【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】
1- 20
351:名無しのパー速民[saga]
2019/10/13(日) 22:58:22.16 ID:5Ad6Dhc+0
【街外れ――川べりの遊歩道】
【植え付けられたユリノキの葉が夜風にこすれ合ってはざらざらと鳴いていた、見上げて葉越しに覗く月明かりは少しだけ満月に満たない形、透き通る夜空に、薄雲を虹色に煌めかせ】
【彩雲越しの月明かりだろうと世界中は夜の色をしていて、なれば月明かりは街灯の光と交じり合って、こんな時間に彷徨う誰かの人影、長く曖昧に伸ばしては、それを街路樹の影に隠させている】

――――――はあ、あ。つまんないなあ、…………なんにもない。面白いものでも流れてきたらいいのに――、ねえ? へびさま。
……どうして拗ねてるの? 隠れてるところ、見つかっちゃったから? ……――へびさまみいつけた。ほら、かくれんぼはおしまいにしようよ、ね――。

久しぶりに会えたんだから、

【川べりに長く長く設置された柵に寄り掛かる人影が一つあった、頬杖突くように体重を委ねて、もう片っ方の手は気だるげに水面のほうへ垂らされている、指先の角度はどこまでも脱力しきった温度をして】
【半ば投げ出すような爪先までもやる気のなさが満ち満ちていたから、意味合いとしてはごく距離感の近しい人間同士の親愛にきっとよく似ていた。――事実人影は二つあった、一つはおそらく少女のもの、もひとつはずっとうんと背の高いもの】
【そうしてぽつぽつとわずかに漏れ聞こえてくる声は一方的に少女のほうが投げかけているものばかりであるのだろう。――透き通る鈴の音によく似た声は夜に良く響いて、然るにもう片方の黙りこくるのを論い責めるように麗しい】

【――腰まで届く黒髪が夜風に揺れた、透き通るように白い肌、あどけなさを遺すかんばせは、あるいは誰ぞに知られていておかしくないものだとして、今となってはきっと余程有名な顔をしているわけでもなかったから】
【光の角度によって赤と黒とを移ろわす曖昧な色をした眼差しは水面を眺めていたけれど、やがて飽きたともなればもう一人を捉えて、どこか呆れるような笑みの色、ひらり翻す布地は深い赤色のワンピース、生成りのフリルをあしらって】
【かかとの太くて高いストラップシューズを含めたなら百七十センチほどの背をした少女だった。あどけなさを勘案するに十六ほどだろうか、――もう片っ方は、ただどこまでも白い影のような、髪と背の長くて高い、櫻装の男】

ほら、

【傍らに佇んだままの白装束の手をひょいと少女が捕まえてみせた、そうして誘ったなら、自分の顔、その頬のところ、包ませるように、本質的には雛鳥に給餌する親鳥のように、触れさせて、】

生きてるよ。

【甘やかな囁き声を、あるいは誰か観測するというのなら、怖い夢に怯えた子を慰める母のような声をしていたと、きっと証言するのだろう。長い毛先を顔にかぶせて沈黙する白磁の返事は終ぞ聞こえず、なれば、】
【ざあと夜風が吹いたその瞬間、蝋燭の灯の掻き消えるみたいに、ふっと消えてしまう白い人影は、果たして幽霊を見てしまったのだと誰かの肝を冷やすには十分であるのかもしれない。――そうだとしても】
【黒い髪のいくらかを夜風に乱された以外は何一つ変わらず佇む少女の人影はそのままであるのだから、何も恐れることはないのだとも思われた。――――――、長い毛先を指先に鎮めて、ゆるり流れる視線、瞬き一つ、二つ、】

【――誰か居合わすのなら、ちょうど月明かりを受け止めて、爛々と光るかのようなまなざしをまっすぐに受けるのだろう。手品かけむのように消えた白の人影について、あるいは、尋ねても良いのだと思われた(然るにそれ以外のことだって)】

/のんびり……お待ちしております、はい


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/2899.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice