叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」

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9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:38:48.38 ID:EyCLAvJfO
叔母「ん」スタスタ

男「………」すたすた

叔母「この近くに、今じゃ廃れた繁華街があるんだ。昔はよく人で溢れかえってた」

叔母「バブル期なんてそりゃもう凄いことになってたよ」

男「は、はあ…」

叔母「ん」スタスタ

ぴたり

叔母「ここ」

男「…ここが?」

叔母「どう思う?」

男「どう思うって、そりゃ感想言うなら───」

男「───もろ、ラブホテルですよね、これ」

叔母「入ろうか」

男「ん?」

叔母「……」ガシッ

男「ん!?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:39:14.97 ID:EyCLAvJfO
叔母「行くよ」ズンズンズン

男「ちょ、ちょっとォー!? えなにコレ!? ま、待ぁああ!?」ズリズリ

うぃーん

叔母「うぃーす」

男「何考えてるスかぁッ!? マジで!? や、やめっ!?」

受付「ん? オーナーじゃないっすか」

叔母「サボるなよ」

受付「一言目がそれってなんですかもー、あり? なんです見るからに青いの連れて…」

受付「はっ! そこまで飢えてたんスか?」

叔母「お前も大概だよ」

男「うっ…やっ…ひっ…!」ビクビク

受付「んでー今日は見回りで? それともお客さんとかだったり?」チラチラ

叔母「44号室は空いてる?」

受付「……。そこが埋まるわけ無いデショ」

叔母「たしかにな。男くん、それじゃ行くよ」ズンズン

男「えぇええぇええッッ!?」

受付「ハイ、これ鍵ね。一応、中からでも手動で鍵が閉められるけどオススメしないなぁ」

受付「錠前みたいになってるから、ぷち監禁用なのよ。まー頑張ってねー」ヒラヒラ
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:41:36.80 ID:EyCLAvJfO
男「っ…!? っ……!!?」

叔母「エレベーター、乗り方わかる?」

男「わか、わかるっていうか、本気でこんなところ連れて来て何考えてるんだアンタ!?」

叔母「ここ。私の所有物、オーナー」

男「…へ…?」

叔母「このラブホテルの経営者」チーン

叔母「私の収入源は全部ココで稼いでるってこと。ほら着いたから降りな」

男「………」

叔母「うん。そしてココに連れてきたのには理由があるの」

男「り、理由?」

叔母「この部屋。好きに使っていい、というかココに住めばいい」

男「…………………」

叔母「コレ鍵ね。じゃ」シュビッ!

男「…………………」

叔母「あ。あと晩飯食べたくなったら部屋おいで、出前とってあげるから」


ウィーン バタン
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:42:10.93 ID:EyCLAvJfO
男「………ぇ、ぁ…」

フラフラ

男「……」ガチャ キィ パタン

フラフラ…

男「……」ポスン…



男(理由は……ココにッ…連れてこられた理由は何処に…ッ…!?)ズゥウウン



男「もぅ滅茶苦茶だぁ…今日一日で色々なことありすぎだよ…あの人一人でトンデモナイねぇ…っ」

男「……」チラ

男(よく見なくてもラブホテルだ…凄いよ、見たことねえけど漫画や雑誌通りの光景だよ…)

男「ぐぁー!」ぱたり

男「……疲れたな、今日は…」


〜〜〜


叔母「…」チーン

受付「おや。お早いお帰りで。一分そこらとは随分テクニシャンっすなぁー」

叔母「大事な預かりモンだよ」シュボッ

受付「ん? あ〜! あの子が噂の! へぇー! 全然似てないっスね母親と!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:42:42.26 ID:EyCLAvJfO
叔母「私も驚いてる」フゥー

受付「そいで結局、何をしに来たんで?」

叔母「今日からあの子をココに住ませる。よくしてやって」

受付「そんな重要なこと一分で済ませたんスか!?」

叔母「まったくいい子だよ、うん」

受付「絶対にココに連れて来るまで説明してないデショ…」

叔母「……」

叔母「本当は私の部屋で一緒に住む予定だったんだ。でも、嫌がられた」

受付「ウチも嫌ッスよ、あんな汚部屋」

叔母「給料減らすぞ。そうじゃない、煙草…煙草がダメらしい」

受付「ヘビーっすもんね、オーナー。そりゃキツイ」

受付「でもでも、ここも大概デショ? 五十歩百歩、芳香剤で誤魔化されてるだけだし」

受付「というかそもそも、あの青いの何歳なんスか」

叔母「高校生」

受付「……捕まりますよ、アンタ」

叔母「バレなきゃイケる。実のところ困ってたんだ、ああまで『似てない』とは思わなかった」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:43:38.58 ID:EyCLAvJfO
受付「……」

叔母「軽い気持ちで引き受けるんじゃなかったと…今では…うん…後悔、してる」

受付「ほぇー! オーナーも後悔って言葉を知ってるんスね!」

叔母「減給な」

受付「冗談冗談、それで?」

叔母「ああ、取り敢えずは様子見してみる。ダメだったら糞兄貴を説得しに行ってくる」フゥー

受付「出来ますかねぇ…」

叔母「出来るじゃない、やるんだ」

受付「そんときゃ呼んでくださいな。あの人がぶっ飛ばされて説教されてるのを隠れて見ていたいッスから!」

叔母「ああ」スタスタ

ウィーン

叔母「まぶし…」

prrrrrr

叔母「もしもし」

『あーワタシワタシ、妹ちゃん? アイツはどうなった?』
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:44:20.66 ID:EyCLAvJfO
叔母「とりあえず私のところのラブホテルで決着させました」

『相変わらずスゲーな! とんでもねえことになってやがる!』

叔母「義姉さん」

『ん、なによ?』

叔母「あの子は本当に貴女の子なんですか?」

『ん、ああ? うん、正真正銘にワタシの子だよ。びっくりするぐらい似てないけどな』

『喧嘩すりゃ女子にも負け、口喧嘩には噛んでボロ負け、絡まれりゃすぐ金払う』

叔母「全部真逆ですね、義姉さんと」

『ワタシがSなら息子はNだな。昔からワタシに対してだけは反抗的だった』

『とんでもねえぞ。幼稚園通ってる時に自分で名前入りワッペン縫ってたわ、ワタシのやり方じゃ嫌だっつってな』

叔母「やりますね」

『やるんだよ。その通り、そこが唯一ワタシに似た部分かもしれん。偉そうな奴に反抗的な?』

叔母「…義姉さん」

『あいよ』

叔母「ラブホテル、良いですか」

『よくねえよ。もう決まったのなら引っ張りだしてこい、そこに住まわせるぐらいなら無理やり『こっち』に持っていくわ』
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:45:27.37 ID:EyCLAvJfO
叔母「……」

『アイツはまだガキだ。そもそも妹ちゃん、アンタの所に行くのも反対してるんだよ、ワタシはな』

叔母「義姉さん」

『文句か?』

叔母「彼は、私の胸を気にしてるようです」

『……ん?』

叔母「多感な時期に私のような身体は少し、厳しいと思うのです」

『うん。じゃあラブホテルもやめようぜ!』

叔母「大丈夫ですよ。室内テレビが全チャンネル、エロいぐらいで…」

『超ワタシの息子かわいそう! 友達との会話ネタ厳しそうじゃん!』

叔母「彼は我慢強いので…きっと頑張って友達作ると…」

『それは同意するが、なに、逆に自分の身体は我慢できないだろうってか』

叔母「はい」キッパリ

『その意味不明な自信はすごく好きだぜ…』

『まあ、なんだ、少しだけ気になるんだが。どうして息子の肩を持つ?』

『いや、全然息子のために行動してないけどさ。むしろ追い詰めてるけどさ、選択をさ』
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:46:16.28 ID:EyCLAvJfO
『言っちゃえば妹ちゃん。アンタ、ワタシの所に息子を戻そうって思ってないだろ?』

叔母「ええ、まあ…概ねその通りです」

『なんで?』

叔母「……」

『理由次第では認めてやらんでもない。納得できなきゃ、そうだな、うん…』

『取り敢えず今、持ってる権力振りかざしてホテルぶっ潰すぐらいする』

叔母「……」

叔母「そうですね、正直にいいますけど」


〜〜〜〜


『…………………………………………そう、なんだ』


叔母「ええ。だから彼には一人の時間が必要だと思います」

叔母「この三年間。彼は彼なりの時間を過ごすべきだと、私は思いました」

『…………………』

『はっ、こりゃまいったね。まったくもって、本当に』

叔母「ご理解ほどよろしくお願いします」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:46:57.90 ID:EyCLAvJfO
『ご理解も何も、ったく。いいよ、良いって、好きにしていい』

『ワタシのほうも大変なんだ。息子一人を思い馳せる時間なんてもったいないわ』

叔母(電話してきたのに…)

『くれぐれも問題は起こすな。問題はワタシだけが起こす、厄介事は全部ワタシだけだ』

叔母「キャパは既にギリギリと」

『さっき弁護士殴ったしな。また新しいの雇わんと』

『……じゃあ後、頼む』ピッ

叔母「はい、義姉さん。ふぅー…」

叔母(色々と言っちゃった。でも、いっか)


〜〜〜


叔母(男くん来ないな…ピザ冷めちゃう…)そわそわ

prrrrr

叔母「もしもし? 受付またサボって…」

『オーナー! ちょ、来てくださいよ! 早く!』

叔母「なに? どうした?」

『なんていうか、そのっ、説明しづらいって言うかっ』

叔母「彼に何か?」

『え、ええ、そうッスね! そうとしか言いようが無い!』
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:47:47.91 ID:EyCLAvJfO
〜〜〜


叔母「はぁ…はぁ…どうなってる、彼は…?」ウィーン

受付「あ、オーナー!」モグモグ

叔母(もぐもぐ?)

