過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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151:アルク=ワードナール&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk[saga sage]
2018/08/11(土) 21:13:40.97 ID:3gt90YRl0
>>146

「(――――――――ッッッッ)」

【戦闘中に、余計な事に思考のソースを割いている余裕などない。だというのに、ラベンダーには、抑えがたく湧き上がる感傷があった】
【――――何となく、この場所の『悪夢』の意味を、理解してしまったのだ。この男の事も――――】
【もう2度と戻れない幸せ、そして会えない人――――それは、甘美で、渇望せずにはいられないからこそ、覚めてから見る悪夢の様で】

【――――「助かったよ、カエデ……お前のおかげで、今日は大漁だ……どうだ、焼き魚は旨いか?」】
【聞こえてはならない、どうしても聞きたい声が、頭の中に響いた気がした】

「ぁ――――!?」
「(死ぬ気!? ――――!!)」

【飛び掛かり、その意識を落としてしまおうと目論んでいたのだが――――それよりも先に、男は衝動的に、銃を自分の頭に向ける】
【何事かと男の目を見て――――その一瞬、思考さえも空白と化していた。そして銃声――――男は死んだ】



【――――世界が元の則に戻っても。ラベンダーはまだ、先ほどの光景に心を奪われていた。いつの間にか、元の身体へと戻っていて、身体に飛び散った男の『痕跡』を呆然と見つめて】

「(――――まるで、私みたいな目をしていた――――あの男は、この男は――――何もかも、失ってきたんだ――――
  ――――悪夢だったんだ。この、自分とは違う世界で、訳の分からない中を、戦って生き抜くって事は――――もう、生きてる限りに、悪夢だったんだ――――)」

【まるで、そこに鏡があったような気がした。ラベンダーは、自分の姿を見ているのではないかと、錯覚するほど、その男――――名前を知らない――――に『自分』を見つけていた】
【この男にとっては、生きる事、そのものが悪夢のようなもの――――その心は、暗い愉悦に歪めていても、常にその心底では、怯えと苦しみが、拭い難く張り付いていたのかもしれない】
【――――何故か、涙が流れる。まるで、哀しい自分を、目の前で死なせてしまったような気がして――――】

「――――――――ッ」

【死人に対してできる事など、弔う事だけだ――――だが今は、そんな暇もない。だが、ラベンダーには1つだけ、出来る事があった】
【手に、顔に、服に――――飛び散った男の脳を拭い取ると――――それを口へと放り込む。慣れない味と触感、何よりその認識が、ラベンダーの胃を縮み上げるが】
【こうしてやるしか――――ゴミとして捨ててしまわず、せめて己の中で燃やしてやる事しかできない――――直感的に、ラベンダーはそう考えていたのだ】

「アルクさん――――アルクさん、無事ですか。それとも――――もう、ダメですか――――」
……ラベンダー…………手前はもう、ダメかもしれない……ッ、だ、だけど――――最後まで、付き合うよ――――手前を、担げるんだろう? ……行こう、決着を、付けに……
「――――はい――――――――『ベルセルク・フォース』――――」

【ラベンダー色の装甲の様な表面に覆われた、太く、寸胴な体型の人型】
【ごつい大きな手を備えた腕には、左右にそれぞれ3枚ずつ、円盤状の刃が備えつけられている】
【機械的な頭部も相まって、まるでSF作品に出てくる宇宙服か潜水服の様な、人型のロボットの様な機械的な姿をしている】

【満身創痍のアルクを担ぎ上げると、ラベンダーはスラスターを吹かして上階へと飛び出していった――――主犯は、この先にいるはずだと】


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