叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」

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209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 05:58:28.80 ID:IyBpxZ36o
よく考えたらまともな部屋に戻ったら客室に使えるから従業員が使う訳にはいかないな
男が使う部屋無くなっちゃったから叔母さんと住むしかないな
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 20:33:58.35 ID:wnofLWokO
>>209
まともな部屋になったところで男用に改造されてるからどちらにしろ客室には使えないぞ
それにもうホテルで生活させると兄に電話しちゃったし
今更一緒にとかなったら兄が引き取ることになる
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 18:01:01.12 ID:ifdLcY3m0
住民票とかどうなってんだろ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/12(土) 18:06:13.49 ID:tebPm15QO
マダー?
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:36:13.49 ID:WpcBWA3KO
男(あ。シャンプー切れてる)シャコ シャコ

男「まあ一日ぐらい洗わなくても気にしないけど…」ギトギト

男「………、うん! 無理だな!」

〜〜

男(そういや今日、女さんの校外掃除手伝ったせいで汗かいたんだった)スタスタ

受付「おんやー? こんな時間からお出かけかね青少年?」ヒョコ

男「ええ、実はシャンプーが切れたのに気づいてしまって」

受付「ありゃりゃ、ならホテルの据え置き使いなよ。沢山あるから使ってもバレやしないし」

受付「それにボディソープから石けんまで完備してるよー? げへへ、ご輿望あればヌゥルンヌルンのローションもあるけど?」

男「………」ボーゼン

受付「なにかねその顔は?」

男「まさか受付さん…金がもったいないからと、ここのホテルのシャンプー使用してないですよね…?」

受付「普通にやるけど」

男「いやぁーーーーーーーーーーー!!!」ギャー

受付「わ! 出た出た、君がたまに見せる乙女系反応だ」

男「信っっっじられないです! 不可解です! どうして使うんですか、意味不明過ぎてもうもうっ」

受付「突如どうしたのさ、急に」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:41:16.92 ID:WpcBWA3KO
男「あのですね!? 安価なシャンプーは逆に汚れるどころか髪を傷めるんですよ…!?」

受付「ふーん」

男「ふーん!?!?! なんだその興味ない反応、本当に女性ですか貴女…!?」

受付「気にし過ぎだってば。別に髪傷んでないしいい匂いするよ、ほれほれ」コショコショ

男「へっぷし! やめてください! 匂いが移る!」ぺしっ

受付「匂いが移る!?」

男「まったく、じゃあ安くて良いシャンプー選んであげますから、今度一緒に買いに行きましょうよ…」

受付「あれれ? お姉さんもしやデート誘われちゃったカナ?」ニママ

男「一分そこらの周辺店舗で売ってますけど? 舐めるな市販品を」

受付「なーんだツマンナイのっ! ふーんだ、どーせお姉さんはお酒臭いラブホ従業員ですよーだ」

男「色々きにしてるなら気を使ったら良いじゃないですか…」

受付「自分が気にしたって、気にしてくれる人が居なきゃ意味ねーでしょうが」ブーブー

男「身だしなみ人のせいにする人初めて見た…」

受付「あ、そうだった忘れる所だった」ポン

受付「男くん。これから大人の女性的なエチケットタイムなので、そろそろ出かけたらどうデショ?」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:41:43.43 ID:WpcBWA3KO
受付「まあ見たいのなら見ていっても良いのよ、うふ」

男「た、頼まれたって見ませんよっ」

男(俺も悠長に話してる暇なんて無いんだ。店が閉まる前に買い物済ませないと)

シュッシュッ

男(ん…? 何だこの音、それに匂いは…)チラ

受付「〜♪」シュッシュッ

男(ファ!? ファブリーズ!? 己の身体にファブリーズ!?!)ズガァーン

受付「ふんふーん♪」ゴシゴシ

男(お、おおおしおしおしっおしぼりででででっ身体をふいッ…拭いてっ!?)ガクガクガクガク

受付「よしっと。あ…ヤダッ! 何見てるの男君ってば! えっち!」キャー

男「………」

男「黙れ馬鹿野郎」

受付「考えた上での返答が罵倒だなんて!」

男「アンタ本当に…っ…なんでそうなっちゃったんですか…ッ! 俺なんか悲しくなってきましたよ…っ!」

受付「まあまあ落ち着いて。事情があって仕方なくよ、普段はちゃんと一式用意してるから」

男「本当にですか…?」チラ

男(……なぜスタッフルームに寝袋や食い散らかったカップラーメンの空容器があるのだろう……?)
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:43:31.75 ID:WpcBWA3KO
男「どういう状況なんですか、コレ」ドンビキ

受付「そろそろ帰らないと駄目だよね。オーナーにバレたらどやされちゃう」キャピ

男「何か帰れない理由でも…?」

受付「え、面倒だから?」

男「さっさと帰れ!」

〜〜〜

男(まさかここまでとは思ってもなかった。だらしない人だとは分かってたつもりだったけど)

カチャカチャ じゅわわ〜

男「…むしろ普段、なにしてるんだろあの人」

叔母「私はゲームだよ」もぐもぐ

清掃「ボクもゲームだよっ!」もぐもぐ

男「うん。だいたい知ってます、貴方達のことは」

叔母「まあ全てケルケルくんのおすすめばかりだけど」

清掃「ownerのみこみ早くて助かるですよ? ゲー友としてバッチリ!」ニコニコ

叔母「折角やるなら一番目指さないと」

清掃「ほわあ〜…かっこよすですなあ〜…」キラキラ

男(この人達もブレないな…私生活が目に見える…)

男「ケル君おかわりいる?」

清掃「たべるよー! さっきのヒトリゴト、フォクシーのこと言ってた?」コテン
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:44:10.85 ID:WpcBWA3KO
男「了解。そうそう、受付さんって普段なにしてるんだろーって思ってさ」

叔母「…」

清掃「…」

男「な、なんですか二人変な顔して…」

叔母「変なこと気にするんだね、君」

清掃「と、トモダチになるつもりなの…っ? フォクシィ狙ってるのっ?」ドキドキ

男「いやっ、だって、知ってるようで全然知らないのが不思議だなあって…!」

叔母「ふーん。とりあえず部屋がきたなそう」モグモグ

男「俺もそう思いますけど、貴女が言える立場じゃないのわかってます?」

男「じゃあケルくんは何かしらない?」

清掃「……、ボク知らない」プイ

男「え? そ、そうなの?」

清掃「……」じぃー

男「? っ??」

清掃「せっかちでせっそうないオトコきらいだもん」

男「本当に待って、何を言ってるのケル君?」

清掃「ウソついたってボクにはわかるよーッ!」プンスカプン

叔母「ケルケル君。彼はね、胸の小さい女性に興味がないんだ」

清掃「そうなの?」

男「ちょっと黙っててもらえます!?」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:45:00.93 ID:WpcBWA3KO
清掃「なーんだ、だったらイイヨ! 気になるならココに言ってみればおけーよ!」ピッピッ

男「どれどれ、…あ、そうか」


神社


男(繁華街の近くに神社があったなんて…)キョロキョロ

男(44号室の幽霊騒動の時も、現職巫女さんだって言ってたし、確かにココに来れば…)

男「……。今更だけど、なんでラブホで受付やってんだあの人」


巫女「お参りですか?」


男「ひゃいっ!? え、あっ、はいっ!」

巫女「でしたらこのまま真っ直ぐ向かって本堂の方へ」

巫女「くじを引かられるのなら本堂手前で販売しております」

男「ど、どうも…」ペコリ

巫女「いえ」スタスタ

男(びっくりしたぁー、まったく気配が感じなかった)

男「そりゃそうだよな、受付さん意外にも巫女さんはいるか」スタスタ

男(今日が休みとかじゃなかったら良いんだけど、無事に会えるかな)



クジ売り場


受付「くじは一回百円になります。…お」

男「あ!」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:45:42.77 ID:WpcBWA3KO
受付「なになに、その行動力は。まさか君が来るなんてさ。オーナーに頼まれて監視にでも来たの?」

男「受付さん…! その格好…!」

受付「おや? もしかしてぇ? お姉さんの巫女姿見に来ちゃった感じ?」ウフ

男「本当に巫女の格好してる…! おしぼりで身体拭いてた人が…!」ワナワナ

受付「君、本当になにしに来たの」

男「ご、ごめんなさい衝撃が凄くて…少し落ち着きます…」

受付「まあこの時期なら人いないし別いいけどね。今日は単なるお参り?」

男「え? いや、その…」

受付「だったら本堂でお金ポーンしてきちゃいな。縁ありで五円とかなしで千円ぐらい」

男「んな余裕あるわけないでしょう! こっちも切り詰めて日々過ごしてるんですから」

受付「くふふ。お家お金持ちのクセしてね、そーゆうところ好印象よ? お姉さん的に」

男「物は言いようですね…自分でもけち臭いって思ってますよ…」

受付「あ、そうだ。参拝の仕方わかる? 教えてあげよっか?」

男「うっ、実はちょっと不安があって。でも仕事中なんじゃ無いんですか?」

受付「巫女だぞ巫女! 参拝者に説法説いて何が悪いのかね?」

〜〜
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:46:10.77 ID:WpcBWA3KO
受付「御手洗で手を洗ってね。あ、口はゆすがなくていいよばっちいから」

男「えらくぶっちゃけますね…」

受付「手を洗うだけでも意味あるし、最近はなしの方向も全然ありだよ」

受付「んでもって本題の参拝方法だ。まずは一礼」スッ

男「は、はい!」スッ

受付「次にお賽銭ぶっこんで、鈴を鳴らす。そして二礼二拍一礼、この時に願い事!」ムムム

男(願い事…! なんだっ、覚悟せず来たから願い事考えてなかった! どうしよう!?)