受付「あの子マジで何者なんスか!? こんな、こんな…!」

受付「──こんな美味いチャーハン食ったことねぇッスよ!」ポロポロ

叔母「どういうことだゴラ」

受付「今まで聞いたことも無い声!? こわこわ…っ」

受付「ゴクン、えっと、あはは! 気になるなら44号室に行ってみては…?」


〜〜〜


叔母「君は…」ズゥーン

男「あ。叔母さん、来てたんスか」

ジュゥウウ

男「今、買ってきたお肉焼いてるんですけど。食べます?」

叔母「……………………」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:48:34.53 ID:EyCLAvJfO
男「えっと、アレ? ん〜…あっ! やっぱ匂い系ダメっスか!?」

叔母「え? あ、いやっ、別にホテル内でも食事できるし…販売機もあるし…」

男「よ、良かった〜…一応そこは心配してたんですよね、ほら、換気扇一個しか無いし」チラ

男「あとIH調理器持ち込んでも衛生面とか気になってて」

男「そしたら受付さんが除菌一式を貸してくれて」ニコニコ

男「あ! それとそれと! 水場が完璧じゃないから、汚水等はスタッフ室の掃除用下水に流していいですか?」

叔母「え、うん、えっと、うん、いいよ…?」

男「ありがとうございます! よし!」

叔母(この子は…なんというか…)

男「ん? 肉もいい感じかな…」

叔母「似てなくないね、むしろそっくりだ」

男「美味しく焼けた、…ッ…!? 今、絶対にお袋と似てるみたいな含めた言い方しましたよね!?」

叔母「勘の鋭さもクリソツ」

男「マジそれだけは言わないで下さい…! 俺が唯一許せないことなんです、本当に!」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:49:11.15 ID:EyCLAvJfO
叔母「そっか。うん、わかった」ストン

男「本当っすか…?」

叔母「うん」ニコ

男「っ…なら、イイッスケド…」もごご

叔母「また胸見た?」

男「焼いてるお肉加減を見たんですぅー!」

叔母「そっか。それより美味しそう」

男「…た、食べます? 一緒に?」

叔母「うんうん」こくこく

受付「うんうんッス」コクコク

男「どぅあッ!? い、いつの間に!?」

受付「いい匂いしたッスよ〜! こんな芳醇なのは販売弁当じゃムリムリっすからね!」ニパー

叔母「働け」

男「ああ、外に流れた匂いが一階の受付に流れ着くのか…後の課題だな…」ブツブツ

受付「なんかこの子すごいッスね」

叔母「私も驚いてる。けど、今は食べよう」ぐー
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/28(土) 23:50:09.50 ID:EyCLAvJfO
男「三人か…じゃあ残りのお肉も焼いてしまおう、シチュー用に買ってきたんですけどね」ガサゴソ

受付「あちゃ〜シチューも捨てがたい! しかししかしながら、お肉オンリーの破壊力もまた捨てがたいぃい!」

叔母「あ。ピザ忘れてた」

男「ピザ? ああ、また頼んだんですか…」

叔母「うん。あとで食べる? 朝ごはんとか」

男「流石に重いんじゃ…」

叔母「案外イケるよ」

男「危機感機能して!」

叔母「あ。それと男くん」

男「え、あ、はい? なんですか?」

叔母「……」


叔母「ようこそ、我がラブホテル『スィートランド』へ」


男「──……」

男「…はい、こちらこそ、よろしくお願いします」ペコ

叔母「三年間。楽しもうね」

男「…うん」コク

受付「おにくぅううう! お肉こげちゃうううう!」

男「ハッ!? うぃ、えッと!? た、食べましょうね! ほらいただきまーす!」

受付「だっきまーーす!」

祖母「いただきます」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/28(土) 23:50:47.37 ID:EyCLAvJfO
第一話 終

きまぐれに更新
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/28(土) 23:51:43.12 ID:sr74umDM0
期待てか祖母どっからきた
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/29(日) 00:11:57.74 ID:gy8S7PGAO
ばーちゃんww
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/29(日) 00:13:09.52 ID:8tVKNfm7O
ワロタ

祖母→叔母 で
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/29(日) 06:57:45.32 ID:IAJ1XxAV0
楽しみ
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/29(日) 08:09:30.80 ID:to23MHgkO
デショってカタカナ語尾すげえ嫌い
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:37:21.35 ID:AXvPn1yvO
ラブホテル 44号室


叔母「いますっごく」

叔母「煙草吸いたい」


受付「…」

男「…」


ジュゥウウウ


男「あ、えーと、そうなんですか」

受付「エレベーター前に据え置きあるデショ、行ってきたらどうッスか」

叔母「ん、行ってくる」スッ ガチャ パタン

男「……」

受付「おにっくーおにっくー♪」

男「あの。あの人って、何時もあんな感じなんですか?」

受付「オーナー? ヘビーもヘビーで笑えるぐらい煙草に金かけてる人って感じよ、うん」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:38:28.00 ID:AXvPn1yvO
男「へぇ…」カチャカチャ

受付「ナニソレ?」

男「お肉のタレです。でも叔母さん、煙草吸う人の割には匂いさせてないですよね」

受付「ま! 匂いフェチ?」

男「話の流れおかしくないですか?」

受付「あははー! まあ匂いがしないのはお姉さんも同意ヨ」

受付「見た目と雰囲気と違って、あと汚部屋と違って匂いだけはしっかりしてるんだよなぁ」

男(なんかポリシーでもあるのかな…)ジュワワワワ

受付「んふふ」

男「な、なんですか? 急にコッチ見て笑って…」

受付「やっぱり気になる? おっぱい大きいオトナのお姉さん気になっちゃうっ?」ムフフノフ

男「むっ、胸は関係ないでしょう!」

受付「ごめんねぇ〜受付のお姉さんはおっぱいちっちゃくてぇ〜つまんないよねぇ〜」くいっくいっ

男(…つまんないとか以前に、会話しづらいテンションが苦手、とは言わないでおこう…)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:39:31.21 ID:AXvPn1yvO
男「…受付さんも煙草吸うんですか」

受付「吸わないよ? 金無駄じゃんか、あんなの金に火ぃ点けて吸ってる様なモンだし」

男「意外としっかりしてますね」

受付「意外とは何かね? お姉さんびっくりしちゃうワ!」

男「はい、出来ましたよ」スッ

受付「ありがとー!」もしゃもしゃもしゃ

男(叔母さんそろそろ戻ってくるかな…)

受付「うめぇ」


がちゃ


叔母「ただいま」パタン

男「もうお肉が出来てますよ、白飯つけます?」

叔母「食べる」コクコク

男「じゃあチンしちゃいますね、受付さんは?」

受付「ビールビール! ビールがのみたいです!」

叔母「部屋の飲み物使うなよ、使うなら金払え」

受付「あんなの飲まないッスよ! まっずい馬の骨すらわからん銘柄…」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:40:34.92 ID:AXvPn1yvO
叔母「減給な」

受付「墓穴掘っちった☆」

チーン

男「じゃ、コレどうぞ」

叔母「どうも。それにしても物がしっかりしてきたね、ココも」チラリ

受付「さらっと電子レンジあるし。電気無断使用ってやつ?」

男「い、一緒に運んでくれたじゃないッスか受付さん…」

受付「スタッフルーム用だと思ったのよ、さらっとココに運ばれたのはビビったね」 

叔母(いつの間にか仲良くなってるな、この二人)モグモグ

男「あの、叔母さん、駄目でした…?」チラ

叔母「ごくん。別にかまわないよ、好きに使っていいから」

男「ほ、本当っすか!?」

受付「え〜携帯の充電したら起こるクセに〜」

叔母「金払え」

男「良かった。じゃあ候補に入れてたスロークッカーとか、炊飯器とかも」ニヤニヤ

叔母「好きにしたらいいよ」モグモグ

受付(甥っ子に甘ェなこのおばさん…)モグモグ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:41:23.26 ID:AXvPn1yvO
叔母「そんなコトよりも男くん。学校の方の準備は?」

男「あ。そろそろ入学式なんで、一応はしてます」

叔母「一応?」

男「実は配達予定の制服がまだ…」

叔母「……あ」

受付「ハイ! 分かっちゃったッスよー!」

受付「等の既に受け取ってたけど汚部屋過ぎて何処しまっちゃったか分か熱づづづづーィッッ!?」

男「えっ?」

受付「ひぃー!? 急に肉を頬に当てないでくださいッスよぉ〜…!?」ヒリヒリ

叔母「………」

男「えっと、ホントに、そんな感じだったり…?」

叔母「探してくる」ダッ

男「ちょっとッ!? 逃げるように去らないでくださいよーッ!」

叔母「…っ…ごめん、すっかり忘れてた」

男「いや、まあ、来てるなら別に構わないんですけど」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:42:32.01 ID:AXvPn1yvO
男「一応は聞いておきます。それ、今日中に見つかります?」

叔母「……………………絶対できるよ」

男「よくそんな表情と間のとり方で断言出来ましたね!?」

叔母「ごめん、段取り良くやっても三日三晩はかかりそう」

男「貴女の部屋は魔窟か何かですか…?」

受付「でも今日から探し始めないと入学式間に合わないッスよ」

受付「──なんで今からみんなで探しに行きましょうか! ネ!」


〜〜〜


男「おじゃまします」

叔母「おかえり」

男「……た、ただいま…」テレ

受付「うげぇ〜本当にいつも通り変わらぬ汚さッスね」

叔母「…? なんでお前が居るんだ?」

受付「今日が休みだからッス! あと楽しそうだったから!」

男(休みなら、なんで俺の部屋に居たのだろう…?)

受付「で? 検討ぐらいはついてるんスか?」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:43:10.47 ID:AXvPn1yvO
叔母「多分、あのあたりかもしれん。駄菓子の当たりぐらいの確率で…多分…」

男「例えが分かりにくんですけど…」

受付「んー? なになに───一昨年のスィートホテルの決済報告書じゃないッスか…?」

叔母「そうともいう」

受付「弁護士ー! 警察でもいいから脱税疑惑でお縄にかけてー!」

男(聞かなかったことにしよう。住む家がなくなる、えっとこの辺はっと)

男「うッ」びくん

男(こ、これは…何気なく掴んでしまったものは疑う余地もなく紛れも無い…ッ!)

