子「あっ、はい。遠坂先輩」

桜「…………」

うしお「桜姉ちゃん。大丈夫かい? ずっと黙ったままだけどよ」

桜「えっ、あ、大丈夫ですよ。ちょっと色々、驚いてしまって……」

うしお「そりゃそうだよな。オレもいきなり魔術師なんて言われて驚いたさ」

うしお「桜姉ちゃんもオレたちと同じで、魔術師も聖杯戦争も知るワケないもんなァ」

桜「は、はい、そうですね……」

凛(……桜……)

86 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/07/27(水) 22:47:35.72 ID:TTWE+3d30


・蒼月家玄関


うしお「桜姉ちゃん、真由子、キリオ。また明日なーーっ!!」


麻子「あなたが、セイバーさん?」

セイバー「はい。セイバーはクラス名で真名ではありませんが、そう呼んでいただきたい」

麻子「あの、あいつはバカで考えなしで落ち着きなくって、ケンカっ早いから……」

麻子「セイバーさん、守ってあげてもらえますか」

セイバー「……はい。騎士の誓いにかけて」


麻子「うしおーーっ!! 遠坂先輩とセイバーさんに何かするんじゃないわよーーっ!!」

うしお「な、なにもしねえよーーっ!!」


セイバー「彼女も、いい人柄をしている」

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/27(水) 23:38:52.84 ID:9Ci/OVgDO
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/20(土) 00:54:13.17 ID:v5g5Zcy9o
はよー
89 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 13:55:58.14 ID:pQ7PWiHv0


【第八話 不協の旋律 】

90 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 14:02:27.06 ID:pQ7PWiHv0


・放課後


真由子「うしお君、遠坂先輩を呼んできて」

うしお「よーし、遠坂先パーイ!! 次はこっちだーーっ!!」

凛「ちょ、ちょっと待ってよ。こっちの呪刻もまだ壊してないんだから」


凛「ふぅ……」

凛「それにしても井上さんがこんなに行動的だとは思わなかったわ」

とら『さぁな。「泥なんて何だい」ってヤツだろ』

凛「何、それ?」

とら『けっ、知らねえよ。あの女を見てたらそんな言葉が……』

凛「とら……?」

とら(わしは、何かを忘れとるのか……)

91 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 14:13:59.72 ID:pQ7PWiHv0


とら「おい、女」

真由子「とらちゃん、私の名前は『まゆこ』だよ?」

とら「名前なんかどうだっていいんだよ」

真由子「ふふ、前にもこんなことあったね」

とら「それよりわしはおめえがなんなのか知りたいのよ」

真由子「私?」

とら「おめえはわしのことをよく知っとるようだ」

真由子(……本当に、覚えてないんだね。『誓って』くれたことも……)

真由子(ううん。こうして戻って来てくれただけで、私は……)

とら「おい、どうした」


真由子「……私はね……」


真由子「とらちゃんの『でざぁと』なの」

92 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 14:18:15.42 ID:pQ7PWiHv0


とら「で、でざ……?」


凛「井上さーん! とらー!」


真由子「遠坂先輩たちが呼んでる。行かなきゃ」


真由子「思い出してね、とらちゃん」

真由子「また食べないうちにどっか行っちゃ、やだよ」


とら「ワケが分からん……」

とら「ちょーしのくるう女だ……」

93 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 14:26:03.72 ID:pQ7PWiHv0


・蒼月家居間


凛「まぁ、あれだけやれば十分でしょ」

凛「相手は結界の呪刻を一日で破壊されるとは思っていないはずだから、きっと何かアクションを起こすわ」

セイバー「その時が、結界を張るサーヴァントを倒す機会ということですか」

凛「そうなるわね」

うしお「あぁ、絶対に結界をやめさせるんだ……!!」

94 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 14:39:55.06 ID:pQ7PWiHv0


うしお「そういえば遠坂先輩、隣町の柳洞寺に外国の人が来てるらしいよ」

凛「柳洞寺に外国の?」

うしお「あぁ、麻子が青鳥軒に来たお客さんに聞いたって言ってた」

凛「怪しいわね。でもマスターならあんな目立つ場所を陣取るなんてありえないわよ」

セイバー「いえ、リン、それには異論があります」

セイバー「あの寺院は堕ちた霊脈、魂を集めるには絶好の拠点なのです」

凛「えっ……!?」

うしお「そうなのか!?」

セイバー「はい、今夜にでも調べに行きましょう」

うしお「ま、待ってくれよセイバー。まだその人がマスターって決まったワケじゃねえだろ?」

凛「そうね。それにもし本当に敵のホームなら、どんなサーヴァントがいるか分かるまで待つべきよ」

セイバー「ウシオ……リン……。分かりました……」

95 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/08/21(日) 14:53:30.51 ID:pQ7PWiHv0


・蒼月家蔵前


セイバー「…………」

とら「…………」

セイバー「獣のサーヴァント、私を止めるつもりか?」

とら「タコが、止めねえよ」

とら「一人で行く気か?」

セイバー「…………。私は一人で戦い、勝利し、帰ってくる」

セイバー「ずっとそうしてきた。今までも、そして、これからもです」

とら(一人で、か……)

セイバー「では、私は行きます」

とら「けっ……!!」

セイバー「な、何故です!? 貴方がついて来る理由はない!!」

とら「うるせえっ!!」

とら「わしはおめえが負けるところを見て笑いてえだけよ!!」

セイバー「……もし邪魔になるようなら、貴方から斬り捨てます」

とら「やってみなァ!! そん時ゃ返り討ちよォ!!」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/21(日) 19:09:23.17 ID:oX9ehNh+o
乙ー
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/24(水) 19:45:03.89 ID:7oxlrYtbO
とらのツンデレが平常運転で安心した
98 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/09/15(木) 23:00:25.89 ID:gGNqV4cT0
すみません<(_ _)>
このスレは諸事情から来月から再開しようと思います<(_ _)>
待っている方がいましたら本当にすみません<(_ _)>
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/15(木) 23:13:45.57 ID:24hlxGv7O
了解
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/09/16(金) 00:26:15.34 ID:SCqGFupwo
応、楽しみにしとるよ
101 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 12:57:26.85 ID:3P7lEYwb0


