P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL2

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210 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/09(月) 21:22:54.08 ID:/DBTa6rJO

春香(この壁の裂け目……これはたぶん、暗黒剣でできた亀裂だね。まだほんの微かに暗黒闘気が漂ってる)

春香(暗黒剣ってことは、これは律子さん……お姉ちゃんがやったんだ)

春香(すごい……私が暗黒騎士だった頃とは比べものにならない威力だよ、これ)

春香(ヤミちゃんの暗黒剣といい勝負……ううん、それ以上かも)

春香(でも、暗黒剣は自分の生命力を犠牲にして力に換える剣。その威力に比例して、刃が自分に返ってくる)

春香(無理してないかな、お姉ちゃん。……心配だな)


千早「……春香? どうかしたの?」


春香「……あ、ううん、ごめんね」

タタタタ


P「春香、疲れてるところ悪いが早速移動だ」

春香「はい、分かりました」

千早「では、どこへ向かいますか?」

P「そうだな、まずは……」



「……ったく、あずさに任せた私がバカだったわ。ここ、最初に魔物と戦った場所じゃないの」

「ご、ごめんなさい伊織ちゃん。私も何か役に立ちたくて……」

「まあまあ、終わった事はしょうがないだろ、伊織」



春香「……あれっ?」

千早「あそこにいるのは……」

P「みんな……!」
211 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/10(火) 01:00:27.01 ID:opVyiHeMO

春香「おーーい!!」フリフリ



真「えっ……?」

伊織「ちょっと……春香に千早、美希までいるじゃない!」

あずさ「まあ、良かったわ〜♪ 」



真「どうしたのさ? なんで春香たちがここにいるの?」

春香「なんでって……ヤミちゃんの事が解決したからみんなのところに戻って来たんだよ?」

伊織「…………あ」

千早「真たちこそ、どうしてここに?」

真「ボクたちは君たちを探しに来たんだけど、ちょっとトラブルがあって、でも結果オーライっていうか……」

千早「?」


伊織「よく考えてみれば当たり前の事よね」

伊織「私たちは春香たちとこの場所で別れた。でも春香たちとは合流地点を決めていなかったから、春香たちがここへ戻って来るのは当然よ」

真「あ、そうか! じゃあ、もしかしてボクたち、見当違いの場所を探そうとしてたって事?」

伊織「そうなるわね。あずさのファインプレーがなければ」

あずさ(……本当は、思ったところと別の場所に瞬間移動しちゃったのは黙っておいた方がいいかしら〜)

212 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/10(火) 01:04:27.69 ID:opVyiHeMO

春香「ねえ、ところで他のみんなはどこにいるのかな?」

伊織「アンタたちと貴音以外はすでに目的地……月の民の館へ到着してるわ」

千早「……なるほど、プロデューサーの考えは当たっていましたね」

P「……みたいだな」

P「わざわざ迎えに来てもらってありがとうな、三人とも」

伊織「……あら、アンタいたの?」

P「あ、えーと、一応……」

春香「みんな、ごめんね。私のせいで迷惑かけちゃって」

真「全然気にする事じゃないさ。春香にだって事情があったんだろ?」

春香「……うん」

あずさ「みんな、疲れてない? 回復しましょうか?」

千早「ありがとうございます、あずささん。でも、大丈夫です」

伊織「千早、ご苦労様。アンタに任せて正解だったみたいね」

千早「いえ……」チラ

美希「……zzz」

千早「今回の事は、美希の功績が大きいわ」

伊織「……そう」



伊織「とにかく、とっとと帰りましょ。みんなが待ってるわ」

春香「うんっ」

真「そうだね!」

あずさ「うふふ、みんなが揃ったらお祝いでもしたいわね〜」

千早「あずささん、それはさすがに呑気すぎるんじゃないでしょうか……」

美希「……いちごババロア……」ムニャムニャ

213 : ◆bjtPFp8neU [sage]:2016/05/10(火) 01:10:15.84 ID:opVyiHeMO
つづく

展開が本家とかけ離れているのは仕様です
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 02:39:21.58 ID:jkB3LocrO
面白いから大丈夫、次は早めに来てほしいな
続きが楽しみで仕方ない
215 : ◆bjtPFp8neU [sage saga]:2016/05/29(日) 19:10:39.45 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 クリスタルルーム ー


…ドガッ!!


律子「っ……ぐぅ……!」ヨロッ


コトリマインド「はいっ!」ヒュッ


バキッ!!


律子「が……はっ……!」ガクッ


コトリマインド「どうしました? 律子さん。なんだか動きが鈍くなってきてません?」


律子「はぁ、はぁ……っ」

律子(……まずい。ここへきて暗黒剣を使った代償が響いてきてるわ)

律子(身体が思うように動かなくなってきた)

律子(こんなことなら、私も少し休んでおけばよかったかも……)


コトリマインド「みんなを呼んで来たらどうです? 私、ここで待ってますから」

コトリマインド「言いにくいんですけど……律子さん一人じゃ、ちょっと役不足みたいです」


律子「!」


コトリマインド「いいですか? 私はあくまで分身ですから、本体程の性能はありません」

コトリマインド「その私にここまで手こずっているようじゃ……ね?」


律子「………」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/29(日) 20:56:53.37 ID:SHFd7fc+O
1レスで今日は終わり?
217 : ◆bjtPFp8neU [sage]:2016/05/29(日) 22:23:59.76 ID:KJBDXc7gO
すみません、自分の携帯の回線の関係で日にちが空いた後の投下分は反映が遅れるようなので、とりあえずテストです。
これから投下します。
218 : ◆bjtPFp8neU [sage saga]:2016/05/29(日) 22:29:24.67 ID:KJBDXc7gO

コトリマインド(……ここまで言われたら律子さんのプライド、ズタボロだろうなぁ)

コトリマインド(……でも)


律子「……分身だか本体だかなんて知ったことじゃないわ」

律子「ああもう、あったまきた! ちょっと本気で行かせてもらいますからね!」


コトリマインド(それでも、向かって来る。勝てないと分かってても)

コトリマインド(みんなのために体を張る律子さん……)

コトリマインド(濡れ……いえ、惚れちゃいますっ!)キュンキュン


律子「………」スチャ


コトリマインド「……ん? 剣を収めた……?」


律子「……時は、来た」バッ


コトリマインド「詠唱……?」


律子「赦されざる者の頭上に、星砕け振り注げ!」


コトリマインド「えっ……これってまさか……!」


律子「……メテオッ!!」



…ヒュー …ヒュー

ヒュー… ヒュー……ヒュー…



ドドドドドドドドドッ!!



コトリマインド「いだだだだだだっ!!」

219 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:34:04.38 ID:KJBDXc7gO

律子「はぁっ、はぁっ……」

律子「……どうです? 少しは効きました?」


コトリマインド「ううぅ……たんこぶがたくさんできちゃったよぅ……」ヒリヒリ


律子「はぁ!? たんこぶ!? う、ウソでしょ……?」

律子「メテオってもっとすごい魔法じゃなかったの……?」


コトリマインド「いえいえ、ちゃんと効いてますよ?今ので4000くらい持って行かれたかしら」


律子「はぁ、4000でたんこぶですか……」


コトリマインド「正直、驚きましたよ。本編でゴルベーザがメテオを使うのは最後の最後だったはず」

コトリマインド「律子さんは今、ゴルベーザを越えたかもしれません!」


律子「……あの、さっきから誰なんです? そのゴルベーザって」


コトリマインド「暗黒騎士ゴルベーザ。本編で主人公たちを苦しめる悪の親玉。だがその正体は……」

コトリマインド「主人公セシルの、実の兄」


律子「……!」
220 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:39:34.21 ID:KJBDXc7gO

コトリマインド「彼は、真の黒幕ゼムスに操られていただけに過ぎなかった」

コトリマインド「最終決戦間際でようやくゼムスの呪縛から解かれたゴルベーザは、セシルたちに加勢するも、それまで闇に手を染めていた彼にクリスタルが輝くはずもなく……」

コトリマインド「彼は、諸悪の根元ゼムスの真の姿を前に、呆気なく敗れてしまう……」

コトリマインド「律子さん、あなたがそのゴルベーザ役なんです」


律子「………」

律子「……つまり、私じゃ小鳥さんに勝てないと?」


コトリマインド「………」

コトリマインド「……私はともかく、本体には厳しいでしょうね」


律子(確かに、大体ここまで小鳥さんの言ったような展開だったわね)

律子(なるほど、私は主人公春香の影で報われない運命を辿るってわけなのね)

律子(損な役を引いてしまった自分のクジ運を呪うべきか……)

律子(……いえ)
221 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:44:07.16 ID:KJBDXc7gO

律子「……忠告ありがとうございます、小鳥さん」

律子「でも、それならなおさら私は引けない。あの子たちはまだまだ私がついてないと」


コトリマインド「律子さん……」


律子「それに、ゴルベーザだかサルベージだか知りませんけど、同じ道を辿ってたまるもんですか!」

律子「ゲームの筋書きなんかに、私は負けません!」


コトリマインド「ああ……」ゾクゾク

コトリマインド「美しい……美しいです、律子さん……!」




ーー散り際の命って、なぜこうも美しいんでしょう?




律子「……え?」




コトリマインド「右手にフレア……」ブゥン

コトリマインド「左手にフレア……」ブゥン


律子「魔法を同時に二つ……!?」

律子(だったらこっちも、今までで一番ダメージの通った攻撃で応戦するしかない!)

律子(覚えたての魔法を二度も使うのは不安だけど、私の魔力、どうか持って……!)


律子「……時は来た!」

律子「赦されざる者の頭上に、星砕け振り注げ!」


コトリマインド「うふふふふふふふふ!」


律子「メテオッ!!」


コトリマインド「メガフレア」


ゴゴゴゴゴゴ…


ーーカッーー!!

222 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:46:36.31 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 2F ー


ーードゴォ…ン


やよい「はわっ! い、今、ばくはつみたいな音が……」

雪歩「う、うん、確かに聞こえたね」

雪歩(律子さん、もしかして何かトラブルに巻き込まれた……?)

やよい「雪歩さん、今の音、下の方から聞こえました!」

雪歩「そうだね、地下で何かあったのかも!」

雪歩「……行こう、やよいちゃん!」スッ

やよい「はいっ!!」ギュッ

タタタタ…

223 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:50:30.23 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 図書室 ー


亜美「ねえ真美、今……」

真美「うん、真美にも聞こえたよ」

亜美「まさか、『何か』が攻めてきた……?」

真美「でも、それはおかしーよ。ピヨちゃんの手下は帰ったはずだし、ピヨちゃん自身も地下から動けないはずだし……」

亜美「………」

亜美「もし真美がピヨちゃんだったら、どーする? 亜美たちがすぐ近くにいるって分かったら」

真美「それは、んー……ガマンできなくてみんなに会いに行っちゃうかもね」

真美「…………あ」

亜美「………」

真美「………」

亜美「……確かラスボスの手前くらいにさ、敵として出てきたよね。ゼムスブレスとかゼムスマインドとか」

亜美「あれって確か、ゼムスの分身って設定じゃん?」

真美「亜美が言いたいコトはわかるけど、でも……」

響「……考え過ぎじゃないか? 亜美」

亜美「でも、相手はあのピヨちゃんだよ? ゼッタイなんかトリッキーなことしてくると思うよ」

真美「じゃあ、もし亜美の言うとおりだどしたら、今りっちゃんはピヨちゃんとタイマン中ってこと?」

真美「それってけっこーヤバくない?」
224 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:54:34.53 ID:KJBDXc7gO

響「律子の捜索は雪歩とやよいが向かってる。律子の事は二人に任せるしかないさー」

真美「ひびきん、ちょっとそれムセキニンっしょ。仲間だったらもうちょっと……」

響「仲間だから、だぞ」

真美「えっ?」

響「自分たちはここから動けない。雪歩に任されたからな。みんなが来るまで待っててって」

響「自分たちにできる事は、二人を信じて待つ事。二人なら、きっと大丈夫さー!」

真美「そっか……。うん、ひびきんの言う通りかもしんない。仲間だったらちゃんと信じないとダメだよね」

亜美「いやー、なかなかひびきんも成長しましたなー」

響「なんでそんな上から目線なんだ……」



響「ねえ二人とも、自分、ちょっとだけ用事があるから出てくる。ここを二人に任せてもいいか?」

亜美「え? なんで?」

真美「ここから動いちゃダメって言ったのはひびきんだよ?」

響「ごめん。でもすっごく大切な事なんだ」

響「貴音が戻って来た時に、絶対に必要になる事だから」

亜美「えっ……?」

響「頼むよ、二人とも」

亜美「まあ、ひびきんがそこまで言うなら……」

真美「真美たちは別にいーけど」

亜美「でも、あんましムチャなことはしちゃダメだよ?」

響「うん、分かってるぞ」
225 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 22:59:30.75 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 B1F ー


タタタタ…

雪歩「はぁっ、はぁっ……!」

雪歩(さっきの音……なんだったんだろう)

雪歩(月の民さんがお料理失敗しちゃったとか?)

