男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」

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610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 18:40:57.49 ID:Hxw+K7CNo

< 「くけけけけけけけけけけけけけ」

< 「おかあさぁん、どこー…なにも見えないよぉ、なにも聞こえないよぉ……」

< 「わぁああああっ!! わぁああああっ!!」

< 「ひぎぃいいい!!」


セイバー「怪魔を倒したのに、未だ呪いが解けない……何故」

男「『マヌーサ』だ、幻惑の魔法で皆ひどい幻覚を見てる……だけだと思いたい」

セイバー「その魔術を解除するには?」

男「時間が立てば解ける……はず」

セイバー「曖昧な事を、本当に問題ないのだろうな」

男「ゲームじゃその程度の阻害魔法でしかないんだ、でも現実のこれも同じかは分からない」

セイバー「……ゲームだと?」

セイバー「遊んでる場合じゃないんだぞ!」

男「こっちも遊んでるつもりはないよ! ドラクエ知らないのかそんなに強くなっておいて!」


セイバー「え、ドラクエ…?」


男(あーもうやだ! この人ドラクエやってない人だ! 何が悲しくて分野の違うオタクにキレないといけないんだ!)


611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 20:12:32.04 ID:w+MZUR4io
ドラクエ知らないで強くなった結果か
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 20:29:36.33 ID:Hxw+K7CNo

セイバー「ドラクエ……」

セイバー「……!」ハッ

セイバー「なら状態異常を回復する魔術がある筈だろう? それを使えれば……」


セイバー「エスナ!」バッ


男「違うそれはFFだ!!」

男(けどキアリーやキアリクは違う、はず……やっぱりこのまま待てば…?)

< 「ぅう……っ、ぐぅ…!」

男「?」

セイバー「様子がおかしい……これは!?」

男「痙攣…? 心臓発作か何かか……!」

セイバー「お、男さん! どうしたら……」ガシャッ

男(恐怖か何かでおかしくなってしまう事は有り得るのか……どうすりゃいい)

男(俺に、そんな都合の良いことなんて……)




『 ゆっくり、ゆっくり深呼吸して……? 』




男「……」

男「……じーさん、起きろ」ペシペシッ

613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 20:41:17.36 ID:FvTagl3AO
まさかのビンタ
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 20:51:52.85 ID:Hxw+K7CNo

セイバー「ちょっ!? なにを……」

男「片っ端から叩き起こせ、高齢者から順に」ペシペシッ

男「じーさん、起きろー」ペシペシッ

セイバー「それで……!」


< 「ぅ……あ…?」


セイバー「……!」

男「うし、起きたな」ぐいっ

男「よくがんばったなじーさん、もう大丈夫だぞー……」ギュゥッ

男「ゆっくり深呼吸しろな、ゆっくりだぞー……」


セイバー「……」


男「…?」

男「なにしてんだ、早くしろって」

セイバー「は、はいっ」ガシャッガシャッ


セイバー「もう大丈夫です! 起きてください! 目を開けて!」ユサユサ

< 「あぁあああああ!!」

セイバー「起きて! 起きて!」


男(……)


615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 21:12:05.44 ID:Hxw+K7CNo

男(これだけじゃ駄目だ、これだけだと端からおかしくなる)

男(理屈は……勘だけど分かった)

男(皆は見ているんだ)


男(『悪夢』を)


男「……すぅう…ッ」バッ

男(夢を見ている筈なんだ、これじゃ駄目かもしれない、駄目ならもう俺はこの人達を一人ずつ起こすことしか出来ない)

男(夢ならば醒める)

男(悪夢から逃がしてやればいい……その筈なんだ)ググッ

男(大丈夫だイメージしろ、今のところ作品の共通点は分からねえが……メラが使えて使えない道理はない)


男(主任は言っていた、『ギラ』の特性が違うことがある…って)

男(ならつまり…同じ魔法でも使う者によって形は変わるんだ)



男(皆を起こす……この魔法で!!)



男「 『ザメハ』 !!」


キィインッ

616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 21:35:17.82 ID:Hxw+K7CNo



< 「……っ、あれ……私…何を…」

< 「すごい汗だく…なんか怖い夢見てた気がするな……」

< 「はぁ……はぁ……?」

< 「おかあさん、セイバーのお姉ちゃんが助けてくれたんだよー」

< 「あ、あれ…? さっきまで緑の触手の化け物が浮いてたような……」



─────── 「「ザワザワ……」」



セイバー「……」

男「成功、だな……」

男「……っ」ぐらっ

男「やべ…魔力持ってかれた…のか……」へたんっ…

セイバー「男さん、とりあえずここを離れます」ガシッ

男「へ…?」


セイバー「掴まっていて下さい」バッ!

男「うぉおっ!」



617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 21:51:06.05 ID:Hxw+K7CNo

【路地裏】


< ガシャッ

セイバー「大丈夫ですか、男さん」

男「……魔法を使いすぎると…意識が混濁するんだ、店員も気をつけろよ…」へたっ

セイバー「魔術回路を酷使したんですね」

男「ごめん分からん…っ」

セイバー「えっ」


< カシュンッ

店員「っと」スタッ


店員「男さん、Fate知らないんですか……」

男「……服が消えた」

男(そういや剣もいつの間にか消えてる、ただのコスプレじゃなかった……のか、どういう仕組みだ…?)

男(この女……何者……)グラァ…

< ドサッ


618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 21:57:36.28 ID:hNQxs/t6o
セイバー口調おかしいような
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 22:17:26.53 ID:Hxw+K7CNo
※ セイバーは本家セイバー本人じゃありません、店員が素の話し方になってるのです




──────────・・・


男「ぅ……ん……」

店員「起きましたか」ひょこっ

男「…っ、ツゥ……頭が…」ズキッ

店員「エクスカリバーに聞きました、魔力切れを起こすとそうなるらしいです」コトッ

店員「紅茶どうぞ」

男「……ありがとう」

< ズズ……


男「……はぁ」


店員「ハーゲンダッツもありますよ、ストロベリーですけど」

男「……いや、いい」

店員「男さんも私と同じくサーヴァントに選ばれた方なんですか?」

男「サーヴァント……?」

店員「はい、闇の怪魔達と戦う『ゾーマ派』という異世界から召喚された英霊達の……」

男「ごめんマジやめてちょっと考えさせて……!」

店員「え、あ、はい」

620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 22:23:15.43 ID:hNQxs/t6o
ああ、ですます口調は店員としての演技で、本当は〜だっていう口調なのか
セイバーになりきってるにしては喋り方違うと思った
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 22:45:51.08 ID:w+MZUR4io
いやですますが素でしょ
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 22:52:08.23 ID:Hxw+K7CNo
>>620そこに加えて『店員』としての仕事柄も彼女の口調に落ち着きを与えておらず、バラバラになりがちですね。〜だ、が彼女の素の口調ではありませんがセイバーの口調とは違う『崩した敬語』は彼女の素となります。
(ちなみにFate/staynight&Zeroでのセイバーというキャラクターの口調は基本は敬語となります。)
気になる方の為に一応減るものでもないので説明しておきました。
Fateシリーズに興味を持たれた方は是非とも原作或いはアニメをお買い上げ下さい。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 23:08:11.67 ID:Hxw+K7CNo

男(……この子に説明させるにしても常時自分の世界に入ってる感じだ、結構気になるポイント多いがこれは…)

男「……エクスカリバー、って?」

セイバー「私の宝具です」パサッ

男「いやヅラ着けなくていいからいいから」

店員「むぅ……ちぇー」パサッ

店員「エクスカリバー、出てきて下さい」


< スゥゥ……

赤い剣…?「大丈夫なの、この人間」


男(うををぉおい喋ってるよこの剣んんんん)真顔

店員「問題ないと思いますよー? 彼、あんなに沢山の人を助けてくれましたし」

赤い剣…?「ふぅん」

赤い剣…?「他の二人は呼ばなくていいわ、私が話すから」

店員「分かりました」


ブラッドソード「初めまして人間、私は『ブラッドソード』」

ブラッドソード「こちら側とは異なる世界から来た、モンスターよ」



男「……」

男「ゾーマに言われて……味方になったモンスターか」

ブラッドソード「グッド、凄いじゃないセイバーこいつ当たりよ」

店員「ふぇ?」

624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 23:10:12.05 ID:hNQxs/t6o
>セイバー「曖昧な事を、本当に問題ないのだろうな」