【第九話 雷下流麗 】

102 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 12:59:37.71 ID:3P7lEYwb0


・柳洞寺山門


セイバー「柳洞寺、ここだな。ん……?」

??「………………」

とら「におうぜ。人間じゃねえな」

セイバー「……お前は?」

??「アサシンのサーヴァント『佐々木小次郎』」

セイバー「ッ……!? ……これは、参りました……」

セイバー「名乗られたからには、こちらも名乗り返すのが騎士の礼です」

アサシン「そうか、名乗れば名乗り返さねばならぬ相手であったか」

アサシン「それは失礼をした。詫びよう、セイバー」

セイバー「何を……」

アサシン「真名など知らずともよい。我らにとって敵を知るにはこの刀だけで十分」

とら「へっ、面白えヤツだな」

アサシン「元よりサーヴァントとはそういうものであろう。違うか、『長飛丸』」

103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/04(火) 13:00:03.37 ID:ouKs0isIO
おお、続き来た!
104 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:27:18.68 ID:3P7lEYwb0


セイバー「ナガトビマル……?」

とら「……おめえ、わしを知っとるのかよ」

アサシン「見たことはない。しかし昔話を聞いたことがある」

アサシン「一つの山を拠点とし、近隣の村を全て食い尽くした物の怪がいると」

とら「…………」

アサシン「物の怪は仲間を率いて大変な暴れようだったとか……」

セイバー「そのモノノケが、ナガトビマル……?」

とら「さァな」

セイバー(……そうか、リンの話では記憶が……)

アサシン「私はその山に行ってみたが、そこには一面焼け野原の跡しかなかった」

アサシン「その凄惨な光景を見た私は、いつしか思うようになったのだ……」

アサシン「いつか『物の怪』を斬ってみたい、と」

105 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:33:38.67 ID:3P7lEYwb0


アサシン「長飛丸、そなたこそ相応しい相手よ」


『わしを長飛丸と呼ぶんじゃねえ』


とら「……今のわしを、長飛丸と呼ぶな」

セイバー「ん……?」


とら「わしは、『とら』だ!!」


セイバー「トラ……」


アサシン「とら、虎、寅……。そうか、確かにそなたを呼ぶには単純だが明確だな」

アサシン「名付けた者は、風情が分かる者と見た」

とら「馬鹿言うんじゃねえよ、アイツがそんなもん分かるワケ……」

とら(……アイツって誰だ……。クソ……)

106 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:37:03.02 ID:3P7lEYwb0


アサシン「少し話し過ぎたか、そのせいで立ち合いの時間がなくなっては愚の骨頂」

アサシン「さぁ、どちらが相手かな。二対一でも構わんが、そのような無粋な相手ではないと見える」

とら「勘違いすんじゃねえ。今日のわしは高みの見物よ」

アサシン「そうか。ならばセイバーを倒し、高みから引き摺り下ろすまで」

セイバー「そう簡単にいくと思うな。アサシン……!!」

アサシン「では、果たし合おうぞ。セイバー」

107 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:43:08.77 ID:3P7lEYwb0


アサシン「秘剣、燕返し……!!」

セイバー「……!?」

とら「今の鋭さ、鎌鼬より速えかよ。こいつァただのサムライじゃねえな」

アサシン「ほう。我が秘剣をかわしたか、セイバー」

セイバー「多重次元屈折現象……」


アサシン「フッ……。このような俗世に呼び出された我が身を呪ったが、それも今宵まで」

アサシン「生前では叶わなかった『立ち合い』と『物の怪斬り』が出来るのならば……」

アサシン「呼び出せれた甲斐があるというもの……」


とら「へぇ、わしを、どうするってえ?」

アサシン「燕は斬ったことがあるが、生憎、物の怪はないのでな」

アサシン「長飛丸よ。佐々木小次郎の伝説に物の怪退治を書き加えるのも一興だと思わぬか?」

とら「やってみなァ。おめえの最期は妖に食い殺されたってなるがよォ」

108 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:46:09.40 ID:3P7lEYwb0


セイバー「待てアサシン。私との立ち合いは終わっていない」

セイバー「それに、今日は高みから見物ではなかったのか?」

とら「けっ、あぁそうだったよ。わしは見物よォ」

アサシン「……ようやくその気になったか、セイバー」

セイバー「あぁ、確かに手加減など許される相手ではなかったようだ」

アサシン「その視えない剣の奥にあるモノ、見せてもらうぞ」


セイバー「我が一撃、受けきれるか。アサシンのサーヴァント!!」

アサシン「この風は……。さながら台風といったところか……!!」


とら「……待ちな。おい、見物客はわしだけで十分よ」

??「……っ」

109 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:52:13.57 ID:3P7lEYwb0


アサシン「そこまでにしておけセイバー。その剣、盗み見ようとする輩がいるようだ」

セイバー「……なるほど。ランサーにライダー、それに使い魔か……」

アサシン「最良のサーヴァントと、規格外の物の怪のサーヴァントの組み合わせ……」

アサシン「宝具の一つでも知りたいのは、どの陣営も同じということか」

とら「ちまちま敵の情報なんか集めて、なァにが聖杯戦争よォ」

アサシン「……女狐も珍しく注視している、このような無粋な場での立ち合いは望まんな」

セイバー「決着をつけないつもりか、アサシン!!」

アサシン「生憎と私の役目はここの門番でな。この山門を越えるというのなら決着をつけよう」

とら「けけっ、そうかよ」

アサシン「ほう。高見から降りてきてくれるか」

とら「わしは名前や宝具を隠さないといけない連中と違って、誰に見られていようと関係ねえのよ」

アサシン「フフ、あっぱれなり……」

アサシン「……参る!!」

とら「おおおお!!!!」

110 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 13:57:25.57 ID:3P7lEYwb0


とら「サムライ、やるじゃねえか……!!」

とら(……こいつァ、わしが今まで戦ったどのサムライより強えぇ……!!)

