15:ゲーム最難関だったな…最後の階段は[sage]
2022/07/20(水) 22:55:57.47 ID:GSa3xBPDO
396: 里奈・14 [sage] 2021/04/27(火) 23:54:15 ID:sIbk3vWL
里奈たちはひたすら倒壊寸前なビルの中を駆け上がり―
「やっぱり…」
「だろうな、とは思ったよ」
今またいつかのように本条咲と彩水と氷川、牧村里奈と比嘉の間は、
大きなひび割れによって二手に分断されていた。
「石沢さんに聞いたら上(ビル屋上階)への階段はどちら側にもあるみたい!
牧村さん、そっちからその彼と共に上がって!」
「わかったわ!本条さんも彩水ちゃんとお兄さん、よろしくね!」
こうして二人はそれぞれに屋上階を目指して走り出した。
やがて。
「う、嘘…でしょ?」
「因果応報、ってか」
比嘉は、道中落下してきた1本の鉄骨の下敷きになりかけて、全身打撲は免れたものの、
足を挟まれた格好となり、身動き取れない状況になっていた。
「ふ、ぬっ!…お、重い!」
「……先にいけ」
「嫌」
里奈が即答する。
「拘るなよ。俺なんか、アンタにとっちゃ単にレイ―」
「違う!」
比嘉が自身の過去の過ちを語ろうとしたことを察した里奈は、それを遮る。
「…あなたは私にとって今はもう野蛮な誰か、ではないわ」
里奈は一呼吸置いて。
「未来の彼氏よ」
「……そら、光栄だ」
(なら、余計に今の俺がやる事は決まってるよな)
「時間が無い、いいから先に行け!俺は今すぐはここから動けん」
「だって、ほっといたらあなたは死…」
里奈は僅かに涙ぐんでいた。
「信じろよ!自分が見込んだ彼氏を、よ」
「…!」
比嘉は、里奈を安心させる為だと割りきって彼氏の設定の話を飛躍させて語る。
「俺もこんなとこで死んで未来の彼女にトラウマ残したくはないんでな。
…必ず、生きて追いつくから」
「死んだら許さないから」
いつかみたいに。
二人は静かに接吻を交わす。
そして里奈は一人走り出した。
(ごめん…二人で生きてこの島を出る、て話が嘘になっちゃった……)
「ったく…たぶんそんな事考えてるんだろうな、あのお人好し」
比嘉は。
里奈が走り去ったそのしばらく後、崩落の闇に飲まれた。
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