受付「使用済みの下着ダヨ☆」

男「余計な情報が付け加えられた! って、ち、ちがっ…!」ブンブン

受付「んまぁー」ニヤニヤ

受付「仕方ないよね、やっぱりワンチャン狙ってたよね、今! 気づかれてない今なら盗めるヨ!」

男「思ってない! 全然思ってないッ!」カァァ

受付「新品の方が好み…?」

男「唐突になに言ってんの!?」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:43:46.40 ID:AXvPn1yvO
叔母「遊んでないで探そう、見つからないと一番困るのは君なんだから」パッ

男(あ…)

受付「今絶対に『あ…残念…』って思ったよね?」

男「う、うるさいわ!」バッ

ずりっ

男「えっ? わっ!」


ドッシャーン


男「痛たた…派手に転んじまった…」チラ

男(ん? コレは写真か、一枚だけ放り出してあるとは、どうなってるんだ)

男「ん、これ…」ピク


「──大丈夫?」


男「! えっ、ハイ!! 大丈夫っす!!」ササッ

叔母「ココで転んだら危険だよ。絶対に怪我するから」

男「本当にとんでもねぇ部屋ですね…」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:44:38.31 ID:AXvPn1yvO
叔母「受付。そっちはなんかありそう?」

受付「まったく。オーナー、一張羅のタンクトップばっかり」

叔母「そうか」

叔母「男くん。明日に持ち越そうか、このままじゃ埒があかないし」

男「え? 明日なら大丈夫なんですか?」

叔母「ああ、ラブホテルの従業員の一人が地元から帰ってくるから」

受付「やっとケルケルくん帰ってくるんスか?」

叔母「お土産楽しみにしてクダサーイ、と電話で言ってた」コクコク

男「なんだか自分のことで色々と迷惑を…」

叔母「いや、私が原因だもの。頑張らせてもらうよ、いっぱい」ムフー

男「自信満々に言われても…」

受付「よく考えりゃいい時間ッスね。もうこのままオーナーの家で泊まっちゃいます?」

男「何を言ってるんですか、迷惑ですって」チラ

叔母「………」わくわく

男(──アレッ!?)バッ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:45:05.73 ID:AXvPn1yvO
受付「まあ三人も寝る場所ないし、やっぱ無理かー」

叔母「そっか…」

男(やりたかったのなら掃除しましょうよ…)

受付「キミがお酒飲めりゃお姉さん、一緒これから飲み行くのにな〜」

男「高校生、高校生ですからね、俺」

受付「お姉さん中学の頃から飲んでたヨ?」

男「ダメな大人だぁ〜…」

叔母「私は煙草もやってた」

男「なんてダメな大人たち!」

受付「今じゃ不良ぶりでかっこつけられないんですね、カルチャーショック」

叔母「だな…」シュボッ

祖母「…む…」ピタリ

グリグリ

男「? どうしたんですか、点けたのに直ぐに消して。別に俺はちょっとぐらい構わないですけど」

叔母「………」

受付「ムフフ。んじゃオーナーまた明日!」スタスタ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:45:50.19 ID:AXvPn1yvO
男「あ、じゃ、じゃあ俺もこれで」

叔母「ん」フリフリ

男(なんだろう、急にどうしたのだろうか)


数日後 44号室


叔母「……………」ソワソワソワソワ

叔母「煙草吸ってくる」ガタリ

男「あ、はい? どうぞ行ってらっしゃい」


バタン


男「なんか様子が変だな叔母さん…」

受付「そりゃ煙草吸えてないからデショ」モグモグ

男「…さらっと居ますよね、俺の部屋に」

受付「従業員足りなから部屋の点検中。ケルケルくん飛行機延期で戻ってこないし」

男「そうなんですか。大変ですね、あと俺の晩飯ですよソレ」

受付「キミのご飯の匂い凄いんだもん…お姉ちゃん一本釣りよほんとぉ…」

男「お金貰ってるから別に良いですけどね…」

受付「それよかオーナー、あのそわそわっぷりは家で煙草吸ってないと見た」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:46:27.26 ID:AXvPn1yvO
男「え、なんで?」

受付「みんなでやる制服家宅捜査が延期になったからじゃん? ケルケルくん帰ってきてないから」

男「えっと、それがどのように関係が?」

受付「ズバリ、匂いデショ! キミの制服がある部屋で煙草吸ったら匂い染み付いちゃうかもって!」

男「……………」

男(え? いまさらすぎ無い……? 予想では既に半月はゆうに過ぎてるのに……?)

受付「なんて不器用な人なんだろーね」ニヒヒ

男「ま、まあ、気にしてもらってるのは嬉しいですけども」

受付「うん、これじゃ入学式間に合わないよねこりゃ」

男「ですよね…うん…」

受付「ま、いざとなったらお姉ちゃんの貸してあげるからヘーキヘーキ」

男「平気じゃない、全然平気じゃない」

受付「まだちゃんと着れるよ?」

男「性別の問題ですけど! …え、なんで試着具合を未だに知って…?」

受付「そりゃあ」

男(ハッ!? まさか俺は下ネタの前ふりをしてしまったんじゃ!)ビクッ

受付「ディズニーを学生料金で入るためだよ?」

男「ものっそしょうもねぇ!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:46:57.28 ID:AXvPn1yvO
受付「………下ネタだと思ってたデショ?」ムフフ

男「おっ!? お、思ってないですぅー!」

叔母「ただいま」スッキリ

男「あ、おかえりなさい…」

叔母「うん。あと受付、働け」

受付「ついでとばかりに! へへーい、ただいま働きますよーッス」サササ


パタン


男「あの、大丈夫ですか、叔母さん」

叔母「? なにが?」

男「え〜と、まあ色々とあるかなと思いまして」

叔母「私のことより、自分のことを心配した方がいいと思うけど」

男(確かにそうだ…)ダラダラ

叔母「ケルくんが明日も帰ってこれなそうなら、もう家中ひっくり返して探すから」

男「それこそ本当に大丈夫なんですか…っ?」

叔母「死なないと思う」

男「生死を伴なうの!?」

叔母「大丈夫。君は来週の入学式だけ考えればいい、そもそも私が原因なんだから」

叔母「じゃ、もう帰るよ。またね」フリ ぱたん
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:47:39.15 ID:AXvPn1yvO
男「ええ、また…」

男(マジで大丈夫かな…見つからない不安より、あの部屋で怪我しそうな方が怖すぎる…)

男「………」チラリ

〜〜〜

叔母「………」ガサゴソガサゴ

叔母(見つかる気がまったくしない)フゥー

叔母(改めて思うけど、なんだこの部屋。魔界にでも繋がってるのか)

叔母(そもそも物が多すぎるせいだろうな。小金持ちって怖い、ドンキばっか行くもんなぁ)

叔母「……!」ポクポクチーン

叔母「もう少し大きな部屋に住めば全体的に良くなる…?」


男「根本的解決になってないッ!」スパーン!


叔母「わっ!」ビクゥ

男「黙って聞いてれば末恐ろしいこと思いつきましたねっ」

叔母「男くん、どうしてここに?」

男「それは…」ビクッ

叔母「鍵はどうやって?」

男「まったくその通りですよッ!? なんで一人暮らしで夜中に鍵閉めてないんですか!? ビビりましたよッ!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:48:08.90 ID:AXvPn1yvO
叔母「しー、静かに。夜中だよ」

男「じゃあ鍵閉めてくださいよ…っ! 不用心過ぎますって…!」

叔母「わかった。善処する」コクコク

男「本当にですか…? もう、心配になりますよ…」ハァ

叔母「それで、なにしに来たの? コッチに住むの?」

男「い、いえ、そうじゃなくて、その」

男「一緒に探そうと思って来たんです。なんだか、とても不安になりまして」

叔母「あ…本当に、ごめんというか…」

男「──一人で探してる姿想像したら、入院コースまで浮かび上がりました」

叔母(この子の中の私って一体)

男「とにかく俺も一緒に探します! 残りの日数も少ないですし、二人でやれば見つかりますよ!」

叔母「でも汚いよココ?」

男「いけしゃあしゃあと言えましたね! 知ってますよもう!」

叔母「ん、ありがと。君が一緒なら私も嬉しい」

男「え…あ、はい…」ドキ


ゴッチャアアア…


叔母「もうここまで来たら寝る場所もないから…手伝ってくれないと立って寝ることになる…」

男「…………………」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:48:41.36 ID:AXvPn1yvO
〜〜〜

男「ふう、あらかた片付いたかな、一応は」

叔母「ん、ありがと」コクコク

男(寝る場所確保しただけで、未だ制服は見つかってないけどさ…)

叔母「おや? これは…」ヒョイ

男「なんですか? あ…」

叔母「随分と懐かしい写真だ、私が高校生の頃かな」

男(やっぱり、この前来た時に見た写真だ)

叔母「…………」

男「なんだか当時から変わってないですね、叔母さんって」

叔母「胸のこと?」

男「褒めてたのに! 褒めてたのにぃ…!」

叔母「まあどうしてか当時から見た目が変わらなくてね」

男「へぇ、凄いですね。そういうのって女性的に嬉しい事でしょう?」

叔母「いや、今でも煙草と酒買うと店員に止められるから。面倒い」ブンブン

男「まったく褒め損ですよ貴女って人は!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:49:14.52 ID:AXvPn1yvO
男「っていうか、よく見るとこの制服って」

叔母「うん。その通り、君が今度から通う学校と一緒」

男「OGだったんですか。じゃあ当時から知ってる教師も居たりします?」

叔母「というか同級生が教鞭をとってるよ」

男「おぉっ」

叔母「もう既に甥っ子が通うからヨロシク、と伝えておいたから」

男「な、なんだか逆に緊張しますね、それ。予め相手に顔が知られてるって」

叔母「んー…っと…胸が、小さいかな…?」

男「うん。親切心で相手のこと教えてくれたんでしょうけど、そういうの要らないです」

叔母「大きいほうが好きだもんね」ニコ

男「アンタそういうの相手に伝えてないでしょうね!?」

〜〜〜

男(駄目だ、見つかる兆しすら無い。何故に衣服系と乾燥麺が同じ箱に入ってるんだ)