雪歩(……ううん、そんなのじゃない、もっととても大きくて激しい音だった)

雪歩(まるで、ものすごい魔法同士がぶつかり合ったような……)

雪歩(でも、今は魔物さんたちもいないし、律子さんが危ない目に遭う事なんてないはずだよ……!)

雪歩(ないはず、なのに……)

雪歩(……なんでだろう。すごく嫌な予感がする)

雪歩(ダメだよね、私がそんな弱気じゃ。律子さんは無事。きっと無事でいてくれてる)

雪歩(だって、『そんな事』あり得ないもん)

雪歩(『あの人』は今、動けないはずだから……)


やよい「……あっ、雪歩さん見てください! ドアがあります!」スッ

雪歩「………」

雪歩「開けて……みようか」

やよい「はいっ! 律子さん、見つかるといいですね!」

雪歩「うん、そうだね」ニコッ

雪歩(大丈夫……大丈夫……)

雪歩(さっきの音は、律子さんが魔法の練習でもしてたんだよ)

雪歩(だから、きっと大丈夫……)


…ガチャ ギィ…

226 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:03:58.44 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 クリスタルルーム ー


コトリマインド「うふふ……」

コトリマインド「いらっしゃい。お久しぶりね、雪歩ちゃん、やよいちゃん」ニコッ


雪歩・やよい「!!」


雪歩「こ……小鳥さん、なんですか……?」

雪歩(どうして小鳥さんがここに……!?)

雪歩(地下で封印されてるはずじゃなかったの……?)


コトリマインド「ええ、そうよ」

コトリマインド「しばらく見ないうちに逞しくなったわねぇ、二人とも♪ 」


雪歩「は、はぁ……」

雪歩(ウソ……当たっちゃった……嫌な予感が……)


やよい「小鳥さんお久しぶりです! あの、お話してたいんですけど、わたしたち、律子さんをさがしてるんです!」

やよい「律子さんを見ませんでしたか?」


コトリマインド「ああ、律子さんなら……」

コトリマインド「ほら、あそこでお昼寝してるみたいね」スッ



律子「………」グッタリ



雪歩・やよい「律子さん!!」

タタタタ…
227 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:05:54.52 ID:KJBDXc7gO

やよい「律子さん、律子さん、しっかりしてください!」

律子「………」グッタリ

雪歩(ひどい怪我……)

雪歩(こんな怪我、ちょっと転んだとかそんなのじゃ絶対にできない。……まるで、誰かに痛めつけられたような……)

やよい「雪歩さん! ぽーしょん持ってますか!?」

雪歩(じゃあ、いったい誰がこんな事……?)

雪歩「………」

やよい「雪歩さんっ!!」

雪歩「ひゃうぅっ!?」ビクッ

やよい「お薬、持ってますか? 律子さんに飲ませてあげないと!」

雪歩「そ、そうだよね、うん! ちょっと待ってて」ゴソゴソ



コトリマインド(……二人だけかぁ。まあいいわ。雪歩ちゃんとやよいちゃんがどれだけ成長したのかも見てみたいし)ニコッ

コトリマインド(っていうか雪歩ちゃん、なんだかすごい重装備ねぇ。全身ガッチガチじゃない)
228 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:09:56.74 ID:KJBDXc7gO

律子「ゲホッ、ゴホッ……!」

やよい「り、律子さん、だいじょーぶですかっ!?」ギュッ

雪歩「律子さん!」

律子「や……やよいと……雪歩……? あんたたち、なんでここに……」

やよい「すぐにみんなのところに連れて行きます! 真美にかいふくしてもらいましょう!」


コトリマインド「……残念だけど、それは許可できないわねぇ」


雪歩「!」

やよい「? ……あの、律子さんのけががひどいんです。早く手当しないと……」


コトリマインド「ダメよ」


やよい「ど、どーしてですか?」


コトリマインド「どうしてって、そんなの決まっているでしょう?」

コトリマインド「律子さんに酷い事したの、私なんだから」ニヤリ


雪歩(や、やっぱり、小鳥さん……! どっ、どうしよう……)

やよい「な……なんでですか!? なんで、小鳥さんがこんなひどいこと……!」


コトリマインド「それは仕方ないわ。私たちは敵同士だもの。特に律子さんは私を裏切った罪も」


やよい「おかしいですっ!!」


コトリマインド「」ビクッ
229 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:13:02.65 ID:KJBDXc7gO

やよい「そんなの、ぜったいにおかしいです!」

やよい「だって、小鳥さんは……ぐすっ……いづも、やざじくでっ……!」ポロポロ

やよい「ごんなの、わだじ……しんじられないですっ……うぅっ!」グスッ

雪歩(やよいちゃん……)


コトリマインド(う……ちょっとコレ、罪悪感が振り切っちゃったわね……)

コトリマインド(でも今さらよ、小鳥。あなたは決めたはず。ラスボスはラスボスらしく……)

コトリマインド(諸悪の根元として、華麗にこの役を演じきってみせるって!)


コトリマインド「泣いたってダメよ、やよいちゃん。自分の身は自分で守らないとね?」

コトリマインド「そうしないと……」ブゥン


やよい「……こ、小鳥さん、何を……?」グスッ


コトリマインド「……フレア!」


ブゥゥゥン…


ババババババババッ!!


やよい「っ……!」

230 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:17:00.46 ID:KJBDXc7gO
コトリマインド「………」

コトリマインド(……もう、後には引けないわね)

コトリマインド(やよいちゃん、耐えてくれたかし……)


雪歩「……!」ジッ


コトリマインド(……ら?)


やよい「ゆ、雪歩さん……!」


コトリマインド「雪歩ちゃん……!」

コトリマインド(雪歩ちゃんがやよいちゃんの盾になった……?)

コトリマインド(でも雪歩ちゃんって確かギルバート役……吟遊詩人よね? 全キャラの中でもかなり弱い方だったはずだけど)

コトリマインド(……いえ、違う。あの鎧に何か秘密があるのね)

コトリマインド(きっと相当良い装備なんだわ)
231 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:19:57.10 ID:KJBDXc7gO

雪歩「……正直、どうしていいか分からないです」

雪歩「小鳥さんの事は大好きですし、こんな風に戦わなきゃいけないなんて、私、耐えられませんっ……!」


コトリマインド「雪歩ちゃん……」


雪歩「……でも、一番イヤなのは」

雪歩「ウジウジ悩んでいるだけで何もできないで、結局大切な人を守れない事ですぅっ!!」ガシャン


コトリマインド「!」ズキューン


やよい「……!」


コトリマインド(か……かっこ可愛い! これが雪歩ちゃん……?)

コトリマインド(すごい……すごいわ……!)ゾクゾク


雪歩「フレア……でしたっけ? さっきの魔法」

雪歩「ちょっと熱かったですけど、効きません。今の私には」ガシャ

雪歩「この『アダマンアーマー』がある限り、私にはどんな攻撃も通用しないんですぅ!」ガシャン


コトリマインド「そっかー、アダマンアーマーじゃしょうがないわねー」



コトリマインド「……って、ええええっ!!?」ガタッ
232 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:23:22.88 ID:KJBDXc7gO

コトリマインド「あ、アダマンアーマー!? ほ、本当に!? 都市伝説じゃなかったのアレって!?」


雪歩「は、はい、よく分かりませんけど、プロデューサーや真美ちゃん、亜美ちゃんに教えてもらったんです……」

雪歩「そういえば、すごいレアアイテムだって言ってましたね」


コトリマインド「レアアイテムもレアアイテム、超絶激レアアイテムよぅ!!」

コトリマインド「私なんてもう、プリンを何億匹屠ったか分からないわ」

コトリマインド「それでも、巡り会えなかった……。それだけ貴重なのよ、その鎧は」


雪歩「そ、そうなんですかぁ……」


コトリマインド「……でも、丁度いいハンデかもしれないわね」


雪歩「えっ?」


コトリマインド「律子さんですら私の相手にならなかった。あなたが全てを弾き返す最強の鎧を纏って、ようやく私と同じ土俵に立てるって言ってるのよ」


雪歩「っ……!」


コトリマインド「かかって来なさい。死にたくなければ、ね」


やよい「ゆ、雪歩さん!」

律子「ゆき…ほ……」

雪歩「………」

雪歩「わ、私が……みんなを守りますぅ!」


コトリマインド「いいわ……! 返り討ちにしてあげます!」


コトリマインド(……あれ、でももし本当に雪歩ちゃんにどんな攻撃も通じないなら、私詰んでるわよね……?)

コトリマインド(ま、ラスボスだしなんとかなるかしら)
233 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:26:24.93 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館への道 ー


スタスタ…

春香「ごめんね、真。美希を背負ってもらっちゃって」

真「気にしないでよ。ボクもいいトレーニングになってるし」

美希「……zzz」

春香「そっか」

春香「うふふ、えへへ……」ニコニコ

伊織「何ヘラヘラ笑ってんのよ、気持ち悪いわねぇ」

春香「うぐっ……相変わらずだなぁ、伊織は」

伊織「なによ、悪い?」

春香「ううん、全然悪くないよ。……ただ、嬉しくって」

伊織「……は?」

春香「こうしてみんなでいつも通り変わらずにいられるってさ、当たり前なのかもしれないけど、すごく大事な事なんだなって」

春香「私、今回の事で学んだよ」

真「………」

千早「春香……」

あずさ「うふふ♪ 」

美希「……zzz」

伊織「いつも通り変わらずに、ねぇ。……もしかしたら、変わっちゃってる子もいるかもしれないわよ?」

伊織「いろいろあったもの、この世界へ来て」

春香「……そうだね。うん、そうかもしれない」

春香「でも、きっと肝心なところは何も変わらない。心の奥でみんな同じ想いを抱いてる」

春香「今はね、根拠もないけどそう信じられるんだ!」ニコッ

伊織「……!」ドキッ

伊織「……まったく、相変わらず能天気なんだから」
234 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:30:11.40 ID:KJBDXc7gO

P「ところで、他のみんなは元気なのか?」

真「はい、今のところ特にこれと言って大きな問題もないですし」

あずさ「そろそろ響ちゃんたちも起きた頃かしらねぇ。帰ったら賑やかになってそうね〜」

伊織「ホント、律子の苦労が目に浮かぶわ」

千早「ふふっ」

伊織「……ああそうそう、律子と言えば」

伊織「あいつ、いくら言っても休もうとしないのよ。アンタからも少し言ってやってちょうだい」

P「そうなのか。うん、分かったよ」

春香「………」



真「……ん、館が見えてきたね」

あずさ「ようやく到着ね〜」

伊織「アンタたち、館に着いたら少し休みなさいよ。疲れてるんでしょ?」

千早「ありがとう、水瀬さん」

春香「えへへ、やっぱり伊織は優しいな♪ 」

美希「……でこちゃん……」ムニャムニャ
235 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:35:29.57 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 図書室 ー


伊織「……みんな、帰ったわよ!」


亜美「あー! いおりんたちやっと帰ってきたー!」

真美「もー、こっちはタイヘンなんだよー!」


伊織「何かあったっていうの?」

P「っていうか、亜美と真美だけか? 他のみんなは?」

真美「それが、かくかくしかじかでーー」




真「ーー雪歩とやよいがいなくなった律子を探しに?」

真美「うん……」

千早「四条さんは?」

亜美「まだなんだよー」

伊織「……どうするのよ?」

P「そうだな……」

春香「………」

春香「……私、お姉ちゃんを探してくる!」スクッ

伊織「ちょっと待ちなさいよ! アンタ、律子がどこに行ったか分かってるわけ?」

春香「それは、分からないけど……」

春香「でも、お姉ちゃんに危険が迫っているかもしれないのに、私、見過ごせないよ!」

千早「春香、気持ちは分かるけど……」

P「………」

P「亜美、俺を元に戻してくれないか?」

亜美「えっ? いいけど……」

亜美「……トード!」


…ボンッ!
236 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:39:32.89 ID:KJBDXc7gO

P「もし本当に音無さんが相手だとしたら、律子だけでなくやよいと雪歩も心配だ」

P「音無さんの強さは未知数だからな」

P「でも、こっちにはジュピターの三人にもらった回復アイテムがまだ残ってる。律子を探しに行こう」

春香「プロデューサーさんっ……!」

P「大丈夫、俺が援護するよ」ニコッ

春香「あ、それは嬉しいんですけど……///」モジモジ



春香「…………その、服、着てくれませんか?」



P「…………あ、素っ裸だった」



伊織「……まったく、何もかも台無しよ」

真「はは、まあ、そういうところがプロデューサーって感じもするけどね」

P「す、すまん」ゴソゴソ
237 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:44:05.94 ID:KJBDXc7gO

P「……それで、誰が律子を探しに行くかなんだが……」

あずさ「あの、私も行ってもいいですか?」

千早「春香が行くなら私も行きます」

P(オールマイティのあずささんに前衛の千早か。結構バランスが取れているかもしれない)

P「うん、分かった」

P「あとは……」

伊織「……どうせ貴音を待ってる人間が必要なんでしょ? 船を山に登らせるわけにもいかないし、私が残ってあげるわよ」

真「ボクも残ります。小鳥さんに会ったらよろしくって伝えてください」

亜美「……ま、亜美たちもひびきんを待ってなきゃならないし」

真美「真美たちみんなでフルボッコじゃ、ピヨちゃんもカワイソーだしね!」

P(亜美と真美が残ってくれるなら、うまい具合に魔道士が別れるな)

P「すまないな、みんな。美希の事をよろしく頼む」

伊織「了解。文句のひとつでも言ってやりなさいよね。あのバカ事務員に」

P「ああ、わかった。……それじゃ、行こうか」

春香・あずさ・千早「はい!!」
238 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:47:59.62 ID:KJBDXc7gO
ー 月の民の館 クリスタルルーム ー


ヒュッ…!

