過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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456:名無しのパー速民[sage saga]
2018/08/23(木) 23:36:42.28 ID:jODBTHOP0
>>454

【少し窮屈な帽子に裾の長くて邪魔なワンピース。それがいつか幼子が"リンネ"に与えられた服であった、他のはまた今度買おうね、と言って】
【嫌いだった。身体がじりじりって締め付けられるみたいで。だから帽子だなんてすぐ取りたかった、――けれどそういうときにあの少女は決まって、その手を抑えて】
【お家や、或いは信じている人にしか見せちゃいけない、と、言うのだった。そうしていつも少しだけ悲しそうに笑って、「お帽子が要らないように、するからね」】
【――――ナントカなんて潰しちゃうからね、って、続けるんだった。だけれどなんてやつだったかは思い出せなかった。クロ、黒なんとか、――思い出せない】

【そうして二人は公園に舞い戻るのだろう。――遠くからかすかにセミの声がした、それから地面からも虫の声、夜の気怠い湿度の中へ、紛れるなら】
【自分より大きな歩幅の彼女に引っ張られるように歩くのなら、ぴょんぴょんって跳ねるみたいに追いかけるのだろうか、息は切らさない、それくらいは慣れていて】

【だけど】

んーっ、ンン、痛い! 手、イタイ! 

【――だけれど、人の感情を探るにはいくらも不器用が過ぎるのならば、公園に辿り着くころ、おそらくは我慢の限界だったのだろう。強く握られる手が痛い、と訴えて】
【それでもさっきしたように無理やり振り払おうとはしなかった、あどけない顔をひどく不安そうにして、――それでもほんの少しだけ学んだから、大人しくしている】
【さっきはこの手から抜け出してうろちょろしたから怒られた――よく分からない言葉を浴びせかけられた――のだとは、理解しているらしかった。ゆえに、ただ、佇んで】
【であれば表情は不安そうなのに怒ったようにも見えてどこか興奮しているようにも見えた。――すなわちひどく不安定な表情であるのだろう、この感情を言葉に出来ない様子で】

【ずるずるって尻尾を引き摺る音。――ならばその感情を占める色合いのいくらかまでは、推察もできるのだろうか】

――――イスラ?

【きちんと呼ぶには回らぬ口を誤魔化して幼子は相手のことを呼ぶのだろう、その様子がひどく不安であるかのように、ぎりぎりって痛む手を、わずかに握り返すなら】
【数度不明瞭な声を漏らしていた、――それから、ふっと、思いついた、みたいに】

ゴハン? ユーイ、ムシ獲る? エンより上手! エンはヘタ! ユーイ教えても覚えない!
エンは言葉も覚えナイ、ユーイは頑張って覚えた、ユーイエライ! エンはやる気ナイ!

【それはひどく拙い気遣いなのかもしれなかった、震えにもきっと気づいていて、だけど、上手に投げかけるための言葉は、頭の中に一つもなくて】
【であれば――と提案する。そうしたら元気づけるかのようにエンとやらの話を並べてみせるのだ、エンは狩りが下手で言葉も覚えないのだと言って、】
【自分は頑張って覚えたんだと言って。――得意げににんまり笑う。――――だけれど相手が元気になってくれなかったりするなら、きっとすぐに表情も、しゅんと変わるだろう】


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