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やはり俺の脳内選択肢が青春ラブコメを全力で邪魔しているのは間違っている。
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269 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/04(土) 13:22:42.53 ID:5Z0R9HG40
やがて海老名さんが来て、戸部くんや見守る俺たちの間に、独特の緊張感が流れる。
翔「おれ、おれさ」
姫菜「うん」
翔「あ、あのさ……」
意を決したように顔を上げる戸部くん。
と同時に、八幡が動き出した。
止めないと――。
そうだ、いっそのこと、ここで騒いでしまえば告白は未然に終わり、八幡も傷つかずに済むのではないか。
――降りてきた!
八幡を――止める! ここで!
―――――――――――――――――
270 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/06/04(土) 13:27:47.72 ID:5Z0R9HG40
次回7巻分完結です
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/04(土) 13:46:17.94 ID:2buWl9g/o
乙です
期待
272 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/06/11(土) 21:23:00.06 ID:0ss/DwgJ0
――頭痛。
選択肢の。
奏「っっうぅ!?」
頭がかちわれそうなほどに痛い。
まるで――そう、『お前は比企谷八幡の邪魔でなく、甘草奏の邪魔を選んだだろう』とでも言いたげに。
動けない。
動きたくても――頭痛がそれを阻害する。
指を動かしただけで痛む。
額に脂汗がにじんで――でもそんなことより、八幡を――!
「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」
273 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/11(土) 21:23:54.95 ID:0ss/DwgJ0
止められ、なかった。
274 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/11(土) 21:36:24.17 ID:0ss/DwgJ0
姫菜「ごめんね、今はだれとも付き合う気はないの」
ぱたぱたと、誰かがどこかに走り去っていく音がする。
そのあと、葉山君たちが八幡に二言三言、声をかけてから立ち去った。
雪乃「うまく言えなくてもどかしいのだけれど……。あなたのやり方、嫌いだわ」
雪ノ下さんの声は底冷えするように冷たかった。
結衣「もっと人の気持ち、考えてよ! どうしていろんなことがわかるのに、それがわからないの……」
皆が去ってから、呆然と立ち尽くし、星の見えない空を見上げる八幡に、俺は声をかけた。
275 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/11(土) 21:50:54.70 ID:0ss/DwgJ0
奏「……八幡」
八幡「…………なんだ」
返事がどこか、上の空だ。
でも、正直俺もそんな感じで話しかけていた。
ぼーっとしたまま、でも何かを話し始める。
奏「俺、止められなかった」
八幡「別に、止めてもらわなくたっていい。事実、これで戸部はフラれずに済んで、葉山たちはこれまでの関係のままだ」
奏「……全部が今までのままってわけじゃない」
八幡「そうかもな。葉山たちには少しの雰囲気の悪さくらいは残るだろうな。でも、これが一番壊れないで、誰も傷つかないで――」
奏「傷ついてるよ」
八幡「誰が?」
そういう八幡の声に、ややいらだちのようなものが混じる。
でも、微妙にいらだちとは違う。なんだ……?
奏「お前が。そして俺自身が」
……我ながらなんて自分本位のセリフだろう。
頭の、ろくに表に出てこない冷静な部分が軽く笑っている。
八幡「俺は傷ついてなんかいねえ」
八幡はぶっきらぼうにそう言うと、来た道を戻って宿に戻ろうとする。
奏「……待てよ」
たらたらと歩き始めていた八幡が、ふらふらと止まる。
八幡「……なんだ」
276 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/11(土) 22:02:06.14 ID:0ss/DwgJ0
本人に傷ついている自覚はなくとも、たぶん、あいつは傷ついている。
文化祭の時は俺が代わりに傷ついた。
でも、今回は止められなかった。
それは、50%位は選択肢のせいかもしれない。
でも、もう半分は、止められない理由を選択肢のせいにした俺の――自己保身のせいだ。
奏「……悪い」
言葉が出てこない。
八幡が一番傷ついているのに、それがわかっているはずなのに、自分への絶望が止まらない。
八幡を救ってやれる言葉が、出てこない。
八幡「お前が謝る必要なんて、どこにもないだろ」
もっともなことを指摘される。
でも。
奏「謝罪って、自分がしたいからするもんじゃないのか? 俺はお前を止められなかった。たとえそれがお前が望んだ結果の通りだとしても、俺はお前を止められなかったことに対して謝るよ。悪い」
すると八幡は、へらっと(変で、竹藪のせいも相まってやや怖い)笑みを浮かべると、こう言った。
八幡「屁理屈って、自分が聞くと嫌になるもんなんだな。友達いないから初めて知ったわ」
奏「俺は、友達じゃないのか?」
八幡「訂正しようか。友達いなかったから、だ」
奏「……ははっ」
それを聞くと、気が抜けた。
277 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/11(土) 22:21:29.34 ID:0ss/DwgJ0
八幡「俺の行動を、肯定でも否定でもなく――謝って。まぁそれは葉山もやったが、あいつは俺の行動じゃなく依頼したことに謝ったからな。ノーカンか」
そこで一旦八幡は深呼吸して、続けた。
八幡「だからお前とは、いい関係になれる気がする。でも……」
八幡「やっぱりだめだ。人を信じないわけじゃあないが……俺はまだ、友人を作れない」
278 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/11(土) 22:26:17.37 ID:0ss/DwgJ0
修学旅行最終日。
帰りの新幹線を待っているとき、今回の八幡への依頼人と八幡が消えていた。
秘密の逢瀬、といえばややいかがわしく聞こえるかもしれないが、そんなことは二人に限ってはないだろう。
この依頼は、八幡と海老名さんだけの秘密にするだろう。
俺が気づいたことは、海老名さんは知らない。知ったところで、どうもしない。
俺は、八幡を止めようとした。
実際には止められなかったが……止めようとしている意志は、八幡にはちゃんと届いていた。
でも、あいつはやめなかった。
帰りの新幹線で、俺はだれと話すでもなく、ただぼーっと景色を眺めていた。
279 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/06/11(土) 22:28:10.87 ID:0ss/DwgJ0
次からはいろはす!いろはすですよ!!
やっと!!!
某ss(名前忘れてしまった)見てからすっかりファン(推し)のいろはすです〜〜!