>セイバー「……ゲームだと?」

>セイバー「遊んでる場合じゃないんだぞ!」

ここらへんどの媒体のセイバーとも違うなーって思ったからさ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 23:17:50.95 ID:T6PSJAQwO
まさかドラクエのssでセイバーの指摘が入る日が来るとは
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 23:23:01.34 ID:Hxw+K7CNo

──────────・・・




< ガチャッ

男「ただいまー」

店員「お、お邪魔しますー……」


主任「男さん、その方がさっき電話してきた時に話した……例の?」

男「奇跡ってあると俺は本気で思いました」

主任「……目の下にクマが出来てません?」

男「ここに来るまでのタクシーの中で物凄い話をされて……」

主任「はぁ」

店員「あ、これどうぞ私の友人のサークルで作ってるアホ毛モナカです」

主任「え? はいありがとう」

店員「ちなみにこのアホ毛はFate/EXTRAのセイバーをモチーフにしていまして……」

男「ストーップ、マジでやめてその人俺の元上司だからやめて!」


主任「セイバーのアホ毛って別に作品ごとの違いなんてないと思いますけど」

男「主任!?」

627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 23:25:35.43 ID:FvTagl3AO
まあ10年位人気なゲームだからね。
ファンがいても不思議ではない。
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/20(日) 23:30:30.35 ID:tf52lzHTO
赤セイバーはちょっと長いんだよな。
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 23:36:59.23 ID:Hxw+K7CNo

< スゥゥ……


ブラッドソード「こんな短期間で仲間を見つけるとは思わなかったわ、だいぶ希望が見えてきたじゃない」


地獄の鎧「……ブラッドソード、か」

ベホマスライム【ホヨヨ…】キッ


ブラッドソード「大丈夫よそこのスライムさん、私もまた貴方達と同じくゾーマ様にお声をかけられた者なのだから」

地獄の鎧「フム、だが他の二匹は何者だ」

ブラッドソード「分かるの?」

地獄の鎧「『レムオル』ではないな、恐らくはエレメント系のモンスターか……物理的に姿を消そうと気配は漏れているぞ」

ブラッドソード「あら怖い、思ったより血の気が多いのね」

地獄の鎧「……」

ブラッドソード「でも安心して、私達はセイバーが戦う意思を見せない限りは危害は加えないから」

地獄の鎧「ゾーマ様に誓ってか」

ブラッドソード「我等が王に誓って、よ」


男(……男です、この3日で胃がマッハで穴が出来そうです)

主任(男さんの顔色悪いですね……大丈夫かな)

店員(あの鎧完全にランスロットだよぉ……うわぁ、写メ撮ってもらお……)

630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 23:46:45.76 ID:Hxw+K7CNo

ブラッドソード「元々、私達とセイバーは一ヶ月前に出会ったのよ」

ブラッドソード「それもセイバーの実家、北海道でね」

男(……たった一ヶ月?)

ブラッドソード「私達がゾーマに言われたのは一つだけ、彼女に付き従い戦う事」

ブラッドソード「じごくのよろいみたいに漠然とは言われてないわねー」

ブラッドソード「でも、これでやっと今こちら側で起きてる事が分かったわ……元指揮官級のモンスターと合流出来たのは奇跡よ」

地獄の鎧「同感だ、一体どれほど前からどれだけの数がゾーマ様の配下になったかは知らないが高い確率ではあるまい」

ベホマスライム【……】キッ

店員「…?」


主任「ベホマスライムさん、どうかしましたか」

ベホマスライム【……ホヨヨ】フルフル

主任「?」


ブラッドソード「さて、それじゃ互いの知らないことの情報交換と行きましょうか」



631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/20(日) 23:59:21.27 ID:Hxw+K7CNo



地獄の鎧「うむ……分かった事としては、『北海道の指揮官級は全て撃破されている』」

地獄の鎧「そしてそれをやったのはそこの店員という女一人」

店員「です!」

地獄の鎧(……私と同レベル帯、恐るべき成長速度だ……いやそれ以前にこの人間はどれだけ戦えばそこまで到達できるのか)

地獄の鎧「一時的に里帰りしていた店員と会った貴様ら三匹は共に東京都へ戻ってきた」

地獄の鎧「そこから幾つかの指揮官級を撃破、今日たまたま男と遭遇し更に指揮官級二体を撃破……」

地獄の鎧「……そして都内の大型森林公園で『渦』の出現、か」


男「前半の話が凄すぎて気持ち悪い嘘に聴こえる」

主任「普通に嘘なんじゃないですか」

店員「ほ、本当ですよー……」

ブラッドソード「まー北海道の指揮官の最後の一体は私達が彼女と消したから嘘っちゃ嘘ね」

632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/21(月) 00:14:47.69 ID:HIwOAVpvo

ブラッドソード「それにしても厄介な話ねー……ここの所、やけに敵がしぶとく感じると思ったら依り代を手に入れてたなんて」

ブラッドソード「おまけにそっちでも人間の味方は少ないし、例の『こちら側に来ている人間達』の影も掴めてない」

主任「それらしき人に助けられてはいますよ」

ブラッドソード「確証がないわね、私達みたいなエレメント系のモンスターが味方になっていたのかもしれない」

地獄の鎧「同感だ、この状況になっても接触がない時点で我々の世界の人間とは考え難い」

主任「なるほど……」

男「ってか、ヤバくないか? 都内にあの黒い渦……つまりこっちへ来るための旅の扉みたいなのが開いてんだろ?」

男「そろそろ来るのか…? もっとヤバい奴等が」


ブラッドソード「分からない、通常はこちら側へ来る瞬間に開くものが何故か数日開いたままなの」

ブラッドソード「警察という機関がその公園を封鎖してる、けど特別何か出来るわけじゃないみたいね」

地獄の鎧「……通常はと言ったな」

ブラッドソード「ええ」

地獄の鎧「私もあの渦に関してはそういった事象しか知らぬ、何かあるのか」


ブラッドソード「仲間の、姿を消してる奴の片方だけど……そいつが私達とこちら側へ来る時に渦が開いたままで2日経った事があるの」

ブラッドソード「元指揮官級でもわからないならそこまでだけど、どう?」


地獄の鎧「そこにいるんだろう、出てきて話したらどうなのだ」



< 「……」



店員「…!」

店員「分からないそうです」

地獄の鎧「ほう」

633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/21(月) 00:24:10.93 ID:HIwOAVpvo

地獄の鎧「余程その姿を見せるのが嫌らしいな」

< 「……」

店員「恥ずかしがりやさんですよきっとー」

ブラッドソード「多分セイバーのせいよ」ボソッ

店員「え?」


男「とりあえず行ってみるか、今夜」

主任「その公園にですか」

男「ああ、このメンツで行けば何が相手でも負けはしないと思うぜ」

ベホマスライム【ホヨヨ】ブンブンッ

地獄の鎧「我等は今夜は駄目だ」

男「なぜ?」

地獄の鎧「主任との訓練で消耗している、魔力を回復させなければ指揮官級との戦いで不利になる」


ブラッドソード「なら明日の夜、またこの家に集合でいいかしら」

店員「あれ、私達だけでも行かないんですか?」

ブラッドソード「セイバーを寝かせないといけないからね」

店員「え、大丈夫ですよそんなー」

ブラッドソード「駄目よ、もう8日も寝てないわアナタ」


男「なっ……8日!?」

主任「それは……確かに寝たほうが良いですね」

店員「えー、せっかく同盟組んだのにー……カッコ悪い」

634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/21(月) 00:44:11.67 ID:IctsytYko
恥ずかしい、セイバーのせい…あっ(察し)
後わざわざ同盟って言ってるところとか細かいな
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/21(月) 06:39:12.83 ID:IcwHKfmSo
成りきり思い込みで強くなるタイプか
丁度、力の引き出し方と相性良かったんだな
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/21(月) 07:58:58.17 ID:vrjOJW5mO
>>624
おたくって怖い
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/21(月) 08:11:13.96 ID:/ozACJhH0
店員は戦闘の天才かなんかかな
久しぶりにぶっ通しで読んじゃったよ
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/21(月) 22:22:36.33 ID:RgVuxPDFO
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 10:28:53.57 ID:kzMwgpIcO

< 「それでは男さん! また明日〜!」

< 「夜なんだから大声出したら駄目よセイバー」


< バタンッ


男「……だぁー、なんか疲れた」

主任「そうですね……モナカ美味しかったですが」モグモグ

男「食っとる……」

地獄の鎧「ところで男よ」ギシッ

男「ん?」


地獄の鎧「貴様、何故にその『いべんと』とやらに遊びに行っていたのだ……?」ギシッ


男「……」

地獄の鎧「……」

男「ハハッ」

地獄の鎧【シィィッ!!】


640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 10:41:40.09 ID:kzMwgpIcO