受付「──なんでもいいよ。君が思ったように、好きに願えばいいから」

男(なんでも、良い。俺が叶えて欲しい、いや…)

男「──……」スッ

受付「終わった?」じー

男「うぇっ? あ、はい…!」

受付「ずいぶんと真剣に願ってたから、お姉さんじっくり観察しちゃったよ」

男「…た、大したこと願ってませんよ別に…」フィ

男(少しびっくりした。受付さんの雰囲気、がらりと変わったような気がする)

男(参拝の教え方はざっくばらんだったけど、きちんと教えてくれたし。普段からこうだったら良いのに)
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:46:50.89 ID:WpcBWA3KO
受付「じゃあ最後に小さく一礼して、はい、これで参拝方法しゅうりょー」ワー

男「なんだか凄い緊張しました…! ヘンですよね、日本人なら手慣れてきゃいけないのに」

受付「いや普通知らないデショ。知ってても忘れるし。行く度にケータイで調べ直してるんじゃない?」

男「そ、そういうモンなんですかね?」

受付「だって私がそうだもの。ウィキペディアって便利よね」ピッ

男「今のところ見た目だけっすね、巫女さん要素」

受付「にしてもびっくりした、急にくるんだもん。前もって言ってくれれば色々用意したのに」

男「いやいや、参拝客に何を用意するんですか」

受付「定番なのは甘酒とか? あとはーそうそう! 特別に大吉引かせてあげたりとか!」

男「有り難み一切無し!」

受付「Twitterで拡散していいよ? ここの神社は大吉超当たるって」ケラケラー

男(まったくもって巫女さんがいうことじゃない…)

受付「あ。そうだそうだ」ポン

受付「そろそろお姉さんも仕事終わりだし、帰りに商店街に寄ってシャンプー買っちゃおっか」

男「え、憶えてたんですか? 俺の約束…」

受付「君、たまに本気でお姉さん事アホだと思ってない?」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:47:26.85 ID:WpcBWA3KO
男「ち、違いますよ! どーでもいいことだと思われたかなって!」


「──受付さん…」カタン


受付「む?」

巫女「………」ワナワナ

受付「なんだミコ。変な顔して」

男「あ。さきほどはどうも…」ペコリ

巫女「……。これは、どういうことなのです、か?」

受付「どーもこーも巫女として仕事全うしただけじゃんか、何か問題あった?」

巫女「……」ちょいちょい

受付「? どったの?」スタスタ


ガシィイイイイ!!


受付「ごぇっ!?」

巫女(いつの間に年場もいかない子供に手を? なぜそれを私に黙って?)

受付(ちょ、タンマタンマ閉まってるから首…ッ!)

巫女(ああ…っ)ぱっ

巫女(なんとうことでしょう。私という友人を持っていながらなんたる意地悪)ヨヨヨ

巫女(しゃんぷーを買いに手を繋いで仲良くお帰りデートなんて、なんてもう羨ましい)

受付「うん、アンタがウチらの会話聞いてないのよくわかった」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:52:47.97 ID:WpcBWA3KO
巫女(これは罰としてお聞かせ願わないと駄目でしょう)

巫女(──やはり、性を知ったばかりの少年は毎夜毎夜と求められますか? 一夜で何回ほど…?)キラキラ

受付「口閉じろ変態巫女。今から紹介するから」

〜〜〜

巫女「はじめまして。わたくしこの神社の巫女を務めさせて頂いております」

男「はじめまして! その、俺は男といいます…!」ペコペコ

受付「あとバイト先のオーナーの甥っ子ね」

巫女「まああの方の甥っ子…」

男(なにげに有名だな、叔母さん)

巫女「それはそれはあの方に似て聡明なのでしょうね、何処か雰囲気も似てらっしゃる」

男「そうでしょうかっ?」テレ

巫女「…ところで、今年でお幾つで?」

男「こ、高校一年になります!」

巫女「まあ。見た目以上に大人なのですね、すみません。勝手に中学生辺りかと…」

男「あはは。よく言われます、はやく立派な雰囲気を持ちたいですけどね」

巫女「……もったいないこと仰る……」ボソリ

男「はい?」

巫女「いえ。独り言です、お気になさらず」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:59:13.59 ID:WpcBWA3KO
巫女「では。唐突で恐縮なのですが、よろしければライン交換などしませんか?」スッ カチャアアッ

受付「はいはーい! じゃ紹介は済ませたから帰ろっか男くん!」バッ

男「でも巫女さんが何か今…」

巫女「受付さん」

受付「な、なによ?」

巫女「………」じぃー

男「っ? …っ??」テレテレ

巫女「……むしろ美味しい時期、でしょうか……」ホウ…

受付「うん。すまんかったよ、出来れば早急に写メ等送るべきだった。唐突な出会いにタガ外れてるね?」

巫女「ええ、あなたの言う通り貴女とは親密関係ではないご様子。むしろ経験すら感じられない無垢さ加減――」

巫女「──もしや我が神社への貢物ですか?」ハッ

受付「その突発具合、嫌いじゃないがどうにかならないかなあ!? あと会話全然繋がってない!」

男「あ、あのさっきからなんのお話を…?」

巫女「失礼しました。わたくし、受付さんとは大学生からの付き合いなのですよ」

受付「そうそう、だからたまーに二人の世界に入っちゃんだよねー!」

男「え、あっ、なるほど…大学生からの友達の方でしたか…」

巫女「? なにか?」

男「あ、いえ! すると巫女さんからの紹介でここで働いてる感じ何ですか?」

受付「えらい詮索するね、お姉さんのこと」キョトン

男「いえ別にぃ!?」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:59:42.09 ID:WpcBWA3KO
巫女「すみません、わたくしのことは『巫女おねえちゃん』と呼んでくださいませんか?」

受付「突然なに言い出したこの娘!?」

男「えっ、あ〜〜…巫女おねえちゃん…?」

受付「君も人当たりの良さ加減考えたらどうかなあ!?」

巫女「……なんて尊い……」フルフル

受付「待って、本当にこのまま私が突っ込み続けるの!?」


〜〜〜


巫女「こちらが我が神社のご神木になります。樹齢百年以上、正確な数字は分かっておりません」

男「へえ…」

受付「君も物好きだね、ほんっと。わざわざ付き合わなくてもいいのに、こんなの興味ないデショ」

男「そん、なことありませんよ!」

巫女「申し訳ありません。刺激満たす程の派手なものなど無い殺風景な神社でして」

男「文句なんてこれっぽっちも! 全然かまいませんよ俺!」

巫女「まあ…」

巫女「ならば本堂の裏手にこぢんまりとした畳部屋がありまして、そこをご見学されては如何でしょう」

男「そこには何があるんですか?」

巫女「もちろん楽しいひと時を過ごせるものが…貴方はなにもしなくてもよいのです…全てお姉ちゃんにおまかせを…」ススス
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:00:15.53 ID:WpcBWA3KO
受付「がっつき過ぎだからね、アンタ」グイッ

巫女「妬かなくても参加ご自由なのですが?」

受付「それが何の言い訳になるとお思いなのかな?」

男「あはは。仲いいですねお二人とも」

受付「普段のキレのいい察しの良さはどこ行った!」

男「え? ええ?」キョトン

受付(この子本当にわかってないのか。こいつのヤバさを…)チラ

巫女「フーッ フーッ」キラキラ

受付(あんなんだけど、見た目と雰囲気はお上品だからなあ。それに知り合いじゃないと深くつっこめないか)

受付(ここはいっちょ知り合いとして頑張るか)グイッ

男「うわっとと!」

受付「ごめん、ミコ。ああはいったけどこの子、ウチがツバつけてるから」

男「は? ちょっとやめてもらいます? そういう冗談好きじゃないんで」

受付「逆に知り合いだと容赦ないね君!」

巫女「やはり手を出してたのですね…」

受付「アンタも一切疑わないのもどうなの?!」

巫女「しかし受付さん。私は思うのです」

受付「な、なにがどうしたって?」

巫女「それは…それで…良くも悪くもあり…多数でも案外イケるかなって」

受付「守備範囲おっそろしいなあお前っ!?」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:00:42.79 ID:WpcBWA3KO
巫女「先ほどの招待、ご冗談だと思ってました? 友の痴態を知っておきたい。友ならば当然の帰結では? ねえ?」

男「エッ…!」

受付「この子に振るなよ馬鹿か!」バッ

巫女「ふふ…年上女性が高校生男子を庇う姿…ふふふ…」

受付(し、しまった! コイツ他人のシチュでイケる口だった! いかがわしい妄想の肥やしにされる…!)

受付「おい、ミコ。煩悩塗れやがって、神様に使える身として恥ずかしくないのっ?」

巫女「姿とはまさに一見の美。体裁のみ整えれば、煩悩など些細な誤差ですよ」

受付(ぐ…! 中身が変態クセして完璧主義者だったなそういや…! 自堕落な私じゃ言い分に欠ける…っ)

男「う、受付さん! もしかしてあの人って…」

受付「っ! 気づいた男くん!? そう言ってやってよズッバりと! 何時ものように切れ味ある突っ込みでさ!」

男「ええっでも、いいんですか? こんな事を言ったら失礼になるんじゃ」

巫女「私に不備はありません、完璧なのです、だからこそ好きなものを好きといえるのです!」ぺかー

受付「変態なのにぃ…変態なのに神々しさでそうは見えないぃ〜…っ!」

男「言ってる意味まったくわかりませんが覚悟を決めました!」ビシッ

巫女「ふふふ。貴方のような少年に何がわかるとでも?」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:03:29.45 ID:WpcBWA3KO
男「せ、世間知らずの俺だって間違ってることぐらいわかってるんですよ―――」

受付(一体どんな言葉で突っ込みするつもり…っ!?)ゴクリ


男「――貴女が着ている巫女服、襟が左右反対だって!」


巫女「……」チラ

巫女「……お見事……」ガッ

受付「真正面から正当に心をブチ折ったァー!」

男「巫女さん!? 急に座り込んでいったい…!?」

巫女「完敗ですわ…知らぬうちにわたくしは身も心も煩悩塗れとなっていたのですね…」

受付「いや、全然いつもどおりだったから」

巫女「有り難うございます。貴方の言葉で無事、元のわたくしへと戻るきっかけを得ることができました」

男「感謝なんてそんな…」

巫女「このご恩は生涯忘れません…ところでこのご恩をお返ししたいのですが、現住所はどちらに…?」ワクワク

受付「復活はえーなアンタ、口閉じてなさい」

男「その先を真っすぐ行って、繁華街辺りの…」

受付「君もだよお人好し小僧!」

〜〜〜
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:06:10.73 ID:WpcBWA3KO
男「なんだか面白い方でしたね」

受付「疲れたよ…君はもう今後、ここには来ない方が身のためだよきっと…」

男「やっぱりお邪魔でしたか…?」

受付「あん? いや、別に邪魔だとは言わないよ。ただ君の貞操がヤバイって話で…」

受付(人生経験としては重要か? いやでもなあ、うーん、まあラブホに住んでる時点で経験値ヤバそうだけど)

男「今日は来れてよかったです」

受付「……。まあ顔だけは良いしね、アイツ」

男「え? いやいや、そうじゃなくて…」スッ

受付「ん? わたし?」

男「言い忘れてましたけど、今日ここに来たのって受付さんに会う為なんです」

男「ほら、ホテルじゃよく会うのに普段の姿見たことないなぁーっと、ふと思いまして」

受付「変なこと考えるのね、君」

男「あはは。叔母さんとケル君にも言われましたよ、それ」

受付(でも会いに来たんだ、わざわざ)

