もしもシャミ子が葬送のフリーレンの世界に飛ばされたら
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[sage saga]
2024/11/01(金) 20:55:33.86 ID:4JAHijIv0
中国拳法における"指弾"の要領で打ち出した小石が、敵の手から杖を奪うのを見て、桃は隠れ蓑にしていた村人を腕で押しのけた。
最初に敵に向けて投擲した石は囮だ。頭を弾けるならそれでよし。防がれても索敵能力の限界が探れる。
即ち、敵は魔力の無い物体も感知できるのか、あるいは感知できるのはやはり魔力だけで、こちらの魔力の流れを読んで防御したのか。
桃(こいつが感知できるのは魔力だけだ。最初の石は障壁をかなり大きく展開して防いだ――飛んでくる石自体を感知できるのなら最小範囲の障壁で防いだ筈)
魔力を絞ったせいで身体能力は低下していた。指一本で弾いた石を確実に命中させ、さらには有効打を与えるために、ここまで接近する必要があったのだ。
桃はバネ仕掛けのような勢いで立ち上がると、敵のもとへと最大速力で距離を詰める。立ち直る時間は与えない。ここで仕留める必要がある。
桃(魔法を使う際、こいつは杖に魔力を収束させていた。いまならあの防御魔法は使えない。一気に近づいて首を刎ねる!)
抜刀する。桃は速度重視のセカンドフォームから闇墜ちフォームに装いを変えていた。確実に仕留められるように攻撃力を上げるためだ。
もはや隠形の必要も無い。魔力の蛇口を全開にする。身体能力が一気に跳ね上がり、一歩の踏み出しで爆発的な加速を生んだ。10mを詰めるのに半秒と掛からない。
フリーレン「――先に謝っておくよ。死んだらごめん」
桃「――!」
フリーレンは無事な左手を桃に向けた。
次の瞬間、そこから莫大な魔力の奔流が迸る。それはまるで全てを押し流す大瀑布の如く。その暴力的な流れが桃を飲み込んだ。
大魔族ソリテールが得意とした魔力放出による遠距離攻撃。シンプルにして最強の攻撃手段。人類の防御魔法など薄紙のように突き破る威力を持つ。
フリーレン(私から杖を奪って油断していただろう。そこに初見の攻撃手段。回避は――)
だがその予想に反し、荒れ狂う魔力の衝撃の中から飛び出してくるものがあった。
フリーレン(これも避けるか――)
フリーレンが目にしたのは四足獣の如く、顎が地面にこすれるのでは無いかというほど姿勢を低くした桃の姿。
魔力外装のあちこちが千切れ飛び、血を滲ませているが、五体満足で動きに支障は無いらしい。
桃(杖が無くとも発動できる魔法の存在は予測範囲内。辺りにはお前が守るべき民間人が大勢転がってる)
桃(地面を砕くような攻撃は出来ないから、弾道は高くせざるを得ない。何が来てもその下をくぐり抜ける心算はできていた)
フリーレン(こいつ、その為に村人を誘導したのか。下手な魔族よりも厄介だな)
魔力放出という技術において、フリーレンのそれは真似事だ。ソリテールほどの精密性は持たない。その点を突かれた。
刀の間合いまであと半歩。それを詰めるために桃は最後の踏み込みを行い――
桃「……ぐぅっ!?」
そして地面に叩き付けられた。
フリーレン「……ここまで追い詰められたのは80年ぶりだな。これを使うことになるなんて。まあちょっと前に私の複製体が使ってたけど」
見えざる力に押さえつけられ、地面に這いつくばる敵を見つめながらフリーレンが呟く。その言葉には浅からぬ賞賛の色があった。
フリーレンが用いたのは、1級魔法使い試験の際、彼女の複製体が最後にフェルンに向けて放った魔法だった。
一切の魔力探知に反応しない、二重の意味での不可視の圧力。複製体が使った時は壁にフェルンを叩き付けていたが、今回は上方から下方へ、まるで超重力でも浴びせるような形で発動させた。
桃「この……っ!」
フリーレン「無駄だ、単純な膂力じゃ抜け出せないよ。とはいえ驚いた。この魔法を使うことになったのもそうだけど……まさか初見のこれを回避しようとするなんて」
円状に降り注ぐ圧力は、本来なら複製体がフェルンにしたように、その全身を捕らえるはずだった。
だが実際に捕らえているのは桃の左腕だけ。発動と同時、桃が無理矢理体を捻って進行方向を変えようとした結果がこれだった。
魔力の流れから感知できた筈はない。となると、単純な直感の類いで回避を試みたのか。
何にせよ驚異的だったが、この拘束からは抜け出せない。殺傷力はさほどでもないが、"防げないこと"に特化した魔法だ。
フリーレンは左手を地面に転がる杖へ向けた。杖が少しずつ引き寄せられる。拘束魔法で捕らえて色々と調べるつもりだった。
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