アサシン「……凄まじい。かような物の怪と手合わせ叶おうとは」

アサシン「フフ、時の果てまで迷い込んできた甲斐もあったというもの」

アサシン「しかし惜しいな。時間切れのようだ」

とら「ああ……?」

セイバー「ぐ……っ……」

とら「おい、剣使い……?」

セイバー「引いてもらおうか……。アサシン、私と決着を……」

アサシン「言ったはずだぞセイバー。そなたとは潔い決着を望んでいると」

セイバー「アサシン……」

アサシン「それに、ここで長飛丸の邪魔が入ったのはそなたにとって僥倖ではないか」

セイバー「くっ……」

111 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 14:09:46.66 ID:3P7lEYwb0


とら「サムライ、わしから逃げれるとでも思っとるのかよ?」

アサシン「逃げるつもりはない。だが、そなたはこの山門を越えぬだろうからな」

とら「なにィ……?」

セイバー「……っ……」

とら「おい、剣使い!! なに倒れてやがる!!」

アサシン「セイバーを放って立ち合えば、盗み見の輩がセイバーを襲うだろう」

とら「チッ……」

アサシン「確かにそれでこそ噂に違わぬ物の怪よ」

アサシン「しかしそのような物の怪は『英霊』にはなれぬのではないか」

アサシン「違うか、長飛丸よ」

とら「……そういうとこ、ずっりィよな」

アサシン「フッ……」

とら「それとサムライ。わしを長飛丸と呼ぶんじゃねえ」

アサシン「次の立ち合いを楽しみにしているぞ。長飛丸」

とら「けっ……」

112 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 14:26:27.18 ID:3P7lEYwb0


セイバー「はぁ……はぁ……」

とら「おい、剣使い」

セイバー「私のことはいい……。アサシンを追いたければ追え、ナガトビマル……」

セイバー「いや、違うか、今の貴方は……」

セイバー「ト……ラ……」

とら「おめえ……」

セイバー「…………」

とら「だからキレエなんだよ。魔力がなきゃ風も操れねえ人間はよ」

113 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 15:15:40.59 ID:3P7lEYwb0


・蒼月家玄関


とら「……ますたー。こいつァどうなってやがる」

凛「多分だけど、宝具をキャンセルしたことによる負荷が身体に影響してるわね」

うしお「セイバー!! セイバー!!」

セイバー「……ウ、シオ?」

凛「気が付いたみたいね」

114 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/04(火) 15:21:55.41 ID:3P7lEYwb0


・蒼月家居間


セイバー「……柳洞寺におもむき、アサシンのサーヴァントと戦いました」

セイバー「トラではない他のサーヴァントの存在に多数気付き、戦いを中断しましたが」

凛「あれ? セイバーってとらのこと、とらって呼んでたっけ?」

セイバー「そ、それは、別に……」

凛「まぁとにかく、柳洞寺にアサシンか」

うしお「……そんな事よりセイバー、何で一人で戦いに行っちまったんだよ」

セイバー「ウシオ、私は……」

うしお「一人で、一人で戦うなんてよォ……そんなのいけねえよ」

凛「待って蒼月君。きっとセイバーにも考えがあったと思うし今夜はもう遅いわ。休みましょう」

うしお「あ、あぁ……」

セイバー「ウシオ……」

115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/04(火) 21:40:37.76 ID:zytHloY/o
乙ー
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/04(火) 23:06:57.32 ID:xlzvRGRVO
おひさし乙!
117 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 15:11:52.50 ID:Sg0QvuCa0


【第十話 穏やかな幕間、ブランコのある公園 】

118 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 15:14:21.30 ID:Sg0QvuCa0


・穂群原学園屋上


(……ウシオ、私は……)


うしお「…………」

凛「こんな所にいたの」

うしお「遠坂先輩……」

凛「セイバーのことを考えてたんでしょ」

うしお「あぁ……。なんでセイバーは……」

凛「サーヴァントにも叶えたい望みがあるのよ」

凛「聖杯を欲するから召喚に応じる、それがサーヴァントなの」

うしお「叶えたい、望み、か……」

凛「あ、そうだ。蒼月君、今日の帰りに買い物頼めるかしら?」

うしお「えっ、あぁ、もちろん行くよ」

凛「それで、買ってきてもらいたい物はね」


うしお(叶えたい望み……。セイバー、それに、とらにも?)

119 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 15:22:09.70 ID:Sg0QvuCa0


・商店街


うしお「よーし、これであらかた買ったかな」

うしお「この材料だと今日はマーボー豆腐か。遠坂先輩のマーボー豆腐楽しみだなァ」

クイックイッ

うしお「ん?」

イリヤ「ごきげんよう。生きてたんだね、お兄ちゃん」

うしお「うわーーっ!? って、あぁ、なんだあの時の女の子か」

イリヤ「私、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

イリヤ「長いからイリヤでいいよ。お兄ちゃんはなんて名前?」

うしお「オレのことかい? オレは蒼月潮ってんだ」

イリヤ「アオツ、キウシオ?」

うしお「言い難いなら『うしお』でいいさ。みんなそう呼んでるしよ」

イリヤ「……ウ、シオ? ウシオ……ウシオ!!」

イリヤ「ねぇ、お話したいこといっぱいあったんだから、行こう!!」

うしお「っと、イ、イリヤ、あんまり引っ張んなーーっ」

120 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 15:28:35.75 ID:Sg0QvuCa0