男「俺思うんです。知らない方が良いことが多い、でも、知ってる方がもっと楽しくなるんだって」

男「受付さん。そーいうの共感できません?」

受付「……、わかるけど、そーゆうことはお姉さん相手にすることじゃないと思う」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:07:12.15 ID:WpcBWA3KO
男「? どうしてですか?」

受付「はぁ〜、君がたまにみせるそーゆうユルいところ。一体誰に似たんだろうね、まったく」ガシガシ

男「?」

受付「取り敢えずシャンプー、買いに行こっか」

男「え、あ、はい! 行きましょうか!」

受付(……こわいなあ、この子。家族でもない奴にそこまで近づこうとしてさ)

受付(ラブホテルで寝泊まりなんてどうかと思ってたけど、案外、知り合いに囲まれた生活が嵌ってるのかも)

受付「でもその知り合いがお姉さんだよ君、アハハ」


『言い忘れてましたけど、今日ここに来たのって受付さんに会う為なんです』



受付「……そんなん言われたの初めてだよ」クス

男「受付さーん!」

受付「はいはーい、今すぐ行くってば」

受付(ま。そこまで私はやさしーお姉さんじゃないけどねー)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:07:38.59 ID:WpcBWA3KO
後日談 神社


巫女「最近、私のおとうとくんから世話を焼かれる? 自慢ですか?」サッサッ

受付「受け取り方やべーなアンタ。ていうか勝手に彼を血縁関係にすんな」サッサッ

巫女「懐かれたのでは? 羨ましくて腹たちますけど、応援しますよ」ハフゥ…

受付「嫌だよ面倒くさーい。私的には自由を束縛されたくないの」グテー

ピロローン

受付「噂をすれば彼から電話だ、もしもーし」

巫女「まあ。後でわたくしにも変わって下さい」

『ちょっと受付さんッ!? なんで俺の洗濯かごに下着入れてるんですか!?』

巫女「ちょっと引きました私」

受付「はぁ? そんなことするわけないじゃん、誰かのと間違えてない?」

『ああ確かに…こんなド派手なの持ってませんもんね』

巫女「ん?」

受付「失礼なッ! 君に見せてない超ド派手な奴もあるわッ!」

巫女「待ってくれませんちょっと?」


【叔母の下着でした。】

第六話 終
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 17:09:39.36 ID:WpcBWA3KO
三日後ノシ

あと五話です
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 18:25:43.14 ID:VPSMoht90
おつ
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 22:24:44.12 ID:thMRdcv3o
遅れる毎に一話追加で
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 23:36:47.05 ID:MCowT84eO
神社なら本堂じゃなく本殿じゃね
あるいは拝殿か
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 09:29:56.01 ID:h9p7bDFPO
こまけえこたあいいんだよ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/16(水) 22:28:23.07 ID:k+OjldpvO
すんません明日でよろしくお願いします

そんで六話に変更ノシ
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 03:27:45.77 ID:G1sWv9kfo
了解
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 17:44:40.81 ID:rhPcie67o
早く来ないと俺の中で勝手に男が性に目覚める
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 21:13:05.96 ID:VMh3CnZlO
明日とは一体
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/06(火) 05:10:30.04 ID:DSDxXY1x0
こういうノリの会話ってつまらないやつの方が圧倒的に多いのにこれは面白いわ。
ただ俺の叔母上ルートへの期待とは裏腹にまだ誰にもなびいてないな男は。
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 01:01:20.65 ID:I+qQXgqQO
一ヶ月過ぎたし今年ももうすぐで終わるし残り一ヶ月もないぞ
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/01(日) 17:47:20.62 ID:cAbZbjNA0
まだかあ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 22:19:39.20 ID:USDwawpo0
まだぁ?
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:45:36.79 ID:QbgMpNKJO
『《――ケルディ、聞いてるのか?》』

清掃「《聞いてるってば、お父さん》」

『《大事な話をしてるんだ。家族にとって重要なことなんだよ》』

清掃「《……》」

『《今すぐ決めてくれとは言わない。ただ…》』

「《…父さんはもう、心に決めてるつもりだ》」

清掃「《ボクは…》」

「《良い返事をまってる》」

プツン

清掃「…」パタン


「……あたらしい、お母さん。か…」


〜〜〜


ウィーン ガチャン

男「疲れたな今日も…」ポチ

男(冷蔵庫に食材の買い置きあるし、今日はケル君から借りた漫画でものんびり読もうかな)
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:46:30.79 ID:QbgMpNKJO
ウィーン

男「ふんふーん」スタスタ…

清掃(女装)「ヤッホ! お帰りオトコ!」シュビッ

男「やあケルケル君。今日もお疲れ様」

清掃(女装)「オッツ! カツカレーご飯大盛り!」たたっ


すたすた


男(フフ…また新しい挨拶思いついたんだな…)

男「って、ええッ!? 待ッ、ちょっとケル君ッ!?」ババッ!

清掃「ホワイ?」クル

男「その格好どういうこと!? じょ、女性みたいなカツラかぶって、というかっ、そのメイド服は!?」

清掃「なにか問題です?」キョトン

男「一方的に戸惑われた?! わけがわからないのは俺のほうなのにッ!」

清掃「もぉーオトコってば静かによ? 大きな声禁止、メッ! だからね?」ピッ

男「うぉおぉおぉっ?」パクパクパク

清掃「じゃケルケルまだ仕事あるから、あとでコミック感想プリーズねー! バーイ!」ブンブン

男「……あ、ハイ」


44号室


男(あ、あれは一体どういうことなんだ…)ドサ

男(彼の趣味…仕事中にあんなふざけた格好許される、かもなあ…叔母さんだしなあ…)
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:48:29.02 ID:QbgMpNKJO
男「――イヤイヤイヤ…! とにかくケル君にあんな趣味とか、無い無いッ、きっと無い!」

男(きっと理由があって、あのような格好をせざるを得なかったのだろう…!)

男「……。にしても、一瞬見逃すぐらい違和感無かったなメイド服…」

こんこん

男「ひゃあいっ!?」ビックーン

「オトコー? いるー?」

男「居ますがぁ!? なんのご用でしょう!?」

「なぜに他人行儀なのオトコー?」

男「ごほんっ! き、気にしないで! 鍵かかってないから入れるよ!」

清掃「あ。本当だ、ヤホー! …着ちゃったっ」テヘ

男「………、もしかしてわざとやってる?」

清掃「なんのこと?」ニコニコ

男「その格好のことだってば…実は受付さんが隠し撮りしてて、ドッキリ企ててたりとか…」バッ

男「あれ、居ない?」

清掃「ねえねえオトコ」ちょんちょん

男「うッ!? ど、どうしたの…?」ソロー

清掃「そんなメイドめずらし?」

男「え? いや、実家にも家政婦さん何人か居たし…でも、君が、」チラ

清掃「ウン?」キラキラキラ
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:49:29.38 ID:QbgMpNKJO
男「…笑えるぐらい似合ってるね、メイド服…」

清掃「ワオ! 今のケルケルはオモシロイ!? だからオトコはイヤ?」

男「う、うーん、待ってケル君。ここはハッキリしとこうと思う。だから言っておくよ」スッ

清掃「?」ポン

男「――その格好はなに? 急にメイド服やらカツラなんて、どうしたのさっ?」

清掃「………」じぃー

男(候補として受付さん悪ふざけ、叔母さんの趣味、ケル君の漫画やゲームのイベントやらでコスプレと見たが、一体どれだ!?)

清掃「ねえ、オトコ」スッ

男「う、うん?」

清掃「えへへー」ぎゅぅ〜〜


男「―――」(抱きつかれ思考停止中)


清掃「オトコは身体おおきいね。同じぐらいなのに、ボクより頭いっこ分おおきい」クスクス

清掃「普段なにイートしてるです? ケルケルに教えてくれたら好き!」

清掃「あ! でも最近ボクも一緒のゴハン食べてない!?」ハッ!

清掃「ならいつの日か、ケルケルもオトコと一緒の景色みられるね。とても楽しみっ」


男(―――ハッッ!!??!)ビクンッッッ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:50:03.60 ID:QbgMpNKJO
男(なんっ、だ? 数秒の記憶が無い! なにがあった!? とても許容しきれない現実だった気がす、)チラ

清掃「オトコ…」ぎゅう

男「どぅわああああーーーーーーーー!!!」ズサササーァッ!

清掃「わお!」パッ

男「はっ…はっ…! (ケル君フルネーム)!!」

清掃「なぜ貴様がその名を!?」ハッ!

男「そういうの今は無理! 無視します! もうもう何なんだよーッ! それはーッ! わけがわかんないよーッ!」

清掃「一体どうしたのオトコ?」キョトン

男「こっちのセリフだよまったくもってさぁ!?」


受付「って見つけたーッ! やっぱ男くんの部屋来てたな!? 容疑者ケルケルー!」


清掃「ムッ」ババッ

受付「もう逃げ場なし観念おしッ! 大人しく投降しなさい! いや、その超越ミニスカ逃亡劇は非常に眼福だったけどネ!」

受付「しかァーしッ! 私が一介のラブホ従業員である限り、貴殿の狙い撃ちフェチズムテロは見逃せんッ! いざお縄に頂戴!」

清掃「くッ、ケルケルもここまでか…っ」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:50:52.62 ID:QbgMpNKJO
清掃「だが! ボクには最愛の友! マクリマルゥ・オトコ・デラックスが居ますカラ!」ササッ

男「オトコデラックス!?」

受付「なぬッ!? 既にソッチ趣向に開拓されてしまったというの!? ほんの数分目を離した隙に、なんてテクニシャン!」

男「誰か助けてくれーーッ! この状況から誰か救い出してくれーーー!!」


数十分後


男「よ、酔ってるんですか? ケル君が?」

叔母「そう。酒のんでスタッフルームから飛び出したらしい、以前から酒癖悪いとは聞いてたけど」

叔母「…よほどテンションが上がったんだろうね、ここまで派手に騒動になったのは初めて見る」

男「え、えーっと、じゃあ何故メイド服を着てたんですか…?」

叔母「ん? ああ、あれは単なる趣味だよ、何かのイベントで着る機会があったらしい」フゥー

男「………」

叔母「……、ちなみに」グリグリ

叔母「酒癖の悪さは彼自身、悩んでる――ところは一切見てないが、わざとじゃないのは確か」

男「! すみません、変な表情してましたかね、俺…」

叔母「いいや。ただ、雰囲気が少し思い悩んでた気がして」

男(うぐッ、ちょっと引いてたの気づかれてる…)
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:51:47.45 ID:QbgMpNKJO
叔母「君に害があったなら怒れば良いし、特に気にしないなら笑って冗談で済ませばいい」チラ

