叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」

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109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:23:22.45 ID:U/6nxyQRO
ズサァッ…!

清掃「オトコ!ぞたういびほぜもむのねひぎなひ、だよ。途中で間違ったよね!」

「あ、あの…ちょっと…」

男「…ぞたう…」

男「ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオ!!」カッ!!

「ひぃいいいいいい!!!?」

清掃「ナイス! さあ学校はもう目の前だ、行っておいでオトコ!!」

男「ああ行ってくるッ! 有難う、我が友よ!」ダダッ

清掃「うんっ! ファイトヨー!」ちゅっちゅっ

「…………」ぽかーん

清掃「さて、帰ろっと」ガチャン


ドルゥン ドルゥン ぶびっ ブィイイン


「……なん、なななん、なな…」

『あのー? きこえてますかー?』


第四話 終
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 22:24:02.06 ID:U/6nxyQRO
気まぐれに更新ノシ

次は二話連続です、宜しくお願いします
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 22:51:25.39 ID:93bFIBAA0
ケルケルくん好きだわ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 20:15:56.57 ID:tyyRxUKLo
でも台詞が大変そう
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/16(木) 08:41:55.89 ID:42HwMNTe0
まだかー
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 18:47:53.07 ID:yheg8Zf30
はよ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 08:15:47.27 ID:VX+RCdKB0
一ヶ月たつぞ早くしてくれ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/28(木) 01:38:50.17 ID:7vetUMhU0
面白いのに出会えた!と喜ぶ
でも放置される作品が多いの
勿体無いな
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 07:07:46.28 ID:6YIIaBcX0
まだかあ
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/04(日) 06:05:34.92 ID:5/qpadKn0
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/23(金) 18:22:16.10 ID:6/2XRr6Z0
はよ
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/25(日) 05:47:51.70 ID:FlsfUqEx0
書かないなら削除しろ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/06(木) 04:00:24.43 ID:Ul/dxfQY0
しんで
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 10:31:59.16 ID:Q/X+YRGGO
もう死んでて書けないんだよ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/10(月) 20:34:28.08 ID:Srov+a6O0
は?
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:37:34.50 ID:t4eqgCHaO
ぽちょん ぽちょん


男「ぐぬぬ、うぬぬ、うーぐ」もぞり

ポチョン

男「………」モゾ


── ケタケタ キヒヒ アハハ ──


男「……!?」バサァッ

男(き、気のせいだよな、絶対に絶対で気のせいだよな!?)キョロキョロ


ぽちょん!


男「ひぃっ!?」ビクゥウウ

男(ああ、くそっまた水漏れしてるじゃないか。まったく何度締め直せば気が済むんだっ)ストン

男「これでよしっと」ギュッギュッ

男(早く寝ないと…明日も学校だし、委員長としての仕事もあるし…)スッ

男「バカなこと考えてないで、ちゃんと頑張らないと──」チラ


──ピチョン


男「…え!? あああああああああああああああああッッ!!!???」


翌日 スタッフルーム

受付「ゆぅ〜れぇ〜いい〜?」バリボリボリ…

男「もうもう何度何度締めても締めても水漏れ水漏れでぇ!?」

受付「あーうん、必死なのはわかる。けど状況が水漏れしか分からないよーう」セイセイ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:38:35.01 ID:t4eqgCHaO
男「アレは絶対に幽霊の仕業なのでは!? 何とかして下さい受付さんッ!」

受付「なんとか言われてもお姉さん困っちゃうんだけどなぁ、あ、ケルケル君?」

清掃「ん? ハーイ! どしたのフォクシィ?」スタスタ

受付「ちょっと聞いてよ、男くんってばまた幽霊みたんですって」

清掃「ワオ! オトコってば運イイネ! ボクまだ一度も見れてない! テラクヤシイ!」ニコニコ

男「ちっとも思ってない顔で言わないでくれっ」

受付「でも凄いよね。お姉さんも未だ音だけ、オーナーだって見たことないのに

清掃「ownerは信じてないだけっぽいケド」キョトン

受付「ありゃ信じる感情がそもそもないのさ。客だって騒いで問題になったのに」

男「問題なってる!?」

受付「苦情たんまりよ、黙殺して証拠隠滅してるけど。だからキミが何時だって使えるわけじゃんか、住まわせてもらってるんだから文句いわなーい」

清掃「掃除しなくて大変ラクチンね」ウンウン

男「だからケル君はそこでなんの掃除をしてたのか教えてくれ…ッ!」

受付「でも水漏れ程度ならケルケル君が直せそうじゃない?」

男「程度ってなんですか? 今までそれ以上なことがあったんですかッ?」

清掃「うん! まかせてオトコ、ボクならきっと安眠を保証できるよ! イッツオーライ!」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:39:15.48 ID:t4eqgCHaO
夜 44号室


清掃「──バルブが緩んでたので治しましたケド、どうだろー?」ゴソゴソ

男「これで水漏れしない…?」

清掃「平気と思うよ? パッキン傷んでたらバイしてくるし、ミズモレ程度なら安心楽ちんよ」にぱー

男「そっか〜…」ホッ

男(……。冷静になってみると、何を水漏れ程度で幽霊幽霊と騒いでたのだろう。凄くケル君に申し訳ないなあ)

男「その、ありがとねケル君。俺の我が儘につき合わせちゃって」

清掃「ノンノン、気にしないのがトモダチだから!」

男「ケル君…!」

清掃「でもやっぱ、シャワールームの水漏れはチョット意味わかんない。アレ謎すぎだよ」ニコニコ

男「唐突に新情報出さないでッ!? シャワールームも!?」

清掃「あ、あれ? 知らなかったの? むしろそっちの赤い液体ドロップを怖がってるとばかり…っ」アセアセ

男「ひょおおおああああああ!!」メキュメキュメキュ…

清掃「ひぁー! オトコが見たことない顔になってくよー!」


【怖すぎたので泊まってもらうことにしました。】
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:41:30.30 ID:t4eqgCHaO
男「け、消したの方がいいの? 前に電気は消さない方が良いって…」

清掃「ヘイキ! ユーレイなんてボク信じないから! どーまんせーまんだよ、オトコ!」

男「う、うん、台詞はアレだけど度胸は頼もしいね…」

──パチン

清掃「えへへ」ニコニコ

男「? どうしたの、うれしそうだね」

清掃「とってもなつかしーフンイキなのです。ボク、故郷で兄弟たくさんで小さな部屋で寝てた!」

清掃「今それをちょっと言いたかったの、オトコにね!」ニコ

男「ふーん、そうなんだ。ちなみにどれくらいの大きさだったの?」

清掃「ここの三分の一ぐらい?」

男(やべぇ…軽く想像を超えてきたので、気安く感想を言いにくい…)

清掃「ジャパンは高く細く家を造るからすごい」フンスー

男「そ、そうだね日本ってやるときゃやるよね…」

清掃「あ。そういえばオトコはどうだったの?」もぞり

男「ん? なにが?」

清掃「前の家ね。ココ来る前はどんな感じの部屋だった?」

男「──……」

男「いや、別にフツーの部屋だったよ、特に何も無い、かな」

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:42:00.75 ID:t4eqgCHaO
清掃「そうなの?」

男「兄妹も居なかったし、両親も毎日仕事で家にも居なかったから、あれだね、中学生の頃は友達よび放題」

清掃「……」

男「休日前になんて、男の友達と真夜中にお酒を飲んだりしてさ。べろんべろんに酔っぱらって大変だったよ」

清掃「……」

男「え、えと、そんな感じだったんだけど…?」チ、チラリ

清掃「すっごい楽しそう! ケルケルも一緒にいたかったそこ!」ぱぁああ

男「あ、うん! お酒は懲り懲りだけど、今度はココで一緒にやろうよ」

清掃「うん! やろうよ、ね!」ニコニコ


ぽちょん


男「今の音って、」ババッ

清掃「──オトコ、静かに」シッ

ぽちょん

男「シャワールームから、だよなコレ…うわっ…どうしようどうしよう本当に…!」

清掃「大丈夫、安心して。ボクが居るからヘイキ」スサササッ

清掃「ボクが見るよ、怖くないしヘイキだし、オトコはそこで待っててね」コソーッ

男(ケルケル君…っ!)

清掃「どまーんせまんッ! わるいごはいねがァーッッ!」がぱぁ

男(色々間違ってるけど威勢は格好いいよ!)

清掃「……」

男「…? け、ケル君? どうしたの固まって──」

清掃「…ファック…」スッ ばたこぉーん!
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:44:06.46 ID:t4eqgCHaO
次の日

受付「ありゃ重傷だ。想像してみ、あの温厚なケルケル君がさ、流暢な英語で罵詈雑言の場面をね」

男「ハイ…マジ気安く頼んでスンマセンでした…っ」ドンヨリ

受付「君がダメージ受ける必要ないのに、どったの?」

男「いえ、無視してください…儚い俺の夢が砕け散っただけの話です…」

受付「うむぅ、にしても見逃せない状況になっちゃったなぁ。従業員が認めちゃえば対策を講じないとね、流石にさ」

男「…何か案でもあるんですか?」

受付「御札貼ろっか。あと部屋の隅に塩盛って、部屋の空気の出入り口にちょっとお高いお香を焚いてみよう」スッ

受付「そういや昨日の晩酌のお酒、残ってたっけ。神棚上げてないけど、まっいっか」

男「え、えっ? あれ、意外としっかり考えてたんですねっ?」

受付「おいおい、失礼なやっちゃなチミ。言っとくケドお姉さん、これでも現職の巫女さんよ?」

男「はぁっ!? 嘘でしょそんなん!?」

受付「ハイ傷ついた〜〜お姉さんのやる気全てその反応でブチ折られたので、もう帰りまーす」

男「ま、待ってください! ごめんなさい! 謝りますから、どうか戻ってきてください! 何でもしますから!」

受付「…いったなぁ〜?」キラリン


夜 44号室


男(確かになんでも、とは言ったけども…)

受付「ほれっ、もっとツマミもってこォーい! ゲラゲラゲラゲラ!」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:44:41.51 ID:t4eqgCHaO
男(一晩、晩酌につき合えって。後で使うっぽいお酒飲んじゃってるし、しかし無碍にしても解決しない…)

受付「げぇえぇぷ」プヒー

男「……。敢えて突っ込みますけど、豪快ですね本当に」

受付「にゃははー、おねえひゃんらんはぁ〜すろいのれす!」

男「呂律ヤバいヤバい。…だ、大丈夫なんすか?」

受付「んぐっんぐっんぐっ──ううん、大丈夫じゃない、明日地獄みると思うよん?」

男「なら何故そんな無茶を…」

受付「知らないのー? 騒ぎは一種の厄払い、だから世の中にお祭りって概念があるんだから」

受付「人が居て、皆騒いで、血の通った空間は、吹き溜まった厄を洗い流すの」コトリ

男「へぇ〜そりゃ凄いっすね、なんだか格好いいです、受付さん」

受付「ほめろー! もっとお姉さんをうやまえー!」

男「へへぇ…どうかご贔屓にお願いしやす…へへっ…」トクトク…

受付「ん…」

男「でも、これぐらいにしておいて下さい。あんま飲み過ぎて辛い目にあってる姿も見てて辛いですし」

受付「ん? んん、うん…」くいっ

男「って、聞いてねーなこの人。ま、まあ除霊的なことしてもらってる立場ですし多くは言いませんけども…」

受付「……。なんか、きみ、イイね」ジッ

男「へっ?」びくっ
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:45:10.92 ID:t4eqgCHaO
受付「慣れてるじゃん、めんどーな大人の相手シカタさ。前から思ってたけど、本当に高校生なりたて?」ジィー

男「そう、ですけど、いやっ一週間前ぐらいにみたでしょ? 俺の制服姿を…」

受付「くす、そうだったね。確かに、そうだった」ニコ

受付「でも好きだよ。君のそういった気苦労多そうな部分、魅力的だと思う」クス

男「──ゴクッ」

男(はぁうっ!? な、なんだこの空気!? 視線逸らしたいのに逸らせない!)