< ギャースッ

< ガッシャーンッ ドゴォッ


主任「それにしても、こんな偶然が連日続くなんて……どれだけの確率なのか」

ベホマスライム【……】

主任「……ずっと黙っていましたね、それも先ほどの店員さんを見ていた」

主任「何かあるんですか?」

ベホマスライム【ホヨ…】フルフル

主任「そうですか、でも何かあれば教えてくださいね」

ベホマスライム【ホヨ…】コクン






ベホマスライム【(……じごくのよろいは気づいてないみたいだったけれど、あの人間から只ならない気配を感じた……)】

ベホマスライム【(恐らくは魔王級、或いはその眷属に類する者から漂う魔力のせい……)】

ベホマスライム【(私とじごくのよろいが二人でかかっても勝てない、そんなモンスターが店員という人間の味方をしている)】

ベホマスライム【(ゾーマ様は、一体何を考えてそんな怪物を……? いいえ、そもそも……)】


ベホマスライム【……】

男「ぐほぉおおおおおっっ!?」ドサァアッ

ベホマスライム【ホヨー】つ ベホマ

男「……ありがと」


641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 11:38:10.35 ID:JMqXvoTIO
━━━━━━━━ 【夢】



……その日はいつも通りの朝。


……私は壁に貼ってある ━━ザザッ━━ を眺めて、少し気持ちを上げてから寒い外に出る。


……私の住む ━━ザザッ━━はとても寒くて、特に近くに町らしい建物すら見えないくらいの田舎だから、少し寂しい。


……けど私は好き、この白い雪が。


……いつかは都会に出てこの雪を見れなくなると思うと、ちょっと残念だけど。


……でも、それはそれ。


……私はこのまま頑張れば来年にはきっと ━━ザザッ━━で ━━ザザッ━━になって……


…………一度、満足が行ったら私はまた別の事に挑戦する。


……だって私は多分、出来ない事なんてないから。


……私はきっとそんな毎日を送れると思う、それできっと私は……






━━━ザザッ━━ ザザァーッ ━━━━━━

━━━━━━━━━━━━ザザザッ ━━━━━━━━







642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 11:52:16.78 ID:JMqXvoTIO


男「……」

男「今の……夢…?」むくっ

男(体が妙に重い、夢の中で軽かったからか)

男(変な夢だ、何だって雪景色の似合うJKなんぞの夢を見にゃならんのだ……溜まってんのに)

男(……)

男「たまには一発……」ぬぎっ



主任「起きてますか? 男さん」ガチャッ



男「 」

息子『(・∀・)ノ』



主任「……」

主任「ヒャダr…

男「待ってやめろぉおおおお!!」ダッ

息子『(/\)< キャッ \(^o^)/< キャッ』ブルンッ


主任「いやぁああああ!!?」

643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 13:26:04.22 ID:JMqXvoTIO

男「……昼間でも戦える場所?」

主任「そんな所があるんですか?」


セイバー「はい、東京都内とその周辺で数少ない、いわば『狩り場』とも呼べる場を見つけています」

セイバー「昨夜の話から察するに昼間は余りそういった活動をしない様ですし、共にどうかと」

男「お供のブラッドソードとかは?」

セイバー「彼等は私の近くに居ますが、今日は手出しをしません」

セイバー「私以外の事情を知る者を見るのは初めてです、この機会に互いの実力を見せ合うのが良いと思いましたので」

主任「なるほど、それはいいと思いますが……店員さんのお仕事は?」




セイバー「セイバーです、それと仕事は今朝辞める連絡をしました」




男「……次々と無職が集まる家」ぼそっ

主任「……何かに取り憑かれてそうですね」


644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 13:43:19.84 ID:JMqXvoTIO

────────── ・・・


男(…………ここは……)

主任「……」

男「おい、封鎖されてるぞ」

セイバー「今となっては誰も近づいてませんよ、問題ありません」

セイバー「警察もどうやら他の事で手が回らないらしく、この『マンション』を昼間訪れる事が無いのを確認済みです」


男(……)

男(主任の住んでいたマンション……じゃねぇか、ここ)

男「主任……」

主任「行きましょう、男さん」ザッ

男「!」


主任「魔物は殺さなきゃ、ですよ」


男「……」コクン

645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/24(木) 14:03:08.57 ID:W6zQNvdGO

< カツンッ……カツンッ……


セイバー「死者は数十人、約43世帯が皆殺しにされた事でここはずっと電力も止められています……点検に踏み入る事すら危険ですからね」

男「43世帯……っ」

セイバー「だからここでは思う存分に暴れても気にすることはありませんよ、見つかっても全力で逃げれば誰も私達に追いつけません」

男「俺が言うのも何だが不謹慎だぜそれ」

セイバー「大勢の死者が出た場所です、それが当たり前でしょう」

< ピタッ


セイバー「……けど私達が戦わなければもっと大勢の死者が出るのは目に見えています、違いますか?」

主任「ヒャド」ヒュッ


< バキィンッッ


セイバー「……」

男「主任! 今のは……ッ」

セイバー「ナイスショット!」バッ

男「っ!?」


646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/24(木) 18:52:04.97 ID:R+Kd5DXuO


647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/12/24(木) 23:17:21.64 ID:CXOiCR/Uo
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 23:33:00.48 ID:z4o9I3shO
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 07:48:25.68 ID:u+T2pgi5O
乙!
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 08:59:20.71 ID:C6jqQMhWo

< ダダッ!

セイバー「ふ……ッ」

───────── ゴッッ!!


【「ぐぁ……ッ!?」】ゴシャァッ!!


< ポワァ……ンッ


男「!?」

主任「姿が見えませんが、モンスターに囲まれているのは確かですね」スッ

男「主任、見えてたんすか…?」

主任「見えないと言った通り、見えてませんよ……ただ」

主任(少しあの子を黙らせようとしただけです)


< ビュッ!

男「っ!」バッ

< ガギィンッ!! ギチギチッ……


男(シャドー…か? 或いはゆうれいとかその辺りのモンスター!)キィンッ

男「メラッ!」


< ボンッ!!


セイバー「お見事」ヒュッ

───────── ゴッッ!!


【「〜っ!!?」】ゴシャァッ!!

< ポワァ……ンッ


651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 09:28:03.49 ID:C6jqQMhWo

男「素手で一撃…っ、滅茶苦茶だな」

セイバー「エクスカリバーが言っていました、私程のレベルならば会心の一撃で倒せると」

男「脱いだらムッキムキなんだろうなそりゃ」

セイバー「ふぇえぁっ!?」ガバッ!!


主任「店員さん! 貴女、このモンスター達をどうやって見破ってるの!」ザッ

セイバー「気配を探ってみて下さい、これも特訓向けだと思いますよ?」

主任「それが出来たなら苦労はしないのよ!」キィィンッ


主任「ヒャダルコ!!」バッ





━━━━━━━ キィンッ!! バキバキバキバキィィッッッ!!! ━━━━━━━





< 【「ォォオオオ……ッ!?」】

< 【「おのれ……まだ此方に顕現したばかりなのに……ッ」】


男(声、主任のヒャダルコで不自然に氷が突き立てられてない位置……冷気の乱れ……)

男(……大体の位置は分かった)チャキッ

652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 10:49:39.52 ID:C6jqQMhWo


────────── ポワァ・・・ンッ



男「はぁ……ッ、はぁッ……」チャキッ

主任「凄い数でした、ね……MPが切れる前に全滅させられて良かった」へたんっ

男「だな、まさか主任の住んでいたマンションがこんな恐ろしいモンスターハウスになってるとはな……」

主任「……」

男「後で俺から事情は話す、けどこうなるとここは彼女の言う通り野放しには出来ないのも確かだよ」

主任「そうですね、分かってます」

主任「だけどあの子は何処か楽しんでいる素振りがあって、そこが私には不愉快で……」

男「それに関しても言っておくよ」

主任「……」


男(に、してもだな……ブラッドソード達は手を出して無いんだろ? なのにこれか)


セイバー「ふー……」スタスタ


男(素手で完全な顕現をしているモンスターを一撃で仕留めてるし、俺や主任とは違って確実に姿の見えないモンスターを捉えてる)

男(俺や主任のレベルが15前後だとして、店員のレベルは幾つなんだこれ)

男(じごくのよろいには見えていた筈だ、後で聞いてみるか?)