……失礼。
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/11(土) 22:44:34.30 ID:EhKmQZwYo
乙です
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/06/12(日) 12:58:21.71 ID:tcgR9eMQO
乙です
俺もいろはす好きだから楽しみ
282 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/18(土) 22:54:28.58 ID:9aIGj0f10
月曜日。
悪夢のような修学旅行から帰ってきて、休みを挟んだ月曜だ。
週初めはいつも辛いけれど、今日はいつも以上に辛い。
いや、この休みのことを考えれば、学校に行って八幡と一緒にいる時間が短くなるのはいいことなのかもしれない。
あの告白で、俺と八幡のできかけていた絆のようなものが完全に消えた。
まだなんとも言えないけれど、奉仕部内の空気もよくはならないだろう。
今までのように起き、並んで顔を洗い、リビングに朝食を取りに行く。
でも、どこかどんよりとした空気が付きまとう。
小町「あ、おにいちゃん奏さん、おはよう」
八幡「おお、おはよう」
奏「おはよ、小町ちゃん。今日もありがとう」
比企谷さん(ご両親)は既に仕事みたいだ。
小町ちゃんが朝食を並べてくれている。
俺もたまには手伝うが、最近はどうしても八幡につられて寝てしまう。
小町「いいえぇ! 気にしないでください!」
朝から快活に小町ちゃんが笑う。
小町「お兄ちゃんどしたの」
283 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/18(土) 22:55:02.22 ID:9aIGj0f10
八幡「なんもねえよ。むしろあれだな、俺の人生なにもなさすぎるまである」
小町「どしたのお兄ちゃん。いっつもおかしいけど今日は特におかしい」
小町ちゃんがバッサリ言う。
おかしいけどさ。
それを面と向かって言っちゃうか……。
小町「結衣さんと雪乃さんと……なにかあった?」
八幡「あいつらに何か聞いたのか? それとも奏からか?」
少し内心ひやっとする。
……俺、言ってないよな?
小町「ううん、聞いてないよ。ただ、小町がそう思っただけだよ」
八幡「そうか」
そこで小町ちゃんは一区切りすると、切り出した。
小町「それで……なにやらかしたの?」
284 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/18(土) 23:09:07.43 ID:9aIGj0f10
八幡「なんもねえよ。もともとなにもなかったんだから」
小町「またまたぁ。ちょっとずつ妹に話してみそ?」
小町ちゃんはしつこいくらいに聞く。
八幡「しつけえぞ。いい加減にしろ」
――ついに少しキレたのか、八幡が荒っぽく言う。
小町「なにその言い方ぁ!」
八幡「別に、普通のこと言っただけだろ。実際、しつこかったしうざかった」
【選べ
1、「やーいやーい八幡キレたぁwww」
2、「……あれ、この食パン賞味期限切れ? 変な味がする」 】
おおう。流石に1は煽りすぎだと思う。
この場を和ませる可能性に懸けるのもあり……いやなしだなやっぱり。
奏「……あれ、この食パン賞味期限切れ? 変な味がする」
小町「ふーん、じゃあもういい。聞かない」
八幡「そうしてくれ」
スルー不可避……。
小町「じゃあ、小町先行くから。鍵かけといて。奏さんもお願いします」
奏「あ、う、うん」
小町「やっぱりなにかあったんじゃん」
285 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/18(土) 23:15:51.91 ID:9aIGj0f10
奏「……八幡」
八幡「なんだよ」
奏「今日ケーキでも買って帰る?」
八幡「どうしてそうなる」
八幡がぶっきらぼうに答える。
奏「あれは言い過ぎだ。八幡、らしくなく熱くなってる」
八幡「……熱くなるのは俺らしくないのか」
奏「……」
無言で、圧力をかける。
さっき悪いのは、しつこかった小町ちゃんもだけど、八幡の態度も悪かったと。
八幡「わかったよ。帰りになんか買ってくるか」
奏「よし」
嫌そうではあるが、悪いことをした自覚はあるみたいだ。
友達にはなれない宣言をされた俺だが、普通に話せるもんだな。
このまま小町ちゃんと八幡が仲直りできたらいいんだけど。
286 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/18(土) 23:51:27.80 ID:9aIGj0f10
やっと慣れてきた総武高校への登下校。
八幡は自転車、俺は歩きだけど、だいたい同じ時間に出る。
ちゃんと間に合う。
歩きケータイは本来いけないけど、時間もないのでそっこーでメールをうつ。
『
宛先 比企谷小町
件名 朝
気持ちはわかるけど、ちょっとしつこかったかな?
八幡ももう謝る気みたいだし、許してあげて? 』
……これでいいかな?
287 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/25(土) 17:15:01.83 ID:AiGsgMPM0
今日もそこそこギリギリの登校。
クラスに入ると、……まぁ何もないのだけど。
挨拶を交わすような仲なのは奉仕部の面々くらいで、あとは特に交流がない。
若干浮いているくらいだ。
八幡と川崎さんが同じように窓側をぼーっと見ていたけど、意図せずして同じ状態になっているだけだろう。
そうしてそのまま、何もないまま放課後になった。
288 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/25(土) 17:51:52.83 ID:AiGsgMPM0
いち早く教室を出ていく八幡をチラリと見ながら、俺も部室に行く準備をはじめ――
【選べ
1、 廊下を奇声をあげながらダッシュする
2、 廊下をほふく前進で進む
3、廊下を逆立ちで進む 】
奏「キエエエエエエエエエエエエエエエエエっ!」
選択肢のバカヤロー! という思いをこめればかなりの奇声が出た。
奏「ぜぇ……ぜぇ……」
奉仕部の部室に着く。
中に入ると、雪ノ下さんが紅茶をいれているところだった。
雪乃「ああ、甘草くん」
奏「こんちわ、雪ノ下さん」
【選べ
1、「はぁはぁ雪ノ下さん、今日もお美しいですねはぁはぁ……そのお美しい脚で踏まれたい」
2、「はぁはぁ雪ノ下さん、今日もお綺麗ですねはぁはぁ……そのお綺麗な脚で踏まれたい」 】
どっちも似たような感じで社会的にアウトじゃねぇか……。
奏「はぁはぁ雪ノ下さん、今日もお美しいですねはぁはぁ……そのお美しい脚で踏まれたい」
微妙に逡巡した結果、1を選択。
まぁ2を選択しても結果は変わらないことはわかっている。
雪乃「まずは息を整えて、それから顔を5分ほど冷水につけていなさい」
奏「5分は死ぬよ」
雪乃「顔は洗ってきなさい」
奏「はい」
有無を言わさぬ雪ノ下さんの迫力に負けた。
289 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/06/25(土) 17:52:27.18 ID:AiGsgMPM0
戻ると由比ヶ浜さんが来ていて、それからほどなく八幡が来た。
冷たい空気が流れる。
さっきの俺のこともあってか、雪ノ下さんが妙に怒っているようなオーラを出している。
……はやく帰りたい。
由比ヶ浜さんが必死に話題を作ろうとしているけど、成功しない。
と、ドアがノックされた。
八幡「どうぞ」
この空気で雪ノ下さんは返事せず、由比ヶ浜さんはおろおろと様子をうかがっていたので、八幡が答えた。
静「入るぞ」
入って来たのは、平塚先生だった。
290 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/02(土) 18:12:58.86 ID:z0fimsPl0
静「少し頼みたいことがあるんだが……何かあったのかね?」
八幡「いえ、なにもありませんよ」
奉仕部内に流れる空気を察して平塚先生が聞いてきたのに対し、八幡が受け答えた。
なにもなかったわけじゃない。
でも、自分たちで解決すべきことは自分たちで、ということだろうか。
【選べ
1、「yo―yo! 問題はないぜ! 依頼人もいないぜ!」