・ブランコのある公園


うしお「へえ、あの国道の向こうにそんな大きな洋館があるのかァ。そこから一人で来たのかい?」

イリヤ「うん、こっそり抜け出して来たの。セラもリズもメイドのくせにうるさいんだもん」

イリヤ「寒いと身体に悪いとか言って、いっつも部屋に閉じ込められてたんだから。今日はご褒美なの」

うしお「…………」

うしお「……あっ、そうだっ!! これがあったあった」

イリヤ「なに、それ?」

うしお「クリームパン(イギリス人もビックリ)うめーんだぜー!!」

イリヤ「えっと、くれるの……?」

うしお「あぁ」

モグモグ

イリヤ「おいしい……」

うしお「へへっ、そうだろ?」

うしお「それにしてもイリヤの髪は白くてキレーだなァ。昔の小夜さんみたいだ」

イリヤ「この髪はね、母さま譲りでイリヤの自慢なんだから」

イリヤ「それに雪みたいで綺麗だって、父さまとシグレさまが言ってくれたの」

うしお「えっ、今、なんて」

121 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 15:34:40.77 ID:Sg0QvuCa0


キリオ「あれ、うしお兄ちゃん?」

うしお「おっ!? キリオ、今帰りか?」

イリヤ「…………」

キリオ(っ!? 今、法力とは違う力が……)

キリオ(気のせい、かな……?)

イリヤ「……私帰る。バーサーカー起きちゃった」

うしお「あっ」

タッタッタッ

イリヤ「…………」

キリオ「……な、なに?」

イリヤ「貴方、私と『同じ』ね」

キリオ「!?」


うしお「し、ししし、しまったーーっ!!」

うしお「なんでマスターをやってるのか聞きそびれちまったーーっ!!」

122 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 15:43:51.07 ID:Sg0QvuCa0


・蒼月家居間


うしお「ただいまーっと……ん?」


真由子「とらちゃんこれ全部食べていいんだよーーっ!!」

とら「記憶はねえがこれは分かるぞ。こいつァ『はんばっか』てえんだ」

ぱく、もぐもぐ、もぐもぐ

セイバー「む。トラ、何を食べているのですか」

とら「なんだァ? 剣使い。おめえ、はんばっかも知らねえのか。ほらよ」

セイバー「これは、なかなか、いけますね」

凛「セイバー!! 私が夕食作ってるんだからそんなもの食べちゃダメでしょーー!!」

セイバー「リン。このハンバッカをそんなものとは……」

セイバー「今の言葉、騎士の誓いにかけても訂正してもらいます」

麻子「その為に誓いを使うの!?」

凛「ダメよ、ハンバーガーなんて……ハンバーガーなんて……。ぜ、贅肉……」

凛「贅肉が付いちゃうでしょうがーーっ!!」

桜「と、遠坂先輩!! お、おお、落ち着いて下さい!!」


うしお「な、なんだかウチも随分騒がしくなってきたなァ」

123 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 16:54:04.67 ID:Sg0QvuCa0


凛「今日はちょっとした収穫があったわ」

うしお「何かあったのかい?」

凛「桜の兄のことは知ってるわよね? ソイツがマスターで私に組まないかって言ってきたわ」

うしお「えぇっ!?」

凛「当然断ったわ。蒼月君は知らないかもしれないけど信頼出来るヤツじゃないもの」

うしお「……結界のことは?」

凛「知らないって言ってたわ。まぁ、本当かどうかは分からないけどね」

うしお「そう、か……」

うしお「桜姉ちゃんの兄貴が、マスター……」

とら「なぁんでそいつをブッ飛ばさねえのよ?」

凛「前にも言ったでしょ、とら。まずは結界をどうにかする、その為の蒼月君との休戦協定だもの」

うしお「あぁ、その通りさ!!」

とら「けっ、そうかよ」

124 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 16:59:13.39 ID:Sg0QvuCa0


・蒼月家風呂場


ガチャッ

セイバー「…………」

うしお「…………」

セイバー「すみません、ウシオの入浴したい意思に気付かなかった私の落ち度です」

うしお「うわああああああああああ!!!!」

ダッダッダッ

セイバー「ウ、ウシオ!?」


うしお「また小夜さんのときみたいに覗き男になっちまったぁぁぁぁ!!」

125 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 17:01:48.26 ID:Sg0QvuCa0


・蒼月家蔵前


うしお「はぁ、セイバーになんて謝れば……ん?」


うしお「開いてる……。蔵に誰かいるのか……?」

126 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/08(土) 17:07:07.72 ID:Sg0QvuCa0


・蔵地下室


とら「人間か……?」

うしお「……!?」

とら「剣使いの主か」

うしお「う、うわああああ!! なんだなんだ、お前なんだ!?」

とら「あぁ? なにをそんなに驚いてやがる」

うしお「あ……い、いや……。なんでもねえよ……」


うしお「と……。一つ聞きたいことがあるんだ、遠坂先輩のサーヴァントに」

とら「ああ? なんだよ?」

うしお「お前も『叶えたい望み』があるから召喚されたんだよな?」

とら「そんなことかよ」

とら「わしは記憶がないから知らんぞ。だがまぁ、召喚されたってことはそうかもなァ」


とら「わしは行くぞ。えらく気になって来てみたが何にもねえ場所だ」


うしお「とら……」

127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/08(土) 17:37:41.31 ID:WNgl4k0UO
二回もやったのにコレは寂しい…
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/09(日) 01:55:46.78 ID:QzgF/S0so
乙ー
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 02:41:33.45 ID:EqRTKDTjO
アニメカットの嵐で悲しかったからこのスレが癒し
130 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:01:51.66 ID:fjnpCuIM0