ガキィン!!


やよい「雪歩さんっ!」


雪歩「……だ、大丈夫、ちょっとびっくりしちゃったけど、なんともないよ」

雪歩「やよいちゃんは律子さんをお願いね?」


やよい「うぅ、でも……!」

律子(すごいわね。小鳥さんのあの恐ろしく重い一撃をまったく通さないなんて)


雪歩(……うん、平気。怖いけど、この鎧が私を、みんなを守ってくれる……!)


コトリマインド(なんともない……かぁ。流石はアダマンアーマーね)

コトリマインド(でも、それじゃ面白くないわねー)



コトリマインド「……雪歩ちゃんが鉄壁なのは分かったわ。でも、守りに徹しているだけじゃ私は倒せないわよ?」


雪歩「わ、私は別に、小鳥さんを倒したいわけじゃないですから……」


やよい「雪歩さん……」

律子「雪歩……」
239 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:50:36.28 ID:KJBDXc7gO

コトリマインド「優しいのね、雪歩ちゃん。でも、その甘さは致命傷になりかねないわよ?」

コトリマインド「………」ブゥン


雪歩「えっ……?」


律子(あれは……!)

律子「逃げなさい雪歩! あれは危険だわ!」


雪歩「……いいえ、逃げませんっ!」グッ

雪歩(私が逃げたら、やよいちゃんと律子さんを守る人がいなくなっちゃいますから!)


やよい「………」

やよい「……!」グッ


コトリマインド「いくらアダマンアーマーといえど、無属性の、しかも召喚魔法最強の攻撃を完全に防ぐのは不可能、と私は見てるわ」

コトリマインド「……覚悟はいい?」


雪歩「うぅっ……!」ガシャン


コトリマインド「……メガフレア!!」



ブゥゥゥン…


ーーカッーー!


ドドドドドドドドドッ!!
240 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:53:24.47 ID:KJBDXc7gO

雪歩「うぅああああっ!?」


律子「ゆ、雪歩!?」


雪歩(身体が、熱い……! 溶けちゃいそうなぐらい熱いよ……!)

雪歩(……でも、ここで私が逃げたら……!)

雪歩「うぅっ……!!」グッ


コトリマインド「頑張るわね、雪歩ちゃん。でも、いつまで耐えられるかしら……?」ググッ


ゴオオオォォオオ!!


雪歩「ああああっ!」フラッ


やよい(ど、どうしよう!? このままじゃ雪歩さんが……!)

やよい(でも、小鳥さんをきずつけるなんてわたしには……!)


律子「……やよい」ギュッ

やよい「! ……律子さん」

律子「あの小鳥さんは、小鳥さんであって小鳥さんではない、偽物よ……」

律子「だから……雪歩に、力を貸してあげてちょうだい」

やよい「で、でも……」

律子「あの人を倒さなければ、本物の小鳥さんに会いに行くのは不可能なの。お願い……!」

やよい「うぅ……」

やよい「……わ、わかりましたっ!」
241 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/29(日) 23:58:27.49 ID:KJBDXc7gO

やよい「いふりとさん、出てきてくださいっ!」バッ


イフリート「……っしゃあああっ!! 地獄の火炎っっ!!」


ボオオォォオオ!!


コトリマインド「……む、火の召喚獣『イフリート』ね。でも、それで私のメガフレアに対抗しようなんて……」


やよい「……しるふちゃん! 出てきてくださいっ!」バッ


コトリマインド「…………え?」


スゥゥーー…


シルフ「……はぁ、やっとこさ私の出番ですか。待ちくたびれたんですよ〜?」

シルフ「……風の囁きっ!」


ブワッ…!


コトリマインド「召喚獣を……」


律子「同時に二体……!」
242 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:01:02.17 ID:qk5HBLGYO

雪歩「や、やよい……ちゃん……」ヨロッ


やよい「火は、風を受けるとごぉーっ!! ってもっとはげしくもえるんです!」


ボオオオオォォオオ!!


コトリマインド「なるほど、考えたわね……!」

コトリマインド「でも、それくらいじゃあ私のメガフレアは押し返せないわよ?」


やよい「だったら……」

やよい「お母さん、しばさん、出てきてくださいっ!!」バッ


スゥゥーー…


ミストドラゴン「……ミストブレス!」


シュゥゥ…! キラキラキラ…!


シヴァ「……絶対零度」


コォォォ… パキィン!!


コトリマインド「っ!? 霧と氷で、身動きが取れない……!」


雪歩「……ぅあ……」ドサッ

律子「ゆ、雪歩!」ダキッ

律子「体温が上がり過ぎてる……! 早く回復しないと……!」

律子(……でも、今のやよいの攻撃で小鳥さんのメガフレアを止める事ができたみたい)

律子(やよい……強くなったわね)
243 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:05:51.43 ID:qk5HBLGYO

コトリマインド「……驚いたわね、立て続けに4体も召喚するなんて」

コトリマインド「やよいちゃん、いつからそんな事できるようになったの?」


やよい「えっと、わかりませんけど、なんとなくできそうな気がしたんです」


コトリマインド(複数同時召喚か。ちょっと厄介だなー。召喚魔法は一番攻撃力が高いのよねー)

コトリマインド(まあでも、どうせ私は分身だし、やよいちゃんの本当の強さをここで見極めるのもいいかもしれない)


やよい「小鳥さんのにせものさん、わたしが相手になりますっ!」ビシッ


コトリマインド「ふふふ、やよいちゃんひとりで大丈夫かしら……?」

ズズズ…



律子「! 小鳥さんの身体が消える……! やよい、気をつけて!」


やよい「は、はいっ!」


やよい「えっと、えっと……」キョロキョロ



コトリマインド「……後ろよ、やよいちゃん」

ヒュッ…


やよい「はわっ!」ダッ


コトリマインド「あら、うまく避けたわね。でも……」

ドゴォ!


やよい「あぅっ……!」ヨロッ


律子「や、やよい!」


やよい「うぅ……いたいです……」


コトリマインド「ふむ……」

244 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:09:34.62 ID:qk5HBLGYO

コトリマインド「4体召喚なんてやってみせた後にそれだけ動けるのはすごいと思うけど……」

コトリマインド「もともと召喚士は前衛で戦うタイプじゃないものね。近接戦闘に関しては話にならないわ。律子さんの足元にも及ばないわねぇ」

コトリマインド「召喚魔法さえ使われなければ、やよいちゃんは私の敵じゃない」

コトリマインド「あなたは、他の誰かに守られていないと自分の力が発揮できないのよ」


やよい「!」


コトリマインド「どうする? まだ戦う意思はある?」

コトリマインド「律子さんは怪我で動けないし、雪歩ちゃんも戦線離脱。やよいちゃんひとりで私に勝てるのかしら?」ニヤリ


律子(私の時もそうだったけど、小鳥さん、かなりこちらを煽ってくるわね。精神攻撃のつもりなのかしら……)

律子(……ん? 精神…攻撃……?)


やよい「こうさんなんてしません!」

やよい「だって、わたしがこうさんしちゃったら、小鳥さんの遊ぶ相手がいなくなっちゃいますから」


コトリマインド「へぇ……」


やよい「なんだか、今の小鳥さんは浩司みたいです」


コトリマインド「……えっ?」
245 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:13:17.72 ID:qk5HBLGYO

やよい「うちの浩司も、さみしくなるとよくダダをこねるんです」

やよい「小鳥さん、この世界でずっとひとりぼっちでさみしかったんですねよね? だから、誰かにかまってもらいたかったんですねっ」

やよい「わたし、やっと分かりました!」


コトリマインド「あ、あの、やよいちゃん?」


やよい「だから……わたしでよかったら、相手になります!」


コトリマインド「え、えーっと……なんか誤解してないかしら?」


やよい「いえ、だいじょーぶです! わたし、よく弟の相手をしてますから、こうゆーのなれてるんです!」キリッ


コトリマインド「いや、確実に誤解してるみたいなんだけど……」

コトリマインド「……まあいいわ。とりあえず逃げないで戦ってくれるみたいだし」

コトリマインド「それじゃあ、遊びましょう!」


やよい「はいっ!」


やよい「……!」ゴゴゴ


コトリマインド「うふっ、召喚する隙なんてあげないわよ?」ダッ


ガラッ…


コトリマインド「きゃあっ!?」

ドサッ!


コトリマインド「いたた……。もう、なんでこんなところに落とし穴が空いてるのよぅ!」

コトリマインド「…………はっ!?」


雪歩「はぁ、はぁ……!」チャキッ

雪歩「やよいちゃん、あとはお願いっ……!」

ドサッ


コトリマインド「ゆ、雪歩ちゃんいつの間に!?」


やよい「雪歩さん、ありがとうございますっ!」


やよい「うっうーーーーーーー!!」パァァ



コトリマインド(さっきやよいちゃんと話しているわずかな隙に落とし穴を掘ったっていうの?)

コトリマインド(やられたわ……!)
246 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:17:31.32 ID:qk5HBLGYO

スゥゥーー…


コトリマインド(次は何が来るの……? ラムウ? それともまたイフリート?)



「……クク、ようやく私の出番か! 待ちわびたぞ、高槻やよい!」

「……数少ない出番だ、私も微力を尽くそう」


コトリマインド「!!」



「……エンジェルちゃんたち、回復してあげるよ☆」

「……ケアルダ!」

シャララーン! キラキラキラ…


雪歩「あ……ありがとうございますぅ」


コトリマインド「ど……」

コトリマインド「どういう事ですか!? 私、こんなの聞いてないですよぅ!」

コトリマインド「高木社長に黒井社長、ジュピターのみんなまで!!」


高木「どうもこうもない。今起きている事が現実だよ、音無君」

黒井「フン、妙な事に巻き込まれたが、それももう終わりだな」

冬馬「あいつが765プロの事務員か?」

翔太「つまり、ラスボスってわけだね」

北斗「………」



コトリマインド「そ、そんな……社長たちまで私の敵だなんて……」ガクッ


律子「小鳥さん……」

冬馬「なんつーか、女をよってたかってってのは性に合わねーな……」

北斗「ああ、さすがにこの状況はな」

翔太「でも、あの人を倒さなきゃ元の世界に帰れないんだよね?」

高木「音無君、こんな事になって私もなんと言っていいかわからない。しかし、何か方法はきっとあるはずだ」


コトリマインド「……ステキですっ!!」


高木「……は?」
247 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:21:08.24 ID:qk5HBLGYO

コトリマインド「ステキ過ぎますよぅ、こんなの!」

コトリマインド「そりゃそうよね。私がこっちへ来ているんだもの、社長たちも呼ばれる可能性だって充分にあったのよね!」

コトリマインド「うふふ、まさか社長たちとも戦えるなんて! ああもう、私、嬉しくて嬉しくて……」


冬馬「な、なんだよあいつ、やる気満々かよ!」

北斗「思ったより逞しい人なんだなぁ」

律子「ったく、あの人はもう!」

高木「………」



黒井「御託はいい。さっさと始めるぞ」ゴゴゴ


コトリマインド「そうですねっ」

コトリマインド(……さっき伊集院君が回復魔法を使ってた。つまり、ジュピターは三人揃ってアスラ。そして高木社長は大っきな剣を腰に差してるから、多分オーディンね)

コトリマインド(って事は黒井社長は……)


高木「……黒井」

黒井「なんだ? まさか私の邪魔をするつもりか?」

高木「いや、そうではないんだが……」

黒井「元の世界へ戻るためにヤツを倒さねばならんのだろう? いい加減にお前も腹を括るんだな!」

高木「……そう、だな」



黒井「クク……!」

ザァァ…


雪歩「水が、黒井社長の周りに集まって……!」

律子「もしかして、津波……?」

やよい「あの、黒井社長、あんまりいたくしないであげてください!」


黒井「バカも休み休み言え! そんな器用な真似ができるか!」

黒井「覚悟はいいか、音無小鳥……! 私の津波の藻屑にしてやろう!」


コトリマインド(幻獣王、リヴァイアサン……! 相手にとって不足なし!)



