過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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452:名無しのパー速民[sage saga]
2018/08/23(木) 22:57:07.53 ID:jODBTHOP0
>>450

【――怒声にびくりと身体を震わせた幼子は、けれど、その非道い言葉の意味までは手繰れなかったのだろう、ゆえに、ただ、そこに立ち尽くしてしまう】
【それでも向けられた声の鋭さと場の雰囲気に、自分が責められていると言うのは分かったらしかった。しかしてそれに対応する言葉を思い出せやしないなら】
【あどけない顔を歪めて威嚇するように歯を剥く――そうすればやはりと言うべきだろうか。そこには人間と言い張るには少し鋭すぎる牙が覗いて】
【ぞろりと細かな鱗の生えそろった尾っぽが持ち上がったなら自分を大っきく見せるかのようにピンと立てられる、フーッと猫みたいに上げた、声の瞬間】

【――――その後ろから、ふわりと抱き留められるなら。びくんっと華奢な身体が跳ね上がる、そうして振り向きざまに、シャァ、と、唸るけれど】
【相手がだれで在るのかを確認したら、――いくらも気まずい顔をして、その代わりにむくーっと頬を膨らますのだろう。シャアシャア言うよりはより人間らしい仕草】
【それでもよく分からぬ悪意を向けてきた店主へ向ける目はギラギラとギラついて、ゆえに、相手もまた表情を険しくするのだろう、――ならば無限回廊にも似る】
【二人きりであったなら間違いなくもっと悪い事になっていた。――しかして今二人の間にはイスラフィールが割って入って、そうしたら】

【――壮年の男性であった。わりに筋肉質で、日焼けが目立つ。こういう屋台をやるのが似合うタイプ、ゆえにいくらも言葉は荒いのだけれど】
【"本職"ではないらしかった――ましてや、イスラフィールのような女性がこのように鋭い声を上げるとは思っていなかったのだろう、わずかに怯んだ間を空け】
【それでも言葉を返すのだろう。だけれどよほど特筆することはないような"意見"であった、テレビと新聞を見て影響されたとしか思えない、軽いもの】
【すなわち、能力者や人外のモノは世の秩序を乱すものであり、排除されるべきである。――特区で暮らしたいが、あそこではこういう店屋はやりづらいから】
【早く特区以外も能力者や人外の"バケモノ"どもを排除してやくれないかと、――そういう意見だった、若い女に言い返されて、言い訳の様相ならば、いくらか情けない】

――――――……。

【だけれど気づくのだろうか、その腕に抱きしめられた幼子の、先ほどは怒りに任せてピッと立っていた耳に尾が、今ではしゅんとなって】
【へたんと頭に垂れ下がる、長い尾っぽは地面をずるりと撫ぜて、――それを見た野次馬の親子連れ、その子が母親に囁く。その内容は聞き取れなかった、けれど、】
【「あんたも怒鳴られるから黙ってなさい」――いくらも聞こえよがしだった母親の言葉で、その内容までも辿れるようだった。――どちらにせよ早足で、親子は去り行く】

アー……、イ、ス、……、あー、ン……、イ、ゥ……。
ユーイ、だめ?

【――そうして幼子は相手へ呼びかけるのだ、それはふっとした街中で聞こえて来るのなら聞き逃してしまいそうなほどに、不確かな呼びかけ】
【けれどこの場面であったならば十分だった。十分であるはずだった。――冷たくけれど熱く鋭い、指先でつまんで遠くに棄て去るような、温度感を感じ取ったなら】
【さしもの野生児も何か不安さを覚えたらしい、――眉までしゅんと垂らしたなら、急にちいちゃくなってしまったように思わすのだろうか、微かな声をあげて】


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