【第十一話 極限結界溜と鮮血神殿 】

131 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:04:06.77 ID:fjnpCuIM0


・蒼月家玄関


セイバー「……ウシオ」

うしお「ん? 何だいセイバー」

セイバー「気を付けて下さい。何か嫌な予感がします」

うしお「予感?」

凛「大丈夫よセイバー。休戦中は私ととらが守ってあげるんだから」

セイバー「はい、リンを信じています」

うしお「何かあったら、この令呪を使ってセイバーを呼べばいいんだよな」

セイバー「そうです。令呪の力を使えば私はマスターの場所へ行ける」

うしお「あぁ分かった。その時は頼むぜセイバー」

セイバー「はい、ウシオ」

132 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:09:00.62 ID:fjnpCuIM0


・穂群原学園教室


厚池「うしおーー!! 放課後部活ねえならまたゲーセン寄ってかねえ?」

うしお「厚池、まーたオレをカモにする気だなーーっ!?」

横尾「うしおはホントにヘタだからなぁ……ぁ……うっ……」

うしお「横尾? どうしたんだよ?」

厚池「あ……ぁ……」ドサッ

うしお「厚池!? 横尾!!」

バタッ、バタッ

うしお「クラスのみんなが……」

大河「あ、蒼月君……」

うしお「藤村先生、これはいったい!?」

大河「分からないわ……。急にみんなが倒れだして、私も……もう……」

うしお「藤村先生!? 藤村先生!!」

大河「…………」

うしお「ど、どうなってんだ……!?」

133 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:13:49.47 ID:fjnpCuIM0


凛「蒼月君!!」

うしお「遠坂先輩!! これは!?」

凛「結界が発動したのよ」

うしお「これが、結界……!!」

凛「まったく、あれだけ呪刻を壊したのに強制発動出来るとはね」

凛「本当サーヴァントに常識は通じないわ……!!」

134 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:20:50.56 ID:fjnpCuIM0


・廊下


凛「とにかく結界の基点を探さなきゃ。蒼月君行くわよ!!」

うしお「あぁ!!」


慎二「よぉ遠坂、それに蒼月」

うしお「間桐先輩!?」

慎二「クク、思ったより元気そうで何よりだ」

うしお「先輩も無事なら良かった。今学校は大変なことになってるんだ。早く救急車を……」

慎二「クク、ハハハ、アッハハハ!!」

うしお「間桐、先輩……?」

凛「……そう。この結界はアンタの仕業なのね」

慎二「そうだとも遠坂。ハハハハ!!」

うしお「なんだよそれ……」

慎二「タイミングには苦労したんだぜ? 僕としちゃお前たちの顔面蒼白を見たかったからさ」

うしお「間桐先輩……結界を……結界を止めろよーーっ!!」

慎二「なに僕に命令してるわけ? 止めて欲しかったら土下座ぐらいしろよ蒼月」

凛「これが最後の忠告。結界を止めなさい」

慎二「分からないかなぁ? そんなに気に食わないなら力尽くでやってみろよ遠坂」

凛「とら」

とら「けっ、こんなガキの相手かよ」

135 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:24:44.96 ID:fjnpCuIM0


慎二「でもさぁ遠坂。二対一ってのは卑怯なんじゃないの?」

慎二「ライダー」

ライダー「はい」
麻子「…………」

うしお「あ、麻子っ!!」

凛「アンタねぇ……」

慎二「ハハ、人質なんて使いたくなかったんだけどさ。でもこれでフェアだろう?」

慎二「ライダー、とっととその厄介な妖怪のサーヴァントを殺しちまえよ」

ライダー「はい」

とら「わしが人間の人質で言うことを聞くとでも思っとんのかよ。ああ?」

慎二「ひっ……」

136 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:32:18.29 ID:fjnpCuIM0


真由子「と、とらちゃん。ダ、ダメだよ……」

とら「おめえ、この結界の中で動けるのか」

凛「井上さん!!」

うしお「真由子!? 大丈夫なのか!?」

真由子「うしお君……。ごめん、私、麻子を守れなかった……」

うしお「麻子はオレが助ける。だから真由子は無理すんな」

真由子「うん。でも、私も、頑張るね……!!」

凛「井上さん、なにを……」

とら「こいつァ、結界か……?」

ライダー「こ、これは……」

うしお「お役目さまの……いや、真由子の力さ!!」


真由子「っっ……!!!!」


ライダー「まさか……『鮮血神殿』が、別の結界に押し返されている……!?」

137 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:37:35.14 ID:fjnpCuIM0


真由子「はぁ、はぁ……」

とら「おい女。もう止めな、ぶっ倒れそうじゃねえかよ」

真由子「とらちゃん。『泥なんて何だい』だよ」

とら「けっ、それがなんだってんだ……」

凛「常識が通じないのは、蒼月君の周りも一緒ね……」

凛「でも、結界が止まってる。これなら……!!」

真由子「遠坂先輩、結界の基点は学園の上空にあります。それを壊して下さい……!!」

ライダー「無駄ですよ。現代の魔術師に私の『鮮血神殿』は壊せない」

凛「確かに私の魔術じゃ壊せない。でも……」

とら「早く乗りな。ますたー」

ライダー「くっ、行かせない……!!」


慎二「なに勝手に話を進めちゃってるわけ? こっちには人質が、ぐふっ」

麻子「あんまり麻子さんをおナメじゃないよ」

138 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:41:05.70 ID:fjnpCuIM0


うしお「麻子!!」

麻子「うしおっ!!」

うしお「麻子、お前空手やめたんじゃなかったのかよっ」

麻子「とーさんにたまに付き合わないと悲しい顔するのよね」

うしお「ハハ、おじさんらしいや」


慎二「がはっ、はぁ、はぁ」

ライダー「マスター!!」


凛「蒼月君、ここは任せたわよ。私はとらと一緒に結界を壊すわ」

うしお「分かった。よーし……。セイバァァァァ!!」


セイバー「マスター、指示を」

うしお「ライダーを頼む!! オレは間桐先輩を!!」

139 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:44:19.25 ID:fjnpCuIM0


セイバー「はぁぁぁぁ!!」

ライダー「くっ……。流石ですね、セイバー」

セイバー「ライダー、貴方はここで倒れろ」


うしお「待てぇぇーーっ!!」

慎二「く、来るなぁっ、来るなっぁぁ」


ドーン!!