黒井「……大海衝!!」


ザァァァァ…!!


コトリマインド「うふふふ……メガフレア!」


コォォ…



…ドッゴオオオオォォオオン!!!
248 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:27:16.64 ID:qk5HBLGYO

コトリマインド「………」


黒井「………」

黒井「……ち、相殺したか」


コトリマインド「さすがリヴァイアサン……いえ、黒井社長ですね! まだ本気を出してないとはいえ、私のメガフレアと相討ちなんて」


黒井「……フン」

高木「黒井、今のはわざとか?」

黒井「妙な勘ぐりをするんじゃない。私の大海衝とヤツの魔法が同程度の威力だったというだけだ。高槻やよいに言われたからといって私が手加減などするわけがなかろう!」

高木「ふふ、そうか」

高木「……さて、それでは次は私の番だな」スッ


コトリマインド「高木社長……」


高木「心中を察するよ、音無君。本当ならば私が君と代わってあげられれば良いのだが……」


コトリマインド「あら? もう勝ったおつもりなんですか? 勝負はまだ始まってもいませんよ?」


高木「………」


コトリマインド「それに、社長の剣は私には通用しません。残念ですけど、それがこのゲームのルールですから」


高木「……そうなのかね?」


コトリマインド「ええ。ボスキャラにはボス耐性っていうのが設定されていて、中ボスの私にはあなたの斬鉄剣……即死攻撃は効かないんです」


高木「そうか……それは困ったねぇ」


雪歩「ほ、本当に効かないんでしょうか? 社長、すっごく強そうなのに……」

律子「このゲーム関しては、今この場で小鳥さんが一番詳しいでしょうから、きっと小鳥さんの言う通りなんでしょうね」

やよい「社長……」ギュッ
249 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:31:54.36 ID:qk5HBLGYO

高木「………」チャキッ


コトリマインド「無駄だと分かっていてもやるんですね? 社長、あなたはもう少し賢い方だと思っていました」


高木「……彼の話だと、このゲームのストーリーは展開が大きく変わってきているらしい」


コトリマインド「……えっ?」


高木「だったら変わるんじゃないかな? ……そのルールとやらも」

高木「悪く思わないでくれたまえ」スッ


高木「……斬鉄剣!」ビュンッ


…ズバァン!!



コトリマインド「……っ!」

コトリマインド「………」

コトリマインド「………」

コトリマインド「…………ほっ」

コトリマインド(社長が変な事言い出すから少しドキドキしちゃったわ)

コトリマインド(でも、なんともない。斬鉄剣はやっぱり不発だったわね)


冬馬「……おい、あの事務員、無傷だぜ」

翔太「そう……みたいだね」

北斗「高木社長も手加減したのか……?」
250 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:36:39.08 ID:qk5HBLGYO

コトリマインド「ふふっ、だから言ったでしょう? 社長の剣は私には効きませんって」

コトリマインド「今度はこちらの番ですね。覚悟してください!」

コトリマインド「……メガフレア!」



ーシーーン…ー



コトリマインド「……あれ? 」



雪歩「小鳥さんの魔法が発動しない……?」

やよい「どうしちゃったんでしょーか……?」

律子(まさか……そんな事があり得るの……?)

律子(でも、このタイミング、『そう』としか考えられない)

律子(もし本当にそうだとしたら……まるで手品ですね、社長)



コトリマインド「……メガフレア!」

コトリマインド「………」

コトリマインド「な……なんで!? なんで出ないのよぅ!」


高木「それはそうだろうね。私が斬ったのは……」



高木「…………君の、魔力だから」



コトリマインド「…………はい?」

251 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:43:18.76 ID:qk5HBLGYO

コトリマインド(魔力を、斬る? そんな技聞いた事ないわよ!)

コトリマインド(でも、現にメガフレアが発動出来なくなってる)

コトリマインド(全てのMPを奪われたわけではなさそうだけど……)

コトリマインド(やられた。まさか社長にそんな事が出来るなんて……)


黒井「フン、やはり自分の部下に傷は付けられないか。甘いな、高木よ」

高木「ああ。……そうかもしれないな」

高木「律子君、萩原君、高槻君。彼女を、よろしく頼んだよ」

黒井「音無小鳥、貴様の本体に伝えておけ。次は地獄を見せてやる、とな」

冬馬「高槻、負けんなよな!」

翔太「じゃあね〜」

北斗「チャオ☆」


やよい「みなさん、ありがとうございました!」


スゥゥーー…


雪歩「消えちゃいました……」

252 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/05/30(月) 00:46:01.76 ID:qk5HBLGYO

律子「とにかく、これで形成逆転ね。やよい、雪歩、行くわよ!」

雪歩「はいっ!」

やよい「は、はい……」ヨロッ

ドサッ

雪歩「や、やよいちゃん?」ダキッ

やよい「す、すみません……だいじょーぶです……」

律子「無理もないか。あれだけ立て続けに召喚魔法を使ったんだもの。やよいは休ませておくしかないわね」

律子「雪歩、やよいのことお願い」

雪歩「はい、わかりました!」


律子「……さて」チラ


コトリマインド「ふりだしに戻る、って感じですかね?」


律子「そんな事はないです」

律子「最初よりもあなたの体力は削れた上に、メガフレアを撃てる魔力はもう残っていない」

律子「対してこちらは私と雪歩の体力は回復した。やよいのおかげで私たちがかなり有利に立てましたよ」

律子(私ももうメテオを撃てる魔力は残ってないけど、充分だわ)


コトリマインド「それじゃ第二ラウンド、行きますか?」


律子「……望むところですっ!」グッ
253 : ◆bjtPFp8neU [sage]:2016/05/30(月) 00:48:55.05 ID:qk5HBLGYO
つづく

オーディンは一番報われない召喚魔法だと思います
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/30(月) 01:43:50.36 ID:b7HPuVPcO
せめて7みたいにグングニルの槍があれば違ったけど…
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/30(月) 19:08:40.32 ID:uWK2Iu1J0
FF5のオーディン「あの、自分も持ってるんですけど」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 16:39:13.42 ID:/nHFV/hNO
FF5なぁ…うん…
257 : ◆bjtPFp8neU [sage saga]:2016/06/30(木) 18:48:14.00 ID:A+/1OrpMO

律子「……と思ったけど、小鳥さん。第二ラウンドを始める前にもう一度聞かせてください」

律子「どうしても私たちは戦わなくてはならないんですか?」

やよい「!」

雪歩「………」


コトリマインド「………」


律子「雪歩も言ってましたけど、たとえゲームの世界とはいえ、自分の手で仲間を傷つけるのは正直心が痛みます」

律子「もしも戦う以外に元の世界へ帰れる方法があるなら、私はそれを試したい」

律子「これは私だけじゃなくて、多分みんなが考えている事なんです」


コトリマインド「………」

コトリマインド「そうですね。まあ、普通ならそういう考えになりますよね」

コトリマインド「でも、きっと無理です。私たちが元の世界へ帰る方法は、『このゲームをクリアすること』。つまり、ラスボスである私を倒すしか道はないんです」


律子「確かに、プロデューサーによればそういう話でしたけど、でも」


コトリマインド「律子さんちょっと待ってください」

コトリマインド「今気になったんですけど、プロデューサーさんって何の役なんですか? 味方キャラはアイドルの子たちで埋まってるし、他に重要なキャラはいなかったと思うんですけど」

コトリマインド「社長たちみたいに召喚獣だとしても、あと私が見ていない召喚獣はラムウだけ。……まさかラムウの役って事はないですよね?」
258 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:09:34.89 ID:A+/1OrpMO

律子「あー……」

やよい「あの、小鳥さん。プロデューサーはらむさんじゃないですよ?」


コトリマインド「じゃあ、いったい何の役なの? 彼もこの世界へは来ているのよね?」


律子「そういえば、小鳥さんには結局隠したままでしたね。実はプロデューサーは、べろちょろなんです」


コトリマインド「? ……べろ…なんです?」


律子「だからべろちょろですよ。ほら、やよいのポシェットの」


コトリマインド「あー、あのかえるの……」

コトリマインド「って待ってください。FF4にべろちょろなんて出てこないんですけど?」


律子「彼曰く、『自分は演じる役の無かったイレギュラー』らしいです」

律子「なんだか複雑な事情があったみたいですけど、私も詳しい話は知らなくて」

律子「とにかくプロデューサーはべろちょろで、普段は誰かの首にぶら下がってます」


コトリマインド「ええぇ……でもべろちょろって。ポシェットって。それじゃあ何にもできないじゃないですか?」


雪歩「あ、あの、一応亜美ちゃんの魔法で時々人間になったりはしてるんですけど……」


コトリマインド「魔法? いったい何の魔法で?」


律子「トード、でしたっけ。人間をカエルにしたり、カエルから人間に戻したりするアレです。亜美しか使えない魔法なんですけどね」


コトリマインド「………」

259 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:13:49.76 ID:A+/1OrpMO

コトリマインド(なんで私は今の今まで忘れていたんだろう、プロデューサーさんの事)

コトリマインド(そっか。プロデューサーさんはずっとみんなと行動していたのね)

コトリマインド(私がゼムス役だって事も、もう知っているわよね)

コトリマインド(どう思ったかな、私の事)

コトリマインド(調子に乗りすぎだろあの事務員、とか思われるてるのかなぁ……)

コトリマインド(はぁ〜あ……少しはっちゃけ過ぎちゃったかしら)

コトリマインド(……でも、これを利用しない手はないわ)

コトリマインド(私と刃を交えたとはいえ、今ひとつ煮え切らない律子さんたちの態度。それはおそらく、まだ私を倒す覚悟がちゃんとできてないから)

コトリマインド(それなら、みんなを焚きつけてあげなきゃね)

コトリマインド(イヤでも私と戦いたくなるように)


律子「あの、小鳥さん?」


コトリマインド「……ああ、ごめんなさい。少し考え事をしてました」

コトリマインド「さ、始めましょう、律子さん」スッ


律子「……どうしてもやらなければならないんですか?」


コトリマインド「道は、一つしかありませんよっ!」ダッ


律子「!」

260 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:19:10.25 ID:A+/1OrpMO

コトリマインド「えいっ!」ブンッ


律子「きゃっ!」ズサッ


律子「く……聞き入れてもらえませんか」


コトリマインド「私たちが戦う以外に道なんてありません。ですから律子さんも早く覚悟を決めてください!」


律子「………」

やよい「こ、小鳥さん……」

雪歩(覚悟……)


律子「……わかりました。私も本気を出す事にします」チャキッ


コトリマインド「あら、やっとその気になってくれましたか?」


律子「仲間にこんな事はしたくなかったけど……」ゴゴゴ


やよい「はわっ、律子さんのまわりになんだか黒いもやもやが出てきました!」

雪歩「あれって、春香ちゃんが暗黒騎士だった時と同じやつだ……!」


コトリマインド(……ようやく使う気になりましたか、暗黒剣)

コトリマインド(前にゾットの塔で私が律子さんを操って使った時はことごとく春香ちゃんに防がれちゃったけど、果たしてどの程度の威力なのかしら)


律子「……行きます! ……暗黒剣ッ!!」ブンッ


ズオオォォ…


コトリマインド(! ……これは……!)


ズドドドドドドーーン!!!