2、「いやー、実は八幡やらかしたんですよぉ〜」 】
うっわぁ……。
最近の選択肢は社会的に死ぬことが少なくなってきてはいるけれど、人間関係的なものに亀裂が入りやすいものが増えてきた気がする。
奏「yo―yo! 問題はないぜ! 依頼人もいないぜ!」
一番を選択するものの、言っててちょっと悲しくなってくる。
依頼人がいないって、結構悲しいことだよな……いや、なにもないっていいことなんだろうけど。
291 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/02(土) 18:25:26.71 ID:z0fimsPl0
静「…………改めた方がいいかな」
奏「いえっ、ぜんっぜん大丈夫です!」
慌てて取り繕う。かなり心苦しい。
静「……まぁ、いいならいいか。入りたまえ」
平塚先生がそう言うと、部室の入り口から二つの影が出てきた。
めぐり「こんにちは〜。相談いいかな?」
一人は生徒会長・城廻先輩。俺は文化祭以来だ。
いい印象を持たれているとは言いづらいだろうな。
いろはす「こんにちは〜……ってあれ、結衣先輩じゃないですかぁ」
結衣「あ、いろはちゃん。やっはろー」
二人目はなにやら今時の女子高生っぽさを固めたような、可愛らしい女子だった。
八幡がぴくっと反応する。顔見知りなのだろうか。
奏「知ってるの?」
こっそりと耳打ちする。
八幡「……見たことがあるくらいだ」
ちょっと反応が遅い、と思ったけど、俺と八幡、今けんか(?)中だっけ……。
めぐり「あ、知り合いなの? じゃ、早速相談内容に入らせてもらってもいい?」
雪乃「ええ、どうぞ」
雪ノ下さんは知っているのかわからないけれど、この人なら全校生徒の顔と名前が一致していてもおかしくないかもしれない。 ……話したことがあるかどうかは別にして。
めぐり「じゃあ……。もうすぐ生徒会選挙があるのは知ってる?」
292 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/09(土) 22:17:49.08 ID:HRqinJj10
雪乃「はい。もう公示も済んでいますよね」
めぐり「さすが雪ノ下さん。立候補者のいなかった書記以外はもう発表されてるよ」
会長が嬉しそうに顔をほころばせる。八幡ノートのとおりだな、ほんわかする……。
そうじゃなくて。
めぐり「ただ、公示までは終わったんだけど……」
結衣「こうじ……」
雪ノ下さんも八幡もなにか考えているようだったので、俺が由比ヶ浜さんに耳打ちする。
あ、耳打ちって言っても息を吹きかけたりなんかしないからな、俺は!
【選べ
1、由比ヶ浜結衣の耳元で息を吹きかけながら『公示』の説明
2、城廻めぐりの耳元で囁くように「何か問題が?」と聞く
3、平塚静に結婚を申し込む 】
すぐかよ!
しかも三つめの選択肢、微妙におかしくないか!?
前の二つがおかしくないかと言われれば、まあおかしいと答えるけれど、もう耳元関係ないし冗談で済ませられるレベルを超えているような……。
俺、これ言って冗談ですってごまかしたら、たぶん平塚先生に殺される……。
293 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/09(土) 22:18:59.29 ID:HRqinJj10
結局、1を選んだ。
由比ヶ浜さんにこういうことへの慣れがあることを祈りながら。
奏「公示っていうのは、選挙に出る人が誰とか、選挙の日はいつだとかを発表することだよ。…………ふぅ〜」
最後まで息を吹きかけないでいると選択肢が頭痛をひきおこしたので、仕方なく。
結衣「ひゃっ!? あ、ありがと……?」
びっくりしながらもお礼を言ってくれた。俺こんなことしたのに……ええ子や……。
奏「あ、うん」
今度は選択肢もでないので、普通に離れて返事する。
雪乃「ところで甘草くん。由比ヶ浜さんへのセクハラは止めなさい。証人が何人もいる目の前ですることではないわ。もちろん、いなくてもしていいということにはなりはしないけれど」
11月だというのに背中に汗が流れるのを感じながら、俺は雪ノ下さんにうなずいた。
294 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/09(土) 22:19:27.71 ID:HRqinJj10
めぐり「ええと……じゃ、続けるね? ここにいる一色さんが、今回の会長に立候補してるんだけど……」
八幡の顔に「へー意外」って書いてあった。
すると一色が反応する。
いろはす「あ、今意外だって思いました?」
八幡「いや別に」
八幡がはぐらかす。
いや無理あるでしょ……。
295 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/16(土) 23:55:41.99 ID:ERVi89/u0
雪乃「それで、何か問題が?」
めぐり「あ……えーっと……」
雪ノ下さんの問いかけに口ごもりながら会長が答える。
めぐり「一色さんは立候補してるんだけど、当選させないようにしたいの」
え、それ本人の目の前で言っていいの!?
と思ったが、どうやら本人の希望らしい。
めぐり「うちは推薦人さえ集めれば立候補させられるからね……。私たち選管がきちっと本人確認とっていればよかったんだけど」
本人確認をとらなかったら、このように知らぬ間に立候補というわけか。
……それ結構本人嫌われてない?
296 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/07/16(土) 23:56:52.52 ID:ERVi89/u0
※ すみません! 書けてないです。三連休中にはまた投稿します。
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/17(日) 00:05:54.29 ID:dx6nacQco
乙です
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/17(日) 03:06:19.13 ID:/Kokw56IO
乙乙ー
面白いからマイペースで頑張ってー
299 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/07/17(日) 10:30:26.81 ID:1QGr0NI40
>>297
>>298
ありがとうございます!
次300レス目です(どうでもいい)
300 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/18(月) 22:30:01.11 ID:ggaw1HMR0
奏「立候補の取り下げってできないんですか? ほら、最近の政治家みたいに」
某芸能人だとか、やるーやっぱやらないー、ってやってるし。
雪乃「立候補の取り下げは選挙規約に規定されていないはずよ」
めぐり「そうなんだよ〜」
ほんわか。
奏「そうなんですか」
八幡「あれだ、普通俺が会長になるーとか言うイケイケな連中は立候補の取り下げなんかしねえだろ」
奏「確かに……」
雪乃「納得するのね……」
301 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/18(月) 22:30:54.14 ID:ggaw1HMR0
めぐり「今のところ立候補が一色さんだけだから」
雪乃「信任投票になりますね」
八幡「そうなれば決定的、か……」
結衣「しんにんとうひょう?」
二人が理解した顔をして、もう一人は小首をかしげていた。信任投票、知っておこうよ……もうすぐ選挙権できるんですよ俺たち……。
静「この人に任せてもいいか、を投票するんだ」
平塚先生が小声でささやいた。
八幡「まぁ、信任投票でも反対票が多ければ再選挙になるんだろうけどな」
いろはす「信任投票で落選って超かっこわるいじゃないですか!」
つまりまとめると。
奏「会長に立候補させられて、なりたくないというのが依頼、けど信任投票でほぼ決定的、なおかつ落選という形にはしたくない、と」
なにこのムリゲー。
302 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/18(月) 22:31:20.55 ID:ggaw1HMR0
結衣「うう〜ん……難しいね」
由比ヶ浜さん、ちゃんとついてこれてるみたいかな?