受付「」ちーん

叔母「この馬鹿のように、馬鹿騒ぎして、馬鹿みたいにホテル内で、馬鹿に遊ぶのも馬鹿っぽいけどいい手だとは思う」

受付「…そんなにバカバカ言われちゃ本当に馬鹿になっちゃぅぅ…」

叔母「もう手遅れだろ」シュボッ

男「そ、それでケル君は?」

叔母「受け付け横のスタッフルーム」

受付「男くぅ〜ん…今のケルケル君、多分、素面になって落ち込んでるから慰めてやっておくれ〜…」

男「ええっ? お、俺がですか? ケル君も会いにくいんじゃ…」

受付「うんにゃ、酒の過ち程度でケルケル君はへこたれないって。よっと!」シュタ

受付「なにやら悩み事があるらしいのよ、それでヤケ酒したっぽいのよね…」

男「悩み事?」

叔母「ん。実は私からも頼みたい」

叔母「天真爛漫な彼がここまで大荒れしたんだ。我々年上より、年の近い君の方が話しやすいだろう」

受付「んだからお願い! 今度なにかおごってあげるから! これでケルケル君に辞められたらシフト増えちゃう! そんなのヤダーッ!」

男「優しいのか身勝手なのかハッキリして下さいよ…」

男(でも、俺自身も気になってるのは事実だし…)
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:52:17.43 ID:QbgMpNKJO
〜〜〜

清掃「……………」ズゥウウウン…

男(しゃれにならないぐらい落ち込んでる…まるで見たこと無い表情をして…)

清掃「ぁ…オトコ…」ビクッ

清掃「ごっ、ごめんね! 本当にごめんなさいです!」ペコペコ

男「いや、うん、叔母さんから話は聞いたし、俺としては全然平気だから…」

清掃「………」ギュッ

男「あ、あのさ、ケル君?」

清掃「ハイッ!」バッ

男「………」ピク

清掃「…っ…っ…」

男「ゲーム、しよっか?」

清掃「エ?」

男「最近ハマってる奴ある? 俺、ゲーム苦手だけどケル君がやってるの見てるだけで楽しいんだよね」

男「どう? やる? 疲れてるなら、今日はもうやめとく?」

清掃「……………」ぽけー

男「うん?」ニコ
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:54:07.35 ID:QbgMpNKJO
清掃「……や、やるです……」コクコク

男「よっしゃ。じゃあ俺の部屋に行こうか、…待って、その姿のままじゃ駄目! ちゃんと着替えてからだよッ!?」

〜〜〜

清掃「あ。それさっきやったよ」ドゴォーン!

男「動き読まれたー!? つ、強すぎる…!? つか、俺のキャラと全く違う動きしてるんだけど!?」

清掃「エヘヘー」ニッコニコ

男「このゲームならケル君相手でも食い下がれると思ったのに…修行が足りなかった…」

清掃「でもオトコすごい。キャラの特徴いっぱい把握してるし、記憶力イイのね!」

男「えっ? ま、まあ…それだけ…それだけが俺の取り柄だしね」テレテレ

清掃「でも探求力ナッシングよ? キャラ把握だけじゃダメ、プレイヤースキルもっと学習!」

男「肝に銘じます…し、しかし趣味を何処まで極めるか判断付きにくいというか…」ムムム

清掃「………」

清掃「…あ、あの、オトコ」くいくいっ

男「ん、どうした?」

清掃「その、…ありがと…です、よ?」

男「えっ? な、なにがかな?」

清掃「きぃ使ってくれて嬉しい…ケルケル、色々あって落ち込んでたから…」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:56:00.93 ID:QbgMpNKJO
清掃「オトコが一緒ゲームしてくれて、とっても楽しかった、ううん、ちがう、そうじゃなくて…」

男「うん」

清掃「………」じぃー

清掃「オトコ。…質問あるの、聞いてくれる?」

男「もちろん。良いよ、なんだってきいて良いから」

清掃「…ありがと」


【それは彼の家族の問題だった】


清掃「新しいお母さん出来るらしいの」


【遠い故郷の出来事で。彼には電話一本でしか伝えられなかった】


清掃「おとうさんは決めてた。もうボクに聞くまえに、とっくに決めてた」


【――彼はここでの収入の殆どを実家へ仕送りしていて】

【例え、趣味で故郷の国を離れたとしても、彼は一人の家族としてみんなを想っていたのに】


清掃「…すごく、いっぱい、たくさん悲しかった」

清掃「もう家族じゃ無いって、勝手に一人で頑張れって、そう言われちゃった気がした」

男「それは…」

清掃「ウン。大丈夫、ケルケルの考えすぎだって、ちゃんとわかってる」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:56:38.23 ID:QbgMpNKJO
【でも彼はお酒に頼るほど思い悩んだのを、俺は知っている】


清掃「遠いんだもん。伝えたかったとしてもいっぱいお金払わなくちゃダメだし、電話だってたくさんお金がかかっちゃう」

男「……うん」

清掃「でも、ね」ギュッ

清掃「―――会いたかった、ちゃんと顔を見て、お話ししたかったよ…」


【でも、でも、でも、と】

【彼の中ではあり得た可能性が何度も呟かれてるようだった】

【現実的に見ようとする自分と、希望に縋ろうとする自分が鬩ぎ合っている】


男(ああ、…わからない、わけがない)

【彼の悩みは自分自身、結構身に染みた話題だった。離婚調停中の親を持つ身だったから】

男(…だから一つだけ、こんな可能性もあると言ってみたい)

男「ケル君」

清掃「あ…ご、ごめんね! 変なこと言っちゃって、だからソノ、質問ってのは…っ」

男「唐突にごめん。実は俺の親、近々に離婚するんだ」

清掃「えっ、あっ! う、う〜…」

男「ああ、もしかしてもう叔母さんから聞いてた?」

清掃「…う、うん」コクコク
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:57:19.20 ID:QbgMpNKJO
男「そっか。でもね、そんなに悲しくないんだ、俺個人としてはさ」

清掃「どうして?! 大事な家族がばらばらになっちゃうんだよ!?」ガタッ

男「おぉう!? ――そうだね、でも悲しくなんかない、これっぽっちも」


男「悲しくなんて、なってやらないんだ」


清掃「……?」

男「子が親をわかったように言うのも気分が悪いけど、この際ハッキリぶっちゃけるけども」


男「――――笑っちゃうぐらい、ほんっっと身勝手な人たち過ぎるんだよなァ…!?」ギラァッ


清掃(ヤダ! 普段オトコがしたこと無い顔よ! こわい!)ガクガクガク

男「両親共働きでろくに朝昼晩と一緒に飯喰ったことないし、まあそれは良いよ。こっちの我が儘だ」

男「でも、子供がせっせと努力を重ねて勝ち取った学年一位と最優秀生徒やら何やら!」

男「普段あっちがブツクサと人の上立てと要求する癖に、いざ取ったら取ったでまったくの無関心!」

男「かァーッ! ほんっとマジで子供のこと単なる跡継ぎでしか想ってないんじゃ無いの!?」

男「と、中学の頃は本気でそう思ってました」スッキリ

清掃「ハ、ハイ」

男「……。でもね、最近は違うんだ、そうとも思えなくなってきてる」

清掃「? どうして?」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 22:58:11.83 ID:QbgMpNKJO
男「…離婚の話がちらほら見え始めたとき、珍しく両親が家で揃ったんだ」

男「あれは中学卒業の…半年前かな、もうとっくに互いに愛想を尽かしてたんだろうけど」


【その日。生まれて初めて両親の夫婦喧嘩を見た】

【熱くて、目を開けてられないぐらいのドロドロとした、異様な光景】

【それをドアの隙間から覗いていた俺は、驚いたと同時に、ただ一つだけ思ったんだ】


男「どうして【今まで誰にも言わなかったんだろう?】 いつから誰一人信頼せず独り抱え込んで来たんだろうって」

男「…それぐらいしょーもない喧嘩内容だったから」

男(でも、それが普通なんだと今では分かる。両親は一般人と変わらない、ただの人間だと)

男「ただただ、俺の両親の周りは、本音を言えない人たちばっかりだったんだなぁっと…」

男「もうちょっと自分らしく居られる場所があれば…きっと…」ハッ

清掃「………」ジッ

男「ご、ごめん。話が少し断線してた、うん、ごめん」ポリポリ

清掃「いいよ。聞いてる、ケルケル聞いてるから」クイッ

清掃「ラストまで話して、オトコ」

男「あ、ありがと」テレ

男「だからね、ケル君。離婚で悲しい思いなんて絶対しない。そんなの自業自得だってさ」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:00:16.63 ID:QbgMpNKJO
男「あの人たちは他人に、近しい人に、自分の想いを伝えることを怠った」

男「…自分の悩みを家族に言わなかった、独り抱えて黙ってた。それは駄目だと…」チラ

清掃「!」

男「そうだよ、ケル君が俺に言ってくれただろ? バイク二人乗りの時にさ」ニコ

清掃「…うん、言った…言ってたよケルケル…っ」ギュッ

男「相手を深く知らずいるのは楽だし、一人で生きた方がきっと穏やかだろうね」

男「…でも」


『おかえり』

『…た、ただいま』


男「―――素直に言葉を言ったり言われたりとか、そっちのほうが凄く楽しいじゃん?」

清掃「そう、そうだよオトコ! ボクも素直に言ったほうが好き!」フンスーッ

男「そうそう。だから君のお父さんにもハッキリ言った方が良い、じゃないかな…」

男「じゃなかったら、ケル君に電話なんてしないよ。否定される可能性を敢えてやってるんだからさ」

清掃「ザッツライ! ダディって小心者? みたいなけつ穴ちいせぇー男だもん!」フンフンッ

男「うん。あとでその言葉教えたであろう受付さん怒っておくね」

清掃「な、なんだか…なんだかケルケル超元気でてきたんですけど!? ナニコレ!? why!?」

男「おお…! 確かに、何時ものパワフルなケル君に見えなくもない…!」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:01:02.43 ID:QbgMpNKJO
清掃「Powerfulkerukeru!? なにそれテラつよそう! ふんぬぅうぅぅうぅぅ〜〜っ!!」グググ

パァンッ!

清掃「決めた! 今からダディに電話する! やっぱいっぱい怒る! 直接こいって文句いう!」

男「おう! 行ってこいケル君!」ニッ

清掃「ありがとオトコ! もう、なんだろっ、愛してる! ラブユーチュッチュ!」シュバァッ!

