過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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488: ◆1miRGmvwjU[saga]
2018/08/29(水) 22:39:39.62 ID:yulifd4J0
>>486

【少なからず虫の居所は悪かったが、流石に剥き出しの悪意をぶつける程の容積ではなかったし、そこまでそいつは子供ではなかった。「どーも。」ただ言い残して】
【誰かの家に特有のにおいが嗅覚に浸透していく。やさしい人の温もりを感じつつも、それでいて確実に余所余所しいにおい。故に幾らかは、自分で塗り替えてしまったにおい】
【その出所が気になったのかもしれない。 ─── リビングに踏み込む。そうしたら否応なく、あの子の部屋だという空間も目に入る。ストッキング越し、フローリングの感触さえ畏まっている気がして】
【ゆえに少しばかりの逡巡があった。 ─── けれど結局は好奇心が勝った。このにおいの出所。探してみようとする衝動までは、流石に抑えられなかった。】

【きれいな部屋だと思った。 ─── 昨日までとは言わずとも、1週間くらい前から旅に出てるんだと説明されて、きっとそいつは疑いを持たなかった。】
【できる限りに埃だって拭われていた。欠かさず掃除されてるんだろうと思った。だから今でもシグレの香りが消えてないんだって思わせた】
【これだけありふれたものを大切にできる優しさを感じた。どこかに日記でも有りやしないかと思った。けれどあの子がそんな几帳面なもの付けてる訳ないよなと直ぐに諒解し】
【だったらせめて直筆の手紙とか、メモとか、とかく隔絶してしまったままの思い出が何処かにありはしないかと。きっと、理由を探していた。】
【シグレ/夕月の歩んできた人生。その結節になってきたもの。どこかに見出せやしないだろうか。そんな甘い溜息を歎いたところで、 ─── 少女が出てくるから】


「ん。んーん。」「まァ昔から変わってないんだなァって思うし、それが一番面白かったかな。」


【 ─── ファッション誌の袋綴じ、閉じられたままの小さな数年間を開こうとしたところで、そいつは全て元に戻した。ひらりと向き直り、すとんと横坐りにクッションへ】
【幾ばくか湿った髪からは幽かに血の匂いが残っていた。そういうものには敏感だった。 ─── そういう癖を付けたの、さてはお前か。ふッ、と笑って】
【「貰えるものは貰っとくのがボクの主義だから。」 ─── とか何とか言って、小分けのマドレーヌか何かを食べているんだろう。3分で5袋くらい開ける。節操がなかった。】


「今じゃすっかり元気だよ。パスタ一皿あっさり平らげちゃう。いっぱい食べてくれるのは、そりゃ嬉しいけどさ」
「でもサラダだって小皿に盛り付けないと食べてくんないの気になるよね。ボウルじゃ箸にもかけないの。ボクだって色々、バランス考えてるのにさぁ ─── 。」


【であれば、 ─── 切ない世間話の距離感に応じるのは、せめてそいつの罪滅ぼしであったのかもしれない。「牛乳がいい。」横柄であるのは一種の保つべき威厳だろうか。】
【思い出話ならば幾らでも聞きたいし、幾らいけ好かぬ相手としても、愛しい人の旧い友人に手を貸すのは吝かでなかった。伏し目がちに、そいつもまた、言葉を綴る。】


「 ─── 幸せ者だったんだなぁ。」「あの子も大概、不孝な子だね。」
「こんだけ目にかけて貰ってるのに、すっかりボクにかまけちゃって。」「お礼もなければ別れもない。」
「ボクがキミだったら嫉妬しちゃって仕方ないよ。」「 ……… 恋心って、そういうものかもしれないけど、さ。」


【ゆえにこれは決着を付けなければいけない関係性なのだろうと、"彼"は思っていた。 ─── その為に己れに何が出来るのか、相手の言葉を聞かずしては決められずとも】


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