暇なおっさんのSS図書別館
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8:ああ顔いらんかったな(笑)[sage]
2022/07/20(水) 22:25:44.99 ID:GSa3xBPDO
117:絶絶3・里奈・5 2017/10/09(月) 03:49:50.42 ID:0LBP1mUL
 本来ならば、里奈は暴徒の男に見つかり捕まった時点で詰み、更に
たくさんの暴徒たちに囲まれ、暴虐の限りを尽くされて惨たらしい死を迎えて
一巻の終わり―のハズだった。
 それを。

 「んッ…あ、む…」
 「……う、…」

 里奈は一人の若い男の暴徒に、自身の身体を委ねる事で、一時的な身の安寧、安全を手に入れていた。
 (とにかく、まずは叫ばれたりしないようにしないと…ね)
 服を着たままとはいえ、カーセックスさながらな光景がそこにあり―
 そんな中で、里奈は暴徒の男の挙動や動きを冷静に見極めつつ、また自身の色気が
どこまで相手に通じてるのか、な危険な駆け引きに身を委ねていたのだった。

 (…「最後まで」されちゃったら、もうそれは仕方ない、かな…)
 里奈のその悲壮な覚悟が、どれほど暴徒の男に伝わったかはわからない。
 しかし、次第に加熱していく互いの身体のまさぐり合いに、意外にも暴徒の男の方が
徐々に、里奈の身体を弄ぶような事に消極的になり始めていた。
 (?―…え?)

 里奈は内心、焦った。
 要するにこのやりとりの意味は、自身の身体を相手に委ねて、自分は
(犯されてもいい)から、自身の命の保証と、仲間たちへの追走、干渉を諦めてほしい
とした願いの代償行為なのだから―

118:絶絶3・里奈・6 2017/10/09(月) 04:22:51.04 ID:0LBP1mUL
 ショートカットの甘栗色の髪、溌剌とした顔に、年相応に整った肢体―

 牧村里奈は、それなりに自身の身体は自信をもっていた。いや、世の女性なら
人並みに持ち合わせているプライドの一貫だと言えなくもないかもしれないが。

 それゆえに暴徒の男が、服を着たままの自分の身体をまさぐり始めた時、
恐怖はもちろんあったが、それと同時に「ああ、やっぱりそうなるよね」とした安堵に近い感情も湧いていた。

 最初は確かめるように暴徒の男は里奈の乳房を力任せに握った。
 そして里奈が「あっ!」と、声をもらす。次に暴徒の男がならこれもアリか?とばかりに
股間に手をまわしてきた―

 さすがに里奈もこれは性急、いきなり過ぎと感じたが、それでもその手を
強く払い除けたりはせず、相手をいきり立たせたりしないよう、少し間を置いてから
 「…雰囲気、つくってよ…」
 自分から相手に、暴徒の男に、腕を首の後ろにまわして接吻を迫り、
舌まで出して絡める深い交わり方をした。

 (ごめんね、咲さん―私、もう「無事」には再会できないかもしれない…)

 「どうして―」

 (…?)

 「どうしてお前は…そこまで…人を、他人を庇えるんだよ?…」
 それは。

 暴徒の男が初めて里奈に見せた、人の「恐怖」する顔だった―


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