八幡「だな……応援演説が誰かって決まっているんですか?」
いろはす「いえ、決まっていませんよ」
八幡「そうか。なら簡単だな、一色を会長にしない方法」
303 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/23(土) 22:32:58.85 ID:BnP90uSl0
結衣「どうするの?」
八幡「応援演説が原因で落選するなら、誰も一色を気にしないだろ」
雪乃「許さないわ」
八幡「何を?」
奉仕部全員が知っている、修学旅行で八幡のしたことを言っているのだろう。
俺が、それを咎めることはできない。
俺だって、自己犠牲で文化祭を乗り切ったんだから。
雪乃「そのやり方よ。もっと他にやり方はあるはずだし、票数を公開せずに結果だけを発表してもいい。その気になればいくらでも――」
静「雪ノ下」
平塚先生が止める。
しかし、結果の改ざんか。真面目そうな雪ノ下さんからとんでもない意見が出たな。
雪乃「……失言でした、撤回します」
304 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/23(土) 22:47:21.94 ID:BnP90uSl0
結衣「その演説ってさ……誰がやるのかな……。そういうの、やだな……」
うつむきながら由比ヶ浜さんが言う。
八幡「それは……できるやつがやればいいんじゃねえの」
『できるやつ』が具体的に誰のことを指しているのかなんて、明白だった。
少なくとも奉仕部4人には。
あるいは平塚先生も、なにかを感じてはいるかもしれない。
奏「まぁ、そんな自己犠牲を自分からするような人、いないからなあ」
俺が言うのはすごく自分自身違和感があったが、機先を制することはできたと思う。
由比ヶ浜さんが言いかけたこと、八幡にその役をしてほしくない。
俺はそれを念を押すように、みんなと話している体を装って八幡に話す。
八幡「……」
たぶん、俺が言わなくても由比ヶ浜さんのあの言葉だけで十分だったんだろう。
まぁ、備えあれば患いなしと言うし。
305 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/30(土) 22:35:25.70 ID:oSZj9G7d0
雪乃「城廻先輩。一色さんが会長を辞退する場合、別の候補者を立てる必要がありますよね」
めぐり「あっ、そうだね。うん……」
名前を呼ばれてのとっさの反応は流石だったが、話の内容で凹んでしまう会長。
八幡「やる気のあるやつだったらもう立候補してますよね。どうするんですか?」
八幡のもっともな指摘。そもそも、それをどうしようかと、先輩たちは相談に来たようなものだ。
結衣「でも、やってくれそうな人にあたれば……」
流石に大変じゃないかな……。先輩たちもあたった結果、もしくはその途中でここに来たんだろうし。
306 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/30(土) 22:36:11.55 ID:oSZj9G7d0
八幡「仮に立候補者が見つかったとして、だ。そいつがこの一年生に勝てるのか? 高校の生徒会選挙なんて人気度で票が入るんだぞ」
静「その通りなのがなんとも言えんな」
確かに、黒白院先輩も獅子守先輩も人気あったしなあ……。
八幡「投票までの間にしなければいけないことを、今から全部こなせるのか? 確実なあてがあるのならいいが、そうじゃないだろう」
めぐり「あの、比企谷くん?」
熱くなり始めた八幡を止めたのは、困惑した様子の先輩だった。
一色さんはさも面倒そうにため息をつく。……いや、君が会長にならないための話じゃなかった?
静「すぐに結論は出なさそうだな」
それが、この話し合いのお開きの合図になった。
307 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/07/30(土) 22:36:41.16 ID:oSZj9G7d0
雪乃「では城廻先輩、また改めてでもよろしいですか?」
めぐり「うん、よろしくね。失礼します」
いろはす「失礼します」
俺もふらっと立ったが、雪ノ下さんがすぐに平塚先生に言った。
雪乃「先生。少しよろしいですか?」
静「ああ。話してみたまえ」
平塚先生が俺の方を見て、椅子の方にくいっと首を動かす。
それを見て、俺は(ああ……逃げたらなんか言われそうだな……)と思いながら、さっき立った椅子に座りなおした。
308 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/07(日) 22:50:02.15 ID:BWPqh19v0
雪乃「今、私と比企谷君の勝負はどうなっていますか」
結衣・奏「勝負?」
初耳だ。
静「私の独断と偏見で勝敗を決めているんだ。どちらがより奉仕活動できているか、ね。勝った方は負けた方になんでも一つ命令できる」
結衣「なんでも……」
由比ヶ浜さんは八幡を「うわぁ……」という目で見ながら、「まぁゆきのん負けず嫌いだしね……」という顔を両立させていた。
静「勝負は、まだついていない」
雪乃「なら……比企谷君と私たちが、同じ方法をとる必要はありませんよね? 勝負が未だ継続しているのなら」
309 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/08/07(日) 22:50:53.72 ID:BWPqh19v0
※更新遅れて本当にすみません(汗)
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/07(日) 23:19:35.13 ID:jd33MJxBo
乙です
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/08(月) 00:25:12.17 ID:By4gS1MIO
乙乙
いろはすだけ『いろはす』なのがいろはすって感じでいろはす〜^^
312 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/13(土) 21:46:25.91 ID:vQT1B5290
静「……仕方あるまい。その間部活動はどうする?」
雪乃「自由参加という形でいいかと」
静「まぁそうなるか」
おいちょっと待てよ。
八幡「じゃあ、俺は帰るわ」
結衣「あ、ちょっと待って!」
違うだろ。
どうして――八幡も雪ノ下さんも、協力しないんだよ。
協力しなかった結果は、この前の修学旅行ではっきりしたじゃあないか。
しかし俺は、既に鞄を持って下校しようとしている八幡を止められなかった。
雪乃「なれ合いなんて……わたしもあなたも一番嫌うものだったのにね……」
ぽつりと雪ノ下さんがつぶやいたその言葉に、どんな意味があったのか。
転校生の俺は、まだ知らない。
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/14(日) 17:58:27.90 ID:/TI7iiGao
おつ
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/15(月) 19:11:45.95 ID:A7fBJLjHo
乙です
315 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/20(土) 23:00:50.73 ID:BymoiPg10
家に着いてみると、先に帰っているはずの八幡はおらず、小町ちゃんだけがいた。
小町「あ、奏さんお帰りですー」
奏「あ、うんただいま」
なんだか、すごく久しぶりに小町ちゃんに会った気がする。
どこか知らないところで時間が過ぎているような感覚。よくわからないけど。
小町「おにいちゃん知りませんか?」
奏「いや、俺も知らない。学校を出たのは八幡の方が先だから、どこか寄り道してるのかも」