セイバー「男、どうかしましたか?」

男「いや……それよりもうモンスターは出ないのか?」

セイバー「ええ、そろそろ出ましょうか」

653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 11:42:58.63 ID:C6jqQMhWo


< スタスタ……


セイバー「……」パサッ

店員「何だかその……ごめんなさい」

男「いやいい、知らなかったのもあるだろうし」

男「君も遊び半分であそこに行っているわけじゃないんだろ?」

店員「……遊ぶ?」

男「何処か楽しんでいる素振りが嫌なんだと、主任が言っててさ」


店員「遊んでなんかないです、私」

男「あー、や、それは分かったけど」

店員「罪のない人が傷つくのを私は防げるなら防ぎたい、ただそれだけですよ? その過程で法律を破ることになるとしても、私達にはそれが出来る力があるんです」

男「……っ」

男(なんだなんだ…?)

店員「力があるのに、それをちゃんと使わないのは……力がない人に対する侮辱、冒涜ですよそんなの」

店員「失礼します……その、主任さんにはごめんなさいとだけ伝えてください」

店員「……帰ります、エクスカリバー」


< ダンッ

< シュタタタッ……!


男(……俺にどうしろと)

男(もう一人男性が欲しい話だぜ……これ)

654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 12:00:01.52 ID:gpTlU7VSO
店員は何か勇者系ともとれるが、何かそのうち他人を大怪我させそうだな
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 12:06:10.73 ID:C6jqQMhWo

━━━━━━━━ 【幻想騎士】



< ギシッ……

地獄の鎧(……濃い魔力を感じて男の家に行かずに来たが、無駄足だったか)ギシッ

地獄の鎧(この国、『ニホン』には多くの神を祀る社や祠があるらしいが)

地獄の鎧(これほど小さな社に、周囲の魔力が渦巻いているとはな……さてどうしたものか)

ベホマスライム【ホヨヨ】

地獄の鎧「やはり社を破壊するか、厄介な事になりそうだ」シャキィ…




< タッタッタッ……!




地獄の鎧「……」ピタッ

地獄の鎧(人間の足音……近いな、この社まで階段を登っているのか)

地獄の鎧(……チィ、仕方ない)シャキッ

地獄の鎧「様子を見るぞ、我が右腕よ」

ベホマスライム【ホヨヨー】

656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 12:21:09.11 ID:C6jqQMhWo

ポニテ「……はぁ…はぁ…」スタスタ……

ポニテ「あー……もう、やだ…っ」


< タッタッタッ……!
< タッタッタッ……!


茶髪「ポニテぇ! アンタ何逃げてんだ、ざけんじゃねえぞテメェ!! 金貸せってすら言ってねぇぞコラァッ!!」

金髪「あたしらが今度の試合に向けて訓練してやるって言ってんだろ、ちょっとこっち来な!」コキッコキッ


ポニテ「せ、先輩……っ…私、そんなのいらないです…っ」

金髪「あぁ? 今日はたまたま あたしらに勝ったからって試合に出させて貰ってさぁ!」

ポニテ「それは前から先生が出してくれるって……」

金髪「それが気に入らねぇんだよオラァッ!!」ブンッ


< バチィンッ!

ポニテ「ぎぃ…っ!?」ドサァッ


茶髪「おい、顔に竹刀は不味いだろ馬鹿、金髪馬鹿」

金髪「っせぇ! こいつ、昼間の稽古の時に私から二本も取りやがって!」

茶髪(え、 こいつそんなんでキレてんの?)

657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 12:33:37.76 ID:C6jqQMhWo

< 「このッ! このッッ!!」

< バシッ! バチィッ!

< 「きゃぁ!! わぁっ……!! 痛ッ……やめっ…ぎゃ……」

< 「お、おい金髪……あんま怪我させたらアタシ達がやばいって…!」



地獄の鎧「……」

ベホマスライム【……】

地獄の鎧(こういう姿を見るのはこれが初めてではないな……全く、何と醜い)ギシッ…

ベホマスライム【ホヨヨ?】

地獄の鎧「よく分からぬが、あの殴られている娘にそこまでの非は無いのだろう」

地獄の鎧「適当に脅かして散らせば良いのだ」チャキッ



────────── ズンッ!!

地獄の鎧「ッ!!」ビクッ

ベホマスライム【ホヨォッ!?】ビクッ



地獄の鎧「この気配……は……」

658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 13:06:02.94 ID:C6jqQMhWo


────────── ズズズズ・・・ッッ



金髪「……?」ピタッ

茶髪「やっと気がすんだか……とりあえずこの事他言されないようにポニテの服脱がして写メを……」

金髪「ねぇ、あれなんだよ」

茶髪「は?」



────── ズズズズズズズズ・・・ッッ



茶髪「神社の上に……黒い穴が……」

金髪「もしかしてテレビでやってるやつじゃねえの!? ほら、イタリアとかアフリカで出てきた『黒い玉』!」

金髪「すっげー! 写メろうぜ写メ!!」


ポニテ「ぅ……あ……ッ…」ヨロッ…

ポニテ(ぁ…あれ…? 私の人差し指…動かない……)




──── ズズズズズズズズズズズズ・・・・・


< ズルンッ




    ドゴォォッ!!



金髪「……ぇ……」

茶髪「ぅ……」

ポニテ「…っ」ヨロヨロ……

659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 13:17:15.79 ID:C6jqQMhWo


トロル【ブォォオオオオッッ!!!】




金髪「きゃぁああああ!!!」

茶髪「ぎゃぁああああ!!!」


< ダダッ!!


ポニテ「ぇ……あ…? 先輩たち……?」

< ヨロッ……

ポニテ「今の…何…?」


トロル【……】ズシンッ!!


ポニテ「……」

ポニテ(え?)


ポニテ(なに、この人…? 人、だよね……?)

ポニテ(私頭叩かれておかしくなっちゃったのかな……)


トロル【ウマソォナ…ニンゲン……ミィィツケタァアアア】ズシンッズシンッ


ポニテ「あの、あれ……なに、なにっ……?」ヨロッ…
                ダダダダッ……!!


      チャキンッッ ダンッ!!



660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 13:29:20.70 ID:C6jqQMhWo

地獄の鎧【シー……ッ!!】ビュバァッ!

トロル【ッ!?】


< ザシュンッッ

トロル【グォオオオッ!!? キ、キサマァ!!】

    ギュォッ……!

地獄の鎧【シィッ……ッ!!】ガギィッ……

地獄の鎧(くっ、止められん……ッ)ミシミシッ……ブワッ!!



< ギュンッ! ズドォッッ! ゴガァンッ!! ガシャァッ……ゴロゴロッ……!!



ポニテ「え? え?」

ポニテ「あ、足が……」カタカタカタ……

ポニテ(怖い怖い怖い……っ、誰か、誰か助けて……っ)カタカタカタ……


トロル【オデノ ジャマシヤガッテェェエ!! ブッコロシテヤルゥ!!】ズシンッズシンッ

661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 13:48:03.39 ID:E7hgKQcAO
痛恨の一撃が決まらなければ、ベホマスライムいるからギリ勝てそうだな。
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 14:21:48.92 ID:C6jqQMhWo

< ガラガラァッ……

地獄の鎧「ヌゥ、『トロル』か……いよいよ八魔将の配下が来るとはな……ッ」ギシッ…

ベホマスライム【ホヨヨー!】ビューン!

地獄の鎧「盾ごと左腕をやられた、ベホマでも感覚が戻るのに時間が掛かる」チャキッ

地獄の鎧「……あの人間の娘を逃がせ、私がトロルを止める」

ベホマスライム【ホヨヨ…?】

地獄の鎧「心配するな、私とてあの程度のモンスターに遅れを取るつもりはない」

ベホマスライム【……】コクンッ


< ズシンッ!!


地獄の鎧【……シー…ッ】

地獄の鎧(……)

地獄の鎧(あの一族を思い出す……私の父を、先祖を倒したあの人間を……)

地獄の鎧(ロトの勇者、貴様ならばこういう戦いにも勝利するのだろうな)

地獄の鎧(無論、私もだが)ギシッ…!


トロル【ブォオオッ!!】ブォッ!

地獄の鎧【シー……】ヒュッ





─────────【『ライトニングソード』】 ─────────




663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 14:31:42.19 ID:C6jqQMhWo


    カッ!!



トロル【  】

< バチバチッ…!!

ズンッッ!!!

トロル【……ッッ!!?】グラッ…

トロル【ヌァニィィ……ッ!?】ブシュァッ……バチバチッ…

トロル【(オ、オデノ カラダ ガ シビレテッッ!!)】ビクビクッ…!!



地獄の鎧【シィィッ……!!】ガシャッ!!