261 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:23:31.82 ID:A+/1OrpMO

律子「………」


やよい「り、律子さん、すごいです……!」

雪歩(こんなだったっけ……。春香ちゃんの使っていた暗黒剣はもっと普通の感じだったような……)

雪歩(律子さんの暗黒剣……なんだか、怖い)


律子(つい力が入っちゃったわ。本当はこんな事したくないのに)

律子(まあでも、今の小鳥さんならこのくらい耐えるんでしょうね)




コトリマインド「……いたたた……」ヨロッ

コトリマインド「さすがにききましたよ、今のは……」


律子「効いてくれないと困ります。私だってここまで魔物と戦って来たんですから」


コトリマインド「ふ、ふふふ……」

コトリマインド「やっぱり私に傷を付ける可能性があるのは、律子さんですね」

コトリマインド「さあ、次はこちらの番です」スッ


律子「………」チャキッ

律子(さて、次は何をしかけて来る?)

律子(社長が小鳥さんの魔力を奪ってくれたおかげでメガフレアはない。フレアなら耐える自信はある。近接戦闘も、伊集院北斗に体力を回復してもらったし、まあついていけない事はないと思う)

律子(大丈夫、私一人でもなんとかなりそうね)

262 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:28:48.17 ID:A+/1OrpMO

コトリマインド「……はっ!」ダッ


律子(まっすぐ来た!)


コトリマインド「ちぇすとぉ!」ブンッ


律子「ふっ!」ヒョイッ

律子(右ストレートはきっとフェイントで……)


コトリマインド「……はいっ!」クルンッ


律子(左上段後ろ回し蹴り! これを防いで反撃する!)


コトリマインド「……って考えているんでしょう?」ピタッ


律子「えっ?」


コトリマインド「……コンフュ」バッ


律子「あ……」ガクッ


やよい・雪歩「律子さんっ!!」


コトリマインド「うふっ♪ 接近戦は全部囮でしたー♪ 」

コトリマインド「いつまでも煮え切らない律子さん、ずるいですよ」

コトリマインド(私は、とっくに覚悟を決めたっていうのに……)

263 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:34:53.46 ID:A+/1OrpMO

やよい「律子さん、だいじょーぶですかっ!?」ガシッ

律子「ぅ…ぁ……!」

雪歩「何か様子が変だよ。さっきの小鳥さんの魔法のせいかも!」

律子「ぅう……!」

やよい「えっとえっと、それじゃなにかおくすりを……」ゴソゴソ

律子「……ぅあああぁぁっ!」ブンッ

ザシュッ!!

やよい「あうっ!?」ヨロッ

ドサッ!

雪歩「や、やよいちゃんっ!?」



コトリマインド「あら、一気に形成逆転ねぇ」



律子「ぅううう……!」チャキッ

雪歩(律子さん、正気を失っちゃったんだ……!)

雪歩「………」チラ

やよい「うぅ……」グッタリ

雪歩(やよいちゃんは負傷しちゃってる……)

雪歩(やよいちゃんを守りつつ、律子さんを元に戻さないと)

雪歩(私が、なんとかしなきゃ!)グッ

264 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:40:09.62 ID:A+/1OrpMO

律子「がああぁぁあっ!」ブンッ


ガキィン!

雪歩「うぅっ……!」ググッ

雪歩(すごい力……!)

律子「うあぁぁうっ!」ブンッ

バキッ!

雪歩「っ!?」

雪歩(……大丈夫、アダマンアーマーのおかげであんまり痛くない)


コトリマインド「……私がいるのを忘れちゃダメよー」ブンッ

ドゴォ!!


雪歩「うっ……!」ヨロッ


雪歩(……そ、そうだ、小鳥さんにも注意しなきゃいけないんだったよ……!)

雪歩(とにかく、小鳥さんの攻撃に耐えながら律子さんを……)チラ


律子「うぅ……!」クルッ

タタタタ…


雪歩「……あっ、律子さんがやよいちゃんの方に!」

265 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:44:19.51 ID:A+/1OrpMO

雪歩「り、律子さん待ってくださいぃ!」タタタ


律子「がああぁぁっ!」ブンッ



やよい「り、律子さん……!」



雪歩「やよいちゃんっ!」

雪歩(ま、間に合わないっ……!)



…ガキィン!!



やよい「…………えっ?」
266 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:50:32.14 ID:A+/1OrpMO

春香「っ……!」ギリッ


律子「ううぅぅ……!」ググッ



雪歩「……は、春香ちゃんっ!?」

やよい「春香さんっ!」


春香「やよい、雪歩、ごめんね、待たせちゃって! お姉ちゃんの事は私に任せて!」



雪歩「う、うん、ありがとう!」



コトリマインド「来たわね、春香ちゃんっ……!」

コトリマインド(……おいしいところを持ってくなー)



コトリマインド「雪歩ちゃん、これで私との戦いに集中できるわね?」

コトリマインド「こっちも楽しみましょう?」ダッ


雪歩「ううっ……!」チャキッ


コトリマインド「きえーーーっ!!」ブンッ


「ーーはっ!」


ガキィン!!


雪歩「!」

267 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 21:55:19.57 ID:A+/1OrpMO

千早「萩原さん、私も手伝うわ!」ググッ


雪歩「千早ちゃん!」



コトリマインド「……いらっしゃい千早ちゃん。お久しぶりね……!」ググッ

千早「……そうですね、音無さん。お変わり無いようで安心しました」ググッ

コトリマインド「なんだかずいぶん余裕なのね……?」

千早「別にそういうわけではありませんが……私は萩原さんのようにあなたと戦う事を躊躇したりはしません……!」

コトリマインド「!」

千早「…………はっ!」タンッ

…フワッ


コトリマインド「『ジャンプ』! 竜騎士の固有アビリティキターーーー!!」


千早「…………ふっ!」

ザシュッ!!


コトリマインド「ごはぁ!!」



…スタッ

千早「………」

千早「あの、音無さん。真面目にやってもらえませんか? 今の攻撃、避ける事くらいできましたよね?」ジト


コトリマインド「ぐふ……うふふふ……」

コトリマインド「ハンデよハンデ。千早ちゃんがいくら強くっても、一人じゃ私には敵わないでしょうし」

268 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:00:05.26 ID:A+/1OrpMO

千早「そうですね。私一人なら敵わないと思います。でも、もともと音無さんは萩原さんと戦っていたのでは?」


コトリマインド「それはそうだけど……」

コトリマインド「……あら? そういえば雪歩ちゃんは……?」キョロキョロ


ズズズ…


コトリマインド「……ん?」


ザバァッ!!


雪歩「小鳥さん、ごめんなさいっ!」ブンッ

バキィ!!


コトリマインド「うわらばっ!?」ヨロッ



雪歩「て、撤退ですぅ!」タタタタ



千早「萩原さん、大丈夫?」

雪歩「うん、アダマンアーマーのおかげでなんとか……」

雪歩「それよりありがとう千早ちゃん。律子さんが変な魔法にかかっちゃってどうしようって思ってたところだったんだぁ」

雪歩「あっ、そういえばやよいちゃんが律子さんに斬られて怪我しちゃって!」

千早「高槻さんなら心配いらないわ」チラ

269 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:04:08.02 ID:A+/1OrpMO

あずさ「ケアルガ〜」

シャララーン! キラキラキラ…

やよい「う……!」

P「やよい、大丈夫か!?」ゴソゴソ

P(最近全然使ってなかったけど、一応『いやしの杖』を持ってて良かったな)

P(ケアルガの回復量に比べたら微々たるものだけど)

P「それっ!」シャン

シャララーン! キラキラキラ…

やよい「……うぅ、あずささん、プロデューサー、ありがとうございます……」





雪歩「あずささん、プロデューサー!」

千早「さあ、私たちは小鳥さんを迎え撃ちましょう」

雪歩「う、うんっ!」チャキッ



コトリマインド(新たに合流したのは春香ちゃんに千早ちゃん、あずささんか……)

コトリマインド(ゲームには無いパーティ編成だけど、プロデューサーさんの考えかしら……)

コトリマインド(ともかく、今の私はプロデューサーさんを手に入れる事を考えないといけないわね)

コトリマインド(人数が増えてちょっと大変だけど、やるしかない)

コトリマインド「……さあ、行くわよ!」


千早「望むところです!」チャキッ

雪歩「っ……!」ギュッ

270 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:10:22.40 ID:A+/1OrpMO

律子「ぐぅっ!」ブンッ


春香「えいっ!」ガキィン

春香「やあっ!」グイッ


律子「う……!」ヨロッ


春香「お姉ちゃん……」

春香(意識がないみたい。まるでゾットの塔で戦った時みたいな……)

春香(……もう、あんな思いはしたくない!)グッ




P(律子はまた音無さんに操られてしまったのか? まるでさっきまでとは別人みたいだ……)

P「あずささん、律子にエスナをお願いできますか?」

あずさ「は〜い」

タタタタ…


あずさ「エスナ〜」

シャララーン!


律子「………」

律子「あああぁぁあっ!」ブンッ

春香「わあっ!」ガキィン


あずさ「ごめんなさい、ダメだったみたいです……」

P「エスナが効かない? そんな無茶苦茶な!」


春香「プロデューサーさん、私に任せてくれませんか?」


P「春香? ……どうするつもりなんだ?」


春香「私ならきっとお姉ちゃんを元に戻せると思うんです」

P「え……?」

春香「大丈夫です。『ヤミちゃんが千早ちゃんを元に戻した』のを、私は見てましたから!」

P「……分かった。律子の事は任せる。ただし無茶はするなよ!」

春香「はい!」

271 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:16:41.08 ID:A+/1OrpMO

コトリマインド(プロデューサーさん……)

コトリマインド(ついにお会いできましたね。こんな形ですけれど)

コトリマインド(私の計画にはあなたが必要です。一緒に来てもらいますよ!)


千早「はっ!」ビュンッ

コトリマインド「おっと!」ヒョイ

コトリマインド「えいっ!」ブンッ

千早「……ふっ!」ガキィン

コトリマインド「……強くなったわねぇ、千早ちゃん……!」グッ

千早「いえ、私なんてまだまだです。これまでいろんな人たちと戦ってきて、それを思い知らされました」ググッ

コトリマインド「真面目ねぇ……!」クルンッ

ドガッ!!

千早「くっ……!」ヨロッ


雪歩「千早ちゃん!」

雪歩「えいっ!」ブンッ

コトリマインド「ふふっ♪ 」ガキィン

雪歩「うぅ……!」ググッ

コトリマインド「まさかスコップで戦う吟遊詩人がいるなんて。雪歩ちゃんらしいわねー」

雪歩「………」



千早「萩原さん、避けてっ!」

千早「……ホーリーランス!」バッ


キラキラキラ…!


雪歩「!」

コトリマインド「千早ちゃん! 上手く自分の武器を使っているわね……!」



…ドゴゴゴゴオオォォオオンッ!!


272 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:21:55.71 ID:A+/1OrpMO
ー 月の民の館 1F 図書室 ー