あるいは、俺の朝言ったことを実践してたりするのだろうか。いや、奉仕部であんなことがあったんだ。覚えてないか……。
奏「そうだ小町ちゃん」
小町「はい」
奏「ちょっとシュークリーム買って来たんだけど、食べる? 5個買ったから全員分あるよ」
小町「わぁ、わたし3つですか!?」
奏「……どうして?」
小町「お兄ちゃんのはわたしが食べる、わたしのはわたしが食べる、お父さんは頼んだらくれる」
奏「分けてあげてください」
316 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/21(日) 08:56:05.99 ID:pYOsojwo0
奏「ねえ……小町ちゃん」
小町「んっく……。はい何でしょう」
シュークリームを一気に飲む(食べるよりこっちの方が表現として適当な気がする)と、小町ちゃんが聞き返してきた。
奏「八幡や雪ノ下さん、由比ヶ浜さんのこと、知っている限りで教えてくれないかな」
シュークリームはご機嫌取り。
理由が汚いけど、奉仕部の完全な決別を回避するために俺は情報を集めたい。
奉仕部は、初めは何だこれは、と思っていたような部活だったけれど、転校したばかりの俺にはありがたい場所だったんだ。
小町「あ……それが狙いでしたか」
凄く簡単にバレてる。
小町「わかりました、ごちそうになりましたし、おいしかったですし、わたしの知っている限りでお話ししましょう!」
奏「ありがとう!」
317 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/21(日) 08:58:09.23 ID:pYOsojwo0
八幡「……」
八幡が静かに帰って来た。
俺と小町ちゃんはお茶をしながらゆっくり部屋で話していたが、八幡に聞かれるとマズいことになりそうなので、静かにしておく。
すると音がしなくなった、と思い下に降りてみると、ソファで寝ている八幡が。
小町「もう……おにいちゃんてば……」
朝喧嘩したにも関わらずゆっくり毛布をかける小町ちゃん。
兄妹愛っていいなぁ。あこがれる。
ソファの前の机には紙袋があった。
……俺が朝に言ったこと覚えていたのだろうか。
小町「ほんと、ごみいちゃんは……。奏さんとモノかぶってるし、しかも奏さんの方がよっぽど高いです」
奏「はは……」
それでも嬉しそうじゃないか。よかった。
318 :
凪
:2016/08/24(水) 21:15:43.85 ID:Uu+FtbdmO
>>316
訂正
理由が汚い→方法が汚い
319 :
凪
◆0KQMVLQguk3L
[sage]:2016/08/27(土) 21:14:37.97 ID:KhPJVSj60
※更新遅れます。月曜日予定です
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/28(日) 03:20:01.70 ID:ZJazGDK9o
乙です
321 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/29(月) 09:32:46.18 ID:BGk+0DpG0
翌日。
眠りこけていた八幡を置いて(アラームだけセットしておいた)学校に行く。
寒いと連呼しながら小町ちゃんと中学校で別れ、総武高に向かう。
比較的広い道で黒いリムジンを見かけたが、中にいる人は見えなかった。
322 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/29(月) 09:41:23.48 ID:BGk+0DpG0
何事もなく今日の授業が終わる。
由比ヶ浜さんたちリア充組は早々に教室を出ていき、八幡だけがひとりぽつんと残る。
奏「はちま……」
【選べ
1、「昨日のシュークリーム、小町ちゃんが罵倒してたよ」
2、「昨日俺が買ってきたシュークリーム、食べた?」 】
ひっさびさに出てきたと思ったら絶対にここで使っちゃいけない選択肢でたなぁ!
シュミレーションゲームなんかでこんな選択肢が出たらBADエンド確定、みたいなそんな絶望的な選択肢だ。
ここは、小町ちゃんに迷惑にならない方向で……
奏「昨日俺が買ってきたシュークリーム、食べた?」
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/08/29(月) 10:16:26.42 ID:YvqncKeqo
乙です
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/08/29(月) 10:59:30.09 ID:/n6UaWh60
2062 未来人 嘘 震災詐欺 指名手配 爆弾所持 連続殺人 不審者 遅漏 押し売り 著作権侵害
デジタルナレッジ 捏造 嘘 著作権侵害 ストーカー 放火魔 詐欺師 違法 公文書偽造罪
永山崇 恐喝 ナイフ所持 ヤクザ 人身売買 セクハラ 偽計業務妨害 中卒 置石
2062 未来人 詐欺 罪状 マラ クズ 万引き 創価学会 保健室登校 ろりこん
永山崇 禁錮 元公安 前科持ち ひかりの輪 整形 知的障害 我慢汁 執行猶予
デジタルナレッジ やり捨て パワハラ 覚醒剤 短小 ウジ虫 MDMA 汁男優 中国マフィア
2062 未来人 嘘 通貨偽造罪 詐欺 コーラン燃やし 未成年喫煙 マネーロンダリング 革マル 留置場
デジタルナレッジ 実行犯 暴行罪 有印私文書偽造罪 強盗罪 真珠様陰茎小丘疹 器物損壊罪 サリン ウィルス
永山崇 陰茎 強要罪 脱税 誘拐 精液 DDOS攻撃 カウパー 起訴
永山崇 助平 通り魔 脱糞 猿顔 異常性癖 ワキガ 尖圭コンジローマ 窃盗
325 :
凪
[sage]:2016/08/29(月) 15:27:55.64 ID:BGk+0DpG0
>>323
ありがとうございます
>>324
……どうした
326 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/08/29(月) 23:28:05.41 ID:BGk+0DpG0
八幡「あぁ、まぁ、一応な。うまかった」
頭をかきながら言う八幡。
八幡「ドーナツと迷ったんだがな……。そっちにしておくべきだったか……」
奏「そうだったかもね」
そして二人笑う。
このまま……このまま。
なにごともなく、終わってくれ。
327 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/03(土) 18:40:44.00 ID:ZZGCH6S10
八幡と共に奉仕部に来て、戸を開ける。
結衣「あ……来てくれたんだ」
由比ヶ浜さんが少し安心したように言う。
八幡「……ああ、まぁな」
軽く八幡はそう返した。
部室には雪ノ下さん、そして一色さんがいた。
雪乃「では、話を聞きましょうか」
奏「あ……ごめん、待たせちゃってた?」
結衣・いろはす「ううん(いえ)、全然!」
奏「そう? ならいいんだけど」
たぶんそこそこには待っていただろうけれど、その気持ちがうれしかったり申し訳なかったり。
結衣「あ、じゃあ聞いてくね? あたしたちの方針きめるから〜」
いろはす「はーい」
結衣「じゃ早速。とりあえず、選挙で他の候補者を立てて、ふんわりと会長にならない。そんな感じ?」
いろはす「そんな感じですー」
一色さんが元気に答える。ぼーっとグラウンドを眺めてるあたり、部活のサッカーが気になるのだろうか。
328 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/03(土) 18:41:43.26 ID:ZZGCH6S10
八幡「誰か候補は見つかったのか?」
結衣「それはまだ見つかってない……」
雪乃「立候補の最終締め切りまでは、まだ時間があるわ。それまでにはなんとか。それより、他のことを決めてしまいましょう」
気のせいだろうか。雪ノ下さんが、やや焦っているような……?