受付「……」じぃー

男(どうして無言で見つめてくるんだ!? やばい、何がやばいか知らんがとにかくヤバい!)

受付「どしたのよ、見るからに緊張しちゃってさ。いつも余裕ある君らしくないじゃん」ススス

男「なっなーに言ってるんですかーっ? 意味不明ッス、理解不能ッス、全くもって!」ススス

受付「──意識、しちゃった? お姉さんと一緒の部屋に、二人っきりだもんね」ズズズイッ

男「あっははまっさかー! んな冗談はたち悪いッスよほんっとにぃ〜〜〜……っ!」ズサァッ

トン!

男(おぅあ!? 壁まで追いつめられたァ!?)

受付「……」

男「…な、なんですか…?」ダラダラダラダラ

受付「──騒ごっか?」ニヘラ

男「え”っ?」

受付「ふたりでいっしょ、おんなじことシて、わいわいきゃっきゃって──お姉さんと、君で」スッ ぐいっ

男「や、厄払いって意味でっ? うぉおっ?」ドサッ

受付「んふふ。そうそう、二人で一緒に厄払いだよ〜〜」すとん
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:47:03.77 ID:t4eqgCHaO
男「……何故、俺の腹の上に座るんスか……」バクバクバク…

受付「君に、近づかなきゃ騒げないからじゃん、ね? 後のことはお姉さん任せで良いから…」スススッ…

男「うッ、受付さんッ!? それ以上は流石に変な感じにッ、つか服を捲るのは一体どんな理由があって…っ!?」

受付「ほほぉー…」コショコショ

男「わぁひぃ!!??!」

受付「やるやないの、君。ちょっと驚いた、坊ちゃん育ちかと思ってりゃ中々どうして」サスサス

男「だぁーーーーッッ!!」びびくん

受付「くふふ、おなか触れて「だぁー!」とか叫ぶ人はじめて見たし。ね、ね、じゃあこっちはどぉーかなぁ〜?」

男(くひっ、おひぇっ!? っっっ……た、耐えるんだ俺最後までッ! ここで機嫌損なわせる訳にいかないのだ!)

男(知ってる、分かってる、この状況がモロに危ない一歩手前だということはッ! しかし…ッ)

男(しかし、だ…ッ!!)チラ


ぽたり ぽたり ぽたぽた…


男(──シャワールームのドア隙間から水がこぼれ落ちてるんですけど! なんか真っ赤な奴が!)ゾゾゾォ

受付「こことかどぉ?」


ビシャッ! バシャバシャ…


男「わあああああああああああああああッッ!!??」

受付「絶叫は凄すぎ、敏感すぎでしょー」ケラケラケラ

男(しくされこの…っ…のんきに笑っとる場合かアンタ!)

男(だが、後ろの状況を知られ逃げられたらかなわない…ッ! 耐えろ、迎える転機までこの状況下を…っ)
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:47:51.39 ID:t4eqgCHaO


──ぴちょん


男(…? なんだ、音が収まった?)

受付「ふむふぅー、たいへん満足した。やっぱ若いこ良いなぁ、ふれてるだけでお姉さん元気になっちゃうなー」

受付「──それじゃ、いただきます」ぱん

男「って、ちょ、ちょっとぉー!? 今、はっきりと不可解な言葉を発しましたよねアンタぁー!?」

受付「大丈夫。ヒドいことはしないしなーい」ズリズリ

男「きゃああああああああああ!!!!」

受付「うへへ…生娘でもあるめーし、なまっちょろい悲鳴あげてるんじゃねーよ…かまととぶりやがってぇ…」ウェヘヘ

受付「ここは正直に身を任せなさ───」

男「っ…っ…っ…」ぶるぶるぶる

受付「──妙に怖がってると思ってたけど、きてたか幽霊っ!」

ばばっ!

受付「今日こそ年貢の納め時! 現職巫女さん厄払い、世に残った残留思念ぱやっと祓ってみんぜようッ!」



叔母「……」



受付「そして続きをぱぱっとはじめ、ちゃ、…う」

叔母「…で?」シュボッ

受付「……………………」ダラダラダラ

叔母「何か、ほかに【お前が】言い残す言葉は?」フゥー

受付「え、ダーイ…な、感じ…ですか…?」

叔母「ダァ〜〜〜イ、だなぁ」ぷかぁ

受付「──ほんっとすみませんでしッぷげらぁッッ!!??」ゴッッ!!

叔母「お、いいの入った」ヒュ〜

男(高速土下座に膝の超反応カウンター…えぐい…)
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:50:50.32 ID:t4eqgCHaO
〜〜〜


叔母「私は怒っているよ。珍しく君にね」

叔母「──居もしない幽霊で周りを騒ぎ立てて、経営に支障が出たらどうするつもり?」

男「で、でも…っ」

叔母「話を聞く限りじゃ、水漏れ程度で騒いでたらしいじゃないか」

叔母「ケルケル君だって「ナニモミテナイヨ」と断言していたし」

男(忘れてたいんだろうなあ…深く追求するのは可愛そうだから良いけども…)

叔母「いい加減にこれっきりにして、二度と騒がないように。良いね?」

男「わかり、ました。本当にすみませんでした…」ペコリ

叔母「素直に謝るのは良いことだ。許そう」ウム

男「…ありがとう、ございます…」ションボリ

叔母「まあ、あのさ。君がこの部屋が嫌なのは別にかまわない」

男「……」

叔母「今日から私と一緒に住めば良いと思うんだけど、どうかな…って」チラ

男「あの。ちょっと良いですか?」

叔母「何?」キラリン

男「少し気になってることがあって。ごめんなさい、もう一回だけ幽霊の話題を掘り下げさせて下さい」

叔母「…………、どうぞ」ムスッ

男(ううっ、やはり機嫌を悪くさせてしまったか。けど気になってる「あの現象」は追求しておきたい)

男「叔母さんは一度も、幽霊的な現象を見たことないんですよね?」

叔母「いないよ、そんなモノは」

男「…そうですか、だから気になったことが一つだけ」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:51:28.67 ID:t4eqgCHaO


男「音が、鳴り止んだんですよ。叔母さんが44号室に訪れた途端に」


叔母「水漏れが収まったって? へぇ、それが何?」

男「ほぼ、毎日ラブホに来てるハズの叔母さんが幽霊未経験で、なのに受付さんやケル君は少しばかり経験してる」

男「つまり、これらに繋がりがあるとは思えませんか?」

叔母「まったく感じない」フリフリ

男「です、よね。こじつけにも程があるし、それじゃあまるで怖がっているのは【幽霊のほう】になるし…」

叔母「……」ぴくっ

男「そんな馬鹿げた話あるわけないっすよね、ごめんなさい」ペコ

叔母「……………」

男「……、ん? え?? ある、んですか…? その可能性…が…?」

叔母「……………、無い!」

男「うそつき! 叔母さんの嘘つき! 可能性感じちゃってる顔してた絶対! 絶対に絶対に!」ビシッビシッ

叔母「あれ…おかしいな…胸ポケットに入れた煙草がなくなってるなぁ……」キョドキョド

男「年がら年中タンクトップだろうに!」ジトー

叔母「いやっ違う、だってあり得ないからっ、そんなことっ」

男「何を隠そうとしてるんですか」じぃー

叔母「……………」ダラダラダラ

男「本当は幽霊が実際に居ることを隠してるんじゃ…」

叔母「それは本当に知らない! 私は…っ」

男「──それは?」

叔母「あが、ぱく、うぅ〜〜っ……はぁ〜〜……っ」カックシ


従業員室

男「──幽霊じゃない…? それどういう意味ですか…?」

叔母「私が知ってることは一つ、過去に、悲惨な目にあった女性が居たってことだけ」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:52:36.74 ID:t4eqgCHaO
男「44号室で、ですか?」

叔母「今からだいたい十数年前に、とある学生カップルがラブホテルを使用したんだ」シュボッ

叔母「二人ともラブホテルは初体験らしくって、そりゃもう楽しみ半分緊張半分で44号室に訪れたらしい」

ふぅー

叔母「そして悲劇が起こったんだ…」

男「いきなり!? い、一体どんな悲劇が…!?」

叔母「うん。フられたの」コクコク

男「…はいっ?」

叔母「彼女のほうが、ココに来ていきなりフられた。実は彼氏のほうが常々鬱憤が溜まってたらしくて…」

叔母「ラブホテルまで着といて、彼女がうにゃむにゃ難癖付け始めたんだ。やっぱり私たちには早いよ、みたいな感じで」

男「それで呆れた彼氏さんが、その彼女さんをフったと…? ここまで来ておいて…?」

叔母「結果論だけど、どっちもどっちだよね」

男「いやっ、まあ確かに悲劇的っちゃあ悲劇ですけどその別れ話がどう幽霊騒動と繋がってくるんですかっ?」

叔母「この話には続きがあって、フられた方の彼女が周りに自慢してたんだ。とうとう彼氏が出来た、今度ラブホテルに行っちゃうって」

男(女子って自慢するんだ、そんなこと)

叔母「でも結果があれだったことで失墜したまた呆然と44号室に佇んでた彼女さんの所に…」

叔母「──当時、彼女の先輩で、極秘バイト中だった私が掃除にやってきた」

男「うわあぁぁ〜〜……」

叔母「あのときの、彼女の顔は忘れようにも忘れられない」フゥー
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:55:03.31 ID:t4eqgCHaO
男「……。え、えっと、もしかしてその…?」

叔母「それからだったね。幽霊騒ぎが出始めたのって」

叔母「そう、その時の彼女のショックもとい【怨念】が44号室に染み着いたと言っても過言じゃないんだ」グリグリ

叔母「特に私が来たら超常現象が収まる、ってところが関連性が見受けられるし」

男「んな馬鹿な話が…」

叔母「馬鹿な話なんだよ。でも原因を突き詰めると必ず、あの日からでしか考えられない」

男(そりゃ叔母さんも認めないよなあ…)

叔母「ちなみに、そのフられた彼女である私の後輩は元気だから安心して」

男「あ、そうなんですか…生き霊って奴なんですかね、よくわからないですけども、生きてるならよかったです…」ホッ

叔母「というか君の学校の教師だけれども」

男「ぐッ……ここにきてまさか聞かなきゃ良かったと思わされるとは……ッ!!」

叔母「後輩と色々話してみたけど、全く認めないしむしろしつこいと、嫌われちゃったしさ」

叔母「出来ればこの話はもう金輪際したくないんだ、個人的に」

男「…はい、わかりました。でも原因だけでも知れて良かったです」

叔母(これは一緒に住むと言われる流れかな?)わくわく

男「でもやっと安心しました、ならここで住み続けても平気ですね!」

叔母「今日は記念にぱーっと出前を──うん?」

男「ただの怨念程度で起こる現象なら、なにも怖くない。俺が一番怖いのは正体不明なことなんで」ニコニコ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:56:00.90 ID:t4eqgCHaO
叔母「え、え、えっ? あれ? あの、でも超常現象は起こっちゃうかもだよ…?」

男「でも叔母さんの後輩が原因なんでしょう?」キョトン

叔母(え、なに言ってんだこの子?)