< ヒュンッ……ザクッ

地獄の鎧(駄目押しだ、手負いだと思ってノコノコと近付いてきた貴様のミスだったな!)バリバリィッ…!!



──────── ギィンッ……バリバリバリィィッ!!



トロル【ブヌゥォォオオオオァァッッ!!!】


664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 14:36:46.19 ID:C6jqQMhWo

< ズゥンッッ・・・!


地獄の鎧「……地を走る我が雷、勇者の雷撃には程遠いがそれに近い物なり」シャキンッ

地獄の鎧「貴様が弱くて助かったぞ、トロルよ」


ベホマスライム【ホヨヨー!】ビューン!


地獄の鎧「我が右腕、よく戻った」

ベホマスライム【ホヨヨ…!】ベホマー

< ポォゥ……

地獄の鎧「ウム、感謝する」

地獄の鎧「あの人間の娘はもう逃がしたか」

ベホマスライム【ホヨヨ】フルフル

地獄の鎧「なに?」


< ガサガサッ……


ポニテ「……ぁ、あの…」ガサッ


地獄の鎧「……」


665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 14:52:45.64 ID:C6jqQMhWo

ポニテ「おじさん……っ、あの、ありがとうございました」

ポニテ「助けてくれて……」ポロポロ…

トロル【……〜〜ッッ】ユラァッ



地獄の鎧「!!」

ベホマスライム【ホヨォッ!?】



< ガシィッ……!

ポニテ「わっ…きゃぁあっ!!」

トロル【カ、カラダガタリナイ……オデノカラダ……ニク、タリナイッッ】ブンッ

ポニテ「ひっ……!?」


トロル【イタダキ……マァス……】ガパァッ……!


地獄の鎧(しまった……ッ……)

ベホマスライム【ホヨヨー!】キィンッ

地獄の鎧(ベホマで娘の受ける致命的ダメージを回復させる……! ならば私は……)


地獄の鎧「ッッ……」

地獄の鎧【ッ! シィッ…!!】バチバチッ……


【【剣を振っても間に合う事は無い】】

【【ならば、飛ばせばいい】】

【【あの日、私が見た勇者はその力で父を倒していたではないか】】


【【その呪文の名を私は理解している筈だ】】


666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 15:02:28.88 ID:C6jqQMhWo


トロル【ァアーン……】


──────── カッッ!! ドゴォォッ!!

トロル【〜ッッ!!!?? ッッグォアァッ!!?】バチバチッバリバリィッ!!


ポニテ「きゃぁっ……!!」ブワッ


       ガシッ…!
< ドサァッ!


地獄の鎧「……間一髪か」ギシッ…

ポニテ「ぁ……っ」


トロル【オ、オノレェェエ……ウラギリモノッッ、ウラギリモノォオッ!!】ズゥンッッ

トロル【セッ……カク、ボストロールサマニ、イタダイタ…チカラガァァア…………】

< シュオォオ……

トロル【デ、デモコレナラ……ッ……】





< ポワァ・・・ンッ




地獄の鎧「……」

667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 16:28:25.60 ID:C6jqQMhWo


ベホマスライム【……】ポカーン…


地獄の鎧「……どうした、我が右腕よ」ギシッ…

ベホマスライム【…! ホヨヨ…】フルフル

地獄の鎧「フ、そうか」

< ヒック…ヒック……

地獄の鎧「さて、どうしたものかな」


ポニテ「ヒック……ぅ、ヒック…こわかったよぉ……おじさん……っ」ポロポロ…


地獄の鎧「……」

< ギュッ…

地獄の鎧「あまり泣くな、どうしたら良いのか分からなくなる」

地獄の鎧「剣士の卵か何かなのだろう、貴様は」

地獄の鎧「それにな」ギシッ…



地獄の鎧「……私の体は硬く、冷たいだろうに」


668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 16:37:57.30 ID:C6jqQMhWo


【夜中、男宅】



男「じ、じごくのよろいが怪我でしばらく来れない!!?」



ベホマスライム【ホヨヨー】身ぶり手振り

主任「付近の神社で強力なモンスターと戦い、その際のダメージが当分回復しないようです」

男「ベホマがあんだろ?」

ベホマスライム【ホヨヨ】フルフル

主任「……じごくのよろいは『アーマー系』という特殊な性質があります、見た目のダメージ以外に何かあるんじゃ」

ベホマスライム【ホヨヨ!】コクンッ

ベホマスライム【ホヨヨ、ホヨヨー】身ぶり手振り

主任「……なるほど、それのせいですか」


男「さっぱりわかんねーっす主任」

主任「魔力を枯渇寸前まで使ってしまったらしいです、通常ではそんな事がないので回復の仕方がよくわからないとか……」

男「お、おいおいマジかよそれ……大丈夫なのかアイツ」

ベホマスライム【ホヨヨ】身ぶり手振り

主任「協力者に頼んでいるから、少なくとも明日には簡単な戦闘が出来る様になるらしいです」

男「協力者? 俺達みたいな? もう見つかったのかよ他に!」


ベホマスライム【ホヨヨ…】フルフル

主任「?」

男「なんだ、違うのか…?」

669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 16:54:06.20 ID:C6jqQMhWo

……どの位、前の事だろうか。


たった三週間程度前、俺は更なる非日常が訪れる事を予感して自室で崩れ落ちた。


泣いたのか、絶望したのか、もう覚えていない。


少なくとも希望なんてものはずっと抱いていない。


雨に打たれたままの冷えた体で、俺はずっと先の事も過去の事も考えられずにいるのだ。


店員という女性、そしてじごくのよろいとベホマスライムというモンスター達。


彼等に出会い、話をしても俺は何も考えられないでいる。


疲れた。


疲れたのだ、俺はきっと。


だから脳は浅い眠りの中で俺の記憶を整理しようとして夢を見せているに違いない。


でなければ、これは何の意味があるのだろう。




「嫌っ……やめて、やめて下さい…やぁ……ッ」

「動くんじゃねぇ!!」

ガッ!

「……〜〜っ」




何もない雪景色の中で、制服らしき物を着た少女がもがいている。


人の腰まで積もり、掻き分けられて壁の様になっている雪の中に押さえ付けられて。


顔は見えない、悲痛な声を漏らして自身に覆い被さる男に何度も手足をぶつけている。


しかし男は止まらない。


少女は次第に繰り返される暴力と、雪の冷たさに弱々しくなっていった。


何だこれは。


俺の夢にしては悪趣味だった。


だから、これは疲れているに違いない。


俺は……生きる事に疲れているんだ。


そうだ、あの時俺は死んだ、死んだ、俺は死んだ。


四年前……皆と死んだんだ。



670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 17:17:13.41 ID:C6jqQMhWo

「目を、目を覚まして下さい……!」


男(……)


「戦士様、目を覚まして……っ」

< ユサユサッ

「お願いっ……消えちゃ駄目……」


男「……んぅ…っ、だれ……だよ」むくっ…

男「…………」ボー…

男(寝ぼけてた、か……)

男(そろそろ起きるかね、今日はメラミの練習でもしてみるか)スッ


男(……)ぶるっ


男(何だ? 悪寒じゃない……これは……)


< ドタタタッ!

< ガチャッ!

主任「男さん! 起きてますか!?」

男「どうした?」

主任「来て! テレビで今……大変な事に……っ!」

男「……!」


671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 17:38:44.28 ID:C6jqQMhWo

< 『こちら中継の○○です! 現在アメリカ、ニューヨークのエンパイアステートビルが見えるブロードウェイ周辺に来ています!』

< 『見えますか!! ビルの頂上に黒い球体らしき物が見えます!!』

< 『周囲には武装したアメリカ兵の姿などもあり、ただならぬ雰囲気が出ております!』


男「……これ」

主任「他にも! ネットの書き込みで北朝鮮の上空に二つの、アメリカで確認されている黒い球体が目撃されているんです!」

男「一気に出てきたな……ヤバいんじゃないのかこれ」

主任「他にも有りそうですけど、ネットやテレビで見る限りでは今はこれしか分かりません!」

主任「どうしよう……このまま見てるだけって訳にも……」

男「様子を見るしかないと思うぜ、後はじごくのよろいに聞こう」

主任「でも……!」

男「場合によっては俺達じゃ何も出来ないかもしれない、冷静に行こう」

男(……本当は俺の方が冷静になれねーんだけどね!)

男(いやいや、待てよ待てよこれ……! じごくのよろいが言っていた事やあの時の死神が言っていた事から考えるに……相当ヤバいのが来るんじゃないのか)

男(まるで強くなれてない俺が、主任が、戦えるわけがない!)


