過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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497:名無しのパー速民[sage saga]
2018/08/30(木) 20:51:40.01 ID:XVlk0voU0
【海岸――砂浜】
【風の涼しげな夜だった、夏の終わるときの温度が満ち満ちたなら、真っ暗な海面、ざあざあ静かな波の音だけがして】
【そうしたなら砂浜には主人の見えないいくつかの足跡、人間のもの、大型犬らしきもの、あちら側まで、リボンを掛け渡したように記すなら】

――――、あら、いい風ね、そろそろ秋かしら。早く冷えてくれるといいんだけど……。

【――まだ途中の足跡、一つだけぽつんと佇む人影、伸びる影は電灯との距離感もあってか長く伸びて、ならばいくらか背の高さまでもを感じさせるよう】
【呟く声は女の物だった、とはいえ瑞々しく高くかわいらしい声、――とは対極の位置にあるように少し掠れた低めのノイジーな声音、それでも機嫌だけは良さそうに】
【あるいはどこか冷たく感じるような風が吹き抜けたなら、――そのくせわりに長い髪を海風に踊らされて、ふっとその指先で捕まえるのだけれど】

【背の高い女だった、黒に程近い紺色の髪は光が差し込めばわずかな青みを透かして、きっと常にやる気のなさそうな眼もまた同じ色合い】
【デフォルトのテンションが低いことを予感させるような表情はそれでも冷たすぎない色合い、そもそも顔も肌も下品でなく日焼けしているのなら】
【きっとよく外に出る人間であるのを予感させて、――ありふれたTシャツにありふれたジーンズ、足元までもありふれたスニーカーであったなら、ひどく怠惰な装いでも】
【百七十四の身長があればいくらかも誤魔化されるのだろうか。――背中の途中までもあるような長い髪は途中でうざったくなったか、手首のゴムで大雑把に結わえ――】

そういえば、もう四ヶ月経つのね。あの子が居なくなってから。

【――――ポケットに突き刺していたスマートフォンが電話の着信を示す挙動を繰り返す、いくらか無視した後にけだるげに指先でつまみあげた女は、】
【けれど画面を確認して、いくらかの操作でまたポケットに戻してしまう。そうしたならふらりふらり歩いてきた足取りがふっと止むのだろう、星を見上げたなら】
【またすぐに電話の着信を示すバイブレーションがわめき出して、――今度は電源まで落とす。とかく、浜辺には見渡す限りに人影はほとんど見えなくて、だから、よく目立った】


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