男「というか実家の方がやばかったですよ、ガチもんでしたもん」

男「夜に誰もいないのハズの庭から酒盛りする声聞こえたりして。あと確実に戦時中の若い兵士っぽい会話だったり」

男「後で調べ尽くして、近所に特攻隊の基地があったのが分かって安心しましたけどね」

叔母「…ぇぇぇ…」ドンビキ

男「あ、そうだ。後輩さんのことも調べないとダメな流れかなコレ、こうしちゃいられない。明日から備えないとな」バッ

男「それじゃあ叔母さん、言い辛い事情話させてしまってすみませんでした! もう金輪際しませんので! ではっ!」


パタン


叔母「……うん」スッ

叔母「やっぱ、あの子すごいな」


【叔母は深く考えるのをやめた】


第五話 上編 終
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:58:19.64 ID:t4eqgCHaO
学校 教室 放課後

男「……」

女「……」

男「あの、女さん? 出来ればクラス委員長として意見を頂きたいんだけど…?」

女「ふん。貴方の好きにしたら良いでしょ、私のような不出来な人間の言葉より、貴方の意見のほうが通りやすいわよ」

女「…きっとねっ」キッ

男「そう、言われても。今回は委員長二人で今月のクラス目標決めるって話だったじゃないか」

女「なによ、不良のくせに優等生ぶっちゃって」

男「だからそれは誤解だ!」

女「なーにが誤解よばーかばーか! 日本全国どこ探しても、入学式当日に原チャリでぶっ転ける奴がいますってーの!」

バン!

女「なのにっ…誰一人信用しないどころか、私が何故か変な奴だと周りから思われる始末…!」ぶるぶるぶる

男「う、うん、えと大丈夫? 手痛くない?」

女「うっさいッ! なんでよ…なんでこうなるのよっ、どうして貴方が一年代表の最優秀生徒なのよ…っ!」

男「またその話か…」ハァ

女「このインテリ不良! 人を騙して悦を得る変態男子ぃー!」

男「ちょっと!? あんまり大声だすなってば…!」

女「なによ! 触らないでよっ!」バッ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 17:59:39.34 ID:t4eqgCHaO
男「いや、あんまり騒いでるとまた変人だと思われるんじゃないかなってさ…」

女「おぐッ」

男「あのね、入学式の日に一緒に謝られなかったのは本当に申し訳ないと思ってるよ。許してくれとまでは言わないから」

男「騒ぐのだけはやめとこう。お互いのために、俺は俺で君の手助けができればそれでいいよ」

女「…なによ、まったく」ブツブツブツ

男「…というか、君まで委員長になる必要あった?」

女「はぁっ!? そりゃあるに決まってるじゃない!」

男「てっきり面倒な仕事は全部、俺がやれってことかと思って」セイセイ

女「だって委員長って優等生っぽいじゃない…! なって損なんて考えられないし! 格好いいと思うの!」

男「……あぁ〜、そういう…」

女「今ッ、アホっぽい理由だと思ったでしょ…ッ!」ブルブル

男「いやっ!? 無い無い無い! まったくもって!」ブンブン

女「──私はならなくちゃダメなの、優等生に。ダメな大人にならないよう、これからずっと頑張らなきゃいけないのよ」

男「志は素晴らしいと、思う。それを初っぱなから挫かせてしまったのも申し訳ないと思ってます…!」

女「本当にその通りよ全く…」ハァ

男「なら、頑張って考えないと。今月の目標をさ、格好いい委員長としての最初の仕事なんだし」

女「元気な挨拶ぐらいで良いじゃないの」

男「言う割にはテキトウに決めるね、君。もっとこう他にある気がしない?」

女「じゃ貴方のほうには良い案があるってわけっ?」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:01:22.47 ID:t4eqgCHaO
男「……。この前、男子グループと女子グループが衝突した雰囲気があった」

女(え、全然知らないんだけど…)

男「周りは今後一切、その事は触れないでおこうって空気だけど、少し気になるし、仲直りを促す的なものにすれば…」

サラサラ

男「うん。これでどーだろう?」

女「『男女で挨拶を心がける』…えぇ〜? こんなの明らかに意識してますってアピールしてるようなもんじゃない」

男「…やっぱそうなるか」シュン

女「はぁーん、優等生不良は同級生間での雰囲気把握は苦手なようね、良いこと知ったわ」クスクス

男「………」

女「な、なによ? 急に黙って」

男「優等生不良ってどういう意味?」

女「私も知るかんなモン! 目標なんてちゃっちゃと決めて、雰囲気変えたいならもっと現実的なことしなさいよ!」

女「今月クラス目標なんて誰も気にしない。高校生にもなって小学生な無垢さ持ってるワケないじゃない!」

男「へぇー、じゃあ例えば何をすれば良いと?」ジトー

女「え、ぇえと、そりゃ考えてるわよ、勿論」

女「……。クラスの男女仲が悪いなら、代表的な男女が仲良くしていけば──どうのこうの上手く影響が広まったりとか?」

男「代表的な男女って?」

女「え? そりゃ君と私になるけど…」


男「……」

女「……」


女(あれ、突然なにを言い出したんだろ、私)ドキ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:02:02.96 ID:t4eqgCHaO
男「確かに良い案かも知れないな…」

女「…マジで言ってるのそれ?」

男「他に思いつく案があるわけでもない。よし、それでいこう」ガタ

女「ちょ、ちょっと本気なの!? わ、私と貴方と二人で、率先して仲良くするってことよそれ!?」

男「良いじゃないか、むしろ望んでた機会だと思ってるし」

女(な、なによその行動力は)

男「? なにしてるの? 早く一緒に帰ろう、確か同じ方向の駅だったよね」がらり

女「へっ?」

男「早いうちから始めていこうじゃないか、仲直り作戦って奴」

女「……あ、うん…」ぽかん


数日後

女(──うそでしょ、本当に?)キョロ

わいわい がやがや

女(たった数日で、確かにギスってた雰囲気が収まった気がする。これも作戦のお陰…?)

「ねえねえ女さん。ちょっといい?」

「あの噂ほんとっ?」

女「へいっ!? な、なんのことかしら…っ?」

「委員長二人がつき合ってるって話だよ〜」

「よく一緒に帰宅してるの、見てる人多いよ〜?」

女「──…ハァッッ!? んなワケ、もがぐごっ」ぐいっ

男「すぐ大声出すのは悪い癖だよ、女さん」しぃー
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:04:24.97 ID:t4eqgCHaO
女「けほこほっ、貴方ねえちょっと力加減考えなさいよ!? 死ぬかと思ったじゃない!」

男「あ、ごめん。でも、いつも女さんは唐突に騒ぐし…この前も…」

女「あーっ!? ゲーセンの時のやつまだ言ってるの!? クレーンゲームで景品とれて騒がない方がばかじゃない!」

くすくす

女「そればっかりは貴方が納得するまで言い続け──…え、何よ?」

「ねー、やっぱ付き合ってるよねww」

「お幸せにー」フリフリ

女「なぬッ!? なにを馬鹿なことを言って…! かふッ!」グイッ

男「…ちょっとこっち来て」ズリズリ

廊下

男「否定しても良い、けど必死になって騒ぐのはダメ。わかった?」

女「必死に否定しなきゃ勝手に勘違いされるでしょ…!? さっきみたいに!」

男「だったら言われる度に否定すればいい、躍起になって作戦内容を暴露しない自信あるの、女さん」

女「……、何気に私の扱い方わかってきてるわね、貴方」

男「自分で言うな。ほらそーいうところだ、この数日で君がどれほど率直に物事をぶっちゃけるかを身を持って理解したんだ」

男「もう少しだけ我慢して。嫌だろうけど、あとちょっとで今の雰囲気なまま定着しそうな感じはするから」

女「う、うす…」コ、コクコク

男「後で散々に俺のこと罵倒してくれ良いから、それじゃあね」フリ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:04:54.11 ID:t4eqgCHaO
スタスタ…

女「ま、待ちなさいよっ。 …貴方の方はそれで良いの? 周りから勘違いされたままでも」

男「自分は平気。慣れてるから」

女「…変な返事しないでよ、不安になるじゃない」

男「うーん、でも、嫌な気はしないよ? だって女の子と付き合ってると噂されるのは男として悪くないし」ポリ

男「あとで散々ボロクソに言われる前提だったとしてもね、うん」ニッ

男「じゃあ、また放課後で」フリフリ

女「………」ムスッ

女(なによそれ、変に意識してるの私だけみたいじゃないっ)プンスカプン

女(フン! 良いわよ、だったら私なりのやり方で楽しんで行こうじゃない。始めはそうね、貴方の余裕綽々の顔剥いでやったるわ!)


〜〜〜


男「どうしたの? 急に自転車で帰ろうって」

女「送って行きなさいよ、私のこと」

女「それぐらいお手のモンでしょー? 原付で二人乗りしてた奴が、規則が〜〜なんて生っちょろいこと言わないでよね」ぷいっ

男「これ、荷台無いけど大丈夫?」

女「え”?」

男「流石に後ろをスカートで立ち乗りは辛いと思うけど…?」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:06:39.09 ID:t4eqgCHaO
ギィ ギィギィ…

女「ふぬりゅうううううー!!」ギィコギィコ

男「アンタ本当にガッツというか諦め悪さ凄いよね…」グラグラ

女「やるといったらッ、やるッ、んのよぅ! どうッ!? 参ったかしら!?」ブモモォーッ

男「う、うん、今ちょっと女子としてやらかした顔してるけど概ねオッケーです」コクコク

〜〜

女「ん」グイッ

男「え、何? 弁当箱? これ、くれるの?」

女「作ってきたわ、超! 完璧にね、代わりにアンタの食べさせなさいよ」

男「……」スッ

女「どうも。じゃない! ふん! 有り難く思いなさいよね! …どれどれ…」シュルシュル

ぺかー!