男「………」フリフリ


パタン


男(なんて、わかったような事をよくもまあ言えるな、俺も)スッ…


【壊れていく家族をそのままに、本音を語れなかったのは俺自身なのに】

【子供に何が出来る。離婚を引き留めるなど無理だ。そんな力は俺には無いと】


男(だって、最初から期待されてないんじゃどうしようもないだろ)

男(…ああ、寒気がする。頭が痛い。数十分間の俺を消し去りたい、嫌だ、もう嫌だ)


【何を努力しても、想像しても、他人から期待される人間になんてなれやしないのに】


男(浮かれるな。偶然上手くいっただけ。何度も続かない。自信をつけるな)
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:01:43.45 ID:QbgMpNKJO
男(お前は人の悩みを聞ける大した人間か? 違う、その逆だ。教養の無いちっぽけな人間だろ)

男(ああ、恥ずかしい。自分を殴りたい。もう二度と自分を期待するな…次はきっと大失敗するんじゃないか――)


「ありがとう、男君」


男「――えっ?」バッ

叔母「ん? だから、ありがとうと言ったんだけど…?」


男「………」ボーゼン

叔母「……」キョトン


男「…なぜ、叔母さんがここに…?」ダラダラダラダラ

叔母「え? さっきから居たんだが、…もしかしてずっと無視されてた?」

男(ええッッ!? 完ッ全ッに自分の世界入ってた…!? こりゃ恥っずぅーーー!!)カァァァァ

叔母「…じゃあ出直すか」スタ

男「いや良いですってば!? 全然ここ居てくださいよ!!」

叔母「本当に?」チラ

男「まったくもってかまいません! それでッ!? ありがとうとはどういったことで!?」

叔母「う、うん。ケルケル君のことだよ、さっき廊下で元気に走り抜けていく姿を見たから」

叔母「ああ、君が上手くやってくれたんだなと。だからお礼。ありがとうって、君にね」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:02:33.71 ID:QbgMpNKJO
男「お、俺はそんな大したことなんて…単に話を聞いて、思ったことを言っただけで…」

叔母「……、煙草すう? 最後の一本だけど…」ヒョイ

男「は、はい?」

叔母「やっぱり吸わないか。いやなんとなく君らしくないなぁと、ふと思ったから」シュボッ

男「………」

叔母「ほら君らしくない。君の部屋で煙草吸ってることに何も言わない」グリグリ

シュウウウ…

男「…俺らしさって、なんですか」ボソリ

叔母「ん。そうだなあ、私が知っている男くんはとにかく…うん…とにかく小姑っぽい?」

男「………」ズーン

叔母「ほ、褒めてるからっ。でもごめん! 気に障ったのなら謝るから!」

男「い、いえ、別に…」

叔母「うーん…」ポリポリ

叔母「…君は年齢しては落ち着きもあるし、よく考えて行動してるから偉いと思う」

叔母「私よりもきっと大人に近い大人なんだろうと、常々思うんだ」

男「は、はあ…ありがとうございます…」

叔母「でも子供だろ?」スッパリ

男「…………」ピク

叔母「君はまだ成人もしてない。大人っぽいけど大人じゃない、だから…」


叔母「人から期待されて、それを達成できたら嬉しがらないとダメだってば」


262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:03:11.10 ID:QbgMpNKJO
男「喜ばないと、ダメ?」

叔母「期待されたら喜ばないとね」

男「そっ、そんな期待されて喜ぶ人間ですかね俺…!?」

叔母「料理を作る君は凄く楽しそう見えるけど」

男「うぐッ」

叔母「ケルケル君だって受付だって、君の世話焼きっぷりには凄く期待してる。だからケルケル君も、素直に悩みを打ち明けるんだと思う」

叔母「それに、私も」スッ


ぽんぽん


叔母「もう一度言うよ。――ありがとう、君は本当に凄い、私の自慢の甥っ子だ」ナデナデ

男「……」

ぶるっ

叔母「それが君に対する私の素直な感想だよ」

男(あぁ…この人は、本当に…)ギュッ


【どうして何時も、こんな恥ずかしい言葉をさらっと言うのだろう】

【どうして何時も、こんなにも欲しかった言葉を言ってくれるのだろう】

【………。やだ! 泣きそう! やだやだ待て待て待てッ! 堪えろ俺ぇーッ!】


男「…叔母さん」

叔母「ん?」

男「煙草、買ってきますから…お金ください…今から行ってきますから…」

叔母「ん。そっか」


叔母「ありがと」ニッ

男「はい…っ!」ニッ
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:04:32.88 ID:QbgMpNKJO
〜〜〜


受付「へっ?」

男「えっ?」

叔母「………」ポトリ


清掃「エ? 言った、よね? 新しいお母さん、は【ダディがなるマミィだって】」


男「ちょッ、ちょっと待って! えっ、なにっ、お父さんがお母さんてどいうことッ!?」

受付「あぁ〜〜〜なる、ほど〜〜〜……」

叔母「世界は広いな…」しんみり

男「俺だけ理解置いてかれてる! わかんないわかんない! 理屈意味不明ですけど!」


受付「ウン。つまり、ケルケル君のお父さんは…」

叔母「性転換手術でお母さんになる、と」フゥー

清掃「ダディ悩んでたのケルケルもう知ってたけどタイヘンな手術なのに一人で決めてー!」プンプン


男「……………………」(思考停止)

受付「ありゃ、キャパ超えちゃったか。言うてもここのラブホの客にだって居るよ?」

叔母「ああ、彼らンンッ! 彼女らは、非常に清潔に部屋を使ってくれる上客だ」

受付「もしかして酔っ払ったとき、メイド服だったのもアレ?」

清掃「ザッツライ! どんな気持ちか確かめたかったの!」

叔母「それで? 少しは分かった?」

清掃「ウーン……ケルケルおっぱい大きい人好きだから……うーん……」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:05:03.22 ID:QbgMpNKJO
受付「やっぱそうだよネ! んな簡単にセクシャリティ変わっちゃ全国の男みんなホモだ!」スタスタ

叔母「しかしそれじゃお前は一生モテないな…」スタスタ

受付「唐突に暴言吐かれて戸惑う私なんですけど!?」

叔母「ケルケル君に酒飲ませたのお前だろ。しかも部屋のビールという話を聞いた」

受付「巫女さんの仕事いってきまぁーーががががががが!?」



男「………」チーン

「オトコ、オトコ」つんつん

男「はっっっ!??!」

清掃「大丈夫? ヘイキ? 気分悪い?」

男「えっ!? いやっ、うん! 大丈夫だよ…全然…ちょっと気を失ってただけだから…」

清掃「そんなにショックだった? ケルケルのダディ、女の人になるの?」

男「ちょ、ちょっとね…衝撃が凄いというか…ケルケル君はヘイキなの…?」

清掃「タイの友達にいるから! えーとえと、ひぃふぅ…みぃ…? たくさん!」ニッコニコ

男(なんたる…これがカルチャーショック…)

清掃「…ダディ、やさしい人よ? 嫌いならないでほしいよ…」シュン

男「も、もちろん! ケル君の家族が悪い人なわけがない! でしょ!?」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:06:12.30 ID:QbgMpNKJO
清掃「うん!」ニコ

男「あ、あと…それと、おめでとう。ちゃんと話できたみたいで、こっちも嬉しいよ」

清掃「………」じぃー

男「ケル君?」

清掃「ケルケルね、本当はダディの手術反対するつもりだったの」


『《すっ、好きな人できちゃったんだよなぁ!? こんな話ケルディにしか出来ないよ!》』

『《反対なら言ってくれ…でも、パパ…この年で恋しちゃってぇ…えへへ…ムゴォホン! だから!》』

『《好きな人の為に、素直な自分を出すために、…まずお前に一番相談したかったんだよォ…っ》』


清掃「だってさ! ケラケラケラ! ほんとダディちっさいよねー!」ケタケタ

男(ほんっと凄いなケル君の懐の深さは…)

清掃「そうまで言われたらケルケルも認めなきゃ。マミィも居なくなってたくさん時間たったし」

清掃「オトコが言ってくれた、素直に、我慢しない。そう言ってくれたから、もういいの」ニコ

男「…そっか」

清掃「うん! あのねあのね、そういえばケルケルの質問してないの覚えてる?」

男「え? ああ、確かに。俺の話で終わっちゃってたな、そういや…」

清掃「なら今してもオッケ?」キラキラキラ

男「今に?! ま、まあ別にかまわないけど…」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:06:40.33 ID:QbgMpNKJO
清掃「わー! よかった、じゃあ今からするね!」スッ

男(一体どんな質問を…)ドキドキ


ぎゅっ


男「………えっ?」

清掃「んん〜〜〜」ぎゅううっ

男「ケル君!? これは何っ!? 一体…!?」

清掃「どお? なにか感じる? ハグって恥ずかしい? 特別なキモチ沸いちゃう?」

男「わっ沸かないよ全然!? それが聞きたいことなの!?」

清掃「そうよ!」ニッ

清掃「ありとあらゆる方法でダディの気持ち知る為よ! 情け容赦ないね、ケルケルは!」

男「…ほんっとケル君は凄いよ…」トホホ

清掃「よっと。ありがとねオトコ! そのオトコらしさに完敗よ!」パッ

男「そう、お役に立てたようで…それで、お父さんの気持ちって理解できた…?」

清掃「んーーー…」


清掃「ちょっぴりだけ!」ビシッ


男「そっか。なら良かった、……ん?」

清掃「んじゃケルケル仕事あるからバーイ! 漫画の感想あとでねー!」

男「あ、うん! あとでまた…!」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/21(土) 23:07:28.19 ID:QbgMpNKJO
ポツーン


男「り、理解できたって話だよな、うん。それだけって話だろう…」

清掃「♪」ヒョコ

男「うおっ?」びくっ

清掃「んふふーオットコ〜! またねー!」フリフリ

ヒョイ

男「…多分…そう、だよね…?」


第七話 終
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/21(土) 23:09:01.62 ID:QbgMpNKJO
一週間以内に… 次は叔母さんメインで

ではではノシ
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/21(土) 23:26:13.79 ID:fTQZTeSAo
久しぶりー
また濃厚な…乙です
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 07:05:56.60 ID:/J/Rm1bz0
良かった続くのか
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 15:47:42.47 ID:xKdZj1qYO
てっきり女装に目覚めて実は男性が好きだったみたいな話だと思ったら…
性転換は予想つかないは…濃厚すぎる…けど嫌いじゃない
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/26(木) 16:38:13.88 ID:YqJrmDrRo
ケルケルルート
ケルケル女性化ルート

が解禁されました

やったー続ききたー
18禁版は>>253で分岐
ホモーCG
メイド服プレイCG
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 23:08:38.28 ID:XT6ycRKxO
>>272
巫女服も似合いそうだし巫女服CG追加で
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:32:18.70 ID:+UB8et70O
男「――え、手紙?」

『とっくの前に届いてるハズなんだが? 読んでねーの?』

男「んー…いやまったく…」

『確かに送ったんだがなあ…あのクソからの手紙だし、忘れるわけないし』

男(なるほど。パ、ンンッ! 親父からの手紙か)

