過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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名無しのパー速民
[sage saga]
2018/08/15(水) 00:43:20.17 ID:WXC9Iihe0
>>267
【夜風に散った毛先が涙に濡れた頬に張り付いていった、そうして乾こうとするものだから、ひどくむず痒いような、感覚があって】
【それが気の狂いそうなほどだったから少女は今宵初めて自身の涙を拭うのだろう、――そうしたら少しはましに見えるのだろうか、泣きはらした目元も】
【そうして震える指先がゆるゆるとベッドまで落ちていった、――彼女はそこをうんと濡らしてしまっていた、シーツが透けて、マットレスがかすかに、覗くほど】
【――ならば彼女は導かれたいのに違いなかった、自分の心など関係なく、有無も言わさず、ただ、ただ、目指す場所を定めてほしいに、違いなかった】
【だから明確な教義がある限り、彼女はどこまでも気高く熾烈に居られた。それが揺らいだときにどうしようもなくなってしまった、神すら疑ってしまいそうになって】
【見渡した時に同じ考えをしている誰かが居ないときっと彼女は自分の言葉すら信じられないのだろう、だから誰より信じていたのだろう、そんな自分を隠すため】
【そのためならなんだって出来た、だって正しいから疑う余地すらなくて――】
だって……そんなの……、
【――――心が何かに行き当たる。それはきっと絶望の色合いをしていた、思い浮かべる誰かが居る限り、蛇の神様は自分を救ってくださらないなら】
【ならばその誰かを心の中から消してしまうしか方策はないと思えた。だのにその気づきを下らぬ人間が泣いて嫌がる声がした、スズランの声が張り裂けそうに叫んで】
【救われたいと願えば願うほどに誰かとは居られない。だけれど、そうやって救われた世界に、誰かが居ないのは、――】
ひどいよ……。
【あんまりだ、って、思ってしまって。少女は両の掌に顔を伏せるんだろう、そうしてきっとまた肩をかすかに震わした、涙を伴わない嗚咽を漏らして】
【ぎゅうと身体を小さくちぢこめる、保育園で教わる石のポーズみたいに。頭を抱える、そうやって小さくなり続けて消えてしまえたらよかったのに、――】
…………――――――――――――――――、―― たすけて、……。
【だってそんな呟きを神様は叶えてはくれないのだから】
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