【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
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371:名無しのパー速民[saga]
2019/10/23(水) 12:24:55.43 ID:sjuMTUeP0
>>370

「――――――そんなこと、」「下手に言っちゃいけないんじゃない?」「警察官の失言って言って、出回っちゃったら……」
「――、まあ、録音もなんにもしてないし」「そんなつもりも、ないけど……」「――――――気を付けて?」


「――――――――――――――、そだね、」

――――ぱちりと黒赤色の瞳が瞬いた。ほんの数刹那ほど、驚いたように瞠られた眼がやがて細められるなら、顔は悪戯っぽく見えるものだろうか? それにいくらかの悪意を混ぜ込んだような顔は、
けれど実質としては悪ぶってみせた顔であるらしい。――言葉から判断するに。――そして言葉以上に彼女はやはり何もしなかったし(未来においても)、やはり気の向いた忠告であるのだろう。
家族は、という言葉には、すこしなにかあるみたいだった。そのうえで、――少しの間の後に、それもそうだな、と思うような人生をしているらしかった。だから悪く見せた顔も一転ころりと笑うから。
やはり到底二十五には見えぬ顔をしているのだろう。まっすぐ浮かべた笑みにはいくらか無邪気さすら含まれていた、二つ石の交じり合う原石みたい、あちらとこちら、それからグラデーション、月明かりでなお曖昧に煌めく色。

「そうなの」「……まあ、本当の地元にいい思い出、あんまりないけど、」「――――それでも、やっぱり、過ごしやすいかな」「気候とか……そういうの、全部、ひっくるめて」
「――」「――――、ん。お願いします?」

薄らと笑んで首を傾げるのだから、何か曖昧なものを裏側に隠しているのかもしれなかった。けれどそれは彼女が極悪人というわけではなくて、(本来たとえそうだったのだとしても、)もっと何か思うところがあるような。
警察というものに対する軽微な不信感。それも薄く長くあるような。それが特に最近の出来事でより補強されたような。――だからといって、いまここで何かをどうにかしたところで、解決しえないような。
だから結局彼女は相手をそのまま見送るのだろう、「――邪魔なんて、べつに」「だいじょうぶだよ」そんな風な言葉を投げかけて、然るに、一人、(ふたり、)


「だから」「――へびさま、」「もういっかいやろうよ」「いろんなこと」「――だから、ね、」「――――――元気出して」

小さい子を宥めるみたいな声を掛けていた、――そうして見上げる月の丸さはけれど不完全なもので。なれば彼女の瞳のほうがよっぽど丸く艶めいていた、(けれどこんな月が昇った日には世界だって終わるのだろう)

/おつかれさまでしたー


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