男「あ。もしかして叔母さんのところ送った?」

『たりめーだろ。ラブホの住所に生々しい手紙届けに行く郵便屋がかわいそーだわ』

男「全くその通りだ…」

『そっちあんのか? なら確かめに行ってこいよ。アホからの電話超うるせえから、読んだら折返しあっち電話しろ』

男「はいはい、了解。…んで、近状は?」

『はあ? 阿呆か、大人がやることに探り入れんじゃねーよ。ガキは勝手に青春謳歌しとけっつーの』

男「…………」

『聞こえてんのかー?』

男「…聞こえてるって」

『なら返事しろ。――まったく、いちいち似てきやがったな、アイツと』

男「アイツ?」

『テメーの父親だよ、さっきの無言っぷりが腹立つぐらい似てたわ』
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:32:57.06 ID:+UB8et70O
男「……。それは、」

男「それは叔母さんとも、似てるってこと?」

『……………』

男「………? もしもし? ちゃんと聞こえてんの?」

『あれ? あれあれあれ? あっれ〜〜〜〜〜??』

『なに? なんなの? それどういう意味での質問?』

男「えっ!? べ、別に、とくに深い意味は…」

『お前もしかして親父の妹と、寝た?』

男「……………は?」

『ウッソ〜〜〜!! お前って奴はほんっと私の息子だって今更! 確信! した、スゲーなオイ!』

男「ちょ、待て待て待て待て…ッッ…アンタなに言ってんだマジでよ…っ!?」

『愛しい我が子を褒めてる』

男「褒めてねーよ! つか、やめろよォ…! 例え冗談でも、親とそういった話これっぽっちもしたくねェ! 実の子供に下ネタNGだろ!」

『なんだ違うのか。…ま! んな度胸ねえよな! 知ってた!』

男「なら息子に下ネタ振るなと知っててくれ…」

『不思議なこと言い出すもんだから疑いもするわ。…お前らしくもない』

男「…俺らしくない?」

『良いか? 親らしいこと殆どやってない私もテメーの母親だ。一応、言っとくぞ』


『――あんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』

276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:33:31.85 ID:+UB8et70O
男「なん、だよ……それどういう意味、」

『仕事が残ってる、もう切るぞ。手紙の件忘れるなよ』

男「あッ!? オイって!」

ピッ ツーツー…

男「どいうことだよ、まったく」ピッ

男(俺らしくない? アンタが俺の何を知ってるってんだ、ふん!)ポイッ

男(それに、あとが辛いとか……意味分かんねーよ)


次の日 44号室


男「…はぁ」トントントン…

受付「あ。ため息だ」

清掃「ケルケル数えてたけど十回以上で諦めたよ?」

叔母「今のは29回目」

清掃「数えてた! ほわぁ〜…ownerすごかですなぁ〜…!キラキラキラ

受付「え…きっちり数えてたんスか…ちょっとキモいっすね、オーナー」

叔母「ご飯できるまで暇だったから」ぐー

受付「なら手伝えば良いのにネ☆ っていう私も手伝う気ゼロッスけど!」ニパー

男「別に良いですって、むしろそこで大人しくしてて欲しいぐらいですから」コトコト

清掃「前にケルケルたちお手伝いしたら凄かったネ! 戦場だった!」

男「惨状って言いたい感じ? …いや、戦場でも間違ってなかったなあ…」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:33:58.17 ID:+UB8et70O
受付「ここ火災保険下りるんスか?」

叔母「原因による。先日のアレだったなら確実に下りない。100パーセント」

受付「んじゃダメだ! 頑張れファイトだよ男くーん!」ブンブン

男「はいはい。言われなくても美味しい晩飯用意しますって」


トントントン カチャカチャ…


受付「にしても…」

受付(――なんか雰囲気おかしいよね、彼。どーおもうケルケルくん)ヒソヒソ

清掃(ため息は幸せ逃げちゃうよ! デイオフよ!)

受付(幸福にも休暇が存在していた…!? すなわち、お姉さんが幸せになるため有給残数を増やすべきッスねオーナー!)

叔母(永久に休みたいなら飛ばすが、その首)

受付(ひぇぇッ)

清掃(でもでもどうしたんだろ? オトコ、確かにゲンキないよ?)

叔母(そうだね。手際の良い彼なのに、ここまで時間がかかるのは初めて見るよ)

受付(むむむ〜…)ジィー


男「…はぁ…」


受付(む! わかった! こりゃ恋のお悩みッショ!)ピコーン

叔母&清掃(コイ?)キョトン
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:34:37.45 ID:+UB8et70O
受付(恋ッス! 恋愛絡みの悩み事! くんずほぐれず酒池肉林、魔の密林真っくろくろの人間関係図が高校生ではお約束!)

清掃(な、なんだか凄いの…そんなところオトコ毎日通ってるの…っ?)ガクガク

叔母(彼に彼女が? …ならなぜ私が知らないんだ)ムス

受付(何気に構いたがりッスよねオーナー、知ってたけど)ムホホ

叔母(か、彼の監督役としては知っておくべきだろっ?)

受付(まあそれに、彼女が居るって決まったわけじゃないデショ? 片思いやら度胸が無い、はたまた―――)

受付(――世間から認められない相手って可能性のあり得るし)


清掃「…認められない…」

叔母「相手……?」


受付(ん? んー? なんだか二人とも真に受けてちゃってる感じッスけど、単なるウチの勘っすよー?)


清掃(オトコがもしかしたら…そんなっ…でもでも…)モジモジ

叔母(叔母として、彼にはきちんとした高校生活を送らせると誓ったからには…っ)


受付(ちょっとー?)チョンチョン

清掃&叔母「――こうしちゃ居られないッッ!!」ガタタンッッ!!

男「どぅあッ!?」ビク
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:35:24.94 ID:+UB8et70O
受付「お、おお…!? ふ、二人ともまずは落ち着い、」

清掃「イロイロ準備するよ! ケルケル行ってくるー!」ダダァッ

男「ケル君どこいくの!?」

叔母「……覚悟を、責任者として覚悟が足りなかったんだ……」ユラァ スタ…スタ…

男「お、叔母さんもっ?」


キィ パタン…


男「一体どうしたんですかアレは…」

受付(そんなのウチが知りたいんだけど…)

受付「…あのさ。男くん」

男「は、はい?」

受付「もしかして恋しちゃったりしてる? それに悩んでたり?」

男「は? 恋? …そんな余裕あるわけないでしょ」

受付「わぁ〜まったくもって高校生っぽくない発言だぁ〜」

男「……高校生は恋愛で悩まなくちゃダメなんですか……?」

受付「いいや、君らしくて良いとお姉さん的には高評価かも?」

男「そ、そうですか?」

受付「うん。でもそーいうの考えないとあとで人生苦労するよ、恋愛下手になるから」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:35:55.17 ID:+UB8et70O
男「肝に銘じます…」ションボリ

受付(うむ。この子は自分から恋愛しないタイプだ。なら勘違いか)

受付(はてさて、まったく。あの二人はどー動くのやら…厄介なことにならないとイイケド…)ウーン…

男「できましたよ、二人の分もったいないから俺らで食べちゃいましょうか」

受付「わー! やったー!」ケロッ


〜〜〜


男(何か…)ガサゴソガサ


清掃「……」サッサッ

叔母「……」キュキュッ


男(何か凄く、見られてるというか。あの二人から視線をもらってるというか…)

男(なんだろう。何かしてしまったか? 俺、二人に変なところ見せてしまった?)

清掃「オーナー、窓拭き終わり?」

叔母「大体は」キュッキュッ

男「あ、こっちのゴミの分別も終わりました。ケル君、資源ゴミって何曜日だっけ?」


清掃「………」じぃー

叔母「………」じぃー


男「……あ、あの…二人とも……?」ダラダラ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:36:22.91 ID:+UB8et70O
清掃「水曜日よ! んじゃケルケルあっち掃除してくるね!」

叔母「引き続き分別頼むよ。それじゃ私はあっち行ってくる」

スタスタ スタスタ

男「あっ、はい…」

ぽつーん

男(やっぱり何か変だ。どう見たって二人して俺に余所余所しい)

男(急にどうしたって言うんだ。原因なんて思い当たらない…)

男(早く叔母さんに手紙のこと、聞かなくちゃいけないのに。タイミングが図りづらい…図りづらい…?)


『――あんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』


男「………」

受付「オーナー居なくなった?」ヒョッコリ

男「……あなた本当に自由な人っすね、マジで」

受付「あっははー、だって月一度の大掃除なんてやってらんないじゃーん」

男「いつか本当にクビになりますよ…?」

受付「またまた冗談いわないでよ〜! …冗談だよね?」

男「知りません。でも、クビになってもご飯ぐらい作ってあげなくもないです」スタスタ

受付「ほんとぉ〜! やったー!」ワーイ

男(…そうだ、悩んでたって仕方ない。行動だ、自分から動いてみるべきだ)
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:36:53.61 ID:+UB8et70O
〜〜〜

男「って、叔母さん何処まで行ったんだ? この階じゃ無いなら、上か?」

男(階段で上がろう。ん、縛った雑誌が踊り場に置きっ放しだ。回収忘れかな)ヒョイ


『男の娘特集! 〜見つけられる? ボクのスカートの中の織田財宝〜』


男「う、う〜んッ? なんだろう、このっ、……うーん…ッ?」

清掃「ずいぶんマニアックね!」

男「だァいッッ!? け、ケル君がなぜここに!?」ビッックーンッッ!