女「え…超綺麗…」ぽけー

男「がりぼりがりっ、すげぇ…全部の卵焼きの中に巨大殻入ってるんですケド…カルシウムばっちし…」

女「くッ! いいわよもうッ、交換は無し! ハイ終わり!」ササッ

男「あ。でもご飯の炊き方は凄い好みだ、いいよね固めに炊くの」のほほん

女「あぐっ…あ、ういッ…いいわよね、固い方が口触りいいし…お姉ちゃんもそっち好きでさ…」モジモジ

男「うんうん。どうせなら二人の弁当分のオカズ合わせて食べようか?」

女「…うん」コク

〜〜

女「──…」ボォー

女(今日は何をしよう。一昨日はカラオケで点数超えてやったし、中間テストの見直しもやっちゃったし)

女(あ。そうだ、まだケータイのアドレス知らないじゃない)ハッ

女「くくく、さすれば機会が多く訪れるというものよ…」ケケケ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:08:14.96 ID:t4eqgCHaO

カァーカァー


女「…遅いなぁ、アイツ…」ボソリ

女(何してるんだろ、この時間帯いつもならすぐに教室に来るのに)

がらり

女「! ばかねっ、この私を待たせるなんて良い度胸じゃない!」バッ

女「今日という今日は堪忍袋の尾が切れたわ! 駅前クレープおごりジャンケン、受けて立ってもらうわよ──」チラ


女姉「ずいぶん楽しそうね、貴女」


女「──おね、ちゃ!?」サァーー

女姉「失言よ、それ。学校では絶対に姉と呼ばないよう散々注意したのに、まだ理解できてないの?」

女姉「ちゃんと先生と呼びなさい。良いわね」

女「ご、ごめんなさい先生…」シュン

女姉「もういいわ。無駄に残ってないで早く帰りなさい、折角、私が親に掛け合って塾を免除させてあげたのに」ハァ

女「…はい…」

女姉「貴女が自主勉強を頑張ると言い切ったの、忘れたのわけじゃないでしょうね」

女「……」コクリ

女姉「──でも、今回の中間テストは良かった」

女「えっ?」

女姉「勉強したのね、ちゃんと。しかしまだ甘い、ニアミスの酷さが教員連中で話題のネタになるぐらい酷かったわ」

女「…ウッス…」

女姉「けれど個人的に評価してあげる。貴女の頑張りは認めるわ。きっと良い──」

女姉「──良い、クラスメイトが居たのね」フッ

女「……!」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:08:46.67 ID:t4eqgCHaO
女姉「暗くなる前に帰りなさい。良いわね、絶対よ」

女「あ、おね、えぇと先生…!」

女姉「なに?」クル

女「あ…その…えと…これからも、頑張りますっ」ピシッ

女姉「くす。ええ、勿論。だって期待の妹ですから」ニコ


電車内

女(えへへ、お姉ちゃんに褒められちゃった)デュフフ

女(しばらく嬉しさに呆然としちゃってて、さらに帰宅時間が遅くなったのは我ながらアホっぽいけど…)

すたすた

女「頑張ったね、だって…期待の妹ですから、だって…んふふ〜」ニヨニヨ

女(でも、あれかしら。認めるのは癪だけど、ほんの数歩は貴方のお陰って考慮しても良いかもね)クス


がたんことーん がたんことーん


女「……今日のこと報告したら、なんて言うかしらアイツってば」

女(なーんてね、お姉ちゃんのことも知らないだろうし、言っても意味不明だけだろうし)

女「ってあれ!? 既に降りる駅通り過ぎてない私!?」ガバァッ

ぷしゅー
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:10:03.68 ID:t4eqgCHaO
女(やばいやばい! これ以上遅くなったらお姉ちゃんが先に家に着いちゃう! 早く対向車線に乗り換えないと…!)

女「はやくはやく───」ダダッ


女姉「……」

男「……」


女「───…ぇ…」

女「お姉ちゃん、に。どうして隣に、貴方が居て…」ピタ

女姉「…」スタスタ
男「…」スタスタ

女(そのまま駅を降りていく…? こんないかがわしい繁華街しかない駅で、二人でっ、どうして…!?)

女「…っ…」ゴクリ すた、すたすた…

〜〜〜

女(どこまで行くんだろう、というか二人は知り合いだった? 二人で一緒に出歩くぐらいに? いつのまにっ?)スタ…

女(いや、待って、でも確かに)


『──良い、クラスメイトが居たのね』


女(──お姉ちゃん笑ってた、あんまし人を評価しないで普段もピクリとも揺るがない鉄仮面お姉ちゃんが…)

女(知ってた、の? 誰に教わってたのか、一体誰が良いクラスメイトだったって…)

女「あ! 見逃してしまった…!?」キョロキョロ


たったったったっ
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/22(土) 18:11:28.82 ID:t4eqgCHaO
女(やだ、なんかやだ、こんなの嫌だ…っ)ドッドッドッドッ

女(これ以上追いかけたら駄目な気がするのに、でも、足は止められない───)

ババッ

女「………」ドサリ


『スィート・ラブホテル』


女「…あ…」


女姉「…っ…」スタ、スタスタ…

男「………」スタスタ…


女「…嘘、あはは…そんなの、だって…っ」

女「ッ…!!」くるっ ばっっ!


たったったったっ……


第五話 中編 終
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 18:11:55.52 ID:t4eqgCHaO
三日後ノシ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 19:04:09.02 ID:MkT9wMmMO
まだ読んでる途中なんだが一言いいたい
スレタイで敬遠してたがメッチャ面白いんだけど
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/22(土) 19:41:15.72 ID:sw2l5ml40
続きが気になる。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 02:03:01.35 ID:A9ZYyl18o
超待ってた
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/23(日) 04:56:19.09 ID:38V5B8E7O
どんだけ待ったと思ってるんだよ!
エタってなくてよかった
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 10:49:41.49 ID:+gGjxSgpo
おおっ!!来てる!!
待ってなんか居なかったけどスレ覗いたら更新が!!
叔母さんと一緒に住む流れに見せ掛けてわくわくさせたのは許さん
責任持って叔母さんルートも書きたまえ
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/23(日) 14:31:15.62 ID:UzCuB8vQO
えっと…これはつまり男と女は従兄弟?
従兄弟は結婚できるはず…
このまま女ルートに突入してほしい
でも受付ルートも…大穴でケルケルくんルートでも
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 03:53:38.38 ID:60CGWpVD0
諦めかけてた作品の更新を偶然知った時の嬉しさはパネエ

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:40:18.51 ID:m7QS7m8KO
【今から時は遡り…『入学式前日』】


女姉「……」スタスタ

「今日も凛々しいよな、女姉先生」
「もう歩く姿も完璧すぎて笑える」
「大学生の頃にいかがわしいサークルを何件もぶっ潰したらしいぜ」

女姉(まったく、噂をするなら耳に届かない範囲でしなさいよ。まる聞こえじゃない)フゥ

女姉(まあ…悪い気はしないけれど、せっかくのプラス評価に水を差すきはさらさらないわ)スタスタ

「女姉先生。今日も一段と歩き方が美しいですねえ」

女姉「それ、軽度のセクハラですよ校長。おはようございます」ペコ

「これはこれは手厳しい。おはようございます」

女姉「それで、何かご用でも?」

「ええ、明日は新入生の入学式ですから。確か貴女の妹さんが入学されるとか…」

女姉「はい。不出来な妹ですが」

「またまたご謙遜を。期待していますよ」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:40:45.38 ID:m7QS7m8KO
女姉(……、そうだ。あの子がとうとう入学する──中学で問題ばかり起こしていた妹が、私が教鞭を執る学校へ…)

女姉「けれど…」

女姉(大丈夫よ、私。この私が居る限り、妹には決して問題行動を起こさせたりしないわ)

〜〜〜

「おい!? 聞いたか、入学早々に一年女子が一年男子に喧嘩ふっかけたらしいぜ!?」

「ああ、しかも周りに舐められんようにと、目立とうとして救急車を体育館に呼び込んだんだろ…!?」

「やべえなマジでやべぇの来ちゃったよ一年坊…」


女姉「……………」


「…聞いた話によると女姉先生の妹らしいぜ…」
「まだ騒いでるって、一年女子。凄い気迫で喚いてるらしい」
「先生が完璧主義者なのって、妹さんを更正させる為らしいぞ」


女姉「………………………」ピクピクピクピクビクビクッッッ


「女姉先生」ニコニコ

女姉「こ、校長…! 今回の不祥事、教員立場という以前に姉として──」

「ええ、ええ、わかっていますよ」ニコ

女姉「え、いや、あの、…一体なにを?」

「私の【期待】、裏切らないようお願いしますねえ」ニッゴリィ

女姉「……ハイ……」ダラダラダラ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:41:44.58 ID:m7QS7m8KO
〜〜

女姉(これじゃあ私の完璧な人生設計に傷、いや罅、ううんそれ以上の影響が出てしまう…)ギリッ

女姉(妹に、あの騒動の理由を問いつめても意味不明なことばかりいう。なによ、復活の呪文で起きあがったってッ!)

ダァンッ!

女姉「──私はいつだって完璧じゃないと駄目なのよッ!」

女姉(なんとしてでも、今後の妹の問題の芽を潰す手段を考えないと…)グググ


ガラララ


女姉(…! こんな時間に生徒っ? しまった、さっきの殴打を聞かれた可能性が──)

男「あの、すみません…」コソ

女姉「──君、一年代表に選ばれた生徒よね?」

男「え、あっ、はいっ! 覚えていただいてたなんて嬉しいです!」

女姉(忘れるわけがないでしょう! 馬鹿妹が喧嘩ふっかけた張本人、ただの生徒ならここまで問題にならなかったというのに…!)

男「その、えーっと…」キョロキョロ

女姉「君、もう下校時刻はとっくに過ぎているのよ」

男「す、すみません! 実は部活動の勧誘を遅くまで受けてまして…断るに断りきれずこの時間帯に…」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:42:20.38 ID:m7QS7m8KO
女姉(うぐッ、超良い子そう。まったまったくあの子はなんでまた、こんな子に喧嘩売ったわけ…?!)

男「その〜無理を承知でここに来たんです。実は個人的なことで先生に相談がありまして〜…」チラ

女姉「個人的相談?」

〜〜

男「──というワケなんです、ええ」シュン

女姉(嘘、まさか本当にこの子が原付二人乗り事故を? あの子が言っていた通りの展開が起こってた…?)

男「今更、周りに真実を話しても信じてもらえずに、むしろ庇ってあげる必要ないと言われる始末でして…」

男「だから、こうなったらもう公式的に教師の方々から俺が起こした真実を発表してもらいたいんです!」

女姉「……」

男「どうにか出来ないでしょうか? このままじゃ彼女が可愛そうで…」

女姉(──駄目だわ、学校側が認めた代表一年が起こした不祥事を発表するなんて認めるわけがない)

女姉(こうなってしまえば話は別。むしろ妹が話題を肩代わりしてくれて有り難いと言わんばかり)

女姉(それにしてもこの子。わざわざそれを教師に提案しに来るなんて、ただのお人好しにしては…不可解ね)

男「あの? 先生…?」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:43:15.22 ID:m7QS7m8KO
女姉「……。君は彼女に謝罪がしたいのかしら、それとも周りの誤解を解きたいのかしら」

男「…どちらもです」

女姉「賢明な判断ね。けれど、良心の呵責から出た行動だとしても【学校側はなにもしない】が私の見解よ」

男「っ!? ど、どうしてですか…!?」

女姉「【君がそういう立場だから】。わかるでしょう? 君が起こした罪は簡単に周囲は認知できない、してはならない」

男「……」

女姉「だから──どうしたの?」

男「そう、ですか」スッ

男「有り難うございます。教師として、言いにくいこと敢えて言ってもらえて、改めてふんぎりがつきました」

女姉「私は…」

男「──一人で、頑張ってみます。何とか誤解が解けるように」ニコ

女姉(この子…まさか、始めからそのつもりで…?)ハッ

女姉(これ、は。決まったわ、今さっき咄嗟に浮かんだ名案が。きっとこの子ならやり遂げてくれるかも知れない──)

男「では、これで…」ガタ

女姉「待ちなさい! ううん、待って…! どうか最後まで私の話を、いや願いを聞いてほしいの…!」

男「願い…?」

女姉「そう、お願い。貴方でしかきっと出来ない、やり遂げられないことを教師として、一人の人間として…ううん」

女姉「──一人の姉としてお願いしたい
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:44:04.80 ID:m7QS7m8KO
数日後