八幡との勝負、そんなに熱くなっているのかな?
雪乃「どういう形になるにしろ、一色さんには演説してもらうことになるわ」
いろはす「ですよね〜……」
雪ノ下さんの言葉に一色さんがうなだれる。
いろはす「大丈夫なのは大丈夫ですけど、そういうの」
大丈夫なんだ……。結構恥ずかしくない?
雪乃「私たちが立てる候補者と公約が重ならないようにする方がいいと思うわ。そこで、公約の案を考えてみたのだけれど」
さすが雪ノ下さん、仕事が早い。
一色さんが紙に目を通す中、八幡がつぶやいた。
八幡「……これ、お前らのやってること、完全な傀儡候補なんだが、それでいいのか?」
329 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/03(土) 18:42:30.28 ID:ZZGCH6S10
雪乃「なら、あなたのやり方には何の意味があるの?」
八幡が雪ノ下さんから目をそらす。
雪乃「あなたは前もそうやって、逃げてきたわ」
修学旅行。俺が――止めてさえできていれば。
いや、それはそれでエゴというものだろうか。
八幡「それで……何か問題があったか?」
奏「あったじゃないか!」
俺は思わず、大声を出してしまっていた。
330 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/03(土) 18:43:13.46 ID:ZZGCH6S10
八幡「奏……?」
奏「八幡と雪ノ下さんが協力しなくなって! 小町ちゃんにも心配かけて! それで何も問題はなかったって、そう言い切れるのかよ!?」
八幡「…………」
黙りきる八幡。
しかしそこには、何か頑ななものがあって。
雪乃「……変えるつもりは、ないのね」
八幡「……ああ」
二人の間に沈黙が横たわる。
結衣「あ、あのさ……」
由比ヶ浜さんが間に入ろうとして、入れない。
八幡「そろそろ帰るわ。話も聞いたし」
そう言って、八幡は出て行ってしまった。
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/03(土) 19:02:28.06 ID:62c4E2fY0
想像通りの生ける屑野郎でしたね〜(汗) 葉山お前にはガッカリだよ!
これからも屑山が邪魔するかもしれませんが温かい目で見てもらえるとありがたいです!
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/03(土) 20:05:27.84 ID:ZnByaRSfO
葉山信者はスルーしましょう
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/03(土) 21:48:04.45 ID:sN9RCdRdo
乙です
334 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/09/04(日) 10:53:49.94 ID:QwVlhijB0
>>331
w
Who are you?
>>332
>>333
ぞろ目ですね 乙ありです
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/04(日) 17:04:40.08 ID:3OPVsSReo
>>332
葉山信者乙
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/04(日) 23:00:10.61 ID:qKPHE1buO
なんかスレの流れがワケわからん事になっとる…
337 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/10(土) 15:05:05.68 ID:m29c4WWD0
いろはす「あ、じゃあわたしも部活あるので失礼しますね」
八幡が出て行ってすぐ後に、一色さんが出て行った。八幡と個人的に会話するためだろうか。
俺たちが来る前に由比ヶ浜さんと雪ノ下さん、二人と話していただろうから。
奏「ねえ、由比ヶ浜さん。雪ノ下さん」
結衣「なぁに?」
雪乃「なにかしら」
俺もちょっと二人に、話しておくだけ話そう。
奏「もし……八幡が変わったら。その時は手伝ってくれる?」
結衣「それは……うん」
由比ヶ浜さんからはすんなりと了承いただけた。問題は、
雪乃「私が手伝う理由はないでしょう?」
雪ノ下さん。
奏「うーん…………」
悩んで考えた末に俺が出した結論は。
奏「……雪ノ下さん」
雪乃「なにかしら」
奏「俺に貸しを一つ作れる」
338 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/10(土) 15:05:36.52 ID:m29c4WWD0
雪乃「ふふっ」
奏「あっ」
結構個人的には良さげな考えの気がするんだけど。
雪乃「甘草くん。私があなたに貸しを作って、あなたは何をするのかしら?」
奏「……え?」
なに雪ノ下さん急に怖い。
奏「な、何って……」
雪乃「冗談よ。私も前に似たようなことを言ったから、それで面白くなって」
面白くなってからかったんですか。
雪乃「悔しいけれど……あ、この話は置いておきましょう。いいわ、比企谷君がもし変わったのなら、協力してあげる」
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/11(日) 20:05:55.18 ID:Wa2gP/c7O
渋の千葉最強喧嘩師比企谷八幡面白いからみんな読んでね
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/11(日) 22:01:35.60 ID:Wa2gP/c7O
原作からの分岐で、修学旅行が終わった翌日からの話になります。
地の文が多いかもしれません。
初心者ですので、誤字脱字などがあれば感想にてご指摘頂ければ幸いです。
タグのアンチ・ヘイトなどは一応、予防線として入れてます。
https://novel.syosetu.org/97847/
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/11(日) 23:48:52.26 ID:bEKEE1mio
乙です
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/12(月) 02:02:51.85 ID:gFJOvJU2o
ぜひとも続きをください!!!!
お待ちしてました!!&続きを全裸待機!!