清掃「掃除中よ?」キョトン

男「し、知ってるよ! だからって急に背後に居ないで、心臓に悪いから…!」

清掃「ソーリ! ごめんね! でもでもぉ、オトコってばぁ〜」キラリン

清掃「――ゴミの中からソッチ系雑誌かくして持って行くなんてえっちね!」

男「待って、その勘違い待って、凄すぎてまったく言葉出てこない!」

清掃「チガウノ?」コテン

男「違うよ!? これだけ踊り場に放置してあったから回収しようとしただけ!」

清掃「ふーん、そうなんだ。ケルケルわかるよ、大丈夫! バッチシね!」グッ

男「いらぬ優しさ発揮しないッ!」

清掃「頑なねオトコ…そういうのキライ? あっ、フゼンってやつなの…?」サー…

男「ち、違うってば…! こういった本はっ、別にキライじゃ無いし…高校生として普通に興味あるし…」モゴモゴ
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:37:35.57 ID:+UB8et70O
清掃「ウンウン」キラキラ

男「……。ちょっと待って、雑誌系の回収ってケル君が担当だったよね?」

清掃「エッ!」

男「既にこの階は終わった、と俺は認識してたんだけど。…これは?」スッ

清掃「……ンン〜♪」ダラダラダラ

男「俺以上にうそヘタクソだねケル君…」

清掃「ゴメンナサイ…そうですボク、忘れてたみたい…」

男「いや、良いよ。後で俺が持って行くから、ケル君は上の階の掃除に向かって」

清掃「………」じぃー

男「うん。ちゃんとゴミ捨て場に! 持って行くから、そんな目で見ない!」

清掃「そ、そう? エート、その、オトコ…」

男「な、なに? まだなにか用?」

清掃「んん。オトコはそーいうの興味ナシ? 全然気にならない?」

男「…こういう雑誌には興味あるが、この特集にはいまいちピンと来ないな…」

清掃「どうして?」じぃー

男「ええっ? だってこれはいわゆる…特殊な性癖というか、一般的に公言できないような方向性であって…」

清掃「ウンウン」

男「あっ、でも――別にそういった人たちを軽視してるわけじゃ無いよ? ただ、自分の趣向に向かないって話で…」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:38:03.81 ID:+UB8et70O
清掃「そか。オトコは認められないのね、そっち系は」

男「まあ簡潔に言えば…」

清掃「でもね、オトコ」ずいっ

男「はいッ?」

清掃「世の中いっぱい愛の種類ある。たとえ認められなくっても、愛があればイチコロ。ケルケルの友達にだっていっぱいたよ!」

男「け、ケル君…?」

清掃「こーだからこーだと頑なダメ! オトコそーいう所あるとケルケル思う!」

男「は、はい! ごめんなさい…っ?」

清掃「わかってくれた? ケルケルの思い、知ってくれた?」

男「う、うん…なんとなくだけど、ケル君が言いたいことは理解できたと思う…」

清掃「ならイイヨ! ケルケル満足!」ニコニコ

男「…でも急にこんなこと聞いてどうしたっていうのさ、ケル君」

清掃「ウン? ケルケル心配だったから、オトコ最近悩んでる感じだったし!」

男「えっ?」

清掃「もしかしたらオトコがオトコ好きになった可能性考えてた」

男「予想以上にブッ飛んだこと考えてたねッ!」

清掃「そお? ガンコなオトコなら悩むと思ってた」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:38:50.33 ID:+UB8et70O
清掃「だからケルケル、ちゃんと友達としてオトコの恋応援したい。悩んでるなら、相談して欲しい。ケルケルできることやってあげたい」


清掃「――オトコが好きになった相手なら、絶対良い子のハズだし! 是非あってみたいし!」


男「ケル君…も、もしやこの雑誌もケル君がわざと放置して…?」

清掃「イエス! アキバでこの前かってきました!」ビシッ

清掃「とにかくそう言いたかった。理解してもらえてよかったよ、一息付けた」ふぃー

男「と、とりあえず納得してもらえたようで。それに、別に誰を好きになったとか、そういう悩みじゃ無いんだけどね…」

清掃「エッ! そうだったのー!?」

男「うん。でもありがとう、ケル君が一生懸命考えてくれたことは素直に嬉しい」

清掃「で、でも…ならケルケルやったことオトコに迷惑だったよね…ごめん…」

男「そうでもないよ? いっぱしに恋愛してない俺が言うのもアレだけど、うん、愛に境目なんて無いって、俺なりに理解できたつもり」

清掃「う、うん」シュン

男「そうだなぁ、もし仮に将来そういった関係ができるなら―――」

男「―――ケル君みたいな話しやすい人が良いな、俺的に」(悪意0)
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:39:22.23 ID:+UB8et70O
清掃「………………………」

男「なーんて、あっ! 気に障ったらゴメン! へ、変なこと言った…?」

清掃「ううん。そーでもないよ、オトコがそーーだってケルケル知ってるし」

男「えっ、あ、うん?」

清掃「オトコ約束して」

男「約束?」

清掃「今後ゼッタイそーいうの言わない、ケルケル以外に言っちゃダメ。わかった?」

男「…ちょっとケル君怒ってる?」

清掃「ヤクソク!」

男「はい! 約束ねッ!」ビクン

清掃「ウム。じゃあケルケル掃除始めるから、オトコもフォクシィみたいにサボらないように」

男「い、いえっさー…」

清掃「…………」じぃー

清掃「ケルケル。違うこと心配なってきたよ、放っておけないねオトコは」ハフゥ

男「ど、どういうこと?」

清掃「ヒミツ」ベー

たたっ

男「…何故に彼はああいった行為が似合うのだろう、不思議だ…」ボンヤリ

男(って、ぼーっとしてる暇ない! 叔母さん探さないと!)
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:39:54.23 ID:+UB8et70O
〜〜〜


男(スィートランドホテルにはケル君と、タンコブ出来た受付さんだけだった)

男「すると、居るのはここだよな…」スッ


ぴんぽーん


叔母「はい」ガチャ

男「…敢えて言いますけど、まずインターフォンで相手を確認しドア開けてください。不用心ですよ」

叔母「お、男くんっ? なぜここに…! あっ! 一緒に住むの…?」

男「違います。探してここまで来たんですよ、叔母さんに用事があって」

叔母「…………………」

男「上がってもいいですか?」

叔母「え? あ、うん、いや! 待って、五時間後になら…」

男「五時間後!?」

叔母「三時間後?」

男「たいして変わらない! なんでそんな時間を、あっ!? まさか、嘘、また…!?」

叔母「えぇえ〜…? なんのコトだろう〜…?」ソローリ

男「そっとドアを閉じようとするなーッ! アンタっ、部屋がまた汚くなってるんでしょうが…!?」ガッ

叔母「暴れるとご近所に迷惑だから…顔を覚えられたら今後一緒に住みにくくなっちゃうから…っ」ギリギリギリ

男「先の心配より今の心配でしょうが! 大家にバレたら叔母さんが住めなくなるんですけど!?」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:40:28.78 ID:+UB8et70O
室内


ゴチャーッ

男「……なんたる、惨状……」ゴゴゴゴゴ

叔母「言うほど汚れてないと思うけど…」

男「片付けた以前ぐらい元通りなんですけど…!?」

叔母「スミマセン」

男「ハァ〜…ホテル掃除の前に、ここを片付けなきゃダメじゃ無いですか…」

叔母「そう、思ったから一人でやってたんだ」スッ

男「え? あ、ゴミ袋に…金鋏? 金鋏!?」

叔母「ああ。キッチン用」ガッチンガッチン

男「イヤァッ! 聞きたくなァいッ! 水場周りで金鋏を使用しなきゃ駄目な状況なんて聞きたくなァい!」

叔母(これが受付が言ってた乙女系反応…)ぽやぽや

男「うぐぐッ、こうだと知ってれば除菌殺菌抗菌道具一式持ってくれば良かった…っ」

叔母「それで用事って何?」

男「当の本人がこれだもんなァ…! くッ、良いですよ! 掃除は今度にします、先に用事を済ませてたいですし!」

男「――はぁ、それで質問があるんですよ。叔母さんに」ジッ

叔母「質問?」

男「…………、なんで最近俺のことみてるんですか?」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:41:47.51 ID:+UB8et70O
叔母「ミテナイヨ」

男「やっぱ血筋って重要ですね。下手くそすぎますよ、嘘が」

叔母「うっ…」

男「教えてください。なにか、俺しましたか? 問題あるならちゃんと聞きますから、きちんと言ってください」

叔母「………」ダラダラ

男「言い辛い、ことなんですか?」

叔母「少し、そうかも」

男「……」

男「そう、なんですか。なら別に、無理して言わなくて良いです」フィ

叔母「あ…」

男「すみません。なら用事は終わりです、もう帰りますね、俺」

叔母「ま、待って。そうじゃない、違うんだよ男くん!」

男「……」

叔母「違う…と言っても…本当にただ、私から言っていいものなのかわからなくて…」

男「俺、信用できませんか。叔母さんにとって、信頼できないですか」

叔母「…っ」

男「前にじ、自慢の甥っ子だって言ってくれたこと、凄く嬉しかった。だから…」

男「……やっぱり忘れてください。変なこといってすみません、俺もう帰ります」


がしっ ぐいー!
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:42:23.47 ID:+UB8et70O
男「わあっ!?」

叔母「わ、私にとって君は大事な家族だと…! 大切に思ってることは事実だから!」

男「えっ? あっ、ハイ…!!」

叔母「勘違いしないで、君は大切な家族だということ。預かった時から心に決めてるし、三年間責任もって見届けようと思ってる」

男「あ、ありがとうございます…!」

叔母「でも」

男(でも?)


叔母「――君がっ、私のことを家族としてみてないじゃないか…!!」くっ…


男「……」

男(んーっ?)

叔母「悩んでいるんだろう…私としたことが、責任者として十代の性欲を軽んじたばかりに…無防備な姿をさらし続けた…」

男「待って、オイ、待て」

叔母「良いんだ、嘘をつかなくても私は知ってるから。君がちくいち胸を見てるって」

男「それはちょっと否定できませんけど本当に待って!?」

叔母「認められない相手を好きになるぐらい…君のセクシャリティを歪ませた叔母を許してくれ…」サメザメ

男「ラブホテルに住まわせてる人のセリフじゃ無いなあ!?」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:42:53.51 ID:+UB8et70O
男「叔母さん本気でなに言ってるんです!? お、俺が貴女を家族としてみてないって…一体どういう…!?」

叔母「えっ? 毎夜と私でこう…」シュッシュッ

男「してないわッ!!!」

叔母「え、嘘、じゃあネタはなに?」キョトン

男「今話すことでもないッ! 叔母さん、そっちこそ勘違いしないで下さいよ!?」

男「俺はまったく貴女を家族以外で見たことありません! さっき言ってくれた、そのっ、大切な家族…的な…感じですから!」

叔母「だからこそ燃える的な…」

男「まったく隙がねえ勘違いだよ!」

叔母「え、え、じゃあ違う? 私の勘違い? 全然いっしょ住めるぐらい普通?」

男「標準が分かりづらいですけど、まあ、余裕で住めるでしょうね…」

叔母「―――………」

男「お、叔母さん? わかってくれましたか?」

叔母「…ああ、そう。うん、わかった」

男「本当ですか? まったくも〜突然変なこと言わないで下さいよ、びっくりした」

叔母「そう、か。ごめん、君によからぬ疑惑を抱いてしまって。すっごい胸見るからもう我慢の限界だと思ってて…」

男「それはもう今後気をつけますッ!」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:43:23.73 ID:+UB8et70O
叔母「うん。そういうことなら素直に言えるね、ごめんね。でも…」


叔母「…良かった、君が家族のままで」


男「………」チク

男(ん? あれ? なんだ今、一瞬…変な感じが…)サワサワ

叔母「どうして乳首触ってるの?」

男「触るかばっきゃろいッッ!」

叔母(ばっきゃろい……)