真「……ふっ、……ふっ」ググッ

亜美「………」

真美「………」

伊織「………」

美希「……zzz」

真「……ふっ、……ふっ」ググッ

伊織「……うるさいわね」

真「……ただ待ってるだけじゃヒマだし、筋トレぐらいしたって別にいいだろ?」グッ

真「それに余計な事を考えずにすむし、身体動かすと気持ちいいよ?」グッ

伊織「考える事が脳筋のそれなのよねぇ」ヤレヤレ

真「うるさいなあ、ボクの事をバカにするのはいいけど、脳筋をバカにするのは伊織でも許さないぞ!」

伊織「意味わかんないわよ」

亜美「のーきんって言われた事には怒らないんだね」

真美「まこちんはかわいいなぁ」

真「なんでもいいよ、もう」

真「……ふっ、……ふっ」ググッ

273 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:28:06.87 ID:A+/1OrpMO

真美「……ねえ、もしも今りっちゃんとピヨちゃんが戦ってるとしたらさ」

亜美「うん」

真美「どっちが勝つのかな」

亜美「えっと、それは……」

真美「どっちかが勝ったら、どっちかは負けるんだよね?」

伊織「そんなの当たり前でしょ。勝者が二人なんてあり得ないわよ」

真美「じゃあその、負けた方って……どうなるのかな?」

亜美「………」

伊織「………」

美希「……zzz」

真「…………よっと」スタッ

真「真美、心配かもしれないけど、今は黙って待つしかないよ」

真美「でも……」

真「大丈夫、きっとなんくるないさっ!」キリッ

真美「……ふふっ」

亜美「まこちんぜんぜん似てなーい」

真「い、いいだろ別に!」カァァ

伊織「………」

274 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:32:57.85 ID:A+/1OrpMO

伊織「……はぁ、しょうがないわね。真、私も付き合うわ、筋トレに」

真「えっ?」

伊織「アンタの言う通り、じっとしてたら余計な事ばかり頭に浮かんでくるもの」

伊織「ほら亜美、真美。アンタたちもやるのよ!」

亜美「うぇぇえ〜!?」

真美「真美たちも〜!?」

真「へへ、わかったよ」ニコッ

真「じゃあまずは軽めに腕立て500回、いっとこうか!」


伊織・亜美・真美「」


美希「……zzz」

275 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:37:30.61 ID:A+/1OrpMO

伊織「ぐぐ、このっ……!」ググッ

亜美「ひぃ〜、キツイよ〜!」ググッ

真美「真美たちこんなことしてたら、プロレスラーみたいになっちゃうよ〜!」ググッ

真「だらしないなぁみんな。まだ200回もいってないじゃないか」

真「本当はこれを全部で20セット続けるんだけど、今日は5セットくらいにしておこうか?」ググッ

亜美「うあうあ〜、5セットでも2500回じゃん! そんなのゼッタイムリだよ〜!」ググッ

真「えっ、そう?」ググッ

真美「まこちんの鬼! 悪魔! モンク僧!」ググッ

伊織「……脳筋の、考えに、合わせた、私が、バカだったわ……!」ググッ

美希「……zzz」



ガタッ



真「……ん?」チラ




「…………ようやく、ここまで辿り着きまし…た……」

ドサッ



伊織「あ、アンタ……!」

276 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:43:29.61 ID:A+/1OrpMO

貴音「………」グッタリ


真・伊織「貴音っ!」タタタタ

亜美・真美「お姫ちんっ!!」タタタタ


真「どうしたんだよ? すごいボロボロじゃないか!」ダキッ

貴音「少々、修行を……」

亜美「しゅぎょー?」

貴音「はい。最後の決戦に向けてわたくし自身のぱわぁあっぷを図るため……」

貴音「それと、小さき者たちの尊い意思を継ぐために」

貴音「ぅ……」

真「た、貴音!?」

伊織「真美、頼むわよ」

真美「オッケー! ……ケアルガ!」

シャララーン! キラキラキラ…



貴音「……ふぅ、ありがとうございます、真美」

伊織「修行って、そんなに激しい修行だったわけ?」

貴音「そうですね。……ですが、これでわたくしも少しは皆の役に立てる様になったかと」

真「そんな事気にしなくても、今までだって貴音はすごい活躍だったじゃないか」

貴音「……いえ、小鳥嬢を侮ってはなりません」

貴音「恐らく小鳥嬢の力は、わたくしたちの総力を集結してやっと五分の戦いができるかどうか。各々の持てる力を今よりさらに高めるのは無駄ではないとわたくしは考えます」

伊織「……そういえば、私たちの中で小鳥と直接会った事があるのは貴音だけだったわね」

真「その貴音が言うんじゃ、きっとズレてない見立てなのかな」

277 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:48:36.77 ID:A+/1OrpMO

亜美「ねね、それよりやっとお姫ちんもとーちゃくしたんだし、亜美たちもみんなのトコに行かない?」

真美「だよね。もしかしたらホントにピヨちゃん来てるかもしんないし」

貴音「……ええ、どうやらその様ですね」ジッ

伊織「貴音、アンタ分かるの?」

貴音「すぐ近くに、小鳥嬢のものに限りなく近い邪悪な気配が一つ感じられます」

亜美「やっぱり!」

貴音「しかし、似てはいますが、恐らく小鳥嬢本人ではないでしょう。以前わたくしが対峙したものほど威圧感を感じません」

真「じゃあ、さっき亜美と真美が言ってたみたいに本当に小鳥さんの分身だったりするのかな」

貴音「分身ですか。……なるほど、そう例えるのが近いかもしれませんね」

真「……どうする?」チラ

伊織「そんなの決まってるじゃない。私たちも行って、小鳥に文句言ってやりましょ!」

亜美「よし、決まりだね!」

真美「そんじゃ行きますか!」

貴音「……待ってください」

亜美・真美「えっ?」

貴音「わたくし、実は大変お腹が空いております」キリッ

伊織・真・亜美・真美「ですよねー……」

美希「……zzz」

278 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/06/30(木) 22:54:38.84 ID:A+/1OrpMO


響「ふっふーん! そんな事だろうと思ってちゃんと用意しておいたぞ!」



真「響! 今までどこにいたのさ?」

響「完璧な自分は、今まで貴音のために食事を作ってたんだ!」ドヤッ

亜美「おお、そーだったんだね!」

真美「ひびきんかしこい!」

伊織「こんな状況で単独で動いてたのは問題だと思うけど、まあ結果オーライね」

響「さ、貴音。自分と月の民で作った特製料理だぞ!」スッ

貴音「響……恩に着ます……!」

ガツガツモグモグ…



真美「あ、そーいえばそろそろミキミキ起こしたほーがいいかな?」

亜美「そだね。もうけっこー長いこと寝てるし」

伊織「寝かせときなさいよ。美希は春香を救出するために大活躍だったみたいだし」

真美「んー、でも……」

伊織「多分必要な場面になったら自分で起きるんじゃないかしら。それに、運搬にはうってつけの脳筋がいるから心配はいらないわよ」チラ

真美「それもそっか」

真「なんか、かなりヒドイこと言われてる気がするなぁ。別にいいけどさ」

貴音「お待たせしました。それでは参りましょうか」フキフキ

伊織「食べ終わるの早すぎでしょうが!」ビシッ

貴音「伊織、今は一刻を争います。つっこみを入れている暇など無いかと」

伊織「なんで私が咎められなきゃいけないのよっ!」

響「よし、みんながいつもの調子に戻ったところで、行くか!」

亜美・真美・真「おー!!」

伊織「はぁ……」

279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 22:56:35.95 ID:zbBAR37MO
おお…響がまるでリーダーみたいだ
280 : ◆bjtPFp8neU [sage]:2016/06/30(木) 23:01:15.15 ID:A+/1OrpMO
とりあえずここまでです
思うように話が進まないのでこのスレで終わるかまた心配になってきました…
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 23:03:52.78 ID:zbBAR37MO
一ヶ月に一回だから続きが気になって仕方ない
へーきへーきいざとなれば続・finalとでもすれば
282 : ◆bjtPFp8neU [sage saga]:2016/07/03(日) 10:08:11.40 ID:5d0dgUrZO
ー トロイアの町 パブ『迷宮』 ー


高木「……『彼女』と戦った感想はどうだい?」

黒井「……お前はどうなんだ、高木よ」

高木「そうだな……」

高木「正直なところ、私はあれが彼女の全力だったとは思えない。まだ実力を隠している気がするよ」

黒井「同感だ。『あれ』はただの前座に過ぎんのだろうな。まるで手応えが感じられかった」

高木「その割には、お前も音無君の力に合わせて技を使っていたようだが?」

黒井「フン……」グビッ

高木「やはり手加減したのか」

黒井「お前に言われたくはないな。……何が『魔力を斬った』だ」

黒井「お前も彼女を傷付ける勇気が無かった。そうだろう?」

高木「………」グビッ


高木「私は不安でならないんだ。彼女たちが争う事が」

高木「なぜ、あんなに仲の良い彼女たちが争わなければならないのか」

黒井「今さらそんな事を考えているのか? 方法は一つしか無いのだろう? だったら進まねばなるまい」

黒井「後ろ向きな考えなど、お前には似合わんぞ」

高木「はっはっは! まさかお前に慰められるとは思わなかったよ」

黒井「っ……ば、バカも休み休み言え! なぜこの私がお前を慰めなければならない!?」

高木「いや、気持ちはありがたく受け取っておくよ、黒井」

黒井「取り消せ! 今すぐその言葉を取り消せ!」

ギャーギャー…



翔太「あの二人、なんだかんだ言って仲良しだよねぇ」

北斗「そうだな。見てて微笑ましいよ」

冬馬「あれが男の友情ってヤツなのか?」

翔太「あれ? 冬馬君ひょっとして『そっち』方面も興味あるの?」

冬馬「んなワケねーだろ!」ガタッ

翔太「わ、ちょっと! ゴメンって! 急に立ち上がらないでよー!」ヨロッ

北斗「二人とも、オレたち一心同体だって事忘れてないか?」フラッ

ギャーギャー…



マスター(うーん、どう見ても人間じゃないよなー、あのお客さんたち……)

283 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:13:03.30 ID:5d0dgUrZO
ー トロイアの城 受講室 ー


長老「……というわけで、火と水は相反し、風と土もまた然りじゃ」

長老「この属性の関係性は黒魔法の基礎となる。しっかりと頭に叩き込むようにな」


「はーい!!!」


生徒1「うあうあー、むずかしくてゼンゼン覚えらんないよー」


長老「!?」


生徒1「ねえねえおじいちゃん、こんなお勉強なんかよりさ、ジッセンで教えてくれたほーが早いって思うよ?」


長老「………」


生徒2「お、おい、あんまり先生を怒らせんなよ?」

生徒1「なんでー? 別に怒らせるつもりはないんだよー」

生徒2「あのな、先生はすごく偉い人なんだ。あの『あいどる大戦』で人類のピンチを退けた英雄の一人なんだぞ?」

生徒1「えっ? マジ!? うひゃー、おじいちゃんってすんごい人だったんだねー。私、見直しちゃったよ!」


長老「お主……」


生徒1「ん? なーに?」


長老「………」

長老「……いや、なんでもない。今日の講義はここまでじゃ」

284 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:15:18.95 ID:5d0dgUrZO
ー トロイア城 東の塔 屋上 ー


長老「…………ふぅ」

長老(ワシは何を期待したのじゃ)

長老(アミとマミはすでに月へと旅立ってしもうた。もう、会う事など叶わないというのに……)

長老(ワシに出来る事は、あの娘たちが残してくれたこの平和を守る事)

長老「ゴホッ、ゴホッ!」

長老(……残された時間は、あまり長くはないようじゃな)



「…………あら?」



ものまね士「おじいさんじゃないですか!?」

長老「そなたは……」

長老「久しいのう。元気でやっとるか?」

ものまね士「ええ、おかげさまで!」

285 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:17:28.14 ID:5d0dgUrZO

ものまね士「あの人もようやく仕事に慣れてきたみたいで、家に帰ってくると私たちに色んな話を聞かせてくれるんですよ?」

長老「ふふ……幸せそうで何よりじゃ」ニコッ

長老「…………ん? 私『たち』?」

ものまね士「えへへ、実は……」ナデナデ

長老「……まさか、やや子が出来たのか!?」

ものまね士「はい……///」

長老「なんとまあ……めでたいのう!」

ものまね士「えへへ、ありがとうございます!」

長老「……うん? でも、計算すると……」

ものまね士「や、ヤボな事は考えちゃダメですよっ!?」ガシッ

長老「ひゅ、ひゅまんはった……」



タタタ…



トロア「……はぁ、はぁ……やっぱりここにいた!」

286 :ID加速中の考えを見て考えが変わりましたお前ら糞ジャップ共を見てると哀れで仕方ないなww論破されたガキ共顔真っ赤ww :2016/07/03(日) 10:18:34.37 ID:1okdHemr0
ID自演中ホルホルして顔真っ赤wwwwww
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   、_,,,, _,, -.'"           ` 、
 ミ三ミ三ミ三ミミ                ヽ_,
-==三ミ彡三ミミ     ,,=-==     ==、 iミ=-、_
_,,ンミミ三ミ三ミミ]  -彡-一 ー-、 r一 ーミ、|ミミ三ミ=-'
_, -==彡ミ彡ミミミ|  ン| ,=て)> (|ー| ,て)>、 ||三ミ彡==-'
_,彡彡三ミ三ミミレ'~ .|. '     |  ヽ   `  |ミ三彡三=-、
(_彡三ミ彡ミミミ'   ヽ、    ノ   \__ノiミ彡ミ三=ー  
ー-=二三ンーミミミ     `ー /(_r-、r-_)   .|彡ミ三=-、      ←カスジャップ
)(_ミ彡ミ| i' ヽヽミ       | : : : __ : :__: :i   .|彡ミ三=-、_
と彡ミ彡ミヽヽ<ヽミミ      |: ン=-ニ-ヽ、   .|彡ミ三==-
 彡ミ彡ミミヽ  ) `    、 .' <=ェェェェェン |    |彡ン=-=
 -==彡三ミ `ーヽ : : : : : :i: :  `ー--一''  : : ノミ三==''

日本が嫌われてるソースもID加速中が用意してくれてたぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

Top 10 List Of Most Hated Countries In The World 2015 (ガチで嫌われてる国 2015年版)
http://www.abcnewspoint.com/top-10-list-of-most-hated-countries-in-the-world-2015/

*1位 アメリカ
*2位 イスラエル
*3位 北朝鮮
*4位 ロシア
*5位 ドイツ
*6位 日本
*7位 メキシコ
*8位 イギリス
*9位 インド
10位 中国

その他省略

糞ジャップ共哀れwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
あれほど馬鹿にしていた韓国以下だと判明するとはなwwwwwwwwwwwwwwww
287 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:19:36.71 ID:5d0dgUrZO

ものまね士「あっ……」

長老「おお、トロア殿。お勤めご苦労じゃな」

トロア「これは長老殿、ご無沙汰しております」ペコリ

トロア「……と、今はそれどころでは無いのです」

トロア「ものまね士殿! そのような身重の体でこんなところまで来て! 子供に何かあったらどうするおつもりですかっ!?」

ものまね士「すっ、すみません、トロアさん。でも私、最近じゃ薪割りもさせてもらえないし、このままじゃ身体が鈍って仕方ないんですよぅ……」

トロア「出産とは、そういう心の緩みで失敗してしまうのですよ!?」

長老「トロア殿の言い分が正しいのう。さ、ものまね士殿、自宅に戻られた方が良いぞ」

トロア「最近魔物も大人しくなりつつあるとはいえ、まだまだ一人歩きは物騒です」

トロア「私が肩をお貸ししますから」スッ

ものまね士「うぅ、すみませんでした……」



…キラーン!