叔母「…………」ガサゴソ

男「今日はこの辺にして、また明日にしませんか? 十二時回りましたし」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:49:42.29 ID:AXvPn1yvO
叔母「ん? ああ、布団敷こうか?」

男「いや、今度は布団探しの旅になりそうなんで大丈夫です」ブンブン

叔母「そっか…」

男「寝るなら部屋に戻りますよ。あと、俺から一つ言いたいことがあって」

叔母「なに?」

男「………」じぃー

叔母「?」

男「煙草、吸ってもいいですから、大丈夫ですよ、俺」テレ

叔母「……」ピク

男「気にしてくれてるようなんで言っておこうかなと、確かに匂いとか煙はダメですけど」

男「──叔母さんのなら、別にいっかなって、思ってたりして…」ポリポリ

叔母「それは…」

男「えっとぉー!? 変に深い意味は無いッスよ!? ただ俺的に気にしないって話で!」

男「例え制服に染み付いちゃっててもファブればイケるって思いますしねっ!」

叔母「男くん」スッ

男「はいぃッ!?」ビックゥウン

叔母「──有難う御座います、心の底から感謝します」キリリ

男「…ハイ…」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:50:14.29 ID:AXvPn1yvO
シュボッ スッパァー


叔母「送って行こうか?」

男「大丈夫ですって、もし絡まれたらお金払いますから」

叔母「君、覚悟の方向性がたまにおかしいよね」

男「よく言われます。それじゃ、また明日」

叔母「ん…」フリフリ


パタン


叔母「………」スゥ

叔母「はぁー…ダメだな、我慢できないなんて」

叔母(このままじゃ彼と一緒に住めないな)スタスタ

ガラガラ ヒュウウ〜…

叔母(本当に私みたいな大人は悪影響だよ。煙草もしかり、人間性もしかり)

叔母「おっぱいもしかり…」フゥー

叔母「…この写真と同じ歳か、最近の子は凄いしっかりしてるなあ」クル


『○月?日 クリーニング回収日 忘れるなよ、私』


叔母「──………」

叔母「あ〜……なる、ほど〜……」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:50:58.07 ID:AXvPn1yvO
次の日 叔母宅


男「──クリーニング屋に出しっ放し、ってオチでしたか」

叔母「本当に申し訳ない」ペコリ

男「い、いや見つかったなら別に…」

叔母「じゃあ部屋を綺麗にしてもらったお礼を」

男「ええ、その点に関してだけは受け取っておきます…今を常に維持してくださいね、本当に」

叔母「善処する」コクコク

男「本当に感謝してます?」

叔母「もちろん」キッパリ

男「まあ、無事に見つかって何よりですよ。一時はどうなるかと思いましたけど」

叔母「面目ない…まさか写真の裏でメモ代わりにしてたとは…」

男「俺もびっくりです。思い出のへったくれもないですよね、その扱い方」

叔母「多分、高校生、制服、という要点を抑えとけば大丈夫だろうという感じだと思う」

男(物の下敷きになってた時点で要点もなにも…)

男「じゃあ、受け取りに行ってきますね。叔母さんはこれから仕事でしょうし」

叔母「何から何まで…」

男「良いですって。むしろクリーニングに出して頂いて有難いです、あと、住所の方を…」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:51:32.87 ID:AXvPn1yvO
叔母「ん? ああ、それなら」ピラリ

叔母「この写真の裏に書いてあるから持って行っていいよ」

男「写真の万能感やばいっすね」

叔母「うん。ついでに捨てて良いから、それ」

男「へっ?」

叔母「別に高校時代に思い入れあるワケじゃないし、今になって思うとそれがメモ帳に使った理由かもね」

男「いやにさっぱりし過ぎじゃないですか!?」

叔母「だから捨てていいよ。私じゃ捨てるのも面倒くさがりそうだもの」チラ

叔母「行く準備しなきゃ。それじゃ男くん、またラブホテルとかで」ビッ!


パタン


男(なんちゅう人なんだ、写真を捨てろと。甥っ子に思い出の一部を捨てろと言うのか)チラリ

男「………」ドキ

男(…別に好きにしていいなら…モゴモゴ…俺が持ってても、うん、別にいいよな、良いよね!)ゴソゴソ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:52:25.32 ID:AXvPn1yvO
オマケ

受付(ん。通路におとしものだい、おっとこりゃ彼のじゃないのん?)ヒョイ

受付「意外としっかり入ってるね、まあ親切なお姉さんが届けてあげようじゃんか」スタスタ

受付(あとでお礼に三割ほど貰おう。ご飯的な意味で)ぱかり


【高校時代の叔母の写真】ペカー


受付「…」パァン!

男「あ。受付さん良い所に、俺の財布見ませんでした? この辺で落としたと思うんですけど」

受付「キミ…」ユラァ

男「? なんですか? あ、それ俺の財布…あっ!? もしかして中身みたんじゃ…っ」かぁああ

受付「──これ複製して頂戴! なんか知り合いに高く売れそう!」カッ!

男「早く返してください」


【取り敢えずご飯作ってあげて証拠を揉み消した。】


第二話 終
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/31(火) 13:53:02.39 ID:AXvPn1yvO
きまぐれに更新ノシ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/31(火) 14:04:02.12 ID:BU+n+7sFo
なんで毎回こういう系の母親は男みたいながさつな口調なのか
量産型すぎる
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/31(火) 15:11:51.69 ID:BLwxN4XBo
それでいいんだよ
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 02:25:48.19 ID:/+7ypCryO
たまに登場する祖母まの幽霊は何なんだよ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 04:11:30.36 ID:aOPPidGu0
ぉっ
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 06:01:29.49 ID:PkFTgHe+0
気まぐれじゃなく毎日更新でもいいんだよ?
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:02:40.17 ID:bWGqtqfcO
ススッッ パチン


男「──……」スッ

男「うん、ぴったりだ」

受付「おー」パチパチパチ

叔母「おー」パチパチパチ

男「ど、ども。というか何故に拍手を…」

受付「そりゃ当たり前。ナマ高校生とか超レアだし」

叔母「……」コクコク

男「ナマ高校生て…」

受付「電車や街で見るとは違った感じッスよね、こーいうのは」

叔母「まあココ、ラブホだしな」

受付「そうそこ! ラブホ内で学ラン着替える高校生! …なんかエロいよね?」

男「当人に訊くな」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:03:51.44 ID:bWGqtqfcO
叔母「しかし、久しぶりに学ラン着てる人なんて見たよ」

男「そうなんですか?」

受付「オーナー出不精だから。ここら周辺しか出歩かないし」

叔母「行きたいところがありゃ行くよ。今はそれが無いだけ」

受付「そんな格好つけが様になるのは二十代までッスよ?」

叔母「そしたらお前もそろそろ終わりだな、煙草吸ってくる」ガタリ

受付「人が気にしてるコトさらりとッ!」ガーン

男(あれ、いつの間にいい時間だ。まあ試着も済んだし、買い物でも行こうかな…)プチプチ

受付「出かけるの? ならそのままでいいじゃん。学ランで買い物行ってきなよー」

男「…ココから学ラン姿で外に出ろと?」

受付「明々後日には通う日々になるのに、今更気にしてどうすんのさ青少年」

男「こ、心の準備というものがあるんですよ!」

受付「ならいち早く慣れないと駄目じゃんか、それともお姉さんと一緒出る?」ムフフ

男(誂われてる…無視無視…)プチプチ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:04:33.81 ID:bWGqtqfcO
受付「……。ねえお願いがあるんだけど良いかな?」

男「なんですか、晩御飯の要望なら掛けてあるホワイトボードに書いてくださいよね」

受付「ウチにボタン外させてくれない?」

男「……。は!? なっ、なに言ってるんですか急に…!?」

受付「やーははーだってリアル十代の子のボタン外すとかレアちっくで」

男「レア度でさっきから測り過ぎじゃない?!」

受付「む。舐めちゃ困るぞー? ちゃんと当時に同級生のボタン外してるぞー?」

男「い、いや…そういうことを言いたいわけじゃなくって…!」

受付「ウチの願いは、そう。年を取った今のウチが、十代の子を脱がす経験がしたいの!」

男「駄目だこの人! 話を聞いちゃくれねえ!」

受付「うへへ…減るもんじゃなしに、その第二ボタンをくりくりっと外させてくれよぉ…」ジリジリ

男「うっ、おっ、マジで詰め寄ってきた…ッ! だ、誰か助けてーッ!」

受付「にゃははー! ここはラブホだぜ! 悲鳴なんぞプレイの一つで片付けられるわッ!」ババッ
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:05:46.57 ID:bWGqtqfcO
ドッガラガッシャーン

受付「ハァッ…ハァッ…華奢な背格好して、中々どうして…!」ハァハァ

男「アンタも必死すぎだろッ! どんだけ脱がしたいんだ俺のことを…!?」

受付「ああ脱がしたいともッ! 心底脱がしたいねッ! 」

受付「ついでに写真でも撮ってダチに見せびらかして自慢してやるのさ!」バッ

男「動機が全て不純過ぎる!」

叔母「ただいま」ガチャ

受付「ゲヘヘーェ! あわよくば売りさばいてやるんだからぁー、あ」

〜〜〜

受付「ズビバゼンデビダ」

叔母「本気で減給するぞ、お前」コキッ

男(酷い目にあった…どうして制服ごときでここまで疲れるんだ…)

叔母「もういい。就業時間はとっくに過ぎてるだろ、帰れ」しっしっ

受付「うぇーい…ごめんね、お姉さんちょっと調子に乗りすぎちゃったよ…」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:07:12.96 ID:bWGqtqfcO
男「え? いや別にそこまで、気にしてないんで大丈夫ッスよ…」

受付「あ! やっぱり?」

男「という建前です。今度やったら晩飯作りませんよ、一生」

受付「それだけは…ご勘弁を…低コストでおいしいご飯…」ヨヨヨ

叔母「そういや男君はこれから出かけるの?」

男「あ。はい、買い物に行こうかなと」

叔母「晩ご飯か。ならついでに私も一緒に行こうかな、商店街の方に用事があるから」

男「商店街? このへんにあったんですか?」

叔母「あるよ」

男(全然知らなかった。何時もならドンキやスーパーで済ませてたし)

