過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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◆1miRGmvwjU
[saga]
2018/08/15(水) 23:10:54.19 ID:5c2+aIKh0
>>299
【硝煙の向こう、少女は一つ歯軋りした。忌々しげに顔を歪めた。殺せていない。仕留められていない。血に湿った足音が聞こえる。】
【"勝てない"。 ─── 嫌な結論が脳裏を過る。深く息を吐いて頭を振る。余計な思考を振り払う。目の前の事実にだけ集中する】
【それでも、手を出してはいけないものに手を出してしまったことを後悔する。少女の異能が引き起こしうるのは、直接的な物理破壊のみ。】
【どこかに"本体"があるのならば対処のしようもあった。然してこれの力の根元が、呪詛や怨霊など観念的な存在であったなら、 ──── 】
【 ──── 悲観的仮説の構築にリソースを浪費したのは間違いだった。そのくらいには、今の少女は恐怖にかられていた。逃げる理由を探していた。】
【であるが故に反応が遅れる。取り囲むように囁く声に怯えながら逃げ場を探す。 ──── そんなものは最初から有りはしないというのに】
【眼前に現れるのは潰した筈の微笑み。 ─── 一瞬だけ、然し確かに、怯懦がうつくしい顔貌を引攣らせる。薄い唇の向こう側、白磁の歯が晒される。】
「あ、うッ」
【 ─── か細い脚先が縺れて、それに従う躯体が、血塗れの床面に崩れ落ちた。ぬるりとした暗褐色に全身を愛撫されて、脊髄の奥から震え上がってしまう】
【穢れた槍が自分の脚を傷付けた/傷付けていないことは理解した。立ち上がろうとする。立ち上がれない。立ち上がってくれない。理解できなかった。】
【だから少女の言葉が痛烈に脳髄を抉る。応酬系が焼き潰れるような痺れ。頭の中が真っ白になる。 ──── 目の前で弾ける屍体。迫り来る無数の肉蔦。ゆえに、であれば】
「 ───………ひ、ぁ ──── ッッ 」
【 ──── その生温かい感触に、容赦なく四肢を/肉体を/全身を絡め取られてしまう。銃を取り落として、漏れるのは、隠せない感情を宿した声】
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