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
343 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/09/12(月) 05:52:13.42 ID:QeDYiD3S0
>>340
これってOKなことでしたっけ……? 他人の他作品の宣伝……
>>342
「w」が気になりますがありがとうございます
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/12(月) 08:32:53.91 ID:MsHI0VfEo
変なのはスルーしたほうがいいよ
更新乙です
いろはすかわいいから楽しみだけど脳コメ側の状況も気になる
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/13(火) 01:10:27.11 ID:4w4in1o7o
正直間違ってない選択だと俺は思う
明らかにあの2人は身勝手なんだよな
八幡自身が理想を押し付けていたって原作のどこかで発言したはずだったが、またあの2人も
勝手な理想を八幡に押し付けて、失望して、無責任な言葉を投げかけてるんだよな
ここまで一緒に活動して、八幡の依頼に対するスタンス解決ではなく解消を見てきてまだ
気付けないのかと思った
それも仕方の無い事なんだろうけど
雪ノ下はきっと勧善懲悪主義なんだろうな
グレーを消して許せず万物に対する悪と正義を主観で決めて常に自分は正義であろうと、正義で
なくてはならないと思い込み愚直に走り続けてる気がする
だからこそ八幡の問題時代を有耶無耶にして無かった事にする、言わばグレーを許せないんだろうな
自分が嫌われ役を買って出て悪を被ってまで物事を解消するそのスタンスが、明確な悪が、敵が存在
するのにその全てを有耶無耶にして自分が悪になって物事を終わらせるのが許せないんだろうな
人として一番正解で、人類がみな雪ノ下のような思いなら決して間違いは起こらないがそんな事が有り得ない
ということから目をそらし、あまつさえ自分が人類を人事変えるという理想しか見えていない
まるで子供だ
年端もいかない、戦隊ヒーローを見て興奮する子供のようだ
由比ヶ浜に対してはもう恋に恋する愚かな少女としか言えない
飼い犬を助けてくれたヒーローに己のヒーロー像、理想を押し付けて勝手に失望する
正直な所今まで奉仕部で解決した依頼に2人が使えたところなんて一つもないのにも関わらず、そのことに
気付けずさも自分たちが正義だと言わんばかりの2人は本当に愚かだ
憐憫の情すら覚える
平塚先生は雪ノ下と八幡を組ませてそこに中和剤で由比ヶ浜を加えればプラマイゼロくらいになると踏んで
組ませたんだろうと勝手に思ってるけど残念ながらプラスにマイナスかけてもマイナスなんだなこれが
そして葉山はクソ
はっきりわかんだね
さてさて
はたして八幡が抜けた奉仕部はどうなるのか
ドキがムネムネするぜ
346 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/09/13(火) 18:54:48.62 ID:qFrs88z00
>>345
長文びっくり ありがとうございます(自分のssに関係ないこと話してたらボク恥ずかしいけど)
最近レスが増えた……? これからもよろしくです
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/16(金) 16:53:22.40 ID:1LvGnYTnO
最近ガイルss変なの湧きすぎだねぇ…
>>1
は気にせずに頑張って
348 :
凪
◆oUKRClYegEez
[sage]:2016/09/17(土) 23:07:34.12 ID:Vn4FhCM90
>>347
ありがとうございます
一周年更新です(いつも通りの更新ですが)
349 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/17(土) 23:08:52.78 ID:Vn4FhCM90
それから数日。
思い出したが。
俺は八幡が変わったら―なんて息巻いていたくせに、八幡とはそもそも半分喧嘩状態で、話をしない。
よくもまあぬけぬけと雪ノ下さん・由比ヶ浜さんと約束したものだと思う。
はぁ。
金曜の朝だった。
朝起きて、いつものように朝ごはん。
ただ、いつもより八幡がそわそわとしている気がする。
八幡があえて少しずらしていた登校時間を、今日は俺が合わせて、家を出てすぐ(小町ちゃんとも時間をずらしていた)、八幡に聞いた。
奏「ねえ、今日なにかあるの?」
350 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/17(土) 23:10:56.74 ID:Vn4FhCM90
八幡「……まぁな。もしかしたら、少し帰るのが遅いかもしれない」
奏「っ!? まさか、八幡……ガールフレンドが……!? (仮)じゃないガールフレンドが……!?」
八幡「あると思うか?」
それは非常に返しにくい質問です。
奏「冗談だよ。誰と会うの?」
八幡「お前とは関係のないやつだ」
奏「ふーん……そっか」
誰かと会う、という情報は得――
【選べ
1、「雪ノ下さんに話してみよう。雪ノ下雪乃さん」
2、「雪ノ下さんに話してみよう。雪ノ下陽乃さん」
3、「由比ヶ浜さんに話してみよう。由比ヶ浜結衣さん」
4、「平塚先生に話してみよう。八幡が将来の相手に会いに行くって」 】
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/20(火) 21:24:34.24 ID:ho+iwlUAO
4しかないな
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/21(水) 11:28:51.95 ID:dSqFKQpfO
これは4
353 :
凪
◆0KQMVLQguk3L
:2016/09/24(土) 20:55:23.56 ID:U/dlH3DS0
奏「平塚先生に話してみよう。八幡が将来の相手に会いに行くって」
さして迷うこともなくこの選択肢を選んでいた。
雪乃さん(お姉さんも選択肢にいるのでここではわかりやすく)と由比ヶ浜さんは、八幡と絶賛きまずい雰囲気。
陽乃さん(説明省略)は、なぜか本当に電話とかかけてきそうで怖い。俺あの人の連絡先知らないけど。
静「おう、比企谷と甘草じゃないか。おはよう」
平塚先生が後ろから、高そうな車に乗ってやってきた。
奏・八幡「おはようございます」
平塚先生は俺たちの横に車をつける。
八幡「ここ止めていいんすか? あれ駐禁の看板じゃ……」
静「す、少しなら大丈夫だろ。……たぶん」
前にやってしまったことがあるのか、平塚先生は額に汗を浮かべていた。朝なのになぁ。
354 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/24(土) 20:57:06.57 ID:U/dlH3DS0
奏「あ、そういえば平塚先生」
静「ん? なんだ?」
本当は八幡に言うだけの選択肢で実際に言う必要なんて微塵もないけれど、話すことで八幡がフォローしてポロっと漏らすかもしれないし、……ちょっと反応に興味あるし。
奏「八幡が今日の放課後、将来の相手に会いに行くって言ってるんですよ。どう思いますか?」
八幡「おい、ちょっ……」
静「ん? 私と約束してはいないだろう比企谷?」
聞かなきゃよかったと今更後悔している自分がいる。
八幡「あれですよ、友達付き合いってやつですよ」
355 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/09/24(土) 20:59:42.19 ID:U/dlH3DS0
静「比企谷……嘘は良くないぞ。本当のことを話したまえ」
平塚先生が優しい目で八幡を見る。
八幡「いや……別に嘘ついてはいないんですけど……」
八幡も、自分でおかしなことを言っているという自覚のあるような顔だった。おかしいのに嘘じゃないのか。
八幡「葉山に誘われたんですよ」
静「それだけで君は行かないだろう」
八幡「……釘を刺されたんですよ。陽乃さんに」
選択肢の陽乃さんはこういうことか。
というか平塚先生には言うんだな、八幡。少しショックだ。
静「そうか……お前も大変なんだな……」
あ、同志を増やしたかっただけか?
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/09/25(日) 21:28:39.39 ID:ndzMWmmfo
乙です
357 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/01(土) 15:14:14.75 ID:maWYzKGH0
八幡「そろそろ学校行かなくていいんすか」
八幡が平塚先生に言った。
静「おお、そうだな。お前たちも遅れるなよ」
平塚先生はそう言い残すと、スポーツカーを走らせ学校の方へと行ってしまった。
八幡がスタスタと先を歩き始める。
奏「あ、ちょっと待ってよ! さっきの話詳しくぅぅぅ!」
八幡「……」
そしてそのまま、話をすることはなかった。
358 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/01(土) 15:15:34.79 ID:maWYzKGH0
放課後。
俺は
【選べ
1、ゴーグルを身につける
2、パーティー眼鏡を身につける 】
という選択肢を乗り越え(だから今俺は季節外れ・場所違いのゴーグルを首につけている)、どこかに向かう八幡をつけていた。
場所は駅前。
平塚先生にした話の通り、葉山君と一緒にいる。誰かを待っているようだった。
と、不意に後ろから肩を叩かれる。
驚いて振り返るとそこには、
陽乃「あ、君文化祭で見たねえ! どうし……まあなんとなくわかったけど」
俺と同じように「こちらからは見えるけど八幡たちからは見えない建物の影になっている場所」に、俺と同じやや前かがみの体勢で様子をうかがう雪ノ下さんの姿があった。
陽乃「ねえ、君もあの子たち気になるんでしょ? 一緒に尾行してみない?」
359 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/01(土) 15:17:49.74 ID:maWYzKGH0
奏「え、え!?」
陽乃さんが俺ににやっといたずらっぽく笑いかけて近い近い近いいい匂い近い!