「えー、今日はこのクラスでの委員長二人決める。誰か立候補、また推奨する者はいるか」

女「は、はいっ! 私が委員長に立候補します!」バッ

ヒソヒソ ザワザワ

「え、あっいやぁーそのだね、君は…」

男「自分も委員長に立候補します」ガタ

「えぇっ? し、しかし、でも君は…」チラ

女「……っ」ビクッ

男「他に誰か立候補する人も、推薦する者も居ないみたいですし。どうでしょう、このまま決めてしまっては」

「ふぇぇ…?」

男「──何か問題でも?」

「そうだそうだー早く帰りたいつーの」
「先生ぇも中間テストの範囲決めで忙しいっしょー?」


キーンコーンカーンコーン


女姉「……」スタスタ チラリ


女「っ〜〜〜! 〜〜!?」

男「……、…、……」


女姉(無事に二人、どうやら委員長になれたようね。これからも頼んだわよ、男くん)スッ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:44:54.35 ID:m7QS7m8KO
女姉(彼には妹の面倒を直で見てもらう。担任じゃない私では介入に限界がある、だから同士を見繕う必要性があった)

女姉「でも、よくこんな願いすぐさま承諾してくれたわね…」ハァ

女姉(──彼の謝罪と真実の露見、この件のお返しに私が手助けするとは言ったけど…彼にも無理に近いことは理解してるはず)


『もし、仮に君の願いが叶えられなかったら。また異なった願いを言って頂戴、出来る限りのことはするつもり』

『大人がそういうこと言わないで下さいよ。期待してます、先生』


女姉(大人、か。私もまだまだね、子供に諭されるなんて完璧主義者が聞いて呆れるわ)フッ

女姉「今更かもしれないけれど、立派な大人として、彼に良いところを見せなければ…」ツカツカ

〜〜

「聞きましたよ先生、あの問題の二人が委員長って話」
「ええ、今から胃がキリキリと…」

「やっかいごとは増やさないで欲しいもんですなあ。ただえさえ問題児が多い学校と噂されとるのに」
「過去にもいましたねぇ、繁華街のホテルで無断にバイトする生徒がおったりして」

「──まったく、学校にまで持ち込んで欲しくないもんですよ」

女姉「……」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:45:22.18 ID:m7QS7m8KO
〜〜

「女姉せんせーおはようございまーす」

女姉「あら。どうしたのかしら、今日は一段と良い挨拶ね」

「へへ、あのね? 一昨日からカレシと仲直り出来たんだぁ」

女姉「へぇ…」

「クラス中巻き込んでさ、変なフンイキになっちゃってたんだけど──ここだけの秘密だよ?」コソコソ

女姉「? なにかしら?」

(実はウチのクラスの委員長二人、付き合ってる噂で持ちきりなの。先生の妹さんでしょ? それって?)

女姉「え、あ、うん…?」

「あの仲悪い二人がそっこーで仲良くなってる姿みたらさぁ、ウチも喧嘩してたのばからしくなっちゃってww」

「──だから先生もはやく、良い人みつけなよー?」

女姉「馬鹿ね。大人を心配する暇があったら将来を悩みなさい、今度の中間テスト期待してるわよ」

女姉「……」

女姉(……。そこまで近づけとは言ってないのだけど、私は)

〜〜
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:45:54.83 ID:m7QS7m8KO
『ええっ!? な、なりゆきですっ! 誤解ですってば!』

女姉「君、嘘が露骨に声に出るわね。電話越しでも動揺顔が手に取るようにわかるわよ」

『…はあ、まさかの予想外。でも、作戦は上手くいったみたいで安心しました』

女姉「作戦ですって?」

『ええ、クラス男女仲を良くする為に。仲の悪いと噂される二人が率先して一緒に帰宅すれば変わるかもと』

女姉「思い切ったことするものね。君からの提案かしら?」

『違いますよ、妹さんです。…煽ったのは俺ですけど、まあ、女姉先生から彼女の性格はよく聞いてましたし』

女姉「そう、なら油断しないことね。妹はどこで感情を爆発させるかわかったもんじゃないの、注意を怠らないように」

『あの、遅いですその助言…この数日でいやと言うほどわからされましたけどね…』

『──ぅーん、あ! こりゃナオンと電話中デショ! んな雰囲気だしてるー!──』
『ワオ! オトコってば手がはやーい──ちょっとお姉さんに変わってみ? 働け──ゴキィイインッ』

女姉「どうしたの? こんな夜中に騒がしいわね」

『ちょ、電話中だって言ったでしょさっき!? シッシッ! …い、いや、その親戚の人がお酒飲んで騒いでまして…』

女姉「? そう、なにか骨が折れた音も聞こえたような…」

女姉「まあいいわ。それよりも明日も学校なのだから早く寝なさい。良いわね」

『わかりました。では、これで』ピッ

女姉(順調そうでなにより。けど、まさか妹のほうから彼に提案するなんて少し変わったのかしら、あの子も)
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:47:20.82 ID:m7QS7m8KO
〜〜

女「……」ザッザッ…

女(ふぅー、目についたから気まぐれに掃除してみたものの)キョロ

女「…ヤバイわね、コレ、今日中に終わるのかしら」ズーン

男「大丈夫。終わらせよう」

女「おわーっ!? びっくりした!」

男「おわーってアンタ…もう少し繊細な驚き方が出来ないのか…」

女「う、うるさいわね! 良いでしょ別に、つか驚き方まで口出すんじゃない!」

男「はいはい。口うるさくてすみませんね」ザッザッ

女「…っ…な、なによ、一緒にしてくれるのっ?」チラリ

男「素直に手伝うと言えば怒るだろうから、勝手に始めただけだよ」

女「分かってるなら口に出・す・な!」ガァンッ

男「だァー!? なにも集めたゴミを蹴ることないだろ!」

女「いちいち突っかかってくるなら手伝わなくて良いわよ馬鹿!」

男「説明しないならしないで、意味がわからないからキレ始めるだろアンタは!」

女「きぃ〜〜〜!! 腹が立つ、なによわかったようなこと言って! ええそのとおりよバカ!」

ギャーギャー ワーワー

女姉「…ハァ…」

〜〜
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:48:13.29 ID:m7QS7m8KO
女姉「もう少し静かに活動できないかしら…人払いできるタイミングも限られてるのよ、私でも」

男「うぐ…すみません、どうにも彼女相手だと口が止まらないようで…」

女姉「相性が良いのか悪いのか、とんとわかりづらいわね貴方達」

男「相性、良いですか俺ら?」

女姉「あの娘相手に上手くやれてる方よ。…勘違いしないように、交友関係であって交際関係では無いから」ジィー

男「まだ疑ってるんですね…」ハァ

女姉「勿論。私の監視下である限り、そのような自体は認められないわ」

男「それ、妹さんを想っての発言ですか?」

女姉「変なことを聞くのね。どうしてそう思う?」

男「…いえ、なんとなくただ、」

男「──女さんと女姉先生が話してる姿が、全然思い浮かばなくて」

女姉「そう、私もそう思うわ」スッ

男「えっ?」

女姉「でも良いのよ別に。妹にとって私は壁でいい、辛い存在で良いの。私も望んでも居ないし、彼女だって望んでいないでしょう」

男「……」

女姉「今日はここまで。遅くなりそうなら車で送っていくけれど?」

男「い、いえっ、電車はまだあるので大丈夫です! それでは…」ガララ

女姉「そう。じゃあまた明日」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:49:15.33 ID:m7QS7m8KO
女姉(…そう、私は厳しい姉として居ればいいだけ)

〜〜

「女姉先生。おはようございます」

女姉「! 校長、おはようございます!」サッ

「いえいえ。そう堅くならず、私も少々言い過ぎたと反省しておるのですよ」

女姉「仰る意味が…」

「目まぐるしいばかりではないですか、妹さんのご活躍は私の耳にも届いてますよ」

「率先してでの委員長立候、風紀委員で自らゴミ拾いをし、挨拶運動にも自主的に取り組んでいると」

女姉「……。それは嬉しい限りですが、彼女が起こした問題が決して無かったことになるとは思いません」

「お厳しい言葉で。ですが、過ちもまた成長。何時かの機会に妹さんへ言葉を投げかけてみては如何でしょう」

女姉(…言葉を、投げかける)


第四講義室

女姉(甘い言葉なんて必要ない。私は妹にとって厳しく、現実を突きつける嫌な姉で良いのよ)

女姉(今更彼女に優しい言葉なんて──)

ガララ

女姉「ん、来たわね。今日は遅かったじゃない」

男「少し私用な用事があって、もう終わったので安心して下さい」


パタン
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:49:50.73 ID:m7QS7m8KO
女姉「? そう、ならいいわ。では早速始めましょう。今日は私の方から君へのお返しする件について──」

男「……そのことなんですが」

男「『あの件の願い』は撤回したいと思って、ここに来ました」

女姉「撤回…? 急にどうして…」

男「やはり自分の力で彼女が受けている誤解を解こうかと。その道も何とか見えてきましたし、わざわざ先生の力を借りなくても…」

女姉「……」

男「あ。でも、先生との取引は続けるつもりです。まあ、公私混同なことになりますけど…」

女姉「君は…」

女姉「ハア、なんというかお人好しという部類に入る人間ね」

男「です、かね」ポリポリ

女姉「敢えて私から言わせてもらうけれど、君がやってきたことは私の要望でもあったのよ。そして君もそれを受け入れた」

女姉「その結果、私の要望を限りなく成功させたのが君。それが事実」

男「でも…」

女姉「でもじゃない、あのね? 私が一人で成し遂げるべき私用に他人を巻き込むだけじゃなく、生徒一人を使ってやり遂げたの」

女姉「本来なら教えとくべき立場の君に、……無様にすがりついた」

女姉「こんな体たらくぶり許されるわけがない。なのに今まで嘆かず突き通せたのは、君へのお返しがあったからこそ」

女姉「それを今更になって要らないと言われたら、私はどう自分に落とし前をつけたらいいのよ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:50:47.63 ID:m7QS7m8KO
男「どうといわれましても…」

女姉「勝手なことを言ってるのはわかってる。けど、君はそれだけの仕事をこなした、だったら見返りある報酬を受け取るべき」

男「仕事、なんですか?」

女姉「…!」

男「俺思ったんです。俺は報酬を受け取るから女さんと仲良くなったのかって、始まりはそうでも…今は違うと思ってます」

男「誤解を生んでしまったのは俺の責任です。解く方法があるならきちんとやり遂げるべきだとわかっているつもりです」

男「でも、こうじゃないって思ってしまって…結局、自分は最初から最後まで女さんを騙してるんじゃないかって…」

女姉(騙して、る…)ズキン

男「俺、ちゃんとやります」

男「先生との約束は守りますが結果としてそうなってるだけで、ちゃんと俺の意志で仲良くやっていきます」

男「だから報酬なんてものも要りません。でも、そうであっても先生が納得しないなら…」

男「…どうか女さんに一言あげてください。頑張ってるって、よくやってるねって」

女姉「な、なぜ、そんなことを私が…」

男「彼女が言ってくれたんです。頑張る理由が、駄目な大人にならない為には、」


『私、お姉ちゃんみたいにカッコいい女性になりたいの』


男「だから、どうか一言で良いので褒めて下さい。彼女を…」

男「もっと近くで見てあげて下さい。それが、俺の今の願いです」ペコリ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:51:31.44 ID:m7QS7m8KO
〜〜

女姉(もっと近くに居て、褒めてあげて下さい。なんて、元より求められてなかったらどうするのよ)