< 『……続いて今情報が入りました、都内の封鎖されていた大型森林公園で動きがあった模様です』


男「!」

主任「男さん……これ……」

男「……」

男「何かあるとしたら、日本もいよいよヤバいかもね」

672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 18:10:41.56 ID:C6jqQMhWo


男(……どうする)

男(とにかく今は店員を呼ぼう、何かあっても彼女がいればそうそう死にはしない)ピッ

男(それから、じごくのよろい……弱っているなら呼びに行くか)

男(せっかくの『仲間』なんだ、ドラクエ的に見捨てるのは抵抗がある)

男(後は……そうだ)


男(妹、家族に連絡を……)

< キィンッ

男(……え? いや、俺の家族は四年前に事故で……何言ってんだろうな俺、くそっ)ブンブンッ


主任「男さん」

男「店員に来てもらう様に言ってくれ、俺はじごくのよろいを連れてくる」ギシッ…

主任「剣を剥き出しで持っていたら捕まりますよ…?」

男「捕まる前に逃げる、それにギターケースに入れていたら何かあった時に動作が遅れちまう」

男「何かあったら連絡を! 行ってくる!」

主任「待って……」

< ガシッ

男「…?」


主任「……早く戻ってきて……」


男「……」

男「直ぐ戻る」

673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 18:16:48.89 ID:C6jqQMhWo


────────── ダンッ!! シュタタタタッ・・・!


男(街に人の気配がない……皆家に籠ってるのか)ダダダッ

男(それに……あちこちからモンスターの気配がする、今日は空が曇っているからか……!?)ダダダッ


< ヴオゥンッ

さまよう鎧【シー……】チャキッ


男「邪魔だァ!!」ダンッ!!

男( ─────『兜割り』─────!!)グルンッ


< ガギィンッッ

さまよう鎧【ー!?】ガシャァッ

< ポワァ……ンッ



男(……急がねぇと、なんか嫌な予感ばっかしやがる)

674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/25(金) 18:53:21.52 ID:qfPkvw/ZO
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 18:55:37.16 ID:C6jqQMhWo

【神社】


地獄の鎧「……!」シャキンッ

ベホマスライム【ホヨヨ!!】バッ


男「まてまて、俺だ!」スタッ


地獄の鎧「男か、何が起きているのだ」

男「他の国で一斉に黒い渦が出現した、それに何かおかしい! モンスターの出現頻度が増えてる!」

地獄の鎧「『衣の残梓』が出現する要因は分からん、だが自然発生でないのも確かな様だな」

男「ああ、とにかく来てくれ! 店員も呼んである!」

地獄の鎧「……私は行けん」

男「何でだよ!」

地獄の鎧「あと一時間しないうちに、ここへ協力者が私の体を回復させる効果のある物質を持ってくるのだ」

男「じゃあそいつも……って、連絡先わかんねぇのか」

地獄の鎧「そういうことだ、私が迂闊だったとはいえこの危険な時に放っておく訳にもいかんのだ」

地獄の鎧「それにここはこの地区では最も魔力が渦巻く霊域とも呼べる、私の回復を早めるならばこうするしかあるまい」

ベホマスライム【ホヨヨー】


男(……となるとじごくのよろいにはベホマスライムが必要か、コイツらの連携は俺がよく知ってる…強さも)

男「分かった、その協力者と合流したら俺の家に来てくれッ」


地獄の鎧「了解した」

ベホマスライム【ホヨヨー♪】


男(仕方ない、戻るか……!)バッ


676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/25(金) 20:58:03.55 ID:C6jqQMhWo


────────── ・・・



機動隊員A「三佐、本部から報告です!」

三佐「駄目だったんだろ?」

機動隊員A「……はい、まだ何も起きていない以上は付近の住民を避難させるしか出来ません」

三佐「チッ、陸上自衛隊をここに配置して欲しかったんだがな」

三佐「場合によっちゃ、俺等の装備じゃ勝てねぇのが来るかも知れないぜ?」

機動隊員A「……そうなったらどうなるんでしょう、俺達」

三佐「運がよけりゃゲームみてーに半殺しで金も奪われて教会か総理大臣のとこ、現実的に見ればまぁ殺されるわな」

機動隊員A「総理、びびりますねそれ」

三佐「むしろ俺がびびるわ」


三佐「で、例のあれは?」

機動隊員A「設置完了、前代未聞の量ですよ……バレたら間違いなく刑務所ですこれ」

三佐「何か起きたらその瞬間に吹き飛ばす、責任は俺が取る」

機動隊員A「その時は教えてくださいよ、スクルトかけますんで」

三佐「いや、常に隊にかけておけ」

機動隊員A「えっ?」


677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/26(土) 07:42:18.38 ID:S9xtus70O

< カシャッ…

三佐「……街の其処らからモンスターの『あれ』を感じる、近頃増えてきた高位のモンスターが襲ってくるかもしれねぇな」

三佐「スクルト、スカラを使える隊員を掻き集めて全員にかけろ、臨戦態勢に移れ」

機動隊員A「はっ!」ザッ


三佐(……あの黒い渦、見てるとどれだけの武器を持ってようと不安になってくる)

三佐(あれはただのモンスターが出てくる『穴』なんかじゃない、もっと人類が見ちゃいけない様な禁忌の代物だ)

三佐(世界がこのまま破滅するんだとして、その原因はきっとアイツだ)

三佐(そんなことを確信できる、あの渦は……)





< ポツッ……

< ポツッ……ポツッ……





三佐(雨か?)

三佐(今日は曇るだけだったと思ったが……)

三佐「……」

三佐「……聴こえるか狙撃班」スッ

< ガガッ『どうしました三佐殿』

三佐「あの黒い渦を撃て」

< 『……は?』

三佐「許可する、今すぐ撃て」

< 『ちょ、しかし今は……』


三佐「撃て」


< 『……了解』ガガッ


678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 08:58:49.37 ID:A/D/lnNLo
黒い球体「あーたーら、しーいあーさがきた」

黒い球体「てめぇ達は今からこの方をやっつけに行って下ちい」
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/26(土) 19:02:44.74 ID:S9xtus70O


────────── ッ・・・!


< チュィンッッ


三佐(……ッ!!)バッ

三佐(弾かれた…!! 野郎、ずっとあの中から見ていやがったな……ッ)

三佐「総員戦闘開始ッ、黒い渦に攻撃せよ!!」

< ガガッ『『了解!!』』


三佐「くっ……!」ガシャッ

──────── パラララララッッ!!!





< ギギギギィンッッ ガキィンッ!! チュィンッッ

< バッ!!


地獄の騎士【カタカタカタカタッッ】ジャキキィッ


< バッ!!

< バッ!!


ラゴンヌ【グルルルッ……!!】ズシッ…

トロル【タァダイマァァアアア!!】ズシンッ

トロルB【ブォォォオオオオッッ!!】ズシンッ




三佐(『じごくのきし』か『ソードイド』か……それに続いて、『ラゴンヌ』と『トロル』……!!)パララララッッ

三佐(まだ出てきてやがるぞ……!?)ガシャッ

680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 22:30:18.74 ID:rx8L8qrSO
(アカン)
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 11:35:42.34 ID:Vb3SwfwCO
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/28(月) 05:22:42.18 ID:4r9a9F6no

< ガガッ『公園東、B班です! 本部から支援不可の連絡が……』

三佐「!?」

三佐(ここ以外にも同じ事が起きているのか……? 何にせよヤバいって事か)

三佐「こちら三佐、公園中央に近い班はスクルトをかけ合いながら退避せよ!」

三佐「黒い球体周辺に設置したC4爆薬を起爆する!!」

< 『『了解』』ガガッ


キメラ【ギャァァアッ!!】バサバサァッ


三佐「チィッ」パララララッッ!!

< ポワァ……ンッ


地獄の騎士【カタカタカタカタッッ】ビュバッ!


    キィンッ!
三佐「『ピオリム』……ッ」ヒュッ

< ガゥンッ! ガゥンッ!
          ガィンッ!! ヂュィンッ!!

地獄の騎士【「馬鹿め、銃なんて分かりやすいモンに当たるかよォッ!」】ジャキキィッ

三佐(至近距離で45口径を弾くか……っ、今までとは別格だぞコイツら!!)ガシャコンッ!

地獄の騎士【「死ね!!」】シャキンッ



    ズドンッッ……!!