陽乃「もし君が見つかってもわたしが絶対に成し遂げるから! お金いるならわたし出すから! 大学生だし! どう?」
魅力的すぎる。提案が。
でも
奏「そんなに頼っていいんですか?」
陽乃「大丈夫! これが比企谷君や雪乃ちゃんだったら裏があるって疑ってかかるところなんだけど、君は素直でいいね〜!」
ですから近い近いいい匂い!
奏「貸しとかですか?」
ありそう。
陽乃「今回はそんなの気にしなくていいから! だって、他人の恋愛事情ほど面白いことってなかなかないでしょ!?」
雪ノ下さん……そんな動機か……。あと今回は、って……。
陽乃「それに……隼人がなにするのか、ってことも気にはなるし、ね」
360 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/08(土) 19:27:23.82 ID:o06bT7xI0
陽乃「あ、映画館入ったよ甘草くん!」
奏「ですね」
俺は、ニヤニヤが止まらない陽乃さんと共に尾行していた。
かく言う俺も、陽乃さんにおされて段々楽しくなってきている。
陽乃「さ、私たちも入るよー!」
奏「え、でも俺余裕あるわけじゃ……」
陽乃「わたし出すって! 観察行くよー!」
奏「え、ちょ、雪ノ下さん!?」
美人の女性に全額出してもらっている冴えない高校生男子が、そこにいた。というか、俺だった。
361 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/08(土) 19:28:10.63 ID:o06bT7xI0
映画館の中。
ふと、飲み物に手を出した時、そこに肘をついていた雪ノ下さんに触れてしまった。
奏「あ、すみませ……」
陽乃「ねえ、甘草くん」
奏「はい」
陽乃さんは、純粋な疑問で、完全にそうであるとわかる顔、口調で、こう尋ねた。
陽乃「君はどうして、彼と付き合おうとしているのかな」
奏「えっ?」
陽乃「変な意味じゃなくて。どうして彼と一緒にいたいと思うの? わたしは彼が面白いと思うからだけど。自分で言うのも変だけど、わたしは変わってる。どうして君は、彼を見ようとしてるのかな」
彼とはだれか。そんな質問はしなかった。
俺が葉山くんにそんなことを思うはずもないし、彼女自身、今回は葉山くんはおまけのように話していた。
どうして。
それは……
362 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/08(土) 19:28:36.46 ID:o06bT7xI0
奏「たぶん、同じ気がするからです」
陽乃「続けて?」
奏「あいつは、ちょっと前の俺とそっくりなんです。何かあった時には、自分を落とすことで他人を救おうとする。でも俺は、俺と似たことをするあいつを見て、思ったんです。そのやり方には、どうしても限界がある、って……」
陽乃「うん」
奏「どうしてもそうしないと解決しないようなこともあります。けど、全てにおいての選択肢がそうと決まっているわけじゃない。だから、あいつがそれに気づくまで、俺だけでもそばにいてやろうって思うんです」
陽乃「ふぅーん、そっか……」
奏「どうしました?」
陽乃「いや、なんでもないよ。あ、さっき君、爆発のときキョドってたよね?」
奏「ほっといてくださいよ……」
363 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/08(土) 19:29:45.88 ID:o06bT7xI0
かおり「爆発の時の比企谷、超きょど、って、て……っ!」
結局ポップコーンまでごちそうになった俺だったが……。今は精神的にとても辛い。
陽乃「ひぃ……! 比企谷君と、キョドるところ、一緒……!」
お腹を抱えてまで笑わないでください。
陽乃「お、次は買い物かあ」
切り替えがはやすぎる……と思ったけど、まだ顔が笑いでひくひくしてる。
陽乃「わたしたちも行っくよー!」
奏「え、ちょ雪ノ下さん!?」
俺は雪ノ下さんに手を引かれて、人ごみの中へと足を踏み入れた。
陽乃「甘草くん、手離さないでね」
えっ……?
陽乃「でないと、君と尾行している意味がなくなるから。君ついてこれなくなるから」
ご配慮、感謝します。大丈夫、期待なんてしていませんから。
364 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/15(土) 18:50:56.22 ID:XKsncbv00
八幡たち……いや八幡は一緒にいるのにハブられているような雰囲気だからここは葉山君たち、と言った方がいいだろうか、がエスカレーターを半分ほど過ぎたところで俺と陽乃さんもエスカレーターに乗る。
間に数人、人がいるのでふとした拍子に目に入る、ということはないだろう。
気になるのはエスカレーターですぐ隣にいる陽乃さんだが……なにも起きない。常に肩が当たっているが、逆に言えばそれだけ
【選べ
1、雪ノ下陽乃によろめいたふりをして密着する
2、よろめいたふりをしてそのまま落ちる 】
365 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/15(土) 18:53:38.11 ID:XKsncbv00
どっちを選んでも死にそうだな……。
1番なら殺されるし、2番ならまだ生きる可能性はあっても尾行が確実に終わる。
2番が一番迷惑をかけな……いや、後ろもうひと乗ってるから巻き込むことになるのか。
なら、俺一人が……。
……正確には俺なんかに密着される陽乃さんもだろうけど……。
よろっ。
奏「あっ、陽乃さん、すみません」小声
366 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/15(土) 18:54:17.51 ID:XKsncbv00
陽乃「ん? いいよ」
……あれ? 俺生きてる? ……生きてる!
陽乃「くっついて感極まるのはやめてもらえるかな」
奏「あ、すみません……」
顔は笑顔なのにすごい威圧感があった。これが八幡たちが恐れる所以だろうか。
陽乃「さて、隼人たちはどこに……っとあれは」
奏「あ」
向こうは気づいていないみたいだけど……三浦さんと海老名さんだ。
このままだと、葉山君と会うことに……あ、八幡が葉山君にそれとなく話しかけて移動させようとしてる。
陽乃「修羅場ならずか〜。比企谷くん働き者だね〜」
本人が聞いたら全否定しそうですけどね。
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/16(日) 13:21:04.90 ID:yOEvsIBCo
乙です
368 :
凪
◆oUKRClYegEez
:2016/10/22(土) 22:55:53.77 ID:Ro6PrgTM0
と思ったのもつかの間。八幡たちが移動した先に
翔「いろはす〜、やっぱムラスポいくべ?」
いろはす「えー、あっちにもラなんとかスポー……あるじゃないですかー」
翔「ライスポは野球用品店だしさ」
一色さんと戸部くんだ。
いろはす「あー、先輩方も買い物ですかー?」
一色さんが先に気づいた。もうさっきの様には逃げられない。
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