男「ご、ごほん。しかし誤解が解けたようでなによりです! …あ、でも、そういやケル君も変な誤解してたけど…」

男「どうして俺が『認められない相手』が居ると勘違いを?」

叔母「ん。その言葉で全て納得がいった、もうクビにするか」

男「……その言葉で俺も全ての原因を察したんですが、待って下さい、勘違いしたのは叔母さん達ですし」

叔母「でも君に迷惑が…」

男「い、いやいや。誤解が解けたなら問題なしですって!」

叔母「そう。君がそういうのなら」


男「………」

叔母「………」


シーン
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:43:54.21 ID:+UB8et70O
男「あ、えーっと! あはは、じゃあ俺はそろそろ…!」

叔母「帰るの?」

男「え、ええ、晩ご飯の準備もありますし、だから、そのっ、えっとー…」

叔母「ん」

男「…腕を放してもらえないと、帰られないんですけど…?」

叔母「………」ぱっ

男「あ、ありがとうございます」

男「うっ、それと叔母さんの分も用意してますから、後で食べに来て下さいね…! 受付さんのこと怒りすぎないように、あとそれとっ、」

叔母「男くん」スッ

男「掃除もあとでやりにきま―――」グイッ


ぎゅっ


男「――え?」

叔母「………」ぎゅうう

男「なんっ、ですか、コレ急に…?」

叔母「黙ってて」

男「は、はひっ!」

叔母「…………」ぎゅっ


チッチッチッチッチッ… カチン チッチッチッチッ…
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:44:21.61 ID:+UB8et70O
叔母「ん」スッ

男「…今の、なんですか…?」

叔母「え、ハグ? 知らない?」シュボッ

男「ご存じですけど…」

叔母「親愛を込めてハグらせてもらった。君が嫌がるか、性癖歪ませちゃうかもと、今までやらなかったんだ」

男「もっと他の躊躇う理由ありませんでした?」

叔母「今ではどうでもいい。…見た感じ、悪い気はしてなさそうだから」ニッ

男「うッ!? 嫌がるなんて、別に、俺は特になにも…」フィッ

叔母「嬉しかったよ」フゥー

男「えっ?」

叔母「君が『大切な家族』だって、私のことを言ってくれて。私は本当に嬉しかった」

男「……じ、事実ですからっ」

叔母「ん。だからハグした、これからもして良い?」

男「えっ!?」

叔母「了承得られなくてもするけど。私はよく兄貴にしてたよ、クッソ嫌がられてたけど無理矢理してた」

男「ぜ、全然想像できない…あの親父が…」

叔母「くっく。それにもう一人のほうも、」

男「もう一人?」

叔母「……。いや、なんでもない」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:44:47.57 ID:+UB8et70O
叔母「さて。そろそろ日も暮れるし、帰った方が良いよ。それともやっぱりここに居る?」

男「か、帰りますって。あとでご飯食べに来て下さいね、…あ!!!!」

叔母「わ! どうしたの?」

男「叔母さんが兄貴って言って思い出しました…!」

男「――て、手紙ですよ手紙! 俺の親父から手紙届いてませんか!?」

叔母「兄貴から? え、えっと、来てたかな…?」クル


ゴチャーッ


叔母「来てると思う?」

男「もういいです…今度と言いましたけど、今から掃除しましょうか…」トホホ

叔母「お礼にハグするから」スッ

男「お礼も何も挨拶代わりしようと考えてるでしょうが…!」ググググ

叔母「おー、その嫌がり方すごく兄貴に似てる」マジマジ

男「と、とっとと探しますよ!!」


〜〜〜
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:45:16.57 ID:+UB8et70O
手紙は案外、すぐに見つかった。

底の見えぬ汚部屋で絶望に染まった俺と叔母さんだったのだが、

途中で参加した受付さんとケル君のお陰で迅速に片付いたのだ。


男「えっと、なになに?」ガサガサ


見慣れたシンプルな封筒を開封し、これまた質素な手紙を取り出す。

合理的な性格の親父らしいと、半ば懐かしく思いながら文面に目を通していく。


叔母「なんて書いてあった?」


しばし斜め読みを続けたところで、ふと、気になる単語に目がとまった。

堅苦しい几帳面な筆質に埋もれた一つの言葉。

なかば理解できず、何度も何度も、視線を往復さえ脳が把握するのを促すが――


清掃「オトコ?」

受付「どったの?」


297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:46:31.19 ID:+UB8et70O
――ついぞ手紙の意味を理解し終わっても、俺の口は開かなかった。

そんな俺の頭の中では彼女の、俺の母親である親の言葉が回り続けていた。

『――あんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』

この助言を今になって痛感する。

俺はきっと優しくなりすぎた。だからこんなにも苦しくなっている。

分かっていたのに、こんなこと嫌だって知っていたのに。


『この手紙が届いた一週間後、離婚調停が済む。アメリカに来い』


もはや俺には辛いことしか残っていない。


第八話 終
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/05(日) 05:47:26.73 ID:+UB8et70O
できるだけ早く来ます ノシ
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/05(日) 12:48:59.00 ID:iSsZpQ8i0
楽しみにしてるが無理せんといて
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/05(日) 16:01:18.23 ID:UoWoG2XA0
舞ってる
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/05(日) 16:51:48.38 ID:Snb+A6f2O
>男「ラブホテルに住まわせてる人のセリフじゃ無いなあ!?」
確かにww

アメリカにこいってことはパスポートやら色々手続きしたあとか?
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/09(木) 03:17:37.20 ID:Xa+/2vcUo
よくいる自己主張のみ無能主人公なら保護者に逆らってんじゃねぇと思うが
自活出来る高校生(+養育実績がある親類が居る)なんだから
糞親なんかガン無視でおk
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/13(月) 03:43:10.21 ID:Nb1J8qxwO
それができるなら主人公もここまでショック受けんだろ
法律に載っとりやってきたらラブホテルに住ませてる以上勝ち目ねーべ
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 11:00:52.75 ID:NbtXjO2IO
保守
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:20:38.14 ID:qigM/ANOO
『――してやられた』

『私が有利だと高をくくってた。まさか、ババアの遺言を引っ張ってくるとは』

叔母「遺言?」

『そう。私の母親のやつ』

『目敏いったらありゃしない、ふつうそんなの把握してるか? …するか、アイツなら』

叔母「義姉さん。要約すると、つまり…」

『ああ、アメリカで愛人と住んでる馬鹿に親権取られた。『婿養子が育て親に」ってチンケな遺言程度で』

叔母「親からの信頼度なさ過ぎませんか…」

『親の会社を独断で奪った時点で見限られてるよ。んで期限はどれくらいよ、妹ちゃん』

叔母「……、四日です」

『は〜あ、うん。なるほど、手早く引っ張り込みてーようで』

叔母「せっかちな兄貴らしい魂胆ですね」

『そいでアイツは受け止め切れてんの?』

叔母「私が見る限りでは。彼は問題なく準備を進めてるようです」

『カカッ! そうかい、最近ふぬけたとばっかり思ったけどよ。なら安心だ』

叔母「………」

『じゃあさ、こっちの国で最後のアイツを見届けてやってよ、妹ちゃん』

叔母「見送りには来ないんですか?」

『雰囲気しらけちゃう気がするし、仕事でもやって慰謝料頑張って稼いどく』
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:22:23.38 ID:qigM/ANOO
叔母「…そうですか」

叔母「……」

叔母「その、ちなみになんですか。差し支えなければお聞きしたいのですが」

『あん?』

叔母「今まで知り得なかったので興味本位程度なんですが、今回の離婚の直接的な原因とは?」

『私の浮気だけど?』

叔母「ぇぇ…」

『んだよ、テメーかまととぶりやがって。浮気ぐらいするわ、数年前から夫婦観乾ききってたわ、若い男囲いたかったんだわ』

叔母「…敢えて聞きますけど、何故、兄貴と結婚されたんです?」

『金』

叔母「身もふたもない理由ですね」

『ハン。妹ちゃん、アンタも意外とミーハー思考なんだなぁ。他人のゴシップ気にするタイプとはお姉ちゃん思わなかったよ』

『――理由なんて、なんだって良いんだ。離婚する、ただそれだけが現実であって、理由や原因なんて他人が求めるちっこい正当性だろ?』

叔母「つまり?」

『藪を突くな。蛇どころか鬼以上の厄介ごとが飛び出すってぇこと』

叔母「……肝に銘じます」
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:23:26.78 ID:qigM/ANOO
〜数十分後〜


『じゃ、あと頼んだぜ。書類等は四日後の朝には済ませるって、息子に伝えといて』

叔母「わかりました。では」

『ほいよ』ピッ

叔母(相変わらずサバサバしてるな、義姉さんは。実に普段通りだった)

叔母「…こういった所は彼に似てる、とも取れるのかな」

叔母(…実際のことろ。彼を引き取って、彼に何かしてあげられたとは思えない)

叔母(でも、やれることはやろう。最後の最後まで、叔母としてやりとおそうと思う)

チッチッチッチッ…

叔母「…試しに手料理とかやってみようかな」グッ


学校 放課後の教室


男「………」ボー

女「であるからしてねぇ〜! 私の班では汚水を如何なる過程で川に放出するかまとめたワケなの!」

男「はぁ〜…」

女「つ・ま・り! …ちょっと、なによため息なんて」

男「え?」

女「つ、つまらなかったのかしら…? 私の話、っていうか今度発表する社会見学のレポート……」

男「ち、違う違うってば。俺の方がきちんと聞いてなかっただけ」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:24:21.05 ID:qigM/ANOO
女「へーめずらし、もしかして寝不足?」

男「いや、睡眠はちゃんと取ってる。色々と考え事をしてただけ、別に手を抜いてるわけじゃ無いよ」

女「そりゃそーよ! 私の班と、貴方の班! どっちが優秀かどうかちゃーーんと優劣決める為やることやってもらわないと!」

男「うん。頑張ってるから安心して、負ける気なんてこれっぽっちも無いから」

女「フン! 分かってるなら良いわ。これでもしふ抜けた発表でもされたら、今後の私の士気に影響出るんだから本気でやること!」

男「最初からそう言ってるから安心してください」セイセイ

女「なによ大人ぶっちゃって。もっとがっつきなさいよ、食らいつきなさいよ、本番は三日後なのにそれで大丈夫なワケ!?」

男「相変わらず勝手にヒートアップする癖治らないなあ! 声が大きいから、もっと小さくして、じゃないとまた誰かに怒られ…」

ガラリ

女姉「…………」ジィー

女「ヒィッ!? おっ、お姉ちゃ!?」ビクーン

男「あ。どうも先生」ペコ

女姉「精が出るわね、社会科見学発表の予行練習?」チラ

女姉「校内で必要以上に大声出す生徒さえいなければ、私も、他の職務を全うするのだけれども」ヂラ

女「スミマセンデシタ…」
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