男(それにしても商店街かぁ…なんだか良い響きだ、なんとなく良い買い物が出来そう…)ワクワク

叔母「と、商店街と言ってもほぼ飲み屋街だけど」

受付「あそこ繁華街の延長線上にあるから、行くまでにキャッチが凄いのなんの」

男(なんと短い期待間)ホロリ
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:08:25.83 ID:bWGqtqfcO
叔母「でも並んでる商品や物の安さは保証する。知り合い多いし、値引きしてもらえるかも」

男「値引きとか出来るんですか!? 凄いですね…!」ぱぁぁあ

叔母「ん…」テレ

受付「でもオーナーって商店街の連中によく思われてないッスよね」

叔母「大丈夫だろ。彼を連れていれば面と向かって文句も言われまい」

受付(この人、甥っ子ダシにして用事済ませるつもりか)

男「準備出来ました! さっそく行きましょう!」ニコヤカ

受付「ううっ…頑張ってね、お姉さん応援してるから…」ホロリ

男「? ええ、まあ安いの買ってくるよう頑張ってきますけど…?」

受付「ってか、あれ? 学ランのままで行くの?」

男「叔母さんがこっちでと。この格好で買い物だと変に思われるんで遠慮したいんですけどね」

男「ほら。家庭が苦労してるのかな、とか…」ポリポリ

受付「……っ…」ボロボロ

男「貴女は事情知ってるでしょ!? 何故泣いてるんです!?」

〜〜〜

叔母「ん、ここから商店街風になるんだ」スタスタ

男「おお…確かに雰囲気がガラリと変わった…」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:09:50.86 ID:bWGqtqfcO
叔母「あそこがタバコ屋。そこがスィートホテルと組んでるレストラン」

男「ふむふむ」

叔母「酒屋はあそこで、八百屋もある。精肉店もあって結構充実してる」コクコク

男「凄いですね! 色々と言ってた割には普通に商店街じゃないですか!」

叔母「そう? なら良かった」

男(…しかし)チラ


「来たぞ…」

「チッ…今日は子供連れか…」


男(妙に各店員さん達にマークされてる気がするのだけれど…)ダラダラダラ

叔母「そういや、今日は何を買うつもりなの?」

男「ええっと、卵に野菜に、あと貝系とか。クラムチャウダー作ろうと思ってるので」

叔母「くらむちゃうだー?」

男「具沢山のスープというか…えぇと…まあシチューみたいな感じです!」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:10:38.47 ID:bWGqtqfcO
叔母(段々とバリエーションが増えつつあるな、この子。凄い)

叔母(でも私が作れるようになれば、もっと彼から負担を取り除けるのでは)

叔母「それは簡単に作れるの?」

男「そう、ですね。シチューより短時間でさっと煮て、具材も細かく切ればいいだけですから」

叔母(なにやら簡単そう。私でも作れそうかな)

男(何やら食いついてくるな叔母さん、そういや前に作ったシチュー美味しいって…)

男(ハッ!? しかしクラムチャウダーはシチューっぽいけど明確には違う! 期待させる前に…っ)

叔母「へー。なら今日は私も手伝…」

男「違いますからね!? 期待しているほどものじゃないですからねッ!?」

叔母「は、はいっ…! すみませんでした…っ?」ビクゥッ

男「分かっていただけたなら良いですけど…」ハァ

叔母(これからは料理に関して浮ついた質問するのはよそう…恐い…)ドキドキ
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:11:21.17 ID:bWGqtqfcO
男「あ! あそこ魚屋さんですかね? 貝柱とか買いたいんで寄っていいですか?」

叔母「ど、どうぞ」

男「すみませーん」

店主「へい、いらっしゃい」ギョロッ

男(怖ッ!! え、明らかに堅気じゃない眼つきに雰囲気なんですけど…!)

男「あ、あの、その、カイバシラ…をカイタイ…ですけど…」モゴモゴ

店主「あぁんッ!? きこえねぇーよ坊主、もっとしゃっきり喋れ」

叔母「? どうした?」ズィ

男「お、叔母さん…」

店主「あっ! オメー…ッ…すぃーとほてるのッ! どの面下げて来やがったんだ!?」

叔母「………」

男「も、もう帰りましょうよ…? 変なことが起こらないうちに…」クイクイ

叔母「それ、一つ」

店主「はぁッッ!?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:11:57.69 ID:bWGqtqfcO
男「お、叔母さん! もう良いですって! 違う所で買いますから…!」

叔母「いや、そうじゃなくて。それ一つだけ鮮度落ちてるから」

男「え?」

叔母「あとその鮭、値段の割には油のってない。二流品流されるなんて腕が落ちたな、アンタ」

店主「お前ッ──」メキィ!

店主「──うわぁああんッ! だからこの嬢ちゃんは嫌いなんだよォオ! いっつもいっつもよォ!」オーイオイ

叔母「私は悪くない。三流品を置いとくほうが悪い」

男「こ、これはどういう…」

叔母「ああ、昔から鼻が良いんだ。匂いとか敏感でね、食材なんて鮮度は匂いでわかる」

店主「いぃーよもォう! もってけ泥棒ぉー! 半額どころか三分の1で売りさばいてやったる!」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:12:24.13 ID:bWGqtqfcO
叔母「買った」チラ

男「……」キラキラキラ

叔母(ん、ちょっとは叔母としてカッコ良いところみせれたかな)フッ

男「いや、普通に鮮度が良いのが欲しいので。普通に買わせてください」

叔母「………………………」

〜〜〜

男「何やら沢山オマケを貰ってしまった…」モッサリ

叔母「気に入られたね、男くん」

店主「坊主ゥー! 今度またウチで買って行ってくれよォー!」ブンブンブン

男「あはは、…それも叔母さんのせいでしょうが」

叔母「なんで?」キョトン

男「店主さんが言ってたでしょう!? 叔母さんがここら一帯を脅して、タダ当然で持って行くって!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:13:02.79 ID:bWGqtqfcO
叔母「本当のことを言ってるまでで…」

男「一時間レベルの鮮度を当てられると、あっちもトラウマになりますよ…」

叔母「む」

男「良いですか? ああいうのはわざとほんの少し鮮度低いのを置いとくんです」

男「そしてお客さんにサービスとしてオマケをつける。それが商売繁盛の秘訣なんですから」

叔母「う、うむ…」

男「許容範囲を、重箱の隅をつつくように責められたら可哀想ですって」

叔母(高校生に叱られる私って)ポリポリ

叔母「まあ気をつけるよ、君がここで買い物しづらくなったらアレだしね」

男「………」

叔母「どうした?」

男「いや、よく考えれば相対的に俺が安く買えるんじゃないかって…飴と鞭みたいな…」

叔母「さっきまでのアドバイスだったの? なら頑張るけど」

男「ち、違います! やっぱり気持ちよく買い物するのが一番です!」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:14:03.99 ID:bWGqtqfcO
叔母「なんだ、違うのね──婆ちゃん、煙草一つ」

「あら、ホテルのところの。珍しいわね買いに来るなんて」

叔母「今日は雨降るよ、洗濯物早めに取り込んでおいといて」ジャラジャラ

「それは恐いわね〜ふふふ〜いつもの十番よね、はいはい」

男「……」ポケー

「あら? どうしたのこんな小さい子連れて」

叔母「親戚の子供だよ、預かってる」シュボッ

「あらあら、確かにどこかお嬢ちゃんと面影が似てるような」

男「ど、どうも」ペコリ

男(優しそうな人…)

「あらあら、じゃあ貴方は何番を買うの?」

男「……!? 制服着てますよね俺!?」

「うぅん? あぁごめんなさい、私ってば目が悪くて…」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:14:54.76 ID:bWGqtqfcO
男「あっ、すみません…!」

「いいのよ気にしないで。取り敢えず、高校生にはライト系がおすすめよ?」

男「話の軸が変わってなくないですか!?」

叔母「あんまり誂うなって、真面目な子なんだから」フゥー

「ウフフ。いいわねぇこういうの、おばさんたのしくなっちゃう」

男(なんでこう叔母さんの周りの人達は濃ゆいんだ…)

叔母「さっき魚屋のオッサンに会ってきたよ。相変わらずの顔面だね、アレ」

「完全に過去に人殺してる面してるものね〜笑うぐらい下戸なのにー…」

叔母「そりゃアンタが大酒飲みなだけだよ、歳を考えな歳を」

「あらまあ、まだまだイケるから期待してて」

叔母「長生きしてる方に期待したいんだけど…」

叔母「まあいいや。元気そうだし、これからもちょくちょく買いに来るよ。それか、この子が来るから」ビッ
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:15:59.52 ID:bWGqtqfcO
男「俺に煙草を買わせるつもりですか…?」

叔母「もう店員に顔が割れたし、平気だよ」

男「それ悪い方向で使う言葉ですけどね!」

「大丈夫よ。君が買いに来ても怒ったりしなから」

男「なんで妙なニュアンス含めた言い方を!? 俺は吸いませんってば!」

叔母「ね。この子すごいでしょ」

「新たな期待の星ね。突っ込みキレッキレじゃない」パァァァ

男(こん人たちはァー…ッ!)

〜〜〜

男「つ、疲れた…」

叔母「君、いたる店で突っ込みしてたもんね」

男「褒められてるんですか、それは褒められてるんですか」グテー

叔母「大人たち相手に怖じけることのない姿は凄いと思う」コクコク

男「したくてしてるワケじゃないっすよ!?」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:16:42.74 ID:bWGqtqfcO
叔母「その分、安く買い物出来たから良しとしようよ」

男「そ、それは確かに行幸でしたけどねっ!」プイッ

叔母(これがケルケル君が言ってたツンデレかな?)