地獄の騎士【 】ゴキャァッ……

< ドサァッ……ポワァ……ンッ



< ガガッ『アンチマテリアル、効いてます……狙撃に弱いという情報は確かな様です』

三佐「助かった狙撃班、このまま頼む! 他の班も恐らく苦戦してる筈だ」

三佐(今のうちに……起爆する、退避が済んでない班もいるかもしれないがこのままでは街に流れるかもしれねぇ)カチッ

683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/28(月) 06:00:56.63 ID:4r9a9F6no




       【『マヒャド』】





────────── ドォウッッ!!!
       ギィィンッ…!! バキバキバキパキキキィィインッッ!!! ───────





三佐「…………な……」

< ガガッ『ぅ、うわぁああああっ!!?』

< ガガッ『助けて隊長!! 隊長ぉお!!』

< ガガッ『ひぎぃぃいいいっ!!』

< ガガッ『こ、氷が……ッ! 氷が体を…………』


三佐(爆薬が起爆したのと同時に……何が起きた……)

三佐(爆発を覆うように巨大な氷山がまるごと落ちてきた……そんな風に見えた……)ガクッ

三佐「……全員、動けるか…?」ガガッ

< ガガッ『こちらA班! 三佐殿、こちらへ来てください! 貴方の居る位置は敵の出現域に近すぎる!』パララッ!! パララララッッ

< ガガッ『こちらB班……仲間が三名やられました』

< ガガッ『こちらC班、一名負傷! 後退しながら狙撃班と協力して敵を撃退しています……!』タッタッタッ…


三佐「全員、この地区から撤退……爆薬は不発、幾つかの班は恐らくあの氷山に潰されている」

三佐「周囲のモンスターも多少は巻き込まれている、逃げるならば今だ……」

< ガガッ『隊長…?』

三佐「無意味に死ぬ必要はない……撤退だ」



三佐(……クソッ!!)


684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/28(月) 06:14:38.41 ID:4r9a9F6no
────────── ・・・


男「主任! 今戻った!」ガチャッ


セイバー「男、行きましょう」

男「店員……!」

主任「お帰りなさい……でも男さん、このまま様子を見ているわけにいかなくなりました」

男「なんだ、どうしたんだ?」

セイバー「例の公園で怪魔達が一斉に現れました、待機していた機動隊も撤退した事から恐らく太刀打ち出来なかったのでしょう」

男「……モンスターは強いのか?」

セイバー「現時点では男や主任でも苦戦は免れません、しかしこのまま放っておく事はもっと出来ない」

主任「行きましょう、男さん」

男「……」


男「先頭は頼んだぜセイバー」


セイバー「ええ」

主任「頼りにはしていますから、お願いしますね」

685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 01:20:28.82 ID:YCgoeG06O
激烈乙
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/29(火) 02:05:27.38 ID:eidosOcSO

荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」

信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
鳥なんだから鶏肉だろ?自分が世界共通のルールだとかでも勘違いしてんのかよ」

鶏肉(とりにく、けいにく)とは、キジ科のニワトリの食肉のこと。
Wikipedia「鶏肉」より一部抜粋

信者「 慌ててウィキペディア先生に頼る知的障害者ちゃんマジワンパターンw
んな明確な区別はねえよご苦労様。
とりあえず鏡見てから自分の書き込み声に出して読んでみな、それでも自分の言動の異常性と矛盾が分からないならママに聞いて来いよw」

>>1「 ターキー話についてはただ一言
どーーでもいいよ」
※このスレは料理上手なキャラが料理の解説をしながら作った料理を美味しくみんなで食べるssです
こんなバ可愛い信者と>>1が見れるのはこのスレだけ!
ハート「チェイス、そこのチキンを取ってくれ」  【仮面ライダードライブSS】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450628050/


>>1を守りたい信者君が取った行動
障害者は構って欲しいそうです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451265659/
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 07:43:47.06 ID:gTxPW636O

熱い展開好き
688 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/08(金) 08:49:15.91 ID:hD4wMziAO
まだかな?
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/22(金) 19:36:10.63 ID:S0NpJ8mbO
マダー?
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/28(木) 13:16:50.20 ID:W5gMUDNH0
保守
691 : ◆3Jh764FmrU [saga]:2016/02/01(月) 15:43:19.35 ID:Msg+xyzno
あけましておめでとうございます
相も変わらぬ遅筆でありますが、今年中に完結させる事を目標とさせて頂きます
>>1ですが、今週末辺りに再開します

最近はFGOでヒロインXを呼符一枚で手に入れて無課金なりに漸く星5がお迎え出来て嬉しさの余りにブレイクダンスを踊っていました
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/01(月) 15:45:26.33 ID:S0wwO2XFo
白アサシン→ああ、またけーかちゃんか……→変化エフェクト→金色アサシン→
!?→ジャックちゃんだと思った?ヒロインXでした!

アレはビビるね
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/01(月) 15:46:28.61 ID:MlP0nQmcO
>>691
期待してる
おめでとう
自分も無課金で沖田無双してるよ
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/01(月) 19:06:39.46 ID:JjiDcKnqo
C←最近支援って意味だと知ったよ…

という訳で置いておくわ つC
695 : ◆3Jh764FmrU [saga]:2016/02/08(月) 12:03:39.55 ID:LRqJVUaTO
申し訳ありません……聖処女様が降臨されたので少し延期します
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 12:40:06.40 ID:fxJweRcRo
裏山
取り敢えず何とコラボするか楽しみだわ
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 16:40:35.14 ID:8jM1xky40
おのれジャンヌゥ……
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/08(月) 18:54:12.05 ID:72jRI2IYO
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 20:51:38.35 ID:bcgHFL1Ko



──────── ゴッッッ!!!


……何度も打ち鳴らされる轟音に耳が慣れてきた頃、俺より少し前を走っていた主任に追いついた。

主任と俺はセイバー……つまり店員を先頭にして家を飛び出したものの、セイバーとは少し距離が出来ていた。

追い付けないのだ。

主任のピオリムで加速しているにも関わらず俺と主任よりも早く走り……その上、先程から視界に入ったモンスターを全て一撃で倒している。

まさに無双、もうあいつ一人で良いんじゃないかな? と言いたくなる程に。

ただ……


男「とは言え……なんか、焦ってないかあの子」

主任「やっぱりそう見えますか」タンッ

男「ああ、上手く言えないけど……こう」


前日の彼女を見ていた俺は、荒々しく走りながらモンスター達を片手間に粉砕する姿に違和感があった。

表情は分からない、俺も店員も相当速い速度を出して走っているから見えないのだ。


しかも追い付けない。



男(……上手く言えないけど、なんか……俺みたいだ)



700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 20:52:23.47 ID:bcgHFL1Ko

セイバー「男、主任、二人ともついて来れてますか?」

男「何とかなッ……少しは振り向いて聞いたらどうだ!」

主任「本当にね……!」


降り落ちる雨に濡れながら、俺達は森林公園に向かう。

屋根を、建物を、途中で現れるモンスターを退けながら飛び越えて行く。

目的の地区までそれほど時間はかからない、実際には交通機関を駆使しても一時間半はかかった筈だが。


そうして、俺達は異変に気づいた。


    ……ォォン…ッ

男「!」

主任「男さん、今の!」

男「『銃声』……撤退した機動隊なのかもしかして」ズザァァッ

男「セイバー!」


咄嗟に足を止めると、俺は前方を走っているセイバーを呼び止める。

現状、もしも機動隊がまだ近くにいるなら多少のリスクは覚悟して公園の事を聞いておかなければならない。

しかし。





……俺の声に応じたセイバーが戻ってくる事は無かった。





701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 20:52:52.54 ID:bcgHFL1Ko

刹那に、俺は半ばその前兆の様な物を見ていた。

視界の端で何かに気付いた主任が取り乱した様子で俺の呼び掛けに重ねて、声を挙げようとしていた。

その姿に俺も何らかの反応をしようとした。

だが、俺の声にセイバーが応じなかったのと同じだ。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そ れ ら 全 て を 塗 り 潰 し て 、白銀の閃光が降り注いだのだから。




────────── ッッ!!!