麻子「な、なに、今の音……」

真由子「はぁ、はぁ……。とらちゃん……」


ライダー「鮮血神殿が壊されましたか。ならば……」

セイバー「ウシオ!! 気を付けて!!」

うしお「うわっ!?」

慎二「ライダー!!」

ライダー「マスター。この場から離脱します」

140 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:49:09.13 ID:fjnpCuIM0


セイバー「ウシオ。アサコとマユコも私の後ろへ」

麻子「セ、セイバーさん?」

真由子「はぁ、はぁ……。は、はい……」

セイバー「ライダーは結界の維持に使っていた魔力を開放するつもりです」

うしお「魔力を、開放……?」


慎二「な、なに考えてんだお前、蒼月のサーヴァントにすら勝てないくせに!!」

ライダー「確かに私はセイバーには及びません。ですがご安心を」

ライダー「我が『宝具』は他のサーヴァントを凌駕しています」

慎二「な、なにィ……?」

ライダー「たとえ相手が何者であろうと、我が『疾走』を妨げる事は出来ない」


セイバー「三人とも私から離れないで下さい!! ライダーは宝具を使うつもりです!!」

うしお「これが……サーヴァントの、宝具……!!!!」

141 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 22:56:22.81 ID:fjnpCuIM0


セイバー「言葉通り、離脱する為だけに宝具を使ったようですね」

麻子「も、もう大丈夫なのよね……。うぅ……」ドサッ

真由子「あ、麻子……。うしお君、私も……」

うしお「麻子!! 真由子!!」

セイバー「ウシオ、大丈夫です。二人とも気を失っているだけです」

うしお「な、なんだァ……」

142 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/17(月) 23:04:02.39 ID:fjnpCuIM0


凛「……よっと。お疲れさま。ライダーには逃げられたみたいね」

とら「剣使いなぁにをやっとるのよ。馬乗りなんかを逃がすなよ」

セイバー「トラ、ライダーは宝具を使ったのです」

セイバー「……逃げられた言い訳にはなりませんが」

とら「けっ、その通りよ。だが、馬乗りの宝具か……」

うしお「遠坂先輩、結界は壊せたのかい?」

凛「ええ、とらが完全に破壊したわ」

うしお「そうかァ、それならよかった」

凛「井上さんのおかげよ」

凛「結界の基点が分からなかったら、今頃私たちも結界に力を奪われて倒れてたはずだもの」


とら「今回は確かに……」

真由子「…………」

とら「そこの女が、役に立ったかもな」

真由子(……とら、ちゃん……)

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 02:20:35.32 ID:CR031EbAo
乙ー
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 09:16:09.08 ID:1U+qD+S1O
145 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 20:45:17.50 ID:NYL2IYmQ0


【第十二話 空を翔ぶ 】

146 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 20:54:44.08 ID:NYL2IYmQ0


・商店街


慎二(……クソ、クソ、全部、壊す、壊す、ぶっ壊しちまえ!!)

ドンッ

女子「あっ、ごめんなさい」

慎二「あぁ? なにこの女。もっと別の謝り方があるんじゃないの?」

グイッ

女子「い、いや、やめてください……」

礼子「ちょっとやめなさいよ。それに向こうから見てたけどアナタの方からぶつかったじゃない」

慎二「はぁ? なんだよお前。まさか僕が悪いとでも言うつもり?」

間崎「何かあったのか礼子」

慎二「ヒィッ!?」


通行人「お、おい。あの人は間崎さんじゃないか?」

通行人「暴走族『スピードイーター』をたった一人で潰したって言われてる……」

通行人「ひぇ〜、おっかねぇー……」


慎二「ク、クソッ!! う、うあああああ!!」


間崎「なんだァ、アイツは」

礼子「さぁ……」

147 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:11:49.44 ID:NYL2IYmQ0


・蒼月家居間


うしお「遠坂先輩、学校のほうは?」

凛「そっちは綺礼がなんとかしてくれたわ。井上さんたちは?」

うしお「二人とも家で休んでる。真由子にはキリオが付いてくれてるよ」

凛「そう。井上さんのおかげで全員病院送りが自宅待機で済んだんだもの。感謝してもしきれないわね」


うしお「桜姉ちゃんの兄貴……。間桐先輩はまた何かやる気かな?」

凛「そうね。アイツの性格から言って、まず考えられるのは私たちへの復讐……」

セイバー「では、ライダーのマスターは再び結界を張ろうとすると?」

凛「間違いなくね。だから私たちが探すのはアイツ本人じゃなく」

うしお「……結界!! よーし、行こう!!」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/24(月) 21:13:09.94 ID:SuWaXZucO
スピードイーターのエピソード、アニメですっ飛ばされたのは本当に惜しいよな
149 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:23:56.07 ID:NYL2IYmQ0
あれ見たかったですよねぇ、麻子がヒロインやってるエピソード少ないから余計にそう感じる
150 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:27:10.25 ID:NYL2IYmQ0


・間桐邸


凛「さすがに家に居るわけないか」

とら「ちっ、馬乗りのニオイもしやがれねえな」

凛「二手に別れた蒼月君たちも気になるわ。もう行きましょ、とら」

とら「ますたーよ。ここはあの女の家なんだろ。会わなくていいのかよ」

凛「桜のこと? いいのよ、別に」

とら「わしには関係ねえからいいけどよ。ますたーとあの女は同じニオイがするのよ」

とら「おめえらは」

凛「それ以上はやめて。とら」

とら「……なら、もう行くぜ」


凛(……桜……)

151 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:33:54.99 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル前


うしお「セイバー。どうだい?」

セイバー「いえ、魔力は感じません」

うしお「ここも違うかァ」


うしお「ごめんよセイバー。オレが魔術師だったら手伝えるのによ……」

セイバー「ウシオ、それは気にしないで下さい」

セイバー「しかし、そうですね。少し休憩しましょう」

うしお「えっ……?」

152 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:41:39.20 ID:NYL2IYmQ0


・公園


うしお「この魚肉ソーセージうめえなァ」

セイバー「……ウシオ、私は貴方に謝らなければいけません」

うしお「えっ?」

セイバー「リンに、ウシオの旅を記録したモノを見せてもらいました」

うしお「オレの? あぁっ、守矢さんのビデオか!!」

セイバー「しかしリンは、その、機械というのが苦手なようで……」

セイバー「最終的にはアサコとマユコに手伝ってもらっていましたが……」

うしお「あ、あぁ、確か遠坂先輩はそうだったよな……」

うしお「しっかし、あれ恥ずかしいんだよなァ。でも、それがどうしたんだい?」

セイバー「それで、よかったらウシオから直接旅の事を聞かせてもらえませんか?」

うしお「セイバーが聞いても面白い話なんてあるかなァ」

セイバー「聞きたいのです!! お願いします、ウシオ!!」

うしお「わ、分かったよ。ど、どうしたんだセイバー」

セイバー「いえ、それは、別に……」


セイバー(……私は知りたい。なぜアナタが私を召喚出来たのか……)