男「って、いうか。叔母さんの用事は良いんですか? もう帰り道ですけど」

叔母「ん? もうとっくに終わってるよ、ありがとう」

男「……? もろもろ含めてどういう意味です?」

叔母「私は商店街の連中に気に入られてないからね、あんまり来れないんだココには」

叔母「ふと気になっても気軽に来れる気がしない」スッ

男(あ。そういや煙草屋のお婆さんと喋ってる時、すごく楽しそうだったな)

男(他の店でも警戒度マックスだったけど、会話してる姿はみんな最後は笑顔で───)

男「──良かったですね、今日はこれて」

叔母「うん。良かったよ」コク

男(普段は周りのこと全然気にしてない感じだけど、ちゃんと想ってるんだなあ)ニコニコ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:18:59.69 ID:bWGqtqfcO
叔母「さて、それじゃあ」

叔母「見た限りの売上ぶりを兄貴に報告するかな」

男「ん?」

叔母「うん? だから君の父親で私の兄貴が、ココの商店街潰そうとしてるから…」

叔母「数ヶ月に一回見回りしに来てるの。その代表が私、面倒くさいんだよねコレ」

男「なにそれ恐ッ! そりゃみんなに嫌われるしみんなヘコヘコするわ!」

叔母「そうでもないよ。普段は面と向かって文句言ってくる強者揃いだよ」

男「ちょ、ちょっと待って下さいよ…!? じゃ、じゃあ俺の正体がバレたらどうするんですか…!?」

叔母「そりゃ巨悪の代官様の息子となれば、うん」フゥー

叔母「そういや、くらむちゃうだーって美味しいの?」

男「誤魔化しが下手くそ過ぎるッ! だァー!? 明日から買い物しずらァーいッ!」

叔母(しずらいだけで行くんだね、凄いなこの子)プカァ

男「あぁもうどうしよう…っ」

叔母「大丈夫。きっとバレても売り物ぼったくられるだけだから」ニコ

男「その時点でアウトなんですけどねェ!?」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/03(金) 15:19:26.49 ID:bWGqtqfcO
〜〜〜


受付「あれ? じゃあ全ヘイトを彼に集める作戦じゃなかったんッスか?」

叔母「そこまで考えてないよ私でも…」

男「帰り際で末恐ろしいことサラッと言った人が何言ってるんですか」コトコト

受付「泣いて損したじゃん。じゃ今度からはハラドキの買い物展開なんだねガンバ!」

男「面白がってる所アレですけど、あそこで買い物できないなら食費あげますよ」

受付「今度からお姉さんの弟だって騙っちゃう?」

男「ちょっとは同情とかないんですかねェ…!?」

叔母「その点に関しては安心していいよ、男君」

男「え?」

叔母「君が兄貴の息子だとバレる前に、先手を打っておいたから。明日から普通に行けるよ」

男「いつの間に…叔母さん…」キラキラキラ

受付「じゃあなんスか? 商店街での彼の立場って?」


叔母「ああ。私の恋人になってた、なんかココのラブホに一緒入ってるの見られてね」

男「………」カランカラーン…


第三話 終
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 15:20:13.99 ID:bWGqtqfcO
気まぐれに更新ノシ
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 15:30:05.17 ID:emZgRDJtO
おつおつ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 16:06:47.97 ID:nzBD6vwAO
乙!
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 13:59:48.79 ID:xSrJBjoAO
ラブホと人妻、高校生

素晴らしい響きだ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 15:24:19.48 ID:C39hPBShO
今のところ叔母は人妻じゃないからな?
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 16:19:35.63 ID:TVtl8ZHS0
人妻?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 17:44:32.91 ID:wEU51yFP0
受付は元男?
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 20:42:28.98 ID:meuVKZpEo
『ラブホと男子高校生と巨乳叔母 〜時々お姉さん〜』だろ。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 19:14:13.33 ID:zHRBdrx80
まだ?
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 21:55:50.70 ID:U/6nxyQRO
男「よっと、これで準備よし」

男(明日はやっとこさ入学式だ。制服もカッターシャツもピンっとノリが張ってある)

男(なんの不都合なく迎えることが出来るぞ…!)

男「…そうであっても、まあ他で不安は有り余って凄いことになってるけど」

受付「いまさらじゃんか」ズルズル

男「例の如くまた俺の部屋に来ましたね、受付さん」

受付「おばんわー、この時間帯って妙にお腹が空いちゃうのよね。てへっ」

男「まあ暇してたんで構わないですけど…」チラリ

受付「ん? ああ、下は大丈夫よ? ケルケル君が受け持ってくれてるからー」

男「ああ、そういや帰ってきてたんでしたっけ? 確か清掃係の人ですよね」

受付「えーっと、多分だけどキミと歳近いはずだから気軽に話しかけてみなよ」

男「えっと、まあ、はい…機会があれば…」

受付「どったの微妙そうな顔して」

男「い、いえっ! その、だって、その人ぱっと見た限り───外国人じゃないですか」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 21:57:17.78 ID:U/6nxyQRO
受付「日本語上手よ? むしろお姉さんより礼儀わきまえてるし」

男「最上級の謙譲語ですね、それ。日本語では負けないでくださいよ」

受付「いやいや、若くして他国に渡る根性に勝てやしないよぉ」

受付「特にケルケル君は趣味だけで日本に来た強者だから、やばいよ彼は」

男「趣味、ですか」

コンコン

受付「おんや? 噂をすればケルケル君じゃない?」

男「えっ!? な、何故に俺の部屋に…っ」オソルオソル

ガチャ

男「ど、どなたですか…?」キィ

清掃「………」きょとん

男(わわ! やっぱりケ、ケルケル…君…が居る! ど、どどどうすればっ!?)

男「あ、あのっ! えーと、えくすぷれっそ、じゃなくて! そのっ!」

清掃「………」

清掃「!」ポンッ

清掃「ワオ! きみがownerのオイッコーのオトッコー!?」パァァアアア
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 21:58:23.64 ID:U/6nxyQRO
男「ひゃいっ!? そうですッ! よっ!?」

清掃「ハジメマシテ! ボクはケルケルです! よろぴこ!」ビッ

男「よ、よろぴこ…お願いします…?」

清掃「え? ヨロピコオネガイシマス!? なにそれ復活の呪文とか!?」パァァアアア

男「ん!?」

清掃「えーと、んーと、じゃあじゃあドラクエの復活呪文噛まずに言える勝負ね!」

男「ドラク、えっ? なに? 何の話を…?」

受付「やほーケルケル君、どったのー?」

清掃「あ! フォクシーはやく戻ってこい! owner怒ってたよ!」

受付「げにッ!?」

清掃「ゲニゲニ! 戻らんと、えーとえと、ドハデなPlayした部屋を掃除させるって…」

受付「カレーうどん食ってる場合じゃねぇ! さらば二人共!」ババッ

清掃「バァーイ!」ブンブン

男「あ、はい、がんばってくださいね…」フリフリ


パタン
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 21:59:19.84 ID:U/6nxyQRO
男(いつの間にか来て嵐のように去る人だな相変わらず)

清掃「………」にこにこ

男(──そして何故っ…彼はここに残ってしまっているのだろう…!?)ダラダラ

清掃「えとえと、んー、オトッコーでいいんだよね?」

男「え? えっと、それ俺のこと言ってるの…?」

清掃「名前知りたい! ボクが名前知るの好き…知らないと満足できないから!」ニッコニコ


男「そう、なんだ。えっと俺の名前はあってるけど、イントネーションが違うかな…」

清掃「ワオ! マジデ? どんなのどんなの?」

男「お・と・こ、男って感じ」

清掃「お…と…こ…ゆっくりね! ゆっくりオトコ! こうっ? こんな感じ? オトコ!」

男「う、うん、そうそう。あってるよ」

清掃「ありがとうオトコ! いいオトコオトコね!」グッ

男(なんだかハイテンションな人だなあ。もう十二時回りそうなのに、超元気だ)ポリポリ

清掃「……………」

男「…………」

男(…!? ヤバイ! 静かになられても困る! 会話的な意味でッ!)ドキドキドキ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:00:35.23 ID:U/6nxyQRO
男「あ、あの! け、ケルケル…君で良いんだよ、ね? 皆そう呼んでるから…」

清掃「うんっ! ボクはケルケル、FullNameは超長すぎダルいから!」

男「そ、そうなの? そういやケルケル君って何処の人なの?」

清掃「タイだよ! ボクはタイ人! タイ人みーんな長い名前大好き!」ニコニコ

男「へぇ〜ちなみにケルケル君の名前って?」

清掃「んーっと、日本語っぽくいうとー」


清掃「けるじがけるどっとけるだびんどけるでぃーくけるどっく!」


男「長い! どんだけケル入ってるの!?」

清掃「タイは長い名前つけるのカッコイイ、だからボクも自分でつけた!」

男「すげぇ!! 名前自分でツケられるんだ!?」

清掃「うんうん! …かっこいい? オトコもカッコイイ思う?」モジモジ

男「う、うん…魔法の呪文みたいでカッコイイと思う…?」ハッ

男(し、しまった!? 変な感想を述べ──)

清掃「へへっ!」テレッ

男(──超嬉しそうだからいっか!)
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:01:31.08 ID:U/6nxyQRO
男(しかし立ち話もなんだし、上がってもらおう)イソイソ

清掃「オトコ? なにそれ?」キョトン

男「ん? これは座布団って言って、ああ、他の部屋には無いもんな」

男「あんまり椅子で生活する習慣がなくって落ち着かないんだ、だからドンキで買ってきた」

清掃「床、掃除してる?」

男「もちろん。あと安物のカーペット買ってもうちょっと居心地良くするつもり」

清掃「ほぇーオトコすごい。でもなんでラブホで充実しようとしてるの?」

男「ええ…確かにそのとおりですよね、ええ…」ズーン

清掃「?」

男「ま、まあ取り敢えずお茶でも飲む?」

清掃「好き!」

男「おおっ? それはよかった、じゃあ用意するから待っててね」ガチャガチャ コポ…

清掃「うんっ! すわってまってる!」ストン

男「はい。どうぞ、安物のお茶パックでごめんね」

清掃「ソチャですが! ってやつ? ボクそれ好き、日本のお茶美味しいから」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:02:35.07 ID:U/6nxyQRO
男「そうなの?」

清掃「うん! 公園のお水ガブのみ出来るのやべえ思うんだ、これ」

男(とりあえず日本が凄いんだと捉えよう…)

