暇なおっさんのSS図書別館
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7:(・´ェ`・)[sage]
2022/07/20(水) 22:22:50.27 ID:GSa3xBPDO
115:絶絶3・里奈・3 2016/11/15(火) 02:41:27.77 ID:yhOLXc+2
 あと、今回の私の被災地巡り大冒険(?)の旅の道連れは咲さんの他にもう一人、
女子高生の羽月彩水(あやみ)さんもいた。

 しかし―

 「里奈さん、咲さん!やなぎ住宅街の方へ逃げましょう!」
 「わかったわ…」

 その彼女は、この島の開発に深く関わった、いやむしろ完全に主導した立場に
あった羽月建設社長の娘さんであったりもして、つい今しがた市役所前の
ドでか〜いモニター画面一杯に映った社長の「島に住んでる奴等が悪い!私が地震被害の事なぞ知るか!」な、
もはや開き直り会見としか言えないものが最悪なタイミングで放映された為に、
島民の怒りが爆発し、何故だか社長の娘だとバレた彩水に向けられ、私たちは
とにかく人目のつかない場所へと一目散に逃げ出していた。


 「里奈?!危ないッ―!!」

 「きゃ?!―な、何す…」

 突然、咲さんに体を突き飛ばされた私は一体何事かと思って抗議の声を
だそうとしてやめた。
 (な、なるほど。こりゃ咲さんに感謝だわ…)
 突き飛ばされた直後、私と、咲さんと彩水さんとを二分するに十分な大量の土砂が
降り注いだから。

 「よくもやったわね咲さん!明日学校の自分の下駄箱に蛙、くらいは覚悟してよね?」
 「私、もう社会人よ!ま、その減らず口が叩ける元気「だけ」はあるみたいで感心したわ」
 「お、お二人って…」

 しかし、軽口を言いながらもお互いにすべき事はもう把握していた。
 (咲さん、彩水さんの事、よろしくお願いしますね!)

 (ええ…里奈も、必ず後から合流しに来てね)

116:絶絶3・里奈・4 2017/10/09(月) 03:07:49.18 ID:0LBP1mUL 「さて、と…」
 格好良く(?)二手に別れて後で合流、ってのはいいんだけど―
 (私って、この島の地理に疎いんだよねぇ…)
 里奈はあらためて一人っきりである不安に戦く。しかし時間は待ってくれない。
 とは言え、闇雲に走り回るとした愚は避けた。それは体力がいくらあっても
保たなくなるのは明白だからだ。
 幸いというかなんと言うか、被災したこの島には、あちこちに持ち主不明な自動車が
放置されていたおかげで、里奈はその物陰に隠れられる、とした利点にあやかれた。

 それがまず最初の油断―

 「?!」

 暴徒の一人が、車の中に潜んでいたのだ。赤いシャツを着た若い男だった。

 そこで里奈は。

 咄嗟の判断で、車から出ようとした若い男を逆に押し込むように一緒に
車の中へと潜り込み、即座に車のドアを閉め、あえて二人っきりの状況を作り出した。

 「なッ?!…お、お前何を!?」
 「(シッ!お願い!静かにして!)」
 里奈は怒鳴る男の口を塞ぎつつ、掠れたような声で囁くように相手に沈黙を要求する。

 「…っざけンなよ!なんで俺がお前の言う事をきか…え?!」
 「もちろんタダで私の言う事を聞け、とは言わないわ…」

 里奈は、男の片手を自分の乳房にあてがえ、あえて握らせるように差し出した。

 「お願い。私が「多少の事」は…するから、見逃してほしい―」


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