153 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 21:50:49.71 ID:NYL2IYmQ0


うしお「それで、オレとアイツの旅は終わりさ」

セイバー(……そうして、ウシオとトラはこの国を救ったのですね)

セイバー(アナタたちと私は違う……)

セイバー(何故なら、私は国を救ってなどいないのだから……)

セイバー(しかしそれなら尚更、ウシオが私を召喚出来た理由がない……)

うしお「いけねーっ!! 話し込んでたら暗くなっちまった!!」

セイバー「すみませんウシオ。リンたちも気になります。行きましょう」


ドクンッ


うしお「っっ!? セイバー、今の感覚……!!」

セイバー「結界……。しかしこれは誘いですね……」

うしお「それでも、行くしかねえさっ!!」

セイバー「そうですね。ウシオ、魔力を辿ります。注意して下さい」

うしお「あぁ……!!」

154 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:00:07.88 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル前


セイバー「ウシオ!!」

うしお「うわっ!? またあの針か、ってことは……!!」

ライダー「フフ……」

うしお「ビ、ビルの壁に……!?」

ライダー「ついてこれますか、セイバー」

セイバー「追います。ウシオはここに居て下さい」

うしお「頼んだセイバー!!」


凛「蒼月君!! 今の、ライダーね。私たちもライダーを追ってたのよ」

うしお「遠坂先輩。あぁ、セイバーとビルの屋上へ飛んで行ったよ」

凛「とら。先に行ってセイバーのサポートを」

とら「なぁんでわしが剣使いの手伝いなんか……」


凛「いいから行けーーーー!!!!」
うしお「いいから行けーーーーっ!!!!」


とら「は、はいーーっ!!」

155 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:09:57.15 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル屋上


セイバー「神代のモノを持ち出すとは随分と業が深いようですね。ライダー!!」

ライダー「私は貴方たちの敵だった者に過ぎない」

ライダー「故に私が操るのは貴方たちが駆逐してきた可哀想な子たちだけよ」

セイバー「なるほど。歪んでいるとは思いましたが英霊ではなく悪鬼の類でしたか」

ライダー「言ってくれますね。私の宝具であの獣のサーヴァントを手懐ければ貴方なんて……」

セイバー「トラを……?」

セイバー「フッ……」

ライダー「セイバー。何が可笑しいのです」

セイバー「面白いことを言いますね。ライダー」

ライダー「なに……」

セイバー「あの『雷獣』を手懐け乗りこなすと?」

セイバー「それは貴方には無理だろう。『ライダー』?」

ライダー「っっ……!!」

ライダー「セイバー……!!」

156 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:26:37.29 ID:NYL2IYmQ0


とら「……なんじゃありゃ。馬乗りが羽の生えた白い馬に乗っとるかよ。初めて見たぜ」

ライダー「現れましたか、獣のサーヴァント」

とら「剣使い、なーにやっとる。馬乗りなんかに手こずっとんのかよ」

セイバー「トラ、ウシオたちは?」

とら「知るかよ。多分えらべったーとかいうやつで来るんだろ」

セイバー「なるほど、分かりました。出来れば二人が来る前に決着をつけたいところですが」


ライダー「到着した貴方たちのマスターには、消える二体のサーヴァントを見せてあげます」

ライダー「何故なら、貴方たちでは私の子に触れる事も出来ないのだから!!」

157 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:30:05.47 ID:NYL2IYmQ0


とら「へっ、馬乗りが粋がるか。よーし……」

とら「剣使いっ、乗れっ!!」

セイバー「トラ、何を……?」

とら「勝負しようじゃねえか、あの馬乗りの羽の生えた白い馬とよ」

セイバー「わ、私に、貴方に乗れと……?」

とら「乗らねーんならわしだけで行くわい」

セイバー「行きます!!」


セイバー「……ライダーにああ言った後に貴方に乗ることになるとは……」

とら「ああ? 何の話だよ?」

セイバー「いえ、こちらの話です。行きましょうトラ、私たちとライダーとの勝負です!!」

とら「へっ、振り落とされんなよ剣使いっ!!」

158 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:36:34.57 ID:NYL2IYmQ0


うしお「セイバー!!」

凛「とら!!」


慎二「ハッハハハ!! アッハハハ!!」

慎二「見たか蒼月、遠坂!! あれが僕とお前たちとの力の差だ!!」


凛「慎二……!!」


慎二「空の上ならライダーが有利なんだよォ!!」

慎二「即席でコンビを組んだサーヴァントどもが、僕のライダーと宝具に勝てるわけがない!!」


うしお「セイバー……とら……!!」


慎二「お前たちもサーヴァントもこれで終わりだな!!」

慎二「苦しまないように一瞬で殺してやるよ!! やれライダー、手足一本残すなよ!!」

159 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:47:01.47 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル上空


ライダー「速さ比べは同等ですか。やりますね、獣のサーヴァント」

とら「おめえもな、馬乗り。その乗りモンなかなか速えじゃねえか」


慎二「やれライダー、手足一本残すなよ!!」


ライダー「……どうやら余興はここまでのようね」

ライダー「私の真の宝具は強力で、使えばどうしても人目につく……」

ライダー「けれど、この雲の上なら覗き見される恐れはない」


セイバー「それが貴様の宝具か、ライダー!!」


ライダー「えぇ、この子は優し過ぎて戦いには向いていない」

ライダー「こんな物でも使わないと、その気になってくれないのよ」

ライダー「消えなさい!! セイバー!! 雷獣!!」


とら「馬乗りがつけあがりおって」

セイバー「…………」

セイバー「トラ、私の魔力は残り少ない。そこで貴方の力を貸して欲しい」

とら「何だァ? ……へっ、面白えじゃねえか。ドジるなよ剣使い!!」

160 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 22:54:15.59 ID:NYL2IYmQ0


セイバー「風よ……!!」

とら 「雷よ……!!」


とら「こいつの『剣』に落ちやがれええええ!!!!」


セイバー「こ、これが……!!」

セイバー(これがトラの雷……。凄い、これならば……!!)