女姉「……、ハァ…もう腹をくくろう」がらり

女「! ばかねっ、この私を待たせるなんて良い度胸じゃない!」バッ

女「今日という今日は堪忍袋の尾が切れたわ! 駅前クレープおごりジャンケン、受けて立ってもらうわよ──」チラ

女姉(…………。この子は本当に…)ズーン

女姉「ずいぶん楽しそうね、貴女」

女「──おね、ちゃ!?」サァーー

女姉「失言よ、それ。学校では絶対に姉と呼ばないよう散々注意したのに、まだ理解できてないの?」

女姉「ちゃんと先生と呼びなさい。良いわね」

女「ご、ごめんなさい先生…」シュン

女姉(どうしようもない娘ね、本当に。何度教えても覚えない、何度壁を作っても挫折する。なのに結局諦めない根性っぷり…)

女姉「もういいわ。無駄に残ってないで早く帰りなさい、折角、私が親に掛け合って塾を免除させてあげたのに」ハァ

女「…はい…」

女姉「貴女が自主勉強を頑張ると言い切ったの、忘れたのわけじゃないでしょうね」

女「……」コクリ

女姉(ああ、ほんとうに昔の私を見ているようで嫌になるわ。頑張れば報われるなんてそうあることではないのに)
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:52:15.13 ID:m7QS7m8KO
女姉(でも…)

女姉「──でも、今回の中間テストは良かった」

女「えっ?」

女姉「勉強したのね、ちゃんと。しかしまだ甘い、ニアミスの酷さが教員連中で話題のネタになるぐらい酷かったわ」

女「…ウッス…」

女姉(きちんと言うべきことは言う、厳しいことだけを見せつけても駄目。わかってる、そんなことは)

女姉(しかし、私はそうして失敗してきた)

女姉(成功だけに取り憑かれ、失敗を恐れなかった。過去に経験した苦い思い出を彼女にさせたくない)

女姉(──でもこの子にとっては大切な【今】じゃない)

女姉「けれど個人的に評価してあげる。貴女の頑張りは認めるわ。きっと良い──」

女姉「──良い、クラスメイトが居たのね」フッ

女「……!」

女姉「暗くなる前に帰りなさい。良いわね、絶対よ」

女「あ、おね、えぇと先生…!」

女姉「なに?」クル

女「あ…その…えと…これからも、頑張りますっ」ピシッ

女姉「くす。ええ、勿論。だって期待の妹ですから」ニコ


ガラリ パタン
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:53:03.62 ID:m7QS7m8KO
女姉(フゥー、慣れないことするもんじゃないわ。顔、熱い)パタパタ

女姉(これでよかったのか教えてほしいものだわ。はっ、教師が聞いて呆れる。心の折り合いをご教授願うなんて完璧主義者にもほど遠い、)チラ

男「……えっと〜」ポリポリ

女姉「趣味が悪いわね、覗き見? それとも聞き耳?」

男「ふっ、不可抗力です! というか教室にカバン置きっ放しですし!」ブンブン

女姉「認めないわよ。…だから、少し付き合いなさい」ツカツカ…

男「えぇっ?」

女姉「大人の私をここまで辱めた責任を取って」じぃー

男「えぇッ!? 言い方悪くないっすかそれッ!?」

〜〜

男(コーヒー奢り程度で良かったんだ。安心した…)ズズズ

女姉「……」コロコロ

男「あの、飲まないんですか?」

女姉「飲むと吸いたくなるのよ、煙草」

男「え、吸うんですか? なんだか意外ですね」

女姉「昔、煙草を格好良く吸う先輩に憧れて始めたの。まあその程度だったから、ぱったり止めれたりもできたんだけど…」

カシュッ

女姉「ふぅ、今日は色々と当時を思い出したから。コーヒー程度で吸いたくなりそうよ」ニコ

男「そ、そうっすか」ドキ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:54:06.24 ID:m7QS7m8KO
女姉「ねえ、質問があるのだけれど。いいかしら」

男「…どうぞ?」コク

女姉「じゃあ遠慮なく。君、まったく大人を信用してないでしょう?」

男「ぶほぉっ!? けほ、こほっ、一体なにを急に…!?」

女姉「最初に私が聞いた君の相談、あれ、前提から教師の『公式発表なし』という言質を取るためだけに出向いてきたんでしょうし、」

女姉「他にも色々と、大人を行動基準に入れずに考えた末に出た答えが、見え隠れしているもの」

男「そんなワケ、」

女姉「じゃあ今回で私の報酬を要らない、と言い切った君なりの意見は?」

男「それ、は」

女「大人がやることを信頼してないからでしょう? だから良い落とし所を考えて私に提案した。まあ、穿った見方をすればね」

女姉「聞かせて。どうして、そこまで大人を信用出来ないのかしら?」

男「違いますよ、それは…」チャポ

男「信用してないとかじゃなく、俺に出来ることと大人が出来ることを把握してるだけです」

男「やれないことは俺にもあるし、むしろ子供の俺のほうが多いでしょう」

女姉「そう、そうなのね」

女姉「信頼してないじゃなく、大人を期待してないのね。貴方は」

男「…………」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:55:40.62 ID:m7QS7m8KO
女姉「そっちのほうが問題だわ。子供らしくない、まるで大人以上に未来に道がないと言わんばかりじゃない」

男「だって、あーしてくれこーしてくれと嘆いたってしょうがないじゃないですか」

男「大人だって暇じゃない、例え先生でも生徒一人一人の都合に合わせられるわけじゃないし」

男「だから頑張るんです。無理してるなんて言われても、俺のために無理して他人を付き合わせるほうがもっと面倒くさい」

女姉「君…」

男「──先生。俺は期待するより期待される人間に成りたいんです、きっと」ニコ

女姉「……! ねえ、本当に願いは無いの?」

男「えっ? な、なんですか急にっ?」

女姉「良いから言いなさい、馬鹿ね、そんな苦労は大人になってから考えれば良いの」

男「こ、高校生も既に大人の仲間入りなんじゃ…」

女姉「それ以前の問題」

女姉(一人でなんでも出来るか、なんて大人になっても望むかどうか)

女姉(完璧主義者をうたう私であっても、他人の大切は痛感している)

女姉(この子こそ誰よりも『認めてくれる人』が必要じゃない。なのに、これ以上誰かに認められようとしてるなんて)

男「せ、先生…?」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/25(火) 17:56:38.58 ID:m7QS7m8KO
女姉「決めた。妹を褒めるという願いの件、やっぱ無しよ。君への報酬にはならないわ」

男「はいっ!? でもこれ以上俺が女姉先生に叶えて欲しいのなんてっ」

女姉「どんなことだって良い。私という人間が出来ること、なんだってするわ」

男「ちょっ、これ他の人に聴かれたらやばいんじゃ…」ソワソワ

女姉「どうなの? 無いの? あるの? 考えつかないなら私が考えるわよ?」

男「うぐッ、マズイ本気ですね先生…ッ! うーッん、えっとぉ〜…ッ」

女姉(やっぱり無いのね。ここまで言えば邪な望みぐらいでると思ったのだけれど、まあ私の考えすぎか…)

男「───…実はありました」ダラダラ

女姉「え? ある、の?」

男「だめでしょうか…?」

女姉「い、いえ、駄目じゃない、全然駄目じゃないわ。ドンときなさい、私を期待して」

男「わ、わかりました! じゃあ早速ながら今日にお願いしたいんですけど…」


男「今から俺とラブホテル行ってもらえません、か?」


第五話 中編 2/2 終
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 17:57:05.65 ID:m7QS7m8KO
四日後にノシ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 18:57:41.52 ID:4PQ3fwqp0
ワロタwwwwww
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 19:33:05.00 ID:ZvQ5pRzMO
確かに家はラブホテルだが言い方ww
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/26(水) 13:11:53.79 ID:CD3OrBfR0
うん?男も根っこは馬鹿だったねw
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:57:05.52 ID:2abiLlXbO
男「今から俺とラブホテル行ってもらえませんか?」

女姉「あぁなんだ、その程度なら別に構わな──」ほっ

女姉(えっ)


──ガタン ゴトン プシュウウウ…──


女姉(えっ)


ワイワイ ガヤガヤ ニイチャン ヤスクシトクヨー


女姉(えっ)


【前回までのあらすじ 男は教師をラブホに誘った。】


男「先生、この路地裏ではぐれると厄介なんで気をつけて下さいね」

スタスタ

女姉「……」ピタ

女姉(──返事に窮していたら、とんでもない所まで着いてきてしまったわ)

ブンブンブン…

女姉(しっかり気を保ちなさい女姉。なにを戸惑っているの、バカね)
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:58:01.60 ID:2abiLlXbO
女姉(私と彼は教師と生徒)

女姉(きちんと言わないと駄目よ…例え懇意にしていた生徒の願いであっても…)

女姉(で、でも、私からああまで催促して今更無しと言うのも可愛そ、ばか! 何を考えてるの!)

男「先生? 大丈夫ですか?」ヒョコ

女姉「ひゃいっ!?」

男「……本当に大丈夫ですか?」

女姉「くっ、も、もちろん大丈夫に決まってるじゃない…っ」

男「やっぱりココは慣れない雰囲気ですよね…」

女姉「──あら、大人の女性にあまり失礼なことは言わない方が身の為よ?」キリッ

男「そ、そうですよね! ごめんなさい!」ペコペコ

女姉(あ〜〜〜っ! ここに来て見栄を張ってる場合じゃないのに!あ〜〜っ!)キリリッ

男「じゃああまり遅くなるとあれなんで、急いで行きましょうか」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:58:34.21 ID:2abiLlXbO
女姉「どこへかしら?」ニコ

男「ラブホテルです」

女姉「………………………」ダラダラダラダラダラ

〜〜〜

女姉(なんとか説得方法を考えなければ、考えろ考えろ考えろ…)ズモモモモモ

男(なにやら居心地悪そう。やっぱり生徒と一緒じゃ駄目な場所だよな)

男(まあ一応、人気少ない路地裏を選んでるつもりだけど…)スタスタ


男(──しかし、先生が知っていたとは。俺が住んでる場所がラブホテルだって)ウンウン


男(言い方マズッたかと思ったけど、案外、普通に着いてきてくれたし)

男(事前に調べてたのかな。まあ【あの部屋】ことは覚えてるか分からないけど…)

女姉「君はこの辺に随分と土地勘があるのね…」オドオド

男「え? ええ、この制服姿じゃやっぱり目立っちゃうので」

女姉「へ、へぇ〜…手慣れてるじゃない…」チ、チラ

男「頑張って探したんですよ、いつか友達を連れてきたいと思ってますので…」テレテレ

女姉「友達未満で!?」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:59:13.00 ID:2abiLlXbO
男「えっ、あっ、それはまだ早すぎますかねっ?」ビクッ

女姉「あったり前じゃないの! 今の発言は教師として聞き逃せないわ…!」

男(やはりそうだったのか…俺も友達を家に連れていくのハードル高いと思ってたんだよな…)

女姉(嘘、この子見た目によらず肉食系なの…そう、そうよ私を連れて行こうってぐらいだもの…)

男「じゃあ先生はどれぐらいなら友達を連れても良いと思いますか?」

女姉「ええっ!?」

男「是非、先生からご教授願いたいです」キラキラ

女姉(なんて澄んだ眼をして…ううん、そうよ、教師としてやることは一つ)