誰かが叫んだ。

それは悲鳴かもしれないし、俺が出した主任と店員……セイバーを呼ぶ声だったかもしれない。

或いは断末魔となる全身から絞り出された俺の、死への恐怖そのものが吐き出されたのかもしれない。

どれにしても、叫んだ事は分かっても聴こえない。

強い耳鳴りが頭を揺さぶる中、俺は眼前に誰かが居ることに漸く意識が行き着いた。


男「……ッ…………」

店員「……?」


チカチカと目の中で閃光の残滓が弾け、俺は店員が口に出した言葉を聞きそびれてしまった。

しかしニュアンスは分かる。

『怪我はないか』と彼女は訊ねたのだ。


702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 21:24:20.66 ID:bcgHFL1Ko

男「……セイバー…っ!」

店員「良かった、二人とも無事みたいですね」


そう言った彼女は静かに赤い両手剣を、視線と共に一点に向けた。

その先に視線を巡らせるより先に、近くから聞き慣れた声が微かに聞こえた。

見れば俺の傍に同じく何が起きたのか把握出来ずにいる主任が座り込んでいる。


男(……今の一瞬で何が起きたんだ)

主任「…………」

主任「ヒャド系の、呪文……」

男「え?」

主任「周りを見て……!」


驚愕する主任に言われ、俺は周囲の惨状に気付く。

電柱か何かだと思っていた白い柱が、何本も俺達三人を囲む様に突き立っていたのだ。

それは巨大な氷の杭。

一本一本に籠められた破壊力と、それが撃ち出された速度は全く俺が認識出来なかった事から想像はつく。

かつてない強敵、しかし俺にはそのヒャド系の呪文を撃った者が誰なのか分かっていた。

主任の話を聞いてから幾度となくその存在はチラついていた。

ただ、『向こうは此方に興味を持っていなかった』だけで一度も遭遇……或いは接触が無かったに過ぎない。


男「……まさか……」


主任「『エビルマージ』!!」


八魔将の一人、エビルマージ。

緑衣の魔導師がその姿を現していた。


703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 21:24:49.31 ID:bcgHFL1Ko


店員の向けていた視線の先。

濃密な異物感……或いは、それが気配という物だろうか。

日常的に見える住宅街の向こう、繁華街に通じている大通り沿いにある一本のビル上に奴は居た。

距離にして約500m。


主任の言葉通り、そこには緑衣の人型が立っていた。

ただの人形やモンスターではないと確信出来る程の存在感。


男(間違いない、アイツが……!)


主任の住んでいたマンションを襲い、各地域でその存在を何度も見せていた。

まさに黒幕、あの怪物こそが主任にとっての仇敵に他ならない。


エビルマージの動きが無い事を確認して、俺はギターケースから鋼の剣を取り出した。


男「主任、セイバー、相手は八魔将の一人だ」

主任「……」コクンッ

男「エビルマージは三人でやれば勝てない相手じゃない筈だ、行くぞ……!」


店員「お二人は先に行ってください」


男「……!?」


真っ直ぐに緑衣の姿を捉えたままで告げる店員の背中を、俺は背後から見た。

声音だけではない。

キャラクターになりきるのとは別に、彼女は全身で俺と主任がいる事に落ち着きを取り戻せずにいたのだ。


男(そういう事か)


つまり、彼女は今日これだけの事態になってから余裕が無かったのは俺達の存在があったから。

『守らなければいけない』という概念は、俺よりも年下で日本人である以上欠けている、実戦における多大な緊張を与えるに違いない。

1ヶ月前に俺が負傷した主任を守るために、死神と一騎討ちした際にそれは痛感した。

一人で戦っていた時間が長ければ長いほど、誰かと共に戦う事が不安に思えてしまう。


そして今。

店員は感じ取っているのだ、今までとは別格の相手を前にして俺達の存在が足枷になりかねない事を。


704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 21:28:38.96 ID:bcgHFL1Ko

理解できてしまう。

力量としては俺よりも遥かに店員の方が格上、だけど彼女が感じている焦りは理解できた。

なら。

なら俺はどうすればいいのか。

ここで彼女を置いて行って良いのか。


男「…………」

店員「私は大丈夫です、それに」


どうすべきか迷う俺に、初めて店員が僅かに緊張を解いて振り返る。

その表情は笑っていた。


店員「別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」


男「……おう」

主任「男さん?」

男「行こう主任、森林公園で何が起きてるのか確認してから戻ってくればいい」ザッ

主任「でも、相手はあのエビルマージですよ……!」

男「セイバーの……店員の強さはもしかしたらアイツよりも強いかもしれない、だったら俺達は居ても邪魔なだけだ」


男「それに……多分、大丈夫だよ」


俺は逡巡する主任の手を引き起こすと、その場から直ぐに立ち去った。

一瞬、店員の表情を見ようと振り返ったがその笑顔に変わりはなかった。


さっきの台詞はFateという作品を知らなくても分かる。


あれはきっと、彼女なりの絶対に勝てる時に言う台詞に違いないと悟ったからだ。

だから信じた。

少なくとも彼女なら死ぬまで戦う様な事はしない。


男(どうせなら本当に倒してくれよ、店員……!)


705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/20(土) 21:31:49.00 ID:bcgHFL1Ko


━━━━━━━━ 【八魔将エビルマージ】



エビルマージ「…………ほぉ」



緑衣の魔導師、八魔将エビルマージは静かに感嘆の声を漏らした。


数秒前、エビルマージの視界に入った人影に撃った『ヒャダルコ』。

その精度は同じ呪文を使える主任や各モンスターとは比較にならない程に正確であり、破壊力もまた魔力の上位操作によって段違いな物だった。

そう、本来ならば如何に優れた身体能力を有していようと『世界の異変の修正を受けていない人間』だろうと、レベルが低い時点で必殺の一撃だったのだ。

しかしエビルマージの呪文は誰一人として仕留める事はなかった。

外したのではない。

確かに無数の氷の杭は三人を射抜く軌道だった。

防がれたのとも違った。


エビルマージは異世界に来て初めて目の当たりにする、一定のレベルを遥かに越えた存在へ意識を傾けた。


金髪のカツラを被っていた、女騎士らしき人物へ。



エビルマージ「面白い」

仲間を瞬時に背後に隠し、氷の杭全てを『逸らした』。

神業とも言える技にエビルマージは一つの評価を出した。

即ち……敵として認識したのだ。


エビルマージ「次はこれでどうかね?」

仲間を何処かへ向かわせたのを見て、エビルマージはそっと指先をそちらへ向ける。

詠唱は無い。

そっと闇へ誘う様に、緑衣の魔導師は死の呪文を紡いだ。





       【『マヒャド』】





706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 00:51:56.51 ID:pTCbkzKBO
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/21(日) 09:20:56.93 ID:XB2t/Qi4O

────────── ギィィンッ!!


距離に左右される事の無い、絶対の氷牙。

その莫大な魔力の奔流は真っ直ぐにエビルマージの指先に示された位置に流れ込み、敵を凍らせ或いは引き裂く。

その絶大な発動速度と範囲の広さ故に回避は不可。

伝説の『ロトの盾』や『メタルキングの盾』でも無い限り、防御すら意味を為さない最凶の呪文である。


だが、しかし。

エビルマージは瞠目する。



    パキィンッ!


店員「 ────── 『ブレードガード』 」


エビルマージ「何だと……ッ」




刹那、何かが女騎士の周囲を舞った直後に『マヒャド』の発動そのものが消滅した。

呪文の発動を無効化する事が出来るなど、エビルマージでさえ聞いたことが無い。

動揺を表すかのように緑衣が揺れ動く。

その隙を、遠距離にも関わらず女騎士は見逃さなかった。



お返しと言わんばかりにエビルマージの立っていたビルは謎の砲撃によって倒壊した。


708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/21(日) 09:49:48.42 ID:XB2t/Qi4O


< ドォォオンッッ……!!


男(……!)

男(大丈夫、大丈夫だ……今は他の事に意識を向けろ……!)

主任「男さん!」

男「任せろ!!」


そう遠くない場所から鳴り響く轟音に最悪の想像を駆り立てられてしまう。

だとしても止まるわけには行かない。

森林公園は近い、現に俺達はこれまでとは明らかに違うモンスターと戦っていた。


地獄の騎士C【ヌゥ、さっきの人間共とは違うな……ッ】シャキキィ

< ビュカカカッ!!

男「づッ……ァアアア!!」ギギギィンッ


六本の腕から繰り出される五月雨斬り、攻守完璧な単騎としての戦闘力は高い。

『じごくのきし』、俺の記憶の中では印象に無いモンスターだがその強さは計り知れない速度と強靭さを持っていた。

一人ならば決して勝てない。

だが二人ならば……!


主任「今です!」

男「……!」バッ


主任の声に合わせて跳躍し、後退する。

直後、じごくのきしの頭上に現れたサッカーボール大の結晶を起点に無数の氷の刃が辺りを貫き立った。




━━━━━━━ キィンッ!! バキバキバキバキィィッッッ!!! ━━━━━━━




709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 15:54:27.84 ID:5VDzlc72O
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