セイバー「ライダー、この雲の上なら人目につかないと言ったな……」

セイバー「同感だ。ここならば地上を焼き払う憂いもない!!」


とら「黄金の剣、か」




ライダー「騎英の手綱(ベルレフォーン)!!!!」


セイバー「約束された勝利の雷剣(エクスカリバー)!!!!」



161 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 23:00:03.65 ID:NYL2IYmQ0


・間桐邸


桜「ライダー……」

162 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 23:08:22.11 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル屋上


凛「雨雲を、二つの金色が裂いていく……」


慎二「うひゃぁ!! 令呪が、令呪が燃えちまう!!」

凛「慎二……!!」

慎二「ひ、い、うぁ、あああああ!!」

うしお「間桐先輩が逃げる……!! 待てぇぇーー!!」

163 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/10/24(月) 23:11:31.51 ID:NYL2IYmQ0


・高層ビル前


慎二「はぁ、はぁ、はぁ……」

慎二「!?」


??「…………」


慎二「な、なんだよお前!! 邪魔なんだよ!!」


??「『黄金の剣』に『黄金の獣』か」


慎二「ど、どけよぉ!!」グサッ

慎二「あ? あ……ぁ……」


??「『黄金』に相応しい英霊は我だけよ。フフ、ハァーハッハッハッ!!」

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 01:51:48.87 ID:A5vUc1khO

胸熱
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/25(火) 05:15:52.03 ID:VkPkCSmeO
乙ー
166 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 12:58:06.24 ID:7BTo5MIr0


【第十三話 冬の城へ 】

167 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:06:03.03 ID:7BTo5MIr0


・蒼月家、庭


とら「は? わしに乗りたい?」

真由子「とらちゃん、セイバーさんを乗せて飛んだって聞いたよ〜!」

とら「それがなんだよ」

真由子「次は私だよ〜〜!!」

とら「なんでそうなるっ!?」

凛「いいじゃない、とら。井上さんには学校の結界でお世話になったんだし」

とら「おめえら、そもそも妖と人間ってのはな……」

凛「令呪に告げる、聖杯の規律に従い……」

とら「こっ、こら!! 馬鹿かっ!! んなことで令呪を使うんじゃねえ!!」

凛「ふふ、分かればよろしい」

とら「ちっくしょ〜。もう好きなだけ乗りな」

真由子「やった〜〜!!」

168 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:12:03.27 ID:7BTo5MIr0


セイバー「ト、トラ……」

とら「ああ? なんだよ?」

セイバー「いや、その……」

とら「今わしはこの女の乗り物やるので忙しいのよ。何か用か?」

セイバー「その、実は私は、昔ライオンを飼っていてことがあって……」

とら「何の話だよ……」

セイバー「その、良かったら、また私も……」


凛「あら蒼月君。散歩にでも行くの?」

うしお「……遠坂先輩。あぁ、ちょっと出て来るよ」


セイバー「ウシオ、私も」

凛「いいわセイバー。今は一人にしてあげましょう」

セイバー「リン、ですが……」

凛「これは聖杯戦争なのよ。ああいう事だってあるわ」

セイバー「はい、そうですね」

169 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:22:01.13 ID:7BTo5MIr0


・ブランコのある公園


イリヤ「家に居ないと思ったらこんな所に。こんにちは、ウシオ」

うしお「イリヤ……」

イリヤ「浮かない顔してるけど、何かあったの?」

うしお「い、いや、何でもないさ。さーてと、そろそろ帰らないとなァ」

イリヤ「ライダーのマスターを倒したヤツの事を考えてたんでしょ」

うしお「あぁ、オレたちが救急車を呼んだりして命は助かったみたいだけどよ……」

うしお「ってイリヤ、なんでそれを!?」

イリヤ「フフ……」

うしお「……うっ、あぁ……」

イリヤ「あ、もう金縛りになったんだ。ウシオったら『護り』も何もないんだもの」

イリヤ「こんなに簡単に捕まっちゃうなんて、カワイイなぁ」

うしお「イ、リヤ……!!」

イリヤ「オヤスミナサイ……ウシオ……」

うしお「ッ……!!」

170 : ◆I4R7vnLM4w [sage saga]:2016/11/13(日) 13:30:17.87 ID:7BTo5MIr0


うしお「やめろよ、こんなこと……!!」

イリヤ「へぇ、このぐらいの魔術なら精神のほうは耐えれるんだ」

うしお「カラダが動かねえ……。朏(みかづき)の陣をかけられたときみてえだ……」

イリヤ「無駄よ。魔術師じゃないウシオにそれは解除出来ないわ」

うしお「イリヤ、オレをどうする気だよ……?」

イリヤ「フフ、前にも言ったでしょ? 私のお城にウシオを招待するの」

うしお「城……。そうか、確か国道の向こうとか言ってたっけ……」


うしお(そこに行けば、イリヤにマスターをやらせてるヤツに会えるんじゃ……)


うしお「イリヤ、魔術を解いてくれ」

イリヤ「ウシオは面白いことを言うね。そう言われて解除するはずが」

うしお「イリヤの城へ行く」

イリヤ「えっ……」

うしお「いや頼むぜ、イリヤの城へ行かせてくれ」

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