女姉(この子をこっち側に引き戻すのよ、私の教えで)グッ

女姉「えっと、その…まずはお互いの気持ちを知って、分かり合ってから、きちんとした段階を踏んで…」

男「はい先生、質問です」シュバァ

女姉「はい! 男くん!」ビシィイイ

男「すると段階が一発で分かる手段はなんでしょうか?」

女姉「良い質問よ。それはもちろん──キスでしょうっ」ピッ

男「キスですか!? キスが正解ですか先生!?」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:00:26.10 ID:2abiLlXbO
女姉「わわ私はそう思うのだけれどもっ!? ささ最近の子はそれとも違うのかしら!?」キョドキョドドド

男「俺もちょっと知らないですけどッ! キス〜〜ッ…てぇのは口、と口を…?」

女姉「く、くっつけて…そう、…互いの口を…」カァァ

女姉(わ、私は一体何を言って…でもこれで彼に清く正しい順序を教えられたはず…)

男「よし! 話を参考にして友達できそうになったら、なんとかやってみます!」

女姉「一切分かってないじゃない! 話し損よまったくッ!」

〜〜〜

男(友達作りって想像以上に大変なんだな…さらに不安になってきた…)ズーン

女姉(どうやったら清く正しい交際の仕方を教えられるのかしら…)ズーン

男「先生、どうやら俺には難しいみたいです。当分のところ諦めておきます…」

女姉「そう簡単に諦められちゃ困るのよ……!」

男「うぐッ、じゃ、じゃあ先生はどうやって(友達)作ったりしましたか?」

女姉「えっ…!? ど、どうやって(恋人)作ったか…!?」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:02:40.62 ID:2abiLlXbO
男「関係を深めるのがどうにも苦手なんですよね…」ハァ

女姉「き、君なりの悩みがあったのね…けれど教えられるほど私も経験が…」

男「え、もしかして(友達作りの)経験ないんですかっ?」

女姉「………、ハイッ!? えっ、あっ、えっ!? ちがっ」カァアアア

男「意外ですね…そうは見えないのに…」マジマジ

女姉「いやっ…そうと決まったわけじゃ…」キョドキョド

男「あ、失礼なこと言ってすみません…経験ないとか…」ペコペコ

女姉「そんなこと謝らなくても結構よ!? ていうかそうと決めつけないで!」

男「でも経験がないってさっき…」

女姉「さ・ほ・ど、よ! さほど! まるっきり無しとは言ってないじゃない!」

男「すみません! ではご教授のほどよろしくお願いします…!」

女姉(墓穴を掘ってしまった!)

男「あの、無理して嘘をつかなくても良いんですよ…?」チラ

女姉「なによその同情した顔は…ッ! 良いわよ、大胆不敵な過去話しに震えなさい!」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:03:08.00 ID:2abiLlXbO
女姉(こうなったら見栄っ張り上等でとことん上塗りした恋愛話をぶっちゃけて──)バッ


女「………」ヒョコ


女姉(───うん?)ダラダラダラダラ

男「先生? 後ろがどうかしましたか、ぱふぃっ!?」バチン!

女姉「絶対に、振り向いちゃ、ダメ、わかった?」ミチミチミチ

男「ふぇ、ふぇい」コクコクコク

女姉(なぜにあの子が此処にッ!? 私たちの後を着いてきてた…? 一体どこから!?)チラ

男「…っ…っ…」ドキドキ

女姉(って不味い、この距離で近づいてたらあっちに勘違いされるっ)ぱっ

男「なんですか急に…びっくりしまたよ…」チラ

女姉「──行きましょうか」

男「えっ?」

女姉「さっさと行くのラブホテルに! 速攻で誰に見つかることもなく!」

男「声量考えて先生! いくら人気無くてもヤバい内容ですから!」

女姉「ごちゃごちゃいわずにさっさと行く…!」グイグイ

男「え、ええっ…やっぱり経験ないの誤魔化しにかかってるんじゃ…」

女姉「だまらっしゃい!!」ズンズンズン
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:03:57.66 ID:2abiLlXbO
女姉(あの子が居るなら悠長にしてられない! ろくに帰宅ルート覚えず来たから戻れないし…!)

女姉(手早くホテルに向かって姿をくらます。道中で妹を巻けばいいだけっ)

女姉「ほらっ! 貴方が行きたがってるホテルはどこにあるのっ?」

男「そこの通りまっすぐですけど、あの、少し声量を落として…」

女姉「今更恥ずかしがる神経持ってないでしょ貴方は!」


ずんずん ずんずん


男「ここ、です」

女姉「ここね! じゃあ早く入店して───」


『スィートランドホテル』


女姉「──ふええ?」キョトン

女姉(ここって、確か。え、あれ、見覚えあるけど、あれっ? あれれっ?)

女姉「…っ…」カツン

男「──先生」がしぃっ

女姉「ひいっ!? お、男くん!?」

男「今、逃げようとしましたよね? ダメですよ、逃がしませんから」ギュウ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:04:30.23 ID:2abiLlXbO
女姉「まっ、待ってくれない? え、どうしてこのラブホテルに…!?」

男「何を今更知らないふりをしてるんですか」

男「俺にはどうしても解決しなければならない事があるんです。ご覚悟を」

女姉「解決…なにそれ、待ってちょっと!? やだやだやだやだ! ここはやだ!」グイグイ

男「あ! やっぱり今の今まで部屋のこと忘れてたんですね!」

男「でも諦めませんよ! これが俺の願いです! しっかり解決させてもらいます!」グイグイ

女姉「やめてやめて! ほかのラブホテルだったら良いから! 着いていくからここだけはイヤ!」

男「ここまできてなに意味不明なこと言って、るんッ、ですか…っ」ギリギリギリ

女姉「いぃ〜〜〜〜やぁあ〜〜〜〜っ」ギリギリギリ


「──大声でうちのホテルを大否定するな、迷惑だろ」シュボッ


女姉「ひぃいっ!?」ビックゥウウン

叔母「ん? あれ、お前…」フゥー

女姉「あっ…あぁあ…っ…! せ、せんぱ…っ」

叔母「とうとう生徒に手を出したのか?」

男「ちがう!! もう叔母さんは黙っててください! ややこしくなるから…!」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:05:50.61 ID:2abiLlXbO
叔母「いや普通の心配だと思うんだけど…」

女姉「叔母…さん…?」

男「と、取りあえず店に入りましょうっ? このまま目立つよりましですから!」

女姉「え、ええ…は、はい…?」ス、スタスタ

叔母「というか会うの久しぶりだな、元気してた?」チョンチョン

男「中でやってくれ中でッ!」


スタッフルーム

女姉「──先輩の甥っ子ですって?」

叔母「言っただろ、以前に。私の甥っ子がそっち入学するって」

女姉「言ってましたねえ…街角で『来月、甥っ子がお前の所向かう』と後ろから唐突に…」ピクピク

男「なんで暗殺者みたいな報告するんですか…」

叔母「面と向かえば逃げるのが目に見えてたから?」

女姉「恐ろしさに振り返ったら、誰も居ないよりマシだと思いませんか!?」

叔母「おあいこだろ」フゥー

女姉「ど・こ・が! ですか! まったく本当に昔から先輩は変わってなさ過ぎです!」

叔母「そういうお前もまったく変わってないよな、特に胸とか」

女姉「きぃーーー!!!」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:06:22.79 ID:2abiLlXbO
男(やっぱ姉妹だなあ。女さんと怒り方が一緒だ)

男「こほん、では早速ながら先生にお願いを叶えて欲しいんです」

叔母「まさか君…44号室の謎を…?」

女姉「えっ!? ちょ、ちょっとまだあの部屋あるんですか!?」

叔母「うん。というかこの子を住まわせてる」

女姉「当時から何も変わってないなあこん人はーッ!」

女姉「っていうか、一体なにを考えてるんですかっ?! 年端もいかない子供を住まわせるなんて…!」

叔母「ここまできたやつが言うセリフじゃないぞ」

男「そういえばここが家だと知らずどう納得して来たんですか…?」

女姉「わ、わぅ忘れなさい! いいのよもうそれは…っ」

叔母(きっとエロい勘違いしてたんだろう)ひそひそ

男(じ、実はわかってますけど黙ってて下さいっ)ひそひそ

女姉「聞こえてるわよそこの一家…ッッ!」ぴくぴく

男「と、ともかく! 俺の願いを聞いて下さい! 先生!」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:06:55.58 ID:2abiLlXbO
【一方、その頃】


女「……」ヒョコ

清掃「……」ヒョコ


女「じゃ、じゃあ本当にさっき言ってたとおりなのね…?」

清掃「うん! ボクは見た、オトコが嫌がる女性を無理やりホテル連れってたトコロ!」フンスー

女「なんて…なんて悪辣非道なやつなの…!」ワナワナ

女(この私に近づいたのは、私のお姉ちゃんを手中に収めんが為の行動だったのね…ッ!)

清掃「ボス? どうしやすか?」わくわく

女「無論! 乗り込んでとっちめてやるわ!」

女「──大切なお姉ちゃんは私が守ってみせる! 行くわよ、手下ケルケル!」バッ

清掃「らじゃー!」ダダッ


【数十分前】

女「ひぐ、えぐ…がえりがだ…わがんばい…」ヒックヒック

女(どうしよう、このまま黒い服の人に拾われて外国に売られちゃうんだ私…っ)トボトボ

女「うぅ〜っ…これも全部、アイツのせい…あの男のせいじゃない…っ」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:07:34.86 ID:2abiLlXbO
ごしごし

女(あ。そう考えだしたら腹が立ってきた…なによお姉ちゃんといつの間に仲良くなってたワケ!?)

女「こ、この私を弄んだ挙句にそーいうところ向かっちゃうなんて上等ねッ!」クルッ


清掃「……」じぃー


女「部屋に乗り込んでとっちめて、きゃーーーーーーーー!!??」

女(あ、あれってどう見ても以前に校門前で事故ってた外国人…!?)チラ

清掃「……」じぃーーー

女(見てる! どうしてこっち凝視してるの…!? やだ、このままじゃ本当に売られちゃう…?)