清掃「っ……っ……っ……」キョロキョロ

男「づづ、ん? どうしたの?」

清掃「あっ! え、えとね、その、ね…」モジモジ

男「うん?」

清掃「……………」じぃー

男(うっ、なんだろ。この妙に熱の篭った視線は)

清掃「その…オトコはぁ〜…げ、げーむとか、したり…する?」チラチラ

男「え、ゲームって、こうやってコントローラー持ってするやつ?」

清掃「………」コ、コクコク

男「ああ、ごめん。俺はそういうのあまり、興味がなくて」

清掃「あ…」

清掃「…ソウナンデスネ…」しょんぼり

男(あぁっ!! すごいしょんぼりしてる! そ、そうかそこを期待されてたから、部屋に残ってたのかっ)
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:03:48.89 ID:U/6nxyQRO
男「ご、ごめんね? 俺も引っ越してきたばっかりだから」

清掃「!! じゃ、じゃあ荷物きたら入ってたりする!?」

男「えっと、トランプとか?」

清掃「……………………」ズーン

男「そういうのじゃないよね! ごめん!」

清掃「ううん、オトコ悪くないよ。ボクが勝手に期待しすぎた、ごめんなさい」ペコペコ

男「あ、うん、でもケルケル君はゲームが好きなんだね」

清掃「好き! だって日本のゲーム超たのしい!」

男(へぇ、俺の周りじゃ皆ゲームなんて興味ない人ばっかりだったからなぁ。凄い新鮮だ)

清掃「だからボクは日本きた!」

男(うん、このレベルは他と比べたら失礼だ。凄すぎる趣味力)

清掃「でももっともーっと楽しいことあるよ。日本やばすぎ、なんでリアルに人描ける?」

清掃「アニメやらコミック、みんな人っぽくて良いの。ド変態ばっかだよね日本!」けらけらーっ

男「そ、そうかな? そこら辺もあんまり詳しくないからどうにも…」

清掃「え…? じゃあどうやっていつも休み過ごしてるの…?」

男「もっと他に選択肢あるよね!? 絶対にあるからそんな顔しないで!」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:04:49.75 ID:U/6nxyQRO
清掃「でもオトコの部屋ってなんにもないね、とにかく」

男「さっきも言ったけど引っ越してきたばっかりだから。これから増える予定だよ」

清掃「じゃあじゃあゲーム買おうよ! ゲーム! おすすめあるよ?」

男「う、うん、ちゃんとそういったことも視野にいれてる。学校で話題作ろうと思ってるから」

清掃「そうそう! ボクも日本でトモダチつくったとき、ゲームで仲良くなった!」

男「良いよね、楽しく皆でゲームって。でもね…」

男「ここ、テレビの主導権が全部フロントにあるんだよね…見れてもエロいのばっかり…」フフフ

清掃「わぁお…」

男「hdmi端子も三色ケーブルも、妙な機械に阻まれてるし。ははっ、大丈夫かな高校生活…」ホロリ

清掃「大丈夫! トモダチ出来なくてもケルケルが居るよ!」

男「け、ケルケル君…!」ぱぁああ

清掃「でもまずはゲーム買ってからね!」ニコ

男(悪気は全くないんだろうけど、なんかなぁ、なんかなあっ)

清掃「むふふ」ニコニコ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:05:24.96 ID:U/6nxyQRO
男(友達作るのって、自分から趣味を合わせないといけないのかな…)

清掃「ん!? よく考えればそう! あれでいいよ!」ガタッ

男「どうしたの急にっ?」

清掃「待っててオトコ! すぐ戻ってくる!」ダダダッ ガチャ バタン

ダダダダ

清掃「ただいま!」ガチャア

男「うん、えっと、その手に持ってるのは?」

清掃「小型ゲーム機だよ! これ、テレビもいらないし皆で出来る!」

男「なん…だと…? 世の中そんなものまで出てるのか…!?」

清掃「オトコ本当に日本人? 知らないなら教えるよ、ほれほれ」ぱかり

男「ほ、ほぉー…凄い、普通にテレビ画面がついてる…しかも二つ…」

清掃「………。このスイッチ入れるです!」カチリ

男「ぐぁあああ!? な、なんだ目が急におかしくなった!? これがゲーム脳ってやつじゃ…!?」

清掃「落ち着いて、落ち着いてオトコ」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:06:28.95 ID:U/6nxyQRO
男「あ、ああ、思わず驚いて面白い反応してしまった…魂取られたりしないよね…?」

清掃「ボクのお婆ちゃんみたいなリアクション取るね、オトコは」

清掃「へいきへいき、これはゲームが3Dで見れるの! マジファンタジー!」

男「すりぃーでぃー? なに、飛び出して見えるワケ? 嘘だろこんな小さいのに…」

清掃「……」スッ

男「すげぇええええええええ!!? なにこれェー!!??」

清掃「デショー!!?」


ガチャッ… スッ…


受付(気を揉んでたが無事に仲良くなってる様子)コソコッソーッ

受付「国境を超えたフレンドタイム…スバラなことやで…」ナムナム

受付(撮って友達に送ろ。ラブホで同性十代わいわいなう、っと)

シュボッ

受付「ヒッ!」ビックゥウウン

〜〜〜

叔母「──ケルケル君、君まだシフト中だろう」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:07:08.99 ID:U/6nxyQRO
清掃「大丈夫! フォクシィと違って終わらせてココ来たから!」

叔母「いや、その時間にも給料は発生してるんだけどね…」

叔母「あの馬鹿よりはマシか。しかし男君も明日は早いんだ、もういい加減に寝た方がいいよ」

男「あ。そうだった、明日学校だった…」

清掃「ワァオ! ガンバってオトコ! レッツエンジョイ!」ぐっ

男「うん。ありがと、がんばる」

がちゃ きぃ パタム

叔母「いい子だろ」

男「はい。勝手に距離をおいてた自分が馬鹿みたいでした」

叔母「これからも良くしてやって。あの子は一人で日本に来たんだ」

叔母「そら数年もこっちに住めば知り合いなんて出来る。けれど、歳が近いヤツはそういないだろうし」

男「そうなんですか?」

叔母「良い子なんだけど癖が強くてね。日本人の友達を作りづらいみたい」

男「そうなんですか…ま、まあ俺でいいのなら構わないですけど…」

叔母「君だから良い」ニコ

男(…むぐぐ、この人は本当に面と向かっていうよなあ…っ)

叔母「それじゃあオヤスミ。初日で遅刻なんてしないように、いいね」ガチャ
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:08:28.72 ID:U/6nxyQRO
男「勿論です。おやすみなさい、叔母さん」

叔母「ん」フリフリ

パタン

男(叔母さんの言う通り早く寝ないと、始まる前に色々考えても意味ないしな)

男(学校、入学式、友達、ゲーム、かあ。俺、本当に明日から───普通に…学校に…)

スヤスヤ

男「むにゃむにゃ」

叔母「男くん!!」ガチャアッ!!

男「むァいッ!? な、なんですかッ!?」がばぁっ

叔母「い、いい忘れてたことがあったんだ…はぁはぁ…これは大事なことだよ…っ」

男「え、な、なんですか?」 

叔母「歯磨きちゃんとやった?」

男「すげえどうでもいい!」

受付「うぇぇ…おーなぁ〜〜…あの部屋の掃除は業者に任せましょおお〜…」ベトー

男「うっ! な、なんて匂いをさせて俺の部屋に…!?」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:09:24.50 ID:U/6nxyQRO
叔母「ちゃんとやれ。あと近寄るな、クサイ」

受付「ヒドイ!」ガーン

男「あ、あの、本当にそろそろ寝たいんですけど…」

清掃「アァ!? そういやオトコ、ここ電気消して寝てる?」ヒョコ

男「ケルケル君まで!? どうしたの急に…え、消してるけど何時も…」

清掃「そ、そなんだ…ウン、なんともなかったらいいよです…」スッ

男「なにそれ恐い!? 気まずそうな顔して何なの一体!?」

受付「あり? 説明受けてないの? ココ、おふざけで44号室作ったら出───」

叔母「おやすみ男くん」キィ

男「誤魔化せると思ってんのかッ! 出るんでしょココ! どうして黙ってたんですか!?」

叔母「……私は見たこと無いし」フィ

男「見たことある人いる時点でアウトですよねッ!」

叔母「客の戯言だよ。従業員みんな見たこと無いし、平気だよ」

受付「誰も居ないのに物音はたまにしてたッスよね、ココ」

清掃「この部屋むかしから掃除しなきゃいけなくて大変だったよ!」ニコ

男「ワンチャンあったら見えてましたよねそれ!? あとケルケル君のは何の掃除!?」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:11:00.87 ID:U/6nxyQRO
叔母「ほら、解散解散。男くんは早く寝るんだし、みんな邪魔しちゃ駄目だよ」ぱんぱん

男「寝れるかコラーッ!! 俺もそっち側に連れてけー!」

〜〜〜

男(──なんてことだ、結局、一睡も出来なかった)うつらうつら

男(あの部屋で寝るの怖すぎてスタッフルームにお邪魔したけど、逆効果だった)チラ


受付「ぐかー」

清掃「ふんふーん♪」ピコピコ


男(受付さんの晩酌に付き合わされるし、ケル君のゲーム話題で頭がぐらぐらする)

清掃「CLEAR! フィー! あれ? オトコ、大丈夫なの?」

男「大丈夫じゃないよ…このままじゃ電車を寝過ごしそうで恐いよ…」フラフラ

清掃「ああ、エット、そうじゃなくって、んーっと」チラ

清掃「──あの壁カケ時計、一時間遅いから!」ニコ

男「……………………」ボー

男「ッッッ!!?」ババッ

【六時四十五分】+一時間
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:12:15.28 ID:U/6nxyQRO
男「遅刻してるゥーーーーーーッッ!!」

