もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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92:1[sage saga]
2024/11/01(金) 21:03:08.91 ID:4JAHijIv0
 
 そんなやりとりは、フリーレンからはシュタルクが壁になって声くらいしか聞こえなかったが。

フリーレン「……シュタルク、洗脳された? なんであの魔族が……」

シュタルク「……いや、やっぱりどうにも悪い奴とは思えなくてさ……」

フリーレン「何度も言うけど、魔族は人を欺くために――」

シュタルク「分かってるって。あいつが嘘をついてるかどうか判断できる能力が俺にはねえってことくらいはさ」

フリーレン「ならどうして?」

シュタルク「だからまあ、俺に出来る判断をしたんだよ。騙し討ちして本気で技を打ち込んだんだ。普通の魔族なら反撃するか、最低でも反撃しようとはしてくるだろ?」

フリーレン「本当に本気でやった? 手加減を見抜かれたんじゃ無いの? シュタルクが本気で殴ったら、あの魔族の頭なんてスイカみたいに弾け飛ぶでしょ」

シュタルク「森の中に腐った木の枝が落ちててさ、それを使った。打った瞬間に砕け散ったからほとんどダメージはなかったと思うぜ」

フリーレン「……」

シュタルク「……あー、怒ってる?」

フリーレン「いや、もうなんか色々面倒になっただけ……とりあえず、止血を手伝ってよ」

シュタルク「ああ、それなんだけど――」

 と、シュタルクが何か言いかけたところで。

 フリーレンは己の身体に異変が起きていることに気づいた。全身の痛みが和らぎ、消えていく。もっとも深かった左腕の刀傷も見る見るうちに薄くなっていく。

フリーレン(女神の魔法? いや、この感じは違うな。いったい誰が――)

シャミ子「……あの……大丈夫ですか?」

 見れば、シュタルクの背後に例の魔族が立っていた。

 杖型の魔道具を再び変形させて、そこに魔力を注ぎ込んでいる。杖はその魔力を増幅させ、何らかの魔法をフリーレンに向けて放射していた。複雑な魔法だ。術式構造すら把握できない。

 謎の魔法を魔族から掛けられているという事実に、フリーレンは一瞬身を強張らせる。だがすぐに理解した。魔族の消費する魔力と比例して、怪我が治っていく。

 認めざるを得なかった。この魔族は、先ほどまで自分を殺そうとしていた相手を治療をしているのだと。


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