清掃「アノー?」ニコニコ

女「ひいいっ!? お、おいしくにゃいから! 食べても私おいしくない…!」ガクガクガク

清掃「もしかしてオトコのトモダチなの?」

女「…え? 友達…?」ぐす

清掃「だって同じ制服きてるから、同じかなあって、トモダチかなあって」ニコ

清掃「もしや迷子してる? ならケルケルが駅に連れてってあげ──」

女「馬鹿ねッ! アイツと友達なわけ無いじゃない! 生涯かけての敵よ、ライバルよ!」

清掃「Rival…?」キョトン
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:08:05.11 ID:2abiLlXbO
女「そう! 決して心許す友じゃない…
  もっとこう複雑で、心がぽかぽかして、とにかくそんな気安い関係じゃなことは確かね!」

清掃「ほほー…凄い…トモダチなくってRival…凄い…」キラキラキラ

女「ふ、ふん! そんな敵の味方の言葉にほいほいついて行くものですか…っ」チ、チラリ

清掃「ううん、ボクはもうオトコの味方ちがう」フルフル

女「えっ!? な、なぜ…?」

清掃「ボクは見た。信じてたオトコが女性むりやりホテル連れていくトコロ!」

女「それはもしや…」

清掃「相手は大人の女性だったよ。キリリってしてCoolな人だった」

清掃「──でも、オトコはワガモノ顔で引っ張ってったの! ぶんすかだよケルケル!」プンスカプン

女(お、お姉ちゃんの事だわ! あああっ、遠くで顔が見えなかったけど嫌がってたのねお姉ちゃん…!)ポロポロ

清掃「ケルケルは裏切られた…きっとオトコは優しくて格好いい素敵なオトコ思ってた…」

女「そう、そうよ。奴は人の心を弄んで悦に浸る最低最悪の人間なの!」

清掃「くッ…なんてやつなんだオトコは…!」

女「賛同してくれて有り難いわ! よし、そうと分かれば私についてきなさい!」

清掃「ワオ! ボクもパーティ入り決定しちゃった!?」パン

女「もちのロンよ! よぉーーしッ! 悪の魔の手からお姉ちゃん奪還作戦、開始よ!」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:09:37.51 ID:2abiLlXbO
44号室前

女「覚悟して突っ込んだ割に結構、普通に入れちゃったわ…」

清掃「ケルケルここの清掃員だから! それで、オトコ達はここに居ると思うよ」

女「な、なるほど。こっ、この部屋にお姉ちゃんとアイツが…」ゴクリ

清掃「さっそく乗り込むワケですかボス?」キラキラ

女「まずは聞き耳よ! 中でどうなってるか確認しないとマズイ気がする…!」ソソソ

『──先生、覚悟は決まりましたか?』

女「こ、これって…あわわわ…」

清掃「もう始まっちゃってた?」

女「まだ…決定的な単語を聞くまではまだ…っ」ブルブル

『──ま、待って…少し準備させて、シャワーの方だってまだ…』

女「ひゃわー!?」

清掃「オトコってばせっかちさんね」ニコニコ

女「せっかちひゃん!?」


室内

男「いい加減覚悟決めて目を開けてくださいよ、先生」

女姉「いやよ…この部屋はトラウマなの、もう二度と訪れないと心誓ったのよ…」ブンブンブン
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:10:07.10 ID:2abiLlXbO
男「気持ちはわかりますが、さっさと終わらせたいのなら手短に済ませたほうが…」

女姉「うん…わかってる、わかってるのよ…!」ギュウウ

男「手洗い場だけじゃなく、シャワールームにだって超常現象起こるんですからね」ガチャ

女姉「ひっ!? ど、どこにいるの男君!? そばにいて頂戴…!」オロオロ

男「はいはい、ここですよ先生」ギュッ

女姉「うん…」ギュッ

男(なんだこの状況…)ポリポリ


女「手を握ってとか! そばにいて頂戴とか!」ボッ

清掃「意外とラブラブ? ケルケル勘違いしてた?」

女「そ、そんなしおらしいコトいうお姉ちゃんじゃない…! きっと脅されて、そうアイツに弱み握られてるんだわ…!」

清掃「オッケ! じゃあ開けて確認しちゃおう!」ガチャ

女「待って何、その突然の決断力!? もしお姉ちゃんが恥ずかしい格好だったらどうするつもりよ!?」

清掃「大丈夫。ボク、小さいお胸興味ないから」ケラケラー

女「お姉ちゃんがどう思うかの話してんのよコッチは!」

女(でも、このままじゃ埒が明かない…強行突破もやむなしかしら…!?)


『──俺は何処にも行きませんよ、側に居ますから』
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:10:50.34 ID:2abiLlXbO
『男くん…』

女(っ! お姉ちゃん騙されちゃダメ──)

『うん、今だけは貴方に素直な気持ちで告白するわ…』

女「──…!」

〈自分も委員長に立候補します〉
〈? なにしてるの? 早く一緒に帰ろう、確か同じ方向の駅だったよね〉

女(…なによ、それ)

女(誰にだって言うんじゃない。誰でも、アンタにとっちゃ【そーなのね】)

女(ふん、どーせそういうことだろうと思ったわよ。私みたいなやけっぱちな人間なんて、)


〈──良い、クラスメイトが居たのね〉


女(…誰からの評価も、得られないんだって)クル

清掃「ボス?」

女「いいの、もう。だってわかっちゃったから、私が頑なに認めたくなかっただけ」

女「二人は何処か遠くまでとってもとっても仲良くなってたの。…私が知らないうちに」

スタスタ

女(私はただ認めてほしかっただけ。ただ憧れの人に「頑張ったね」と言ってほしかっただけ)
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:11:45.37 ID:2abiLlXbO
女(なのに私はひとりぼっち)グス

女(お姉ちゃんも、貴方も。二人だけでどこか遠くにいってしまった)ゴシゴシ

女「…結局何がしたかったのかしらね、私ってば」

清掃「……」

女「もう帰る。あとお願い、駅まで送ってくれる?」ニコ

清掃「オトコは本当にサイテーだ」

女「うん? その話はもう…」

清掃「違うよ。ボスは今、オトコのせいで泣いてる。ケルケルそれがわかっちゃう」

女「えっ?」

清掃「はっきりとボクはオトコがサイテーだって思った。ケルケルはきっとそんなオトコを困らせたい!」

女「こ、困らせたい? 一体何を言ってるの?」

清掃「オトコ好きなんでしょ?」

女「ぶぅぅぅぅッ! ゲホゴホッ、急になに言い出した!?」

清掃「なら立ち向かう! 諦めちゃそこで試合終了だよーーー!」ダダァッ!

女「えっ、ちょまっ、引っ張らないでやあああああああ!!」ズルルルルルッ


ガチャッ!!

女「待って、いや! ごめんなさいッ──」ギュウウ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:12:41.99 ID:2abiLlXbO
男「ナマイダブナンマイダブ…」ブツブツ…

女姉「ドーマンセーマン、ナンミョウホウレンゲッキョウ…」シャラン…シャラン…


女「…………、なにやってんのお姉ちゃん達」ドンビキ

女姉「え? きゃあ!? な、なぜ貴女がここまで来てっ!?」

男「一体どうやって…!?」

清掃「それはケルケルだよ〜」フリフリ

男「余計に意味不明なったよケル君?!」

女「待ってお姉ちゃん、何、さっきの『ここまで来て』って…」ハッ

女「──私が追ってきてたの知ってて、ここまで来たの?」

男「え、そうだったんですか?」

女姉「かっ、勘違いされると思ったからよ! だって、二人でこんな繁華街に居たら絶対に貴女勘違いするでしょう…!?」

女「その妙な様子じゃ違う目的だったみたいだけど、じゃあどうして逃げたの…?」ブルブル

女姉(私がやらしい勘違いしてたなんて説明できるわけ無いじゃないッ!)

女「説明してくれれば良かったじゃない…やっぱり期待、とか嘘だったんだ…」ポロポロ

女姉「な、泣かないでっ?」

女「だから誤解よ、ここに来たのは初めてだもの。だからそんなワケない、私はちゃんと貴女のことを思って…」

女「本当に…? 嘘ついてない…? ぐすっ」
201 :ていせい :2016/10/30(日) 21:13:38.95 ID:2abiLlXbO
女姉「そのとおりよ、私は変わったの。他意無く素直に向かうって心に誓ったのよ…」

女「お姉ちゃん…」

男(いい話だけど全然ラブホテルでやる内容じゃない…)


受付「ねえねえ聞いてー! 霊の人を外で見つけたんだけどー!」ガチャア

受付「──さっき男君に路上チュー迫ってるの見ちゃったけどアレなに、…ん?」キョロ


受付「あれ? 居るじゃん、霊の人!」ビシッ

女姉「え? 私?」

女「例の人って、どういうことお姉ちゃん…? そう呼ばれるぐらい、ここに通ってたの…?」

女姉「えっ!? 私っ!?」

女「しかも路上チューって…それっ…もう、もうっ…!」

女姉「知らない全く知らない! 例の人って呼ばれるの今日が初めてだけど!?」

清掃「ワオ! よく見ると本当に霊の人だァー!」ガー!

女「ほら従業員の人まで呼んじゃった! うそつき! お姉ちゃんのうそつき! 生徒に手を出しまくる変態教師ぃー!」

女姉「誤解よ全くの誤解よ!」ブンブンブンブン
202 :ていせい :2016/10/30(日) 21:14:10.98 ID:2abiLlXbO
女姉「違うったら違うの! き、君からも説明して頂戴…!」

男「……俺がどう、貴女が勘違いしてここまできたか説明しろと……?」

女姉「あ、うん…それはちょっと肩の荷が重すぎる、かな…」ズーン

女「なによ二人して分かりあった雰囲気出しちゃって! もう、もういいわ! おめでとう! 結婚式にはちゃんと呼んでよね!」ダダッ

女姉「ま、待ちなさい妹! 貴女はとんでもない勘違いをしてるのー!」

ガシッ

女「…っ…!」バッ

男「待ってくれ! 先生の誤解はともかく、俺からはちゃんとした説明はできるっ」

女「な、なによ…アンタだって私をダシにしてお姉ちゃんに近づいただけでしょ…っ」キッ

男「とんでもねえ誤解されてるね! 違うっ、それは違うんだよ女さん…!」

男(みんな騒いでて気づいてないが、俺達の後ろでは凄いことが起こってる……!)

ぼごぉん ボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ

男(お風呂場から凄まじい水漏れ音、やはり女姉先生の戸惑いがリンクしてるんだ…!)

男「これを見てくれ。見てくれれば一発で分る、今の不思議な状況がね」スッ

女「どういうことよ…っ?」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:14:43.35 ID:2abiLlXbO
男「あ、開けるよっ? どんな状態なのか俺に教えてくれればいい、それだけだ」ガチャ

女「……?」チラ

男「行くよ──」ガッパァアア

女「……!」


ほかほか ほかほか ほわわん


男「………」

女「……お言葉に甘えて、言わせてもらうけど……」

女「──超準備万端じゃないッ!!!」カッッ


叔母「もう用事済んだ?」ヒョコ


男(タイミング考えて叔母さァーーーーーんッッ!)

女姉「」ちーん

受付「あ。ピンと来た、幽霊的なの今抜けてったな」

清掃「わーい!」


【誤解はすぐに解けました。】
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:15:13.26 ID:2abiLlXbO
【オマケ:ケル君と男で女を駅まで見送り中】


女「とんでもない日だったわ…お姉ちゃんのこと、あと宜しくね…」スタスタ

男「叔母さんと受付さんが責任持って朝まで飲み付き合うってさ…」スタスタ

清掃「にしてもボス、今日は頑張りましたデスネ!」

女「ふ、ふふん。そうよ? これも貴方が誤解を招くようなことをするからよ…!」

男「そうであっても、よくここまでこれたもんだ。怖くなかった?」

清掃「トモダチだからだよ、心配だからきっと追いかけてきたと思う」

男「トモダチ…?」トクン

女「ばっ!? 違う違う違う、ライバルよライバル! 友達はちょっと…私達的に見合わないじゃない…?」チラチラ

男「ま、まあ、そうだね。だから友達どころか親しい人間かも怪しいよ、ケル君」

女「…そう?」ズキン

女(なによ、そうまで言い切らなくても良いじゃない…これでも私だって少しは貴方のこと…)

男「だってキスしなきゃいけないんだよ? 友達同士で」

清掃「エッ…!」

女「一瞬たりとも認めたことないわ! [ピーーー]変態ッ!」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 21:15:44.42 ID:2abiLlXbO
ちょっと過ぎてすんませんした

気まぐれに更新ノシ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 21:37:55.08 ID:2JgjZbf0o
おつおつ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 23:01:09.09 ID:k0UyR42Co
清掃「エッ…!」///
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 01:09:13.85 ID:pOVqluLAO
受付「いいじゃんいいじゃんちゅーくらいしちゃいなよー」ケラケラケラ
と受付さんなら言いそう
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名前: E-mail(省略可)

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