受付「わぁいッッ!?」ビクゥン

清掃「エェッ!? やっぱりダメ感じッ?」あたふた

男「あと十五分で入学式始まるッ! 電車で移動考えたら当然のごとく間に合わない!」ダダッ

清掃「アワワワ」

受付「ん〜…どったの…?」ゴシゴシ

清掃「フォクシィ! オトコが遅刻だってあぶないよ!」

受付「ちぃこくぅ〜? んなのお姉さんだっていっぱいしてるよぉふぅうわぁあぁあぁあ〜…」

男「アンタと一緒にするなーッ!」ババッ

受付「まあヒドイ」

男「ごめんなさいテンパってるもんで! あぁもうッ! どうしてココの時計こんなに狂ったまま何ですか…っ!」バタバタ

清掃「フォクシィが働く時間ごまかすためだよ!」

男「やっぱアンタ最低だよッ!」

受付「あ。あの壁時計見てたの? そりゃごめんね、だったらお姉さんの原付きかすからそれで行きなって」

男「どうあがいたって遅刻は免れないですよ…!?」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:13:28.86 ID:U/6nxyQRO
受付「となり町の高校でしょ? 電車だと遠回りで十五分、歩き含めりゃ五分で合計二十分」フワァ

受付「八時に入学式なら電車乗って行くより原付き乗って突き進んだ方が速いよ、全然」

男「そ、そうなんですか? でも俺免許も持ってないし…」

受付「そっか。ならケルケル君に任せたらいいんじゃない」

清掃「ボク? オッケー!」

男「超柔軟! しかし二人乗りって、というか何故にケル君に任せるんですか…!?」

受付「お姉さん飲んで八時間立ってないもの。ケルケル君は免許持ってるし、平気平気」

清掃「ボクの国もみーんな二人のり! へたすりゃ五人乗り!」

男「曲芸師かよ! い、いやいや! ケル君に迷惑をかけるのはっ!」

清掃「オトコ!」がしっ

男「ハイッ!」

清掃「よくきいてっ! ボクはオトコの為にやりたい、がんばりたい! それダメなこと?」

男「だ、ダメじゃないけど、なにより危険で最初から俺のせいだから…っ」

清掃「…それは違うよ、オトコ。危険だからがんばる、オトコの為にがんばりたいからがんばる!」

清掃「──それがトモダチってことだから! ケルケルはそう思う!」ビッ
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:14:25.37 ID:U/6nxyQRO
男「ケル君…お、俺…」

男「──わかった、俺、ケル君に助けて欲しい。どうかお願いしたい」ペコーッ

清掃「じゃあ行くよオトコ! はやく駐車場へレッツ!」ダダッ

受付「ヘルメはボックスにスペアあるからねー」

男「は、はい! 受付さんもありがとうございました! 帰ったら好きなの作りますから!」

パタン

受付「まあ…」ポリポリ

受付(あの時計、遅いんじゃなくて速いんだけどね。だから今は五時四十五分過ぎ)

受付「じゃないと就業時間誤魔化せないし…ふわぁ…まあ親交深められた、良いお姉さんってことで」モゾリ

シュボッ

受付「…………………何時からそこに?」

〜〜〜

清掃「早くのってオトコ! 出発するよ! 今するよ!」ブィイン ブィイイイン

男「う、うん! 本当にありがとうケル君!」ドスン

清掃「お礼は無事についてからってね! へへっ、今のかっこいい?」

男「タイミング考えてケル君! でもカッコイイよッ!」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:15:54.93 ID:U/6nxyQRO
ブィイイイイイイイン

男(うぐっ、凄い風と揺れだ…! 二人乗りが危険だと言われる理由がとてもよくわかる…!)ぎゅっ

男「け、ケル君! 有り難いけど、あまりスピードの出しすぎには気をつけて…!」グラングラン


清掃「ぐー…」スヤー


男「ケル君!? ちょっとケル君!?」

清掃「はっ!? じゅるる、もう着いちゃった!?」

男「違うよ寝てたよ完全に熟睡してたよ今っ!?」

清掃「あ! だから学校に着いた夢みてたのかー!」てへ

男「その照れ隠しが出来てよかったね! あと一歩で夢のままで終わってたよ!」

清掃「うぐぐ、朝までゲームしたから限界なのかも…」うつら…うつら…

男「えぇっ!?」

清掃「大丈夫! こんなときに効くおまじないの言葉ある! それで元気なる!」

男(そ、それって故郷に伝わる系の、お婆ちゃんが教えてくれる感じのヤツかな…!?)

清掃「ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりくつした!」

男「ねっからゲーム脳だなあ! ケル君はぁッ!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:17:00.25 ID:U/6nxyQRO
清掃「うっ…じゅもんちがいます、間違えたよオトコ…もうねひほ…」スピー

男「ダメダメダメ! 寝たらその後は復活の呪文でも効かないからねッ!」

清掃「うん、じゃあ眠らないようオトコも手伝って、一緒に言って」

男「いや、だから、俺はあんまり詳しくないんだって…っ」

清掃「……。そっか、ならボクがんばる」

男「あ…」

男(違う、違うそうじゃなく、そんな悲しそうな顔をさせたかったワケじゃない)

男(興味がなかったことをいきなり、…押し付けられても困るだろ。俺だって仲良くなりたい、けれど)

男(自分に無かったものを、相手と仲良くなりたいってだけで増やしていくのは変じゃないか)

男(何時かは無理出る。限界が訪れる。その終わりを抱えたまま友達に、なんて、そんなの)

男「………」

清掃「ぞたう、いびほ、ぜもむの、ねひぎ…」ボソボソ

男「ケル君、あのさ」

清掃「ハーイ? なに?」ニッ

男「…。俺実は、夜遅くまでケル君が話してくれたゲームのやつ、殆ど意味がわからなかったんだ」

清掃「じゃ帰ったらまた話すね!」

男「そゆことじゃないよケル君! そうじゃなく興味が持てないんだ、君が言ってることに…」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:18:18.38 ID:U/6nxyQRO
清掃「そうなの?」

男「君が楽しそうに話してること、俺にはちんぷんかんぶんで良くわからない」

男「…だから、それを聴き続けてるのはとても辛い、んだと思う、多分」

男「だから! だから…俺は…」

清掃「………」

清掃「すごいね、オトコ」

男「ええっ? な、なんで! 俺は君に酷いことを言ってる、のに」

清掃「ううん、そうでもない。だってボクが言ってること、あんまり楽しくないの知ってる」

清掃「それをハッキリとノーって言ってくれる。そんな人、オトコが初めてよ?」

男「俺が初めて…」ズーン

清掃「違う違う褒めてる、褒めてるよオトコ! ボクはそんなハッキリと言えるオトコが凄いって言いたい!」

清掃「いやならいやでいい、ダメならダメでいい、一番しちゃだめなのは───」

清掃「───ひとり抱えて黙ってるコト」

男「…っ…」

清掃「ボクはそう思う。だって、ムリなんてトモダチにしてほしくない。いやならいやって言って欲しいから」ニコ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:19:10.21 ID:U/6nxyQRO
男「それで、君は良いの?」

清掃「どうしてそんなこと訊くの? ボクはねオトコ、こんな話を出来たことが嬉しいんだよ!」

清掃「だってすごい、やっと日本で友達できた感じ。正直にいってくれる、そんなトモダチが!」

男「ケル君…」

清掃「好き。そういうの言えるオトコは好きよ、だからカッコイイ」

清掃「だから自信を持ってチャレンジ。オトコならきっとたくさんいっぱいトモダチできるから!」

男「───……」

男「……………」ぎゅっ

男「ぞ、ぞ…ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりくつしたッッ!!」

清掃「オトコ?」

男「む、昔から物覚えだけは良いと両親に褒められてたんだ。だから、もう一度だけ教えてくれ」

男「あと! さっきまでのこしゃくれたしゃべり方はもう辞める! だ、だって…」

清掃「………」

男「…トモダチ、だから」テレ

清掃「うんっ! ボクらトモダチ! じゃあいっくよー! オトコ!」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:19:56.39 ID:U/6nxyQRO
男「おうよッ! ドンと来やがれってんだッッ!」

清掃「一文字でも間違ったらじゅもんがちがいますだよ!」

男「まかせろォ!」


「「せーのっ」」


清掃&男「──ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもッッ!」


ブィイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッ!!!


〜〜〜〜〜〜


「うう…」

「緊張しすぎて早く登校しちゃった…こんな時間じゃ生徒どころかお姉ちゃんだって…」

(入学式、ああもぉうイヤだイヤだ、心機一転なんて狙うんじゃなかった)


『私の妹であるなら、きちんと品行方正で真面目に無事に卒業すること! わかった?』


「…そんなコト言われても、あたしにどうしろっていうのよ」

「あぁーもうッ! 漠然とじゃなく教師ならタメになるアドバイス教えなさいよね全く!」ズンズン
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:21:30.45 ID:U/6nxyQRO
(はっ!? ま、また怒りっぽくなった。もうもうもう、この性格をバレないうちに本当にどうにかしなきゃ)

「……」

「ちゃんと友達、できるかなぁ」


──イイイイイイイイイイ──


「ん? 何の音?」


──ブィイイイイイイイイイイイイイイイ──


「え、後ろから」チラ


ヴイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!!!


「ひっ」


清掃「ぞたういびほぜもむのねひぎだびにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオオオオオオ!!」
男「ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオオオオオオオ!!」


ゴバアアアアアアッッ!!
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/07(火) 22:22:30.77 ID:U/6nxyQRO
ドンッ!! キキィ! どっがらがっしゃーーーーーん!!


(う、後ろに乗ってた人飛んでったー!? ひ、人殺し、事故!? いやそれよりも…!)ダダッ

男「うう…」

「あ、意識がある…きゅ、救急車を呼ばなきゃ…」ブルブルブル

男「…ぁぁ…」

(どうしようどうしよう、こんなのどうればいいってのよ! 血は出てないみたいだけど、ってか同級生!?)

男「…じゅ…」

「え、なにっ?」

男「復活の呪文を…」

「ヤバイ! 頭打ってる系だわコレッ!」

『もしもし、救急ですか、消防ですか』

「あ、繋がってた──もしもし、それがそのっ……!? ひいいいいい!?」


清掃「───ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオ!!」ダダダダダダ


(外国人がこっち向かって母国語っぽいの言いながらで走ってきてるぅー!!)
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