長老「…………む?」

ものまね士「何でしょう、あれ? 何かがこっちに向かって……」

トロア「ものまね士殿、私の後ろへ!」サッ


ヒュー…



ズドオオオォォン…!!



長老「……どうやら町の方へ落ちたようじゃな」

トロア「はい。何か胸騒ぎがします。姉上たちに知らせなければ!」

長老「その役目はワシが引き受けよう。トロア殿はものまね士殿を安全なところへ」

トロア「長老殿、どうかお気をつけて!」

長老「うむ」

288 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:23:30.23 ID:5d0dgUrZO
ー トロイアの町 広場 ー


「なんだ? すごい音がしたぞ?」

「見ろよ、でっかい穴が空いちまってる!」

「いったい何が空から落ちてきたんだ……?」

ザワザワ…



「……ぐ……痛たたた……」



カイナッツォ「……まったく、お前は着陸の仕方も知らんのか! 私をこんな目にあわせおって!」

スカルミリョーネ「……う、運動神経悪いのがいけな…い……」

カイナッツォ「なんだとっ!? ゾンビの分際で生意気な口を〜!」

バルバリシア「スカルの言う通りよ。あなた、最近太ったんじゃない?」

カイナッツォ「バルバリシア、お前まで!」



「まっ……魔物だぁ〜!」

「魔物が攻めて来たぞぉ〜!」

「なんで魔物が!? 英雄たちによって平和がもたらされたんじゃないのかっ!?」



ルビカンテ「……注目されているな」

バルバリシア「それはそうでしょう。こんな派手な登場をしたんだもの」

カイナッツォ「ルビカンテ、ちゃんと上手くいくのだろうな? お前が言い出した事なんだぞ!」

ルビカンテ「ああ、問題ない……はずだ」

カイナッツォ「なんだその煮え切らない言葉は!」

スカルミリョーネ「……向かって来る…ぞっ……!」

289 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:27:01.18 ID:5d0dgUrZO

「魔物め、成敗してくれるっ!」

「オレたちだって戦えるんだ!」

「この国は守るぞっ!」

「うおおおおぉぉお!!」

ドドドド…



バルバリシア「まったく、品の無い連中ねぇ……」

バルバリシア「ふーっ……」


ビュオオッ…!



「うわあああっ!!」


ドサドサッ!



「お、おい、自警団がやられちまったぞ……!」

「と、吐息が、突風になった……!?」

「クソ、魔物め……!」



「待ってくださいっ……!」



「あれは……」

「ユキコ様だ……!」

「うおおおおお! ユキコ様、どうか我々をお守りください!」



ユキコ「………」



バルバリシア「あら? あなた、私とやるつもり?」

バルバリシア(フライパン……? 妙なものを武器にするのね、人間って)



ユキコ「あの、私はあなたたちと戦うつもりはありません。でも、これ以上人々を傷付けるっていうなら……」

ユキコ「わ、私が相手になりますぅっ!」チャキッ

290 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:30:01.30 ID:5d0dgUrZO

バルバリシア「相手になるって……あなた、震えてるじゃない」

ルビカンテ「おい、バルバリシア」

バルバリシア「わかっているわよ」

バルバリシア「ただ、人間と接するのは久しぶりだから、楽しくってつい、ね」



ユキコ「ううっ……!」



長老「ユキコ殿っ!」



ユキコ「長老さん!」

長老「魔物か……」チラ

長老(嫌な予感は的中するものじゃの)




バルバリシア「……あの老人は少し厄介そうね」

カイナッツォ「あの程度の死に損ないに臆したのか? ならば私が……」

スカルミリョーネ「……そ、そういう予定じゃな…い……」ガシッ

カイナッツォ「ふんっ……」



長老「この様な人里に、お主ら魔物が何用じゃ?」



ルビカンテ「………」



長老「返答次第では……」ポワ…

長老(四人ともかなりの手練れのようじゃ。ワシ一人ではちとキツいが……)



ルビカンテ「待て、お前たちと闘り合うつもりはない」



長老「……ならば、何をしに来た?」



ルビカンテ「……話がしたい」

291 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:33:25.31 ID:5d0dgUrZO
ー トロイア城 謁見の間 ー


アン「……どうぞ、お掛けください」


ルビカンテ「ああ」

バルバリシア「なんだかセンスの無い部屋ねぇ」キョロキョロ


アン「我が国は宗教国家ですので、あまり俗的なものは」


バルバリシア「……ふーん、ま、いいけれどね」

カイナッツォ「クソ、私だけ椅子に座れん!」ジタバタ

スカルミリョーネ「……す、少し大人しくしてなさ…い……」


トロア「魔物め……!」チャキッ

ドゥ「待て、トロア。姉上に任せるんだ」

トロア「し、しかし……!」

ドゥ「先の戦いで姉上も成長なされた。それはお前も分かっているだろう?」

ドゥ「それに、ヤツらが望んでいるのは『話し合い』だ。ここで手を出してしまっては、こちらから喧嘩を吹っかけるようなものだぞ」

トロア「く……」スチャ

長老「………」

292 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:35:55.92 ID:5d0dgUrZO

アン「自己紹介が遅れました。私はこのトロイアの国の第一の神官、アンと申します」ペコリ


ルビカンテ「……火のルビカンテ。訳あって今は魔物たちを纏める立場にいる」


アン「そうですか、あなたが……」

アン「それで、話というのは?」


ルビカンテ「……停戦協定を結びたい」


アン「まあ……!」

ドゥ「……ほう」

長老「ふむ……」

トロア「騙されてはなりません、姉上! きっとヤツらは油断した隙に我々人間を滅ぼすつもりなのです!」

ドゥ「トロア!」


バルバリシア「……だ、そうよ?」

ルビカンテ「信じるも信じないもそちらの自由。我ら魔物は、これまでにお前たち人間を数えきれないほど殺してきたのだからな」


アン「………」

293 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:39:21.06 ID:5d0dgUrZO

ルビカンテ「だが、こちらにはもうお前たちと殺し合うつもりは無い。お前たちが望むなら、この星の全ての魔物たちに伝令しよう」

ルビカンテ「『今後一切人間を襲うな』と」


トロア「そのような言葉が信じられると思うのかっ!?」


カイナッツォ「あの人間め、こちらが下手に出てるというのに……!」

スカルミリョーネ「……お、落ち着…け……」

バルバリシア「単細胞ってやぁねぇ」

ルビカンテ「さっきも言ったはずだ。信じるも信じないもお前たちの勝手だ。だが……」



ルビカンテ「この話を断ると言うのならば……その先は分かっているな?」ギロッ



アン「っ……!」ゾクッ


トロア「おのれ、魔物! 本性を現したな!」チャキッ



バルバリシア「……どうやら交渉決裂になりそうね」

カイナッツォ「ふん、最初からこうなる事など分かっていたはずだぞ!」

スカルミリョーネ「……や、やはり、無理があっ…た……?」

ルビカンテ「………」



アン「………」

294 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:42:33.65 ID:5d0dgUrZO

『……私、本当は、あんたと戦いたくなんてなかったのよ!』


ルビカンテ「………」

ルビカンテ(憎しみの無い世界。イオリの望んだ世界をつくってやりたかったのだが……)

ルビカンテ「……止むを得ん、か」スクッ



「……待ちたまえ!」



ルビカンテ「…………ん?」



ミニ助「魔物の中にもなかなか話の分かる者がいるんだな!」バーン



ルビカンテ「小人……?」



アン「あ、あなたは……!」



「おいミニ助、勝手に出て行くなって!」

「ちょ、ちょっと押さないでくださいよぅ!」

ドサドサッ!



店主「痛ててて……」

ものまね士「うぅ……」



アン「店主さんにものまね士さんまで!」


店主「す、すまん、盗み聞きするつもりはなかったんだが……」

ものまね士「どうしても、気になっちゃって……」テヘヘ


トロア「まったく、あなたはまたこんな無茶な真似を!」

295 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:46:21.45 ID:5d0dgUrZO

ミニ助「……とにかく、その話、喜んで受け入れよう!」


アン「ちょ、ちょっと!?」

ドゥ「相変わらず自由だな、あの小人は……」

長老「………」


ものまね士「これで本当に平和になるならいいじゃないですか。私もミニ助さんの意見に賛成です」

店主「オレとしては複雑な気持ちもあるけど……」

店主「こんな世の中だ。人間も魔物も手を取り合って生きていくべきなんじゃないか?」


アン「し、しかし……」


ルビカンテ「………」



店主「それにさ、もしここにあいつらが……」

店主「ハルカたちがいたら、きっとミニ助と同じ事を言っていたと思うんだよな」

ものまね士「私も、そう思います!」


ルビカンテ「……お前、ハルカを知っているのか?」


店主「ああ。ハルカはオレたちの恩人で……」

店主「……大切な、仲間だ」


ルビカンテ(仲間……)

バルバリシア「へぇ、妙な繋がりがあるものねぇ」

カイナッツォ「またヤツか……」

スカルミリョーネ「……か、かなり有名…人……?」

296 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:51:29.14 ID:5d0dgUrZO

店主「……なあ、神官さん。オレは受けてもいい話だと思うぜ? そりゃ、すぐに仲直りってわけにはいかないかもしれないけどさ」

ものまね士「きっとハルカ様たちは、この星全ての生物が仲良くする事を望んでいたんじゃないでしょうか?」


アン「………」

ドゥ「姉上……」

トロア「姉上……!」


アン「………」

アン「……分かりました。お受けいたしましょう」


ルビカンテ「……そうか」

バルバリシア(ハルカ……ドジっ娘のクセに、なかなかやるじゃない)


トロア「姉上っ!」

アン「憎しみに囚われるのはもうやめましょう。これからは新しい世界が始まるのです」

アン「人間も魔物も、全てが平和に暮らす事のできる、新しい世界が」

トロア「………」


アン「先ほど店主さんも仰られていましたが、簡単にはいかないと思います」

アン「私たちは、血を流し過ぎました」


ルビカンテ「……こちらも、できる事はするつもりだ」


アン「ありがとうございます。それでは、友情の印に」スッ


ルビカンテ「?」

バルバリシア「シェイクハンドよ。知らないの?」

ルビカンテ「なんだそれは?」

カイナッツォ「まったく、これだから戦闘馬鹿は……」ヤレヤレ

スカルミリョーネ「……て、手と手を、握り合…う……」

ルビカンテ「妙な習慣があるのだな、人間とは」スッ


…ギュッ


297 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 10:56:12.64 ID:5d0dgUrZO

店主「へへ、まさか魔物と人間の握手が見られる日が来るとはな。さすがはハルカたちってとこだな!」

ものまね士「ホント、ハルカ様やミキさんにも見せたかったですね……」


バルバリシア「……ちょっとあなた、ミキとどういう関係なのかしら?」

ものまね士「あ、はい。ミキさんにはたくさんお世話しましたけど、同じくらいたくさんお世話になったんです」

ものまね士「うーん、言ってみれば私の妹のような存在ですかね?」

バルバリシア「聞き捨てならないわね。ミキは私の妹よ!」

ものまね士「はぁ!? なんであなたみたいなオバサンの妹なんですか!?」

ものまね士「ミキさんは私のかわいい妹なんですっ!」

バルバリシア「きぃーっ! 誰がオバサンですってぇ!?」

バルバリシア「あんたみたいな小娘には勿体無いわよ!」

ものまね士「そんな事ありませんから!」

ギャーギャー…!


店主「お、おいものまね士、少し落ち着けって!」オロオロ



ルビカンテ「……すまないな、見苦しいところを見せてしまって」

アン「いえ。……あれも一つの平和の形なのかもしれませんね」

ルビカンテ「平和の形、か……」



長老(……これで、この青き星の全ての命がここに団結した事になる)

長老(もちろん、すぐに平和が訪れるというわけでもないが)

長老(しかし、恐るべきはハルカの……)

長老(いや、あいどるたちのカリスマじゃの。まさか魔物まで味方につけてしまうとは)

長老(ハルカよ。この平和は紛れもなくお主らあいどるたちが勝ち取ってくれたものじゃ)

長老(お主らにはこの平和な世界を見届ける義務がある)

長老(絶対に、無事で帰って来るのじゃぞ……)


298 : ◆bjtPFp8neU [sage saga]:2016/07/03(日) 21:43:31.09 ID:5d0dgUrZO
ー 月の民の館 B1F クリスタルルーム ー



律子「うあああっ!」ダッ


律子「があっ!」ブンッ


あずさ「テレポ」ヒュンッ


律子「……ぐ?」キョロキョロ


あずさ「うふふ、こっちですよ〜」フリフリ


律子「ぐうっ……!」チャキッ

律子「あああっ!」ダッ




春香「………」ジッ

春香(……すみません、あずささん。あと少しだけお姉ちゃんを引きつけておいてください)

春香(もう少しで、完成しますから)パリッ…



ーーーーーー

ーーー
299 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 21:48:37.46 ID:5d0dgUrZO
ー 回想 ー


あずさ「……じゃあ、私が律子さんを引きつければいいのね?」

春香「はい。お願いできますか?」

あずさ「ええ、もちろんよ。少しでも春香ちゃんの役に立てるなら、私も嬉しいわ」ニコッ

あずさ「それに、律子さんを元に戻せるのは春香ちゃんしかいないんでしょう?」

春香「正確には私だけってわけじゃなくて、月の民だけが使える技で元に戻すんです」

あずさ「その、精神波……という技を使うのね?」

春香「はい。ただ『私』が使うのは初めてだから、上手くできるかどうか……」

あずさ「信じてるわ、春香ちゃんの事」

春香「あずささん……」

あずさ「それじゃ、行って来るわね」フリフリ

タタタタ…


春香「………」

300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/03(日) 21:51:36.14 ID:BT8nKdJXO
春香ちゃんの拳に見えて精神波(物理)かと
301 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 21:52:50.49 ID:5d0dgUrZO
ーーーーーー

ーーー


春香「………」

春香(あずささんのためにも、失敗はできないよね!)

春香(精神を集中させて……)

春香(確か、ヤミちゃんが千早ちゃんに向かって使ってた時は……)


春香「……!」パリッ

春香「あ、出た……!」

春香「よし! ……あずささん、お姉ちゃんをこっちへ誘導してもらえますか!?」


あずさ「は〜い」

あずさ「さあ律子さん、春香ちゃんのところへ行きましょう?」


律子「うあああっ!」ブンッ


あずさ「きゃっ!」ヨロッ

あずさ「危なかったわ〜……」

あずさ「律子さん、言うことを聞いてもらえませんか〜?」


律子「………」チャキッ


あずさ「あら……?」


律子「ぅ……!」ゴゴゴゴ


あずさ「あらあら……」

あずさ(暗黒剣……だったかしら。律子さんはそれをやろうとしているのね)

あずさ(春香ちゃんややよいちゃんを守らないと)


律子「ああああっ!」ブンッ


あずさ「えいっ!」ダッ


春香「あずささんっ!」



ズオオォォ…


ドゴゴゴゴオオォォオンッ…!!

302 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 21:58:02.74 ID:5d0dgUrZO

あずさ「………」

あずさ「う……ん……」

あずさ「…………あら、私……」キョロキョロ


あずさ「! ……は、春香ちゃんっ!?」



春香「……はぁ、はぁっ……!」ダキッ

律子「………」グッタリ


あずさ「春香ちゃん、もしかして私を庇って……?」


春香「……えへへ、気にしないでください。私、暗黒剣には慣れてますから」ニコッ


あずさ「春香ちゃん……ごめんなさいね」

あずさ「そういえば、律子さんは?」


春香「大丈夫です。無事に精神波が成功しました!」ブイッ

あずさ「まあ、さすがは春香ちゃんね〜♪ 」


やよい「春香さん、あずささんっ!」タタタ


春香「やよい!」

あずさ「やよいちゃん」

やよい「すみませんでした! わたしもたたかいますっ!」グッ

春香「……うん、わかった!」

P「俺たちも小鳥さんのところへ行こう!」

春香「はいっ!」

あずさ「は〜い」

303 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:04:11.10 ID:5d0dgUrZO

雪歩「はぁっ、はぁっ……!」

千早「くっ……!」


コトリマインド「ふふ……。二人ともどうしたの? もう終わりかしら?」


千早(強い……。やはり、私と萩原さんだけでは音無さんには勝てないの……?)


雪歩(本当に私たちがやってることは正しいことなのかな……)

雪歩(みんなが傷付くのは嫌だけど、小鳥さんが傷付くのも嫌だよ……)


コトリマインド(……なーんて、ホントは私、結構追い詰められてたりして)

コトリマインド(雪歩ちゃんには攻撃はほとんど通らないみたいだし、千早ちゃんのジャンプもかなり厄介だし……)

コトリマインド(私のHPも残り12000ってところかしら)

コトリマインド(社長にMPを削られたのが痛かったわね。メガフレアさえ使えれば敵はいないんだけどなぁ)

コトリマインド(なんとか、プロデューサーさんを連れて帰りたいけど……)



…ザッ



春香「小鳥さん」

あずさ「お久しぶりです、小鳥さん」ニコッ

やよい「小鳥さん、悪いことはめっ! ですよ!」



コトリマインド「春香ちゃん、あずささん、やよいちゃん……」

コトリマインド(春香ちゃんたちがここにいるってことは、律子さんの洗脳はもう解けちゃったのね)

コトリマインド(メガフレア無しでこの人数を一度に相手するのは私でも辛い)

コトリマインド(一応手段が無いわけじゃないけど、『アレ』は最後の最後まで取っておきたいし)

コトリマインド(……どうしようかな)



P「……音無さん」



コトリマインド「!」

コトリマインド「……プロデューサーさん」

304 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:12:35.04 ID:5d0dgUrZO

コトリマインド「ご無沙汰してます、プロデューサーさん」ペコリ


千早「プロデューサー、危険です、下がっていてください!」

P「ありがとう、千早。でも大丈夫だ」スッ


P「ようやく、ここまで来れました。みんなで帰りましょう、元の世界へ」


コトリマインド「………」


P「みんな音無さんを心配していたんです。……さあ」


コトリマインド「プロデューサーさん、私はラスボスです」


P「………」


コトリマインド「私たちが元の世界へ帰るための条件、忘れたわけじゃありませんよね?」


P「それは……」


コトリマインド「みんなとっても逞しくなりましたね。これもプロデューサーさんのおかげかもしれません」


P「音無さん……?」


コトリマインド「そんなみんななら、きっと私を倒す事ができるはずです」


P「……!」


コトリマインド「プロデューサーさんには敢えて言うまでもないと思いますけど、『本体』は地下渓谷の最深部にいます」

コトリマインド「待ってます。みんなが私に会いに来るのを」クルッ

スタスタ…


P「お、音無さん、待ってください!」


コトリマインド(プロデューサーさんを連れて帰るのは無理そうね。ここは引きましょう)



…バタンッ!



「……待ちなさいよ、小鳥!」



コトリマインド「…………あら」クルッ

305 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:17:56.79 ID:5d0dgUrZO

伊織「逃がさないわよ!」


春香「伊織! みんな!」


真「ふぅ、ギリギリ間に合ったかな?」

美希「……zzz」

亜美「うわー、ホントにピヨちゃんだー!」

真美「ホントのホントに、ピヨちゃんがラスボスなんだね……」

響「ピヨ子……」

貴音「………」



コトリマインド「うふふ、これで全員集合ね」

コトリマインド(……うん、本格的に万事休すかな)




伊織「聞かせてもらうわ。なんでアンタがこんな事をしたのかを」


コトリマインド「………」

コトリマインド「それ、律子さんにも訊かれたわ」

コトリマインド「もう一度言うわね。『みんなを楽しませたい』からよ?」


一同「!?」


伊織「意味わかんないわよ! なんで私たちを楽しませるのが、このゲームの世界をめちゃくちゃにする事と繋がるのよ!?」


コトリマインド「伊織ちゃんはゲームとかやらないから、ピンと来ないかもしれないわね」

306 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:24:04.57 ID:5d0dgUrZO

コトリマインド「そうねぇ、亜美ちゃんや真美ちゃんなら分かってくれるかしら?」


亜美「……うん、まあ……」

真美「ピヨちゃんの言うこと、わからなくもないよ」

伊織「亜美、真美、アンタたち……!」

亜美「ちょ、ちょっと待ってよいおりん! さすがに亜美でもピヨちゃんのはやりすぎだって思うよ?」

真美「……でもね、真美たちは、ホントにゲームの世界で冒険したり、色んなことができて楽しかったって思うところもあるんだ」

真美「だから、ピヨちゃんのキモチがゼンゼンわかんないってわけじゃないんだよ」

P「真美……」


伊織「だからって、ゲームの世界の人たちの命を奪ったのは、許される事じゃないわ」

響「それに関しては、自分も同感だぞ」

真「………」


コトリマインド「……そう、ね」

コトリマインド(全員を相手にしたら、今の私には正真正銘確実に勝ち目は無い)

コトリマインド(引き時ね。プロデューサーさんが手に入らなかったのは痛かったけど)

307 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:30:11.95 ID:5d0dgUrZO

コトリマインド「残念だけどここまでね」スゥ…


千早「! ……音無さんの身体が、消えていく……!?」

伊織「待ちなさい! 逃げる気なの!?」


コトリマインド「みんなの力を確認するっていう目的は果たせたわ」

コトリマインド「さよなら、みんな。地下中心核で会いましょう」


スゥゥ…



「……待ってください」



コトリマインド「……ん?」ピタ



貴音「勝てないから逃げるのですか?」

響「た、貴音!?」



コトリマインド「………」



貴音「律子嬢ひとりならどうにかなった。しかし、わたくしたち全員が揃っては勝ちは望めない」

貴音「だから、尻尾を巻いて逃げるのですね?」



コトリマインド「………」ピクッ

308 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:35:22.54 ID:5d0dgUrZO

春香「貴音さん? ちょっと言い過ぎなんじゃないですか?」

貴音「そうでしょうか?」

貴音「春香。あなたは姉と慕う律子嬢を傷付けられて、黙っていられるのですか?」

春香「そ、それは……」

P(貴音……?)



貴音「小鳥嬢。わたくしと手合わせを願います」


コトリマインド「……貴音ちゃん一人で? ずいぶん余裕ね?」


貴音「ええ」

千早「四条さん、さすがに一人では危険なのでは?」

貴音「いえ」



貴音「今の小鳥嬢には、恐らくわたくしが負ける事はないでしょう」



一同「!?」



コトリマインド「……分かったわ」

コトリマインド「貴音ちゃんにとっては『あの時』の雪辱戦ってところなのかな?」

コトリマインド「そこまで言うなら、その提案に乗ってあげる」

309 : ◆bjtPFp8neU [saga]:2016/07/03(日) 22:40:03.51 ID:5d0dgUrZO

貴音「……やよい」

やよい「は、はいっ!」

貴音「えぇてるたぁぼはありますか?」

やよい「あ、はい。ちょっと待ってくださいね!」

やよい「えっと……」ゴソゴソ

やよい「はい、どうぞ!」スッ

貴音「ありがとうございます」

貴音「……小鳥嬢」


コトリマインド「えっ?」


…ヒュッ!


コトリマインド「……おっと」パシッ


貴音「飲んでください。どうやら今のあなたは魔力を消耗しているようですから」


コトリマインド「………」

コトリマインド「……舐められたものね、私も」ゴクゴク

コトリマインド(これでまたメガフレアを使えるようになる。もう私に隙は無いわ)

コトリマインド(残念だったわね、貴音ちゃん……!)

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